02/01/23 第2回 社会保障審議会 年金数理部会 議事録      第2回 社会保障審議会 年金数理部会 議事録 時間  :平成14年1月23日(水)13:00〜15:00 場所  :全国都市会館 第2会議室 出席委員:堀部会長、都村部会長代理、近藤委員、田村委員、林委員、山崎委員      渡辺委員 開会 ○畑首席年金数理官  定刻になりましたので、ただいまより第2回社会保障審議会年金数理部会を開催させ ていただきます。  審議に入ります前に、本日の委員の出欠状況についてご報告を申し上げます。  本日は栗林委員と宮島委員がご都合によりましてご欠席とのことでございます。ご出 席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しております ことをご報告申し上げます。  なお、本日は年金局長が所用のため遅れて出席する予定でございます。それでは、以 後の進行につきましては堀部会長にお願いいたします。 ○堀部会長  委員の皆様にはご多忙の折り、お集まりいただきましてありがとうございました。  本日の議題のうち、まず議題1「平成11年度財政状況」につきまして、厚生年金保険 ・国民年金と農林漁業団体職員共済組合の財政状況に関する説明を聴取することとなっ ております。本日、農林水産省から佐藤協同組織課長にご出席いただいております。ど うもありがとうございます。  財政状況の報告を受けます前に、財政状況に関し、公的年金各制度から報告を求める 事項について確認をしたいと思います。前回の部会におきまして、財政状況に関し、公 的年金各制度から報告を求める事項案についてご審議いただきましたところ、幾つかご 意見が出されました。ご意見の中には制度所管省の側の対応に時間を要するものがある と考えることから、事務局に調整をお願いいたしました。  その状況を踏まえて、1月16日に年金数理部会長名で、各制度所管省に対して平成11 年度の財政状況について報告依頼を行いました。前回の部会でいただいたご意見に対す る対応状況について、まず最初に事務局からご説明をお願いいたします。 ○畑首席年金数理官  それでは、私の方から資料1につきまして簡単にご説明させていただきたいと思いま す。  前回、部会の委員の方々からご意見がございまして、それを踏まえまして調整させて いただきました。通算老齢年金あるいは通算退職年金の平均年金月額あるいは平均加入 期間や被保険者の分布等の関連のデータをさらに男女別等に詳しく出す必要があるので はないかというご意見がございました。この点については、基本的に対応可能だという ことで関係各省ともそういうご返事でございましたので、本日の資料1−1で言えば5 〜6ページあるいは9〜11ページに前回の内容を改善させていただいております。  それから、積立金に関する資産構成も時価表示でも見る必要があるのではないかとい うご意見もございましたので、13ページにそのような形で少し様式を修正させていただ いております。厚生年金、国民年金にありましては積立金の自主運用が始まる13年度分 から対応は可能だということでございます。また、共済組合につきましては、基本的に 規則上は簿価表示ということでございますけれども、参考という形で時価で対応できる 項目については対応するということでございますので、そのようなことで様式を修正さ せていただきました。  また、資料1−2についても、以上とほぼ同様の修正を致しております。  なお、それ以外の項目につき、いろいろとご意見をいただきましたけれども、例えば 総報酬制のことなどに関しましては実施年度が15年度からでございますし、この前ご指 摘いただいたその他の項目につきましては、なお様式等も関係各省とも調整させていた だきながら今後詰めさせていただき、来年度以降の様式に逐次改善をしまして、取り入 れてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○堀部会長  ありがとうございました。  今、首席年金数理官から話がありましたように、報告を求める事項につきましては今 後各制度所管省から報告を受ける過程で新たな意見、要望も出てくることと思います。 それにつきましては、各制度所管省との調整を行いながら、平成12年度以降の財政状況 報告において徐々に改めていくということで、平成11年度は資料1のとおり報告を受け ることにいたしました。  それでは、平成11年度財政状況についての議事に入りたいと思います。  最初に厚生年金・国民年金の財政状況について報告を受けたいと思います。数理課長 、よろしくお願いいたします。 議題1.平成11年度財政状況について(厚生年金保険・国民年金) ○坂本数理課長  厚生労働省年金局数理課長でございます。  本日は厚生年金と国民年金につきまして平成11年度末における財政状況をご報告させ ていただきたいと思います。  まず、お手元の資料2についてご説明させていただきます。  資料2の1ページでございますが、まず厚生年金の財政状況についてご報告させてい ただきます。この1ページの1「財政状況」、これは平成7年度から11年度までの収支 状況を記してございますが,主に平成11年度の状況につきましてご説明させていただき ます。  まず収入でございますけれども、平成11年度には保険料の収入が20兆2,099 億円ござ いました。平成10年度と比較いたしますと4,052 億の減収となっております。これは被 保険者数の減、それから一人当たりの標準報酬の減ということで、やはり不況の結果が 出ておるように思われます。  次に国庫負担でございますが、平成11年度は3兆6,356 億円ございました。平成10年 に比べますと8,054 億円増ということになっておりますが、これは平成10年度まで国庫 負担の繰延べがあったということで、平成11年度には国庫負担の繰延べがございません でしたので、その分大幅に増えているという状況でございます。  それから、運用収入でございますが、平成11年度には4兆7,286 億円ございました。 平成10年度から見ますと4,878 億円の減となっておりますが、これはここ数年間、資金 運用部への預託金利がずっと減少してまいっております。その結果を反映しての減収に なってございます。  それから、基礎年金交付金でございますが、これは厚生年金の受給者のうち、昭和61 年4月前に裁定されました者の基礎年金相当部分の給付のために必要な費用を基礎年金 勘定から受け取るという仕組みになってございます。その基礎年金勘定から受け取る金 額がこの基礎年金交付金でございまして、平成11年度には2兆3,036 億円の交付金がご ざいました。  基礎年金勘定から受け取りますこの交付金でございますが、これは対象者が減ってい くのみの給付でございますので、今後この金額は減り続けると。平成10年度に比べまし ても減っているということでございます。スライドの状況にももちろんよるわけでござ いますけれども、基本的には減少していくものでございます。  次に、制度間調整交付金275 億円というのがございます。これはちょっと飛びますが 、支出の項目の中に制度間調整拠出金というのがございます。276 億円ございます。こ れと相殺いたしまして、1 億円の実質的な支出ということになるわけでございますが、 これは平成2年度から実施されておりました制度間調整事業、JR、JT、NTTが平 成9年度に厚生年金に統合されましたけれども、そのまでの間実施されておりましたつ なぎの措置の制度間調整事業が平成8年度まであったわけでございます。平成8年度ま でこの事業があったわけでございますが、平成8年度末、つまり平成9年2月、3月の 給付分につきましては平成9年度に処理したところでございます。その処理の精算分が 平成11年度に出てきているということでございまして、この制度間調整事業の最後の精 算分ということになっておるわけでございます。来年度からこの項目があらわれること はございません。  収入の次の3つの項目、国共済組合連合会等拠出金収入、積立金相当額納付金、それ から職域等費用納付金、これは平成9年4月に旧三公社の共済年金が厚生年金に統合さ れたわけでございますが、それに伴う措置の勘定科目でございます。  まず、国共済組合連合会等拠出金収入というのは、JR、JT、NTTの共済組合を 厚生年金に統合いたしました際に、その統合後の期間につきましては厚生年金全体で費 用を支出していくということでございますが、それ以前の期間につきましては被用者年 金全体でサポートしていくということで、国共済連合会、地共済連合会、農林年金、私 学共済、各共済組合から拠出金を拠出していただきまして、JR、JTの赤字分を補て んしているところでございます。その金額が平成13年度までは、共済組合からは327 億 円持ち寄るということになっておりまして、その327 億円が収入として計上されておる わけでございます。  その次の積立金相当額納付金というのがございますが、これはその統合の際に3共済 が積立金を移換することとされたわけでございます。JRが約1兆2,000 億円、JTが1 ,200 億円、それからNTTが1兆1,900 億円という金額になっておったわけでござい ますが、この積立金を最高で20年に分けて分割納付することができることになっており ます。ほとんど前倒しで移換されておるのでございますけれども、その一部として平成1 1年度には4,842 億円の納付があったということでございます。  それから、次の職域等費用納付金でございますが、旧三公社の受給者につきましては いわゆる昔の恩給相当期間、昭和31年7月前の期間でございますが、その期間につきま しては保険料で賄う部分ではございませんで、事業主が賄うというものになってござい ます。 一方でこれらの受給者につきましては3階部分もあるわけでございます。これを社会 保険庁が肩代わりしましてその給付を支払っておるところでございますが、その財源を もとの共済組合であります、いわゆる存続組合あるいは指定基金というところが厚生保 険特別会計にその財源を移換いたしまして社会保険庁がその給付を支払うということに なっているものでございまして、その金額が平成11年度には4,256 億円あったというこ とでございます。 その他といたしまして、過払い年金の返還金等が275 億円あったということで、収入 総額は合計で31兆8,753 億円あったということでございます。  次に、支出でございますが、まず給付費は18兆7,364 億円あったということで、これ は受給者の増とともに今後も増加を続けていくものと見込まれるところでございます。  それから、基礎年金拠出金といたしまして、8兆8,235 億円あったということでござ います。これも我が国の人口の高齢化に伴いまして、今後も増加を続けていくものと見 込まれるところでございます。  それから、制度間調整拠出金につきましては、先ほどご説明申し上げましたところで ございまして、平成12年度にはもうこれはなくなるというものでございます。  それから、その他項目といたしましては、3,396 億円あがっておりますが、これは一 つは厚生年金基金への政府負担金でございます。昭和60年改正によりまして、いわゆる 報酬比例部分の給付乗率の変更がございました際に、国庫負担の基礎年金への集中と政 府負担金が設けられたわけでございますが、それらを含む金額がその他項目になってご ざいます。合計で、支出は27兆9,271 億円というものになってございます。収支残は3 兆9,482 億円となりまして、年度末積立金は134 兆7,988 億円となっておるわけでござ います。  この年の積立金の運用利回りは3.62%だったわけでございますが、このところずっと 減少してまいっておりますが、これは新規預託金利の減少に伴うものということでござ います。以上が1ページの収支状況でございます。  2ページは、今申し上げました11年度のお金の流れを図にしたものでございまして、 ご説明は省略させていただきます。  それから、3ページからでございますが、3ページからは給付状況のご報告でござい ます。平成12年3月末には受給権者は合計で1,857 万1,000 人、そのうち老齢相当の受 給者、長期間厚生年金に入っていたという人は858 万人、それから通老相当、短いけれ ども厚生年金に入っていたという人は597 万5,000 人、障害年金は41万5,000 人、遺族 年金は360 万1,000 人ということになってございます。そして、その年金総額あるいは 一部停止を含む年金が支給されている人と全額停止の人との内訳というものがここに記 されているような結果になっております。ここは説明は省略させていただきます。  次に4ページでございますが、老齢相当、通老相当というところに減額支給、増額支 給というものがございます。この減額支給は旧三公社の人のみでございます。それから 、増額支給は厚年の増額支給のみでございます。それぞれ減額支給の人は15万6,000 人 、また増額支給の人は老齢相当で1万2,000 人、通老相当で1万2,000 人いたというと ころでございます。  次に、年度末の老齢年金の受給権者の状況につきましてご報告申し上げます。男女合 計の数字でございますが、老齢年金、平均年金月額、これは基礎年金を除いたものでご ざいますけれども、平成12年3月末で15万2,207 円となっております。前年に比べます と1,316 円減少しておるわけでございますが、これはいろいろな要因がございまして、 新規裁定されて入ってくる人の給付乗率が低くなっているとか、定額単価が低くなって いるとか、あるいはまた60歳代前半で受給していた人が65歳になりますと基礎年金が分 離されますので、定額部分がなくなるような形で平均年金額を押し下げるというふうな 結果も出てまいります。そういうふうな要因がいろいろ重なりまして、このような変化 を示しております。傾向的には今後これは減少していくものと思われます。  それから、減額支給されたものを除いた平均年金額は15万2,072 円となっております 。減額されたものの平均年金額は15万9,488 円と、減額支給の方が高い数字になってお りますけれども、これは先ほど申し上げましたように減額支給の人は旧三公社のみでご ざいまして、職域部分も含んだものになってございます。さらに旧三公社の方が標準報 酬月額が若干高いということもございまして、減額支給しても少し高めになっていると いう結果になってございます。  今申し上げましたように、この15万2,207 円という老齢年金平均年金月額は基礎年金 を含まないものになってございますが、これに全期間分の基礎年金を加えますと、その 平均年金月額は17万6,161 円ということになっております。また、これらの受給権者の 平均加入期間は360 月となっておるわけでございまして、前年より3カ月増加している 。まだ、徐々に増加している状態でございます。  それから、通算老齢年金の方も同じような構成になっておりまして、通老年金平均年 金月額という項目の2万7,309 円という額は基礎年金を含まないものになってございま す。これに基礎年金を加えますと、5万3,705 円になるわけでございます。平均加入期 間は82月と。この通老相当の方は大体82月というところで落ちついた動きをしておると ころでございます。  次に5ページでございますが、以上の男女計のものを5ページは分解したものでござ います。ただ、この男女別に分解した統計が平成11年度からとりはじめたところでござ いまして、恐れ入りますが、9年度、10年度につきましてはその内訳がないというとこ ろでございますので、11年度だけ、つまり平成12年3月末だけここでご報告させていた だいております。  次に、6ページでございますが、新規裁定の老齢相当の平均年金月額等を見たもので ございます。これは基礎年金を含んだ数字でございます。男女計の老齢年金の新規裁定 者の平均年金月額は平成11年度で18万8,914 円という結果になってございます。減額支 給されたものを除いた平均年金月額は18万8,930 円、減額支給されたものの平均年金月 額は10万7,912 円となっておるところでございます。  その平均加入期間は412 月ということになっておるわけでございますが、ここで見て いただきますと、平均加入期間が昨年度から11月大幅に伸びておるところでございます 。その前はあまり伸びていないのに、ここで11月急に伸びておるのは、女子の支給開始 年齢がこの11年度に60歳に引き上げられたという効果がもたらしておるものでございま して、その支給開始年齢の引き上げの結果、女子の新規裁定者が非常に少なかったとい うことから、男子の平均加入期間に引きずられる形で、この大幅な伸びを示しておると ころでございます。ちなみに、女子の支給開始年齢が59歳に引き上げられました平成8 年度につきましても、平成9年3月末のところを見ていただきますとわかりますように 、その前年度からやはり11カ月という大幅な伸びを示しておるところでございまして、 女子のウエートが減ったことによってこの平均加入月数が大幅に増えている、そういう 特徴を示したものでございます。以上が新規裁定者の状況でございます。  次に、7ページでございますが、老齢相当の老齢年金受給権者の年齢構成を示したも のでございまして、男性では60歳から65歳の受給権者の占める割合が一番高くなってお りまして、女性では65歳から70歳の受給権者が占める割合が高くなっているという状況 になっております。なお、この表で55歳から60歳の受給権者が存在しておりますが、男 性ではこれは船保あるいは坑内員であった人が受給者になっているということ、支給開 始年齢の特例に係る者でございます。女性の方は支給開始年齢が低い状態で裁定された 人がまだ若干残っているというところでございます。平均年齢は男女とも約70歳という ところでございます。  次に、8ページでございますが、8ページからは被保険者の状況をご報告させていた だいております。  まず、被保険者数あるいは平均年齢、標準報酬の平均というところでございますが、 平成10年3月末は被保険者数は3,248 万1,000 人ということになっております。前年度 に比べますと、47万5,000 人の減ということになっておりまして、やはりここにも不況 による影響が出ておるものと考えられるところでございます。  それから、被保険者の平均年齢でございますが、40.5歳となっておりまして、前年度 より0.1 歳増えております。ここでも若干平均年齢が増加しているという傾向がうかが えるところでございます。  それから、標準報酬の平均でございますが、12年3月末で31万5,353 円となっており まして、前年度末よりも833 円の減となっておりまして、ここにも不況の影響が出てい ると考えられるところでございます。  被保険者数が減り、標準報酬の平均も減った結果、標準報酬累計も、これは年度間累 計でございますが、前年度よりも減少いたしまして、124 兆7,826 億円という結果にな ってございます。  それから、次の9ページでございますが、これは被保険者の年齢階級別加入期間別の 分布を示したものでございます。男女計でございますが、それぞれのブロックにこのよ うな分布になっているということでございます。  この対角線よりも上のところに若干の人数が出てきております。例えば、35歳から40 歳未満の階級で、加入期間が25年から30年というところに1,000 人という結果が出てお りますが、これは船員、坑内員につきましては、過去におきまして期間の算定に特例が ございました。61年3月以前の期間につきましては3分の4倍するとか、61年4月以降 、5年間につきましては5分の6倍するといった特例があったわけでございますが、そ の特例のために対角線よりも上の方にいっているというものでございます。  そして、10ページと11ページはそれを男女別に分けて示したものでございます。  次に、12ページでございますが、標準報酬の分布を見たものでございまして、男子に つきましては20万から50万くらいまで高原状態で分布しているというところでございま す。それに対しまして、女子の場合には20万、22万といったところが比較的高くなって おりまして、それに向かいまして12万6,000 円あたりからダラダラとのぼっていきまし て、30万に向けましてダラダラと下がっていく、このような分布になっております。  それから、13ページでございますが、これは積立金の運用状況ということで、11年度 につきましては、厚生年金の積立金につきましては全額資金運用部への預託ということ で、預託金として計上してございます。134 兆7,988 億円ということでございます。運 用利回りは当初申し上げましたように3.62%でございました。  それから、14ページからは財政再計算における将来見通しとの比較ということでござ いますが、収支状況の比較は平成11年度はちょうど端境期にございまして、11年再計算 が行われた後でございます。11年再計算は12年度以降の見通しを出しておりますので、 ここにおきましては比較するものがないということで、12年度以降その比較を報告させ ていただくことにしておるところでございます。  それから、15ページでございますが、11年再計算におきましては11年度の結果という ものがございませんので、再計算との比較にはなっていないわけでございますが、一応 、10年度末、11年度末のそれぞれの実績を記してございます。なお、新規加入者数につ きましては、統計がございません。一般制度の厚生年金ではこの統計がございません。 新規加入と再加入の区別ができないとかいろいろございまして、その統計がございませ んので、ここでは新規加入者数は省略させていただいております。  それから、また次の脱退者数につきましても、ここには統計がございません。喪失の 統計はあるのでございますけれども、その喪失者が年度内に再取得したかどうかという ことにつきましては、非常に判定が難しい状況になっておりまして、この統計もござい ませんので、ここでは省略させていただいております。なお、財政再計算の際に脱退率 を算定するわけでございますが、そのときにもこの脱退率というのは、喪失者統計から 推計したものになってございます。  それから、次に16ページ以降は財政指標の比較ということでございまして、11年度ま では実績、12年度以降は11年再計算における結果をご報告させていただいております。  まず、年金扶養比率ということでございますが、平成11年末の実績が3.79ということ になっております。それが平成11年再計算の結果では、平成12年度は4.0 と再び上昇し ておるわけでございますが、これは11年再計算の際には、ここまで被保険者数が落ち込 むという見込みにはなっておりませんでした。年度末被保険者数のところを比較してい ただきますとわかりますように、11年度末の被保険者数は3,248 万1,000 人となってお るわけでございますが、11年の再計算の12年度末における被保険者数の見通しは3,430 万となっておったところでございます。不況が予想以上に深刻になっているということ を反映した結果、年金扶養比率も財政再計算の結果の方が、高めになっているというこ とでございます。  17ページは総合費用率を比較したものでございます。この総合費用率でございますが 、11年度実績は17.0%という結果になっております。11年の財政再計算の見通しでは18. 6%と、ある意味で急激にジャンプしておるのでございますが、これは一つは財政再計 算の総合費用率の中には基金が代行しております給付分も含んでいるということで、基 金代行分の給付がここに含まれているために高くなっているという面がございます。そ れが一つの大きな要因でございます。  それから、この財政再計算の結果の総合費用率の見通しでございますが、15年度、16 年度は急激に低くなっておるわけでございますが、これはその下の注にございますよう に、15年度からは総報酬制となりますために、分母が総報酬に変わるということから低 くなっておるわけでございまして、ちなみにこれを標準報酬ベースに換算いたしますと 、20.7とか、16年度には21.3というふうな数値に換算できるかと思いますが、そういう 数値から見ますと連続的に上がっていくということがみてとれると思います。  それから、次の18ページは独自給付費用率を見たものでございます。この独自給付費 用率も平成11年度の結果は12.2%ということになっておるわけでございますが、平成12 年度の財政再計算結果では13.7%と上がっておるわけでございます。これは基金代行分 が入っている、先ほどの総合費用率と同じような要因によりまして、ここにジャンプが 起こっているということでございます。  それから、19ページでございますが、今度は収支比率を見ております。この収支比率 も11年度末の結果は84.9%となっておるわけでございますが、平成12年度の財政再計算 の見通しでは82.8%という値になって、若干デコボコしておるわけでございます。この 収支比率が増加する要因といたしましては、基金代行分を財政再計算は含んでいる。そ れから減少する要因といたしましては、基金代行分の積立金からの運用収入が財政再計 算の方では入っている。それから、標準報酬が大きめになっている。それから、保険料 収入に免除保険料分が入っているという要因によりまして、特別会計における実績結果 と財政再計算とのつながりが若干悪くなっているという結果になっております。  最後に積立比率でございますが、平成11年度末におきましては6.2 という結果が出て おります。平成12年度には財政再計算結果は7.1 ということで、これも基金代行分が入 っているということから、このような結果が、若干の不連続が起こっているということ になっておるわけでございます。  以上が厚生年金の財政状況のご報告でございます。  次に、国民年金の財政状況につきましてご報告させていただきます。  まず1ページと2ページは基礎年金についてのご報告でございます。まず1ページは 基礎年金勘定の収支状況ということで、収入といたしましては各制度あるいは国民年金 勘定から移されてくる基礎年金等拠出金は12兆7,828 億円あったということでございま す。それから、特別国庫負担、これはいわゆる免除期間あるいは二十歳前障害に対する 国庫負担、あるいはかさ上げ分に対します国庫負担を含む国庫負担でございますが、そ の国庫負担相当額が4,778 億円になったということでございます。  それから、運用収入の前に「その他」という項目を見ていただきますと、1兆470 億 円という数字があがっております。大きな数字でございますが、これは経緯がございま して、昭和61年に基礎年金が導入されますまでは、主に専業主婦でございますが、被用 者年金加入者の被扶養配偶者は国民年金に任意加入するという制度になっておったわけ でございます。したがいまして、国民年金の積立金の中には任意加入していた人の拠出 による積立金対応分もあったはずであるということから、国民年金の積立金をそのまま 国民年金勘定に全額渡しますと自営業者のみがその積立金の恩恵を受けるということに なりますので、任意加入していた人の分はいわば被用者年金に対応するものでございま すので、その分を基礎年金勘定に移して管理するという規定が基礎年金導入の際に設け られたところでございます。それを管理している金額をここに掲げてあるということで ございまして、その他収入のところで前年度から引き継いでくるものがあるわけですが 、1兆470 億円というものがあるわけでございます。そういう管理しているもののほか に、例えば給付金の返納金なども含むわけでございますが、そういったものがその他収 入として含まれてくる。この管理しておるものには、いわゆる積立金としての性格がご ざいますので、運用収入があるわけでございます。その運用収入がここで386 億円計上 されておるものでございます。これらをあわせまして、基礎年金勘定の収入総額は14兆3 ,462 億円ということになっておるわけでございます。  それから、支出につきましては、基礎年金給付費として支出したものが7兆6,146 億 円、基礎年金相当給付費、いわゆる基礎年金交付金でございますが、これは各制度で61 年3月以前の基礎年金導入前に既に受給者になっていた人につきましては、その受給者 の給付額の中に基礎年金に相当する部分を設けておるわけでございます。その基礎年金 に相当する部分として設けられているものに対しましては、この基礎年金勘定から各制 度にその財源を渡すことになっておりまして、その交付金が5兆7,695 億円あるという ことでございます。これはいわゆる閉じた集団でございますので、基本的には減少して いくのみということでございます。支出総額は13兆3,842 億円ということで、収支残は9 ,620 億円。この9,620 億円はまた12年度のその他収入となっていくわけでございます。  それから、その下にこの基礎年金につきまして、拠出金算定対象者がどれだけいたか 、拠出金単価が幾らであったか、その拠出金単価のうち保険料相当額が幾らであったか ということを示したものがその下の段になっております。拠出金算定対象者数は6,046 万9,000 人ということでございます。それから、拠出金単価が1万8,024 円となってお りまして、それから国庫負担相当額を除きました保険料相当額は1万2,016 円となって おります。ちなみに11年度の保険料額、国民年金の保険料額は1万3,300 円でございま した。  なお、今申し上げましたこの拠出金算定対象者数、拠出金単価、保険料相当額は確定 値でございます。それに対しまして、上に出ております基礎年金拠出金というのは、こ れは予算値でございまして、その差額は2年後に精算するという形で運営していくこと になります。  それから、2ページでございますが、これは基礎年金の状況を示したものでございま して、まず基礎年金給付費が7兆6,105 億円、11年度の確定値としてはあったというと ころでございます。また基礎年金交付金は5兆9,551 億円あったということで、この基 礎年金の給付に要する費用というのは13兆5,656 億円であったということでございます 。  その負担でございますけれども、この13兆5,656 億円のうち特別国庫負担が4,869 億 円ございましたので、基礎年金拠出金で賄う部分は一番左にございますように、13兆787 億円となったわけでございます。  これを各制度の人数の頭割りで割っていくという形で各制度に基礎年金拠出金を拠出 してもらうということになるわけでございます。ここから算定されました基礎年金拠出 金単価がこの表の下にございますように1万8,024 円でございまして、これで人数に応 じましてそれぞれ国民年金は2兆6,848 億円、厚生年金は8兆9,002 億円、以下各共済 組合にもこのような金額が割り当てられるというところでございます。  次に、3ページでございますが、今度は国民年金勘定、いわゆる1号被保険者、自営 業者の構成します年金勘定の収支状況でございます。まず、11年度の収支状況を見てま いりたいと思いますが、収入のうちの保険料でございますが、これは2兆25億円と前年 度に比べまして309 億円増えたところでございます。被保険者が増加したというところ で、このような増になったと見込まれるところでございます。  それから、国庫負担でございますが、1兆3,227 億円という結果となってございます 。基礎年金交付金でございますが、これは2兆6,748 億円ということでございます。積 立金からの運用収入は3,236 億円、それから給付費からの返納金などが41億円ございま して、合計収入総額といたしましては6兆3,276 億円あったところでございます。  それから、給付費は2兆7,781 億円ございます。この給付費のほとんどはみなし基礎 年金でございまして、国年勘定から出ている給付費は今後減少の一途をたどるものと見 込まれるところでございます。  それから、基礎年金拠出金は2兆9,716 億円、その他の支出といたしましては保険料 還付金等がございまして827 億円、合計支出総額は5兆8,324 億円あったということで 、収支残は4,952 億円、年度末積立金は9兆4,617 億円ということでございます。積立 金の運用利回りは3.58%であったということでございます。  それから、4ページは今の国民年金勘定の収支の状況を図にしたものでございまして 、これは省略させていただきます。  次に、5ページからは給付状況でございます。この給付状況は新法基礎年金と旧法国 民年金等を合計したものでございまして、被用者年金のみなし基礎年金に係る受給権者 あるいは年金総額といったものは含まれていないところでございます。  平成12年3月末におきましては、受給権者といたしましては老齢年金の受給権者が1,5 09 万人、通算老齢年金の受給権者、これは旧法のみということになるわけでございま すが189 万人、障害年金の受給権者が143万7,000人、遺族年金の受給権者が37万7,000 人という結果でございました。以下全部支給、一部支給、全額停止に分けまして、その 内訳を示させていただいたところでございます。  次に、6ページでございますが、減額支給、増額支給の受給状況を示してございます 。減額支給でございますが、平成12年3月末におきましては604 万人となっておりまし て、前年度よりも6万2,000 人減っております。これは繰上減額を選択する人が新規裁 定者からかなり減ってきているということを反映したことになっております。それから 、増額支給の方でございますが、これを選択する人は非常に少ないということでござい ます。  次に、老齢年金の年度末の受給権者の状況でございますが、男女合計で平均年金月額 は5万47円となっております。平均加入期間が276 月と若干増加してきている。今後も これは増加する傾向にあるものと考えられるところでございます。  それから、平均年金月額ですが、減額支給されたものを除いたものは5万7,006 円と なておるところでございます。また、減額支給されたものの平均は3万6,859 円となっ ているところでございます。以下、この男女の内訳を示してございます。この男女の内 訳でございますが、老齢年金の平均加入期間は男性の方が311 月、女性の方が253 月と なってございますが、この差は61年3月以前におきまして任意加入しなかった人が若干 いるということを反映した結果ではないかと考えられるところでございます。  それから、次に老齢年金の新規裁定の状況でございますが、11年度の新規裁定者の平 均年金月額は5万3,090 円となっておりまして、前年度より1,056 円増加していると。 スライドが0.6 %あったことや、月数が若干増加している。平均加入期間が6月増加い たしまして330 月になっている、このようなことが影響しているものと考えられるとこ ろでございます。  それから、男性の方の平均年金月額は5万8,464 円となっているところでございます 。平均加入期間は381 月となっているところでございます。女性の方の平均加入月数が 短いのは先ほど申し上げたのと同じ理由ではないかと考えられるところでございます。  次に8ページでございますが、老齢年金の受給権者の年齢構成でございます。年齢構 成はこのようになっているところでございますが、平均年齢は女子の方が若干高いとい うことになっております。これは女子の方がやはり長生きすることを反映した結果では ないかと考えられるところでございます。  それから、9ページからは被保険者の状況を見たものでございます。平成12年3月末 の被保険者、第1号の被保険者数は2,117 万5,000 人となっておりまして、前年度末よ り75万人増えている。これは未加入者対策の効果あるいは不況の影響によりまして、2 号から1号に移ってきている人が若干いるということが考えられるところでございます 。それから、3号につきましては1,168 万6,000 人となっておりまして、前年度末より も13万2,000 人減少している結果になってございます。これも不況の影響により、夫が 2号から1号に変わったという人が若干いるのではないかと考えられるところでござい ます。  また、被保険者の平均年齢でございますが、男性が38.1歳に対しまして女性が40.4歳 という結果になっております。これは妻の年齢が夫よりも低いケースが多くて、夫が例 えば60歳で定年になったというときには妻が50歳代であれば1号被保険者になるわけで ございますので、若干、女性の年齢構成、被保険者の年齢構成が50歳代の高いところで 多く分布しているということが影響して、女性の平均年齢が高くなっている、そのよう に考えられるところでございます。  それから、次に10ページからは被保険者の年齢階級別、加入期間別の分布を示したも のでございます。結果はこのようになっておるところでございますけれども、この結果 は被保険者期間といたしましては、第1号被保険者と第3号被保険者の期間の合計とい うことで、2号の期間はここでは含んでおりません。それから、この特記事項のところ でもう一つ書いてございますように、過去に不連続な第1号、第3号被保険者を有する 者につきましては、当該期間が表中の加入期間にカウントされていない場合があるとい うことから、どちらかというと実際よりも加入期間が短い方に分布している結果になっ ているのではないかと推測されるところでございます。  それから、60歳から65歳の年齢階級のところで加入期間が20年未満のところに入って いるという人がいるわけでございますが、これは他制度の期間がありまして、つまり2 号の期間がありまして、任意加入すれば受給資格期間を満たす可能性がある者がここに 分布していると考えられるところでございます。  それから、65歳以上の被保険者がいるということでございますけれども、これは昭和3 4年4月1日以前に生まれた者で老齢基礎年金の資格期間を満たさない者は任意加入で きることになっておりますので、それらの者がここに出てきていると考えられるところ でございます。  11ページ、12ページはそれらを男女別にあらわしたものでございます。  それから、13〜15ページは3号被保険者につきまして同じような年齢階級別、加入期 間別の分布を示したものでございます。これも説明は省略させていただきます。  それから、16ページでございますが、今度は積立金の運用状況ということで、これも1 1年度は全額、資金運用部預託ということになっておりますので、その預託金が9兆4,61 7 億円あるということで、このような数字になってございます。運用利回りは3.58%で ございました。  それから、17ページ以下は財政再計算における将来見通しとの比較ということでござ いまして、まず11年度の収支状況を財政再計算の見通しと比較するというのは、11年度 財政再計算でございますので、ここは端境期ということで、12年度からお示しするとい うことでございます。  それから、18ページでございますけれども、基礎年金の被保険者数及び受給者数の比 較ということで、これも財政再計算の結果はここでは表示しておりませんが、まず新規 加入者数につきましてはこれも国民年金という一般制度におきましてはこれはとれない というところでございます。それから、脱退者数につきましてもとれない、失権者数に つきましては、現在、みなし基礎年金を持っている受給権者が各被用者年金制度で失権 いたしました場合のものも集計してここで計上しないといけませんので、この統計のと り方については検討しておるところでございます。今回はここは省略させていただきま した。  次に、19ページからは財政指標の比較ということでございまして、まず年金扶養比率 でございます。この年金扶養比率のところで見ていただきますと、被保険者、組合員数 というところでございますが、被保険者数が11年度末は7,061 万6,000 人、それから財 政再計算結果では6,970 万人、財政再計算の方が若干低めになっておりますけれども、 未加入者対策等により実績が増加したということと、財政再計算におきましては未加入 者が少し大きく見込まれていたということから、ここで若干の不連続が生じているとい うことでございます。  それから、財政再計算結果の方でございますが、年度末の被保険者数が傾向的に減少 していっておりますけれども、ちなみに人口推計の20歳から64歳人口もこの年度を追う ごとに減少しているという状況でございまして、その傾向を反映したものと考えられる ところでございます。  それから、20ページでございます。次は、国民年金勘定の収支比率を示したものでご ざいます。平成11年度の収支比率は75.3%となっております。財政再計算の結果により ます収支比率は82.7%と、あまり連続性がないようになっているわけでございますが、 まず実績の方でございますけれども、これは予算ベースで繰り入れられたお金をもとに 計算しておりますので、この収支比率、実績の方も例えば国庫負担の状況等に応じまし て、随分影響を受けたりしておるところでございます。一方で、財政再計算での収支比 率というのはある意味で確定値で示した収支比率ということになろうかと思います。そ ういう意味での不連続性がここで生じているというふうに考えられるところでございま して、ちなみに基礎年金の拠出金が平成12年度は3.3 兆円という表示になっております が、11年度の基礎年金拠出金の確定値の方は3.2 兆円ということで、割と接続が良くな っておるというところでございます。国庫負担につきましても、12年度の国庫負担は1.5 兆円となっておりますが、11年度の確定値は1.4 兆円であったということがございま して、そういうことを考えると確定値での比較ベースでは、恐らくいいつながり方をし ているのではないかと考えられるところでございます。  それから、最後に21ページでございますが、国民年金勘定の積立比率は平成11年度末 では5.1 という比率でございました。それが、財政再計算結果では平成12年度では5.8 となっております。この財政再計算におきましては、過去の国庫負担の繰延べ及びその 利子収入というものが入った形で年度末積立金を見ておりますので、この収支比率につ きましては若干のジャンプが生じるということになっているわけでございます。  ちなみに、前年度末の積立金を見ていただきますと、11年度末は9兆4,617 億円とな っておりますが、財政再計算の12年度末では12.1兆円となっておりまして、若干ジャン プがあるわけでございます。それは国庫負担の繰り延べ分とその利子収入というものが 入ったという前提のもとで計算しているからでございます。以上、厚生年金と国民年金 につきましての財政状況のご報告でございます。 ○堀部会長  ありがとうございました。不況の影響があちこちに出ているというような数字だった ようですが、ただいまのご説明に対して何かご質問等がありましたら、よろしくお願い いたします。 ○渡辺委員  細かい点かもしれませんが、4ページ、5ページに書いてある老齢年金平均月額のと ころですが、これは基礎年金は除くとおっしゃいましたね。そうすると、例えば60から6 4の特別支給の老齢厚生年金は定額分をもらうと報酬比例があるわけで、これは含むと。 ○坂本数理課長  はい。 ○渡辺委員  65になると基礎年金額を除いた老齢厚生年金の分だけ、それを全部あわせて平均した ということですか。 ○坂本数理課長  そうでございます。あと、61年3月以前に裁定されました、旧法のもとで裁定されま した年金額につきましては、基礎年金みなし分も含んでおるわけでございまして、それ もこれには入っているということでございます。したがいまして、なかなか解釈が難し い数字になっていると。 ○渡辺委員  難しいというか、実態とかなりかけ離れたものになりますね。 ○坂本数理課長  そうですね。そういう意味では、むしろ基礎年金をあわせた下の17万6,000 円という 数字を見ていただいた方がいいのではないかと思います。データの関係から、どうして もこういう統計になってしまうと。 ○渡辺委員  ならざるを得ないのかなというふうに。そういうことですね。はい、わかりました。 ○堀部会長  ここにある数字は今言った65歳の前後で違うし、それから在老で減額した額もありま すね。それから、基金の額が入っていないとか、入っているとか……。 ○坂本数理課長  支給停止前の金額で計算しております。 ○堀部会長  在職老齢年金の支給停止前の金額? ○坂本数理課長  はい。 ○堀部会長  基金は? ○坂本数理課長  基金の代行分も含んでいるということでございます。 ○堀部会長  そういった点を、説明を聞けばわかるんですが、注か何かにないとどういう数字なの かというのがよくわからない。情報公開をしても、数字というのは誤って使われること があるんですね。私どもの様式の問題かもわかりませんけれども、公にするときにはこ の数字は誤解のないようにした方がいいと思います。 ○都村委員  別のところでよろしいですか。  お尋ねしたいのですけれども、財政状況というか、各制度の財政の安定性を評価する 際に、一つの指標として年金扶養比率というのがご説明がありましたようにとられてい るわけですね。ただ、これは分母の方は厚年では老齢相当の老齢年金受給者数をとって いて、分子の方には被保険者数をとっているわけですね。これから高齢化・長寿化がま すます進んだ場合に、その影響は遺族年金にも及んでくると思うのです。今、ご説明い ただいた資料でちょっと見ますと、2000年3月末の遺族厚生年金の受給者数は老齢相当 の老齢厚生年金受給者数の42%になっているわけです。障害年金の方は、同じ老齢厚生 年金受給者数の比率でみると5%くらいなので低いのです。前年比で見ても遺族年金の 受給権者数というのは増えてきているわけですね。  そういうことから見ますと、分母の方を老齢厚生年金のみでとって、安定状況を見る というのは問題ではないでしょうか。障害年金はウエートは低いし、遺族については年 金受給者が亡くなられた場合には老齢年金から遺族年金に変わるということで、むしろ 年金額は下がるかもしれない。しかし、遺族年金のリスクは結構これから多くなるし、 それに伴って年金総額も増えてくるのではないかと思います。財政指標をとる場合には 老齢相当の老齢年金のみを分母にしているということはどうなのでしょうか。今までそ ういうとり方をしてこられたということのご説明をいただければと思います。老齢厚生 年金の受給者の総数に対して42%くらい遺族年金の受給者がいるということですね。そ れは年金扶養比率という場合には除いているわけですね。 ○坂本数理課長  ええ。 ○都村委員  今まで老齢年金受給者数のみを分母にしてこられたということはなぜかということで すね。それをお尋ねしたいと思います。  それと関連して、財政再計算をする場合に、いろいろな不測の事故による障害とか、 あるいは循環器系統とかの病気も高齢化に伴って多くなりますね。病気による障害とか 、そういう障害年金の対象者になるリスクも増えてくるし、生計の担い手である被保険 者や年金受給者が亡くなられて、遺族年金の対象者になるというリスクもあると思うの です。そういうリスクについてはどのように推計しているのか、前半との関連でお尋ね したいと思います。 ○坂本数理課長  まず、年金扶養比率という財政指標がどういう意味があるかというところでございま すが、僣越なのでございますが、それはまさにこの数理部会でご議論いただく事項では ないかと考えるところでございます。  ただ、この年金扶養比率は、今、先生、分解されましたように、それを逆数にします とよく使われております成熟度というものにもなるわけでございまして、これまである 程度の目安という意味でこれが使われてきていたのではないかと推測しているところで あります。  ただ、先生ご指摘のように完全なものではないのではないかというご議論はこれまで も数多くあったように思いますので、それはむしろ年金数理部会の方で、完全でないも のをより完全にしていくご議論もしていただくテーマになっていくのではないかと考え るところでございます。これは僣越でございますが。  それから、もう一つ、遺族年金のウエートということをおっしゃいましたけれども、 これは確かに先生ご指摘のように、まだ高齢人口が増えておりますけれども、将来、頭 打ちになって、徐々に減り始めるというときには女性の方が長生きいたしますのでウエ ートが増えてきて、その分、遺族年金の受給者が増えてくるという、そういう現象がご ざいます。そういう転換点における渦のような形であらわれてくるものだと思いますけ れども、そういうものをどういうふうにあらわしていくかというのも今後の課題ではな いかと考えております。  それから、障害対象のリスクをどういうふうにみるかということでございますが、こ れまでのところは従来の経験値をもとに見ているということでございまして、そういう 新しい傾向が生じてきたということが認識されましたときには、それを改めて次の財政 再計算に反映していくというふうな形で、少しずつ舵を切りながら財政運営をしていく というふうなことになっていると思います。  遺族年金のリスクにつきましても同じことだと思います。 ○堀部会長  今、数理課長からご指摘がありましたように、年金扶養比率というのは制度審の数理 部会がつくったもので、それを引き継ぐ我々がこういう形で調査をお願いしているとい うことです。したがって、これは我々の後の検討課題だと思います。  都村委員の提起された問題についてですが、国民年金は割と障害年金が多いですね。 日本の障害年金の制度というのは、65歳になると老齢年金に変わるというのではなくて 、65歳以後も支給され続ける。そういう意味からいくと、年金扶養比率でこの負担をみ るのはやや問題があるのかなと思います。遺族年金だけではなくて、障害年金について もそう思いますが、これは後で我々で検討したいと思います。  ほかにいかがでしょうか。 ○田村委員  説明を伺っていて気になったのは、実績と再計算のつながりがどうも良くないですね 。厚生年金が特に良くなくて、国民年金も、厚生年金よりはましなんですけれども、つ ながりが良くないです。いろいろ理由はあるでしょうけれども、まず厚生年金の方です と一つは国庫負担の繰り延べの額があるという話ですね。今の時点で一体どれくらいあ るのかという、それが1点。  それから、もう一つ、厚生年金の場合、もっと大きいのは代行部分の取り扱いが問題 ですね。あれを何とかつながるような形の推計にできないんでしょうか。これは要望と いうか、できないだろうかというご質問なんですけれどもね。  実績が、再計算結果と大きく違っている。その原因がはっきりしないと検証ができな いのではないか。たまたま今年度は端境期ですから、検証の対象にはなっていないんで すけれども、平成12年、13年となるとちょっと検証しにくいんじゃないかなという感じ はするんですけどね。 ○坂本数理課長  まず、国庫負担の繰り延べの状況でございますが、平成7年度から10年度まで繰り延 べがございまして、額を申し上げますと、7年度が4,150 億、8年度が8,000 億、9年 度が7,200 億、10年度が7,000 億という状況になってございます。したがいまして、か なり積立金としましては、財政再計算の積立金と特別会計にある積立金の乖離があると 。  もう一つの基金の扱いをどうするかということにつきましてでございますが、これは まさに本当に大きな課題だと思っておりまして、検討しておるところでございますが、 財政計画そのものは基金を含んだ厚生年金全体で計画するものだと思いますけれども、 そういう計画をつくったときに特別会計がどういうふうな動きをするかということもあ わせて検証しておかないといけないということで、今回もそれをやろうと思ったのです けれども、一つは基金の免除料率の取り扱いがまだ決まっておりません。そのために、 将来の基金の状況というものを推計することができませんので、今回、そういう制約も ありまして、特別会計の見通しは示していないというところでございます。 ○山ア委員  今の点で、11年財政再計算結果と11年の実績があまりつながらないというけれども、1 1年財政再計算では、11年度からスタートするんですね。 ○坂本数理課長  はい。 ○山ア委員  そのスタートラインの実績見込みを入れていけばいいんじゃないですか。  11年再計算結果としての12年度推計値のもとになった11年度の決算見込みをつくって いるわけですから、再計算結果には入らないが、それを入れるとつながりがよくなるだ ろうと思うんです。その点で、発射台が実績とどういうふうに違っているのか、それか ら調べていかないと、ちょっとわからないだろうと思うんです。11年財政再計算では、1 1年度の実績見込みをどうやって見込んでいたか、そこを入れていただくとつながりが 非常に良くなると思います。 ○坂本数理課長  今申し上げましたように、その実績見込み自体が国庫負担の繰り延べ分が返ってきた ものとして……。 ○山ア委員  実績と実績見込みは繰り延べ国庫負担の扱いの違いとか、その他の相違点は幾ら幾ら あると注釈を入れれば、実際は、もう少しスムーズにつながるんじゃないでしょうか。  特別のことがない限り、決算見込みとつながってくると思うんです。  それから、もう一つ、よくわからないのは、厚生年金基金の代行部分はどの程度入っ ているのかがわからない。どの程度入っているかが分かれば、この実績と将来見込みの 数字がつながってくると思うんです。11年再計算結果の公表は12年度分からかもしれま せんけれども、11年度実績と再計算で用いた11年度実績見込みを比較することを考えて いただけないでしょうか。 ○坂本数理課長  そこはちょっと検討させていただきます。 ○堀部会長  実績と再計算のつながりが悪いとこについては、幾つかの要因があると思います。そ れは厚生労働省の方でも検討していただくとして、我々の様式がこれでいいのか、そこ も少し検討したいと思います。  ほかにございませんでしょうか。特になければ、厚生年金保険と国民年金の財政状況 についてはこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。 平成11年度財政状況について(農林漁業団体職員共済組合) ○堀部会長  それでは、農林漁業団体職員共済組合の財政状況について報告を受けたいと思います 。よろしくお願いいたします。 ○佐藤協同組織課長  農水省の協同組織課長でございます。よろしくお願いいたします。  きょうは農林共済も同席しておりますので、ご質問等で詳細にわたる場合にはそちら の方からお答えさせていただくことがあるかと思いますが、よろしくお願いいたします 。  お手元の資料3でございますが、農林漁業団体職員共済組合の平成11年度財政状況に よりまして、説明させていただきます。  まず、1ページでございますが、平成11年度の収支状況でございます。収入総額は5,1 60 億円で、対前年度27億円、0.5 %の減となっております。これは運用収入の減少等 によるものでございます。一方、支出総額につきましては、5,043 億円で対前年度80億 円、1.6 %の増加となっております。これは給付費の増加等によるものでございます。 この結果、収支残は118 億円となっておりまして、11年度末の積立金は2兆79億円とな っております。なお、積立金運用利回りは3.45%、対前年度で0.24ポイントの減となっ ているところでございます。以上が収支状況の概要でございます。  1枚めくっていただきますと、収支状況の概略図がございますけれども、これにつき ましては1ページの表を図にしたものでございますので、説明は省略させていただきた いと思います。  3ページ〜7ページまで給付状況についての資料がございます。まず、3ページは農 林共済の受給権者に関するものでございます。受給権者数は平成12年3月末の数字で31 万4,900 人となっておりまして、対前年で1万2,100 人、4.0 %の増となっております 。内訳でございますが、組合期間が20年以上の退職共済年金、退年相当と書いてござい ますけれども、この受給者が14万6,500 人、それから組合期間が20年未満の通退相当と 書いてございますけれども、通算退職年金の受給者数が9万6,800 人等となっていると ころでございます。  これに対応いたします年金総額でございますが、4,036 億円で対前年で89億円、2.3 %の増となっているところでございます。内訳につきましては、退年相当給付で2,895 億円、通退相当給付で390 億円等となっているところでございます。  下の方には全額支給、一部支給、全額停止と分かれておりますけれども、この部分に つきましては説明は省略させていただきたいと思います。  それから、1枚めくっていただきまして、4ページでございます。4ページの上半分 の表でございますが、先ほど厚生労働省の方からもご説明がございましたけれども、減 額支給に関するものでございまして、支給開始年齢の引き上げに伴う繰り上げ支給によ る減額支給でございますけれども、人数的にいいますとほぼ横這いでございまして、12 年3月末で1万8,400 人、326 億円ということになっているところでございます。なお 、農林共済につきましては増額支給はございませんので、記入いたしておりません。  それから、4ページの下半分の表でございますが、一人当たりの退職年金平均年金月 額に関するものでございます。退年相当給付では平均加入期間が352 月でございまして 、16万4,619 円ということで、対前年で1,204 円、0.7 %の減という格好になっている ところでございます。  それから、通退相当給付におきましては102 月で3万3,596 円となっておりまして、 対前年で960 円、2.8 %の減となっているところでございます。これを男女別に見ます と5ページの表になるところでございます。男性の退年相当の平均年金月額でございま すが、364 月で17万8,912 円ということでございまして、女性の退年相当の平均年金月 額はこれに対しまして312 月で11万7,717 円ということになっているところでございま す。  続きまして、6ページでございますが、これは加入期間20年以上の新規裁定者の退職 年金平均年金月額に関するものでございますけれども、男女合計でいきますと平均加入 期間が399 月で18万8,658 円になっておりまして、対前年1,926 円、1.0 %の増となっ ているところでございます。これを男女別に見ますと、男性は加入期間413 月で20万4,8 85 円、女性は356 月で13万8,551 円となっているところでございます。  続きまして、7ページでございますが、退職年金受給者の年齢構成に関するものでご ざいます。加入期間20年以上の退職共済年金の受給権者は、階層的にいいますと60歳か ら75歳の3つの階層に集中しておりまして、この階層を立ち上げますと約76%程度の集 中した分布状況になっているところでございます。なお、受給権者の平均年齢でござい ますが、男性で70.2歳、女性で68.5歳となっているところでございます。  続きまして、8ページ〜12ページまで組合員の状況に関する資料でございます。  まず8ページでございますが、組合員数、組合員の平均年齢、標準給与の平均及び標 準給与総額に関するものでございます。組合員数は平成12年3月末の数字で47万4,700 人で、対前年7,300 人、1.5 %の減となっているところでございます。ちなみに、この 表には出てきておりませんけれども、ピークは平成6年度末で51万1,000 人でございま した。組合員の平均年齢につきましては40.9歳ということで、対前年0.3 歳の増という ことでございます。  標準給与の平均は29万2,577 円ということで、対前年2,591 円の増ということになっ ております。標準給与総額につきましては、1兆6,714 億円ということで、対前年73億 円の減となっているところでございます。これは組合員の減少等によるものでございま す。  それから、9ページから11ページ、組合員の年齢、加入期間等による分布の資料でご ざいますが、10ページの男性のところを見ていただきますと、40〜50歳未満のところを 合わせますと全体の3分の1程度の分布の山があるということでございます。それから 、その次のページ、女性の表でございますが、女性の場合につきましては、20歳から30 歳、20代のところの2つ階層の数字を足しますと約3分の1ということになりますけれ ども、そこと45歳から50歳の層に約15%の山があるということで、2つの山があるとい うことになっておりまして、また、加入期間で見た場合には10年未満層が大きなウエー トで、おおむね58%程度のウエートを占めているという形になっております。  それから、12ページでございますが、男女別の標準給与の分布でございます。男性の 場合には22万円の階層から41万円の階層の分布が高くなっておりまして、それに対しま して女性では20万円から24万円の階層の分布が高いという状況になっております。  なお、標準給与の平均は男性で33万3,149 円、女性で22万7,601 円という形になって おります。それから、次のページでございます。13ページの積立金の運用状況でござい ます。平成11年度の年度末の積立金は簿価ベースで2兆79億円となっているところでご ざいます。このうち、時価ベースがとれます有価証券等をそれぞれ見てみますと、金銭 信託が836 億円ということで、簿価942 億に対しまして106 億円の含み損という形で、 減少の要因は株式運用等の損失が発生しているわけでございます。  それから、国内債権が1兆4,551 億円で簿価1兆3,480 億円に対しまして1,071 億円 の含み益ということで、ハイクーポンの保有ということが増要因としてはございます。 国内株式が310 億円でございまして、簿価額353 億円に対しまして43億円の含み損とい うことになります。これも株価の関係でございます。それから、外国債権が33億、簿価 額30億に対して3億円の含み益ということでございます。それから、証券投資信託が60 5 億円でございまして、簿価額661 億円に対しまして56億円の含み損、これも株式関係 の運用で発生しているものでございます。  なかなか足し算というふうにはいかないと思いますけれども、仮にこれを足し上げる ということでおおむね時価のとれるものについては時価で計算すると2兆948 億円で、 全体で869 億円の含み益というふうな形になるところでございます。また、資産運用の 構成でございますが、右の構成割合のところに書いてありますように、有価証券、国債 、地方債、生保保証債などございますが、これが72.5%という大きな割合を占めている わけでございます。運用利回りは先ほども出てまいりましたけれども、3.45%というこ とでございます。  それから、14ページから20ページにかけましては財政計算における将来見通しとの比 較でございます。14ページ、15ページにつきましては、将来見通しの数値が11年度の数 字がございませんので、記入いたしていないところでございます。  それから、16ページ以降でございますが、財政指標の比較ということでございます。 まず、16ページにつきましては、年金扶養比率の経年変化に関するものでございますが 、年金受給権者の増、それから組合員数の減少によりまして低下傾向にありまして、平 成11年では3.24という数字になっているところでございます。  続きまして17ページでございますが、総合費用率でございますけれども、これにつき ましては、平成8年以降の農林共済の掛け金率19.49 %でございますが、これを上回る 数字でございまして、その差は年々拡大しているというような動きをしているところで ございます。11年の数字では、23.46 %ということでございます。  続きまして、18ページでございますが、独自給付費用率でございますけれども、実質 的な基礎年金拠出金を支出から差し引いた受給率が標準報酬総額に対してどれくらいの 割合になっているかでございますけれども、これにつきましては増加の傾向をたどって おりまして、11年度で18.63 %という数字になっているところでございます。  次の19ページでございますが、収支比率はここ増加傾向にございますけれども、平成1 1年度では98.20 %となっているところでございます。  最後のページでございますが、積立金比率につきましては年々減少傾向にございまし て、11年度の数字では5.09年分ということでございます。  以上で資料の説明を終わらせていただきたいと思いますが、ご承知のように、本年4 月に厚生年金と統合ということでございますので、よろしくお願いいたしたいと思いま す。 ○堀部会長  ありがとうございました。それでは、今のご説明に対して質問等がありましたらよろ しくお願いいたします。 ○田村委員  財政指標が大変よくつながっているので感心したんですけれども、厚生年金に国庫負 担の繰り延べというのがありましたね。それみたいなことは農林年金の場合にはないん ですか。 ○佐藤協同組織課長  ございません。 ○堀部会長  厚生年金基金分がない点で、先ほどの厚生年金と比べてつながりがある。  ほかにいかがでございましょうか。 ○渡辺委員  これも細かいことなんですが、資産運用に関して細かい数字は別として、例の福祉事 業といいますか、簡単にいうとパストラルを持っておられたわけですけれども、あれは 今別会社にしているというお話を聞いたんだけれども、この中には、つまり資産運用の 不動産には入っていないんですか。 ○佐藤協同組織課長  不動産の関係でございますが、資産運用の中で地面の分が入っておりまして、31億と いう数字でございますけれども、これは11年の数字でございますけれども、宿泊施設を 何カ所か持っておりまして、別府とか大山とか、いろいろなものを売却しておりまして 、本年も京都のパストラルを売却するということで、一応、今年度過ぎますと東京の虎 の門のパストラル、あと南熱海に残ります。これにつきましては、特例業務負担金とい いますか、3階部分の支払いの原資になっていくものでございますので、いずれ市況を 見まして、不動産の価格等推移を見まして、財源に支障を来さないような形で売却して 、支払いの財源にしていくということでございますので、そんな扱いになります。 ○渡辺委員  細かいことなんだけれども、厚生年金に統合された後、今おっしゃった資産売却もい いんだけれども、名義上というか、それはどういうことになるんですか。そういう素朴 な疑問を聞いておるわけです。 ○佐藤協同組織課長  建物・土地の所有者は農林年金ということになって、先ほど出ました株式会社という のは運営会社、これは株式会社虎の門パストラルという管理会社が施設運営をするとい う形でございます。 ○堀部会長  パストラルの土地・建物は積立金の中には入っていない? 入っているんですか。 ○佐藤協同組織課長  土地が入ってございます。 ○堀部会長  それを売ったものについては、農林年金の財政に入れるのですか? ○佐藤協同組織課長  そういうことです。 ○吉武審議官  厚生年金基金の代行返上のときには、国会でも随分ご議論がありましたように、実際 に株式とか債券で運用して相当大きな額ですので、仮に労使で代行返上を現実に選択さ れるところがたくさん出てきますと、本体の厚生保険特会への返上のために例えば株式 を売ってという、そういうことが出てきますので、できるだけ市場に影響を与えないよ うにするのが望ましいのではないかということで、ことしからはじめています自主運用 ではポートフォリオを組んでおりますが、ポートフォリオの中では市場に連動したパッ シブ運用を基本にするという形でやっておりますので、パッシブ運用に合ったような形 で厚生年金基金側で資産運用を徐々に変えていただければ、これは一定の手続を法律に 定めておりますが、債券なり株式そのものを実際に現物移換をしまして、そして自主運 用基金への預託を増やすというような形でやろうということなのですが、農林共済の場 合には一応その議論はあったのですが、もう既にここにありますように債券で多く持っ ておられますし、現金のポジションを徐々にこの後も高めておられますので、そういう 込み入ったやり方をやらないで、基本的にはすべてキャッシュで特会に入れていただこ うというような形で既に予算を組んでおります。  それから、実際上は、これはことしの4月に移換になりますが、ことしの3月末の農 林共済側の決算状況はもうちょっと後にならないと確定いたしませんので、移換額の確 定は現実には秋以降でないとできない。その点についても、またこの部会でご議論いた だくことになりますけれども、統合というふうに国会でも承認をいただきましたので、 できるだけ早く移換金の交付を行うということで、来年度に入りましたら早い時期に、 概算払いのような形でかなりの移換金を厚生保険特会に入れていただきまして、むしろ この部会でのご審議を経た後、秋に精算的に確認していただいて、少し少なめに春に移 換をしておきまして、追加の移換金がありますので、そこで数値を確定して移換しよう ということで、社会保険庁も含めて協議して大体そういう手順でやっていこうという形 でやっております。  したがいまして、この共済制度自体の最後の数年間の状態の問題はありますが、この 時価の問題が厚生年金への移換金に影響は一切出ないという形で移換をする予定にいた しております。 ○渡辺委員  今のところ、移換金は1兆6,000 億ですね。13ページを見る限り、まだキャッシュ・ フローというものはそれほどない。ほとんど有価証券なり……、要するに売却して、今 審議官から話があったみたいに確定して、早ければことしの末あるいは来年に移換。現 金で1兆6,000 億円動くかもしれないけれども、それを移換するということでいいわけ ですか。 ○吉武審議官  そうです。来年度に入ってからですね。一括で。 ○佐藤協同組織課長  一括というか、概算払いをいたします。一括といえば一括でございますが、あと精算 して、その差額を支払うということでございます。 ○堀部会長  農林共済からの移換金の問題については、またこの部会で検証するということになっ ておりますので、またそのときお願いいたします。  先ほど話がありました、基金はことしの4月から代行返上ができることになりますが 、また場合によってはこの様式を変える必要があるかもわかりません。そのときはよろ しくお願いしたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。  それでは、農林漁業団体職員共済組合の財政状況についてのヒアリングを終わりたい と思います。どうもありがとうございました。  次回は国共済、地共済及び私学共済についての報告を受けるということになっており ます。 議題2.その他 ○堀部会長  本日は、事務局より年金数理部会主催で公的年金財政セミナーを行うという案が出さ れておりますので、これについての審議を行いたいと思います。  まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○畑首席年金数理官  それでは、私の方から資料4につきまして、ご説明させていただきたいと思います。  ただいま部会長からお話がございましたけれども、公的年金財政セミナーを開催して はどうかという案でございます。趣旨といたしましては、1番目に書いてございますよ うに、公的年金はほとんどの主要国におきまして、社会保険によります世代間扶養の方 式、いわゆる賦課方式の社会保険ということでございますけれども、それを基本として 採用いたしておるわけでございます。  一方、昨今、積立方式導入とか、公的年金の財政につきましては、我が国もそうです し、各国でもいろいろ議論されているところでございます。そこで、この数理部会にお きましても、公的年金の財政に関する理解を深めていただくということと、そのために 海外から公的年金の年金財政に詳しい有識者の方々をお招きいたしまして、講演をお願 いするとともに数理部会の委員の方々と意見交換を行っていただいたらどうかというこ とでございます。  なお、この講演及び意見交換は国民の皆様にも理解を深めていただくということで、 広く公開の場で行ってはどうかということでございます。そのためにセミナーの形式を とるということでございますが、現在、案といたしまして、私ども予定しておりますの は、当年金数理部会が主催をしていただきまして、3月27日午後1時から3時、2時間 程度でございます。会場は、現在のところ、霞ヶ関ビルの東京会館で準備させていただ いております。  それから、講演の内容でございますけれども、公的年金につきましては歴史が最も古 い、即ち公的年金を一番最初にはじめたのはドイツでございます。しかも、最近、年金 制度の改革が議論され、2002年度から実施が決まっております。そこで、ドイツの公的 年金制度の財政をまず取り上げていただいてはどうかという案でございます。仮題とい たしましては、「ドイツの公的年金の財政方式」でございまして、フランツ・ルーラン トさんという方にお話をいただいてはどうかということでございます。  1時間程度お話をいただいた後、当部会の委員の方々とルーラントさんで公的年金財 政の基本的な考え方につきましてディスカッションしていただいたらどうかという案で ございます。 ○堀部会長  ただいまの説明に対して、何かご質問、ご意見がございましたらどうぞ。 ○近藤委員  非常にいいことだと思うんですけれども、このディスカッションのテーマが公的年金 財政の基本的考え方についてだと、我々というか、この部会の中でもいろいろ違う意見 が出てくればいいんでしょうけれども、同じような方向で……。ディスカッションにな るのかと。  ルーラントさんに質問して答えてもらうというのはいいんですけれども、できれば、 表題をもう少し変えた方がいいのか、それともこのままでいいのか、いかがですか。 ○畑首席年金数理官  私ども事務局で考えておりますのは、一つはまずドイツが今までどうやってこられた という歴史的な経緯も含めてお話をいただくということです。ドイツは2度の大戦を経 て、大変なインフレーションを経験しましたので、賦課方式ということでずっとやって おられるわけですが、その経験をまずひとつお話しいただくということだと思います。  また、ドイツも2002年の改革で公的年金をややスリム化しまして、一方で、個人年金 勘定といいますか、積立方式を一部入れるというようなことで、部分的にはそういう積 立の部分をかみ合わせるというやり方をやっておりますので、そういった最近の新しい 動きについてお話しいただいて、考え方でございますとか、問題点などもいろいろご議 論いただければ、今委員がおっしゃられたようなことで少し幅広く意見交換していただ けるのではないかというふうに私どもは考えております。  なお、その点につきまして、委員の皆様方で、今タイトルというお話がございました けれども、どのように考えていただいたらいいか、ご審議いただければと思います。 ○渡辺委員  今、近藤さんがおっしゃったように、仮に1時間しゃべってもらって、あと1時間で すね。相当絞り込まないと、例えばこっちが数理部会の委員がワーッと出ていって意見 交換といっても、向こうは日本のことはあまり関心ないだろうし、日本はこうなってい ますよといったって、「ああ、そうですか」みたいな話だろうし、だからテーマを絞る のか、今おっしゃったような一部積立方式の問題とか、何かを絞るのか、こっちの人数 も絞るとか、何か工夫をしないと時間的な問題もあるし、ただ何となくだらだらと意見 交換になってしまう危険性はあるでしょうね。 ○堀部会長  一応、ルーラントさんからペーパーが出る予定になっておりまして、それによって絞 り込まれてくるかもわかりませんね。  我々の間のディスカッションというよりも、むしろドイツと日本、あるいは特にドイ ツの改正についてのディスカッションができるとようにしたい。おっしゃるとおり時間 は限られていますので、その辺は絞っていきたいと思います。  題につきましては、何か近藤委員の方から代替案があれば別ですが、さっき言いまし たように、ペーパーが来てどういう内容かということにもよります。原案のように漠と したものにしておいて、内容がわかり次第、訂正するというのも一つの方法かもわから ないですね。  講演の題目も仮題とあります。ただ、事務局としてはいろいろお知らせするのに仮題 のままではなかなかいかないと思います。これはいつごろまでに決めることになります か。 ○畑首席年金数理官  題目につきましては仮題ということになっておりますが、こういったセミナーを開催 するということについてご了解をいただければ、ルーラントさんにもペーパーをいただ けるというお話も聞いておりますので、そういったプロセスの中でどうするか考えたい と存じます。次回の数理部会がございますし、あるいはもう少しかかるかもしれません が、また部会長や委員の皆様とご相談しながら、具体的にどういう題がいいか、またル ーラントさんのペーパーの内容によってはこの題とは別の題目の方が良いということで あれば、少し考えさせていただきたいと思います。その点はまた調整させて頂きたいと 思います。 ○堀部会長  よろしいでしょうか。  ほかに何かご意見ありますでしょうか。それでは、このペーパーにありますように、 3月27日に公的年金財政セミナーを開催することにさせていただきたいと思います。我 々もディスカッションに参加するということになるので、そのときよろしくお願いいた します。事務局は準備を進めていただきたいと思います。  時間も過ぎておりますので、本日はこれまでにしたいと思います。  次回の日程等について、事務局でご報告があれば。 ○畑首席年金数理官  次回の日程でございますけれども、2月20日(水)午後1時からを予定しております 。後日正式な開催のご案内をお送り申し上げますので、よろしくお願いいたします。  次回は今回に引き続きまして、11年度の財政状況につきまして、国家公務員共済組合 、地方公務員等共済組合、私立学校教職員共済につきまして、それぞれの所管省から報 告を受ける予定といたしておりますのでよろしくお願いいたします。以上でございます 。 閉会 ○堀部会長  それでは、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)