01/12/19 第4回福祉部会議事録           第4回福祉部会議事録 1 日時 平成13年12月19日(水)10:00〜12:00 2 場所 厚生労働省共用第7会議室 3 出席委員:京極部会長代理、茨木委員、大山委員、岡田委員、岡部委員、        佐口委員、鈴木委員、武川委員、中村委員、村田委員   欠席委員:岩田部会長、北野委員、根本委員、長谷川委員 4 議事 (1)地域福祉計画策定指針原案作成委員会からの報告 (2)地域福祉計画策定指針原案についての議論 (3)その他   ・ 第5回部会(平成14年1月を目途に開催)では、地域福祉計画策定指針原案     作成委員会の報告書案に本日の各委員からの修文意見を反映させたものをもと     に議論を進め、部会の報告書として取りまとめること。 5 審議の概要 地域福祉計画策定指針原案作成委員会からの報告 (大山委員) ○ 原案は、大きく3つのパーツにわかれている。最初のパーツ「はじめに」は、今な ぜ計画をつくらなければならないか、そして計画策定の意義と地域福祉の理念を中心と して構成されている。第2のパーツ「地域福祉の基本目標」では、第1のパーツの理念 を踏まえて戦略レベルで基本目標を掲げている。第3のパーツ「地域福祉計画の留意点 」は、かなり技術的なものとなっている。 ○ 「はじめに」では、計画を作る意義として市町村の側では、経済的な不況が前面に 出ていて、そういう中で福祉については消費的な経費というか、力が入らないような雰 囲気があるのではないか。それから住民の側にも、行政依存的な意識が非常に強く、さ らには福祉は他人事のような意識があるのではないか。そこで今なぜ計画を作らなけれ ばならないかについて強調した。  計画の今日的な意義と策定の必要性については「はじめに」の前段で、近年の生活課 題は新聞等で言われてるような社会的な問題、多様化、複雑化という性質を帯びており 、こういう問題に対応していくのは個人の自己責任であり、あるいは行政の力だけでは 対応困難であるとし、地域社会を構成する全員がこういう問題に関心を持ち、積極的に 取り組む必要があるとしている。 ○ そのような中で、社会福祉法の理念を踏まえながら、個人の尊厳と地域社会と住民 の間のワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンというような考え方が必要である 。「一人ひとりの国民への訴え」とサブタイトルをつけているが、一人ひとりの国民が 地域に根差して、地域の特性を生かしながら地域福祉作りに参加することが重要である ことを強く訴えている。  さらに、福祉を単なる消費的経費と捉えるのではなく、地域を元気にして経済をも活 性化させるという発想の転換も必要である。そして結びでは、計画の策定は21世紀の 福祉を決定付ける重要な意義を持っていることを述べている。したがって首長、地方議 会もリーダーシップをとって取り組む必要がある。こういう今日的な意義を強調した。 ○ 地域福祉推進の理念としては、社会福祉法第3条、第4条の理念を踏まえている。 特に個人の尊厳の意味内容というのは、自己決定、自己実現ということが重要であり、 それを実現する上で、協働や社会参加ということが理念として重要だと強調した。さら に、「社会的援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会」の報告も踏 まえ、特に社会的に排除された人々へのソーシャル・インクルージョンも新たに理念と して加えた。それから部会で議論された地方分権と福祉文化の創造、さらに男女共同参 画を理念の中に含めた。 ○ このような理念を踏まえて、戦略レベルで具体的にどのように実現していくかとい うことで、6頁から「地域福祉推進の基本目標」が書いてある。この中では自助、共助 、公助を含めた「パートナーシップ型住民参加」という言葉を使っている。それから利 用者主体のサービスの実現。これは社会福祉法の理念にも強調されている。さらに総合 的サービスという点においては、生活課題が多様化、複雑化、広域化しているので、範 囲も福祉・保健・医療・その他生活関連分野において総合的なサービスを用意しなけれ ばならない。  それから、福祉と生活関連分野との連携ということで、キーワードとして「社会的起 業」という言葉を使っている。コミュニティービジネスやエコマネー等地域での取組み が行われていることもあり、仕事を通じて生きがいや健康づくり、あるいは収入を得て 年金の不足をカバーする等のメリットがあって、自己実現や予防福祉的な面があるとい うことで、ここでは「社会的起業」を強調している。 ○ 10頁から、かなりガイドライン的なものになっているが、標題は「地域福祉計画 策定の留意点」としている。この中で私が触れておきたいのは、市町村はあくまでも後 方支援的な役割、ガイド役的な役割を持つということ。それから、市町村社協の役割も 市町村と一緒にガイド役を持つということと、地域福祉計画と地域福祉活動計画、住民 活動計画を機能的に位置付けていく事が必要であるということ。さらには、NPO、コ ミュニティービジネス等様々な団体が出てくる中で、地域の特性を生かしながら社協の 使命を改めて考えていただきたい。それから、岩田部会長からのメッセージにもあった 通り、外部のコンサルタントに策定そのものを請け負わせる事は極めて不本意であると いう一文を付け加えている。策定の時期については、平成14年が助走期間となってい るので、計画策定に当たっての調査や準備に当て、有意義に使うことが望ましいと考え ている。 (岡部委員) ○ 原案作成に当たっては、次の5点を念頭において作成にあたった。1点目は、福祉 を通じて地域の活性化につながるものとして計画を位置付けること。2点目は、施策の すき間にある生活課題に積極的に対応する計画とすること。3点目は、地域住民各層の 幅広い参加を促し、利用者主体、住民主体の意見を反映した計画とすること。4点目は 、情報公開を積極的に行い、透明性のある計画づくりとすること。5点目は、計画・実 施・評価、いわゆるプラン・ドゥ・シーの考え方を徹底することである。  そういう基本的な考えをもとにして1つの理念、目標、それと留意点と計画の全体的 な構図をお示しした。 (武川委員) ○ 2点ほどコメントしたい。1点目は、地域福祉計画は従来の計画と性格が違うとい うこと。全社協の報告書の中にネクストステージという言葉が使われていたが、いくつ かの意味合いがある。1つは、90年代には地域レベルの個別計画が非常に多く作られ た時代であったが、地域福祉計画は、個別的な計画がある程度出揃った段階で総合化を 目指していくのが、1つの目標となるという気がする。  もう1つは、90年代の老人保健福祉計画は数量目標があって、言葉は悪いが「行け 行けどんどん」みたいな形で進めるような性格があったが、地域福祉計画は、質的な部 分が重要であり、民間のサポートというような点も問題になってくる。  2点目は、ガイドラインはどれくらい詳細なものであるべきか、どれくらい簡素なも のであるべきかということ。地域の自主性を尊重して簡素にする一方で、参考になるこ とをたくさん書いてあった方が便利というように矛盾する2つの要請があるので、そこ をどのように調整するかを議論していただきたい。 ○ それから総合化も要請の1つであるが、自治体によって非常に温度差があるので、 住民参加で計画を作れる自治体と、そうでない自治体をどう整理するかという議論も必 要である。 (鈴木委員) ○ 策定委員として、想定される方が読んで、一生懸命に取り組もうという気持ちにな るようにしたのが第一。できるだけやわらかく、わかりやすくするように心がけた。 地域福祉計画策定指針原案についての議論 (中村委員) ○ 福祉八法改正後、平成5年に「国民の社会福祉に関する活動への参加促進を図るた めの措置に関する基本的な指針」というものが出ており、その中で多元的な参加という ことをうたい上げているが、その考え方と多少ニュアンスが違ってきていると思う。そ こは、どのような流れになっているのか。 (地域福祉課長) ○ 中村委員の御指摘は、ボランティアの基本指針のことかと思う。当時、福祉八法改 正後、国民のボランティアへの参加を積極的に支援するため、その考え方あるいは条件 整備を行った。その後、ボランティアをする人やボランティア団体の数も相当数増え、 各種ボランティア団体の取組み、あるいは行政的に下支えするような施策も相当進んで きた。今までやってきたことが十分尽きているということではないが、第2段階として 、これらの成果を今回の地域福祉計画の中で大いに生かしていこうという考え方で整理 されているのではないかと理解している。 (京極部会長代理) ○ 福祉に関わっていた者から見ると、どこが新しくて、どこが古いのかわかりづらい 。例えば「住民等」とあるが、かつては社会福祉事業を経営する者が中心であり、住民 はあまり出てこなかった。福祉活動の推進においてもあまり参加してないということで 、その辺の地域福祉の担い手について整理される必要がある。 (岡田委員) ○ 「一人ひとりの国民への訴え」とあえて書いているので、どんな国民が読んでもわ かるようにできないかと感じた。地域福祉という言葉一つとっても、実は私達でもその 概念は未だ議論があるし、お互いの理念は共通してない。まして、インクルージョンを あえて統合、ノーマライゼーションと訳している現実のなか、ソーシャル・インクルー ジョンが出てくると、また難しくなったという印象を受ける。そういう意味で、もう少 しやさしくすることはできないのか。 (村田委員) ○ 私も全く同じ考えで、福祉文化とよく言われるが、共通のコンセンサスもない中で 概念が浮かんでくるのか。一人ひとりの国民への訴えという、住民を意識した書き方は すばらしいと思うが、もう少しこなれたものの方がいいというのが1点。それから2頁 で、「これまでの社会福祉は行政から地域住民へ上から下への給付の形をとってきたと いわれている」と他人事のような書き方がされており、違和感を覚えた。エンパワーメ ントという言葉も、他に代わる言葉が思い浮かばないが、表現の仕方があるのではない か。国民を意識した書き方なら、共通の理解ができるような書き方が望ましい。 (京極部会長代理) ○ カタカナや新しい用語の問題は、やはり括弧書きで使うとか文章上工夫をした方が いい。 (茨木委員) ○ 背景のところで、支援を要する人々が厳しい状況に置かれているということは真実 であるが、一方で、今まで福祉の利用者であった方々が自立センターのような形で担い 手になっていたり、家庭の主婦たちがNPO活動を始めたり、ボランティアの参加の多 元化という話も出たが、そういった住民が積極的に福祉に関わろうとしている状況を書 き込み、地域として統合化するために地域福祉計画が必要だと書かれていると、もっと 元気が出ると思う。 (京極部会長代理) ○ なぜ今やる必要があるかということで、社会が暗くなってきているから頑張らなく てはいけないというのではなく、様々なかつての指針も生きているし、地域で主体的に 住民が活動を始めているというプラスの面を踏まえ、統合的にそれを包括するものをつ くるという意味もあると思う。そういうポジティブなファクターを受け止める必要性を 、すこし変えたらどうかということだと思う。 (佐口委員) ○ まず表題で「一人ひとりの国民への訴え」とあり、その趣旨は良くわかるが、読者 を誰に想定しているかにずれがあるような気がする、つまり、住民も参加して策定する ので、そういう参加してつくる人も含めて読者として想定しているのか、あるいは、本 当に一人ひとりの国民まで想定して書いているのか、それとも、基本的には中心になっ て進めていく役所、例えば住民参加の雰囲気を醸成する必要があるとか、参加の仕組み を確実にしなければならないというときには、役所の担当者を想定しているように思え て、読者を誰に想定しているかわからなくなったというのが一番大きな印象。 (京極部会長代理) ○ 8頁に図があるが、地域福祉計画と既存計画の関係で、3プランを包括するのは当 然だと思う。目標も3プランの目標を盛り込むように整合性があっていいということ。 それから民間のサービス・サポートと住民参加は次元が違うので、区別したほうがいい 。つまり、上部構造は公的サービスと私的サービスで対応し、それを下支えする住民の いろんな形の参加があると思う。その参加も個人として参加する、あるいは町内会を通 じて参加する場合もある。企業市民とかNPOとか直接サービスの担い手ではないが、 そういうのは多様にあっていいのではないかと。かつては、それは社会福祉法人だけだ ったので、それでは狭い。もちろん今も社会福祉法人にはもっと参画してもらいたいと 思っているが、その辺を整理する必要がある思う。  あと、社会的起業とかエコマネーとかもわかりやすくする必要があるが、そういう新 しい芽をなるべく計画に取り込みたいという趣旨が書いてあると理解している。 (村田委員) ○ コミュニティービジネスとエコマネーについて、業を起こすこととエコマネーは違 う取り組みだと思う。コミュニティービジネスと一緒に、起業という括りに入れてしま うと誤解を招く。エコマネーというのはお金は介在しない仕組みで、あまりアバウトに 書かないほうがよい。 (佐口委員) ○ 地域福祉計画をつくる積極的な面は、言葉にすれば総合化ということ、参加という ことと、ある種の説明責任のようなものだと思う。総合化にもいろいろな内容があり、 1つは既存の計画を相互補完的に生かすこと、それから、これまで目の届かなかったす き間にも目を向けること。もう1つは、地域全体の活性化として計画を立てていくとい う意味での総合化だと思う。地域福祉計画の基本目標がどのような体系の中にあるか最 初に説明し、それぞれの柱という形で説明していただければ、わかりやすいと思う。内 容的には、地域をいかに活性化させるかということの連関も強く意識していて、大変好 ましいと考えている。 (岡田委員) ○ かねてより思っていることだが、もし、自分が支援を必要とするようになったら、 誰に訴えたらよいだろうかと不安になる。一番大切なのはソーシャルワークの仕組みが あることではないか。これからのわが国の福祉に最も重要なことは、優れたソーシャル ワークを確立することだと信じている。その点についての指摘が乏しいのではないか。 地域について考えるとき、全国各地で行われている地域生活支援活動は大いに参考にな ると思う。その実態をみる限り、地域とは一般市民が通常の生活を営んでいる一定の物 理的広がり(土地)を指すものと考えられ、そこで継続性と密着性をもって主体的に生 活している状態を地域生活と言っているように思われる。地域生活を支えるために何が 必要かと言えば、まずは優れたソーシャルワークであり、それがしっかりしていれば、 必要な社会資源や制度は必然的に生まれてくると思う。 ○ それともう1つは、福祉が経済効果を持つと言っているが、確信をまだ得てないの で、経済学から見てどの程度言えるのかを教えていただきたい。 (京極部会長代理) ○ 「社会保障構造の在り方について考える有識者会」議では、産業連関の効果、雇用 促進の効果等いろんなことが書いてあるので、政府レベルでは、もう少し経済に対して も積極的にやるという提言は出ている。ソーシャルワークについても、社会福祉法人も 地域においてはそれをやっている機関として見てもいいと思う。ソーシャルワーク自身 をどういう次元でとらえるかによって考え方がちがってくるので、この辺は作成委員会 の方からお答えをいただきたい。   (岡部委員) ○ 岡田委員のお話しについて、私もそのとおりだと思う。ソーシャルワークとは、対 人関係の技術であり、人と人、人と制度を結びつけることによって生活の課題を解決・ 緩和し、地域の中で継続性や密着性をもった生活を営める形が持てるようにすることと 考えている。そこで人が孤立した状態、あるいは課題を抱えている状態のときに声があ げられるシステムが必要になってくる。それは、要するに問題を発見したり、課題を解 決・軽減するということが計画に組み込まれていなければならない。そこで地域住民個 々の支え合う意識を醸成していくことが大切であると同時に、地域の中で支え合うシス テムをどう構築するかが重要となってくる。その中で行政がどう関わっていくのか。佐 口委員からお話があった総合性や参加、説明責任といった概念、考え方が重要であると いうことはソーシャルワークの文脈につながってくることと考えている。 (茨木委員) ○ 7頁の「エンパワーメントの援助」というのが気になった。エンパワーメントとい うのは、自分で力を持っている、どんな利用者も一人ひとり自分の人生を切り拓く力を 持つ存在と信じて、その力に働きかけていくことで、エンパワーメントは当事者がする ことなので、ここの書き方が説明不足ではないか。 ○ 8頁の図がわかりづらい。もう少し各計画と地域福祉計画の関係が明確に見えてい て、まちづくりの条例というようなものの関係も書かれていた方がわかりやすい気がし たのと、計画に住民が参加し、評価の段階まで関わっていく住民参画を図の中に書き込 んだ方がいいと思った。 (京極部会長代理) ○ 6頁の個人と団体の参加というときに具体的なイメージがわかない。11頁にやっ と住民の定義が後になって出てくるのはおかしいので、この部分は先に持っていった方 がいいと思う。 ○ あと問題提起として申し上げたいが、地域福祉計画と地域福祉活動計画の違いにつ いて、同じ市町村のエリアで片方は行政、もう片方は社協だという整理は安易ではない か。というのは、地域福祉活動計画というのは諸団体が持っていていい、むしろ行政が 応援したらいいと感じていて、それらをまとめるのが市町村社協ではないかと思う。大 規模法人も地域のためにやっている。地域福祉活動計画は、社協が取りまとめして全体 をやるのはよしとして、個々の団体が積極的に持っていただくことの方が、またそうい うふうに社協が地域に働きかけると仲間が増えるので、個々の団体はただやっていると いうのではないという感じがする。 (中村委員) ○ 現場にいる人間としては、社協の役割の部分で踏み込んでいる部分もあればそうで ない部分もあり、ジレンマが出ている感じがする。総合規制改革会議の中で社会福祉協 議会の役割の見直しも出たし、そういう部分でもう少し新しい社協の在り方を整理した 形で踏み込んでいくべきでないかと思う。事業型社協との整理、調整も必要。もう少し 組織化の推進役だとか、地域福祉を担う社協というものを出すべきである。 ○ もう1点は、社会福祉法人は非課税法人なので21世紀型の公益性を明示しましょ うということを一生懸命叫んで、我々のハードやソフトを地域福祉、予防福祉、健康づ くりの核施設として使うべくして頑張っている。そこを触れていないので、その点をぜ ひ加えてほしいと考えている。21世紀型社協として生きるも生きないも人材養成、社 協マンの養成です。 (佐口委員) ○ 岡田委員からの質問の経済効果という話ですが、ここで言ってる経済効果というの はもうちょっと広い意味なのではないかと思う。つまり、その地域の必要に応じたもの を自分たちで作り上げていこうとし、それは分け前は大きくないかもしれないが、それ をみんなでどうシェアするか考えていこうというような意味での、もうちょっと広い意 味での経済効果を考えていると理解した。 ○ 先ほどから人材の問題が出ているが、やはり私も有能な人材が活躍できるような場 が確保されることがキーだと思う。それはソーシャルワーカーでも、ケアワーカーでも そうだと思う。全体の趣旨からはややマイナーかもしれないが、キーが人材であること を考えると、優秀な人材を集めるためには不可欠な、雇用の適切な仕組みをどうやって つくりあげるかということにも配慮するような文章にすると、さらに好ましいのではな いかと考える。 (京極部会長代理) ○ この留意点のところは、かなり網羅されている気がするが、構成を計画として法律 に書いてあるわけだから、市町村だったら3つの事業、都道府県でも3つの違った次元 のことが書いてあるので、そこの目標をきちんと設定して、次にどういうプロセスでつ くるかという順序分けを整理した方が、中身は変わらなくてもわかりやすくなるという 気がする。 (武川委員) ○ 佐口委員からのご指摘で、非常にジレンマに陥ることがある。つまり、人々の生活 は総合的で全体的なので、何かを始めれば雇用でも何でも全部に関わってくる。そうい う意味で住宅にしろ雇用にしろ広げていきたいという気持ちもあるが、他方で地域福祉 計画というのは、従来の計画と違ってどういう形でつくるかということが重要である。 抽象的な言い方で住民参加、分権とか言っているが、そこを基本に据えて、どこまで扱 うべき内容を広げるかは、もしかしたら地域の判断になるのではないか。何か試案があ れば、お願いしたい。 (京極部会長代理) ○ プロセスが非常に大事だというご指摘だと思うが、社会福祉法の中で地域福祉計画 について定めがあるので、それを踏まえて肉付けするのは当然だと思う。それが入って なければ行政は認めないということもあるので、骨格は非常に大事である。しかも、こ れは賛成多数で決まった法律なので、審議会が違った方向を出したらおかしくなってし まう。市町村の場合と都道府県の場合に書かれてある問題を明確にして、今回検討され たプロセスを丁寧に書くというふうに並びかえを整理したほうがいい。 (村田委員) ○ 最初から読んできて、10頁からの「地域福祉計画策定上の留意点」のところから 、急にお役所的な文章になってしまい、トーンが違うという印象を受けた。1つの段落 の文章が長いということもあるかもしれないが、最初のような書き方にそろえた方がよ り理解が進むと思う。 (岡田委員) ○ 今日ほど考え方がばらばらになっている時代は珍しいと思う。1つの言葉が全く異 なる意味で使われている。その状況は、市町村に委ねられた場合、いっそう顕著になる のではないか。市町村において福祉サービスの対応がなされるとき、最も重要なことは 、理念だと思う。どのような人間観ないし障害観に基づいて対応すべきなのか、これを 明確に示す必要があると思う。今日、一人ひとりの障害を「医学モデル」として理解す る場合と「社会モデル」として理解する場合のいずれも重要であるが、このことを市町 村に正しく伝えるべきだと思う。特に知的障害については、市町村は今まで関わったこ とがほとんどなく、しかも、医学モデルとしてしか理解しようとしないということが強 く懸念される。だからこそ、基本概念を明確に示して頂きたい。 (茨木委員) ○ ここが網羅的に書かれているので、手順に沿って書いたほうがわかりやすいと思っ た。先ほど中村委員がおっしゃったように、既存の社会資源として施設というのは非常 に重要なファクターになると思うので、計画策定の過程のところで、そういう既存の福 祉の拠点をどう活かすかというあたりも書かれてもいいかなと思った。それとNPOに ついて書かれているが、取り方によってNPO法人のことをNPOと言う人もいれば、 市民活動全体をNPOと言ってる人もいるし、社会福祉法人や協同組合まで含めてNP Oと言ってる人もいるので、何をさしてNPOと書いているのかわかりづらい感じがし た。補足してNPO法人とか書くと誤解がないかなと思う。 (京極部会長代理) ○ 社会福祉法人については、21世紀を考えると地域福祉の担い手になってもらわな いと困るので、もう少し社会福祉法人の持てる力を活かすという点で他の一般の団体と 同じ横並びでいいのか。社会福祉法においても、第一章として特別に位置付けられてい るので、めり張りをつけてもいいのではないか。それから、農協とか生協を位置付けて いるのは非常に重要だと思う。両者とも地域について相当活動しているので、具体的に 活きてくると、今までとは違ったものが出てくるのではないかという期待感がある。 (中村委員) ○ その場合、例えば介護保険に参入している企業はどこでとらえるのか。商店街や一 般企業より、介護保険事業をしている企業の方をより地域福祉計画に入れてこないとい けないと思う。 (京極部会長代理) ○ 民間保育所などのような、企業的な努力でやっている福祉サービスも入っていいの ではないかと思う。 (武川委員) ○ 住民の中で社会事業従事者という領域があり、その中で社会福祉法人だけでなく、 民間事業者も含むという整理をしている。 (京極部会長代理) ○ 従事者とはちょっと違う気がするが、個人と団体の関係か。 (村田委員) ○ ここに出てくる「住民等」と、「地域住民」はどういう仕分けになっているのか。 (武川委員) ○ 「住民等」というのは、この部会でも企業とかを住民に入れるかどうか議論になっ たかと思うが、そういうことを踏まえてもうちょっと諸団体も含む、そういう膨らみを 持たせる意味で「等」が入っていると理解している。「住民」と「地域住民」は区別し て使っていなかったつもりなので、不整理があれば統一した方がいいという気がする。 (京極部会長代理) ○ 具体的なことで10頁に保健婦の位置付けが書いてあり、すごく期待をしているが 、実体論と期待するところの間が現実にあるのではないかと思う。非常によくやってい る保健婦の活動というのは、ぜひ地域福祉の一環として組み入れたいという趣旨はわか るが、固有名詞については、お医者さんなんかで地域医療を一生懸命やっている方々は どうなんだと。従来の福祉は、ややもすると保健医療関係者をおいて福祉だけでがんば ろうという計画が強かったので、そういう点でそこをちょっと強調するということでい いと思う。 ○ それから中村委員の発言と若干関係するが、法律上、社会福祉協議会を位置付けた にも関わらず、社協の強化計画が地域福祉計画に入るのか入らないのか。やはり地域福 祉計画が行政計画である以上、市町村社協は市町村が計画の中に強化をするのを入れる とか、都道府県社協については都道府県がきちんとした支援をする。強化計画は市町村 あるいは都道府県に任せていいと思うが、1つ項目だけでも起こしたほうがいいという 気がする。 ○ あわせてNPO等民間の活動に対する支援策というか、相談や立ち上げに協力した りするようなことは大いにやるべきと思っている。ここではたくさんのことが書いてあ って、苦情処理や情報提供はどうだろうか。介護保険の関係で私も東京都の国保連の苦 情処理委員長をやっているが、東京都は大きすぎて、区市町村のものや団体のものが入 り交じり、全体として見渡すことができないのが欠点。どこかが独占的に一手に引き受 けるというのはおかしいので、その点では苦情処理や情報機構が発達するのはいいと思 うが、地域福祉計画なり、支援計画で把握して、それぞれ が持ち場を持ってやれるよ うにすることは大事だと思っている。 (佐口委員) ○ 住民参加に関連してだが、住民参加の概念図のようなものがあって、最後ノーマラ イゼーションという形で5段階のところまである。IVとVの違いだけれども、IVはVを目 指すのだと、この策定指針はそういう志だと思う。Vというのは、何をもってVが達成さ れたと我々は評価できるのか。IVではなくVであるためにどういう実効的な施策を考え ているか教えていただきたい。 (武川委員) ○ IVとVの違いというのは、IVは要支援の方が特別な存在というか、支援すべき状態 であるということである。それに対してVの方は、対等な存在になっているということ が理念的に書かれている。単に支援すべきということではなくて、エンパワーメントな りインクルージョンによって、例えば障害を個性の1つであるというような多様的な考 え方の中で、まさに特別な存在ではなくて地域住民の一人になっているということが念 頭に置かれて作られたと思う。  (鈴木委員) ○ ノーマライゼーションのIVとVの図であるが、IVからVに行くのがこの地域福祉計画 の大きな住民参加の目的である。ノーマライゼーションとソーシャル・インクルージョ ンという言葉を入れた意義は、ノーマライゼーションという言葉はホームヘルパーの研 修等でかなり浸透しており、それをこのIVからV、つまり障害者や要支援者の方たちも 特別でなく同じ住民なんだということで、このノーマライゼーションという言葉を地域 福祉計画の理念の1つに据えている。さらに、それでは障害者や福祉に偏っているので 、ソーシャル・インクルージョンという言葉をもっと福祉より広い理念であるとして入 れてある。 ○ あと保健婦については、介護保険等でも地域の中心的になれなかったという反省も 踏まえ、健康や保健予防の視点で地域組織化活動のできる専門職として保健婦(師)を 据えたかったという思いがある。 (京極部会長代理) ○ 全体としての特徴と言えば、地域福祉計画の中に活動計画を若干入れた形で整理さ れてるような気がする。法律上書かれていることを入れた上で、それを肉付けするもの をどう用意するかという形の整理のほうがわかりやすいと思う。市町村と都道府県の計 画が違うわけで、ここでは市町村の計画で利用の促進と事業の発達のところを一緒にま とめているのは、都道府県の場合は基盤整備で一括するのだけれども、市町村の場合は 項目として分けている。それなりに意味があることなので、そういうところは若干整理 しつつ、その他に何があるかということは、大いに議論していただきたい。 (中村委員) ○ これだけ重要な計画であるが、15年度からいくのか、16年度からいくのか。そ れとも町村のスタンスに任すということなのか。それと、市町村に財政的支援を考えて おられるのか。 (地域福祉課長) ○ 法律上、15年4月が施行時期になっているが、いつまでに策定しなければならな いということは決まっていない。15年度に介護保険計画の見直しの関係もあるので、 両者の関係も考えると、15年4月施行ということを念頭に置きながら、できるだけ指 針を早く示そうと考えている。 ○ 計画の策定自体は義務化されていない。事務の性格が市町村なり都道府県の事務で あるという観点から、国費で全面的にやるようにはならないと思っている。基本的には 各自治体で工夫していただくということだと思うが、計画策定に積極的に取り組もうと する先駆的な市町村に対しては、国も応分の支援をするということで検討したいと思っ ている。 (京極部会長代理) ○ 老人福祉計画が最初つくられたときは、モデル計画に若干財政支援があった。モデ ル計画ができたら、それをならいながら各市町村も個性を生かせると思う。障害者プラ ンのように努力目標でいつまで経ってもできないということは避けて、法制上の義務で はないけれども、市町村や都道府県にとっては政策的な義務だと思うので、そういえ考 え方で進めば割と早い時期にできると思う。 (村田委員) ○ 1ページの「一人は万人のために、万人は一人のために」。これは生協活動の目標 という印象が強いが、そんなことはないのか。 (京極部会長代理) ○ 私の知識で言うと、社会主義者としてレーニンも使っているし、それから三銃士、 さらにもっとキリスト教の発想とか、語源をたどるとどこに行くのか。結構古い言葉だ と思う。 (大山委員) ○ 字句の修正、文章の並べかえや追加ということはあるかと思うが、気になった点は 、1つは村田委員がおっしゃった福祉文化。水俣市社協の方が、地域の特性を活かしな がら創意工夫してつくることを福祉文化と言うという考えを持っておられた。原案作成 委員会の方でも、コンサルタントとか上からつくられるのではなく、自分たちで汗をか いてつくることだという意味で、これを使っているということである。福祉文化という 言葉もこの部会で出てきた言葉なので、確認しておいていただきたい。それからもう1 つは、京極部会長代理がおっしゃった点で、社協の活動計画にどこまで踏み込んで言え るかというところで悩み、社協の人材問題にせよ、組織の基盤強化の問題にせよ、どこ まで踏み込んで言えるのか。あくまで行政計画を念頭にガイドラインを出すので、あえ て踏み込まなかったというようなところもあると思う。その辺もご意見を聞かせていた だきたい。 (武川委員) ○ 御意見の中で、地域福祉の概念が不明確であるとか、福祉文化というのは人によっ て違うという指摘があった。例えば「地域福祉」という言葉は、日本の社会福祉の概念 だと思う。社会福祉法の中では抽象的な書き方しかしてないが、実際にいろんなところ で地域福祉の実態がある。それを踏まえると、あまり厳格に規定しないで、むしろ現場 の地域活動の中から考えるというくらいでいいのではないかと思う。福祉文化にしても 、図表のIVとVの違いがどこにあるかと御指摘があったが、外形的には変わりはなくて 、人々の意識のレベルで決定的な違いがあるのだろうと思う。そういうところに福祉文 化が関係してくると思うが、福祉文化とは何ぞやという形で書くのがいいのかというこ とは疑問に思っていて、あっさり言ったらどうかという気もするが、その辺はいかがか 。 ○ もう1つ、インクルージョンやエンパワーメント等のカタカナが多くてわかりにく いという御指摘、御批判があった。その主張はよくわかるが、エンパワーメントのよう な考え方は日本語になかった考え方で、いきなり日本語に置き換えることができない言 葉の性格もあるので、カタカナの言葉は全部使ってはいけないということにはしない方 がいいという感じがした。 (京極部会長代理) ○ 文章上の問題については、括弧で使うとかちょっと工夫を要すると思う。全体につ いていろいろご意見が出たので、最終的には次回は修文を反映させたものをもとに議論 を進めたいと思う。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局総務課 堀  03(3595)2612(直通)