02/05/17 第5回建築物衛生管理検討会議事録             第5回建築物衛生管理検討会                  議事録           日時:平成14年5月17日(金)10:00〜12:00           場所:中央合同庁舎18階 専用第22会議室           議事 1)建築物環境衛生管理基準について              2)その他 ○生活衛生課長  定刻となりましたので、ただいまから第5回の検討会を開催させていただきたいと思 います。  本日は、皆様方におかれましては、御多用中のところ、御出席賜りましてありがとう ございます。  委員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。東京都の組織変更もあ ったようでございますが、その関係で、前回までは中谷委員さんに御参加いただいてお ったわけでございますけれども、今回からは田中節夫委員、肩書きとしましては東京都 健康局地域保健部環境水道課長さんでございますけれども、田中節夫委員に御参加いた だいております。御紹介申し上げます。 ○田中(節)委員  田中です。よろしくお願いします。 ○生活衛生課長  本日は、眞柄委員が御欠席との御連絡をいただいております。  それでは、開会に当たりまして、生活衛生課長といたしまして、私から簡単な御挨拶 を申し上げます。  この検討会におきましては、これまで4回にわたりまして、建築物における衛生管理 のあり方について活発な御議論をいただいてきたところでございます。前回の検討会に おきましては、この会としての中間的な考え方を整理していただいたところでございま して、私どもとしましては、これを4月19日に厚生労働省のホームページに掲載いたし ました。それは、国民の皆様方から広く御意見を募集するという趣旨であったわけでご ざいます。その結果を締め切りまして取りまとめたところでございます。御意見としま しては、25の団体あるいは個人の方から御意見をいただいたところでございます。本日 の検討会では、前回までの御議論、あるいは、寄せられた御意見を参考にしていただき まして、さらに、この会として議論を深めていただければというふうに考えております ので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、座長、よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  おはようございます。先生方には、お忙しいところ、この前の回から御検討いただき ましてありがとうございました。それから、一般の方からも大変たくさんの御意見をい ただきまして、厚く御礼申し上げます。  議事を進めたいと思います。まず、事務局から資料の確認をしていただきたいと思い ます。 ○事務局  本日の資料でございますけれども、議事次第がございます。それから、座席表がござ います。それから、新たに田中節夫委員に入っていただきました新しい委員名簿を用意 してございます。その次に資料一覧がございます。資料一覧に基づきまして、資料1「 第4回建築物衛生管理検討会会議録(案)」、これは委員限りとなってございます。そ れから、資料2といたしまして、4月19日に掲載させていただきました「建築物環境衛 生管理基準等の見直しについての考え方」の全文でございます。それから、資料3とい たしまして、「『建築物衛生管理検討会』に関する御意見の募集結果について」。資料 4といたしまして、「報告書のとりまとめに向けての論点整理」。それから、参考資料 でございますが、参考資料1が関係法令、参考資料2が関係通知。この参考資料1と2 につきましては、印刷の都合がございまして、委員限りとさせていただいてございます 。それから、参考資料3といたしまして、「平成13年度厚生科学特別研究事業『建築物 の衛生管理に関する研究』(中間報告)」ということで冊子を用意してございます。こ れは、表紙に「平成14年度」となってございますが、印刷のミスでございまして、申し わけございません、「平成14年度」となっているのは「平成13年度」の間違いでござい ます。それから、印刷に間に合わなかった分で追加分ということで、もう一つ、ホッチ キスでとめたもの、参考資料3の追加分を用意してございます。  以上が本日の資料となってございます。不足等がございましたらお申し出ください。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。ございますでしょうか。  それでは、先へ進ませていただきましょう。まず、前回議事録の確認ですね。 ○事務局  それでは、資料1をご覧ください。これは前回の議事録の案でございます。速記録を もとに、事前に委員の皆様方には御確認をいただいたものでございます。特段の問題が なければ、この内容で確定した上で公開の手続に入らせていただきたいと思いますが、 いかがでしょうか。 ○吉澤座長  いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。               (「結構です」の声あり) ○吉澤座長  では、これで議事録として確定させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○事務局  ありがとうございました。それでは、議事録につきましては、厚生労働省のホームペ ージに掲載する形で公開の手続に入らせていただきます。 ○吉澤座長  それでは、議題の本題に入りたいと思いますが、資料2は、前回の議論によりまとめ られたものでございますけれども、資料3につきまして、たくさんの御意見がございま したので、それについて御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  まず、資料2でございますけれども、4月19日から5月2日までの期間、厚生労働省 のホームページにおきまして意見を募集させていただきました。そのときに提示をさせ ていただいた「中間的考え方の整理」のペーパーでございます。  資料3でございますけれども、これが寄せられた意見をまとめたものでございます。 合わせて25の団体または個人の方から意見をいただいてございます。個人が19名、団体 が6団体。延べ件数といたしまして、121件の幅広な御意見をいただいてございます。  次の3ページから10ページまでに、寄せられた意見を事務局のほうで項目別に分類を させていただいてございます。それから、11ページ以降につきましては、寄せられた意 見の本文を掲載してございます。  まず、3ページから10ページまで、寄せられた意見の概要につきまして、ざっと紹介 をさせていただきます。これは、左側に御意見の概要、右側に意見の番号、これは11ペ ージ以降のどの意見に対応するかということで番号を振ってございます。  まず、3ページでございます。導入の部分についての意見でございますけれども、外 資系企業や外国人居住者によっては、人種の差により温度設定の変更や加湿の中止を要 望することもあり、「区域別管理」として用途ごとに基準を定めるのではなく、大枠の 範囲の中で管理責任者などの自己責任に任せるほうが正しく運用されると思われる。あ るいは、区域別管理の考え方を導入すべき。また、自然換気ビルが出現しており、これ に対応する基準のあり方に関して検討の必要性がある。  それから、「地域性や季節性の考慮について」でございますが、管理基準の設定の考 え方に地域性や季節性を考慮するのは当然、といった意見をいただいております。また 、ねずみ、昆虫類の生息のほかに、カラスや鳩の糞害など、あるいは年間を通して冷房 を行う、季節が変わらないエリアについても検討してほしい。  それから、「対象建築物について」でございますが、共用エリアの衛生環境の確保は 必要だが、温度、湿度や喫煙などの面で個人の専用エリアにおける基準の遵守は困難で あるので、努力義務としてほしい。特定建築物以外の建築物でも、維持管理に問題があ るものが多いと考えられる。  それから、「省エネルギーへの対応について」でございますが、省エネにより空調換 気設備の搬送動力削減や照明電力削減がターゲットとなるため、室内環境においても低 温吹出空調や輻射冷房等による室内温度分布や気流に、また、照明についても、タスク ライティング等パーソナル化が進み、平均照度に影響が出ると思われる。循環型社会の 構築に関しては、建築物内の廃棄物の一部を再資源化可能なものとして捉える必要があ るのではないかと考える。  「その他」ですけれども、建築物環境衛生管理基準の見直しを検討する際には、社会 的ニーズの高まり、省エネルギー化への対応のほかに、不景気、デフレ、高齢化、グロ ーバル化なども考慮してほしい。  このような意見が寄せられてございます。  次に、各論でございます。まず、「空気環境の調整」につきまして、「浮遊粉じんの 量」でございますが、浮遊粉じんの測定法を示してほしい。それから、基準値について は、前回の第4回の検討会のときに、0.15から0.10に下げてもいいのではないかといっ た意見もございましたので、「中間的考え方の整理」の中ではそういった意見を紹介さ せていただいたところでございますが、基準値を下げるのは喜ばしいが、これが人体呼 吸器系への影響を考慮してのことであれば、重量濃度のみならず、粒度分布も検討対象 となり得るものと考えられる。基準値の引き下げは、単にできるからやろうでは規制強 化のみで何のメリットも生まれない。それより分煙エリア設置に対する構造基準などを 定めることが重要。測定結果による測定回数の緩和は大いに賛成だが、二酸化炭素など 他の項目も緩和されなければ、結局手間は一緒。 0.1mgという数値は、大気環境基準に 合わせたものと理解できるが、その旨を記述しておくべきである。現在のビル内粉じん の状況を考慮すれば、基準値を下げることには賛成。測定回数の緩和については、関連 のある項目と一体として行うべきである。 0.1と0.15で医学的な差があるのか。表面上 の数値を規制強化しても意味がない。人体に影響が出ない程度にまで基準値を緩和し、 現行の基準を推奨値とすべき。  次に、「一酸化炭素の含有率」でございます。発生源がない場合などには、測定回数 の大幅緩和をお願いする。測定作業には検知管などの廃棄物の排出を伴う、という意見 がございます。それから、測定回数の緩和については、関連のある項目と一体として行 うべき。開放型燃焼器具の使用に関して言及すべき。また、喫煙と換気量の関係に関し ても示すべき。人体に影響が出ない程度にまで基準値を緩和し、現行の基準を推奨値と すべき。  次に、「二酸化炭素(炭酸ガス) の含有率」でございます。現行の基準値は適正と思 われる。建築物衛生法の二酸化炭素の基準が日本のビル衛生に果たした役割は大きく、 高く評価される。本項目が継続的に残されることに賛成。省エネの観点から過度の換気 は不要であるが、二酸化炭素濃度を基準値以下になるように、「廃熱回収装置の利用を 含め、適正に管理することが必要」とされている点については賛成。人体に影響が出な い程度にまで基準値を緩和し、現行の基準を推奨値とすべき。  「温度」でございます。温度は個人差や設備差の影響が大きいので、基準値を検討す るよりも、モニタリングやヒアリングを定期的に実施し、居住者の快適性に関する回答 率での評価などにより、問題の原因究明と解決を行うことが本当に必要。現状の温度範 囲は余りにも広く、用途ごと、季節ごとの細かな設定や、ASHRAE(米国暖房冷凍 空調学会)などで検討されているように、A、B、Cランクに水準を分けるなどの方策 が必要ではないか。また、測定位置に関しては、今後のJIS化や国際化を考慮すると 、日本だけが国際的な流れと異なる基準を定めていることは問題があるのではないかと 思われる。上下温度分布、床面温度に関する規定を定めるべき。室内の放射温度及び微 小面放射温度による不均一性の測定が必要ではないか。外気との温度差を考慮し、夏期 ・冬期ごとに基準値を設けるべき。  「相対湿度」でございます。湿度につきましては、これまでもいろいろ御議論があっ たところでございますけれども、「中間的考え方の整理」の中では、相対湿度として夏 は35〜60%、冬期については40〜60%という案を提示させていただいたことに対する意 見を多数いただいております。省エネを優先に考えると、相対湿度の上限を下げること 、個別空調の建築物も法規制の対象とするのはいかがなものか、再考をお願いする。次 の意見でございますが、夏冬の条件の悪い日は測定を避けているのが現状。現行の基準 について不適合率が高い理由を追及し、根本的な対応技術の進展を図る必要がある。ビ ル用マルチにも省エネの対応が迫られており、省エネを図ろうとすると湿度が60%を超 える可能性がある。現状のビル用マルチは湿度のコントロールができないため、湿度範 囲を狭くする案に対応できない。湿度が低下すると静電気が帯電しやすくなり、OA化 の進んだ事務所では望ましくない。見直しとしては、夏期・冬期の区分ではなく、冷房 運転時と暖房運転時といった区分にしていただきたい。一般にビル用マルチは湿度の制 御を行っていないことから、夏季の60%や冬季の40%を達成することが困難である。夏 期の60%以下を維持しようとすると、室内の人体からの水分負荷によっては、十分に除 湿するためには再燃が必要となることが起こり得る。そこまでして衛生環境を維持する との意図はないと判断しているが、その旨を記述しておくべき。冬期の湿度を医学的な 観点から40%以上に保とうとすることは理解できるが、現状では技術的に難しい面があ るので、補足説明等で加湿方式について、今後の技術開発の必要性を述べておくべきと 考えられる。夏期・冬期とも35〜60%にすべきである。冬期に40%以上の湿度を保つの は不可能。むしろ結露を起こし、カビ・ダニの発生のおそれがある。冬期は30〜50%に してほしい。外気との湿度差を考慮し、夏冬ごとに絶対湿度で基準値を設けるべき。こ のように多様な意見をいただいてございます。  それから、「気流」でございますが、空調気流は管理者側での調整や監視で事足りな いことが多い。これは建設側への設置基準で規制していく問題であるため、管理者は建 設者に関する検査的、指導的業務を行うといった程度の内容とすべきである。ASHR AE等と比較して、余りにも緩い基準値である。測定位置に関しても、国際規格に統一 すべき。  それから、「中央管理方式以外の空気調和設備又は機械換気設備の基準について」に 対する意見でございます。ビルマルチタイプの空調設備についても、規制の対象とすべ きであるという点に賛同する、という意見が幾つか寄せられてございます。個別分散型 空調設備については、運転操作が居室利用者になるため、外気温度条件によっては日中 空調機器を停止している場合が多いのが現状であるため、6項目の基準を適用するのは 非常に困難。冷媒マルチ方式を含めるのは賛成。  それから、「化学物質による室内空気汚染問題への対応について」でございます。ホ ルムアルデヒドなどの化学物質を基準に追加することに賛成。測定の結果、基準を達成 していれば次回の測定は省略できることとするなど、測定回数の緩和を考える必要があ る。化学物質問題は、建設者は内装工事者の責任によるものなので、建設業の法規制と すべき問題と考えられる。職場における化学物質汚染によって仕事を続けられなくなっ た、あるいは学校へ通えなくなったという情報が多数あるということを認識すべき。「 特定建築物の使用開始時や大規模な内装変更時には・・・化学物質の濃度測定を実施し ・・・」とあるが、このように限定的に捉えるべきではない。殺虫剤、防虫剤、たばこ の煙などの健康被害が多数あることを認識してほしい。シックハウス症候群は、全身症 状があらわれ、通常の生活すらできなくなる例が多い。もっと深刻な問題として捉える べきである。特定建築物の室内化学物質汚染は、換気量が確保されているため比較的低 い水準に抑えられていると説明されているが、築後数年たった建築物でも化学物質過敏 症患者には耐えられない場合がある。害虫駆除を目的として薬剤が使用され、室内空気 が高濃度に汚染されていることがあるため、特定建築物の室内化学物質汚染は建築物の 竣工及び使用開始後の一時的な期間が問題と考えるのは誤り。化学物質弱者にとっては 、低濃度の汚染であっても苦痛になる。したがって、原因化学物質を放散するものを除 去したり、使用しないことも対策の一つとすべきである。室内の化学物質が酸素、光、 熱やカビなどの微生物によって、代謝分解されて生ずる新たな化学物質のことも考慮す る必要がある。化学物質に関する基準をぜひ含めるべき。室内にはさまざまな調度品な どが持ち込まれることから、新築、改築時のみの測定で事足りるか疑問。竣工時の検査 をクリアしても、テナントの内装材や家具から化学物質が発生することもある。コミッ ショニングにも関連するが、本来、建設者側が負うべき責任をビル管理者が問われるの はおかしい。  「微生物による室内空気汚染問題への対応について」でございます。空調用水などの 管理に使用される薬剤についても、適切な薬剤使用とその効果の明示を促すことが必要 と考える。冷却塔のレジオネラ菌の問題も大きいが、その殺菌剤や防錆剤等の化学薬品 投入及びそれらの大気飛散にも問題がないのか、調査研究する必要がある。  その他の意見でございます。空気環境の測定は、現行では1日2回行うこととなって いるが、一度だけの不連続な測定では、衛生環境の悪い状況を確実に把握できないこと から、例えば2か月に1回、建物の利用時間帯すべてにおいて連続測定を行う必要があ ると考える。測定データを報告、開示する仕組みが必要ではないか。空気環境の測定を 、2か月に1回から3か月に1回に緩和すべき。  このような意見が「空気環境の管理」について寄せられてございます。  続きまして、「給湯水の維持管理」でございます。  まず、「規制の対象となる使用用途について」の部分に対する意見でございます。中 央式の場合のみ中央監視等で管理する程度の基準とされたい。ビルの給湯を飲用する機 会は減少しているのではないか。また、貯湯式であれば温度は90℃を維持しているので 、手洗い用として50〜60℃で使用されているものとは区別すべきである。  次に、「水質検査等について」でございます。レジオネラ属菌の測定項目を加えるの が適当と考える。  「温度管理」。給湯水の温度を55〜60℃で管理するとあるが、飲用目的で給湯温度を8 0〜 100℃に加熱できる給湯器がビルの給湯室などに設置されている例が近年多い。安 全上の配慮はあるものの、目的に応じた給湯温度は必要であり、その利用方法を妨げる べきではないと考える。  「給湯設備の維持管理について」。給湯温度の管理を行う場所を特定することが必要 。「末端の給湯栓及び湯待ち時間の長い給湯栓で行う」ものと表現するのがよいと考え る。レジオネラ菌等による問題の観点から、全般的に規制強化が必要ではないか。こう いった意見が寄せられてございます。  続きまして、「雑用水の維持管理について」でございます。  原水の水質、使用用途に応じた処理レベルを定める必要がある。節水、省エネルギー 等地球環境保全の意味でも、再生水の利用を妨げるべきではない。水質分析結果がよけ れば、水質分析の測定回数の緩和を図るべき。  続きまして、「清掃について」でございます。  「汚物」の代わりに「廃棄物」の用語を用いて、その適正な処理について規定すべき 。清掃局のリサイクル指導基準や廃棄物減量規制等の指導との重複や関連について確認 が必要。ビル管理者としては、廃棄物を一刻も早くビル外に出したいと思っているのに 、保管義務を課されては困る。  次に、「ねずみ、昆虫等の防除について」に対する意見です。  まず、「IPM(総合防除)の考え方」に対してでございますが、IPMの考え方に 基づいた基準化を図っていただきたい。徹底した生息実態調査と厳正な防除基準・防除 方法の確立、薬剤の使用方法の違いによる人体への曝露影響調査を公的機関が行った上 で、情報を公開してほしい。  「防除の対象について」。防除の対象を有害動物、不快動物にまで広げた場合、医薬 品や医学部外品では、かえってそぐわない場合が出てくる。例えば、シロアリ、キクイ ムシなどの建材害虫、イガなどの衣類害虫は、それぞれの用途で承認されている薬剤を 使用できるようにする必要がある。不快動物については、直接健康に影響がない限り、 防除の対象とすべきではない。防除の対象として、「有害動物」と「不快動物」を含め るべきではない。これらは発生源対策で対応すべき。  それから、「生息状況の調査について」の意見でございます。ビルの屋上等でのカラ スや鳩の糞害、ダニの発生が問題視されており、採集駆除の許可や仕様の制定をお願い したい。防除の前に生息状況の調査を必ず行い、薬剤散布は最小限にし、できるだけ物 理的な防除を心がけるべきである。生息状況の調査を行うのは当然。  「薬剤の使用上の注意について」。薬剤の散布だけが対応方法ではなく、ねずみ、昆 虫等の発生しない環境の整備が重要であることの明言化をお願いする。平成13年8月22 日の厚生労働省局長通知では、「防除作業終了後、必要に応じ屋内に残留した薬剤を除 去」することとされていますが、医薬品、医薬部外品の使用法には、残留させて使用す る方法が明記されているので、「用量・用法によらない過剰な使用をした場合には除去 する」としたほうが誤解がないのではないか。薬剤散布後は十分時間をおいて、薬剤が 残留していないことを確認してから建物への出入りを許可すべきである。「全く薬剤を 使用することなく十分な防除を行うことは困難」とあるが、まず、薬剤を使用しないた めにどういう方法があるかを検討すべきであり、薬剤使用を前提に議論するのは間違っ ている。ごく微量で症状が強くあらわれる化学物質過敏症患者にとっては、薬剤の急性 毒性が低いから安全とは限らない。  その他の意見でございます。ねずみ、昆虫等の防除に関する指導は自治体の指導に任 せたらどうか。ベイト剤は食べ飽き現象などに対処するため、基材にバラエティが要求 される。基材を変えるごとに薬事法のもとで医薬品、医薬部外品の承認を受けるのは、 コストや時間の制約から難しいのが現状であることから、成分が同じであれば簡略的に 承認を受けられるよう改正を望む。殺そ剤は昭和47年以降、医薬品、医薬部外品の承認 を受けたものはない。これは、市場規模に対して承認のための費用が膨大で採算が合わ ないためであり、薬事法の改正が望まれる。防除業者は、虫の生態などについて正確な 知識を持たなければならない。そのため、研修などを実施する必要がある。法律によっ て散布業者の資格・責務等を明確化することが望まれる。  続きまして、「空調設備、給排水設備等の性能検証について」の意見でございます。 空気調和、給排水設備の点検、管理の強化の必要性は認めるが、建築基準法第12条に基 づく建築設備の定期報告制度における点検、管理項目と内容が重複し、建築主に過剰な 負担を強いることのないよう考慮が必要。ビルの管理者に責任を求めることは不可能と 思われる。建築基準法でのコミッショニング義務を構築する方向で検討願う。  続きまして、「特定建築物の要件について」の意見でございます。  10%以上が住宅となる建築物については、住宅部分を管理の対象とすることは絶対や めていただきたい。10%除外規定の廃止に賛成。住宅等、現行の管理基準をそのまま適 用できない部分がある場合は、その部分のみを除外すればよく、建物全体を適用除外す る必要はない。  もっぱら事務所の用途に供される特定建築物に対しても、保健所の立入検査が行われ るよう、制度的な変更を行うべきものと考える。  延べ面積要件の引き下げに賛成。延べ面積要件の引き下げは、維持管理権限者の負担 が増える。また、現在の小型ビルは広域管理や個別空調等の採用により、実質的にビル 衛生管理者が常駐する必要性がない。さらに、特定建築物数が増えると、建築物環境衛 生管理技術者の数が圧倒的に不足する。延べ面積にかかわらず、多数の人が使用又は利 用する建築物の衛生的環境の確保を図るべき。省エネ関連法との整合性を考えると、原 案の 2,000平方メートルに賛成する。離れたビルを巡回点検、遠方監視により群管理し ているので、例えば、残留塩素の検査を毎日義務づけられると対応が困難。どのような 規模のビルをどのように管理することを求めるのか、具体的に記述されないと意見が言 えない。  その他の意見といたしまして、病院や介護施設などを特定用途に追加することについ て検討が必要。地下街の店舗も対象とすべき。  それから、「その他」の意見でございます。春秋には窓を開けて積極的に外気を取り 入れることで省エネが可能となるが、最近は道路交通騒音が激しいので、窓を十分開け にくいのが現状。省エネの観点からも、「騒音」の項目を追加することを提案する。  建築物環境衛生管理技術者試験は難し過ぎるのでないか。例えば、厨房や食品販売と 一般事務所の管理を区分し、一種、二種というように分けるのも一案ではないか。建築 物衛生法で禁煙(分煙)対策を規定すべき。省エネ目的でビルの屋上緑化が推奨され始 めている。ビルの屋上で植物を育てる場合、農薬等が使用されることがあり、ビルの屋 上からも薬剤を浴びることになる。屋上緑化の際も、農薬等の使用をやめ、害虫等の対 策をきちんと行うようにすべきである。防錆剤の使用は、告示等により配管の布設替え 等が行われるまでの「応急対策」とすることがうたわれているが、内外の使用実績、安 全性の評価等から、「応急対策」の規定を削除していただきたい。水道法、労働安全衛 生法、事務所衛生基準規則等、関連する法律等との整合性を図ってほしい。飲料水の管 理では、建築物衛生法と水道法の両方の規制がかかるビルでは、規制の厳しい建築物衛 生法のみの規制としてほしい。  以上、寄せられた意見を事務局で整理をしたものを紹介させていただきました。 ○吉澤座長  ありがとうございました。大変膨大な内容になってございます。  それからもう一つ、この中には、非常に重大なサゼッスションなどもございますもの ですから、それはまた後で対応したいと思うのですが、まずは報告書をまとめるにあた っての案を事務局のほうでつくっていただいたので、それをまず紹介していただいてか らディスカッションしたいと思います。では、お願いいたします。 ○事務局  資料4でございます。「報告書のとりまとめに向けての論点整理」というペーパーを 用意させていただいてございます。報告書のとりまとめは、次回、第6回目の検討会を 6月の中旬に予定してございますが、そのときまでに事務局のほうでこれまでの意見を まとめる形で報告書のたたき台を準備していきたいと考えておりますが、報告書のとり まとめに向けて、資料2にございます「中間的考え方の整理」、さらに皆様方から寄せ られた意見等も踏まえて、方向性を再度、先生方に御確認いただくために準備したのが 資料4でございます。  今回、いろいろいただいた意見がございますので再度検討が必要な事項を中心に挙げ させていただいてございますが、まず、空気環境の調整についてでございます。浮遊粉 じんの量につきましては、前回の検討会で「 0.1mg以下」に改めるべきとの意見もござ いましたけれども、健康影響についての知見としては、特に室内では、たばこによる粉 じんの発生量が多いということでございますけれども、たばこの害についてはいろいろ 研究も進んでございますが、一酸化炭素、あるいはニコチンの曝露量で健康影響を評価 したデータは多数ございますが、浮遊粉じんの量と健康影響の関係について検討した文 献は必ずしも多くないという状況でございます。従いまして、十分健康影響に関する知 見を収集できるまでは、現行どおり「0.15mg以下」とするのが妥当ではないか。  それから、温度でございます。温度についても、季節ごと、あるいは地域に応じた温 度基準を区別するべきという意見もございますけれども、法律上でなかなか区分するの が難しいという現状がございますので、例えば「18℃以上28℃以下」という範囲の中で 、地域の実情に応じた管理を求めていく。  それから、湿度でございます。湿度についてもさまざまな意見がございますけれども 、現行の「40%以上70%以下」という基準に対して、夏冬の区別は設けずに、一律「35 %以上65%以下」という値にするのはどうかということでございます。  それから、中央管理方式以外の空調設備等の基準について。これにつきましても、現 行では、中央管理方式のものについてのみ環境基準が適用されますけれども、中央管理 方式以外のもの、すなわち個別管理方式のものについても、同様の基準を適用すべきで はないかと考えられます。その場合に、特に今回、意見が多かった部分で、例えば個別 管理の空調設備の場合に、湿度の管理が難しいという意見がございましたけれども、そ ういったところを、同様の管理を求める必要があるかどうかということを意見をいただ ければと考えております。  それから、室内空気汚染の問題でございますけれども、ホルムアルデヒドや揮発性有 機化合物による室内空気汚染を防止するためには、発生源対策と換気が重要でございま す。特殊な発生源が存在しない限り、二酸化炭素濃度が1,000ppm以下になるように換気 量を確保することにより、一般的には化学物質物質の濃度は低下すると考えられてござ いますので、定期的な化学物質濃度の測定は必ずしも必要でないと考えられます。ただ し、建築物の竣工時や大規模な内装変更を行った場合には、ホルムアルデヒドの基準値 を 0.08ppmとして、建築物の利用開始に当たって濃度測定を実施すべきではないか。  それから、給湯水の管理についてでございます。規制の対象は中央式循環式の給湯方 式のものに限定し、飲用その他、これに類する用途、例えば浴用、手洗い、皿洗い、シ ャワー、そういった用途に利用される場合に、飲料水と同じ項目で水質検査を実施する などの維持管理を行うべきではないか。  それから、雑用水の管理でございますが、雑用水も用途に分けて監視する項目を若干 分類する。例えば、水洗便所用水として雑用水を使用する場合には、pHなり、大腸菌 群数、外観、臭気、残留塩素を定期的に測定する。また、散水、水景用水及びこれらに 類する用途に使用する場合は、pHなり、大腸菌群数、外観、臭気、残留塩素に加えて 、濁度を定期的に検査をする。  なお、原水にし尿を含む場合は、安全性の面もございます。最近は、膜処理技術も高 度化してきているという話もございますけれども、安全面を考えて、当面は水洗便所用 水としてのみ使用可能とすべきではないかということを書かせていただいてございます 。  それから、ねずみ、昆虫等の防除について。これも、現行では6か月以内ごとに1回 、定期に、統一的に防除を行いなさいという規定がございますけれども、これを例えば 「1〜2か月以内ごとに1回、生息状況等の調査を行い、その調査の結果、必要に応じ て防除を実施する」と改めるべきではないか。  それから、竣工時の性能検証でございますけれども、空調設備や給排水設備の初期性 能を把握し、日常の維持管理に当たって有用な情報を得るため、竣工時に性能検証を行 うべきではないか。  それから、特定建築物の要件についてでございますが、特定用途以外の用途に供され る部分の延べ面積が特定用途に供される部分の延べ面積の10%を超える建築物について も、特定用途部分を法の対象となる特定建築物とすべきではないか。専ら事務所の用途 に供される特定建築物について、建築物衛生上必要があると認めるときは、保健所等が 立入検査を行うようにすべきではないか。建築物の状況等を踏まえ、特定建築物の延べ 面積要件を引き下げることを検討すべきではないか、といったことをまとめさせていた だいてございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。これは、まさにまだ原案の原案ですから、これをもとにと いうことではありませんが、御討議をお願いしたいと思います。  それでは、御意見のものと、今の論点整理のものを含めまして、これは分量がありま すので、うっかりすると時間をくってしまって、ほかの部分にいけないものですから、 まず空調関係のところに関して、議論をしたらどうかと思うのですが、御意見の概要の 3ページから6ページぐらいのものと、それから論点整理の1番に関して、何か御意見 か御質問ございますでしょうか。 ○池田委員  論点整理の中のハの「相対湿度」ですけれども、40〜70を35〜65に改める根拠のよう なものはどのようなことなんでしょうか。 ○事務局  まず、「中間的考え方の整理」の中では、夏場は35〜60、冬場は40〜60という案を提 示させていただきましたけれども、まず一つ、夏冬を分けるのが困難だということがご ざいます。  それから、カビとかダニの影響を防ぐ観点からは、70%ではこれらの繁殖条件であり 、60%以下であればこれらの生物の繁殖を抑制できるということがございますので、基 準を引き下げるということでございます。 ○池田委員  そちらのほうは構わないと思うんですけれども、40を35と下げるほうが一番問題だと 思いますが。 ○事務局  40から35に下限を引き下げることについてですけれども、夏場については、絶対湿度 で考えると、引き下げることは問題ないという意見が前回までの意見であったところだ と思います。冬場につきましては、現行の40%という基準を満たしていない場合が少な くないという指摘がございます。確かに、微生物、特にインフルエンザウイルス等の影 響を考えますと、40%を維持するのが望ましいというところですけれども、40%が必ず しも遵守できていないという状況を考えますと、逆に35%は必ず守るべき最低ラインで あるという位置づけに変更したほうが、建築物の衛生を確保する観点からは望ましいの ではないかということで提案させていただいたところでございます。 ○池田委員  そうすると、結局、40が守り得ないという現実を踏まえて規制を緩和したというふう に考えてよろしいでしょうか。 ○吉澤座長  40というのは、非常にきっちりとした線だとは限らないんですね。いろいろな議論が あります。資料3の4ページから5ページにかけまして、40%を守るというのは技術的 に非常に難しいというようなこともあります。ですから、そういう意味で、できる限り よい値に近づけようという意味からいきまして、ちょっと切りが悪いですが、35にした のではなかろうかと考えているのですけれども、どうですか。 ○田中(正)委員  湿度40%の根拠となっているのがかなり古い文献ということですが、相対湿度50% 以下ではウイルスの生存率が急激に低下するというのがあり、35%、20%では10時間経 過しても半数以上が生存しているという根拠があるわけです。ただ、それに対する反論 は、この実験自体が再現性が非常に難しいということで、相対湿度の設定というのが、 今現在、もし実験的にやれば再現性があるのかどうかというようなことで疑問を投げか けています。古い実験でも私は非常にいい実験であると思っています。再現性云々の問 題は、今、そういうのは当たり前だからもうやらないということと解釈しています。  生体影響からしますと、私は相対湿度40%は守ってほしいと思います。テクニックの ことで今問題があるということでしょうけれども、それは努力目標としてほしい。そし て、学会で相対湿度の制御可能性の発表もありますので、今後、そうした湿度制御技術 はかなり普及するのではないかと思っております。 ○吉澤座長  いただいた意見をちょっと読んでみましょう。一般にビル用マルチは、湿度の制御を 行っていないことから、40〜60%を達成するというのは困難であるというようなことが 意見としては結構強いわけです。これは私の意見じゃないですよ。そういうふうな意見 が強いわけですね。その辺が1つの課題になってきてはいると思いますけれども。 ○田中(正)委員  皆さんの意見の中にも、1つは、基準値というのと推奨値というのが出されているの で、推奨値というのは、ランクづけるすると、より望ましいということになります。基 準値と推奨値というような2段階の方式のほうがいいのではないかと思います。基準に 対する罰則はありませんので、やはりある程度、基準には根拠が必要と思います。 ○吉澤座長  そうしますと、提案としては40%のほうがいいというふうにおっしゃっているわけで すね。 ○田中(正)委員  どうしても夏冬を一緒にするということでしたら、現行のままで、さらに推奨値を付 するということのほうがよいと思います。 ○吉澤座長  夏冬というか、冷房か暖房か、分け方はいろいろあると思うんです。そういう場合、 御意見はどうでしょうか。 ○田中(正)委員  私は、むしろ夏冬のほうがいいと思います。冬であっても冷房するというようなこと がありますと、人間の健康にとっては、アダプテーション(適応性)があります。だん だん季節順化が起きますので、そういった面からしますと、ある程度、夏冬といったこ とが必要になってくるのではないかと思います。確かに、ビル内で1年じゅう恒温状態 にありますと、そこにずっと住んでいればよろしいんですけれども、外に出る。外気に さらされ、自然環境にということになりますと、人間は外部環境への適応性というのが かなり重要視されるのではないかと思います。 ○吉澤座長  そうしますと、先生の御意見は、夏冬通して40%以上と考えるという御意見ですね。 ○田中(正)委員  夏冬を一緒にするというのでしたらそうなります。 ○吉澤座長  分けたらどうかと。 ○田中(正)委員  温度に関しましても夏冬分けたのでしょうけれども、それが一緒になっています。そ ういう点を注として、夏はこういう数値が望ましい、冬はこういう数値が望ましいとい うことだったらいいと思います。年間を通じ一緒にしますと、従来どおりのことになっ てしまいます。 ○吉澤座長  別に分けなくていいんですよ。変える必要はありませんから。 ○田中(正)委員  私は、プラス推奨値というのを設けてもいいんじゃないかと思います。 ○紀谷委員  私は専門ではないので個々の数値についてはとやかく意見を言う立場ではないですが 、寄せられた意見の中で非常に気になったのは、ビルマルチが省エネの観点から大変導 入されていると。それで、こういうコントロールがしにくいというのを、何やら省エネ を一番の旗頭にして議論されているというところがあって、多少、健康のほうを犠牲に してもいいようなスタンスにすら読めるというところがあって非常に気になったわけで す。ですから、そういうところはやはり技術改善をして、本来、健康影響を尺度として 進める。今言われているような推奨した基準値ぐらいの区分はあってもよろしいでしょ うけれども、やはり望むべき数値というのは守るという方向性は必要じゃないかという 気がいたします。  それからもう一つは、この資料4ですが、1の書き方を見ると、どうも中間のまとめ に比べて大分後退しているような印象があるわけで、やはり寄せられた御意見でも、地 域性とか季節性を導入するということに大変賛同の意見があるわけですね。これは貴重 なことですし、新しい展開ではないかと思うんです。今のような湿度そのものを夏とか 冬とか分けるというところまでやるかどうかはともかくとして、少なくとも、ただし書 きで季節性とか、そういうことについての配慮をするというようなことを書き込むとか 、それから、意見の中で1つ非常に変わっていたのは、外資系企業の問題が出てきてい るわけで、それから、グローバル化というようなことについても対応してほしいという ことがあるわけですが、この辺を一々細かく決めるというのは不可能なので、そういう ところはむしろ管理者の責任の範囲で適宜バリエーションを持たせるようにというぐら いの書き方でいくというようなところはいかがかと思います。 ○吉澤座長  ただいまの問題については、自治体の条例か何かで決めてはどうかという意見が委員 からもあったんですね。ですから、国としての基準はこうだけれども、自治体としては さらに議論するのもどうかという考え方もあります。  それからもう一つは、居住者の責任を課すべきだというかなり強硬な意見があるんで す。確かに、居住者が勝手なことをしてよく守れるわけではないんです。ですから、や はり一番基本は、室内環境の健康的な環境の維持だということにおきまして、それから 、今度は省エネルギーとか、いろいろなことを考えていくべきだというようなスタンス が必要ではないかと私は感じているのですけれども。ちょっとよけいなことを言いまし たが、何かございますか。 ○射場本委員  湿度の下限値が40%というのは、基本的に冬の話がベースになっているわけでござ います。むしろ驚いたのは、蒸発温度を上げた省エネ機器の採用によって、夏に湿度を 下げきれない状況が発生しているという御意見が寄せられていることです。そのような 背景を考えますと、単純に1つの幅を決めてしまうのではなくて、実態に合わせた設定 が必要ではないかと考えます。夏に湿度が下がっていないビルマルチが現実に存在する わけですが、それが問題を引き起こしているのかというと、まったく聞いたことがない 。冬に湿度が低くて、お年寄りや弱者がインフルエンザにかかる方が問題で、現実に表 面化しているわけです。しかし、全く問題が発生しないのに夏の湿度の下限を押さえて いる。逆に言うと、先ほど外資系オフィスの話がでましたが、そこではむしろ積極的に 湿度を下げている。そういう実態があるのに、法律で抑え続けるというのは規制緩和に 逆行しているのでないかという印象を避けられないと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。規制緩和はまた別の機会に。それが前提になってしまうと 面倒くさくなりますので、ここでは、あくまでもいい環境に持っていって、かつ技術的 な可能性を議論していただければいいと思うのですけれども。  このことだけに集中してしまうとまずいのですが、そのほかには関していかがでしょ うか。中央管理方式以外の空調設備の基準、これはどうでしょうか。ビルマルチの場合 だと技術的にできないから、省エネルギーのためにこうしているのだからというような ことで議論が進められることが多いのですが、もちろん、技術的な改善も必要であると いうことを認めておられるわけですね。ですから、湿度にしても、換気にしても、管理 の対象にならないからという形でもって進んできてしまったという可能性があるのでは ないかと思うんです。私個人としては、やはり大事なことは、ちゃんとした換気がされ て、汚染濃度がある程度低くて、適正なる温湿度の状態というのが人の健康のためにい いんだという立場で言って、それでどうなんだというふうに見ていただかないと困るか もしれないなという感じはするんです。いかがでしょうか。 ○事務局  先に、参考資料3について簡単に御紹介させていただきたいといふうに考えてござい ます。  厚生科学研究の中で、単年度で行政上、緊急に対応が必要な研究の課題がある場合に 行う厚生科学特別研究事業というのがございます。この研究費で、今回の制度改正に関 連する項目について、平成13年度に財団法人ビル管理教育センターの取りまとめで研究 を行っていただいてございます。その最終的な報告はまだまとまっていないのですが、 今回、中間的に6つが上がってきてございますので、それを冊子にさせていただいてご ざいます。  まず1つが、冊子の1ページ目をあけていただきますと、本検討会の委員になってい ただいております相澤先生に「建築物の衛生管理に関する研究」ということで、医学面 から、主に建築物の空気環境での問題についてレビューをしていただいてございます。 項目については、「室内環境の健康影響における宿主要因」、「室内空気汚染物質の行 動学的影響」、「シックビルディング症候群について」、「化学物質過敏症について」 「ホルムアルデヒドの健康影響について」、この5つについてまとめていただいてござ います。  それから、2つ目は、東京工業大学の藤井先生に、VOCあるいはホルムアルデヒド の測定方法について検討いただいてございます。  それから、3つ目でございますが、千葉工業大学の小峯先生に、「ビルマルチの維持 管理方法の確立」ということで、ビルマルチ式の空調設備の維持管理についての問題点 の整理と御提言をいただいてございます。  それから、4つ目に、国立公衆衛生院から国立保健医療科学院と名前が変わりました けれども、池田先生に、竣工時の性能検証についての検討を行っていただいてございま す。  それから、別刷りのほうでございますが、5つ目といたしまして、吉田病院名誉院長 で、熊本大学第一内科の前の教授でいらっしゃいました安藤先生に、カビの影響で生じ る過敏性肺炎について、建築物衛生の観点からまとめていただいてございます。  それから、6つ目といたしまして、国立保健医療科学院の朴先生に、自治体で行われ た調査結果の集計分析を行っていただいてございます。  これらの報告は、今回、制度改正に向けての1つの裏づけとなるデータになると考え ますので、本日の参考資料として提示させていただきました。今、座長のほうから御指 摘があったビルマルチの問題につきましては、3つ目の報告にございますように、小峯 先生を中心として検討いただきましたが、湿度の管理が問題がある事例が多い、あるい は、外気の取り入れ・換気に問題のあるケースが見られる、このような問題点が指摘さ れているところでございます。  例えば、報告書の68ページ、69ページの部分で、特に69ページの上のほうでございま すけれども、先ほど話も出てきましたけれども、そもそも冷暖房専用機として開発され たので、湿度の管理が難しいといった問題。あるいは、換気の確保が難しい、されてい ない場合が多いと指摘されています。71ページからは東京都で行われた調査の解析デー タでございますけれども、こういったところから、建築物衛生法での規制が必要と結論 されてございます。 ○吉澤座長  この辺に関してはよろしゅうございますか。  それでは、次の室内空気汚染問題の対応についてですが。 ○池田委員  ここで言うのが適当かどうかわからないんですけれども、今度の新しいビル管理法に はダクトの問題が取り入れられたと思うのですが、どの時点でダクトの清掃をしたらよ いかとか、あるいは、清掃後のダクトのきれいになった具合の評価についてもいずれ言 及されるべきだろうと思われることと、それから、ダクトと空調機というのが分かれて 規制されているのですけれども、本来これは一体化したものなので、その辺に関する空 調機のほうをどう考えるかというようなことも含めて、何らかの論点の1つとして、こ こには入っていないのですが、取り上げていただければと思うのですが、いかがでしょ うか。 ○吉澤座長  その辺はいかがですか。これは骨子でございまして、さらに今後の問題として取り上 げる問題というのが出てくるはずです。ですから、そちらに入れるか、こちらに入れる かわかりませんが、何か大きな課題ではありそうですね。事務局、どうですか。 ○事務局  もし具体的に何かアイデアといいましょうか、こういった方向性で盛り込むべきだと いう案があれば、御指摘いただければと思いますけれども。 ○池田委員  今、そういう意味では厚生科学研究費をいただいて、ダクトの評価については一応の 案がもうすぐ、御提案できるとは思いますが、その場合、どうも私が気になっているの は、ダクトだけ幾ら決めても、空調機のほうで汚染が発生したら、そこから空気が送ら れてくるわけですから、ダクトと空調機を切り離して考えているというのも変な話だな というふうに思っておりますので、その辺になると、その研究だけでは何ともならない ことだったので、その辺は厚生労働省のほうで考えていただきたいことだなと思ってお ります。 ○事務局  ダクトの汚染の問題というのは、微生物の汚染のことでしょうか。 ○池田委員  はい。微生物と粉じんと両方ありますが、主に微生物あたりで評価するというのが一 番のポイントだろうと思います。 ○事務局  微生物の問題につきましては、前回の資料2の「中間的考え方の整理」の中でも記載 がございましたように、ダクトについての情報収集はある程度進んでいますけれども、 空調の本体のほうの微生物汚染についての知見というのはまだまだ不十分なのかなとい うふうに考えられるのではないかと認識してございますので、このあたりも平成14年度 で引き続き研究をやっていただきつつ、今回の厚生科学特別研究の中でも指摘されてい るように、過敏性肺炎と微生物、カビの影響という問題もございますので、そういった ところの研究も引き続きやっていただいて、衛生的な観点から必要があれば、規制に盛 り込んでいくということもあり得るのではないかと考えている次第でございます。 ○池田委員  わかりました。 ○吉澤座長  空調機本体も実は重大問題だけれども、ほとんど資料がないのが実情だと思うんです 。ダクトのほうはかなり蓄積されておりますからね。ですから、やはり課題として、早 く蓄積するということになるのではないかと思います。  それからもう一つ、微生物汚染に関しては、ここでは今触れていませんよね。たしか 最初は課題には触れていたと思うのですが、なかなか難しい問題がありますね。 ○事務局  資料2の9ページですが、今回の資料4は骨子だけを書いていますので、微生物の問 題は、最終的な報告書の中でも資料2に基づいていろいろ書き加える必要があると考え ております。 ○吉澤座長  かなり難しい問題があるんですね。 ○射場本委員  今、池田先生から、ダクトだけではなくて空調機も一緒にやるべきだとのご発言があ りました。データが少ないというの実態かと思いますが、例えば金曜日、冷房が終わり 空調機を止めて帰る。そうすると、空調機のフィンについていた結露水に菌が繁殖して 、月曜日にそれを振りまくということは年中行われているわけでございます。運転方法 をちょっと見直せば改善できることです。そういうのを含めいろいろと調べて頂けると 有り難いと思います。 ○吉澤座長  私もかなり前にやったことがありまして、月曜日の朝、パッと出てくるんですね。だ けど、それはすぐ出切ってしまうという面もありますけど、やはりすごく気にはなって います。物理的に考えて、中はかなりひどいことになっていそうな感じがするので、や はり研究を早く進めていただきたいと思います。  ホルムアルデヒドとか、その点に関してはいかがでしょうか。御意見の中では、たく さんのあらゆるものをやれというようなこともあったのですが。確かに、そういうこと も課題ではありますね。 ○池田委員  これは次の給排水とも絡むのですけれども、坂上先生が研究されておられる排水から 出てくる汚物に基づくガス、そういった問題も、オフィスビルのような場合には問題と なってくると思いますので、その辺のことも何らかの格好で、せっかく今、坂上先生が 研究をなさっていることもありますので、水と空気の両方にまたがる問題として取り扱 っていくべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。 ○吉澤座長  そうですね。しかし、これは今後の問題として考えることになるのでしょうか。 ○事務局  今、知見が得られているのであれば、それに基づいて盛り込んでいくこともあり得る のかなと思いますが。 ○吉澤座長  盛り込まれるようなものがあれば、ぜひとも具体的なものを提案していただきたいと いう感じはしますね。 ○坂上委員  一応、研究は終わっていまして、今、データ整理と追加調査をやっています。池田先 生がおっしゃったのは、排水ガスの中に悪臭とか有害成分ガスが入っているということ で、特に雑排槽、それから汚水槽ともども、幾つか顕著な例が見られております。完璧 な排水管などの管理をやっていれば、そのガスは室内に入ってきません。それから、グ リース阻集器などからも出てきます。清掃が適切に行われない場合、それが室内の空気 に混入してしまうということがあります。もう少し時間をいただいて、今おっしゃるち ゃんとしたデータの蓄積がもう少し進めば、ぜひともまた盛り込んでいただきたい。共 通項として、そういう要望があります。ただ、現状時点では、まだ実績は浅いというこ とでございます。 ○紀谷委員  今の問題というのは、本来、建物の中の排水系統というのは、トラップその他で、そ ういうガスが出ないことを前提に設計されてきているわけで、これで守られていると考 えていいと思うんです。今、坂上さんがおっしゃったように、排水槽とか何とかという ところは確かに問題があるのですけれども、これは機械室の問題で、そこの管理をして いる人たちに対する健康影響とか、そういうレベルの話ですね。これはこれでぜひ改善 する必要がありますけれども、一般の建物の管理としては余り考慮することではない。 それが建物の中に拡散されるような実態があるとすれば、むしろそれが問題だというこ とだと思います。 ○坂上委員  その意見は反対ですね。実は、維持管理がなされていなくて、トラップが破封して、 トイレとか、あるいは厨房に悪臭、有害成分が出ている例がたくさんあります。実例が たくさんございます。そういう意味で、さっき言いましたように、完璧な施工がなされ て、完璧な維持管理がなされれば問題はないですけれども、その完璧性というのは現状 では全く認められませんので、これは大きな影響になります。だから、機械室レベルと か、居室のレベルという話ではないと思います。 ○吉澤座長  これは、居住者側の責任ということに関係してきそうですね。何か先生方の御意見あ りますか。管理者の責任、それからオーナーの責任になっているわけですけれども、居 住者も責任があるから努力しなさいというようなことを入れなさいという意見もあるん ですね。 ○相澤委員  化学物質汚染のこととも関係があるのですが、例えば什器などを入れた場合に、事業 者のほうの責任になってくるので、そういったことも室内空気汚染に、労働安全衛生法 と絡んでくると思うのですけれども、そのあたりとの整合性をつけておいたほうがいい というふうに思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。ほかに何かありますでしょうか。 ○池田委員  1つ御確認したいのですけれども、ここで論点整理の中にあるホルムアルデヒドに関 しまして、「建物の利用開始時に当たって」と書いてあるのですけれども、この「利用 開始時」ということは具体的には建物の竣工時に1回だけやればいいということでしょ うか。そもとも、テナントが変わるごとにやるという意味でしょうか。 ○事務局  竣工時というよりは、実際の使用状況に即した状況で、要するに使用開始、まさに使 われ始めたときをイメージしております。 ○池田委員  例えばリフォームしたら、それは利用開始時ということでしょうか。 ○事務局  内装変更を行った後の使用開始時ということです。 ○池田委員  それはそれでわかるのですが、ホルムアルデヒドだとそれだけでもいいかもしれない ですけれども、もし将来的にほかの多くの化学物質がこの対象に入ってくるとなると、 相澤先生もおっしゃったように、建材から出るものだけでない化学物質も多くあります ので、果して利用開始時だけでいいのかなという心配はちょっとあるような気もするの ですけれども。 ○吉澤座長  そのことは、実は、そういった家具・什器や何かに関しても、発生量のコントロール などもきっと将来出てくるのではないかという感じはしますね。ですから、法律で規制 するかどうかは別として、居住者の責任が非常に大きいということはどこかで言ってお かなければいけないし、そうしてくれないと、これはどうにもならないですよね。あと 、詳しいことは今後決めることだと思いますけれども。  それから、御意見の中で、4ページ目ぐらいのところに、25番の意見の方がおっしゃ っているのですが、「人体に影響がない程度にまで基準値を緩和し」ということが繰り 返し出てきているんですね。これは、では人体に影響がなければいいのかという話にな ると、例えば粉じんとか、二酸化炭素というのは一種の指標値でして、直接の人体への 害とは違うということは、ビル管法ができたときにえらく大騒ぎになったんです。です から、この辺は少し理解していただかないといけないという感じがしますね。  それでは、また後で返ってくることにいたしまして、給排水のほうにいきましょうか 。給排水の部分に関して、何か御質問、御意見があったらどうぞお願いいたします。何 かございますでしょうか。 ○坂上委員  意見の中で、給湯の温度に寄せるものが幾つかございました。55〜60度というところ で、さらに高温のということですね。給湯機器という機器単位で見ればそういうものは たくさんございますし、それから、貯湯槽を使うものもございます。そういう意味で、 範囲が55〜60度と書いているのは、ある種の最低温度という捉え方もできなくもない。 ただし、やけど防止とか、それから高熱の影響とかということを注記した上で、給湯方 式を少し分けて類別してもよいと思います。そういう格好で55〜60度というのが全面に 適用されるのではないでしょうか。 ○吉澤座長  ありがとうございました。それに関して、何か御意見ありますか。要するに、中央式 だけに適用して、個別のにはこういった一律の規制はかけないようにしようということ の提案ですよね。  それでは、ほかに何か御意見ございますか。 ○紀谷委員  今日の論点整理の2ページの一番上の書き方ですけれども、これは今日は非常に簡単 に書いてあると言えばそれまでですけれども、何となくえらく厳しくなるかなというと ころと、このぐらいでいいのかなというところでちょっと迷うところがあるのですが、 これだと全部飲料水と同じレベルで管理するというふうにも読めるわけで、浴用とかシ ャワーとか、確かに同様に吸飲したり、口から入っていく可能性があるというようなこ とも言われていますから、この書き方で基本的にはよろしいんでしょうけれども、最終 のまとめのときには若干気をつけて書くところかなと感じる部分があります。  それからあと、レジオネラの問題というのが大分資料が多くなってきていますので、 そういうことをもう少し配慮するという書き方がよろしいのではないかと思います。こ れは次回にでも、たたき台ができてからで結構ですが。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。 ○事務局  基本的には、資料2の「中間的考え方の整理」でまとめさせていただきましたところ の10ページ、11ページあたりが給湯水の維持管理の基本的な骨格になるのかなというふ うには考えてございますが、前回は、どういった方式のものを規制するのかということ が明確に記載されておりませんでしたが、中央方式の循環式のものに限定すると、そう いったところを付け加える必要があるのかなというふうに考えている次第でございます 。 ○吉澤座長  それでは、先へいきましょうか。では、ねずみ、昆虫関係について御議論をお願いし ます。 ○田中(生)委員  まず論点のほうですが、6か月以内ごとに1回、定期的に云々という文章、これは私 は最初から、ねずみ、昆虫等の対策には不適ではないかということを言っていたのです が、それが1〜2か月以内ごとに1回、生息状況の調査等を行うとなっているのは非常 にいいと思います。ただ、問題になるのは「必要に応じて防除する」というところで、 本来であれば、維持管理基準の設定が必要です。しかし、その根拠になるデータが少な いので、現在はやむを得ないと思いますが、ゼロにするのが目的でないというような内 容のものを1つ加えておかないと、従来と同じように、「必要に応じて」というのがゼ ロを目標にすることになってしまうのではないかと懸念します。  それから、あと、御意見のほうで、特に殺虫剤を使うべきでないという意見が幾つか あります。私は従来から、例えば過敏症なり、アレルギー体質の人に対して影響が全く ないということは言っていないわけですけれども、一方では、例えば蚊にくわれて、そ れが重症化するというような例があるんですね。そういう場合には、やはり急な対策と いうのはどうしても必要です。そこで、使い過ぎを戒めるために、私はIPMという提 案をしているので、その中で発生源対策を中心に進めていくべきだという考え方を一貫 して主張しているわけですから、この辺のところはぜひご理解をいただきたいと思いま す。  中に、カラスとか云々という問題がありますけれども、これは屋内の環境とちょっと 異なる問題なので、問題が出たときに別個に対応していけばいいのかなという気がして います。  それから、毒性のところで、急性毒だけが低いから安全とは限らないという意見が出 ていますが、私は安全と言っているわけではなくて、急性毒性を考えるときには、こう いう考え方で考えたほうがいいという意味で言っています。ただ、過敏症とか何とかと いう問題があるから、やはり殺虫剤を使用するときにはそれなりの配慮は必要だと思い ます。だから、そこは何か文言を入れておく必要はあるかなという気はしていますが、 少なくとも、全く使用しないというのは、私の30〜40年の防除経験から言うと、満足す べき害虫防除は不可能ですね。だから、むしろ使用をセーブして、きちんと適正に使っ ていくという方向のものを盛り込んでおけばいいという気がしています。 ○吉澤座長  ありがとうございました。何かほかに御意見ございませんか。残留があってはいけな いというかなり強い意見もありますが。 ○田中(生)委員  残留処理については、私はエリア化ということを言っているのですけど、例えば、オ フィスビルの中でも事務所だけのところで余り残留処理をするという必要はないわけで す。処理してあると過敏症の人などは非常に影響があるという御意見もありますが、例 えば残留処理したものがすごい勢いで気散するというようなことはないんです。気散す るようなものは残留処理しても意味がないわけですから。残留処理で一番重要なのはゴ キブリですが、そのような処理をしないと、ゴキブリに対して効果的ではありません。 そういう意味で、私は必要な場所には必要な薬量をきちんとまくということが必要だろ うと思いますし、接触する機会の少ない場所であれば、そういう処理ができると思いま す。 ○吉澤座長  ありがとうございました。何か誤解のないような記述が必要な感じがいたしますね。 ○事務局  報告書のまとめの原案では、そのあたりを注意させていただきまして、「必要に応じ て防除」の部分で、防除基準の確立も今後の課題ということで明確にさせていただきた いと思います。  それから、生息状況の調査の頻度ですけれども、前回、先生のほうからは、例えば2 か月以内ごとに1回ということで御指摘いただいたわけですけれども、東京都の場合、 今、1か月ごとに1回の調査ということを指導していらっしゃると思うのですけれども 、そのあたりで1〜2か月ごとに1回という幅を持たせた書き方をしていますが、そこ は1か月がいいのか、2か月がいいのかというのはいかがでしょうか。 ○田中(生)委員  季節によってずいぶん違うと思うんです。夏場などですと、やはり1か月に一遍やら ないと無理だろうという気がしますし、それから、厨房のような場所は、例えばゴキブ リを対象にした場合、外から持ち込まれるケースが強いので、2か月も放っておくと増 えてしまうというケースがあるんですね。だけど、全て1か月に一遍なければいけない というわけでもないので、私は1〜2か月でもいいのではないかと思うのですが。 ○吉澤座長  ありがとうございました。何かほかにございますか。  では、一応先に進んで、また必要に応じて返ってくることにしましょう。  その次は、竣工時の性能検証について。いわゆるコミッショニングについてですが、 これはいかがでしょうか。この御意見の中でも、管理者にはとても責任がもてないとか 、いろいろありまして、やはり完成時に建物をつくるときの責任というものをみてもら わなくてはいけないということは何遍か出てきておりますが。 ○事務局  この課題については、池田先生のほうに研究をやっていただいておりますので、よろ しければ簡単に御紹介をいただければと思います。 ○池田委員  それでは、参考資料3の後ろのほうになるのですけれども、4というところからです 。いわゆる性能検証(コミッショニング)というのは日本では余りなじみのない考え方 です。しかし、これをしっかりやらないと、せっかくいい建物が建っても、それをうま く管理できなかったり、あるいは最初から管理のことを考えていない建物ができたりす るわけです。アメリカではコミッショニング・エンジニアなどという人たちもいて活躍 を始めているという話です。日本の場合は、どちらかというと、省エネルギーの観点か ら建物の性能がきっちり出ていないというような問題があるということで、省エネルギ ーとの関連で空気調和衛生工学会のほうでそういう委員会もあって、一生懸命調べられ ています。しかし、衛生的な環境の確保という観点での検討としては、ビル管理教育セ ンターでは私が1年ぐらいしたものしかありません。その結果、空調システムが有効に 機能していくためには、どうしてもコミッショニングが必要ですが、それをするための 費用というのは、結局、オーナーが負担することになるわけでして、オーナーがそこま でお金を出してまで性能検証をするということに関する理解が得られるかどうかわから ないのが現状です。その辺の重要性を今後にわたって機会があるごとに強調していきた いとは思いますが、私自身も、いわゆる衛生的監視のためのコミッショニングの実態と いうものをよく知っているわけではないので、今、調査を始めているぐらいのところで す。いろいろな問題点を含んでいることなので、将来的に取り組んでいかなければいけ ないことだとは思っています。 ○吉澤座長  ありがとうございました。私も、この辺はかなり前から提案していまして、ビル衛生 管理法における管理者が受け取る建物は、建設側がつくって引き渡すわけです。そのと きに、オーナーが発注したとおりにできているかどうかという確認がなされていないん です。そうしますと、実際に管理する人たちがとんでもない責任を負ってしまうことに なります。ですから、完成検査の中で、在来のように、形というか、大きさといった意 味での完成検査、竣工時とか、登記とか、そういった意味でのこと以外に、性能がある べきであろうということを提案しているんです。なかなか聞いてもらえないのですが、 それは今のコミッショニングということになって出てきているわけですね。  つまり、これはどういうことかといいますと、第三者の機関が発注どおりのものが出 ているかどうかということを確認するという作業をする。そのためには、大体1年か2 年ぐらいかけまして、建設費の3〜4%の費用を払うということになります。これは何 がいいかといいますと、要するに、発注したとおりのものが出ているということをオー ナーが確認できるわけです。ですから、3〜4%にはかえられないということらしいん です。在来のやり方ですと、建設会社に測定させて、それを持ってくるわけですね。も っといいことは、実際につくった状態が居住した状態でどう出るかということが確認で きる。そうしますと、つくる側の人間、設計とか研究を含めまして、そうなるような技 術に進められるわけですね。今までのように、設計と竣工をターゲットにした技術だけ ではなくて、居住するというものの技術体系に変わり得るのではないか、そう考えてい るんです。ですから、やはり一日も早くそんな状態で管理者の側がちゃんとした建物を 受けられるようなシステムをつくってほしいと思います。 ○紀谷委員  今のことは、そのとおり賛成ですが、この意見の中に、建築基準法との絡みをさばい ておいてほしいというような意見があるわけで、これは当然のことで、やはり行政レベ ルとして、そのスタンスは外さないでおいてほしいわけで、コミッショニングというの は、その辺が大変微妙なところかと思います。それと同時に、竣工時や居住開始時にそ ういうことを確かめるということも大事なわけですが、やはり建物を維持管理するため には、それを原点として継続的にチェックしていく、性能チェックしていく、そういう ところが大事なわけで、それの基点としてのコミッショニングというような位置づけが できれば大変よろしいかと思います。  それから、今の池田先生のまとめられたものは、どうもさっと見たところでは空気環 境のコミッショニングだけで、給排水のことは書かれていないようですが、従来、給排 水の大変なウィークポイントだったわけで、世の中のコミッショニングの研究もどうも 空気調和設備ばかりが進んでしまっていて、給排水のほうが遅れているのですが、この 辺もコメントとしてはぜひ入れていっていただきたいというふうに思います。 ○池田委員  わかりました。給排水のことは専門外だったので触れておりませんが、同じようにや っていただければとは思っております。  それで、今、紀谷先生が建築基準法との絡みとおっしゃったんですけれども、最終的 には建物が建つ前の事前協議みたいな感じで、建築の許可が下りる前にビル管理技術者 の方の意見を聞いてもらえるようなシステムを建築基準法に反映させていただけるよう になればと思ってはいるのですけれども、これをさらに進めて。ただ、そこまでは国土 交通省との関連もあるので何とも言えないところですけれども、個人的にはそのような 感想を持ちながら、この研究をやらさせていただきました。 ○吉澤座長  今のお役所間の問題として、ビル衛生管理法ができましたときに大問題が起きました のは、建設省と労働省だったんです。労働省のほうは、要するに事務所というのは労働 環境である、だから厚生省は手を引けというようなことを言ってきたんです。それから 、建設省のほうは、それまでありました状態規定、要するに建物というのは、例えば強 度がなくてはいけないですね。柱を切ったら建築基準法違反になるのですが、そういう のを状態規定と言いますが、それさえも取り払いたい。それはなぜかというと、面倒を みれないんです、建築主事しかみれないわけですから、全国に人はいないわけですね。 そういったことからビル管法ができまして、実はビルのほうが侵食されたという感覚を 持ったんでしょうか、いろいろそんなことでゴタゴタがありました。  ですから、今のビル管法のことも、ビル管法の環境条件が守れるような建物をつくり なさいということは入っています。それで入れているわけです。つながっているんです ね。だから、ビル管法の条件が守れるかどうかという判定とか予測が例えば保健所長が できれば、それは建築基準法上それは入ってくるということになっているようですね。 だけど、いずれにしろ、この問題はお役所のほうでケリをつけてくれなくては困るわけ ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 ○射場本委員  性能検証については竣工時のことだけをお書きになっておられます。国土交通省が作 られるのならそうでしょうが、ビル管法の場合、建物運営時のデータをお持ちになるわ けですから、建物が使われた後のある時期にリ・コミッショニングをやる。そこまで、 ぜひ踏み込んで頂きたいと思うわけです。 ○吉澤座長  そうですね。意見の中に、情報公開しろというのがあるんですね。情報公開というの もやはり今後の課題かもしれないなという感じはしています。リ・コミッショニングな ども含めまして、建物を建てる前から建った後までうまくつながるように持っていって ほしい。これは多分、居住者のためになるのだろうと思います。  では、性能検証に関しましてはこのぐらいでよろしゅうございますか。 ○事務局  俗に建築基準法と建築物衛生法(ビル管理法)との関係ということでよく言われるの が、建築基準法は設備、すなわちハード面の規制をする。一方、建築物衛生法(ビル管 理法)のほうは維持管理、すなわちソフト面の規制をする、そういう仕分けで言われる ことがあるのですけれども、確かに建物が建った後の維持管理に入る段階の規制をどう いうふうに考えるかというのは、法律の体系上、微妙なところもあるかとは思いますけ れども、本日の意見等も踏まえまして、国土交通省の建築基準法の部局とも十分相談を しながら検討していきたいと考えております。 ○吉澤座長  それでは、先へ進みましょう。特定建築物の要件に関することです。 ○石塚委員  5のところで、(1)と(2)はよろしいと思うのですが、(3)のところでちょっと表現が 「検討するべきではないか」と1つトーンが下がっているのですけれども、皆さんの意 見を見ますと、9ページのところですが、いわゆる賛成が多い。○で言うと、1つ目と 3つ目と4つ目が賛成ということで、2つ目の場合は、これは建築物環境衛生管理技術 者の数の問題ということですから、これは厚生労働省の中で行政的に対応できるのでは ないかと思いますし、それから、5つ目につきましては、資料2で緩和規定もあります ので、そういう意味で対応できるというように読むことができるのではないかと思いま す。そういう意味で、かなりの方が賛成しているとも読めるわけですので、表現は、今 日はたたき台なわけですけれども、次回出るときはもう少しきちんとした格好で出てい ればと思いますが、どうでしょうか。 ○吉澤座長  何かございますか。 ○事務局  延べ面積の要件の部分も、確かにできるだけ広げていったほうが望ましいということ はあると思うのですが、一方でいたずらに規制強化にならないということに対する配慮 も同時にある程度必要なのかなと考えております。中小規模の建築物では、体系的な維 持管理の実行可能性ということも問題になってくるでしょうし、一般的な印象として、 面積が低いほうが維持管理に問題がある場合が多いという指摘はございますけれども、 必ずしも客観的データが十分に得られているわけではございませんので、そこは今後引 き続き調査研究を行いつつ、データの蓄積を進め、特定建築物の面積要件についての検 討を進めていきたいというふうに考えている次第でございます。 ○石塚委員  先ほど一番最初に基準値と推定値の話も出たのですけれども、そういう形で厚生労働 省の基準値として規模を下げるということはまだ時期が早いですよと。例えば推奨値と いうような形で、世の中でやっているところももちろんあるわけで、そういう人たちを バックアップするというようなやり方でまず一段階踏んで、データが出てきたら基準値 に変えていくというようなやり方はあるかと思いますけれども、どうでしょう。 ○吉澤座長  それから、病院、介護施設などにも広げるべきだとか、地下街なども広げるべきだと いう議論がありましたよね。 ○事務局  例えば病院ですとか老人の施設というのは、医療法なり、あるいは介護保険法とか、 そういう個別法の中で施設の管理もやっていくというのが原則となっておりまして、用 途に応じて維持管理のやり方も若干異なっている部分もあるというふうに考えられます ので、一般的な建物を対象とした建築物衛生法の基準をそのまま特殊な用途の建築物に 適用できるのかどうかということについての検討が必要かと思われますけれども、その あたりは調査を行いつつ、それぞれの施設を所管する部局なり、省庁なりとも協力しな がら対応を進めていきたいと考えている次第でございます。 ○吉澤座長  病院などでも、それなりにちゃんとした法律があってやっているはずですけれども、 もう少しビル管法的な見方を入れてもいいのではないかという意見が学会などで話があ りますよね。それは意見として。  それからもう一つ、専ら事務所の用途に供する特定建築物について、これは基準値が 違うわけですよね。これは、せっかく労働省が厚生省と一緒になったのだから一緒にし たらどうかという議論がありますが、いかがでしょうか。 ○事務局  労働安全衛生法に基づいて、事務所衛生基準規則という省令がございますけれども、 その基準と建築物衛生法の基準は 100%一緒ではないですけれども、多くの項目で同じ 基準になっているのかなというふうに思われます。先ほど相澤先生のほうからもござい ましたけれども、事務所衛生基準規則の所管部局ともこの問題については十分連携をと りながら対応を進めていきたいと考えております。 ○吉澤座長  わかりました。ただ、基準値はかなり違いますよ。例えば炭酸ガスは、こっちは1,000 ppm、向こうは5,000ppmですよ。これは吹出口で 1,000としているんです。多分、その 辺の矛盾に担当の方々が大変苦しまれて、吹出口の濃度と逃げてしまったのではないか と思うんです。ですから、要するに、部屋の中では炭酸ガス等は5,000ppmとか、粉じん は幾らということになっているんです。だから、やはりちょっとおかしいんじゃないか というのは見た人は気がつくと思うんです。ですから、労働環境としての事務所と、一 般環境としての事務所が違うというのは、何かちょっと矛盾しているなという感じは私 自身もしていたんですけれども、この辺はどうしたらいいか。お役所のほうの立場があ るのかもしれませんが、どうしたらいいんでしょうね。 ○相澤委員  中央管理方式の空調設備があるところと、ないところというふうにたしか事務所則は 分けておりまして、空調のあるところは、たしかビル管と同じ基準があったと思うので すが。 ○吉澤座長  吹出口でしょう。 ○相澤委員  はい。 ○吉澤座長  吹出口の濃度です。ですから、部屋の中でどんどん上げてもいいわけですよね。それ はちょっとおかしいという感じはある。つまり考え方が、労働衛生のほうでは、炭酸ガ スが主要な汚染発生源であって、それが生体に直接害を与えるようなレベルのものがあ るかないかが決め手ですよね。だから、もしも事務所のようにそういうものがなければ 、ビル管法の値を使ってもいいのではないかという感じがしているんです。これは立場 によってなかなか難しい面があるかもしれませんけれども。だから、これは、ここに議 論がありますように、制度的な変更を行う。これは保健所が立ち入る問題をおっしゃっ ていますけれども、基準値自体も同じにしたほうがいいのではないかという感じがする のですが。労働衛生をやっている方はどう考えるかとか、また別の問題がいろいろある かもしれません。私の知らないことがあるかもしれません。これは、なかなか結論が出 ないと思いますが。  それでは、一応全部の項目は走ったのですが、またもとに戻りまして何か。 ○石塚委員  その他の項目に入ってしまっていると思うのですが、皆さんの意見の5の清掃のとこ ろが今日の議論ではその他で扱うことになっていると思いますので、ちょっとそこで意 見を述べさせていただきたいと思います。  資料3の7ページの真ん中辺に「清掃について」という部分があるわけですが、2つ に分かれておりまして、まず「汚物」については「廃棄物」の用語を用いるという話が 出ておりますので、これはぜひそういう形にしていただきたいと思います。  それから、廃棄物保管設備等の維持管理について意見が2つほど出ているわけですけ れども、上のほうの意見ですが、これはもちろん重複とか関連について確認が必要だと いうことで、これは行政レベルで必要だろうと思いますが、いわゆるリサイクル関係法 というのは建物から出した後の規制になるわけでして、建物としてのフォローとしては 、やはりビル管法しかないわけですので、建物としてそれを担保するというか、実現化 に対する対応としてぜひ必要ではないかと思います。そういう意味で、ほかの法律との 調整はぜひお願いをしたいと思っています。  それから、2つ目の意見ですが、これは精神的にはそうなのかもしれませんけれども 、ごみだから早く出したいということなのかもしれませんが、一括廃棄はもちろんでき ない時代に入っておりますので、ここでは分別というのが前提になっています。もちろ ん保管というのは保管するためであるわけじゃないのですが、分類した段階で一時貯留 するという意味の保管ですので、これは積極的な反対ではないと思っておりますので、 これをぜひ次回入れていただきたいと思っております。 ○吉澤座長  ありがとうございました。その他の中で、まだほかに騒音の問題があるんですね。騒 音を入れろとおっしゃっているわけです。どうしましょう。 ○射場本委員  これはなかなか手ごわいですね。 ○吉澤座長  やはり今まで何十年間かやっていたのと、やっていないのでは大分違いますね。窓を 開けたほうがいい場合があるけれども、騒音が激しくてできないから、そういった意味 で騒音の規制をしなさいとか、そういったことを含めて言っているんですね。ですから 、必ずしも音だけの問題ではなくて、空気環境とか何かの問題を含めておっしゃってい る方もおられるわけです。 ○事務局  騒音については、最近、ほとんどデータがございませんので、また必要に応じて調査 研究を今後の課題として上げさせていただくということでいかがでしょうか。 ○吉澤座長  そんなことでよろしいですか。  あとは、建築物環境衛生管理技術者の試験が難し過ぎるので、これを一種、二種に分 けて、もっとたくさん合格させてくださいという意見もありました。これはちょっとこ この話とは違うでしょうか。でも、そういう希望があるということをお書きになってい ただきたいと思いますが。今、試験の合格率はたしか2割ぐらいでしたか。 ○事務局  そうですね。 ○紀谷委員  2割をちょっと超えていますけれども、少し検討させていただきます。  それから、意見書の10ページですけれども、2つ目の○で、私が発言したことに対す る意見なので責任があるものですから。防錆剤の使用ということが従来、応急対策とい う格好で処理されているということもあって、これを外してほしいという御意見があっ て、私もいろいろと資料等を伺いましたけれども、この辺も次回以降、もう少し検討し たらよろしいかと思います。 ○事務局  防錆剤の問題につきましては、参考資料2の17ページ、あるいは18ページ以降に記載 がございまます。参考資料2の18ページをご覧下さい。これは、昭和61年に事務連絡で 出させていただいたものですけれども、給水用防錆剤管理委員会が昭和60年に設置され ておりまして、61年の2月に報告書が取りまとめられております。その委員会では、防 錆剤使用の安全性、有効性等について広く検討が行われたわけでございますが、参考資 料2の23ページの部分に「使用の在り方」ということで、使用基準では給水用防錆剤の 使用を「恒久対策が行われるまでの応急対策」と位置づけているということが記載され てございます。防錆剤は錆止め、赤水の発生を予防するために有効であるということで すけれども、最終的には管の布設替え等の恒久対策を行うこととし、その過程を恒久対 策が行われるまでの応急対策という位置づけが適当である、ということが昭和61年の報 告書でうたわれております。  そのときの委員の名簿が27ページにございますが、この検討会の委員でもある眞柄先 生がちょうど入っておられまして、本日は御欠席ですけれども、事前にお話を伺いまし たら、この報告書が出されてから10年ほどたっていますけれども、基本的にこの検討会 の報告書の考え方を踏襲していいのではないかということを聞いておりますけれども、 先生方からも御意見をいただければというふうに考えております。 ○吉澤座長  これに関して、何か御意見ございますでしょうか。 ○事務局  ほかにも前回までにもいろいろ意見が出てきたのですけれども、最近、水処理に微生 物汚染の防止、あるいは防錆剤などもそうでしょうけれども、さまざま化学物質、ある いは物理的な処理技術というのが出てきていますけれども、そういったものの安全性、 あるいは有効性については十分検証されていない場合も多いという実態もございますの で、そういったところも今後の課題として挙げさせていただけたらいいのかなというふ うに考えておりますが、いかがでしょうか。 ○小田委員  私、行政でございますので研究しているわけではないんですけれども、私の考えは、 給水管につきましては、恒久対策といたしましては管の全面的な布設替え、それから、 中を削り取って樹脂でライニングする管更生の方法、これが一般的に恒久対策と言われ ています。次に応急対策としては、防錆剤を使用したり、あるいは電磁波ですとか、電 気を使ったり、脱酸素とかの方法を言っていると思います。それで、私は飲み水には何 も入っていないのが基本と考えています。言ってみれば、日本の水道には塩素だけがや むなくというか、必要として入っている訳です。そういう趣旨から、短い期間、恒久措 置がとれるまでという考えでよろしいと思っております。 ○吉澤座長  よろしゅうございますか。何かほかに全体として御意見は。 ○田中(正)委員  禁煙(分煙)対策ですけれども、これは粉じんのほうにも関係することです。この辺 も少し考えたほうがいいと思います。 ○吉澤座長  何か意見がありますか。 ○事務局  分煙の問題は、ちょうど今、国会のほうで健康増進法という法案が審議されておりま して、その法案の中でも分煙対策について盛り込まれておりますけれども、そういった ところとの整合性も見つつ、分煙の規定についても考えていきたいと思っております。 何か具体的な意見がございましたら出していただければと思いますけれども。 ○池田委員  その件に関しましては、厚生労働省の労働部局のほうで、内山先生を座長にして職場 における分煙の検討会というのが1年以上前にあって、それがいまだに報告書を出して いないようですが、そちらのほうとの御連絡も図って、同じ厚生労働省として出してい ただければと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。 ○田中(節)委員  その他の中に、直接、特定建築物の法律には係わらないものがあると思うのですが、1 0ページですけれども、これからまた新しいビルを建てるときには緑化の問題が非常に 出てくるということで、建物の上に植物を植える。それで、農薬を使うというような話 も1つ出てきていますけれども、実際上はこれは法律上の問題とはちょっと異質なもの ですが、これと併せて、例えば先ほど排水の問題についても、そのビルから出されるも のが外にどういう影響を与えるかとか、悪臭の問題、それからまた、廃棄物の問題も、 周りの環境についてどういう影響を与えるかということについても、そういう意味で特 定建築物とはなじまないかもわかりませんけれども、何らかの格好で書けるものでした らというふうに感じました。 ○吉澤座長  ありがとうございました。これは、報告書の中で具体的な提言に入らなくても、将来 の課題として指摘するということは大事ですね。どうなるかわかりませんが。  まだお時間が多少ございますので、ほかに何かございますか。 ○田中(生)委員  追加でいいですか。また誤解を生むといけないのでちょっと殺虫剤のことに触れてお きたいのですが、先ほど環境対策だけではいなくならないから、殺虫剤はやはり残して おいたほうがいいと言ったのは、まず殺虫剤でやりなさいということではなくて、殺虫 剤を防除の1つのツールとして残しておいてほしいということをお話ししたので、こう いう中では、殺虫剤は万能でないという認識をきちんと持たせることが必要だと思いま す。そういう意味です。 ○吉澤座長  ありがとうございました。ほかにございますか。 ○田中(正)委員  空気環境のところに人体影響というようなことがありました。人体に影響が出ない程 度ということですけれども、これにつきましては、当然、安全性ということがあり健康 面があります。それに、快・不快といった心理的な面がありますので、かなりグレード が違ってくると思います。ですから、一概に人体に影響が出ない程度にまでと一からげ にできないのではないかと思います。 ○吉澤座長  このことは、先ほど申し上げましたように、これはやはりちょっと誤解だろうと思っ ています。一般環境では、ここに上げられてきます汚染物質は指標でして、そのものズ バリが単独で生体に害を与えるか否かという値ではないんです。ビル管法ができました ときに、それは非常に大きな誤解がございまして、私の先生などからも、ビル管法とい うのは悪法であると言われまして、炭酸ガスなどは1,000ppmより高くしろと言われたこ とがあるんですけれども、それはやはり意味が違うということだと思いますね。その辺 の理解というのはやはりしていただかないといけないという感じがいたします。  今の近いところで、一酸化炭素の含有率のことに関して大幅緩和ということですが、 開放型燃焼器具の使用に関して言及すべきであるという御意見がございまして、実はビ ル衛生管理法ができましたときの政令の検討の中で、開放型燃焼器具の禁止の議論が出 たんです。だけど、その当時はまだ例えばFF型とか、そういったものはなかったもの ですから、禁止してしまうと一般庶民が大変に困ってしまうというようなことで落ちて しまったんです。ですから、本来、一酸化炭素や炭酸ガスをこのレベルでおさめようと しますと、これ以外にまた窒素酸化物などもいろいろありますよね。開放型の機械を使 ったら、これは全然守れないわけです。大体1,000ppmは5分ぐらいで超えてしまいます からね。そういう意味で、本当は禁止すべきものだと思いますね。このビル衛生管理法 の中でそれを禁止することがなじむかどうかちょっとわかりませんが、やはり基準値を 守るのは不可能だという感じがしますね。その頃は、いわゆるストーブしかなかった時 代ですので、あれをやめろと言ったら大事になってしまったわけですけれども、今はち ょっと違うという感じがします。 ○紀谷委員  逆に現状では、禁止しなくても使わないんじゃないですか。 ○吉澤座長  ただ、外国に輸出されたりすると思うんです。そういうことがありまして、まだ国に よってはそういったことがあって使っていますし。  測定頻度を減らせという中には、さっきも出てきましたけれども、継続的な測定の値 があって、それをちゃんとクリアしていれば測定の回数を減らすべきという意見があり ましたね。そのことも1つの手だと思いますけれども、ダイナミックにして、測定値が あればいいというものではないという感じもします。ただ、ねらいは住んでいる人の健 康ですから、それを一番大事に考えないといけないという感じがしますね。  そうしますと、大体議論も尽きたようですので、その他というのがありますが、これ は何かございますか。 ○事務局  次回のスケジュールとも関係しますけれども、次回6月14日に予定しております第6 回目の会議を最終報告書を取りまとめる1つの目安に考えておりますけれども、それま でに事務局のほうで報告書案のたたき台を作成したいと考えてございます。報告書の取 りまとめ方でございますけれども、1つには、医学的な側面からシックビルディング症 候群、あるいはビル関連病と言われるものを整理して、そういったところを踏まえて、 建築物衛生管理基準の見直しについてのあり方として、これまでの意見で合意を得られ た部分については提言的なものを書かせていただく。まだまだ研究が必要である、対策 を進めるに当たって今後の調査研究が必要な部分については、今後の課題ということで まとめていく。そういった書き方でとりあえずたたき台をつくらせていただこうと考え ておりますけれども、よろしいでしょうか。 ○吉澤座長  いかがでしょうか。もし何か追加御意見でもあれば、これに間に合うようにあらかじ め出しておいていただくといいですね。それから、ただ意見ではなくて、それが組み込 めるような代案という形で出していただけますと組み込みやすくなりますので、その辺 もひとつ御協力をお願いしたいと思います。  今日はこれでおしまいでよろしいですか。では、貴重な御意見をいただきまして、あ りがとうございました。 ○事務局  どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省健康局生活衛生課 林(2434)、小林(2432)