02/02/20 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会                  日時 平成14年2月20日(水)                     10:00〜12:00                  場所 東条インペリアルパレス 6階 九重の間 出席者:寺田分科会長、井上委員、小川委員、小沢委員、垣添委員、熊谷委員、児玉委     員、品川委員、首藤委員、高仲委員、田中委員、村上委員、山崎委員、吉倉委     員、和田委員     食品保健部長、基準課長、新開発食品保健対策室長、食品国際企画調整官 ○事務局  定刻となりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催 いたします。本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、厚く御礼申し上げます。 本日は、小林委員、清水委員、羽生田委員、柳川委員から欠席の連絡がございました。 また、黒川委員、井上委員におかれましては若干遅れておられますが、分科会委員総数2 0名のうち14名で過半数に達していますので、本日の分科会が成立いたしますことをご 報告申し上げます。それでは、まず開催に当たりまして、食品保健部長からご挨拶を申 し上げます。 ○尾嵜部長  おはようございます。部長の尾嵜でございます。先生方には、お忙しい中をお集まり いただきまして、ありがとうございます。前回この分科会を開催いたしましてから、か なり時間が経った時期でございますが、その間、食品関係につきまして、事件なり事柄 がいろいろございました。本日ご審議をいただく中身と合わせまして、いくつかご報告 させていただきたいと思っております。ご審議ですが、遺伝子組換え食品の安全性の審 査につきまして、ご審議をお願いしたいと考えております。食品と添加物の関係でござ います。  ご報告がいくつかございます。ご承知のとおり、昨年の9月に我が国で初めてBSE の感染牛が発見されまして、その後、私ども部としましては、農林水産省と共々その対 策に追われたというのが事実でございます。何とか検査体制も整いまして、年明けには 、やっと山を越したかなと思っていたわけですが、ご承知のとおり、年明けに、農林水 産省が行っております検査体制が整う前の牛肉について、国が買い上げるという制度が 動いておりましたが、それについて、雪印食品のほうが、輸入牛肉を国産牛と偽って、 表示の関係も含めて虚偽の取扱いをしていたということで、今も引き続いて調査などが されているわけでございます。  食品の表示というものにつきまして、消費者の方々の信頼が落ちたと申しますか、不 信感を持たれているという状況ですが、これに関しまして、一昨日、都道府県の食品関 係の主管課長会議がございました。食品衛生監視でも、こういった表示関係については 、これまでも食品衛生法上の違反事例というのが挙げられているわけですが、監視につ いては、対応を厳正に行っていただきたいということをお願いし、合わせて、そういっ た違反事例が出た場合には原則として公開をしてほしいということを、課長会議でお願 いしました。  いずれにしましても、食品につきまして、表示というものを含めて、さまざまな環境 なり消費者のご指摘なりがたくさんございます。そういったことにつきましても、また 審議会のほうでご議論いただくことが必要かと考えているわけでございます。今日、そ ういった報告をいたします事項に関連しまして、ご意見をいただきたいと考えています ので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。簡単でございますが、ご挨拶に代 えさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、以後の進行につきましては、寺田分科会長にお願いいたします。 ○分科会長  おはようございます。分科会の議事を進めたいと思いますが、その前に資料の確認を お願いいたします。 ○事務局  事務局のほうから、資料の確認をさせていただきます。本日は、資料と参考資料がご ざいます。資料1−1が「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査に関する 部会報告書」、資料1−2が「遺伝子組換え食品の安全性審査の手続を経た旨の公表に ついて寄せられた意見等について」です。参考資料が5種類ございます。参考資料1− 1「組換えDNA技術応用食品の概要」、参考資料1−2「組換えDNA技術応用添加 物の概要」、1−3「安全性審査の手続を経た遺伝子組換え食品及び添加物一覧」、参 考資料2−1「保健機能食品等に係わるアドバイザリースタッフの養成に関る基本的考 え方について」、2−2「保健機能食品の表示等について」、参考資料3−1「特定保 健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について」、3−2「食品衛生分科会に おける確認事項」、参考資料4「国内初の牛海綿状脳症り患牛発見後の厚生労働省の対 応」、参考資料5「食品衛生分科会報告及び答申書の修正について」、以上でございま す。お手元に資料がございますでしょうか。それでは、お願いします。 ○分科会長  どうもありがとうございました。皆さん、お手元に資料はございますね。それでは、 審議に入ります。本日の議題案件の中の審議事項としましては、議事次第に書いてあり ますように、1の「組換えDNA技術応用食品等の安全性審査について」がございます 。また、「その他」の報告事項としましては、先ほど部長のほうからお話がありました ように、「保健機能食品等におけるアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考え 方について」あるいは「特定保健用食品に関する新開発食品調査部会の審議結果につい て」「BSE対策について」「食品衛生分科会報告及び答申書の修正について」、この 4件につきまして報告することになっています。まず、「組換えDNA技術応用食品等 の安全性審査について」について進めさせていただきます。事務局より説明をお願いい たします。 ○事務局  それでは、組換えDNA技術応用食品等の安全性審査について、ご説明をさせていた だきます。資料1−1は、昨年12月17日に提出されました、食品衛生バイオテクノロジ ー部会の報告書です。資料1−2に、この報告書に関して寄せられたご意見が付いてい ます。公表について寄せられたご意見ということでございます。  まず資料1−2をご覧ください。この報告書に関して、今回3件ご意見が寄せられて います。ご意見そのものにつきましては2頁目から付いていますが、個人の方が2名と 、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンという団体からのものが1通来ています 。主なご意見につきましては資料1−2の表にまとめてありますが、この内容につきま しては、本日ご審議をいただく個別のもの、トウモロコシMON863系統と、添加物2 つ、プルラナーゼ(SP962)とα−アミラーゼ(SP961)の個別のものに関するもの と、さらに安全性審査全般に関するご意見となっています。この寄せられた3通のご意 見については、項目ごとに表紙のところにまとめてございます。  いずれのご意見につきましても、技術的な問題につきまして専門家の先生方にご確認 いたしましたところ、本日のご審議には特に問題はないというご回答をいただいていま す。中には、事実関係の誤認に基づくようなご意見もございました。例えば「主な意見 内容」の3番の3つ目に「Cry3Bb1蛋白質のアレルギー誘発性はアミノ酸配列が 数世代安定して存在するので問題ない、というふうに部会でしたのはなぜか」というご 意見がありますが、これは、部会の議事録を確認しましたところ、このような発言は確 認できませんで、データベース検索をやって、アレルギー誘発性などに相同するような ものはなかった、安全性については問題なかった、というような発言がございました。  また、安全性審査全般につきましての「食品衛生バイオテクノロジー部会における審 議時間が短く、十分審議されていない」というご意見につきましては、食品衛生バイオ テクノロジー部会の下に、組換えDNA技術応用食品安全評価調査会を設けてあります 。ここで十分な審議をした結果の報告書が、食品衛生バイオテクノロジー部会で審議さ れたものでございます。具体的には、MON863トウモロコシについては、平成13年6月 26日と10月26日の2回、α−アミラーゼのSP961につきましては4回、プルラナーゼ のSP962についても4回、この安全評価調査会でご審議されています。これら寄せら れたご意見につきましては、もう少し文言について各先生方にご確認した後に、事務局 で取りまとめをさせていただきまして、厚生労働省のホームページに掲載する予定にし ております。  それでは、鞘翅目害虫抵抗性トウモロコシMON863系統のご説明を、事務局よりさ せていただきます。参考資料1−1をご覧ください。この概要に沿いまして、事務局の ほうからご説明させていただきます。MON863系統につきましては、この概要に書い てありますとおり、日本モンサント株式会社より申請がありました。開発者は、米国の モンサント社です。これは、デント種であるトウモロコシにBT蛋白であるCry3B b1遺伝子を組み込んでいまして、Cry3Bb1蛋白質が発現されています。これによ りまして、鞘翅目害虫、いわゆるカブト虫とかカナブンといった類ですが、特に米国で 発生しているコーンルートワーム、日本で言うとネキリムシという感じの害虫なのです が、この防除に効果を示すとされています。ここに書いてありますとおり、選択マーカ ーとしまして、カナマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質に耐性を持つnptII遺 伝子が組み込まれています。  発現量につきましては、ここにお示ししているとおり、Cry3Bb1蛋白質につき ましては、穀粒中の1g当たり平均70μg発現していまして、NPTII蛋白質について は、検出限界値である0.076μg/g以下となっています。米国では、FDAの審査が 昨年12月31日に終了しています。資料1−1として部会報告書が今回提出されています が、その中の別紙1がトウモロコシの報告書です。この7頁目の「諸外国における認可 」をご覧いただければと思いますが、この部会が行われましたのが12月17日ですので、 「2002年1月中には認可される予定」となっていますが、現段階では、12月31日に米国 での審査が終了していますので、その旨ということになります。以上、部会におきまし ては、MON863系統については「人の健康を損なうおそれがあると認められない」と いうふうには判断をされています。事務局の説明は、以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。引き続きまして、食品衛生バイオテクノロジー部会 長から補足説明がありましたら、お願いします。 ○首藤委員  ただいま事務局から概要の説明がありましたが、いくつかご報告させていただきます 。事務局のご説明にもありましたように、この品目は、暮れに部会で審議いたしました 。その前に調査会というのがありまして、そこで、特に遺伝子関係の方、食品の方によ って相当細かいところまで丁寧に予備審査が行われた上で、部会に上がってきたもので す。結論的には、これは非常にシンプルで、複雑な問題がわりとない品目だったと考え られます。具体的に導入されている遺伝子は、鞘翅目害虫に抵抗性を示すcry3Bb 1という名前が付いた遺伝子です。cry3という遺伝子は、これまでもいろいろなも ので使われていたものですけれども、Bb1というのは今回初めてのものです。それで 、特にこれについて、審査基準に沿って評価を行いました。  それから、選抜のための遺伝子としまして、カナマイシンなどの抗生物質に耐性を示 すnptIIという遺伝子が入っていますが、この遺伝子は特に組換え体でいろいろな場 合に使われているものです。このnptIIによって発現する蛋白質量は大変少なく、検 出限界以下ということになっていますけれども、これは従来のものと同じですので、安 全性上の問題は特にないと考えられます。cry3Bb1という遺伝子に基づく蛋白質 は、ほかのCry3Aと大変似た性質を示しまして、人工胃液や加熱処理により免疫反 応が実質的に消失するということが確認されており、従来の3Aのシリーズと同類と解 してかまわないものだと思います。  cry3Bb1に関するアレルギー性ですけれども、データベースの検索の結果、既 知のアレルゲンや毒素蛋白との相同性は認められませんので、アレルギーの誘発性に関 しても問題はないと判断しています。以上の結果から、部会として、トウモロコシMO N863系統は「人の健康を損なうおそれがあるとは認められない」と判断した次第です 。以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局および首藤委員からの説明につき まして、何か質問、ご意見がございますでしょうか。 ○和田委員  先ほどの事務局のほうからのご説明を伺いまして、ちょっと質問したいと思います。 今回の公表について寄せられた意見というところのご説明もありました。この意見に対 しての今おっしゃいましたような説明というのは、個々の意見を出した個人あるいは団 体へはいっているのでしょうか。それが1点と、部会の時間が短いというけれども、そ の前の調査会で十分な時間をかけているというお話がありましたが、部会、調査会は資 料も含めて公開されていましたでしょうか。その2点を伺いたいと思います。 ○事務局  最初のご質問の回答につきましては、特に個々の方々に返すというわけではありませ んが、厚生労働省のホームページ上でこのコメントをいただきましたので、これに対し ては、Webに載せるというか、ホームページで公開をするという予定です。  2つ目のご質問ですが、部会につきましては公開でご審議を行っていただいていまし て、傍聴もできるという形になっています。なお、資料につきましては、調査会は、企 業の所有権が絡むデータ等もありますので、審議は非公開にしていますが、企業の所有 権が絡むような部分を除いた資料につきましては、部会終了後に、社団法人日本食品衛 生協会というところで閲覧ができるという形になっています。 ○和田委員  以前、1週間に何回というようなことがありましたが、今は週に何回閲覧ができるよ うな形になっていますか。 ○事務局  閲覧につきましては、東京と大阪で閲覧できるような形になっていまして、東京では 週3回、大阪では週2回と聞いています。 ○分科会長  ほかに、ございますでしょうか。 ○児玉委員  弁護士の児玉でございます。私は専門的なことはあまり詳しくありませんので、安全 性のことを考えるに当たって、2点ほど質問させていただきたいと思います。資料1− 1の5頁に「Cry3Bb1の蛋白質の免疫反応性は、人工胃液中で30秒から60秒後に 消失することが確認された」とありますが、人工胃液というのはどういうものかという のが1点です。それから、ほかのものとどう比較して考えたらいいのか、30秒から60秒 後に消失するというのをどういうふうに評価したらいいのか、例えばほかのものだとど ういうことが起こるのかということを、わかりやすく教えていただきたいと思います。  もう1つは、そのあとの「加熱処理による感受性」で「加熱により免疫反応性の99% 以上が失われる」ということなのですが、どの程度のどういう加熱なのかということと 、99%以上というこの指標なのですが、例えばほかのもので安全性を考えるときにもこ ういう99%以上という指標で考えるのか、その辺をわかりやすく説明していただければ と思います。 ○首藤委員  人工胃液、消化液というのは標準できちんといろいろな素性その他が決まっていまし て、医薬品などでもやる標準的なものが使われていると思っております。何秒後に消失 するかというのは、私たちでも消化が悪いものといいものがあるわけで、非常に範囲は 広いものです。30秒というのは、食べて、この辺にいるうちにほとんどなくなってしま うというものです。コアの蛋白質では、途中まで分解して残りは分解しにくいというも のもたくさんあります。そのように1日経っても全然駄目だというものは相当注意しな ければいけないということで、その辺が判断の基準の1つかもしれません。専門的には 、もっと細かい見方がされていると思います。  加熱ですけれども、トウモロコシを加熱するといってもいろいろあるわけで、100度 でやったとき、60度ぐらいでやったときと、いろいろなケースを考えています。部会で もそういう議論はするのですが、その前の調査会にはアレルギーの専門家もおられます ので、温度何度で何時間やったからいいとか悪いとか、そういうものもしております。 ○分科会長  事務局のほうからは何かありますか。 ○事務局  30秒から60秒後というのがどの程度か、というご質問ですが、先ほど首藤部会長から もお話があったように、Cry3類というのはいろいろ種類があります。これまでに安 全性の審査が終わっているニューリーフ・ジャガイモという遺伝子組換えのジャガイモ がありますが、ここでCry3Aという蛋白質ができています。同じCry3の類で、 同じものです。これも人工胃液や加熱による分解性を見ていますけども、30秒から60秒 後になくなるというのは、これとほぼ同様です。このトウモロコシにつきましてはデン ト種と言われるもので、ゆでてそのまま食べるような類のものではありません。加熱加 工されまして、コーンスターチ、コーン油というものに加工されるもので、そうした食 品の特性に合わせた加熱での状態を見るのが一般的な評価です。 ○分科会長  よろしゅうございますか。細かい数字などはここではちょっと出ないと思うのですけ れども、私の理解しているところでは、人工胃液というのは、健康人の胃と同じような ものにいろいろな酵素を入れて、似たような状態をつくって、その状態ではここにある ように消失する、ということだと思います。そのときのスタンダードは何で、何に比べ て高いのかということは、私はちょっとわかりません。何かほかにございますでしょう か。 ○和田委員  遺伝子組換えのものについて、一昨年のスターリンクの未承認のものの混入とか、昨 年、未承認のジャガイモが原料としてお菓子に使われていたとか、最近、埼玉県で未承 認のパパイアが見付かったということを聞いて、輸入時の検疫体制というのがもっと強 化されるべきではないか、という声が大変強く出ています。その辺のところのお考えを 、ちょっと伺いたいと思います。 ○事務局  それでは、事務局のほうから答えさせていただきます。未承認のものが日本に輸入さ れないということを確認をするために、輸入時に遺伝子組換え食品のモニタリングとい うものを行っています。和田先生が言われたとおり、スターリンクはトウモロコシで、 アメリカで飼料として認められていて、食品としては認められていなかったというもの です。それが食品中に混入して日本に入ってきたということがありましたし、ジャガイ モとかパパイヤについても、そういった事例がありました。  日本で安全性審査が終わっていないもので、海外で実際に商業的に作付けがされてい て日本に入ってくる可能性があるというものが、現在3つあります。先ほどおっしゃい ましたトウモロコシのスターリンクというものと、ニューリーフY・ジャガイモという ものと、パパイヤ55−1という3つです。この3つにつきましては輸入時にモニタリン グ検査をやっていまして、昨年4月から実施しているのですが、2月19日現在で、トウ モロコシについては44検体、パパイアについては106検体、ジャガイモについてはかな り数が多いのですが、トータル854件の検査を実施しています。この検査の結果、こう いったものが輸入時に見付かれば、モニタリングの検査率を上げるなどの体制をとって 、日本に入ってこないようにするということをやっています。 ○分科会長  ほかに、ございますか。鞘翅目害虫抵抗性トウモロコシMON863系統の申請に関し まして、ほかにご意見はございますでしょうか。ないようでしたら、この分科会でこれ を了承したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。それでは、鞘翅目害虫抵抗 性トウモロコシMON863系統については、これで了承いたします。次に、(2)のプ ルラナーゼ(SP962)の審査に入りたいと思います。事務局より、お願いします。 ○事務局  それでは、事務局より、プルラナーゼ(SP962)についてご説明をさせていただき ます。参考資料1−2は「組換えDNA技術応用添加物の概要」というものです。左側 に、プルラナーゼ(SP962)ということで書いてありますので、これに沿ってご説明 をさせていただきます。これは、ノボザイムズジャパン株式会社というところから申請 がありまして、デンマークのノボザイムズ社というところが開発をしたものです。「本 製品の概要」のところにちょっと複雑に書いてありますが、澱粉等を加水分解して低分 子化するという加水分解酵素でございます。  詳しくは部会の報告書の別紙2に書いてありますが、アミロペクチン等のα−1,6− Dグルコシド結合を加水分解して低分子化するというものでございます。目的は、プル ラナーゼの産生性の向上ということをいっていまして、宿主のところに「Bacillus subt ilisA164株」と書いてありますが、ここに挿入遺伝子のBacillus deramificansの由来 のプルラナーゼの遺伝子を挿入して生産菌株を得たものでございます。この生産菌株が 産生する蛋白質が、プルラナーゼということになります。なお、諸外国におきましては 、米国においてこの使用が認められています。概要については以上でございます。部会 におきまして、このSP962プルラナーゼについては、「人の健康を損なうおそれがあ ると認められない」という判断をされています。 ○分科会長  どうもありがとうございました。食品衛生バイオテクノロジー部会長の首藤委員から 何か補足がございましたら、お願いいたします。 ○首藤委員  このプルラナーゼを生産するための組換えには発現ベクターpDGpullulanaseを使 っているわけですけれども、この中には、プルラナーゼの合成遺伝子のほか、cat遺伝 子、neo遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子が含まれています。cat遺伝子以外は宿主へ導 入時に除去されていますし、cat遺伝子も導入後に宿主の染色体から欠失させています 。このため、部会でも議論があったのですけれども、菌体培養しているときに新たな修 飾蛋白質などが出てくるかどうかということに関しては、そういう懸念はないと考えら れました。  それから、サザンブロットの追加試験の結果でも、これらの挿入遺伝子が意図したと おりに組み込まれ、あるいは除去されていることが明らかになっています。末端の製造 工程、最終製品の規格などに関しても、最終製品のプルラナーゼの中には生産菌の混入 はないことが確認されています。したがいまして、最終的な生成物は、既存添加物であ るプルラナーゼと同一のものということになります。さらに、変異原性in vitroでのサ ルモネラ菌、大腸菌を使った菌突然変異試験、ラットを用いた13週の反復毒性試験が行 われていますが、いずれも問題は認められておりません。以上の結果から、本品につい て「人の健康を損なうおそれがあるとは認められない」という結論に至っております。 ○分科会長  どうもありがとうございました。何かご質問、あるいはコメントなどございましたら 、お願いいたします。ご意見がないようですので、この分科会として了承いたしたいと 思います。よろしゅうございますか。それでは、プルラナーゼ(SP962)につきまし ては、これで了承いたしたいと思います。次に(3)のα−アミラーゼ(SP961)の 審査に入りたいと思いますので、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、α−アミラーゼ(SP961)についてご説明をさせていただきます。参考 資料1−2の右側がα−アミラーゼですので、これに沿ってご説明をさせていただきま す。これも、プルラナーゼと同じくノボザイムズジャパン株式会社から申請がありまし て、開発社も同じくノボザイムズ社ということでございます。このα−アミラーゼもプ ルラナーゼと同様、澱粉等を加水分解して低分子化するという加水分解酵素ですが、プ ルラナーゼとは加水分解する位置が異なっていまして、先ほどはα−1,6でしたが、こ れはα−1,4−D−グルコシド結合というところを切って低分子化するというものでご ざいます。  目的につきましても、同様にα−アミラーゼの産生性の向上というものです。この概 要に書いてありますように、宿主であるBacillus subtilisという菌株に挿入遺伝子で あるSP961のアミラーゼ遺伝子というものを挿入して、生産菌株を得たというもので ございます。この生産菌株中には、挿入遺伝子の欄のいちばん下に書いてありますが、 pUB110由来のカナマイシン耐性の遺伝子、kan遺伝子というものも含まれています。 諸外国におきましては、米国、デンマーク、フランス、オーストラリアといったところ で使用が認められているものでございます。以上、部会におきましては、このSP961 につきましても、「人の健康を損なうおそれがあると認められない」と判断されており ます。以上でございます。 ○分科会長  どうもありがとうございました。引き続きまして、食品衛生バイオテクノロジー部会 長の首藤委員から補足説明がございましたら、お願いします。 ○首藤委員  若干の補足がございます。このα−アミラーゼは、同じアミラーゼという分類になる 品目3品目が審査を終了していまして、これが4つ目です。なぜ同じものがいくつも同 じ会社から必要なのか、というご意見が部会でもありましたけれども、α−アミラーゼ の生産性を良くするとか、耐熱性を良くするとか、いろいろな使い分けをするとか、混 ぜて使うとか、そういうケースがあるのだろうと思っています。具体的には、このSP9 61というのは、Bacillus属のlicheniformisに、ほかの細菌からとりましたBacillusのSt earothermophilus耐熱的な要素がある部分だろうと思いますが、それのアミラーゼを入 れてつくったものだということです。発現物体にはpLiH1346が使われていますけれ ども、これには、α−アミラーゼ合成遺伝子のほか、カナマイシン耐性遺伝子が含まれ ています。最終製品であるプルラナーゼには生産菌の混入はないということが確認され ています。製造工程、最終製品の規格についても問題はございません。毒性試験で、変 異原性試験、ラット13週の反復投与試験が行われています。結果は、問題は認められま せんでした。以上のことから、α−アミラーゼ(SP961)については、「人の健康を 損なうおそれがあるとは認められない」と判断されました。 ○分科会長  どうもありがとうございました。いままで3つα−アミラーゼが承認されていて、こ れに加えてどうして必要かという議論があったそうですが、このことは事務局があとか ら説明されるかもしれません。ほかに何かご質問はございますでしょうか。 ○吉倉委員  挿入遺伝子は、どういう挿入の仕方をしているのでしょうか。要するに相同組換えを やっているのか。それから、マーカー遺伝子は何を使って除いているのでしょうか。 ○首藤委員  私は具体的にはちょっとわかりませんが、報告書の別紙2の2頁の下の「挿入遺伝子 に関する事項」というところにサマライズされています。遺伝子の専門家が見られて、 ちゃんと除けているという結果になっていると思います。本当に除かねばならないのか どうかということ自体が必要かどうかが問題かもしれませんけれども、この場合は除い てあるということだと思います。 ○吉倉委員  理由はいいのですが、何を使って除いているのでしょうか。例えばクリロックスを使 うとか。 ○熊谷委員  プルラナーゼのほうの耐性遺伝子は、相同組換えで除いています。あとのほうは、ち ょっと記憶がありません。 ○吉倉委員  部会長のお話と事務局の話が少しずれていたような気がしますが。 ○分科会長  あとのは残っているのですか。 ○吉倉委員  相同組換えだとすると、その耐性遺伝子はどこに入れたのか、ちょっとよくわからな い。 ○熊谷委員  ちょっとそこまで記憶にないのですが。 ○吉倉委員  あとで知らせていただければいいと思います。安全性には特に問題ないと思います。 ○熊谷委員  もとの資料があれば、わかります。 ○分科会長  それでは、安全性自身には問題ないということですので、その方法論については、あ とで事務局のほうから吉倉委員にお伝え願います。ほかに何かございますでしょうか。 ○児玉委員  別紙2の3頁(6)と別紙3の3頁、組換え体に関する事項で、組換え体は、プルラ ナーゼもアミラーゼも両方そうですけれども、90度、pH11以上に1時間という基準で 書いてありますが、これは何の基準か教えていただけますか。 ○分科会長  どういう理由でこういう条件ができたか、ということですか。 ○児玉委員  そうです。 ○首藤委員  これは通常の滅菌の条件で、90度1時間で通常のバクテリアは完全に死ぬという条件 だと思います。 ○吉倉委員  これは、何十リットルという大きさのファーメンターを使うわけです。工業的には、 大きい容器を滅菌するときにこういう条件を使うのです。小さいものなら煮ればいいで すが、この部屋ぐらい大きい容器であると、こうするわけです。 ○児玉委員  90度かつpH11以上という条件が、一般的な滅菌の条件であるということですか。 ○吉倉委員  一般的かどうかわかりませんが、ここではこれに使っているということです。 ○児玉委員  わかりました。 ○分科会長  ほかに、ございますか。それでは、α−アミラーゼ(SP961)につきましては、こ れで了承いたします。それでは、この分科会報告における決定事項、当分科会としての 議決としまして、審議会長あてに報告することとしたいと思います。よろしゅうござい ましょうか。それでは、ご賛同していただいたものとして、分科会報告書の様式として 整理しまして、分科会の報告書といたします。それでは、薬事・食品衛生審議会第3条 の規定に基づき、分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣あてに答申い たしたいと思います。報告書案はございますか。 ○事務局  ございます。今から配付させていただきます。 ○分科会長  それでは、お手元に届いたようなので、読んでください。 ○事務局  読み上げさせていただきますので、ご確認をお願いしたいと思います。案といたしま して、薬食審第何号かでございます。薬事・食品衛生審議会会長の内山先生から坂口厚 生労働大臣あてでございます。「答申書。平成13年6月19日付け厚生労働省発食第146 号による諮問に係る食品の安全性審査並びに平成13年2月20日付け厚生労働省発食第21 号および平成13年4月26日付け厚生労働省発食第103号による諮問に係る添加物の安全 性審査について、下記のとおり答申する」。  「記」としまして、「1.平成13年6月19日付け厚生労働省発食第146号をもって諮 問された、トウモロコシ(鞘翅目害虫抵抗性トウモロコシMON863系統)については 、審査基準に基づき、人の健康を損なうおそれがあると認められないと判断された。2 .平成13年2月20日付け厚生労働省発食第21号をもって諮問された、プルラナーゼ(S P962)については、審査基準に基づき、人の健康を損なうおそれがあると認められな いと判断された。3.平成13年4月26日付け厚生労働省発食第103号をもって諮問され た、α−アミラーゼ(SP961)については、審査基準に基づき、人の健康を損なうお それがあると認められないと判断された」ということでございまして、その次の頁に別 紙として整理をしたものが付けてございます。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの答申案につきまして、何かご意見ござい ますでしょうか。 ○吉倉委員  1番のトウモロコシは、健康を損なうおそれがあると認められないと書いてあるので すが、食べすぎたり生で食べれば健康を害するわけです。どういう表現がいいかはわか りませんが、従来のトウモロコシと同じように食べれば大丈夫だという、条件付きの安 全性だと思うのです。substantial equivalenceの考え方をこの中に入れたほうがいい のではないか。どうやって食べても健康を損なうおそれがないとは到底思えないのです 。2番目、3番目についても、プルラナーゼ自体が人の健康を損なうおそれがあるわけ ではなくて、これを使った製品については従来の製品と同等である、という表現のほう がいいと思います。 ○事務局  平成12年5月1日に、この安全性審査にかかる告示が出ています。この告示の第3条 に、厚生大臣はその品目ごとに安全性審査を行う、という規定があって、この2項に、 この審査は薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて行うものとし、人の健康を損なうおそ れがあると認められない場合は、当該審査を経た旨ということになっており、その告示 どおりの文言を使っています。ただ、いま吉倉委員がご指摘した、例えばトウモロコシ の条件といったものについては、審査の過程でその食する条件とか部位、トウモロコシ であれば茎を食べるようになるといった条件については、従来と同じということを前提 として審査をしています。「生で食べると」というお話でしたが、そういったものでは なく、通常の組換えでないトウモロコシと同じような食する部位であるとか、食べ方で あるとか、「同じ」ということが前提として審査をしているということです。 ○分科会長  1番のほうは、それでよろしいでしょうか。「substantial equivalenceの考えを入 れろ」というのは文章が大変になりますから、いまの吉倉委員のご意見と、事務局の答 え、そういう意味であるということを議事録にちゃんと書いてある、ということでいい のではないかと思います。  2番のほうはいかがでしょうか。これは作った製品ということになるのでしょうか。 「プラナーゼについて」とありますが、これは、プラナーゼで作られた製品については 、ということになるのでしょうか。 ○首藤委員  それは製品ではないです。 ○事務局  事務局からお話をしますと、実際の審査の中では、プラナーゼを使った製品がどうか 、ということを審査をしているものではありません。組換えのプラナーゼが従来の、い わゆる、既存添加物作成のプラナーゼと同等かどうか、安全性について同じ程度かどう か、というものを見ているわけです。吉倉委員のご指摘はそのとおりですが、審査はプ ラナーゼとして行っている、というものです。  文章中には、「審査基準に基づき」という言葉を入れてありますので、審査の過程で 、そういう審査を行って、食べられ方とか、使われ方とかいろいろあると思いますが、 人の健康を損なうおそれがあると認められないという判断です。 ○熊谷委員  事務局に質問します。「公表について寄せられた意見等について」の中に、バイオク ローン技術利用食品が1つ出ていますが、これに類する意見は、今までに、これ以外に はいろいろあるのでしょうか。組換えに絡めてクローンを持ち出しているという議論は 。 ○分科会長  申し訳ありませんが、資料のどこでしょうか。 ○熊谷委員  資料1−2のいちばん最後の頁で、森林NGO緑友会の意見書の中身の最後の部分で す。 ○事務局  事務局からご説明いたします。これまでいろいろと遺伝子組換え食品についてご意見 をいただいておりますが、バイオクローン技術ということで、文書でご意見をいただい たのは今回が初めてです。 ○分科会長  ほかに何かありますか。 ○小沢委員  最後の表の(案)の所ですが、ノボザイムズの開発者が、ノボザムズに2つなってい ます。これは誤植だと思いますが、念のために申し上げます。 ○事務局  ご指摘どおりですので修正いたします。 ○分科会長  ほかには何かありますか。  それでは名前の所は訂正するということで、この案をご了解していただいたというこ とで、「答申書案」の案を取りまして、厚生労働大臣あて答申いたしますが、よろしい でしょうか。  なお、この件について今後のスケジュールは、どのようになりますでしょうか。 ○事務局  今回、ご答申をいただきましたものについては、今週中をメドに告示の改正、一般的 な公表ということで行いたいと考えています。 ○分科会長  この議論の途中でかなり技術的なことがいろいろ出ました。特に児玉委員と吉倉委員 から出てきました質問に関しては、これは別に安全性にかかわるということではありま せんが、その答えを委員に渡してください。 ○事務局  はい。 ○分科会長  また、パブリック・コメントはホームページで出すということですが、そのコメント に対する答えもよろしくお願いいたします。 ○事務局  はい。 ○吉倉委員  私、からかったようなところがあるのですけど。ただこれは、いまから消費者への情 報ということを考えるときに、いまのような事務局の説明で消費者の方がお分かりにな るかどうか、納得するかということもありますので、少しこの文面を考えていただいた ほうがいいと思います。 ○分科会長  確かに、ちょっと考えたほうがいいかも分かりませんね。今後そういうふうなことを 考慮に入れて、議論は事務局側とちょっとしてみてください。また、その内容に関して も私のほうにもちょっと相談してください。 ○井上委員  吉倉委員のご意見はもっともだと思いますが、事務局も主張しておられたように、結 局、表現は悪いかもしれませんが、中途半端な条件を付けると答申内容に正確さを欠く 、ということも一面ではあるのだろうと思うのです。これは答申の問題とソーシャル・ コミュニケーションの問題を分けて、いま吉倉委員が注釈されたような点に重みを置い た、またコミュニケーションのためにも説明を、また別に、さらに事務局のほうでは、 この答申に伴って付け加えるとか、何とかそういうふうな形でやらないと、答申そのも のを法律のほうに縛られた表現で全体をカバーしようとしていることに対しては、いろ いろ齟齬が出るとまずい、という事務局の気持も分からないわけではないので、その辺 のところも勘案して、ソーシャル・コミュニケーションのための何かを付ける、という ようなことをご提言したいと思います。 ○分科会長  そのことも含めまして、法律的なことの文章の表現、またどういう形で消費者に伝え るかということに関しては事務局のほうで考えていただいて、場合によっては、それを 1つの議題にしてディスカッションしてもよろしいですし、一度そういう考え方をちょ っと教えていただければ、そこでまた、この委員会をやるとか、やらないとかを考えた いと思います。  確かに、吉倉委員のご意見ももっともですし、井上委員の事務局側を代表した意見も そのとおりだと思います。要は、みんな心は同じで、消費者に正しい、しかも分かりや すい情報を伝えるということですから、それをどういうふうにするかということを考え る必要があるかもしれませんね。 ○尾嵜部長  いま分科会長からお話がありましたように、今回の答申については、これは従来どお りの表現ですが、これでご承認いただくということでお願いできればと思っております 。ご指摘の点については、私どものほうで少し検討をし、また分科会のほうに、会長も 含めてご相談をした上で、どういうふうな形で整理をするか、また井上委員からお話が ありましたことも含めて、検討した上で分科会のほうに、ご報告なり、ご相談をすると いうことで、ご了解いただければと思っております。 ○分科会長  今回の答申に関しては、これでよろしいですね。それとは別に今意見が出ました表現 方法などを検討していただいて、その結果この委員会でもする可能性があるということ です。  それでは報告事項が4件あります。最初に「保健機能食品等に係るアドバイザリース タッフの養成に関する基本的な考え方」について、事務局よりお願いいたします。 ○新開発室長  参考資料の2−1をご覧ください。昨年9月17日の「新開発食品調査部会」において 、「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的考え方」につ いてご議論いただき、部会のご意見をおまとめいただきました。本日は、こうした部会 のご意見について事務局よりご報告申し上げます。  「はじめに」には、この基本的考え方をまとめるに至る経緯や背景が記されています 。昨年4月より保健機能食品制度が施行されたところですが、制度創設に当たって、薬 事・食品衛生審議会でご審議いただき、昨年2月26日に報告書をまとめていただきまし た。参考資料2−2にその時の報告書の抜粋がありますが、参考資料2−2の7頁をご 覧ください。「おわりに」の3つ目の○において、「国民に対して正しい情報を提供し て自らの選択に委ねるためには、相談機関の充実やアドバイザリースタッフの確保が必 要である」という旨のご提言をいただいております。  このような状況の下、最近いろいろ各種団体で保健機能食品や健康食品関連の講座が 開設される動きも見られます。消費者に対して適切に情報を提供し消費者が気軽に相談 できるものについて、この審議会の報告では「アドバイザリースタッフ」という言葉を 使っておられますので、仮に、ここではアドバイザリースタッフというふうに称してお ります。そういった消費者への適切な情報提供のためには、どのような知識が必要で、 そういう助言をする人たちが養成されるに当たっては、どのようなことに留意する必要 があるかについての基本的な考え方を新開発食品調査部会でおまとめいただいたもので す。  なお、この9月17日の部会におきましては、保健機能食品と係わりのある分野の方々 、消費者の立場の方々からのご意見も参考にしていただくということで、関連するさま ざまな分野から参考人としてご出席いただいたところです。  2のアドバイザリースタッフの必要性は、参考資料2−1の2頁をご覧ください。保 健機能食品等に関して情報提供や相談を受ける場として、ここに(1)〜(5)まであります ように、さまざまな場があり、消費者が自分の健康の維持増進等の目的に合致した食品 や、消費者の食生活状況や健康状態に応じた食品を安全かつ適切に選択し摂取すること を可能とするためには、これらの食品の持つ成分の機能及び活用方法等について理解し 、正しく情報を提供できる助言者が重要であるとなっております。  3のアドバイザリースタッフが習得すべき知識は、こちらの2、3頁にかけて(1)〜(1 0)まで10項目が挙げられております。例えば、(1)は保健機能食品等の適正な使用方法 や摂取方法。(2)は医薬品との相違。(3)は医薬品及び食品同士の相互作用。(4)は表示 に関する正しい理解。(5)は科学的根拠を理解するための基礎知識等があります。  次に3頁の4の養成方法ですが、どういう人がアドバイザリースタッフとして養成さ れることが期待できるかと。まず管理栄養士、薬剤師、保健婦(士)等の食品衛生や健 康の維持増進・疾病の予防・治療に関わりのある業務に従事する人が、専門家としての 立場から更に必要な知識を習得して助言や相談を受けるということが期待される、とい うことが書かれております。ただ実際には、製造販売に従事する人が消費者から相談や 質問を受けることが多いと思われることから、そういう人たちは十分な知識の習得が必 要だとされております。  次は養成を行う実施主体です。これは十分な知見を持ち、組織・運営等が適正である 民間団体が適切としております。  養成に当たっての留意点は、これは3、4頁にかけて6項目ほど挙げられております 。例えば、(1)は柔軟な対応。(2)は養成する機関の連携。(3)は実践重視の立場。(4)は 一定のレベルを担保するための教育カリキュラムや教材の整備等々挙げられております 。  4頁の5「おわりに」ですが、ここでは消費者が情報提供や相談を受けることにより 保健機能食品等に対する理解を深めつつ、適切な選択を行うことが期待されるとしてい ます。ここで保健機能食品等と全体で言っておりますが、保健機能食品の理解について は真っ先に重要と考えておりますが、実際には、それ以外に、いわゆる健康食品という ものも流通しておりますので、こういった助言をする人たちは保健機能食品に加えて、 いわゆる健康食品に対する知識も念頭に置いて、知識の習得に努めるということです。  本日ご報告しましたこの部会のご意見は、ご報告後、地方自治体や関係団体に通知し て周知を図る予定です。これを尊重した形で民間により真摯な取組みが自主的になされ ることを私どもとしては期待しております。なお本日、羽生田委員が欠席されています が、羽生田委員よりご意見ということで承っておりますのでご紹介します  4頁の「おわりに」の所で、最後の文章が「これにより消費者が、これらの食品に対 する理解を深めつつ、その適切な選択を行うことを」となっておりますが、羽生田委員 は、これらの食品に関する正しい情報を得て理解を深めることにより、その適切な選択 を行うという、「正しい情報を得て」ということをきちんと明記したほうが良いのでは ないかと言われておりましたので、ここでご紹介いたします。ご報告は以上です。 ○分科会長  ただいまの報告で羽生田委員から話がありました、4頁の最後の所に「正しい情報を 得て」ということを入れるというご意見に関しては、この部会長であります田中委員の ほうに、そういう意見があったということを、この場で確かにお伝えしました。  いまの報告事項について、ご意見、ご質問はありますでしょうか。 ○高仲委員  栄養補助食品といいますか、保健機能食品も含めてですが、この中には、ご存じのよ うに昭和46年に出された医薬品と食品を区分する通知に従って分類されて来ましたも のがございます。最近それらの大部分が医薬品としての規制から離れて食品として使わ れるようになってまいりました。医薬品の場合には、使い方によっては当然有害な反応 を起こすことが考えられますので、これを念頭においた相当な規模の安全性試験、ある いは毒性試験が行われております。  一方、食品はごく特別な物を除いて、本来は毒になるという考えはございません。ま た、そういうものを我々は使ってきたわけです。最後の(2)の2行目「過剰摂取等によ る健康障害防止」の記述が、先程の吉倉委員のお話のように、トウモロコシそのものの 形態ならば、茎を相当大量に食べることはまずないと考えられます。ところが、濃縮、 加工等の処理をすると、物によっては簡単に安全な量を超えて摂取する可能性が生じま す。そういう点では、今後食品の中でもこのような形のものは、医薬品と同じとは言い ませんが、十分な安全性の情報を流す必要があると考えます。  ご存じのように、数年前に食品としてハーブ10種類が使用されるようになりました が、、現実にアメリカでは、何種類かのハーブを併用したために副作用が起きていると 言われています。ハーブ類を剤形を問わず食品に分類することを検討したときは、その もの自身の安全性については文献等で十分に調査し、安全に使えることを推測いたしま した。しかしながら、何種類も同時に飲んだ状態での安全性というところまでは十分な 調査が行われておりません。これらの点を考えますと、今後、食品に対する我々の考え 方の中に、安全に摂取するということを相当強く意識した活動が必要だろうと思います 。 ○村上委員  最初に質問と、次に要望がございます。質問は、アドバイザリースタッフのスケジュ ールはどのようにお考えでしょうか。いつごろ、どんなふうに。例えば、実施主体はど ういうところを想定しているのか、だんだんに増えるとしても当初想定される人数とか 、もう少し具体的にお話いただければと思います。 ○新開発室長  こちらは国が関与して養成するという枠組みを考えているのではありません。各種民 間団体で、こういったアドバイザリースタッフなるものを養成する動きが見られますの で、それに当たって、ちゃんとこういった知識を習得すべきである、また、養成するに 当たっては、こういう留意点があるという基本的な考え方を示すというものです。国の ほうで計画を立てて、いつまでに何を予定してということではありません。あくまでも 民間でやっていただくことを考えております。 ○村上委員  民間のほうでは、かなり具体的な動きがはっきりしているのですか。 ○新開発室長  私どももすべてを把握しているわけではありませんが、各種関連団体で、そういう動 きがあるようです。 ○村上委員  要望のほうですが、この特保も含めて、こういう食品について科学的裏付けがあると いうことを示すというのは、いま非常に健康食品が氾濫しているときに重要なことなの で、それ自体のPRも必要かと思います。  もう1つは、例えば特保に付いている表示なども、もっと一般消費者に分かりやすい 表示に是非お願いしたいと思います。例えば、いろいろな特保食品の保健目的について 許可された表示内容の中に、科学的な用語がかなり入ったままでは、消費者が見ても、 何のことやらよく分からない。また、天然などという文言が、わずかしか許されない表 示の中に入ったりしております。天然だからいいのか、という誤解を与えかねないとい うこともあります。アドバイザーがついて説明を受けながら買うこともあるでしょうが 、商品そのものの数はアドバイスを受ける人よりもはるかに多いと思いますので、商品 1つひとつに付ける表示を、どうか分かりやすくしていただきたい。  先ほど安全に使うということは非常に重要だと言われました。確かに用法、どのぐら い飲んだらいいのかということ、そして上限を付けるとか。その辺りの表示も、もう少 し分かりやすく、皆が安心して使えるような配慮がほしいと思います。 ○田中委員  この新開発食品調査部会を担当しております田中です。室長のお答えと重複いたしま すが、若干補足させていただきます。高仲委員から安全性に関するコメントがありまし たが、これは特定保健用食品、栄養機能食品については摂取上限値を定めておりますし 、「注意喚起表示」もしております。また、相互作用の点もご指摘ありましたが、食品 間の相互作用は科学的根拠といいますか、研究は少なく苦慮しているところでもありま す。その中でも、医薬品と同じような作用を示す食品があります。例えば、ACE阻害 薬を服薬されている方がACE阻害作用を示す「健康食品」を摂取されるなどの場合に は、注意すべきである旨や医師に相談する旨の表示もしております。科学的根拠が積み 重ねられていくにつれて、そういう注意喚起表示は充実させていきたい、という考えで 部会は進められております。  また、村上委員からご指摘のありましたアドバイザリースタッフ養成の実施主体です が、これは日本健康栄養食品協会等が非常に充実したカリキュラムと、約2週間にわた る講習会・研修会を実施されているものもあります。また関連学会では認定機構を作り 養成しようという動きもありますし、すでに始まっている所もあります。また、製薬会 社あるいは食品会社等も、そういう講習会を始めつつある所、あるいは、この4月から 始めようという所もあります。一定のレベルをある程度保証してほしいという要望が、 消費者のみならずそういった所からも出てきております。非常に高いレベルの所もある のですが、それはいいとしまして、ある程度のレベルの保証をする必要があるだろうと 。そういったことで私のほうの国立健康・栄養研究所に登録制、もしくは、認定試験を することも考慮してほしいという声が多数寄せられておりますので、研究所の方で検討 中です。  また、表示の問題についてもご要望いただきましたが、その有効性についての表示は 医薬品ではありませんので、薬事法との係わりがあって、世界各国でも苦慮しておると ころであります。一応、国際的に許されている範囲内の有効性についての表示はしてい ます。非常に身近な例を申しますと、例えばビタミンAの場合は、夜盲症は「欠乏症」 でありますが、食品には原則として疾患名を使えませんので「夜間の視力の維持を助け る」でしたか、正確な表現は、後ほどでも結構ですから事務局からお願いします。そう いう表現をせざるを得ないというのが、逆に分かりにくいという現状でもあります。  先ほど、天然云々というお話がありましたが、化学的に合成されたものではなく天然 由来と確認されたものは別にして、特保ではそういう「天然だからよい」というような 表示は認められておりません。厚生労働大臣が許可します特定保健用食品とそれ以外の いわゆる健康食品とでは表示に差がありますので、特定保健用食品については、できる だけ科学的根拠に基づいて、また国際的に認められ、また薬事法との整合性を図って表 示するという現状です。 ○村上委員  天然の件ですが、実は私、前にその委員会にいたことがありまして、そのときにも天 然文言が出ましたので、私が話をしたら、もうすでにいくつかその文言で通過して認可 したものがあるから今回もそれを通す、というお話を受けましたが。 ○田中委員  「天然だからよい」は、表示の中ではないわけです。 ○村上委員  保健目的の許可表示のところですが。 ○新開発室長  天然の所で、天然だからどうとは言っていないのですが。例えば、過去の例で、「天 然の植物繊維が豊富な云々」という言い方は確かにありました。 ○村上委員  天然だからいいとまで書いてあったと申し上げたわけではないのですが、消費者にそ ういうイメージを与えるおそれがあるので、という意味です。 ○新開発室長  最近は、そういうのは見あたりません。過去にはあったと思いますが。 ○田中委員  現在では、表示例はないはずです。 ○和田委員  いまこういう売場へ行きますと、まさに企業のメンバーが白衣を着ていろいろ説明し たり、勧めたりという立場の人が非常に多く、それ自体にいろいろな問題があると思い ます。アドバイザリースタッフは、本当に消費者に正しい知識なり理解を深めて、あく までも消費者が自分で判断できる情報をいろいろと説明をしてもらって、最後のところ は消費者が自己責任で選ぶ、ということになるのを目指しているわけで、そうなればい ちばん望ましいことですから。私は大事な役目だと思いますが、いまの売場で、むやみ に勧めたり何かしていることが非常に多いですし、それがまた問題にもなっております ので、そことは全く違う存在に、是非、なっていただきたいということをお願いしてお きたいと思います。  これから先、本当にこのアドバイザリースタッフが配置されて、いろいろな説明をさ れたり、助言をされたりしたときに、具体的に、あそこでこういう説明を受けたという ことで、消費者のほうでもし苦情であるとか、理解できないような説明であるとか、こ こで期待しているアドバイザリースタッフとしての役割とちょっと違うような説明があ ったとか、そういうことを積極的に情報として集めて、もし不適切な例があったら考え なければいけないのではないかと思います。役割が大事であるだけに、今後を見ていか なければならない、ということを感じております。 ○首藤委員  これは大変難しい問題だと思いますが、がんセンターか振興財団のカレンダーに「偏 食はしない」と書いてありますが、これはある意味では偏食の勧めです。また、「厚生 省お墨付き」というマークがありますが、これは厚生省の責任が甚大ですよ、というこ とをここで言っています。特保について非常に危険な感じを持っています。 ○田中委員  保健機能食品の表紙の序論の所にも書いてありますが、また今日お配りしています資 料では、参考資料2−1の「おわりに」にも書いてあります。原則は通常の食事から、 いわゆる主食、主菜、副菜のバランスのとれた食事が基本になるということは、検討会 あるいは部会を通じて話がされており、それを大前提にしております。しかし現実は、 先ほど高仲委員からもお話がありました46通知等が医薬品サイドから出て、こちらに送 られてきたわけです。  それと、国際的な流れがあり、健康食品の市場が拡大の一途をたどっており、これに 対して、そのまま放置できないので科学的根拠のあるものを、ある程度そうでないもの と区別して、消費者が選択される際に正確な情報を提供するという立場であるわけです 。ですから、ある意味では医薬品側からそう言われるのは、非常に心外であるというの が私の考えです。46通知以来の長い歴史、国際情勢、さらに、栄養改善法等々を考え ていただきたいと思います。決して奨励しているのではありませんし、また規制してい るものでもありません。 ○分科会長  国民への情報が、ここの「おわりに」にあるようなことが伝わった上でということで す。これはなかなか大変だと思いますが、努力を引き続きやることが大変大事なことだ と思います。  それでは、次の「特定保健栄養食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について」 、お願いいたします。 ○新開発室長  「特定保健栄養食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について」、ご報告申し上 げます。参考資料3−1をご覧ください。  新開発食品強化調査会における審議を経て、平成13年10月2日及び本年1月18日に新 開発食品調査部会が開催され、合計9品目の安全性及び効果についてご審議いただいた 結果、特定保健栄養食品として認めることとして差し支えないと判断されました。了承 された9品目については資料に書いてあるとおりです。  まず、豆・・・エキスを関与とする成分として血糖値が高めの方に適するというもの 。難消化性デキストリンを関与成分として、おなかの調子を整えるというもの。ラクト バシルス カゼイNY1301株を関与する成分として、おなかの調子を整えるというもの 。ガラクトオリゴ糖、ポリデキストロースを関与成分として、おなかの調子を整えると いうもの。植物ステロールを関与する成分として、血中コレステロールが高めの方に適 するというもの。植物スタノールエステルを関与成分として、コレステロール吸収抑制 をしようとするもの。MBP(乳塩基性蛋白質)を関与する成分として骨形成の補助、 骨密度の増加をしようとするもの。ガセリ菌SP株、ビフィズス菌SP株を関与成分と して、おなかの調子を整えるもの。最後に、小麦外皮由来の植物繊維を関与成分として 、おなかの調子を整えるものです。この中で7番目の乳塩基性蛋白質ですが、骨密度の 増加というのは特定の保健の目的として、今回初めて出てきたものになります。  この取扱いは参考資料3−2の2頁をご覧ください。2番目の難消化性デキストリン のものについては、粉末形態が新たな食事の形態です。難消化性デキストリンとか、お なかの調子を整えるというのは前にもありましたが、粉末形態であるという形態が新し いものですので、これが参考資料3−2の5の取扱いになります。また、4番目の清涼 飲料水については、ガラクトオリゴ糖、ポリデキストロース、これらは単独では、それ ぞれ関与成分としておなかの調子を整える保健の用途の特定保健栄養食品で許可された ものはありますが、この2つを組み合わせたものは初めてですので、新たな組み合わせ ということで4の取扱いになっております。それ以外に関しては、すべて新たな関与成 分ということで2の取扱いとしました。これらは分科会長のお許しを得て本日分科会に ご報告をした次第です。  なお、このほか既存の食品とほぼ同様なものということで、安全性及び今回の審査を 経ているものとして取り扱うとされたもので、特に審議会で改めて審議を要しないと判 断されたものは、このほかに計20品目ありました。 ○分科会長  ただいまの報告事項について、何か、ご質問、またコメント等がありましたら教えて ください。 ○吉倉委員  健康サララの表示の所に「天然の植物」とあります。私はどちらでもいいと思います が、先ほど天然のはないと言われましたので、一応、お尋ねします。 ○田中委員  「天然の」という表示が最近なくなってきたという発言は取り消します。「天然だか らよい」という意味の表示はないということです。念のため保健機能食品の表示につい て説明して下さい。 ○新開発室長  特定保健栄養食品は各種の表示が義務付けられています。ここで言っている天然のと ありますが、これは許可表示内容として、保健機能成分を含んでおり保健の目的が期待 できる旨の表示です。そのほかにも、原材料名、内容量、栄養成分量及び熱量、1日当 たりの摂取目安量、摂取方法、注意事項、調理または保存方法の注意事項等といったも のも併せて表示することになっております。ここは保健の目的ということで、食用油の 場合は植物ステロールが関与成分であり、血中コレステロールの高めの方に適するとい う趣旨の表示をしました。成分の植物ステロールが天然か否かというより、関与成分と して保健機能を有しているかという議論が中心となったため、こういう結果になったと いうことです。 ○分科会長  吉倉委員、よろしいですか。 ○吉倉委員  私はどちらでもよろしいのですが、先ほど「天然」ということにこだわられていまし たので、これはどうなのでしょうということです。 ○分科会長  天然の何々であるので、という言葉があります。この天然という言葉は、このまま表 示として出るのですか。 ○新開発室長  天然をどう使うかということだと思いますが、これは事実関係として天然の植物とい うことです。事実と異なる場合には到底こういう表示は許されませんが、審議会の段階 では、事実がそうならということでご判断をいただくということです。より誤認を与え るような書き方をしていないかどうか、については今後とも注意していきたいと思いま す。これがそれにあたるかどうかということですが、特に部会のときには、そういう意 見は出ませんでした。 ○和田委員  私も今回初めてこの審議に参加したのですが、特定保健の目的とか、きちんと決める ところの項目以外の説明とか、普通の表示のところで、やはり、こういう書き方は。ち ょっと消費者にとって問題があるのではないかとか、誤認を与えるとは言えないかもし れないが誤認を与えるおそれがあるとは言えるのではないかとか、その辺のボーダーラ インすれすれのような。食品表示そのものとしての問題が、これに限らず。私は「天然 」は特に気がつかなかったのですが、そのほかでもいろいろ気になることが出てきます ので、消費者にとってはその辺のところが、むしろインパクトを与えてしまうこともあ りますので、その辺のところを併行して一緒に考えていかなければならないと感じまし たので、ちょっと発言させていただきます。 ○分科会長  どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして「BSEの対策」につい て、事務局よりお願いいたします。 ○事務局  参考資料4に基づき、国内初の牛海綿状(BSE)り患牛発見後の厚生労働省の対策 ということでご報告いたします。経緯はもうご案内のとおりですが、9月10日に千葉県 白井市の酪農家で飼育されていた乳用牛(5歳)1頭、が農林水産省のほうから、牛海 綿状脳症、いわゆるBSEの疑いがあるという旨の発表がありました。私どものほうに も同日、農林水産省のほうから連絡が入っております。  厚生労働省の担当する部分といいますか、対応としては、と畜場以降の安全対策が私 どものほうの担当ということになりますので、そういったものについてどう対応してき たかということについて、この2の「厚生労働省のこれまでの対応」という所に経緯と して整理しております。  疑いがあるということで発見された翌日(9月11日)に、日本国内のBSE、TSE 、伝染性の海綿状脳症の専門家の先生方、その他、動物性食品の安全性、家畜衛生の専 門家の先生方からなる「牛海綿状脳症に関する研究班」を組織、設置いたしました。こ こで専門的な観点からの対策についてご意見を伺ったわけです。  9月21日にイギリスの獣医研究所において確定診断が下り、BSEであるということ が確認されております。9月28日にそういったことを受けて、牛海綿状脳症(BSE) の発症が30カ月齢以上の牛がほとんどである、ということがヨーロッパの治験で分かっ ていることから、検査体制が整うまでの間「30カ月齢以上の牛にかかると畜場使用の一 時制限」を農林水産省のほうと連携をとり、都道府県を通じてと畜場の監視等の要請を しております。  また同時に、BSEについては、異常プリオンが増加することによっていろいろな異 常を来たす病気ということで、異常プリオンが集積する頭蓋、脊髄、牛の回腸といった 特定危険部位について除去、焼却をするようにと、この時期から行政指導をしておりま す。  厚生労働省の主な対応としては、10月18日から始まる食肉処理される牛に対する全頭 検査があり、資料のいちばん最後に「と畜場におけるBSE検査フロート」に示してあ ります。エライザ法で全国の食肉衛生検査所、現場で検査をし、陽性であったものにつ いては確認検査を実施しております。確認検査については、異常プリオンを検出するた めのウェスタンブロット法、もう1つは組織上での確認ということで免疫組織化学検査 を実施しております。この確認検査については、現在国立感染症研究所、帯広畜産短大 学、検疫所の検査センターといった所で対応しています。  こういった確認検査を行い、ウェスタンブロット、組織科学的検査、もちろん両方の 場合もそうですが、陽性であればBSEと確定診断をし、その後、焼却という処置をと ることになります。いずれもが陰性の場合は、BSEとは診断されないというような流 れになっております。こういった全頭検査が1つです。これによって高濃度の異常プリ オンの摂取がないようにしましょうということ。また、全年齢にわたって特定危険部位 をと畜処理の段階で除去することによって、低レベルの異常プリオンについても、食品 なり飼料なりの流通サイクルに入らないようにするということを防止する対応をとって おります。  そのほかに、10月の5日の時点で、それまでにいろいろな食肉、いろいろな加工食品 に関して特定危険部位が入っているのではないか、混入があるのではないかという不安 が高まってきたということもあり、こういった部位の使用混入がないかどうかについて 関係団体を通じて、食品の加工業者に対して自主点検をするようにと指示しています。 この結果については、11月2日にその点検結果について公表をしております。加工食品 総数で13万2,645件を点検して、22件について特定危険部位の使用、混入又は不明とい う結果が出て回収等の対応をとっています。  その後のBSE検査の状況は、資料5頁に「BSEのスクリーニング検査結果につい て」ということで、10月18日以降、毎週スクリーニング検査結果を、今週の初めまでは 毎日公表していたのですが、現時点では(週報)という形で毎週まとめて公表しており ます。数値から申しますと、36万8,271件の検査をして、これまでに2件がBSEと判 断されております。ちなみに、スクリーニング検査で引っかかったものは全体で52件あ りますが、最終的にBSEと診断されたものは2件であります。  その2件(資料3頁)については、11月19日に北海道猿払村で使用されたものがスク リーニング検査で陽性になり、21日に確定診断し、また11月29日に群馬県宮城村で使用 されていた牛についてスクリーニング検査陽性となり、12月2日に確定診断という流れ になっております。  こういった検査のほかに、特定危険部位に関しては「脊髄」というものがあるわけで す。牛の処理工程において背割りという工程がありますが、その中で脊髄が露出し、ま た背割りする際に飛び散るのではないかという懸念がありました、そういったことにつ いては、全頭本検査が始まる段階で「特定危険部位の管理要領」ということで、枝肉の 洗浄の徹底、と畜場内で確実に脊髄については枝肉から除去するという管理要領を出し 、さらに12月25日に「専門家による研究班会議」を開催し、その中で、実際に全国の、 たしか6、7箇所のと畜場で、それまでの調査をし、背割りの際に脊髄による枝肉汚染 については、背割り後の高圧先浄で除去効果が認められるということを実験的に確認を しております。  さらに、ある程度の汚染を前提にするよりは背割り前に除去をし、汚染度を低くした 上で更に高圧先浄をすると。予防的な観点から背割り前の脊髄の除去技術について検討 を進めるべきと、導入を進めるべきというご意見をいただいております。これに関して は、1月31日に研究班会議の関連資料をすべてまとめて導入を進めるということで、各 都道府県に通知し、また関係業者の指導を要請しております。  さらに12月27日には、最初に農水省で発見された1頭、それとと畜検査の過程で発見 された2頭、この3頭は全部乳用種の廃用牛であったということで、乳用種の廃用牛に 関し全国的にと畜処理がうまくいかない、そういうことによって生乳生産のほうの支障 も来たしているというような問題がありました。これについては、陽性牛を出した場合 に地域の問題、また、と畜場においてもその値が下がるとか、いろいろ経済的な問題が 生じていることがあります。もちろん出荷の段階も含め、また流通も含め、乳用種の廃 用牛の処理体制がうまく整わないという状況が生じたわけです。これに関して12月27日 付で、厚生労働省関連のと畜場に関して「円滑な処理体制を確保するように」と各都道 府県に要請しております。  このほかに、昨年11月6日に、1986年にイギリスでBSEが発見されたというか、確 認されたわけですが、主に1990年以降の我が国でのBSE対策についての行政対応に関 して検証し、さらに今後の行政のあり方を検討していただくということもあり、厚生労 働大臣、農林水産大臣の私的諮問機関として「BSE問題に関する調査検討委員会」を 設置し、第1回が11月19日、2月13日に第6回の調査検討委員会が開催されており、来 月中にその結論を得るというスケジュールになっております。  先ほど部長の挨拶にもありました雪印食品に関しては、原産国表示の問題ということ ですが、食品衛生法に関連する違反情報があった場合には、厚生労働省のほうに報告す るように、ということで各都道府県に依頼をしております。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの報告に関して、ご質問等がありましたら お願いします。 ○小沢委員  これは要望です。この間ずっとBSEに関して対策がされていること、また、調査検 討委員会で論議がされていることは存じております。私も日頃いろいろな消費者の方と お話をすることがありますが、本当にこの問題については不信感が非常に強いというか 、なかなか薄らぐことなく、スーパーなどのお肉の売場を見ていても日に日に牛肉の売 場が狭くなって、ブタ肉の前には人が立っていても牛肉の前には人は立っていないとい うようなこともあります。別に私は農水省の立場ではありませんが、日本の畜産業は、 このままではということを非常に懸念する部分もあります。  時間もあまりないようですので、今後こういうことをお願いしたい、という要望を何 点かしたいと思います。1つは、いろいろな報道の中でも病牛だとか死亡牛の問題がこ のごろ取り上げられて報道されていますが、レンダリングの過程での交叉汚染にならな いような対策をしっかり打っていただきたい。特に病牛、死亡牛はいまプリオンのチェ ック対象になっていませんので、その辺のことをきちんとチェックすることをお願いし たい。  先ほど解体方法のところでご説明がありましたが、と畜場で、解体方法などでは高圧 先浄などもとられているようですが、そういったことがどういうふうに進行しているの か、そういう状況について集約をし公表をしていただきたい。  また、羊と山羊の問題について感染するかどうかという議論もあるようですが、国内 でも羊や山羊に肉骨粉が与えられている可能性は否定されていないわけです。EUでも 羊や山羊の特定危険部位は除去しているわけですから、日本の場合も月齢に関係なく羊 や山羊の特定危険部位の除去についてご検討願いたいと思います。あと、先ほど出てお りました表示についても、特に雪印食品の問題があったということもありますが、牛肉 の問題だけではなく、食品の表示全体に対する不信感も、何かあるとバッと広がるよう で、何を言っても聞いてくれないというような状況が広がっております。そういう意味 で、いまの食品の表示制度のあり方とか、それに対する罰則のあり方を含めて、今後、 農水省と併せてご検討をお願いします。  それと、食肉処理場に実効あるハサップ制度を導入するという中身の問題、あと情報 の開示とリスクのコミュニケーションを特に重点としてお願いしたいと思います。 ○分科会長  どうもありがとうございました。 ○首藤委員  北海道の牛の兄弟は、まだ生きているのですか、死んでいるのですか。 ○事務局  北海道に関しては。しばらく使用していろいろな実験に使いたいという計画もあり残 っているそうです。ほかに関しては、いろいろな法律に基づき、また行政指導の部分も あるらしいですが、一応、処分はされているらしいです。 ○首藤委員  兄弟かどうか分かりませんが、同じ餌を食べたのが分かっているわけですから、大変 貴重だと思います。 ○分科会長  小沢委員が言われたことは、いずれも非常に大事な問題で厚生労働省だけではできな いところもあると思います。是非、できるところは全てやるようにお願いいたしたいと 思います。  いろいろな委員会がありますが、研究班から始まって、最近やっています調査検討委 員会、それと専門家委員会、対策会議と、これのお互いの関係はどうなっているのでし ょうか。 ○事務局  研究班自体は、もともとは帯広畜産大学の品川先生に発生前の段階からサーベイラン スを始めていたのですが、その関連でお願いをしていたのです。発見されたということ で関連の専門家の先生方に専門的な議論をしていただいて、いろいろアドバイスをして いただくという形でやっています。 ○分科会長  お互いにコーディネートしているとか、そういうことはどうなのでしょうか。 ○事務局  例えば同一の委員としては山内先生などは、調査検討委員会も含めて共通の委員でい らっしゃいます。 ○分科会長  農林水産省との協議の場所、事務レベルとか、委員会ではどの委員会でやっているの ですか。 ○事務局  専門家委員会にも農林水産省のほうの研究機関の先生方は入っていただいております し、調査検討委員会についても同じです。 ○分科会長  ほかにありますか。 ○熊谷委員  ホームページとかでQ&Aというような形とか、非常に簡単なスタイルで安全性につ いて情報提供をしていただいているのですが、安全性に関連して、もうちょっと入り込 んだ科学的なレビューみたいのが、今までもあったほうが良かったと思いますが、ある べきではなかろうかと思います。これは全部をひっくるめたレビューですね。よくEU でそういったレビューを作っておりますが、我が国の実状に照らしたレビューが必要な のではないかと思いますので、よろしくご検討のほどお願いいたします。 ○分科会長  BSE問題の情報を正しく伝えることは、国民にとって大事な大事な問題ですから、 いい知恵がありましたら、この委員会とは別個に担当の課に委員の先生方から言ってい ただければ、有難いと思います。取り入れられるところは取り入れていただければと思 います。  それでは、「食品衛生分科会報告及び答申書の修正について」、事務局からお願いい たします。 ○基準課長  時間がありませんので極めて簡単にご報告いたします。参考資料5です。昨年5月に 答申をいただきました残留農薬の基準です、告示に向けて私ども作業をし読み合わせ等 をしておりました段階で、合同部会からの報告書、それが正解でありますが、その中身 を答申書に書くときに、私どもの転写ミスで「1.0」が「1」、あるいは、「5,0」が「 5」ということで、間違った内容になっておりました。ここについては合同部会の基準 値で告示をしたいということで、ご報告申し上げます。大変申し訳ありませんでした。 ○分科会長  ありがとうございました。では、よろしくお願いいたします。 ○尾嵜部長  先ほどの吉倉委員からの質問ですが、確認いたしましたので事務局から説明いたしま す。 ○事務局  先ほど吉倉委員のご指摘の中で、プルラナーセとアミラーゼについて、どういうふう に遺伝子を入れて、どういうふうに抗生物質耐性の遺伝子を抜かしているのか、という ご質問でしたが、これはいずれも相同組換えという方法でやっています。いわゆる微生 物同士を接合させて、その中の一部の遺伝子を、そっくりそのまま入れ換えるという方 法です。除去についても、α−アミラーゼのほうは耐性遺伝子を入れて組み換えた中に 残っていますが、プルラナーゼの場合は、そこから更に、相同組換えのときに実際に入 らなかったり、実際に入ったクロラムフェニコール耐性遺伝子、cat遺伝子というのは 、さらにcat遺伝子を欠失させたものと相同組換えをされて抜かせている、というよう な状況です。入れ方、抜き方は以上のとおりです。 ○吉倉委員  コンジュゲーションは本当ですか。接合と言われたけれども、本当に接合でやってい るのですか。 ○事務局  そうです。 ○分科会長  ほかに事務局から何かありますか。 ○事務局  特にありません。 ○分科会長  長時間のご審議、非常に貴重なご意見、審議内容、報告に対するご意見、ありがとう ございました。本日の分科会、これで終わらせていただきます。どうもありがとうござ いました。 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部企画課 電話 :03−5253−1111(内線2452)