01/12/10 社会保障審議会第3回介護給付費分科会議事録          社会保障審議会 第3回介護給付費分科会議事録         1 日時及び場所   平成13年12月10日(月) 15時から18時   全国社会福祉協議会(新霞ヶ関ビル5F)会議室 2 出席委員   西尾、井形、青柳、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋)、   田中(雅)、中村、橋本、樋口、堀江、村上、矢野、山口、山崎、山本の各委員   岡委員、澄田委員は欠席 3 議題   (1)長期入院への対応について   (2)介護報酬について(介護老人福祉施設、居宅介護支援)   (3)その他 ○ 資料1(別添1除く)、資料2−1〜資料2−4に沿って、入院医療の必要性が低い 長期入院患者への対応、介護保険適用病床数が計画数を下回っている理由とそれに対す る考え方、療養病床等の患者の状況等について、外口老人保健課長より説明。 ○ 資料1(別添1)に沿って、参酌標準の基本的な考え方について、石井計画課長より 説明。 (青柳委員)  「受け入れ条件が整えば退院可能」という場合の「受け入れ条件」とは何か。受け入 れ条件に関して、国として社会的にどのような準備をしてきたか、非常に不十分ではな かったか。  療養病床が目標計画数に達しない理由については、都道府県レベルでは上手く説明で きない部分があり、二次医療圏あるいは老人保健福祉圏域ごとの整備状況を踏まえて、 理由を調査しておくべき。  重度障害者の方の医療保険の自己負担分には市町村の補助事業があるが、その方が介 護保険に移ると補助がなくなるのが現状のように思うが、その点に関して市長会、町村 会としてはどのように考えるか、お伺いしたい。 ○ 「療養型病床群の運営実態と介護保険への移行に関するアンケート調査結果」につ いて、木下委員より説明。 (喜多委員)  重度障害者の介護の市町村事業についての議論は、これまであまりなかったのではな いか。今後の問題として、医療と介護を分けて物事を考えることになればこうした問題 もあるかもしれないが、現状では、現場ではあまり問題になっていないのではないか。  介護療養型への移行が進まないのは、他の施設も含め、施設の機能分担を国民の皆さ んがよく理解できていないからではないか。介護型と医療型をことさら分ける必要がな いという意見もあることをご理解いただきたい。 (山本委員)  県と市町村が共同で重度障害者の医療に対する補助を行っているが、その方が介護に 移ったときにそのまま補助を行うことは福岡県ではないし、全国的にも町村会では聞い たことはない。 (堀江委員)  介護保険がスタートしたからといって、医療についての今までの支援制度を直ちに止 めるといった実際の行政運営はあり得ない。  患者側の事情によって社会的入院をせざるを得ない場合の具体的対応をどうするか。 基本的に社会的入院はダメということであれば、家族の立場での受け入れ条件をどう考 え、居宅介護ができない患者や家族に対して国としてどういう施策を講ずるかが重要。  介護療養病床が計画の6割しか移行していないのは市町村単位の問題ではなく、今後 は広域でニーズを把握し具体的な施策を講ずることが課題。 (中村委員)  現状として、重度で医療の必要性が高い患者が介護保険適用だったり、軽度の方が医 療保険適用だったりする。転換型老人保健施設は一つの提案と思うが、医療保険適用療 養病床と介護保険適用療養病床の機能分担を整理整頓し対応方をお願いしたい。 (橋本委員)  介護保険スタート時と今日とでお年寄りの状況は大きくは変わっていない。介護保険 適用療養病床について19万床と言っていたのに11万床しか移行していないのは、家 族やお年寄りの意思ではなく、経営者の判断によるもの。医療保険の財源を圧縮して介 護保険に持っていきたいという話と思うが、社会保障財源全体で考えれば変わらないの ではないか。  資料1について、必要のない入院はやめましょうというのは介護保険スタート時から の発想である。「介護老人福祉施設、介護老人保健施設、グループホーム等」にはホー ムヘルプサービス、デイサービス、通所リハ、訪問看護等が入っているはずである。と ころが、「参酌標準の基本的考え方」中、医療から介護への移行の受け皿としては、在 宅サービスが書いていない。在宅ケアを重視するとあれほど言っていたのに、単なるお 題目だったのか。 (矢野委員)  介護療養病床の計画達成率には、全国で20%からほぼ100%までかなりばらつきがある が、その原因とばらつきを解消する施策についての考えをお伺いしたい。 (井形委員)  施設の機能分担については、利用者の自由な選択の権利が前面に出るなかで、あまり はっきりとした定義なくして介護保険が導入されており、例えば、老健施設にはどれく らい医療行為が必要な人が入所するかということが決まっていない。施設の一元化とい う議論もあるなかで、医療と福祉の接点がどれくらいの人がどの施設に入るのがいいか を理解してもらう努力が必要。  ケアマネジャーは、3か月後、6か月後の在宅復帰を目指してケアプランをつくらな くてはいけない。在宅中心という目標通りになっていないので、介護報酬にも在宅に傾 くようなインセンティブを働かせ、全般的に在宅中心にシフトすることが必要。  転換型老人保健施設は結構であるが、青柳委員・木下委員提出資料の6ページの「退 院できない理由」は入院していなくてはならない理由であると思う。 (外口老人保健課長)  介護療養型医療施設の指定の計画達成率が低い理由とそのばらつきについて、資料2 −2によると、圏域ごとに見ても県別に見ても、かなりのばらつきがあるが、経済的理 由や区域の制限の問題といった単一の理由では説明がなかなか難しい。医療経済研究機 構の複数回答の調査では、資料2−3の「(1)介護保険制度の先行きが課題」に近いもの が8割以上、(4)から(11)までが「その他」という項目で4分の1ぐらいである。全日本 病院協会の調査でも同様の傾向であり、「(1)先行き不安」、「(3)様子を見ている」が 最も影響しており、それに加え(4)以降がそれぞれの地域の状況に応じて関連しているの ではないか。  対応としては、各施設あるいは医療と介護の機能分担等を明確にしていくなかで、各 関係のご理解を深めていただくことが大切。 (山口委員)  老健施設での特定治療を含め、介護保険施設内での医療のあり方について、時代とと もに変わっていくものであることを踏まえ、考える必要がある。  介護型ではあまり行われていない個別リハのあり方を検討する必要がある。  介護型への移行が進まない理由としては、都道府県によるベッド数の制限や、医療型 から介護型へ移ると県の単独補助の対象からはずれ、お年寄りや家族の自己負担が増え るといったこともある。  老健施設はゴールドプラン21の目標数まであと数万床の隙間があり、老健施設のベ ッド数はもっと必要である。政策誘導としての転換型老健施設については基本的に賛成 であるが、ただ単につくればいいという問題ではなく、質の担保が必要。質の担保につ いては、5年の経過措置は大事な問題であるが、何となく5年ではなく、3年ぐらいで 一つの目途をつけること等が必要ではないか。ただし、転換型老健施設については、一 般病床、医療保険適用療養病床を減らすことが目的ではないと理解している。 (京極委員)  70歳以上は老人保健制度によって上限が抑えられているため、医療の方が介護より 利用者負担が安くなっており、介護施設に入って負担が多くなるよりも病院に入ってい た方がいいという傾向がある。所得階層によってはこれが大きな要因となるので、医療 の負担上限をある程度上げて、医療と介護の負担のバランスをとるべき。 (青柳委員)  転換型の老健施設は、対応策の優先順位でいうと、3〜5番目ぐらいではないか。老 健施設の入所者のうち、40%ぐらいは医療機関から入所しており、その40%のうち 半分以上がまた医療機関に戻っている。そのようなニーズがあるのも確かであるが、患 者さんのたらい回しという面もあり、病棟単位の転換型老健施設ではそういった非常に ネガティブな動きが起きるのでないか。 (山口委員)  感染症がひどくなった場合など施設で対応できない医学的な理由で、病院に戻るケー スはやむを得ないが、本来なら在宅に帰れるのに長期間施設にいるために病院に行くと いうケースは危惧している。  「参酌標準の基本的考え方」の「グループホーム等」には、ケアハウスやその他のケ ア付き住宅が入っていると理解しているが、その整備は非常に遅れており、また、高齢 者生活福祉センターは僻地要件がかなり長期間続いたために都市部で整備が遅れている 。基盤整備には今の2倍、3倍のお金を使って、病院に戻るのではなくケア付き住宅に 帰るというケースを増やすべきであり、在宅復帰を旗印としている老健施設をはじめ、 介護保険施設にケア付き住宅を併設して、在宅復帰機能・在宅ケア支援機能をもっと持 たせるべきではないか。 (石井計画課長)  「グループホーム等」の「等」には、ケアハウスなどが入っている。  在宅サービスの参酌標準については、前回の事業計画策定時のものを資料1の4ペー ジにつけている。在宅重視の基本はいささかも揺らぐものではなく、現時点での在宅サ ービスの利用状況が支給限度額の4割程度であることを踏まえ、当面変更の必要はない のではないかと考えている。 (橋本委員)  施設は非常にコストが高い。一方、例えば、グループホームは居宅サービスに位置づ けられているため介護報酬は高くないが、利用者負担は非常に大きい。特に郡部や農村 部では自分の家があるわけであり、ケア付き住宅でなくても、自宅でサービスが受けら れればいい。  転換型老健施設については、すぐに特養に転換するには設備の差が相当あるから、ま ずは老健施設に転換するという判断と思うが、医療ニーズのない人は医療施設にいる必 要はなく、特養の方がふさわしい人もいるわけだから、全部老健施設への転換という議 論にはならない。 ○ 「介護保険施設の状況」について、山崎委員より説明。 (木下委員)  最初は療養型は全部介護保険だという話だったが、介護保険料の問題もあり医療保険 に残りなさいというキャンペーンにだんだん変わってきて、計画数をオーバーしたとこ ろは減らし、少ないところでも増やしなさいとはならなかった。一本筋の通った政策が あれば今後移行が進むのではないか。  療養型から老健施設への転換特例について、老健の療養室は8平方メートルであるが 、質を保証するために基準の広さは必要であり、5年という改善計画の期間はどうかと 考えている。機能訓練室についても、老健施設は現在リハビリに特化してきており、転 換型老健施設はリハビリの質が悪いと言われたくないので、しっかりしたものをつくる べきであり、その点はある程度考慮していただきたい。 (山本委員)  基本的なことだが、ゴールドプランは信用できない。最初のゴールドプランをつくる ときに、正確な数字を出すことは不可能だからやめろと言ったのに、当時の厚生省が強 引に出した。ゴールドプランの基礎数字を対象に議論するのは考え直すべき。  療養型を介護保険の対象とすること自体に無理がある。療養型に入院している人はも ともと病気で入院した人であり、完治したら出るべき。介護と医療の同居はやめ、療養 型の介護保険適用はやめるべき。 (喜多委員)  医療型と介護型の役割分担が明確にできていないため、国民も市町村職員もよく分か らない。医療から介護に押しつけを受けている感があり、医療と介護を分ける必要はな いのではないか。 (下村委員)  現状は医療型と介護型が混在しており、機能分化も十分行われていないが、現状が混 在しているから区別しないというのはおかしい。別に病人を介護保険に押しつけたいと は誰も言っていないわけであり、経管栄養など特別な療法を行っている人、アメリカの スキルド・ナーシングに入っている人などは、むしろ医療の方の対象である。  医療型も介護型も入院患者の4割ぐらいは在宅復帰が可能ということだから、在宅の 充実が基本である。その上で、医療の必要な人は医療保険で、介護が必要な人は介護保 険で引き受けられるような施設整備を進めるべきで、経過的な特例措置で療養型の老健 への転換を図るのは当然必要な対策であり、参酌標準もはっきり見直してほしい。施設 の不足も含め考慮すべきである。  そもそも療養型を19万床までは介護保険で引き受けるという計画で、現在の保険料 は設定されており、療養型は介護に入れたくないというのでは困る。 ○ 資料3に沿って、介護老人福祉施設、居宅介護支援の報酬体系を考える視点等につ いて、福本企画官より説明。 (田中(滋)委員)  実際の需要が供給を5%ぐらい上回ると、仮需要などで見かけ上極端な需要超過が発 生する、と経済学では経験的に言われている。介護保険では自由にサービスを選べるよ うになり、かつ、施設の方が利用者負担が少なく見えるため、極端な需要超過をインセ ンティブとしてつくっており、いわば長生きした人が施設に入れることになってしまっ ている。一方の総合規制改革会議的な自由競争も金持ちだけが入所できることになるし 、コネや紹介もアンフェアなので、要介護度などの客観的な指標をもった優先度を検討 すべき。 (中村委員)  介護保険は利用者本位であり、重度優先は原則なじまない。生活環境・介護環境は重 要であり、自己選択・人権という視点も必要で、ここはちゃんとしていかなくてはいけ ない。待機者が多いということであれば、限定的な対応は仕方がないが。  新型特養のホテルコストの低所得者対策については、もう少し精査して所得状況に応 じた収支モデル等をつくって、万全の対策をお願いしたい。そうしないと、生活視点施 設である特養に入りづらくなり、老健や療養型に流れていくおそれがある。  新型特養では施設整備の法人負担が多くなり資金調達が大変難しくなるので、社会福 祉法人の規制改革だけではなく、新しい社会福祉法人像を国として議論していただきた い。  介護保険導入の際、報酬は定員別には設定されないことが確認されており、規模別の 報酬の議論は3施設全体で進めるべきで、その役割・機能分担を踏まえて議論すべき。 (樋口委員)  介護保険導入前の議論では、要介護3以上を入所対象にするという話があり、それは それで妥当と思っていたが、それが要介護1以上となり、社会保険として平等なあり方 となった。入所基準はあくまでも要介護度であり、家族的バックグラウンドなどの社会 的要因をいれるかどうかは迷うところであるが、所得を入れることには絶対反対。  「新型特養」ではなく「個室化」とはっきり言っていただいて、個室化あってのホテ ルコストの導入であるので、4人部屋でホテルコストをとるとは言わないでいただきた い。高齢社会をよくする女性の会では、「終の棲家は個室が当然。いびき権・おなら権 は人権に属す。」と言っている。  施設入所者の約8割は女性で、一人暮らしの女性が必ずしも皆貧しいわけではないが 、年収250万円以下が過半数であり、この中から5万円のホテルコストをとれるのかどう か慎重に審議していただきたい。 (青柳委員)  50床未満と80床以上では、スケールメリットが働くために、10%以上もコスト が違うが、このまま3年間続けるのか。財源面から考えれば、やはり適切な対応が必要 。他の施設は平均ベッド数で報酬を設定しているが、特養は平均の67床を使っていな い。  社会福祉施設職員等退職手当共済制度には公費が2/3入っており、民間施設と大き な格差があるが、コスト的なメリットをどのくらい受けているのか、次回までに資料で 明確にしていただきたい。  個室の特養は必要だが、福祉圏域ごとの整備状況を見て、ウェイティングリストも多 くなっているのだから、財源的な問題がある中で両にらみで計画を立てていかなくては いけない。 (笹森委員)  痴呆の人の場合は要介護度が高いから介護が難しいとは限らないとの声もあり、要介 護度が高い人を優先して施設側の逆選択が起こってはいけないが、要介護度が高い人に は非常に高齢の人が多く、要介護度が高い人を優先する入所基準は賛成。 (京極委員)  要介護5の人から優先すると、現場の施設処遇上大混乱が起きるので、家族状況等を 総合的に判断することが福祉的な観点から必要。  50人定員を基にした現行の特養の報酬は、措置から社会保険への大変な移行を考え れば、スタート時としてはよかったと思うが、今後は、国際的に否定的な傾向にある大 規模施設が経営的なメリットのために増えることはあってはならないので、若干段階を つけて大規模施設が単価減となるのはやむを得ない。  ホテルコストについて、生活保護者の負担は住宅扶助で払える範囲なのか。低所得者 対策は、とりあえず1段階ぐらいのところで設定し、あとは自己努力でやっていただく 必要があるが、段階的な経過措置は必要かと思う。 (喜多委員)  要介護度の優先順位を重視しすぎると、家族環境が壊れてしまうこともある。  ゴールドプランで100%を超えても待機者が減らないのは、在宅と施設の給付の格差が 一つの要因であり、待機者を減らすためには、施設給付も在宅の支給限度額の範囲内に して、要介護度が軽い人には差額を少し負担していただくなどの工夫が必要。  現状は、定員50人以上のところはコストが下がり、定員が平均以下や定員30人の ところは経営が大変になっており、規模別の改定が必要。  個室化に伴うホテルコストについては、家賃は自助にあたり、払っていただくのが当 然。  「低所得者」の定義は何か。65歳以上で年金収入が200万円以上ある人で第1段階の 人がいる反面、年収50万円以下の人でも250万円の所得がある孫と同居しているために 第3段階になっているという矛盾がある。厚生労働省の生活保護マニュアルによると、 年金福祉事業団から年金を担保に融資を受けると年金は収入とみなされない。世帯と個 人が混ざり、所得の種類によって段階が変わる、第1段階〜第3段階という区分自体が 適正かどうか考えなければいけない。  ただし、一般的に言われる低所得者だからホテルコストを介護保険から出すというの は公平性に欠け、本当に払えない人以外は自己責任で払ってもらうべき。 (田中(雅)委員)  要介護度の重い人の優先入所には反対。要介護度が重い人は寝たきり状態の人が多い が、介護の困難度と一致しているわけではない。女性の就労率が高くなっているなかで 、要介護度が低くても何らかの問題行動・周辺症状がある方が家族と暮らすのは大変と いう意見もある。  かつての議論で否定された成功報酬についてもう一度考えるべきではないか。退所加 算があるが、現実には退所するケースは少なく、加算額を上げることも考えられる。  ドイツのような要介護度別の人員配置基準も検討すべきではないか。  個室化+ユニットケアだけではなく、既存の特養における多様なユニットケアも認め れば、施設サービスの質は上がるのではないか。 (見坊委員)  規模別の報酬は3施設全体での議論が当然。単に経営効率の観点から大規模施設をつ くるのではなく、地域に適正な施設が配置されるように、定員50人以下の規模で経営 できるような報酬設定をお願いしたい。  入所順位については、介護保険になって利用者サイドは大変混乱しており、要介護度 、年齢、所得、家族介護力等を施設の専門家で十分に検討して、入所順位を明らかにし てほしい。  特養のヘルパーの専門性を高めるために、その身分や資格の問題について、実態を明 らかにしながら考えていただきたい。 (木村委員)  サービスの質の向上について、オンブズパーソンの設置とオンブズパーソンの内容の 入所者・家族への説明を最低基準に義務づけ、それをしない場合の減算を設けていただ きたい。 (村上委員)  所得の問題については、以前から大きな問題であって、今までの整理は不公平であり 、再整理が必要。  利用者の選択の尊重と在宅介護重視という原則があるが、今のところ実施状況を見る と、在宅よりも施設介護に流れが行っている。介護報酬の議論の仕方としては、各論に 踏み込む前に、「利用者本位」を守りながら在宅へのインセンティブを設定するのかな ど、様々な問題を考える必要がある。原則を守るためにどうするかなどの全体的な議論 の仕方をきちんと裁いていただきたい。また、原則を守らなければならないと言いなが ら、各委員が意見を述べると原則から離れがちになり、このまま議論を重ねても、方向 性が見えてこない。 (西尾分科会長)  現在は、第1ラウンドとして個別の介護報酬の各論を一つずつ勉強し、一通り論点を 洗い出している段階であり、第2ラウンドでは、議論の方向性をまとめていく必要があ ると思っている。 (橋本委員)  特養入所の優先度は、原則として基本的に要介護3以上、妥協しても要介護2以上を 優先すべきではないか。  成功報酬に対する反対意見としては、一生懸命介護して依存度を少なくするのは介護 職の職務であり、倫理である。また、一時的には改善されても、一般的には加齢に伴っ て徐々に能力が落ちていく現実がある。  施設と居宅の負担のアンバランスの問題を是正し施設へ流れるインセンティブを避け 、また、財源の捻出という観点からも、ホテルコストについては、個室でなくても、そ の一部の徴収を適当な時期に考慮すべきではないか。  「ホテルコスト」ではなく、「居住費」などの言葉の方がお年寄りには分かりやすい と思う。 (堀江委員)  要介護度の入所基準については、当初から当事者間の契約を前提として議論を続けて きたのに、今の段階でなぜ必要なのか。むしろ、施設運営上の適正規模を考える場合に 、要介護度いくつ以上であれば経営が安定するかという別の議論をしていただきたい。  個室化の議論は必要であるが、低所得者を中心に保険料の徴収率が一番重要な関心事 であるときに、介護保険料の枠内での低所得者対策が必要となるホテルコスト論は時期 尚早ではないか。 (山崎委員)  特養の待機者は多くは本人の希望ではなく、在宅の支給限度額と施設給付のアンバラ ンスが原因であり、ホテルコストと呼ぶかは別にして、現段階で在宅と施設の給付の公 平性のための何らかの対策を考えるべき。  質の評価について、次回の認定まで延々と同じ給付を続けるのか、また、大変努力し てターミナルケアをやっている施設とそうでない施設が同じ給付でいいのか。 (木下委員)  全室個室化について、個室入所者に対するケアのあり方や人員配置が伴わないと、ハ ードにサービスがついていかないことにもなるので、その辺りの検討が必要。  低所得者の負担軽減は、介護保険全体で考えるべき。 (山本委員)  新型特養について、各市町村単位でつくるわけにはいかないので、広域的に考えて、 これくらいの要入所者がいるところにはいくつぐらい設置するというエリアを示してほ しい。  ホテルコストの単純な計算は乱暴ではないか。専門家に聞いて、もう一度検討してほ しい。  生活保護があるからいいではなく、低所得者対策を一番先に考え、具体的に決める必 要がある。  施設入所前の介護予防のためにつくった定員10人の支援ハウスは満床になっていな いので、介護予防のためには、それ以外の高齢者の健康増進対策も議論すべき。 (木村委員)  資料3の48ページについて、基幹型の在宅介護支援センターは全国に300ぐらいしか なく、ケアマネジメントリーダーの受け皿を市町村によっては地域型の在宅介護支援セ ンターにする必要がある。これらの在宅介護支援センターの機能と役割がはっきりしな いと、ケアマネジメントリーダーを養成しても機能しない。地域ケア会議についても、 市町村が主体的に運営することになっているが、どちらかというと、基幹型在宅介護支 援センターに丸投げしてしまっており、これもこのままでは機能しない。ケアマネジメ ントリーダー養成講座を市町村担当者にも受講させるべき。 (橋本委員)  居宅介護支援の報酬は他のサービスに比べて低い。在宅介護支援センターの人件費の 65%しか盛り込んでいないということは、35%は兼務してくださいということであ る。兼務が多く忙しすぎて割に合わないから辞めていく人が多いわけだから、専任でや れるような報酬にすべき。  現行の報酬は絶対安いが、ケアマネジメントの仕事と要介護認定調査やパソコン操作 による給付管理業務を分割・整理した上で、報酬を考えていくべき。  市町村からその運営を委託されている在宅介護支援センターの大部分は、居宅介護支 援事業所を併設しているが、地域全体を視野に入れてすべての高齢者と家族の生活を支 える在宅介護支援センターと、要介護等と認定された1人1人の利用者に対してケアプ ランをつくりモニタリングしていく居宅介護支援事業所の機能分担を明確にしていただ きたい。また、介護予防等の観点から地域ケアの調整を行う地域ケア会議と、サービス 利用者1人1人のためのサービス担当者会議の目的の違いも正しく理解してもらう必要 がある。 (山崎委員)  報酬のつけ方には、利用者属性のほか、ケアマネジャーの能力も関係する。  サービス種類数は1種類が50%あるが、これではケアマネジャーでなくてもできる ケアプランなので、これでも報酬をあげるのかという議論が世の中にある。  兼務だと本来業務とケアマネ業務が非常に混乱しており、給付管理業務も前回の報酬 を議論していた段階ではその実務量が分かっていなかったので、ケアマネジャーの本来 業務をはっきりさせるべき。 (福本企画官)  橋本委員及び山崎委員の資料要求については、資料4の25ページが、ケアプランに 組み込まれているサービス種類数の要介護度別の状況となっている。 (中村委員)  ケアマネジャーの3段階の報酬設定は整理し直すべき。  給付管理業務の合理化・効率化は早急に図らなければいけない。  ケアプランの初期加算や複数サービス提供加算などの労力・時間的な部分と、習熟度 の部分の加算を考えられないか。 (京極委員)  要介護度だけでなく、メニューの多さを基準とした加算を設ける必要がある。  専任の場合にご飯が食べられる単価にすべきで、報酬の全体としての底上げが必要。 (山口委員)  医療サービスと福祉サービスのミックスや、訪問、通所、短期入所のミックスはかな り煩雑であり、サービスの種類数に応じた加算を考えるべき。  複数のケアマネジャー、保健医療福祉の専門職、ケアスタッフが集まって行うケア・ カンファレンスは非常に手間がかかるため、こうしたケア・カンファレンスの加算も考 えるべき。  中山間地域や僻地では、広域圏域でサービス提供を考え、ケアプラン作成も町村を超 えての調整が必要になるが、煩雑な手間がかかるので、加算で評価すべき。  自己負担額が施設より在宅の方が大きいとどうしても施設に流れてしまうので、在宅 へのインセンティブが働くような仕組みを今度の見直しでは検討すべき。 (井形委員)  ケアマネジャーは介護保険の柱であり、今後社会的ステータスが高くなり、報酬もよ くなることを希望しているが、早急につくったこともあって格差が大きい。ケアマネジ メント学会における学問的な整理、出身母体による選択肢の格差の解消、ケアプラン作 成以外のアセスメントなどが大切。  「ケアマネ」という呼称は尊敬の念が含まれてないように思うので、「ケアマネジャ ー」ときちんと言って、ステータスを高める努力をしていただきたい。 (山本委員)  ケアマネジャーは介護保険の大変重要なポジションにあることは明らかであり、もう 少し大きな裁量権を与えるべき。 (村上委員)  ケアマネジャーの独立性、中立性、公平性が必要であるが、事業者に属していると、 所属先の利益誘導に引っぱられてしまう。しかし、ケアマネジャーは利用者本位の介護 保険をつくる柱であり、大変重要。専門的仕事としてやっていけるような報酬体系を考 えるべき。 (樋口委員)  今年の春のケアマネ殺人事件は利用者側からすると肝を凍らす事件であり、高齢者の 自立生活支援に大切な金銭管理については、成年後見制度や地域権利擁護センターが機 能していない現状を踏まえると、介護保険制度の中ではケアマネジャーが一定の位置づ けをもってやるべきではないか。 (見坊委員)  無資格のケアマネジャーの実例も聞いているが、チェックできるようになっているの か。ケアマネジャーは介護保険の要であり、質の評価やケアマネジメントリーダーの養 成研修、専門性・中立性の確保、サービス種類が1種類のケアプランの点検、担当ケー ス数の適正化、ケアマネジャーがサービス内容にきちんと意見が言える仕組みなどが必 要。  虐待や介護放棄の問題に対して、老人福祉法の措置がどのように発動されているかお 伺いしたい。 (田中(滋)委員)  ケアマネジャー本人が行うべき業務と情報システム等による補助業務の切り分けが必 要。補助者や情報システムはケアマネジャーと1:1では要らないから、何人のケアマ ネジャーがいて、それに対しどれくらいの補助業務者を割り付けると損益分岐点になる かという事業所単位の経営分析が欠かせない。  ケア・カンファレンスは質の面で最も重要であり、加算の評価が特に必要。 (矢野委員)  居宅介護支援の3段階の報酬体系は、現状をよく踏まえて、最大限6段階にするかど うか議論が必要。  サービスの質・量も必要であるが、財政の健全性の前提を常に忘れてはいけない。 (田中(雅)委員)  ケアマネジャー1人当たり利用者数が40.5件と出ているが、これは専任と兼務を平均 した数字であり、実態としては100人を超える場合や、儲からないから多数担当する場合 など様々である。  専従で月平均労働時間が200時間を超えている実態をどう考えるか。  安定的に責任あるケアプランをつくり機能的に対応するためには、包括払いの基礎部 分と出来高払いの部分を組み合わせるのがいいのではないか。  精神障害等の利用者属性による援助困難事例は、保健センターとの連携を密にするこ とで対処しているが、そうした連携を加算で評価すべきではないか。 (笹森委員)  家族介護者がいる人といない人でのケアマネジャーの労働投入時間の違いにも配慮す べき。 (外口老人保健課長)  第4回は、1月23日(水)の14時からで、議題は、介護報酬の各論として、介護療養型 医療施設、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導その他を予定してい る。 (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。  照会先 老健局 老人保健課 企画法令係      TEL 03(5253)1111 内3948