2002年1月23日 社会保障審議会介護給付費分科会委員 山崎摩耶
「在宅重視」を全面展開に
介護保険法では、「居宅において能力に応じた自立した生活を行える」よう支援することが、保険給付におけるもっとも重要な考えのひとつとされている。すなわち在宅サービス重視の考え方である。
しかし、保険給付の実態をみると、約3分の2が施設サービスへの給付であり、制度スタート時点としてはこの理念は達成し切れなかったといえよう。
2003年の介護給付費および関連制度の改定においては、介護保険法理念の達成のために、在宅サービスが量的にも質的にも適切に給付されるようにすることが最も重要な課題である。
○ 実際には、理念に反し施設サービスへの給付が多い
*2001年10月22日社会保障審議会介護保険給付費部会資料より |
訪問看護はますます必要になる
高齢者の特性を考えるとき、生活支援と医療を適切に組み合わせながら、サービス給付を行うことが重要である。訪問看護サービスは、この特性をもち、医療と介護を担うものであり、要介護者の保険給付に不可欠と考える。
一方、病院での在院日数が短縮していく中で、医療ニーズをもったまま居宅で過ごす者の数も増えていくと考えられる。医療経済研究機構の調査でも療養型病床群に入院中の患者の約半数は在宅で対応できるという。今後ますます訪問看護の必要性は高まる。
○ 訪問看護の利用者は要介護度が高い傾向にある
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訪問看護の規制を緩和し量的整備を
訪問看護の給付は、介護保険開始後あまり増加していない。その理由は、訪問看護サービス提供の8割以上を占める「訪問看護ステーション」の開設が進まないからである。全国の市町村の約半数で訪問看護ステーションがなく、地域偏在も大きいという状況は、介護保険施行前とあまり変わっていない。
訪問看護をめざす看護職は非常に多いにもかかわらず、訪問看護ステーションの開設がすすまない理由は、「指定基準」の高さにあると考えられる。そこで制度施行前に検討課題として残されている以下の点を今回で解決すべきである。
(2) 基準該当を認め、法人格がなくても訪問看護事業所を開設できるようにするべきである。
○ 訪問看護費の給付実績は伸びていない
*2001年10月22日社会保障審議会介護保険給付費部会資料より |
きめ細やかな介護給付の要件設定を
利用者の医療・介護ニーズを満たし介護予防に資するため、よりきめ細やかな訪問看護サービスを行うためには、介護給付費の訪問看護に関連するいくつかの要件を見直す必要がある。具体的には次の事項である。