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年金資金運用基金 平成13年度第1〜第3四半期運用状況

1.資産全体の運用状況

○ 平成13年4月〜9月までの各資産の市場平均収益率(ベンチマーク収益率)は、企業業績の先行き不安、米国同時多発テロ発生の影響等により、国内株式、外国株式が特に大きくマイナスとなっていたが、12月末までに米国を中心とした株価の上昇、円安の進行等により、外国株式、外国債券を中心に回復した。

○ このため、修正総合収益率(期間率、市場運用分)は第1〜第2四半期の−6.72%から、第1〜第3四半期は−3.53%となった。

(参考1)修正総合収益率(期間率)
第1四半期(4〜6月) 1.13%
第2四半期(7〜9月) −7.84%
第3四半期(10〜12月) 3.30%
第1〜第2四半期(4〜9月) −6.72%
第1〜第3四半期(4〜12月) −3.53%

(注)修正総合収益率=(総合収益額)÷(毎月の運用元本残高平均額+前期末評価損益・未収収益)

(参考2)総合収益額

 上に述べた市場の状況から、総合収益額(市場運用分)は第1〜第2四半期の−17,456億円から、第1〜第3四半期は−9,253億円となった。

※ 年金資金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要であるが、情報公開を徹底する観点から、四半期毎に運用状況の公表を行っている。


2.各資産の運用状況

(1)資産構成状況(H13.12月末現在)
(単位:億円、%)
  時価総額
構成比
国内債券 144,371
54.92%
国内株式 61,897
23.55%
外国債券 13,078
4.97%
外国株式 38,404
14.61%
短期資産 5,127
1.95%
合計 262,877
100.00%

財投債(簿価) 89,594
(時価総額 89,392)
注1) 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。
注2) 時価総額は未収収益を含む。
注3) 財投債(簿価)は償却原価法による簿価に未収収益を加えたもの。

(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(H13.4〜12月)
(期間率)
  時間加重収益率 ベンチマーク収益率 超過収益率
国内債券 0.25% 0.17% 0.08%
国内株式 -19.50% -18.84% -0.66%
外国債券 6.62% 9.01% -2.39%
外国株式 2.62% 2.76% -0.14%
短期資産 0.92% 0.07% 0.86%
注) 国内債券・外国債券は10月から、国内株式・外国株式は4月からの実績である。

<ベンチマーク収益率(市場平均収益率)を下回った理由>
国内株式: ベンチマーク収益率に比べ収益率の低かった電気機器の組み入れ比率が高く、ベンチマーク収益率に比べ収益率の高かった電力・ガスの組み入れ比率が低かったこと。
外国債券: 12月に急速な円安が進行し、一部為替ヘッジ付きで運用されていた分だけ、ベンチマーク収益率よりも低い収益率にとどまったことによるもの。
外国株式: 9月に発生した米国テロ事件後の相場変動の影響によるもの。

(参考)
(期間率)
  時間加重収益率 ベンチマーク収益率 超過収益率
債券 0.42% 0.58% -0.16%
 (国内債券) (0.54%) (-0.04%)
 (外国債券) (-0.38%) (-0.96%)
転換社債 -8.35% -7.23% -1.12%
注)4月から9月までの実績である。


(参考資料1)

ベンチマーク収益率(累積)の推移

推移図

国内債券:量的緩和の継続等により堅調に。7月以降、邦銀勢による中間期末を意識した益出しの売り、国債増発の思惑、海外格付け機関による国債格下げ等から下落するが、運用難の最終投資家による押し目買いが下支えし、横ばい推移。
国内株式:米国株式相場の上昇等から一旦上昇するが、5月中旬以降、企業業績の先行き不安や米同時多発テロ発生の影響による世界的な景気先行き不透明感等から軟調に。
10月以降、米国株に追随し、一旦上昇するが、相次ぐ企業の破綻による信用リスクの不安、企業業績の低迷等から再び軟調に推移。
外国株式:金利引下げ等により一旦上昇するが、企業業績の悪化懸念や米同時多発テロ事件が米景気に及ぼす影響等から軟調に。9月下旬以降、FRBによる資金供給努力やアフガニスタン情勢の好転、米国早期景気回復期待等から堅調に。
外国債券:対ドル、対ユーロで円高となったこと等から軟調となるが、景気低迷を示唆する経済指標やテロの発生による安全資産へのシフトから堅調に。11月以降、アフガニスタン情勢の好転による投資家の安全志向の後退等から軟調となるが、為替要因が寄与し、円ベースの収益率はプラスとなった。

○ベンチマーク騰落率
  4月〜9月 4月〜12月
国内債券(NOMURA-BPI) 0.58% 0.74%
転換社債(NOMURA-CBPI) −7.23% −8.19%
国内株式(TOPIX配当込) −19.52% −18.84%
外国株式(円ベース)(MSCI) −15.63% 2.76%
外国債券(円ベース)(SSBI) 0.29% 9.33%

○運用環境
  平成13年3月末 平成13年9月末 平成13年12月末
国内債券(新発10年国債利回り) 1.275% 1.410% 1.365%
国内株式(日経225) 12,999.70円 9,774.68円 10,542.62円
(TOPIX) 1,277.27ポイント 1,023.42ポイント 1,032.14ポイント
米国株式(NY ダウ) 9,878.78ドル 8,847.56ドル 10,021.50ドル
(MSCI標準) 1,110.311ポイント 937.601ポイント 1,137.605ポイント
為替(円/ドル) 125.32円 119.13円 131.06円


(参考資料2)

平成13年度(第3四半期まで)における他の年金資金運用状況について

1 厚生年金基金・税制適格年金の運用成績

○第3四半期までの通期の推定値は、▲5.3%と、上半期の▲9.8%より回復しているものの依然としてマイナス水準。

 (回復の原因)

2 生保第一特約運用成績

○総合口の運用成績は、第3四半期までの通期の推定値は、▲6.21%と、上半期▲10.46%から回復しているものの依然としてマイナス水準。

3 信託銀行合同口運用成績

○各資産の運用状況

《データ出所》年金情報(2002.1.21, 2.4)
厚生年金基金・適格退職年金は格付投資情報センター(R&I)推定[年金情報(2002.1.21)]
(約160の厚生年金基金・税制適格年金が運用委託している信託銀行・生命保険・投資顧問など約2000ファンドを対象に運用評価サービスを実施、直近の時価総額は約14兆円)


(参考資料3)

12月21日公表

年金資金運用基金の平成13年度第1〜第2・四半期運用状況

(1)資産構成状況

(単位:億円、%)
  H13.3月末 H13.9月末
時価総額
構成比
時価総額
構成比
債券 154,099 153,031
59.38% 63.16%
転換社債 3,427 1,922
1.32% 0.79%
国内株式 62,755 51,004
24.18% 21.05%
外国株式 33,252 28,187
12.81% 11.63%
短期資産 5,998 8,126
2.31% 3.35%
合計 259,530 242,270
100.00% 100.00%
財投債 簿価 59,455
時価総額 59,129
注1) 上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。
注2) 財投債の簿価は償却原価法(未収収益を含む)。

(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(H13.4〜9月)
(期間率)
  時間加重収益率 ベンチマーク 超過収益率
債券 0.42% 0.58% -0.16%
 (国内債券) (0.54%) (-0.04%)
 (外国債券) (-0.38%) (-0.96%)
転換社債 -8.35% -7.23% -1.12%
国内株式 -20.71% -19.52% -1.18%
外国株式 -15.11% -15.63% 0.51%
短期資産 1.33% 0.05% 1.28%

(参考1) ベンチマーク収益率を下回った各資産の主な理由は以下のとおり
債券: 国内債券の代替資産として保有する外国債券の収益率が低かったこと
国内株式: 業種間で収益率に大きく差異があったこと

(参考2)ベンチマーク収益率の推移

推移図

国内債券: 量的緩和の継続等により横ばいで推移
国内株式: 企業業績の先行き不安や米国同時多発テロの米国景気に及ぼす影響等から大幅な下落
外国株式: 米国の企業業績の悪化懸念や米国同時多発テロの米国景気に及ぼす悪影響等から大幅な下落
外国債券: 一時円高を受け軟調となるが、世界的な景況感の悪化懸念や米国テロによる安全資産への逃避等からやや持ち直して推移。

(3)総合収益(市場運用分)の状況(H13.4〜9月)
(単位:億円)
総合収益額(報酬・手数料控除前) -17,456
修正総合収益率(報酬・手数料控除前) 期間率 -6.72%
(年率換算) -13.41%


9月20日公表

年金資金運用基金の平成13年度第1・四半期運用状況

(1)資産構成状況
(単位:億円、%)
 H13.3月末H13.6月末
時価総額
構成比
時価総額
構成比
債券154,099155,764
59.38%59.34%
転換社債3,4273,121
1.32%1.19%
国内株式62,75562,763
24.18%23.91%
外国株式33,25233,308
12.81%12.69%
短期資産5,9987,557
2.31%2.88%
合計259,530262,512
100.00%100.00%
財投債 簿価30,145
時価総額30,267
注1)上記の数値は四捨五入のため、各数値の合算は合計の値と必ずしも合致しない。
注2)財投債の簿価は償却原価法(未収収益を含む)。

(2)各資産の収益率(市場運用分)の状況(H13.4〜6月)
(期間率)
 時間加重収益率ベンチマーク超過収益率
債券0.75%1.07%-0.32%
 (国内債券)1.03%-0.04%
 (外国債券)-2.48%-3.55%
転換社債-0.37%-0.12%-0.25%
国内株式1.31%1.92%-0.61%
外国株式2.67%2.60%0.07%
短期資産1.94%0.04%1.90%

(参考1)ベンチマーク収益率を下回った各資産の主な理由は以下のとおり
債券:国内債券の代替資産として保有する外国債券の収益率が低かったこと
(外国債券のベンチマーク収益率は-3.08%であり、上記時間加重収益率はこれに対し0.6%の超過収益)
国内株式:業種間で収益率に大きく差異があったこと等
(参考2)ベンチマーク収益率の推移

推移図

国内債券:量的緩和の継続等により堅調に推移
国内株式:米国相場の上昇等から一旦上昇するが、企業業績の悪化懸念等から軟調に推移
外国株式:金利引下げ等により一旦上昇するが、企業業績の悪化懸念等から軟調に推移
外国債券:対ドル、対ユーロが円高となったこと等により軟調に推移

(3)総合収益(市場運用分)の状況(H13.4〜6月)
(単位:億円)
総合収益額(報酬・手数料控除前)2,943
修正総合収益率(報酬・手数料控除前)(期間率)1.13%
(年率換算)4.54%


資金運用に関する専門用語の解説

○ 修正総合収益率

運用成果を測定する尺度の1つ。
従来の簿価ベースでの運用元本に時価の概念を導入した収益率で、総合収益率よりさらに時価ベースにした収益率。
算出が比較的容易なことから、運用の効率性を表す時価ベースの資産価値の変化を把握する指標として広く普及している。

(計算式)
修正総合収益率 ={実現収益(売買損益 + 利息・配当金収入 + 未収収益)+ 未収収益増減(当期末未収収益−前期末未収収益)
+評価損益増減(当期末評価損益 - 前期末評価損益)} / (運用元本平均残高+前期末未収収益+前期末評価損益)

上記の計算式において、未収収益は、自家運用の未収収益をいう。
上記の計算式において、未収収益増減は、金銭信託及び投資顧問(LPS)の未収収益をいう。

○ 時間加重収益率

 時間加重収益率は、時価に基づく運用収益から運用機関が自ら決めることができない運用元本の流出入の影響を排除した収益率であり、その運用実績と市場平均収益率との比較により、運用能力を評価することが可能。
 基金では、時間加重収益率の市場平均対比での超過収益率を測定し、運用行動の自己評価と、運用機関の定量評価に使用。

○ 市場平均の基準指標(ベンチマーク)

 運用成果を評価する際に、相対比較の対象となる基準指標。運用収益率の絶対値の高低による評価は、投資環境の違いを反映せず、運用期間が異なる場合に横並びの比較が不可能である。しかし、投資環境を反映する基準指標(TOPIX等)があれば、基準指標に対してどの程度上回る収益率を達成できたか(超過収益率)を算出することにより、運用期間の異なるものを横並び比較が可能。

* NOMURA−BPI

 野村総合研究所が作成・発表している国内債券市場の市場平均の基準指標。 国内債券の市場平均の基準指標としては代表的なものであり、基金も市場平均収益率に採用。

* TOPIX(配当込み)

 東証一部上場全銘柄の株価を株式数で加重平均して算出したもの。国内株式市場の代表的な市場平均の基準指標であり、基金も市場平均収益率に採用。

* MSCI

 モルガン・スタンレ−・キャピタル・インターナショナル社が作成・発表している国際株式投資の市場平均の基準指標。
 国別、及び全体の市場平均の基準指標の他に「ヨ−ロッパ」、「アジア」、「エマ−ジング」といった様々な切り口の市場平均の基準指標を作成。対象国の包括性、切り口の多様性等の点で国際株式投資の市場平均の基準指標としては代表的な存在。基金も外国株式の市場平均収益率に採用。

* SSBI

 ソロモン・スミス・バーニー社が作成・発表している世界国債の市場平均の基準指標。時価総額につき一定基準を満たす国の国債につき、投資収益率を指数化したもの。国際債券投資の代表的な市場平均の基準指標のひとつ。基金も外国債券の市場平均収益率に採用。

○ 市場平均収益率(ベンチマーク収益率)

 各市場(国内債券、国内株式、外国株式等の市場)における平均的な収益率をいい、市場を代表する指数(東証株価指数など)の騰落率により算出可能。

○ 償却原価法

 債権あるいは債券を、債権金額あるいは債券金額よりも低い金額または高い金額で取得した場合、差額が発生するが、これらの差額を弁済期または償還期までに毎期、一定の方法で貸借対照表額に加減する方法。

○ 為替ヘッジ

 外貨建資産を運用する場合、為替変動リスク、特に円高により運用資産が目減りしてしまうリスクがあることから為替ヘッジが行われることがある。
 具体的には、例えば、1億ドルの外貨建運用資産に対し、その時点の為替レートである120円/1$で一ヶ月後に交換する為替予約を行えば、一ヶ月後の為替レートが110円と円高になった場合でも為替レートは120円で固定でき、1億ドル×120円=120億円の資産価値をそのまま維持することができる。


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