(第4回介護給付費分科会資料)
1.問題点
(1) 介護報酬に含まれる、おむつ代平均利用額 「月額8,609円」 の妥当性
(2) 老人保健施設における平均的利用額を、3施設共通で採用したことの是非
(3) 療養型病床群における医療型病床と介護型病床との整合性
(おむつ代の包括評価の是非、非利用者からも費用徴収することの是非)
2.「8,609円」算出根拠(平成11年度介護報酬経済実態調査(厚生労働省)より)
⇒ | 8,609円は、老健施設における平均利用料(非利用者を含めた平均額)。同調査における老健施設入所者のおむつ利用率は53.7%。従って、おむつ利用者の平均利用料(=費用)は 16,032円(=8,609円/53.7%)と評価されていることになる。 (利用者に実際にかかる費用が1人16,032円であれば収支トントン。ただし、オムツの利用率が老健の53.7%より高くなると、収入は一定だが費用は増加するため、収支はマイナスとなる) | |
(参考) | 主な施設別おむつ利用率 (同調査) ○特養:61.5% ○老健:53.7% ○病院療養型病床群:66.1% ○介護力強化病棟:72.6% |
3.現行制度における「おむつ代」の持出し額(損失額)の試算結果 (別紙1参照)
⇒ | おむつ利用率の高い介護保険適用療養型病床群(病院)では、 入院者100人当りで約1、000万円/年(ケース3の場合)の持出し(損失)となっている。
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別紙1
表2.実費用を、現行報酬(平均1人当り8,609円、利用者平均16,032円)ベースとした場合の持出し額推計(ケース1、2)
特養 | 老健 | 病院 療養型病床群 (医療保険・介護保険混在) |
病院 療養型病床群 (介護保険適用病床のみ) |
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― 平成11年厚生労働省調査 ― | ― 日本医師会調査 ― | |||
(1)おむつ利用率 | 61.5% | 53.7% | 66.1% | 80.4% |
(2)入院入所者100人当たりのおむつ利用者 | 61.5人 | 53.7人 | 66.1人 | 80.4人 |
(3)入院入所者100人当たりのおむつ代「収入」(介護報酬月額) | 860,900 | 860,900 | 860,900 | 860,900 |
(4)16,032円/人とした場合のおむつ代「費用」(16,032円×(2)) | 985,947 | 860,900 | 1,059,693 | 1,288,945 |
(5)入院入所者100人当たりの持出し月額「収支」((3)−(4)) | ▲125,047 | ▲198,793 | ▲428,045 | |
(6)年額収支((5)×12ケ月) | ▲1,500,563 | ▲2,385,511 | ▲5,136,543 |
※ | 病院療養型病床群のおむつ利用率は、厚生労働省調査時は医療・介護の区別がないため「医療・介護混在」の利用率となっている。日医調査は介護保険適用病床のみ。 |
病院 療養型病床群 | |
(1)おむつ利用率(実態調査) | 80.4% |
(2)入院入所者100人当たりのおむつ利用者 | 80.4人 |
(3)利用者1人当りおむつ代平均費用月額(実態調査) | 21,057 |
(4)1人当たりの持出し月額(10,708円※−(3)) | ▲10,349 |
(4)入院入所者100人当たりのおむつ代「収入」(介護報酬月額) | 860,900 |
(5)21,057円/人とした場合のおむつ代「費用」((2)×(3)) | 1,692,983 |
(6)入院入所者100人当たりの持出し月額「収支」((4)−(5)) | ▲832,083 |
(7)年額収支((6)×12ケ月) | ▲9,984,994 |
※ | 「10,708円」は、8,609円を利用率「80.4%」(日医調査)で割り戻した、介護保険適用療養型病床群における1人当たりのおむつ代月額 |