02/02/20 第4回 これからの医業経営の在り方に関する検討会議事録       第4回 これからの医業経営の在り方に関する検討会 日時    平成14年2月20日(水)10時00分から12:00 場所    厚生労働省共用第7会議室 出席委員  石井孝宜、内田裕丈、大石佳能子、神谷高保、川合弘毅、川原邦彦、       小山秀夫、       田中 滋、谷川和生、津久江一郎、豊田 堯、西澤寛俊、西島英利、       長谷川友紀、       南  砂                            (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから第4回「これからの医業経営の在り方に関する検討会」を開催いたしま す。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところ当検討会にご出席いただき、誠 にありがとうございます。  それでは議事に入りたいと思います。本日はご案内のとおり、中間とりまとめに向け ての論点整理をお願いしたいと思います。最初に今後のスケジュールなどについて、事 務局から説明をお願いします。 ○指導課長  本日第4回の検討会ということで、中間とりまとめに向けまして、1.「医療法人の 理事長要件について」、2.「医療機関の経営情報の開示について」、3.「今後検討 を深めるべき課題」についての3点について、ご議論をお願いしたいと思っています。 次回3月にもう1回検討会を予定していますが、最終的な中間とりまとめは、その場で お願いしたいと思います。  一方、3月に入りますと政府部内でも規制改革関係については、年度末に規制改革3 カ年計画の見直しに向けて閣議決定するというような段取りになっています。近々、政 府部内でも事務ベースでの一定の調整作業を開始せざるを得ないような状況ですので、 できれば、本日の段階で理事長要件と経営情報開示の話については、基本的な対応の方 向性だけでも極力意見の集約をお願いできればということで考えておりますので、よろ しくお願いいたします。 ○田中座長  ありがとうございました。その趣旨で進めてまいります。では、事務局で作成した論 点整理に関する資料に基づいて、議論をしていきたいと思います。初めに事務局から資 料確認、続けて内容の説明をお願いします。 ○田村補佐  まず資料の確認をいたします。お手元に座席表、議事次第、委員の名簿、次に「中間 とりまとめに向けた論点整理資料」という事務局で用意したものがあります。次に神谷 委員から意見書の配付希望がありましたので、併せて配付しております。最後に「第4 回社会保障審議会医療部会」、昨年12月に開催された第4回医療部会の議事録を参考に お配りさせていただいています。  では「「これからの医業経営の在り方に関する検討会」中間とりまとめに向けた論点 整理資料」に沿って説明いたします。初めに「医療法人の理事長要件について」です。 「現状・経緯」ですが、これは昭和61年に富士見産婦人科病院事件を契機に、医療の適 正な提供を確保する観点から、理事長を法制化するとともに、原則医師又は歯科医師と する要件を創設したものです。  その後、平成10年に「医療審議会医業経営と患者サービス向上に関する小委員会」に おける議論を踏まえて、運用を弾力化しています。この平成10年の緩和後の基準により 認可された件数は65件でして、その大部分は「過去5年以上経営が安定している」との 基準によるものです。緩和されたものを含めた基準については、2頁目に参考として、 運用の基準を載せています。  今回の理事長要件の見直しに当たって、「基本的考え方」としては、医療法人の理事 長要件については、昭和61年に法改正を行い、創設されたものであるという経緯や、平 成10年当時の医療審議会における議論を十分踏まえる必要があるのではないか、という のが1点です。  理事長要件を廃止すべき理由として、「経営と医療管理の分離によって医療機関経営 の運営の効率化を促進する」ことが挙げられているが、理事長要件創設の背景にある「 適正な医療の確保のためには、法人運営(経営)と病院(医療)管理は一体であるべき 」との考え方は依然として有力なのではないか。  また、病院関係団体の意向調査におきまして、「現状維持」と「廃止あるいは緩和」 が相半ばしている状況も考慮する必要があるのではないか、と言えると思います。  今回の見直しに当たって「対応の方向」ですが、医療法人の理事長は原則医師又は歯 科医師とする現行の考え方は維持した上で、「合理的な欠格事由のある場合を除き、理 事長要件を廃止すべきである」との総合規制改革会議の提言、また、平成12年度におけ る関連事務の自治事務化等も踏まえ、その運用の一層の弾力化により、理事長要件の更 なる緩和を図ることが適当ではないか。  自治事務化については、5頁目に参考として付けておりますが、平成12年に、地方分 権に伴って従来の「機関委任事務」は廃止され、戸籍、国政選挙など、国が本来果たす べき事務を除いて自治事務とされておりまして、医療法人の理事長要件を含む許認可事 務については、都道府県の自治事務とされています。  これに伴って自治事務とされた事務の処理については、原則として地方公共団体の裁 量に任されておりまして、法律の根拠なく、事務の実施基準等に必要以上の関与を行う ことは不適当とされています。こういったことを踏まえる必要があるのではないか、と いうことです。  1頁目に戻って、「対応の方向」の2点目としては、具体的には、認可すべき事例を 限定列挙している現行運用基準を改め、都道府県が個別ケースを審査の上、適正かつ安 定的な法人運営を損なうおそれがないと認められる場合には認可する方向で検討すべき ではないかということです。  4頁目、これは平成10年のサービス小委における理事長要件についての論点を整理し たものを、参考に付けております。  6頁、「2.医療機関の経営情報(決算情報)の開示について」です。「現状・経緯 」ですが、医療法人については、決算を毎会計年度都道府県に届け出るほか、決算関係 書類の債権者への閲覧が義務づけられています。医療法人に比べて、経営の透明性が高 いという指摘がある株式会社については、株主及び債権者への決算書類の閲覧が義務づ けられているほか、貸借対照表又はその要旨の公告が義務づけられています。ただし、 現実に公告を行っている株式会社は極めて少数である、と言われています。  公益法人、社会福祉法人等におきましては、決算関係書類の積極的開示促進策が、近 年講じられています。  今回の経営情報の開示促進に当たっての「基本的考え方」ですが、決算状況など経営 情報の開示が行われることは、医療法人運営の透明性や医療法人に対する国民の信頼感 を高めるために望ましいことではないか、と考えられます。  しかしながら、決算書類の開示を医療法人に一律に義務づけることは、以下のような 理由から困難ではないかと考えられます。1点目は、法人運営の監督、債権者保護の観 点からすれば、現行の枠組みで十分な担保がなされていること。2点目、患者が医療機 関を選択する際の情報として、決算に関する情報が不可欠とは言い難いこと。このよう な理由から一律義務づけは困難ではないかと考えられます。  決算情報の開示に当たっての「対応の方向性」ですが、決算情報の自主的な開示が促 進されるための周辺環境を整備することを基本としつつ、公費による補助や税制上の優 遇措置を受けている法人等については、積極的な開示を要請すべきではないか。また、 開示される決算情報の正確さを担保するため、内部監査の充実や大規模法人における外 部監査(公認会計士又は監査法人による監査)の導入を促進すべきではないかというこ と。医療機関や医療法人の会計基準の在り方についても専門的な検討を行うべきではな いか、という方向性が考えられます。  7頁、参考2−1として付けているのが、「医療法人の決算の仕組みについて」です 。8頁目は、医療法人、株式会社、民法法人、社会福祉法人、学校法人など、その他の 法人と医療法人との経営情報の開示関係についての比較です。  9頁目。「医療法人経営の規模別病院数」ということで、病床規模別に病院数を載せ ています。これは「対応の方向」で、大規模法人における外部監査の導入促進等の関係 で参考までに付けております。  最後に10頁の「3.今後検討を深めるべき課題」です。今後検討を深めていただくべ き課題として挙げられるのは、「医療法人運営の透明性を高めるための方策」、項目例 として、理事構成など組織、運営の在り方、また、会計基準の在り方が挙げられると思 います。  次に「医療法人の永続性、公益性を高めるための方策」として、例えば、社団形式に おける持分の取扱い、特別医療法人、特定医療法人の普及策といったものが挙げられる と思います。3点目は、「医療法人、医療機関運営の弾力性・効率性を高めるための方 策」で、例えば、附帯業務など医療法人の業務範囲、共同化、外部委託の活用、促進な どが挙げられます。4点目は、「経営の安定性を高めるための方策」として、例えば、 資金調達手段の多様化、公的な支援策の在り方、といったものが考えられます。  その他、医業経営の近代化・効率化を進めるために必要な方策について、今後検討を 深めていただくべきではないか、と考えます。事務局からの説明は以上です。 ○田中座長  ありがとうございました。それでは議論に入りますが、いまのメモにありましたよう に大きく3つの項目に分けて検討していきたいと存じます。初めに「医療法人の理事長 要件について」、皆様のご意見を伺いたいのですが、神谷委員から意見書を提出してい ただいておりますので、説明をお願いします。 ○神谷委員  前回意見を述べさせていただきましたが、そのあとでこの場でご紹介のあった資料を 拝見しまして、その資料のような実情にあるのであれば、これから述べるやり方もある のではないかという提案を申し上げたほうが良いかと思いまして、追加の意見書に簡単 にまとめました。  前回、アンケート調査が2つ紹介されたわけですが、これを見ると、どうも理事長要 件というのは、少なくとも法律事項とする、すなわち、法律の上で規定すべき事項とす る必要はないのではないか。  ではどうしたらいいかと言いますと、これは各医療法人の定款・寄付行為等で「我が 法人の理事長は医師でなければいけない」という規定を置くことによって目的を達せら れればよろしいのではないか。前回、理事長要件ということと、適正な医療の提供とい うものの間の関係がどうもはっきりしないのではないかということを申し上げたわけで すが、前回配られた資料によると、理事長要件について現状維持を求める方が約半分、 変更してもいいという方が40%〜50%、調査の仕方によって「必要ない」という表現の 場合と、「緩和を可とする」という表現の場合とがありますが、撤廃を求める意見も9 %ちょっとあるわけです。  そういう撤廃を求める方に対して、「あなたの所はやってはいけない」と言う必要は ない。そうすると、やりたい医療法人つまり、理事長は医師でなければいけないという 医療法人は定款できちっと決めて医業をやる。そういう形がいいかと思います。商法の 世界でも昔は取締役は取締役というだけで代表権もあって、理事長と同じ立場にあった わけで、それに加えて、株主でなければいけない、という資格要件が法律に規定されて いた時代もあったわけです。それが変わって、現在では、例えばトヨタ自動車で以前あ りましたが、「株主は日本国民でなければいけない」ということを定款で書く形で、1 つランクを下げる方法もあるわけです。  法の目的、規制の目的を達成する手法としてはいろいろなものがあるわけで、現場で 働いている方の実情に合った、間尺に合った規制をするのがよろしいのではないか、と 思った次第です。  追加の意見書の4頁に書きましたが、緩和を可とする医療法人、すなわち、ちょっと 中間的な立場をとりたいという医療法人は、例えば、理事会の三分の二の承認を受けた 場合には医師ではない理事長を選任してもいい、というやり方もあるのではないかと思 いました。  最後に、会計情報のことも少しお話しておきたいと思います。今日お話があったよう に、従来の医療の世界でのご主張は、医療法人は営利法人ではなくて、公益法人に近い ものだということでしたから、この論点整理資料でいくと、医療法人についても公益法 人に関する規制に合わせていくべきだということになるはずです。例えば、資料の8頁 目の「民法法人」、これは公益法人ですが、それの2つ目のマスの監査基準、「資産10 0億円以上、負債50億円以上又は収支決算10億円以上」に対応し、医療法人についても 外部監査を要請する必要があると。従来の主張の延長線上では、そういう議論になるの ではないかと思います。  私の立場は、医療法人は法形式としては営利法人であるというものですが、ただ診療 報酬という形で収入を得ているところが問題で、これは1つの恩典であるわけです。例 えば、支払う方が倒産しないという点をひとつ取ってもそうですし、ほかにもいろいろ な特別な要素があると思います。そういう意味では民法上の公益法人と全く同じという ことにはならないかもしれませんが、それに近づけていくべきではないか、という感じ がいたします。この「取りまとめ」の中で、「会計基準の在り方について専門的な検討 を行うべき」と述べられていますが、これは全くそのとおりだと思います。  6頁目の(3)のとりまとめの「対応の方向」の3つ、この点についても賛成したいと 思います。  また、これから議論があるかと思いますが、「理事長要件」と「適正な医療の給付」 の間の関係を示す根拠については、読み返してみましたが、従来は、ここではあまり議 論なされなかったように思います。1つそれに近いのは、お医者様も立派な経営者にな れる、やっておられるという、これぐらいの議論です。これは理事長要件、つまり、理 事長が医師でなければならないという根拠とは別の議論ですので、どうもあまり実質的 な議論がまだなされていなかったように思うのです。私は、その根拠があまり明確では ないから理事長要件は外してもいいのではないか、という主張です。どうもありがとう ございました。 ○田中座長  ありがとうございました。では、中間とりまとめのために、それぞれの委員のご意見 を伺いたいと思います。どなたでもどうぞ。 ○西島委員  理事長要件について、ちょっとお話をさせていただきます。定款で定める場合という のは、定款はどうにでもなるわけでして、国民の健康を守るための医療の質の担保をど うするのか、ということでここで議論しているはずです。定款で定めるというのは、全 然問題外だと、私自身は思っています。  私は、まさしく神谷さんが前回おっしゃった株式会社になるとこれだけ医業の質が上 がって云々と話しておりますが、では雪印食品はどうだったのですか。これは個人の問 題ではなくて、利益を上げるためにはどうしたらいいのか、と会社ぐるみでやっている わけです。こういうことでやられたら、国民の健康は守れないわけです。我々は、だか らここでそれを主張しているわけです。  もう1つは、理事長は医者でなくてもいいというのは、はっきりと明文化されている わけです。医師でなくても理事長ができるわけです。ただ、そのために医療の質を担保 するために、さまざまな条件が付いているだけのことで、その条件さえクリアすれば、 医師でなくても理事長になれるようにちゃんと書かれているわけです。そこに何の問題 があるのかというのが1つ。  最近の一連のさまざまな事故があります。先日もMRSAで、某市立病院がマスコミ に大きく取り上げられました。あれのトップは誰ですか、市長ですよ。そして、それを 動かしたのは誰ですか、事務方ですよ。最近国立病院の在り方の検討会に出ております が、その中で国立病院の院長が言われるのは、「私どもには何の責任も持たせてもらえ ない」と。そういう中で、実は一連のああいう事件が起きているわけです。私どもは命 というのは一度失うと元に戻らない話ですから、それを強く主張しているだけの話です 。医師でなくても理事長になれるということは、ちゃんと明記されているわけですから 、それはその条件をきちんと守っていただければそれでいい、ということを言っている だけの話でして、定款に書けばそれでいい、という話とはちょっと違うような気がしま す。  もう1つ言わせていただくと、私はいろいろなことにかかわっていますが、事務方が 、公立病院は赤字だから1人当たりの1件単価を上げろ、ということを院長たちに指示 するわけです。つまり、それは医療とは全く関係のないところで、要するに、いかに赤 字を減らすかということで1件単価を上げろという主張をしているわけですから、そう いうようなことが平気で行われているのも事実だということも、是非、理解していただ きたいと思います。 ○神谷委員  定款の問題は、要するにそもそも理事長は医者でなければならない、という根拠がは っきりしないというのが議論のすべての出発点でして、定款に任せればいいというのは 、結局、現場のお医者様を信頼せよ、という発想なのです。  病院にはいろいろな形態があっても、基本的な法人は、営利法人も医療法人もそうだ と思いますが、結局チームとして肩を組んでやっていかないと、うまくいかないと思う のです。その現場の方が歴史的な問題、人事関係、いろいろな理由からこの医療法人の 理事長はお医者様のほうがいいというのであれば、それはそういうふうに決めればよろ しいし、そこまで厳しく言う必要はないというのであれば、医療法人の半分近くの方が それを希望しておられるのに、それを駄目だという必要は全くない。もしいまでも実態 としては医師でない者が理事長を自由にできるというのであれば、規定の仕方を裏返し てもいいわけです。規定の法形式としては、現状を維持するという根拠はないと思うの です。  もう1点、私は営利法人のほうがいい、と決して言っているわけではなくて、営利法 人が医業を行っても変わりはないと、少しいい部分もあるし、それぞれいい部分がある と思うのです。だから営利法人は駄目だ、という根拠にはならない。こういうことをず っと言ってきたわけです。その点をご理解いただければと思います。 ○豊田委員  いま理事長要件が話されているわけですが、これは単に、いま決められている規則を そこだけに焦点を当てて考えるということよりも、現在の医療、それからこれからの医 療はどうなるのか、そういう観点で、「国民の健康を守るには」ということで、いろい ろな所で検討されているわけです。そういうことと、この要件は無関係ではないわけで す。  例えば、先ほど神谷委員が言われた関係の問題についても触れますが、医療と医師と の関係です。例えば、これからの日本の医療というのは、すべての病院が自院の中で完 結していくような体制を整えていくということは不可能だと思いますし、私もそういう 形ではいいとは思っておりません。これからの日本の医療は、やはり、それぞれの病院 の機能の分担と連携だと思うのです。この中で、日本の医療は構築されていくと思いま す。  特に、今日事務局から配付された資料の中にもありますが、医療法人で言いますと、2 00床以下の病院が76.3%。言うならば、自分の経営する医療機関ですべてが完結すると いうにはちょっと難しい規模が、大多数を占めています。  そうすると、ますます国のこれからのあるべき姿は、こういう現在ある資源を活かし ていくとすれば、役割分担と連携です。医療法人の理事長は、どうしても自分の病院の 機能を正確に把握する必要がある。それだけではなくて、周辺の医療機関の機能といっ たものも十分に理解して、その上で、地域のニーズをどう組み入れていくかという、か なり医療に専門的な要件が要求されてまいります。そういった意味で、確かに経営の効 率と言えば、例えば、人件費をどうするとか、物品の購入はどうするといった、いろい ろな面で、経営上の採算を取るという形も1つ大事です。  そういう意味では、経営者で優れた人がいるのでしょうが、医療法人というのは、医 療を行う専門性の非常に高い集団であるということを考えれば、やはり、いま言ったよ うなこれからの医療に対応していく役割分担と連携を進める上で、これは一般の経営に 堪能な人たちと医師とどちらが適当であるかは、お分かりいただけると思うのです。私 の立場で申し上げますと、原則医師・歯科医師であるべきだと考えます。  ただ、従来も、医師・歯科医師以外はなってはいけないという規則にはなっていない わけですから、それはそのとおりだと思いますし、今後も各都道府県の医療審議会があ るわけですから、そういう所でのチェックは必要だと思います。そういう所で認められ た人ならば、という形での理事長への医師以外の参入はあり得る。しかしながら、やは り、医師であるほうが医療機関にとっては必要だと思いますし、適当だと思っておりま す。 ○田中座長  ありがとうございました。地域医療の観点を考えよということですね。 ○神谷委員  このアンケートで半分か40%以上の方でしたか、理事長要件は「なくてもいい」と言 っておられるのは、どういうふうに説明されますか。 ○豊田委員  「なくてもいい」とは、言っておりません。現に、「絶対反対」が9%です。これは 全部なくすべきだというのは、我々の協会には大勢おりますので、いろいろな意見があ ります。9%の方はそういうふうなことで、撤廃してもいい、という人がいるのは事実 です。 ○神谷委員  日本病院会のほうのアンケートでは、「医師である必要はない」とする病院が、46.5 %となっていますが、これはどうですか。 ○豊田委員  私はいま、日本医療法人協会で話していますから。 ○神谷委員  こちらにとってみると、そう言われても…。 ○豊田委員  そういう返事をしていますが、我々は先ほども委員が言われたとおり、アンケートの 取り方もあるのですが、やはり、医師である必要、医師でなければならないと、絶対に そうだという人もいれば、原則、1つあって、運営は理事長1人では運営していません 。当然のことながら、もし医師でなくてもいいということであれば、理事会にその機能 がきちっと担保されなければ、無責任ということになると思います。 ○神谷委員  私は現場のお医者様を信頼して、そこに任せればいいではないかということです。 ○西島委員  日本病院会は、実は公立病院がたくさん入っておられるのです。そこのトップの理事 長は、医師ではない人たちがたくさん入っておられるのです。ですから、そういうアン ケート結果が出るということ。そして、現場の医師に信頼して任せればいいではないか ということですが、しかし、現実的に理事長が医者でない場合には現場のことが分から ないわけですから、任せずに、まさしく利益をどうしていくか、赤字を黒字にするため にどうしていくのか、ということが先に立つので問題があるということを言っているわ けです。  それはまさしく国立病院の院長が、何の責任も持たされていないということを盛んに 言われるわけです。そして、さまざまな事件が起きてくるということを指摘しているだ けの話です。 ○神谷委員  それでも、医療法人協会の9%は、理事長要件はいらないとしているわけですね。私 は多く喋るのは本意ではありませんので、これだけ一言。 ○大石委員  多分、いま取るべきオプションとしては3つあって、まさしくこのアンケートに出て いるそのままだと思うのですが、現状維持する方法、2つ目の撤廃する方法、3つ目は 緩和を可とする方法があると思うのです。私自身の意見は、多分理事長要件の撤廃をす るというのは、まだ時期尚早だと思うのです。要するに、富士見事件を含めて、いろい ろなとんでもない事件が過去にも起こったわけですし、それに対して完全に撤廃してし まったら何が起こるか分からないという状況はあると思います。  しかしながら、このアンケートの中で、アンケートの取り方や、アンケートを取った 対象というのは問題があるかとは思うのですが、例えば40%は緩和をしてもいいのでは ないかと思っている。それから、現実的に、いま求められているものは、医者であるか どうかということ以前に、適切な医療を提供できる経営者が存在していること。ここに は2つ要件があると思うのです。1つは、要するに、適切な医療ということ。もう1つ は、経営者であるということです。この2つを満たしている医者がたまたまその団体、 医療法人にいればいちばんいいのですが、必ずしもそれを満たしていて、かつそれが理 事長になるようなかんじのトップの人がいるわけでもない状況も、結構あると思います 。この場合は、結局まとめの中にも書いてあったのですが、個別ケースを判断しながら より緩和する方法はあるのではないか。  もう1つは、そのときに適切な医療の提供者である、要するに医者と適切な経営能力 の提供者が、同じ理事会の中でちゃんと協議して、運営を進めていくという、ひとつの 理事会の在り方というものの議論をするべきではないかと思っています。  結論から申し上げますと、私自身はいまは緩和を考えて、緩和していく中で、ある種 しばらくやっていってどうなるのかを見る、というのが現実的な案ではないかと。もう 1つは、適切な医療の提供者および適切な経営の提供者を何とか理事会の運営の中で確 保する方法を、より突っ込んで考えるべきではないかと思います。 ○田中座長  ありがとうございます。理事長だけでなくて、理事会の機能も大切である、というご 意見でした。 ○長谷川委員  私も、大石委員の意見とほぼ同じ意見です。基本的なスタンスとしては、理事長要件 として医師である必要という合理的な根拠はないと思うのです。そうは言っても、何を 最終的に担保するかというと、診療の質なのです。いま現在のところ、その質を明確に 示すようなデータが病院からなかなか出てこない、という状況にある。あと、運営につ いての透明性が本当に十分確保されているか、まだ確保されていないのではないかと思 います。この見解には若干ご異論があるかもしれません。病院の規模としては、そんな に大きくないのです。平均すると、100数十床ですから、職員の数でいくと100数十名〜2 00名ぐらいだと思うのです。そんな中で完全にいますぐ撤廃するというのは、若干のリ スクがあり得るのではないかということを、十分に注意する必要があると思います。  したがって、現況では緩和しながら、なおかつ理事会の機能、あるいは、診療の質に ついての情報を出すといういろいろな形での促進策はあると思うので、それを図ってい く。それがある程度落ち着いたところで、理事長要件はどんどん緩和する方向になって いくと思うのですが、また改めて理事長要件について検討していくのがプラクティカル ではないかと考えています。したがって、大石委員の意見とほぼ同じです。 ○田中座長  ありがとうございました。各団体からいかがですか。日本病院会からは途中で統計の 引用がありましたが。 ○川合委員  現実から見てみると、各都道府県が実質的に判断している状況で、第三次医療法改正 のあとの緩和要件で、特に何か問題があるということは、都道府県からのレベルではあ まり上がってきていないのです。私どものデータはどちらとも付かないようなデータな のですが、やはり、そこで私ども日本病院会で議論になったときに、なぜゆえにこんな ことを言わなければならないのだろうか、というのがありました。 ○川原委員  先ほど来議論を聞いておりますと、前回の議論が再燃しているような気がしてなりま せん。非医師をもって理事長にすべきという考え方と、片や、医師・歯科医師をもって 理事長とすべきといった考え方に二分された形で議論がなされています。私はこのたた き台のとおりでいいのではないかと思います。医師・歯科医師をまず謳っておりますが 、医師・歯科医師に限らず非医師でも容易になり得る道がつくられているわけでありま す。そのために、いままで非常に縛りが強かった認可基準を緩和するというのがこのた たき台の論旨だと思うのですが。  このたたき台の論旨を尊重した上で、非医師でも理事長になり得るための基準緩和に ついて具体的にその是非を論議するべきなのではないかと考えます。 ○神谷委員  誤解があるようですが、私はそういうことは一言も言っておりません。そういうこと というのは、つまり、理事長は非医師であるべきだとか、それを原則とすべきだという わけではなくて、現場というのはそう簡単に動かないのが実際だと思いますから、現状 の延長線上でやればよろしいと思いますが、ただ、法律上そういうものを維持する必要 はないのではないか。すぐ壊してしまえばいい、という見解には全く賛成できません。  やはり、規制を緩和する手法の問題があるわけです。私はこの前のアンケートを見て 定款という、1つワンクッションを置いてやればいいと考えたわけです。そういう手法 について、長谷川委員、大石委員は、どんなご意見なのでしょうか。つまり、デメリッ トがあるというのであれば、私もひっ込めたいと思いますが、ほかの業界での規制等を 考えて、そういう手法も十分考えられるのではないかと思ったわけですが、その点はい かがでしょうか。 ○田中座長  問いかけがありましたが、いかがですか。 ○長谷川委員  緩和の技術論、という理解でよろしいでしょうか。私は、定款でもいいと思います。 定款そのものをどういう形で認めていくか、これは法人だけで決めるのか、あるいは、 行政のほうがある種の追認するのかというような技術の問題もあるのです。基本的には それは技術論の話だと思うのです。定款そのものだけで担保できるのか、という若干の 危惧はあるのです。 ○神谷委員  要するに、定款も、医療法上は認可の対象になっているのです。全般的な監督の対象 の一つですので、何も定款だけで監督せよと言うつもりはないのです。結局、全体を見 ておかしいと思ったら、チェックしていく必要があると思うのです。そういう趣旨で、 定款というものが行政的な認可の審査の対象になっているという点を踏まえて申し上げ ているわけで、その点をご理解いただければと思います。 ○長谷川委員  そういう趣旨です。ですから定款でも構わない、1つの手法だと思います。理事会機 能が本当に機能しているかどうかというところで、ワンマンととるかリーダーシップと とるかというのはあるのですが、例えば、あまり医療的な知識がない、どちらかという と、利益最大化に走るような方が質の悪い医療をやる、というようなことを止め得るの かどうかという辺りは、若干ご検討いただきたいと思います。定款は1つの手法として 、全く反対するものではありません。 ○田中座長  定款プラス何かですね。 ○西島委員  定款を行政が判断する、その判断の基準は何かというと、通知なのです。それだけで す。 ○大石委員  先ほどの神谷委員の質問に答えてですが、私もここから先はある種の技術論で、ある 種、長谷川委員と似たような答えになってくるかと思うのです。定款というのもあり得 るが、しかしながら、何らかの形の第三者チェックは必要になってくると思います。こ こで難しいのは、現在理事長が医者であろうとなかろうと、そこで本当に適切な医療が 提供されているのかどうなのか、という客観的な事実が取れないわけです。  第三者チェックということになってしまったときに、項目、こういう書類がちゃんと 届けられているでしょうかということをチェックして、これが揃っていれば、何となく オーケーというような危険性はあると思います。ですから、ここら辺は、より適切な医 療が提供できているかどうかということに対する透明性をどう確保するのかということ を詰めつつ、あとは安定的な経営が行われているのか、メジャーな医療事故がないかと か、ある種の病院審査ではないですが、機能審査みたいなものに通っているのかという ような話や、当然欠格条項に抵触していないかというようなことを見ながら、プラクテ ィカルに判断していく、ということではないかと思っています。 ○豊田委員  神谷委員にちょっと教えていただきたいのです。先生の定款によればいいというのは 、つまり、この条項は要らないということなのでしょうか。 ○神谷委員  この条項というのは。 ○豊田委員  要するに、理事長条項は、こんなものは全部撤廃すればいいということは、定款に任 せればいいということですか。 ○神谷委員  この意見書の2頁に書いてありますが、法律事項からは外す、という趣旨です。 ○豊田委員  分かりました。 ○田中座長  全日病、精神病院協会、歯科医師会は、いかがでしょうか。 ○西澤委員  現時点においては、やはり、これは撤廃するのではなくて、若干の緩和の方向でいい のではないかと思います。というのは、理事長要件だけを論じてもしょうがないと思う からです。医療法人制度というものをきちっと論議して、持分のある法人、ない法人等 整理する事により、その中で理事長要件も変わってくるのではないかと思っています。 ただ、この議論は今後の議論ということですので、現段階においては、理事長要件だけ を引っ張り出すのであれば、やはり、現状をある程度追認して、若干の緩和、これしか ないのではないかと思います。  医療法人制度を今後論じる場合ですが、いま西島委員も言ったとおり、国公立とか、 ほかの参入形態とのいろいろな違いなどを明らかにした中で、医療法人制度も是非検討 していただきたいし、その中での理事長要件ということで、今後時間をかけて論議して いただきたいと思います。 ○津久江委員  私も先日手紙で回答しておいたのですが、いまの現状を維持するだけで、十分機能を 果たしていると思っています。ですから、大企業を参入されても結構ですが、一私人と して入ってこられるならば、それはワン・オブ・ゼムですから、そうすれば、今の医療 法人としてのルールを守ることになるわけで、機能としてはいままでと同じように担保 できるのではないかと思っています。 ○内田委員  論点整理の所から論点が外れるかと思うのですが、何回かのこの検討会のそれぞれの 方々のご意見を拝聴しています。それぞれのセクションの中で、それぞれの方々が間違 いない、自分の確たる信念で発言されていることはよく分かります。分かるのですが、 医療法人と言えども、これは医療の形態ですので、その根本は何かということになれば 、やはり、患者の疾病を癒して、早いうちに社会復帰させることが、まず医療の原点で す。そのための組織論であるのですが、誠に低次元な話で、お叱りを受ける、あるいは 、一笑に付されるかもしれませんが、そういう社会復帰をさせる、病を癒すというのは 、数字ではございません。データでもない、グラフでもない、システムでもない。やは り、いちばん大事なのは心です。医師の技術と、人間関係と信頼関係で疾病を癒す。こ れは基本的な理念です。  そういう意味からすると、医療の形態、医療の質の主たる者は医師でなければいけな い。医師は従であってはならない。そういうことからすると、やはり、現行の理事長要 件でよろしい、このように私ども歯科医師会としては、結論づけております。 ○谷川委員  私は民間に勤めておりまして、理事長要件が撤廃されて、「お前理事長やるか」と言 われたら、ちょっとヘジテイトするところがあります。確かにきちっとした医療、適正 な医療を患者に与えるということは非常に大事なテーマですので、そこをどう担保する かというのは、非常に重要な議論だと思います。ただ、全く素人の目で感じるのは、い ずれにしても医療にお金がかかるという事実でありまして、医療にかかるお金のうち、 本来的な医療の部分と、それに付随してかかる部分といろいろ分けられる。  PFIの議論の中でもイギリスの病院を見ると、これは適正に運営するためにどんな 知恵を使っているか、というようなことが報告されていたように記憶しているのです。 そんなことを考えると、いま議論になっているように、理事長、むしろ理事会を含めた 理事長の機能、病院経営のところをどういうふうにやっていくかをはっきりさせていか ないと、技術論的に申し上げると、1つの知恵として、例えば、医療行為に係る部分は 理事長と別に、医療行為責任者みたいなタイトルを置いて、単なるアイディアみたいな 技術論ですからこれが正しいかどうかは私も全く分かっていませんが、そんな方を置い て、そこで医療行為の質とレベルはきっちり病院の中で担保する、というようなことも 考えられるのではないか。  私の立場からすると、どうしても医療費を削る。削るというのはおかしいのですが、 医療費そのものの中で、本来医療ではない部分は極力小さくして、医療費の中に隠れて 医療費という名になっている部分も小さくしてやっていかないと。そういう意味で広く 考えれば、国の経済も大変なことになると思います。1つは原則として、理事会の機能 みたいなものをきっちりやっていく。その中で、いま出ておりますように、理事長も、 そういった意味で、あまり大きな制限を設けなくてもいいのではないか。繰り返して申 し上げますが、では本当に医療に関して知識のないものに理事長ができるかと言われれ ば、相当難しい問題があると思います。その意味で、緩和ということが、やはりプラク ティカルなアイディアかなと思います。感想みたいなことで恐縮です。 ○大石委員  最後にもう1つ感想みたいなものを付け加えたいのですが、議論を伺っていますと、 要するに、医者ではない人間がやること、もしくは経営というのは何なのかというのが 、若干ですがすごく狭い定義で捉えられているような気がするのです。議論の中で経営 イコール効率化、コストカット、とにかく利益を上げるというような話で、やや議論が 進みがちである。  私は医者ではなくて経営を専門にずっと見てきた人間として、経営というのは1つの 要素なのですが、それが経営ではないのです。例えば、先ほど意見の中に出ました理念 だとか、倫理を組織の中に徹底するというの、これが経営なのだと思うのです。多くの ほとんどの病院は、例えば、患者のためにとか、癒しの医療を提供しましょうというよ うな理念は掲げられているのですが、実際に現場ではかなりひどいことが行われている 、もしくは、職員一人ひとりの意識は悪くないのですが、全体の仕組みとしては全然動 いていない、ということがよく見られると思うのです。  これは何なのかと言うと、ある種の組織論で言いますと、理念をブレイクダウンして 、例えば、組織の構造や仕組み、人の評価などをどういうカルチャーにするのかとか、 コミュニケーションをどう設計していくのかということの積み上げで、理念というのは 実現できるのだと思うのです。それを自分の病院だけではなくて、しかも、先ほども出 ましたが地域を巻き込んでどうやっていくのか、もしくは、医者だけではなくて、最近 の医療はチーム医療ですから、いろいろな方々がかかわるわけで、必ずしも医療従事者 だけではないような方々もかかわってくる。  そういう中で、これをどう現実的に実現していくのかというのは、非常に高度な経営 能力を要することである。これができる医者がいればいいと思うのですが、必ずしも医 者というのは、そういうトレーニングを受けたわけではないですし、医者に話を伺うと 、経営イコール効率化だと思われているということは、ある種狭く捉えている部分があ り得るのではないか、という気もするのです。ここにおられる方々はそうではないかも しれませんが、そういう方々も、現実的には医者としておられる。  何を申し上げたいかといいますと、経営というものをもう少し広く捉えて、それをど う実現するのか。その中のオプションとして、自分は医者ではないから医療機関の中で そこまで担えない、と思われる方もいらっしゃると思いますが、そういう自信があって 、活動能力のある人がいれば、理事長として登用する道をもっと開くべきだろうし、そ うではなかったとしても、理事会の中で適切な医療の提供者としての医者たちと、適切 な経営の提供者としての非医療者が共同して、運営に当たれるような仕掛けを考えるべ きだと思います。  余談になりますが、アメリカなどではCOとメディカルディレクターと分かれていま す。アメリカは全体の医療の仕組みとしては結構崩れているところがあるのですが、い い病院がかなりあって、その中でそれぞれの専門の人たちがそれぞれの責任を持って、 共同運営していくというのが1つのモデルとしてワークしている、ということもポイン トで挙げておきたいと思います。 ○小山委員  ちょっと議論がぐちゃぐちゃになってしまっているのですが、現行法上、医療法人の 理事長は西島委員も言われたように、医師・歯科医師でなくてもいいのです。ですよね 。医者か歯科医師でなければ駄目だという議論は、現行法上そうではなくていいという ことです。逆に、法人の理事長は誰でもいい、ということでもないわけです。これが2 つ目です。3つ目に、経過としては平成9年3月28日に閣議決定をして、理事長要件の 緩和ということを、この国の政府は決めたわけです。そして、平成10年6月18日に医政7 68号で、理事長要件のポジティブリストを出したのです。こういう条件なら理事長にな ってもいいです、ということを示しています。今回の議論は事務局のまとめにもありま したが、「医療法人の理事長は原則医師または歯科医師」という考え方は維持した上で 、「理事長要件の更なる緩和を図ることが適当」というのは何を言っているかといいま すと、私流に理解すると、ここに書いてあるポジティブリストでは対応できない理由が ある、とおっしゃったのだと思うのです。それは、平成12年の地方分権法によって、自 治事務になった。自治事務になったものを緩和してポジティブリストではまずいという 話ですから、出すとしてもせいぜいネガティブリストしか出せないわけでしょう。そう 思えば、それでいいのではないかと思うのです。医師・歯科医師でなくても理事長でい いとは誰も言っていないし、逆に、医師・歯科医師でなければ医療法人の理事長で日本 の医療は回るということは誰も言っていません。  ここの議論の理事長要件についてのまとめは、国としては、いまあるポジティブリス トをネガティブリストにするというのと、もう1つは、これだけ地方分権が言われるわ けですから、各都道府県できちっとした対応をどうなさるかは、それこそ各都道府県の 対応だと思うのです。ただ、それだけの議論なのではないですか。  例えば、医療法人自治の形骸化がどうのこうのと、そんなことを言ったら、西島委員 の言うようにそれはそうです、では日本のほかの株式会社はちゃんとやっているのか、 という話でしょう。しかし、いろいろな議論の中で、「医療人は経営について素人だか ら、経営のプロが病院を運営したほうがいいのだ」と言われれば、いまやっている人た ちは、みんな怒るでしょう。  そういう議論ではなくて、ただ、私はよく分かりませんが、平成10年6月18日の、局 長通知をポジティブリストからネガティブリストに変えるだけで、法改正をするとか、 医療法の改正をするなどという議論ではないのです。地方自治の精神からいけば、国が 出すのにポジティブリストではなくてネガティブリストで指名したほうがいいのではな いですか。ただそれだけで、この話はそんなに難しい話ではないと思うのですが、私、 どこか間違っていますか。 ○指導課長  若干技術論にも入っていますので、若干補足したいと思います。いま2つ目の「具体 的には」ということで、限定列挙している運用基準を改めて、ある程度個別ケースで判 断をしていただいたらどうか、という事務局の案を書いているわけですが、それを今後 さらに詰めさせていただきたいと思います。ただ、規制改革会議からも「一定の欠格事 由のある場合を除き」というのは、おそらくそういうネガティブリスト化しろという趣 旨だと思うのです。  ネガティブリストで駄目なケースを書き切るというのは、公告規制などでもよく議論 になる話ですが、一方で非常に難しいのかな、というのが事務局の率直な考えです。一 方で、困るケースを念入りに書いていくと、今度は、場合によると局長通知以上に細か い規定を羅列して都道府県の検査で縛ると言うとあれですが、そういうことにならざる を得ないと思いますので、いまのところ事務局が概念として考えているのは、非常に細 々している基準をもう少し包括化して、各県で各都道府県医療審議会の意見を聞くとか 、そういう一定の透明性を確保するような手続を踏んだ上で、全くのケース・バイ・ケ ースということではないですが、理事長の履歴とか、周りを固めている理事長以外の理 事にどういう方がなっているかという理事構成ですとか、一定の過去の運営状況等を個 別に判断して、現場をいちばん知っている県の段階で、もう少し幅の広い判断ができる ような仕掛けにしたらどうか、というのがいまのところの事務局の考え方です。 ○田中座長  この件についてはさまざまなご意見が出されましたが、長期的な話、あるいは、学問 的な疑義は別として、現段階の現実的な案としては、理事長要件について原則医師又は 歯科医師とする現行の枠組みを維持した上で、プラクティカルには非医師・非歯科医師 の理事長を都道府県が許可する場合の要件を、どういうリスト方式にするかはいま議論 があったのですが、緩和していく方向が皆さんの大勢だったように感じます。具体的な 緩和策については、本日の皆様方の意見を踏まえて、事務局と関係のほかの政府の部局 とのすり合わせも必要でしょうから、それを併せて次回までにまとめていただきたいと 思いますが、そのような取扱いでよろしいでしょうか。 ○神谷委員  今ご意見を伺っていますと、そこまで言うならもう外してもいいのではないかと考え るわけです。これは立場の違いなのですが、ネガティブリストは本当に難しいと思うの です。私も理事長要件を外して野放図にすればいいと言っているわけではなくて、基本 的にアプローチの違いなのかもしれません。いまの座長のまとめは、現状を適切に表し ておられると思うのですが、私としては、理事長要件については法律事項から外す、と いう意見を取りたいと思いますので、そういう意見を取った人が1人いた、ということ を書いておいていただければありがたいのです。 ○田中座長  精神は十分に、そういう方もおられたということは尊重して、中間とりまとめにどう いうふうに反映するかについては、検討させていただきます。この委員会だけで決める わけではなくて、政府部内の調整も必要だと思いますので、皆様方のおっしゃったこと をできるだけ汲み上げるように、座長と事務局で十分調整させていただきたいと存じま す。  また戻っていただいても結構ですが、引き続き「医療機関の経営情報の開示について 」、ご意見をお願いいたします。 ○石井委員  それでは、少し補足的にコメントさせていただきたいと思います。この会議があるた びに御題目のように申し上げておりますが、会計基準の見直しと、経営情報の開示と監 査は全く同じものではない、ということを最初にご理解いただくということを再度申し 上げます。それで6頁の(1)の○の3つ目、「公益法人、社会福祉法人等においては 、決算関係書類の積極的開示促進策が近年講じられている」というコメントが御座いま すが、これはもう少し正確に申し上げると、5年、10年ではなくて、まさにこの1年、 2年ということでして、実質的には、例えば公益法人、社会福祉法人ともにいま動いて いる。まさにいまが適用の初年度に近い状況ですので、その辺はまずご理解をいただか なくてはいけないと思います。  8頁に他法人との比較があり、その真中辺に外部監査に関するコメントがありますが 、学校法人については、ここに書いてありますように経常費補助を昔から受けており、 その関係で義務化をされた監査制度というものが数十年前から確立をしております。し かしながら、その左隣にある民法法人と社会福祉法人は、まさにいまそういう方向にな ってきております。  もう1つは、例えば社会福祉法人、民法法人の外部監査に関するコメントが、民法法 人であれば「要請」、社会福祉法人であれば、「活用を積極的に行うことが適当」とい う表現になっておりまして、学校法人の場合は私学振興財団、いまは正確には統合され て違う名前になっていますが、そこから補助金を受けている場合には監査を受けなけれ ばいけないという強制になっています。あるいは株式会社で資本金が5億円以上、負債2 00億円以上の会社は、商法の規定によると監査を受けなければなりません。あるいは証 券取引法の規定によって不特定多数から出資を受けるような場合には、これも強制的に 監査を受けなければいけないということで、実は外部監査の法的根拠、あるいは適用の 強制力がケースによって異なるというのが事実ですので、そこはやはりご理解をいただ かなければいけないのかなと。強制なのか、要請なのか、適当なのかということです。  もう1つは、まさに監査制度適用の根幹を成す株式会社の中で昭和48〜49年から商法 監査、まさにここに書いてあるような監査制度が導入されましたが、当然その監査制度 を導入するに当たっては、相当の準備期間が用意されていたということも事実です。翻 って6頁をご覧いただきまして、再度、「対応の方向」ですが、(3)にありますが、 いちばん下に「医療機関や医療法人の会計基準のあり方についても専門的な検討を行う べきではないか」というふうにコメントをいただいており、これは前回以前にも申し上 げておりますように、現在、医療機関の会計を司っている会計基準である病院会計準則 は、残念ながら時代の中では少し陳腐化をしており、これは見直しがどうしても必要で あろうというふうには考えられています。  先ほどからお話しもうしあげておりますように、経営情報の積極開示や、場合によっ ては外部監査導入を促進するということになると、当然のこととして会計準則の見直し があって、それを受けた形で新しい会計の考え方に対する普及が行われ、当然、指導の 徹底等も行われ、そしてそれに則った形の経営情報の開示が行われる。最終段階として 社会的責任の非常に強い大きな医療法人等に関しては監査制度というものが必要だと、 こういう流れになるので、3つのことが同時に行われる、ということではないというの はご理解をいただいたほうがよろしいと感じております。  非常に規模が巨大化をしているような組織の場合は、医療法人であろうが社会福祉法 人であろうが株式会社であろうが、自治体であろうが経営情報の開示に連動した監査の 実施は社会的な潮流であります。 ○田中座長  ありがとうございました。大変いい整理をいただいたと思います。 ○小山委員  昔から医療法人とか老人保健施設を行う医療法人については外部監査が行われること が望ましい、ということは言っているわけなのです。ご説もごもっともなのですが、事 情を説明すると、今回の平成13年7月の医療経済実態調査即報値が中医協で出ています が、一般病院の医療法人の経常利益というのは3.7%しかないのです。まず、外部監査 は結構なのですが、私はいくつか立ち会わせていただきましたが、かなり大きい医療法 人で外部監査を頼むと、いろいろな公認会計士事務所があるのですが、まず一声1,000 万円から始まるのです。大体何を考えているのかわからないのですが、何日もやらなく て、それにあとでちゃんと保証してくれるのかどうかわからないのですが、現実に交通 費も入れたり宿泊費とか何とかを入れると、1,500万円とか2,000万円という価格なので す。現実にそうだということをまず私は是非議論してほしいと思うのです。  10億円の売上げの病院で3.7%、3,700万円あっても、税金を払ったあとは2,000万円 も残らないわけです。2,000万円しか残らない医療法人に1,000万円の外部監査をしろと 、そんなことを私は口が裂けても言えない。現実問題として、だってそれが問題なので す。ですから、ではそういうふうな形で委員の方々もおっしゃるし、それは確かに外部 監査をしたほうがいいし、外部監査をしたら、たぶんエンロンみたいなことも起きない のかもしれませんが。だって監査法人がグルになっているという事実だってあるから、 監査法人の監査というのをちゃんとしてもらうという条件で医療法人に外部監査をやる とすれば、悪いのですが1,000万円以上ということになると、30億円の売上げで、病床 数が上がれば上がるほど、ご存じのように利益率は落ちるのです。300床平均の30億円 の医療法人の利益率というのは2%台ですから、6,000万円で税金を払って3,000万円で 、そうすると300床以上にするとか400床以上にするとしても、払えるリダンダンシー、 経営的な余裕は、はっきり言うけれども400床以上でも4,000万円ぐらいしかないという ことです。ここで皆さんがこのまま医療法人に関する外部監査はいいのだと言って、外 部監査を400床以上か500床以上やったときに、外部監査に払えるお金は診療報酬でくれ るわけではないではないかという話になりませんか。  ですから、現実問題として株式会社の外部監査というのと、医療法人の場合、是非、 私が気にしてほしいのは、あまりにもそれはひど過ぎます。100床以上の病院に全部外 部監査で公認会計士事務所に1,000万円ずつ払えなどと、そんな何か独占業務みたいな 、公認会計士でもいっぱい作ってもらうのだったら別ですが。私はそこのところがまず 問題意識として、やはりこれを考える、外部監査、それはそうでしょう、オーディット があったほうがいいとかいろいろ意見はあるのですが、現実問題としてかなり経済的に は大変な問題がありますよ、ということをまず申し上げておきたいと思います。 ○田中座長  小山委員ならではの御意見大変ありがとうございました。 ○石井委員  いくつか私のほうから答弁をさせて頂きたいと思います。1つは、いま時代が非常に 不安定であり、前回エンロンに関する実例を申し上げました。新聞でもニューズウィー クでも何にでも出ております。エンロンは監査人が年間で60億円、そのうち半分が監査 費用でしたが、30億円の監査費用を頂いておりました。非常に高いという議論がある部 分はあるかもしれませんが、公認会計士が正式に監査証明を出すという場合には、その 証明行為に対するところの損害賠償責任を負うことになるので、安価な金額ではできな いのはご理解いただけると考えます。  10億円、15億円程度の収益規模の医療法人、100床以上の医療法人すべてに監査制度 を導入するというご意見に関してのご説明として、1つは、8頁の表で民法法人に関し ては、具体的には資産総額が100億円、負債50億円、収支決算、つまりここで収入プラ ス前期繰越利益でありますが10億円以上に対しての要請です。収入イメージですと10億 円なのですが、ご存じのように民法法人は自己収入が少ないことが一般的であります。 つまり会費によって団体の運営がなされ、ここにいらっしゃる委員の方の所でもそうで すが、全日本病院協会さんでは、会費収入によって協会運営をされておりますが、特段 、事業活動はされていない。したがって、収入比率は非常に低いのです。ですから、医 療法人の場合も同じ様に10億円というイメージでお考えいただく必要は当然ないのだろ うということです。  もう1つは、厚生労働省の作成されたメモにありますように、監査ということに関し ては「大規模法人における」という言い方で限定をしておりますので、当然、小規模医 療法人に関して監査導入ということは現実にはないのだろう、というふうに私自身は感 じております。ここで予定をされている医療法人は、ごく少ないかもしれませんが1つ の医療法人で1つの病院だけを運営するという形態ではなく法人全体として見たときに は、規模の大きな医療法人もあるのも事実です。  小山委員の発言された議論と同じ議論が社会福祉法人にもあります、社会福祉法人に 関しては「外部監査の活用を積極的に行うことが適当」と。特に介護保険事業のみを行 っている社会福祉法人はまだよろしいのですが、いまでも措置費のみで運営されている ところの社会福祉法人もあり、監査費用は措置費から出すのかとどうかという議論がお ありになったようです。この件に関しては、社会的責任を全うするために相当額であれ ば措置費から支弁することも問題ないのではないか、というご判断をいただいているよ うであります。 それから、念のためでありますが私は現在、大監査法人には所属おりません、個人の公 認会計士であります。 ○神谷委員  小山委員のご意見に、共感できる意見があってホッとしているのですが(笑)、結局、 コストとパフォーマンスの見合いをしなくてはいけないと思うのです。前回私が意見を 申し上げたときに、ご理解をいただけなかったのは、石井委員にはご理解いただいたの ですが…。「規模に応じて」というところなのです、これがいちばん大事なところです 。営利法人でも開示制度についてはそのコストの問題があって、なかなかうまく行って いない所があるわけです。例えば税理士の方にある程度やってもらうという議論があり ますが、これはまたいろいろ業際の問題もあります。要するに、コストを負担できる能 力というのは限りがあるので、その中でいろいろな知恵を出して制度を工夫していく必 要があるということだと思います。  エンロンのお話が出ていますが、結局、これは営利法人か非営利法人か、どちらかの 法人形態を取ったら必ず過ちがないということではないわけです。エンロンの問題は外 部監査の要否という問題ではなくて、それは監査法人との癒着の問題で、アメリカでは そういう方針を取っていませんが、ヨーロッパでは一定の年限が来たらもう監査法人を 変えろと、こういう所もあるわけです。その問題ですので、同一線上で議論するのは、 ちょっと私は問題だと思います。 ○豊田委員  経理内容の開示については、医療法人は現在も、決算を終わったら必ず県のに届け出 るということが義務づけられています。ですから、その先で皆さんが知りたいとすれば 、それを知り得ることは可能なのです。現在もそういうふうになっています。ですから 、その状況でどういう不都合が起こっているのか、もし開示すべきだと、一般に公開の ほうになるのかわかりませんが、もしそうすべきだという委員がおられて、その場合こ うだからということを説明していただければ大変わかりやすいです。  医療法人協会としては、透明性を高めていくというのは時代の流れですから、無関心 なわけではないです。ただ、県に届けてあるからと言っても、この前のアンケートの中 にも書いてありますが、先ほど石井委員からの指摘もありましたが、病院会計準則でや っている法人と一般の企業会計原則でやっている所、病院会計準則が70%、企業会計を 使用している所が16%、その他が13%ということで、基準がばらばらです。ですから、 まず開示をするにしてもしないにしても、それが透明性を高めるとしたら、その辺の整 理をすることが大事で、ばらばらな状況で公開なり開示なりということを義務づけたり することは、少し早いのではないかと思います。繰り返しますが、まずその辺の整理、 会計準則の見直しとかいう形をまずきちっとしてからこの議論をされたらいかがかと思 います。 ○田中座長  データの標準化がなければということですね。 ○西島委員  国税庁のお話を聞きますと、いちばん透明性があるのは医療機関だと言われているの です。納税でいくと、いちばん捕捉率が高いのは実は医療機関なのです。それはなぜか というと収入が決まっているからで、全部収入は公開されているのです。ところが医療 機関が脱税すると問題になるのです。脱税の場合は何かというと、自由診療の部分なの です。ですから、これほど透明性のあるものはないというのが私の実は結論です。  もう1つ、開示をすることによって誰がメリットを受けるのかと思うのです。例えば 、株式会社はちゃんと開示しています。当然です。これは株主に対して責任義務が発生 しているわけですから。その情報を見て株主は売るか買うかを決めるわけでして、だか ら開示しなくてはいけないわけです。では医療機関の経営情報を開示して、国民はそれ で何を判断するのですか。公立病院はあれだけの赤字を出していて、国民は行ってない のですか。たくさん行っています。うちの病院などは、先ほどの小山委員の話ではない ですが、毎年借金をしてボーナスを払っているのです。しかし、半年で借金を返して、 また借金してボーナスを払っている。これが医療機関の現状なのです。  ですから、先ほど石井委員もおっしゃいましたように、公費がたくさん入っている所 、それは当然開示しなくてはいけないだろう。特に社会保険庁病院とか、公立病院もそ うです。私は公立病院の在り方のある市の検討会に入りましたが、びっくりしました。 つまり表に出ていない補助金がいっぱい入っています。それを全部出してしまったら、 いまの3倍、4倍の赤字になります。ですから、そういうところをやはりきちんとしな くてはいけないだろうと考えていますが、例えばうちの決算情報を出したら、患者はう ちに来なくなります。こんな収入のない所だから、評判が悪いから患者がというような 。  だから、この経営情報を出すことが、何のためのメリットなのか。国民がその経営情 報で何を判断するのですかということです。私はいま情報担当ですから、開示をしなけ ればいけない情報はたくさんあります。やはり国民にとって必要な情報はどんどん開示 しなくてはいけないことは間違ってない。ですから、一生懸命それをやっているわけで すが、この決算情報の開示は何の意味があるのかなと思います。 ○大石委員  私もいまの西島委員のご意見に非常に賛成でして、わりと珍しく意見が合ったのかも しれないのですが、何のための開示なのかというのは、やはり根本的に問うべきだと思 うのです。おっしゃったみたいに補助金を受けている医療機関に関しては、補助金の総 額がいくらになっているのか。例えば市町村だったら市町村民当たりいくらになってい るのかということを、一種税金から払っているわけですから、その人たちは知る権利を 持っている。また、これも人によるのですが、実は経営していらっしゃる院長先生自体 がそんなに補助金を受けているということをご存じなくて、「いや、うちの状況はすご くいいんだ」ということをおっしゃる場合もあるのです。だから、そういう場合も含め て、やはりそれは内外ともに開示するべきだと。だけど、一般的なその他の病院に関し ては、実は決算書類などを頂いても、それがどんなに精緻にできていても、どういうふ うな医療行為をやっているのかということについては、全くわからない。  私らがよく代替資料として聞くのは、例えば病床数とか、稼働率とか、平均在院日数 とか、手術数とか、検査機器の稼働率とか、要するに最終的な決算に落とす前にどうい うふうな経営行為・医療行為が行われているのかというその指標になるような数字とい うのがありますね。そういうのは経営内容を把握するのにも、あと患者が病院を選ぶの にもすごく重要だと思うのです。ですから、いきなり決算書類をどういうふうに精緻に 作って、その監査をするのかという話に飛ぶ前に、やはり何のためにどういう情報を取 るのかというのをもう一度考えてもいいのではないかという気はします。 ○神谷委員  簡単に2つ。豊田委員がお話しになられた県に届けていという点ですが、これはちょ っとうろ覚えで恐縮ですが、県に届けたのを開示せよという請求をされた方がいらして 、これは審判になって、開示は認められなかったのです。私は、現状の法制度としては 、それはそれでいいのかなと思います。ただ、その実態がどういうふうになっているか というのは、また事務局からもし可能であればお話があってもよろしいかと思います。 ですから届けたからそれが誰でも見られるという形にはたぶんなってないと思います。  もう1点、誰のための経営情報かというと、債権者というのがまず基本的な考え方で 、ただ、これは営利法人の方ではあまりきちんとできてないのです。医療団体としては 、ここの会計情報のところは営利法人並みでいくという態度を取られるのか、それとも 公益法人並みでいくというふうな態度を取られるのか、ここが私のいちばん知りたいと ころです。公益法人並みという部分は、やはり国からお金が来ているというところをど う評価するかによって、これはいろいろご意見があるかと思いますが。ただ、単なる営 利法人よりは、すごく有利な状況にあるということは確かですから、そこと、この会計 情報の開示の問題がどうリンクするのか、という点をもう少し議論する必要はあるかと 思います。 ○川原委員  議論の対象になっている6頁なのですが、私の理解が正しいのかどうかを確認したい と思います。(2)の「基本的考え方」という中で○の2つ目ですが、「しかしながら 、決算関係書類の開示を医療法人に一律に義務づけることは以下の理由から困難で」と いうことで、原則的にはここでもって開示をすることはいたしませんよということをま ず謳って、(3)の「対応の方向」では、しかしながら、「公費による補助や税制上の 優遇措置を受けている法人等については、積極的な開示を要請する」という理解の仕方 でよろしいのでしょうか。もしもそうであると、いまなされている議論は何かごちゃご ちゃになっているような気がしてなりませんが、この点を石井委員、お話しいただけま すか。 ○石井委員  これはどちからというと事務局だと思うのですが。ただ、1つだけご説明いたします 、西島委員に対するコメントだけは申し上げておきたいのですが、会計あるいは監査と いうのは収入の透明性をチェックするためのものではありません。私どもが現実に医療 機関とのかかわり中で非常に感じておりますのは、費用に関する計上不足もかなりある のではないだろうかと。いま一般の企業、特に大手企業の場合は退職給付会計を採って おります。医療機関は、特に病院は人件費比率が5割です。その5割の人件費比率の中 で退職給付債務は実際認識されているのだろうか。されていないケースが多いのではな いだろうかというようなこともあり、経営の最終的な現状がどうなっているのかをはっ きりさせたほうがいいのではないでしょうかというスタンスで考えているので、収入は 透明だという点は私も同一見解でして、本当にごまかしようがないというのが事実です 。  ところが、費用は認識をしなければ計上されないのです。認識に関しては、残念なが ら民間の医療法人は非常に甘い。税法が改正され、ほとんどすべて、今回の平成14年度 税制改正においては完ぺき……になるわけですが、退職給与引当金も賞与引当金も貸倒 引当金も全廃なのです。ということは、従来と同じように税法の考え方だけで決算をし てしまうと、業績は全く不適切にしか表示をされない。ですから、そういう意味では適 切な経営数値というものを、作ることは絶対に必要だというのことが1つあります。そ れがないと、経営指標の正確性も確保されません。  この問題をご理解いただきたいということと、ボーナスの度に借入れを起こされてい るという議論も、実はキャッシュフロー計算書というようなものを見ることによって、 資金的に非常に民間の医療機関は脆弱であるということも把握できるわけで、診療報酬 の中でどう考えていくかということにもなるだろうというふうには理解しております。 ○西島委員  まさしく石井委員がおっしゃったように、要するに経営者と、理事長もそうですが、 損益計算書をきちんと見きらなければ、経営はやれないです。しかもあれだけの収支し かない所で、ではどこでいつ医療機関を改築・新築しようかというようなことも含め、 それから職員の給与をどうしようかと、これは人件費とかはよほどのことでない限り下 げられないですからね。ですから、やはりそれを見るのは当然でして、それはまず基本 だと私自身は思っているので、まさしく石井委員のおっしゃったとおりのことだという ふうに思っています。 ○谷川委員  石井委員に1つ教えていただきたいのですが、非上場での株式会社の決算書類の公表 というのはどういうふうになっていますか。 ○石井委員  上場している場合には、公認会計士が監査をして、基本的には、政府刊行物発行セン ターで有価証券報告書が1冊1,900円程で売られています。ですから、誰でも経営情報 を見ることが出来る。上場してない企業に関しては、この表にあるように資本金と負債 基準で商法監査というものが別途適用されます。ですから、株式を公開してなくて資本 金5億円以上であれば、この商法監査という強制的な監査が行われます。では、その決 算書に関する開示はどうなのかというと、これは神谷委員のほうがご専門かもしれませ んが、まさにここに書いてあるように株主・債権者の求めに応じて閲覧と。 ○谷川委員  ひとり株主だと、何もないことは債権者がいなければ。 ○石井委員  債務がなくて株主が1人であれば、当然誰も見ないということはあり得るのではない か。誰も見ないというか、その株主1人が見る。大手企業の完全子会社、今回、連結納 税対象になるような100%の子会社であればそういうことはありますが、ただその場合 はその親会社が全責任を負いますので。 ○谷川委員  医療法人の場合は、結構お1人でやっておられるケースというのは多いのではないで しょうか。 ○石井委員  3万数千ある医療法人の中で2万数千が一人医師医療法人という診療所開設型で、あ とのこの資料にある5,299病院を開設している医療法人が病院開設型と、大きく2つに 分かれているというのが実情ではないかと思います。 ○西島委員  せっかくマスコミの方々がおいでですから1つだけ。先ほど石井委員がおっしゃった 収支状況が悪ければ診療報酬上手当するという話ですが、診療報酬上はそういう状況は 関係なく上げたり下げたりするので、そんな状況を考えていたら医療費はだんだん伸び ていくわけですから、そういう配分はないと考えています。今回の1.3%マイナスとい うことですが、たかだか1.3%ではないかと言われますが、先ほどの小山委員がおっし ゃったように、本当の収支差でいけば3%前後なのです。この中で1.3を引かれたら、 あと1点ちょっとしか残らないのです。だから私どもが、病院は特に50数パーセントの マイナスであると言っているのは、そこなのです。これがなかなかおわかりになってい ただけない。そういうことを是非ご理解いただきたいと思います。 ○川原委員  私の質問に対して、事務局から。 ○指導課長  資料の読み方は、先ほど川原委員がおっしゃったようなのが筋というか読み方です。 いろいろ言われていますが、新たな義務づけ等は必要ないのではないか。ただ、先ほど も議論に出ていますが、運営費補助をもらっている法人とか、あるいは税制上も特定医 療法人ということで税率を相当負けてもらっているような、公共性の高い運営をやる代 わりに税金を負けてもらっているというような法人もあるので、そういう所については 、これも強制ではないですが、むしろ公費が入っているという観点から、自主的な開示 を積極的にお願いしたいというようなことでどうかというのが今回の整理です。  あと、内部監査の充実とか大規模法人の外部監査というのも、情報を開示するかどう かというのとは、また別の次元だと思います。この際ということですが、大規模法人を どこら辺で線引きするかというようないろいろな議論はあります。そこは無理のない範 囲で、しかも株式会社のように一律強制するということではないので、こういうような 類型の法人では極力公認会計士等の、これも石井委員に聞くと、正確に言うとなかなか 監査証明書を書くような外部監査というのはいまの医療法人では難しいというような状 況もあるようですから、正確に申しますと、おそらく公認会計士等による会計指導とい うか、そんなようなことだと思うのですが、そういう専門的なご指導をお勧めするとい うか、誘導するというようなことではないかと思っています。  会計基準については、ちょうど病院団体のほうで石井委員が座長になって別途検討会 をやられているので、間もなく中間報告がまとまるかもしれないというようなお話を伺 っているので、次回でも時間があれば少し石井委員からその辺りの状況も併せてご紹介 いただくというようなことにしたいと思います。 ○川原委員  いまの事務局からの話でよくわかりました。したがって、ここで開示について再度前 回のような議論をすることは、不毛の議論になってしまうのではないかと思います。と 同時に、公費による補助であるとか税制上の優遇措置を受けている法人について積極的 な開示を行うというのは、これはごくごく自然なことであって、当然に納得できるので はないかと考えています。  次に、開示される云々ということで外部監査の件ですが、先ほど3,000万円云々とい うお話が出ましたが、まず、外部監査の以前にやるべきことがあるのではないか。とい うことは、外部監査が適正に行い得るような技術的な環境整備を先に行った上で、次に 外部監査を実施するや否や、ということの議論に入っていったほうが、私はむしろ適正 な議論がなされるのではないかと思います。  会計基準について先ほど来お話が出ておりますが、現在病院会計準則に基づいて処理 をしているところ、あるいは一般の企業会計基準に準拠して処理をしているところと、 非常にまちまちです。医療機関あるいは医療法人に対する新しい統一的な会計基準を、 いま石井委員のほうで作成に向けて、作業に入っておられるということであれば、むし ろそれが出てきた時点で外部監査についての議論をしていくようにしたほうが、正しい 方向性に向けての議論ができるのではないかと私は思っています。したがって、この表 現の仕方なのですが、含みを残した形の表現にしておかれたほうがいいのではないかと 思っています。 ○小山委員  決算情報云々なのですが、必要か要請か、望ましいかというと、要請のほうなのです が、対応方向の「内部監査の充実や大規模法人における外部監査の導入を促進すべきで はないか」というのは、それはそうなのでしょうが、「促進すべきだ」という、ここは 「導入を要請する」ぐらいで、なぜ促進するのか。大規模がどうだというのは、何か後 ろのほうで病床数が書いてあるから、たぶん大きい所だけ。500床以上だと96とか、400 床だと117とか書いてあるから、どうもそこら辺なのかなとか思うのですが。  まず私がお願いしたいのは、病院団体の錚々たる先生方がいらっしゃるわけですから 、公認会計士がチェックするチェックリストなどを作っているので、そういうものも厚 生省のほうで取り上げていただいて、医療機関に普及するとか。何が言いたいかという と、医療機関と公認会計士の間には大きな上下格差があるのです。近づきやすい関係に はないのです。だから、公認会計士も厚生省ももう少し縮めるような何かファンクショ ンを、公認会計士が作ったリストを厚生省も病院団体も使うとか、何か少しそういうの がないと、見せろ、見せないみたいな感じで、あまりそういう議論はよくないというの が1つです。  大規模法人の場合、400床なら400床ぐらいでなるべく大きくして、本当に要請するな ら全部出してもらって、だんだんそこまでできたからといって、年々お金も見ながら下 げていくとかという、何か穏やかな対策が必要なのではないかということなのです。  もう1つは、開示していると言っていても、約1,000の自治体病院の経営は公益企業 年鑑というので出ています。最近は3.5のコンピューター上でいくらでも見られる、C Dに焼きつけられて出ているのです。あまり言いたくないのですが、それに対して国立 とかその他、特殊法人というか日赤とか済生会とかいろいろあるのですが、そういう所 というのは別に積極的に開示しているわけではないのです。ですから、ここが医療法人 の話をするのだったら、ほかの病院の話とかを固めるという前提があって、医療法人の 大きいのにもしろよなというのが筋ではないかなと。  もう1つ社会福祉法人のほうも一生懸命言っているのですが、社会福祉法人の大きい のは病院の大きいのよりもすごい収益高があって、100億円を超えるのはいくつもあり ますから、それは100億円ぐらい超えたら少し公認会計士が知らないと恥ずかしいです から、100億円とかその辺の何か。私が心配するのは厚生省の全体でいろいろな関係が ありますから、それで値段で決めるか病床数で決めるか何かしていただいて、ほかのも のも全部開示するという形で、みんなでもう少し説明責任というか情報公開に慣れてい くということが重要なのではないかと考えているのです。 ○神谷委員  資料の6頁目の「対応の方向」については、先ほど私はこれで賛成しますと申し上げ たのですが、「基本的考え方」の2つ目の○の(1)、「法人運営の監督、債権者保護の 観点からすれば、現行の枠組みで十分な担保がなされている」という部分については異 論があります。これは「十分」というわけではなくて、「それなりの」というか「相応 」のというあたりかと思います。1つお忘れのようですが、これまでの法律家の議論で はきちっと議論したものはなかったのですが、医療法人は有限責任という特別の利益を 受けているわけです。そう言う以上は、建て前としては登記情報として一定の最低限の 決算情報が開示されるべきだという点は、これは動かないと思うのです。ただ、実際は 監査の業界の問題があって、適正な料金でそれなりの監査をしていただくという体制が 採られていない、というところが根本的な問題なのです。そういう状況ではやむを得な い。そこがちゃんと手当てできれば、もうちょっと改善される。ですから、有限責任を 享受してずっと楽に医業ができるということであれば、現在の開示の程度はやはり十分 ではないと思うのです。ただ、世の中はそういう監査の仕組みがまだできてないという ことです。ですから、ここは私の理解としては「十分」というと、言い過ぎではないか と思います。 ○石井委員  小山委員からご発言いただいた会計士協会で作ったチェックリスト、内部統制の質問 書だと思いますが、私も8年ほど前にそれを作成するのに参画をし、作ったはいいけれ ども、誰も見てくれないということで、作った本人は実は涙しておりました。 ○小山委員  うちの研究所ではちゃんと全部に掲示しています。 ○石井委員  ありがとうございます。もう1つ神谷委員のお話に関連して、医療法人は株式会社と 異なっておりまして、登記簿謄本に毎年、正味財産の変更登記をしています。一般の株 式会社は正味財産登記という概念がありませんが、民法法人や医療法人には正味財産変 更登記があり、本当に財政状態が悪いと、登記さえ行われていれば義務としてあるので すが、毎年変更されていく。いわゆる帳簿上の正味財産の数字が変化していきまして、 債務超過になると、「正味財産額ゼロ(債務超過額いくら)」というふうに開示をされ ている事実はあります。 ○神谷委員  教えていただき有難うございました。 ○田中座長  この点についても先ほどの理事長要件と同じですが、いろいろと環境要因が整ってな いところでこれだけ取り出すよりは、皆様方の精神を受ければ、一律に義務づけるよう なことはなかなか無理である。しかし自主的な開示を促進するという方向については、 誰も反対していない。現に、自ら開示することを禁止している規制などはないですよね 。それを世の中としてもサポートしていく方向で、これは皆様の意見の一致を見たのだ と思います。具体策については、いま言葉の点も含めていくつかご意見がありましたの で、それを踏まえて次回までに事務局で検討を深めていただきたいと思います。それで よろしゅうございますか。                (一同異議なし) ○田中座長  ありがとうございました。残りの時間のテーマは、10頁、中間取りまとめの先の話、 「今後検討を深めるべき課題」です。先ほどの例で言いますと、理事会の機能とか、豊 田委員から地域医療の視点から見なくてはいけないとのご指摘もありましたが、深める べき課題などの問題も理事会の機能なども踏まえつつ、どういう点があるかについて、 ご意見があればお願いします。これは中間まとめには入れない話ですね。 ○指導課長  目次程度というか、一定の方向性は3月段階でお示しいただいて、新年度またそれに 沿って検討を進めていくという意味で、そういう位置づけです。 ○神谷委員  この「課題」を拝見して、最初の(1)の所を見て思うのですが、先ほど谷川委員がお っしゃったような議論を私は最初にしたかった。そういうことをした上で理事長要件に ついて議論すべきだったと思っているのです。例えば、医療管理についての責任者を置 いて、待遇は理事待遇にして、しかし理事会のメンバーにはしない。やはり人を分ける 、組織を分ける、というのはとても大事ですから。そしてその下にちゃんとしたスタッ フを置いて、その責任者と理事会、例えばその方は理事会に出席する権限があって、そ の方を解任する場合にはちゃんと解任理由を開示する必要があるとする。これは大きな 法人のことを念頭に置いているわけですが、そういう工夫をしたいという法人があれば 、それを定款等でちゃんと書いて、そういう工夫を組織的にも制度的にも一定の形で認 める。いろいろな経営上の工夫を各法人でなさるというのをバックアップするような知 恵というものをこの場で議論されるというのは、とてもいいことではないかと思います 。 ○西澤委員  この課題の1つひとつは全く賛成なのですが、これは医療法人だけで見てはおかしい 。いままで比較するときの資料では、例えば株式会社とか社会福祉法人とかが出てくる のですが、実際、病院を設立しているのは、公立・公的があるわけです。それらと医療 法人の比較の中でこの課題全部、会計基準の在り方とか組織の在り方すべて、議題して はどうか。このあたりを明らかにしなければ医療提供者間の公平な競争はできないわけ です。是非資料を出していただいて議論できればと思います。 ○田中座長  公正な競争指標の確保という意味では、おっしゃるとおりです。どのように触れるか は別として、ある程度データは必要だと思います。 ○川原委員  課題は5回までしか載っていませんが、どうなのでしょう。一応、5回までの予定をこ こで示しておくということなのでしょうか。それとも今後5回しかこれは開催しないと いうことなのでしょうか。それをまずお聞きしてから発言をしようと思うのですが。 ○指導課長  1項目1回というスケジュールを示したわけではありません。 ○川原委員  そうすると、例えばの話、これが6項目になっても構わないと。 ○指導課長  いや、それは整理の仕方で分かれます。 ○川原委員  ということは、医療法人運営の透明性を高めるための方策、私はむしろ会計基準の在 り方というのはズバリ透明性と、あるいは情報の開示、ということをも含めたもので理 解はつくのですが、理事構成など組織運営の在り方については医療法人の経営機能の強 化というもう1つ別なカテゴリーをつくって、そちらのほうでも議論をするか、あるい は医療法人運営の透明性および経営機能の強化についてということで一体的に議論をし ていくのか明確にしてもらいたいと思います。というのは経営機能の強化は、これから の医療法人の経営においては非常に重要になってくると思います。先ほど来お話があり ましたが、適正な医療を提供するための経営の在り方という新しいテーマに、経営的な 視点から取り組んでいかなければならないということになると、やはり組織としての機 能強化を図ることが不可欠の要件になるのではないかと思うのです。 ○田中座長  おっしゃるとおりですね。透明で危ないだけではしょうがないですね。ほかにこの項 目についていまのような修正・追加、いかがでしょうか。なければ、いま言われたいく つかの点を踏まえてまとめに。 ○指導課長  また追加でご意見をいただければ、次回までに再整理したいと思います。ファックス 等で3番目については、追加的なご意見があればお願いします。 ○西島委員  これを見ていまして、まず公的な支援策の在り方に係るのかどうかわかりませんが、 税法上の対応です。例えば、それは公的な支援策にもなろうかと私は思いますが、税的 なものは入っていると考えていいのですか。 ○指導課長  税の問題も特定医療法人とか特別医療法人ということとも関連すると思いますが、当 然大きな項目です。 ○西島委員  公的な支援策の在り方の中に税もここで検討していいということですね。 ○指導課長  そうです。 ○田中座長  ほかに本日の議題についてさかのぼって何か言い残したことはありませんか。なけれ ば「今後検討を深めるべき課題」について、次回までに事務局で整理していただきます 。また、いまの頁についてはファックス等でご意見をいただければ、また追加もあり得 ると思います。  では、次回の日程等につきまして、指導課長からお願いします。 ○指導課長  次回は、3月25日(月)午後2時から開催したいと思います。場所が決まり次第、改 めて正式のご連絡を差し上げたいと思います。次回は、検討会の最終的な中間取りまと めと、また石井委員が参与をしていただいている病院団体での会計基準の報告がまとま れば、それも併せてご報告いただく予定です。 ○石井委員  さわり程度の説明になるかと思いまして、最終中間報告にはならないかと思いますの で、よろしくお願いします。 ○指導課長  ご相談してまとまるようであれば、少しご報告いただくというようなことで考えたい と思います。  冒頭申し上げましたが、3月に入ると理事長要件等については、検討会の皆様、座長 とまた十分ご相談しつつ、政府内部でも同時並行的に一定の調整作業に入らざるを得な いということについてはご了解をいただき、そこの進め方については座長とまた十分ご 相談しつつ行いたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○総務課長  社会保障審議会の医療部会が3月いっぱいで任期も終了し、取りまとめへ入るわけで すが、ここでいただいているご議論は座長にお断わりしながら、取りまとめの中にも反 映させたいと考えていますので、よろしくお願いします。 ○田中座長  というような方向で進めます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、どうも ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 橋本 昌男(内線2560) 医療法人係長  手島 一嘉(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194