02/04/17 第12回医療安全対策検討会議議事録           第12回医療安全対策検討会議           日時 平成14年4月17日(水)              10:30〜           場所 経済産業省別館944会議室 ○森座長  定刻になりましたので始めたいと思います。本日は早くも第12回の「医療安全対策 検討会議」でございます。皆様方、それぞれお忙しい中をお出かけいただき、ありがと うございました。御礼申し上げます。  本日は、私が連絡を頂戴しております限りでは15名の委員の出席を得るということ で、6名の方々が公務のため、その他やむを得ない事情でご欠席です。委員に変更があ りまして、いままで日本医師会を代表するような形で小泉副会長がこちらの委員として お出ましでありましたが、今後は、日本医師会執行部のメンバー交替によって、副会長 の糸氏英吉先生が委員としてご出席になります。どうぞよろしくお願いいたします。 ○糸氏委員  糸氏でございます。よろしくお願いいたします。 ○森座長  本日の議事は、お手元に配ってありますように、「医療安全推進総合対策(案)につ いて」です。これは事実上の「報告書」(案)です。これまで11回、検討会議でいろい ろとご議論いただきましたご意見を踏まえ、起草委員の方々が中心になってまとめてく ださった「報告書」の案というものがここにできております。  それが本日の資料の1ですが、一応、委員の方々には事前にお配りして、あるいは場 合によっては事務局の者がお伺いして、説明を申し上げたと理解しております。今日は 起草委員の方々、とくに座長をつとめている堺委員からその内容について改めてポイン トをご説明いただきまして、委員の方々のご論議を経て、できることであればこの「報 告書」を決めさせていただきたいと考えております。  最初に、資料の確認をしていただきます。 ○新木室長  資料の確認をいたします。本日お配りしてあります資料は「議事次第」のほか、ただ いま森座長からお話がありました「医療安全推進総合対策〜医療事故を未然に防止する ために〜」というのが資料1です。資料2といたしまして、本対策の参考資料で、内容 は事務局が研究班の中間報告もしくは最終報告を取りまとめたものとなっております。  参考資料1が、本報告書の概要を事務局がまとめたものです。参考資料2が、4月1 5日に行われましたヒューマンエラー部会において検討し、公表されました医療安全対 策ネットワーク整備事業の概要です。以上でございます。 ○森座長  参考資料に関しては番号が少し紛らわしいところもありますが、すべてお手元に行き 渡っているでしょうか。よろしいですか。以前から、かなり大部の報告書になりそうだ ということで、その要約といいますか、サマリーのようなものをぜひつくってほしいと の要望が委員の方々の中にありました。それを実現してくれたのがこの別綴じの参考資 料1です。これが全体の概要と申しますか、要約でございます。  では早速、論議に移りたいと思いますが、先ほどから申しておりますように、起草委 員会の座長を務めていただいた堺委員から、資料の内容とか、特に、以前と比べて変わ った箇所とか、その他ご説明いただけますか。 ○堺委員  お手元の資料1「医療安全推進総合対策〜医療事故を未然に防止するために〜」につ いては、これまでの検討会議のご議論、特に、前回の第11回でいろいろご意見をいた だきましたものを、この最終の案に入れさせていただいております。前回の案に比べて 委員の方々のご意見を踏まえて変わりました所を中心に申し上げます。また、用語につ きましても重要なところはご報告いたします。そのほか、「てにをは」とか通常の言葉 遣いというような所の変更は省略させていただきます。  資料1「目次」をはぐっていただきますと、1頁「はじめに」という所があります。 最終段落ですが、前回の案では「医療の安全について世界の先進国として」という表現 がありました。それは少し踏み込んでいるのではないか、というご指摘がありましたの で、ここに挙げましたように「我が国の医療に、患者の安全を最優先に考え、その実現 を目指す「安全文化」が醸成され、医療が安全に提供され、国民から信頼される医療が 実現されることを切に願うものである」という表現に改めさせていただきました。  以下、変更を加えました所を中心にご報告してまいります。3頁のいちばん上の段落 ですが、「例えば、多職種からなるチームによって医療が提供されている際、チーム内 のルールが不十分であったり、十分な意思疎通がないために医療事故に発展することも ある」という表現になっております。この部分は、前回、医療のチーム、特にそのチー ムの機能が重要であるというご指摘がありましたので、このように改めさせていただき ました。  4頁です。2番目の段落ですが、「そのリスクを含めて十分な説明や情報を得てよく 納得した上で、自ら選択して医療を受けることを期待している」。患者さんの自主性、 患者さんが自ら選択されることが重要であるというご意見をここに反映させていただき ました。  5頁目です。「本報告書における検討の範囲」ですが、この報告書は医療における安 全管理ということを中心に報告書をまとめるという基本的な方針がありますので、医療 事故を未然に防止するという観点から検討を行ったということ。それから、何回かご指 摘がありましたが、「院内感染対策については、医療安全対策上の重要な課題であるが 、別途専門的に検討されることから、今回の検討対象とはしなかった」というように表 現させていただいています。これは、その別途の作業が進んでいるということを踏まえ ております。  6頁です。「(1)国の責務」の3つ目の段落ですが、「必要な社会的規制の策定、 資源の効果的な配分等、必要な施策の立案と評価を行うとともに」という表現になって おります。ここはチェック機能が重要だというようなご指摘がありましたので、このよ うな表現にさせていただきますとともに、また後ほども繰り返して出てまいりますが、 社会資源の効果的な配分ということが政策として重要だということを滲ましていただい ております。  9頁目です。「(4)医療従事者個人の責務」の2つ目の段落ですが、「他の従事者 との十分な意思疎通と良好でオープンな人間関係の下で医療を実践するとともに、医療 機関の安全対策へ積極的かつ主体的に参加する必要がある」。この「オープンな」と「 主体的な」という表現は、前回の委員会で、こういうところを強調するべきだ、という ご意見がありましたので取り入れさせていただきました。  同じ頁の(5)で「患者に期待される役割」。ここの最初の段落ですが、「情報提供 や話し合いを十分に行い、その上で」。十分に話し合いをした上で患者さんに主体的に ご判断いただくべきだというご意見をここにも取り入れさせていただいております。  12頁です。いちばん下の段落ですが、「患者の自己決定を支える体制を整備するこ とが必要である」と、同じことを繰り返して強調していますが、患者さんの自己決定、 それを支える体制の整備は医療安全の推進に欠かせることができないものだ、という委 員の方々のご意見を入れさせていただいております。  13頁です。「(1)管理者の指導力の発揮」という所がありますが、そこの下の所で す。「職員の能力や適性に応じた人事・処遇等を行い、医療機関を一つの組織体として 適正に管理しなければならない」。これは、管理者のリーダーシップ、組織としての医 療機関が医療安全に対応しなければいけない、その重要性について触れさせていただい ております。  14頁です。「(4)内部評価活動の推進や外部評価の活用」。外部評価ということも 非常に重要である、というご指摘がありましたのでここに入れさせていただきました。  また、この(4)の真ん中より少し下ですが、「そして、ヒヤリ・ハット事例や」とい う所から最終の所までです。ここは少し細かくいろいろ書いてありますが、どういう所 をチェックするかということについてある程度具体的に触れておいたほうが、この報告 書をご覧いただく医療機関の参考にもなるのではないかというご意見もありましたので 、ここはやや実務に踏み込んだ細かいことを列挙しております。  15頁です。少し些細なことではありますが、(3)の(1)の3行目に「職員の能力 等を把握し」と。これが、前回の案では「職員の経験年数」となっておりましたが、そ の後の議論で、経験年数ではあるまい、年数に関係なく能力だろう、ということで「経 験年数」を「能力」と改めさせていただきました。  16頁です。「(2)職員に対する研修」。その中にまた「研修」という言葉が繰り返 し出てまいりますが、当初は「教育」というような表現もありましたが、「教育」とな りますと、もちろん大事な言葉ですが、卒前の教育、教育機関における教育というニュ アンスもやや出てまいります。社会人として資格を持って、あるいは資格がある人々と ともに医療活動を行うという立場の方々に対しては、これは研修であろうということで 「研修」という言葉に改めさせていただきました。  20頁です。ここは表題だけの問題ですが、「(5)医療機関における医薬品・医療 用具等の安全管理」。前回の案では(1)の小見出しの所が全部「医療機関における」と いうのが出ていましたので、重複を避けるためにいちばん上の表題を「医療機関におけ る」という表現にしまして、その下の小見出しの「医療機関における」を省略いたしま した。  22頁です。アの第2段落に「企業から使用方法などの情報を入手するための窓口が 必要である。また、入手した情報については、適切に管理し、使用者等に周知すること が不可欠である」と。これも委員の方から、医薬品のみならず医療材料についても、医 薬品と同様あるいはそれに準じた情報提供を行いかつ医療機関においてそれを受け止め る窓口が必要であるというご意見がありましたのでここに入れさせていただきました。  33頁です。これも表題の表現だけですが、「2−3 医療安全に関する教育研修」 。これは前回の案では「教育研修」とだけ書いてあったのですが、これは医療安全に関 する教育研修であろうということでこの形容詞を付けさせていただきました。  39頁です。これも表題ですが、「(2)科学的根拠に基づく」。前回は「根拠に基 づく」となっていましたが、「Evidence-based Medicine」を日本語で意訳すると何だ ろうかということで、「科学的根拠」という言葉を使わせていただいております。  (2)の最初の段落ですが、「そのためには、医療事故の実態把握の実現可能性、具 体的な事故防止対策や対策の評価方法など、医療安全に必要な研究を総合的かつ計画的 に行わなければならない」。これは、医療という限られた分野ではなくて、他分野で行 われている先進的な、あるいは多年にわたる経験を取り入れるべきだというご意見があ りましたので、このような表現にさせていただいております。  同じ段落の最後に「なお、医療安全に関する情報の交換など、諸外国との協力も必要 に応じて行うべきである」と。これも、外国との情報交換、交流はこれから大切である というご意見がありましたので、このような表現にさせていただきました。  40頁です。これも表題ですが、「(4)患者の苦情や相談等に対応するための体制 の整備」。前回は「苦情処理」というような表現がありましたが、苦情処理というのは 一段上に立って見下ろすような感じがあるのではないか、というご指摘もありましたの で、「対応する」という表現に改めさせていただきました。  また、(4)の2番目の段絡ですが、「都道府県には第三者である専門家等も」とい うことで、第三者ということを強調させていただいております。  41頁です。「1 医療機関における安全管理体制の整備の徹底」の上から4つ目の 段落ですが、「したがって、医療機関における」と。前回、この中に「病院」という表 現がありましたが、医療機関は病院だけではないということで、我が国の医療機関すべ てを包括すべきだという考えから、ここは「医療機関」という表現に統一させていただ きました。  43頁です。「3 医薬品・医療用具等に関する安全確保」。この最初の段落ですが 、「また、薬物療法がより安全かつ効果的に行われるための医薬品情報の提供について も」と。これも、安全情報の提供が重要であるということを強調すべきだ、というご意 見がありましてこのようにさせていただきました。  44頁です。同じことの繰り返しになりますが、「(3)医薬品情報の提供」の段落 の2番目ですが、「このため、国は、薬物療法が安全かつ効果的に行われるための情報 提供に加え」と。単に形が似ている、名前が似ているということではなくて、薬剤は使 用されるわけですので、使用された結果どのようなことが起こっているか、それについ ての安全情報も十分に提供すべきだ、というご指摘が前回ありましたのでこれを入れさ せていただきました。  46頁です。「5 患者の苦情や相談等に対応するための」。ここでも「対応」とい う表現にさせていただいております。  この中の(3)ですが、「都道府県に第三者の専門家を」。当初は「第三者である医師 等の」という表現でしたが、医師だけではないのではないかと。職種よりも第三者とい うその立場の明記が必要だろうということで、ここは「第三者」とさせていただきまし た。  47頁です。ここの最後の結語ですが、2行目からです。「厚生労働省においては、 これらの対策を確実に実施するために必要な予算等の確保、診療報酬上の措置、税制改 正要望、規制等の見直し、教育啓発活動などに取り組まれたい。また、今後とも医療安 全対策の実施状況を踏まえて、必要な対策を講じられることを強く望みたい」。この部 分は医療機関、あるいは医療機関だけではありませんが、さまざまな団体が医療安全を 推進するために必要な予算あるいは診療報酬、その他、規制等々の措置を行うべきであ るということをここに明記させていただいたことと、委員の方から、べきであると言う と必ずしも拘束力がない、というお言葉がありました。この検討会議は拘束力を持つも のではないと考えておりますが、委員の方々の強いご要望ということを、この「強く望 みたい」という表現に反映させていただいたつもりです。以上でございます。 ○森座長  ありがとうございました。かなり入念に委員の方々のご意見を取り入れていただいた と思います。ここには起草委員会の他の委員の方々も当然お見えです。いま起草委員会 を代表して座長の堺委員からご説明いただきましたが、起草委員としてお加わりいただ いたほかの方々、例えば川村委員とか児玉委員、望月委員もそうでしたが、そういう方 々から何か追加的なご発言はありませんか。よろしいですか。  それでは、起草委員会からのご報告なりご説明は、いまの堺委員のお話で一応終わる ことにいたしますが、ほかの方々も後で何なりとご追加いただきたいと思います。  同時に、事務局のほうで参考資料なるものをまとめていただきました。それについて 説明していただけますか。 ○新木室長  資料2について簡単にご説明させていただきます。1頁目は本文中に用いられた用語 につきまして、堺委員の研究班でこの用語の解説をするものをまとめていただきました 。2頁目の「安全文化」以下9頁の「ワークシート」まで、本文中に出てくる用語につ いて、この報告書がこの分野の初めての方にもおわかりいただけるように用語の解説を まとめていただいたところです。  10頁目、参考資料2といたしまして、「我が国における医療安全対策とこれまでの 取組状況」です。11頁から13頁が厚生労働省の取組です。14頁が行政及び関係団 体の取組状況ということで、各自治体の取組状況を記載しております。平成12年度か ら平成13年度のものです。15頁が、医療関係団体における医療安全対策の概要、平 成12年度から平成13年度まで。ここに書いてありますような、健康保険組合連合会 を1番として33番の労働福祉事業団まで、取組状況をアンケートいたしまして記載し たものです。  参考資料2−3が、先ほど申し上げました「医療安全対策ネットワーク整備事業の概 要」です。さらに、19頁からは「安全な医療を提供するための10の要点」。ヒュー マンエラー部会、矢崎座長の所で昨年まとめていただきまして、医療安全推進週間等で 活用させていただきました標語です。  30頁は、「諸外国における医療安全対策の状況」です。長谷川委員にまとめていた だいたものですが、31頁に1として「米・英・豪における医療安全政策」、33頁の 下からは「世界保健機関における取組」を記載しております。  34頁は、3といたしまして「医療事故の実態」、1)で訴訟数、2)で諸外国の医 療事故の発生頻度をまとめております。35頁に若干、追補として我が国の状況等を照 らしての長谷川委員の考察が記載されております。  36頁からは本文に関連する例で、4−1が医療機関の内部組織の例を載せるという ことで、聖路加国際病院の井部先生にまとめていただいたものです。4−2から4−3 が堺委員にまとめていただいた他産業における取組等です。4−4が、クリティカルパ スに関するもので、日本看護協会の嶋森先生にまとめていただいたものです。4−5は 、日本看護協会から提供していただいたものですが、医療事故の分析方法を例示したほ うがわかりやすいのではないかということで、4M−4Eを初めとする分析方法につい て解析です。4−6がITを活用した部分です。  続きまして、参考資料5が60頁からあります。これは川村委員にまとめていただい た、どのようにして医療のエラーが起こるのか、それを防止するためにはどのような方 策が考えられるのか。これは現場で役に立つような形でマニュアル風にまとめていただ いたものです。以上、簡単ですが、参考資料のご説明でございます。 ○森座長  さて、以上お2人から説明がありましたように、ご覧いただきますと、報告書の本文 、参考資料、合わせてかなり大部なものになっております。これは、起草委員会で多数 の検討会議の委員の方々のご意見をできるだけ忠実に取り入れてくださったということ と、事務局は事務局でいろいろな資料を一生懸命集めてくれた結果の綜合だと思います 。拝見した限り、当検討会議で委員の方々がご発言になった内容は十分に取り入れられ ていると思いますが、なお委員の方々からいろいろご意見を伺いたいと存じます。場合 によってはこの報告書の中身そのものでなくても、周辺の事情について、この報告書を 出すに当たってはこういう注意が必要であるとか、今後こうしたいという類いでも結構 です。まだ許された時間はかなりありますので、委員の方々からどんなことでもご発言 いただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○三宅委員  非常にいいまとめができたと思っています。いま私がいちばん気にかかっていること は、こういうことでいろいろなシステムとしての取組が日本でかなり始まってきている と思うのですが、一方で、個人の資質といいますか、医療従事者の事故に対する抑制を かけるのに、個人に対する抑制力が働くものが必要ではないかという気がするのです。  これは少し外れるかもしれませんが、医師賠償責任保険というのがあります。あれは 、大体は施設で入ってそれを全部カバーしているわけです。これを施設だけでなく、個 人も必ず入るようにして、個人の負担と施設の負担をいろいろな過失とか状況に応じて 案分して、その事故が処理されるまで、その個人について回るというような仕組みにし ないと、個人の責任感といいましょうか、医療における事故の重さといいましょうか、 そういったものがわかってもらえないのではないか。そういうことで個人の抑制をかけ るとともに認識を高める。当然、研修も必要なのですが、そういったことが行われない と非常に効果が出にくいのではないか。  私どもは2年前から情報公開をしているのですが、確かに情報公開の中から訴訟に発 展するものも増えてきています。保険会社からのいろいろな情報を聞きますと、いま保 険料に対して支払い額が年によって140から150%ぐらいになっているということ なのです。おそらく、この状況が進むと、アメリカが1970年から1980年に経験 したように、民間の損保会社がこの医療保障に対して、医療賠償責任保険から撤退する 可能性が出てくると思うのです。バランスがいい仕組みに変えていくということから言 うと、個人の負担をある程度高めることで、はっきり言えば義務づけることで、そこの バランスをある程度保ちながら抑制もかかっていく。そういう仕組みがぜひ必要なので はないか、という気がしております。 ○森座長  高い立場からご発言いただきました。私が拝見した限り、この案は「安全」という立 場を超えて、患者さんにとって「安心して受けられる医療」にまで広がっていると思う のです。そんな意味でいかがでしょうか、ここで報道界、マスコミュニケーションを代 表しておられるのは岸委員ですが、何かご感想でもありませんか。 ○岸委員  堺委員と起草委員会の先生方に大変ご苦労いただきました。ただ、私どもからすれば 、各界の代表の方が皆さんお集まりでそれぞれの立場からのご意見があったのでやむを 得ないかとは思いますが、総合的、網羅的になってしまった感があります。もう少し国 民に直接訴えかけて「こういうものができたなら安心だな」というようなインパクトが 欲しかったかなという印象を持っております。  今、三宅先生もおっしゃいましたが、重ねて言わせていただけるならば、リピーター と呼ばれるような人をどうやって排除していけるのか、ということを引き続きご検討願 いたいと思うのです。リピーターの概念をどのように定めるのか、どういう人をもって リピーターと言うのか、というのは非常に難しいとは思うのですが、どのような職業で あってもあまり適格性のない方がそのような資格を持っている、あるいは、そのような 職に就いていることはあり得ることです。医療保険の現場などではある程度わかってい るのではないかと思うのです。ただし、その人が明らかにそうであると決めつけるのは 技術的に困難な問題がありますけれども、医の安全という広い見地から、そういう人た ちにもう少し違った職種にお就き願えるようなシステムが何とか構築できないものだろ うか、ということを引き続き検討していただきたい。  それから、これは文部科学省の関連でもありますけれども、基本的には教育の問題だ ろうと思うのです。医の原点は安全なのだ、ということを繰り返し教育するようなカリ キュラム等をつくっていただきたい。この2点をお願いしたいと思います。 ○森座長  リピーターといいますか、個々の医師なり医療従事者の資質については、ここでも何 度か言葉として出たことがありますが、この「報告書(案)」の中では必ずしも十分意 が尽くされていないかもしれません。もしこの検討会議が将来とも存続するとすれば、 そこでの課題の一つには大いになり得ますね。 ○全田委員  私は少し違うのです。私は先生と同じように長い間教育にいますけれども、ここにも 書いてくださっているように教育の問題だと思うのです。これまでもお話があったよう に、なぜ間違っているかということを知らない教育を受けてきた、ということが問題で す。  昔の中国の言葉に「書を以て御する者は馬の情を尽くさず」というような言葉もあり ます。どんなに立派なことを学んだって馬に触ったことがない人は馬の優しさがわから ない。若いときから患者さんに接しなければわからない。  医師、歯科医師以外の医療関係者についての研修ということについて、ぜひ積極的に 国としても対応していただきたいということを心から願う次第です。 ○森座長  お二方がおっしゃったことは、基本的には互いに似たところがあるように思います。 要は、「大学で倫理学の単位を取った人が、単位を取らなかった人間よりもより倫理的 に行動しているとは限らない」というようなことかと思います。 ○梅田委員  私がいちばんありがたく思いましたのは45頁にあります「医療安全に関する教育研 修の充実」ということです。いま岸委員、全田委員がおっしゃいましたけれども、卒業 前の医療安全に対する教育、3番目の「臨床研修等で修得すべき事項の明確化」という ことで、ここにも医師、歯科医師の臨床研修の必修化ということが盛り込まれています ので、これはぜひマニュアル化していただきたい。あるいは、こういったようなことの 規格をきちんとしていただきたいということを要望いたします。  しかし、教育の内容というのは非常に難しいので、これは卒直後も必要ですが、卒前 の教育に力を入れていただきたい。このカリキュラムの中に入れて下さることを希望し ます。岸委員、全田委員が言われたこととほとんど同じだと思いますが、この45頁が 私にとってはいちばん大切であると思います。 ○中村委員  非常に役立つ対策を立てていただいたのですが、これを医療現場で即役立てるために はどのようにすればいいか、いちばん頭の痛いところであります。手を変え品を変え周 知徹底するというような手段しかないのであろうと思います。前回も、簡単なパンフレ ット等はつくりましょうというお話でしたが、この内容すべてが役に立つように私は考 えます。そうしますと、これが切り出しやすいようにCDにでも収録していただけます と現場では非常に使いやすいのではないかと思います。費用的には大したことがありま せんので、ぜひお願いできないかなと感じました。よろしくお願いします。 ○森座長  これは技術的・事務的問題としてもお考えいただけますね。実現の可能性は別として 、一応お考えください。 ○児玉委員  起草委員の1人ですので、何ほどの仕事ができたか忸怩たる思いもあります。先ほど 堺委員から非常に適切なご説明をいただいたところです。  ほんの数年前までは医療事故というと「とにかくあってはならない」という言葉ばか り繰り返されてきた。そういう中で、この医療安全推進総合対策は、医療事故が現にあ るということを直視して、しかも、医療現場を取り巻くさまざまな制度・環境の中に多 数の問題があるのだということを客観的にエビデンスを踏まえて指摘をしているという 点で、非常に画期的なことであろうと思っております。  ただ、1つだけ、総花的とだけは言ってほしくないという思いがあります。なぜなら ば、おびただしい無数の水源から集まった水が1つの河口に流れていくように、この医 療安全対策というものは患者の安全、患者の安心というところに向けて、いま無数の水 源が必要なのだと。そういうことで、考えられる限りの水源地を示していった。我々が 1年間にわたって医療安全を渉猟してきた中でのマップだということを、ぜひともご理 解いただきたいなという思いがあります。  ただ、この対策は医療機関あるいは関係団体、教育機関、行政機関、よろず団体機関 の安全対策という側面が大変強うございまして、医療という世界は業務独占、名称独占 を許されたプロフェッショナルの世界だという特殊性を鑑みますと、この先、個々のプ ロフェッショナルがどのように医療安全のために対応していくかという問題が大きな問 題として残されているのではないか。三宅委員であれ岸委員であれ全田委員であれ、そ の点をご指摘になったのではないかと思います。  1点だけ付け加えますと、プロフェッショナルの質の向上には、私は大きく分けて3 つのスタイルがあるのではないかと思っています。1つは、国なり行政なりが規制をし ていく規制型の対応。2つ目が、規制型に対してプロフェッショナルの自律型と言える ようなモデル。例えば、イギリスのGMC(General Medical Council)のように、賠 償も、医道審議会のような懲戒のディシプリンの機能も、教育研修の機能も一体化した 職能団体のあり方があるわけです。3つ目のスタイルは、アメリカのように例えば医療 ミスの情報も含めて、さまざまなベンチマークについて情報をマーケットにどんどん公 開してしまう。そのドクターが過去にどういう履歴があるかということをインターネッ ト上でどんどん出してしまうという、あえて名付ければ市場型の対応があるのではない かと思います。そういう規制型でいくのか自律型でいくのか市場型でいくのか、これか ら先、プロフェッショナルの質の向上ということについてまだ積み残された課題がある のではないかと思っております。 ○岡谷委員  1年間の議論を通してこういう総合対策がまとめられたことに対しては、非常によか ったと思います。看護の立場から言えば、看護師は最終行為者としてリスクの高い状況 になりやすいということを考えると、その責任とか役割の重さをこの1年間の議論の中 で痛感してきました。  私たちも独自に事故事例等を分析しているのですが、同じような事故の繰り返しが非 常に多い。薬の間違いにしても、経口薬を血管の中に入れてしまうというようなことも 、大きな事故が起こっていてもその後また同じような事故が起きています。事故事例か ら学ぶということで、かなり頻回に警告をしたり啓発をしたりしないといけないという ことを痛感しています。  報告書に書かれたことの中で、医療安全対策管理者、いわゆるリスクマネージャーの 設置はぜひ早急に医療機関の中で進めていっていただきたい。また、専門看護師等のス ペシャリストの活用を積極的に進めていっていただきたいということがあります。  先ほどのプロフェッショナルの自律性といいますか、国の免許とは違いますけれども 、そういう一定の教育を経て専門的な知識・技術を学んだものを活用することによって 、看護職のストレスがかなり軽減されたりゆとりが生まれてきたり、良い仕事をしてい くというのは教育効果等も非常に高まりますので、そういうことを実現していただきた いということと、私たちもその努力をしたいと思います。 ○井上委員  この3章にあります「国として当面取り組むべき課題」は、この検討会が出したもの に関しては法的規制がない、レギュレーションのできないもので、強制力のないものだ というところから逆にここまで自由に書けたし、かなりいい文章、いい方向性が出てい ると思うのです。しかし、第3章が具体的にここに書かれた理想に向かって実行されて いくのかということが問われてくると思います。  私は薬剤師ですので、私の専門分野では類似名称とか外観類似によって起きた事故を 防止していくために、ということでこの中に当面実行していく課題が書かれているわけ です。これが実際にレギュレーションの場になったり強制力を持つ場になったときに、 企業利害とか各団体の利害から「総論賛成、各論反対」ということになって、折角でき たこの総合対策が実行されないというようなことがないように、これから具体的にどう 実行していくのか、ということが大切なのではないかという気がしております。  規制型になるのか自律型になるのか公開型になるのかというご意見が先ほどありまし たが、そういった方向も含めて、強い決意を持って課題の実行に取り組んでいただきた いなと思います。 ○森座長  ありがとうございました。おっしゃったことは本当に大事な点だと思います。強制力 がないからやらなくてもいいとか、罰則がないから嘘をついてもいいんだというのは、 これは安心の世界とは対極にあるような考えです。そういった意味で、今日の日本全体 が考え直さなければいけない問題につながるかもしれません。 ○黒田委員  起草された先生方の努力は大変なことだったと思います。どうもありがとうございま す。感想ですが、日本における医療の安全対策は他産業に比べて遅れていると思います 。20年経ってやっとここにきたかというのが、いまのこの報告書だと思います。これ を動かしていくために、大変な問題があります。  いままで医療というのは、やはり患者さんの安全のためにやっていることが、事故の 理由にもなるというジレンマがあるわけです。これは原子力もそうですし、航空関係も そうですが、我々は安全のためにいろいろなことをやっているんだという、ものすごい 自負心、プライドがあります。ところが、実際はそうではないんだと、パラダイムシフ トをするのにいちばん時間がかかっています。特にパラダイムシフトの難しいのは管理 者であります。  ここにはいろいろ素晴らしい方法は並んでいますが、これが動いていくためには、も ちろん個人の技能を高めることも大変大事です。安全というのは、一つひとつの技術に 積み上げられた総合科学、あるいは社会学、組織学であります。動いていくためにいち ばん大切なことは、管理者の方々が安全というものに関するパラダイムシフトをいかに するかということです。そういう意味において、どこをどう変えていかなければいけな いのかというキーポイントをはっきりさせて実施していただけると大変ありがたいと思 います。これは希望であります。 ○山崎委員  大変膨大な内容を、こういう形でまとめていただいて感謝しております。先ほど岸委 員のほうから、インパクトが足りなかったのではないかというご発言がありましたが、 実は私も同感を持っておりました。要は「おわりに」の所に書かれてあります、「必要 な対策を講じられることを強く望みたい」と。これがインパクトにつながっていって、 この報告書からいろいろな現場で、それぞれの専門の立場から実行された段階で、初め て国民の皆様にもインパクトを感じていただけるのではないかと思うのです。  いま医療をめぐる環境というのは、非常に激しく変化しております。これから何が起 きるかということをどこでどうとらえていくか、それを安全対策の中に入れていくとい うことを、どこでやったらいいかということが問題になっていくと思います。特に医薬 品をめぐる問題といたしましては、「医薬品情報の提供」があります。医薬品が医療担 当者、患者さんのお手元にいくまでに、それに伴っていく情報提供というのは、非常に 充実してきたと思っております。しかし、使用前に必要な情報の提供と同時に、使用後 に発生してくる情報の把握ということも重要です。特にこれから医薬品に関しては効力 が先鋭であって、それに伴って副作用の発現がかなり厳しい医薬品が出てまいります。 現在承認されている医薬品の中でも、「副作用に注目して使ってください」という条件 付きで承認されているものが多くなっております。ですから、特に重篤な副作用の発現 に至る可能性のある初期症状の把握を、医療担当者にどのようにフィードバックして対 策を講じるかと。そういう医薬品の情報の把握と、それをさらにフィードバックして、 医療担当者に提供していく、こういうシステムができるだけ早く構築され、実行される 必要があると思います。  いままでは、そういう初期症状を見逃すことによって起きる事故というのは、例えば 名前を間違えてしまった事故と違って、水面下に潜っていた可能性があるように私には 思えるのです。したがって、そういうものを的確にとらえて、医療の安全につなげてい くための方策というのが、これからこの報告書を基にして確立されていくということを 、強く望みたいと考えております。 ○森座長  ありがとうございました。望月さんも起草委員の1人であられますね。何かご感想は ありませんか。 ○望月委員  全体を通じて、先ほどから本当に実効が上がるのだろうかというお話が出ておりまし たが、私は現在教育の場におりますが、やはり評価をしてあげること、その評価結果を 分析して、その対策を講じるということが必要なのかなというふうに思っております。  その対策の中には、公表をするという形の対策もあるかと思いますが、いろいろな場 で院内での内部評価、あるいは外部からの評価、患者様からの評価、さまざまな形での 評価をいただいたうえで、それを分析してきちんと活かしていくということが、実効性 を持たせる部分で大切なところではないかと感じました。それをできるだけ医療機関で 取り入れていただく、あるいは私どものような教育の場で取り入れていくということが 重要かと思いました。 ○森座長  どうもありがとうございました。川村先生は、最初のころにたくさんの実例を示され 、貴重な話題を提供してくださった方ですが、いかがでしょうか。 ○川村委員  大変冗長な表現にはなりますが、私はこの一連の作業に携わりまして、研究者として 何ができるかということを大変真剣に考えました。ただ、多くの方は、これは国からい ろいろ出てくる報告書の類だとして、そのままざっと見て終わりということになりかね ないと思います。私もいくつかの病院に行かせていただいていますが、この数年で病院 間の差が大変出てきました。組織の中によい人材を持っている病院は、かなり積極的に 行い効果を上げておられますが、そうでない施設ははまだまだというところで、これは 関係団体も同じだと思います。  これから大事なことは、進んでいる施設がそうでない施設を引き上げていくために良 い情報を共有する仕組や調整を、行政の方にやっていただきたいと思います。 ○森座長  ありがとうございました。糸氏先生は今日初めてご出席ですね。この検討会はいまま で大体こんな雰囲気でやってまいりましたが、何かご印象、あるいはこの報告書の案に ついてのご意見はありませんか。 ○糸氏委員  今日、非常に立派な「報告書」をいただきました。しかし、なかなか第一線では、難 しい問題がございます。確かに提供体制のチェック、あるいはチーム医療連携の意思疎 通を図るということはもちろん大事なのですが、結局行きつくところは、個人の意識革 命ではなかろうかと思います。いくらベテランの先生でも、昨日お医者さんになった方 でも、必ず自分が犯すかもしれないという危機感というか切迫感というか、毎日新たな 気持を持てるようないい方法、あるいはそのような環境作りを誘導するような方法はな いかと、そういうことを私はいつも考えているわけです。  我々としても、リスクマネージャーの養成等を自主的に日本医師会でも全国展開して おります。医療事故をなくすためにできるだけ外堀を埋め、また内堀も埋めていこうと 思っていますが、実際事故の結果を持ってくる医事賠償責任の訴訟例が減ってきたかと いうと、必ずしもそうではないところに、非常にこの問題の難しいところがあります。 今後とも、できる限りの手立てをやらなければいけないと思っております。  ここに書いてありましたが、公的な二次医療圏ごとに相談体制、これは非常に必要な ことだと思います。我々のところでは平成11年より診療に関わる相談体制を、すでに 、都道府県医師会、郡市区医師会と、網の目のように全国で相談体制を設置するように して、それが稼働しておりますし、年間に相当例の相談があります。二次医療圏相談体 制を置くということは、非常に結構なことですが、それがいままでの相談体制と連携し 、お互いに機能を高めていくということが大事だと思います。連携ということをもう少 し強調していただくような表現にしていただいたほうがいいのではないかと思います。 我々としても、先生方に教えていただいて、できるだけ今後努力したいと思います。 ○大谷課長  いま糸氏先生のおっしゃった、いわゆる行政のほうで今回新たに取り組む苦情に対す る対応、従来から医療機関なり医師会で取り組んでおられたものについて、この連携の あり方についても、今後予算要求等制度を仕組んでいきますが、そういう中で十分注意 して取り組んで、新しい案を夏までにはまとめていきたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○森座長  どうもありがとうございました。こうして一渡りご意見を伺った限り、この報告書の 内容については皆様、ご了解いただいたものと解釈いたします。  複数の方々に共通したお言葉として、こういうものを世に出す以上は、是非実行して ほしいというお気持があると思います。幸い、ここには担当の医政局、あるいは医薬局 から局長がお見えになっておられますので、厚生労働省当局に、このような線に沿って 是非事を進めていただきたいという内容を、我々一同の検討会議の意見として要望して よろしいでしょうか。 (異議なし) ○森座長  やはり多少は報告書らしい体裁を整える必要があると思いますので、事務局で体裁を 整えていただいて、その上で厚生労働省当局に、検討会一同からの報告ということでお 渡しすることにいたしましょう。何かご挨拶でもございますか。 ○篠崎医政局長  私のほうから、一言御礼を申し上げたいと思います。今日は最初から出る予定でおり ましたが、国会用務が入りまして、遅れてまいりまして、誠に申し訳ありませんでした 。  本日、医療安全推進総合対策をおまとめいただきました森座長をはじめ、各委員の先 生におかれましては、昨年の5月から、大変長い間集中的にご議論をいただきまして、 心から厚く御礼を申し上げます。また、傍聴されておられる方々につきましても、会場 の都合で、大変窮屈な状況で熱心にお話を聞いていただきまして、どうもありがとうご ざいました。  医療安全対策は、厚生労働省として取り組むべき最優先課題と考えております。厚生 労働省だけではなくて、国際的にも大変大きな課題と言われております。私はたまたま WHOの執行理事をしておりますが、今年の1月に、先ほど児玉委員からお話がありま したが、WHOの執行理事の1人に、私と同じようなポストのチーフメディカルオフィ サーのドクター・ドナルドソンというイギリスの方がおられまして、その方が発議をい たしました。イギリスのクインズメディカルセンターで医療事故が起きて、それがマス コミに大きく取り上げられたことから、イギリスとしてはかなり一生懸命取り組んでい るということでした。我が国でも同じような状況だと申し上げまして、積極的にサポー トいたしまして、今年の5月にWHOとして初めて、医療事故対策の決議が採択される 予定になっております。  このように、国内、国外を問わず、医療事故対策という大きな課題、取り組むべき大 事な対策となっております。本日おまとめいただきました報告書に基づきまして、この 夏には予算要求、制度の見直し等、取り組みたいと考えております。  3月8日に医療制度の抜本改革のための、厚生大臣を本部長とする改革チームが立ち 上がりました。私どもは医療提供体制改革チームの責任を持つことになりましたが、そ ういう中でも今日おまとめいただいたことを積極的に盛り込んで、中間報告やそれに基 づく予算要求等に結びつけたいと思っております。また来年3月には最終報告として、 医療提供体制の改革ということでまとめていきたいと思っております。  皆様方におかれましても、この問題につきまして今後ともよろしくご指導、ご鞭撻、 ご協力をいただきますことを心からお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきま す。どうもありがとうございました。 ○森座長  どうもありがとうございました。 ○宮島医薬局長  ただいま医政局長からご挨拶がありましたが、私のほうからも重ねて御礼のご挨拶を 簡単に申し上げたいと思います。  約1年にわたり、森座長をはじめ各委員の先生方におかれましては、大変ご多用のと ころこの報告書をおまとめいただきまして、改めて厚くお礼申し上げたいと思います。  特に医薬品・医療用具については、従来から私どもも製品の安全性の確保については 、努力をしてきたつもりですが、どちらかといえば従来は、医薬品の副作用というもの に関連する安全性を中心に考えてきたのではないかと思います。今回の報告書の中には 、「誤使用や取り違いを防止するための使用の安全」という、基本的な考え方を明確に 打ち出していただきました。  これを受けまして、私どもとしても医薬品・医療用具の安全については、従来の副作 用等に関連する安全性に加えまして、新しく「使用の安全」という視点からの対応を、 これから取り組んでまいりたいと思います。そのためにも、医薬品・医療用具に関する いろいろな基準等の必要な見直しを行うとともに、これを実施するに当たり必要な情報 、あるいは評価のシステム等の基盤整備を進めていくことが必要であると思います。さ らに、これを踏まえて関係団体等に指導、あるいは協力を得ることに取り組んでまいり たいと思っております。  先ほどから実効性が問題だというご指摘を受けておりますので、私どもとしては、せ っかくいただきました報告書の内容が具体的に実現できるように取り組んでまいりたい と思っておりますので、委員の先生方には引き続き私どもの取組にご指導、ご鞭撻をい ただきますよう、改めてお願い申し上げまして、御礼の言葉とさせていただきます。ど うもありがとうございました。 ○森座長  どうもありがとうございます。この検討会議は決して本日をもって終わりだというこ とではありませんが、1つの重要な報告書を出すという締め括りに当たっての、お二方 からご丁寧なお言葉をありがとうございました。  それでは、ここで手短に、将来のことについて事務局からおっしゃっていただけます か。 ○新木室長  それでは事務局よりご説明申し上げます。今回の報告書で、引き続き検討すべきであ るとされた事故事例の収集等、医療安全にかかる問題について、より専門的に検討する ために、本検討会議にワーキンググループを設置してはいかがかと考えております。ま た、そこで検討された内容については、適宜本検討会に報告するという形で運営してい ってはいかがかと考えております。  さらに、本報告書で指摘されたその他の事項についても、ヒューマンエラー部会及び 医薬品・医療用具等対策部会において、検討していただく予定としております。  また、本検討会議の今後の進め方ですが、部会やワーキンググループの検討状況、行 政の取組状況の報告等を受けまして、必要な検討を行っていただければと思っておりま す。なお、その実施時期やテーマについては、座長とご相談しながら進めさせていただ きたいと思っております。よろしくお願いいたします。以上です。 ○森座長  ありがとうございました。  いまのご説明について、何かご質問はございますか。いずれも将来の問題で、必ずし も中身が細かく決まっているわけではないと思います。いまこの検討会議が1つの報告 書を出すとはいえ、これからもなお存続して、枢要な部分は押えていってほしいという お言葉であると思います。ご質問はよろしいですか。ワーキンググループについてのお 考えはございませんでしょうか。 ○新木室長  ワーキンググループの人選及び進め方等については、座長とご相談しながら進めさせ ていただきたいと思います。 ○森座長  わかりました。ワーキンググループその他の詳細がまだ決まっておりませんので、人 選その他については、事務局と私で相談して決めさせていただきます。それでは、次回 の日程も含めて、何かおっしゃっていただけますか。 ○大谷課長  次回の日程はまだ調整中ですが、9月の初旬辺りを目途にしまして、その間の進捗状 況等についてご報告をさせていただきたいと思いますので、また後日連絡を申し上げた いと思います。  それから付け加えますが、各関係団体でどういうふうに取り組んでいったらいいかと いうご指摘がありましたが、実は本日16時から医療関係団体の幹部で構成している、 「医療安全対策連絡会議」を予定しておりまして、その場でこの報告書を踏まえ、医療 安全に関してお願いしてまいりたいと考えております。併せて、医療機関向け、医薬品 ・医療用具の供給者向け、教育研修機関向けにそれぞれ別冊にして、いただいた報告書 のエッセンスを、アクションプログラム的なものにまとめてお配りして、周知徹底を図 りたいと考えておりますので、併せて申し上げます。 ○森座長  次回は、おおよそ夏の終わりか秋の初めぐらいの予定で、皆様方のご都合を伺って決 めるということでよろしいですか。  厚生労働省のお二方の局長からお言葉をいただきましたので、私も曲りなりに座長で ございますから、一言申し上げます。  おかげさまでこうして報告書を形にすることができました。この間、委員の皆様方か ら等しく有益なご意見をいただき、ありがとうございました。また、とりわけ起草委員 の方々、さらにその座長を努めてくださった堺先生には細かいご配慮をいただき、あり がとうございました。また、事務局でも資料を揃えたり、日程の調整など、いろいろ努 力をしてくださいまして、心からお礼申し上げます。  傍聴の方々について、先ほど局長が一言お触れになりましたが、私も拝見しておりま して、何名が同じ方が何度もお見えくださっているという印象があります。オブザーバ ーとしてご参加くださったと理解しております。本当にありがとうございました。傍聴 者からの方々からもご意見をいただく機会があればよかったかと思いますが、それはで きませんでしたので、最後にコメントを頂戴する、お知恵を拝借する、場合によっては 厳しい評価を頂戴したいということで、事務局のほうでアンケートを用意してくれたよ うです。どうぞよろしくお願いいたします。  こうして出来上がった報告が果たしてどうか、その批判は私どもがするというよりも 、むしろ外から頂戴するべきものでありますが、ただいまの時点での印象としては、諸 外国から出ている同様のものに比べて、決して引けを取らないものではないかと考えて おります。やがて、この報告書に対するいろいろなご批判を頂戴できると考えておりま す。  しかし何よりも、先ほどの言葉にもありましたように、実行が大切であります。この 内容について、医療機関、メーカーの方々、教育界すべてを含め、何とか実現するため の対策を講じていただきたい。それによって、将来の日本の医療がより安心できるもの になることは、まず信じてよかろうかと存じます。くどいようですが、厚生労働省の当 局におかれましては、是非この実現にご努力いただきたいと思います。  予定より時間を超過いたしましたが、お詫びいたします。本当に皆様方ありがとうご ざいました。 (照会先) 医政局総務課医療安全推進室企画指導係 電話 03-5253-1111(内線2579)