02/01/16 第1回 社会保障審議会 年金部会 議事録         第1回 社会保障審議会 年金部会 議事録 日時  :平成14年1月16日(水) 13:00〜15:00 場所  :東海大学校友会館 出席委員:宮島部会長、神代部会長代理、井出委員、今井委員、大澤委員、岡本委員、      近藤委員、杉山委員、堀委員、矢野委員、山口委員、山崎委員、若杉委員、      渡辺委員 ○ 福井総務課長  お待たせをいたしました。それでは、ただいまより第1回「社会保障審議会年金部会 」を開催いたします。年金局総務課長の福井でございます。部会長選任までの間、議事 進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様 方におかれましては、本日御多忙の折、お集まりをいただきまして、御礼を申し上げた いと思います。  まず始めに、委員の御紹介をさせていただきます。名簿に沿いまして、御出席の委員 を50音順に御紹介をさせていただきたいと思います。  まず、井出明子、株式会社NTTドコモ丸の内支店長でいらっしゃいます。  今井延子、全国女性農業経営者会議副会長でいらっしゃいます。  大澤眞理、東京大学社会科学研究所教授でいらっしゃいます。  岡本康男、住友化学工業株式会社専務取締役でいらっしゃいます。  神代和俊、放送大学教授でいらっしゃいます。  近藤師昭、日本年金数理人会会長でいらっしゃいます。  杉山千佳、有限会社セレーノ代表取締役でいらっしゃいます。  堀勝洋、上智大学法学部教授でいらっしゃいます。  宮島洋、東京大学大学院経済学研究科教授、同大学副学長でいらっしゃいます。  矢野弘典、日本経営者団体連盟常務理事でいらっしゃいます。  山口洋子、日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員でいらっしゃいます。  山崎泰彦、上智大学文学部社会福祉学科教授でいらっしゃいます。  若杉敬明、東京大学大学院経済学研究科教授でいらっしゃいます。  渡辺俊介、日本経済新聞社論説委員でいらっしゃいます。  本日、御欠席との御連絡をいただいておりますが、大山勝也JAM書記長、翁百合日 本総合研究所調査部主席研究員及び向山孝史日本労働組合総連合会総合政策局生活福祉 局長にも委員をお引き受けいただいております。  以上、17名の方々を御紹介いたしました。  次に、厚生労働省年金局社会保険庁の幹部の御紹介をさせていただきます。恐縮です が、座って進行させていただきます。  年金局長の辻でございます。  大臣官房審議官年金担当の吉武でございます。  社会保険庁運営部長の冨岡でございます。  社会保険業務センター所長の金子でございます。  こちら側になりますが、年金課長の榮畑でございます。  企業年金国民年金基金課長の山崎でございます。  資金管理課長の足利でございます。  運用指導課長の石井でございます。  数理課長の坂本でございます。  首席年金数理官の畑でございます。  社会保険庁側になりますが、社会保険庁運営部企画課長の十菱でございます。  同運営部年金保険課長の河野でございます。  それでは、会議の開催に当たりまして、第1回ということでございますので、辻年金 局長の方からごあいさつを申し上げたいと思います。よろしくお願いします。 ○ 辻年金局長  改めまして、年金局長の辻でございます。第1回の年金部会開催に当たりまして、御 礼とごあいさつを申し上げたいと存じます。  委員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、当部会委員をお願いいたしました ところ、快くお引き受けいただきまして、またこのお忙しい中御出席いただきまして、 誠にありがとうございます。  この年金部会は、平成16年までに行うこととされている、次期財政再計算に向けて、 年金制度全般についての議論をお願いするという趣旨で設けられたものでございます。 公的年金を始めとする、年金制度の問題状況をどのように認識し、またどのように対応 していくことが適切なのかといった幅広いテーマにつきまして、十分に情報を公開し、 議論を行っていただいた上で、国民的な合意形成につなげていただくことが期待されて おります。 本日は、まず事務局から年金制度を巡る最近の動向について御説明を申し 上げる予定でございますが、会議を始めるに当たりまして、私の方から大きな流れにつ いて簡単な御説明を申し上げたいと思います。  第1は、公的年金制度に対する不信・不安が広まっていると指摘されておりますが、 このような中で基礎年金の税方式化や、厚生年金の民営化といった提案がなされるなど 、年金制度の基本的な在り方について議論がなされている点についてでございます。こ の点につきましては、私どもはスタンスを明確にいたしております。公的年金制度は、 社会全体での世代間扶養、国民一人ひとりが保険料納付をするという自己努力を果たし ながら、互いに支え合うという、社会保険方式により行う仕組みであり、これは国民の 老後生活を確実に保障することができる、唯一の合理的な仕組みであります。公的年金 制度が、国民にとって不可欠な機能を、今後とも果たし続けることができるよう、もと より国民合意の下で、この仕組みを堅持していくことが必要であります。後に説明いた しますように、このような基本的な考え方を、できる限りわかりやすく国民の皆様に訴 えかける努力を昨年来行っておりますが、今後とも国民各層の理解をいただけるよう、 最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  第2に、経済基調の変化、雇用の流動化など、昨今の年金制度を取り巻く環境の急速 な変化に対応し、年金制度の裾野はますます広がっている点についてであります。昨年 は、これまでの年金制度の体系に加えて、確定拠出年金法、確定給付企業年金法を制定 し、いわゆる3階部分の体系を整備するとともに、農林共済年金の厚生年金への統合に よる、公的年金制度一元化の推進を図ったところであります。また、公的年金の積立金 につきましても、その全額についての自主運用を行うことが決まり、資金運用について 大きな責任を有することとなりました。これについて、今後とも十分な説明を尽くして 、国民の支持を得て制度運営に取り組んでいく必要があると考えております。  第3に、女性と年金の問題を始めとする、これまでの懸案事項がございます。この女 性と年金の問題は、年金審議会からの申し送り事項でありますが「女性のライフサイク ルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」において、17回にわたる審議を重 ねた結果、昨年末に報告書が取りまとめられました。この女性と年金の問題を含め、国 庫負担の2分の1の引き上げ、保険料引き上げ凍結解除、こういった基本的な次期年金 制度改革に向けての課題に対応していく必要がございます。  このように、最近の動向を申し上げただけでも、多くの、非常に大きな課題がありま す。年金部会におきましても、これらの諸課題を踏まえて御審議いただくこととなり、 関係各方面からも注目されているところであると考えております。我が国の年金制度の 改革が、国民的合意の下で行われるよう、大所高所からの十分な御審議をいただきます よう、心からお願い申し上げる次第でございます。  ありがとうございました。 ○ 福井総務課長  年金局長からごあいさつ申し上げました。議事次第に従いまして、進めさせていただ きたいと思いますが、議事に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきたい と存じます。  座席図、それから議事次第のほかでございますけれども、資料1−1といたしまして 、当部会の委員名簿でございます。  資料1−2でございますけれども、社会保障審議会の関係の法令・規則を付けさせて いただいております。  資料2でございますが、社会保障審議会年金部会についてというものでございます。 設置の趣旨、審議事項、審議の進め方等について記載をされている資料でございます。  資料3でございますが、平成13年に成立をいたしました年金関係の法律についての資 料でございます。  資料4でございますが、公的年金制度に関する考え方(第2版)というものでござい ます。  資料5は年金保険者(厚生労働大臣)による自主運用の実施についての資料でございます。  資料6は1枚紙でございますが、特殊法人等整理合理化計画の抜粋でございます。  資料7−1でございますが、平成14年度の厚生労働省予算案の概要でございます。  資料7−2でございますが、平成14年度の厚生労働省関係財政投融資資金計画案の概 要でございます。  資料7−3、予算関係が続きますが、平成14年度の年金関係予算(案)の概要という ことで、特別会計の予算の資料でございます。  資料8でございますが「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関 する検討会」報告書でございます。  資料9でございますが、これは文章が縦書きになっているものでございますけれども 、社会保障改革大綱でございます。  資料10でございますが、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方 針、いわゆる世上、骨太方針と呼ばれているものでございます。  以上、大部の資料で恐縮でございますが、御確認のほどお願いをいたしたいと思いま す。よろしゅうございましょうか。  なお、それぞれ本部会の委員としての辞令でございますけれども、封筒に入れさせて いただいておりますので、これにつきましてもよろしく御確認のほど申し上げたいと思 います。  それでは、この部会を進めるに当たりまして、部会長を選出していただきたいと思い ます。社会保障審議会令第6条第3項に、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員 の互選により選出すると規定をされております。資料1−2の関係の部分を御覧いただ ければと思います。つきましては、社会保障審議会の方の委員の皆様方におきまして、 部会長の選任をお願いをいたしたいと存じますので、どなたか御推薦がございましたら お願いをいたしたいと思います。渡辺委員、お願いします。 ○ 渡辺委員  私は、これまでの御経歴から見まして、宮島洋委員が最適任だと思いますので、御推 薦いたします。 ○ 福井総務課長  ただいま、宮島委員という御発言がございました。ほかに御発言がございましょうか 。  それでは、本部会の部会長を、宮島委員にお願いをしたいと存じますが、いかがでご ざいましょうか (「異議なし」と声あり) ○ 福井総務課長  それでは、宮島委員、恐縮でございますが、部会長席の方へ御移動いただきまして、 以後、議事運営につきましては、部会長にお願いをいたしたいと思います。どうぞよろ しくお願いをいたします。 (宮島委員、部会長席へ移動) ○ 宮島部会長  宮島でございます。これから、年金部会の議事進行を務めさせていただきます。部会 長として、始め何か少し話せということではありますけれども、審議は始まったばかり でございますし、余り予断を持ってお話しするようなことは、今のところ特にございま せん。  ただ一つだけ、こういう年金のような国民すべてに関わる非常に大きな問題の意思決 定の仕方については、特にこの審議会の在り方なども含めて、やはり私は何年かこうい う仕事に携わっておりました中で、かなり大きな変化があったわけでありまして、私た ちの役割というのは、国民生活にとって非常に重要な意味を持ち、しかも長期にわたっ て大きな影響力を持つ重要な問題について、その論点を十分に議論をして、そしてそれ をオープンにする。なるべくオープンな形で議論をして、多くの人にそこに参加してい ただくということに役割があるだろうというふうに考えておりますので、今後とも、特 に委員の方々にはよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  それから、従来から厚生労働省の会議は、こういう形で完全な公開という形を取って おります。しかし、公開と申しましても、多くは取材された方々の報道という形で伝え られるわけでございますので、どうか取材の皆様方にもここでの議論を、なるべく的確 に多くの方たちにお伝えいただくことを期待しておりますので、よろしくお願いしたい と思います。  この社会保障審議会令第6条第5項に、部会長に事故があるときには、当該部会に属 する委員または臨時委員のうちから、部会長があらかじめ部会長代理を指名するという ことになっております。つまり職務を代理する者を指名することになっております。大 変僣越でございますし、失礼に当たるかもしれませんが、私の方から部会長代理の委員 の方を指名させていただきたいと思います。部会長代理は、神代委員にお願いしたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、早速議題の「(1)年金部会について」ということで、本日は第1回目の 会合でございますので、本部会の設置の趣旨でありますとか、審議事項等について始め に確認をしておきたいと思いますので、これは事務局の方から御説明をお願いいたしま す。 ○ 福井総務課長  御説明をさせていただきます。この関係は、資料2でございます。「社会保障審議会 年金部会について」という資料でございます。1といたしまして「設置趣旨・審議事項 」でございますが、平成16年までに実施される次期財政再計算に向けた年金制度の全般 にわたる議論ということになっております。  また、2の「審議の進め方」ということでございますが、審議は原則公開とするとい うことでございまして、これはこの審議会の運営規則の第5条第1項でございます。先 ほど申し上げました、関係の法令・規則をごらんをいただきたいと思います。議事録に つきましても、この規則の第6条で、あるいは提出資料につきましても、これは原則公 開をするということでございます。  進め方でございますが、当面は1〜2か月に1回程度の開催にさせていただきたいと 思っております。  「1.設置趣旨・審議事項」でございますが、この資料2の後に、資料2−2という ことで付けさせていただいております資料がございます。平成13年7月13日の第3回社 会保障審議会における資料でございます。昨年の7月の社会保障審議会、いわば親審議 会における資料でございます。1枚おめくりをいただきますと、2ページと数字がふっ てございますが、ここの一番最後「E年金部会」というところでございます。親審議会 の方で、既にこの審議会の設置の趣旨なり、審議事項につきましては、書いてございま すように、既に御決定をいただいておるということを申し上げたいと思います。  なお、この部会の、いわば所掌の範囲につきまして、これは勿論当部会においてお決 めをいただくことでございますが、事務局として念頭にありますことを、若干口頭で恐 縮でございますけれども、御説明をさせていただきたいと思っております。  年金ということでございますが、第1点目は制度的な広がり、制度体系という観点か らの範囲の問題でございます。これにつきましては、1つは公的年金に限らず、企業年 金あるいは確定拠出年金等につきましても、御議論の範囲に入ると考えております。  共済年金制度につきましては、別の役所がおのおの行政組織として所管をいたしてお りますが、関連をいたしまして、この場における議論の範囲に入るという具合に考えて おりますけれども、別途社会保障審議会には年金数理部会があり、共済各制度の財政検 証を所管しておるわけでございます。今回、当部会の委員に御就任いただきました堀委 員には、この社会保障審議会年金数理部会の部会長をしていただいているということで ございます。  次期財政再計算との関係ということで申し上げますと、大きな2点目として、制度に 関わる議論の前提となります、公的年金の資金運用の在り方、あるいは年金数理、これ は厚生年金、国民年金、これが主になろうかと思っておりますけれども、こういったこ とにつきましても、当然範囲に入ると考えております。ただし、例えばこの年金資金の 運用のポートフォリオでございますとか、運用の基本方針にかかわることにつきまして は、これはまた別途この社会保障審議会の中に年金資金運用分科会がございまして、そ この担当ということになろうかと思っております。若杉委員におかれましては、この年 金資金運用分科会の分科会長をしていただいているということでございます。  大きな3点目ということで申し上げますと、公的年金につきましては、適用、徴収、 給付といった、運営面のことがございます。行政組織ということで申し上げますと、年 金局とは別に、社会保険庁において担当いたしているわけでございますけれども、この 年金の関係の業務、あるいは運営面につきましても、当然のことではございますけれど も、この御議論の範囲に入ると考えているところでございます。  資料3につきまして、御説明をさせていただきました。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ただいまの設置の趣旨及び審議事項について、勿論何か御質問はあるのかとは思いま す。次回以降、特に審議事項につきましては、論点を整理しながら詰めていく事項もご ざいますので、今回は今の御紹介にとどめさせていただきたいというふうに思います。  続きまして、平成13年の年金関係の動き、特に平成14年度予算案等につきまして、事 務局から御説明願いますが、これは議題の2、3に関わることなので、一括して少し説 明をしていただきたいと思います。どうぞ。 ○ 福井総務課長  それでは、引き続きまして、平成13年の年金関係の動き、あるいは14年度の予算案に つきまして、事前に資料をお届けをさせていただいておりますが、時間も限られており ますので、ポイントについての説明ということにさせていただきたいと思います。よろ しくお願いいたしたいと思います。  「平成13年に成立した法律(年金関係)」これは資料3でございます。ごらんのとお り、4本あるわけでございます。1ページおめくりをいただきまして、ページ数の2で ございますが「平成13年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する 法律」でございます。公的年金制度におきます年金の額につきましては、いわゆる完全 自動物価スライド制という仕組みが取られております。ある年度の4月からの年金の額 というものは、その前年、これは暦年でございますけれども、その消費者物価の変動の 状況に連動いたしまして、額が自動的に改定されるという仕組みとなっております。13 年度、つまり今年度でございますけれども、前年、平成12年の平均がマイナス1%、11 年の0.3 %と12年の0.7 %、物価がマイナス1%ということで下がっているわけでござ いますが、ここに書いてございますけれども「経済情勢にかんがみ」ということで、特 例法により据え置くということにいたしたものでございます。  ただ、これにつきましては、この最後の一番下の※印でございますが、平成12年度、1 3年度と2年続けて、こういった特例措置が講じられたことに伴う財政影響を考慮いた しまして、次期財政再計算までに後世代に負担を先送りしないための方策、給付の額を どうするのか、あるいはスライドの規定、スライド制度自体の見直しといったことにつ いて検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずる旨の検討規定を設けていると ころでございます。  後ほど御説明いたしますが、14年度につきましても同様の特例措置を講ずることとい たしておりますが、申し上げましたように検討を行うということとされておりまして、 この点につきましては、当部会における審議事項の一つではないかと考えております。  次のページをごらんをいただきたいと思います。「確定給付企業年金法」でございま す。いわば、年金制度体系で言いますと3階部分、企業年金の世界の話でございますが 、確定給付型の企業年金、あらかじめ給付額が決まっているタイプの年金でございます けれども、受給権保護等を図る観点から、労使の自主性を尊重しつつ、統一的な枠組み の下に必要な制度整備を行ったものでございます。  3の「その他」のところ、一番下に図が出ておりますが、御覧をいただきたいと思い ます。3階部分の企業年金が制度的にどうなるかということでございますが、当分の間 は、まず左側にございます、代行部分を有する現行の厚生年金基金がございます。真ん 中に新企業年金と書いてございますが、現行の適格退職年金と同じタイプの規約型の企 業年金と、厚生年金基金の代行部分がなく、プラスアルファ部分だけの基金型の企業年 金が新たに創設されるわけでございます。  今、約8万ございます、適格退職年金につきましては、10年以内にこの新企業年金に 移行するということとなっているわけでございますけれども、10年間はこの適格退職年 金も存続をするということになるわけでございます。  2のところに、受給権保護のための措置ということで、積立義務、受託者責任の明確 化、情報開示といったものが、受給権保護の観点から法律で規定をされております。な お、施行につきましては、4のところに書いてございますように、本年の4月1日から の施行ということになっております。  4ページでございます。「確定拠出年金法」でございます。日本版401Kといったよう なことで報ぜられているものでございます。先ほど、確定給付について申し上げました が、そこに書いてございますように「確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明 確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに給付額が決定される年金」でご ざいます。給付額があらかじめ決まっていないタイプの年金でございます。現行の企業 年金などが、中小・零細企業、自営業者に十分普及していない。あるいは、転職時の年 金資産の移換が十分確保されていないために、労働移動への対応が困難であるといった ようなことを背景にいたしまして、成立させていただいた法律でございます。  2の(1)のところをごらんいただきたいと思いますが、企業型と個人型という具合 に分かれております。いずれの制度におきましても、加入者自らが運用指図を行う、自 己責任に基づく年金であるということでございます。  一番下でございますが、3の「施行」のところでございますけれども、昨年の10月1 日から企業型が既に実施をされ、個人型につきましても、今年1月4日から受付を開始 をいたしたところでございます。  その資料の8ページをごらんいただきたいと思います。2のところの「確定拠出年金 導入に向けての動き」のところでございますが、最初の○でございますけれども、加入 者個人の記録管理、運用商品の提示、あるいはいわゆる投資教育といったものを行う、 運営管理機関でございますけれども、本年1月15日現在で123 社の登録が行われており ます。  企業型の実施事業所ということで申し上げますと、資料にございますように、同じく 1月15日現在で22社が既に実施をいたしておるということでございます。  9ページをごらんいただきたと思います。新しい法律、また自己責任に基づく仕掛け ということでございまして、さまざまな広報、取り組みを行ってきておりますけれども 、2番目の○でございますが、自己責任に基づく新たな制度であるということで、投資 教育というものが非常に重要な意味を持ちますので、ガイドラインという形で、具体的 な内容を明らかにいたしまして、堅めの、慎重な対応ということで実施をいたしている ところでございます。  10ページをごらんいただきたいと思います。「厚生年金保険制度及び農林漁業団体職 員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律 」でございます。非常に長い名前で恐縮でございます。  「趣旨」のところに書いてございますが、公的年金制度の一元化を推進するというこ とで、昨年の3月に方針を閣議決定いたしておりますが、この中で今後財政運営が厳し くなると予測されます、農林漁業団体職員共済年金、いわゆる農林共済年金でございま すけれども、これの厚生年金への統合を図ったところでございます。  「内容」にございますように、この共済組合法は廃止をされまして、共済組合の組合 員は、統合後は厚生年金の被保険者になるということでございます。(3)に書いてご ざいますように、保険料を一定の期間上乗せをして取るということでございます。  施行につきましては、14年の4月1日からということでございます。この統合に伴い まして、農林共済から厚生年金へ移換金というものがございます。上乗せ保険料による 納付も含めまして、1兆7,600 億円の移換金ということになっておるところでございま す。  以上が、平成13年に成立をいたしました法律でございます。  次に資料の4でございます。「公的年金制度に関する考え方(第2版)」というもの でございます。先ほど、局長からのあいさつにもございましたように、公的年金につき ましては、持続可能なのか、あるいは不信・不安が高まっているという指摘を受けてい るわけでございまして、これに対する我々の対応ということで御理解をいただきたいと 思います。  次のページに目次が出ておろうかと思います。公的年金制度の基本的な考え方、目次 に出ております、こういった問題意識を「Q&A」というような形にいたしまして、社 会保険庁で実務に携わっている者を始め、関係者用に作成をいたしたものでございます 。ここに盛られました考え方をベースといたしまして、若年者、若い方々にいろいろ不 信・不安があるということも聞いておるわけでございますけれども、こういった若年者 を始めといたしまして、広報・PRに努めているということでございます。  なお、第2版という具合にいたしておりますのは、ここに盛られております説明の仕 方なり、あるいは表現等につきまして工夫の余地が生ずることもあり得るわけでござい まして、そういったようなことで、なお表現等について修正あり得べしということで第 2版とさせていただいております。  若干ポイントを御説明させていただきたと思います。この1ページをごらんいただき たいと思いますが、1ページの4の公的年金の必要性のところでございますが「社会全 体での世代間扶養を個々人の自助努力の下で行う仕組みをとっている公的年金だけが、 将来の経済社会がどのように変わろうとも、やがて必ず訪れる長い老後の収入確保を約 束できる」ということでございます。  4ページをごらんいただきたいと思います。「公的年金の役割」先ほど局長の方から 申し上げましたが、1のところでございますが「世代間扶養の考え方を基本においた社 会保険方式を採っている」ということ。2のところの3行目「公的年金は」の以下かぎ 括弧がございます。「現在の現役世代が自助努力によって支払う保険料により現在の高 齢者の年金給付を支え、現在の現役世代が将来高齢者となった時には、個々人の現役時 代の保険料納付の実績、すなわちかつて高齢者の年金給付に対して個々人が行った貢献 の度合いに応じて、次の世代の支払う保険料によって年金給付を受けるということを順 繰りに行う」ということでございます。  その3行下でございますが「この仕組みは世界の主要国でもほぼ例外なく採用されて おり、長期間の賃金や物価の上昇などの社会経済変動に対応し、広く国民の老後の生活 を確実に保障できる唯一の仕組みである」というふうに考えております。  10ページをごらんいただたいと思います。「公的年金はつぶれるのではないか」とい ったことが聞かれるわけでございますけれども、世代間扶養を行う仕組みを採っている 公的年金は、我が国の経済社会が存続する限り、決してつぶれることはないということ 、A、Bという具合に書いてございます。  大きな2でございますけれども、国民一人ひとりが、この世代間扶養の考え方を理解 し、公的年金を守り育てていくということが重要であるということでございます。  31ページでございます。税方式、社会保険方式といったことについての考え方を記述 させていただいております。  35ページでございますが、報酬比例部分の厚生年金を廃止して民営化すべきという御 議論に対する考え方を記述をさせていただいております。  以上が資料4でございます。  続きまして、資料5でございます。「年金保険者(厚生労働大臣)による自主運用の 実施」ということでございます。従来、この公的年金の積立金、給付の原資につきまし ては、旧大蔵省の資金運用部に預託をいたしまして、一部借り戻してこちらサイドでの 運用ということもやっていたわけですが、昨年の4月からでございますけれども、厚生 労働大臣の定める運用の基本方針、これにつきましては、年金資金運用分科会に諮問し 答申を得るということでお決めをいただいたわけでございますけれども、この運用の基 本方針にのっとりまして、特殊法人たる年金資金運用基金におきまして運用をするとい うことにされたわけでございます。  運用の現在の状況でございますけれども、この資料5の一番最後の横長になっている 紙をごらんいただきたいと思います。そこのCの「総合収益(市場運用分)の状況(H1 3.4〜9月)」でございます。総合収益額でございますけれども、残念ながらマイナ ス1兆7,456 億円ということでございまして、期間率で申し上げますとマイナス6.72、 年率換算でマイナス13.41 ということになっております。この理由につきましては、す ぐその上のところに、国内債券以下、それぞれ若干の理由が書いてございます。取り分 け、2番目の国内株式のところでございますけれども、企業業績の先行き不安、あるい は米国同時多発テロの米国景気に及ぼす影響等から大幅な下落をしておるということで ございます。外国株式につきましても、こういったようなことがあるわけでございます 。  以上が、自主運用の実施に関する資料でございます。  資料6をごらんをいただきたいと思います。「特殊法人等整理合理化計画(平成13年1 2月19日閣議決定)−抄−」とされているものでございます。昨年、特殊法人改革とい うことで、議論・調整が行われてきたわけでございますが、年末、12月19日に閣議決定 を見たものでございます。私ども局の関係におきまして、1番大きなテーマとなりまし たのは、中ほどに書いてございます、先ほどちょっと申し上げました、年金資金運用基 金でございます。3つの業務をやっております。  業務につきましては、書いてございますように、まず運用の関係でございますけれど も、平成16年までの次期財政再計算時に、年金資金運用の在り方について、安全かつ効 率的な運用を行うため、リスク運用の位置づけを含め検討し、決定するということでご ざいます。 グリーンピアと呼んでおりますが、大規模な年金保養基地がございます。 これにつきましては、平成17年度までに廃止をし、特に自己収入で運営費さえも賄えな い施設については、できるだけ早期に廃止をするとされております。  もう一つ、年金加入者住宅等融資業務でございますけれども、住宅融資を民間に委ね る等の観点から、平成17年度までに廃止をするされております。あわせて、年金政策上 の被保険者還元融資の在り方については、次期財政再計算時(平成16年まで)に検討し 、決定をするということになっております。  組織の在り方につきましては、次期財政再計算時に年金資金運用方針に則し、廃止を 含め組織の在り方を検討し、決定をするということとされております。この点につきま しては、年金資金運用方針に則してということでございますので、第一義的には年金資 金運用分科会での御議論があろうかと思っておりますし、またこの組織の在り方につき ましては、当部会においても御議論をいただくということになるのではないかと考えて おります。  その上の、年金加入者住宅等融資業務のところに書いてございます、年金政策上の被 保険者還元融資の在り方につきましても、当部会での御議論になるのではないかと考え ております。  以上が資料6でございます。  資料7−1をごらんいただきたいと思います。「平成14年度厚生労働省予算案の概要 」ということで資料を提出をさせていただいております。この資料は、厚生労働省予算 一般会計の関係の資料でございます。一番最初のページにございますように、14年度の 予算額、厚生労働省関係では、18兆6,684 億円ということでございまして、対前年度5,8 02 億円、率で3.2 %の増ということになっております。  年金の関係につきましては、36ページをごらんいただきたいと思います。項目といた しましては「長期的に安定した信頼される年金制度の構築」ということで、年金給付費 国庫負担金、これが5兆4,919 億円と相なっております。その下に書いてございます、 スターマークでございますけれども、先ほど申し上げました物価スライドの特例の関係 でございます。  この資料7−1の一番最後のページ、50ページをごらんいただきたいと思います。「 平成14年度の年金額等の物価スライド特例措置(年金額の据置き)について」というペ ーパーでございます。「現下の社会経済情勢にかんがみ、平成14年度の特例として、平 成13年の消費者物価の下落にかかわらず、年金額等を引き下げないこととする」とされ ております。「等」と書いてございますのは、手当の関係もあるということでございま す。  先ほど、13年度分について申し上げましたように、四角の中の2番目の○でございま すけれども「特例措置を講じることに伴う財政影響を考慮し、次期財政再計算までに、 後世代に負担を先送りしないための方策について検討を行い、その結果に基づいて所要 の処置を講ずるものとする」という具合に考えております。  数字的なことを申し上げますと、11年の0.3 、それから12年の0.7 、13年につきまし ては、1月25日の日に確定をさせていただきたいと思っておりますが、現時点では0.6 ということで、累積1.6 %のマイナスということでございます。その場合の年金額の影 響は、そこに書いてあるとおりでございますが、(注)に書いてございますように、受 給者数が2,800 万人、手当、これは児童扶養手当、あるいは原子爆弾被爆者に対する手 当などでございますけれども、等々が120 万人ということでございます。  財政影響額でございますが、厚生年金、国民年金で給付費ベースで4,500 億円、共済 年金あるいは各種手当を含めますと、給付費ベースで5,510 億円の影響額ということで ございます。私どもといたしましては、21日から始まります通常国会に、この特例法案 を提出をいたしたいと考えておるところでございます。  資料7−2でございますけれども、財政投融資関係でございます。1ページ目でござ いますけれども、2番目の○でございますが「年金資金運用基金」先ほど特殊法人の関 係のところでちょっと申し上げましたが、被保険者住宅資金貸付等でございますけれど も、13年度6,675 億円に対しまして、14年度2,537 億円の計画額ということになってお ります。これにつきましては、特段政策判断を加えて額を少なくしているということで はございませんで、直近の実績を基にいたしまして、いわば自然体で計算をした結果と いうことで、2,537 億円の計上ということになっております。  私の方からは、以上でございまして、特別会計の年金関係の予算につきましては、社 会保険庁の河野課長の方から御説明をいたしたいと思います。 ○ 河野年金保険課長  社会保険庁の年金保険課長でございます。私の方から、引き続きまして、平成14年度 年金関係予算(案)の特別会計の部分でございますが、概要を御説明したいと思います 。  御案内かと存じますけれども、年金関係予算は一般会計と区別いたしまして、厚生保 険特別会計並びに国民年金特別会計という2つの特別会計で管理をすることになってご ざいます。  資料につきましては、資料番号7−3をごらんいただきたいと存じます。一番目の保 険料収入の関係であります。まず、厚生年金の保険料収入でございますが、従来ベース の被保険者、これは現下の経済状況を反映して、だんだん被保険者は減ってきているわ けでありますが、先ほども説明にあったかと存じますけれども、農林年金が統合される 。あるいは、また今年の4月から被保険者期間が、今まで65歳までの方がお入りになっ ておられるわけですが、これが70歳まで延長されるということによりまして、トータル としては被保険者は増えるという格好になっております。したがいまして、平成13年度 に比べまして、額で申し上げると1,617 億円の増となります、21兆8,099 億円を見込ん でいるところであります。  被保険者の増の内訳をちょっと申し上げますと、従来分の被保険者は約41万人減じる んではないかと見込んでおりますが、農林年金からの移換の被保険者が46万人、被保険 者期間の延長に伴います被保険者の増が77万人で、トータルいたしまして82万人の被保 険者増を見込んでいるところでございます。  国民年金の保険料収入でございますが、これも最近の経済情勢の悪化によりまして、 最近年々免除者が増えております。こういったこと、あるいは平成14年度からは、低所 得者層の方々に対しまして、半額の保険料免除制度というのが導入されることになって おります。こういう影響が非常に多くて、額で申し上げれば、13年度に比して373 億円 の減ということになります、2兆1,620 億円を見込んでいるところであります。  3番目の年金給付費の関係でありますが、厚生年金の保険給付につきましては、これ も年々受給者が増えておりますので、13年度予算に対しまして、6,914 億円増の20兆8,0 53 億円を見込んでいるところでございます。ちなみに、受給者の増は、13年度に比して 112 万人増加するというふうに見込んでおります。ただし、この内農林年金からの移行 者だけを申し上げますと、35万人程度というふうに見込んでいるところでございます。  国民年金の関係でありますが、ここに載っております国民年金は、いわゆる旧法の国 民年金の受給者の給付費ということでございます。旧法の受給者は、年々減ってきてご ざいまして、それを勘案しますと、13年度予算に対しまして、1,200 億円強の減額とい うことになろうかと思います。受給者は、約30万人ほど減るというふうに見込んでいる ところでございます。  基礎年金の給付は、これも厚生年金同様に年々受給者が増えておりますが、約154万 人ほど増えると見込んでおりまして、総額で10兆5,100 億円を見込んでいるところでご ざいます。  福祉年金につきまして、これは全額一般会計で負担をしているわけですが、御案内の とおりどんどん受給者が減っております。14年度では、13年度に対して4万人ほど減る んではないかというふうに見込んでおりまして、総額で320 億円を計上しているところ であります。  国庫負担につきましては、御案内かと思いますけれども、基礎年金給付等に関しまし ては、給付費の3分の1を一般会計で負担し、福祉年金は、全額を一般会計から負担さ れるということになっておりますので、受給者の増減によりまして計算いたしました結 果、ここにトータルを記載させていただいておるところであります。  4番目の積立金の関係でありますが、厚生年金につきましては、14年度の剰余金見込 み9,728 億円を加えまして、トータルで138 兆3,542 億円を見込んでいるところでご ざいます。  国民年金につきましても、同様に14年度の剰余金見込み、705 億円を加えまして、合 計10兆1,297 億円を見込んでいるところでございます。  以下の資料は、この両特別会計の詳細でございますので、後ほど御高覧を賜りたいと 存じます。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。資料の3〜7まで、今、説明がございまして、おそらくい ろんな論点はあるかと思いますが、多少時間に限りがございますが、何かこの際聞いて おきたい点がございましたらどうぞ、御意見の方は後ほど、あるいは次回ということに いたしまして、ただいまの資料的なものが多かったと思いますが、何か御質問ございま すでしょうか。渡辺委員、どうぞ。 ○ 渡辺委員  細かい点なんですが、今の資料7−3の国庫負担と年金給付の問題で、福祉年金が給 付費が486 、14年度320 ですね、それで国庫負担がその上のあれで483 と318 、福祉年 金は言うまでもなく全額国庫負担のはずだと思うんですが、このわずかな差というのは 何なんでしょうか。 ○ 河野年金保険課長  給付費の予算の中には、前年度の剰余金の3億円も計上されておりまして、国庫負担 の483億円にそれを足した結果、給付費予算は486億円というふうになっておるところで ございます。 ○ 宮島部会長  ほかに何かございますでしょうか。細かい点は、いろいろ気になることもあると思い ますし、特に資料の4は、むしろこれから議論していただく内容にかかわることでもあ りますので、今日は初回ということで、少し資料の紹介を兼ねるということでございま すので、また何かあれば、後ほど少し時間のあるところで、前に戻って御質問いただく のも結構だと思います。  それでは、議題を先に進ませていただいて、むしろ本日一番重要な議題というよりも 、少しここで議論なりをしていただきたい点でありまして、もう御承知のように、平成1 3年12月に「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」 の報告が出てまいりまして、新聞でも取り上げられましたし、大きな議論を呼んでおり ますので、これについてこれから若干時間を取りまして、事務局の方から説明をいただ いた後、少しこの内容について必要があれば議論をしたいというふうに思っております 。  事務局に御説明いただきますが、全体、少し時間が窮屈になってきておりますので、 なるべく説明は簡潔にしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いい たします。どうぞ。 ○ 榮畑年金課長  では、資料の8番に沿いまして、簡潔に御説明させていただきます。お手元に、こう いう厚い冊子と、あらましと書いておりますカラーコピーの1枚紙をお配りさせていた だいております。あらましに沿いまして、時間の関係上大変恐縮でございますが、簡潔 に御説明させていただきます。  まず、この問題でございますが、実は平成12年の前回の制度改正の、いわば積み残し の宿題、検討課題とされてきたところでございます。本報告書本文の方の2ページ、3 ページに、前改正に関する年金審議会の意見書を付けさせていただいておりますが、そ れの3ページの中段ぐらいに、3つ目のくくりの「検討会の設置」というところで書い てございますが、大変幅広い課題がございますから、各方面の御専門家からなる検討会 をつくって、早急に検討着手せよというような御指摘を頂戴したところでございます。  それを頂戴いたしまして、この平成12年年金改正が施行された直後の平成12年7月か ら、この報告書の165 ページでございますが、16名の委員の先生方からなる検討会を、 平成12年の7月にスタートさせていただきまして、167 ページがこの検討経過でござい ます。全17回、12年9月以降は月2回ペースで、かなり集中した御議論を賜りまして、 この報告書を整理していただいたところでございます。  この報告書の性格でございますが、報告書本文の1ページを見ていただきますと「は じめに」というところの下から3行で書いてございますが、今後のこの問題に関する本 格的かつ国民的な議論に資するべく、その基本的な考え方や重要な論点について御整理 していただいたところでございます。まさに、これからこの検討会の報告書を、重要な 一つの検討材料にしていただきつつ、今後更に本格的かつ国民的な議論を進めていこう というところでございます。  では、どういう諸問題があるのかということでございますが、それがこの報告書の4 ページ以降で「女性と年金問題とは?」ということで紹介されてございます。4つぐら いに整理できるかと思っております。まさに、働く女性が増えてきたということを始め といたしまして、さまざまな生き方、スタイルが変わってきている、多様化してきてい るということの中で、従来から特に厚生年金の場合でございますと、年金の給付を行う ときのスタンダードな世帯、家庭というのは、夫婦片働きの家庭というのを設定いたし まして、年金の水準を幾らというふうなことを決めてまいりました。そういうふうなこ とに対しまして、働く女性が増え、女性の生き方が多様化してきている中で、そういう 考え方と乖離してきているのではないかという点が1つございます。 2つ目でござい ますが、先ほどもちょっと御紹介いたしました、働く女性が増えてきている中で、例え ば本報告書の12ページをごらんになっていただきますと、特に働く女性の中でも短時間 労働者の方々が、700 万人、800 万人になろうとしている。そういうふうな方々につき まして、実は基本的に働く方としての年金の適用はない、厚生年金の適用がございませ ん。そういうふうな問題等々から、実は相対的に低い年金水準にとどまっておられると いうようなことが見て取れます。  女性の方の年金水準、例えば33ページを見ていただきますと、下の方のII−28でござ いますが、11年度の新規裁定者の女性の方の年金が11万円。これに対しまして、男性が2 0万円でございますから、ほぼ半分ぐらになっています。まさに厚生年金への加入期間 が短いとか、賃金が低いとか、そういうことに伴いまして、年金額が低くなっていると いうようなことをどう考えるかということ。  3番目でございますが、実はこの問題が一番大きな議論になったんでございますが、 いわゆる3号の問題だとか、いわば働く女性と専業主婦の方々との不公平感を、どうい うふうに考えるか、様々な生き方、様々なライフスタイルを選択される女性の間での、 不公平感をどういうふうに考えるか。第3号被保険者の問題とか、遺族年金の問題等々 がございます。  4番目といたしまして、女性というのは平均寿命が長いということもございまして、 非常に長いお一人で過ごされる老後期間がある。それに対する、十分な年金保障がされ ておられるのか。例えば、数字を見ていただきますと、本報告書の39ページの資料II−3 1というのをごらんになっていただきますと、65歳以上の方がおられる世帯の平均所得 金額が一番低い。お一人で暮らされる人が、一番端でございますが172 万円と、ストン と落ちている。こういうふうなことをどういうふうに評価すればいいんだろうか、幾つ かの諸問題がまさに女性と公的年金制度との間にあるんではなかろうかというような御 指摘がずっと出されておるところでございます。  では、それを今後どういう方向に変えていくべきか、どういうふうに変えていけば良 いのかというところを、大分御議論いただきましたけれども、それを一言で表わします と、本報告書の41ページを見ていただきますと、今後の方向ということで、まさに女性 自身の貢献が年金制度につながっていくというふうな方向を展望していくべきではない かというのを、41ページの頭の方に記述がされております。  そういうふうな、大きな方向を考えつつ、どういう視点でこの女性と年金の諸問題と いうのを検討していくべきかというのを、41ページの下の方から1つ目として、個人の 多様な選択に中立的な制度としていくべきではないかというのが1つ目です。  2つ目が、42ページでございますが、年金の支え手を増やしていく方向で考えていく べきではないかというのが2つ目です。  3つ目が、女性に対する年金保障の充実を図っていくべきではないか、そういうふう な3つの基本的な視点で、先ほどお話しさせていただきました、幾つかの女性と年金に 関する諸問題というのを考えていくべきだろうというような視点でございます。  もう一つでございますが、45ページをごらんになっていただきますと、そうは言いつ つ、あくまで公的年金制度や社会保障制度として制度が成り立ってきているところでご ざいますから、その社会保障制度という観点からみたときに、この幾つかの諸問題を考 えていくときの、いわば基本的な議論をしていただくべき点といたしまして、3つある だろうと。  1つ目が、45ページに書いております、世帯単位と個人単位をどういうふうに考える か。基本的には、今の公的年金制度は、世帯と個人両方の要素が相混ったような形で組 み込まれてございますが、それを世帯と個人でどういうふうに考えていくべきかという ようなこと。  2つ目が、応能・応益というのを、どういうふうに考えるかというのを、50ページ以 下で書かれてございます。  3つ目に、これらの様々な公平性というのを、どういうふうに確保していくべきか。 そういうような3点の、大きな、基本的な論点というのを踏まえて、この女性と年金の 諸問題というのを考えていくべきかというような御指摘が整理されてございます。  そういうものを受けまして、ここまでがいわば報告書の全体的な総論でございますが 、55ページ以降に、では具体的な個別の課題として6点ございますが、それにつきまし て一つひとつどうすべきかというのが書かれてございます。  1つ目が、55ページで、厚生年金の標準的な世帯というのを、どういうふうに考える かというようなところでございます。これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げ ましたが、現行制度、あくまで専業主婦世帯を想定して、そういうふうな世帯に対しま して、23万8,000 円という給付をするというのを標準的な考え方として採用してきてい るところでございます。  ところが、そういう中で、社会経済情勢が変わってきたときに、どう考えるかという ことで、報告書の59ページの頭でございますが、まさに夫婦が両方とも働く世帯をいう のを想定して、働く女性、すなわち一定の厚生年金加入期間を前提として、年金を考え ることが妥当ではないかというのが、59ページの標準的な年金世帯をどう考えるかとい うことの検討の方向でございます。  59ページの下からずっと書いてございますが、ただその場合も幾つかの論点、なかな か技術的に見ても大変しんどい論点がございますが、それをどう考えていくかというよ うな御指摘とともに、前後いたしますが、この59ページの中段で書いておりますが、あ くまで年金の給付水準自体を、この検討会での検討の項目とされずに、それはいわば年 金制度全体での給付と負担論の中で議論されるべき問題というふうな御整理もここでさ れたところでございます。  個別の課題の2つ目でございますが、短時間労働者の方の問題でございます。64ペー ジでございますが、この短時間労働者の厚生年金の適用を、どう考えるかということに つきましても、幾つかの政府関係機関、閣議決定等々で、適用拡大していく方向でとい うふうな御紹介がされてございます。そういうものを踏まえつつ、適用拡大というよう な方向で議論を詰めていくべきだというのが、この報告書の73ページ以下に書かれてご ざいます。 その場合も、ただなかなか今後議論を詰めていくべき課題が多ございます から、76ページ以下で書かれていますような諸問題を詰めつつ、適用拡大という方向で 考えていくべきだというような御指摘がされてございます。  一番議論が多かったのが、82ページ以降の第3号被保険者の問題でございます。これ につきましては、まさにこの検討会の中で、数多くの議論がなされたところでございま すが、この検討会の中で具体的な案を6つ示させていただきました。101 ページ以降で ございますが、102 ページ、103 ページ辺りに、こういうふうに書いたらいいんではな いかという案を、第1案から第6案まで示させていただきました。ただ、これにつきま しても、なかなか一つに集約し切れなかったところでございますし、かつまたそれぞれ の案につきましても、104 ページ以降でございますが、幾つかの大きな論点、詰めてい くべき課題がこれだけございます。それをまたどう考えるかということから、一つにな かなか集約できなかったところでございますが、この3号につきましては、106 ページ の「今後の検討」というところで書かれてございますが、国民各界各層の間で、更に踏 み込んだ議論が行われ、国民的合意が形成されていく中で、適切な結論が見出されて、 改革が行われていくことを強く望むとされているところでございます。なお、それぞれ の各案につきましては、107 ページ以降で御紹介されているわけでございます。  4つ目でございますが、少子化が進む中で、子育て、育児期間というのをどういうふ うに年金制度の中で配慮していくべきかというような議論がございます。それにつきま しても、実は現行の厚生年金制度の中で、子育て、育児休業期間についての保険料を支 払わなくていい、また給付は従前賃金で出そうというような措置が現在講じられてござ います。それを更に拡充させるべきかどうかということにつきまして、諸外国の例等々 を引きつつ検討、議論がされたところでございます。ただ、これにつきましても、進め るべきだという議論、そうではないという議論が幾つかございます。  それで、122 ページで「育児期間等に係る配慮措置を考える上での論点」というのが 御紹介されてございます。幾つかのこのような論点をどう考えていくかというような議 論がされたところでございます。  一方で、更にそれ以上に、年金の給付と負担の中で、年金給付の算定でどう評価する か、ということとともに、126 ページの(3)でございますが、例えば公的年金の積立 金を財源とした奨学金を出したらどうかとか、そういうふうな違う角度から、年金の中 で少子化対策を違う角度から考えられないのかというようなお話も、この検討会の中で ございました。127 ページに、2つぐらい具体例を挙げさせていただいてございます。 これを更にどう考えるかというところも、これからの御議論かと思ってございます。  5つ目でございますが、130 ページ以降で、夫婦が離婚されたときの年金分割。実は 、現行制度でも男女それぞれに1階の基礎年金は付きますが、2階の厚生年金、報酬比 例年金は別れた妻にいかない。専業主婦等が中高年で離婚されたときには、そちらの方 に2階の厚生年金がいかないというふうな制度になってございます。これをどういうふ うに考えるかということが、中高年の夫婦離婚の急増ということを背景にいたしまして 、議論されたところでございます。これも、136 ページぐらいで各国、ドイツ、イギリ ス、カナダ等々の例も紹介させていただきつつ検討が進められましたが、結論といたし ましてはまさに離婚時の年金分割が可能となるような仕組みを講じていこうと。ただ、 このときも専門的、技術的に非常に大きな困難な点がございますから、そこをどう考え ていくべきかというようなところが結論でございます。  6点目でございますが、144 ページ以降の遺族年金でございます。これにつきまして も、従来から片働き、共働きの均衡が取れてないんではないかというような御意見、特 に働く女性の方から、自分の保険料が給付につながってないんではないかというふうな 御意見がございます。それから、そもそも、将来年金制度の中から廃止したらどうかと いう御意見もございます。  154 ページに「遺族年金制度のあり方」として書かれてございますが、こういうふう な御意見につきましては、ただやはり給付の必要性が高いことから、現行遺族年金制度 の基本的な骨格案をそのままにしつつ、幾つかの諸問題、先ほどちょっと御紹介させて いただきました、共働き、片働きの不均衡だとか、保険料が掛け捨てにならないように だとか、そういうふうなところの仕組みを変えていけばどうかということが結論でござ います。  最後に、159 ページの「終わりに」で、3点御指摘がございました。  1つ目は、国民的議論が求められる。  2つ目は、現行制度からの円滑な以降と、長期的な視点が必要である。  3つ目は、160 ページでありますが、ほかの政策分野を含めた、まさにこの問題の真 の十全な解決のためには、公的年金をどうする、こうするということだけではなくて、 総合的な対応が必要だということで、具体的に、例えば女性の就労支援、働くときの支 援をどう考えるかとか。2つ目で、まさに国全体として子どもが少ない状況をどういう ふうに考えるか、子どもが少なくなっている際の、少子化対策というのをもっと充実さ せていくべきではないだろうか。3番目といたしまして、公的年金だけではなくて、健 康保険、税制、企業の配偶者手当の問題、それぞれを総合的に考えなければいかぬ、整 合的に考えなければいかぬというふうな御指摘が出されてございます。  以上、そういうふうなところを、総合的にお取りまとめいただきましたのが、この報 告書の中身でございます。以上でございます。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。話題を呼んだ報告書でありますので、お読みになっている 方も多いと思います。たまたま、今井委員と堀委員はこの報告書作成に携わっておられ ますので、何か補足なりございますか。  今井さん、もしありましたらどうぞ。 ○ 今井委員  特別補足はありませんけれども、ただ感想としましては、すごく委員の中で分かれた かなという意見がありましたので、読んでいただければわかりますけれども、もう一歩 踏み込んだものというところまでいかなかったのが、ちょっと残念かなという程度です 。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。堀さん、何かございますか。 ○ 堀委員  今、丁寧に御説明いただいたので、あまり言うことはありません。感想としては、私 は現状よりも前進するような内容が含まれているというふうに思います。  第3号被保険者については、意見が分かれたんですが、それ以外については、そんな に分かれなくて、ある一定の方向性が見出せ得たんではないかと思います。第3号につ いては、将来的な方向については一致している。ただ、日本の社会経済の現状を踏まえ た上でどうするか、その点が考え方が違ったんであろうというふうに私は思っておりま す。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。それでは、若干時間がございますので、この報告書につき まして、余り中身の質問をしてもしようがないというふうに思いますが、今後どんな形 でこの問題提起を受けとめていくかということも含めて、少し御意見、御議論をいただ ければ。勿論、質問があれば事務局なり今井委員なり堀委員からお答えをいただくこと もあるかもしれませんが、どうぞこれについてしばらく御自由に、御質問なり御議論が あれば承っておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。  私自身は、実はこの女性と年金問題だけに限りませんで、悪い言葉で昔から年金モン ロー主義という言葉があって、年金制度の中であらゆる問題を解決しようというのは、 それは無理なことで、方程式は何本もあるのに、一本の方程式で単純に解決しようとい うのは、単純という言い方はよくないけれども、それは私は無理だと思っているところ が正直ございます。最後の方に、他の制度基盤を含めた総合的な対応を求められるとい うことが書いてありまして、ある意味で私は至極当然のことだろうというふうに考えて おります。年金制度というのは、それなりに完結した制度であるかもしれませんが、し かし全く孤立しているわけではありませんので、そういう意味での多くの政策分野との 平仄の取れた考え方を取らない限り、それは女性と年金問題に限らない問題だろうとい うふうに思っております。  その意味では、最後の問題提起は、私は至極妥当なことだというふうに思っておりま す。しかし、そうなると、ここでやった議論が、どういう形で政策決定になるのかとい うのと、それは前の政策決定のプロセスの中が、それがどういう形で実現するのか、正 直言ってまだよくわからないところもありますけれども、それについての議論というの は何かあったんですか。総合的な対応が必要だという、それはわかるけれども、ではそ れを一体どういう形で実現していくのかというようなときに、こういう関連分野に議論 が踏み込んで行ったときに、それについてはこの報告書をまとめられたときに多少の議 論はあったんでしょうか。 ○ 榮畑年金課長  実は、今のお話も含めまして、これからこの報告書を受けてどうしていくかというこ とに伴いまして、この報告書自体が世の中で広範な議論をしていただくための重要な素 材として御整理いただいたものでございますが、これを受けて公的年金ならば、例えば この年金部会だろうし、あと医療保険、税、企業の賃金の問題等と、それぞれの関連分 野のしかるべきところで、まさに軌を一にした御議論をお願いしたいということで、い わば検討会から各方面に球が投げられたというようなものでございまして、これからそ うした点の御検討を、まさに車の両輪みたいな感じでやらなければいけないだろうとい う認識をしております。 ○ 宮島部会長  何か御意見ありましたら、どうぞ。 ○ 堀委員  今の点に関連しているかどうかわかりませんが、問題はかつてのサラリーマン世帯と いうのは、片働き世帯だったわけですね。それが、だんだん共働き世帯が増えていくと いう中で、共働き世帯が大多数であるというのであれば問題はないわけです。しかし、 実際は両者かなり拮抗するような数字になっていて、どちらを中心に設計をするかとい うところが一つ大きな問題です。先ほど社会経済の現状と申したのは、そのことです。  片働き世帯が多いというのは、いろんな理由があると思うんですが、やはり女性が家 事、育児の責任を負い、あるいはそういうことを理由にして女性の雇用、特に育児後の 雇用の面で不利になっている。賃金も少ないし、雇用機会も少ないし、そういう問題が あって、片働き世帯がかなりいるということを踏まえて年金制度をどうするかという、 そこで意見が分かれてくる。要するに、1つの考えは、年金制度を変えることによって 、そういう雇用の状況、あるいは社会経済の状況を変えていこうという戦略と、現在の 状況を踏まえた形での年金制度をつくる必要があるという戦略の違いが、第3号の問題 で意見が違った。 ○ 宮島部会長  ほかに何か御意見なりあれば、どうぞ、山崎委員。 ○ 山崎委員  宮島先生が、年金モンロー主義という御発言をなさったので、後で今後の進め方のと ころで発言しようかと思っていたことなんですが、ちょうどいいタイミングなので発言 させていただきます。  私は、介護も含めて高齢者の扶養を基本的に社会化したということは、論理的な帰結 として、世代間扶養を強めているわけですから、次世代の育成というものについても、 社会化が必要だというふうに考えております。  年金モンロー主義という観点からしても、年金の命は次世代ですから、まさに年金モ ンロー主義を完結させる上でも、次世代の育成に年金が積極的に関わるべきではないか というふうに私は考えております。  ただ、従来の年金のロジックから言うと、次世代の育成には無関係ということでござ いますから、そういう意味では従来の年金モンロー主義を越えて、もう少し世の中の望 ましい発展に寄与できるような年金政策の在り方というものを考えるべきだというふう に思っておりまして、その報告書の中でも若干そういう検討がされたということが書か れておりますが、この年金部会でも本格的にそういうテーマを掲げて検討していただき たいというふうに、部会長にもお願いします。 ○ 宮島部会長  この報告書の中で、例えば宮武さんの奨学金に当てるとか、永瀬さんの子育て費用に 年金積立金を当てるなんてアイデアが紹介されていて、おろそかにされているのかどう か知りませんが、まさにいろいろな発想が多分出てきてはいるんだろうと思います。 ○ 山崎委員  ただ、私は余り好きではないんですが、しばしば少子化対策という柱の中で論じられ るというのは、非常に残念だと思っておりまして、子どもを産むも産まないも関係なく 、やはり育児に対して社会的なサポートを行う体制を整備したいということで、どうも 柱建てを少子化対策ということではなくて、育児支援、あるいは育児の社会化という柱 建てをした方が、国民の合意は得られやすいというふうに思っております。 ○ 神代部会長代理  座長の先ほどのお話の中で、他制度との関係が非常に大事だという御指摘がありまし たが、私もそのとおりだと思います。ただ、今後の議論の進め方との関係で考えますと 、他制度の中でもかなり重要な、制度というか政策も含めて考えた場合に、この審議会 だけでいかんともし難いような問題に、どうしてもぶつかるんではないかという思うん です。  例えば、3号被保険者の問題ですと、今、大ざっぱな報告がありましたが、私は3号 被保険者問題のかなりの部分は、配偶者控除制度から出てきている問題が非常に多くて 、それによって誤解をされている面が非常にあるのではないかと思うんです。  あるいは、公的年金等控除の問題をどうするかとか、世代間の負担の公平というふう なことを考えると、そういう問題も出てきますが、これはこの部会で要望はできるんで しょけれども、本格的にこれを論ずるということは非常に難しいけれども、逆にそっち を何とかしてくれないと、年金だけではどうしようもないなというところに、どうもぶ つかる恐れが大きいと思うんです。  年金制度全体、いろいろ困難に直面していますが、最大の現下の問題は、やはりマク ロの経済情勢が、もう97年度辺りから、名目のGDPが30兆も減るというような、前回 の財政再計算のときに誰も予想しなかったような、最悪の状態の中で議論をしなければ ならない。そうすると、税収は落ちるわ、保険料は上げられないわ、国庫負担を引き上 げたくても、その財源の見通しは立たないわという、この2、3年経験してきたような 状況が、全然霧が晴れないまま議論しなければならないというような恐れも非常に大き いわけです。この辺は、座長の御専門の領域でもありますから、議論の振り分けを十分 お考えいただけると思うんでありますが、まさにそういう他制度、他の政策によってむ しろこちらが制約を非常に受けてしまう、そこのところをどういうふうに議論していく かというのを是非お考えをいただきたいと思います。 ○ 宮島部会長  その点は、委員の皆さんと知恵を出し合って、勿論事務局にもお願いいたしますけれ ども、今後議論を進めさせていただきたいと思います。  ほかに、どうぞ。 ○ 杉山委員  先ほど、山崎先生の方から、年金を育児支援の方に回してはどうかというような御意 見もあって、もともと私は多分3号被保険者を経験したことのある人間ということで、 ここに呼ばれたのではないのかなというふうに思っているんですけれども、本当に子育 て中の母親たちに、子育て支援というのは、今とても求められておりまして、お金があ るんだったら是非というふうに思うんですけれども、それがなぜ年金なのかというとこ ろ、それぐらい税でやってよという気持ちがやはりあるんです。  年金が、もともと老後の保障であったりとか、そういうところから出てくるのであれ ば、それをわざわざ回すことではなくて、せめて次世代を担う子どもたちというふうに 本当に思うのであれば、お金が足りないから年金でというような、小手先と言っては何 ですけれども、そうではなくて、もうちょっと税で保育のことであるとか、子育てのこ とを考えましょうよというふうに立ち返っていただいた方が、後々良いのではないのか なというふうに思います。  これは、勿論今、私がそう言ったからというのではなくて、慎重な御議論が必要なの かなというふうに思いました。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。これは、今、山崎さんにお返事をいただくということでは なくて、この年金制度を今後議論していく上で、今、1つは女性の問題が当然出てまい りました。それから、神代委員からお話がありましたように、経済状況とか財政状況と いう、いわば外的要因であるにしても、それはどうしても考慮すべき要因でもあると思 います。恐らく、次回の部会で、できれば少し御説明をいただきたい、人口推計の問題 なども当然出てくる。  ですから、我々は考慮すべきことがたくさんあって、しかも我々は一つ社会的な制度 だけ動かして、ベストの解が得られるかというと、必ずしもそうではなくて、全体の制 度の動きの中で見付けていくということもしなければいけないでしょうし、その辺のと ころ、今後議論すべきことが非常に多いことは言うまでもありませんし、それと同時に 恐らく従来にも増して、そういう議論をしていく環境そのものが、余りよくないという 言い方をしたらよくないかもしれないけれども、正直言って余りよくないだろうという こともありまして、その辺のところは今後皆様方の御意見をいただきながら、できれば 進めていきたいと思っております。  今日は、とりあえずこの女性と年金に関する報告書を素材にいたしまして、若干議論 をしていただきましたが、既に一部その議論に入っておりますけれども、今後この部会 をどのような形で議論を進めていくかということを、少し御相談をしておく必要がござ いますので、これにつきましては議論の素材というよりも、少し今後のスケジュールな ども含めながら、事務局の方で今後の議論の進め方について何かアイデアがあれば、お 話しをしていただきたいと思います。どうぞ。 ○ 福井総務課長  もう既に、部会長がお話しのように、この場で今後の審議項目と申しますか、検討項 目の議論に入っているわけでございます。簡単に、私の方から、いわば政府・与党、あ るいは政府全体で、この年金の問題に関しまして、現時点でどんな認識を持っているか ということについて、これまで取りまとまりましたものの御紹介をさせていただきたい と思っております。  一点は資料9「社会保障改革大綱」でございます。昨年度末、13年3月30日に、これ は政府・与党の社会保障改革協議会で取りまとめられたものでございます。1ページに 「社会保障改革に当たって」ということで、最初の○でございますけれども、セーフテ ィネットという言葉が出てまいりますが、基本的な考え方でございます。  「改革の理念」ということで申し上げますと、2ページ目の(三)年齢・性別・障害 の有無にかかわらず、個人がその能力を十分に発揮できる社会を目指す。  (五)でございますが、就労形態の多様化や女性の生活形態の変化などに対応し、個 人の生き方の選択によって、不合理な取り扱いが生じない公正な社会保障制度を目指す ということ。  (六)でございますが、将来にわたり負担、特に現役世代の負担が過重なものとなら ず、持続可能な制度を再構築するということ。  3ページの「三 改革の基本的考え方」でございますけれども、4ページに飛んでい ただきまして(二)でございますが「意欲に応じて働き、年金と組み合わせて豊かな生 活ができるようにする」というところの4でございますが、社会保障制度についてパー トタイマー等、雇用形態の多様化に対応した制度の見直し、女性の就労など、個人の選 択に中立的な制度への見直しを進める。  5でございますが、老後の生活については、公的年金を基本としつつ、勤労収入、私 的年金、貯蓄等の自助努力を組み合わせて、必要な費用を賄うこととする。  6でございますが、公的年金収入に対する課税の適正化等、税制の在り方を検討する 。  5ページでございますが、8の世代間扶養の仕組みを取っている公的年金制度におい て、将来世代の負担を過重なものにしないために、現在行われている年金保険料の引上 げの凍結を早期に解除することができるように取り組むということ。  6ページでございますが「社会保障の財源の在り方」でございます。2のところに書 いてございますように、社会保障における公費負担の財源については、行財政改革の推 進をはじめ、歳出分野の不断の見直しなど、財政全体を見直す中で検討する必要がある 。その際、税制については社会共通の費用を、広く分かち合うという視点から、21世紀 の経済社会にふさわしい税体系の在り方について検討する必要がある。  具体的には、3のところでございますが「基礎年金については、平成十二年年金改正 法附則において『給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成 十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図 る』とされており、この規定をどのように具体化していくかについて、安定した財源確 保の具体的方策と一体として鋭意検討する」ということが、年金との関わりにおいて書 かれている点でございます。  続けて恐縮ですが、資料10、先ほど申し上げました、いわゆる骨太方針、昨年の6月2 6日に閣議決定をされております。そういう意味におきましては、政府レベルのものと いうことで御理解をいただければと思いますが、年金の関係につきましては、21ページ でございます「4.年金制度の改革」というところがございます。  「(2)今後の検討課題」ということでございますが、先ほどの社会保障改革大綱と も並ぶ点でございますが、就労形態の多様化、個人のライフサイクルの多様化等に対応 した制度設計の見直し、あるいは世代間、世代内の公平を確保するための年金税制の見 直し。 22ページにいっていただきまして、年金制度の運営面における信頼の確保、あ るいは年金積立金の在り方、自助努力の支援、それから先ほど申し上げましたが年金保 険料の引上げの凍結解除、あるいは平成12年度改正法附則への対応といったようなこと が検討項目として、昨年の6月に閣議決定をされているということでございます。  今後の当審議会の検討項目、あるいは進め方という点でございます。先ほど部会長の 方から、人口推計というお言葉が出たわけでございますけれども、現時点でこの人口推 計につきましては、この社会保障審議会の人口部会におきまして、昨年の夏から今まで 4度、実は御議論が行われたと承知をいたしているところでございます。あくまでも、 現時点での予定ということで申し上げますと、今月末にも第5回目の人口部会が開かれ て、そこで数字を公表するという予定、あくまでも予定でございますが、現時点では承 知をしているところでございます。  この少子化の問題、年金制度と年金財政、あるいは年金制度との関わりという大きな ものがあるわけでございまして、当部会の第2回の日程にもよるわけでございますけれ ども、その時点におきまして人口推計が既に公表されているということであれば、当部 会に人口部会の関係者、場合によっては事務局になるかもしれませんが、来ていただい て、その推計について御紹介をいただき、またこの場で御議論をいただくというような ことも、今、考えているところでございます。  人口部会の状況でございますけれども、平成9年の人口推計におきましては、出生率 が低下をいたしているわけでございますけれども、いわゆる初婚年齢が上がる、晩婚化 というようなことに伴って、出生率が下がっているという説明がなされてきたわけでご ざいますが、今回人口部会における御議論を伺っておりますと、これに合わせまして、 夫婦自体の出生力と申しますか、これが低下をしてきているのではないかという認識を 、どうも人口部会の方ではお持ちのようでございまして、具体的な数値等につきまして は、私承知をいたしておりませんけれども、いずれにいたしましても年金財政、年金制 度ということからいたしますと、厳しい数字が出てくる可能性があるわけでございます 。私ども事務局といたしましては、そういった数字を、従来はこの年金制度、年金財政 の検討に当たって、いわば所与の要件ということで御議論をいただいてきておるわけで ございますけれども、どういう数字として現れるかということは、今の時点ではわかり ませんが、それを所与の要件として考えるのか、あるいは、先ほど山崎委員からござい ましたように、年金制度の中で、育児支援といったようなことでの対応を取ることが適 当なのかどうかといったようなことも含めて、御議論を賜ればと思っております。  もう一点は、先ほど冒頭、局長のあいさつの中で申し述べさせていただいた点でござ います。私も、資料の説明の中で触れさせていただいた点でございますけれも、公的年 金制度に対する信用と言いますか、信頼が低下しつつあるのではないかという指摘を、 各方面から受けているわけでございまして、公的年金についての基本的な考え方といっ たようなことについても、御議論を賜ればと思っているわけでございます。当面冒頭申 し上げましたように、1〜2か月に一回ぐらいの割でということで考えているわけでご ざいますけれども、当面は、いわば基本的な、大ぐくりな議論ということでお願いでき ればと、事務局としては考えているところでございます。  勿論、当部会の検討項目、進め方ということでございますので、部会各委員の御議論 というものがあろうかと思っておりますけれども、事務局をつかさどっている者として は、このように考えているところでございます。  若干長くなりましたが、以上でございます。 ○ 宮島部会長  今、新人口推計のことは実際の公表されるタイミングの問題がありますが、もう一つ は今の大綱は前内閣のものですし、骨太の方針も6月段階でございますね。我々も、そ れはどっちかというとマスコミ報道で知っているわけですけれども、また新たな議論が あり得るのかということも気になるんですが、どうでしょうか。 ○ 福井総務課長  今、このいわゆる骨太方針につきましては、昨年の6月に経済財政諮問会議が発議を いたしまして、最終的に閣議決定ということになっているわけでございます。これに関 連いたしました動きといたしましては、この骨太方針というものがベースにあるわけで ございますけれども、我が国経済社会の中期的な展望ということで、現在経済財政諮問 会議なり関係の役所の間で議論、調整が行われておるということで承知をいたしており ます。  近々、来週あるいは再来週ぐらいになろうかと思いますけれども、また現時点ではな かなかそういうことで公表あたわざるということでありますけれども、閣議決定がなさ れるというようなことで聞いておるわけでございまして、これにつきましても、次回ま た御紹介をし、御議論の素材として提供させていただければと存じております。 ○ 渡辺委員  進め方というところになったんで発言させていただきますが、今、総務課長の方から は、まず次回は新人口推計という予定、これはいいと思うんですが、とにかくこの問題 、先ほど来議論があるように、非常に大きなテーマから小さいテーマ、例えば具体的に 言うと、神代委員もおっしゃったように、こういった経済情勢の中で、あるいは少子化 が進む中で、例えば給付水準と負担の在り方といった大きな問題があります。  あるいは、現在凍結されている厚生年金の保険料率、それから国庫負担2分の1の問 題、これも比較的大きなテーマになると思います。  先ほどテーマになりました女性と年金の問題、これも極めて大きいテーマです。  それから、事務局から説明があった、自主運用の問題、あるいは3年連続凍結されて いるスライドの問題、私は個人的にはこういったことも議論したいと思っております。 あるいは、これも御説明のあった適用・徴収の問題、特に最近の適用問題では、厚生年 金自身の空洞化といったことが進んでいる。それは、基礎年金のみならず、厚生年金の 空洞化も進んでいるし、徴収の問題も当然あります。  先ほど、還元融資の話もありまして、住宅金融公庫に続いて年金の住宅融資といった ものも廃止の方向という政府の方針が打ち出されたところであり、また企業年金の分野 では、確定拠出が始まり、更には確定給付の方が、今年4月から新しい制度になります が、特に、企業、勤労者が非常に関心を持っている、代行返上のルールといった問題も あります。  このぐらい、大変大きなテーマが山積しておるわけでありまして、これを先ほど総務 課長は大きなテーマからといった御趣旨の御発言をなさっている。それは個人的には賛 成なんですが、どのような整理をしてやるかというか、かなり効率的にやっていかない と、特に冒頭話があったように、2004年に予定されている次期財政再計算に向かって、 公的年金、そして企業年金の全問題をこの審議会の部会でやるというわけですから、相 当な整理や工夫がないと、十分な議論ができないと考えますので、その辺につきまして は部会長にひとつ取りまとめをお願いしたいと思います。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。ほかに今後の進め方につきまして、御意見、御議論ござい ますでしょうか。どうぞ。 ○ 井手委員  先ほど、女性と年金の関係の御報告の中にもあったんですけれども、いろいろ既に御 専門の方が論議されて、幾つかの選択肢とか、それぞれを取った場合のメリット、デメ リット等も整理されたような報告書が、投げかけてあるというようなお話がございまし た。国民的議論が求められる、非常に多くの方、すべての方に影響を与える問題である ので、この場がどのように国民的な議論を喚起するものであるかというところは、私は よくわからないんですけれども、いろいろな幅広い意識調査だとか、インタビューだと か、そういったものが、前回検討会の中では、専業主婦の方に対するインタビューとい うのも組み込まれておられたと思うんですが、非常に多くの方の合意を得るためのやり 方として、どのような形があるのかということもちょっと御示唆いただければありがた いと思います。 ○ 宮島部会長  多分その辺のところは、まさに16年の再計算に向けて、今のスケジュールはやや短期 的、次回、当面の話ですから、やや長期的なスケジュールを立てていただく中で、部会 としてどんなことができるかということは考えてみたいというふうに思っております。  パブリックコメントのような制度は、定着はしているわけでありますけれども、いろ んな方法はあるんだろうというふうに思います。その点、また参考にさせていただきま す。  それから、渡辺委員から御指摘がありましたように、やや気が遠くなるところがあり まして、細かい点はともかく、非常に大きな問題まで検討すべき課題は、正直言って山 のようにあり、しかも先ほど神代委員からもお話がありましたが、我々がコントロール できないようなことも検討しなければいけない。先ほど総務課長の方は、今度は所与で はなくて、場合によっては政策係数にもしたいというような話もあって、そういう意味 では議論が大きなものがたくさんあります。  確かに、これを限られた時間内に、1回2時間の会議といたしまして、多少近づいて きたらペースを上げるにしても、それを全部行うことはかなり難しい点も無論あるんだ ろうと思います。ですから、その辺は少し論点を整理する中で、年金部会として特に重 点的に審議していく事項と、ある意味では年金部会固有のマターではないかもしれない けれども、関連してこれは是非議論しておきたい点でありますとか。また、与えられた ものとして考えるのか、あるいは我々として今後変えるものとして考えるのか、幾つか の整理をした上で議論を進めなければいけないということであります。それはちょっと 私にと言われても能力が必ずしも追いつきませんので、この論点の整理の議論の仕方に つきましては、最初に申しましたように、予断を持って臨みたくないという点もありま すので、たたき台としては事務局と私の方でつくるにしても、それはあくまでたたき台 という形にして、次回、今後の進め方、あるいは議事の立て方等については、皆様方の 御意見を十分伺いながら進めていきたいというふうに考えておりますし、またその間に 起こり得る様々な大きな政策の変化でありますとか、事態の動きがあれば、それは迅速 にこの会議にお伝えをして皆さんにお考えいただくという形で、今後処理させていただ きたいというふうに思っております。  何かございますか。 ○ 福井総務課長  部会長の方からお話がございましたが、私ども事務局といたしまして、部会長とよく 相談をさせていただいて、部会長と相談した上でたたき台というのも失礼な話でござい ますけれども、次回そういった形で提出をさせていただければと考えております。 ○ 宮島部会長  私だけではなくて、是非神代委員とも相談していただきたいと思いますので、よろし くお願いいたします。  山崎さん、どうぞ。 ○ 山崎委員  たびたび済みません。実は、私、人口部会の委員をしておりまして、昨年末まで4回 部会が開催されまして、最終的にどうなったかということを申し上げますと、どうも従 来の見込みよりも出生率が落ちる兆しがある。つまり、結婚した女性は、必ず産むんだ と、しかも産む数字は安定しているということだったんですが、しかし結婚した女性の 出生率そのものも最近落ちる兆しがあるということです。そして、そういう最近の実績 を踏まえて、将来に向かって新しい人口推計をすることについて、部会としては合意を いたしました。したがって、今月末とも言われている新しい人口推計では、相当厳しい 数字が出ることは間違いないと思います。  そこでなんですけれども、今日は年金部会ですが、年金を始め社会保障の将来を考え るときに、給付と負担の問題というのは、結局この人口推計を基に基本的にやっている わけなんですけれども、今日のお手元の文章、あるいは一昨年の有識者会議の報告だと か、社会保障制度審議会の最後の意見書だとか、こういった文章を見ましても、共通に 女性の雇用環境を改善するだとか、あるいは育児支援を強化すると言っているわけです 。  では、そういう女性の雇用環境が改善され、労働力率が上がれば、国際的には出生率 が上がるとされているんですが、そういった施策を進めた場合に、将来の人口見通しが どうなるのか、ということもあっていいんではないかというふうに思います。これは、 私がやるわけにはいきません。国立社会保障人口問題研究所にお願いしなければいけな いんですが、しかも従来やったことのないことなんですが、いわば政策効果も見込んだ 人口推計というのも合わせて出していただけないだろうかということでございまして、 しかしそれを出すということになりますと、そういう政策を本格的に進めるという責任 も同時に政府は負うことになる。少なくとも厚生労働省は負うことになるんですが、是 非そういうテーマを検討していただきたいということです。  2点目ですが、渡辺委員もおっしゃいましたが、将来の財政問題等よりも、当面は国 民年金の空洞化だとか、厚生年金までもがそうだという話になっておりまして、私もそ のことが年金の信頼を低下させている大きな要因の一つであると考えております。差し 当たって心配していますのは、この4月から地方分権一括法に伴いまして、国と地方の 役割分担がきれいに整理はされたんですが、結果的に国民年金の市町村での事務の基本 的な部分は、社会保険庁が直接行うことになりました。保険料の徴収は、社会保険庁が 行うということなんですが、このことを非常に私は危惧しております。つまり、市町村 でさえも十分な収納ができなかった国民年金の1号被保険者の保険料徴収について、果 たして4月以降ちゃんとできるのかどうかということでございまして、申し訳ございま せん、今日は社会保険庁の幹部の方も全員いらっしゃっておりますが、4月以降どうい う体制になるのかということも、少なくとも御説明は次回にお願いしたいというふうに 思っております。  以上です。 ○ 宮島部会長  ありがとうございました。前半のことは、先ほど一部ありましたが、要するに、女性 と年金の問題ですね、これもテーマとして扱うということですので、私もそれは当然の ことだというふうに思っております。  勿論、今後いろいろ問うべき議題について、専門の方々でございますので、たくさん の御意見があるとは思いますけれども、次回も含めまして、今後問うべき、議論すべき 議題、あるいは取り上げ方の議論も今後進めていくつもりでございますので、またその 際に申し訳ありませんが、よろしくお願いしたいというふうに思います。  やや時間が過ぎてしまいましたけれども、今回の部会はこれで終了いたします。次回 につきましては、また改めて委員の先生方の日程調整をさせていただきました上で、日 程を決めたいと思いますので、またよろしくお願い申し上げます。  どうもありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省年金局総務課企画係  (代)03-5253-1111(内線3364)