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(第4回介護給付費分科会資料)

2002.1.23.
「おむつ代の評価に係る問題点」
日本医師会   青柳 俊

1.問題点

 (1) 介護報酬に含まれる、おむつ代平均利用額 「月額8,609円」 の妥当性
 (2) 老人保健施設における平均的利用額を、3施設共通で採用したことの是非
 (3) 療養型病床群における医療型病床と介護型病床との整合性
     (おむつ代の包括評価の是非、非利用者からも費用徴収することの是非)

2.「8,609円」算出根拠(平成11年度介護報酬経済実態調査(厚生労働省)より)

 8,609円は、老健施設における平均利用料(非利用者を含めた平均額)。同調査における老健施設入所者のおむつ利用率は53.7%。従って、おむつ利用者の平均利用料(=費用)は 16,032円(=8,609円/53.7%)と評価されていることになる。
(利用者に実際にかかる費用が1人16,032円であれば収支トントン。ただし、オムツの利用率が老健の53.7%より高くなると、収入は一定だが費用は増加するため、収支はマイナスとなる)

(参考)主な施設別おむつ利用率 (同調査)
○特養:61.5%  ○老健:53.7%  ○病院療養型病床群:66.1% ○介護力強化病棟:72.6%

3.現行制度における「おむつ代」の持出し額(損失額)の試算結果 (別紙1参照)

 おむつ利用率の高い介護保険適用療養型病床群(病院)では、
 入院者100人当りで約1、000万円/年(ケース3の場合)の持出し(損失)となっている。

表1.介護保険適用の療養型(病院)におけるおむつ代持出し額(損失額)の試算

試算ケース入院者100人当り
年間損失額
ケース1(現行報酬ベース、利用率はH11厚生労働省調査ベース)
  介護保険適用療養型病床群(病院)の
    おむつ利用率を66.1%、
    利用者1人にかかる費用を16,032円とした場合
238.6万円
ケース2(現行報酬ベース、利用率は日医調査ベース)
    おむつ利用率を80.4%、
    利用者1人にかかる費用を16,032円とした場合
513.7万円
ケース3(実際にかかる費用ベース、利用率は日医調査ベース)
    おむつ利用率を80.4%、
    利用者1人にかかる費用を21,057円とした場合
998.5万円


別紙1

表2.実費用を、現行報酬(平均1人当り8,609円、利用者平均16,032円)ベースとした場合の持出し額推計(ケース1、2)

  特養 老健 病院 療養型病床群
(医療保険・介護保険混在)
病院 療養型病床群
(介護保険適用病床のみ)
― 平成11年厚生労働省調査 ― ― 日本医師会調査 ―
(1)おむつ利用率 61.5% 53.7% 66.1% 80.4%
(2)入院入所者100人当たりのおむつ利用者 61.5人 53.7人 66.1人 80.4人
(3)入院入所者100人当たりのおむつ代「収入」(介護報酬月額) 860,900 860,900 860,900 860,900
(4)16,032円/人とした場合のおむつ代「費用」(16,032円×(2)) 985,947 860,900 1,059,693 1,288,945
(5)入院入所者100人当たりの持出し月額「収支」((3)−(4)) ▲125,047   ▲198,793 ▲428,045
(6)年額収支((5)×12ケ月) ▲1,500,563   ▲2,385,511 ▲5,136,543
病院療養型病床群のおむつ利用率は、厚生労働省調査時は医療・介護の区別がないため「医療・介護混在」の利用率となっている。日医調査は介護保険適用病床のみ。


表3.実際にかかる利用者1人当り費用21,057円(日本医師会実態調査(H12.9))をベースとした場合の持出し額推計(ケース3)

  病院 療養型病床群
(1)おむつ利用率(実態調査) 80.4%
(2)入院入所者100人当たりのおむつ利用者 80.4人
(3)利用者1人当りおむつ代平均費用月額(実態調査) 21,057
(4)1人当たりの持出し月額(10,708円※−(3)) ▲10,349
(4)入院入所者100人当たりのおむつ代「収入」(介護報酬月額) 860,900
(5)21,057円/人とした場合のおむつ代「費用」((2)×(3)) 1,692,983
(6)入院入所者100人当たりの持出し月額「収支」((4)−(5)) ▲832,083
(7)年額収支((6)×12ケ月) ▲9,984,994
「10,708円」は、8,609円を利用率「80.4%」(日医調査)で割り戻した、介護保険適用療養型病床群における1人当たりのおむつ代月額


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