01/12/07/ 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会              (第16回)議事録                厚生労働省年金局年金課 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第16回)」                  議事次第                   日時 平成13年12月7日(金)14:00〜16:10                   於  全国都市会館 3階 第1会議室 1.開会 2.委員出席状況報告 3.議事    ・報告書(案)についての討議 4.閉会 ○袖井座長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから「女性のライフスタイルの変化等に 対応した年金の在り方に関する検討会」を開催いたします。  本日は大変お忙しいなか、そして大変お寒いなか、お集まりいただきまして誠にあり がとうございます。  それでは、事務局より委員の出席状況を報告していただきます。よろしくお願いしま す。 ○中原企画官  本日の委員の出席状況についてご報告申し上げます。本日は佐藤委員、藤野委員が所 用のため欠席されております。その他の委員は全員出席されております。以上でござい ます。 ○袖井座長  それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は前回申し上げましたとおり、検討 会の「報告書(案)」についてのご議論をお願いしたいと考えておりますので、よろし くお願いいたします。  「報告書(案)」につきましては、前回の検討会においてご議論いただいた「報告書 の骨格(案)」へのご意見を基に、起草委員会を経てまとめたものでございます。  前回の骨格(案)ではまだ埋まってないところがありましたし、その後、委員からい ろいろご意見をいただきまして、また起草委員会でいろいろ修正したりまとめたりいた しました。  それでは、前回と同様に起草委員を代表いたしまして宮武委員から「報告書(案)」 の内容についてご説明いただき、それから、ご議論をお願いしたいと思います。一応全 部宮武委員から内容についてご説明いただいて、そして議論はパートパートに分けてや らせていただきたいと思います。  それではどうぞ。 ○宮武委員  それでは私から報告いたします。  各委員から、前回の骨格(案)に対しての様々なご意見が同時多発的に殺到いたしま して、報告書はみるみる分厚くなってまいりました。それを今回も議論の時間をなるべ くとるようにということですので、10分か15分ということで説明をいたしますので、か いつまんでというよりもわしづかみで皆様にご報告するしかありません。言葉が足りな い点がありましたらお許しください。  そこで、本日配りました報告書(案)でございますが、便宜のために78、79ページを お開きいただけますか。ちょうど後ろから4枚目、3枚目になります。「6つの課題に ついての議論のまとめ」というところです。これが一番わかりやすいかと思いますので 、ここを基にして報告いたします。  目指すべき方向と基本的な3つの視点というのを報告書では挙げたわけです。本文で 申しますと14ページから15ページです。14ページに「目指すべき方向」と、その下に「 基本的な3つの視点」とございますが、目指すべき方向性について言いますと、キャッ チフレーズではありますけれども、「女性自身の貢献がみのる年金制度」、「夫一人で 築く年金から、夫婦のそれぞれで築く年金へ」という2つを挙げました。  「女性自身の貢献がみのる年金制度」というのは、ちょうど中段のところにございま すけれども、女性自身の働きとか活動だけではなく、もう少し育児や介護なども含めて 幅広い意味で「貢献」という言葉を使いました。社会保険の保険料はもともと英語で言 いますとコントリビューションになるわけで「貢献」という言葉で象徴させたわけです 。この「貢献」についてもご議論はあるかと思いますが、そういう意味で名づけたとい うことをご理解いただきたいと思います。  2つ目は、「夫一人で築く年金から夫婦のそれぞれで築く年金へ」というキャッチフ レーズです。当初の骨格案では「夫婦で築く」とありました。カップルにこだわってい るというご批判もありましたので、夫婦のそれぞれだということで、男女でということ で理解をしていただきたいと思います。  説明を長々と付けますとキャッチフレーズにならないので、こういう短い端的な言葉 であらわしていきたいと思います。それが1つでございます。  それから、基本的な3つの視点ですが、その下から書いてありますが、第1は、「個 人の多様な選択に中立的な制度の構築」、第2で「年金の『支え手』を増やしていく方 向」、第3、「女性に対する年金保障の充実」という3つは変わってはおりません。  これを基にして、まず第1点として、共働きモデルというのを念頭に置いてこの3つの 基本的な視点に沿って制度を改善していきたいという提案です。  共働き世帯については27ページをお開きください。27ページの上段でございますけれ ども、今まであった専業主婦世帯、夫が40年働き、妻はその間ずっと専業主婦であった というのはもう実態と乖離しているわけで、最も多い共働き世帯を想定をしていくけれ ども、当然ながら片働き世帯についても従来どおり提示していく。また、世帯類型の多 様化が進む中で、単身世帯を想定したモデルについても併せて検討すべきである。こう いう説明をきちんと詳細に加えております。  新しいモデルの具体像について言えばどうなるのかということですが、27ページの中 段でありますけれども、モデルとして共働き世帯等を想定する場合の給付水準は、大変 な議論になるわけで、本文の最初に書いてございますように、例えば以下の論点につい て検討を行う必要があるということで、まさに例えばということを前提に置いて、その 下に書いてありますような課題を一応挙げてみました。  次のページから、29ページですが、当然ながら、その年金水準とはどのように設定す るのかという問題が出てまいりますが、この検討会では、年金水準等についてはとても 議論の余裕はございませんでした。また年金の全体像に絡む大問題ですので、これは別 途論議をしていただきたいということでとどめております。  また、78ページに戻っていただきますと、「短時間労働者等に対する厚生年金の適用 」というのが2番目の課題でした。この厚生年金適用の拡大についても様々な論点がご ざいました。論点については34ページから37ページにわたって書いてございます。この 種の大変難しい問題はまだ残りますけれども、検討会としては拡大を図る方向で検討を していくという大方の意見が一致したという位置づけであろうかと思います。  3番目は最難問でありました3号の被保険者制度です。最終的なまとめは78ページで 3番目に書いてございます。難しい問題だけに報告書についていいますと39ページから5 3ページにわたって様々な論議をここに紹介をしております。ここの場で出た意見です けれども、細かな加筆とか修正部分は当然ながらあったわけで、これからの論議に委ね たいと思います。  そして起草委員会としては、この検討会で行った議論を基にして6つの典型化された 見直し案を提示しております。それは49ページになります。現行の制度とI案からVI案 までを示しております。直截に言いますと、II案とかIII案は、この検討会では支持者は ほとんどおられなかったと思われますけれども、一般的に言われている改善策も参考と してここに載せて、その上で広く論議をしていただきたいということです。検討会とし ては多数が一致して、これだと推せる案は見出し得なかったわけですが、決してあきら めたわけではなく、従来から言われている案も含めて、この検討会での論議も踏まえた 形で6つの案を示し、社会で広く論議をいただきたい。複数の案の長所を例えば採用す るということも今後あり得るでしょうし、あるいはこの6つの典型的なパターンではな い、もっと説得力があり、実現可能性も高い案が出てくる可能性もあります。  4番目でございますけれども、「育児期間等に係る配慮措置」です。これも論点は57 ページから62ページにかけて整理をしております。育児期間等に係る配慮措置をする場 合の対象者の範囲であるとか、具体的な内容、保険料免除の是非であるとか、詳細な論 点整理表をつけました。それは59ページから60ページにわたっての表です。これを基に して議論を進めていただきたいということです。  5番目は「離婚時の年金分割」です。67ページから70ページにかけて離婚時の年金分 割についての分割の方法、分割の割合、分割の手続、そういうことを記述しております 。69ページの上段でありますけれども、そこに書いてございますのは年金権そのものの 分割の仕組みを基本とするのが適当ではないかという形で多くの委員の意見が集約でき たのではないかと思われます。  6番目は、「遺族年金制度」であります。本文では74ページから77ページにかけて書 いてございます。74ページには若齢の遺族配偶者についても、高齢の遺族配偶者につい ても遺族年金の必要性は高いということを書いています。ただし、男女差があるのを見 直していくべきではないか、確かに共働きと片働き世帯の間では収入が同じであれば、 負担も給付も同一であるけれども、遺族年金という問題を考えると、不公平が生じてい るから、それを均衡させるという、そういうご意見を紹介もしております。これも多く の方がご指摘されたと思います。  更に次の76ページで、(2)の「自ら働いて保険料を納付したことが、できる限り給付額 に反映されるようにするという観点」の見直しが必要ではないかということです。共働 きというか、一時期働いていた方たちも含めまして、女性たちが年金制度において実際 に遺族年金を手にするときに自分自身が払い込んだ保険料が掛け捨ての形になるケース があり、その批判に応えていこうという方向をここで打ち出しております。  以上が6つの課題に対しての報告書の、本当に概要です。なお、骨格案では、この議 論のまとめのところに、こういう文言がございました。骨格案をお持ちの方は80ページ でございましたけれども、「いずれにせよ、雇用機会、雇用慣行、賃金水準、家族的責 任等で男女差のない社会が実現し、男女が等しく働くようになった場合には、第三号被 保険者制度はその役割を終えるという性格のものであると考えられ、政府・労使・個人 と社会全体において男女共同参画社会の形成に向けて、今後とも最大級の努力を傾注し ていくことが求められる」これは3号被保険者の本質的な問題を書いたつもりでありま したが、むしろ3号被保険者問題を先送りするような印象だと、そういう予想外の読み 取り方もございましたので、ここのところは削除いたしまして、今回の報告書には載っ ておりません。  なお、資料編については説明を除きます。お手元にあるかと思いますが、私どもの注 文に応じて、事務局が実に広範で詳細なデータを集めていただきました。これだけ女性 と年金問題をめぐって充実した資料はないと思います。この場をかりて御礼を申し上げ ます。  以上が、起草委員会における報告です。 ○袖井座長  ありがとうございました。短い時間で大変要領よくまとめていただきましてありがと うございます。  それでは報告書案について、前回と同様、項目ごとに区切って議論を進めていきたい と思います。まず最初はIの「はじめに」というところから、IVの「社会保障制度とし ての年金制度に係る基本的論点」まで、ページにいたしまして、1ページから24ページ までについて何かご質問、ご意見等がございましたらどうぞ。 ○住田委員  17ページの(3)でございます。どこに入れていただくかですが、とりあえずここで あればということで意見を出させていただきます。(3)の個人でみる見方と世帯でみ る見方で、実は私はこの中身で言うつもりではないのですが、現行制度では給付と負担 の関係について、片働きか共働きかにかかわらず、夫婦世帯で合計の標準報酬が同じで あれば、保険料負担は同額で、年金給付も同額となるようになっているということにな っておりました。この点についての公平性についても一応疑義を申し上げたいと思って おります。つまり片働きと共働きでは必要な家計費用の額に格差がある以上、これは帰 属所得の発生の額にも格差があるということでございます。  ということがある以上は、この保険料負担が同額で、年金給付も同額であるというこ とについては公平でないと。公平については問題があるという意見もあるということを どこかにこの趣旨を入れていただければと思います。これは家計費用の差があるという ことについては、いろいろ別の研究会でも、ある程度経済的な観点からも検討がされて 、ある程度合理性のある意見だというふうに言われておりますので、ぜひよろしくお願 いいたします。 ○高島委員  今、おっしゃられた24ページまでについて意見を言ってくださいということですね。 ○袖井座長  はい。 ○高島委員  最初に、さっき宮武さんが言われた表紙のタイトルの「夫一人で築く年金から夫婦そ れぞれで築く年金へ」と、「それぞれで」という言葉を入れてくださったのですけれど も、これはこれでいいのか。これ以上の知恵がないのかと、きのうもほかの人が、やっ ぱり「夫婦」という言葉が入っていると、世帯が中心なのかというふうに思えるという 人がいるので、最後のときまで考えてみたらどうでしょうか。  その次に、4ページなんですけれども、ここに「家族形態の変化」ということで「晩 婚化、未婚率の上昇、離婚の増加」、次が「〜老後の期間の長い女性に対する〜」とい うことになっておりまして、高齢者のみの世帯や単身高齢女性が増加しておりと、この ことはそのとおりなんですけれども、この文章をずっと読んでいくと、全部年金との関 連で説明しているわけですから、これは年金で言うとだれのことを言っているのかとい う思いがするんですよね。例えば高齢者のみの世帯といったら、片働き世帯の高齢者の 女性のことを言っている。単身高齢者というのは夫が亡くなったり離婚した人なのか、 一人暮らしでずっときた人なのか、そういうことをある程度想定しないとこういう言葉 の意味が、後ろのことと絡まって何を言いたいのかというのがいまひとつピンとこない と思いますから、もうちょっと私も考えてみますけれども、表現を考えてもらいたい。  次の5ページですけれども、(1)の「60年改正前の年金制度の問題点」というとこ ろがあります。「家計の主たる生計維持者の長期間就労を前提に、家計の主たる生計維 持者への年金で夫婦二人の老後生活をカバーするという考え方で設立されていた」とい うことだそうですけれども、老後生活をカバーするというのは何をカバーするというふ うに、このとき考えたのでしょうか。生計費全部なのか、必要生計費の中でも基礎的な 部分なのか何だったのでしょうか。少し明確にしておいた方がいいのではないかと思い ました。  それから、6ページですけれども、単身世帯、片働き世帯、共働き世帯というふうに 分けて、年金の給付のことがここに書いてあります。これは片働き世帯といったら、夫 と妻の基礎年金とか、共働き世帯、夫と妻の基礎年金というふうに書いた方がいいので はないかと思いました。ここは「夫婦」という言葉を使わないで。これはどちらでもい いようなことなんですけれども、そういう方が正確ではないかと思いました。  それから、8ページですけれども、これは言葉の問題ですけれども、段落下から2つ 目のところですが、「常用的使用関係」にあるというのは、これは「雇用関係」にある という言葉を使っていただいた方がいいと思います。 ○袖井座長  私もそれはおかしいと思ったのですけど、普通に使うんですか。事務局、説明してい ただけますか。 ○榮畑年金課長  あくまで現在の厚生年金制度というのは、雇用労働者のうちでも、常用的使用関係に ある人を対象としていると。それがだれかというのは一定の基準持ってやっておると。 雇用労働者ならだれでもということになってないということから、こういうふうな言葉 でここは割に丁寧に書かせていただいたということでございます。 ○堀委員  厚生年金保険法で「使用関係」というのを使っているのですが、それは雇用よりも広 いと。使用というのは請負とか委任とかそこまでは含みませんけれども、雇用契約、労 働契約よりも広い関係を含むと、そういう解釈で厚生年金法は「雇用」とか「労働契約 」とか使ってないんですね。 ○高島委員  そうなんですか、解りました。それから、その次「短時間労働者等に対する厚生年金 の適用」でいろいろのことを書いておりますけれども、どちらかというと、ここの表現 というのは、女性の側の就労調整とかそういうことを書かれていまして、後ろのところ にもう一遍書かれていますけれども、こういう人たちが増えてきているということは、 その人たちはそれこそ使用関係にある労働者なんですけれども、そういう人たちの割合 が2号の中で非常に増えてきてしまっているということは、年金のある意味で空洞化に なっていると。財政的にも負担になってくるという点について指摘すべきではないかと 思いました。  次の10ページのところですけれども、これは言葉を正確にしてほしいという意味で言 っています。(3)ここで、「就労していない女性を優遇しているのではないか」、そ こにずっと説明がしてありますけど、今言いましたように、短時間労働者も3号になっ ているんですよね。だから、就労してない女性と書いてしまうと、働いている人も入っ ているんですけど、3号の中に。  前回、堀先生がおっしゃられたことと、私がちょっと言ったこととかかわりますが、 そこの下の説明の(@)「片働き世帯を優遇する制度であり」と、ここに書いてあるこ とはこのとおりですけれども、多くの女性たちは、そもそも賃金そのものが世帯賃金で 男性優遇されているではないか。その優遇された形で年金給付がされていると。だから 女性の立場から言うと、賃金の報酬が少なくなって、保険料も安いかもしれませんけど 、結果として年金が低くなっていると、そういう不満がとても強いということで、それ は年金の制度ではありませんけれども、賃金の方の問題なんだけど、賃金を基本にして やっていると、そういうことになって、そのことが二重に不満として出ていますという ことを言ってほしいということなんですよね。そういう思いがあるのだと思います。  次に11ページですけど、ずっと後のところまで一貫して出てくるのですけれども、遺 族年金のところで(@)、「個人単位化の考え方を貫き、遺族年金制度は廃止すべきで ある」と、確かにこういう意見はこの会でも出ましたけど、しかし私の理解では、こん なに個人単位化で遺族年金を廃止すべきであるといった明確な意見ではなくて、将来的 には廃止すべきであるとか、大沢先生が来て補足給付というやり方もあるのではないか 。あるいは付加給付というやり方もあるのではないかという意見が出ていたように思う んですね。これだとなくしてしまえというのは何か脅しみたいに、そういう脅しがここ であったわけではないというふうに思います。  その次は12ページ、これは(4)の「女性の長い老後期間に対する保障」というとこ ろで、「例えば生活保護の適用において、65歳以上の被用者のうち約半数が高齢の単身 女性であることにみられるように〜」ということで図表も用意されておりますけれども 、これは後ろのこの2つの説明がしてあるんですけど、年金制度から見ると、この人た ちは一体どういうところに所属していた人なんでしょうか。1号であった人がこうなの か、2号の人の中の単身でずっと来た人なのか、離婚をした人なのかということをしな いと、文章の(1)と(2)というのは、サラリーマンの妻の話が書いてあるんですよね。それ とこれはつながってくるのでしょうか。最近、派遣労働で働いている人が、いま42歳だ というのでこれまでどんな働き方でやってきたのと言ったら、ずっと派遣とかアルバイ トとかパートで働いていましたといって、国民年金に入ってきた。しかし賃金が低いし 、働いていないときもあるので免除申請していると言っています。結婚もしてませんと いう、そうすると、そういう人は、老後、生活保護にいくと思うんですけれども、遺族 年金にも全然該当してこないわけですよね。ここで言う生活保護ということと、遺族年 金とか年金分割とどういう関係になるんでしょうか。私は表の中で整理をするか、どち らかで整理をしていただくとありがたいと思います。  その次は18ページですけれども、これも個人で見る見方と世帯で見る見方で、遺族年 金との関係でよく女性たちが不満を出してきているのは、かつては女性は支給開始年齢 が55歳からだった。今、60歳で順次年金支給開始年齢を65歳に引き上げていますね。そ のことはそれはそれでいいんですけれども、そうすることは、結局ずっと働いてきても 、夫との結婚年齢差が3歳か4歳あるということになると、賃金が夫の方がいいと、結 局本人自身は自分の老齢年金をもらうつもりでずっとかけてきたんだけど、その期間は 短くて、結局は遺族年金に移行していってしまうという、支給開始年齢の引き上げは遺 族年金の意味をますます重くしているという結果になっているではないかといった不満 があります。それをどうしたらいいのかというのは遺族年金の改革しかないのかもしれ ませんが、そういうふうな意見が出ている。  (4)でも、例えば「男女共同参画社会の下でも、男女がともに責任を分かち合いな がら社会に参画するための多様」な参画、これは望ましい。これは前のところの10ペー ジに指摘してありますけれども、こういう視点。これは積極面が書いてあります。しか し、これをマイナス面で見ると、世帯単位という年金制度があるために、共同参画を阻 害しているという言い方になりますよね。  それから、22ページのところで、ここら辺も、言葉として、国民年金と厚生被用者年 金と違いますので、ある部分は全部に対して共通に言えることと、ある部分は被用者年 金に言えることと、できるだけ正確に書いてほしいと思います。例えば遺族年金のこと を書く場合は国民年金の人には何の関係もありませんから、「被用者年金においては」 というふうに言葉を入れるとか、それは女性のことを書いているけれども、3号被保険 者の問題として書いている女性という意味だとか、そういうふうに年金のことを詳しく ない人が、その文章を読んだときに、できるだけ、これはだれのことを言っているのか ということが、文章がくどくなるかもしれませんけれども、できるだけ親切にするとい う意味でわかりやすく書くという努力を一貫してやってみたらいかがでしょう。  先ほど住田さんは老齢厚生年金について、公平性の観点から帰属所得のことをおっし ゃられました。ここでは、何回も片働きも共働きも老齢年金においては一緒ですよとい うことが繰り返し出てくるのですけど、そういうことを余り繰り返し書かれると、収入 が違えばどうなのとか、遺族年金を込めたら違うじゃないのというふうに逆に言いたく なってしまうぐらい出てきているという感じがするのですけど。以上です。 ○袖井座長  ありがとうございます。ほかに。 ○堀委員  最後の方のコメント、あるいは住田委員のコメントについてちょっと重要な点があり ますので、一言述べたいと思います。17ページの(3)「個人でみる見方と世帯でみる 見方」のところで言っているのは、収入が同じであれば、保険料負担が同額、年金給付 も同額と言っているわけですね。片働き世帯と共働き世帯はいろいろな面で違うのは当 たり前なんですね。帰属所得があるとか家計費が高くつく、そういう違いがあるのは当 たり前です。しかし、そういうことを持ち出すと、例えば共働き世帯は保育所を利用し ているのに、片働き世帯は利用してないじゃないか、ということも問題となる。ここで は年金制度というのか、少なくとも遺族年金は別として、老齢年金とか保険料負担では 同じだということを言っているのだと思うんですね。私はそのこと自体は正しいと思い ます。それを繰り返して言うかどうかは、また別の問題ですけれども。 ○袖井座長  どうぞ、住田委員。 ○住田委員  最後の最後まで同じことを言わなければいけないのは非常に心苦しいんですけど、今 のお話ですが、私はこの問題といいますのは、3号を考える上で共働き世帯と片働き世 帯とを比較し、片働き世帯に更に保険料を上積みするという考え方を採っても公平にき ちんとなり得ることの前提としても、この部分は欠くことができないと思います。ぜひ 、そういう意見があることを指摘しておいていただきたいということで再三申し上げて いるわけです。何か今の考え方が非常に公平で、ここを崩したら全部が崩れるというよ うな言い方を何回もされますので、この老齢年金においてすら公平性に欠けているとい う見方があるのだということはきちんとこの報告書には残しておくべきだろうというふ うに思っているからです。  今、1点だけ申し上げます。全体の関係で申し上げますと、私は今回のキャッチフレ ーズ、1つうれしいと思っておりますのは、「女性自身の貢献がみのる年金制度」の点 です。この貢献のご説明で、経済的な貢献だけではなくて、家事をするとか家庭の中で の労働力としての貢献があることを含めてご説明いただいたのは非常によかったと思っ ております。それは1つの世帯を営んでいる夫婦間においてのバランスを考える上にお いて非常に大事な視点でございます。今後年金分割を考えるときに、同一世帯の中での 分割もあり得ますが、それだけでなく認知をされている、されてなくてもいいですが、 事実上の父と母との間での子どもの養育費をめぐってのお金のやりとり、その後の生活 費の問題を解決するに際しても、育児という点で貢献したということを評価するときに 十分あり得る考え方だと思っております。  もちろん今回の報告書では、夫婦における離婚の段階についての問題ですから、そこ までは含める必要はないかと思いますけれども、そういう貢献ということをきちんとい ろんな形で、年金とかそういう財産的な支給のときに考慮するという視点を今回芽を出 す形になるのではないかというふうに考えております。 ○大島委員  今キャッチフレーズのところが問題になったんですけれども、この2つはそれはそれ で非常にいいと思うんですけれども、どちらかというと拠出の方から見たキャッチフレ ーズという気がします。もう一つ、給付の方に視点を当てて、「女性の自立を支える年 金制度」というようなものを示しますと、一生単身でも離婚しても、女性がどんな生き 方を選択しても自立が支えられる年金ということが展望できるのではないかと考えたん ですけれども、いかがでしょうか。 ○下村委員  モデルの設定を今度共働き世帯というふうにこの本に書いてありますけれども、最初 の方、皆さんちょっとおっしゃってくださったんですけれども、やはり「夫婦」という 言葉が出てくるとどうしても世帯主義のしっぽを残しているような感じがいたしますの と、それから、今言われていますように、個人単位化という方向が世論の割と盛り上が りを見せている方の言葉ですので、夫婦のそれぞれがというところからしても、それぞ れ個人的なものへの志向という意味で「個人」という言葉を使っていただければと思い ますし、共働き世帯と片働き世帯のモデルはいいのですけれども、やはり単身のモデル も何か1つや2つは要るのではないかと感じているのですけれども。 ○袖井座長  ほかにどなたかご意見ございますでしょうか。まだいろいろあるかと思いますが、一 応ざっと行ってしまった方が、時間の問題もありますので、特になければ次のパートに 移らせていただきたます。次が個別の課題でございまして、標準的ないわゆるモデル年 金の考え方と短時間労働者に対する厚生年金の適用ということで、ページにいたします と25から34ページでございます。どなたかご意見ございますでしょうか。 ○中原企画官  38ページまでです。 ○袖井座長  25から38ページ、ごめんなさい。 ○住田委員  34ページ6の「短時間労働者」の関係でございまして、ここだと恐らく(2)の適用 拡大に向けてのところに入るのではないかと思います。この「適用拡大に向けて今後議 論を重ねていくべき論点」として、「なお」書きで、第3号被保険者の見直しが必要で あるとの意見があったということですが、ここをもう少しふくらませていただきたいと 思います。  といいますのは、今後この適用拡大がされますと第3号被保険者といいますのは、就 労調整を不要する場合とか比較的高い所得の層の者に集約されていくと思われます。第 3号被保険者が高所得者世帯になっていく可能性があると思われまして、そうするとよ り第3号被保険者の関係で公平性の問題が大きくなるということを主張する意見があっ たということを具体的に入れていただければと思います。  それに合わせまして、36ページの(3)になります。1号の夫が第3号になるという問題 があります。すなわち第3号になって定額保険料負担を免れる可能性があるということ です。第3号被保険者制度がある以上、このような問題が残るとみられ、その措置につ いて検討する必要があるということを具体的に書いていただいた方がいいと思っていま す。やはり第3号は残ってしまえば、こういう矛盾というか、非常に不整合な制度にな ってしまうおそれがあるという趣旨でございます。 ○下村委員  34ページなんですけれども、所定労働時間が2分の1、65万年間収入、65万以上なら ばということは、慶應のたしか樋口先生がおっしゃったことの、そこに根拠があるのか と思うのですけれども、金額的にはまだこれの低い金額を発言しておりますので、3番 目にその場合はどうなのかということも少し書き加えていただくとありがたいのですけ れども。 ○袖井座長  すいません、具体的にどういうことですか。 ○下村委員  65万以上ならばということありますね。これは私も意見としてたしか30万くらいに設 定してはどうかという、そのときはいろいろご説明ありましたけれども、これだけでは なかったと思っています。 ○高島委員  さっき住田さんがおっしゃられましたけれども、35ページの「第1号被保険者のバラ ンス」というのは、3号被保険者で置いて、夫が2号被保険者で、奥さんの3号のこと は何も言わないのに、1号の奥さんが働きに出て2号になったら夫が1号でなくなっち ゃうのは大問題だというのは、何ともおかしな話だなと。これは3号被保険者問題を解 決しないことには、やはり論理矛盾しているのではないでしょうか。 ○堀委員  34ページの(2)のところで、駒村委員も前におっしゃったのですが、3号には高所 得者が多いのではないか、それは問題だとこういう指摘です。実は高所得者というのは 年金制度でたくさん負担しているんですね。しかも、基礎年金という形で定額の給付を 受ける。高所得者というのは、むしろ所得再分配をする側に回っていると私は思ってい ます。 ○下村委員  たくさん負担しているというふうに今おっしゃられたけど、たしか上限が62万円とい うふうに聞いていますので、それ以上は払わなくて済んでいるのではないでしょうか。 ○駒村委員  確かにたくさん負担している部分もあるかもしれませんけど、全く働かない状態の人 に再分配するのと、少し働いても労働者間個人でみての再分配というのはちょっと性格 が違うのではないかと私は思っております。高所得者の人が3号にたくさん貢献してい るということは事実だと思いますけれども、その人も若いときは安い賃金だったわけで す。これは3号の本質にも関係するところだと私も思いますけれども、基礎年金の部分 で再分配効果確かにありますけれども、それがだれに対してなのかというのはきちんと 議論する必要はあると思います。繰り返しますけれども、働いている仲間同士での再分 配と全く働かない人の再分配というのは必ずしも同じ議論ではない。それは世帯単位、 個人単位という議論ともつながってしまうかもしれません。 ○永瀬委員  このことと関連もしますのですが、前々回あたりの議事録を読んでみましたら、モデ ル年金を共働きにした場合に水準調整があり得るというようなことを2人の委員がおっ しゃっているんですね。そのことについて、いろいろ考えてみますと、要するに共働き になったときには、夫も妻も被用者という人たちが共働きモデルなわけで、片働きとい うのは妻は被用者じゃないという人たちがモデルなわけですよね。  今、日本の年金制度の下で唯一ある再分配部分というのが基礎年金でありまして、そ の基礎年金、今ですと1年の加入当たり 1,676円を追加され、その再分配を被扶養配偶 者も低賃金の労働者も高賃金の労働者も全員がそこを同じに年金として給付される。だ から低賃金の人は相対的に配分が高いし、高賃金の人は相対的に配分が低い。被扶養配 偶者は所得ゼロですから拠出はなく、一番拠出に対して給付は大きい。世帯でなく個人 で見ました場合、そういうふうな形になっているのが現在の日本の制度だと私は理解し ております。  そのときに共働きモデルとなったから、水準調整ということで、もしも拠出に対する 給付部分である報酬比例部分を下げるという、例えばそんなようなことが出てくるとす るとどうなるかというと、短時間で働く人と被扶養配偶者と再分配部分は全く同じです ので、例えば3号だった人が2号になった場合、そういう場合は再分配部分は全く変わ らなくて受けられないのに拠出のみ増える形になる。  そういう意味で被用者間の再分配という考え方を1つ考えてみる必要があるのではな いかということを、新しい共働きモデルということを考えてみた場合にあり得るのでは ないかというふうに考えます。それは例えばとても高収入の共働き同士の場合には拠出 に対して給付が少ない形になるべきでしょうし、とても低収入の場合は拠出に対して給 付が多い形になるでしょう。ただし拠出ゼロの主婦とはやはり差をつけるのが共働きモ デルなのではないかというふうに私自身は考えております。  ただ、それは非常に大きな、制度全体の話になりますので、もちろんここでどうにか こうにかできるという問題ではなくて、共働き世帯モデルというときに、短絡的に今の 制度の下での共働きモデルというのを考えるとおかしなことになると。そういうことを ここでぜひ指摘しておきたいということです。 ○堀委員  余り議論がつながるかどうかわかりませんけれども、いろんな考え方がありますので しようがないと思うのですが、片働きは一生片働き、共働きは一生共働きではなくて、 日本の大多数の女性はその両方を経験する。人生において、現在では大多数の人が3号 として過ごす。妻の厚生年金加入が平均8年だとすると32年は3号として暮らすという ことですね。人が3号から2号になったり1号になったりするところで、1号はちょっ と別かもわかりませんけれども、2つのグループに分けて得だ、損だとか、言うことは 果たして意味があるのか。私は女性の大部分は3号の期間があると思いますので、2号 と3号グループでリスクをプールできないという考えは疑問に思います。 ○駒村委員  変化に対応した柔軟な仕組みが工夫できないか。今、妻の厚生年金の加入期間は8年 かもしれませんけれども、共働きモデルをつくるという以上、これから延びるというこ とも織り込むということで、8年がどんどん長くなって、最終的には40年に近くなるか もしれない、その過渡期である。過渡期に柔軟に対応できるアイディアもないだろうか ということを考えてみていたところだと思います。堀先生がおっしゃるとおりだと思い ますけれども、そこを柔軟に対応できる仕組みも考えなければならないかと思っており ます。 ○堀岡委員  私も前回も水準の話をしたのですが、モデルという部分と給付水準という部分がどう も、ある給付水準があって、今、堀先生がおっしゃったように、奥さんが何年勤めて何 年3号でしたと、いろんな条件があって、その条件さえセットすれば、そのモデルはい つでもつくれますので、要は、今、駒村先生がおっしゃったように、将来はみんな女性 が働く、こういうことを前提に給付水準を設定すべきだと、こういうご議論なのか。今 ある年金制度の部分で片働きでも共働きでも単身でも、あるモデルをセットすれば計算 はできるんですね。その水準がいいのか悪いのかという議論をされているのか、その辺 のことがよく理解できないのですけど。 ○駒村委員  水準そのものに関するのでなくて考え方だけです。40年と設定しているわけでもない し、8年と設定するわけでもないですし、それは実態に見合って見直される。それは5 年に一度見直されていくわけですから、水準の話でなくて考え方の話だと私は思ってお ります。 ○高島委員  私もこの点について前回言いまして、29ページのところに書いていただいたんですけ れども、60年改正のときに年金のモデルを変えましたよ、従来と大きく。このときに一 番不利な扱いを受けたんだと言って怒った人たちは共働きでもない、単身の女性たちの 長く働いてきた人たちが、賃金も低い上にまたモデルが変わったために従来よりも年金 が下がってしまった。そうすると老後の生活がこれでは余計苦しくなっちゃうのではな いかという不満が非常に強かった。だからモデルを変えるときに、そういう期待してい たものが更に不利になっていく人がどこなのか、綿密な議論をして、例えばアメリカや イギリスの例ですと、例えば1人で暮らしている人と夫婦で暮らしている人では基礎の ところが50対75というふうになっているとか、2人で暮らしたって鍋2つは要らないと 、そういうふうに考えるのかどうかとか、永瀬さんが再分配のところは出した人だけで 考えるのか、いろんなことを考えてやらないと、モデルを変えることがだめだというこ とを言っているのではなくて、そのモデルを変える際に変化が起きてくるときに不利な 立場に追い込まれる人はだれなんだと。その人たちの生活実態はどうなんだということ を綿密に議論してもらいたいと。これからはまさにそういう時代に入っていると私は思 います。 ○永瀬委員  ちょっと誤解があったようですけど、私は再分配は拠出者だけでするべきだと言った わけではなくて、2人いれば少し生計費がかかるということはあり得るでしょうから、 その部分はそれなりに何らかの形で考えるということはあり得ると私は思っているんで すね。ただ、今のような全く拠出者もそうじゃない人もまるで同じということがおかし いのではないかと言っているわけで、それで被用者だけの再分配も加えてあった方がよ ろしいのではないか。  そして、私自身としては、第3号から移るためには、育児、介護期間のみに限って、 そうじゃないときはというふうに私自身は言ってはおります。ということで、全く被用 者間だけということを言っているわけではありません。 ○袖井座長  水準については「今後の検討課題」というふうに書いたんですが、どうなるかという ことは余りわからないので、多分今計算できないんでしょうね。どういう人が上がって 、どういう人が下がるとか、一応「今後の検討課題」、ちょっとずるいのですが、先送 りになっておりまして、そこまでは詳しく書けないのではないかと思っております。た だ、なるべく不利にならないようにということは言うまでもありませんので、その辺は 配慮しないといけませんが、そこの議論に入ると難しくなるかなという気がいたします 。 今のこの部分につきまして、何かもっとほかのご意見とかご提案とかありますでし ょうか。短時間労働者の方は余りご意見なかったように思いますけれども、この辺いか がでしょうか。 ○高島委員  短時間労働者のところで、年金というのは本人が入るのではなくて、事業主を通じて 入っていますので、事業主がきちんと入るようにということを言って、そのことはここ に記述してありますけど、例えばドイツの制度をこの前、見せていただくと、本当に短 い働き方については、労働者本人は払ってないけど、事業主は払っているという制度で すよね。それによって事業主は安いコストの労働力を使っているから、事業主は払って くださいよということをやっている。国会で議論になったことですが、生保で働く人が 、本人が全然知らないうちに年金に入れられていて、本人は知らないので自分は3号と 思っているから手続してなかったというような問題も出ている。この短時間労働者を入 れるときに、事業主が何らかの形で、やらなかったら、それこそ追徴か罰則をきちんと 適用する。あるいは税金の総合課税みたいに年間通して結果として調整をする制度を設 けるとか、何かそうしないと、ある産業だけがまじめにやって、ある産業とかある部門 だけがしないというのは不適切だと思いますから、これはまたここの議論ではありませ んけれども、私はそういう働き方が増えてきて、それがまた2号被保険者の負担になっ ていくということを考えるとかなり厳密なことで強くやっていただきたいと思いますね 。 ○袖井座長  ほかによろしいですか。十分な指導ではだめですか。 ○高島委員  指導では足りないと思います。 ○袖井座長  厳罰に処するとか。ほかにどなたか。よろしいですか。翁委員何かありますか。よろ しいですか。 ○翁委員  はい。 ○袖井座長  それでは次が大物がありますので、いよいよ第3号被保険者、非常にこの辺は難しい かと思いますが、「第3号被保険者」と「育児期間等」の取扱いについて、ページでは3 9から62ページでございますが、ここら辺が一番大変なところではないかと思いますの で、ぜひご意見がございましたらどうぞ言ってください。 ○高島委員  質問ですけれども、「所得の低い世帯から相対的に所得の高い片働き世帯への事実上 の補助となっているという指摘」のところに2段落目に書いてありますこの点について 、「夫婦世帯で所得をみる限りにおいては、現行の年金制度は、基礎年金を通じて所得 の高い世帯から所得の低い世帯への所得移転が行われる仕組みとなっており、指摘され ているようなことになっていない」というふうに断定してあるのですけど、「夫婦世帯 で所得をみる限りにおいて」というのは、前を受けているのだと思いますけど、所得の 高い世帯というのは片働きも共働きもという意味ですか、所得の低い世帯もそういう意 味ですか。ここで使っている「夫婦世帯」とか高いというのは一体どのくらいのレベル のことを言っているのか、もう少し明らかにしてほしいと思うんですけれども。 ○袖井座長  この辺は、私もよくわからない。堀先生どうなんですか。 ○宮武委員  一般的に応能負担ですから、その原則の下においては高い所得のところから低い所得 のところへ流れる、再分配が行われるという、そういう説明と考えていかがでしょうか 。 ○高島委員  それにしては「なっていない」と断定的に書いてありますから、これは。 ○宮武委員  とりわけ基礎年金について言えば、支払った保険料ではなくて、加入年数だけで給付 が行われているわけですから、こういう言い方して、私は矛盾感じません。原則ですね 、これは。 ○高島委員  もうちょっと丁寧に説明していただけませんか。 ○度山課長補佐  前のところでも議論になりましたけど、保険料は標準報酬に掛かっているわけですけ れども、ここは世帯の単位で考えていますから、夫婦の所得というのは、厳密に書くな らば、夫婦の標準報酬の合計ということになるかと思います。標準報酬の合計を片働き 世帯であれ、共働き世帯であれ、夫婦の合計標準報酬の高い方が結果的にはより高い保 険料を払い、受け取る基礎年金額は同じでございますので、そういう意味で合計標準報 酬の高い世帯から低い世帯への所得移転が結果的に起こっているということは、これは 疑う余地もなくそういうことになっていると考えられます。 ○高島委員  所得再分配機能ですということを言いたいわけですか。 ○永瀬委員  ここは標準報酬というところで見るとまさにこのとおりです。2号として被保険者に ならず、3号でちょっとパートで働いているとか、そういう所得も入れるとこれは成り 立っておりません。けれども、標準報酬で見ればこのとおりだと思います。それから、 あと所得というのを、例えば家庭内で生産しているいろんな家事、育児とか、そういう 豊かさも含めて所得というふうに経済学では定義しますが、そういうものを入れれば成 り立っていませんが、標準報酬で見るとこういうことは成り立っているだろう。  そしてまた、これは単身と夫婦の比較ではありません。ここは共働き夫婦と片働き夫 婦という夫婦単位での標準報酬の間の比較だというふうに私は理解しております。 ○住田委員  41ページの3(1)(1)のところに先ほどの考え方をきちんと入れていただきたいと存 じます。「現行制度は、夫婦世帯で合計の標準報酬が同じであれば、保険料負担は同額 で老齢年金の給付も同額」であるということに関して言えば、これは後記の点からする と不公平であるという意見があるということです。  そして、その次の「家事労働による帰属所得を考えれば、片働き世帯は共働き世帯よ りも保険料負担能力が高いという意見」に対しては、家事労働による帰属所得がより多 く発生し、また家事費用が減少することを考えれば、保険料負担能力は高いと、そうい う意味でございまして、帰属所得という考え方と家事費用の発生という観点、2つから 見て共働き世帯より片働き世帯の方が保険料負担能力は高いというのが私の3号の問題 を考える上においての根幹でありますので、やはりここは入れておいていただきたいと 思います。  次の52ページに入ってよろしいのでしょうか。ここは次でしょうか。 ○袖井座長  大丈夫ですね。 ○住田委員  そうですか。ほかにも響くかもしれませんが、52ページの(D)の点について一言申 し上げたいと思います。そうしますと第IV案といいますのは、私は応能負担の考え方に よるというふうに思っております。保険料負担能力がより高いということからいえば、 一定程度妻の分、第3号被保険者の分について上積みをすることは可能であるというこ となので、決して応益負担という考え方だけでなく応能負担としても十分に合理性のあ る考え方であるように思っております。  そして上積みする分は、夫の第2号の方の保険料率に整合させると考えるかどうか、 また、第3号の分を代行、一括して支払うかという論点を入れたものがIII案、IV案につ いての大きな考え方です。私は第3号の分を第2号が一括して代行して支払うというよ うな考え方を背景に第III案、第IV案であると思っております。  そうしますと、「夫」、「妻」といった方が早いので、今後夫、妻と言いますが、要 するに夫に対する保険料率ではなくして、あくまでも妻の保険料を夫が代わって支払う にすぎないものですから、事業主負担があるかどうかについてはやはり検討する必要が あるだろうと思います。そして事業主負担をしてもよいという考え方もあると思います し、それは問題であろうという考え方と、両方あり得ると思います。といいますのは、 片働きの妻を持っている夫というのは非常に良好な家事サービスを受けておりまして、 国内外の転勤をいともたやすく応じていただける可能性がより高いわけですし、ちょっ と今笑い声が出たので言いますと、私の友人たちは国内外の転勤に伴って仕事をやめて いって第3号になったわけでして、彼女たちが結局そのまま仕事に復帰できないという 現状ですが、実は彼女らの夫はかなりの高収入でございます。安定した生活でございま す。  そういう意味でいきますと、片働きの妻を持つ夫というものが、事業主にとっては非 常に有利なそういうふうな、いわば質の高い労働力という評価をすれば、私はそれなり の事業主負担というのがあってもおかしくないと思います。これを制裁と考えるのは非 常に行き過ぎた考え方でありまして、そうみる事業主があることも私は十分考えられる と思いますし、そういう事業主がいなければ事業主負担をしなくてもいい。あくまでも 夫とは別の妻独自の保険料だという考え方を私は原則とすべきであろうというふうに考 えております。  ですから、そこのところが(第D)ではすぽっと抜けてしまいまして、私の考え方と はちょっと違う考え方のように思います。夫がまとめて払うのだという考え方も確かに 1つですが、妻が妻として払うのだ、妻の分を夫が代行ないし一括して支払うのだとい う考え方をとった方が、実は第3号の妻の権利がより明確になり、自分の名で支払った ということになるのではないか、そういう考え方をここでは明記していただきたいと思 います。 ○袖井座長  この第I案とどういうふうに違うんですか、この辺。 ○住田委員  第I案は分割の考え方です。第III案、第IV案といいますのは、妻が自分の名前で支払 うということです。妻が自分の名前で支払うというときに、その原資は夫の収入からと いうことです。そして夫は婚姻費用の分担義務がございますから、妻の分を夫の……。 ○袖井座長  妻の分という考え方は、Iだと割にすっきりしますね。だけど、今のIII、IVというと 、妻の分というのはどういうふうに考えればいいわけですか。 ○住田委員  私はI案については潜在的な持ち分の具体化による賃金分割を行った上でという考え 方をおっしゃっていますね。私は賃金の持ち分から半分出すという考え方はとりあえず とらずに、要するに家庭の中で夫と妻がそれぞれに必要な婚姻費用を拠出すると。必要 な婚姻費用というのは日常家事に必要な分、それから、将来の生活費用として必要な年 金保険料、水・光熱費その他もろもろだということですので、決して潜在的な持ち分の 具体化による賃金分割が大前提だという考え方はとっておりません。  ですから私は妻の保険料負担能力があるというときに常に言っておりますのは、日常 家事、生活費の中では妻は独自の負担能力を持っている。その拠出はたまたま夫の収入 からであると。夫が支払わなかったら夫に支払えというような婚姻費用分担請求権を持 っておりますし、それは裁判所も認められるものであるというふうに考えております。 これは民法上定められた婚費の請求権に基づいた考え方です。  ですから第I案は「潜在的な持分権の具体化による賃金分割」と書いておられますの で、別にそんなことを考えなくても十分に妻は保険料を支払えますということを再三申 し上げているわけです。その支払いの金額としてどういった計算をするかというときに 、定率であっても定額であっても、年金保険料である限りにおいて、夫は妻に代わって 支払わなくてはならないと。その金額は1万円であれ、2万円、3万円であれ、私は支 払わなくてはならないと思っています。ですから、その前提としての賃金分割を必要と しないと、その限りにおいてI案と違っております。 ○堀岡委員  今のお考えの夫婦間という部分についてはよく理解できません。お話としてわかりま すけれども、それが雇用関係のない厚生年金というのは年金は労使で折半しているので すが、それは雇用関係があるという前提で折半をしているのですけれども、雇用関係の ない奥さんの部分は企業が負担しろという部分については納得はなかなかしづらいとい うふうに思います。 ○住田委員  ですから、その点については、私は事業主負担があるということは大きな議論がある と思います。基本的には負担をさせないのが筋であって、もし負担させるとすれば、そ の折半の部分、良好な労働力として企業が納得するかどうかであろうということを先ほ ど申し上げたわけです。もし負担させる場合は制裁であってはならないし、やはりそう いう質の高い労働力として第2号の方を考える場合に事業主が負担される場合もあり得 るのかもしれないということの可能性だけを申し上げたわけで、こうあるべしとは絶対 申し上げておりません。 ○堀岡委員  そのときに奥さんの部分の年金をどうして企業が徴収して納めなければいけないので すかという議論にも出てくるのではないかと思います。 ○住田委員  ですから、その点については手続上の問題として紙1枚、夫からの承認が必要だろう とは思うのです。代行納付については全く別の口座でも構わないです。便宜上、代行の 方が簡便と思います。もっとも事業主にとって技術上、手続上の問題があり、その費用 をどういうふうに負担するか、そこは合意が必要な世界だろうと思います。 ○吉武審議官  義務付けの問題が出てきますから、法律的になぜそれをお願いすることができるかと いうところがきますから通常の契約関係とかそういう問題ではないので。 ○住田委員  もちろん通常の契約関係でありません。それをどういうふうな形でやるか。代行では できない。別途収入からとりわけて支払うのだということも十分法律的にはあり得ると 思います。どちらでもいいと思います。私はIV案、III案はそういう考え方を前提にし ているということを申し上げたわけです。 ○堀委員  これは基本的には専業主婦というのですか、第3号に費用負担能力があるということ を前提にしている。しかし、その理由は潜在的持分という考え方と婚姻費用分担という 考え方を出されていますが、何か前とは意見が違っているのかという印象を受けます。  43ページの上ですか、婚姻費用分担を、負担能力がある根拠として書います。これは 私も繰り返し指摘しているのですが、片働きの場合は、夫に50万円の収入がある場合、5 0万円全体に対して保険料を掛けているわけですね。その50万円を家計に婚姻費用分担 分として出したら、それを妻が負担能力がある根拠とするというのは二重にカウントす ることになる。片や共働きで夫30万円、妻20万円を家計に出しても、それは1回しか負 担能力はカウントしないわけですね。婚姻費用分担ということで、なぜ片稼ぎの夫の所 得だけ二重にカウントするのでしょうか、そこがよくわからないですね。 ○住田委員  それで常に堀委員と違いますのは、要するに家事費用が減少し帰属所得がより多く発 生しているではないかと。ですから収入からその部分を控除した、税金の場合ですと収 入から必要経費を引いて、そして被課税所得が出てくるわけですから、そういう根拠と する数字が変わってきているのではないかということを再三にわたって申し上げている わけでございます。  この点については、III案、IV案、I案のときの、私はその趣旨で申し上げて、それほ ど自分自身内容が変わってないと思いますが、もう一度具体的にご説明した方がよろし ければ、再度時間をいただいてご説明いたしますが。 ○堀委員  帰属所得の議論と婚姻費用分担の議論は論理的に別の問題ではないかというように感 じます。それから、帰属所得ですが、これも繰り返し言っているのですが、例えば家庭 内で子どもを育てる場合に帰属所得が生じるのですね。あるいは家庭内で老人を介護す る場合も帰属所得が生じるのですね。そういう帰属所得に着目して保険料を課すとか税 金を課すというのは、世界でそんなことをしているのは私は聞いたことないですね。 ○住田委員  帰属所得がより多く発生する、よりですね、比較の問題です。それから家事費用につ いてもより多く必要としている。これは片働き世帯と共働き世帯で経済的にはっきり差 があるのではないかというふうなことを申し上げたい。  婚姻費用の負担の請求権というのは婚姻費用・家事費用について、妻は日常家事代理 権と同様のものを持っている。それは家計費用の中でプールされたものから払うことが できると。その全体としての根拠として、どういう計算根拠を持つかというときに、あ る程度夫の収入基準に依拠をせざるを得ないというような、そういう考え方です。 ○堀委員  二重にカウントする。 ○住田委員  帰属所得があり、家計費用が大きく減額されて、その部分について経済効果が発生し ているわけです。その額は様々なところで計算されており、経済学の世界に委ねたいと 思います。二重にカウントするものではありません。共働きより片働きの方がより高い 経済的効果を得ていると、その部分に着目する考え方です。 ○宮武委員  どうも難しくて整理がつかないのですが、例えば子どもがたくさんいれば、家計費が 多く必要になってきますね。様々なケースがあり得ますね。 ○住田委員  それはもちろんです。 ○宮武委員  それを共働きと片働きだけのケースで一律に判断できるのでしょうか。 ○住田委員  子どもがいるとか介護すべき対象の方がいらっしゃるということに関してはやはり帰 属所得が発生しており、支払うべき費用も免れていると思いますけど、私が着目してい ますのは、あくまで片働きの妻がそれだけ貢献をして、外に外注することによって費用 を発生させていない。実質的な家事労働による帰属所得を発生している、それを評価し ようと、そういう考え方です。 ○宮武委員  それはわからないでもないのですけれども、法律みたいに現実は割り切れるものでは なくて、何度も申し上げましたけれども、3号である人たちは、働きたくても働けない 人もいるということも頭に置いておかないと大変な間違いを犯すのではないでしょうか 。ご自身が病弱であって働けない人もいれば、子どもがたくさんおられる方、お子さん がハンディキャップを持っている親、まだありますよ。例えば夫が極めて特殊な勤務で あって、妻が留守を守らざるを得ないような仕事の方もおいでになりますね。極めて多 様なケースがあるわけですから、それを一律に切って共働きと片働きということで制度 設計することは、現実の問題として成り立つのでしょうか。 ○住田委員  結局、専業主婦をどういうふうな形で見るかという問題に、私は今のお話を聞いてい て行き着いたと思います。私としましては専業主婦がどういうものかということについ て、私自身また周囲の実感も含めて申し上げておりますのは、今までは専業主婦は主流 であったということです。しかし、これからの専業主婦がどうなるかというと、今おっ しゃられたような形で、健康の問題とか、それからどうしても働けないというようなや むにやまれない事情の方がいらっしゃるということがありますが、全体としては今後女 性が働くという世界が広がっていき、女性が働くのは当然で専業主婦は減少する方向に あると思います。その中で夫が高所得ゆえに働かないという女性が依然残り、二極分化 していくだろうといった前提で今までお話してきたつもりです。  今までは中間層がかなり専業主婦でありましたが、今後その中間層が少なくなります 。一方、健康上の理由その他の事由で働けない女性に対しては、私はある程度セーフテ ィネットをかけていくべき問題だろうというふうに思っております。  今後仕事と両立を支援する策が根付き、働くことが当たり前になってきた場合には、 すなわち、女性は家庭に入るのは当たり前だという考え方が減っていけば、そういうふ うな形で、今おっしゃった部分というのが本当に少なくなってくると思います。ですか ら3号の問題も将来的においてはなくなっていくのが当然で、その期限をなるべく明示 すべきであろうということを申し上げているわけです。 ○宮武委員  そういう意味では、私はまとめ役の立場だから余り主張しませんでしたが、私の今言 った意見もみんな含めて、それでは書き込めということになれば、際限もなくこの報告 書は膨らんでいくわけですね。  住田さんのご意見は私どもは最大限取り入れているつもりです。細かいところを言い 始めると、各委員ともみんなそれぞれご意見があって、この3倍も4倍もの報告書をつ くらなければいけない。ある程度どこかで折り合いをつけていただかないとどうにもま とめようがないという、こちらの立場もご理解ください。  それから、先ほど申されたのは、私の理解では3号については、例えば夫が妻の保険 料を代行して支払うという形にすると。その場合の事業主負担は事業主の理解があれば 、事業主が負担すればいいし、なければしなくてもいいと、そういう意味なのでしょう か。 ○住田委員  まず報告書について、私が訂正というか修正をお願いしておりますのは、例えば41ペ ージでありますと、先ほどの老齢年金の給付も同額であるけど、これは不公平だという 考え方がある意見があったということを書いていただきたいということ。これは家事労 働による帰属所得がより多く発生し家事費用が減少するということを考えればという、 その部分でございます。  それから、先ほど申し上げたのは、52ページの(D)でございますが、応能負担とい う考え方もあり得るということと、これについては事業主に負担させるという考え方に ついては検討の余地があるとか、そういうのは意見としていろいろあり得るだろうとい うことで、基本的には関係がないので、私自身は折半というよりも、どちらかというと 、妻個人の名義としての負担の方がふさわしいというふうな気がしていますので、そん なにたくさん際限なく、書いてくださいとお願いしているわけではなくて、その部分で す。 ○宮武委員  住田さんがおっしゃった「第3号被保険者に係る給付と負担の比較について」、41ペ ージについても、考え方としては堀さんが違うご意見を出されましたね。それから、今 挙げられました52ページについて言いますと、事業主負担の問題とか妻の払い方の問題 、これについては逆に言えば、事業主負担がなかったら、財政的に一体どうなるのかと いう疑問も当然ながらあります。堀岡さんの反論もありますね。  住田さんのご意見に対して、みんなが納得しているわけではなくて、真っ向から反論 される場合もあるし疑問もあるわけですから、それをどんどん書いていくと、どうにも 収拾がつかないということを申し上げているんです。 ○永瀬委員  私自身は41ページについては、住田委員の意見と実は同意見でございます。社会保険 料の世界で帰属所得を考慮して差をつけるということは私は余りよく知りませんが、税 金の世界では大変よくあることで、片働きで高い所得。 ○堀委員  ないです。 ○永瀬委員  ないですか。だってパーセンテージが違いますよね。 ○堀委員  家事、育児などの帰属所得に税金かけるなんてのはない。 ○永瀬委員  具体的に幾ら高いというのではなくて、かける率を変える。専業主婦世帯の方が率が 高いということを、それは幾ら高いというのはできないけれども、やや、高めに課すと いうのを帰属所得というふうに言えなくもないと、東京大学の神野先生が、私が参加し ております男女共同参画会議の税制影響調査のところでたしかご説明になっていました よね。榮畑年金課長が、「女性と年金」の説明にいらしたときに、私はちょうどそこに いなかったのですが、議事録で読みましたら、「帰属所得という、妻の家事負担という のをどういうふうに評価するんですか。そのやり方はあるんですか」という質問に対し て、神野先生がお答えになって、片働きの世帯とそうじゃない世帯で少し片働きの方が 負担能力があるだろうと、そういうふうに考える考え方がある。具体的に幾ら所得が発 生しているかは言えないけれども、負担に少し差をつけるという考え方もあり得なくな いと私はそういうふうに議事録で読み取ったのです。ただ、私は遅れてしまいましたの でそこにいなかったので、議事録からですね。 ○宮武委員  考え方と制度は違うわけです。 ○吉武審議官  それは1つの考え方でしょう。現行税法ではなんじゃないですか。現行税法でそうい う考え方をやっているところというのはないのではないですか。 ○榮畑課長  たまたま私の名前が出てきましたから説明いたします。そのときの議論では、まず世 界各国でそういう考え方で年金保険料取っている国があるかというご質問がございまし たから、ございませんというお話は私はお答えして、それに対しまして、神野先生でし たか、そういう考え方もあるんじゃないかという、先生のお考えとしてご披露はたしか ございましたけれど、そういうお考えのもとで、現実の税制とかそういうものが採用さ れているというようなニュアンスでのお話ではなかったように私は理解しております。 ○永瀬委員  そうですか。私はそこに参加しておりませんでしたし、税制の専門家でありませんが 、経済学な一般的な考え方として留保賃金の概念があるのです。つまり何かをしなかっ たというときには別の何かをしているに違いないと。つまり所得ゼロの奥さんがいると いうのは、それは何もしてないでそこにただ存在するのではなくて何かしているに違い ないと、一般的にそう考える経済学の考え方の論理でいくと当然の考え方なので、ああ 、そういうのがあるのかなと、そう思ったということです。もしも違ったのでしたらあ れですけれども、何もしてないということでは決してないと。それは申し訳ないですけ ど、堀先生もまさか所得ゼロの奥様が何にもしないでおうちにいらっしゃるというふう には思ってらっしゃらないと、それは思いますし、また、そうだからこそ、恐らく85年 改正のときに専業主婦分に同じだけの基礎年金をということを貢献の評価として、当時 は社会的な合意としてとてもいい考えだということで改正が通ったのではないかと私は 理解しているんです。  ですけれども、ここのところで、それから15年たつ。当時非常に支持された考え方も 、その後、15年たつと非常に時代が変わってくるわけだと、私はそういうふうに理解し ています。これから先を見通していくときに、今、50代の方々は多分そういう過ごし方 をしていらっしゃると思うのですけれども、もっと若い人、20代あるいは10代、特にそ ういう母親に育てられてかなり勉強していろいろな能力を持った人たちが今若い世代で いるわけですけど、家にいるのが一般的なスタイルではなくなっている。確かに私の世 代でも、私の友人たちのかなり多くの部分はまだ家庭におります。少しもったいないし 、本人たちも大喜びでいるというよりは、もう少し社会が変わってほしいと望んでいる のではないか。 ○袖井座長  もう少し短く話してください。 ○翁委員  52ページで、「その他の論点」のところでV案について少し書いてあるのですが、こ れが部分的な解決策にとどまるのではないかという論点があるということだけですので 、もう少し論点を書き込んだ方がいいのかなという感じがあります。私が思いますのは 、V案というのは徹底した応能負担として挙げられているわけなんですが、これは全く 妻の働き方に関係なく、3号問題と関係なく所得の大小だけで解決していこうという考 え方ですので、こういう考え方は、今の日本の大きな所得再分配政策の方向から見ると ちょっと方向が違うのかなというように思います。これは実質的な高額所得者に対する 増税と。妻の働き方にかかわらず同じ意味を持っておりますので。 ○袖井座長  これは……。 ○翁委員  V案ですね。 ○宮武委員  資料をごらんいただきますと、その1つひとつの案について内容と論点が書いてござ います。 ○榮畑課長  60ページです。 ○宮武委員  60ページですね。そこの下の部分に論点が書いてございますので、翁さんが今ご意見 があれば、そこに書き込んでいくというような形でいかがでしょうか。当然ながら、そ ういう批判があると思います。 ○翁委員  今まで10年間、所得税率をフラット化させてきているわけでございますし、所得再分 配政策というのをそういう方向で変えてきたわけですから、その意味では、私はV案と いうのは、そういう観点からの批判が十分あり得ると思います。それ自体は申すまでも なく雇用行動とかそういったことにも影響を与えますので、この本文だけで見ますとや や書き方が簡単すぎるかなというような印象を持ちましたので、あえて申し上げました 。 ○住田委員  すいません。私自身この報告書を膨大に膨らませるということを意図するものではご ざいませんので、今のVについての修正文のご提案を1つさせていただきたいと思いま す。先ほどの第IV案は「応能負担の考え方をとる現行制度体系の中で、第3号被保険者 に係る世帯単位での受益に着目した負担という考え方をとり入れるという工夫がなされ たものであるが」、これはそのまま生かしまして、しかし、これに後ろに付けたいと思 いますけど、「これは単なる応益負担ではなく応能負担と見る見方も一方にはあり」と いうことを1つ入れていただきまして、その次の3行目、「事業主にとっては従業員が 片働き〜」、ここを全部落としていただきまして、「事業主に経済的ないし手続的負担 を課すことができるか。またそれが相当かどうか」ということについての論点を入れて いただければ、よりシンプルに私の意図も含めて、しかも今後についての私自身の意見 を少し含めていただけるということでありがたいと思っております。  私自身はこの中で論点が対立することに対して全くそのとおりでございますし、今後 もこの問題が残るかと思いますが、少なくとも私自身の意見がこの中で1つ残るという ことだけは期待したいと思っております。 ○宮武委員  それは例えば第III案は定額負担なんですね、夫に対して。ですから、それは応能負 担にはならないんですね。またそこの部分変えていかなければいけない。おっしゃると おり、IV案は、そういう意味で言えば、応益の考え方を取り入れたのだけれども、手法 としては定率にしますから、要するに3号を持つ2号被保険者の中における応能負担と いう形になってたたき台のところに説明を加えてあるわけです。そこでお読み取りいた だければありがたいなと思います。例えばこの表で言いますと、50ページの表の整理の 中に第IV案は、第3被保険者に係る保険料負担を受益に着目して負担するけれども、夫 は定率で負担をする応能負担の手法をとっているということを説明はしたつもりなんで す。駒村さんも大体それで納得いただいた。 ○駒村委員  表のところにそういう表現になっていて、第IV案というのは見方によっては3号制度 がグループの中に残っていると言い方もできる。だから、確かに今副座長ご説明あった ように、受益に着目しているけれども、負担形態に関しては応能負担だということ、第I V案のこの表の中で明確に書いてあります。私はそれよりも、先ほど住田先生が少しお っしゃった片働き世帯の夫は実は良好な労働者ではないのかと思います。そういう点か ら見れば、事業主負担も正当化できる。事業主にとっては従業員が片働きか共働きかと いうのに関係ないにもかかわらずというのは、堀岡先生と住田先生の議論に関わるとこ ろで、ここの表現は残すか残さないべきか。例えば実際には同じ企業内で結婚すれば、 片一方はやめざるを得ないとか、全国転勤とか実際にプロモーション見てみれば、社長 の奥様なんかはとてもじゃないけど、奥さん働いていれば、共働きは無理なのかもしれ ないです。それなりに良好の労働者と言えるのかもしれませんけど、この辺はどうなん でしょうか。 ○高島委員  私は前回もここのところは発言したんですけれども、確かに保険料の話でこうなって くると、論点があることはわかります。しかし、現在の賃金だって生計費を主体とした 年功賃金で、それに世帯主手当や、住宅手当がある。賃金の中に片働き、共働き、男性 か女性かによって差がある。税金の話が出ましたけど、配偶者特別控除だと奥さんが働 いていますか、働いてませんかという書類を企業に出して、出した人については控除が あり、出さなかった人については該当しませんというのは控除されてないんですよね。 だから、こういう要素というのは今の企業の賃金と公的な税金との関係において行われ ている。  だから、これが妥当であるといった考え方、論点として議論した上で、それがいいん じゃないのとなれば、それはそういう仕組みとして担っていくべきものではないですか 。私はそう思いますけど。 ○住田委員  すいません、今の点に。要するに配偶者手当があるというのはそういうことを今の企 業は認めていると、そういうことだと思っております。 ○堀岡委員  前回も私申し上げたと思うんですが、男女共同参画時代大賛成で、我々企業としても 差別的な処遇というよりは成果に応じた賃金だとかそういう形になってまして、できる だけ生活給的な要素はなくしていこうと。そうなってくると個人単位化していくという ことは扶養加給だとかそういう住宅手当もなくしちゃっていいんですかと。いわゆるい ろんなワークシェアリングの発想の中でももろもろのそういう生活給的なものを一切排 除して、まさに成果に応じた仕事に応じた賃金と、こういう体系になれば、今全く同じ 賃金で、あとはご本人の成果だと、こういうことになるのですが、堀先生もおっしゃら れたように、そういう実態ではなくて、企業は、ただ、そういう方向に我々もどんどん 変えていこうという形になっていて、会社側も扶養加給もういいんじゃないですかとか 、住宅手当いいんじゃないか、これは連合さん、組合違うと思いますが、そういう流れ になりつつありますが、実際そういうことでなくて、家族単位ということが基本になっ た制度設計という部分は企業はあると思うんですね。  そういう意味で、実態がどうなのかと。堀先生がおっしゃるように、実態がどうなの かというとやっぱり家族単位が中心の生活設計になっているから、それがマジョリティ だから、社会保障もそういうものを含めて、厚生年金と国民年金はちょっと違うとは思 うんですが、厚生年金という部分については、雇用関係のある労使が折半で、そういう 家族を家庭という中心の年金水準になっていると。それがあくまでもどっちが中心かと いうと、扶養加給払ったり住宅手当払ったりする企業の方がまだ多いと。  しかし欧米的になってきて、全くそういうのなしで福祉もなし、手当も一切なし、そ れは全部給料に入っていますよという企業も出始めてはいます。そういうふうになって くるとワークシェアリングの論議も出てくるのだろうと思いますけれども、現実はそう いうふうになってきてないので、現実がそういう方向になってくれば、実態に合わせて 社会保障の部分も変えていくべきではないかと。堀先生、多分昔ご説明された部分があ ると思うのですが、そういう雇用関係だとか日本のいわゆる生活関係だとか、そういう 環境が変わってくれば、年金制度も変えていかなければいけないと思いますが、年金制 度を変えることによって男女共同参画時代が導くというのは少し違うのではないでしょ うかというのが私なんかの意見です。 ○袖井座長  何だか話がまたぐるって戻ってしまって、私も困ってしまいます。何か一部第1回目 に戻っちゃったような気がするのですが、前進させたいのですが、堀先生どうぞ。 ○堀委員  修正をお願いしたい、2点だけお願いします。43ページの上の方、婚姻費用分担を根 拠に支払い能力があるという、そういう考えがあるということは結構なんですが、それ に対する私の考えを入れてほしい。要するにそれは二重に負担能力をカウントするもの だと、そういう趣旨を入れていただきたい。  2点なんですが、46ページの一番上で、これは第3号に対する基礎年金の水準を下げ るという案です。私の報告のときにもこういう案を出したのですが、ここには問題点が 書いてないんですね。ほかのところはある意見に対して問題点も書いている。この案に 問題点がないとこれがいいのではないかと、そういうふうにとられると問題です。この 案にすると大多数の夫婦の年金水準がかなり下がるんですね。そういう問題がある。  妻が40年厚生年金加入すればいいのですが、そうでない、第3号期間がかなりあると すれば、この案では、かなりの夫婦の水準が下がるということをぜひとも入れていただ きたい。 ○永瀬委員  この点に関しては、報酬比例部分を少し率を変えて、低い人は高いような報酬比例で 、高い人は低いような報酬比例にするとか、何かちょっと工夫を入れますと必ず下がる とは限らない。むしろ3号であった人が低賃金であっても、まず働きに出ると、給付が 上がると、そういう仕組みを入れる考えもあるということを一言申し上げたいと思いま す。 ○堀委員  給付水準に響く問題でこれは大問題だと思うんですね。 ○駒村委員  1点だけ確認させてください。堀岡委員の先ほどのご説明だと、第IV案は、そういう 意味では世帯単位の意味を残しているわけですけど、ご異存ない、このアイディアは3 号は部分的に残るわけですけれども、費用調整をするという仕組み、これは問題ないと いう理解をしてよろしいのでしょうか。 ○堀岡委員  問題がないというのは何が問題ないか。 ○駒村委員  世帯単位という意味でIV案に対する評価です。 ○堀岡委員  1つの案としては、私としてはそんなに、ただ、企業負担だとかそういう部分はやっ ぱり出てくると思いますという。 ○袖井座長  駒村委員のお話ですと、事業主負担も増えるんですよね。 ○駒村委員  マクロでは増えないんですけど、個別企業では増加するところも、減少するところも あります。 ○袖井座長  個別ではね。 ○榮畑課長  先ほどの(5)の水準のところで、永瀬先生から、報酬比例部分のお話がございますが 、それは3号の人に対して報酬比例部分を付けて、そこで調整すればいいというような お話のように伺えますが、それはどういうことなのですか。 ○永瀬委員  アイディアですし、年金全体の話ですから、ここで話すことではないと思いますけれ ども、アイディアとしては、一時期3号だった人が日本では多くの場合、今では1号の パートか、3号側のパートか、2号のパートかになっているんですけど、それは大抵の 場合、非常に低賃金でしかも期間も短いものですから、報酬比例部分というのは、例え ば15年勤めても、1万ちょっと、2万そんなものなわけですね。だから、そこを少し率 を上げてあげれば、3号だった人が働きに出たときに、ああ、こんなに働いたのにこれ しか報酬比例部分がつかないということが無くなるのではないだろうかという。 ○堀委員  ほかに響くんです。 ○永瀬委員  ほかに響くからですか。3号……。 ○堀委員  3号だけではないです。 ○榮畑課長  今のお話は、この(5)は、3号の期間の水準を下げるというお話でしょうから、今の 先生のお話だと3号でない期間の報酬比例を調整せよということですから、事務方とし て整理のしようがないなという感じを受けるのですが。 ○袖井座長  永瀬さんの気持ちはわかるんですよ。働くと増えるというインセンティブをつけたい ということだろうと思うんですが、ちょっと技術的には難しいかなという。 ○榮畑課長  できないんじゃないかという気がしますが。 ○袖井座長  働くインセンティブをつくるということはたしかどこかに書いてあったと思うんです ね。ですから基礎年金をいろいろ部分的にいじるのは難しいのではないか。基礎年金全 体を上げたり下げたりということはできると思うんですが、その辺は私は無理ではない かと思うんです。  申し訳ありませんけれども、時間がどんどん押してまいりますので、とりあえず最後 の年金分割、「離婚時の年金分割」から終わりまでに行かせていただきたいのですが、6 3ページから最後まででございます。ここもいろいろ問題があるかと思いますので、よ ろしくお願いいたします。何かありますか、ご意見。 ○住田委員  よろしいですか。 ○袖井座長  どうぞ。 ○住田委員  先ほど高島委員が言われたことなんですが、74ページの3の頭に入れていただきたい と思いますが、遺族年金制度については、これを基本的に維持するということですが、 この中で、「遺族年金制度については、将来的には、年金制度において個人単位化を貫 きこれを廃止すべきであるという意見がある一方」ということで、「将来的には」とい うところを強調したいと思っておりますので。 ○袖井座長  どういう表現にしたらいいですか。 ○高島委員  廃止するか、そういう付加的なものにするか、あるいは下がった人に対しては、補足 年金を付けるとかという方法もありますよという話がここでされたと思うんですから、 廃止するかということだけだと脅しているみたいで、ここのところだけはいかにも唐突 ではないですかということです。  1つ、遺族年金のところで、75ページですけど、「生計維持認定要件について何らか の考慮を加えつつ」というところありますね。これは 850万円についてどのくらい議論 されたのか、私このときいなかったのでちゃんと議事録読まなくてすみませんが、これ はそれを裁定するとき、一回限りで後の再裁定がないということが非常に問題視されて いますよね。ですからもうちょっと書けないでしょうか。金額も 850万円というと、私 はある意味ではかなり高いのではないかという気もしているんです。そのとき、 850万 円だけど、次になったらゼロになった人もいるし、次にもっと 1,000万超える人もいる しということを考えると、在り方を検討したらどうか。  それから、遺族年金の話ですけれども、今は遺族年金に乗り換えちゃうと自分の年金 権がなくなる。これも自分のものに夫のものをプラスして夫の水準にするか、両方合わ せて4分の3とかここに書いている5分の3とか2分の1だとかという案も考えられま すよね。 ○袖井座長  これは入っていますね。 ○高島委員  もう少し書き加えてもらえないでしょうか。ここで決めるわけではありませんので。 ○袖井座長  具体的に何ページにどの辺に加えるか言っていただけますか。 ○高島委員  老齢年金のこと、どこでしたか。 ○榮畑課長  75、76です。特に今言われたことは76だと思います。 ○袖井座長  (2)ではだめですか。もう少し具体的にした方がいいですか。(2)に一応そういうこと は書いてあるんですけど。 ○高島委員  (B)のところですか、共働きと片働きと。「1/2 より大きく3/4 よりは低い水準で 」というふうな例示もありますので、両者合わせた場合……書いてあるのでしょうか、 私が今言ったことは。 850万のところは書いてない。 ○袖井座長  850 万は書いてないですね。 ○宮武委員  「生計維持要件について何らかの考慮を加えつつ」という形で問題視はしているんで すね。 ○袖井座長  書いた方がいいかもしれないですね。 ○高島委員  それで例えば、「考慮を加える」というのはどういうことを言っているのか。 ○袖井座長  それはちょっと考えましょう。 ○宮武委員  それから、さっきの遺族年金制度のあり方で、住田さん、高島さんおっしゃったのは 、「将来的には、年金制度において個人単位化を貫きこれを廃止すべきである」という ところに、個人単位化してどうするかということを書けということですか。 ○高島委員  この表現だとなくしてしまえばいいんだというような、いかにも乱暴な意見が一部の 委員から強く出たという印象になるじゃないですか。そういうことを言った人もなくし てしまえばいいのだということを言っただけではないと思います。 ○宮武委員  最近スウェーデンは随分大きな年金改革をやったので、仕組みは違いますけれども、 おっしゃっているのは、例えば夫の年金を受け継げない人に対して経過的に給付すると か、そういう意味ですか。 ○高島委員  だから、なくすということになれば、当然そういう話になりますよねというのです。 ○袖井座長  わかりました。要するに将来、将来というのはいつかわかりませんけど、ずっと長い 先にはなくなるけど、過渡期には個人単位化して、経済的に困る人に対しては何らかの 配慮をするということですね。 ○高島委員  はい。 ○袖井座長  わかりました。 ○下村委員  74ページの3の(1)ですが、「子が成長するまでの間」というのは、年齢明示という か、18歳というふうにここは受け取ってよろしいのですか。成長というのはどの段階の ことまでを言うのでしょうか。 ○宮武委員  18歳で、要するに高校を卒業するまでという形の区分けになっていますね。 ○袖井座長  よろしいですか。大島委員。 ○大島委員  78ページの「議論のまとめ」のところなんですけれども、内容よりも全般に文章が最 後のところがトーンダウンをしているように感じたんですね。文章の問題ですが、例え ば3号のところですけれども、骨子の案のときもこの文章だったと思うんですが、その 後の新聞の中に、3号制度は見送られたというふうな記事があったので、この書き方だ とそういうふうに受け取られるのかなと思います。  この検討会では具体案が幾つも考えられたわけですし、見送りと言われるよりは見直 しの方向ということで書いた方がいいのではないかと思います。例えばこの文章を生か すとしますと、2行目の「我が国年金制度の基本に関わる問題である。」の後に「しか しながら」を入れ、「男女共同参画社会の形成に向けた様々な取組みが進められている 中で、この問題についても、」の次に一番下の段の、「改革が行われていくことが必要 である。」とつなげる。そこで切って、「この報告書における議論の整理と問題提起を スタートラインとして、国民の幅広い議論が繰り広げられ合意が形成されることを期待 する。」というふうになりますと、一応見直しの方向の上で国民の議論がということに なります。この文章ですと、最初からいいか悪いかも含まれているという感じがしてし まうので。 ○袖井座長  確かに力尽きちゃっている感じがしますね。住田委員どうぞ。 ○住田委員  67ページの「離婚時の年金分割」のことなんですが、6で、今後、「専門的、技術的 な多くの論点について、十分に検討」ということで、問題点として「離婚に伴う財産の 整理は当事者間で行うべきことであり」ということが最初に書いてありますが、これは 我が国が協議離婚制度というのが大半を占める、そういう実情の中でこういう考え方が あるわけですので、今後年金分割を考えたときに何らかの形で裁判所の関与ということ を考えますと、また、こういう反論というのは異なってくることになろうかと思います ので、ですから「協議離婚が大半を占める我が国の実情」ということをどこかに加えて いただければと思います。 ○高島委員  最後のところ、「終わりに」のところですけれども、一番最後でいいのですが、ここ でいろいろ議論をしてきて、年金と女性の生活実態というんですか、負担の方も給付の 方もどういう実態になるかということをもう少し実態を把握した上での議論が必要だと 思いますので、次の年金部会で議論される場合に、できるだけそういう年金を中心にし た調査をやってほしいと思います。そういうデータを基にして、より綿密な議論をされ ることが望ましいのではないかと思いますので、「女性と年金の実態にかかわる綿密な 調査の実施」ということをここに書いてほしいと思います。 ○袖井座長  調査するかどうかは別にして、私もこの検討会始まってすぐに、女性がライフコース でどういうふうに年金を移動しているかというのがわからないかと言ったらわからない と言われちゃったので、本当はそういうのは必要だと思うんですよ。先ほど何人かの方 おっしゃっていましたけど、ずっと片働きとかずっと共働きというのは少ないんですね 。女の人、1、2、3号行ったり来たりしているので、その辺、どう浮動しているかと いうのも把握しないといけないのではないかしらと私も思っております。  そのほか、ご意見あるいはご要望とかありますでしょうか。一番最後のところあたり ももうちょっと言った方がいいというようなご意見ありましたら。どうぞ、中田委員。 ○中田委員  1点要望なんですが、報告書ができた後、恐らく外国でも興味を持たれているところ が幾つかあると思いますので、できれば報告書を英文にしていただいて、外国人に説明 できるようにしていただけたらと思います。  そういう意味で、できるだけシンプルな報告書を、個人的にはお願いしたいと思いま す。 ○宮武委員  英語に訳せないような表現が多過ぎます。 ○袖井座長  でも本当にいいご提案で、あちらの方にぜひ。全部無理かもしれませんけど、少なく とも概要版ぐらいはぜひそういうふうにしたいと望んでおります。大変いいご提案。永 瀬委員どうぞ。 ○永瀬委員  この件は、78ページの第1段落の下から2行目に「整合性をもった形で」というふう にして入ってはいるんですけれども、再度ここで確認をしたいのです。ここでされた様 々な提案というのはどういう組み合わせなのかということによって結論はかなり変わっ てくる。例えば離婚分割というのは、専業主婦であることでも年金権を保障する方向で ありますし、3号を残しながら短時間を入れていくというのは、これは何とも微妙な状 況だというところ。そして遺族年金に関しては、これは共働き、片働き両方にとって私 はいい方向だとは思うんです。ただ3号をどういうふうにするかということによって、 全体は大きい影響を受け、そしてそれが女性の就業や離職のあり方に、制度はすごく影 響を与えている。  さっきから制度は現実社会を反映しているということもありますけど、女性は制度を 見ながら選択しているという側面はどうしてもあるというのはいろんな研究で実証され ております。整合性のとれた形でぜひ提案が取り上げられることを希望しているという ことを一言申し上げたいと思いました。 ○袖井座長  住田委員。 ○住田委員  資料に1つ入れていただきたいのですが、文章に反映するとまた長くなるかと思うん ですが、我が国の女性のGEM・ジェンダー・エンパーメント測定なんですけれども、 これは先進国でほぼ最下位で今回31位にはなったわけなんですが、我が国の女性は先進 国の中で比べますと、実際に持っている能力に比して非常に社会への進出度が低い、所 得が低い。政治、経済面での進出度、活躍度が低いということが如実に出ておりますの で、資料だけでも出していただけるとありがたいと思います。  これが何を言うかといいますと、賃金と年金の低さに反映してしまっていると。そし て21世紀の我が国の最重要課題の1つが、男女共同参画社会の実現を目指すものである と。その中でこの年金問題もとらえられるという、そういう大きな枠組みの中にあるの だということをあらわすためにぜひお願いしたいと思っております。これはどのような ところで説明するときも、女性の問題を考えるにおいては、私は欠くことのできない視 点ではないかと思っております。 ○袖井座長  資料でよろしいですか、本文ではなくてよろしいですか。 ○住田委員  本文に入れていただきたいのですけど、長くなるので、また言われるかなと思って。 ○袖井座長  入れそうであれば考えましょう。 ○高島委員  今まで言わなければいけなかったことなんですけれども、モデル年金のところでもい いですし、個人単位と世帯単位のところでもいいんですけれども、年金制度ができたの は昭和16年でしたか。 ○榮畑課長  17年です。 ○高島委員  昭和17年に年金制度ができました。そして、そのときの姿はこうでしたと。それがこ ういうふうに変わってきたんですという、そもそも一番出発の姿を書いて、何年にでき て、一番最初の出発の姿はこうでしたと簡単に入りませんでしょうか。 ○袖井座長  それは大変。 ○高島委員  そして、いろいろ変わってきたんですと。それはまさに世の中反映していると思うん ですけどと。 ○宮武委員  昭和17年に労働者年金ができてから、ずっとたどるんですか。 ○高島委員  最初だけでいいです。 ○宮武委員  労働者年金というのは、今から振り返ると戦時中のインフレを防ぐために、年金保険 料の形で吸い上げたとか、いろんな問題がありまして、どういうふうに書けばいいので しょうか。 ○袖井座長  ちょっと難しい。  時間も大分過ぎてしまったのですが、何か特に加えたいという方いらっしゃいますで しょうか。かなり議論がまたもとへ戻っちゃったようで非常に大変だと思うのですが、 もしほかにご意見がございませんようでしたら、本日の検討会はここで終わらせていた だきます。  また、どうしてもという方は個別に事務局にFAXで、そう言っちゃいけないですか 、短い期間で言っていただくということも考えられるかと思います。積極的なご意見を ちょうだいいたしましてありがとうございました。  なお、以前、ご了解いただきました検討会の日程案では、正式な開催予定としては今 回が最後となっておりましたが、どうもまだまだまとめられないということで、きょう のご意見をいろいろ入れまして、起草委員の方々とまたこの後で会合いたしまして、修 正して、再度皆さんにお諮りした上でまとめたいというふうに考えております。予備日 としていただいております12日14日の14時からもう一度検討会を開催させていただきま すので、よろしくお願いいたします。ご異議はありませんでしょうか。  それでは、本日ちょうだいいたしましたご意見を基に、また起草委員会の皆さんには 大変ご苦労をおかけいたしますが、これからこの後ですが、報告書を修正いたしまして 、次回検討会にお諮りし、何とか報告書に取りまとめまでこぎつけたいと考えておりま す。よろしくお願いいたします。  次回の検討会日程について、事務局からよろしくお願いいたします。 ○中原企画官  ただいまお話がありましたとおり、12月14日(金曜日)午後2時から、場所は今回と 同じく全国都市会館でございます。会議室は変わります。第2会議室の方でございます 。別途開催のご案内を申し上げますので、よろしくお願いをいたします。 ○永瀬委員  1つだけ申し上げておきたいのですが。 ○袖井座長  はい。 ○永瀬委員  実は次回もしかしたら出られないかもしれませんので、資料2の67ページに私の「保 育費用の助成」というので、『年金改革には育児支援の視点を』というので、私のを載 せておいてくださってますけれども、その中に「自宅保育をする世帯に対しては、保育 費用の半額くらいにあたる子ども手当を支給する」というような案が出ておりますが、 これは98年に書いた論文で、この当時は大変いいと思っていたんです。今でも保育費用 の助成というのはぜひしてほしいと思います。多様な保育園へですね。ですけど自宅に いる人にお金を出すという効果はどうなのかということについて、フランスで第2子か ら実施した95年以降の変化についての論文が出てまいりまして、比較的女性の離職を促 進するという悪い効果もいろいろとあるということが出てまいりましたので、そういう 留保もあるのだということを一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。申し訳 ありませんが。 ○袖井座長  そうすると削除しますか。残しておいてもいいですか。 ○永瀬委員  この一部分は削除していただいてよろしいです。ここの「一方」以下ですね。 ○袖井座長  わかりました。  本日は長い間、どうもありがとうございました。検討会はこれで終了いたします。                                      以上                       (照会先)                         厚生労働省年金局年金課                          課長補佐     度山                          企画法令第3係長 三浦                           電話03-5253-1111(内3335)                             03-3595-2864(夜間)