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第6回BSE問題に関する調査検討委員会の概要について<暫定版>

(平成14年2月13日)

1.委員の出欠

 委員10名全員が出席された。

2.資料説明と質疑

○資料一覧
資料1 主要国の畜産・食品行政における役割分担
(イギリス、ドイツ、フランス、EU、米国、豪州、スイス)
資料2 日本の畜産・食品行政における役割分担
資料3 食品安全性に関する「リスク分析」について
資料4 世界の牛海綿状脳症(BSE)の発生状況と主要各国及び我が国の対応について
資料5 牛海綿状脳症(BSE)感染牛の発生に係る対応の経緯について
資料6 現時点までのBSEにかかる各国の対応
資料7 「BSE問題に関する調査検討委員会」における委員の主な御発言(第1〜5回)の概要
資料8-1 第5回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料等(農林水産省)
資料8-2 第5回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料(厚生労働省)
参考配布1 イギリスの農漁食料省(現:環境・食料・農村地域省)と食品基準庁、保健省と食品基準庁の覚書
参考配布2 欧州委員会が2000年11月に提案した食品安全に関する規則案(抜粋)
牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査結果(第5回提出資料の訂正)

 関係資料について事務局からの説明後、質疑等が行われた。その中では、次のような御意見・御質問があった。

・ BSEが社会的に大きな問題となった時期は、BSEの発生が1万頭を超し、人にうつるという話が出てきた90年、vCJDとの関連が公表された96年、ヨーロッパで急増した2000年の3つの時期である。96年、2000年については検証はだいたい終わっているが、90年については検証が十分でない。資料としても、90年のOIEのBSEに関するミーティングレポート、91年のWHOの動物とヒトの海綿状脳症に関する専門家委員会報告とそこで言及されている91年のOIEのガイドラインなどが提出されていないが、これらを受けて日本はどのような対応をしたのか。90年からBSEが各国に広がって行った。90年は96年よりも重要な時期である。
・ 90年に、英国政府から日本政府に対し、肉骨粉の使用禁止に関する通知が来ていたとの報道があるが、その資料があるのであれば提出して欲しい。
・ 90年には農林水産省が英国で調査をしているが、90年、91年当時のことをもう少し検証する必要があるので、一連の資料を提出して欲しい。
・ 英国では農漁食料省(現:環境・食料・農村地域省)と保健省との間の覚書はあるのか。
・ 諸外国の行政組織の説明があったが、食の安全というのは、科学的基盤に則り、行政は科学者と相談して取り組む必要があるが、そういった面での組織はどうなっているのか。例えば英国では、研究推進のための組織である海綿状脳症諮問委員会が中心となって、科学的な見地からBSEの安全対策を進め、EUでも科学運営委員会が科学的な面を検討し、行政に対して発言してきた。行政組織だけでなく、そのような点についても整理して欲しい。
・ ドイツにおける連邦リスク評価研究所、連邦消費者保護・食品安全庁の創設については、アウトラインができただけでまだ動いていないのか。そうするとどのように機能するかの評価はまだ難しいのか。
・ 主要国の畜産・食品行政における役割分担について、いくつかの国について説明があったが、全体を通してある筋書きが見えるのか、見えないのか、リスク評価とリスクマネージメントをそれぞれどこでやっているのかについて説明して欲しい。
・ 欧州食品安全機関の中にある「科学パネル」の構成員は専門家であるが、EUの「科学運営委員会」とは別の組織か。
・ 食品安全性に関するリスク分析については、「食品の安全の確保」の観点から是非制度化すべきである。
・ 今の日本では、制度として、リスク評価はされているが、リスク管理をする場はあるのか疑問である。リスク評価は、科学的に行い、政治的、社会的な考慮をしないで行うわけであるが、一方、リスク管理については、消費者の健康保護を第一として、それぞれの選択肢のコストと便益、技術的達成可能性その他の諸要素、ここに政治的、社会的な要素も加味され、総合的に考慮して判断することになる。こういったリスク管理はどこでやっているのか。
・ 情報公開については最近は徹底されてきており、パブリックコメントもあり形式的には消費者が意見を言う機会は確保されている。しかし、関係者と協議して決定しているかと言えばそうではない。例えば遺伝子組換え食品の場合、薬事・食品衛生審議会においても審議され、科学的な評価が出されているが、遺伝子組換え食品についての必要性、有用性を議論する場ではなく、そのような議論をする場が不足している。
・ 例えば農薬のリスク評価とリスクを管理する基準値の設定は同時に行われている。リスクの評価と管理は一緒になって行われており、切り離されていない。
・ 海外でもリスク評価とマネージメントがきちんと分離されているかどうかと言えば、英国、フランスをみると曖昧なところがある。また、独は分離していこうという方向であるが、現実にはどうなるかは不明である。
・ 各国はそれぞれの基盤があるので、理論どおりには行かないということがわかった。単純にシステムをそのまま導入するということではなく、我が国として、どういう考え方で行けばいいか、食品の安全に関する哲学をまず整理した上で、そのためにどういうシステム・組織が必要なのか議論をする必要がある。
・ 一般的に、審議会においてリスク評価を行っているとの話であるが、委員として業界代表、利害関係者が入っている審議会がある。農林水産省、厚生労働省でそれぞれ基準を作っているが、それは結局は業界団体の申し合わせ事項ではないか。リスク評価を行う上でも、産業担当官庁から離れて、リスクマネージメントとは別の組織で、科学的な立場から実施するべきであろう。少なくともこういった切り離した形でのリスクアセスメントの組織がなかったことは反省すべきである。
・ 我が国では、リスクアセスメント、リスクマネージメント、リスクコミニュケーションなどが大衆の言葉になっていない。予算等もしっかりついている交通安全教育に比べ、食の安全に係る教育に関しては、食の安全を説明する学者、専門家等がいない。
・ リスクアセスメント、リスクマネージメント、リスクコミニュケーションなどは、予防、消費者保護、独立性の保持といった3つの原則が重要であり、これを機会にリスクにかかる運動を進めて欲しい。
・ 我が国においては、何がリスク分析であるかも不明であるのが現状であり、我が国におけるリスク分析の実態についてわかりやすく説明して欲しい。食に関するそれぞれの組織について、どういった仕事をしているか。部、課、係がどのような人たちで、何人で構成されているのか。また、どのような権限を持って、どういう仕事をしているのか等について教えてほしい。これは、今後行政システムを考える上で、リスク分析の体制についての現状把握が重要だからである。また、行政改革の時代であり、「焼け太り」は許されないので、そのようなことも踏まえて検討しなければいけない。
・ 内閣府、農林水産省、厚生労働省、環境省、経済産業省の安全対策、消費者保護、情報公開に係る組織はどうなっているのか。産業振興しながらリスクマネージメントをやっている部局があるが、そういったところがリスクマネージメントをしながらリスクコミュニケーションもやっている状況がわかるような資料を提出して欲しい。
・ 両省において、食にかかわらない危機管理体制についても資料を提出して欲しい。
・ 農林水産省と厚生労働省は、独立の食品安全に関する機関を設ける気はあるのか。
・ 現状では、リスク評価とリスク管理を同じ組織がやっているが、リスク評価すると、規制つまりお金がかかり、それを誰が負担するかで政治的に圧力がかかる。その結果として、リスク評価をしたけれども出さないでおいて、リスク管理の体制が整ってから、リスク評価が出てくるというやり方になっており、分離するのは一つの案である。ヨーロッパでもそういう流れが出てきた。
・ 資料説明でリスク評価は厚生労働省、リスク管理は両省という話があったが、例えばEUステータス評価の対応については、厚生労働省は内容が肉骨粉の問題ということで避けているが、リスク評価してそこに原因があるのであればくちばしをはさむべきであり、今後そのような体制はとれるのかどうか。
・ 今回のBSEに関する対応の問題については、重要な点が3つある。1点目は農林水産省の対応、2点目は両省(農林水産省、厚生労働省)の連携、3点目は専門家の意見を行政に汲み上げるシステムがなかったことである。1点目についてはこの場で十分議論されているが、2点目、3点目は深い議論がなされていない。
・ 1点目の農水省の対応、2点目の両省の連携の問題を解決するものとして、総理大臣が食品安全庁のような新たな組織について言及しており、各新聞等も賛成的な意見を掲載しているが、何の解決にもならない。新たな組織で誰が働くのかと言えば、農林水産省と厚生労働省の出身者が働いて、形式的に統合されるだけで、同じことを繰り返すだけである。次回にそれを議論するのであれば、食品安全庁ができた場合に、両省出身の職員の間で、英国でやっているような覚書も必要のない、融和した政策ができるのかという担保をとる必要がある。それは全職員の担保がなければ成り立たない。
・ 今後どうすればよいかと言えば、3点目の専門家の意見を汲み上げるシステムについて、我が国は世界に誇るシステムを持っている。それは内閣府にある「総合科学技術会議」であり、関係省庁はここでの専門家の意見に従うことにより我が国の科学技術政策が1本化する仕組みとなっている。こうした先例を参考にして、例えば、内閣府に、総理大臣を議長として、国民の健康被害を考える「健康政策総合会議」のようなものを設置し、リスクアセスメントに関する骨太の方針を策定するなど、権限を持った専門家の考えを行政に反映させるシステムを構築して欲しい。
・ (資料8−2 「4.会議への参加状況」に触れ)食肉・食鳥処理問題調整協議会は年に1度開催されているがこうした制度については運用について評価する必要がある。また、厚生労働省開催の各種会議への農林水産省の参加については、会議により出席している課が異なっており、会議終了後に各課相互に連絡しているのか疑問である。
・ 今後へい死牛のサーベーランスが動物衛生研究所を中心に行われると思うので、厚生労働省と農林水産技術会議等との連携が必要である。
・ 諸外国における畜産・食品行政に関する役割分担は国の事情により対応状況が異なるが、いずれも食品の安全性の確保、消費者保護に重点が置かれている。我が国においても、制度的に省庁間の政策調整システムがあるが、実効性等難しい点がある。今後の実効性を確保するためには、協議・検討する共通の場が必要であり、これは「制度」と「組織」の両面から検討することになると思うが、その際のポイントとしては、(1)実施マニュアルの策定、(2)「(1)」について高いレベルでの了解、(3)「(1)」についての内容に公開性(透明性)を持たせること、といった点に留意しながら検討していく必要がある。
・ 委員会として海外調査を実施するのであれば、国民の税金を使うということで、国民は厳しい目で見ているので、間違っても甘い話であれば乗るわけにはいかない。また、調査することによって、両省に対しては、我々の目は甘くなることはなく、さらに厳しくなることを覚悟していただきたい。
・ (資料8−2に)食品衛生法改正の請願があるが、日本生活協同組合連合会がこの請願に基づき具体的に食品衛生法を研究してそれをまとめた冊子があるのでそれを資料として提供して欲しい。

(照会先:食品保健部企画課 内線2455.2450)


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