戻る  次ページ

資料1−3

平成14年1月全国人口推計の考え方
推計の手法と仮定設定

国立社会保障・人口問題研究所



図表1 新推計の基本的考え方

(1)基準人口

 基準人口は、平成12(2000)年10月1日現在の男女年齢各歳別人口とする。

(2)推計期間

 推計の期間は、2001年から2050年の期間である(2051年以降は参考推計)。

(3)推計方法

 推計の方法は、コ−ホ−ト要因法(cohort component method)を用いる。
 なお、コ−ホ−ト要因法に必要なデ−タは次の通りである。

(1)男女・年齢別基準人口(国勢調査人口)
(2)女子の年齢別出生率の将来仮定値
(3)男女・年齢別生残率(将来生命表)の将来仮定値
(4)男女・年齢別国際人口移動数(率)の将来仮定値
(5)出生性比(出生児の男女比)の将来仮定値

(4)推計の種類

 出生率に関して、中・高・低 3つの将来仮定値を置き、三種類の人口推計を行う。

(5)出生率の仮定

 将来の年齢別出生率は、コーホートの年齢別出生率を推定し、仮定する。仮定設定は別に示す。

(6)生残率の仮定

 死亡率のリレーショナルモデル(修正リ−・カーター法)によって将来生命表を作成し、将来の生残率を仮定する。死因別死亡率を用いない理由は、死因コード分類の変更によりデータの時系列的連続性に欠けるためである。

(7)国際人口移動の仮定

 近年の国際移動の実態から、日本人の国際移動に関しては、国際間の純移動率を用い、外国人の国際移動に関しては、過去の趨勢から外国人の純移動数(入国超過数)の総量を推定し、仮定する。

(8)出生性比の仮定

 過去の趨勢から今後の出生性比を仮定する。



図表2  将来人口推計に用いる基礎変数

(1)男女・年齢別基準人口(国勢調査人口):N(x,t)

(2)女子の年齢別出生率の将来仮定値:f(x,t)

(3)男女・年齢別生残率(将来生命表)の将来仮定値:S(x,t)=Lx+1/Lx

(4)男女・年齢別国際純移動数(率)の将来仮定値:NM(x,t)

(5)出生性比(出生児の男女比)の将来仮定値:SRB(t)



図表3 コーホート要因法による人口推計の手順

図表3 コーホート要因法による人口推計の手順


図表4 平成9年推計と総務省推計人口の比較:1999年男女計人口

図表4 平成9年推計と総務省推計人口の比較:1999年男女計人口


図表5 1999年中位推計と総務省人口の比較:
1999年男女計人口

誤差要因 誤差率
0〜4歳人口の差  1.4%
  出生率による誤差  1.9%
 
長期仮定による誤差
偶然変動による誤差
]
 1.2%
外国人出生率の見積もり誤差  0.7%
国際人口移動による誤差 -0.5%
生残率による誤差  0.0%
   
5〜64歳人口の差 -0.1%
  国際人口移動による誤差 -0.1%
生残率による誤差  0.0%
   
65歳以上人口の差 -0.1%
  国際人口移動による誤差  0.4%
生残率による誤差 -0.5%


図表6 推計の改善策

出生率(長期仮定)

 認識:

 近年、夫婦の出生行動にタイミングの遅れが出てきていることや、結婚と出生の結びつきにも変動が出ているなど、平成9年推計を行った当時にはみられなかった新たな状況の変化が出ていることが考えられる。

 対応:

 目標コーホートの仮定設定を見直し、新たな結婚・出生行動を分析して、晩婚化、生涯未婚率の見通し、さらに夫婦完結出生児数の水準を設定する。

出生率(外国人を含む出生率への補正)

 認識:

 平成9年推計では、外国人の出生率と日人の出生率は同じであると仮定したが、その結果、両者の違いによる誤差がみられた。

 対応:

 誤差を小さくするために、外国人出生率を加味した補正を行う。

国際人口移動の仮定

 認識:

 平成9年推計では、過去5年間の入国超過率を一定と仮定したが、その後の入国超過率は、年次によってバラツキがみられ、結果として、年齢別人口に誤差が生じた。

 対応:

 外国人人口と日人人口の国際人口移動を分けて推計する手法を導入する。

生残率の仮定

 認識:

 平成9年推計では、高年齢で、やや生残率の仮定が低かった。その結果、1%程度の過小推計がみられた年齢もある。実際の誤差人口数でみれば、高年齢で2,000人前後の誤差が生じていた。

 対応:

 高年齢の適合性の高いモデルによって将来生命香Eャする。

出生率(長期仮定)

 認識:

 近年、夫婦の出生行動にタイミングの遅れが出てきていることや、結婚と出生の結びつきにも変動が出ているなど、平成9年推計を行った当時にはみられなかった新たな状況の変化が出ていることが考えられる。

 対応:

 目標コーホートの仮定設定を見直し、新たな結婚・出生行動を分析して、晩婚化、生涯未婚率の見通し、さらに夫婦完結出生児数の水準を設定する。

出生率(外国人を含む出生率への補正)

 認識:

 平成9年推計では、外国人の出生率と日人の出生率は同じであると仮定したが、その結果、両者の違いによる誤差がみられた。

 対応:

 誤差を小さくするために、外国人出生率を加味した補正を行う。

国際人口移動の仮定

 認識:

 平成9年推計では、過去5年間の入国超過率を一定と仮定したが、その後の入国超過率は、年次によってバラツキがみられ、結果として、年齢別人口に誤差が生じた。

 対応:

 外国人人口と日人人口の国際人口移動を分けて推計する手法を導入する。

生残率の仮定

 認識:

 平成9年推計では、高年齢で、やや生残率の仮定が低かった。その結果、1%程度の過小推計がみられた年齢もある。実際の誤差人口数でみれば、高年齢で2,000人前後の誤差が生じていた。

 対応:

 高年齢の適合性の高いモデルによって将来生命香Eャする。


図表7 将来出生率の見通しの比較

A.目標コーホートの仮定に関する考え方の比較

要因 平成9年推計
1980出生コーホート
新推計
1985出生コーホート
生涯未婚 平均初婚年齢の上昇にともない未婚化は進行するとの認識。 平均初婚年齢の上昇にともない未婚化は、勢いを衰えさせながら進行するとの認識。
離死別効果 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。
夫婦完結出生児数 晩婚化効果による出生力低下 晩婚化が進行し、平均初婚年齢の上昇にともない夫婦完結出生児数は以前より減少するとの認識。 晩婚化が進行し、平均初婚年齢の上昇にともない夫婦完結出生児数は以前より減少するとの認識。
晩婚化以外の要因による出生力低下 推計時点で顕著な傾向がみられず。 1960年代の出生コーホートで、顕著な低下を認知。


B.目標コーホートの仮定設定値

要因 平成9年推計
1980出生コーホート
新推計
1985出生コーホート
生涯未婚 50歳時の未婚率:
4.6%(1941-45年生まれ)→13.8%
50歳時の未婚率:
5.2%(1946-50年生まれ)→16.8%
離死別効果 離死別効果係数
w=0.954
離死別効果係数
w=0.971
夫婦完結出生児数 1.96人 1.72人
  晩婚化効果による出生力低下 初婚年齢の上昇にともなう低下:
 2.18人(1943-47年生まれ)→1.96人
初婚年齢の上昇にともなう低下:
 2.13人(1948-52年生まれ)→ 1.89人
晩婚化以外の要因による出生力低下効果 結婚出生力低下係数
k=1(効果なし)
結婚出生力低下係数
k=0.911

目標コーホートの出生率

 CTFR(1985)=(1-生涯未婚率)×夫婦完結出生児数×結婚出生力低下係数×離死別効果係数

  CTFR(1985)=(1-0.168)×1.89×0.911×0.971=1.39

図表8 年齢階級別にみた未婚率:国勢調査

図表8 年齢階級別にみた未婚率:国勢調査


図表9 完結出生児数の予測値、および35歳時累積出生児数の予測値ならびに実績値:出生動向基本調査

図表9 完結出生児数の予測値、および35歳時累積出生児数の予測値ならびに実績値:出生動向基本調査


図表10 初婚年齢分布からの予測値と実績値との乖離に関するt検定結果:出生動向基本調査

帰無仮説H: 実績値=ェ値
出生
コーホート
調査年次(回) 35歳時
実績値
35歳時
ェ値
自由度 t値 p値
1930-34 1982年(8回) 2.149 2.151 571 -0.060 0.949
1935-39 1982年(8回) 2.161 2.172 1,350 -0.510 0.611
1940-44 1982年(8回) 2.149 2.152 1,548 -0.120 0.903
1945-47 1982年(8回) 2.162 2.146 723 0.520 0.603
1950-52 1987年(9回) 2.081 2.123 941 -1.600 0.110
1955-57 1992年(10回) 2.064 2.086 828 -0.730 0.466
1960-62 1997年(11回) 1.925 2.040 613 -3.180 0.002 ***
*** : t検定(両側1%)


トップへ
戻る  次ページ