審議会議事録  厚生労働省ホームページ

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
毒性・器具容器包装合同部会
議事録

厚生労働省医薬局食品保健部基準課

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会
毒性・器具容器包装合同部会議事次第

日時平成14年3月15日(金)午前10時15分〜正午
場所三田共用会議所大会議室
審議事項(1)器具及び容器包装の規格基準の改正について
(2)おもちやの規格基準の改正について
出席委員井口泰泉、井上達、河村葉子、黒川雄二、品川邦汎、津金昌一郎、長尾美奈子、成田弘子、西島基弘、福島昭治、米谷民雄、三森国敏(敬称略)
欠席委員井村伸正、江崎孝三郎、香山不二雄、鈴木勝士、中澤裕之、林眞、廣瀬雅雄、丸山務(敬称略)
厚生労働省石井基準課長、坂本補佐
参考人大隅昇(文部科学省統計数理研究所教授)
谷村雅子(国立成育医療センター研究所成育社会医学研究部長)
外海泰秀(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所食品試験部長)
長谷川隆一(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室長)(敬称略)

基準課長
 それでは、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・器具容器包装合同部会」を開催させていただきます。
 委員の皆様におかれましては、学会シーズン、あるいは学会シーズンの前で大変お忙しいことであったと思いますが、御参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。 本日は、井村委員、江崎委員、香山委員、鈴木委員、中澤委員、林委員、廣瀬委員、丸山委員が所用により御欠席でございます。
 本日の合同部会は、毒性部会の委員、江崎先生、廣瀬先生が急遽御欠席ということでありますが、12名中7名、器具・容器包装部会の委員は、11名中8名御出席をいただいております。過半数に達しておりますので、合同部会が成立いたしておりますことをまず御報告申し上げます。
 また、本日は前回と同様に、参考人としまして、文部科学省統計数理研究所の大隅先生、国立成育医療センター研究所の谷村先生、国立医薬品食品衛生研究所大阪支所の外海先生、国立医薬品食品衛生研究所の長谷川先生の各先生に御出席いただいております。
 食品保健部長が出席しまして、冒頭ご挨拶を申し上げるべきところでありますが、国会等のため、欠席させていただいております。
 本日の合同部会でありますが、御存じのように、昨年7月にフタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルに関しまして、器具及び容器包装、それからおもちゃに関しまして、規格基準を改正することにつきまして御審議いただいたところであります。
 その後、審議結果に基づく規格基準案につきまして、パブリックコメントの要請などを実施しましたところ、非常に多数の御意見をいただきまして、今日も資料No.1の方で意見の概要及びそれに対する我々の回答案、これについてはまだ回答をする予定の案でありまして、本日これにつきましても、こういう回答でよろしいかどうかも含めて御意見をいただきたいわけでありますが、いろいろな御意見がございました。
 また、前回の部会でも多少まだ明確になっていないという点もございまして、そのときにもう一度パブリックコメントをいただいた上で、合同部会に諮り、それで合意が得られれば、更に分科会に進むということでお約束したところでございます。
 したがいまして、本日はパブリックコメント等につきましても、いろいろ御意見をいただいた上で、規格基準案につきまして、再度御審議をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、井上器具容器包装部会長に以後の進行をお願いしたいと思います。
井上部会長
 皆さんおはようございます。年度末の押し迫ったお忙しい時期に御参集いただきまして、ありがとうございます。それでは、遅れておりますので、早速開始させていただこうと思います。資料確認は、とじてあるから基本的にはよろしいんでしょうか。それでは、説明の方からお願いいたします。
事務局
 資料につきまして、1点申し上げておきたいことがございます。本日は、配付資料一覧ということで紙を付けてございますが、これは事前に先生方のお手元に送付させていただいたものに、資料No.1が追加されておりますので、事前に先生方に送付したものと資料番号が1つずつずれている点に御留意いただければと思います。
 それでは、早速資料の説明に入らせていただきたいと思います。
 資料No.1について説明申し上げます。資料No.1は、前回の平成13年7月27日の合同部会の後、平成13年8月1日から平成13年8月の末まで、厚生労働省のホームページで御意見を募集いたしました結果、電子メールあるいはお手紙でいただいた意見が137通ございました。資料No.1は、その意見につきましてこちらの方で適宜とりまとめ、集約させていただきました上で、当方の考え方につきまして整理してお示ししようとしている案でございます。
 この案を作成するに当たりましては、各先生方からの御意見もいただきまして、それを踏まえて修正等も既に行っておりますが、本日の合同部会で御議論いただいた後、正式にパブリックコメントに対する厚生労働省の回答として、厚生労働省のホームページ上にて公開するということを予定しておりますので、我が方の回答につきましてお気付きの点等あれば、御指摘いただければ幸いでございます。
 これは現段階では、まだ案の段階のもので、これからこの部会の後に正式な形にするというものでございます。
 資料No.2につきましても、関連がございますので、その概略を最初に説明させていただきます。国際条約でありますWTO協定というものがございまして、それに基づきまして、今回の規格基準案につきまして通報を行ったところ、提出されました意見につきまして、その概要についてとりまとめをしたものが資料No.2でございます。
 こちらでいただきましたコメントの内容等は、基本的にはパブリックコメントでいただいた内容に重複しているものというふうに判断しております。
 それでは、資料No.1の方につきまして、我が方の回答を中心に内容を説明させていただきます。
 まず最初に、幾つかの分け方があろうかと思いますが、なかなかいただいたコメントの分類が難しいようなところがありまして、整理のよくないところもあるかとは思いますが、最初に毒性評価関係についていただいたコメントを整理してございます。
 その最初の項としてDEHPの代謝関係につきまして、回答におきましては、最初にございますように、今回求めた耐容一日摂取量(TDI)は毒性試験の結果、実際に投与された後の毒性所見に基づくものであり、必然的に消化管吸収や代謝排泄の影響も反映されているという説明をさせていただいております。
 TDIについて、回答の最後の方でございますが、TDIはそれを超えると直ちに健康影響を生じるような値ではありませんが、人の健康を守る観点からは、TDIを超える暴露が生じないよう対策を検討するべきものと考えますという、基本的な説明を御質問の回答として入れさせていただいております。
 また、体内動態について、その内容が不十分ではないかといった御趣旨がございましたので、TDIの設定に必要な情報は既に存在しているものと考えますということをお答えしております。
 「種差による毒性発現の相違について」ということでございます。1ページの下の方から、2ページ、3ページの上の方まで、いただいたコメントを整理しております。いただいたコメントについて、ほぼ同じものは2回書いておりませんが、多少ニュアンスが違うようなものは、先ほど整理と言いましたけれども、整理が難しいようなものについては分けて書いてございますので、似たようなコメントが幾つかあるということになっております。
 こちらの方のポイントについては、3ページのところから説明をさせていただいてございますが、回答の一つのポイントは、最初のところに書いてある、動物実験で得られた知見を無視する場合、必要相当な根拠が求められるというところだと考えております。今回霊長類の試験成績も含めて検討しておりますわけで、他の動物で、今回の場合はラットで出て霊長類で出ていないというところが、ポイントになっているわけですが、他の動物で毒性が認められている場合は、単に霊長類で毒性が出ないことのみでは、人での安全性の根拠として十分なものではなく、現時点ではラットで毒性が発現して、サルで毒性が発現しないメカニズムが十分解明されておらず、サルで毒性が発現しないことのみをもって、人で毒性が発現しないということも困難であるということ、このため、現時点ではDEHPのTDIの根拠として、ラットの精巣毒性のデータを用いるという説明をさせていただいております。
 また、半分よりちょっと上の方でございますが、ラットにおける精巣毒性を無作用量の根拠としない場合には、生殖・発生毒性試験の成績が無作用量の根拠となりますことから、この両者から今回、40〜140μg/kg/dayと幅のある形でございますが、そういうふうにTDIを設定しているという説明を回答の中でさせていただいております。
 それから、げっ歯類のデータにつきましていろいろな御意見がございましたので、げっ歯類については、背景データ等の蓄積が多く、毒性評価においてげっ歯類を用いることは妥当であり、げっ歯類のデータが予備実験ないし参考資料以上のものではないという考え方には同意できないという、こちらの考え方をお示ししております。
 その下にも、先ほど申し上げましたように、今回の毒性評価においても、カニクイザルとマーモセットの毒性試験成績を評価しており、霊長類のデータも検討した上での結果であるということを書いております。
 技術の進歩によって新しい毒性が検出できれば、NOAELを見直すことは当然だと考えます。まだいろいろ研究が進むのではないかという趣旨の御質問も多数ございましたので、当然新しいものが出れば見直すという考え方であるということを、回答の中で示しております。
 ちょっと繰り返しになりますが、3ページの半ばから下ぐらいのところで、げっ歯類と霊長類でDEHPの毒性発現に種差があるとする報告があることは事実ですが、人での発現を懸念する必要がない種類の影響であるか否かがポイントとなるということで、毒性発現のメカニズムが不明であっても、動物実験の成績等から人への健康影響を避けるための措置が必要と判断されれば、行政としては対応すべきものと考えているということを書いております。
 他の物質に対するコメント等もございまして、3ページの下の方からは、動物実験の結果から人への健康影響が懸念されないようなものについては、法的規制の根拠に乏しいと考えますということ、なお、DEHPとDINPの精巣毒性や発がん性についても、今回検討しておりますという形での説明を入れております。
 4ページの真中よりちょっと下の辺でございますが、DEHPとDINPについては一定のリスクがあり、規制が必要と判断しているけれども、この両物質とも全面使用禁止ではなくて、データから必要と考えられた範囲での規制である点について、誤解がないようにお願いしたいという趣旨を回答の中で書いております。
 サルで精巣毒性が発現しないメカニズムが充分解明されていないという表現が、資料中にございまして、そこはちょっと誤解を招いたかもしれないと思われましたので、これについてはげっ歯類とサルでの実験結果が何故相違するのか、その理由が判明すれば、人での毒性を考える際、どちらのデータを重視すべきか明確にできるが、その点が不明ということを意味しているという説明を入れてございます。
 3)でございますが「種差による毒性発現の相違について」。こちらについても、20を超えるかなりの数のコメントをいただいております。これは、先ほどの2)と同じようなコメントが多く、毒性発現のメカニズムが充分解明されていないということを言われておりますが、7ページの上の方に書いてございますとおり、一定のリスクが判明した以上、毒性メカニズムの解明を待つまで規制しないことが適当とは考えられないということ、今回、現時点で入手可能なデータに基づき、TDIを設定しているということ、それから、毒性評価において、動物実験の種類のばらつきのような御指摘がありましたが、毒性評価において必ずしも各種の動物試験成績が得られるとは限らないということを回答の中で説明させていただいております。
 6ページの方に戻りますが、今回いろいろ御指摘があった中で、他のところでもコメントをいただいているわけですが、TDIの一本化、要はTDIを幅で示している点に関しては、仮にTDIを一本化するのであれば、ラットにおける精巣毒性によってTDIを設定すべきものと考えられますが、今回はサルにおけるデータも勘案し、TDIを幅で設定しているということも説明しております。
 暴露の評価等において、このTDIを使う場合についての説明としては、人の健康を確保する考え方に立てば、TDIの下限値をより重視すべきことは当然という趣旨の回答をさせていただいております。
 続きまして7ページからは、DINPの方のコメントを整理させていただいております。8ページのところに回答がございますが、御質問の中でF344ラット特有の病変ということに関して疑問がございましたので、これに関してはF344ラットに特有の病変である単核球性白血病はNOAELの根拠にしておらず、肝機能障害という所見をNOAELの根拠としていることと、これに関して、更に論文の著者は単核球性白血病による二次的な影響と判断していますが、この評価を十分支持できる情報はないと考えられますことから、本試験のNOAELは肝機能障害を根拠に15mg/kg/dayとしているという説明をさせていただいております。
 あと全般の資料のポイントになるところでございますが、8ページの真中よりちょっと下の方で、「注」ということで枠囲みの上に書いてございますが、前回使いました資料等の中で、TDIの設定において「安全係数(Safety Factor )」という用語を使っておりましたが、先生方からの御指摘もございまして、正確な用語として「不確実係数(Uncertainty Factor)」に変えるということで、今回関係資料中の用語は「不確実係数」に統一するということで整理させていただいております。
 9ページの方でございますが、こちらについては回答の最初の部分で、NOAELの求め方につきまして、説明をした方がいいのではと思われるコメントが複数ございましたので、化学物質について複数の動物での試験結果がある場合、個々の試験について何等の毒性影響が認められない量であるNOAELを求め、このうち最も小さいものを当該化学物質のNOAELとするということを説明しております。
 それから、動物試験の評価において、人で出現する可能性のない事象はNOAELの決定には用いませんが、人においても出現する可能性のある事象については、それを無視することはできないという説明をさせていただいております。
 DEHPのTDIの設定に関しまして、先ほどと同じ趣旨の御質問がございましたので、11ページの回答の中で、今回のTDIの設定の根拠として、どういうふうにしたのかという説明を書かせていただいております。
 12ページのところにも、先ほど言いましたように、TDIの下限値を暴露評価等において重視すべきという考え方を書いております。
 この12ページの回答の中の、半分よりちょっと下のところですが、今回DEHPとDINPにつきましては、既存データから一定の判断が可能であることから、現時点では追加実験を実施する予定はないこと、それから、当然のことながら、ラットで精巣毒性が発現し、サルでは発現しない理由等新規なデータが得られた場合、必要に応じてTDIの見直しの検討は行うということを言っておりますが、現時点の我が方のスタンスとしては、DEHPの毒性評価をこれ以上やるよりは、他の化学物質の評価・検討を優先するということを予定しているということを、回答の中で記載してございます。
 TDIの(その他)につきましても、幾つかコメントいただいております。13ページのところから回答を整理させていただいておりますが、一つのポイントとしては、この回答の3段落目ぐらいにありますように、TDIがどういうものであるかということ、一日でも、わずかでもその値を超える暴露があった場合、直ちに健康影響が生じるといった値ではないけれども、食品衛生法に基づく規格基準(案)は、許容一日摂取量(ADI)あるいはTDIを超える暴露を受けることがないよう設定しているということ。乳幼児のおもちゃという特殊性を考慮した場合、TDIを超える暴露があり得る可能性が判明した以上、それが実際に生じることがないよう規制することは妥当な措置と考えているということを書いてございます。
 その2つ下の段落のところで、一時期TDIを超える暴露があっても、その後継続的な暴露が想定されないのであれば、規制は不要という考え方、これは指標値としてのTDIを否定する考え方ではないかという当方の考えを書かせていただいております。
 海外の状況についても、かなり御質問いただいております。14ページの回答の中で、その回答の後半のところでございますが、現時点において我々が入手している情報では、DEHPについてはEUではTDIが37μg/kg/day、米国ではNOAELが3.7〜14mg/kg/day、DINPのTDIはEUでは150μg/kg/day、米国では120μg/kg/dayという情報があるということを説明させていただいております。
 発がんの関係のコメントもかなりいただいておりますが、今回発がん性ではなく一般毒性に基づいてTDIを設定したということを、15ページの上の方の回答で説明を加えております。
 17ページのところ、毒性の項でありながらも、既に暴露関係について回答で説明をしてしまっておりますけれども、17ページの回答の半分より下のところでございますが、米国の報告書を引用されているのがございまして、その報告書の中を見てみますと、注意を要する可能性があると指摘するケースの一つとして、1日に75分以上DINP含有物を口にする子どもを想定した場合というのが、書かれてございますが、今回我々の方のデータを見ますと、最長のMouthing時間が314.1分、最短0.6分、平均73.9分ということ。それから、75分以上おしゃぶりをMouthingする例というのも11例中4例あるといったこと等がありますので、極端な条件を想定するとDINPのTDIを超える暴露を生じる可能性があると判断されているわけで、米国の委員会がいう75分で判断しても、リスクは無視し得ないものと考えられるという当方の考え方を書かせていただいております。
 その他、毒性関係につきましても、種々のコメントをいただいておりますが、全部御紹介しますとかなり時間が掛かりますが、19ページから20ページのところにかけまして、後ろの方で項も新たに起こしてございますけれども、今回の規制が発がん性や内分泌かく乱作用に基づくものでないという点について、明確に回答させていただいております。内分泌かく乱性については、種々の研究がなされているということはありますけれども、今回内分泌かく乱性ではなくて、TDIも一般毒性に基づき設定されているということを書いているわけでございます。
 21ページの真中より下の方でございますけれども、外国の状況といたしましては、前回説明しましたように、EUの方では既に6種類のフタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル(PVC)製の玩具、保育用品が流通しないような規制措置が実施されておりまして、この措置は3か月の暫定措置とされておりますが、平成11年12月以降、現在に至るまで継続されておりまして、現時点でもこの措置が続いているということが我々に情報として入ってきております。
 22ページの方でございますが、海外と比較して今回の規制がいかがかという趣旨の御質問等がございましたので、22ページのところでは、我々の方としては毒性の評価や食品への移行のメカニズム、暴露の評価、それに基づいて規格基準を策定したわけでございまして、結果的に欧米の規制と相違する部分はあるかもしれませんが、EU及び米国においてもフタル酸エステル類の規制や指導というのは行われているということ。それから、欧米での規制等も一致したものではないわけでございまして、例えばEUはおもちゃに対する規制は、対象範囲は日本よりも広い部分があるわけでございまして、今回の規制案が欧米諸国よりもすべての面で厳しいといったものとは言えないというふうに考えられるということを説明させていただいております。
 そして、今回の規格基準(案)はデータから必要と考えられる範囲で規制しようという趣旨であって、DEHPとDINPの全面禁止でもないということを書いてございます 。化学物質による、人における健康被害が明確になるまで規制すべきではないという考え方、要は動物実験の結果の評価ということの御趣旨だと思われますが、動物実験で一定のリスクがあることが判明したものについては、適切な措置を講ずるべきではないかという考え方を整理させていただいております。
 22ページのところの、131番の下のところでございますが、内分泌かく乱化学物質ということで検討したわけではございませんが、当然毒性評価については内分泌系への影響についても検討していただいておりますので、この点についても記載させていただいております。
 長くなりますが、続けさせていただきます。22ページの下の方から、暴露評価がございます。こちらの方につきましては、23ページの回答の方にございますが、まず器具・容器包装の関係につきましては、そもそもDEHPを含むポリ塩化ビニル製の手袋の使用で、1食分でTDIを超えるDEHPを摂取することになるような弁当の存在が判明して、その原因について検討した結果、DEHPを含むポリ塩化ビニル製品が油分を含む食品に接触すると、食品中にDEHPが極めて容易に移行し、接触時間に比例して移行が増加することが明確になったということがあります。
 1食分でTDIを超えるようなDEHP摂取量になる、そういった食品が現実に生じたわけであり、その後得られた調査研究の結果を検討した結果、DEHPを含むPVC製品の油分を含む食品との接触によって、相当量のDEHPが移行することが明確になったということを説明させていただいております。
 したがいまして、その2つ下のパラにございますように、食品に多量のDEHPが移行することがないよう、油分を含む食品にDEHPを含むPVC製品が接触することがないようにすることがこの本旨であって、油分を含まない食品の容器とか、DEHPの食品への移行のおそれがないものについてまで規制しようとしているものではないという趣旨を書かせていただいております。
 そして、24ページの項からでございますが、厚生科学研究でやっていただいた食品中の化学物質の分析結果、現状で健康被害が発生するような状況は、全体の一番新しい結果を見ても、ないのではないかと判断されるということを説明しております。ただし、現実に1食分でTDIを超えるDEHP摂取量になるような事例が存在したわけでありますので、我々はこれを重く受けとめて、現在の状況を今後とも担保するために必要な法的な措置ということを考えたということの説明をさせていただいております。
 今回の措置が器具・容易包装に関して、推定1日摂取量を求めて、それがTDIが超えているために規制しようというプロセスを踏んでいないのは事実でございますので、ここでも現実に1食分でTDIを超えるDEHP摂取量になるような事例が存在したということ、それから、各種の実験結果から見て、油分を含む食品にDEHPを含むPVC製品が接触する機会を極力少なくなるよう、規制措置を考えたということを言っているわけでございます。
 接触時間等、食品へのDEHPの移行量が増加する因子があることも明確でありますので、成分表示と含量規制のみでは不十分と判断をしていることも回答で説明しております。おもちゃ由来の暴露につきまして、24ページのところから書かせていただいております。こちらにつきましても、30を超えるコメントをいただいております。27ページのところから回答を書かせていただいておりますが、乳幼児のMouthing時間、それから口腔内溶出試験の結果から、TDIを超える暴露があり得ることが判明したため、今回規制をしようとするということを説明させていただいております。
 検討結果から仮にDINPを含有するPVC製のおしゃぶりが使用されたとしても、大多数の乳幼児ではTDIを超える暴露は生じないものと考えられますが、TDIを大きく超える暴露が生じる可能性は少ないものの、TDIを超える暴露が生じることがあり得ることが今回の検討で判明したということでございます。
 28ページのところで、資料の中の表現で「TDI近く」というところで、どうもうまくこちらの意図が伝わってなかったような感じもございまして、そこの説明をさせていただいております。
 おもちゃ由来の暴露によって、TDIを超える暴露が生じることがあり得ることは、検討結果から明確でありますが、TDIを大きく超える暴露ではないことから、合同部会の資料中では「TDI近く」という表現を用いたという説明をさせていただいております。資料の中の表現につきましては、今回いただいたパブリックコメントを参考に、いろいろ修正しているところもございます。
 他のものとの比較論でございますが、例えば、食品衛生法に基づく残留農薬基準の設定においては、水、空気等からの暴露を正確に試算することが困難でありますことから、便宜上、水、空気等からの農薬の暴露量としてADIの20%を割り当てて検討しているということを説明をさせていただいておりますが、今回は乳幼児のMouthing時間及び口腔内溶出試験の結果の分布が極めて幅広くなることが判明したことを踏まえて、多量に暴露される条件を念頭に検討を行ったため、玩具以外からの暴露は考慮せずに検討を行ったということを説明しております。
 今回の規制の対象は、乳幼児向けのおもちゃでございますので、全てのDEHPを含むPVCのおもちゃが禁止されるわけではないということの説明をここに書かせていただいております。
 29ページの上から9行目ぐらいのところでございますが、今回の暴露評価につきましては、やはり食品由来の暴露とおもちゃからの暴露とは、暴露の形態が異なること、それぞれの特性を踏まえた暴露評価の検討手法をそれぞれ用いるべきと考えているということを説明させていただいております。
 歯固めやおしゃぶりにPVCが使用されていないのではないかという御指摘がございまして、回答の後半の方でございますが、歯固めやおしゃぶりに使われていないということであれば、今回の規制措置によって安全な現状が将来的に継続することが確保されることになるということ、規制措置を講じなければ、将来DINPやDEHPを含有するおしゃぶり等は使用されることも想定されるということ、そして、業界団体の方も、おしゃぶり等についてはPVCは使用しない旨意思表示をされているということを書いております。
 乳幼児が口に含むことを本質とするおもちゃ以外について、DINPの使用も今後は使用できないのかというような疑問があったようですので、こういうものは使用できるということ、今回の規制の対象範囲についても、もう一度ここで説明しております。やはり今回問題となっていますのが、Chewingにより多量に溶出する場合があることと、長時間Mouthingする場合があることであり、これについては無視できないという説明を最後のところでさせていただいております。
 おもちゃ由来の暴露が極めて幅の広い分布を示す事象であって、極端な条件下に置かれることを想定した事例をも視野に入れることは不当なことではないと考えているということです。
 乳幼児がDINPを含むPVC製おしゃぶりを長時間しゃぶらないということであれば規制は不要でしょうが、長時間しゃぶることがあり得ることが判明している以上、規制はやむを得ないと判断しているということを説明させていただいております。
 おもちゃ由来の暴露の検討の前提条件についても、いろいろコメントをいただいておりますが、今回我々はこの真中辺に書いてありますように、1つのものをしばらくの間使用し続けるということも念頭に置かざるを得なかったということ、したがって市場占有率のコメントもございましたが、それが低くとも安全性に一定の懸念のある玩具については、規制措置が講じられてしかるべきではないかという当方の考え方を説明させていただいております。
 Mouthingデータにつきましても、幾つかコメントをいただいておりますが、回答の中でまず2段落目でございますが、乳幼児を対象としたChewing実験を行うことはやはり困難であって、また不適切と思われるということの説明をしております。
 成人と乳幼児のChewingの相違については、種々の意見があり得るわけですが、成人と乳幼児とが大きく異なるといったデータもなく、乳幼児のMouthingの方がむしろ積極的になめたり、吸ったり、かじったりしていることが多いことも事実であって、試験結果を補正する妥当な手法も現時点では得られていません。
 諸外国で行われている暴露の推計においても、同様の手法が取られておりまして、現時点において実施できる推計手法として適切な手法で検討したというふうに考えているということです。
 最後の段落のところでございますが、平成11年度の厚生科学研究以降実施された15例の観察でも、平成11年度の研究結果と同様のMouthing時間の分布が示されているということ、つまり再現性が確認されているということ。Mouthing行動が、子どもの発達とか、行動範囲、子どもの周囲の玩具や物の状況、家族との関わりの状況等の養育環境により異なることから、オランダと日本との子どものMouthing時間が異なることは十分あり得ると考えられるという点、それから、オランダの研究方法と日本の研究方法の相違等についてもここで説明させていただいております。
 統計処理につきましてもコメントをいただいております。31ページから、32ページ、33ページの上までにコメントの方を整理させていただいておりますが、33ページの回答のところからでございますが、データの数値の取り得る分布の範囲が極めて大きい今回のような事例においては、暴露が大きくなる極端なケースを考慮すべきと考えたということであります。
 その際、検討手法はケースの特徴を考慮して、慎重に対象の事例に最も適切な手法を検討すべきものと考えるという点、それから統計的手法も最近ではさまざまな方法論が展開されていて、それぞれの問題に応じて適切な手法を適用するようになってきているわけでございまして、今回の検討手法は統計学的には何の問題もなく、探索的な検討を実施しているという説明をさせていただいております。
 おもちゃからの暴露の評価については、食品由来の暴露よりも、暴露量の分布の取り得る範囲が極めて大きくて、先ほど申し上げた一つのおもちゃはしばらくの間使用し続けることが想定されるという、乳幼児の行動様態に鑑みて、極端な条件をも考慮することが適当と考えられたことから、平均値等だけでの評価を行わず、探索的な手法で検討を行った今回の評価方法は妥当なものと考えているということを説明してございます。
 さらに、厚生科学研究等を前回の資料8と資料9というふうに整理させていただいておりますが、そこの手法についての御質問もございましたが、その検討手法の実質的な相違は少なく、今回のデータセットからは探索的手法による検討が統計学的に妥当なものと判断されたということを書いております。
 他にもこういうことをしたことがあるのかということにつきましては、玩具からの化学物質の暴露の評価は今回初めて実施したものであるということを、それからコメントの趣旨について、長時間Mouthingする子どもの存在を無視するといったニュアンスかなと思えるコメントもありましたので、そういう考え方を採っていないということ、基本的に、今回は最悪の場合に安全であれば問題は生じないという発想が、逆に言えばあるのではないかということを説明させていただいております。この辺は、最初に申し上げたケース・バイ・ケースという話につながっているというふうに理解しております。
 34ページの方で「器具容器・包装、おもちゃ以外に由来する暴露について」では、先ほど申し上げましたように、他からの暴露を今回入れてないのではないかというコメントをいただいてございますが、これにつきましては、大気経由等からの暴露量を考慮する前に、規制の必要性が判断できたということでございまして、他からの暴露によるリスク評価については、別途考慮すべきものではないかという考え方の整理をさせていただいております。
 規格基準案関係に関しての意見は、35ページからで、36ページの方に回答を載せさせていただいております。コメントとして、今回の規制措置については、環境にも人の健康にも利益をもたらさないのではないかという趣旨の御意見と、そうではなくて規制の範囲を広げるべきという御意見とをいただいているわけでございます。
 まず、今回市販の弁当中に1食分でTDIに相当するような量が出たということのあるDEHPと、玩具に頻用されているDINPについて今回検討を行ったということ、2つの物質について優先的にやった理由を説明させていただいております。
 DEHPとDINP以外の化学物質の規制の必要性等については、その毒性とか溶出性等の検討も含めて、今後の検討課題と考えているわけでございますが、現時点においては食品中から検出される化学物質のデータ等も含め、他の化学物質について規制が必要との知見、PVC以外の製品へのDEHP、DINPの使用が問題であるという知見、あるいはPVCそのものを使用禁止とする知見はいずれも得られていないということを説明させていただいております。
 規制の対象は、科学的根拠に基づき妥当な範囲とすべきものと考えており、今回の規制によって健康に悪影響が生じるのではないかというようなことは、こちらは想定していないということを答えさせていただいております。
 規制の手法についていただいている意見への当方の回答といたしましては、個々の事例の特性を踏まえた妥当な規制手法により規制は行われるべきものと考えているということ、溶出規制等他の手法が適当な場合には、当然そういうものも考えるわけですけれども、得られたデータからは、ここに書いてございますように、油分によって極めて容易に食品中にDEHPが移行し、かつ接触時間によって移行量が増大することは明確であるということです。おもちゃにつきましては、in vivoにおける溶出をin vitroの試験結果から推定することが困難であると判断されたことから、溶出試験による規制は困難ということで、必要な範囲における使用規制を行おうとしております。
 使用規制の対象範囲は、科学的根拠に基づいて、必要な範囲に限定しており、全面的な使用禁止ではないということを説明しております。
 38ページの方から、今までの規格基準等との整合性に係るコメントをいただいておりまして、ポリ塩化ビニルという案文の中の表現は、今までとの整理をさせていただいた上で、ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂と修正するとお答えしております。39ページの規制手法についていただいたコメントへの回答が、40ページに書いてございますが、40ページの上から5行目のところからでございますが、「油脂、脂肪性食品」といった議論が前回ございましたが、無用な混乱を避ける観点から、「油脂、脂肪性食品」の定義は、現行の蒸発残留物試験の項の定義と一致させることが適当というふうに考えているということです。
 このため、規格基準案の以下の趣旨を盛り込むこととする予定としているということで、「油脂、脂肪性食品を含有する食品」というふうに、こちらの方を手当てするという考え方を回答の中でお示ししております。
 そして、器具の規格基準については、今後とも検討を進めることを予定しているということで、いろいろ器具の規格基準についても御意見をいただいておりますので、それに対するお答えをこういう形でさせていただいております。
 41ページのところで、規制の対象範囲についての回答の中では、他のものに関してのコメントがございましたが、消毒用アルコールといった濃度の高いアルコールでは、DEHPの食品への移行が認められたわけでございますが、20%エタノール試験での溶出性は高いものではないことが確認されるなど、種々の検討結果から油分を含む食品との接触が最大の問題であることが明確になっているということを説明しております。
 DEHPを含有する器具・容器包装については、ユーザーへの適切な情報提供に努めるよう指導することを検討しているということを、ここで説明させていただいております。42ページの方に移らせていただきまして、規制の決め方につきましていろいろな御意見をいただいております。真中辺に回答を書いてございますが、今回の規格基準案は入手し得た科学的根拠に基づくものであるということを説明しておりますし、現時点においてDEHPを含む器具・容器包装すべてを使用禁止する必要はないという判断があったということです。
 手袋が問題ではなかったかということについては、手袋が問題ではなくて、その材質が問題であることは、データからも明らかであるということを言っております。
 試験法につきましてのコメントもいただいておりますが、要は材質試験と溶出試験の2つがあったということですけれども、こちらについては、ただし書きはあくまで例外的に溶出しない場合には使用を認めようとするもので、判定基準が材質試験と連動する性質のものではなくて、この場合における溶出試験は材質試験に不適なもののみに実施されることが想定されているということ。要は、材質試験に不適なものからDEHPが溶出しないということを確認するための試験であるということの説明を入れてございます。
 おもちゃの規格基準案関係、対象物質について42ページの下からございます。回答は、43ページの方に書いてございますが、DEHPあるいはDINP以外の化学物質、あるいはPVC以外の素材の安全性等については、必要に応じて今後検討しますが、現時点においてはPVCのおもちゃ全般への使用を禁止すべきという情報もないということ、一方、PVC以外の素材は危険・非衛生であるといった情報も得られていないということ、今回の規制が、TDIを超える暴露が懸念される範囲の規制であって、PVC製品の一律排除ではないということを説明させていただいております。
 44ページ、対象品目等については、かなり細かなお話も出てきますので、回答の中にも規制の対象範囲について誤解が生じないよう、通知やQ&Aの作成等によって明確を図る予定であることを説明しております。
 45ページのところが、おしゃぶりと他のものとではMouthing行動が明らかに異なること、したがって、乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃを他のものとは分けて規制することは合理的だという説明をしております。
 厚生科学研究の方でコメントもございましたけれども、それについても研究の報告書においての記載がこういう趣旨であったということの説明をここでさせていただいております。
 46ページのところで、対象年齢につきまして、食品衛生法が対象としているおもちゃの範囲の関係になりますが「乳幼児が」というところがございますが、乳幼児は未就学児というふうに解されております。これまでのおもちゃの規制の対象範囲を拡大しようというものではないということを、この回答の中で説明させていただいております。
 規制の手法につきましても、いろいろ言われてございますけれども、48ページの回答の中に書いてございますように、やはりin vitroの溶出試験では、用量相関的なデータがあるにもかかわらず、in vitroの試験結果とin vivoでの実際に溶出の乖離があるということから、in vitro溶出試験の結果からin vivoにおける溶出を推定することが困難であるといった点が、今回の規制を考える上で、一つの根拠になっているということの説明をさせていただいております。
 海外の状況についても、今後とも留意して情報収集を行うわけですが、現時点ではEUにおいてもおもちゃへのフタル酸エステル類の使用が規制されており、溶出規制ではないということを、48ページの下の方で説明させていただいております。
 試験法等について、49ページでございますが、材質試験は後の資料でもございますが、抽出法で設定して、試験法は通知するということ。そして材質試験を行って、DEHPあるいはDINPは0.1%以下であれば、使用していないと判断するという趣旨の回答を書いてございます。
 国際関係等についても、かなりの数のコメントをいただいておりますが、当方としては52ページの回答にございますように、正当な科学的根拠に基づく規制措置であって、貿易に対する不当な障壁とはならないと考えているということを説明させていただいております。
 52ページからの、その他の猶予期間関係でございますが、53ページにございますように、告示してから後1年程度の猶予期間を設けることを予定しているということを説明しております。
 告示の時期についてのコメントをいただいているわけでございますが、一定のリスクが判明している以上、規格基準の告示自体を延期することは適当でないと考えるということを書いてございます。
 国際関係につきまして、まだ他にもいろいろコメントをいただいておりますが、時間の関係もございますので、この辺は少し飛ばさせていただきます。
 56ページから57ページぐらいに掛けまして、自主規制ではいかがかというコメントをいただいていたわけでございますが、57ページに書きましたように、やはり徹底されるかどうかといった問題があって、今回のようなものについては、法的な措置の方が望ましいと考えるという趣旨で、その理由について例のお弁当の事象等についての説明を加えてございます。
 58ページのところで、情報が不足しているのではないかというような総論的なコメントもいただいておりましたが、我々の方としては、規制すべき判断が行えるだけの情報は入手しており、リスクに関する調査が不十分とは考えていないということ、これがポイントとなると思いますので、そういう説明をさせていただいております。
 ここら辺につきましては、非常にコメントが多かったので、それぞれまた枠囲みでまとめてございますが、60ページにありますように、我々の今回の検討が、安全サイドに立脚していることは事実だということを認めております。乳幼児が接触するおもちゃの安全性を確保する観点から、これは妥当であろうというふうに考えておりますし、あと今回の規制の意図とか規制の範囲について、誤解があるのではないかと感じられるコメントもございましたが、誤解が生じることがないように明確化を図るということは当然だと考えております。
 環境問題と結び付けたコメントも結構いただいておりますが、今回の措置が食品衛生及びおもちゃの衛生を確保するために講じようとしているものであって、基本的に環境問題というわけではないという説明をさせていただいております。
 61ページのところからでございますが、公衆衛生確保のための一定の規制でありますので、リスクが判明した以上措置を講じるべきであるし、円滑な施行に向けて猶予期間を設けることを予定していることを書いてございます。
 どういう情報を評価するのかといったコメントもございましたので、それは試験実施者の如何を問わず、学術雑誌に掲載された論文とその内容が評価に足るものであれば、国際的な学会の場で議論されていないものであっても、当然評価の対象とする、殊に安全性に関しての情報については、これまでも幅広く評価の対象としていたので、その辺について説明させていただいております。
 62ページのところでも、やはり実施に関して他への影響云々と言われておりますが、猶予期間等必要なことはしますが、これは実施せざるを得ないということ、根拠等の正確な情報提供に努めるけれども、他の分野での規制措置については、これはそれぞれの分野で必要に応じて検討されるべきだろうということについて説明しております。
 その他のところでまとめておりますけれども、代替品につきましては、かなりの数のコメントをいただいております。67ページのところに回答がございますが、代替品のリスクの評価が終了するまで規制すべきでないというお考えもいただきましたけれども、既にDEHPやDINPについては、リスクが判明しており、そういう考え方はリスク回避の措置を遅らせるものであって、問題があるのではないかという当方の考え方を説明しておりますし、今回の措置で未知なる代替品を勧奨しているわけではないということを書いております。
 先ほど言いましたように、DINPとかはまだおもちゃで使用できる範囲もあるわけでございますし、いろいろな状況を勘案すれば、今回の事例に関しては、規制によってリスクの高いものに置き換わっていくという事態は想定できないのではないかということを説明させていただいておりますし、仮に有害性が明確な物質が使用されて食品を汚染しているような場合は、食品衛生法第4条による取締りも可能であるという現行の仕組みについての説明もさせていただいております。
 内分泌かく乱化学物質についても、御質問をいただいておりますので、ここにもう一度まとめさせていただいております。内分泌かく乱化学物質の問題については、それはそれとしてこれまで当省としてもホームページで情報提供を行うなど、正確な情報提供に努めているわけですが、今回の件に関しましては、内分泌かく乱化学物質問題による規制措置という説明はしておりませんし、御質問があればそういうものではないという説明をしておりますので、それはこれからも続けていきたいというふうに考えております。
 内分泌かく乱化学物質問題については、科学的に未解明な点が多く、今後とも科学的な調査研究が必要であって、我が省においても検討会を設置して検討を進めているわけでございますが、現時点において内分泌かく乱化学物質によって、人における健康被害が発生するおそれがあるという具体的な知見は得られてないこと、食品衛生の見地から、直ちに規制等の措置を講ずる必要はないというふうに考えられているということについて説明させていただいております。
 利用実績・経済的側面ということで、69ページからコメントをまとめてございます。40年以上使われているにもかかわらず、実際危害はないのではないかというような御指摘でございました。これに関しましても、利用実績等を考慮しましても、人での安全な暴露量を示し得るようなデータが存在するわけではなくて、動物実験で得られた知見とか、食品への移行に関する知見、おもちゃに関する暴露評価の検討結果を重視せざるを得ないというところで、今回必要な範囲で規制措置を講じることとしているという当方の考え方を説明させていただいております。
 その他いろいろ御指摘もございましたが、75ページのところに回答としてちょっと書かせていただいておりますが、どうも今回の規格基準案と直接関係のあるものでない御意見もいただいておりますが、現時点で規制が必要という情報はないわけですけれども、この分野について、こういうものに関する御指摘があったということを踏まえて、今後とも厚生科学研究等によって情報収集をしつつ、必要に応じて検討を加えていく所存であるという我々の考え方を説明させていただきました。
 ちょっと説明が長くなりましたが、資料につきましては、概略は以上でございます。
井上部会長
 どうもありがとうございました。御覧のとおり、たくさんのコメントをお寄せいただいているわけでございますが、またそれについての事務局の丁寧な回答を付したものを先生方にはあらかじめ見ていただくよう、御送付申し上げているところでありますが、何分にもたくさんございますので、必ずしも十分な討議ができるとは思われませんけれども、基本的にはこれまで討論が進められてきたものと理解しています。
 本日は、重点的に先生方のお寄せいただいたコメントと回答に対する必要な御意見を承って、回答に付することがあれば付していくという考え方で進めさせていただこうこうと思います。
 御存じのとおり、毒性部分と暴露部分と規制の部分があるわけですけれども、始めに毒性の部分に関しましては、私の私見になるかもしれませんけれども、これまでのロジック、その他でもって丁寧に議論してきたことに対する、言わば毒性学の説明に関するような問答が多かったように理解しておりまして、それは先生方も同じだろうと思います。
 しかしながら、この毒性について皆さん方からコメントなどありましたら、どうぞおっしゃってください。
 また、参考人の方も回答の内容に対する御意見がありましたらどうぞ。
 よろしゅうございますか。それでは、毒性についての評価、考え方については、このものに特有の問題があったわけではないと思いますので、考え方についてはよく周知されているところと思われます。
 問題点は、先ほどの事務局からの御説明もありましたように、内分泌かく乱性の物質としてこのものの毒性を、それはそれで別に検討がなされているわけですけれども、今回の基準案に関しては、それとの関係で出てきているものではないということが、若干誤解されていると考えられるわけですけれども、そのことを除いては特に問題がないと理解いたします。
 次に暴露の方に移りたいと思います。暴露につきましては、おしゃぶりの御研究をいただいたり、いろいろ独自の問題がありまして、またそれの御説明なども周知する点がいろいろあろうかと思いますので、暴露関係での御質問・御意見がありましたらどうぞお願いします。
 参考人の先生方で、もし御質問に対する付加的なことがございましたら、暴露関係ではいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
河村委員
 34ページのところなんですけれども、「暴露によるリスク評価については別途考慮すべきものと考えます」と書いてあるんですけれども、ここの意味は、本来的には、この場合は玩具以外からの暴露も総合的に評価すべきものだけれども、今回は、玩具だけで十分に危険性が明らかになったので、別途考慮するという意味でよろしいでしょうか。
井上部会長
 事務局、表現の方を。
事務局
 こちらで別途と書きましたのは、前の文章を受けて、もうここで判断ができているというところで、それら以外からの暴露の問題については、これと切り離して必要があれば検討すべきという意味で書きましたが、誤解を招くようであれば。
井上部会長
 もし、字句上のことで御提案があれば、どうぞ遠慮なくおっしゃってください。また、後からでもどうぞ。
 他にいかがでしょう。
 谷村先生の方では、御追加などございませんですか。
 暴露関係では、統計に関する問題についての御質問もございますが、大隅先生の方から何か御説明みたいなものはありますか。
大隅参考人
 前もって意見を述べさせていただき、33ページにも回答が書いてあると思うんですが、これでよろしいかと思います。
井上部会長
 どうもありがとうございます。
 他には、暴露関係でいかがでしょう。
米谷委員
 46ページのところで、乳幼児の定義の質問が出ておりますけれども、現行では未就学児ということで回答されているようなんですけれども、乳幼児が口に含むというおもちゃの表現の場合に、当然ながら未就学児という表現ではなくて、もっと小さなお子さんが対象になると思うんですが、そういう場合には形態から自動的に未就学児であっても、ここで提案がある3歳未満児というようなものに限定されるから、わざわざ変えないという趣旨でよろしいんでしょうか。
事務局
 今規定している範囲の方が広いわけですので、当然おしゃぶりを大きな人が使うということはないわけですから、特にそこを手当することは、今の段階では考えていないということです。ただし、確か他のところでも、いろいろ指摘があったと思いますが、玩具関係について見直すべきとの御指摘もあったので、今後の課題として取り組まなければいけないところはあるという認識は我々も持っております。現時点での解釈としては、こういうことになっているということであります。
 ですから、例えばおしゃぶりについて、1歳未満用と書いてあれば、当然未就学児の中に入りますので、規制の対象になるということになります。
米谷委員
 どうもありがとうございました。
井上部会長
 他には、いかがでしょうか。
 玩具の範囲とか、いろいろ多岐に渡ったコメントと回答内容になっているわけでございますが、それぞれの御専門の立場から。
 それでは、規制の方に議事を進めさせていただきます。
 規格基準案に関する御指摘が35ページからです。これについては、いかかでしょうか。193番からです。
 限定される対象範囲の食品とか、いろいろあります。よろしゅうございますか。
 国際関係では、いろいろお問い合わせや、事務局としての対応があったようですけれども。それでは、最後のその他です。代替品に対する考え方とか、それに対する回答、リスク回避措置に対する考え方。ここでも内分泌攪乱の問題が、事務局の御説明にもありましたように、一応触れられておりますけれども。
 これは、内分泌かく乱の方で危惧されているドースよりも、はるかに高いところでの問題になっています。はるかと言うと語弊があるかもしれませんけれども。
 パブリックコメント並びに回答に対する御意見は、よろしゅうございますか。
 それでは、76ページまでのパブリックコメント並びに、それに対する回答についての御検討をいただいたということで、この内容について御了承いただいたということにさせていただきたいと思います。
 事務局、この扱いについては。
事務局
 先生方には事前に何度も御相談させていただいて、当方のいろいろな質問にお答えいただきまして、御礼申し上げます。
 資料No.1につきましては、河村先生の御指摘もあり、もう一度こちらの方でも少し文言を考えてみますし、また、誤字、脱字等があれば、そこら辺を修正した上で厚生労働省のホームページの方に正式な形で、本日のものは、あくまでまだ案の段階のものですので、修正の上、回答として載せさせていただきます。
 資料2につきましては、基本的には内容は資料No.1と同じでございますので、こちらは外務省との関係もございますので、外交ルートを通してWTOの方の関係のコメントについても回答の趣旨は同じように整理できますので、この趣旨に添って回答するということで進めることになります。
井上部会長
 そうしますと、これで約七か月ほど前に皆様方に御討議いただいた基準案に対するパブリックコメント並びに回答を御了承いただいたということになります。
 それでは、次に合同部会報告書は、現在の内容の基礎となるものでありますが、これについても御検討いただきたいと思います。
事務局
 事務局から資料の方を説明させていただいてよろしいでしょうか。
井上部会長
 そうですね。説明をお願いいたします。
事務局
 それでは、資料のNo.3と4と5につきまして説明させていただきます。資料のNo.3は、これも素案を先生方の方に送らせていただいて、御意見をいただいて修正を加えたものでございますが、本合同部会から食品衛生分科会長へあてた報告書の案でございます。
 資料のNo.4につきましては、その案をベースに事務局の方で概要という形で取りまとめたものでございます。
 資料のNo.5につきましては、今のところ通知で示すことを考えておりますが、ポリ塩化ビニル製の器具・容器包装、それからおもちゃ、それにおけるフタル酸エステル類の試験法に関する資料でございます。
 まず、資料のNo.3でございますが、一番最初の表紙は、通常の様式に沿ったものでございます。
 1枚開けていただきますと、部会の開催年月日等ございます。
 もう1枚めくっていただいたところから本体でございます。
 「I.はじめに」のところでは、諮問させていただきました経緯等につきまして書いてございます。
 1ページの下の方につきましては、海外の状況等について記載させていただいております。
 2ページから「II.DEHPとDINPの毒性評価について」ということで、まずDEHPについての基本情報の整理をさせていただいてございます。
 1点、ここで申し上げておかなければいけないことがございまして、実は、DEHP、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)に関しまして、本報告書では、これまでずっとこの形できておりましたので、この表現を使っておりますが、調べてみますと、IUPACの命名法ですと、Bis(2-ethylhexyl)phthalateとなっていまして、「ジ」ではなくて、「ビス」となっているということであります。
 今、法令上どちらで書いた方がより適当か検討しておりまして、本日はまだそちらの検討が整理できておりませんので、部会の報告書は、今まで御検討いただきました名前で記載しておりますけれども、実際に法令で告示をする場合には、ここの名前が「ジ」ではなくて「ビス」等、別の名称に変わる可能性があるということを申し上げておきます。
 実際に他の法令では、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)というような表現を使っている法令もあるということがわかりまして、他方、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルという表現もあるようでございますが、そこら辺を事務局の方で整理させていただいているところでございます。
 2ページの方に戻らせていただきますと、「2)DEHPの耐容一日摂取量(TDI)の設定について」ということで、こちらは前回の合同部会で使いました毒性の資料をベースにもう一度先生方に修正すべき点とか、こちらから御相談させていただいて修正すべき点等について修正したものでございますが、ベースは前回の資料から変わってございません。 「(1)体内動態」「ア)吸収」が2ページにございます。
 3ページに「イ)分布」。
 4ページに「ウ)代謝」。
 5ページに「エ)排泄」。
 6ページに「オ)その他」ということで整理してございます。
 そして「(2)精巣毒性」についての整理が6ページの半ばからございます。
 「ア)フタル酸エステル類の精巣毒性発現の構造依存性」について整理し、7ページに「イ)DEHPの精巣毒性の発現機構について」、8ページに「ウ)DEHPの精巣毒性評価」があり、「(3)生殖・発生毒性」が8ページの下の方からございます。
 9ページのところで、整理といたしまして、「(4)TDIの評価について」といたしまして、「DEHPのTDIは、精巣毒性試験及び生殖発生毒性試験における無毒性量3.7〜14mg/kg/dayを踏まえ、不確実係数として100をとり、40〜140μg/kg/dayとする」ということでございます。
 なお、このDEHPにつきましては、平成12年6月にも検討を行っており、その検討した結果につきまして、24ページの後ろのところから資−1から付けさせていただいており、平成12年毒性・器具容器包装合同部会における安全性評価については資−5というところからですが、この報告書に一体のものとして後ろに付けるという形にさせていただいております。
 9ページのところから、「2.DINPについて」「1)基本情報」として、構造式等の整理をさせていただいております。
 9ページの下に「2)DINPのTDIの設定について」で、まず「(1)体内動態」について「ア)吸収」、10ページにいきまして「イ)分布」「ウ)代謝」について整理しております。
 10ページの下の方に「(2)一般毒性及び発がん性」の整理がございまして、12ページのところまでございます。
 これにつきましても「(3)ホルモン受容体関連反応性について」として12ページにございますように検討していただいて、13ページのところで「(4)精巣毒性」「(5)生殖毒性」「(6)発生毒性」についての御検討をいただきました。
 14ページの真中辺にございますように、「(7)TDIの評価について」は、「DINPのTDIは、2年の混餌投与試験における無毒性量15mg/kg/dayを踏まえ、不確実係数として100をとり、150μg/kg/dayとする」ということになっております。
 「III.フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル製器具及び容器包装について」ということで、「1.厚生科学研究の概要」として、「平成12年度までの厚生科学研究により、以下の諸点が明確になった」ということで、前回の合同部会の資料から内容を抜粋しておりますが「1)ポリ塩化ビニル手袋から食品へのDEHPの移行について」の整理をしております。
 15ページには「2)市販食品中のフタル酸エステル類の分析結果等について」ということの整理となっております。
 こちらにございますように、平成12年度の市販弁当等の調査で、市販弁当に含まれるDEHPの平均値は、平成11年度の結果と比較して、約22分の1に減少しているということで、平成12年度に講じた措置が奏功しているのではないかと考えられるデータが出ているということも記載してございます。
 15ページの下から「3)ポリ塩化ビニル製器具・容器包装からの食品へのDEHPの以降について」ということで、DEHPを異なる比率で含有する食品用器具・容器包装につきましてのデータの結果をまとめてございます。
 16ページの真中より下の方でございますが「2.規格基準(案)について」ということで「1.で述べたとおり、油分を含む食品にDEHPを含有するポリ塩化ビニル製製品が接触する場合には、DEHPが食品に容易に移行すること、食品との接触時間が長いとDEHPの移行量も多くなること、その一方で、20%程度の濃度のエタノールについてはポリ塩化ビニル製品中のDEHPに対して68%エタノール(消毒用エタノール)のような大きな溶出力を示さないこと等が明確になった」、それから、「また、DEHPの含量が13%程度のポリ塩化ビニル製製品であっても、油分を想定した有機溶媒であるn−ヘプタンによる溶出試験によりDEHPの溶出が確認されたことにより、DEHPを含有するポリ塩化ビニル製の器具・容器包装を油性食品に対して使用することは適当とは考えがたいものであった」ということ、「なお」としまして、先ほどの市販されている食品中の調査結果の話を書いておりまして、「平成12年6月に発出した、DEHPを含有するポリ塩化ビニル製手袋の食品への使用を避けるよう指導する通知は一定の効果を上げたものと考えられるが、その後の調査結果等を勘案し、より一層の安全性確保を図る観点から、食品用の器具・容器包装から食品へのDEHPの移行が生じないよう食品用の器具・容器包装の規格基準を設定することが適当である」。
 「すなわち、DEHPを含有するポリ塩化ビニルについては、油分を含む食品と接触する使用は適当でないことが明確になったものと判断され、食品衛生法第10条第1項の規定に基づき、以下の趣旨を規定することが適当と結論する」ということで、「『油脂、脂肪性食品を含有する食品の器具及び容器包装には、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。ただし、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が溶出又は浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りではない』」。
 「なお、告示施行までの間、適当な猶予期間を設けることが適当である」ということです。
 「3.その他」として「化学製品のみならず、有機溶媒等にもDEHPの汚染(コンタミネーション)が知られていることから、器具・容器包装の材質試験や溶出試験の実施に際しては、その点を考慮すべきである」と、前回の部会で御議論いただいた内容を、ここで盛り込んだ形での整理をさせていただいております。
 17ページの真中のところでございますが、「IV.フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル製おもちゃについて」ということでまとめてございます。
 まず、「1.厚生科学研究の概要」として、「1)乳幼児のMouthing行動」、18ページのところから、「2)おもちや中のフタル酸エステル類」についての調査結果、19ページで「3)おもちやからのフタル酸エステル類の溶出」について、「4)フタル酸エステル類暴露量の検討」として、平成12年度の厚生科学研究の結果について書かせていただいております。
 20ページのところから「2.おもちや由来のDEHPあるいはDINP暴露に関する推定」として、前回の合同部会で用いました資料をベースに、パブリックコメント等でいただいたコメントで直すべき表現を修正した上で整理して、こちらの方に載せてございます。
 暴露の推定に当たっての前提条件が20ページのところに書いてございます。
 21ページから「1)おしゃぶり等について」の検討結果、「2)玩具(おしゃぶりを除く)について」の検討結果、「3)特定の仮定をおいた場合について」の検討結果を書かせていただいております。「(1)検討その1」としましては、四分位数ということで、上位25%群を使った検討結果を書かせていただいております。
 22ページから、「(2)検討その2」としまして、用いることができるデータ、Mouthingデータ40例と、唾液への溶出量のデータ25例との掛け合わせをした1,000例を求めた場合の試算、次に、一番大きい溶出量を除いた試算があります。
 23ページのところでは、「(3)検討その3」といたしまして、更に無作為に値を抽出して積を1万回求めたときの試算の結果を載せてございます。
 23ページの「(4)その他:留意点」としまして、上記の試算が、暴露を過大に見積もる幾つかの条件を置いたものですが、その一方で、留意すべき点として幾つかあるという点を、ここに整理させていただいております。
 24ページの上の方に「3.おもちゃの暴露の評価のまとめ」でございますが「・Mouthing時間が長くなる傾向のある、元来しゃぶることを目的としているおしゃぶりといった玩具がDEHPを含有するポリ塩化ビニル製であった場合には、DEHPのTDIの下限値を超える暴露が生じる可能性がある」ということ、「・DINPについては、おしゃぶりに使用されたとしても、TDIを大きく超える暴露はまず生じないものと考えられるが、極端な条件を想定するとTDIを超える暴露が生じる可能性は否定しきれない」ということ、「・通常は玩具以外のものもしゃぶる行動をとる乳幼児が、玩具ばかりをしゃぶると仮定した場合、その玩具がDEHPを含有するポリ塩化ビニル製であれば、暴露量はTDIの下限値を超える暴露が生じる可能性がある」ということを整理しております。
 「4.規格基準(案)について」としまして、「フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルに関し、おもちやの規格基準を改正することについては、食品衛生法第29条第1項において準用する第7条第1項の規定に基づき、以下の趣旨を規定することが適当である」として「『合成樹脂製のもので、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちやには、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)あるいはフタル酸ジイソノニルを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。
 上記以外の合成樹脂製のおもちやには、フタル酸ジイソノニルを含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない』。なお、告示施行の間、適当な猶予期間を設けるべきである。」ということです。
 「5.その他」として、器具・容器包装等と同じく有機溶媒等のコンタミネーションのお話を書いております。
 「V.おわりに」として、前回御指摘いただきました、他の可塑剤等の化学物質に関する調査・検討、これについては今後の課題として取り組むことが必要であるという御指摘がありましたので、ここに書いてございます。
 厚生労働省が、前回の合同部会後に、パブリックコメントを募集したということ等を書いてございます。
 後ろの方の資料でございますが、先ほど説明させていただきましたように、まず、平成12年6月の資料を付けてございます。
 前回、毒性関係でいただいた資料も合同部会報告書の中に付けさせていただいております。資−12まででございます。
 おもちゃの暴露関係の検討に用いました表につきましても、資−13から後ろに付けてございます。
 資−16までということで、資料3は以上でございます。
 資料No.4は、今の報告書が少し長いものでございますので、まとめたものがあった方がいいだろうということで、事務局の方で7ページの要約をつくったものでございます。
 資料No.5は、試験法でございまして「第1 ポリ塩化ビニル製器具・容器包装におけるフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)試験法」として、「1.装置」につきましての説明で「ガスクロマトグラフ・質量分析計又は水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフを用いる」ということを規定しております。
 「2.試薬・試液」の規定があり、「3.試験溶液の調製」において計算値ということで、3.の最後のところに書いてありますように、「次式により求めたフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)の含量は0.1%以下でなければならない」ということで、空試験をしていただいた上で0.1%以下であることを確認するということです。
 「4.操作法」として、「(1)定性試験」、「(2)定量試験」、「(3)確認試験」が書いてございます。
 「第2 合成樹脂製のもので乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃの製造に用いるポリ塩化ビニルにおけるフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)及びフタル酸ジイソノニル試験法」ということで、同様に整理をしております。
 4ページのところで「第3 合成樹脂製のおもちゃの製造に用いるポリ塩化ビニルにおけるフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)試験法」というところで整理をして、「1.装置」「2.試薬・試液」「3.試験溶液の調製」「4.操作法」等をまとめてございます。
 5ページまでございますが、資料No.5は以上でございます。
井上部会長
 どうもありがとうございました。ただいまの資料No.3、並びに概要のNo.4、試験法に関するNo.5、これは先生方の御意見を伺いながら事務局の方でおまとめくださったものでありますけれども、またある程度内容を御検討いただいているところだと思いますが、新たな基準案として付け加えられた点等がございますので、毒性評価並びに暴露等について、後ろの方に付いている参考資料と併せて御意見がありましたらどうぞお願いします。
 これにつきましても、暴露評価の部分など御意見がありましたら。
河村委員
 資料5の試験法のところですけれども、ちょっと誤記をしているかと思いますので、訂正していただきたいのですけれども、第1、第2、第3にすべてに含まれますけれども、そのうちの材質試験の「3.試験溶液の調製」のところですけれども、2行目の真中よりやや後ろのところに、「共栓をして約37℃に保ち」と書いているんですけれども、これは「密栓をして」です。
 そして、約37℃と書いておりますけれども、うちの実験室で主に37℃で実験しておりますけれども、各種温度で検討しておりまして、室温では回収率がやや悪い、50℃でも若干飛ぶんですけれども、35℃から40℃ぐらいの範囲ですと、一定測定値が得られるということを検討しておりますので、それを申し添えさせていただきたいと思います。必ずしも37℃ではなく、若干幅を持たせております。
井上部会長
 技術的なことなので問題ないと思いますが、事務局一応。
事務局
 実際に通知しますときには、その部分を修正した上で対応させていただきます。
井上部会長
 よろしくお願いします。
 他にはございませんか。
福島委員
 ささいなことで、体裁の問題だけなんですが、ちょっとお聞きした21ページを見ていただきますと、そこの2)で玩具についてというところの時間の値が小数点以下1桁で、69.2分で、あと暴露量は33.2μg/kg/dayとなっていますが、22ページの方を見ますと、ウ)のところは、時間が86.14分、暴露量は31.63と小数点以下2桁になっています。統一しておいた方がむしろいいのでは。どうでしょうか。
井上部会長
 これは何か理由がありますか。
事務局
 ちょっとすぐに思い出せませんが、たしかここは計算をしているところですので、整理して問題がなければ、そういう形に整理した方がよろしいかと思います。
井上部会長
 何か理由があるかもしれないということですね。お調べいただいた上で。
事務局
 有効数字の方を考えますと、確かに小数点以下2桁がこの場合に意味があるかという話は出てくると思いますので、1桁で整理してよろしければ事務局の方で1桁に整理させていただきます。
井上部会長
 大隅先生、御記憶ありますか。
大隅参考人
 有効数字の問題がありますから、それは考慮して決めさせていただいた方がいいと思います。
井上部会長
 福島先生どうもありがとうございます。
福島委員
 すみません、もう一つまたささいなことで、前に行きまして、19ページを見ていただきますと、19ページの上から4行目の塩化ビニルの試験片のChewingの説明が試験法何々することと記載してございます。それで、17ページを見ますと、こちらの方では、今度口に入れるMouthingとなっております。表現方法をどちらかに統一したらどうでしょうか。
井上部会長
 もしかすると何か意味があったかもしれませんので、谷村先生、今の御指摘もしあれば。事務局の方が先に説明しますか。
事務局
 確か、厚生科学研究の報告書の中では、乳幼児がものを口に入れていることをMouthingと言っていて、溶出試験のときには意図的に、軽く咬んだり動かしたりするということで実験をしていたということで、ちょっと意味が違うのではないかということで今までまとめていたのですが。
井上部会長
 そうした概念についてですか。
福島委員
 ただ、文章面だけの問題で、概念の違いについての質問ではありません。例えば、Mouthingと書いて説明するのか、Chewingと書いて説明するのかということです。
井上部会長
 片方はChewingと書いて説明しているから、片方もMouthingと書いて説明した方がいいという御指摘ですね。たびたびどうもありがとうございます。
 他にはございませんか。
 長い間御検討いただいたことではありますが、会議の席できちっと最終確認をするのは、これが最後になろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 基準案の文言等についてもよろしゅうございますか。
事務局
 基準案の文言につきましては、部会報告書案はあくまで趣旨という形にさせていただいておりまして、前に御相談させていいただいたときにも、説明させていただいたことがございますが、先ほど言いましたように、まず化学物質名とか、そういうところがありますので、告示になるときには、必ずしもこのとおりにならないかもしれないということだけお含み置きいただければと思います。
井上部会長
 他にDEHPの名称について事務局の御説明があったとおりですので、御承知置きいただきたいと思います。
 それでは、この規格基準改正及びおもちゃの基準改正についての毒性評価、暴露評価、基準案並びに「おわりに」の付いたもの。それと資料No.4の「まとめ」、資料No.5の試験法についての御意見を承って御了承いただいたということにさせていただこうと思いますが、私、容器包装部会長として、一応ここまで進めてまいりましたけれども、黒川先生の方からはいかがでしょうか。
黒川部会長
 どうもありがとうございました。私も、毒性部会ということで部会長をさせていただいておりますけれども、今の報告書、お認め願ったということでございます。それで、感想みたいなことですけれども、資料No.1でございますが、パブリックコメントを見てみますと、137通で517のコメントが出たということで、これは私の記憶では、ちょっと知らないぐらいの大きな数でございまして、いかにインターネットとかメールとか、普及してきたかということもありますけれども、それに対して事務局の方、また先生方の御協力もありましたけれども、これだけまとめて、それを考慮して報告書ができたということで、非常にありがたいことだと思っております。
 それで、「おわりに」というところに書いてありますように、他の可塑剤についても、今後の課題として取り組むということでございます。また、いろいろお世話になると思いますけれども、委員の先生方、よろしくお願いいたします。
井上部会長
 それでは、この扱いについての御説明を繰り返しになるかもしれませんが、お願いします。
事務局
 細かい修正がございますので、細かい修正内容の確認は事務局から申し上げるのもあれでございますが、井上部会長一任ということにさせていただいてよろしいでしょうか。事務局の方で今御指摘あった細かな修正をして、内容の確認を取らせていただいた上で、分科会への報告書として正式に固めさせていただくという作業をさせていただきます。
 それから、今後、パブリックコメントの回答をホームページに載せるとか作業がございますが、できるだけ早く報告書を固めた上で、分科会の方での御審議をお願いして、審議会からの答申を正式にいただきまして、できるだけ早いタイミングでの告示というふうに考えております。基本的には7月に御説明しました段取りは変えておりませんので、その形で進めさせていただくということを考えております。
井上部会長
 どうもありがとうございました。それでは、私の方に御一任いただいたということで、今後、事務局の方と進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、その他ですが、これはいかがですか。特にございませんか。
 それでは、本日は、器具及び器具包装の規格基準の改正、おもちゃの規格基準の改正についての御審議、どうもありがとうございました。
基準課長
 どうもありがとうございました。各委員の先生方並びに各分野の専門の先生方には、いろいろ御協力をいただきましたことに対して、心から感謝申し上げます。
 また、今、毒性部会長からもお話がありましたように、パブリックコメントが予想以上にまいりまして、本当であればもう少し早くまとめをしてコメントに対する回答を書いてお出ししたいと思っておりましたが、いろいろな観点からの、言っていることは同じようでも表現が違ったり、あるいは表現が同じようであっても、言いたいことがどうも違うというようなこともありまして、そのまとめに非常に苦慮しまして、時間を要してしまいましたことについてもお詫びを申し上げます。
 それから、最後に、前回の7月のところでいろいろな先生からかなり宿題的なものもいろいろございました。例えばアジピン酸だとか別なものについて事務局はどう考えるんだということもあり、この点については今後とも、その他についても検討していくという形で、言葉としてもここに書かせていただきました。あるいは対象の食品として、器具・容器包装に接触する食品として、問題になったようなものが入らないような表現だと困るというような御意見、これに対しては今回のような形でのそういうものも加えるような形にして整理をさせていただきましたし、また、容器包装について実際に出回っているものは油脂に接触しない用途であるけれども、それが家庭において、油脂性食品用としてリユースされるようなものについてどうするんだというようなことに対しては、コメントに対する回答のところではありますけれども、そういった情報を促すように、情報について提供がうまく行くように、業者を指導するというようなことも、コメントの回答の中でも書いております。そういった点で、前回ペンディングになった、あるいは宿題になった事項も私どもとしては、いずれかの形で回答したつもりでありますので、そういった点、今日、非常にタイトでございましたが、また持ち帰っていただきまして、まだ足りないような点とかございましたら、また、事務局の方にお寄せいただき、部会長とも御相談させていただきまして、文章の整理とかさせていただきたいと思います。
 そういったようなことで、非常に長い時間を要しましたけれども、いろいろ協力いただきまして、ありがとうございました。
井上部会長
 それでは、これで終了いたします。

−了−

照会先 :厚生労働省医薬局食品保健部基準課 坂本・平川
     電話    03−3595−2341   内線2483,2487
     ファックス 03−3501−4868


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