01/12/20 第4回労働政策審議会雇用均等分科会議事録             第4回労働政策審議会雇用均等分科会             日時 平成13年12月20日(木)                  13:00〜             場所 厚生労働省専用第12会議室 (分科会長)  定刻になりましたので第4回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日 の欠席は樋口委員です。それでは早速議事に入りたいと思います。  本日の議題に入る前に、まず先般の臨時国会で成立いたしました「育児休業、介護休 業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律」、これ の国会での審議経緯について事務局から説明がございます。お願いいたします。 (事務局)  本年2月に当分科会におきまして「育児・介護休業法」改正案要綱を御審議いただい たわけですが、その後本年2月20日に通常国会に改正法案を提出いたしました。ご連絡 させていただきましたが、通常国会では審議する時間が十分になかったものですから継 続審議となり、この秋の臨時国会で衆・参の委員会・本会議等におきまして審議が行わ れたわけでございます。  まずご報告の1点目といたしまして、資料1に付けてありますが、衆議院におきまし て3点の修正がなされたわけでございます。第1点目は資料1です。「不利益取扱い」 の禁止と意識啓発、職業家庭両立推進者については、本年10月1日からの施行というこ とになっていたわけですが、法律の成立がこの10月1日を過ぎたということがありまし て、公布の日ということに修正されたわけでございます。第2点、第3点とあります が、特に国会においては、子どもの看護のための休暇制度の問題が大きな論点となりま して、第2にありますように、国が看護休暇制度の普及のために事業主、労働者、その 他の関係者の努力を促進するものとすること、第3として、政府は改正規定の施行後3 年、これは今度の4月1日から3年ですが、経過した場合におきます検討条項というこ とで、子の看護のための休暇制度、その他同法に規定する諸制度についての検討の条項 が加えられたわけでございます。  以上の修正が衆議院でなされ、併せて資料2にありますが、衆議院の厚生労働委員会 では附帯決議が6点付されております。内容はそこにあるとおりですので後ほどご覧い ただければと思います。  次に参議院におきましては、ほぼ衆議院と同じ内容の附帯決議がついておりますが、 こちらは次の頁にございます。衆・参の委員会において附帯決議が付いた、ということ でございます。本年11月9日に参議院本会議で可決され成立いたしまして、11月16日に 公布されたところでございます。先ほど申し上げましたように、職業家庭両立推進者、 意識啓発、不利益取扱いの禁止、この3点については公布日から施行されていまして、 その他のほとんどの規定については来年の4月1日からの施行ということになっており ます。 (分科会長)  ただいまのご説明についてご意見、あるいはご質問がありましたらどうぞお願いいた します。  特にないようでしたら1つ目の議題に移ります。これは「育児休業、介護休業等育児 又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱に ついて」です。これは厚生労働大臣からの諮問案件でして、これについては本日厚生労 働大臣から労働政策審議会長宛に諮問が行われました。これを受けまして、当分科会に おきまして育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施 行規則の一部を改正する省令案要綱について、これから審議を行うこととしたいと思い ます。まず最初に事務局から説明をお願いいたします。 (事務局)  本日諮問させていただきましたのは資料3にあるものです。省令案要綱ということで 縦書きで書いてありますが、資料4にこの内容を横書きの資料に整理してありますの で、そちらのほうで説明させていただきたいと思います。なお、お手元に「改正法のポ イント」というリーフレットと併せて、今回の改正後の育児・介護休業法の条文をこの ような形で用意させていただいております。こちらのほうを参考にしていただきながら 聞いていただければと思います。  第1点目は育児を行う労働者の時間外労働の制限の関係でして、改正後の法律、これ はまだ施行されておりませんが、改正後の法律の17条、12頁にございますが、第17条に おきまして時間外労働の制限を規定しているわけですが、時間外労働の制限を請求でき ないものとして、法律上、勤続1年未満の者、配偶者が常態として子を養育することが できる労働者、その他合理的な理由があると認められる労働者と3点ありますが、省令 事項の最初は配偶者が常態として子を養育することができるものとして、厚生労働省令 で定めるものに該当する場合ということになっております。これが1の(1)です。配 偶者がどのような条件に合う場合に請求できないかというものでして、まず1点目とし て、職業に就いていない者であること、負傷・疾病等により子を養育することが困難な 状態である者ではないこと、産前6週間産後8週間の者でないこと、子と同居している 者であること、このいずれにも該当する者としております。これは労使協定を締結した 場合に、育児休業を請求できなくなる者とまったく同様の並びの規定になっておりま す。  同じ3号で、時間外労働の制限を請求できないこととすることについて、合理的な理 由がある者を省令で定めることになっているわけですが、これも育児休業あるいは深夜 業の制限の制度と並びでございまして、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者、配 偶者でない子の親が(1)に該当する場合の労働者ということでございます。次に第17 条の第2項で、時間外労働の制限の請求が厚生労働省令で定めるところにより行うとい うことになっておりまして、請求の方法について規定するものでございます。これは現 行の深夜業の制限の場合と並びで同様に規定をすることとしていまして、(1)の請求年 月日から(6)までに係る事項を記載した書面を事業主に提出するということとしており ます。併せまして事業主は請求をした労働者に対して、妊娠・出産等の事実を証明する ことのできる書類の提出を求めることができること、請求に係る子が出生したときは、 請求した労働者は速やかに子の氏名等、事業主に通知しなければならないこと等を定め ることとしております。  続きまして、第17条第3項の条文の13頁ですが、ここでは請求がなされた後、時間外 労働の制限が開始する日の前日までに子の死亡等の事由が生じた場合には請求がされな かったものと見なすこととされていまして、その事由として(4)の(1)から(4)まで、 子の死亡、養子である場合の離縁・縁組みの取消し等を規定することとしております。 これも現行深夜業の制限との並びでございます。次に第17条の同じく第4項で、時間外 労働の制限が始まった後、一定の事情が生じた場合には終了することとなっておりまし て、子の死亡、その他いま(4)で説明しましたものと同じ事由とするということで準 用することにしています。  2枚目ですが、今度は第18条の関係です。第18条は介護を行う労働者の時間外労働の 制限です。第18条については第17条が準用されていますが、まず介護を行う労働者につ いて時間外労働の制限を請求できないこととすることについて合理的な理由がある者、 ということで省令で定めますのが(1)の1週間の所定労働日数が2日以下の労働者と いうことでございます。(2)も準用されるものですが、請求の手続です。これは(1) から(6)までにありますように、現行の深夜業の制限と同様のものとなっております。 (3)は請求がされなかったものと見なされる場合でして、請求に係る対象家族の死亡 等、これも3点を規定することとしています。制限期間が終了する事由として、育児の 場合と同様に(3)を準用するということにしております。  以上がその内容ですが、基本的には既にある深夜業の制限の制度と同じような並びの 手続を規定することが主な内容となっております。 (分科会長)  ただいまの説明について、ご意見あるいはご質問がありましたらどうぞお願いいたし ます。 (委員)  中身の問題ではなくて要望なのですが、非常に法律は時間外労働、準用の規定が非常 に多く細かいところはわかりにくいので、できれば啓蒙用の資料で一覧表でマル・バツ で説明できるようなものを用意していただけると幸いです。 (分科会長)  他にご意見はございますか。 (委員)  この省令事項と直接関係はないのですが、時間外労働の制限が3月31日までの労働基 準法上の激変緩和から、育児・介護休業法の今度の法律になるわけですが、「三六協定 」と密接な関係があるわけで、現在三六協定の様式第9号の中に、これらの時間外労働 の制限についての項がありますが、今後ともわかり易くするために、三六協定の書式の 中で何らかの形でこのような関連がわかり、なおかつ趣旨が生かされるようなことを、 こちらの担当ではないのかもしれませんが同じ省内ですから是非連携を取っていただい て、現場で使い易くというかわかり易くしていただけるように配慮いただきたいと思い ます。 (事務局)  委員からお話がありました点については、ご案内のように育児・介護休業法に基づく 時間外労働の制限の制度と、労働基準法に基づく時間外労働の制度とは別個の制度です が、現実には同じ労働者について2つの制度が係ってくるわけですので、その辺私ども のパンフレット等においてもわかり易く整理をさせていただきたいと思いますし、労働 基準局とも趣旨を踏まえて、どのようなことができるのかという点も含めてよく連携を 図っていきたいと思います。 (分科会長)  他に何かご意見はございますか。特にないようですので、この議題はこれで終わりま すが、ただ本件につきましては、次の議題である「事業主が講ずべき措置に関する指針 (素案)」が諮問された後の同時期に厚生労働大臣に答申する、ということにしたいと 思いますのでよろしくお願いいたします。それでは次の議題「事業主が講ずべき措置に 関する指針(素案)」についてです。  これについてはまだ労働政策審議会に諮問は出されているわけではありませんが、本 日は指針の素案が資料として出されていますので、事前に検討を行うということで審議 をお願いしたいと思っております。最初に事務局から説明をお願いいたします。 (事務局)  資料5として「事業主が講ずべき措置に関する指針(素案)」というものを本日出さ せていただいております。この指針は改正後の育児・介護休業法の第28条に基づいて事 業主が講ずべき措置、育児や介護を行う労働者の職業生活と家庭生活の両立が図られる ようにするために、事業主が講ずべきその他の措置、この双方について定めるものでご ざいます。なお、資料6ということで現行の事業主が講ずべき指針と今日出しているも のとの対比表を配らせていただいておりますので、適宜参考にしていただければと思い ます。  まず最初はこの指針の位置付けを明らかにするということでございます。この指針は 育児・介護休業法に定める事項に関し、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこと となる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため、事業主が講ず べき措置について適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものでありま す。いま申し上げました法律第28条に基づく指針の位置付けというものを書いているも のです。第2以下が具体的に事業主に講じていただくべき事項ということでして、まず 第2の1で期間雇用者の判断の問題について整理をしております。  これは昨年法案の作成に向けた審議でかなり議論があった点ですが、育児休業、介護 休業は日雇労働者・日々雇用者と期間雇用者については適用されないこととなっていま すが、形式的には期間を定めて雇用されている者であっても、実質的に期間の定めのな い契約と異ならないような者については対象になるというようなことで、どのような場 合がそれに当たるかということを整理したものでございます。いま申し上げましたこと が1の冒頭に書いてありまして、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならな い状態となっている場合の判断に当たっての留意事項を整理しています。  基本的にはこの問題については、本日の資料7で簡単なものをお出ししております が、「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会」というのがかつてありまして、平 成12年9月に報告が出されています。その中で有期労働契約の雇止めに関する裁判例の 分析がなされています。大きく分けて、「純粋有期契約タイプ」、原則どおり契約期間 の満了によって当然契約関係が終了するタイプと契約関係の終了に制約を加えているタ イプの2つに分けられています。契約関係の終了に制約を加えられているタイプがさら に3つに分かれていますが、(1)に期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態 に至っている契約であると認められたものと「実質無期契約タイプ」というものが整理 されております。  今回の指針におきましては、この実質無期契約タイプについて事案の特徴等を整理し て判断ができるようにしようというものでございます。まず指針のほうの(1)です が、どのような点が裁判の過程でチェックポイントとして評価されているかという点を (1)で整理しています。有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例における判断 過程の問題ですが、イからホにありますように、業務内容の恒常性・臨時性といったよ うなものから契約労働者の契約上の地位の性格、あるいは継続雇用を期待させる事業主 の言動等、当事者の主観的態様、更新の状況、同様の地位にある他の労働者の雇止めの 有無等他の労働者の更新状況、これが最高裁の判例をはじめとして、ここの研究会で検 討したものを整理しますとこの5点がチェックポイントとして使われているということ からこれを持ってきたものでございます。 (二)ですが、それぞれのチェックポイントについてどのようなことを勘案して判断が なされているかという点です。有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例の中で、 実際に期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っていると、そのような判 断がされた事例について整理しますと、まずイにありますように、業務内容が恒常的で あること、契約が更新されていること、この2点はいずれの裁判例におきましても認め られる点です。ですから、イの業務内容が恒常的であるということと、ニの契約の更新 というのが必須の要素ということで整理をしております。その他の要素においては、裁 判例によって認められているケース、あるいは言及されていない場合等、いずれもある わけですが、ロに書いてあるようにイとニの2つの点に加えて、少なくともハ、ニ、ホ のいずれかの実態は認められている場合に、期間の定めのない契約と実質的に異ならな い状態と認められているということで、イに加え、少なくとも次に掲げる実態のいずれ かが認められることということで(イ)(ロ)(ハ)ということで整理をしておりま す。  さらに考慮すべき事案として(三)にありますが、有期労働契約の裁判例においては イですから業務の客観的な内容について業務内容が正社員と同一であることが認められ る場合には、実質的に期間の定めのない契約と異ならないという方向で認められている ということであります。一の(ロ)に関して、労働者の地位の基幹性が認められるとい う場合には、やはりそういった状態に至っているという方向に働くということを整理し ています。この「基幹性」という言葉は若干違和感があるかもしれませんが、期間雇用 者の範疇の中での基幹性ということでございます。例えば裁判例の中にあるのですが、 期間を定めて雇用される労働者に2種類ありまして、1つは臨時社員として2カ月契約 で更新されていき、臨時社員として2年以上継続勤務すると今度は定勤社員という1年 契約の、同じ期間雇用者でも長いものとして契約されるというような例がありまして、 同じ期間雇用労働者の中でもより臨時性の少ない、基幹性の高い労働者という意味でご ざいます。  3頁の二に移ります。これは育児・介護休業に関して、これは法律上は請求権という ことで整理されておりますので、これまでの指針では言及されておりませんでしたが、 今回は事業主が講ずべき措置として第6章に定められた事項以外のものも幅広く取り上 げる、ということに伴いましてこれを今回書いたわけです。育児休業と介護休業につい て、あらかじめ制度が導入され規則が設けられるべきものであることに留意する、当然 と言えば当然のことですが新たに書き加えております。三に入りまして、これは不利益 取扱いの禁止が今回新たに規定されているわけですが、具体的な、どういう場合に不利 益取扱いになるのかということについて整理をしております。  まず(一)ですが、これは当たり前なのですが、不利益取扱いというのは、育児休業 又は介護休業の申出・取得との間に因果関係がある行為であること、ということを整理 しています。(二)で、どのような場合が不利益取扱いになり得るのかということが書 かれています。不利益取扱いというのはいろいろな場合が考えられるわけでして、それ らを網羅的にここに具体化して整理することは事実上不可能ですので、資料8をご覧い ただきたいと思いますが、実際に育児・介護休業法を施行している都道府県労働局に来 た相談事案を整理したものです。いちばん下に書いてありますように、例えば平成12年 度において労働者から寄せられた育児・介護休業法の相談事案というのは9,234件とい うことになっているわけですが、労働局に寄せられた相談の中で不利益取扱いに関する 事案として典型的なものを、全国の都道府県労働局から収集しましたところ、152件に なったわけです。  この152件の内容を具体的な類型に応じて分類したところ、(1)から(7)のよう な状況になっておりまして、「退職の強要」又は「身分の変更」、これがいちばん多く なっています。「配置の変更」が65件でこれに次いでおり、その他「解雇」「自宅待機 」「減給又は賞与の算定」「就業環境を害すること」、これはいわゆる「いやがらせ系 」です。それから「降格」、こういったものについての相談が実際に都道府県労働局の ほうに寄せられているわけですので、今回の指針においては、現実に寄せられている具 体的な相談について参考となるようなものを整理させていただいたわけです。  指針の案の3頁の(二)ですが、不利益な取扱いとなる行為には、例えば次のような ものが該当するということで、いまご説明しました7点をここに挙げているわけです。 もとよりこれ以外の点についても、不利益取扱いというものはあり得るわけですが、現 実に寄せられているものということで例示をしております。4頁に移りますが、それぞ れの点についてどのように考えたらいいかということで書いてあります。解雇について は、休業の申出・取得を理由として行われれば直ちに不利益取扱いということになりま すので、(三)には書いてありません。退職の強要等の所から具体的に判断の際に勘案 すべき要素を整理しております。  まず、いわゆる勧奨退職とか正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするよう な労働契約内容の変更、いわゆる身分の変更ですが、これは労働者の同意を得ていたと しても、労働者の真意に基づくものでないと認められる場合には、退職の強要等に該当 するということでございます。(二)のハの自宅待機関係ですが、事業主が休業終了予 定日を超えて休業することを労働者に強要することは自宅待機に含まれるということで す。次のハは賞与の算定等についての事項ですが、休業期間中に賃金を支払わないこ と、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に、休業した期間分 は日割りで算定対象期間から控除すること等、専ら休業期間は働かなかったものとして 取り扱うことは不利益な取扱いには該当しないが、休業期間を超えて働かなかったもの として取り扱うことは不利益な算定に該当する、ということが書いてあります。  次が不利益な配置の変更ですが、日本の人事慣行の中ではなかなかこれは難しい、何 が不利益な配置の変更かということは難しい面もありますが、不利益な取扱いに該当す るか否かについては、その変更前後の賃金その他の労働条件、通勤事情、当人の将来に 及ぼす影響等、諸般の事情について総合的に深く考慮の上判断すべきものであるが、と いう前書きを付けました上で、例えば通常の人事異動ルールからは十分に説明できない 職務又は就業の場所の変更を行うことにより、当該労働者に相当程度経済的又は精神的 な不利益を生じさせることはこの不利益な配置の変更に該当すると整理をしておりま す。ホは就業環境を害することですが、業務に従事させない、雑務に専ら従事させる、 という2つの行為を例示しています。以上が不利益取扱いの関係です。  5頁の四に移ります。時間外労働の制限に関する事項ですが、まず(一)で先ほどの 育児・介護休業と同様に、これも請求権ではありますが、あらかじめ制度が導入され規 則が設けられるべきものであるという点を書いております。2点目ですが、労働者が時 間外労働の制限を請求したこと、又は制限を受けたことを理由として、解雇その他不利 益な取扱いをしてはならない、これも当たり前のことですが書いてあります。五は深夜 業の制限の関係です。1点目は他の請求権と同様に制度化をされるという点について書 いております。(二)から(四)までは、実は現在深夜業の制限について指針が出てい ますが、これは育児・介護休業法に直接基づく指針ではないものですから、それを今回 こちらに育児・介護休業法で移してくるということで(二)(三)(四)の3点を書い ております。  6頁ですが、これは法第21条第1項の規定により、育児休業、介護休業に関する事項 を定め周知するに当たっての事項ということで、あらかじめ休業中の待遇を定めて周知 しなさいという努力規定がありますが、その関係です。これについては今回の改正で変 更は直接この条文にはありませんが、資料6のほうで現行との対比を見ていただくとわ かり易いと思います。新旧の5頁の終わりから6頁、主として6頁です。従来は法律に 休業の申出・取得等に伴う不利益取扱いの禁止の規定は法律上ありませんでしたので、 ここで休業中の待遇等に関する定めをする場合には、不利益な取扱いをするものであっ てはならないとか、個別の労働者について明示をするような場合には不利益な取扱いを 行うものであってはならない、ということを書いてありました。  今回の改正によって、法律上これが位置付けられたことに伴ってこの部分がなくなっ ているということでございます。したがって2という所のものがそのまま残っています が、休業中の待遇、休業後の賃金、配置その他の労働条件、その他必要な事項に関する 規則を一括して定め周知することが望ましい、ということが従来から残って書かれてい るということでございます。七に移ります。これは法第22条の規定により、休業する労 働者が雇用される事業所における労働者の配置その他雇用管理に関して必要な事項、必 要な措置を講ずるに当たっての事項ということで、これは従来からあるものそのままで す。(一)で休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多 く行われているものであることに配慮すること、いわゆる原職復帰等をここで書いてお ります。  八ですが、これは休業している労働者の能力開発の関係ですが、これについては現行 の指針とまったく同じように書いてあります。九に移りますが、これは勤務時間短縮等 の措置ですが、これについては新旧の7頁をご覧いただくとわかるのですが、現在4点 書いてありますが、4点目が時間外労働の関係、激変緩和措置の関係のものです。今回 時間外労働の制限の規定が、権利として法律上盛り込まれたことに伴い、4の部分は落 しております。それ以外の3点をそのまま移してきております。内容は勤務時間短縮等 の措置の適用を受けたことを理由とする不利益な取扱いをやってはいけないこと等を定 めているものでございます。  続きまして18頁ですが、こちらは勤務時間短縮等の措置の努力義務のほうです。十は 育児に係る勤務時間短縮等の措置の努力義務ですが、新旧でご覧いただきますと実質的 には8頁の所で、現在2点書いてございます。1点目は当該措置の適用を受けるかどう かは労働者の選択に任せられるべきものであること、ということでこれを今回そのまま 指針の案8頁に書き込んでおります。従来は努力義務が1歳から小学校就学に至るまで 5年ないし6年という非常に長い期間であったことから、子どもの年齢によってより必 要性の高い措置は変わるので、例えば3歳までは短時間勤務、3歳を過ぎたら所定外労 働をさせない制度というような、子どもの年齢に合わせて必要性の高い措置が講じられ るように配慮すべしという趣旨で2というのが設けられていましたが、今回、勤務時間 短縮等の措置の義務の対象が3歳までに上がりまして、努力義務のところは3歳から小 学校就学までという3年間程度になったことに伴い、この部分は今回書き込まなかった ということでございます。  十一は介護関係の努力義務ですが、これは現行の指針とまったく同じです。 9頁に 移りますが、今回新たに事業主が講ずべき措置として定められた看護休暇と転勤の配慮 の関係について書き込んでおります。まず十二で看護のための休暇を与えるための措置 を講ずるに当たっての事項ということで、労働者が年間に子どもの病気のために休む日 数は5日までのものが多いことも勘案し、措置が講じられることが望ましいものである ことに配慮する、ということを書き込んでおります。実際に働いている女性労働者が年 間何日子どもの病気で休んでいるかという調査結果を見ますと、5日までを足し上げま すと65%ということで、5日の休暇を与えますと3分の2の方がすべて救われるという ことになります。夫婦合わせて10日まで休んでいるというのが8割ぐらいですので、1 人5日ですと夫婦で10日、夫婦合わせると8割ぐらいの労働者の休んでいる日数全体が カバーされるということになるわけです。  十三の転勤の配慮の関係で、いったい何を配慮したらいいのかという点について書き 込んでおります。これはあくまでも例示でして、いろいろな配慮があり得るわけです が、ここに書いてあるのは3点で、1つは労働者の子の養育又は家族の介護の状況を把 握することです。2点目は労働者本人の意向を斟酌すること、3点目は配置の変更で就 業の場所の変更を伴うものにした場合の子の養育、又は家族の介護の代替手段の有無の 確認を行うこと、この3つを例示しているわけです。この中で労働者本人の意向を斟酌 するということでして、これは必ず労働者本人の意向のままにするというものではな く、あくまでも労働者本人の意向を十分踏まえて、それが叶えられるのかどうか考慮し ていただくという意味で斟酌することという表現になっております。 (分科会長)  それでは本件についてご意見・ご質問をお願いいたします。 (委員)  先ほど国会の動きの話がありましたが、公布の日からは職業家庭両立推進者の選任と 不利益取扱いのところについては既に施行されているわけですね。これから議論する不 利益取扱い禁止の項目と、公布日から起こっている不利益是正の問題については、どの ような判断が均等室でされているのですか。 (事務局)  いまの点につきましては、先ほど机上にお配りしたリーフレットの1頁の下の所に書 いてあります。まず解雇のみならず不利益な取扱いが禁止されることになったというこ と、典型例として、解雇の他減給、退職金や賞与の算定に当たって休業期間を超えて働 かなかったものとして取り扱うこと、身分変更を行うこと、これが例示されているわけ です。私どもとして、非常に典型的な例としてこれを例示して現在周知・指導を行って いるところですが、さらに具体的に不利益取扱いというのはどういうものかということ を的確に指導するためにも、今回この指針の中で議論いただいた上で位置付けることと しているものでございます。 (委員)  いまの不利益取扱いの件なのですが、これまでのところでは退職通達の中で不利益取 扱いの典型例として長期間の昇給停止というものが記述されているのですが、今回事例 がないということでの判断なのかどうかということもあると思うのですが、そこが典型 例というか今回の指針の中に出ていないと いうことの理由を、もう少し詳しく教えて いただきたいのです。 (事務局)  先ほど申し上げましたように、不利益取扱いというのはいろいろな事項が考えられる わけでして、この中で実際に起こっているものを整理したということでございます。ど のような不利益取扱いの事案が現にあって、それをどのように指針の中で整理したらい いかというのはなかなか頭の中で考えているだけではきちんとしたものができないので はないかということで、私どもは現実に相談があった具体的な事案について考え方を、 その事案を参考にしながら整理しているわけでして、長期間にわたる昇給停止のような ものが不利益取扱いになり得るということはそのとおりだと思いますが、どのように書 いていったら世の中でそれがうまく活用されるのかという点について、なかなか現時点 できちんとした整理をするのは難しい面があるということでございます。もちろんこれ 以外のものもあり得るわけですから、今後私ども実際に労働局に寄せられる事案をさら に収集し参考にしながら、必要なもの、考え方をさらに整理していくということを考え ていきたいと思っております。 (委員)  整理して指針に加わっていくということはあるのですか。 (事務局)  それはいずれまたこの指針を未来永劫、絶対変えないというものではありませんの で、この指針でフオローできていない問題が結構起きてくると、例えば昇給停止のよう な問題が事例として蓄積されてくれば、それはやはり指針の中にいずれかの機会に取り 込んで示していくのが必要なのではないかと考えています。 (委員)  関連なのですが、現在深夜業の、同じ育児・介護休業法の中の深夜業の制限の趣旨の 中には、いま委員が言われた昇給停止が入っているわけです。それとの関連などもやは り考慮する必要があるのではないかということが1点と、ここに減給というのが事案の 中に入っているのですが、例えばマイナス評価とか昇給ストップとか、難しい点もある と思いますがそのようなこともも検討いただきたいということと、やはり権利行使に抑 制的に働くこともないようなことを、もう少し私ども検討させていただきたいと思うの ですが、是非そういった項目についてはわかり易く入れていただけるとありがたいと思 います。 (分科会長)  2つおっしゃったわけですね。 (委員)  1つは、いま既に育児・介護休業法の中の深夜業の関係では、長期間の昇給停止とい うのが入っているわけです。そういう所に入ってて、こちらに新しく見直しをしてさら に不利益なところをわかり易くしようと言っているところに入れ込まないということに ついては、もう少し検討してから結論を出したほうがいいのではないかと思うのです。 (事務局)  いまの点については、現行の指針で書いてあるのは深夜業の制限を請求したこと、受 けたことを理由として、労働者に対する解雇その他不利益な取扱いがあってはならない ものであると、今回の指針の深夜業の所の(4)で入れてありますが、そういうことが 書いてあるわけでして、お手元に多分このようなものがあると思いますが、それの281 頁のご議論かと思いますが、その内容の解釈通達、私どもの行政の解釈通達として長期 間の昇給停止というのが例示されているということでございます。したがいまして、こ ちらも指針のベースとして現在そこまで整理されているということではないかとは思い ます。もちろん観念的にこういうものが不利益取扱いとしてあり得るということは委員 のおっしゃるとおりだと思いますが、具体的にこういう指針もあるわけですが、具体的 な事案がいまのところないものですから、なかなかこれをどのような場合に不利益取扱 いになるかどうかという判断基準を提示するのが難しいということでございます。ご主 張を踏まえて、事案が実際に出てくれば、きちんと対応できるようにしてはいきたいと 思っております。 (委員)  事案の結果からいろいろ整理していただいているわけですが、逆にそういうところは 事案に出しにくい、非常に微妙な問題点というか難しい問題を抱えているという背景も あると思うので、いま出てきていないから「ない」ということではないと思うのです。 (事務局)  ですからそういう意味では、あり得ないようなものだという印象を与えないように施 行に当たって、これから特にリーフレット等を作っていくわけですが、十分注意をして いきたいと思っています。 (委員)  (三)のイの所に、正社員をパートタイム労働などの非正規社員とするような労働契 約内容の変更と書いていただいていまして、これが退職の強要等に該当することの例と して挙げられています。国会の答弁の中でもこの事例というのはよく出されていたと思 うのですが、正社員をパートタイムに身分変更するということについてはいまでもある ことだと思います。そのことが必ずしも退職の強要等に入ってしまうと言えばそうなの ですが、退職の強要とは直接関係なく、そのこと自体が不利益というところもあります ので、ここの整理の仕方を検討していただけるとありがたいと思います。正社員から パートタイムに変わったことが、必ずしも退職の強要という括りの中に入るとは限らな いのではないかという気がしたものですから、検討していただけたらありがたいです。  二のいちばん最後のところに、業務に従事させない、雑務に専ら従事させる等の行為 で、それらは就業環境を害することに該当すると事例を挙げていただいているのです が、先ほどの説明にもちょっとありましたが言葉による嫌がらせ、いじめみたいなこと をもう少しわかりやすく入れていただけたほうがいいのではないかと思います。 (事務局)  まず1点目ですが、資料No.8で現実に取り扱っています相談事案では、いまのお話 の点については身分の変更とサッとわかりやすく書いておりますが、これは厚生労働大 臣の告示ですがこれで整理する場合に俗な言い方はなかなかできないものですから、こ れはきちんと書こうとすると4頁に、勘案する要素で書いてあるように非常に長くなっ てくる。身分といった場合に、いま問題とされているような身分という意味に使われる とは限らないものですから、非常に書き方が難しいということもあって、類似の退職の 強要と合わせて退職の強要等ということで、そこはやってはいけないことをわかりやす く整理しているわけです。もちろん、それは(三)のイをご覧いただければ当然そうい ったこともいけないということは十分おわかりいただけるのではないかと思っています が、私どもがこれを施行していく上ではその辺もわかりやすくしていくという点に十分 留意しながら、施行のためのいろいろな資料を作成するようにいたしたいと考えていま す。  2点目の五ですが、ここも就業環境を害することの例示であるわけです。もちろんこ れ以外のこともあり得るわけですが、想定されるあらゆることを書き込んでいくことは なかなか難しい面があるということで、これは実際に相談のあった事案の中から取って きているものですが、いじめとか嫌がらせという表現がなかなかこれに馴染まないこと もあって、委員がおっしゃるようなものをここに例示するのはちょっと難しいかなと考 えているところです。しかし、もちろんそういうのが不利益取扱いになり得るというの はそのとおりだろうと思いますので、実際の施行に当たってはそういう点も十分配慮し ていきたいとは思っています。 (委員)  2点ほど。先ほどの長期間の昇進昇格停止、深夜業等の対象等で書いていると。多分 その通達は、育児休業なり介護休業を取ったことに伴い生涯にわたり休んだことで対象 から外されることに着目した書き方だと思うのですが、その辺はやはり通達で一度書い ているところですから、むしろ積極的にそれを取り上げてやることが必要だと思うし、 私が聞いたところ公務員の場合は休んだところ、昇給させる際に休業期間の2分の1ぐ らいをカウントして、なるべく昇進昇格というか休んだことに伴う抑制策を緩和すると なっていると聞いているのですが、その辺はどういうお考えなのか。  2つ目は(三)のニの配置のところなのですが、6頁には法22条の規定により、「労 働者が雇用される事業所における配置についての措置」で、原職又は原職相当職に復帰 されるのが多いので留意しなさいと言っているわけですね。こっちの不利益のほうには 通常の人事ルール。こっちでは望ましいよといっておきながら、望ましいことをやらな い場合の不利益問題というのは逆にあるような気がするのです。そこの関連はどう理解 していいのか。やはり原職及び相当職が望ましいのですから、それがまず基本にあって 特段の事由があって例えば会社の組織が無くなってしまったとか、そういう事情の場合 に相当職に配置するとかというのが基本とされるべき考え方だと思うのですが、そこは どう理解していいのですか。 (事務局)  1点目は、まず公務員の関係から申し上げますと、公務員法制におきましては一時休 業につきましては、昇給させる際に休業期間の2分の1をカウントできるということに なっているわけですが、これは何が不利益かの議論とは別の議論でして、通常の法の対 象になる民間の会社におきましても、企業によりましては休んだ期間を丸々休んだもの として取り扱わないという取扱いをしているところもあろうかと思います。これは公務 員法制の世界ですので、今回の議論とは一応切り離してご理解いただければと考えてい ます。いわば公務員法制は企業の就業規則のような側面を持っているわけですので、そ ういうところのお話かと思います。  長期間の昇給停止というのは解釈通達で書いてあるわけですが、現在の解釈通達とい うのは非常に極端な例というか、はっきりとわかりやすく不利益取扱いに該当するよう なものを比較的に取り上げて書いているわけです。今回の指針におきましては、そうい う極端なところまで至らないものまで含めて、何が不利益なものかというのを少しでも 具体的にしようという趣旨で作っているものです。したがいまして、例えば昇給停止が 非常に長期間にわたらなくても、不利益取扱いになるケースもあり得るわけですので、 こういった現在の解釈通達に書いてあるからそれを今回の指針に持ってくるべきだとい うのは、そのままは当たらないのではないかと考えています。  原職相当職につきまして、不利益取扱いの禁止はもうやってはならない行為、配置の 変更につきましてもやってはならない行為について規定したものですが、それでは人事 配置で不利益取扱いに該当しないものは全部原職ないし原職相当職かというと、そうい うわけでもないのだろうと思います。現行の規定の原職相当職のこの部分の書かれた趣 旨というのは、やはりなるべく元のポストに戻るケースが多いということで、原職相当 職のイメージとしては同じ事業所の同じ職務内容、職制上の地位も変わらないものを想 定して書かれているものですから、不利益取扱いとならないものよりももっと範囲は小 さくなってくるものかと思います。したがいまして、そういったものについての指針の 記述はそのまま残している。ですから不利益取扱いには、原職相当職以外のところに 戻っても不利益取扱いにならない場合があり得る。例えば通常の人事異動ルートの中で の異動ではあるけれども、東京から九州に配置の変更になるといったことは人事異動 ルールによっては不利益取扱いにはならないわけですが、ちょっと原職相当職への復帰 というのには当たらないのではないかという考え方で今回は整理させていただいていま す。 (委員)  すべてにわたってわかりやすくがいちばんいいと思うのですが、特に最初の有期雇用 の部分で、専門家でなくても本当にわかるものに是非していただけたらと思うのです。 この文章だとパッと見て、何かを判断するにはわかりにくいのではないかと思いますの で、そこら辺のご検討をしていただけるとありがたいというのが1点です。  もう1点は、いちばん最後の頁の配置の変更の関係で、ここのところは今回法律で配 慮しなければならないという義務規定になっていますね。指針のところが例示というふ うなご説明があったのですが、ここのところもちょっと難しいというか、もうちょっと わかりやすくなんとかならないものかなという気がします。1点目は国会答弁の改革で 局長がお答えいただいていたと思うのですが、労働者の養育の範囲については幅広くと いうことで中学校までというお答えだったと思うのですが、そのことがわかりやすくな るような形でどこかに入れていただきたいということ。それから3つの例が入っている のですが、この例のどれかをすればいいということになるのか、子の養育又は家族の介 護の状況把握というのは状況を把握して配慮することと理解するのですが、そこら辺を もうちょっとわかるような形で書いていただけるとありがたいと思うのですが、いかが でしょうか。いちばん最後も「あり得ること」とあるのですが、配慮しなければならな いという義務規定の意味合いの判断がもう少しつけやすくなるような書きぶりにしてい ただきたいと思います。 (委員)  いまの関連で、非常に難しいところだと思うのですが、昨年来十分この件を何度も繰 り返し議論して、非常に難しいところを難しいなりに表現したがこれがギリギリの表現 ではないかという認識でいます。決していま現在経営サイドが配慮していないわけでは ない、できるところは十分配慮している前提での議論であったかと思うのです。そうい う中で先ほどの配慮義務というのは配慮してできる場合もあるし、できない場合もある ということなのです。やはり経営サイドの問題もあるし経営権の問題もあるし、本人か ら見るのと経営サイドから見る、あるいは別の角度から見るによって違ってくると思う のですが、これ以上ちょっと突っ込むと元の議論をせざるを得ないかなと思います。 (委員)  1つ目の関連で有期契約のことなのですが、現在通達で期間雇用者の停止に当たる実 質的な対象者になり得る事柄が書いてあって、その解釈通達では非常に不十分あるいは わかりづらいということがあって指針となったと思いますが、むしろいままで通達に書 いてあった、こういう場合は期間の定めのないものとなり得るの「なり得る」という書 きぶりからすると、今回の指針は私自身が読んだ印象ではこの場合は実質的に有期雇用 者であっても、対象者なのだということをこれからどう読み取っていいのかが難しいと いう印象があるのです。先ほどのご説明でそれをされたと思うのですが、もう一度この 有期契約労働者の実質的には対象者になるというのは、こういう人のことですよという のはどこを指しているのか、どこで読み取ればいいのかを教えていただきたいと思いま す。 (事務局)  委員のご質問からご説明いたします。1頁の第二の一の見出しの次に3行あります が、そこに「労働契約の形式上、期間を定めて雇用されているものであっても、当該契 約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には育児休業及 び介護休業の対象となるものであるが」と書いてありますが、そういう人が対象となる というのはここに書いてあるわけでして、その判断に当たってのどういう点をチェック したり勘案していけばいいかというのを(一)以下に書いてある。ですから、いまのご 質問からすればここで休業の対象となるものであると書いてありますので、従来の「な り得るものであるが」よりは踏み込んだ書き方になっています。  先ほど委員のお話にありました問題というのは、非常に世の中でも問題事案が多くて 裁判例も多く、分野でもいろいろ注目して検討されている分野でありますが、そういっ た中で最高裁の判例をベースに、ここ最近裁判例が蓄積されてきている中での表現をな るべくそれに則して私どもは使わせていただいているものですから、若干そういう批判 も出るのかもしれません。しかし、その判例からあまりに離れて表現していくと、その 意味合いがどう変わるのかという議論がまた出てまいりますので、指針というものにお きましてはこういった表現にならざるを得ないのかなと考えています。たしかに事業主 の方々、労働者の方々にお諮りいただくのが目的ですので、その辺の周知に当たっては 十分に配慮をしてまいりたいと考えています。  転勤の配慮につきましては委員がご指摘のように国会でも議論がありましたが、転勤 配慮の対象となる子の年齢は1歳までとか小学校就学前までとかを書いていないわけ で、小学生や中学生も含まれるわけですが、それは指針に書き込むものではなくてここ は転勤配慮の内容を書くところですので、ちょっとここに書くのはどうかなと思いま す。しかし、転勤配慮の対象となる子供に小学生、中学生が含まれるというのはきちん とPRで周知の際にパンフレット等に書き込む等の配慮をして、そこはご理解を十分い ただけるようにしてまいりたいと思います。  「あり得る」というのは語感の問題なのかもしれませんが、これはあくまでも例示で す。ですから、転勤の配慮というのは何をやればいいとか何を最低やらなければいけな いとかはなかなか決め難い面もありますので、3つのものを例示させていただいている わけです。ここが「あり得る」と書いてあるから転勤の配慮が少しどうでもよくなると かということではありません。法律上配慮しなければならないという配慮義務が今回新 たに設けられるわけですので、「あり得る」はなんとなく語感に心許無いというご指摘 かと思いますが、そういうものではないので何かいい表現があればまたご指摘いただけ れば考えていきたいと思います。 (委員)  さっき委員からもご意見があったのですが、微妙な部分があると思うのです。そこ で、配慮とは何かということにあまりに異議があるというか取り方の違いが出てくるの は余計混乱させると思いますので、細かく書けないまでもある程度の様子がわかるよう にしておかないと、とても難しい問題になると思うのです。片方が配慮したと言い、片 方は配慮がなかったというときの。 (委員)  書けば書くほど強まるような気がするのです。自分が経験した事例でも前にお話した かもわかりませんが、2人の人間を配転させようと思って私の所へ相談に来ました。相 談に来たのだけれどもよくよく本人に話してみたら、本人に特殊な事情があった。特殊 な事情があったので、それを全然問題なく一から考慮できればまずそこに行きますよ ね。でもそれが難しいときに、ではほかに替われる人がいるかいないかという判断も必 要だと思うのです。それから、判断するときに会社の実態も考えないといけないわけで す。配慮というのはそういう意味だと思うのです。本人だけの問題で済めばいちばんい いのですが、そうはなかなかいかないのが実態だと思うのです。ですから、そういうこ とを考えると細かく書けば書くほど、本人から見るほう、会社から見るほうの裏表があ ると思うのです。異なってくる面が多くなってくるように思うのです。 (委員)  でも、ここは育児や介護を行うことが困難とならないような配慮ということだと思い ますので、そのことについてあまり取り方が違わないような出し方が何かないのかな と。いますぐ、こうというのが言えなくて申し訳ないのですが、難しいところというか もう少しわかりやすくしておいたほうがいいのではないかなという気がしています。  それと、先ほどの有期雇用の関係で、2頁の(二)のイの中で、(一)の説明のニに 対して契約が更新されていることという表現にしていただいているのですが、(一)の ニでは回数となっているのです。ここで回数と言って(二)では更新されているという ことは、その一度でいいという理解でよろしいのでしょうか。そうしていただきたいの ですが。 (事務局)  契約が更新されていることというのは少なくとも1回以上更新されている、ゼロ回で はないということですから1回以上という意味です。裁判例でも1回というのがありま すが、実際の判断に当たっては何回更新されたというのは期間の定めのない労働者と判 断されるかどうかの勘案要素と扱われていますので、その回数というものはチェックポ イントのほうに入っている。実際にこの回数については1回から多いものは10回、20回 とありますので、少なくとも裁判例では1回は更新されているという意味で(二)はこ ういう書き方になっているということです。ですから、現実に1回更新されているケー スと10回更新されているケースが判断に当たって同じように評価されることはないので はないかということです。 (委員)  私だけかもしれませんが、全体的にここの部分は本当に難しくて、何かもう少しわか りやすいものにならないかしらという思いをしています。 (委員)  先ほどの私の質問に対するお答えで、「こういう理解でいいか」という質問です。 「実質的に異ならない状態となっている場合」以降を並べてあるわけですよね。では実 際にそういう人を雇っていて、これに照らし会わせたときにその人は対象者になるとい う確認をする際、ここでいう業務内容が恒常的である、あるいは更新されているという 事実があればこの指針は、これは対象者だということを言っているのですと理解してい いわけですか。 (事務局)  これは、あくまでも現在育児休業を取れるかどうか、介護休業を取れるかどうかとい う問題が裁判上争われて、その結果が蓄積されている状態ではないものですから全くそ ういうものとしてはない。したがって、雇止めのほうで同じ論点があるものですから、 その論点についての裁判例を整理しているものであります。ですから、これが業務内容 が恒常的かどうかの判断をその際にどうやってするかが、現実にはポイントになってく るのだろうと思います。ここで言っていますのは、業務内容が恒常的であって契約が更 新されている条件を満たしていて、それ以外にイ、ロ、ハの少なくとも1つがあるとい うことになれば、実際に雇止めの裁判例で実態がそうだと認められている状況に至ると いうことでして、あまりわかりやすくないですね。 (委員)  やはり、例えばきちっと労使で課題になったときにそういう認識に立ちたいわけで。 (事務局)  総合判断なものですから、チェックリストみたいに付けていって、チェックがいくつ 付いたのでこれは絶対対象になるとかならないとかを簡単に言えないものですから、こ ういう判例の特徴を整理されている。この特徴に合うものというのは基本的にはおっ しゃるようなものである可能性が非常に高いわけですが、これはあくまでも総合判断だ ということかと思います。 (委員)  前提としては、そもそも更新を前提とするような雇い方自体をきちっと問うというか 問題にしようという認識がもちろんあるのですが、これに当たって関心を強く持って継 承しようというところがあるもので、それに対してこれが出ていったときに先ほどから 委員もおっしゃっているように、これがわかりやすくなるように補足をしていただく範 疇で理解できればそれはいいと思っていますが、非常に難しい部分です。これは意見に なります。 (事務局)  その辺は、どこまでわかりやすくパンフレットやリーフレットで補足できるかはまた 難しい面があるとは思うのですが、十分工夫をしてみたいと思います。判断自体は、非 常に難しい面がどうしても伴わざるを得ない分野かなと考えています。 (委員)  もう1点質問で、不利益の取扱いに関して4頁の(三)ハに該当する部分で、1つは 国会で休職期間の取扱いをめぐってのノーワーク・ノーペイに関するやり取りを傍聴し た際、先ほど出たと思いますが、つまりそうであるならば本来ある権利だけれども、そ れを躊躇するような状況についてはこういった取扱いが権利を行使する際に抑制的に働 くということは、それ自体を問題として問われるというやり取りがあったことと、ある いはむしろ先ほど公務員の例を出されましたが、必ずしも全期間をゼロベースでなく 扱っている良い例なども当然あるので、一概にノーワーク・ノーペイと言い切ってしま うのは問題だという理解をしたのです。ここは専ら休業期間は働かなかったものとして 取り扱うことは、不利益の取扱いには該当しないと言い切っているように読み取れてし まうのです。これではちょっと、要は働かなかった期間は算定しないということは、不 利益にはならないと言っていないかどうかともちょっと受け止められるので、そうで あったらもちろん困ると思うのですが、そのことを1つ質問したい。例えばこれは既に 私どもの中の事例でもあったのですが、育児・介護休業法という分野でこれをやってい ますが、その他に休職制度をたくさん備えている中で、私傷病に続く休職ですとか、そ の他の休職という中では必ずしもこうしていないものも実際にはあって、そのとき育児 ・介護休業法ではその期間を全く働かなかったものとして扱っていて、もう一方で違う 休職制度ではそうでないというものがあるとき、制度自体同士を比較した場合にそれを 直していきたいと思うわけですが、それにもちょっと影響するのではないかと思ったの で、もう一度専ら休業期間働かなかったものとして取り扱うということは、不利益な取 扱いに該当しないという言い切りなのかどうかを確認をさせていただきたいなと。 (事務局)  これは言い切りです。専ら休業期間を働かなかったものとして取り扱わなくてはいけ ないというルールを書いているものではなくて、働かなかったものとして取り扱っても かまわない。問題だとは言えないということを書いているわけです。現実の現場での取 扱いというのは、休業期間全部を働かなかったものとして取り扱っているわけではなく て、むしろ一定期間働いたものとして取り扱っている例も結構あると承知はしています が、それがいけないということではなくて、仮に働かなかったこととして取り扱っても 問題だとはいえないということを書いてあるわけです。 (委員)  まさしくそうでなければ困るわけです。昨年来議論してきたのは、まさにその点で す。休職云々はやはり企業内の問題でして、法律でどうする、それに準ずるものでどう するという問題とは別の問題です。休職規定は持っている所も持っていない所もある し、どういうものを休職にするかも専ら労使で決めるものです。ですから、ここでこう いうことを決めたからといって全部の労使がこれに従わないといけないとはしないわけ で、できるところはいろいろな支援策をやっているし、これからもやることになろうか と思います。要するに労使で決める問題と、法あるいは法に準ずる形で決める問題を区 別して議論しないといけないと思います。 (委員)  いま雇用保険から30と10で40%出ますよね。多分、各会社等で出所は別にしても、あ る程度上乗せしてやっているのもあるわけです。厚生労働省の雇用保険の仕組上、会社 が個別、本社をあげて80%を超えたらその分40%を減らしますよという指導をしていま すよね。あれは法律に基づいてやっているというのですが、ここでいうノーワーク・ ノーペイジェンシブと一方では言っているのですが、80%というものの考え方は駄目な のかしら。80%を超えたら雇用保険の分を減らしますというか。結局会社のほうは80% を超えない範囲内で40%だけをデンと乗せて支援すると。50%にしたら90%になってし まうから、十分雇用保険は減らしますと、私の記憶が間違いなければそうなると思うの ですが、その考え方は駄目ですかね。 (事務局)  私どもの担当ではなくて職業安定局が担当しているのですが、雇用保険制度の給付は 働かなかった場合の、本来所得収入が上がらないことが多いケースにおける所得保障の 問題かと思います。所得に保障のないことによって育児休業ができないといったことを 解消しようというものですが、普段は8割ももらえばもういいのではないでしょうかと いうことなのではないでしょうか。もともと給付自体は4割ですから、そういう人にさ らに全労働者からいただいている雇用保険料を財源として、さらにそれ以上給付しなく てもいいのではないでしょうかということなのではないかと思います。 (事務局)  ちょっと調べてみますが、多分休業中は社会保険料の本人負担分が免除されるでしょ う。ですから上限を付けないと実態として100%を超えてしまう。それの調整のためで はないかと思いますが。 (事務局)  13%ほど社会保険料はあります。 (委員)  それと、6頁の改正前の指針とほぼ同じなのですが、法第22条により廃止等について 事業主がこういうことをしなさいとかを書いているのですが、男性の育児休業はなかな か進まないと。上司とか復職の雰囲気とかの環境がいろいろありますよと。それらを雇 用管理と見ることができないのか。今度、職業家庭両立推進者ができますよね。この担 当者がそういうこともひとつ作業としてやるようになるのでしょうが、雇用管理におけ る配置だけではなくて男性労働者が「子供が生まれましたよ」と労務に申請したとき に、「こういう場合は取れるのですよ」とちゃんと事業主が支援したり相談に応じた り、あるいは同僚や所属の長に対して労務担当者が「こう取れるように環境整備してく れよ」ということなどを雇用管理の中に書けないのかどうか。男性の育児休業取得促進 は調査研究を進めるとなっていますが、それを指針の枠組内で触れることができないも のか。指針の性格にもよるのでしょうが、事業主の役割で環境整備は大きいと思うの で、ちょっとご検討を願いたいのです。新しいものを負担させるのではなくて環境整備 するという。 (委員)  11月16日に局長名の通達が出ているではないですか。あの中の推進責任者のやるべき 業務の中に、男性の育児等が大事であるということの啓発等が入っていたと思います が、それ以上にこの指針でもと委員はおっしゃるのですが、書いていないことはないで す。 (事務局)  お気持はよくわかります。おっしゃるとおりですが、ここにうまく溶け込むように馴 染むように書けるかどうか次回までに検討してみます。 (分科会長)  公益の先生から何かありますか。 (委員)  いまの委員のおっしゃった点が指針の中に入れればいちばんいいことなのでしょう が、入りにくかったら内部的な運用の通達みたいなものでそういうところにちょっと力 点を置いて、地域の局で進めていくことも1つの手かなという発想は一緒です。おそら くこういう指針の中に、ある意味で盛り込めるものは盛り込んだほうがいいと思います が、やはり一方では法律本体の条文に則して違法ですよに当たるかどうかの最低の判断 の基準みたいなものもあるでしょうからそういう部分と、解釈通達や運用通達などで本 来の実効をあらしめる手立てと合わせて考えるのはちょっと難しいと思うのです。だか ら、どこかで折り合いをつけてギリギリといったら、表記の理解のしにくさとかという のは別にして、内容的にはかなり難しい部分があるのかなという感じがします。 (分科会長)  ほかに何かご意見はありますか。特にいまの段階でご意見がありませんでしたので、 今日までの議論はここまでとします。この続きは次回に指針についての諮問がなされた あとで引き続いて行いたいと思いますので、それまでにいろいろとお考えおきいただき たいと思います。 事務局から補足説明がありましたらお願いします。 (事務局)  1点目はご報告です。本日ご議論をいただきました省令の改正案要綱、事業主が講ず べき指針の素案の2つをパブリックコメントにかけるということです。現在規制的な内 容の省令、告示等につきましてはパブリックコメントに付するというのが政府の取扱い 方針となっていまして、それに則りましてこの分科会終了後に公表をすることとしてい ますので、ご報告をさせていただきます。  なお、公表の方法はホームページへの掲載と本省の担当の窓口での配付ということ で、意見の募集期間は1月10日までにしています。また詳しくはホームページなどをご 覧いただければ載っているかと思います。  2点目は、今後の分科会の予定ですが、一応1月10日と18日ということで日程をご連 絡させていただいています。あと2回もやる必要があるのかどうかもあろうかと思いま すので、また労使双方のご意見等も承って分科会長にご相談の上、また皆様になるべく 早くご連絡をさせていただくようにしたいと考えています。以上です。 (委員)  1点だけ確認ですが、いまはパブリックコメントにかけるというのが大体手続行政で なっているみたいですが、それを終えてコメントの中身によっては今日お示ししていた だいたのはあくまでも指針の案ですから、場合によっては部分的に少し修正を受けてコ メントを反映したようなものになることはあり得るということで、それは確認していい ですか。 (事務局)  はい、そういうことです。パブリックコメントですから頂戴した意見については回答 を作成して、これも公表はすることになっています。 (分科会長)  それでは、本日の雇用均等分科会はこれで終了いたします。                 <照会先>                  雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課                           企画係 (内線 7855)