02/01/17 第4回BSE問題に関する調査検討委員会議事録         第4回BSE問題に関する調査検討委員会議事録             平成14年1月17日(木)             農林水産省 第一特別会議室 目次 1 開会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 2 農林水産大臣挨拶・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  1 3 資料説明・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  2 4 質疑・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 5 次回の日程・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 6 閉会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 開会 ○高橋委員長  ただいまから「第4回BSE問題に関する調査検討委員会」を開催したいと思います 。本日は、すべての委員のご出席をいただいております。また、武部農林水産大臣にご 出席いただいておりますので、ごあいさつをいただければと思います。 農林水産大臣挨拶 ○武部農林水産大臣  おはようございます。「第4回BSE問題に関する調査検討委員会」の開催に当たり まして、一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  皆様方におかれましては、昨年11月に本委員会を設置いたしまして以降、これまで3 回にわたりましてご議論を賜り、また本日もご多用のところ、ご参集いただきまして、 厚く御礼申し上げたいと存じます。  今回のBSE問題に関しましては、皆様方に多大なご心配をおかけしておりますが、 これまで国民の皆様の不安を解消するとともに、国産牛肉に対する信頼を回復するため に、厚生労働省と連携いたしまして、牛肉の安全性の確保に向けた対応に全力を尽くし てきたところでございます。今後も消費者の皆様に安心して食肉を召し上がっていただ けるように、BSE全頭検査等を的確に実施していくことが必要であろうと、かように 存じております。また、牛の個体識別システムを本年度中に確立させまして、これをも とに、今後、その牛の誕生から育成過程・流通経路を管理・追跡できるトレーサビリテ ィの体制を整備してまいりたいと考えております。感染原因の究明につきましては、迷 宮入りはさせない、かような強い決意のもとに、農林水産省として最大限の努力をいた しているところでございます。今後もその取組を徹底して進めていくことといたしてお ります。さらに、国民の皆様に正確な情報をお伝えすることを通じて消費の回復を図る とともに、経営対策などの着実な実施によりまして、BSEの発生により深刻な影響を 受けておられる生産者や関係業者の方々への万全の対応に努力してまいりたいと、かよ うに存じている次第でございます。  本委員会におきましては、これまでの行政対応上の問題を検証していただき、今後の 畜産・食品衛生行政のあり方についてご検討いただくわけでございますが、私といたし ましては、今回の問題に対応していく中で、危機意識の希薄さ、甘さを痛感したところ であります。今後の農林水産行政の推進に当たりましては、国民各層、生産者はもとよ り、とりわけ消費者とのコミュニケーション、円滑な仕事を行う上での立法府と行政府 、役所間・役所内等のコミュニケーションに努めることが非常に重要であると考えてお りまして、1月最初の職員に対する訓辞におきましても、農林水産省の今年のキーワー ドはコミュニケーションということを強調させていただいているわけでございます。  これまでの議論の中で、皆様方から行政対応上の問題について、さまざまなご意見を いただいているところでございますが、今後も客観的な立場からご議論をいただくと同 時に、精力的にお進め賜りまして、3月を目途に、今後の畜産・食品衛生行政のあり方 について有意義なご提言を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。 本日、お集まりの委員の皆様方には、幅広い視点からの忌憚のないご意見、ご議論を賜 りますことを心から祈念いたしまして、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○高橋委員長  どうもありがとうございました。  なお、武部農林水産大臣におかれましては、所用のため、途中でご退席されることに なっておりますので、申し添えておきます。  また本日は遠藤農林水産副大臣にもご出席いただいております。ありがとうございま す。 資料説明 ○高橋委員長  本日の会議は、予定は12時までとなっておりますが、状況によりましては、多少、延 長させていただくことがございます。本日も円滑な議事の進行に努めていきたいと思っ ておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いします。  毎度のことですが、本日の会議も公開とし、傍聴者の方には別室の傍聴室においてテ レビモニターにより傍聴していただくことにしております。あわせて会議資料も公開す ることにしております。ただし、会議資料については個人の権利利益を害することがな いよう、役職名は公表とするが、個人の氏名については非公開とし、資料の中で空欄と させていただいております。また、会議については公にすることにより、個人の権利利 益を害する恐れがあると私が判断した場合には、委員会の了承を得た上、非公開とし、 非公開の間の議事の概要については、会議終了後、事務局が記者会見で説明を行うこと にいたしたいと思っております。よろしくお願いします。  それでは議事に入りますので、報道関係の方々は傍聴室の方へお移りいただきたいと 思います。  それでは、議事に入りたいと思います。  本日の議題は、資料の中に全体のスケジュールが入っておりますが、その第4回のと ころでございますが、「昨年8月以降の農林水産省及び厚生労働省の一連の対応とその 検証」について、ご論議いただくことになっております。  まず、事務局から資料の説明をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い します。 ○農林水産省武本企画評価課長  農林水産省大臣官房企画評価課長の武本でございます。お手元の資料に沿いまして、 説明をさせていただきたいと思います。  説明に入ります前に資料の確認をさせていただきたいのですが、資料の最後の方に参 考配布という資料が4つございます。番号を付さなかったものですので、今後、説明す る際に何番目の参考配布かと特定できるように、誠に申しわけございませんが、番号を 付していただければと思います。参考配布、4つあるうちの一番上の、表題が左側にプ レスリリースとなっておりまして、「海綿状脳症に関する検討会議事メモについて」、 これを便宜上、参考配布の1という形にさせていただきたいと思います。その下に「牛 海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査について 農林水産省」というのが あると思いますが、これを参考配布の2にさせていただきたいと思います。その下に同 じ表題でありますけれども、「牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査に ついて 厚生労働省」と、これを参考配布の3にさせていただきたいと思います。そし て4番目の資料が「BSEのリスクに関する有識者の分析等」という表題のものでござ いまして、これを参考配布の4という形にさせていただきたいと思います。  それでは、資料の1から説明に入らせていただきます。委員席には、資料1と資料2 につきましては大きいサイズの資料も用意させていただいておりますので、どちらでも 結構でございますので、まず資料の1をごらんいただきたいと思います。  資料1は、「牛海綿状脳症(BSE)感染牛の発生に係る対応の経緯について」とい うことでございまして、昨年の8月5日以降の農林水産省、厚生労働省の対応について 検証を行うための資料でございます。  第1回目の時に概要をご説明申し上げましたところでございまして、それ以降、委員 の方々からもご指摘、ご質問がございましたので、そういった中身、内容を加味して作 成しております。昨年の8月以降の対応については、大きくポイントとなる点は、8月 6日に千葉県食肉衛生検査所に当該牛が持ち込まれてから、BSEであるということが 確認されたのが9月10日であったわけでありますけれども、それまでの間が1カ月以上 たっているという点であります。もう1つは、9月10日にBSEの発症について公表い たしたわけでありますけれども、その際に、当該牛については対外的に焼却処理をした という発表を行ったわけでありますが、結果的にはその当該牛はレンダリングに回って いたわけでありまして、その訂正が9月14日になされたという点がございました。その 2点が大きく、その後の行政対応に対してのさまざまなご指摘を受ける要因となったも のと考えられるわけであります。  まず第1点目の話でありますけれども、1ページ目でありますが、8月5日に、その 農家が家畜共済の獣医師のアドバイスによりまして、廃用することとしたわけでありま す。8月6日に千葉県の食肉衛生検査所に当該牛が持ち込まれまして、その検査所の獣 医師によりまして、敗血症という診断が下されました。これによりまして、食肉には不 適ということで全部廃棄の命令が出されております。それと同時に、千葉県の家畜保健 衛生所、これはいわゆる畜産サイドの組織になりますけれども、そこがBSEサーベイ ランスの対象として当該牛の頭部を引き取って、ここで検体を採取していくわけであり ます。残りの頭部以外は化製場へ回り、レンダリング処理されるわけであります。ここ で、当時のサーベイランスのやり方というか、指導といいましょうか、みておきたいと 思います。資料1の参考というものがございますので、それをごらんいただきたいと思 います。  資料1の参考というのは、資料1の農林水産省の対応にかかわる部分に関係する資料 をまとめたものでございまして、1ページ目をごらんいただきたいと思います。1ペー ジ目に、農林水産省生産局畜産部衛生課長から、これは北海道農政部長に出しているも のでございますけれども、各県、すべて同文でございまして、こういう通知をしており ます。これは平成13年4月2日付けでございます。この通知文の下から9行目になるの ですが、「本年3月14日に開催された」というところがありますけれども、「第3回牛 海綿状脳症(BSE)に関する技術検討会において、現在のサーベイランス体制につい ても一定の評価は得たものの、今後、さらに検査法を充実させるとともに、検査頭数を 増やす必要があるとの指摘を受けた」ということで、検査頭数を増やすということを主 たる目的として、このサーベイランス要領を出しているということでございます。2ペ ージをごらんいただきますと、「牛海綿状脳症サーベイランス要領」というのがついて おりますが、その1に目的といたしまして、このサーベイランスの目的は何かというこ とでありますけれども、「国内における牛海綿状脳症の清浄性の確認」として行うとい うことが記述されております。  それで、先ほど頭数を増やすのだということを申し上げましたけれども、その点につ きましては10ページをごらんいただきたいと思います。10ページに参考といたしまして 、「牛海綿状脳症サーベイランスの流れ」というフローが書いてございます。その図の 真ん中よりも下あたりに「動物衛生研究所へ搬入」という枠があります。そこの中に括 弧としまして「年間 300検体以上を検査予定」ということで、年間 300検体以上を検査 しますよということを各県にご通知してございます。この 300検体の意味なのですが、1 1ページに英文の資料を掲げておりますけれども、この資料はOIEが定めております サーベイランスの際の標本の抽出数というのでしょうか、それについて記述したもので ございます。真ん中より下あたりに表がございまして、左側が50万から 4,000万、右側 が50から 433とあります。要するに、左側が24カ月齢以上の国内牛の飼養頭数に対して 、どれだけの検体を取るかということになっておりまして、右側に手書きで、その当時 の我が国の24カ月齢以上の牛の飼養頭数は 200万頭と書いてあります。したがいまして 、この 200万頭の水準ですと、 250万以下の場合、 195頭というようになります。OI Eの基準によれば 195でいいということになりますが、一応、念のためにということで 、その1つ上のランク、つまり 500万頭規模の 300頭ということでサーベイランスを実 施することにしたということであったわけであります。  13ページをごらんいただきたいと思います。13ページは事務連絡という形で、平成13 年5月10日に農林水産省から各県の家畜衛生担当者に発出した資料でございます。その 文章の最初の3行に、4月2日に出したのだけれども、その実施状況は数検体と低調だ ということが書いてあります。その次の行の真ん中より後の方ですが、「消費者の安心 を確保するには、陰性データの蓄積が何よりも重要と考えている」と。それから1行お いて、「年間目標 300検体としている検体の大半の検査を今後数カ月のうちに終えたい と考えている」というようなことで、「記」の2のところでありますけれども、「材料 収集については、従来の家畜保健衛生所の病性鑑定対応分のみでなく、共済団体、診療 獣医師とも連携して、24カ月齢以上の神経症状を示す牛(起立不能、日射病等幅広に解 釈してよい。)の情報を収集できる体制を至急構築し、廃用とされる場合も含め、家畜 保健衛生所、化製場等あらゆる場所での採材に努めること」ということで、 300検体集 めるために対象を広げますということをここで事務連絡を出しています。  15ページをごらんいただきたいのですが、それらを踏まえまして、これは千葉県の農 林水産部の畜産課長から同県健康福祉部の衛生指導課長あての通知でありますけれども 、本文の3行目のところで、「我が国においては本病の発生は確認されておりませんが 、消費者の安心を確保し、国産・県内産畜産物に対する消費者の支持を得るためには、 積極的にサーベイランスを実施し、陰性を証明する必要があります」ということで、「 農業共済組合連合会と連携のもと、起立不能牛等を中心にと畜場において材料採取を実 施する計画です。つきましては、と畜場における採材について、ご協力頂けますようお 願いいたします」という文章が、衛生サイドにお願いとして行っていたということがあ ったものですから、先ほどの8月6日段階で、と畜場で敗血症と診断された牛が、この 農林水産省サイドのサーベイランスの方に乗っかってきたということになるわけであり ます。  資料1に戻っていただきたいと思うのですが、8月13日に千葉県の畜産課から衛生課 に対して動物衛生研究所に病性鑑定を依頼した旨のFAXが送られまして、15日には動 物衛生研究所が検体についてプリオニクステストを行って陰性と判定をしております。 その旨の連絡は、衛生課には同日、電子メールで連絡がされたところであります。それ で、24日に千葉県の家畜保健衛生所が病理組織学的検査を実施したところ、当該牛の脳 に空胞を発見したということで、千葉県畜産課へ連絡がございました。千葉県の畜産課 から衛生課に対しまして、左記の事実について電話連絡とFAX送付がなされたところ であります。あわせて、これは千葉県からですが、動物衛生研究所のプリオニクステス トの結果の確認を求めてきました。ということは、千葉県は15日の段階の結果がまだわ かっていないという状況にあったわけであります。それと、動物衛生研究所での病理組 織の再検査が必要か否かの確認をしていただきたい旨の要請がなされたところでありま すが、衛生課職員が上記FAXが送付されたことに気がつかない状態で過ごしています 。電話連絡がありましたものですから、動物衛生研究所に電話で連絡を試みたところ、 担当者不在で連絡できないという状態であったわけであります。そして28日の段階で、2 4日にFAXが来ていたことに気がつきまして、動物衛生研究所からの陰性との連絡を 確認するとともに、ほかの職員に対して次の指示を行っています。独立行政法人の動物 衛生研究所への業務連絡の際に、延髄の空胞が確認された千葉の検体について、上記プ リオニクステストの陰性結果を再確認するということと、再検査の必要性を確認すると いうこと。それから千葉県畜産課に電話をして、上記プリオニクステストの結果を連絡 するということと、動物衛生研究所が再検査を必要とするということであれば、病理材 料を動物衛生研究所に送付するよう連絡するということであったわけであります。  29日に、その依頼、指示を受けた職員が動物衛生研究所に電話したところ、担当者不 在で連絡がとれないという状況が続きまして、30日に当該職員が動物衛生研究所に対し て、電話によって、プリオニクステストの結果、陰性であるということを再確認してお ります。また、同研究所は衛生課に対しまして、千葉県より病理材料の送付があれば、 再検査を行うという回答があったものですから、当該職員が千葉県畜産課に対し、電話 により、上記のプリオニクステストの陰性結果を連絡するとともに、動物衛生研究所に 病理材料を送付するよう連絡したということになっておりますが、この点は千葉県の認 識は違っておりまして、9月4日ごろに千葉県畜産課が衛生課に対し、電話で再度確認 したところ、プリオニクステストの結果は陰性だったが、念のため病理材料を送付する よう指示を受けたということでありました。このため、千葉県畜産課が千葉県中央家畜 保健衛生所に対して病理材料を動物衛生研究所に送付するよう連絡をしたということで 、9月6日に千葉県の方から動物衛生研究所に病理材料が送付され、7日に動物衛生研 究所に到着をしたということであります。7日に、動物衛生研究所は病理組織学的検査 を実施して空胞を確認いたしまして、翌8日にプリオニクステストの再検査と確定診断 法である免疫組織化学的検査に着手をしたところであります。8日に、プリオニクステ ストの再検査は陰性であったのでありますけれども、引き続き免疫組織化学的検査を実 施していたわけでございますので、それが9月10日の15時ごろ、陽性と確認されたとい うことでございます。なお、9月8日には千葉県畜産課から衛生課に対しては、当該牛 は全部廃棄され、食用に供されていない旨の電話連絡がなされております。  そのような事態を踏まえまして、生産局長から農林水産大臣に、9時15分の段階で再 検査に入っている旨の状況報告をしております。動物衛生研究所での陽性確認を受けた 段階で、衛生課から千葉県の畜産課に対して、その事実を電話連絡をするとともに、厚 生労働省の監視安全課に対しまして、その事実を連絡をして、その後、往訪して、連携 して対応するように要請をいたしております。17時30分段階で、農林水産大臣、副大臣 にBSEを疑う牛の確認についての報告を行ったところであり、厚生労働省の監視安全 課は、農林水産省の連絡を受けまして、厚生労働大臣及び厚生労働副大臣にBSEを疑 う牛の確認についての報告を行ったところであります。  3ページでありますが、10日でありますけれども、18時30分にBSEの疑いがある牛 が確認された旨の公表を行ったところでありまして、その際に、当該牛についてはすべ て廃棄され、食用には供されていない旨説明をしたところ、記者からの「焼却処分か」 との質問に対し、「食用に供していないということを聞いておりますので、焼却をした はずでございます」と応答したところであります。これで、焼却処分という形で伝わっ ていくわけであります。その後に、当該牛の同居牛等の追跡調査等の原因究明のための 調査を開始いたしました。また、同日付で農林水産省牛海綿状脳症(BSE)対策本部 を設置したところであります。他方、厚生労働省におかれては、20時段階で「BSEを 疑う牛の確認について」をプレスリリースをするとともに、確定診断までの間、当該牛 が飼育されていた千葉の農場の食肉等の販売中止を千葉県に指示するという形で、第1 頭目の公表までの間が過ぎていったわけであります。  それから第2点目が、先ほど申し上げましたように、10日の段階でレンダリングに回 っていたものが焼却処分したという形で言ったわけでありますけれども、この点につき ましては、1ページに戻っていただきますと、先ほどみていただきましたように、8月 6日に頭部以外は化製場へ回ってレンダリング処理されていたわけであります。それが ずっと来まして、2ページの9月10日の県の対応等の欄ですが、ここで千葉県畜産課は 同県衛生指導課に、BSEの疑いがある牛が確認されたことを、これは国からの連絡を 受けて連絡をするわけです。それで千葉県の衛生指導課から茨城県生活衛生課に対し、 当該牛のレンダリングの可能性について調査を依頼したと。要するに、レンダリングに 回っているということがわかっていたものですから、その確認をしたということであり ます。  それから3ページに入っていただきまして、9月11日の欄の県の対応のところですが 、茨城県生活衛生課から千葉県衛生指導課に対し、8月6日に千葉の業者から茨城の業 者に原料――当該牛が含まれていたかについては不明でありますけれども――の搬入が あったこと、さらにその原料はレンダリング処理され、養魚用飼料として出荷されてい たこと等をFAXにて報告がなされているところであります。このFAXが茨城県から 千葉県に回ってきたことを受けて、9月12日の厚生労働省の欄の2つ目の黒ポツになり ますが、千葉県衛生指導課から監視安全課に対し、当該牛はレンダリング処理され、養 魚用飼料として出荷されていたとの連絡があり、監視安全課は事実関係を確認するよう 千葉県に指示をするとともに、農林水産省衛生課に対し、当該牛はレンダリング処理さ れ、魚用のエサになったと千葉県から情報があった旨、連絡をいたしております。  それから、県の対応の欄ですけれども、千葉県畜産課が同県衛生指導課から上記FA Xを入手いたしまして、農林水産省の対応の欄の12日の3つ目の黒ポツですが、千葉県 畜産課より衛生課に対し、FAXにて当該牛の処理――焼却処分ではなくレンダリング 処理されたこと――について報告がなされております。9月13日に、徳島県畜産課より 衛生課に対し、業者が当該牛に係る肉骨粉を保管しているが、どうすべきか相談があっ た旨の電話連絡があり、衛生課の担当班長が衛生課長に対し、千葉県畜産課からの報告 と徳島県畜産課からの連絡の報告をします。衛生課長は衛生課担当班長に対し、大事な 問題なので、調査の上、事実関係を確認整理する旨の指示をしておりますが、畜産部長 以上のレベルへの報告は、この段階ではまだなされておりません。9月14日であります けれども、前日の衛生課長の指示を受けて、衛生課の職員が徳島県畜産課に電話をする のですが、連絡がとれないという状況があります。14日の厚生労働省の対応のところで すが、農林水産省畜産部長と食品保健部長が今後の連携強化について協議しています。 レンダリングの事実をまだ知らない段階で、畜産部長は食品保健部長と協議をしている という状況になります。  それから4ページであります。畜産部長は新聞社の取材により、当該牛が焼却された のではなく、レンダリング処理されたらしいということを認識します。知らされるとい うことになります。直ちに衛生課長に対し、事実関係を整理し、報告するよう指示をい たしまして、この指示を受けて徳島県に対する連絡をとるよう努めて、連絡がとれ、事 実関係を確認整理し、畜産部長は直ちに、その段階で生産局長に報告をする。生産局長 、畜産部長から農林水産大臣、副大臣に報告がなされ、当該牛が焼却処分ではなく、レ ンダリング処理されたということを、この直後に公表をするということになります。あ わせまして、当該牛から生産された肉骨粉については、家畜伝染病予防法に基づき、移 動を禁止するという措置をとってございます。  以上のような形で10日から14日の間、県、それから厚生労働省から農林水産省には、 情報の連絡があったわけでありますけれども、対応として、結果的には9月14日になっ たという状況であります。  9月15日以降につきましては、そこに書いてございますように、まず肉骨粉になって しまいましたものですから、それはどういう状況になっているのかという確認のための 調査を実施いたしておりまして、その概要につきましては、配布しております資料1の 参考3にまとめてあります。この資料1の参考3は、平成13年9月19日にプレスリリー スした内容でございまして、「肉骨粉に係る調査結果について」というものでございま す。  引き続きまして、あとは皆様ご案内の対策を逐次打っていくという過程に入るわけで ありまして、9月19日の段階で、厚生労働省におきまして、第2回の研究班会議及び第 2回対策本部を開催しまして、緊急対策としてと畜場におけるBSEスクリーニング検 査を次のとおり強化することを決定――つまり、24カ月齢以上の牛のうち、運動障害、 知覚障害、反射または意識障害等の神経症状が疑われるもの及び全身症状を示すもの全 頭と、それから神経症状が疑われない場合であっても、30カ月齢以上の牛について全頭 ということで、と畜場におけるスクリーニング検査の実施が決定――されたわけであり ます。それを踏まえまして、農林水産省のサイドとしては、30カ月齢以上の牛の出荷繰 り延べを指導するといった対応をとっているところであります。  それから9月21日に、英国の獣医研究所から、BSEである旨の確定診断の通知が来 て、これで発生が確定したということになります。  9月27日には、農林水産省の対応でありますけれども、農林水産大臣から環境大臣に 対し、肉骨粉の焼却処理が円滑に行われるよう、廃棄物処理行政からの協力の要請を行 っております。同日の厚生労働省のところでございますけれども、次の5ページに、い わゆる特定危険部位の焼却処分についての指導を行っております。生後12カ月以上の牛 の頭蓋及び脊髄並びにすべての牛の回腸遠位部を除去し、焼却するということでありま す。  それから10月1日でございますけれども、肉骨粉の関係につきまして、肉骨粉(鶏、 豚等を含む)の飼料・肥料としての輸入、製造及び販売の一時全面停止を関係団体及び 都道府県知事等を通じて飼料の製造業者等に要請し、4日から実施をするということで ございます。10月3日に、厚生労働省の方ではスクリーニング検査の開始を10月18日と して、全国一斉に実施できるよう、都道府県等に協力要請を行っております。それから1 0月5日の厚生労働省の欄になりますが、牛由来原材料の点検、保健所への報告、特定 危険部位の使用または混入が認められた場合の原材料変更、当該食品の販売中止を要請 しております。それから10月9日の欄の厚生労働省ですが、と畜場におけるスクリーニ ング検査の対象を30カ月齢未満を含めたすべての牛に拡大する方針を決定するというこ とで、これでEUを超えた検査の体制になってまいります。10月10日には、その決定を 踏まえて、農林水産省としても30カ月齢未満も含めた牛の出荷繰り延べ要請をしており ます。  その10日に、18日からの全頭検査に向けた技術研修を厚生労働省のサイドでは実施す るわけでありまして、厚生労働省が実施するBSE技術研修に使用するサンプルを、東 京都中央卸売市場食肉市場より提供を受けます。研修において、スクリーニング検査( エライザ法)を実施したところ、陽性の結果が出てきたわけであります。11日に再度、 実施したところ、陽性の結果が出てまいりましたので、22時ごろに東京都衛生局にその 旨連絡をしております。  6ページに入っていただきまして、12日でございます。このエライザ法の段階で、東 京都は今後の対応等について公表をしたわけでありますけれども、農林水産省への連絡 は12日の10時ごろに監視安全課から、その旨の連絡がございました。これを受けまして 、農林水産省としては横浜検疫所でエライザ検査で陽性となった牛の追跡調査等の防疫 措置を実施することとしたわけであります。結果的には、12日の厚生労働省の4つ目の 黒ポツでありますけれども、ウェスタン・ブロット法の結果、陰性であることを確認し 、公表されたわけでありますので、農林水産省としましても、その結果を受けて防疫措 置を解除するという運びになった次第であります。  それから10月15日の農林水産省の欄でありますけれども、飼料安全法に基づきまして 、家畜用飼料のうち肉骨粉等を含むものについては、すべて製造・販売・家畜への給与 を禁止するということを決めております。また肥料取締法に基づきまして、肉骨粉等を 含む肥料の家畜への誤用・流用防止のための表示を義務化するということを決めており ます。  それから10月16日に、厚生労働省ではBSE感染牛の公表時期を、いろいろ議論があ ったわけでありますけれども、「確定診断の結果が出た段階」という方針を決めており ます。17日に、厚生労働省では、と畜場法施行規則の一部を改正いたしまして、そこに 書いてございますような、特定危険部位の焼却の義務付けを行っております。  それから18日に、全頭検査が開始されることになったわけでありますので、それに伴 いまして、厚生労働大臣、農林水産大臣が共同で記者会見を行っているところでござい ます。この同日付で、牛海綿状脳症の検査対応マニュアルの制定を農林水産省は実施し ておりまして、これは農場段階でのサーベイランス対象を拡大するというものでござい ます。資料1の参考でいきますと、65ページに対象について記述されておりまして、真 ん中あたりに「2 サーベイランスの実施」と書いてございます。 (1) 、(2) 、(3)と いう牛を対象にしていくということでありますけれども、 (1)のイというところであり まして、「24カ月齢以上のもので、上記ア以外の死亡牛。年間 4,500頭」というのがこ こで決定されまして、これ以降、農場段階でのサーベイランスの対象として、死亡牛年 間 4,500頭ということで実施することとしているところであります。  それから10月26日の厚生労働省のところでありますけれども、BSE検査の判定方法 を、念のため、以下のように変更する方針を決定するということで、(1)、(2)といった 形で変更がなされております。  それから7ページ、11月1日の農林水産省の対応でありますけれども、牛の肉骨粉等 の牛用飼料への混入・誤用・流用を防止する万全の措置を講じることを条件として、鶏 、豚由来の血粉、血しょうたんぱく、フェザーミール等の豚、鶏用飼料、ペットフード 及び肥料としての利用及び既存の蒸製骨粉類の複合肥料としての利用ができるよう、一 時停止措置を解除するという決定をしております。  それで11月19日に、全頭検査を行っている中で北海道のと畜場に搬入された牛1頭に ついて、スクリーニング検査の結果、陽性と判明され、確定診断においても陽性と確認 されたわけであります。それが11月21日だったわけであります。これに伴いまして、農 林水産省のサイドでは、家畜伝染病予防法に基づき、同居牛の移動制限をかけるといっ たような一連の対応を行ったところであります。また11月29日には、厚生労働省の対応 でありますけれども、埼玉県のと畜場に搬入された牛1頭について、スクリーニング検 査の結果、陽性と判明され、30日には確定検査を開始し、陽性が確認されたわけであり ます。これに伴いまして、農林水産省としましては、家畜伝染病予防法に基づく一連の 対応を行っているということであります。また30日には、これは昨年の委員会の場でも ご報告申し上げましたけれども、牛海綿状脳症の感染源及び感染経路の調査についての 中間報告をこの日に公表いたしております。  最後の8ページでございますけれども、12月14日の欄であります。10月18日以降、全 頭検査になったわけでありますが、10月17日以前にと畜解体された牛肉はどうするのか という議論がなされていたわけでありますけれども、この12月14日で焼却することを決 定したわけでございます。  以上が資料1の関係でございます。  資料1の参考4というのが1枚紙でございますけれども、これは現在の「農林水産省 及び厚生労働省の牛海綿状脳症(BSE)対策本部組織図」ということで、この両省の 対策本部、またそのもとにあります専門家による委員会等々の間の連携を図りながら、 対策、対応を講じているということでございます。  それから資料2でございます。資料2は、「肉骨粉等の給与に係る国内措置と農業資 材審議会飼料部会における審議経過等について」でございます。これは、第2回の検討 委員会で、事務局から1990年以降の国境措置なり国内措置の説明をいたしました。その 際に、1996年4月に肉骨粉の国内流通について行政指導をするということの対応をした わけであります。この点については、その時点において、農業資材審議会の飼料部会に 法的措置をすることについてご意見を聞いていたところでありますけれども、実際上は2 001年まで、農業資材審議会での議論はなされなかったということを申し上げたところ でございます。その間、そうすると、農業資材審議会は何をやっていたのかというご質 問等がございましたので、農業資材審議会飼料部会としては、その間、そこに書きまし たようなことを検討していたということの資料でございます。端的に申し上げますと、 1ページ目の4月の欄の「農業資材審議会の審議経過」という欄をみていただきますと わかりますが、諮問事項の「飼料添加物の指定及び基準・規格の改正等について」とい うことと「組換え体利用飼料及び組換え体利用飼料添加物の安全性評価指針の制定につ いて」といったようなことで、飼料部会では、この後ずっと、組換え農産物をエサなり 、エサの添加物について使うことの可否について、主として議論を行っております。ち なみに1ページ目の話の後に、3ページの第17回農業資材審議会の飼料部会、それから 4ページの第18回の農業資材審議会飼料部会、5ページの第19回農業資材審議会飼料部 会、6ページの第20回農業資材審議会飼料部会等々、これ以降も組換え体の議論を行っ ているということであります。  また、1996年から2001年の間、畜産関係については、さまざまな出来事が起こってお りまして、そのあたりの出来事を、「その他の主な出来事」という欄にまとめてありま す。例えば、2ページ目の5月の欄でありますけれども、米国における大幅減産に伴う とうもろこしのシカゴ相場が史上最高値を記録する。8月の欄に、米国産とうもろこし について、端境期における旧穀の期末在庫水準が史上最低の 4.4%に低下し、船積みが 懸念されるといったようなことで、3ページの一番上の行政対応の欄でありますけれど も、飼料需給安定のために、備蓄飼料穀物の貸し付け及び政府管理大麦の売り渡しの実 施など、さまざまなことをやっております。  それから2ページ目に戻っていただきますと7月の欄に病原性大腸菌O-157による食 中毒が集団発生するということで、これは牛のふん便が家畜の体にくっついたままと畜 場に行かないようにしようとか、そのような指導を、この段階で行ったりしています。 といったようなことが、るる積み重なっていたという時期にあります。  今、申し上げたような内容については、資料2の参考でとりまとめておりますので、 後ほどごらんいただければと思います。  それから資料3及び3の2をごらんいただきたいと思います。資料3と資料3の2は 、「第3回BSE問題調査検討委員会における委員御指摘に関する資料」ということで 間に合ったものをまとめたものでございます。資料3の方は、1番目にEUのBSEス テータス評価に関して、(1)OIEの基準に準拠すべきことを主張すること、(2)EUの ステータス評価を進めないという6月15日、について政策決定はどのようになされたの かというご指摘がございました。これは日和佐委員、高橋委員長からのご指摘でござい ます。2番目がOIEのステータス評価の基準ができたのはいつか、OIEの規律につ いての国際的な評価、特にEU以外の国の評価はどうだったのかというご指摘でござい ました。日和佐委員からのご指摘でございます。3番目がWHO勧告の最終報告を入手 した後、農業資材審議会飼料部会で検討を実施しなかった経緯についてという、日和佐 委員のご指摘でございます。4番目は、1990年6月に行われた英国への調査報告につい て衛生課で検討し、その後の対応等についてとりまとめた資料ということであります。 高橋委員長のご指摘に対するものであります。5番目は山内委員長代理のご指摘の点で ございまして、農林水産省の研究所のBSE問題への取組についてであります。  資料3の2は、厚生労働省でとりまとめられたものでございますけれども、1番目の EUステータス評価に係る厚生労働省の関与については、高橋委員長からのご指摘によ るものであります。2番目は山内委員長代理のご指摘によるもので、厚生労働省の研究 所のBSE問題への取組についてであります。第3番目及び第4番目は岩渕委員のご指 摘に対応するものでございます。  続きまして参考配布の1でございますけれども、これは昨年末に委員の皆様方には既 に送付をさせていただいております。平成8年4月8日に開催されました「海綿状脳症 に関する検討会」に関する議事メモが出てまいりましたものですから、それをプレスリ リースしたものでございます。  それから参考配布の2と参考配布の3でございます。参考配布の2は、農林水産省が 実施しております「牛海綿状脳症(BSE)に関する行政対応に係る調査について」で ありまして、参考配布の3の方は厚生労働省が実施しております調査でございます。こ のいずれもが第3回の委員会におきまして、岩渕委員からのご指摘、またそれに関連す る各委員からのご指摘を踏まえまして、事務局としてその当時の担当された職員の考え なり認識を調査することとしたものでございます。どのような調査内容かを、例えば農 林水産省の方を見ていただきたいと思います。表紙をめくっていただきますと、そこに 事務連絡という形で私の名前で関係する職員あてに文書を出しております。2つ目のパ ラグラフのところでありますが、1行目の最後の方、「第3回会合において、委員より 、これまでの行政対応について、どのような状況で、どの部局が、どのような判断で、 何を決めたか、何を決めなかったのかについて、関係者から調査した上、委員会に資料 として提出するよう要望が出されております。これを受け、委員会事務局としては、武 部農林水産大臣に説明・了解の上、これまでの行政対応の検証と今後の行政対応のあり 方についての委員会の検討に資するよう、上記について、可能な範囲で1990年以降の関 係者のご認識とお考えをお聞きすることといたしました」ということであります。次の パラグラフの2行目の真ん中でありますが、「1月16日(水)までにご返送いただきま すよう、よろしくお願い申し上げます」ということで、「(申し上げるまでもなく調査 にご協力いただけるか否かは任意です)」と。その次のパラグラフでありますが、「な お、本調査票は人事上の判断材料に使用するものではなく(いいかえればこれにより人 事上の処分を行い又は不利益を及ぼすためのものではありません)、今後の行政のあり 方の検討に際し参考とするものです。また、ご返送いただいた調査票は、本委員会に提 出し、公表されますが、調査票の様式のとおり、氏名、当時の役職名、在職時期等が明 らかになるものではありません。さらに、調査票の回収率、集計結果も併せて本委員会 に提出し、公表されることとなりますので、趣旨をご理解の上ご協力いただきますよう 、重ねてお願い申し上げます」といったようなことをお示ししまして、極力、協力をい ただけるような形をとっているところであります。  右側の1ページでありますが、調査票が出ていまして、様式としては、当時の役職、 それから記載要領の1にございますように、在職時期に応じて質問1から質問4まで、 いずれかを選択していただき、質問5から10まではすべての方に答えていただくという 形をとっております。2ページ以降、その質問の中身が記述されているということで、1 990年以降、節目節目の時期の対応について、お聞きするという形をとっております。  この調査の結果につきましては、回収の状況等にもよるのでありますけれども、いず れにいたしましても、次回の31日の調査検討委員会におきましては、何らかの形であれ 、報告をする方向で検討しております。  参考配布の4でございます。「BSEのリスクに関する有識者の分析等」というもの でございます。冒頭の農林水産大臣のごあいさつにもございましたけれども、コミュニ ケーションといいますか、リスクコミュニケーションというものが非常に重要である、 ポイントであるということでございます。リスクコミュニケーションをしていく上で、 リスクそのものをどのように評価するかということが前提として重要になりますし、そ のリスクをどうやって管理していくのかということが明らかになった上で、広く国民に 対して、そのリスク発生についてのコミュニケーションをしていくということが、リス ク分析論と言われているものでありまして、そういった観点から、ここに掲げられてお ります方々が、今回のBSEについての分析をまとめているものでございます。もちろ ん、この4つの論文がすべてのものを網羅しているわけではございませんし、ここで分 析された結果について、国としてオーソライズしているというものではないわけであり ますけれども、有識者の方々が、先ほど申し上げましたようなリスクコミュニケーショ ンといった手法の重要性を、それぞれの立場から強調されているということで、参考と して配布をさせていただいたものでございます。  こういったリスクコミュニケーションの観点というのは、2月の次々回になると思い ますが、諸外国の対応状況といったものを皆様にご検討していただく際に、1つの重要 な要素になってくるだろうと思っておりまして、いわばそれに向けての予告編といって は何なのですが、参考までに配布させていただいたものでございます。  1番目が、当委員会の委員もしていただいております小野寺先生の論文になるわけで ございまして、お読みいただければと思いますが、とりわけ4ページ目の最後の節にな りますけれども、「適切なリスクコミュニケーションの必要性」といったようなことの ご指摘がなされているところでございます。  それから6ページ以降が吉川先生の「日本のBSEを巡る問題」ということでござい ますけれども、この論文につきましては、吉川先生によりますと、BSEについて、今 後、議論してもらうための素材として、こういう分析のやり方があるという意味で作成 した資料であって、この考え方が絶対的であると、先生自身が思っているものではない というコメントがついております。いずれにしましても、リスクコミュニケーションと いったものを考えていく際には、リスクそのものはどの程度発生する確率があるのかと いうところから押さえていきませんと、リスクをどうやって管理していくのかというこ とにつながりませんし、またそのリスクの発生確率について、広く国民の方々にご理解 いただくためにも、根っこにはリスクの評価というものをやっていかなければならない 。その評価の1つの考え方として、吉川先生がご提示されたものでございます。BSE が我が国においてどの程度発生する確率があるかとか、変異型のCJDに、我が国の場 合、どの程度、かかる可能性があるかといったことを試算しているものでございます。  3番目が近藤先生の論文でございまして、「狂牛病は本当に恐ろしいのか」というこ とで、「英国でもやっていない厳格な全頭検査体制を確立」ということで、先ほど申し 上げましたように、全頭検査体制といった一連の措置を講じたところでございます。そ ういったことを前提に考えていくべきではないかというご指摘でございます。  最後の4番目は国立犀潟病院の池田先生の、これはホームページに掲載されているも のでございますけれども、「狂牛病の正しい知識」というものでございます。リスク分 析のもとに、BSEと変異型のCJDについての解説だとか、牛肉の消費低下の要因分 析が述べられております。また、日本における変異型のCJDの発生のリスクについて 、これは英国と日本との相違点から、かなり低いという分析を池田先生はなさっておら れます。牛肉の消費低下の分析についても言及がなされておりまして、その1つの要素 として、池田先生は、現実には得られないゼロリスクを求めるゼロリスク探究症候群も 大きな原因ではないかといったご指摘をなされた上で、このようにならないためには、 リスクコミュニケーション技術の学習とリスクコミュニケーションシステムの確立が重 要であるといった提言をなされておられるところであります。以上が参考配布の4でご ざいます。  以上で終わります。 ○高橋委員長  どうもありがとうございました。ただいまの説明について、厚生労働省の方から補足 説明がございましたら、お願いします。 ○厚生労働省吉岡企画課長  食品保健部企画課長の吉岡でございます。若干、補足説明をいたします。  先ほど資料の3の2というくくりで前回ご指摘いただきました「委員御指摘に関する 資料」の1ページ目を開けていただきまして、「EUステータス評価に係る厚生労働省 の関与について」ということでございます。最終的には農水省サイドでEUステータス 評価を取り下げることになるわけですが、その経緯を前回の委員会以降、とりまめたも のでございます。  1番目の98年の段階で、農水省が評価を求めるに当たりまして、当時の厚生省から必 要な基礎的なことを情報提供いたしました。  2番目は、これは昨年の1月、2月の段階でございますけれども、前回、この委員会 に提出いたしましたEUのステータス評価の案につきましては、昨年2月の、これは農 水省と厚生労働省の課長レベルの懇談会の場で、この経緯の説明、情報提供をいただい ております。  3番が、最終的に評価取り下げに当たりましての経緯でございますけれども、最終的 には6月20日に、これは外務省を通じて、前回委員会で出しておりました農林水産審議 官書簡の公電案について、当省にも協議がございました。そこに書いてございますよう に、肉骨粉政策に係る評価が主な論点であるということで、ここは意見を提出しなかっ たとございますけれども、正確に申しますと、意見なしとの回答を出しております。  補足説明は以上でございます。 質疑 ○高橋委員長  ありがとうございました。  それでは、ただいま説明いただいことについて、ご質問、ご意見、あるいは資料の新 たなご請求があれば、ご発言いただきたいと思います。 ○山内委員長代理  2点、発言させていただきたいと思います。最初は、8月6日に病気の牛が検査に回 ってから、その後の対応が非常に混乱をしていた件についてですが、私が思うには、緊 急事態に関する計画、緊急対策――こういうリスクが起こった場合に、どういう対応を するかという、そういう計画――が当時、考えられていたのかどうか。清浄性を目的と したサーベイランスといっておられるのですが、諸外国を見ますと、例えば2001年の1 月には、アメリカはコンティンジェンシープラン、要するにBSEがアメリカで発生し たときにはどうするかという、かなり詳細な、具体的な対応をちゃんと公表しているわ けです。それから英国のBSE調査委員会が2000年の報告の中で、英国が犯したミスの 大きなものとして、やはり緊急計画ができていなかったと、そういったことが指摘され ていたわけですが、日本でそういった面での認識があったのか、またそういう認識に基 づいた対策が考えられていたのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。  もう1つの点は、動物衛生研究所で確認検査について、これはウェスタン・ブロット と免疫組織化学検査で確認検査を行った。その時点で、これは確定をしていたというよ うに考えられるのです。私自身、1996年からずっと、当時の家畜衛生試験場、現在の動 物衛生研究所のプリオン病の研究を評価委員等でフォローしてきておりますが、技術レ ベルとしては十分に国際的に信頼できるところであったわけです。そこで確定したもの がありながら、どうして「疑似」として英国に依頼をして、その英国の結果が出るまで 確認ができなかったのか。恐らく動物衛生研究所からは文書というか、検査データが提 出されていると思うのです。その検査データに基づいて技術検討委員会で議論、これは 科学的な面での議論が行われているはずなのです。ですから、これは資料の請求にもな るわけですが、動物衛生研究所から提出された検査データ、それから技術検討委員会で の議事録、こういったところを出していただいた上で、なぜあの時点で日本での確定を した上で再確認という形で英国に依頼することができなかったのか、お聞きしたいと思 います。 ○高橋委員長  2つの質問についてご回答いただきたいと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  衛生課長でございます。  山内委員の第1点目でございます。米国のようなリスクへの対応が準備されていたの かということでございますが、私、今、手元に情報を持ち合わせておりませんので、こ れは確認をした上で次回、お答えさせていただきたいと思います。  それから2番目の、なぜ英国の国際リファレンス研究所に送付したのか、そのときの 動物衛生研究所からの検査データ並びに議事録ということでございますので、これにつ きましても次回までに準備をして、提出させていただきたいと考えておりますので、よ ろしくお願いいたします。 ○加倉井委員  関連であります。全く同じ疑問を私ももっておりまして、動物衛生研究所が陰性と判 定して、これでみると、2度陰性と判定しているのです。これは、我々国民の方からみ ますと、動物衛生研究所が判定をするのにふさわしくないか、あるいはこのプリオニク ステストという判定法が間違っているか、どちらかとしか考えられないのです。この辺 を、山内先生の今の質問に対する答えでいいですから、お答えをいただきたい。  それからもう1つは、山内先生もおっしゃったのと同じことですが、何でイギリスに 何週間もたって、わざわざ確認したかというのは、これは国民からみますと、日本には 学者の方、その他、試験検定機関に能力がないからイギリスへ出したのだと、当然考え ます。普通の人だったら、そのように受け取るのが常識です。これは本当なのかどうか です。おかしいと思いますよね。こういう緊急事態が発生したときの、その対策の第1 原則は迅速ということです。早くなかったら、いろいろなものが消えていくわけです。 それをわざわざ1カ月もかけてやる。その中にイギリスへの問い合わせというのが入っ ているわけです。これは全くおかしいわけです。こういういろいろなものの積み重ねが 国民の不信というもの、能力がないのではないかとか、そういうものにつながるわけで すから、今の山内先生のおっしゃったのに関連して、ぜひお答えいただきたいと思いま す。 ○高橋委員長  今の2つの質問について、ご回答いただきたいと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  まず第1点目でございますが、プリオニクス検査がなぜ陰性であったかということで ございます。プリオニクステストにつきましては、EUにおいて公式に採用されている 検査法の1つでございまして、我が国においても、「牛海綿状脳症に関する技術検討会 」の意見をお聞きした上で、そういう検査をやるというサーベイランスでの検査法とし て採用してきたものでございます。EUにおいて行われた検査法と他の検査法との比較 評価によりますと、陰性である検体を陽性と誤って判定することは少ないけれども、B SEの異常プリオンの量が微量であると、検体が陰性と判定されてしまうことがあると いうことが示唆をされております。今回のプリオンの量が微量であったために陰性とな ったということで、そういう結果となったと考えております。  それと第2点目でございますが、なぜわざわざ英国にまで確認をしたのかということ でございます。対応といたしましては、「疑似患畜」としての対応というものは早急に とらせていただいたということでございます。隔離とか追跡調査等はやらせていただい た。ただ念のために、確定診断のために英国に送るということで、これにつきましては 9月11日の「第5回牛海綿状脳症に関する技術検討会並びに第1回牛海綿状脳症防疫委 員会」の中で、英国獣医研究所に送付すべきであるとの助言がなされまして、それを踏 まえてお送りしたということでございます。 ○山内委員長代理  今の件ですが、まずプリオニクステストに関しては、これは確かに検出感度が低い傾 向があるので、今回の千葉のサンプルに関しては、後で濃縮をした上でプリオニクステ ストをやったら陽性になったということも聞いております。もともとプリオニクステス トは簡易迅速検査法であって、一方、通常のウェスタン・ブロット、もしくは免疫組織 化学検査、これは確認検査であって、現在、全頭検査でも行われているものであります 。ですから、そちらの確認検査が陽性であって、片一方の迅速検査の方が陰性であって も、同等にみなすことはできないというように、私は考えたわけです。  それから「疑似患畜」にするというのは、これは科学者の立場からいいますと、やは り科学的にちゃんと診断をしたものが行政的に疑似とされてしまうというのは、これは 大変困ったことであって、私は本来、やはり陽性のものは陽性と考えるべきだと思うの です。その上で、再確認を英国に依頼したのであれば、それは納得はできると思います 。前に配られた資料をみますと、第1回目は英国の方で調べて、第2回目からはもう日 本でやっても大丈夫であるというのは、加倉井委員がいうとおり、日本の検査技術自身 がもう信頼されていないという、そこにはロジックはないと思うのです。「疑似患畜」 にする姿勢というのは、今回、別にBSEに限ったわけではなくて、口蹄疫の場合でも 、ここにも書いてありますけれども、一昨年、宮崎に出たときに、あれはOIEの判断 でいけば完全に陽性だったと思うのですが、あれも「疑似患畜」で、北海道でウイルス が分離されて、初めて陽性と確定している。ですから、疑似にするという、そういうプ ロセスが入ること自体に疑問があるということです。 ○高橋委員長  関連するご質問、ご発言はありませんか。 ○日和佐委員  8月6日に敗血症と診断されたとありますけれども、敗血症と診断されたと同時に、 起立不能も確認されていると聞いております。そもそもこのサーベイランスの対象頭数 を増加させて、サーベイランス体制を強化したということは、BSEに関して清浄国で あるという証明が欲しかったということではありますけれども、そういう事情であった にしても、要するにBSEがターゲットであったわけです。そのことを考えますと、起 立不能という症状が、果たしてBSEの結果、そういう症状をきたしていたのか、そう でなかったのかというのは、もう検証しようがないことではありますけれども、このサ ーベイランスの目的が、ターゲットがBSEなのだということが現場でも完全に理解さ れていたのか。それが私は非常に納得ができない。多少なりとも起立不能ということと 、それからサーベイランスの強化の政策ということでBSEという考え方が頭にあった ならば、簡単にレンダリング処理に回らなかったのではないかということが考えられる わけです。これが簡単にレンダリング処理に回っている。そのことが、結果的には不信 感を消費者に、非常に強く植え付けたわけですので、ここでの現場の認識というのが一 体どうだったのかというのが非常に疑問に思っていることです。  もう1つ、それに関連して、起立障害というのは、いわゆる患畜の中でどのぐらいの パーセンテージで発生しているのか、そこも教えていただきたいと思います。 ○高橋委員長  今の点について。 ○農林水産省伊地知衛生課長  まず第1点目のBSEの検査だということを現場ではあまり認識していなかったので はないかということでございますけれども、検査自体は衛生課長を通じて、昨年秋から イギリスを含めて多数の発生が確認されている牛海綿状脳症についてということを言い まして、監視の徹底をお願いしたいということで、BSEの清浄性を確認するためとい うことを明示してやらせていただいております。  なぜレンダリングに回ったかというのは、後ほど厚生省の方から説明いただくことに なると思います。  あと起立不能牛についてということでございますが、起立不能というのはいろいろな 原因で起こるものでございまして、一般的には歩き方の異常とか 後躯麻痺等によって 起立が困難になった状態をいっておりますが、分娩前後の起立不能症とか、あと低カル シウム血症、いわゆる乳熱といわれているのですけれども、そういうものの代謝障害に 基づくもの、あと転倒等によって筋肉の打撲とか骨折等によって起こるもの等ございま す。一方、BSEは長い潜伏期間の後に神経過敏、攻撃、あるいは沈鬱状態となりまし て、異常姿勢、運動失調、麻痺、起立不能などが一連の進行性の変化としてみられるも のと考えられております。  このように起立不能はいろいろな原因によって生じておりますが、どれぐらい出てい るのかということでございます。これについては、完全にすべて把握しているというわ けではございませんが、家畜共済統計というものがございまして、それによりまして頭 数を調べております。先ほど申し上げました分娩前後の起立不能症というのは、平成11 年度統計でございますが、約 9,000頭でございます。それと、先ほど申し上げました低 カルシウム血症等を含む乳熱等では約 3,600頭でございます。あと、筋肉とか、先ほど いいました腱の断裂とかいうものによりますものが 1,200頭程度というようになってお ります。  以上でございます。 ○高橋委員長  若干確認したいのですが、敗血症という病名の場合にも起立障害が出るのですか。 ○農林水産省伊地知衛生課長  敗血症の場合にもなることがあります。 ○高橋委員長  その件数というのは、先ほどの例でいいますとどのくらいですか。 ○農林水産省伊地知衛生課長  ちょっとここでは敗血症という統計になっていないものですから。と畜検査の中で敗 血症という形になっておりまして、私どものここでの統計というのは家畜共済統計とい う形での統計でございますので、ちょっと違うのかなというように思います。 ○厚生労働省尾嵜食品保健部長  厚生労働省の方からこの関係について、1つはBSEを疑っていたかどうかというこ とでございますが、これはあくまで私どもの厚生労働省としてのと畜場での診断、それ からそれ以前の、この5日に書いてございます共済の獣医師、お二人の獣医師がこのケ ースにつきまして診断をしているわけでございます。その際に、両方の獣医師ともにB SEを疑っていないわけでございます。と畜場での診断は、今、委員長からもお話がご ざいましたように、敗血症という診断で、と畜場に来た際には、既にもう牛はへたって いたような状況であったと、私どもは聞いております。それで、敗血症の診断をした根 拠と申しますか、それについては診断書が出ておりまして、これはたしか、この委員会 にも当初、お出しをさせていただいたと思っておりますが、全身の出血があったという ようなこととか、解体の際の症状といいますか、所見から、そういう診断がつけられた ということでございます。  そういう意味で、このと畜場での診断ではBSEを疑っておりませんで、この当時、 厚生労働省がやっておりましたサーベイランスと農林水産省でおやりになっておりまし たサーベイランスと、若干異なっておりますのは、私どもの方のサーベイランスは、こ れも通知関係は資料としてお出しをさせていただきましたが、今日農林水産省側のサー ベイランスの中身についてはご説明がございました。厚生労働省の方は、24カ月齢以上 の牛で神経症状を呈するものについて、厚生労働省としてのサーベイランスの対象とし て検体を帯広畜産大学の方に送っていただく、そのようなサーベイランスの体制をとっ ておりました。このケースについては、と畜場の方としては、獣医師は神経症状を呈し ているというような判断で帯広畜産大学に送るケースではないというような判断をなさ ったということでございます。  ただ、一方で農林水産省側の方のサーベイランスとして、広く検体を集めるというよ うなこともあり、ここに、6日に書いてございますように、対象として頭部を引き取ら れたということでございます。この際に、ここが連携が十分でなかった、あるいは現場 の認識も含めまして、私ども行政側の対応としての指示もまずかったのかもしれません が、検査に回ったのであるから、その検体に回ったものについては処理といいますか、 すべて一時保留をしておく、結果が出るまで保留をしておくということが徹底されてい れば、レンダリングに回るというようなことは、実際にはなかったのであろうと思いま す。そこのところが十分な形になっていなかったというのは、私はご指摘のとおりだろ うと思っているわけでございます。 ○高橋委員長  和田委員。 ○和田委員  先ほどもお話出ましたけれども、この8月6日以降の農水省の対応をみておりますと 、やはり認識の甘さというのが各所に出ております。例えば8月24日の欄の、FAXが 入っていたけれども、これに気がつかなかったこと。これは個人の問題ではないと思う のです。全体にそういう認識がきちんとあれば、1人だけの担当ということではなくて 、こういうものがきちんと認識されるだろうと思います。それから担当者の不在によっ て連絡ができなかったこと。これがちょうど金曜日です。そして土日月とあって、月曜 はここに表記されておりませんけれども、火曜日に初めてそのFAXに気づいたという ことが出ております。土日を挟んで、これがそのままになってしまっていたということ 。これは、繰り返しますけれども、決して個人の問題ではないというように感じており ます。  そして、これは質問にもなるのですけれども、9月6日に動物衛生研究所へ病理の材 料を送付したのが6日で、7日に到着したということになっておりますが、もっと危機 感なり、重要性なりを認識すれば、どういう送付方法をなさったのかわかりませんけれ ども、なぜ次の日に着くような送付方法になっているのか。これは事実関係を伺いたい と思います。  次に9月12日、13日にかけての問題ですけれども、先ほどのお話ですと、畜産部長以 上には報告していないということですが、そこの段階でも、どれだけ大事な問題なのか という認識が、文字になってみますと非常に足りなかったということを感じております 。14日には、これまた電話連絡をするが連絡とれずとなっております。1日かかって、 なぜ連絡がとれなかったのかというのは、本当に理解できないところです。  それから、先ほどのご説明で、14日に農水省の畜産部長と厚生省の食品保健部長が協 議しておられますが、この段階で、私の理解が間違っていなければ、畜産部長はまだレ ンダリングに回って肉骨粉になってしまっていたという報告を受けていない段階ですが 、厚生省の方は、もうそこの事実がわかっていらしたのではないかと思うものですから 、この辺が理解できないということを感じております。本当に今となって、逐一、時系 列的に伺いますと、認識の甘さということ以外にないなと思います。質問も含めて申し 上げます。 ○高橋委員長  危機管理の問題だとすれば、土曜、日曜だからといって、許される問題ではないと思 うのですが、それも含めてひとつ、ご回答いただければと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  まずご指摘のように、対応が遅れたということにつきましては、ご批判は免れないと ころでございます。言い訳がましいことになりますけれども、臨床所見から、BSEを 疑う症状はないという連絡を受けていたということと、プリオニクステストにおいて陰 性とされていたということで、担当の方は少し安心をしていたということで、言われる ように危機意識が少し、事の重大さを強く認識するに至っていなかったということにつ いては、ご指摘されたようなご批判は免れないところであると思っております。  それと千葉県の送付がなぜ遅れたかというのは、ちょっと千葉県の家畜保健衛生所の 方に、どうやって送ったのかというのを確認をした上でお答えさせていただければと思 います。 ○高橋委員長  小野寺委員。 ○小野寺委員  今までの話を聞いて、一番最初の8月6日の話ですけれども、当該牛を敗血症と診断 したことに関しては、現在、例えば諸外国の例、フランスとか、そういうところのモデ ルによると、BSEと診断ができる大動物専門の獣医師が大体 5,000人ぐらいいるとい うことなのです。日本の場合は一体どれだけ大動物の診断ができる獣医師がいるのか、 そういう活動問題もできれば統計として欲しいなと思うわけです。というのは、別にB SEに限らず、最近、口蹄疫とかいろいろ、昔、教科書でみたような病気がエサの流通 が随分国際化されているから、どんどん入ってきているということで、その辺の対策が どうなっているかというデータが1つ欲しいなということです。  もう1つは、ヨーロッパの場合ですと、BSEの症状を実際に、例えばフランスだっ たら英国まで直接見に行くということが、獣医のトレーニングとして必要だと思うので すけれども、こういうのを将来、日本でも考えられないかということです。実際、ただ パンフレットを配るとか、我々が講演するだけでは十分なものだったか、生の牛を見る 必要があると思うのです。ですから、そういうことに対して、どのような経過にあるか ということをお聞きしたいと思います。  あともう1つ、プリオニクステストの話がありました。たしか、それに対しては最初 にプリオニクステストというのは、上清をサンプルから採って検査するという方法で、 その間に遠心を挟んで、サンプルの量を10倍に濃縮するということになると、プリオニ クステストのマニュアル自身を変えてやるということになり、EU委員会の認定した方 法から外れてしまうということになってしまいます。果たしてEU委員会のマニュアル どおりという方法に該当するかどうかということについて疑問に思います。また、プリ オニクステストを用いて疑陰性を出したわけですから、試薬会社の方からかなり抗議が 日本に来るだろうということが予想されました。それに対して日本の方でガードを固め る必要があったわけです。ここでもう1つ衛生課に聞きたいのは、諸外国で初発例の場 合は、多分、あちこちにコンサルトしていると思うのですけれども、その辺のデータを 出していただきたいということです。 ○高橋委員長  また2点ございましたが、お答えいただきたいと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  BSEに対応できる獣医師の数とか、そういうものにつきまして、ビデオパンフレッ ト等を使った講習会を開催しておりますが、それの実績等については、数を確認した上 でまた次回報告させていただきたいと思います。  それと諸外国の初発のときにどういう対応をしているかというのも、今、手元にデー タがございませんので、次回までに準備をして、出させていただきたいと思います。 ○高橋委員長  藤田委員。 ○藤田委員  今の諸外国の方の関連として、外国の専門機関に診断を依頼するということで、自国 で診断すべきかどうかという価値観はちょっと別にしまして、情報だけでございますけ れども、昨年12月にオーストリアとフィンランドで初発をみております。その際に、両 国とも自分のところでも診断し、かつイギリスのウェブリッジにも送っているというよ うな情報も出ています。  もう1つは、今日ご配布いただきましたのですが、前回の会議でお願いしました資料 として、参考配布の4で「BSEのリスクに関する有識者の分析等」ということでとり まとめていただきまして、ありがとうございました。前にも申し上げましたように、生 産者、それから流通関係者、消費者の間で、我が国のBSEや新変異型のクロイツフェ ルト・ヤコブというようなことが相当大規模に出るのではないかいう不安をお持ちの方 が多い。その結果といいますか、BSEイコール牛肉消費が不安だ、イコール新変異型 のクロイツフェルト・ヤコブ病の不安、このような式に成り立っていくような感じを受 けるわけでございますけれども、その後、何回も論議されていますBSEの全頭検査な どに移行しても、なかなか牛肉の消費回復に結びつかないというような状況です。こう いうことから、冒頭、大臣のおっしゃっていた、それから役所の方からもお話がありま したように、BSEに対するいろいろな施策がとられているということを十分周知する と同時に、今回とりまとめていただいたような資料にありますように、その道の専門家 に、リスク分析もあるということをあわせて広く生産者、流通関係者、消費者などの関 係者に知っていただくという方法が非常に重要ではないかと思います。  それから、それぞれの機関で、具体的には大部分のものが役所にお願いするようにな るのではないかと思いますけれども、リスク管理体制の強化が必要ではないかと思いま す。消費者保護の立場から、特に人と動物で共通する疾病、いわゆる人獣共通伝染病と いうことでいわれておりますけれども、特にこのリスク管理体制というところが求めら れる分野ではないかと思います。WTOの時代ですから、国際面からも特にこのことは 一層、今後、考えていく必要があるのではないかと思います。 ○山内委員長代理  今の関連で初発の例ですが、例えばドイツで2000年でしたか、初発したときはチュー ビンゲンの研究所で、自国で確認をしています。それからオーストリアは、私の記憶で は自分の国で確認をした上で、再確認をイギリスに依頼をしたというようになっていて 、疑似という対応はしていないと思います。それから日本では、家畜衛生試験場から英 国の中央獣医研究所に人を留学させて、そして日本でつくったモノクローナル抗体など も使って、ちゃんとBSEの検査の実習とか研究とかをし、かなり研究成果も上げて、 共同の論文まで出しているわけで、非常に高いレベルのものが動物衛生研究所にはでき ていたと思います。 ○高橋委員長  関連して。 ○藤田委員  その件につきましては、冒頭申し上げましたように、とにかく国内で診断すべきとい う価値観のこととはちょっと別にしまして、単に情報としては、海外でもそういうこと をやっているということですから、多分、今、おっしゃっていたように、自分のところ で診断し、再度確認ということでもっていっているケースだろうと思います。 ○高橋委員長  関連することですが、要するにイギリスで確認するまでは疑似だと、あるいは疑いが あるというような決定といいますか、そのような判断はどこで行われたのでしょうか。 ○農林水産省松原審議官  審議官の松原でございます。  ただいま、このリファレンスラボに対する信頼、それから家畜伝染病の診断というの は、どこで行われるのか、確定診断はどこで判断をするのかということでございますが 、法律上は、患畜が所在をしております、発見をされました都道府県の知事さんが公示 をするということによって確定をするというのが法律的な仕組みになってございます。 その段階で、国の動物衛生研究所、これが国の確定診断をするときの国内のリファレン スラボということに位置づけられているものでございますから、その診断結果を都道府 県の方にお示しいたしまして、いうならば、私ども国の方が支援をすると申しましょう か、アドバイスをするという形の情報の提供というのが、家畜伝染病の仕組み上の話で ございます。  なお、国際的な問題でございますけれども、やはり新しい疾病が発生したとき、その 確定診断というのは、国際的にリファレンスラボというものが病気ごとに定められてお りまして、OIEで、この指定をしております。BSEの場合でありますと、先ほど藤 田委員からもお話がございましたとおりに英国の研究所でございますので、国内でBS Eということの疑似患畜という取り扱いで、患畜同様に行政的対応はとってございます けれども、その確定診断というものは、確認を英国にお願いをしたというように理解を いたしております。 ○高橋委員長  そうしますと、千葉県知事が疑似というように判断をしたと理解されるのですか。 ○農林水産省松原審議官  法律的には、患畜が発生をしたということは都道府県知事の公示という行為で確定を いたしまして、法律的ないろいろな措置が開始をされるということでございます。それ に至るまでの段階ということで、国の方での診断の結果の送付でございますとかそうい うことを実施をしているということでございます。 ○和田委員  今のご説明でちょっと確認させていただきたいのですが、そうしますと、日にちから いきますと、いつが確認の日になるわけでしょうか。 ○高橋委員長  9月21日じゃないでしょうか。それまでは疑似患畜なんだ、疑いがあるということで はないでしょうか。 ○加倉井委員  クレディビリティーをみたらわかりますが、多分、21日だと思いますよ。 ○高橋委員長  もう1度確認したいと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  疑似患畜の公示は9月12日でございまして、先ほどいいましたように、イギリスから の結果がわかって、患畜と確定したのが21日でございます。 ○和田委員  わかりました。それで、先ほどから英国へ送ったことについての質問や、それに対す る説明を伺っておりますけれども、やはりこの段階で、消費者の間で話が出ましたのは 、「どうして日本で診断できないのだろうかと。日本というのはその程度なのかという ことが非常に大きく疑問というか、そんな頼りないところなのか」という話は、正直な ところ出ておりました。  それで、第2回目の説明会がありましたときに、「2回目以降も同じような判断を仰 ぐのですか」と質問しましたら、「いや、2回目からは日本で判断、確認ができます」 というお話があったのですけれども、BSEがこれだけ問題になっているときに、それ だけの準備ができていなかったのかというのはやはり非常に疑問として残っております し、残念だったという感じがいたします。 ○高橋委員長  関連して私から、やはり全体に危機意識がなかったと思います。担当者に危機意識が なかったというところが確認できるのですが、この8月5日段階では、既にWTOの報 告書も出ているし、それからEUからのいろいろな文書も来ているはずです。そういう 文書は、この担当者の人たちは既に読んでいたはずだと思うのですが、全く日本でBS Eが発生するという可能性を感じていなかったのかどうか。もしくは、その可能性があ るというように考えていたとすれば、それに対応するマニュアルみたいなものは当然、 対応策として出てくるはずなのですが、それがなかったのかどうか、もう一度確認した い。 ○農林水産省伊地知衛生課長  これも繰り返しになって大変恐縮なのですが、諸外国で出ていることは承知をしてお りましたので、サーベイランスの強化とか、そういう形での対応をしていたということ でございます。それで、今となっていわれますと、もっと出るということを前提にやる べきだったというご批判はあるかと思いますが、清浄性を確認しようという形でやって いたことは事実でございます。担当者に危機意識がなかったのではないかということは 、先ほどもちょっと申し上げまして、大変言い訳がましくなって恐縮ではございますが 、臨床所見からはBSEを疑う症状はないという連絡を受けていたということと、プリ オニクステストにおいて陰性とされていたこと等から、事の重大さと緊急性を強く認識 するには至らなかったことによるものと考えております。この点に関してのご批判は免 れないものと思っております。 ○山内委員長代理  もう1つ、この患畜が食肉衛生検査所で検査されたのが8月6日で、千葉県の家畜保 健衛生所で病理検査が行われたのは8月24日で、この間は18日間ですか、かなりかかっ ているのです。そして、プリオニクステストの結果は8月15日なのですが、ここでお聞 きしたいのは、まずサーベイランスの要領では、サンプルが到着してから至急検査をす るのか、それともある程度集まって、溜まったところでやればいいというようなやり方 をしていたのか。もう1つは、プリオニクステストが陰性であったという結果が千葉県 の方に連絡されて、その陰性という結果が家畜保健衛生所の検査の方の遅れにもかかわ っていたかどうか、この2点、お聞きしたいと思います。 ○農林水産省伊地知衛生課長  症状が疑われる場合には緊急にやるということで、それが疑われていない場合には、 ある程度まとめてやるというような形での対応になっております。 ○山内委員長代理  ということは、この牛は症状は疑われなかったということですか。 ○農林水産省伊地知衛生課長  そういうことでございます。ただ、サーベイランスで実施するという場合には、疑わ れるものも疑われないものもということで、そういう形で結果的に遅れたということは 疑っていなかったから遅れたのではないかというように考えられております。 ○山内委員長代理  それから、プリオニクステストの結果は、千葉の方には連絡がすぐに行っていたので しょうか。 ○農林水産省伊地知衛生課長  これも陽性の場合にはすぐに行くということになっておりまして、陰性であったので 、すぐには行っていなかったというように聞いております。 ○高橋委員長  やや話題が変わりますが、資料3の2の厚生労働省からの資料といいますか、前回の 資料要請に対する答えの1ページ目で、「EUのステータス評価に係る厚生労働省の関 与」について、最終的にはこの問題は肉骨粉政策にかかわる評価が主な論点であったか ら対応しなかったという説明がございますが、しかしEUのステータス評価は肉骨粉政 策だけだったのかどうか、その辺の判断はどうでしょう。 ○厚生労働省尾嵜食品保健部長  ステータス評価の中身は、前回、資料が出ておりましたが、サーベイランスの体制と かを含めたBSE対策全体について評価をしているというようには理解しております。 ○高橋委員長  恐らくこれは危機管理体制が行政の縦割りで、ここからこっちは農水省だというよう なことでお互いに領域を遠慮し合っている。そうではなくて、相互のチェック機能とい うものがあってしかるべきではないかというように思うのですが、その辺についてはい かがでしょうか。 ○厚生労働省尾嵜食品保健部長  確かにおっしゃる点については欠けていた点があるのではないかと思っております。 私どもの今日お出しをさせていただきました経緯の中に書いてございますように、農林 水産省として、そういう評価を受けるということで申請をなさった、それと最終的に取 り下げをなさったという中で、私どもとして、積極的に、厚生労働省としてこう考える からどうでしょうかというようなやりとりをきちんとしたという形にはなっておりませ んで、どちらかといいますと、農林水産省サイドのご判断というものであるので、あま り私どもの方からご意見申し上げることではないのではないかというような判断をして いたのは事実でございます。 ○高橋委員長  この関連、あるいはその他の問題で何かございますか。 ○日和佐委員  今日ご回答いただきました前回質問した事項に関して、意見として申し上げたいと思 います。  1996年の、例のWHOの勧告の文書の取り扱いの問題です。今日の回答では、プレス リリースと、それから勧告文の中身にそう差はなかったので、恐らくそのままになった のではないかという回答文でありましたけれども、肉骨粉の取り扱いについては、3と 4と2つの項目で記述がされておりまして、プレスリリースの3の方は、「BSEが発 生した国においては」という条件がついているのですが、勧告文の方では、その条件が 3の項目は文章が変更になっておりまして、そういう条件がついていないのです。「各 国は」という記述になっております。情報提供として、私は審議会にこの勧告文がある ということは当然、提供すべき義務が行政にあったと思っております。なおかつ、5月 7日には農水省にこの勧告文全文が行っているという記録が前回報告されました。した がって、やはり情報提供が不十分であったということは否めないことであると思ってい ます。  それから、1996年において、肉骨粉の使用を行政指導に留めたことについては、諸外 国等の状況ともあわせてという説明でありました。記録によりますと、その1996年はア メリカでもオーストラリアでも、行政指導で国による禁止ということはしておりません 。ですから、WTO体制下においてアメリカ等がしていないことを日本が率先してやる ということに躊躇があったということは、全く理解ができないわけではないわけですけ れども、その国の安全性を守るのは、その国の行政でしかないわけです。その国がやら なければ、よその国は守ってくれないわけですから、そこの判断というものが1つは問 題としてあります。  同時に、1997年には、アメリカも国として禁止をしています。この情報も審議会には 報告をされていなかったわけです。状況が変わっていることについての対応もされてい なかったということで、やはりこの問題については大きな行政対応上の問題があったと いうことを認識せざるを得ないということを申し上げたいと思います。 ○高橋委員長  資料3の4ページですが、WTO勧告の最終報告を入手した後に、飼料部会で検討を 実施しなかった経緯について、この3の後ろから2行目で、「同じ内容であったことか ら、改めて取り上げなかった模様である」というように書いてあるのですが、しかし、 事実は同じ内容ではなかったのではないのかということのご意見でございますが、いか がでしょう。 ○農林水産省木村飼料課長  飼料課長の木村でございます。  委員ご指摘のとおり、厳密な意味でいいますと、資料3の中にございます、7ページ になろうかと思いますけれども、パラグラフ3と4がございます。飼料に関する主要部 分ということになりますと4でございまして、原文につきましては資料の10ページの一 番上にございます“All countries should ban the use of rumlnant tissues in rumln ant fee-d”ということでございまして、この文につきましては原文の最終報告の、資 料の15ページになろうかと思いますが、アンダーラインの4のところに同じ文章で載っ ております。その上の段の “Countries”というところが、前段の文については「BS E発生国」ということになっていたのが、ここでは“Countries”になっているという ことでございますけれども、当時の担当者に聞いていたところによりますと、要は、飼 料の部分に関する趣旨については変更がなかったということで提出しなかったと聞いて おります。  なお、97年のアメリカ、豪州の法制定ということでございますけれども、ご案内のと おり、4月3日に勧告が出されて4月16日に指導通知を行いました。4月24日には法的 な措置についても意見が出されたわけでございますけれども、各国の対応状況を踏まえ てということで改めて審議するということでございまして、96年の9月18日に経過報告 が行われたのですが、その後、審議が行われておりません。それについて状況等を把握 したところ、肉骨粉の使用禁止にする審議が再開されなかったことにつきましては、96 年の指導通知後、配合飼料工場において牛用の飼料への肉骨粉の使用が行われていない というのが確認されたということ。また発生がみられていた英国から牛肉加工品や肉骨 粉の輸入が禁止されたということ、国内に現にBSEの発生が行われていなかったとい うこと等、行政指導の実効が確保されていたというように考えていたということで行わ れていなかったということと、97年3月、4月に家畜伝染病予防法の改正時に、衆参農 水委におきまして、今後とも指導を行うということで附帯決議が全会一致でなされた、 こういったことを踏まえて行わなかったというように承知しているところでございます 。そのことについては、十分そういった面での認識が足りなかったということではなか ったかというような気がいたしております。 ○加倉井委員  これは意見でいいのですが、サイエンスとポリティックの接点の話なのです。9月12 日に、BSEに関する牛の緊急全戸全頭調査開始というのがあって、9月30日に終了し たと書いてあります。今、国民が牛肉を食べるのを非常にためらっている。そして行政 に怒っているというのはどうしてかというと、消費者としては期待が裏切られたという 気持ちなのです。これはどこから来るかというと、安全宣言が行われたと思ったら安全 でなかったというような認識なのです。これはサイエンスからいうと、全然安全ではな い。全戸全頭調査といったって、生きているものを殺して調べているのでも何でもない 。ただ外見をみて、起立不能かどうかとか神経症状があるかとか、これが出るのはかな りひどい状態です。ですから、こんなものをやったって、実は安全などといえるはずが ないのです。ところが、新聞の見出しになると「安全宣言」みたいなことになってしま うわけです。見出しだけで新聞をみている人はたくさんいますので、そうなると、ああ 、安全だと国がいった、そしてちゃんと調べたら、出た。では、国のいうことは全く信 用できないということになるわけです。こういうのは、消費者の非常に短絡的なと、皆 さん専門家は言うかもしれませんけれども、それが普通の反応なのです。それを何度も やると、もう国の言うことは信用できないということになるのです。ですから、農林水 産省は、例えば畜産農家を非常に大事にする政策を展開しているはずなのに、こういう ことをやっているから、逆に牛は売れなくて、今、全国の畜産農家は非常に困っている のです。  この前、熊本に行ったのだけれども、熊本で牛が捨てられました。牛というのは財産 です。それを捨てるというのはどういうことかというと、絶望です。売ったってお金に ならない。運賃だけしか入ってこない。それなら捨ててしまえという、そんなばかなこ とが起こっているもとは何かというと、行政は本当に畜産農家のためにやっているのか ということです。私はやっていないと思うのです。この辺が、私は意見として言いたい のですけれども、本当に牛肉を売りたかったら、国の言うことは信用できるのだという ことを身をもって示さなければだめです。安全だと思ったら安全でないというようなこ とは二度とやってはいけないと思います。 ○高橋委員長  このことについて、どなたか。 ○岩渕委員  安全宣言がどういう意味での安全宣言であったか、マスコミの伝え方にも若干問題が あったのかもしれないというような反省もあります。ですから、どのように報道される かまできちんと見通した上で対策を立てるというのは、これは常識でございますので、 そのあたりも対策が非常に甘かったというようには思います。  それと、今日の資料の中でいいますと、清浄国を確認するためにという表現がありま して、私、かねがね、これはきっと関係者が非常に手間ひまかかったり、そういうこと だから、役所としては、そういう人たちのために言い訳がましくというと変ですが、そ んなことではなくて、とにかく「清浄国ということがこれによって確認できるのだから 、手間だけれども頼むよ」という、そういう気持ちでこのような前書きをつけたのかな とずっと思っていたのですが、通してみると、役所も本当はそれで確認しようというよ うな希望的観測が非常に強かったのだなという感じを受けました。これは単なる感想で すので結構です。  それと、現状についても1つ確認の意味でお願いしておきたいことがあるのですが、 資料はいっぱいいただいていますが、現状の中で一般国民に対する情報提供が必ずしも 完全にはできていないのではないかというような疑問を抱いています。例えば、ちょっ と申し上げておきたいのですが、農場段階でのサーベイランス、この結果の公表という のが、私がちょっとうっかりしているのかもしれませんけれども、どこでどのような結 果が、例えばいつの時点でとか、次々、時点を追って公表されているのかどうかという 、その資料を、少なくとも私どものところでは拝見したことがありません。国民には、 マスコミを通じてどこかでやっているのかもしれませんが、あるいはひょっとすると私 がうっかりしているのかもしれませんけれども、そういったようなことも、国民にもう ちょっとわかりやすくきちんと説明しておくべきだろうと思います。  同じように、24カ月以上のへい死牛の検査、これもやっていらっしゃるのでしょうか 。やっていれば、全くBSEに感染していないという結果が出ているのでしょうが、そ れについても大丈夫かというような感じで私どもはちょっと不安に思うことがあります ので、そういったようなことも国民に伝えるという意味で、この委員会の本来の役割で はないかもしれませんけれども、どこかの時点で資料だけでも構いませんから、情報提 供していただきたいと思います。  それと、いろいろいって申しわけありませんけれども、先ほど話題に出ていました捨 て牛、こういったようなことと出荷の自粛、それから食肉処理場の入荷制限、さまざま な報道がございます。そういったものに対して、行政としてどのような見解をもって、 どのように対応していらっしゃるのか。つまり食肉サイクルが滞っている。一時的に止 めたのは、それは当然であろうと思いますけれども、その後の流れが滞っていることに 対する皆さんの認識はどうなのか。今まで行政指導で手取り足取りやってこられた中で 、今、ここへ来て、それはそれぞれ自発的に、自主的にやっているのだということなの か、そのあたりの認識もやや不安を覚えるところではございます。  それから、再利用については、焼却施設はどうなっているのかということです。予算 措置を講じていらっしゃるようですが、その見通しと現状についても少し資料を教えて ほしいと思います。また環境省でやっていらっしゃる再利用の状況についても、どこか の時点で、この委員会でも聞いてみたいなと思います。今後の日程を見ても、一体どこ でそういう話を聞いていいのかわかりませんし、そういったようなこともあって今、お 聞きしているわけですけれども、今すぐということは言いませんが、どこかの時点でデ ータが欲しいなと思います。  それともう1つだけ、先ほども藤田委員からご指摘がありましたけれども、国民の最 大の不安は、やはり変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病がどういうことになるのだろ うと、そういう不安感があるのだろうと思います。それについて言えば、例えば96年に イギリスで出た10例で平均年齢26歳とかいうデータがありますが、その後さまざまなデ ータ、あるいは知見を、どこかで収集しているのかどうか。そのあたりのところがよく 私にはわからない。お聞きしても、あまり明確な答えはありませんし、データがないの かもしれませんけれども、ないならないなりに、ではどのような状況で調査なさってい て、今後、どのようにやっていくのか。それこそ国民にとって一番欲しい情報ではない かと思いますので、現時点で出せるものというのをもう一度きちんと、出せないなら出 せないで結構ですから、そのあたりのところを、今すぐではありませんけれども、どこ かの時点でお答えいただきたいと思います。 ○高橋委員長  幾つかの資料請求と畜産行政全般についてのご意見、質問があったと思います。それ と最後に、今までに資料要求して、既に回答いただいているものと、今、検討中である という、委員質問事項のリストみたいなものを準備しておいて、これはいつごろ回答で きそうだというようなことを次回は説明いただきたいと思います。  それでは今の点についてお答えいただきたいと思います。 ○農林水産省松原審議官  まず、BSEが確認をされた後の農場段階への立入検査、これが9月30日に緊急立入 検査ということで実施をいたしておりまして、これを完了次第、プレスリリースその他 という形で発表させていただいております。異常な牛が発見をされていないという趣旨 の発表をさせていただいてございまして、安全宣言という言葉を私どもとして使ったと いう経緯はないというように承知をいたしてございます。その後の農場段階のサーベイ ランスにつきましては、毎週月曜日までに前週の結果をとりまとめまして、その診断結 果というものを、対象頭数、あるいは結果ということで記者発表を中心に実施をさせて いただいております。これにつきましては、どなたでもみられるように、農林水産省の ホームページに掲載をさせていただいてございます。  それから、このBSEの発生に伴う生産、流通、消費に対する対策でございますが、 昨年10月にこの内容についてとりまとめまして、公表をいたしております。その後、状 況の変化に伴いまして、若干の追加等をいたしてございます。基本的には、やはりBS Eの患畜の新たな拡大というものがないようにきちっと肉骨粉等の処理をするというこ と、これを進めるということ。2点目は、と畜場で行われております全頭対象のBSE 検査、これによりまして、もしも感染しているものがあれば、これは一切消費の方に回 らないということで、商品段階に出荷をされている牛肉につきましては、すべて安心、 安全と確認されたものだけであるということを大前提といたしまして、例えば、10月18 日に全頭検査体制が整いますまで、若干の肉用牛の出荷につきましては自粛をする、計 画出荷をしていただく、こういったようなことの対策を講じてございまして、生産者等 のご協力をいただいてきております。10月18日以降、次第に検査体制が拡充をされて、 整備されてきておりますので、それに見合った形で出荷をされておりますが、なお、一 部の酪農における乳廃牛、それらにつきましては、全体の流通量、消費量が減退してい るというようなこともございますし、また乳廃牛の中からBSE陽性牛が発生したとい うようなことに対する一般的な不安、その他ということもあろうかと思っております。 そういうことで出荷が滞っている、そういったところに対しましては、基本的には検査 を実施をいたしまして、安全を確認されたものであれば、これは消費をして一向に差し 支えない、大変安全なものであるということが原則でございますけれども、現実には、 それらの出荷が全体の需給バランスのインバランスというようなこともございまして滞 っていることも事実でございますので、それらにつきましては、しかるべく、計画的に 処理をしていくというところに対する支援対策、農家への滞留の支援対策ということを 現在、実施に向けまして準備をいたしているところでございます。それら事業の内容に つきましては、また改めて資料として、実施状況も含めまして、提出をさせていただき たいと思ってございます。 ○厚生労働省吉岡企画課長  厚生労働省関係は、本日まだ提出できていない資料で、前回、複数の委員、竹田委員 ほかからイギリスのvCJDに関して詳細なデータがないかどうかということで、年末 年始にかけて担当局とも相談して調べておりますが、つい昨日、詳細なデータはござい ませんけれども、年次報告という形である程度かいつまんで公表されている資料がみつ かりましたので、今日は間に合いませんでしたけれども、次回提出させていただければ と思います。 ○和田委員  1点は、しばらく前に新聞で読みましたけれども、へい死牛の扱いについて、全頭検 査をするという記事が、小さい記事ですけれどもありましたが、その辺のところをご説 明いただきたいと思います。それが1点と、それから、先ほどから牛肉の消費がなかな か回復しないことについて、根っこのところに行政不信があるという、既にお話は出て おりますが、今日いただきました資料1の参考の17ページ、これは「サーベイランスへ の協力について」ということになっておりますけれども、このときにはまだBSEは日 本では確認されていないところで、この3行目に「いたずらに風評被害を生じないよう 」という言葉があります。これは出ていないときに風評被害を生じないようという言葉 を使っているわけです。それから後、いつということは一々申し上げませんけれども、 農水省から出されておりますいろいろなプレスリリースなり、説明の資料なり、私ども に送ってこられる資料にしましても、この風評被害という言葉が毎回登場しているので す。BSEが確認されていないときの風評被害と、出てからの風評被害という言葉の意 味というのは、正確に考えたら全く違うと思うのです。出ていないときだったら、出て いるような、まさに風評が広がって、それによって生産の農家なり業界に打撃を与える ということだと思うのですけれども、出てから後の風評被害というのは、どちらかとい うと、消費者があまり科学的でなくて、情緒的に消費を控えているということだと思う のですが、やはり消費者としてはそこのところ、どうしても納得できない。これはお答 えいただくことではありませんけれども、今、資料を拝見しながら、その点感じました ので、重なりますが申し上げておきたいと思います。へい死牛についてはお答えいただ きたいと思います。 ○日和佐委員  関連してございますので申し上げます。  へい死牛からのBSE発生率というのは高いというように聞いております。今、へい 死牛は全頭検査をしておりません。今抜けているのはここだけだと思っているわけです 。ですから、ぜひ全頭検査をする体制を整えてほしいと思います。  それから今、出荷できないで滞っている乳廃牛について、私は非常に恐れるのですけ れども、これが高齢になって何らかのことでへい死して、それが闇から闇に葬られて、 現実として、日本のBSE汚染レベルが不明になってしまう、そのことは非常に怖いこ とだと思うのです。確かに発見されればパニックになって、非常に問題が起こるので出 したくないという気持ちはわかるのですが、それは今の話で、これから将来を見通せば 、日本がどのぐらいの汚染レベルにあるのかという現実をしっかり確認するということ は非常に重要なことだと思っています。 ○高橋委員長  今の点についてお答えいただきと思います。 ○伊地知・農林水産省衛生課長  へい死牛の検査についてお答えいたします。BSEの我が国における発生を早期に根 絶するためと、あと今、委員が言われましたように実態を確認するという意味で、死亡 牛の検査体制の強化に向けて取り組むこととしております。現在の検査体制をさらに強 化するには、死亡牛からの検体の採取の場所、採取の方法、死亡牛の検査終了までの取 り扱い等、一連の検査システムのあり方を含めまして、今、検討を進める必要があるの ではないかと思っております。また都道府県におきましても、このシステムに応じて予 算、人員を含めた体制づくりを整えることが必要となっております。現在、EUが取り 組んでおります24カ月齢以上の死亡牛についての全頭検査の導入を目標といたしまして 、早期に検査体制の強化を図っていくこととしております。このために必要な家畜保健 衛生所の検査機材等の整備を計画的に図るとともに、死亡牛の確認、検査システム等の 具体的なサーベイランスの実施方法等について、現在都道府県と調整を行っているとこ ろであります。具体的にどうやったらいいかということを調整を行っているところでご ざいます。 ○高橋委員長  もう1つの第2の点についてはいかがでしょう。老廃牛が出荷されない、それが今後 、どのようになっていくのか。結局は、肉については安全であるということは、いろい ろの説明からわからないわけではございませんが、消費者は安全だから安心だではない のです。安全と安心の違いで、安心感をどのようにつくっていくのかということが行政 の信頼回復以外にないだろうと思っているのですが、それも含めてお答えいただきたい 。 ○農林水産省松原審議官  今、委員長からお話がございました、この乳廃牛等の出荷が滞っているというところ でございますが、基本的には、乳用牛からの牛肉の供給というのが、我が国において約 2割ぐらいを占めているという、やはり重要な資源であると思うのです。この食肉とし ての資源が全く安全なもので、安心なものでなければならないというように思ってござ いまして、その点では、確認をした上で検査を経て出荷をしていくというところでござ いますが、なおやはりそういった安心、安全といったところに対する消費者の方々の不 信といいましょうか、それはまことに私どもとして反省をしなければならない点が多々 あろうかと思うわけでございますが、現実問題、どのようなことをこれからとり進めよ うかということにつきまして、概要を申し上げますと、やはり農家段階で収容できます 牛の数というものは限られているということで、収容能力を超えてしまうということが 出てまいります。新しく子供が産まれる、また後継牛を入れなければならないという中 で、年老いて、乳を搾るのが終わった、そういった牛の出荷というものが滞ってくる、 これらにつきまして、公的な場所等、あるいは団体等が保管場所を定めて、そこに集め て一時保管をいたしまして、それらについて、需要に見合った形で計画的に出荷をして いく、そういった一時収容のストックポイントと申しましょうか、そういったことの内 容を進めていくというところで1つ、現場での今、起こっている事態の緩和ということ を進めたいと思っております。  もう1点は、何よりも、そういった牛の安全性ということではなしに、牛肉につきま しては、もともとOIEの基準その他から申しましても、感染性というものを疑うよう な情報はないということで安全であるというような基準が出てございます。さらに全頭 の牛のBSE検査を経て、全く感染の心配のない牛肉だけが流通しているのだというこ とについての正しい情報提供ということに、私どもとして全力を尽くして、いろいろな 方々に納得をいただけるような情報ということでお伝えするような努力を進めてまいり たいと思っておりまして、そこは二通り、両面から私どもとしてとり進めてまいりたい と思ってございます。 ○高橋委員長  ありがとうございました。  まだ発言されたい方もおられるかもしれませんが、予定の時間を30分近くオーバーし ましたので、ご質問等については次回にご発言いただくことにして、本日はこれで終了 したいと思っております。 次回の日程 ○高橋委員長  次回の委員会でございますが、1月31日木曜日の午後2時からです。三田共用会議所 で開催することといたします。テーマは今後の予定にございますように、「農林水産省 と厚生労働省との連携の検証について」ということが主題でございます。またよろしく お願いいたします。 閉会 ○高橋委員長  それでは、本日の第4回の検討委員会をこれで閉会としたいと思います。どうもあり がとうございました。 ――了―― (照会先:食品保健部企画課 内線2445,2450)