02/04/12 第8回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会      議事録   第8回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会 議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課  第8回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第          日時:平成14年4月12日(金) 15:30〜17:30          場所:経済産業省別館9階944会議室                 1 開会                 2 議事         (1)小児慢性特定疾患治療研究事業の現在の課題の検討         (2)その他                 3 閉会 ○森本補佐  傍聴の皆様に事務局よりお知らせいたします。傍聴に当たりましては、注意事項をお 守りくださいますようお願い申し上げます。  それでは、座長、お願い申し上げます。 ○鴨下座長  ちょうど定刻になりましたので、ただいまから第8回の小児慢性特定疾患治療研究事 業の今後の在り方と実施に関する検討会を開催させていただきます。  最初に、委員の交替、出欠につきまして、事務局からお願いいたします。ちょうど年 度替りで交替がございます。 ○森本補佐  まず、事務局より委員の交替の御連絡を申し上げます。  まず、御紹介申し上げますので、その後、新しい委員からごあいさつやお考えなどを いただければ幸いでございます。  まず、4月の東京都の組織改正に伴いまして、小児慢性特定疾患治療研究事業を担当 されておられる課が変わったところでございます。これに伴いまして、これまで委員を 務めていただいておりました大久保委員に代わりまして、住友眞佐美東京都健康局医療 サービス部子ども医療課長に委員に御就任いただくことになりました。住友委員は、現 在、東京都における小児慢性特定疾患治療研究事業の御担当であるとともに、これまで も職務上、本事業に深くかかわっていただいていた方でございます。  では、住友委員、お願いいたします。 ○住友委員  東京都の住友と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  ただいま御紹介いただきましたとおり、私は2年前までちょうど今とほとんど同じ仕 事をしておりまして、今回看板をかけ替えたらまた同じ席に戻ってしまったという、役 所の人事では余りあり得ない人事で戻りましたけれども、また、この席に加わらせてい ただいて勉強させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○森本補佐  ありがとうございました。  次に、雪下委員に代わりまして、柳田喜美子日本医師会常任理事に委員に御就任いた だきました。お名前ですが、名簿のところに「やなぎだ」と書いてしまいましたが「や なぎた」の間違いでございます。深くおわびを申し上げます。  柳田委員は、小児科の医師で、社会保険八代総合病院小児科部長、国立都城病院小児 科医長などを歴任され、現在、宮崎県の柳田病院の副院長でございます。また、都城市 北諸県郡医師会会長を務められておられまして、女性が地方の医師会会長となられた一 番最初であると伺っております。  では、柳田委員、お願い申し上げます。 ○柳田委員  皆様こんにちは。このたび雪下常任理事の後をお引受けいたしました、日本医師会常 任理事の柳田喜美子と申します。よろしくお願い申し上げます。  この会は、第8回目ということでございまして、私は今までの経緯を少し御説明はい ただいておりますが、皆様のご意見を伺いながらこの会に出席させていただきたいと思 いますので、どうぞお見知りおきの上、今後ともよろしくお願いいたします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  なお、本日、雇用均等・児童家庭局長と審議官におきましては、別の会議に出席の都 合上少々遅れて参上する予定でございます。お詫び方々御連絡申し上げます。  それでは、座長、お願い申し上げます。 ○鴨下座長  それでは、早速検討に入りたいと思いますが、その前に、資料の確認をお願いできま すでしょうか。 ○森本補佐  本日お配りした資料は、お手元にあります「第8回小児慢性特定疾患治療研究事業の 今後のあり方と実施に関する検討会議事次第」と書いてあありまして、あと下にページ が振られてございまして、ラスト45ページまでございます。もし、後でごらんいただい て欠ページ等ございましたら、事務局の方にお申し出いただければ幸いでございます。  以上です。 ○鴨下座長  それでは、配付資料に従いまして御説明をお願いしたいと思います。 ○森本補佐  まず、5ページをごらんください。前回の検討会の主要議論点について簡単にまとめ せさていただきました。これについて簡単に御説明いたします。  まず、座長から、自己負担については恒久化できればやむを得ないのではないかとい う意見が多いというおまとめがあったところでございます。  議論の確認をすると、小慢患者を障害者に加えるのは無理。事業の名称も「特定」は 不適当というようだが、自己負担について恒久化はできず、自己負担が生じたではまず い。やはり恒久化を目指してほしいということで、御確認があったところでございます 。  小慢制度以外にも、いろいろな関係者に取り組んでほしいというイメージがあると。 特に、地域への働き掛けについて考えてほしい。  また、自己負担と法制化の関係ですが、法制化を視野に入れると自己負担が生じざる を得ないという点があると、事務局から説明があったところでございます。  「制度化」という言葉をよく用いていますが、これは、いわゆる法制化するかは別と して、恒久的補助金となり、今、閣議決定により行われている毎年10%削減の対象とな らないということでございます。  新しい疾患の認定についても門を閉ざさないという点。  知識の不足が教育現場において課題になっている。そこをよろしく頼むということで ございます。  あと、名前について御意見があったところですが、事務局から名前等の議論ではなく 、全体の考え方について御議論をお願いしたいとしたところでございます。  教育については、院内学級について行政縦割りについて御指摘があり、養護教員が病 気のことを知らないのではないかという御指摘があったところでございます。  縦割りの中で、実際にあっても知らないサービスがあるということです。  ただ、11番でございますが、あくまでこの検討会は小慢をどうするかということでご ざいまして、患者団体の要望は、この小慢事業の枠だけでは対応できず、他分野での対 応も必要であると、それはそれで対応すべきだという御指摘があったところでございま す。  あと「6か月」という言葉が、疾病の見直しのところでよく出てまいりますが、これ も基準としては何らかの区切りは必要だということ。  「将来」の意味は何かということについては、6か月よりも長期間のイメージという ことでございます。  対象疾病の病名主義でございますが、これについても今後の議論となるであろうとい う意見もありましたが、やはり病名主義はやむを得ないという意見がかなり強かったと ころでございます。ただ、検討会で個別の500疾病レベルの議論は無理でございますの で、大くくりの議論を願うという補足があったところでございます。  また、新しい疾病について、小慢への追加の手続がかなり難しいというので、どうし たらいいかという御指摘がございまして、特に、特定疾患、大人の難病につきましては 、特定疾患懇談会を毎年開催しているので、小慢でもこういう制度があった方がいいの ではないかという御指摘があったところでございます。  個々の患者の認定については、ワーキングチームで詰めていくということです。  意見書を書く資格について、指定医制度はどうかについて、その必要性の有無、現場 の必要性または困難性について御指摘があったところでございます。  認定する医師の経験についても、同様に医師ならだれでもいいか、または、特定の医 師にするかについて議論があったところでございます。  あと、小慢と医療保険改革の関係ですが、高額医療費が上昇すると、なかなか小慢と しては難しい面があるということを事務局から御説明申し上げたところでございます。  簡単でございますが、以上です。 ○宮本補佐  続きまして、7ページにあります「小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方に ついてのこれまでの主な議論」について、説明させていただきます。  これは、これまでに皆様方に御検討いただきました議論を集約したものでありまして 、今後、報告を取りまとめる際の出発点になればという趣旨でまとめておるものでござ います。  1番目には、小児慢性特定疾患治療研究事業の基本的な考え方についてということで ありまして、子育て支援の一環として患児の療育環境の向上や確保、患児家庭への支援 を包括的に行い、これによって患児の持つ可能性というのを十全に発揮させること、そ れから、患児の家庭の負担軽減や家庭が崩壊していくようなことを防止するようなこと が必要ではないかというような議論。  それから、ほかの施策と連携しつつ、これまで小児慢性特定疾患治療研究事業が行わ れてまいりました医療支援を中心としつつも、そのほかの療養環境の向上支援や医療技 術の向上支援にも努めていくべきではないか。  一方、医療支援を行うことによって対応できる患者も相当の割合を占めることに留意 する必要があるのではないか。  それから、現実的な制約として予算的な制約というものを意識して、制度を改良して いくということに配慮していく必要があるのではないか。  患者の皆様方の要望としては、3つに集約されるということで、医療費用が過大にな ることなくよい医療を受け、可能な限り治癒回復を図ること。それから、家庭の崩壊を 防ぎ、家族がまとまりながら患者を支えつつ、家族全員がそれぞれの人生を充実して送 ること。それから、患者の学校参加や就職等の社会参加を全うすること、そういった3 つに集約される。小児慢性特定疾患治療研究事業としては、それだけでなく、他の行政 施策や民間の取り組みも含め、全体の方向性を考えるべきではないか。この全体の方向 性の中で、小慢事業の果たす役割を考えるべきではないかといった検討でございました 。  続きまして、8ページに移ります。現在の小児慢性特定疾患治療研究事業が抱える課 題について、こちらの方はいつも言われておる課題というわけでありますが、その事業 が対象としております年齢というのが、疾患によりまして18歳未満と20歳未満に分かれ ており、その時点で課題があるのではないか。  それから、適応の範囲、事業の対象となっている範囲が、1か月以上の入院治療に掛 かる医療費のみを対象としている疾患群と、通院まですべてを対象としている疾患群に 分かれており、その点に課題があるのではないか。  それから、現在の対象としております疾患の中で、症状が軽微であったり、速やかに 治るということが期待されるような病気も含まれていて、この点にも課題があるのでは ないか。  現在、事業の対象となっていない疾患についても、既に対象となっている疾患と比べ て症状が軽いとは言えないという点から、今後は事業の対象として考えるべき病気があ るのではないか、そういった課題。  それから、「治療研究事業」という名称、目的の中で進められているものとはいえ、 病気によっては既に治療法が確立されていて課題があるのではないか、そういった検討 でありました。  続きまして、3番「今後の支援の対象とすべき疾患と対象者の基本的考え方」であり ますが、前回の会議で示しました内容が基本となると、議論の中心になるということで ありまして、今後の医療費支援の対象疾患を考えるに当たっては、重点的に考えるべき 視点があるのではないか。具体的には、生命の危険、それから、生活の質に与える影響 、医療費の負担、症状の経過、慢性に経過するか急性であるかというような、そういっ た点を考慮すべきではないかということであります。  それから、今後の医療費支援の対象者を考えるに当たっては、現在の少々だけではな く将来の症状変化の見通し、可能性というのも考慮するべきではないか。  それから、症状の程度に合わせたサービスにするべきではないか。  9ページに移りまして、今後の事業の中で新しい疾患を追加するに当たっては、対象 疾患の優先性を考慮し、順次加えていくべきではないかといった内容でありました。  それから、4番目「事業の名称について」でありますが、こちらも前回の検討の中で 議論がございましたけれども、今後の事業の在り方を考えますと、これまでの「研究事 業」という名称を変更し、より適切な事業名に変更していくべきではないかといった議 論がございました。  5番目「申請を行う医師・治療を行う医療機関の資格について」。資格といいますか 範囲ということでありますけれども、現在の小児慢性特定疾患治療研究事業では、医師 であれば申請のための意見書を書き、それが保健所を通じて自治体において認定される ということでありますけれども、ほかの制度を見てまいりますと、身体障害者の認定等 におきましては、資格要件を定めた指定医制というものが取られております。小児慢性 特定疾患治療研究事業にも自治体に認定を行うための専門医らによる協議会が設置され ており、これによって一定の水準が担保されているという意見もございますし、こうい った状況について将来どう考えていくべきかということについては、課題があるのでは ないかということであります。  それから、現在の事業は自治体と医療機関が契約し、その中で実施されているわけで ありますけれども、事実上その地域にあります、治療を行っているほとんどすべての医 療機関が対象となっているという点もございまして、そういった点を今後どのように考 えていくべきかというところであります。  6番目「今後の事業疾患の見直し方法について」でありますけれども、疾病の構造変 化ですとか、診断技術の進歩などの状況の変化、そういうものを考慮して小児慢性特定 疾患治療研究事業の対象疾患を追加または見直していく、対象から外していく、そうい った方法を検討すべきではないか。具体的には、何らかの定常的な組織が設置されるべ きではないかというような御意見がございました。  7番目「制度の安定化について」でありますけれども、小児慢性特定疾患治療研究事 業は現在、法律に基づかない予算事業であり、今後の安定的な実施については不安があ るということで、安定を図るため法律に基づいた事業とするべきではないか。  それから、他の医療費助成制度が基本的にすべて一部自己負担を徴収していることか ら、制度の安定化を図ることを目的として法律に基づく事業とする際には、他の制度と 同様の負担能力に応じた自己負担となるのではないか。  自己負担を徴収する際、煩雑とならない仕組みを考えるべきではないかといった論点 であります。  それから、8番「適切な医療福祉の提供など医療助成以外の取り組みについて」とい うことでありまして、こちらは2回にわたって行いました患者団体の皆様からのヒアリ ングなどの項目をまとめましたものが中心となりますが、医療助成以外にも多くの課題 があり、そういったものを小慢事業だけでなく、ほかの行政施策ですとか、民間が行っ ておりますような取り組みも含め連携して取り組むべきではないかという議論でありま す。  具体的には、一人一人の状況に合った適切な医療。それから、療養に必要な情報の入 手とサービスの調整。病棟保育士の設置を進めるなどの入院している患児のサポートの 充実。障害を未然に防ぐための日常生活用具・補装具の給付。在宅で介護をしている家 族が休息をとるためのサービスの充実。遠隔地で療養する際の家族のための宿泊施設の 整備。カウンセリングなど患児を持つ家族のサポート。一人一人の療養状況に合わせた 学習機会の確保。一人一人の療養状況に合わせた就労機会など社会参加の機会の確保。 関係者や一般の方々の病気や病気を持った患者さんに対する理解の促進といった課題で ありました。  そのほか、小児慢性特定疾患治療研究事業の申請ですとか更新手続をより簡素化し、 手間の掛からないものにしていくべきではないかといった議論もございました。  以上が、これまで皆様に御検討いただきました議論の集約した姿ではないかというこ とで作成させていただきました。  続きまして、11ページ以降についても紹介してまいります。  11ページにございますのは、前回ワーキングチームの先生方に検討いただいた中間報 告的なものとしまして、「今後の療支援の対象とすべき疾患と対象者の基本的考え方( 案)」というのを御紹介いたしました。15ページに同じものをつけておりますが、その 続きといいますか、現在10疾患群で行っております姿にそれを焼き直してみたというも のでありまして、現在対象となっております疾患の今後の新しい事業の中での方向性に ついて例示をしているものでございます。  1番から申し上げますと、「悪性新生物」というのは、現状すべての悪性新生物を対 象にしておるわけでありまして、この中で、更に頭蓋内または脊柱管内の新生物。組織 系的に良性であっても、病気の進行が悪性に匹敵するものであるということで対象に加 えておるところでありますけれども、そういったものが引き継がれているのではないか 。  それから、2番目の「慢性腎疾患」でありますが、現在1か月以上の入院に限定して 行っております治療群でありますけれども、そういったものを今後考えていく際には、 腎機能が低下しているというようなことを前提に各疾患をとらえていくような視点。そ れから、ステロイド抵抗性または再発を繰り返すようなネフローゼ症候群というような 視点。紫斑病性腎炎、血管性紫斑病という疾患がございますけれども、その後に一部腎 炎に罹患される方がいらっしゃいますので、そういった方の中でも、かなり多くの方は 自然に軽快していくということでありますが、残された重症の方の疾患事情について対 応していくべきではないかというような内容でございます。  3番目の「ぜんそく」でありますけれども、頻回に入院治療を必要とするような重た いぜんそくの患者さんを対象にするべきではないかという内容であります。  それから、4番目の「慢性心疾患」でありますが、合併症、残遺症、続発症があって 、そういった程度がかなり重いような方、先天性心疾患の手術後にそういった重い症状 が残るような方。それから、根治的な手術ができない状況でチアノーゼがあるような先 天性心疾患で重たい状態の方。それから、心筋症にかかられたような方、こういった方 々が対象になるのではないか。  それから「内分泌疾患」でありますけれども、各種のホルモン補充療法や機能抑制療 法が必要な各種疾患の状態。それから、成長ホルモン分泌不全性低身長症におきまして も、成長ホルモン分泌不全が確実と見られるような方を対象にすべきではないかという ような内容であります。  続いて12ページにまいりますが、「膠原病」の中では、免疫抑制剤などの薬物療法を 行っているような膠原病。それから、川崎病につきましては、比較的数日の入院で速や かに軽快する方が中心であるという一方、長期にわたって心臓の冠動脈、心臓を取り巻 いております血管が傷害され、長期に療養が必要な方もいらっしゃるということで、サ リチル酸製剤等の薬物療法が必要な心臓冠動脈障害を残す川崎病などということであり ます。  7番目の「糖尿病」でありますけれども、1型糖尿病は、インスリン依存型糖尿病と も以前言っていましたそういったような方々。それから、インスリンまたは経口血糖降 下薬が治療に必要となるような2型糖尿病の方という内容であります。  8番目の「先天性代謝異常」でありますが、特殊な食事療法を必要とするアミノ酸代 謝異常症、薬物療法の必要な金属代謝異常症、色素性乾皮症、軟骨異栄養症などであり ます。  9番目の「血友病等血液疾患」のグループでありますが、溶血発作を繰り返す赤血球 酵素異常症、それから、輸血療法を頻繁に必要とする赤血球疾患。血栓症を繰り返す血 小板血症。重症感染症を繰り返す免疫不全症などであります。  10番「神経・筋疾患」でありますが、この群は、元来、疾患を限定して成立している ところでありますけれども、もともと含まれております疾患群というのが、今後もその まま中心になっていくだろうという内容であります。  11ページに戻っていただきまして、繰り返しになりますけれども、これは例示でござ いますし、詳細、それから、今後更に新しく追加すべき疾患ということにつきましては 、今後ワーキングチームの先生方に検討を続けていただく予定であるということで、中 間的なものとしてお示しするということを御理解いただきたいと思います。  それから、13ページ。続きまして「今後対象としない疾患の基本的考え方(案)」と いうものについて御説明いたします。  今お話ししたように、今後、今あります疾患をどのように引き継いでいくかというの と、それから、新しく対象とすべきではないかという疾患については更に検討いただく ということでありますけれども、もう一つ考えなければいけないテーマとして、今、対 象となっておる病名でも、今後対象としない疾患について整理をすべきではないかとい う基本的な考え方を整理しているものであります。  大きく2つのカテゴリーがございまして、1つ目としては、既に使われない、それか ら、ほかの病名をつけることが適切など、その病気の名前を使うことが不適切ではない かと考えられるものであります。  1−1でありますけれども、より詳細な分類による病名をつけることが適切であるも のということで、例としましては、現在、小児慢性特定疾患治療研究事業は白血病とい う名前での申請を認めております。しかし、白血病という名前だけですと、それが急性 に進行していくものなのか、慢性に進行していくものなのか、それから、大きく分けて リンパ性白血病であるのか骨髄性白血病であるのかといった疾患の状況、動向を把握し ていくのに、より適切な病名があることからそういったものを求めるという点で、こう いった病名を該当から外していくということが適切ではないかという考え方であります 。  1−2でありますけれども、分類の変更など学問的な考え方の変化によりまして、現 在使われていない概念である病気などが幾つか含まれております。全くの例示でありま すけれども、スレオニン血症、ほとんど疾患概念として成立していないような、そうい った幾つかの病気がございますので、こういうものは整理をしていくべきではないかと いうことであります。  それから、1−3としまして、小児期には見られない疾患であるものということであ りまして、成人期に見られる病気の幾つかも、病気そのものとしては認められるのでは ないかということで現在対象の疾患に加えておりまして、例えば、マクログロブリン血 症ですとかたんぱく血症というような血液の疾患については、事実上小児には見られな いものであるということで、患者さんの登録もございません。そういったような疾患に ついては対象から外し、また、登録されている場合でも何らかの状況というのを確認し 、より適切な病名をつけていただくということが大切ではないかという考え方でありま す。  続きまして、2番目の事業の対象疾患として不適切と考えられるものということであ りまして、現在検討いただいておりますのは、その中で経過が急性であるものというこ とで、例としましては急性の甲状腺炎。甲状腺炎には慢性に経過するものと急性に経過 するものとございますけれども、その中で、そういったものというのは比較的速やかに 治る、治癒が図られるということがありますので、適切ではないのではないか。それか ら、溶血性尿毒性症候群といったものも検討の対象となっておりまして、症状としては 非常に重いわけでありますけれども、その中で一部の方は慢性の腎不全に移行していく 方もいらっしゃるわけですが、そういった方以外の大部分の方については急性に経過す る疾患であるということで、大部分の方にとっては対象として不適切ではないか。残っ た一部の方についても、そういった慢性の状況というのを別なそういった長期にある状 態を対象として考えるべきではないかということであります。  2−2には、症状が軽微であるもので、そもそも対象としてふさわしくないのではな いかというグループでありまして、具体的なものの1つしましては、不整脈の一部で症 状は全くないわけでありますが、心電図上のごく一部の異常、例えば、軽度の房室ブロ ックといったものというのは、対象の疾患としてはふさわくしないのではないかという ような検討がされています。  それから、2−3の手術等による治療によって、速やかに症状の軽快または治癒が見 込まれるものということで、幾つか検討に上がっているものはございますが、1つとし ましては、腎杯または腎盂の憩室というカテゴリーで現在対象となっておりますが、こ れらにつきましても、それそのものに症状があるわけではないというのが1つ。それか ら、症状がある場合も、手術等によって比較的速やかに治癒の軽快が図れるということ によって対象から外すべきではないかというような検討がされております。こちらの方 は先ほど申し上げたように、全体の検討の中の一部でありますので、今後とも引き続き 検討をお願いしているところであります。  私からは以上です。 ○鴨下座長  15ページからも続けてやりますか。 ○宮本補佐  すみません、15ページからございます資料は、先ほど説明しましたけれども、前回の 第7回で検討していただきました内容でありまして、関連しているということもありま すので、参考までに添付しているものであります。  それから、19ページ以降にも資料がございますけれども、19ページから44ページまで ありますのは、ヒアリングに参加いただかなかった団体からも御意見が寄せられた場合 には、皆様に御紹介するということでお伝えしておりましたが、前回までの間にいただ きました意見でございまして、幾つかの団体がございますので、参考まで皆様に配付さ せていただきました。 ○鴨下座長  資料の御説明はよろしいですか。どうもありがとうございました。  前回の分もそうですが、これまでの議論をよく論点の整理をしていただいているので はないかと思いますけれども、7ページから10ページまででしょうか。あとまた、対象 疾患についての考え方も、これまで議論のあった部分を踏まえて書いていただいたよう に思います。以上の資料につきまして、これからしばらく自由に御討議をいただきたい と思います。いかがでしょうか。  一応、資料番号というか、前回の議論について何か特にコメント、追加あるいは新し く委員に加わっていただいた方々で、お気付きのことがあったら是非言っていただきた いと思います。 ○加藤委員  この後で発言させていただいてもいいんですが、前回の議論で医者の資格とか医療機 関をどうするかという話が出ていましたが、現実的には確かに専門医の先生方が多くの 医療意見書を書かれているのだと思います。ただ、現実的には、地方で開業されている ような先生が書く例もあるでしょうし、やはり患者さんの利便性を考えると、医者であ れば一応原則としては書けるようにしてもらった方がいいのではないか。勿論、卒業後 何年間経ってからしか書けないというのだったらいいと思うんですが、ほかの診療科の 先生にも書けるようにしてほしい。しかし、それだけですと、不十分になってしまうお それがあるので、医療意見書に書かれた病名、登録される病名は先ほども説明があった んですが、余りあいまいな病名ではなくて、はっきりしたきちんと統計を取りやすいよ うな形での病名だけしか登録できないようにしてもらえれば、現実的には、より専門の 先生に書いてもらえるようになるのではないかというふうに考えています。白血病とか 糖尿病とか慢性糸球体腎炎とか簡単に書けるような病名は今後は削除したい。そうすれ ば、現実的にはやはり専門医が書くようになるのではないかというふうに考えています 。やはり小慢の疾患は種類が非常に多いですので、その点も考慮したいというふうに考 えております。  以上です。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかに、今の点に関係して何かございますか。 ○小林委員  今のことではないんですが、よろしいですか。10ページなんですけれども、7番に制 度の安定化について出ているんですが、4行目に「負担能力に応じた自己負担となるの ではないか」ということなんですが、この「負担能力」という言葉は、所得に応じたと いう意味なんでしょうか。そういうことでここに出ているんでしょうか。 ○谷口母子保健課長  基本的には、法に基づくということにもなりますと、一例として、育成医療でござい ますとか結核の療育の給付ということが想定されますので、そうなりますと、どうして も所得に応じたということは我々としては無視できないという意味でございます。 ○加藤委員  前回だけではなくて、今までの主な議論の点に関して言えば、7ページの「基本的考 え方について」ですが、ここでよくまとめられているように、ほかの施策と連携しつつ 、予算的な制約を意識して考えていかなければならないということは、やはりほかの制 度で対象となっている疾患とか患者さんは、ほかの制度で原則として救済される方向で 、予算が足りないということを考えれば、ほかの制度で救済されないものを原則として 小慢対象としてほしいというふうに考えております。 ○鴨下座長  よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○永井委員  前回、欠席しまして状況は記録で読ませていただいたんですけれども、10ページの8 番「適切な医療福祉の提供など医療費助成以外の取り組みについて」というところなん ですが、私のところのセンターの現状から申し上げまして、前回、小林委員さんの方か らも、地域におけるセンター的なところが必要というようなお話がございましたが、本 当にそれは開所3年目になりますけれどもつくづく感じています。例えば、前回の記録 の中にもございます学校教育への啓発という意味でも、養護教員さんはもとよりですが 、養護教員さんといいますのは、学校の中で1人または大きいところで2人体制の中で 、学校全体のものとして病弱児を受け入れていくということが非常に難しいという現状 がございます。それで、一番保護者が相談するのは担任の先生だという現状が私のとこ ろでもわかりまして、やはり養護教諭は勿論ですけれども、学校全体での取り組みとい うことも非常に大事ではないかということを1つ思いましたのと、行政の役割として、 今は非常に病弱児の取り組みというのは家族会の方々が本当に一生懸命やっておられる んですけれども、行政として何らかの形でもこういう相談的な機関がどういう形であっ てもあればいいなというのを実感として感じています。 ○鴨下座長  ありがとうございます。  ほかにいかがでしょうか。 ○山本委員  今の永井委員のお話と関連して、10ページの8番のところで、一人一人の療養状況に 合わせた学習機会の確保という、子ども自体のことは一応触れてあるんですけれども、 今お話があったように、周辺の理解とか前回申し上げた知識がないための不適切な対応 とか、その辺をいかに改善するかという点も、何か触れてほしいなという感じは持ちま した。  以上です。 ○永井委員  もう一つよろしいでしょうか。6ページの12番の6か月という基準に関してなんです けれども、今回、学校教育法の施行例の中では、病弱者というのが以前は6か月という のを区切られていたんですが、今回は「継続して生活規制を必要とする程度のもの」と いうふうに新しくなっているんですけれども、そこら辺の関連、整合性というのは別に 考えなくてもよろしいですか。 ○鴨下座長  これは、どうでしょう。考えなければいけないと当然思いますけれども。この委員の 先生方で何か御意見があれば。事務局は何か意見がありますか。6か月ということは以 前から。 ○宮本補佐  十分承知しているわけではないので不適切な内容なのかもしれないんですが、間接的 に聞いておる範囲では、そういった基準があることによって、そこを超えないと対象に ならなかったという経緯があるので、そういうものを改善していく方向性、必要性とい うのがあったんだということを少し伺ったことがあるように思うんですが、どうだった でしょうか。もし、御存じであれば。 ○山本委員  今おっしゃったことで6か月という数字で示しますと、これは教育の対象ということ で、病気の子どもを病弱教育の対象にするときの1つの基準としてあったわけなんです けれども、6か月という数字がかなりいろいろな影響を与えるということで、今、永井 委員からお話があったような方向で考えようということで進んでおりますので、それで 、私も前回この6か月という、ここで出ていることについて、それとの関連で御質問し たんです。 ○鴨下座長  よろしいですか。 ○小林委員  たしか、この6か月というのは加藤先生がおっしゃって、小児慢性疾患の「慢性」と いう意味は6か月ということだったですよね。 ○加藤委員  個人的に別に6か月じゃなくてもいいというふうに思って、別なところで3か月と出 したら、宮本さんがまた6か月に直したという、ちょっと私も何と言っていいかわから ないんですが、従来、慢性糸球体腎炎みたいなものは6か月以上血尿、たんぱく尿が続 いているというような基準になっていましたし、一般的に病気で「慢性」とつくと6か 月以上というのが多いのかなというぐらいです。果たして医療関係では何か月になった ら慢性とはっきり定義されている病気はそんなに多くはないと思います。あくまでも今 、山本先生が言われたような感じで、大体の概念的に急性か慢性かということであって 、その意味では6か月と区切らないで、継続して何らかの問題があるもの、症状を示す ものというものでもいいのではないかと個人的には思っていますが。 ○柳田委員  ちょっと意味は違うと思うんですけれども、介護保険分野におきまして15の特定疾病 が決められておりますが、これに対して主治医が意見書を書くわけですが、9ページの 先ほど申されました「申請を行う医師・治療を行う医療機関の資格について」でござい ますけれども、医師であれば申請のための意見書を書くことができるが、身体障害者の 認定等においては資格要件を定めた指定医制を実施していると。  この辺りをもう少しはっきり御説明いただきたいと思います。 ○鴨下座長  ここの御説明ですか。では、事務局から。 ○宮本補佐  そこに示しておりますのは現状ということで、特に前回そういった部分での議論がご ざいましたので取り上げたという次第です。全くの現状でありまして、小児慢性特定疾 患治療研究事業は、それぞれの主治医が対象になるという内容の意見書を書きまして、 それを自治体、保健所に提出をいただいて、それぞれの自治体では専門医から成ります 小児慢性特定疾患の審査を行うための協議会を設置しておりますので、そういった手続 を踏んで認定される仕組みであるというのが一方。  障害者の手帳の認定の仕組みは、そういった自治体が申請することのできる医師を指 定しておりまして、そういった手続で実質的な質の担保を行っているというようなこと 。そういうさまざまな仕組みによって担保する方法があるなという現状について、今後 どう考えるのかといった議論があったということを示したものであります。 ○柳田委員  これにつきましては、これからどうするかということで検討が行われるわけでしょう か。 ○宮本補佐  御意見がございましたら。  それで、この場で恐縮なのかもしれませんが、雪下委員からは、広く患者さんの利便 を考えて申請できる窓口が多い方がいいというような趣旨での御発言がございました。 ○鴨下座長  今日は御欠席ですけれども、高松委員が整形外科関係で身体障害者のことをよく御発 言になる。知事の認可で非常にストリクトな資格をやっていますけれども、小慢につい ては小さい子どもが対象ですし、そういうような余り厳しいものはなくて、さっき加藤 委員も言われましたが、医療機関についてもできるだけ患者さんが手近なところで申請 書を出せるような格好にしないといけないのではないかというのは、私の印象としては 、むしろ、この委員会全体のコンセンサスのように思っております。 ○柳澤委員  今、鴨下先生が言われたような方向で勿論正しいと思いますけれども、実情は、現在 使われている10疾患群ごとの医療意見書に求められる診断の根拠というのは、かなり専 門性が高いものが多いわけで、かかりつけのドクターのところで初診の段階ですぐ書け るというようなものではないと思います。ですから、それなりに専門的な病院にかかっ て、小児科の中でも更にサブスペシャリティを持ったドクターのところで診断のための 検査が行われた上で書かれているというのが、全部ではないにしても実情というか、多 くはそのような意見書が書かれていると思います。ですから、そういう意味で、現在以 上に特に厳しい制約を課す必要が必ずしもない。それから、また更に、自治体のレベル で協議会がそれをきちんと審査するという制度があるわけです。それをもっときちんと 行うということでよろしいのではないかというのが、今までの議論ではなかったかと思 います。 ○鴨下座長  柳澤委員があれをつくられんたんですよね、違いましたか。ですから、そういう意味 では、今の発言は大変重いのだろうと思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。何 でも結構です、自由討議で。 ○小林委員  何度も何度も度々申し上げて誠に申し訳ないと思うんですが、7番の「制度の安定化 について」ということなんですが、実は先だっても患者たちの集まりがございまして、 この小慢の検討会のスタートが、そもそも制度をどう将来にわたって安定化するかとい うことだったはずだと。しかし、この検討会の中でも余りそういった話が出なくて、一 体どうなってしまうんだというようなことで随分しりを引っぱたかれて来たんですけれ ども、ここでは法制化すべきではないかという、法律に基づいた事業とするべきではな いかということなんですが、法律にするのがいいのか、あるいは法律でない制度化もあ るというふうに聞いたりしたこともあるんですけれども、そういう方法であっても制度 が安定化すればきっといいんだろうなというふうに思うんですが、この辺はこの中でも 本当はとても重要なことなんだろうと私自身は思っているわけです。今後、どんなふう に議論していったらいいのか、考えていったらいいのか、ちょっと皆さんの御意見をお 聞きしたいなというふうに思っているわけなんです。 ○加藤委員  今の点に関連して、私が聞いている範囲では、結局、法律にするためには国会を通さ なければならない。そうすると、ほかの制度との兼ね合いがあるので自己負担はやむを 得ないのかなと。自己負担なしで小慢だけを通す可能性がゼロではないけれども、やは りある程度自己負担があった方が国会を通りやすいのではないかという話を、私は最初 聞いたように思いました。その後、恒久的補助金の場合だと10%削減の対象にならない という場合は、自己負担なしでも通るということなんですか。そこがちょっと前回わか らなかったんですが。 ○鴨下座長  それは、前回の制度化の意味ということですか。これは、5ページの5番について、 事務局のお考えは何かありますか。 ○谷口母子保健課長  5ページの5番のことでございますね。制度化の意味ということでございますけれど も、自己負担と今申し上げている法制化、それから、法制化に基づかない制度化という のは必ずしもリンクしないということなんです。基本的に、安定化するためにはどうい うやり方があるかというと、1つは確かに法制化ということもありましょうし、ほかに どういうやり方があるかというと、今は単に、我々の用語で言えばその他補助金と位置 付けられていますけれども、制度補助金とこれは法律に基づかない普通の補助金のカテ ゴリーがございますが、そういったものになった場合でも安定化するという意味では、 法律と似たような安定化という道がたどれるわけであります。その場合に、自己負担が 要るかどうかというのは別にリンクしている話ではないんです。自己負担の問題がかな りあれされましたのは、法制化をした場合に、法律というのはどうしても横並びという ことを考えますので、従来の法律を見てみた場合に似たような制度、こういう公費負担 の医療の制度が法律にあるものを横並びで見た場合に、必ずそれには大体自己負担とい うものが制度としてくっついておると。それを考えると、それを全く無視してというの がなかなか行政としてはつらいということを前回申し上げたのでございます。その辺が ちょっと文章が舌足らずにこの5ページはなっておるのかもしれませんけれども、そう いう趣旨であるということを御理解いただければと思います。 ○小林委員  よくわかりました。  負担あるなしは別にしまして、一応、患者たちは自己負担は少しならしてもいいよと 。患者団体がそんなことを言うことは余りないのではないかと思うんですけれども、や はり制度がそれだけ大事なもので、いろいろな国の経済的な実情がそれだけ追い込まれ ているものだというようなことは、患者たちなりに十分理解して、それはやはり自分た ちのことだけ主張するわけにもいかないだろう、国全体のいろいろな兼ね合いも考えな ければいけないだろうということで、驚くほどの妥協をしているんだろうなというふう に思うわけなんです。そういう流れの中で、そこまで患者たちが歩み寄っている中で、 制度化についてこうなっていくんだというようなことが患者側からなかなか見えないも のですから、そこに不安というか、終わってみたら一方的に予算は削減されて負担だけ 残っていくのではなかろうかというような心配も出てきはしないかというふうに私は心 配しているわけなんですけれども、その辺のこれから先のことをどんなふうに考えてい くのか。別に、無理やり答えをと言っても難しい部分もあるかもしれないんですが、ち ょっとその辺、皆さんのお考えや御意見をお聞かせいただければなというふうに思うん です。 ○鴨下座長  これについては、いかがでしょうか。私は、多分そういうことはないという前提で皆 さんの議論は進んでいるように思うんですけれども。法制化されれば、ある程度の自己 負担はやむを得ないだろう。だけれども、制度としては安定すると、そこまでいけるか どうかはわからない。この委員会で提言はできるかもしれないけれども、それで果たし て大丈夫かどうかということですよね。それについては、皆さん御意見はあるかもしれ ないけれども、結論というのがこうだということは、恐らく事務局でも難しいのではな いでしょうか、いかがでしょうか。何かおっしゃっていただけますか。 ○総務課長  基本的には、制度化とか今後新しい仕組みをつくるというのは政府の責任できちんと やるわけです。政府の責任でやるときに、いろいろな技術的な問題、それから、仕組み をつくる上でのいろいろな患者さんの実態ということを踏まえるために、私どもはこの 検討会の御議論を是非活用させていただきたいと思って、昨年来やらせていただいたわ けですね。制度化するときにいろいろな仕組みがあるわけですけれども、例えば予算だ けでやるに当たっても、8月31日に私どもがどういう形で御提案をするか。御提案をす る中で、年末までに最終的な予算の姿になる前に十分時間がありますから、また御相談 をすると。それから、予算案になったときも国会に出まして予算を審議すると。その中 で、本当にこういう仕組みがいいのかどうかというのは十分御議論をしていただくとい うことが、仮に予算だけでやるとしてもそういうことになると思います。  それをより法律的な問題にするとすれば、更にもう少し緻密な手続がございまして、 予算関連の法案にするのか、予算非関連の法案にするかいろいろ手続がありますけれど も、基本的には、私どもは冬ごろまでにきちんとした概要をお示しし、当然この場でも 御相談をしてきているわけですから、この場でもお示しをし、更には、与党の手続を踏 まえて、十分な議論を踏まえて、国会に出すまでもその中でも御議論をさせていただく と。大体2月ぐらいには法案の場合は出す、予算関連の場合は出すし、予算非関連の場 合は3月までに出すと。その間、相当な御議論があるわけです。ただ、今現在は、確か に今御案内のようになかなか姿が見えないので、我々も今が一番苦しいときでございま して、むしろその苦しいときにこういう御議論を踏まえて、例えば8月なら8月に予算 を出すとき以降は、かなり具体的な姿を持ってお示しをし、その間12月までに十分な関 係者との御議論をするという時間はありますので、確かに今はいろいろな議論をしなが らも1年ぐらい経っているのになかなか姿が見えないなと。最終局面でよくあることで 、ほかの制度をつくるときもよく我々は御批判を受けるんですけれども、もう少しお待 ちくださいというのが本音でございます。 ○鴨下座長  よろしいですか。そういうことで、今のお話はよく理解できるように思います。です から、委員会としてそこのところをできるだけはっきり要望といいますか、報告書に書 いておくということではないでしょうか。  ほかにいかがでしょうか。9ページに名称の問題がありますが、これは特別御意見ご ざいますか。でも、治療研究事業ですから、そこを切らないでもいいように思うんです けれども、このことに関して委員の御意見があれば。 ○柳澤委員  事業の名称として「研究」というのを入れるか入れないか、これはいろいろ意見があ るかと思うんですけれども、私は、この事業自体の中に研究というものは1つの重要な 要素であり欠かすことができない視点だというように思っておりますので、そういうこ とがわかりやすいという意味で、名称にも「研究」という言葉が入っていた方がふさわ しいというふうに思います。 ○加藤委員  特に名称にこだわるつもりはないんですが、こういった治療研究事業があるために、 いろいろな意味で研究に役立っているというふうに考えています。まず、無料で患者さ んが診療を受ける、必要な患者さんすべてがちゃんとした医療を受けられることによっ て、この事業そのものが直接研究しなくてもほかの研究面に役に立つわけですし、やは り医療費の助成そのものが私は研究に即役立っているのではないかというふうに長い目 で見れば考えています。そのほかに、ここでやはり登録もしていますし、登録して疫学 的な調査にも役に立っているし、今後はそれが縦断的に解析できれば、まさにこれは治 療研究というふうに言っていいのではないかというふうに考えています。 ○柳澤委員  今の加藤委員の意見に補足しますけれども、おっしゃったとおりであって、比較的直 接的な疫学的研究だけではなくて、この制度自体がこういった子どもの難病の治療の進 歩に非常に役に立ってきたということは、特に小児のがん、悪性新生物などの領域では 、その領域を専門にする人たちが強く主張しています。小児がんが小児慢性特定疾患の 対象疾患であったということが、現在の治療の進歩に非常に大きく貢献しているという ことが言えるかと思います。 ○鴨下座長  治療法が確立するといっても、常によりよい治療法をまた目指して研究はしなければ ならないと思いますので、「研究」という字を外す理由はないのではないかと思います 。  あとはいかがでしょうか。 ○山城委員  10ページの8番「適切な医療福祉の提供など医療助成以外の取り組みについて」とい うことですけれども、今までのディスカッションに出てまいりましたように、ある程度 の自己負担をもしやむを得ないとした場合に、ただ、ほかの面での事実上の補助は、こ ういうことをやることによってかなりバランスが取れるというか、自己負担をするとい うことはあったとしても、例えば、この社会資本的な医療補助、福祉ということでくく れないような部分がありますが、これはやはり充実させていくという提言が、大人もそ うですけれども、特に子どもの場合は教育と学校、それから、成育という面が非常に強 いですから、この面もかなりこの委員会としては強調すべきところではないかと。そこ がまた大人と違うところでもあるんだと思うんです。 ○鴨下座長  よろしいですか。つまり具体的に言うと、自己負担分があってそれの使い道というこ となんですかね。 ○小林委員  座長が私の顔をごらんになっておっしゃるので。さっきどなたかもおっしゃったんで すけれども、社会一般の知名度が高い意識というのは、こういう小慢の病気のお子さん たちに対しては相当低いというような印象を非常に強く持っているんですね。ですから 、ある意味で山城委員おっしゃるように、啓発、知らせていったりというさまざまなこ とが必要だろうと思うんですが、私自身の個人的な意見としては、小児慢性疾患という 制度の中でとらえる必要は何もないのではないか。むしろ、国が地方の行政やあるいは 民間や、ここには「関係者一般の」というふうに書いてありますけれども、本当に広い 意味で社会全体にこうしたことを知らせていくような宣伝といいましょうか、広めてい くようなこういういろいろな民間や行政機関やそういうところが取り組みやすいような バックアップをしていただける、広報していただけるといったことを、健やか親子もそ のうちの一環だろうと思うんですけれども、より力を入れて進めていただくというよう なことがきっと必要なのだろうと。そういったものをまた、この検討会の結果の中に盛 り込んでいただいて、具体的にいろいろな行動をしていただければ、かなりそういう点 で改善されていくのではないかというふうな感じを持っているんです。 ○鴨下座長  そういう意味では、この7ページから10ページまでは非常に重要なサマリーで、これ が恐らく報告書の骨格になるのではないかと思います。今のことも、たった1行ですけ れども出ておりますし。  ほかに、もう少し追加すべきことがあれば御意見をいただければと思います。 ○小林委員  もう一点。そういう中でも、特に障害者福祉といった部分でカバーされていないとこ ろがあると思うんです。ここで言うと、例えば、障害を未然に防ぐための日常生活用具 、補装具というようなことが書かれておりますけれども、今、障害者の場合は、ある障 害が表れて固定されないといろいろな補助がされないわけですけれども、その以前に、 もうわかっていることが随分たくさんあるわけで、これまでの制度の中で拾えていない ところを、これは是非制度に入れて拾えるような形が取れればいいなというふうに個人 的には思っています。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。  対象疾患についての考え方はよろしいでしょうか。ここに上がっている例示はごく一 部で、500ぐらい疾患があるわけですよね。ですから、最後に何々「等」と書いてある 「等」が大変意味を持っているのではないかと私は思うんですが、余り個々の病気に深 入りするのは、今日この委員会での目的ではないように思いますけれども、もし何かこ の点に関して特段御意見があればいただきたいと思います。それと併せて、13ページの 「今後対象としない疾患の基本的考え方(案)」というものがあるんですが、これも先 ほどの御説明で大体理解できたと思いますけれども、何かこれに対する御意見があれば 。 ○加藤委員  今の11ページ、12ページはあくまでも例示ということで考えています。今、鴨下先生 が言われたように、とにかく「等」というのが大事だということですが、殊に8番の先 天性代謝異常と9番の血友病等血液疾患は非常に種類が多い、頻度が低い疾患が多いの で、ちょっと全部を列挙するのも大変だなということで、ごく少数だけを挙げていると いうふうに理解しています。10番目の神経・筋疾患はなぜか「等」がついていないんで すが、種類が少なくて比較的多くを挙げているので「等」がついていないのかなという ふうに理解しました。  以上です。 ○鴨下座長  10番は「等」はつけ忘れではないですか。 ○宮本補佐  これは、繰り返しますけれども、現状小児慢性特定疾患治療研究事業に含まれている 疾患の今後の方向性ということで、10番の神経・筋疾患については、もともと対象とし ております疾患が非常に限られおりまして、基本的にこれがすべてであるといった、ほ かの疾患群との違った姿ということが表現されております。繰り返しますけれども、新 規に追加する部分とかそういった詳細については、また別途に検討を進めていくという ことですので。 ○山城委員  患者さんの団体からの要望書を読んでみますと、あるとき症状が治まって対象から外 されて、それが再発したときに指定になっていないので治療が遅れるというような不安 を書いていらっしゃるところが結構多いんですけれども、これは、確認なんですが、も ともとそういう疾患というのは慢性で難治性のことが予想されるわけで、途中で打ち切 るとかあるいは再発したときに重症であれば再認定を受けるというようなことは書いて はいないですけれども、そういうことは言外にあるわけですね。それは救済すべき方が いいのかもしれないですね。そういうことに対する不安の記載が結構ありますので、そ れは確認をしておいた方がいいのではないかと思います。 ○鴨下座長  今の点もおっしゃるとおりですね。多少それに絡みますけれども、18歳と20歳の年齢 の問題も整理しなければいけないのかなと思いますが、いかがでしょうか。 ○加藤委員  今の山城先生の御意見はそのとおりだと思います。今までは新規か継続だけしか○を つけるところがなかったんですが、一応「再開」という項目もつけましたので、医療意 見書を見てもまた再発した場合には申請できるんだなというのが見てわかると思います 。 ○山本委員  1つ質問していいですか。基本的な質問になってしまうと思うんですが、13ページの 1−1なんですが「より詳細な分類による病名をつけることが適切であるもの」、この 例と今後対象としない疾患との関連について、ちょっと御説明をお願いしたいんです。 ○宮本補佐  先ほど御説明した例示は、白血病という病名を申し上げました。その白血病というの をいろいろな病態、それから、転帰というのを含んでおりますかなり大ざっぱな病名で すので、一般の方から聞きますとああそうかというふうにわかりがいいのかもしれませ んが、そういった病気の状況を統計として把握していく際には、もう少し病名に情報が あった方がいいのではないかという趣旨から、そういった議論が行われているものです 。もう少し具体的に申し上げると、白血病の中にも急性に進行していくものと慢性に進 行していくものとありますし、リンパ性白血病と骨髄性白血病とございますし、それで も十分ではないという意見すらありまして、そういった余りにも細か過ぎない、それか ら、逆に、大ざっぱにならないといったところで役に立つ、そういった病名を使ってほ しいという趣旨であります。 ○加藤委員  若干追加させていただきますが、白血病そのものを対象外とするというのは全く考え ておりません、当然ですが。白血病の場合は、あくまでも組織診断でもうちょっと細か い分類で申請してほしい。それから、糖尿病の場合も、糖尿病の1型か2型かは検査と か結果を見ればわかるはずですので、その程度の診断がつく病院で診察を受けてもらっ た方がいいのではないか。それから、慢性糸球体腎炎の場合はやはり組織診断で申請し てほしいということで、1つ1つの疾患は若干違いますが、基本的にはあくまでも詳細 な分類で申請してほしいということで対象外とするというふうには考えていないもので す。 ○山城委員  これは蛇足かもしれませんけれども、医療関係者はわかっているんですが、例えば「 急性」という名前がついたからといって、それが外されるわけではないわけですね。急 性リンパ性白血病というのがあるわけですけれども、そういう「急性」という名前で外 すのではなくて経過で考慮するということなんですね。ただ、そこは一般の方はすべて の方がそういうふうに御理解なさっているかどうかは別ですので、今のは例えば「白血 病」という名前で出しておいて、括弧していろいろ病名を入れた方がいいのかもしれな いですね。「白血病(急性白血病・急性リンパ性白血病・急性骨髄性白血病)」とか、 そういうような幾つか名前は入れておいた方がいいのかもしれないですね。「急性」と いう名前にとらわれて、中にはこれはだめなのかという人が、勿論主治医から説明を受 けますから、そういうことはないとは思いますけれども、ただ、危惧するところではあ りますね。 ○柳田委員  今のお話を含めまして、こういう小児慢性特定疾患早見表というのが平成10年度版に 出てるわけですけれども、先ほどおっしゃいましたように、スレオニン血症であるとか 溶血性尿毒症症候群ですか、そういうものは小児にはまれであるから外すというような 方向でいくとおっしゃいましたけれども、この辺りを今後整理して、今のような御意見 も含めてまた再改定して出していただくということがあるのでございましょうか、お伺 いしたいと思います。そうしていただければ大変ありがたいなと思います。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。ほかに何か。  13ページの2ですが、経過が急性であるということで、必ずしも病気に「急性」がつ いているからという意味でないことは、大体医者であればわかると思いますけれども。 ただ、逆に、上の1−2などは、さっき挙げられたスレオニン血症などとというのはす ごくまれな病気で、これは一体どういうものがあるのかなというのは、ちょっと考えて もなかなかわからないのではないかと思うんですけれども。分類の変更によって現在使 われない疾患概念、医師国家試験の問題に出してもいいのではないですかね。私は言わ れるまでわからなかったですが。病名が変わったり、本体が明らかになってというよう なものはありますね、いわゆる慢性難病の中にも。  今日は、後ろの方につけていただいているヒアリングにはお出でいただかなかった団 体の意見をざっとお目通しいただくと、いろいろまた患者団体の方々の御意見がわかる と思いますけれども。  まだ少し時間がありますがどうでしょうか。小林さん、自己負担のことを少しやりま すか。 ○小林委員  いろいろ皆さんの御意見も伺って。 ○鴨下座長  一部自己負担の徴収、これは10ページの上のところだと思いますけれども、制度の安 定化のためにそれはやむを得ないという前提に立って御議論をいただければと思います が、具体的にどういう方法、例えば所得という話が出ておりますけれども、それにして も煩雑とならないようにするにはどうすればいいか、そういった点で何か委員の間で特 に意見があれば。住友委員はお帰りになりましたけれども、山城委員、何かお考えはあ りますか。 ○山城委員  これも非常に難しい問題ですよね。概念的には所得に応じてということは一応理解で きるんですけれども、ただ、所得と家庭内の経済状態は必ずしも一致しない。それをど ういうふうな形で消化していくかというのは、家族の例えばお子さんの数、それから、 仮に同じ疾患のお子さんを2人抱えていた場合とか、そういうようなことがあったとす ると、それはどういうふうに評価していくかというような、その辺まで考えていかなけ ればいけないのではないか。細かい検討が必要で、これはただ所得に応じてということ ではなくて、その辺の細かいことの検討も必要になってくるだろうというふうに考えま す。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員  基本的には、確かに所得に応じた負担が望ましいんでしょうが、現実的には地方自治 体の手間が掛かる、所得税や何かをだれがどういうふうに見て、自己負担額をどういう ふうに決めるのか、やはりいま一つ見えてきませんし、山城先生が言われたように、本 当の所得と実際の生活レベルとがいろいろな意味で違っている。今言われた以外にも、 やはり若い親というのは、おじいさん、おばあさんは4人いますし、そこから結構いろ いろな援助を得ている。単なる金銭的なものだけではなくて、住居とか保育所の送り迎 えとか、いろいろな物品や何かももらっていますし、半分以上の家庭は少なくとも何ら かの形で援助を受けている。そこら辺の収入とか経済状況も考えないと、やはりそれぞ れの所得がどうかというのはわからないのではないか。そういうのを全部把握するより は、一律月1,000円とか2,000円ぐらいで自己負担、医療機関で徴収してもらった方が、 お互いかえって平等になるのではないかというふうに個人的には考えております。 ○鴨下座長  どうでしょうか。ここは一番報告書でもめるところではないかと私は思っていたんで すが。是非、御意見があればいろいろ言っていただきたいと思います。  永井委員はいかがですか。 ○永井委員  今、育成医療とかでは市町村で実際にやっているんですけれども、所得税の関係でし たら、書類の提出とかそういうものもあって大変だろうと思うんですが、私も所得と生 活状況というのは本当に違うということがわかりますので、やはりある程度の金額、一 律の方がいいのではないかというふうに思います。 ○小林委員  初めは、私も所得に応じた自己負担がいいのだろうと実は思っていたんですけれども 、みんなと何度も何度も話してくるうちに、どうも皆さんはやはり一律の方がいいとい う方の方が多いみたいなんですね。そんなものなのかなというふうに思ったんですが、 さっき山城委員がおっしゃったんですけれども、やはり代謝異常だとかその他もそうな んですが、2人お子さんがいらっしゃる家庭が結構あるんですよ、少なくない。例えば 、健康保険の高額医療費などの場合には世帯単位で月の負担が幾らになると返されると いう制度なんですけれども、今の小慢の制度は一人一人ということですから、今のまま だとすごく大きな負担になってしまうというようなことがあると思うんです。  それから、この前も意見が全然反対になってしまったんですが、確かに、御医者さん たちのお子さんなどは結構親から見てもらっているかもしれませんけれども、普通サラ リーマンはそんなに親掛かりではないというふうに私は思っていまして、結構自分たち で苦労しながら、自分の子どもそうですけれども、働いて家賃も自分たちで払っていま すし、そう恵まれている人はそんなに多くないのではないかなというふうに思うんです 。  負担の額については、やはり少なければ少ないほどいいということをみんな言ってい まして、具体的な負担額、このぐらいならというのは1,000円とか2,000円という具体的 な数字は言葉として表れてはいますけれども、一体今後どうなるかなと思っているわけ なんですが。 ○鴨下座長  ほかにいかがですか。御意見があれば是非。  今の御議論を踏まえますと、一律にするか、それとも能力に応じての負担とするにし ても、非常に簡略な、大ざっぱなものということでしょうかね。 ○総務課長  世の中の一般的な常識だけちょっと申し上げますと、社会保険とかいろいろな契約の 世界で、当初例えば、一定額を払うのであとはこういう医療の給付をしてくれという世 界と、制度の仕組みにもよるんですけれども、例えば、全額公費を負担するときに、税 金をどういう形で使うかというのはある意味では非常に意思決定があるわけです。その ときに、国民からいただいた税金を本当にフラットな形で、どんな所得の高い人にもこ れを差し上げますという形の議論が通るのか通らないのか。あるいは制度の仕組みによ るんですが、それでは、そういう国民の税金に積み込まないで、もう少し患者さんたち からの保険料みたいな形で蓄積したものを投入しながら、一定の契約の下に一部負担を するというのもあるんですけれども、普通の仕組みであれば、国税なり地方税を使うの であれば、やはりその人の負担能力に応じた形で常識的には費用を御負担して、そして 、できるだけ家計に過大な負担にならないような御支援をするというのが普通の仕組み 方であると。ただ、いろいろなフラットの一部負担の仕組み方もありますから、そこは いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、大体そういうことになっているとい うことです。 ○鴨下座長  「過大な負担にならないような」と書いてございますね。子どもが1人、2人、特に 遺伝性の疾患の場合には2人続けて生まれる場合もありますから、そういう御家庭も多 いと思うんですけれども、1人の場合あるいは病気の子どもがいない家庭がお金を出す 、これは税金になるんでしょうかね。あるいは子どもがゼロの親から。ちょっとよくわ からないですけれども、私も委員をさせていただいていますが、社会保障審議会で高齢 者のいろいろな費用を子どもを持っている家庭から軽減するというような案に対しては 、ほとんど多くの委員が反対して、やはりそれは税金から出すべきだと。特に、そうい う特別なものを設けないというのが新聞に出ていたと思うんですけれども。ここのとこ ろは、やはりかなり報告書の中で大事なところではないかと思います。自己負担がなく て済めば、それが一番いいのは勿論わかり切っていることなんですが。いかがでしょう か。  それでは、ここのところは以上にとどめて、ほかにもう一度全体的に何か御議論があ ればお願いしたいと思います。  7ページの下の段は、患者さんの要望として3つあるいは4つぐらいにまとめられて いますけれども、これもよろしいですか。医療費が過大になることをできるだけ防ぐこ と、それから、家庭・家族を守るという視点、それから、学校あるいは就職の問題です ね。 ○加藤委員  全体的なことということですが、自己負担部分はどの程度になるかという点と、あと 今後の医療政策全体がどう変わるかということで、対象疾患の詳細及び新規に対象とす べき疾患というのが若干変わってくるのではないかというふうに考えられるんですが、 そこら辺をわかる範囲で事務局の方から教えていただけるとありがたいんですが。 ○谷口母子保健課長  正直言いまして、本当の医療制度改革全体の話につきましては、まだどうなるかわか らないところもあります。ただ、そうは申しましても、現時点で考えざるを得ないとい うことを前提にしますと、この小慢制度の見直しそのもののスタートが、はっきり言え ばゼロ債務というところから始まっておりますので、そういう意味からすると、その中 で考えざるを得ないというのも一面に事実でございます。そういう意味から、確かに制 度全体がどうなるかという変動要因はありますけれども、それを今考えると話になりま せんので、今のところはゼロ債務からスタートをいたしまして、仕組みの中でどうして いくということを考えるべきだというふうに我々は考えているところであります。その 状況の変化があれば、そのときはそのときということで、また改正をするなり、そうせ ざるを得ないのではないかというふうに思っております。 ○鴨下座長  いかがでしょうか。ほかに何か問題がなければ。 ○小林委員  この中で研究を進めるということがずっと議論されていて、登録データを云々という お話も出ているんですが、具体的に研究の進め方なんですけれども、例えば、特定疾患 のように何かの研究班ができて、そこでそういうデータを集めてやるとか、ちょっとま だよくわからないんですが、どんなふうな形になるのでしょうか。 ○鴨下座長  それは、私が知る範囲でお答えするとすれば、特定疾患ほど正直言ってきちんとやら れてはいないですね。ですけれども、各疾患ごとにかなり現在も進められていると思い ますが、これは主に柳澤委員からお答えいただくのがいいでしょうか。 ○柳澤委員  今までの小慢の事業に関して言えば、数年前まではほとんど実質的な目に見える形で の研究成果というのは限られていたと思います。ただ、そういう状況でも先ほど申し上 げたように、こういった制度があって医療費が援助されるということによってきちんと 治療が行われた。特に、悪性新生物であればいろいろな治療研究などを行うことができ た。それによって進歩があったということを先ほど申し上げたのですけれども、数年前 からは現在のある程度診断根拠を明らかにした医療意見書が使われるようになって、そ れが中央に集められて、これは加藤委員が中心になってやってくださっているわけです が、全国的な疫学統計が幾つか欠点はありながらできるようになった。従来我が国にお ける全国的な集計などがほとんどできなかった疾患に関して、全国的な登録、集計、解 析が行えるようになった。今後もそれを続けるとともに、今、鴨下座長が言われたよう な形、特定疾患の研究と同じようにはこの小慢の対象疾患の性格からいって、あるいは 数からいって難しいと思いますけれども、重点的に取り上げて研究を進めていくという ようなことができるのではないかと思います。 ○加藤委員  少し補足させていただきますが、患者さんが保健所に小慢の申請をしに行くわけです けれども、その際に、担当医が書いた医療意見書が必要になります。その医療意見書に はある一定の診断基準に基づいた診断名が書かれている。その医療意見書は、平成10年 度以降統一されたものになっています。その医療意見書の中で、殊にプライバシーに触 れない範囲のものをコンピューター入力している。コンピューター入力に関しては都道 府県で行っていて、この事業は都道府県事業ですので都道府県の方ではいろいろなレベ ルでコンピューター入力しているとは思いますが、中央に集計される場合には生年月日 も含めて、勿論、個人名も中央には送られないような感じで全国集計できるようにして います。こういったシステム自身は、ほかの国にはないというふうに考えていますし、 日本で非常にユニークなシステムで、その意味ではほかの研究にも役立てられるのでは ないかというふうに考えています。鴨下先生が言われるように、確かに小規模ですし、 特定疾患の場合は疾患ごとにたしか研究班がつくられていますけれども、小慢に関して は小慢全体としての1つの研究班ですので、規模は確かに小さい。でも、小さいながら にはそれなりにはきちんとした統計を取ってきているつもりですし、勿論不十分な点が 多いので今後改善していきたい。現在のレベルでは厚生労働省の研究班として研究して いますけれども、将来的にはできれば成育医療センターで何らかの形で取りまとめをし ていくのかなというふうに期待しているところです。  以上です。 ○小林委員  そうしますと、今のお話だと、医療意見書を都道府県で入力しておられると。  その治療の結果というようなことは追っ掛けてはおられないということなんですか。 ○加藤委員  現在の医療意見書からは治療方法までは入力できません。今後は、治療法に関しても 医療意見書に書きたいと期待はしているところです。今後、法制化、内政制度化されれ ばまた医療意見書が全面的に改訂されますし、治療内容によって対象の可否が決まる疾 患も出てきますし、治療内容も含めて研究できるというふうに期待しています。  現在は、治療方法は書いてはいせんが、症状とか検査結果とかは書かれておりますの で、その経過を追ってみれば治療に役立つ研究も一部ですができております。 ○柳澤委員  この検討会で議論されてきたような対象疾患の今後のあり方についての考え方、今日 も例示が出されていますし、また、対象者についての基本的な考え方といったことが議 論されているわけですけれども、そういうことがこれからの小慢において1つの基準と して決められれば、それに応じて対象疾患も全体的に見直されるわけで、医療意見書も つくらなければなりません。それに基づいて症例がきちんと集計されれば、現在の小慢 制度よりも更にまた違った意味での研究的な成果というのはいろいろ期待できるのでは ないかと思います。 ○鴨下座長  今のは大変大きな問題提起のようにも思うんですが、疾患の固有名詞を挙げてちょっ と申し訳ないですけれども、つばさの会、いらっしゃったら申し訳ないというかあえて 御披露しますが、先天性免疫不全の症候群だけがなぜか大人の特定疾患に入っているん ですね。それで、研究班の発表が、実際の患者は子どもが多いものですから小児科の先 生方が主体ですけれども、非常にレベルが高いといいますか、勿論、小慢関係のいろい ろな疾患についても、これは何年前でしょうか、厚生科学研究の方にまとめられるよう になってから、これは全体だろうと思いますけれども、評価が非常に厳しくなって事前 評価、中間評価、事後評価と先生方委員で関係していらっしゃるかもしれませんが、そ ういう意味ではかなり上がってはきていると。しかし、是非今後更に、特に小慢の中で も原因あるいは病態不明、更によい治療法が必要なものについては、もっと研究を促進 しなければいけないのではないかという意味での問題提起の御発言で、これもやはりで きれば報告書にまとめて入れなければいけないのかもしれません。  ほかにいかがでしょうか。南先生、何かございましたら。 ○南委員  私も、そういった研究事業の重要性を是非わかっていただく努力をして、是非とも進 めていただきたいと思っております。結局、今御説明のあった部分がなかなか見えない ので、研究といって非常に大きなお金を使っているにもかかわらずよくわからないとい うようなイメージを国民一般が抱いている。この小児慢性ということだけではなくて、 研究というものに大変厳しい目が向けられている昨今だと思います。  しかし、やはり究極的には治療法を確立する。また、すでに確立していても幾らでも 向上はあるわけですから、データの集積というものが不可欠だということを知っていた だくことが大事です。私のような立場の者がそれを担っていかないといけないなという ふうに思っております。 ○鴨下座長  そろそろ時間でしょうか。まだ何かございますか。 ○小林委員  1点だけよろしいですか。その他のところで「小児慢性特定疾患治療研究事業の申請 や更新の手続きの簡素化を図るべきではないか」という御意見が書かれておりまして、 ヒアリングのときに、今は小慢は保健所申請というふうになっていますが、以前は、病 院から都道府県に直接、東京都の場合はそのころから保健所だったんですけれども、ヒ アリングのときに保健所ではなくて直接県にという意見があったんですが、その辺は皆 さんはどうお考えか教えていただければと思ったんですが。 ○加藤委員  今の制度として、難病に関しては保健所が管轄になっているので、一応、保健所が集 計というか手続をしているというふうに考えています。ただ、あくまでも保健所が主体 となるということであって、実際に患者さんが足を運ばなければならないかどうかは、 また別だと思っています。 ○小林委員  運ばなくていいわけですか。 ○加藤委員  今は勿論、実際に保健所に行っていますが、そこら辺はもうちょっと議論していただ いていいのではないでしょうか。確かに、毎年保健所に行くというのは手間がかかるし 、本当に必要かなと。疾患によっても違いますけれども、別のルートで市町村経由でと か郵送でとかいろいろな方法はあり得ると思います。しかし、何らかの形で保健所が統 括してほしいと思います。 ○小林委員  実は、そこのお話は今から13年ぐらい前にシンポジウムをしましたときに、そこに出 た保健所の所長さんが、小慢は病院から県に直接申請をすることになっているので、在 宅を支援するようにいろいろ意見があるのは知っているけれども、地域では患者さんの 存在を知らないんだと。どれだけ患者さんがいて、そういう方が地域にどれだけ困って おられるかというのは保健所は知らないから、そういうサポートができないんだという お話があったんですね。そんなことを受けて、そうなのかと思って、当時小慢を担当し ていた母子衛生課でしたが、そういうお話をさせていただいたことがあったんです。で は、それでよかったのかなと思ったら、また、いろいろな問題があるんだなと思ったも のですから。 ○加藤委員  私の言うことではないかもしれないですが、数年前に地域保健法、母子保健法が大幅 に変わりまして、一般地域住民サービスは市町村で、より専門性の高い難病等は保健所 でというふうに変わりましたので、それ以前は非常にオーバーラップしていたのを、極 力そういう方向で統一したいというふうに制度化されたと理解しております。 ○及川委員  保健所に統括するという意味は、やはり保健所のサービスを具体的に提供できるとい うところに多分目的があるのだろうと思うんです。そういう意味では、実際問題はやは りその辺のサービスが充実していないという問題があって、だから、わざわざ保健所ま で行かなければいけないかということが出てくるのではないかと思っているんです。で すので、登録をすることの必要性と、サービスをするということとをどういうふうに考 えるかというところで、本当に保健所に行くことの意味を充実していくことが今後必要 なのかなというふうには思っています。 ○永井委員  保健所で長年働いてきた者の考え方なんですけれども、やはり保健所が統括をすべき だと私は思うんです。郵送もいいんですが、実際に患者さんと面接して、その後どうケ アしていくかというのが保健所の役割でありますし、保健所によって違うんですけれど も、非常に活発に難病相談であるとか子どものケアというものをやっておられる保健所 と、余り活発に動いていない保健所があるんですが、やはりそれは地域の保健所の役割 として活動していくべきだと思っています。私のところのセンターも、保健所が地域で 病気の子どもをサポートする体制というのを支援するのがセンターの役割だと思って、 今後の方向性のような中で、それを明らかにしていこうというふうに検討しているんで すけれども、やはり保健所は活動していくべきだと思っています。  ただ、申請に毎年毎年行かなければならないというのが、非常に患者さんの御家族に とっては負担に思うかもわかりませんが、どうしてもだめな場合は家庭訪問してそれを カバーしていくとかそういう方法も、今ちょっと考えたことなんですけれども、検討し ていくべきかなというふうに思います。 ○鴨下座長  保健所がかかわるべきだというのに反論はないと思いますけれども、恐らく非常に地 域差というものがあるのではないかと思いますが、10ページの表現に戻って、これは事 務局の責任ではないでしょうが、「簡素化」と書かれた背景はどういうことでしょうか 。 ○宮本補佐  こちらもヒアリング等で出されました、なかなか行くのが大変で、申請と医療費の受 取りと、また更新ということが非常に、保健所も場所によりましては行くまでにかなり 時間が掛かる場所もございますので、そういったことを含めて課題となっているのでは ないかという検討を、この中に記したものであります。 ○鴨下座長  申請の手続が簡素化されるのはどうなんですか。柳澤委員は、いわゆる簡素化という のはイージーになるという意味だと困るということですよね。それは踏まえておかなけ ればいけないと思うんですが、更新とかその他できるだけ負担が掛からないようにする という点では、それはそれで賛成なのではないかと思うんですけれども、よろしいでし ょうか。  ほかにも何かございますか。いろいろまだ細かい点がおありかもしれませんが、そろ そろ時間のようですけれども。もし、特段ございませんでしたら、一応本日はこの辺で とどめさせていただきまして、事務局から今後の予定等について御連絡を賜ります。 ○森本補佐  まず、次回の検討会でございますが、ちょっと日程が開きますが日時を御連絡申し上 げます。5月27日、月曜日。時間は14時から16時(13時から15時に変更)でございます 。場所は未確定でございます。この付近になると思いますので、確定次第御連絡申し上 げます。  なお、今後の予定でございますが、次回以降、今回及びこれまでの論点整理を受けま して取りまとめのドラフト、素案を提示したいと考えております。それに当たりまして 、次回は素案をお出ししてその後議論していただくことになるわけですが、当然これま での御意見を踏まえるわけですが、それ以外に、その中でも特にこれについてという御 意見がございましたら、委員の方からは事務局の方へ早目に御意見を出していただけれ ば、取りまとめの方に反映させていただきたいと考えております。  こちらは以上でございます。 ○鴨下座長  ちょっと時間的に開くんですね。いろいろな都合で、私にも責任があるんですが。い かがでしょうか、そのドラフトのまたたたき台みたいなものを委員の間に回すだけの余 裕はございませんか。でも、時間的には5月ぐらいがとおっしゃっていましたから、5 月の末でも、この場でいきなり議論する方がよろしいでしょうかね。それは余計なこと かもしませんが。 ○森本補佐  できましたら、皆さんの御意見をいただいたところである程度可能ならば。 ○鴨下座長  1日前でも2日前でもFAXででもいただければ、それだけ皆さん考えを持ってお集 まりいただけるかなと思ったものですから。 ○森本補佐  できるだけ事務局で努力させていただきたいと思います。 ○鴨下座長  それでは、いろいろと今日は活発な御議論をいただき、ありがとうございました。今 日はこれで閉会にさせていただきます。                照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                03−5253−1111(代)                    森本(内線:7941)                    宮本(内線:7940)                    桑島(内線:7933)