02/02/01 薬事・食品衛生審議会平成14年2月1日(金)血液事業部会議事録           薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成14年2月1日(金) 13:00〜   東海大学交友会館「阿蘇の間」 2.出席委員(9名)五十音順   池田 康夫、 小室 勝利、 清水  勝、 白幡  聡、   平澤 博之、◎溝口 秀昭、 宮崎 久義、 吉倉  廣、   吉澤 浩司   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(7名)五十音順   倉田  毅、 柴田 洋一、 早川 堯夫、 比留間 潔、   幕内 雅敏、○水柿 道直、 森 眞由美  他参考人9名 3.行政機関出席者   宮島  彰(医薬食品局長)、 鶴田 康則(大臣官房審議官) 、   篠原 一正(医薬品副作用被害対策室長)、   定塚 由美子(医薬情報室長)、 池谷 壮一(審査管理課長)、   北条 泰輔(医療機器審査管理官)、 黒川 達夫(安全対策課長)、   鈴木 英明(血液対策課長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長  それではただいまから平成13年度第3回血液事業部会を開催いたします。なお、本日 は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。また、本日は委 員数16名中現在9名の出席を賜り定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第 9条により本部会が成立いたしましたことを御報告申し上げます。  部会の開催に当たりまして、宮島医薬局長より御挨拶を申し上げます。 ○医薬局長  医薬局長の宮島でございます。委員の皆様方には、大変御多忙のところ本部会に御出 席いただきまして、誠にありがとうございます。  本日はまず血液事業についての新たな法的枠組みにつきまして、御議論をお願いする ということにしております。血液事業の在り方についてはこれまでいろいろと御議論い ただいてきておりますが、特にHIV感染問題以降は法的枠組みの必要性も含めて、広 範な議論が行われてきたところでございます。一番最近では、一昨年の12月に中央薬事 審議会の企画・制度改正特別部会で報告書がまとめられましたが、残念ながら二点で関 係者の意見がまとまりませんでした。一つ目は血液製剤の製造供給体制の問題。それか らもう一つは安全監視体制。こういった点につきまして、関係者の意見が複数になった ということでございます。  その後、昨年の夏以降患者団体や日本赤十字社など、関係者の方々と個別に意見交換 を重ね、おおよそは論点が整理されるというところまでまいりましたので、事務局で整 理いたしました新たな法的枠組みの概要を本日提示させていただいたところでございま す。委員の皆様方には、是非それぞれ御専門の立場からの御議論をよろしくお願い申し 上げたいと思っているところでございます。簡単ではございますが、一言御挨拶申し上 げました。どうもありがとうございました。 ○血液対策課長  それでは恐れ入りますが、カメラの方は御退席をお願いいたします。この後の進行に つきましては、部会長の溝口先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○溝口部会長  それではまず本日の配付資料について事務局から御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  それではお手元の資料を御説明させていただきたいと思います。まずお手元に本日の 座席表、それから部会委員名簿を置かせていただいております。次に本日の議事次第の A4一枚紙でございます。その次は「血液事業に係る法的枠組みの見直し等について」と いうことで、資料A〜Eまでが一連のものとなっております。次に資料1からですけれ ども、これは「薬事制度見直し(案)の概要について」で、資料1〜4までが関連資料と なっております。本日の後半部分であります「血液凝固第VIII因子製剤の供給問題につ いて」ですけれども、資料ア〜オまでの5種類のものが一連の資料となっております。  最後に、日本赤十字社さんの方から本日お配りいただいております資料としてA4一枚 紙両面刷りのものを一部と、表紙に「クロスエイトMの御案内」と書かれておりますリ ーフレットを一部配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局まで お申し出ください。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。資料は全部ございますか。それでは議題に移らせて いただきますが、議題は二つございまして、議題1は「血液事業に係る法的枠組みの見 直し等について」でありますが、現在までの検討状況について御報告をさせていただき たいと思います。  議題2は「血液凝固第VIII因子製剤の供給について」ということでございますが、原 料血漿を確保していくために採るべき当面の方策について昨年の8月の部会で御審議い ただきましたが、それ以後の状況の変化を踏まえ現状を報告していただいた上で、委員 の先生方の御審議をいただくという流れで進めていきたいと思っております。  なお、本日の各議題につきまして、それぞれ参考委員の方々に御出席いただくことに なっております。御紹介申し上げますと、議題1では日本赤十字社の草刈隆様。また血 液製剤を使われておられる患者さんの代表として、ネットワーク医療と人権の花井十伍 様。それからはばたき福祉事業団の大平勝美様。大阪血友病友の会の太田裕治様。それ ぞれの方に参考委員として御出席していただいております。参考委員の方々にも自由に 御発言いただいて、審議に参加していただきたいと思っております。  それでは議題1を始めさせていただきますが、事務局から御説明願いたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○血液対策課長  それでは法的枠組みの骨格について御説明させていただきます。お手元の資料Bを御 覧いただきたいと思います。これまでの議論により出てきた主な論点を整理いたしまし て、三つの対応を組み合わせることを考えております。  第一は血液事業が国民の善意に基づき自発的に行われる、献血を基に行われるという ことにかんがみまして、これが公正、適正に行われることを制度的に確保することが必 要ということでございます。現在の採血及び供血あっせん業取締法は昭和31年に施行さ れまして、まだ売血が認められるような規定が残っている古い法律であることから、こ れをほぼ全面改正して基本理念や国を始めとする関係者の責務を明確にするとともに、 献血の推進と血液製剤に係る需給の適正化などを盛り込むことにしております。  第二は血液製剤の安全対策についてでございます。今回薬事法の改正の中で、今後開 発が見込まれるバイオ、あるいはゲノムといった生物由来の製品について新たな規制を 考えているところでございます。血液製剤はその中でも最も厳格な規制を行うこととし ております。  第三は健康被害の救済制度についてでございますが、これは資料Eを御覧いただきた いと思います。副作用による健康被害の救済制度については既に実施されております が、生物由来製品による感染症等の健康被害については現在救済制度がございません。 昨年当初から研究会で検討を行ってきているところでございます。今国会には間に合い ませんが、早期に報告をまとめた上、来年の通常国会を目指して法案を提出できるよう に努力したいと考えております。  以上説明した枠組みにおきましては、審議会が非常に重要な役割を果たすということ になります。そのことから、その在り方についてもよく御相談する必要があると考えて おりまして、その一つの取組みとして本部会に患者側の代表の方にも正式に参加してい ただき、その意見を適切に反映できるようにしたいと考えております。また、安全対策 上緊急に審議を要する場合などにつきましては、迅速に対応していくよう運営も心掛け ていきたいというふうに考えてございます。今回の新たな法的な枠組みにつきまして は、関係する方々の要望を100%満足させるというものではないかもしれませんが、今 後一歩でも二歩でも前進させるための最初の足掛かりとなることを期待しております。  最後に本日の御報告の意味合いにつきまして、若干御説明させていただきます。従来 でありますと、中央薬事審議会に企画・制度改正特別部会のような場を設け、改正案を 諮っていたところでございますが、昨年1月政府全体で行われた審議会の見直しによっ て、薬事・食品衛生審議会は法律上の根拠に基づく事項のみを審議する、いわゆる法施 行型審議会とされました。このために、制度改正につきまして御審議いただく場として 法的には位置付けられないことになりました。しかしながら、制度の実施に当たり、本 血液事業部会の委員の皆様には多くの事項について既に御審議いただいておりまして、 また今後もその御協力が不可欠と考えておりますので、本日現段階の検討状況を御報告 いたしまして御意見を承りたいと考えております。今後、関係者の方々の御意見も拝聴 しながら成案の取りまとめに向けて作業を進めることとしておりまして、適宜その進捗 状況について御報告したいと考えておりますので、今後もよろしくお願いしたいと思っ ております。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは血液法に関する御説明を事務局からお願い したいと思います。 ○事務局  では今申し上げました三つの対応のうち、血液事業にかかわる部分を御説明申し上げ ます。まずお手元の資料Aを御覧いただければと思います。  現在の法的枠組みにおきましては、採血及び供血あっせん業取締法、私どもはよく 「採供法」と呼んでおりますが、これにより供血者の保護を図るということ。それから もう一つは、薬事法によりほかの医薬品と同様に安全性の確保を図ると。こういった仕 組みにより血液事業が法的に位置付けられているというところではございますが、次の ような視点が明らかではないということになっております。  第一に関係者の責務を明確にし、血液事業の透明性を向上させるということ。第二に 需要に見合う血液製剤の供給を計画的に確保するということ。第三に国内自給のため献 血を推進していくといったところであります。こういった課題に対応するための新しい 法的な枠組みを作ることを、今回の改正案のねらいとしております。特に法律において 目的や基本理念を定め、国を始めとする関係者の責務を明確にする。計画的に国内自給 を推進し、血液製剤の安定供給を確保するための具体的規定を設ける。先ほど申し上げ たとおり、さらに審議会に患者側の参加も得て、公正透明な実施体制を確保するといっ たことを柱として位置付けることを考えております。  なお、今「国内自給」ということを申し上げましたが、これに関して若干付加的に御 説明申し上げたいと思います。お手元に資料Dというものがございますが、これの5ペ ージを御覧いただければと思います。横長のグラフでございまして、血漿分画製剤の自 給率の推移を経年的に表したものでございます。これを御覧いただきますと、現在に至 ってもアルブミン、あるいはグロブリン製剤といったものについてまだ相当量を輸入に 頼っているという状況にございます。それから血液凝固第VIII因子製剤につきまして は、平成4年に日本赤十字社が献血由来製剤の製造を開始されたということによって自 給率が上がりまして、平成6年には自給率100%というところまでまいりました。これ により、ヒトの組織である血液を原料とする製剤につきましては、倫理的な観点から国 内の無償の献血により賄うという目標が達せられているというところでございます。し かしながら、平成5年に遺伝子組換え製剤の供給が開始されまして、血液由来だけでは なくこういったリコンビナント製剤も併せて第VIII因子製剤ととらえた場合には、国産 品の占める割合が低下してきておりまして、現在では34%といった水準にございます。 このことは第VIII因子製剤全体で見れば、供給の相当量を輸入に依存しているといった ことでございますので、今後は先ほど申し上げたような倫理的観点に加え、安定供給の 確保からも考えていく必要があるのではないかと思っておりまして、こういったことも 今回の見直しの中で一つ位置付けをしていきたいと考えております。  お手元に資料Cというものがございますが、これが今私どもが考えております枠組み の概要でございますので、これに沿って御説明申し上げたいと思います。まず1ページ に総則的な規定として、新たに「目的」、「基本理念」、「関係者の責務」といったこ とを書いてございます。名称につきましてはまだ仮称でございますが、「安全な血液製 剤の安定供給の確保等に関する法律」としております。「目的」のところでは安全性の 向上、安定供給の確保、適正使用の推進といったことを新たに規定してはどうかと考え ております。また「基本理念」といたしましては、一昨年12月に旧中央薬事審議会の企 画・制度改正特別部会で取りまとめていただいた報告書にございますとおり、安全性の 向上、国内自給の原則、適正な使用、それから公正の確保と透明性の向上の四つを書い てはどうかと考えております。さらに血液事業に携わる「関係者の責務」といたしまし て、国、地方公共団体、日本赤十字社を始めとする採血業者、製造業者及び医療関係者 について、それぞれ果たすべき機能を明確化するということを考えてございます。  今のところを第一の柱としまして、第二の柱は計画的な血液事業の運営といったこと ですが、お手元の資料Cでは2ページ、それから横長の資料Bでも2ページを御覧いた だければと思います。今申し上げたような法の目的、あるいは基本理念といったものを 実現していくために、血液事業の計画的な運営を図るという観点から、まず国が中期的 な観点に立って血液製剤の需給見通しを始めとする事項について基本方針を策定すると いうふうにいたしまして、これに基づき献血の推進でありますとか、あるいは血液製剤 の需給といったことについて国が年次計画を定めることとしております。また、献血の 推進につきましては、国が定める献血推進計画において各年の献血目標量を定めること とし、これに基づき日本赤十字社等の採血業者の方で地方公共団体との協力を通じ、献 血受入れ計画といったものを策定していただいて、これを実施するという形を考えてお ります。こういった基本方針、あるいは各種計画のいずれについても本審議会で御審議 いただくことによって公正、かつ透明な実施体制を確保していくことが大切であると考 えております。  第三の柱として、適正な採血の確保ということを挙げておりますが、これは資料Cで は4ページに出てまいります。現在の採供法では、例えば採血業者について健康診断を 実施するといったような最低限のことしか書いておりませんが、これを見直し献血者の 信頼に応える運営を確保するということを考えております。まず第一には、現在の法律 上まだ残っている有料採血といったところがございますが、これを法律上明確に禁止す るということを考えております。それから採血業につきましては、新たに休廃止を許可 の対象にすること。あるいは事業運営の公正、透明性を確保する観点から業務規程の認 可など、一定の監督規定を設けるといったこと。それから採血所の運営管理や構造設備 に関する基準を設けること。さらに採血業者の方で献血者に関する守秘義務であります とか、健康補償といったことも設けてはどうかと考えております。  第四の柱としては、血液製剤の安定供給というふうに整理をしておりますが、資料C では5ページ、資料Bでは3ページになります。血液製剤の需給の安定を確保するため に、先ほど申し上げたとおり国が年次計画を定めるということを考えておりますが、こ れによって献血者の理解を得ながら国内自給の推進に資するような製造供給体制をつく っていくということを考えております。具体的に申し上げますと、まず原料血漿配分シ ステムでございますが、現在のところ国内における原料血漿の配分については日本赤十 字社、それから国内の製造業者、厚生労働省が調整により決定をするという、いわゆる 三者合意の仕組みを採っております。これについては根拠が明確でないといったこと や、あるいは手続きが透明でないといった問題点が指摘されております。このため、国 の関与の在り方あるいは原料血漿の配分に関する考え方やプロセスを明確化するため に、国が血液製剤の需給計画を策定することを考えております。この中では、各年にお ける血漿分画製剤の需要、供給見込み量、あるいは原料血漿の確保見込みや配分量、さ らに原料血漿の標準価格を定めることとしまして、その際にも本審議会の御審議をいた だきたいと考えております。  こういった計画に基づきまして、日赤と製造業者の方で契約を締結していただくとい うことになるわけですが、その内容が計画に照らして著しく妥当性を欠くといった場合 には、国がその変更を勧告できるようにするといった仕組みも更にできるのではないか ということを考えております。また、この国が定める需給計画におきましては、今申し 上げたような国内における原料血漿の配分だけではなく、血漿分画製剤全体の供給安定 化を図るということも行っていきたいと考えております。このため、輸入製剤や遺伝子 組換え製剤も含めて、血漿分画製剤全体の供給見込みを需給計画の中に定めることとい たしまして、こういった製剤を取り扱う方々から実績報告を受けて、またその内容がこ の需給計画に照らして著しく妥当性を欠くといったような場合には、国がその是正を勧 告できるといった仕組みを考えることができるのではないかと思っております。以上、 血液事業の新しい法的な枠組みについて御説明を申し上げました。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。御意見、御質問はまた後ほどまとめて伺いますの で、引き続きまして、特に安全性にかかわる薬事法の改正について事務局から御説明を お願いします。 ○事務局  審査管理課でございます。薬事制度の見直しの概要について御説明を申し上げます。 まずお手元にお配りした資料でございますが、本日配付の資料1〜4が薬事法改正関連 のものでございます。そのうち改正の概要に関するものが資料1と2でございますの で、資料1と2に基づいてお話をさせていただきます。  まず薬事制度の見直しということで資料1の1ページでございますが、薬事法は最近 では平成5年、平成6年及び平成8年に安全性確保等の観点から改正を行ってきており ます。また、その間も逐次施策の充実を図ってきたところでございますが、現在医薬品 ・医療用具等のいずれについても社会経済情勢の変化に対応し、更なる見直しが必要と されておりまして、今般それらの問題に対する所要の施策の検討を行っているところで ございます。  具体的な施策といたしましては、医療用具に係る安全対策、「バイオ・ゲノムの世紀 」に対応した生物由来製品の品質管理、安全確保体制の充実及び市販後安全対策の充 実、承認・許可制度の見直し等の制度の改正を検討しているところでございます。資料 1で御説明しますと、1ページの一番下に書いてある三つのポイント、医療機器の部 分、「バイオ・ゲノムの世紀」の部分、市販後安全対策の充実という部分が大きな三つ の柱でございます。このうち、本日は特に生物由来製品について御説明を申し上げたい と思っております。  資料1では4〜5ページをお開きいただきたいと思います。また、この4〜5ページ に書いてある概念を図にしたものが資料2の3ページにございます。まずこの資料2の 3ページをまず御覧いただきたいと思いますが、御案内のとおり生物由来製品とは細 胞、組織等に由来する原材料を用いて製造される医薬品、医療用具でございます。従来 から知られたものといたしましては、例えば血液製剤、ワクチン、遺伝子組換え製剤等 がここに例示されてございますが、そういったものが挙げられております。生物由来製 品を化学合成品たる医薬品と比較した場合には、ここに書いてある主な三つの特徴がご ざいます。一つ目は、その原料が生物組織であることから、感染因子の含有の可能性が 否定できないという部分があること。二つ目は、製品ごとに個々の提供者の影響を受け やすいというポイント。三つ目としましては、感染因子の不活化処理に限界がある場合 があり得るということでございます。  現行の薬事制度におきましては、皆様も御承知のように「生物学的製剤基準」という 基準がございまして、その基準において生物由来の製品については一定の上乗せ基準が 定められているところでございますが、「生物由来製品」という共通の特性に応じた保 護的位置付けや対応というものについては、必ずしも十分になされていないという御指 摘もございます。今後特に再生医療等の応用など、細胞、組織を利用した医薬品・医療 用具の発展、進展等を考えていきますと、生物学的製剤というよりは生物由来部分の特 徴に共通な部分で整理をしていって、生物由来製品というものを薬事法上明確に位置付 け、医薬品・医療用具の区分にかかわらず、生物由来であるという共通の特徴に応じて 規制体系を構築していきたいと考えているところでございます。  また資料1の4〜5ページの方に戻っていただきまして、生物由来製品の定義という 部分については現在検討しているところでございますが、4ページの真ん中辺りに書い てございますように、細胞、組織等に由来する原材料を用いて製造されるもののうち、 保健衛生上特別の注意を要する医薬品・医療機器というものを現在想定してございま す。また、その生物由来の製品に関しては、いわゆる「医薬品等の製造管理及び品質管 理規則(GMP)」というものがございますが、こういったものについて製造段階にお いては化学薬品と比べて汚染防止等の対策を上乗せ的に行っていくことを考えていると ころでございます。そういった一般の生物由来製品に対しては、特にリスクの高い生物 由来製品という部分で「特定生物由来製品」というものを提示してございますが、こう したものについては更に上乗せ的に製造開始段階における…、例えば細胞、組織、血液 も含む形となりますが、それらのドナーの方々の選択基準とか原材料の安全性の確保と いった部分を更に上乗せさせていただくと。また、その製造段階においては、生物由来 物を取り扱う施設要件の担保や、原材料記録の保管、管理、汚染防止のための措置等を 確実に行っていただくということ。また、さらに市販段階、市販後においては、生物由 来製品に係る適切な表示やその特徴に応じた情報提供、また提供者や使用者の追跡、何 か感染症等が起こった場合の追跡の措置、またその新たな感染症に対する防御の施策と して感染症定期報告といったことを検討してございまして、原料の採取段階から市販段 階に至る一貫した安全性確保対策を導入したいということで現在検討を進めているとこ ろでございます。薬事法関連のうち、特に生物由来製品については以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。引き続きまして、日本赤十字社から資料の御説明を お願いいたします。草刈参考委員、よろしくお願いいたします。 ○草刈参考委員  このような機会を与えてくださった御当局、それから部会長に心から感謝いたしま す。用意しました資料でございますが、是非盛り込んでいただきたいものとして4項目 挙げております。非常に大切なものはもっとありますが、挙げるとすればということで ございます。  まず「内外格差」でございますが、平成12年12月ごろから、具体的には平成13年3月 ごろから日本に入ってこなくなった遺伝子組換え製剤がございました。そのことに関し まして、私たちが以前から主張したことを改めて主張させていただきます。同じ効能を 目的として、同じ患者さんに同じ経路で使用される医薬品の行政上の取扱いは、安全性 については特に同一レベルにしていただきたいと。先ほど血液対策課長のお話で血液に 一層厳重なということがございましたが、今までよりは数歩進んだ取扱いをしていただ いていることには感謝いたします。リコンビナントは現在では血液製剤として扱われて いないと、一般医薬品であるということでございますが、先ほど資料1の4ページで御 説明されたとおり、生物由来製品というものの中にお互いに入れていただいたことはい いのですが、どうして特定の方に遺伝子組換え製剤が入らないのかということに疑問を 抱きます。  資料の裏を見ていただきたいと思います。このためにではなかったのですが、たまた ま遺伝子組換え製剤の輸入が滞ったり入ったりしましたので、こういうものであるとい うことを説明するために作ったものでございます。培養工程の中にウシの成分、あるい はヒトの血漿蛋白が使われているということでございます。培養液として培養した中に は、ヒト血清アルブミンも使われているということでございます。さらに今までの製品 では、「バルク」というところにヒト血清アルブミンの粉の中に遺伝子組換え第VIII因 子を入れていたというのが現状でございまして、これが血液製剤として扱われないとい うことは私たちとしては非常に不思議なことだったわけです。そういうことを今までも 主張してきたのでございまして、今度は一歩進んでおりますが、「特定」にはどうして 入らないのかということがまだ納得がいきません。と同時に、このヒト血清アルブミン を使わないで、最後の「バルク」というところでシュークロースを安定剤とした製剤が 出ていますが、米国の御当局及び米国のメーカーさんにおいては、更に界面活性剤と有 機溶剤でそれにSD処理をしていると。ですから、旧中央薬事審議会の企画・制度改正 特別部会でございましたように、これはもともと安全なのに何を言うのかという御意見 がございましたが、それはやはり事実上否定されているということでございます。後半 の方で御説明があると思いますが、このような実態がありますので、私たちはやはり 「特定」と言う方が正しいのかなと思いますので、また御検討いただきたいと思いま す。  原料血漿につきましても、売血由来の原料血漿と国内の原料血漿には検査項目の格差 がございますが、もちろん献血の方が多いのです。それから輸入血漿分画製剤について は、その多いもの以外に4か月以上凍結したものの保管管理が必要とされております。 また、血液製剤をお使いになった患者さんの医療記録を10年間保存ということになって おりますので、全献血者の全検体が10年間保存されていて、安全性の向上と確認がなさ れております。このような面で、行政上の取扱いの統一化と同じようにしていただきた いということでございます。さらに米国への輸出医薬品には、FDAが行政査察を行っ ております。まだ厚生労働省では日本への輸入品には行っていないので、是非厚生労働 省の方々にそのような権限を与えていただければ有り難いと思います。しかし、残念な がら平成13年のリコンビナント製剤の輸入トラブルにも、現地のメーカーに直接行政と して行ったのではなくて、ユーザーと一緒に行って事情を聞いたというふうにとどまっ ておりますので、もう一歩踏み込んでいただきたいと思います。  「危機管理」でございますけれども、9月11日に同時多発テロがございましたが、現 地時間の午後にはFDAが緊急指令を出しました。今日お集まりの先生方のような御多 忙な方々に直ちにお集まりいただけるという可能性は、今までの実態では私は可能とは 思いません。アメリカではそういうときに患者代表、それからメーカーの代表、行政官 も含めた危機管理体制がつくられていると、2か月に1回開いたりするのではないと。 また、そういう会議も議題によっては二日にわたってやるわけです。緊急のときには、 午前に起こったものを午後に出すというくらいのことをやっています。そういう対応が 非常に有り難いと思います。あの同時多発テロでは飛行機も船便も止まり、国内の飛行 機も止められて、大変困ったことがございました。そのときのために、やはり輸入を含 めた血液製剤や試薬等の国内備蓄の義務化をしていただければ有り難いと思います。  3月16日の記者発表以後、私どもはそれ以前から危ないと見ましたので分画センター に指示をし、それまでの製造工程をフルに回転させて、患者さんたちのために絶対にパ ニックを起こしてはならないということで、全力を挙げて生産を上げてまいりました。 そして今日お配りした「クロスエイトMのご案内」というのが、10周年の記念に刷り上 げたものでございますが、たまたまそれが役に立ったということでございます。この表 紙は私どもの女性事務職員が自ら書いた字でございます。また、それぞれの部長の顔写 真とともに、それぞれの自筆でクロスエイトMを立ち上げてきた10周年の思い出を、あ るいはこれからの誓いを語ってもらったものでございますが、それがこのピンチに役に 立ってしまったということでございます。やってきたということと、献血者の御協力の おかげで何とかしのいでまいってこれはただごとではないと思っておりますので、この 「危機管理」というのは何よりも大切ではないかという気がしております。  次に「行政救済」に入ります。行政救済は当然のことながら、献血者の方々御自身の 健康を維持するために、その血液を必要とする患者さんに提供してくださっているので ございますから、その献血者の方々の救済を忘れるべきではないと考えます。期すこと のない健康被害が生じた場合は、無過失の責任を日赤あるいは採血の方々に負わせるの ではなくて、最初は一時的にでも国が行政救済の処置を講ずるべきだと考えておりま す。これを省令で決めるのはとんでもないことだと考えております。  「財政」でございますが、何をするにもお金がかかります。献血受入れにも、推進運 動にもありますが、これは国、都道府県、市町村の役割の明確化、この間別の機会にど うかよろしくお願いしたいというふうにお願いしておきました。明確化をしてほしいと …、お互いに押し付け合いをしませんが、駄目なときは今のところ日赤が全部かぶって おります。我々が努力しておりますが、やはり明確に役割分担をしていただいて、それ ぞれが負担をしていただければ有り難いと思います。  それから二番目のところに書きましたが、原料血漿の価格・配分量の決定は、標準で はない「適正」な価格を決めていただいて、国の責任の下に配分していただきたい。我 々がやるとあらぬことを書き立てられて、本当に献血者がしばらく帰ってこないことが ございます。こういう大変なピンチがあったことは、中薬審の委員の先生方は御存じだ と思います。  最後に「財政」ですが、薬価のみではちょっと限界ではないだろうかと。安全性向上 などには国の御負担もいただかなければならないのではないかと考えております。  いずれにいたしましても、我々はやはり審議会の委員としてメーカーの方にも出てい ただければ有り難いと思っております。薬事法改正の中身がもうちょっと明確にならな い限り、我々はまだまだ御当局にいろいろ御意見を申し上げて、患者さんともども、そ れから献血者の方々ともに良い法律を国民のためにつくり上げる協力を惜しまないとこ ろでございます。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それではこれから皆様の御意見、御質問などをお願 いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。どなたかございますか。花井参考 委員、どうぞ。 ○花井参考委員  一つは薬事法と採供法の改正部分の血液に関連する法律、それから今検討中の救済 と、三つの枠で今までずっと議論されてきた血液に関する問題を機能分担して法規制し ようというのが今回の御提案だと思います。ですが、ここは一応血液事業部会というこ とで、本来は血液に関連した部分について薬事法の規制を全体としてもう少し分かりや すく提示された方がよいと思うのですが、今ちょっと気付きました点と私たちの基本的 な主張とを併せて話させてもらいます。  まず一つは、本来血液製剤としての規制ということを考えた場合、私たちがずっと考 えてきましたのはやはり遡及調査、ルックバックシステムをきちんと確立すること。そ れから血液製剤の安全監視体制、先ほど赤十字の方からもございましたが、危機管理体 制も含めて安全監視体制をきちんとやるべきであると。こういうことを訴えてきたわけ でございますが、今回それがここでどのように落とし込まれているかということを評価 しなければいけないと思うのです。  一つとしましては、先ほど日本赤十字社の方からも御指摘がございましたが、遺伝子 組換え製剤の整理の問題です。端的にこれは特定生物由来製品として、リコンビナント を含むべきだという御指摘が赤十字の方からございましたが、私としてもその問題意識 は全く同じでございまして、特に具体的にどこに行くのかというと、記録の保管に関し て関係者の必要な記録作成保存という部分に「関係者」というちょっと抽象的な概念が ありますが、その中身が問題になると思うのです。恐らくこの特定に関しては、「関係 者」というのは例えば医療機関であるとか、問屋であるとかそういうことを想定されて いるのかと思いますが、そこがまず明記されていないところがちょっとあれですが…。 一応造っている方に関しては、ある程度の記録保管が生物由来製剤についても規定され ていますが、それ以外の「関係者」というところではリコンビナントに関しては漏れて いると。これは血液製剤を使う患者からすれば不自然なことで、今までも第VIII因子製 剤に関してはロットごとにカルテに番号を貼って一部は患者が持って、それでロットご とに遡及できるという形になっていたわけですが、これが例えば国内血漿由来でありま すときちんとカルテにロットを載せていく。ところが、リコンビナントに関してそれは 必要ないということになるのであれば、これはちょっとおかしいのではないかと。です から、その分け方がどうかということではないですが、やはり遡及に関しては、もちろ んリコンビナントに関してはドナーレベルでは一人一人の患者に対する、ドナーに対す る遡及というのはないわけだからそこは違うのだという整理は理解しているのですが、 やはりそこはある種の合理性を持って、リコンビナントについてもこの特定生物由来製 品にかかる規制に必要な部分があるのではないかと。ですから、単純にこういう整理を するのはちょっと違うのではないかというのが一つ。  それからインフォームド・コンセントも極めて重要でございまして、この中身という のはもちろんこの生物由来製品の中に規定している…、資料3の10ページの一番下に 「『生物由来製品』の特性を踏まえた安全性と有効性いわゆる(リスクとベネフィット) について、関係者が必要な情報を共有している必要があると考えられることを踏まえ、 関係者は「使用者等に対して…」と極めてあいまいな書き方をしておりますが、この 「使用者」というのはそもそもだれを指すのか。もしこれが医療機関だとすれば、この 前に付く「関係者」はメーカーなのか。もし「使用者等」の「等」に患者が入るのであ れば、その「関係者」の中に医療機関が含まれるのであろうし、私どもとしては患者に 対するインフォームド・コンセントも含むものだということを明確に位置付けていただ きたいし、その中身はやはり血液製剤が輸入されたものなのか、それとも国内献血であ るものなのか。または、もし当該血液製剤が回収等の措置が採られる状況になった場合 には、当然それを使った患者に対してこの後ロットは回収になるし、若しくはその後検 査が必要であれば、「あなたはリスクのある血液製剤を投与してしまったから至急検査 をしてください」と促していただくとか、そういうことが抽象的に考えて正に関係者が 必要な情報を共有している必要があるということになるのです。しかし、この「関係者 が必要な情報を共有している必要がある」ということを踏まえた対応というのを、この 書き方で果たして実行せしめられるのかということがすごく心配なところであります。 「検討中」ということが薬事法の枠組みの中には結構多く書いてあるのですが、まだ検 討中だということを考えますと、これが答えではないということでいいのですが、やは りこれはきちんと明確にしていただかないと困るなというふうに考えます。  それから最後に血液製剤全体についてですが、私たちはその安全性、遡及調査ともに 国の責任ということを言ってまいりました。この国の責任につきましては、今回の法律 案の中で国の責務として書いてあるということなのですが、要は政策責任としての国の 責任ということ…、今赤十字社の方からも御指摘がありましたように、例えば国内自給 の達成ということで旗を揚げてから30年近く年月がかかっているわけですが、いまだに 達成していないわけです。30年間達成できなかったのは一体全体だれが悪いのかという と、だれも悪くないということになってしまう。国が悪いとは言いませんが、やはり明 確に段階を踏んで国内自給を達成するということをやる責任はだれかが取らないと、こ れはいつまでたってもできないわけです。ですから、そういった意味ではやはり国内自 給を達成するという意味において、若しくは血液製剤の供給が不足したりすることがな いようにすることに対して根本的には一体だれが責任を取るのかということについて は、やはりこれは国しかないのではないかという意味で、もう少し国の責任ということ を明確にされておく方がよいのではないかと思います。  薬事法の部分については、まだ「検討中」とか「その方向で」というところが結構多 いのです。実はこの中身が一番重要なことで、資料3の9〜11ページの細かい部分、そ れから資料2の3ページの部分については今後省令に整備される部分、それから第42条 に付加的に定められる基準についてはまだちょっとあいまいなところがあるようですの で、これについてはきちんと明確にしていただけると…、もともと私たちが血液製剤に ついて議論したものが明確になると思いますので、これはよろしくお願いしたいと思い ます。 ○溝口部会長  資料9、10、11というのはどの資料でしょう。 ○花井参考委員  資料3の9〜11ページです。 ○溝口部会長  項目ではなくてページですね。分かりました。何かほかに御意見ございますか。大平 参考委員、どうぞ。 ○大平参考委員  今日は発言の場を与えていただきまして、ありがとうございました。もう花井さんの 方からも御説明がありましたが、少し立ち返りまして資料Cの「新たな血液事業に係る 法的枠組みの制定について」でお話ししたいと思います。私たちは薬害エイズの被害問 題についていろいろ検討してきた段階で、採血、製造、供給という業の取締法の改正と いうことだけではなく、献血者や医療者、それから患者も含まれたヒューマンな形の部 分も、もっと新たな血液法の枠組みの中に入れていただきたいということをずっとお願 いしてきたわけであります。今回、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律 」という形で出てきたわけですが、そういう点では私たちとしてはまだ不十分なところ が多々あるのではないかということを感じております。  そして、先ほど花井さんの方からもお話がありましたが、在り方懇の中でも2008年を 目途に国内自給を達成というような文言がありました。やはりそこにいつも段階的にき ちんと国内自給を達成するというような明示が書き込まれていないというところが、な かなか国内自給の達成の方向に進んでいないのではないかと考えられます。今日の資料 の中でも、アルブミンの観点から見ますとまだ7割近くが外国からの輸入に頼っている という現状は、やはりその点を端的に表しているところではないかと思います。ですか ら、「国内自給の達成」ということをこの法律の中でもう少し書き込むことができるの ではないかと私たちは再三要望したいと思っております。  そしてまた、先ほど法律ができて一歩、二歩前進というお話がありましたが、本当に この血液の問題というのが、私たちの問題からしてももう十数年たちますし、新しい時 代に向いた方向に行っているということはなかなか考えられない。新しい方向に向くの だとしたら、本当に血液法全体をきちんとした新しい観点の中から制度としてつくって いただきたい。私たちが再三言ってきましたように、血液に関する問題、それからまた 供給のいろいろなシステムの問題、救済といった問題が一貫した一つの法律としてでき るということが期待されていたわけですが、今回はまだ三つの救済の問題が先送りのよ うな形で出てきております。ですから、そういった点で私たちとしては本当はその一本 化した形が受け入れやすいというところがありますが、その救済の問題について今研究 会で検討されているということですけれども、もっと確約されるように明記された形で 書き込んでいただける方向で是非お願いしたいと思っております。  そういった点と、あと細かい点では薬事法の中では血液由来の問題。先ほど特定生物 由来製品の問題について申しましたが、リコンビナント製剤のコージネイトFSといっ た製品についても、特定生物由来製品に入るということは当然だと考えております。そ うしないと、やはり本当に単純な遺伝子組換え製剤とはまだまだ違うところがあると思 いますので、きちんとした管理をお願いしたい。そういった内容がまだ今回の薬事法の 概要になるのでしょうか、血液に関しての細かい点というところがなかなかこちらに提 示されておりませんので、その点をもうちょっと精査していただいて意見を述べていき たいと考えております。よろしくお願いします。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。事務局から何かございますか。 ○事務局  薬事法改正について大きく三点ほど御質問頂いたと思います。一つ目はリコンビナン トの区分の問題、二つ目はルックバックにおける記録の問題、三つ目はインフォームド ・コンセントにおける関係者の問題という点かと思います。  一番最初のリコンビナント、特定生物由来製品というところでございますが、今回見 直し案という形でお示しさせていただいておりますのは、法律の中での枠組みという形 でございます。ここに出ているのは例示という形になっておりますので、あくまで類型 的にこういうものはこう、こういうものはこうという例で挙げさせていただいているも のでございまして、法律の方に書かせていただくのは、あくまで全体的にここに書いて ございますような定義のものがどういうものかという枠組みの問題です。ここに書いて ございますように、具体的な品目は厚生労働大臣が指定という形でございまして、実際 にどの個別の製品が生物由来製品に指定され、またその特定生物由来製品に指定される かという点につきましては、実際にこの法的な枠組みをつくった後の問題になります。 例えば実際に中に入っておりますような成分ですとか、製造方法といったものを踏まえ ながら、薬事・食品衛生審議会の御意見を聴きながら考慮させていただいて指定をして いく形になるかと思います。今花井参考委員、大平参考委員の方から御指摘いただいた 点等についても、十分考慮させていただきながら対応させていただくということになり ます。  引き続きましてルックバックの問題でございますが、見直しの案という資料におきま しては、漠然と「関係者」という形で書かせていただいております。私が最初に申し上 げましたように、今回の改正において安全性の確保という部分は原料段階から使用段階 まで一貫した安全対策という部分で、こういった特定生物由来製品については、正しく 「ルックバック」というものが可能となるように一貫してつながっていくことが重要で あるということで、そこの認識は皆様方と同じかと思っております。その際、実際にこ の「関係者」というところを考えていきますと、もちろんこういったものを製造される 製薬企業の方、提供される製薬企業の方、流通段階の問題、さらには業界における記録 という部分は、当然皆さんが協力してつなげていかないと成り立っていかないものでご ざいます。この「関係者」というものの中には、当然医療機関というものが想定されて くるかと思っております。また、ここは具体的に法律でどのような書きぶりにするかと いう点でございますが、現在その考え方を示しているものとしては、本日お配りした資 料3に「関係者」という形で大まかに書かせていただいているところでございます。  またインフォームド・コンセントの問題でございますが、御指摘いただきましたよう に、生物由来製品においてその製品のリスクに応じて伝えるべき患者さんに対して伝え るべき情報というものは、やはりリスク・ベネフィットという観点で必要な情報を伝え るということが非常に重要であると。そういう認識に基づいて、資料3の10ページの3 の(2)、「生物由来製品に係る必要な情報の提供」という項目で当然書かせていただい ているということは御理解いただけるのではないかと思っております。その場合、「関 係者は、その使用者等に対して」という部分の「使用者等」については、当然そこにつ いては患者さんですとか、その製品を実際に御使用される方が含まれているという意味 で御解釈いただければと考えておりますので、御理解いただきたいと思っております。 薬事法に関する大きな三点については以上でございます。 ○溝口部会長  私も「使用者」というと医者だけかなと思ったのです。確かに自己注射しているとこ ろがあるので少しそういう錯覚があったのかもしれませんが、患者さんも使用者だとい う錯覚が厚生労働省にあったのかもしれません。やはり患者さんをインフォームド・コ ンセントの対象にするということを明記した方が、私は個人的にはいいような気がしま すけれども、その辺は「等」で済むかどうかという問題ですね。ほかにどなたか御意見 ございますか。どうぞ。 ○大平参考委員  たびたび申し訳ございません。溝口先生の方からもそう言っていただくととても有り 難いのですが、情報公開ですとか消費者主権という世界の流れの中で、やはりエンドユ ーザーとしては患者ということを是非位置付けていただきたいということを、今回の法 律の中でも是非そういう考えを明記していただけたら有り難いと思っております。  それから先ほど言い忘れてしまったのですけれども、日本赤十字社の方からも内外格 差という安全性の問題で提示がありましたが、そういう言葉がどういう形なのかちょっ と難しいところはあるかもしれません。しかし、安全のレギュレーションとして日本国 内と国外とのレギュレーションがきちんと同じような形で…、やはり外国にあるから安 全性が保たれることが損なわれるということがあってはならないと思います。ですか ら、そういった観点では今回の新しい法律をつくる場合には、きちんと日本国内の基準 と照らして、そしてそれが差のない形で国民の安全性を確保するということで、是非そ の点の観点を考慮していただきたいと思います。 ○溝口部会長  ほかにどなたか御意見ございますか。草刈委員、どうぞ。 ○草刈参考委員  宮島局長の御厚意、溝口先生や吉倉先生の御協力もあって意見交換会を開いたのです が、3回やったときにリコンビナントの第VIII因子製剤と血漿由来の添付文書の内容が ものすごく違っていることにお互いに気が付いたはずです。御当局にリコンビナントは 「ウイルスフリー」ということを堂々と公的な場でおっしゃった担当官がおられました が、今の御説明で有り難いきちんとした御理解が随分得られてきたと思います。もう一 歩、「枠組み」と言っても特定の中に同じように入れていただければ、私たちは完璧だ と思うわけでございます。同じ患者さんに同じ経路で同じ効能で使われるものですか ら、同じにしていただきたいと。それで国あるいは我々が国民を守るのではないかと思 います。  それから日本赤十字が献血あるいは血液事業に従事する理由は、献血者がいらっしゃ るからでございます。この枠組みでございますから、これからもまだまだ違ってくると 思いますが、「被採血者」という言い方が売血者を含んでおりますので、「献血者」と いう形…、それから先ほどの御説明の中の礼節を持てというのは大変有り難いと思って います。保護ではなくて、本当に有り難いと思ってやれという趣旨が通れば、私たちは 大変有り難いと思います。また、ここに献血者の方がいないのが非常に寂しいという気 もいたします。以上です。 ○溝口部会長  先ほど厚生労働省が御説明された、リコンビナント製品が特定生物由来製品ではない というのは例えとして出ているだけであって、それぞれの指定は今後厚生労働大臣がさ れるということです。やはりリコンビナントでも、物によっては変わる可能性もあると いうことでしょうか。その辺をちょっと書かなければいけないですね。 ○事務局  先ほど申しましたように、リコンビナントにもいろいろな種類のリコンビナントがご ざいます。その中にはヒト血液由来成分を含むものもございますし、そうでないものも ございます。いろいろなリコンビナントというものがございまして、「リコンビナント 」と言っても一口では語れない部分もございますので、実際に個別に指定する際にはそ ういった成分の問題ですとか、製造工程の問題又は使用方法といった製品に係る総合的 な部分から、実際にはその指定というものを判断していくことになるのだろうとは思っ てはおります。しかし、やはり現時点でここまで枠組みを提供するというのはこの法律 の目的でございますので、個別の具体的な部分についての結論は差し控えさせていただ きたいと思っております。 ○溝口部会長  小室委員、どうぞ。 ○小室委員  今内外格差という問題が出てまいりましたが、日本赤十字社の最初の文面では「血液 製剤の」と書いてありますので内外格差があるように思えるのですが、外国から入るの は血漿分画製剤だけでございます。それについては、基準にのっとった方向で内外格差 はないはずです。どうしてそういう原因が出るかというと、外国では分画製剤は分画製 剤用の採血でやっております。日本の場合は成分製剤を造り、かつ分画製剤を造るもの も同時にやる原料があるからそういう問題が出てくるのであって、分画製剤については ないはずです。 ○溝口部会長  草刈参考委員、どうぞ。 ○草刈参考委員  外国ではATLが陽性の原料血漿も使っていますが、日本は先生の御判断でATL陽 性のものが使えなくなっております。それは内外格差ではないのでしょうか。ほかに幾 つもあります。 ○小室委員  今回の基準改正で、ATLは書いてございません。 ○草刈参考委員  ということは、ATL陽性を分画製剤の原料血漿に使えということでしょうか。 ○小室委員  最低の基準上の内外格差はないということです。 ○草刈参考委員  指導としてはそれがございます。使えなくなって、我々は何万リットル捨てさせられ たか…、非常に残念でございます。それが厚生労働省のおかげでやっと陽性の方にお話 しできるようになって、2年たったわけでございます。それまでの間、外国では使える のにと言いながら我々は有効期限…、原料血漿も1年間の有効期限しかないのですか ら、捨てざるを得ないのです。 ○溝口部会長  大平参考委員、どうぞ。 ○大平参考委員  そういう議論ですと少し不毛な議論になってしまう…、「不毛な議論」と言ったら怒 られてしまうのですが、そういうことではなくて、例えば遡及調査の問題も何かあった ときにきちんと遡及ができるルックバックのシステムがきちんと管理できる。そういう 基準を持った製品ではないとこちらの方では優遇できないという…、日本でのルール作 りに適合した製品をきちんと輸入する、そういうレギュレーションをこの中できちんと 定めてほしいということを私は言っているわけです。 ○溝口部会長  局長、どうぞ。 ○医薬局長  ここでいろいろな新しい規定を示していますが、これは全く国際的に差をつけており ませんので、輸入品についても同等に適用されますから、内外差を前提に規定を運用す るということは全く考えておりません。  それから先ほどの生物由来製品の特定生物由来製品につきましては、今説明にありま した個別品目については審議会の専門委員の先生方にきちんと鑑定、評価をいただいた 上でどちらのジャンルに整理していくか個別品目ごとにやっていただきますので、その 際にそういった議論をしていただくという形になるのではないかと思います。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。先生方、何かございますか。吉倉先生、安全性その 他についてございますか。 ○吉倉委員  今の話題については特にないのですが、変わってよければコメントします。これは審 議会に関係することですけれども、資料Bの2ページの右の方ですが、「薬事・食品衛 生審議会」というところがあります。その上の「主な諮問事項」の二番目に、「採血業 者の献血受入計画等に対する認可等」となっているのです。審議会が認可するというの は、そうなのですか。認可について諮問するとすれば、認可するかしないかの責任は審 議会にはないと考えていいのですか。もうちょっと大きめに言うと、要するに審議会の 責任は一体どこまであるのだと。過去にも審議会の問題というのは出たわけですが、法 的に審議会というものを位置付けたときに、審議会の委員の責任は一体どこまであるの かというのをもう少し説明していただけるといいかと思います。 ○溝口部会長  これは厚生労働省の方から。 ○医薬局長  最終の決定権限は、あくまでも厚生労働大臣が最終責任を負って決めるということで す。その決定に至るプロセスとして、審議会で各御専門の委員の先生から御意見を伺 い、諮るということです。審議会の委員の先生方には、それぞれの御専門からそれぞれ の御意見を頂く、発言していただくということで、最終的な決定権限、最終責任はあく までも厚生労働大臣が持つという整理だと思っています。 ○溝口部会長  吉倉先生、どうぞ。 ○吉倉委員  「伺う」というのは英語にすると「コンサルテーション」で、いろいろな場でコンサ ルテーションの内容、責任その他については問題になるところなのです。日本語では今 の説明で大体いいのだろうと分かるのですが、その辺を少し心配しているというだけで す。 ○溝口部会長  取り上げられるかどうかは分からないけれども、言うべきことは各委員がきちんと言 うのが必要だということだと思います。取り上げられるかどうかの最終決定は厚生労働 大臣がなさるということです。先生方、ほかに何か御意見ございますか。 ○清水委員  ちょっと前の議論ですけれども、要するにそういう議論をきちんとやって実務に反映 させられるような場が、だれでもある程度納得できるような形でオープンに決められて こなかったということが最大の問題なのですね。ですから、それをどういう場でやれば いいかというものをつくる、そういう機能としての審議会ならばそれはこの審議会でい いのかもしれません。ただ、この血液事業というのは、通常のメーカーが造ってくる医 薬品と違う部分がありますから、その審議会の構成メンバー、草の根から立ち上げたピ ラミッド型の構成の在り方とか作り方をやはり工夫する必要があるのではないかという ことが一つあると思うのです。ただ、言葉で言えば済んでしまうという性質のものとは 少し違うのだということを踏まえた議論をしていただきたいというのが一点ですね。 ○溝口部会長  前の審議会はよく存じ上げませんが、少なくとも前と大きく違うのはいわゆる公開で こういうふうに行われることとか、記録がすべてインターネットでオープンになる、そ れらはやはり大きな違いだと考えます。また、やはり言った方の責任も重いし、それが 取り上げられるかどうかという行政の判断もかなり大きな意味を持ってくると私は考え ます。 ○清水委員  それはそのとおりでよろしいのですが、現状認識として例えば本来は血液事業におい て主要なメンバーの方々の意見が今この場で食い違うということ自体があってはならな いわけですね。ですから、それを端的に表している、そういうことがないような審議会 の構成並びに運営でなければならない。そこをはっきりと認識していただいて、審議会 の在り方というものを詰めていただきたいというのが一点です。  それからもう一つは、「国内自給」というのが再三再四言われてきていまだに達成さ れていないと。そういうことになっている一つの大きな理由というのは、やはり適正使 用という問題があるので、資料Cの2ページに適正使用というのが入ってきているので す。資料A、資料Cの1ページの法律の名前ですが、どうしてもこの法律の内容には …。いろいろ考えてもなかなかいい言葉がないのですが、やはりこういう長ったらしい 名前には余りしたくないのです。しかし、ここのところには「安全な血液製剤の安定供 給の確保」と、「適正な使用を推進」という言葉が入る必要があるのではないかと。で すから、適正使用というのは取るばかりが能ではなく、取ったものが適正に使われるこ とによって初めて自給というものが達成される。それで十分安全なものが効果的に使わ れるということになるわけですので、そこのところがやはり分かる形の内容を表すよう な法律の命名にしていただきたい。ですから、血液事業と輸血療法の両方を引っ掛ける ような内容が本当は望ましいのですが、なかなかいい言葉がないのです。やはり適正使 用というのをかなり強く打ち出しておきませんと、我が国の血液の国内自給というのは 非常に困難ではないかと。そして、外国からの製品に依存している限りにおいては、第 二の薬害エイズと称するようなものの危険率がより高くなるのだと。この認識だけは持 って臨むことが基本的に大事なのではないかということで、そこをもうちょっと明確に する必要があるのではないかと思っている次第です。 ○溝口部会長  企画・制度改正特別部会で先生と私は御一緒させていただきましたが、最後に「医師 の責務」というものが加えられました。それが今回の中にもありますが、そこに血液製 剤の適正使用が入っておりまして、やはり今回はここがかなり大事ではないかという気 がします。厚生労働省で血液製剤の適正使用の基準を先生方が中心になって作っていら っしゃいますが、それがいろいろな医療の現場で基準になっておりましてすごく影響を 受けているし、また保険の審査などにも大きく影響していますから、そういう形ではか なり進歩があるのではないかと私は理解しております。ほかに御意見ございますか。 ○吉倉委員  私は血液のことを余りよく知らないので聞くのですが、「血液製剤」といった場合に は最終製剤だけを指すのですか。それとも中間のものも入りますか、入りませんか。 ○溝口部会長  「中間」というのは、どういう意味ですか。 ○吉倉委員  例えばフラクショネーションの途中のものとか、そういうものですね。要するに最終 製剤だけを含むということになっているのか…、単に定義を聞くだけですが。 ○溝口部会長  事務局、どうですか。 ○事務局  原料血漿も含まれると考えております。 ○草刈参考委員  よろしいですか。ちょっと違うのではないかと。原料血漿は医薬品ではあっても、血 液製剤の中に入っているかどうかというと位置付けは余り明確ではないのではないかと 思います。ですから、そういうふうに平たい議論を言われてしまうと、私たちはものす ごく困ってしまうのです。やはり深く考えて答えていただきたいと思います。 ○吉倉委員  これは最終製剤だけ考える場合と、それから今の原料血漿を考える場合とで文章の作 り方その他を考えなければいけないところがあるから、やはり血液製剤というものの定 義をきちんと決められた方が私はいいと思います。 ○溝口部会長  その辺は何かありますか。先生のお考えはどうですか。 ○吉倉委員  この文章であれば、最終製剤の方がいいような感じがします。 ○溝口部会長  小室委員、どうぞ。 ○小室委員  先ほどもちょっと触れたのですが、「血液製剤」と言った場合に血液成分製剤、赤血 球や血小板と分画も含んでしまうわけですね。諸外国の規制の方向というのは、成分製 剤と分画製剤は分離しようという方向に来ているわけですから、やはり文字的にもそこ ら辺は分けていく必要があるだろうと思います。 ○溝口部会長  その辺は厚生労働省に今後お考えいただきたいと思います。 ○血液対策課長  それぞれの場面で定義が同一ではなくて、使い分けているところがございます。その 点について今検討させていただいておりますので、また報告させていただきたいと思い ます。 ○溝口部会長  いろいろ御議論いただきましたが、今後残された問題…、国の責務の問題はどうです か。 ○医薬局長  先ほど国の責務の関係の御意見が一つあったかと思います。この中でもやはり国内自 給を達成しているということが一つ入っていますが、従来そういうものは懇談会や検討 会の提言とか報告止まりで、一応そういう形ではあることはあったのです。しかし、今 回法律に基づいて国が献血推進計画なり基本方針なり需給計画を作ると、これは今度は 正に国の計画そのものになります。したがって、それが計画どおりきちんと執行される かどうかというのは、正に国の責任として評価されるというか、含まれるかと思います が、従来のような懇談会なり検討会止まりの提言、報告とは性格はかなり大きく違いま すし、御指摘のような国の責務というのは法律上きちんと明確化してくるのではないか と我々は理解しております。 ○溝口部会長  清水委員、どうぞ。 ○清水委員  その御意向は大変結構だと思うのです。ただ問題は、国の責任とは具体的に何を指す のかということになりますと、先ほど話題になりましたように計画を立てて献血者を確 保していく、安全性の基準をつくるのはもちろん結構ですが、やはり今まで忘れられて いて血液事業上いろいろな混乱が、特に赤十字社との関係で問題が起こっておりますの は、財政的な問題というのがどうしてもあるのですね。ですから、これをやはりどうい うふうに担保するのかと。これはWHOの考え方、あるいは発展途上国等ではWHOの 提言を受け入れてやっているのですが、そこではやはり国として財政支援をきちんとや るということがうたわれているわけですね。これは日赤の草刈さんもおっしゃっていま すが、正にそこのところが非常に大きな問題で、例えば発展途上国の血液事業をサポー トしていましても、日本から援助を行っている期間はいいのですが、それが途絶えた途 端にだんだんとじり貧になっていきまして、結局数年の間に元の木阿弥に戻ってしまう と。結局何をやったのか分からなくなってしまうという繰り返しがしばしば見られるわ けですね。やはり国として財政支援がきちんと担保されていないからと、こういうこと が大きな問題としてあるわけでございまして、そこのところをどうするかと。  それからもう一つは、やはり献血者の被害補償の問題です。カナダでは結局赤十字が 撤退しまして州単位の血液公社、言ってみれば準国家公務員的な立場での運営になった ようですが、そこが保険会社に献血の補償制度を要求したら全部断られたと。それでど うしたかというと、自分たちである程度出資金を出して保険会社をつくって献血者に対 する担保をしているというような話を聞いていますので、もうちょっと明確にきちんと 実態を調査していただきたいと思います。  そういうようなことがありますので、これを赤十字社に全部任せるならば、赤十字社 が血液事業を運営していく上でやはりそこまで含んだ財政的な処置が講じられるような 方策を講じてやるか。あるいはそれは切り離して、国あるいはそれに準ずるどこかで補 償してあげるということを考えておきませんと、やはりこの議論は赤十字とはなかなか かみ合わないのではないかと思うのです。私は将来赤十字社が血液事業を全面的にやっ ていくのがいいのかどうか、更にまた改めて議論する必要があるときが来るのではない かと思いますが、第三者、赤十字以外の血液事業が参画することもあるかもしれませ ん。そういう場合にもやはり同じ問題が起こってくるのではないかと思いますから、そ このところをどうお考えになられるのかということも非常に大事な現実的なポイントで あると御理解していただきたいと思うのです。 ○医薬局長  確かに国のいろいろな事業を執行していくために、財政的な裏付けというものは当然 必要であります。したがって、こういう法律的な枠組みがなされると同時に、やはり予 算上それがどういうふうに裏打ちされて実行可能な形にしていくかというのは、当然ま た予算というもう一つの大きな柱の中で必要な手当をしていくということになっていき ますし、我々もやはり法的枠組み的にそれが実現できるような予算の手当というのも当 然平行してきちんとやっていかなければならないと思っております。  それから救済の関係ですけれども、御指摘のように献血者における被害が生じた場合 の救済制度というのは、我々もその必要性は十分認識しておりますし、それは是非やら なければいけないと思っております。ただ、具体的にどういう仕組み、形がいいのかと いうのはいろいろな形があるかと思いますので、それはこれから日本赤十字社とも相談 しながら…、決して日本赤十字社さんに一方的に負担をかけるという形では考えており ませんので、どういう形が最も現実的かつ円滑に執行できるかということはこれから更 に検討していきたいと思います。 ○溝口部会長  大分議論が出ましたけれども、大変大事な問題で幾らでも時間をかけたいところであ りますが、議題がもう一つございますので、第一番目の議題はこれくらいにさせていた だきます。本日各委員あるいは参考委員から出されました御意見をまとめまして、引き 続きまた多くの方々の御意見を聴きながら、成案の取りまとめに向けて作業を進めてい ただきたいと事務局に是非お願いしたいと思います。また、今後も事務局から適宜進捗 状況の御報告をお願いしたいと考えております。  それでは第二番目の議題、「血液凝固第VIII因子製剤の供給について」でございます が、この議題につきまして参考委員の方においでいただいております。今までの参考委 員の方にはそのままおいでいただいて結構でございます。日本赤十字社血漿分画センタ ーの伴野丞計様、それから財団法人化学及血清療法研究所の宮本誠二様、バクスター株 式会社の白石睦様、バイエル薬品株式会社の杉本真一様、血友病を治療されているドク ターで、東京医科大学附属病院臨床病理学教授の福武勝幸様に参考委員として御参加い ただきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは第二番目の議題につきま して、事務局から御説明願いたいと思います。        ── 伴野、宮本、白石、杉本、福武参考委員着席 ── ○事務局  それではお手元の資料ア〜オを使いまして、御説明させていただきたいと思います。  まず資料アでございますが、この資料は前回の第2回血液事業部会開催以降の最近の 主要な流れを簡単に御説明するためのものでございます。前回8月31日に血液事業部会 を開催させていただきましたが、その会議では貯留保管の期間を「6か月以上」から 「4か月以上」にいたしまして、国内製造業者が第VIII因子製剤を最大限生産し、また 輸入業者においては輸入量を最大限増量していただく努力をお願いすべきである、更に 献血を一層推進する必要があるという御結論を頂きました。その御結論に従いまして、 「別紙1」といたしまして、9月5日には2〜5ページまでの内容を各社に通知させて いただきまして、三者に対しては最大限の生産、増量をお願いしたところでございま す。  それから昨年10月15日、11月22日におきましては、8月の時点では予想していなかっ たコージネイト250単位と500単位が8,000本、1万本が急遽輸入され、出荷が可能とな ったということで記載させていただいております。それから11月30日になりまして、コ ージネイトの代替製品のコージネイトFS500単位、及び1,000単位の輸入許可がなされ ました。引き続きまして、12月3日にはその製品についての薬価収載が行われました。 この薬価収載を受けまして、私どもは同日付けで平成14年末までのコージネイトFS等 の供給予定量について報告を求める通知を出しております。これが「別紙2」として6 〜7ページに添付させていただいている資料でございます。「別紙3」としては8ペー ジから最後までになりますが、この通知を受け12月14日付けでバイエル薬品さんから 「別紙2」の問いに対する回答ということで頂いております。  この「別紙3」につきましては、後ほどバイエル薬品さんの方から詳しく御報告があ ると思いますが、簡単に御説明いたしますと、9ページにあるように現在供給している コージネイトの今後の供給見込みを御報告いただいております。10ページでございます が、上の表については12月に薬価収載されたコージネイトFS1,000単位の平成14年の 供給予定について御報告いただいております。その下の表ですけれども、これは米国バ イエル社から平成14年にコージネイトFSがどれくらい輸入されてくるかの供給計画を 御報告いただいたものでございます。最後の11ページですが、米国バイエル社でコージ ネイトFSをどのくらい生産しているのかという問いに対しては回答がいただけなかっ たということであります。以上が前回会議から今回までの間の主要な流れになっており ます。  続きまして資料イを御覧いただきたいと思います。資料イは、資料アと同様に前回会 議以降に厚生労働省が行った取組みについて簡単にまとめさせていただいております。 まず一つ目といたしましては、「厚生労働大臣からの特別アピール」ということで、昨 年9月21日に「成分献血の推進」について特別アピールをさせていただいております。 その関係資料が2ページに添付されております。その翌月ですけれども、これは厚生労 働大臣だけではございませんで、日本赤十字社、それから献血推進団体と患者団体の代 表の方々と共に、渋谷において成分献血推進キャンペーンを呼び掛けさせていただいて おります。その資料が3ページに添付されております。その他としましては、厚生労働 省及び政府広報、媒体を通じて成分献血推進等についていろいろ御協力をお願いしてい るということで、関係資料としては4ページに付けさせていただいております。この間 の献血者推移がどうなったかという資料として5ページを御覧いただきたいと思うので すが、上段に呼び掛けをした成分献血の過去3年間の推移を示させていただいておりま す。下の方は400ml献血の過去3年間の推移ということでございますが、ここを見てい ただきますと、アピールの効果もあって成分献血者が例年に比べて13年度は多くなって いるということが分かるかと思います。最後の6ページは、前回8月31日の部会以前の 取組みについて、参考までに付けさせていただいております。  続きまして資料ウを御覧いただきたいと思います。8月以降からの実績ということ で、昨年12月までが実績、それから1月以降は予測を含めたものという形になっており まして、まず二つについて条件設定をしてシミュレーションを行ったわけですが、今回 見ていただきたいのは「条件A」については「別紙1」になっております。まず前回の 部会から変わっている点については、黄色で網掛けをさせていただいております。主に バイエルさんからの情報が変わった点ということになるわけですが、まず13年度の実績 でいきますと、先ほど資料アで御説明させていただきましたが、13年10月、11月に想定 していなかったコージネイトが輸入されてきているということで、199万単位と500万単 位をそれぞれここに記入させていただいております。それから実はこの表は製造、輸入 で出荷が可能となる時期を示しておりまして、1月につきましては31日にやっとコージ ネイトFSが2,090万単位輸入されたという報告を受けましたが、その輸入されたもの は国内に入ってから検査を行いますので、出荷するまでに約1、2か月はかかるという ことで、今回輸入されたものについては14年3月には出荷できるだろうということで、 3月のところに加えさせていただいております。以降、バイエル社のところに黄色の網 掛けが三つございますが、これにつきましては先ほど簡単に御説明させていただいた資 料にございますように、今後の輸入の予定の報告をいただいたものをそのまま記載させ ていただいております。  そのほか、他社の方でございますけれども、日本赤十字社、それから化血研さんにつ きましては、昨年の9月以降最大増産をしていただいているという状況でございます。 日本赤十字社の14年2月のところに網掛けがございますが、これは先日来新聞でも報道 されておりますように、B型肝炎のウイルスが一部の製剤に混入してしまったというこ とを受けまして、現在その取扱いについては保留という状態で、今後別の調査会で検討 させていただくということにしております。ですから、一応その数量はカウントしてい ない関係で、この黄色い網掛けをさせていただいております。バクスターさんにつきま しても、増量の努力をしていただいているということでございます。  したがいまして、このシミュレーションでございますが、14年末までには約6か月の 在庫ができるだろうということでございます。「条件B」につきましては、輸入される かどうか分からなかったものですから、念のためシミュレーションさせていただいたと いうことでございまして、ここの説明は省略させていただきたいと思っております。  続きまして、資料エを御覧いただきたいと思います。資料エは増産に御協力いただい ている化血研さんからの御要望の資料でございます。2ページ目に今後の予測として、 このまま行くと在庫量がかなり増えていってしまうということでの御要望がございま す。これも後で詳しく説明がされると思いますので、詳しくは説明いたしません。  次に最後の資料オでございますけれども、これらを踏まえまして、事務局からの御提 案ということでこの一枚紙を付けさせていただいております。今後の血液凝固第VIII因 子製剤の取扱いについて、以下の1〜4で取り扱うようにしたいと考えております。ま ず1でございますけれども、バイエル薬品さんはやっと今年からコージネイトFSの輸 入を開始されるという御報告を受けておりますが、これまでの供給実績がかなり不安定 であったということがございます。今後販売量を増やしていかれるということではある のですが、サプリメンタルサプライヤーという位置付けは変わっておりませんし、米国 からの不安定な供給状況も変わっていないということから考え合わせますと、常に前月 出荷量の6か月分を在庫としてお持ちいただくと。これは少なくとも今年中ということ でございますけれども、その在庫を持ちながら供給をしていただきたいと。またここに ございますように、引き続き各種報告はしていただきたいという取扱いではいかがかと いうことを御提案させていただきたいと思っております。  後で御説明があると思いますが、化血研さんにおきましては引き続き最大限原料血漿 を用いて製造はしていただくわけですが、原料血漿の有効利用の観点から一部は中間体 で保管してもよいこととすると。これによりまして、少し有効期限を延ばすことができ るということでございます。  日本赤十字社さん、バクスターさんにおきましては、これからも変わらず最大限の努 力をお願いしたいと考えております。それから私どもといたしましても、引き続き成分 献血を推進していきたいと。これらを今回の事務局側の提案とさせていただきたいと思 っております。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは御提案を議論する前に、各参考委員から御 意見を伺いたいと思いますが、まず日赤の伴野さん、何かございますか。 ○伴野参考委員  二点ほどお話をさせていただきたいと思います。第一点は、今お話のありました資料 ウの2ページにございます一番下の欄の御説明で、「製品の中にウイルスが混入した」 という表現だったのですが、これは全く当たっておりません。製品についてはすべてウ イルス不活化除去をしまして、国家検定にも通った安全な製剤であります。しかし、こ の製剤の原料は世界で最も進んだスクリーニング法のNATでスクリーニングしてもま だすり抜けるという血液で、昨年3月ごろ献血されたものがその後新鮮凍結血漿として 輸血されて、9か月くらいたってはっきり分かったものです。その時点では、製剤とし ては造り上げて国家検定にも通っているものです。こういった微量のウイルスというも のは、現在世界最高のスクリーニング法でもやはりすり抜けてしまいます。しかし、分 画製剤の特徴は仮にそういったものがあっても工程で不活化除去するというのがほかの 製剤と違ったところでございます。したがいまして、最終製剤はNATをやってウイル スの安全性を確認したものでございますので、「ウイルスが混入した」という表現は当 たらないと考えております。  第二点は、やはり血友病の患者さんに是非とも必要な輸入製剤を100%、あるいはか なりのフリーマーケットで依存しているという状態はやはり危険であるということが今 回証明されたと思うのです。先ほど来、全般の議論の中で血液製剤の国内自給を真剣に お考えいただく、新しい政策を打ち出していただけるということで期待しております が、やはりこういった製剤につきましては、輸入製剤と国内血漿由来製剤のバランスを 考えて、どちらかに問題が生じたときにそれを難なくカバーできるような供給体制とい うものをお考えいただきたいのです。それからリコンビナント製剤と血漿由来製剤のバ ランス、あるいは輸入製剤と国内献血由来製剤のバランスといった観点から一度整理し ていただいて、安定供給が可能になるようなことをお考えいただきたいということでご ざいます。と申しますのは、最後の資料オの御説明にございましたように、成分献血を このままどんどん推進していただきますと、原料は集まってもやがてフリーマーケット の状況でリコンビナント製剤に席巻されるようなことになれば、これでまた無駄になっ てくるということもございますし、献血者の善意に応えるという意味からも、その辺を お考えいただくと非常に有り難いと感じております。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございます。今のHVB陽性血の混入につきましては、安全技術調 査会でも検討予定でございますので、それを踏まえて次回以降の血液事業部会で検討す る予定になっております。  それから需給に関しましても、バイエル製品の輸入時期、輸入量がまだ不確実でござ いましたので、しばらくはバイエルの次回の納入量を勘案して次回以降の部会で検討す るということにしたいと思います。それではバイエル薬品の杉本参考委員から、資料ア について御説明願いたいと思います。 ○杉本参考委員  それではバイエル薬品から、12月14日に厚生労働省の方に報告させていただいた 第VIII因子製剤供給の件について御説明申し上げます。  まず9ページになるのですが、一つ目の表は昨年11月末現在で私どもが保管しており ましたコージネイトの在庫で、その当時の平均供給量を今後も継続して弊社から特約店 に供給させていただく場合、どの程度まで私どもが供給可能かということをシミュレー ションしたものであります。250単位につきましては、本年の11月末現在まで持ってい たコージネイトで供給が可能と考えております。500単位につきましては7月中旬まで、 また1,000単位につきましては、4月中旬ごろまで供給可能と考えられました。これは 私どもから特約店さんへの供給であります。特約店さんでは、それぞれ1〜2か月の在 庫があるかと考えております。  続きまして10ページでありますが、上と下に二つテーブルを用意してございます。ま ず上のテーブルを御説明させていただく前に、下の「参考資料」の方から御説明をさせ ていただきます。下の「参考資料」に書いておりますのは、12月14日現在の米国バイエ ル社からの2002年度のコージネイトFS供給計画を示したものです。12月14日現在でこ れは1,000単位換算ですが、今年の1月には14,700本、すなわち1,470万単位くらいを予 定しております。それから2月には約800万単位を米国から日本に出荷するという連絡 を受けておりました。また5、6月で約1,800万単位相当、7〜9月の間に約2,600万単 位相当、10〜12月で約1,100万単位。すなわち2002年では、トータルで約7,800万単位相 当のコージネイトFSを供給する計画があるということで御連絡申し上げました。  このうち1、2月につきましてはコージネイトFS1,000単位でありますが、先ほど 御説明がありましたように、この1月、2月分のものを合わせて1月30日に日本に輸入 いたしました。トータル量は約2,100万単位ですけれども、1月30日に入荷され、今現 在私どもの工場に搬入いたしました。5月以降につきましては、12月14日現在、米国バ イエル社から出されている資料では細かく月別に、単位別に細かく分かれていませんで したので、こういう形で御報告させていただいております。またこれにつきましては、 細かいことが分かり次第逐次御連絡を申し上げます。  この状況にありまして、12月14日にお出しした資料が上のテーブルになります。上の テーブルは、2002年度にコージネイトFSが月々どの程度供給できるかをシミュレーシ ョンしたものです。先ほど9ページで示しましたように、現行のコージネイトが4月中 旬くらいまでありますが、コージネイトFSを引き続き供給させていただいた場合、そ れ以降は現在の供給量でどれだけもつかということをシミュレーションさせていただい ております。このシミュレーションの基本になりましたのは、1月、2月に供給される 予定になっていたものです。すなわち1月、2月に入ってきた2,100万単位を使った場 合、どの程度供給が可能かということをシミュレーションしております。この結果、結 論から申し上げまして、今私どもが持っておりますコージネイトの在庫と、今回新しく 入荷したコージネイトFS1,000単位の在庫で、今現在私どもが御提供させていただい ている1,000単位の供給量を本年いっぱいは維持できるものが入荷できたということで ございます。これには計算では細かく分類されておりませんでしたので、5月以降の入 荷分は含まれておりません。  それから11ページでございますが、平成14年度の米国バイエル社のコージネイトFS の年間生産計画ということだったのですが、先ほど御説明がありましたように米国バイ エル社の方で全世界の供給量、情報を開示しておりませんので、準備することができま せんでした。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは化血研の宮本参考委員に、資料エについて 御説明願いたいと思います。 ○宮本参考委員  私どもの意見は資料エに書いてありますが、この内容について御説明申し上げます。 私どもは昨年3月コージネイトの欠品が起こって以来、患者さんの供給に支障がないよ うにということで、すべてに優先して第VIII因子でありますコンファクトFの製造を優 先して考えて、人的にもそれから設備的にも最大限に努力してまいりました。この間 に、原料の問題などいろいろなことがあった1年ではございましたが、そういう中で日 赤、バクスターと共に患者さんの供給に対しては支障なく頑張ってまいったと自負して おります。  生産についてはそのように頑張ってまいりましたが、残念なことに出荷の方が予想量 を下回ってしまいまして、次のページにグラフで書いておりますように、在庫が増える 状況にあります。左側の縦軸で在庫量を単位数で書いておりまして、右側の方はそれを 月数で書いております。その月数は現在出ております190万単位につき、約200万単位で このまま使用されるという前提で月数を割り出しておりますので、今後またコージネイ トFSが出てコンファクトの使用量が減ってまいりますと、このグラフは更に右肩上が りの傾斜を示すことになります。折れ線の方が月数で、棒グラフの方が単位数を示して おります。  こういう状況でございますので、このまま生産を続けてまいりますと、献血推進で頑 張っているのに対して、逆にせっかくの貴重な献血を無駄にしていくという相反するこ とにもなりかねませんので、期限切れになって無駄になるということは絶対に避けたい と考えております。その一方で、今御説明があったコージネイトFSが今後どうなるか というのもまだ明確ではありませんので、やはり生産は続けていかないといけないとい う両面がありますから、その両面を無駄にしないということ。また、供給に支障を来さ ないという両面に対応していくために私どもが考えておりますのは、ここにも書いてお りますように中間原料まで製造して、そしてそこで市場の状況を見ながら次の生産を進 めていくということを考えたいと思っております。そうすることによってそこで止めて おりますと、始めから生産するよりももし急な欠品という状況がありましたときに素早 く対応ができますから、これが現状の中では一番いい対応だと思っておりますので、私 どもとしてはこういう対応で進めていきたいと考えております。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。これまでの御説明につきまして、御質問、御意見は ございますか。最終的には、先ほど最初におっしゃった資料オの提案を基に御議論いた だいても結構でございます。草刈参考委員、どうぞ。 ○草刈参考委員  二つございます。化血研さんが溝口先生に対して資料エのような文章を出すというの は、吉倉先生の御心配したことがこのようになってしまった…。余計なことですが、こ れはむしろ局長さんに出すべきではなかったかと私は思っております。そうではない と、責任はどこにあるのかということになってしまうので、本来は局長さんにお願いし てこちらに来るのが本当かなと思います。  それから資料オにつきましては、化血研さんに対しても我々に対しても余りにも身勝 手ではないかと。2行目の「現在コージネイトを使用していない患者に対し…」、これ は書かないでいいです。「コージネイトFSの供給を開始する場合」ということにして いただいた方がいいのではないかと思います。患者さんにとっては、なくなったからク ロスエイトMあるいはコンファクトに替えたらまた戻るというのは、余りいいことでは ないですよね。これは血友病の先生方の方が御専門ですから私は余り言いませんが、非 常にお気の毒なのは毎日毎日使わなければならない、自分の健康に頼るものがそうぐら ぐらしていいのか、そこをきちんと我々も杉本さんも白石さんもみんなでスクラムを組 んで、患者さんのためにはそれほど御不自由をかけないようにしたいということです。 杉本さんも白石さんも輸入業者さんで、製造業者さんではないのです。名前は同じです けれども、別法人ですからそこだけにいろいろお伺いするのも酷なのです。本当はメー カーさんの方に言っていただきたいと、杉本さんも白石さんも思っていらっしゃると思 うのです。ですから、世界的には何にも開示していませんと、気の毒なことをおっしゃ っているわけです。もう一回言うと、化血研さんは溝口先生あてではなくて、お役人の どなたかあてにするべきだったというのと、資料オの「現在コージネイトを使用してい ない患者に対し」というのは、私たちも化血研さんにしてもちょっと嫌だと思いまし た。 ○溝口部会長  白幡委員、どうぞ。 ○白幡委員  血友病患者の主治医の立場で申し上げますと、コージネイトあるいはFSはどういっ た患者さんが使用されるかということを改めて考えてみますと、現在コージネイトを使 用されている患者さんは、やはりかなりの人がコージネイトに対するこだわりが割と強 い患者さんだと思います。この患者さんに、新たにFSが入ってきているのに更にほか の製剤に替えるようにこちらの方から働きかけるのはやはり…。希望があれば別ですけ れども、私たちがすべきスタンスではないだろうということです。  それからもう一つ、PUPsに関しては全世界的に、EUだとか北米などでもリコン ビナントがファーストラインということは常識的になっていると思います。患者さんの 御希望が特になければリコンビナントを使われると、私たちとしてはお勧めするような 形になると思うのです。これは250単位の方が多いだろうと思うので11月までは供給可 能という…、今後入らなかったとしてもですね。  それから最後に、やはり私たちの立場は製剤が供給されている状況を患者さんにきち んと正確にお伝えするのは義務だろうと思うのです。そうしますと、3月からFSが 2,100万使えるようになるということは、やはりお伝えしなければいけないことだと思 うのです。先ほど来言っておりますように、その中で安定供給のために在庫の確保が必 要だということはもちろん説明の中に十分含めるつもりですが、それでも中にはあえ て、例えばお願いしてクロスエイトに替わっている患者さんからもう一回入ってきたの なら戻りたいという強い希望があれば、私たちはそれに沿わなければいけないだろう と。大きく言いますと、この三つが使われると。そういう前提に立ったときに、先ほど の6か月分の在庫を絶対確保するという…、緊急手術とかいろいろなことを考えると予 測が非常に難しくなりますし、今私が申し上げた三番目がどういうふうになるかという のは予測がつかないものですから難しいと思うのです。しかし、先ほど申し上げた前月 出荷量の6か月分をきちんと守っていって、それは何とかなりそう…、これは杉本さん にお聞きするのは難しい質問で、むしろ厚生労働省にお伺いした方がいいのかもしれま せんが、いかがですか。 ○溝口部会長  事務局、どうですか。 ○事務局  計算上では、今現在お使いになっている患者さんを維持していく分には問題ない量だ と考えております。 ○溝口部会長  福武先生、何かございますか。 ○福武参考委員  私も血友病の患者さんの診療に当たっている立場ですので、白幡先生がおっしゃった ことと全く同じ意見でございます。同じことを繰り返しても仕方がないのですが、同じ 意見でございます。  それからコージネイトがなくなってしまったときにクロスエイトやコンファクトFに 切り替えていただくために、今コージネイトがないのでしばらくの間切り替えていただ きたいということをほとんどの方にお願いしておりますが、ほとんどの患者さんからは いつ再出荷されるのかというのを毎月のように聞かれます。非常に待っている状態にな っているわけです。そういう中で、もちろん一端造れなくなった製剤というものに対し て新たな不安を持っている方も中にはいらっしゃるとは思うのですが、やはり我々は患 者さんがどういう希望でいらっしゃるかということをつかんで、できるだけその希望に 応えられる努力をしなければならない立場でございます。  そういった意味で、これから患者さんの御希望を聞きながら、どう対応するかという のを考えていかなければならない非常に難しい状況でありまして、6か月分の在庫を確 保しながらどうしてもやらなければいけないと言われたときに、多くの方にそれで理解 していただけるかどうか、そこにあるものを使えないという状況を理解していただける かどうかというのを大変心配しております。しかし、全体のバランスをとらないと全体 がうまく機能しないということを十分御理解いただきながら、我々は話を進めているつ もりです。ひとまずこの件に関してはそのように考えております。 ○溝口部会長  もう一つ、コンファクトの件はどうですか。 ○福武参考委員  このままコンファクトFの在庫がたまって無駄になるということは、やはり全体的に 見て非常に大きな損失でありますので、何とかしなければいけないと思っております。 コンファクトFを以前お使いいただいていた患者さんには、更に今コンファクトFを使 い続けていただきたいとお願いしております。コンファクトFの液量が多くなるとか、 患者さんにとって非常に不便な点があるのは事実ですが、日本全体として第VIII因子製 剤を維持していくための御協力という意味でお願いして使っていただくというふうに考 えております。我々もいろいろな場面で、病院の中でコンファクトFを使っていけるよ うな症例に遭遇すればなるべく使うという、専門医としてそういった立場で臨んでいか なければいけないと思っております。ただ、これを急に2倍、3倍使うということはや はり無理だと思いますので、10%とかそういった量を多く使う努力をしながら、過剰在 庫にならないような在庫量を維持していただくと。そのくらいのことしか我々はできな いと思いますので、余りいつまでも大量生産を続けてしまうと後で収集がつかなくなる と。現状を見て刻々と変えながら、対応していっていただかないといけないのではない かと思っております。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。大平委員、どうぞ。 ○大平参考委員  これまで献血者の方たちにも大変いろいろ御迷惑をかけながら増産に励んでいただい たわけですが、その中でまた原料がだぶついてきたという話になると、またかなり身勝 手だということを言われてしまうところもあると思います。医療の場面というのは、そ ういうしようがないところがあるのかもしれません。しかし、ちょっと厳しいことを言 いますと、バイエルは被告企業なのですから私たちはうるさく言いたいと思うのです。 やはり安定供給とか、製剤の安全性についてはきちんと責任を持って関与していただき たいということをお願いしたいと思っております。  FSに関しましても、リコールの話や回収の話とかいろいろな情報が出ています。で すから、そういった安定性の問題について、本当にFSが安定して日本で患者に安定的 に供給できるのかどうかというところは厚生労働省の方でもきちんと審査されて、そし て厳しい条件を課してもいいのではないかとは思うのです。やはりそれだけいろいろな 方たちにかなり御迷惑をかけたということは確かなので、そういった点でいろいろなこ とを踏まえての制度の見直しというところもあるのだろうと思います。  そういった点で、資料オの方に書いてありますように、「現在コージネイトを使用し ていない患者に対し」という特別な理由付けがありますが、本来的にはもし供給するの でしたら、すべてのメーカーが6か月在庫を確保するというような形のきちんとした基 準をクリアできなかったら輸入できないということを、やはり明示できるようにしない といけないのではないかと思うのです。それはバイエルだけではなくてバクスター、日 本赤十字もそうでしょうし、いろいろなメーカーもそうだと思うのです。そういった不 安定な問題が絡むということで、血液以外の問題とか血液製剤の代用としての医薬品の 問題として、そういった問題がかなり大きな要素としてありますから、その辺を是非も う一度考え直していただきたいと思います。 ○溝口部会長  池田委員、どうぞ。 ○池田委員  二つほどお話ししたいのですが、一つは先ほどからお話が出ているように、やはりバ イエルの安定供給についてはもう少しきちんとしたコメントがほしいと。特に5月以 降、これがどうなのか。アメリカのバイエル社からの供給計画がここにありますが、例 えば最後のページにコージネイトFSで年間生産量に関する情報は一切開示していない と。開示していないのはいろいろな理由があるかもしれませんが、特に隠す理由もない し、なぜデータが取れないのかなという気がするのです。供給計画をアメリカから言っ てきていますが、そういう情報ですと本当にそれが確実に供給されるのか一抹の不安が あるということが一つ。  それからもう一つは、化血研のコンファクトFの在庫量が増えているのは非常に問題 だと思うのです。赤十字やバクスターの在庫量の予測はどういうふうになっているのか をお知らせしていただきたいということと、先ほど福武先生がおっしゃられたように、 やはり血友病の専門医は患者さんとの話合いというのを常に繰り返してやっていらっし ゃいますし、オープンな学会でも議論されていますので、その関係というのは非常に密 接だと思うのです。赤十字、化血研その他のいわゆる血漿分画から出てきたものの差、 それは多少使い勝手などいろいろあるかもしれませんが、我々がオープンで会議してい る場合にユーザーもいるし患者さんもいるわけですから、やはりその辺の認識も患者さ んと医者でシェアしてもらった方がいいのではないかと。恐らくそれはそれぞれ努力さ れていると思うのですけれども、患者さんの側にとってもやはりこれは一つ理解すると ころもあるのではないかという気がいたしますので、在庫量を少し減らせるような方向 を模索するというのはやはり臨床現場でも必要ではないかという気が私はしているので すけれども。赤十字やバクスターの在庫量はどうですか。 ○溝口部会長  日本赤十字社の方から何かございませんか。 ○伴野参考委員  今池田先生から御質問がありました件ですけれども、安定供給に関しては私どもも 5、6か月のものを持ちたいと考えておりますが、この表で見るように今大変ギリギリ の状態で、1ロットこけるともう供給できなくなるという綱渡りの状況です。昨年の3 月までは供給が落ちて製造体制もかなり縮小していたのですが、急遽倍に製造するとい うことで体制を固めて、それでも機械のメンテナンスも先送りして順に機械の面倒を見 ながら製造をいっぱいに続けているという状況ですので、やはり厳しい状況からまだま だ抜けないと思います。  この別紙2の表を御覧になると分かるように、需要量が2億4,000万単位に対して、 今の状態でも2億2,000万単位しか供給できないという状況、全体像から見ても大変綱 渡りの状況だということは御理解いただけると思います。 ○溝口部会長  どうぞ。 ○白石参考委員  在庫量に関してですけれども、資料ウの方にありますように私どもが書いている数字 は輸入量でございますので、実際に私どもで卸さんを通じて病院さんの方に出荷してい る量はこれより少ない量になります。ですから、昨年よりも現時点の方が在庫量がかな り厚くなっているのが現状であります。ただ、今後そういった形で輸入量を増やしてい くプランにはなっておりますが、厚くなるなり方が…。私どもは世界的に各国に供給し ている製造メーカーですので、そういった意味では日本だけを特別厚くするということ が実際に可能なのかどうかと、そういうことについては別途検討が必要になるかと思い ます。 ○溝口部会長  バイエルの方、どうぞ。 ○杉本参考委員  先ほどから御指摘いただいた点ですが、私どもはできる限りきちんとした輸入計画を 早急に入手いたしまして、逐次御連絡をさせていただくようにこれからも努力いたしま す。  それから今後の供給の件ですけれども、1月、2月に入ってきましたが、先ほどお話 いたしましたように私どもでは5月以降は輸入できると考えておりますが、やはりはっ きりとそれを見るまでは今私どもが供給させていただいている量を続けることしかでき ないということは事実であります。ですから、今コージネイトFSが入ったから明日か ら急に私どもの供給量が増えるということはございません。私どももその辺はよく見て お話しさせていただきながら供給していきたいと考えております。ですから、こういう ことで大変御迷惑をお掛けしましたが、皆様方の大変な御努力をいただきましたので、 私どもとしましても今後十分な在庫量を持ちまして安定供給に努めていきたいと考えて おります。  この資料オの1を読ませていただきましたが、常に前月出荷量6か月を在庫数に確保 するという形で余りきつく規定が出てしまうと、ちょっと気になることが二点ほどあり ます。先ほどお話がありましたように、もし患者さんから御要望があったときに6か月 のルールで供給できませんという…、そういうことはないかも分かりませんが、そうい う可能性がなきにしもあらずという点が一点。  もう一つは、今現在こういう形で私どもが世界的に供給が十分戻っていないという状 況で、もし日本が6か月以上あるいは10か月の在庫を持つといったことが表に出た場 合、外国で十分な量が回っていないときに少し不公平ではないだろうかといった点を指 摘されるのではないかと、今これを読んでふっと思いました。その点を少し御検討いた だけたらと考えております。ただ、私どもは1日も早く十分な在庫量を持ち、安定供給 に努めていきたいと考えております。以上です。 ○溝口部会長  清水先生、何かございますか。 ○清水委員  二点あるのですが、一つはクリオの関係です。先ほど草刈さんの話では、原料血漿の 有効期限は1年というお話だったのですが、クリオになったらどのくらいの年限がある のですか。 ○草刈参考委員  特にないですね。 ○清水委員  特にないのですか。では5年でも10年でもいいということですか。 ○草刈参考委員  数量も違います。 ○清水委員  けれども、規定はないということですか。 ○伴野参考委員  目安として新鮮凍結血漿が1年というのは、やはり凝固因子活性が下がるからという ことで、多分それに準じて処理しないと回収率が非常に悪くなると…。 ○清水委員  ですが、特別に規定はないと。 ○伴野参考委員  特別な規定はないと思います。 ○清水委員  分かりました。それからもう一つは、これは今日は提案だけにとどめておきますけれ ども、日赤はクリオの製造を5、6年以上前に中止しましたが、クリオが原料というこ とになると、クリオの段階でストックをしておくと。そうすると、やはりクリオの使え る臨床例あるいは病態というのがあるわけですので、そういうところで使うことも検討 しておく必要があるのではないかというのが一点です。  もう一点、化血研の問題は当然起こってくるべき問題でして、今の議論を聞いており ますと何かメーカーサイドばかりが責められているような印象で、私はむしろこれこそ 正にこの血液事業法のモデルとして最もふさわしい審議会の在り方を問う問題の一つだ と思うのです。ですから、こういう問題をどういうように国家的レベルの問題として位 置付けて、議論をして方針を出し、刻々と変わっていく状況に対応していくのかと。そ ういうような体制を血液事業法の中に組み入れて、それを法的にバックアップするとい うことを考えていただきたいと。これはそういう意味では非常にいいモデルだと思うの です。臨床医も問題ですし、メーカーサイドにも問題があるだろうし…、それから献血 者を集めるとか、あるいは行政の対応の問題もあるだろうし。そういう意味で一番いい モデルだと思いますので、是非一つのモデルとしてどういう解決あるいは対応の在り方 があるのかお考えいただければ、大変いいのではないかと思いました。 ○溝口部会長  大変貴重な御意見ですけれども、先ほどから繰り返し申し上げているように、こうい う資料などはすべて公開されますので、それを基に患者さんあるいは医師、製造業者す べての方々の御協力で過不足のない自給体制をできるだけ保つことができるのではない かと私は考えていますし、この審議会が一つの役割を果たしているのではないかと考え ております。福武先生はいかがですか。 ○福武参考委員  先ほど血友病の専門医がどういうふうに治療していくかというお話があったのです が、日本血栓止血学会においても血友病治療の標準化委員会というものがありまして、 私どもも現在の血液凝固因子製剤の状況を見てどういう治療法を採るべきかということ を全体的、社会的な側面も含めて考えながらやっております。ですから、コンファクト Fが過剰在庫にならないようにという努力も、そういった面からしているつもりでござ います。ただ、今回コージネイトが輸入できたという情報が昨日入ったばかりのことで すので今まで何も動くことはできておりませんが、こういう事実がありますので、今後 はまた新たな展開をしていきたいと考えております。  それから先ほどもちょっと出てきた6か月の問題で、私からは西田課長補佐にメール を出させていただいたのですが、やはりこの「6か月」という言葉で厳しく制限をされ てしまうと、バイエルさんがもし在庫が少なくなってきたときに、6か月分を切ってし まうので新しい患者さんは駄目ですというようなことを言わなければならない立場にな ってしまう。それは大変私どもは困るわけで、その辺は臨機応変に何とか運用できる範 囲の文言でとどめていただきたいと考えております。  それから最後にもう一つですけれども、今危機管理ということが出てまいりました が、私自身が一番心配していることというのは、日本の血漿分画製剤がBSEの問題な どに絡んで社会的に非常に不安定な状況に追い込まれる可能性はないかどうか。これか らその月々変わっていくであろう情報を、血液事業部会がどのようにとらえて危機管理 をされていくか、どういうことが発生したときにどういう手を打つかということを考え ておいていただかないと大変心配であります。そういう意味からいきますと、このリコ ンビナント製剤が日本に十分にあるということは、少なくとも危機を乗り越える非常に 重要な要素になってきますので、今後プロテインフリーのリコンビナント製剤というも のが出てくる中で、いかに早く日本に導入していくかということもお考えいただかない と、患者さんの安心が得られないのではないかと思っております。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございます。予定した時刻を大分延長しておりますけれども、今の 御提案のうちの2、3、4については異論が出ておりませんが、1のバイエル薬品に関 するコージネイトを使用していない患者に対してどうするかということと、6か月分の 在庫という点が議論の対象になっております。それについて事務局から何かございます か。 ○血液対策課長  まず草刈参考委員、また大平参考委員から先ほど御指摘がありました、資料オの1の 「現在コージネイトを使用していない患者に対しコージネイトFSの供給を開始する場 合」という文言については要らないという御指摘でございますが、当方の趣旨といたし ましても、患者さんに対して安定供給を確保するという観点でここに提示させていただ いたこととは同じでございます。そういう意味では、ここでの趣旨は現在市場に出てお りますコージネイトと、コージネイトFSが存在する状況がしばらく続くということを 考えてここへ入れたものでございますので、条件付けをしたという趣旨ではございませ ん。したがいまして、これについて削除させていただいても当方としては同じ意味にな ります。  もう一度申し上げますと、2行目の「鑑み、」の後ですが、「現在コージネイトを使 用していない患者に対しコージネイトFSの供給を開始する場合」までは削除したもの を事務局提案とさせていただきたいと思います。 ○溝口部会長  6か月の点は少し幅があってもいいかどうか、いわゆる「できるだけ」くらいのとこ ろではいかがかということです。 ○血液対策課長  委員の先生方に御了解いただければ、「おおむね」といった文言を入れさせていただ くことを御提案させていただきます。 ○白幡委員  是非そうしていただきたいです。 ○溝口部会長  ただ、全体の需給は5月以降のFSの供給がはっきりしていませんので、それまで皆 様御理解いただきたいと思います。ほかにどなたかございますか。 ○血液対策課長  もう一回よろしいですか。確認でございますが、福武先生あるいは白幡先生の御懸念 の点に関しましては、私どもの趣旨といたしましては昨年来のコージネイトの出荷動向 にかんがみて、当面の間患者さんへの安定供給をお願いするという趣旨でございますの で、こういったことをずっとバイエルさんにお願いするという趣旨ではございません。 そういった意味で、当面「本年中は」というふうに書かせていただきました。今後の動 向を見させていただいた上で、また部会にも諮りながら今後の動向を考えていきたいと 思っております。そういった意味では、ずっとこれを続けていくかどうかについては、 今現在では当面の間として考えていくということです。  それから福武先生のいろいろな御懸念の一つは、緊急事態が起こった際といったこと だと思いますが、そういった事態が起こった際には、またいろいろな条件を上回ってこ れを最大のプライオリティでやっていただくという趣旨でもございません。また不測の 事態が起こりました場合は優先順位をつけ部会の方で御意見をいただきながら、その都 度検討していきたいと考えています。そういった意味では、今後の動向を見てフレキシ ブルに対応していきたいと考えております。ただ、現時点において当方で考えている案 というのは、これが適切ではないかと考えております。 ○白幡委員  一つだけよろしいですか。細かいことばかりいいますけれども、緊急の事態が発生し た場合にこの会議に諮っていただく時間的余裕がありませんので、むしろ最初のここで 「おおむね」などを付けておいていただければ、それで対応できるのではないかと思う のですけれども。 ○血液対策課長  そういった趣旨で付けさせていただきます。それを上回るような何かという意味で、 何かという具体的事例ということで…。 ○溝口部会長  おおむね6か月分ということでいいですか。 ○血液対策課長  「おおむね」という言葉を付けさせていただくということでよろしいですか。 ○溝口部会長  では資料を修正して、一応お認めいただけますでしょうか。どうもありがとうござい ました。お認めいただいたものとさせていただきます。もう大分時間が過ぎましたの で、以上をもって血液事業部会を終わらせていただきたいと思います。御協力大変あり がとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 中山(内線2905)