02/05/13 社会保障審議会 第9回介護給付費分科会議事録          社会保障審議会 第9回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所   平成14年5月13日(月) 17時から19時   霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム 2 出席委員   西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、   田中(雅)、中村、橋本、樋口、堀江、村上、矢野、山口、山崎、山本の各委員   新井参考人   岡、澄田の各委員は欠席 3 議題   介護報酬について(訪問介護、居宅介護支援)   ○ 資料1に沿って、訪問介護、居宅介護支援の報酬体系の見直し案等について、    福本企画官より説明。   ○ 「介護報酬に関する意見(全国市長会)」について、喜多委員より説明。 (喜多委員)  保険料等の財源のゆがみをそのままにして費用のみを見直すのはいかがなものか。調 整交付金が5%以下であるか以上であるかによって、同じ1号被保険者でも保険料の負 担割合が17%以上と以下になっており、不公正である。  訪問介護の類型について、市長会の86市のアンケートでは、2類型が40%、1類型が 26%と意見が分かれているが、当面分かりやすいという観点から、2類型にしてはどう かと考えている。ただし、金額については十分な精査が必要。  3級ヘルパーについては、社会的に役に立とうという方も大勢いるので、現行の制度 をこのまま続けてもう少し見守る必要がある。  介護タクシーについては、タクシーがサービスするのは当然であり、制度を変える必 要はないと思う。実際には連続性のある介護の効率性を認める必要があるとしても、外 出支援サービスとの競合関係はどうなるのか。市町村にとっては2つの制度があるのは ややこしいので、どちらかをやめた方がすっきりするのではないか。見直し案につい て、市町村の意見を聞くことになっているが、市町村が必要ないと判断した場合に、周 りの市町村でやっているのに指定しないということができるのか。事業者の指定は都道 府県の事務であり、制度として曖昧ではないか。  居宅介護支援の類型についても、市長会の調査では、一本化が41%、現行通りが37% と議論が分かれているが、一本化を前提に必要な加算を新設するのが分かりやすいので はないか。 (山本委員)  「介護保険制度に関する緊急要望(全国町村会)」に沿って、居宅介護の推進、施設 を中心とした介護報酬の引き下げ、訪問介護の類型の一本化、介護タクシーの制度外 化、おむつ代を包括した介護報酬の維持、新型特別養護老人ホームのホテルコスト徴収 に係る低所得者への配慮、住宅改修理由書作成費用の報酬設定、介護療養型医療施設の 看護6:1・介護3:1の人員配置の経過期限後の廃止、介護基盤整備への十分な財政措置、 療養病床全ての医療保険適用、事業者指定に当たっての町村との協議、事務費の2分の 1を確実に補填すること、家族介護に対する評価、保険料6段階制の周知、低所得者に 対する特別の措置、制度発足前の予測により赤字を計上した市町村に対しては特別の財 政補填を行うこと、調整交付金を25%の外枠化すること、財政安定化基金の償還期間を 延長すること、グループホーム等に住所地特例を適用すること、などについて迅速かつ 適切な措置を講じられたい。 (橋本委員)  支給限度額、居宅介護支援の体制、ホテルコスト等、制度そのものに関連して整合性 のある検討が必要な問題が多いので、不用意な小手先の報酬の見直しはやめた方がいい というのが基本的な考え方。  訪問介護については、家事援助がなければ在宅ケアは成り立たない。2類型が適当で あるが、「身体介護」の名称は痴呆の方に対する配慮がないので、「心身介護」又は 「介護」でいいのではないか。生活支援について、要支援の方の家事援助や通院・外出 介助は見直し案の通りでいいが、痴呆の方の見守りについては生活支援ではないと思 う。  住民同士の支え合いは3級ヘルパーでもいいが、専門職により担われるべき介護保険 の報酬の対象にするのはやめたい。3級の方も1%いるので、あと2年ぐらいは猶予期 間が必要かもしれないが、事業者のステップアップの努力次第であるから、10%減算で もいいのではないか。 (樋口委員)  今回の改定の基本的態度は簡素・明快・公正であり、複雑にすることにより素人に分 かりにくくなって、住民参画の精神が生かされなくなり、かつ、事務費がかさむことに は絶対反対。  訪問介護の類型については、かつては、家事援助を介護から切り離せるという意見に 対する反論として、一本化を提言していたが、今回は、多少単純明快化するということ で、2類型に一応賛成。  ヘルパーの講習費用は、東京都では1級が15〜20万円、2級が7〜10万円、3級が5〜 6万円ということであるが、このようなステップアップ費用は事業者と個人のどちらが 負担しているのか。医師や看護師のような国家的養成機関が介護にはないことが問題で あるが、ステップアップ費用は誰が負担すべきものと考えているのか。 (木倉振興課長)  訪問介護員の養成に係る国の補助の体系は、離島や山間僻地等における数の確保に対 する国庫補助と、技術を高めていくためのテーマ別研修やサービス提供責任者等の資質 向上のための研修に対する国庫補助があるが、基本的には事業者が養成も実施している のが現状。 (堀江委員)  訪問介護の類型について、2類型案はやってみる価値がある。要件整理はきちんとさ れているし、実体的にも2つに区分できる上、事務処理も簡素化できる。ただし、報酬 単価の引き上げが利用者1割負担があるために利用度へ与える影響をチェックしてほし い。事業者の経営状況が赤字だから報酬を見直すというのは本来の議論ではないので、 単価の引き上げにより訪問介護の利用が一層低下して、施設指向がますます強まること がないようにしてほしい。  3級ヘルパーについては、今回の見直し案で当面続行すべき。子育てを終えた主婦が 地域におけるヘルパーの供給源の中心となっているのが現実なので、3級と2級の差は 1日数時間の実習時間の差であるから、3級ヘルパーが実践を重ねて、その経験時間を 基に進級できるようなシステムをつくるべきではないか。  介護タクシーについては見直し案の考え方に賛成であるが、介護タクシーが存在しな い地域で同様のサービスを提供した場合に同じ単価が算定されないとおかしいのではな いか、という点について整理してほしい。 (中村委員)  今回の改定は単純明快化が大切なので、訪問介護は2類型、居宅介護支援は一本化と いう流れがよい。ただし、身体介護と生活支援の中身を精査して、その中身に立脚した 報酬設定をしていただきたい。同時に、様々な在宅サービスについても中身を精査しな がらバランスを欠かないような報酬設定をお願いしたい。そして、すべてに平易でシン プルということをお願いしたい。 (田中(雅)委員)  訪問介護の類型については、現在の複雑なコードを改善することは事務の簡素化につ ながり、利用者にとっても分かりやすいものとなるので、一本化がよいのではないか。 資料1の3ページのデータによると、身体介護に分類される排泄介助、食事介助、清拭 ・部分浴、全身浴等は家事援助においても若干は行われているし、家事援助に分類され る調理、清掃等は身体介護においても現に行われている。在宅サービスはあくまでも一 連のもので、身体介護と家事援助はつながっているので、パッケージとしてサービスを 提供した方がサービス内容を利用者に分かりやすく説明できるし、自立支援や在宅シフ トがより定着する。  サービスの質の確保について、現状の直行直帰のホームヘルパーの雇用形態では事業 者がいかに努力しても困難であり、介護関係者の給与等のデータを見てもホームヘルパ ーの処遇改善は不可欠。その上で、痴呆性高齢者の方に対する訪問介護についての加算 を検討すべきではないか。  3級ヘルパーの報酬減額に関連して、要介護者の在宅サービスを支える上で不可欠と 言われる家族、地域住民、NPO等によるインフォーマルサービスを、保険対象サービス として考えることもできるのではないか。  訪問介護の類型の2類型案について、自立支援のための見守り的援助は、介護に関す る自立支援の指導や助言も含まれ、高度な専門性が求められるものであり、単に時間が 長くかかるということで生活支援に移行した意図はどこにあるのか。  現在の在宅サービスが国民の皆様にとって満足いくものではないために施設指向が強 くなっている面もあるので、訪問介護の報酬を高めに設定することによってむしろ在宅 指向が進のではないか。 (福本企画官)  2類型案における自立支援のための見守り的援助については、現在身体介護として考 えている見守り的援助の概念は変えずに、そのまま生活支援に持ってくるということ。 家事援助を生活支援と名称を改め、単価を高くすることと併せて、身体介護の内容を精 査し、時間が長くなる見守り的援助や通院・外出介助については、支給限度額や一部負 担金の関係で利用者にとって利用しやすくなるように、生活支援に移してはどうかとい うのが提案理由。 (村上委員)  介護保険スタート前から、保険料や利用料が負担できない低所得者の対策をきちんと しておかないと、様々な問題が出てきた保険制度が維持できないと言ってきた。現在で も保険料等を負担できない人はたくさんいて、自治体もかなり特別措置で減免している が、介護保険導入前の措置制度において相当部分を国費で見ていたように、社会福祉の 問題として国がきちんとフォローする体制をつくらないと、介護保険制度は持続しな い。また、基盤整備についても、施設整備が遅れていることによって、在宅中心が進ま ないという側面もある。  訪問介護の類型については、本来は一本化がいいが、介護技術の水準を上げていく段 階であり、家事援助の単価を3割近く上げることを前提に、2類型にするのがいいので はないか。高齢者の外出時の転倒を防ぐためにも、通院・外出介助を身体介護から外す のは反対。痴呆の方に対する見守りについても、身体介護でいいのではないか。  3級ヘルパーについては、介護報酬を受け取るプロとしてはきちんと整理すべきであ り、若干の猶予期間は必要かもしれないが、それも「当分の間」では准看護師と同じよ うになりかねないので、年限をきちんと切るべき。その代わり、キャリアアップの仕方 について、現場経験をもう少し加味するなどの改善をすべき。  居宅介護支援については、ケアマネジャーが勤務先事業所の事業を考えてケアプラン をつくってしまうことが問題であるので、兼務禁止とまでは言わないが、独立を基本と して、独立できるくらいに報酬単価を上げるべき。類型については現行通り3類型でい いが、格差は縮めるべき。 (田中(滋)委員)  介護保険の長期存続のためには質に対する信頼感が必要。現在は家事援助の報酬が低 く分かりにくいので、2類型化には賛成であり、「生活支援」の名称も結構かと思う。 しかし、質の確保のために介護福祉士や1級、2級ヘルパーの方が頑張っている時に、 なぜ身体介護の単価を現行より下げるのか分からない。現行の身体介護の単価の水準で 保つべき。財政は保険制度の目的ではなくあくまで制約条件であるが、一本化すると身 体介護の単価は3割以上下がらないと財政調整が取れないので、身体介護を引き下げる ことなく、家事援助と複合型の間で調整して全体のバランスを取ればいいのではないか 。要支援の方は介護予防のために家事援助を多く使っているが、支給限度額が低いので 利用量が減らないように何らかの配慮が必要。  3級ヘルパーについては、できるだけ速やかに介護保険給付の対象からは外すべきで あり、そのシグナルとして、すべての類型について5%あるいは10%減算してもいいの ではないか。 (京極委員)  現実的な観点として、利用者に分かりやすい、担い手が報われる、事業者が損をしな い、市町村が事務的にやりやすい、という4つの要件が必要。  訪問介護の類型については、C案のように一本化して要介護度別の報酬設定とするの が理想的ではあるが、現実的には2類型のB案がいい。特に、生活支援について、身体 介護の要素を若干加味して単価を引き上げるというのは、非常にいい制度である。「身 体介護」の名称については、従来と混乱するので新しい解釈が必要かと思う。財政的な パイを大きくしないことを前提として現実的に考えれば、家事援助の単価を上げれば、 その分身体介護の単価が下がることとなる。  3級ヘルパーについて、生活支援については減算で対応すればいいが、身体介護につ いては原則2級以上と割り切るべきではないか。ただし、離島、山村等については原則 から除外することとする。また、試験を受ければ介護福祉士という道があるわけである から、将来的には施設と同様に、在宅においても介護福祉士の資格をきちんと報酬で評 価すべきではないか。 (矢野委員)  介護保険財政の健全性を保つことが大事。厳しい経済・雇用情勢や少子高齢化といっ た環境条件下では保険料の引き上げができないことを前提として、どうすれば現在の制 度をよくできるかを議論することが必要であり、安易な報酬の引き上げはできない。  訪問介護の類型については、分かりやすさを含め2類型がいい。ただし、それでも現 行の複合型のように身体介護と生活支援の区別が困難なところは残るので、利用者が納 得できる運用が必要。また、単価設定について、身体介護を少し下げて、生活支援を大 幅に上げたら財政は破綻するので、十分な考慮が必要。1類型案については、現在の段 階では問題が多い。  3級ヘルパーについては、位置づけを明確にし、存続するにしても妥当な幅の減額は やむを得ない。1級、2級、3級を含め、どうすれば質の向上を図れるかが大事。  介護タクシーについては、1回ごとに包括的に報酬を設定するのは賛成であるが、提 供されるサービスは比較的専門性を必要としないものと考えられるので、現行の身体介 護よりも低い単価水準とすることが適当。また、1人の要介護者に対して1台のタク シーという考え方だけでなく、乗り合い介護タクシーもあってもいいのではないか。そ うすれば、単価が低くても事業者は収入が増え、利用者もタクシー運賃を分担して負担 できる。  居宅介護支援については、ケアマネジャーから見た場合、ケアプランの策定で要介護 度の重い・軽いが関係ないのであれば一本化案は理解できる。報酬水準の設定に当たっ ては、ケアマネジャー1人当たり50人以上の利用者を担当すれば赤字にならないという 介護事業経営概況調査の結果も考慮しながら、適正な水準を考えるべき。  居宅介護支援の加算については賛成できない。加算要件に客観性があるか、ケアマネ ジャーの能力が加味されているかなど、公平な案ができるのか非常に強い疑問がある。 (青柳委員)  保険者に関係する委員からは今回の改定に際して保険料は上げられないという話があ ったが、本分科会においては、税や保険料を上げない前提で介護報酬を設定するという コンセンサスは得られていないことを確認したい。  現行の訪問介護の報酬設定時にどさくさに紛れて複合型が設けられたので、今回は簡 素化が基本であるが、時間があれば、実際に介護現場で2類型を試行してみて、利用者 や介護従事者の視点からの意見を求めるという手段を講じてもいいのではないか。 (山口委員)  居宅介護支援の報酬の一本化については、簡素化の面から反対ではないが、様々な職 種が関与してケアカンファレンスを行い様々な種類のサービスを組み込む場合と、1人 で短時間に多くの件数をこなす場合では自ずと違いが出てくるので、加算ということも 含め、質をどう担保するかについて考えておく必要がある。  3級ヘルパーについても、質の担保の観点からは、自ずと将来的には廃止すべきであ るが、介護保険施行後2〜3年ですぐに廃止というわけにもいかない。  質の担保に関連して、介護福祉士の資格を活用すべきであり、3級ヘルパーにも受験 の機会をもっと与えるとともに、養成校を出たら国家試験を受けないで資格を取得でき る仕組みを見直してはどうか。 (新井参考人)  ケアマネジャーとホームヘルパーについて、介護報酬の見直しと併せて資質の向上を 要望したい。介護保険施行以来、予測に反して訪問歯科診療等の要請は右肩下がりで減 っている。一方、要介護者の60%以上が歯科的問題を抱えているという報告があるの で、現在は2〜3%程度であるヘルパーやケアマネジャーによる口腔チェックを必ず行 っていただくようお願いしたい。 (山崎委員)  居宅介護支援の報酬について、一本化はよいと思うが、常勤専従で独立的に仕事がで きる報酬にすべきであり、少なくとも現行の要介護4、5の840単位はその水準ではな い。加算については、本来業務をどう評価するかにもよるが、場合によっては減算によ って質を担保する仕組みも考えられる。  訪問介護について、将来的に目指すべきサービスの方向性が大事であり、当面の間の モザイクは前例を見てもいいことはない。そもそもが2類型だったので、今の段階では 2類型でいいと思うが、名称については、身体介護はかなり普及してきたのでそのまま でいいが、生活支援は「生活介護」として「介護」の言葉を使った方がいいのではない か。  3級ヘルパーの減算については今回少し検討してもいいのではないか。  介護タクシーについては、何らかの移送の手段が必要であるが、移送サービスは身体 障害者施策や生活支援など他の制度との整合性を考える必要がある。  保険者に関係する委員からは保険料は上がられないとの意見があったが、公費を投入 してパイを大きくしなくていいのかどうか。また、在宅と施設の利用者負担の格差や家 族に対する支援については、今後どのように議論するのか、ぜひ検討していただきた い。 (井形委員)  在宅中心は介護保険導入時のコンセンサスかつ世界の流れであり、住み慣れた家、地 域にいたいという高齢者の希望を尊重しようということである。  訪問介護の類型について、身体介護と家事援助の報酬の差があまりに大きいために複 合型が入ったことからすると、2類型が推進されるのはよく、「生活支援」という名称 も非常にいい。保険料は上げられないという議論だけでなく、在宅が推進すれば総額を 少しは抑えられるから、どうすれば在宅を推進できるかに焦点を絞っていただきたい。 (笹森委員)  訪問介護の類型については2類型に賛成。生活支援が家事援助とイコールでないこと が重要であるが、身体介護から生活支援に移行する自立生活支援のための見守り的援助 には、痴呆の高齢者の見守り支援も入っているのか。 (福本企画官)  ご指摘の通り。痴呆の高齢者の見守りについては、現在は身体介護として評価してお り、それをそのまま生活支援に持ってきたということ。 (笹森委員)  そうであれば、身体介護として行われてきた質を落とすことなく、見守り的援助が生 活支援に移行するのは、生活支援という新しい分野ができるということであり、生活支 援の方が身体介護よりも費用が安く長い時間利用できることも考えると、非常に素晴ら しい。  3級ヘルパーについては、身体介護の一部を質を落とすことなく生活支援に移行する と生活支援のレベルが上がるという考え方からすると、2級以上のヘルパーにお願いし たい。 (橋本委員)  居宅介護支援事業所は、在宅介護支援センター併設かどうかで、経営状況や仕事のや り方が違っているはずなので、それぞれの業務内容の整理が必要。  現在の報酬では評価されていない給付管理業務を今回は評価する必要がある。  居宅介護支援の類型については、要介護度ではなくその相談内容によって手間のかか り方が違うので、一本化すべき。  報酬単価は絶対上げないと介護保険制度は機能しないと思うが、現在は報酬が低いた めに多くの業務を兼務しているので、報酬を上げるに当たって兼務内容について規制を かけるべき。  加算については反対。加算に関する要望として挙げられているのはどれも本来ケアマ ネジャーがやるべき仕事であり、現状では実力の評価も難しい。将来的には実力を評価 すべきであるが、経験だけでなく知識や技術も必要であり、きちんとした制度として考 えていくべきではないか。 (木下委員)  保険料は現状のままという意見があるが、高齢者数の自然増や要介護認定を受ける者 が増えているといったことは当然考慮されるべき。また、質の担保のための体制を整え ることに対する配慮をしてほしい。 (木村委員)  居宅介護支援の報酬は一本化に賛成。単価を840単位よりも上げることが前提である が、単価を上げると、ケアマネジャーの資格は持っているが実務に就いていないために 給付管理等の今の実情に合う知識がない方がどんどん入ってくることになるので、現任 研修の受講を実務の要件とするなど、質の担保が必要。 (見坊委員)  本分科会での議論については、第1号被保険者である高齢者の関心も高く、厚生労働 省のホームページ掲載の分科会議事録もよく見られている。そこでは利用者の側に立っ ての発言が少ないとの意見もよく耳にする。介護保険制度の利用者は約2割弱の高齢者 だが、約8割の高齢者は、たまに目にするパンフレット等から、介護保険制度は一部の 裕福な者の為の制度と思い込んでいる例もある。すべての高齢者が制度をよく理解し、 いざという時に速やかに使える制度とすることが大切。また、低所得者に対する対応は 不十分な点が多く、是正が必要である。  特に利用者は、利用する際又は利用後の相談相手がいない。ケアマネジャーがその任 務を負っているが、少々負担増となってもケアマネジャーの介護報酬を引き上げ、その 中立・公平性、相談業務等の方向づけを考えてほしい。  また、介護保険制度だけですべての介護問題を解決できるものではない。周辺の家族 や地域、NPO等を支援していく体制づくりも必要になる。さらに低所得者対策、基盤整 備、地域福祉施策等についても検討してほしい。 (西尾分科会長)  基盤整備、低所得者対策、財政調整等の介護報酬以外の問題についてもご議論いただ くことは結構であるが、介護報酬の大きな枠組みを夏までに決めなければいけないの で、時間的余裕が生じると予想される秋以降に、その他の関連の問題を議論してはどう かと考えている。  本分科会において、保険料の値上げをしない前提で考えると決めたことはない。個人 的な考えでは、介護報酬を議論する時に保険料を上げてパイを拡大できることを前提と すると野放図な議論になるので、報酬を上げるものがあれば、どこか別のところを下げ なければいけない、という考え方で臨んだ方が審議は上手くいくと思う。 (外口老人保健課長)  第10回は、5月23日(木)の14時からで、議題は、第2ラウンドの2回目として、介 護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設について審議していただくこ とを予定している。 (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係    TEL 03(5253)1111(内3948 3949)