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これからの医業経営の在り方に
関する検討会中間報告書

平成14年3月25日

 本検討会は、平成13年10月以来、医療機関、特に民間病院経営の近代化・効率化を図る観点から医療法人制度をはじめとする医業経営の在り方について検討を行ってきた。

 本検討会は、別紙のような課題について今後検討を深め、平成14年度中を目途に最終報告書をとりまとめる予定としている。今回の中間報告書は、早期の対応が求められている「医療法人の理事長要件」及び「医療機関の経営情報」に関しての意見集約を行ったものである。

1.医療法人の理事長要件について

○ 医療法人の理事長については、「医師又は歯科医師のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない者も選出できる」旨が医療法に定められている。この規定は、富士見産婦人科病院事件を契機に、医療の適正な提供を確保する観点から昭和61年の法改正によって創設されたものであり、「医療の適正を期すためには法人運営と病院医療の管理は一体であるべき」との考え方に基づいている。

○ 都道府県知事が医師・歯科医師以外を理事長として認可する場合の基準については、医療審議会の議論を経て平成10年に大幅な緩和が行われ、平成13年3月31日現在では335の医療法人で医師・歯科医師以外の者が理事長に選任されている。また、平成12年度には関連事務が自治事務化されている。

○ 医療法人の理事長要件については、「病院経営と医療管理の分離によって病院運営の効率化を促進するため、合理的な欠格事由のある場合を除き、廃止すべきである。」との提言を総合規制改革会議が行っており、当検討会においても一部の委員から「適正な医療提供との因果関係が明確ではなく、理事長の資格については、法律事項ではなく任意的な定款記載事項とすべきである。」との意見が表明された。

○ しかしながら、当検討会における意見の大勢は、「法人運営にも医学的専門知識が不可欠である」、「適正な医療の確保が最重要の視点であり、立法の経緯等からして、現行の理事長要件を堅持すべき」あるいは、「医師・歯科医師以外の優秀な人材を登用する途を広げる必要はあるが、理事長要件そのものの撤廃については慎重を期すべき」とのものであった。

○ したがって、医療法人の理事長は原則医師又は歯科医師とする現行の制度・考え方は維持した上で、運用面での一層の弾力化により理事長要件の更なる緩和を図ることが適当である。
 具体的対応策としては、医師・歯科医師以外の者を理事長として認可すべき事例を限定列挙している現行運用基準を改め、「都道府県知事が個々のケースについて、候補者の経歴、理事会構成等を審査のうえ、適正かつ安定的な法人運営を損なうおそれがない場合には認可を行う」途を開くことが妥当と考えられる。なお、改正後の制度運用に当たっては、都道府県医療審議会の関与を求めるなど手続の透明性確保についての配慮が必要である。

2.医療法人の経営情報(決算情報)について

○ 医療法人は、毎年度の決算書(財産目録、貸借対照表、損益計算書)を都道府県知事に提出し、また、債権者に対して決算書を開示することが義務づけられている。また、病院の決算については、企業会計原則に基づき作成されている「病院会計準則」に従って会計処理することとされている。

○ 医療機関の経営情報(決算情報)に関しては、その開示の促進や外部専門家による監査等の実施により経営の透明化・近代化を図るべきとの提言が経済財政諮問会議や総合規制改革会議から行われている。また、公益法人、社会福祉法人等においては、決算情報の積極的開示促進策が近年講じられている。

○ 本検討会において、医療法人の決算情報の開示に関しては、「法人運営の透明性や医療法人制度に対する国民の信頼感を高めるために望ましいことではあるが、すべての医療法人に一律義務づけることは現実的でなく(法人運営の監督や債権者保護の観点からすれば現行の制度的枠組みで担保がなされており、また、患者による医療機関選択の際の情報として決算情報が不可欠とは言い難い)、行政としては自主的開示が促進されるための環境整備を行うにとどめることが適当」との見解で一致をみた。
 ただし、公益性の高い特定医療法人・特別医療法人や国・県から運営費補助を受けている医療法人に対し積極的開示を要請すべきであるという点については異論がなかった。

○ 医療法人の内部監査を充実するため、財務諸表の監査能力を有し、かつ理事との親族関係等を持たない者の監事への登用を促進することが必要である。また、一定規模以上の大規模医療法人については、公認会計士又は監査法人による監査・指導を順次導入すべきである。

○ 厚生労働省が定めている「病院会計準則」については、昭和58年の全面改正以降20年を経過しており、近年における企業会計基準の動向を踏まえ専門家による見直し作業を急ぐべきである。併せて、医療法人の事業運営の多様化等に対応し「医療法人会計基準」制定に関しても専門的な検討が必要である。


別紙
今後検討を深めるべき課題

(1)医療法人運営の透明性や経営管理機能を高めるための方策

(項目例)

(2)医療法人の永続性、公益性を高めるための方策

(項目例)

(3)医療法人、医療機関運営の弾力性・効率性を高めるための方策

(項目例)

(4)経営の安定性を高めるための方策

(項目例)

(5)その他 医業経営の近代化・効率化を進めるために必要な方策


「これからの医業経営の在り方に関する検討会」委員名簿

石井孝宜公認会計士
内田裕丈日本歯科医師会常務理事
大石佳能子(株)メディヴァ代表取締役
神谷高保法政大学法学部教授
川合弘毅日本病院会常任理事
川原邦彦医業経営コンサルタント協会副会長
小山秀夫国立医療・病院管理研究所医療経済研究部長
座長田中 滋慶応義塾大学大学院経営研究科教授
谷川和生(株)東芝人事勤労部長
津久江一郎日本精神科病院協会副会長
豊田 堯日本医療法人協会長
西澤寛俊全日本病院協会副会長
西島英利日本医師会常任理事
長谷川友紀東邦大学医学部助教授
南 砂読売新聞社編集局解説部次長
(五十音順、敬称略)

照会先
厚生労働省医政局指導課
田村、北見、赤熊
(内線2548、2560、2552) 
ダイヤルイン03-3595-2194


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