01/12/06 第2回 医薬品・医療用具等対策部会議事録            第2回 医薬品・医療用具等対策部会                      日時 平成13年12月6日 (木)                         10:00〜12:10                      場所 厚生労働省(17F) 専用第18会議室 〇桜井部会長  おはようございます。お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございま す。前回8月8日に第1回目を開きまして、きょうは第2回目ということで、よろしく お願いいたします。  お手元に配付の資料があると思いますが、事務局から確認をお願いいたします。 〇事務局  資料の4枚目にございます配付資料一覧に従いまして、お手元の資料の確認をさせて いただきます。  まず資料2−1は、医療安全対策検討会議資料。1ページ目で申し上げれば「第3回 医療安全対策検討会議議事次第」というものでございます。  その次に、「安全な医療を提供するための10の要点」というカラー刷りのパンフレ ットでございます。  資料2−2は、医療安全推進週間について  資料2−3は、医薬品・医療用具に関する医療安全対策への取り組み状況について  資料2−4−(1)は、平成13年10月18日付の通知の写し  資料2−4−(2)は、医薬品・医療用具・諸物品等情報の分析について  資料2−4−(3)は、インシデント事例の収集・分析について  資料2−5−(1)は、医薬品・医療用具等対策部会における議論の進め方(案)  資料2−5−(2)は、医薬品・医療用具等対策部会の今後の進め方に関する主な意見  本部会の参考資料2−1として、前回第1回の部会の議事録をつけております。  参考資料として、本日、土屋委員から御提出いただきました資料も併せて配付いたし ております。  以上の配付資料のうち、最後の参考資料2−1の議事録に関しましては、事前に委員 の方がたに御確認いただいております。そのうえで今後、厚生労働省のホームページに 掲載したいと考えておりますので、その旨、御了承いただきたいと思います。  以上でございます。 〇桜井部会長  議事次第には1から6までございまして、1と2は報告事項という感じでございます。 たぶん4と5あたりが本日いろいろ御議論いただきたいところかと思いますが、では最 初に議題の1と2を併せて事務局から説明していただけますか。 〇事務局  では、議題1、2に関して説明いたします。資料2−1と2−2の二つの資料に基づ いて説明申し上げます。  議題1の「医療安全対策会議の報告」は、資料2−1を御覧いただきたいと思います。  前回、8月に本部会を行いました後、医療安全対策検討会議第3回から第6回まで4 回行われておりまして、そのうち第3回から5回までの関連の資料を抜粋したものが資 料2−1でございます。  1ページは、第3回医療安全対策検討会議ということで9月11日に行われております。 議事はそこに示してありますとおり1から5までございまして、その中でヒューマンエ ラー部会の報告ということで、「安全な医療を提供するための10の要点」についてとい う議題をおはかりしているところでございます。これに関しましては、2ページにヒュ ーマンエラー部会からの報告書ということで資料をつけております。  この10の要点というのは、4ページに、「患者安全のための標語検討会」というも のをヒューマンエラー部会のもとに置きまして、ここに記しました先生方によりまして 標語の検討を行ったものでございます。  3ページに、検討いただきました「10の要点」を挙げております。(1)から始まりま して(10)まで、合計10個の要点を整理しております。その詳細は6ページ以降に詳しい解 説とともに資料をつけておりますので、後ほど御覧いただきたいと思います。  この第3回医療安全対策検討会議においては、「10の要点」のほか、26ページの 「第1回医薬品・医療用具等対策部会について」という資料をもちまして当部会の報告 をさせていただいているところでございます。  そのほか、この日の会議では、川村先生及び堺先生によりますプレゼンテーションも ございまして、そういった議題を検討されたということでございます。  29ページは「平成14年度概算要求の概要」ということで、厚生労働省が平成14年度に 向けて要求しております予算の概略を御説明申し上げております。  以上が第3回の検討会議の報告でございますが、引き続き第4回の報告に移ります。 同じ資料の30ページにございます。  第4回は10月4日に行っておりまして、「IT技術の応用による医療安全対策の推進 について」ということで、外部から先生をお呼びしましてプレゼンテーションをしてい ただき、ディスカッションを行ったということでございます。  35ページ、第5回の検討会議は10月31日に行っておりまして、この日の議題は「医療 安全対策を推進するために効果的な医療従事者の教育及び研修について」ということで、 4名の先生をお呼びしましてプレゼンテーションを行い、ディスカッションを行ってい るということでございます。  以上が、前回の部会以降行われました医療安全対策検討会議の報告でございます。  引き続きまして議題2「医療安全推進週間について」を御報告申し上げます。資料2 −2を御覧いただきたいと思います。  医療安全推進週間というのは、1ページの冒頭に書いてありますとおり、患者の安全 を確保するために、医療機関等における組織的な取組を推進するという観点で行うもの で、本年は11月25日から12月1日までの1週間を定めてございます。本医療安全推進週 間は、幅広い医療関係者の参画のもと、広く医療機関等へ情報を発信しまして、医療の 安全文化を根づかせることを狙いとしているものでございます。  具体的に申し上げれば、四角の中に書いておりますようなことを実際に行いました。 まず、医療安全に関するシンポジウムを11月25日に行っております。医療安全対策に関 するワークショップを11月27日に行っております。第6回の医療安全対策検討会議を兼 ねましたシンポジウムを、大阪において11月30日に行っております。それぞれのプログ ラムの詳細は2ページ以降に示してございますが、後ほど御覧いただければと思います。  以上でございます。 〇桜井部会長  ありがとうございました。以上、御報告をいただきましたが、何か御質問なり御意見 なりございますでしょうか……。日本人は標語が好きなものですから、「うるささに着 メロまでが憎くなり」などというのを地下鉄のマナー標語でやっていますが、あれがど のぐらい効果があるのかよくわかりませんが。ではよろしいでしょうか。  次に議題3「医薬品・医療用具等に関する医療安全対策への取り組み状況について」、 事務局から御説明をお願いします。 〇事務局  議題3につきまして、事務局より説明申し上げます。お手元の資料2−3を御覧いた だきたいと思います。  「医薬品・医療用具に関する医療安全対策への取り組み状況について」という標題で ございますが、これに関しては前回の部会でも御議論いただいたところでございますが、 これまで厚生労働省としてどういうことを行ってきたのか、そういったものに関してど ういう状況かという御意見もございまして、実態を把握するという観点で我々で調べま した内容でございます。  1としてこれまでの経緯でございますが、本部会のもとになっております医療安全対 策検討会議が本年設置される以前において、厚生労働省としては医療事故の防止を観点 とした対策を若干行ってきております。  ア、イ、ウと三つほど示しておりますが、まず「輸液ラインの誤接続防止のための基 準の整備」というものを、平成12年8月の段階で通知で示しております。具体的には、 注射筒タイプの手動式医薬品注入器に関して、そこに示したような表示とか対策を講ず るようにということでございます。経腸栄養ラインの接続部に関しては、基準の適合性 を確認してございます。滅菌ずみ輸液セットに関しても、ロック接続構造というものを 改めて設定しまして、それの適合性ということでの対策を講じてございます。  二つ目は、イの「人工呼吸器の安全性確保のための基準の整備」を、平成13年3月の 段階で局長通知を行っている状況でございます。内容に関しては、添付文書への記載と か、警報設定に関する注意喚起のためのシール、定期点検ずみのシールの貼付、これら を行うようにという指導を行っているところでございます。  三つ目は、ウの「医療事故を防止するための医薬品の表示の改良等」という措置を、 平成12年9月の段階で行っております。具体的には、(1)から(5)に書きましたとおり、バ イアルまたはアンプル入り経口剤及び外用剤における種々の対応、そのほか、錠剤、カ プセル剤の剤形をいたしました外用剤における対応、点眼剤に類似した容器の外用液剤 における対応、いろいろ包装の面とか販売面に関して一定の措置を講ずるように、とい う指導を行ってきたところでございます。  こういったこれまでの対応に対して業界サイドがどのような取り組みを行っているか ということを、今回、調べたわけでございます。その概況を次に述べております。  2ページの下に、今回、調査しました結果、回答をいただいた企業数を掲げてござい ます。それぞれ、ア、イ、ウに関して、そこに示した数の会社から取り組んでいるとい う意味を込めまして、今回、回答をいただいているという状況でございます。  3ページは、具体的に先ほど申し上げた三つの措置に対応している品目がどれだけあ るかというと、輸液ラインに関しては43品目、人工呼吸器に関しては61品目、医薬品に 関して、このうち表示の改良を行ったものが1215品目、通知の趣旨を踏まえて承認ある いは承認申請の段階で販売名等の医療事故防止等を考慮したものが 308品目という状況 でございました。  具体的な状況は、4ページ以降、会社名及び銘柄名を示して、それぞれどのような対 応を行っているかというものを整理いたしております。  まず4ページが注入器に関する状況でございます。  5ページが経腸栄養ラインでございます。  6ページが輸液セットに関して対応している品目を掲げてございます。  7ページが人工呼吸器の関連で対応している品目で、それぞれ〇がついているところ の対応を行っているということでございます。  9ページからが医薬品に関する取り組み状況を示したもので、以下、最後のページま で続いてございます。  時間の関係で省略いたしましたが、今回、われわれが調べました取り組み状況に関す る概況は以上でございます。 〇桜井部会長  どうもありがとうございました。これまでの医薬品及び医療用具に関する安全対策へ の取り組みということでございますが、何か御質問、御意見はございませんか。 〇星委員  まず質問をさせていただきます。業界における取り組み状況ですが、われわれが知り たいのは、「輸液ラインの誤接続防止のための基準の整備」への対応を必要としている 製品を取り扱っている会社は何社あって、そのうち何社が回答して、そして製品的にい うとどのぐらいのシェアになっているのか。もう一つ知りたいのは、流通がどうなのか。 端的にいえばいくらで売っているのかということまでであります。そのあとのことは別 にしまして、この結果をみますと、ただ14社ということになっておりましたとなってい ますが、少なくともそちらで把握されている範囲で対象になり得るというのはどのぐら いあったのでしょうか。 〇山本委員  私からお答えいたします。対象になっている会社は、おおむね20社程度でございます。 〇桜井部会長  アがですか。 〇山本委員  栄養ライン会社数です。今回のアンケートは厚生労働省に直接回答する形になってい たため正確には私達にはわかりませんが、20社というのは輸入も含めた会社数ですので、 輸入販売会社が製造元に要求することができるかどうかわかりません。国内のメーカー はほとんどアンケートに回答したと考えております。  もう一つ、そのシェアがどのくらいかということです。まだ全国的に調査をしており ませんが、国産の企業で3割程度ではないかと考えております。  コストのことですが、コストにつきましては各社それぞれ対応していますので、具体 的には残念ながらつかんでおりません。 〇桜井部会長  星先生の御指摘は、この前の委員会のときも、いろいろアクションをして効果がある かどうかという評価もしなければいかんというような御発言もありましたし、コストの 面についても御発言があったように思いますが、これは人工呼吸器とか輸液ラインとか 各いろいろございますね。この個別についてのデータはまだないのですか。今、3割と か大体のあれをおしゃっていたわけですが。 〇山本委員  今回の調査も、あいだに業界が入ると各社の秘密が漏れるおそれがあるということで、 直接、厚生労働省に回答していただきましたので、業界は細かい具体的なデータはつか んでいません。 〇事務局  事務局から、今回の調査に関して少し説明申し上げます。  今回はとりあえず3本出しております通知に対して対応している品目数だけを報告し てくれということで、未対応というところに関する報告はいただいておりません。した がって、全体の母数は正確に把握していない状況にございます。  今回の調査の客体でございますが、今回の製品の対象となりますのが、医療用具関係 が2種類、医薬品関係が1種類でございましたので、それぞれ本部会の委員でもござい ます山本委員に医療機器の団体を御紹介いただきまして、そちらを経由して調査したと いうことでございます。医薬品に関しては、同じく本部会の委員でございます宮城島委 員にお願いいたしまして、日薬連を介してその会員会社におきまして調査したというこ とでございますので、それぞれの製品を扱っている会社のすべてには調査を行っており ますが、具体的な何社という数字は今は持ち合わせてございません。 〇星委員  中医協では人のふところまで調査をしているわけで、それに比べますと業界にお願い をしてということで、われわれからすると突っ込み不足ということを感じざるを得ませ ん。まずユーザーという視点が欠けているということもあるでしょうし、なぜ普及しな いのかということでいえば、医療機関がどのように考えているのかということも調査し ていかなければわからないことです。これは単に業界にお願いして、どのぐらい対応品 をつくったのですか、とお尋ねになったものということでありますので、私からすると、 このあいだ私が発言をした問題のうちごく一部がここに回答として出てきている、とい う印象をもたざるを得ません。  医薬局はこういうものの総本山でありまして、どういう薬が承認を受けているのか、 どこの会社が承認を受けているのかというのは 100%把握しているはずです。もし把握 していないとすれば問題です。少なくとも医薬品・医療用具として流通しているあらゆ るものをデータとしてもっているはずですから、そうういものをベースにお考えになる ほうがよろしいのではないか。業界にお願いをしました、母数はわかりません、という ようなことでは、この結果をみて、ではどう評価するのですかという答えはわれわれと しては出しようがないと思うのです。そのぐらいの気迫をもっておやりになられないと、 これからの議論はなかなか前に進まないのではないかと思います。 〇医薬局長  今、星委員の御指摘のように、指導通知を出してそれがどれだけ実施されているかと いうフォローアップが非常に重要かと思います。今回、初めてこういう調査を試みたと いうことかと思いますが、これは今後引き続き定期的にフォローシップしていくための 一つのポイントとなる調査だと思いますので、どういう調査項目をどういう形でやった ほうがいいのか、一度私どもで整理いたしまして、また、皆さん方の御意見も踏まえて 一つの調査実施の要綱なりフォームを固めたうえで、それに基づいて定期的にフォロー アップするという形を目指して検討していきたいと思います。 〇星委員  その際、今申し上げたとおり、使っているところでどうとらえているかということは 絶対外してはならない事項だと思うのです。たとえば経腸栄養ラインの場合は3割程度 のあれだというおっしゃり方をするのですが、なかなか数字が増えてこないということ を考えると、ではどういう理由なのか、あるいはどういう条件が揃えば導入するのか、 製品があることを知らないということもあるのかもしれません。そうなれば、いろいろ な意味での対策につながっていくと思うのです。  そういう形で調査をされるというのであれば、われわれとしては 100%協力をします し、ぜひ早くにこういったことをお調べいただいて、通知を出しました、あとは知りま せん、という対応ではなくて、それぞれ責任をもって評価をしていただきたいと思いま す。 〇安全対策課長  ありがとうございます。実態についてさらに精度よく把握したいと思いますので、も ちろん医師会あるいは薬剤師会の先生方のお力添えを改めてお願い申し上げるというこ とで、お約束申し上げます。 〇宮城島委員  ユーザーではないのですが、メーカーとして、私たち日薬連は、5月に自主的に実施 状況を調査しております。母数を含めて調査しておりまして、この調査はかなり正確に なっているのではないかと思っております。  ただし、平成13年度中に製造計画を立てて実施するという会社がありますので、改め て来年4月に調査をして、その実施状況、あるいは実施する上でのメーカーとしての問 題点等を把握して、メーカーとしてはより徹底していきたいと考えております。徹底す るうえで、星委員からありましたように、ぜひユーザーの評価あるいは考えもこれから の改善策に反映していきたいと思いますので、ユーザーの考えもできるだけ早くいろい ろお聞きしたいと思っております。 〇桜井部会長  ありがとうございました。今の御指摘は二つの問題があって、一つは、データベース の構築というか、これは日本の弱いところで、いろいろな点についてデータベースがな い。こういう機会にきちんとしたデータベースをつくるべきだということで、これは業 界だけではないと思いますが、いろいろ御努力いただければと思います。  もう1点は実効性の問題ですね。せっかくつくっても、それがゆき渡って実効性がな いとリスクの回避につながってこないということで、両方とも非常に大事な御指摘だと 思いますので、ぜひ行政としても業界としてもお考えいただければと思います。 〇土屋委員  せっかくこういうデータが得られたときに、こういう情報はなんらかの形で公表され るのかどうかということです。ユーザーにしてみると、対応品なのかどうかというのが パッとわかることなども必要なのかと思いますが、そういうことについての基本的な姿 勢はいかがなのでしょうか。 〇事務局  本部会は公開で行っていることもございますし、本部会が終わりましたあとでも、こ の資料は広く公開してまいりたいと思っております。それによりましてさまざまな方が、 ここに掲げられている製品に関してはなんらかの事故防止の観点での取り組みをされて いることはわかるような状態にしたいと思っております。 〇桜井部会長  よろしいでしょうか。ほかに何か御質問、御意見はございますか……。では、議題3 については、いただいた御意見をよろしくお願いいたします。  議題の4「医療安全対策ネットワーク整備事業への協力について」、事務局からお願 いいたします。 〇事務局  議題4に関して、事務局より資料2−4−(1)、2−4−(2)及び2−4−(3)に基づいて 御説明申し上げます。  資料2−4−(1)でございます。本医療安全対策ネットワーク整備事業に関して各協力 をいただきます医療機関に対して医政局長及び医薬局長から発出した通知のコピーでご ざいますが、この中に本医療安全対策ネットワーク整備事業の概略が記載してございま すので、まずこの事業の概要について御説明いたします。  資料3ページ、本事業の目的でございますが、1に書いてございますとおり、各医療 機関に共通する医療事故に関する要因やその改善策を効果的に収集するというのが目的 としてございます。それによりまして我々が全体の傾向を把握しまして、これを広く医 療機関が共有する形にもっていく。それとともに、国民に対して情報を公開するといっ たなかで、医療安全の一層の推進をはかろうと考えたわけでございます。  そういった観点でこの事業を今年度から行おうとしたわけでございますが、この事業 によって集められた結果をどのように活用していくかということについては、3に書い てございますとおり、集計された結果を医療安全対策検討会議の意見等を踏まえて具体 的な対策の検討を行っていくというふうに考えております。  どういう情報をこの事業において入手するかということを、若干つけ加えさせていた だきます。資料の6ページ、1の(2) に収集情報とございますが、大きく分けて3種類 の情報をこの事業において収集することになっております。  (1)は「全般コード化情報」ということで、発生場面あるいは内容といったような情報 をコード表にしまして、具体的に現場で行われた行為あるいは状況をチェックしていた だくという中で報告をいただくタイプのものでございます。  (2)は「医薬品・医療用具・諸物品等情報」ということで、これは記述方式の部分も含 まれておりますが、具体的な製品名とか発生要因、防止対策に関する意見といったもの を対象としたものでございます。  (3)は「重要事例情報」ということで、医療機関における医療事故を防止する観点から 広く公表することが重要と考えた事例について、我々のほうに報告いただき、その中に 含まれる発生要因あるいは改善方策を我々が把握しまして、それを広く公表していくと いうタイプのものでございます。  以上の三つの情報を定期的に集めることによりまして、今後の安全対策を実施する施 策を講じていくことになろうかと思います。  本事業の概略は以上でございますが、次に資料2−4−(2)は、今御説明申し上げまし た3種類の情報のうち、医薬品・医療用具・諸物品等に関する情報という部分について 今回、集計した結果でございます。今回集められました事例は 104件ございまして、そ のうちすべてを分析の対象として利用させていただいております。  そのうち、医薬品関連情報の概要は2に書いてございますが、合計で88件ございまし て、薬剤を入れる容器が似ていたというものが要因として考えられたケースが5件とか、 そのほか、薬剤の色や形態が似ていたというケースが4件、その他、ここに記したとお りの状況でございます。  2ページの医療用具に関連した情報に関しては合計13件御報告いただきまして、欠陥 品、不良品だったものが2件、そのほか、管理が不十分だったという点を要因として報 告してきたものが6件、そのほか、ここに示しておりますような状況でございます。  4番は諸物品に関連する情報でございます。諸物品と申しますのは、薬事法上、医薬 品あるいは医療用具に該当しないようなもので、医療機関でものとして扱われているも のが若干ございます。具体的にはベッドが代表的な例かと思いますが、そういった諸物 品に関する情報は、今回、3件の報告をいただいているという状況でございます。  それぞれの具体的な品名あるいは状況、事例の内容が3ページ以降についております ので、後ほど御覧いただければと思います。  先ほど申し上げましたとおり、医薬品・医療用具・諸物品に関する情報のほかに、コ ード化した情報もこの事業の中で集めておりまして、それをとりまとめたものが資料2 −4−(3)でございます。  1ページの2、今回収集した情報は、8月1日から10月31日の3か月間に発生したも のでございます。これに関しては、主に医政局で担当している状況にございますので、 医政局から説明させていただきます。 〇医療安全推進室長  では、2−4−(3)について簡単に御説明いたします。  インシデント事例の収集分析については、先ほど事務局から御説明申し上げましたよ うに今年新しく始めた事業で、大きく二つに分けております。一つは、こちらの部会で 御議論いただくことになっております医薬品等の情報。もう一つが、ヒューマンエラー 部会で御議論いただいております全般コード化情報及び重要事例情報でございます。  資料2−4−(3)については、ヒューマンエラー部会において11月22日に御検討いただ きまして、そこでとりまとめていただいた結論でございます。では、時間もありますの で、簡単に御説明いたします。  これらにつきましては、検討する場として、3ページ、ヒューマンエラー部会のもと に、インシデントレポート収集等に関する検討会というワーキンググループを設けまし て、国立長野病院の武藤副院長に御検討をいただいているところでございます。  また、具体的なコード化情報及び重要事例情報を分析するために、二つのワーキング グループを設けております。それが4ページ、5ページでございますが、重要事例情報 を分析するグループでございます。これは、日本赤十字社看護婦幹部研修所講師の増子 先生にお願いしております。また、全般コード化情報を分析をするために、横浜市立大 学教授の橋本廸生先生に御検討をいただいております。この経緯は6ページに載ってお ります。  7ページからが具体的な結果でございます。これらは、特定機能病院及び国立病院、 療養所、国立高度専門医療センター、合計 300ほどございますが、そこにお願いして始 めまして、参加施設登録をいただいておりますのは 262施設、今回は初回で周知期間が 短かったことがございましたが、それでも78施設に御協力をいただき、インシデント事 例として2400件ほど集めたところでございます。  このインシデントというのはコード化情報のことでございますが、これらをクロス集 計等を行った結果が10ページから簡単に載せております。初回ということもございまし て数が少ないながら、11ページの考察に書いてございますようにかなり多数御参加いた だいたことから、有用な状況が示唆されております。従いまして、今後もう少し増やし ていくことが必要になる。また、こういう情報は医療機関等、現場で役立つことが非常 に大切ですので、医療機関への情報のフィードバックをきちんとすべきである、という 御指摘もいただいております。  以上が全般コード化情報の部分でございます。  45ページ、重要事例情報について簡単に御説明いたします。重要事例情報は、先ほど 事務局から御説明いたしましたように、他の医療機関で重要となるであろう事例を、各 医療機関でリスクマネジャーの方に選んでいただいて提出していただいたもので、今回 は 110事例が集まっております。そのうち、こちらのワーキンググループで非常に有用 であろうと判断して解析等を行ったものが10事例ございます。  その10事例は50ページに載っているような例でございます。具体的なものは後ほど載 っておりますが、簡単に概要だけ申し上げます。1から10まで、薬効が類似した薬品で の取り扱いのミスから始まりまして10個ほどのものがみつかっております。  これにつきましては、今後ともこのような形で集めまして、先ほど土屋先生から、公 開することが重要というお話がございましたが、これも全く同じでございますので、広 くデータベースをつくって、特にインターネットでホームページ等に載せていきたいと 思っておりまして、現在、作業中でございます。  簡単でございますが、資料2−4−(3)について御説明いたしました。 〇桜井部会長  どうもありがとうございました。この件についてはいかがでしょうか。先ほど言及さ れなかったのですが、2−4−(1)の5ページの図がネットワークの形になるわけですね。 この矢印は、参加医療機関からだけのルートがここへくるわけですか。 〇安全使用推進室長  インシデント事例の収集ということに関しては、まず御協力いただける参加医療機関 の協力を募ってということですので、現状としては、特定機能病院、国立病院、療養所 及び国立高度専門医療センターの中で御協力いただけるところからの情報を定期的に報 告いただくという仕組みになっております。 〇桜井部会長  医薬品機構がデータベースの構築にあたる、そういうことですね。 〇安全使用推進室長  さようでございます。 〇山本委員  2点について確認したいと思います。第1点は現在でも不具合報告として、安全対策 課に直接くる案件があると思うのですが、それとの違いはどうなっているのでしょうか。 もう一つは、報告があったあと、公開していただくのももちろんやぶさかでないのです が、たとえば勘違いである場合もあると思うのです。当該企業への連絡などはどういう 形になっているのでしょうか。その2点を教えて下さい。 〇安全使用推進室長  資料2−4−(1)の6ページにインシデント事例の定義というのがございまして、収集 する事例は以下に該当するものということで、誤った医療行為等が患者に実施される前 に発見された事例、実施されたが、結果として患者に影響を及ぼすに至らなかった事例 ということでございます。こういう書き方になっておりますが、今、山本委員から御質 問がございましたのは、医療用具の不具合情報ということで医療機関から厚生労働省に 報告をいただく仕組みがごさいます。あちらで求めていますのは、一つは、医療用具の 不具合とか副作用とかいろいろありまして、患者さんに健康被害が出たような場合で医 療用具の関与が否定できないもの、もう一つは、医療用具の不良とか構造上の欠陥とか そういうものによる不具合が生じたようなケースに関しては、安全性情報で従来の不具 合のモニター情報でいただく仕組みになっています。  他方、インシデント事例というのは、それぞれの製品を組み合わせたときに間違いや すいとかそういった問題はあるにしても、医療用具そのものに大きな問題はないのだけ れども、たとえば使い間違いやすいとかいうようなことがあって、そのうえでさらに健 康被害が生じなかったようなケース、そういうものに関してはインシデント事例として こちらにいただくことになっております。  うまく説明できたかどうかわかりませんけれども。 〇山本委員  薬事法で不具合報告の義務になっているのは、実際に起こったものだけでなくて「発 生するおそれがある」というのがあると思うのですが。 〇安全使用推進室長  薬事法の不具合報告というのは、もちろん健康被害が生じた場合とおそれがある場合 ですが、それは、たとえば医療用具で通常に使っていてもこういう不具合や健康被害を 生じる可能性があるのに、それに対して適切な表示がなされていなかったとか、適切な 構造上の工夫がなされていないとか、医療用具そのものに問題があるようなケースとい うことだと理解しております。 〇桜井部会長  これは重複してもいいわけでしょう。べつにそんなにきっちり分ける必要はないので。 〇安全対策課長  桜井先生の御指摘のとおりと考えております。インシデント事例のほうは、第一線の 医療の場で、こんなことがありそうだった、そういうユーザーの問題意識といいますか 目つきでいろいろ御指摘をいただく。それが分析の結果、たとえば系統的なものであれ ば改善に結びつける。  それから、私どもが行っております不具合報告は、用具の製造業者の方が繰り返し安 定に一定の安全性をもった用具を供給するという義務の中で、仮に事故のおそれとか安 全性に問題がありそうだということであれば、あるいは起こったということであれば、 直ちに決められた期間内に私どもにいただいて、私どもも不用の遅れなく対応をとると いうものであります。そしてお互いに補完的であり、かつ重なっていてもいっこうにさ しつかえない、むしろ落としたくない、こういう形で整理しております。 〇宮城島委員  これから5番で議論があるかと思いますが、お願いがあります。この医療安全対策ネ ットワークでインシデント事例を集めておりますが、他の団体あるいは医療機関でもイ ンシデント事例とかいろいろなエラーを集めていると思います。やっていただくのだっ たら、総合的なやり方にしていただきたいと思っています。それぞれの立場でその対策 をとりますと他の医療事故の誘因となり、せっかくこのような対策部会がありますから、 できたらいろいろな事例をまとめて検討できる場にしていただきたいと思っております。 〇安全使用推進室長  厚生労働省といたしましても、こういう部会をつくりましてやっておりますので、も ちろんそれぞれの医療機関とかそれぞれのメーカーさんにおいて簡単に対応できる問題 であれば、それぞれの現場でやっていただくことも可能かと思いますが、必ずしもそう いう事例ばかりではないと思いますので、国としてかかわって、なお対応していかなけ ればいけないようなものは、できるだけこの場に集まるような形で運営をしていきたい と考えております。 〇医薬局長  たぶん、今いろいろ御説明した情報は、オーバーラップしたり補完的になったりして おりますので、ここでやっているインシデント事例と私どもの不具合報告は両方つき合 わせてみながら、おっしゃるようにトータルでみないと全貌はなかなかわかりにくい点 もあるでしょうし、ここで出しているインシデント事例の収集以外にいくつかほかのと ころでもやっているというお話もありましたので、どういうところでそういうものが行 われているか、情報を集めまして、できるだけ全体像がわかるような形の情報の提供の 工夫が必要かと思いますので、そこは少し検討したいと思います。 〇星委員  私から助け船を出すのもなんですが、簡単に申し上げると、たぶん不具合報告あるい は医薬品の副作用報告のようなもので今まで医薬局に報告のあるものは、明らかに不具 合だと。ゴルフのクラブでいえば、ゴルフのクラブのヘッドが飛んでいってしまった。 明らかにだれが見てもそういうものだということで報告をいただいて、そういう製品は しょうがないね、ということで対応をとられるというものだったと思うのです。これは、 日本全国津々浦々、どこで起こってもそうだということ。  今回のこれは何かというと、一定の決まった機関を対象に、そういうものではなくて、 たとえばすごいシャンクが出た、右にピョンと飛んでいってしまった。腕が悪いのかク ラブがおかしいのかよくわからないけれども、どうもクラブかもしれないというような ものも含めて出してください、ということが今回のインシデント事例だと思うのです。  もう一つ申し上げたいのは、そのときに、腕が悪いのかクラブがおかしいのかわから ないけれど起こってしまったという事例が、実は医療安全推進室長、医政局のものの中 に混じっている可能性がある。あるいは逆に、クラブが悪いと思ったけれど腕が悪いと いうものも医薬局に送られるデータに混じっている可能性があって、入口でその医療機 関に判断をさせているわけです。要は、これは明らかに不具合だ、もしかしたらこれは 道具に依存するのかもしれない、そのうえで、それ以外のものをたぶん医政局のほうに 送ってくるという形になると思うのですが、これらのあいだは、 100%道具が悪い、あ るいは 100%腕が悪いということではなくて、多くの場合、両方あると思うのです。  そういうものがわかるようなお互いの連絡が必要で、入口でこういう分ける形がよか ったのかどうか、今、議論してもしょうがないですが、これらの報告がむだのない利用 のされ方をすることと、今、宮城島委員がおっしゃったようにいろいろなところでいろ いろなものが重ならないようにするという配慮も必要で、医薬局と医政局は仲よくない ようですが、ぜひ仲よくしていただきまして、こういう情報はおれの情報だとか、おま えの情報だとかではなくて、非常に大切な情報源だという意識をもっともっと今以上に もっていただきたいと思います。 〇桜井部会長  ありがとうございました。大変重要な御指摘で、縦割りではなくやっていただきたい ということだろうと思うのですが、よろしくお願いいたします。  私は一つ気になったのは、コード表に基づいて収集するというコード表というのはな んなのですか。独自におつくりになったのですか。 〇医療安全推進室長  このコード表につきましては、昨年の厚生科学研究で検討いたしました。特に東海大 学付属病院でインシデントについてコード化を先進的になさっていまして、そういう全 体的な傾向を定量的にとらえることも一つ有用ではないかという作業仮説に基づいて検 討していただきまして、それがまとまりまして、15項目ぐらいの各インシデントの内容、 状況とか、それを集めるという話でございます。 〇桜井部会長  今、ISOでグローバル・メディカル・ディバイス・ノーメンクレイチャーというの をやっているのです。これは医療機器の分類、名称、それと同時にイベント、副作用と いっていいのかどうか、そういうもののノーメンクレイチャー、命名づけと分類とをや っています。私は気になったのは、最近、グローバル・ハーモナイゼーションとかいろ いろあるので、将来的にはそういうところとつながっていく可能性が強いのではないか と思うのですが、そちらもちょっとにらんでいただく。15項目ならば非常に簡単なコー ドなので、それはISOのあれとは桁が違うと思うのですが、そんなこともありますの で、御関心をもっていただいてやっていただければと思います。  ほかにございませんか。 〇土屋委員  ちょっと気がついたことでいくつかあるのですが、今のまさにコーディングの問題で もあるのですが、資料2−4−(2)のたとえば3ページで、上から四つ目にヴィーンDと アクチットというのがあって、それのコーディングのところの要因は「薬剤を入れる容 器が似ていた」。ところがその二つ下のヴィーンDとアクチットは「薬剤の色や形態が 似ていた」。これはおそらくコードの選び違い。こういう分類をやり始めますと、まさ にインシデントレポートのエラーインシデントとかそういうのがまた出てくることにな ると思うのですが、なるべく初期の段階でそういうことにならないような指摘をきちん としておかないと、たとえば4ページでも、上から三つ目にナウゼリン坐薬とナウゼリ ンの錠剤は「薬剤名が似ていた」という分類になっておりますが、いちばん下には、ボ ルタレンの坐薬とボルタレン錠は「複数の規格が存在した」。このように、それによっ て集計の数が大きく狂ってしまいますので、初期段階でそれらの整合性をはかる。  あるいは、きょうは私どもで参考資料で2枚ほどつけたもので、先週の安全週間で調 剤エラーを防止したときの表の2ページを見ていただきますとわかりますが、はっきり と、同一商標だったのかどうだったのか。商標というのは、ある意味ではブランド名と いう恰好ですが、その中の規格違いと、たとえばRがついていた・ついていないという 記号違い、あるいは先ほどの錠剤と坐薬というような剤形違いとか、商標が全く同じだ ったものは似ているといったら似ているに決まっていますので、むしろそこら辺を明確 な分類をきちんとしておいて集計して、短期間にこれだけの数がきていますので、これ から長い先のことを考えますと、今のうちに修正をしておいたほうが、先々、楽になる のかなという気がいたします。 〇桜井部会長  先生、これをついでに御説明していただけますか。 〇土屋委員  では、ついでに御説明しておきますが、25日から1日までの医療安全推進週間という ことで、日本病院薬剤師会で調剤エラーの調査をいたしました。それは、インシデント レポートの報告システムは、特定機能病院あるいは国立病院、療養所の 300施設を対象 にしておりますが、先々こういうことで医薬品についていいますと、これらの医療機関 で扱っている医薬品と、たとえば通常の病院で扱っている薬とのあいだにはちょっと差 があることが、今回、対象となっている医療機関ですと採用薬に偏るといいますか、お そらく大手のものしか出てこないとか、そういうことがあるのかなということもござい ます。  それから、インシデントというときに、薬剤師が間違えても、それを監査した段階で みつけたものは、通常は院内ではレポートはしておりません。薬剤部の中の資料として はもっていますが。これが昨年度、調べましたところ、20対1とか30対1という比率で 起きておりますので、薬剤師のエラーということからいえば、実際は防いでいるのです が、起こしたエラーから直接いろいろなことをやったほうが、製品改良の要請をしたり 改良品をやるときに情報調査にはなるかなということで、今回は別ものといいますか、 全く違う医薬品を調剤して、先ほどのような同一商標のこともありますが、そういった ものについてのみ集中的に会員施設で集めました。  今週いっぱいで報告をしてくださいということでやっておりますが、ここら辺で出て きたデータ、あるいは日本薬剤師会も今、インシデントレポートでそういったものを集 めておりますので、なんらかの形でネットワークの中の構造にデータだけでも移せれば、 そうするとこの部会で検討すべき製品改良の要請とかそういう話が窓口として一本化す るのかなという気がいたしまして、とりあえず今回、トライアルとして1週間でどれぐ らい集まるのかということを調査しております。  またこの結果等は御報告したいと思いますが、私どもとしては基本的に、これから先 はそういったデータを定期的に3か月に1回とか集めまして、薬剤師が間違えて処方し た薬と調剤した薬ということでAとBということで、それの一覧のベスト4、ベストか ワーストかわかりませんが、こういう傾向にあるよということを見ていただくと、こう いうものが似ていると薬剤師は間違えるのだな、というようなことが明らかになるのか なと思いまして、そのようなことをしています。  したがいましてデータをなんらかの形でこちらに移せる仕組みが、まさに先ほど星委 員がおっしゃったようにいろいろなところで調べておりますので、少なくとも対応をと る窓口を一つにしておかないと、今後、混乱のもとになると思います。 〇桜井部会長  ありがとうございました。この辺で、藤上先生や望月先生、何かございますか。 〇望月委員  今のお話の前に土屋委員が御指摘された点は、私もこれを拝見したときに、解析のう えでエラーになると思いました。今、土屋委員は、要因などの部分でコーディングのミ スがあるのではないかということを御指摘されましたが、内容のところでもかなり、違 うのではないかと思うような表現があります。たとえば処方とか与薬とか製剤とか調剤 とか、そこの定義づけがどのようになっているのか、「処方・与薬」となってしまって、 どこの場でのミスなのかが特定できない形の内容になっています。コーディングはどこ の場でこのミスが起こっているのか、何が原因かがきちんと集計できるような形で検討 しておいていただくことが必要と思いました。  もう1点は報告用紙です。コーディングにミスを生じないよう報告用紙の項目、報告 の仕方の段階からもう一度御検討いただくことも必要と思いました。 〇藤上委員  少し違った視点から御意見を申し上げたいと思うのです。メーカーさんとか医療機器 のメーカーさん、いろいろなこういう情報、そして改良する、そういったことに努力し ていらっしゃるのですが、そういう情報を医療現場でどのように利用していけばいいの かなということを考えておりました。ここはもののことを考える部会なのですが、医薬 品というものをどういうシステムで実際の現場に提供すれば、またどのような管理体制 にすればより安全なのかということを考えていくのが必要なのかなと思っています。特 に注射薬などは、ミスにつながりますと患者さんに大きな不利益をもたらします。  一つのたとえを申し上げますと、塩化カリウムは「原液で注射をしないこと」という ようなラベルがアンプルに張ってあるのですが、もう一歩進めて考えれば、ではそれは 希釈してから病棟に上げればいいのではないか、そのようにこういう情報を利用してい きたいと思っているのですが、ここはメーカーサイドへの要望をするところなのでしょ うか、それとも、現場でどのように対応したらいいのかということも提言する場なので しょうか、それをお聞きしたいと思います。 〇桜井部会長  それは私はリミットはないと思います。問題はコンシューマーというか、プレシェン ト・セーフティ・アクションなのであって、線引きは必要ない。医政局とか医薬局とい う線引きはいらないと、この委員会も思いますが。 〇星委員  ということになりますと、今、望月委員からも御発言がありましたが、ものに依存し ているようだといって、入力のフォーマットから違うという仕組み、これ自体、もう一 回見直してほしいのです。  つまり、われわれは現場で、先ほどゴルフのたとえをしましたが、私たちも大体もの のせいにしますね。でも現実には腕が悪いことも多々あるわけで、入口でそれを本人あ るいは医療機関の判断に任せてしまって、出口が非常に曲がってしまう可能性がある。 ですからそのフォーマットについてはぜひ御一考願いたい。前回のヒューマンエラー部 会でも発言させていただきましたが、それが1点。  もう一つ、これまで、個々の声がそれぞれの製薬メーカーあるいは器具屋さんに届い て、ではこういうものをつくってみましょうかとか、ではラベルを替えましょうみたい な話が個々にとられてきた経緯があって、結果とすると、AとBとは間違えなくなった けれども、今度はBとCがすごく似てしまったというようなことがあって、これは1社 が替えてすむような話ではないわけです。  ですから、前にも厚生労働省しかできない仕事をしろというお話をさせていただきま したが、まさに厚生労働省しかできない仕事というのは、その全体を見回して、こうい うことでいこうと。たとえばボトルの形状は、注射薬以外、こういう形状のものはやめ よう、そういう方向性をぜひ打ち出していただきたい。そうしないと、結局今までのも のとなんら変わらずに、順番に問題を発生させつつ一生懸命議論をしていくということ から逃れられないのかなと思っております。その辺はよく両局間でお話し合いのうえ、 1点目については御議論願いたい。  2点目は、業界の顔色をうかがうのもいいことですが、むしろ全体を見回すというお 目付役の機能に特化していただきたい、というのをお願いします。 〇安全対策課長  最初の先生の御指摘でございますが、きょう、具体的なお話もいただきましたので、 また、特に医政局と仲が悪いとかそういうことは全然ありませんので、さっそく具体的 な事例を横に置きながらディスカッションを開始させていただきたいと思います。  第2点につきましても非常にありがたい御指摘と思っておりまして、このうえは医療 用具の産業界の皆さま、製薬業界の皆さまにも、この意図するところを体して、ぜひ前 向きに積極的に御提案などもいただきながらやっていけないかと考えます。ありがとう ございました。 〇桜井部会長  大変重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。  私はこれを拝見して、話がずれるかもしれないのですが、資料2−4−(3)の10ページ を見ましたら、(9)で「当事者の勤務年数では約3分の1が1年未満であり云々」、(10)は 「当事者の配属年数では45%が1年未満であった」という記載があるのです。  これは、この30日に大阪でシンポジウムがあったときに、航空事故関連にお詳しい黒 田先生がおっしゃっていたのですが、パイロットというのは、経験が1年しかないから 事故が多いとか、30年だから安全だということは許されないのだ。1年でも30年でも同 じようにやってもらわなければ困る。それを医療の安全のところでは、1年未満とか新 人がエラーが多いとか、そういうことが当然というと語弊があるかもしれませんが、当 然のように罷り通っているのは実に不思議だという御発言があって、私も全くそのとお りだと思うのです。  これはある電気屋さんに聞いたのですが、電気器具の配線をさせるというような作業 を非常に多人数で試してみると、どんなにやっても大体 0.3%はエラーがあるのだそう です。会社としては、その 0.3%のエラーがあることを見込んでものごとを設計してい るのだということだったのです。医療の場合はどうなのか、その辺はぼくはわからない のですが、1年生でも30年生でも、1年生ならばいいやということは原則的にはおかし いなと、これを見ていて思ったのです。 〇星委員  今の件なのですが、それは読み方が間違っているのではないかと思うのです。これは 1年未満が多いということになると、新人が多いということになってしまうのですが、 病棟に配属されている人、どこの病院をみてもわかりますが、5年以上、10年以上を探 すほうが大変なのです。お医者さんたちも、平均で1年や2年で替わってしまうことも 普通です。ですからこれは、経験不足が原因になっているということに直接つながらな いかもしれないという問題。  それから、こういう細かな作業は新兵がやることも多い。つまり、何十回この手技を やってどれだけの間違いを犯したのかという議論をしないと、これからだけで、若いや つはだめだということになる、あるいはそういうとらえ方を世間がしてしまう非常に危 険なデータで、こういうデータの書き方は厳に慎まなければいけないと私は思います。 〇桜井部会長  基本的に、先ほどの電気回路の配線のような 0.3%という、ヒューマンエラーという のは本質的にはどうしてもゼロにはできない要素があるので、それが医療の場合はどう なのか、まだそういうデータはないと思うのですが。 〇井堂委員  私は歯科のほうですので、医薬品というより医療用具が非常に多いのですが、一つお 尋ねしたいのは、最近、たとえばアメリカの有力なメーカーがブラジルなどの国で製品 をつくらせて、それが日本に輸入されて医療用具として使われているものがある程度あ ると思うのですが、そういうものもこの範疇に入るのかどうか、お答え願いたいと思い ます。 〇安全使用推進室長  ここで申し上げています医療用具というのは、日本国で正規の手続きを踏んで医療用 具として流通しているものということですから、先生が今御指摘のようなものであって も、日本で正式の輸入承認とか許可を得ているものであれば、当然、対象になると思い ます。 〇井堂委員  海外から個人輸入とかそういったものについては、個人の責任でということになって いるのではないでしょうか。 〇安全使用推進室長  どこでつくられていようと、日本国厚生労働省の承認なり許可をとっているものであ れば、それは医療用具として流通されるわけですが、個人輸入といいますのは使われる 先生方の責任において輸入される性格のもので、薬事法でいっているところの医療用具 の規制は、そのかわり課せられていないことになっております。 〇井堂委員  だから、医療用具等の安全対策のこともそれに含まれているのですか。 〇安全対策課長  個人輸入の場合は、その先生の責任の範囲においてお使いいただくという個別輸入の 中のお話でございますので、私どもは直接対象としているとは考えていません。 〇井堂委員  ISOでもJISでも、封緘とかラベリングとか包装、ある程度の規定がなされてい ると思うのですが、先ほど言いましたアメリカで認められているものが、たとえばブラ ジルで最近、特に歯科材料などで非常に多いらしいのですが、おそらく人件費が安いか ら安くつくれるということで輸入されていると思うのですが、粗悪品がけっこう多い。 折れたり、ファイルだとかハンドリーマーとかいうことで会員から苦情がきているので すが、そのときには、たとえばアメリカの一流のメーカーのが張ってあるのですが、生 産した国の標示がないのです。アメリカでつくられたものかブラジルでつくられたもの かわからないという式だったのですが、その辺についてはどうなのでしょうか。 〇安全対策課長  医療用具は、輸入販売業者が厚生労働大臣の輸入販売承認を得て販売されているもの につきましては対象になると考えます。 〇鶴田審議官  個人輸入については監視指導麻薬対策課で行っているのですが、医療用具でも医薬品 でも、個人またはドクターの場合も入るのですが、輸入する場合は、量的な制限をされ ております。そして使われたときに、ものが悪いとか、アクシデントが起こったとかそ ういった情報が寄せられれば、その情報を個人輸入を担当している地方厚生局に流し、 場合によっては、たとえばアメリカ製のこのものについてはこういった情報があるので、 輸入はさし控えたらどうか、または個人輸入は認められないとか、必要な情報を与えて 個人輸入を制限したり、さし控えるようにやっております。 〇井堂委員  これは医薬品・医療用具等には含まれないと思いますが、たとえば歯ブラシなどは、 普通、流行しているのはある程度の規格品でやるのですが、たとえばホテルに置いてあ るディスポーザブルの歯ブラシとか歯磨き粉といったものは、ほとんど中国とか東南ア ジア系でつくられた安価なものが入っていて、粗悪品も非常に多い。だけど、それをつ くったところがISOに入っていないなどのことがあって、ディスポーザブルなものに ついては規格品以外のものが使われているということですが、その辺についてはどうで しょうか。 〇鶴田審議官  歯ブラシは、たぶん薬事法上の制約品になっていないと思います。雑品です。たぶん 経済産業省またはそこの監督下にある消費生活センターのほうで、苦情とかそういった ものを収集して、情報を出して、粗悪品が使われないようにということをやっていると 思います。 〇井堂委員  第1回のときにもお話ししたのですが、JIS規格も5年に1回見直すということを 規格委員会でやっているのですが、生体性のことについては適用除外になっているわけ です。歯ブラシ等についても、規格を定めています。日本の規格は非常に素晴らしいし、 世界のどこへ出しても負けないぐらいの規格ができているのですが、それに加盟してい ない国に日本のメーカーがつくらせて輸入しているということが、これからもっともっ と多くなってくるのではないかと思ってお尋ねしたのです。 〇鶴田審議官  この場で雑品の話をさせていただければ、私どもも消費生活センターとのパイプが全 くないわけではございませんので、そういったお話も伝えていきたい。それから、歯科 医師会などの団体のほうでそういった情報がある程度出てきてまとまったのであれば、 ダイレクトに消費生活センターのほうにアクセスすることもいいのではないかと思いま す。 〇甲屋委員  今のお話に関連して、病院の中で医療用具といいますと限られているものしか入って おりませんで、医療用具に規定されていないのですが現場では患者さまに使っているも のはたくさんございます。その範疇がどこからどこまでが医療用具で、どこからはいわ ゆる雑品扱いになっているのかというのは、現場の者たちもよくわかっていないものも あります。そういったもののアナウンスといったものはどうなっているのかということ。  あと、たとえば現場で患者さまに使っているベッドが医療用具ではないということを、 最近、私も認識いたしまして、ですが、ベッドの柵にはさまって事故の事例が出ている ようなのです。そういったことに関しては、実際に患者さまに関連してインシデントが 起こっているのですが、厚生労働省の管轄ではないので報告が全くいっていないのか、 現場ではこまごましたことは日常茶飯事でいろいろなことがありまして、医療機関で使 っているものに対してどういったところで規制がかかるのとか、あるいはどういったと ころで報告義務があるのかというところが、現場にいながらよくわかっていないので、 教えていただければと思います。 〇鶴田審議官  医療用具については、たぶんどこかに医療用具または厚生労働大臣認可と表示してあ ると思います。その辺を見れば今のところの区別ができます。  それから、これは私のほうからでも医政局から答えてもらってもいいと思うのですが、 たぶん病院にはいろいろな福祉機器から雑品まで入ると思うのです。そういったものは、 インシデントといった観点から広く情報収集しているのではないでしょうか。 〇医療安全推進室長  ただ今も審議官から御指摘いただきましたように、いろいろベッドとか薬事法になっ ていないものは、今回のインシデントを集める整理では、星委員がおっしゃっていまし たようにどちらかに分けるのは難しいというお話ですが、どちちを書いても、われわれ は同じ省におりますので情報を共有するようにしているのですが、ベッドの関係は諸物 品のところ。  全体の御説明をおさらい的に申し上げますと、今回集めている情報は三つございまし て、一つが医薬品・医療用具及び諸物品に関する情報、もう一つが重要事例に関する情 報、3番目が全体をコード化して全体の傾向を把握する情報でございます。そのうちの ベッドの情報は、今回は最初の諸物品のところで3件ほど提出をなされているという状 況だと思います。  しかしながら、ものと人間の要素、システムの要素がそんなに現場で区別できるわけ ではないというのはたしかにそのとおりだと思いますので、それにつきましては、もの の色合いが強ければもののところで詳しく書いていただくほうがわれわれとしてもわか りやすいところがあるのですが、重要事例等のところで書いてあげていただくことも可 能になっております。先ほどのベッドの件では、この制度ができる前だったのですが、 たまたまわれわれもこの検討会の先生からお話をお聞きする機会がありまして、医薬局 と相談してその対策をメーカーに要請したということで、比較的すみやかにメーカーに も対応していただいて、ユーザーの方に手紙やインターネットでの通知などがなされた と考えております。 〇甲屋委員  現場では、おそらく情報の流れ方とか情報のキャッチのしかたが非常に医療機関によ ってバラツキがあることも考えられるのですが、もう少し積極的にそういった情報は流 していただく。メーカー側とインシデントが起こった施設とのあいだでだけ密にされて いて、他の医療機関でも似たようなことが発生する危険性があるにもかかわらず、自分 のところで発生していなければ全然知らなかったということが多々あります。当然、気 をつけてそういう情報をとろうとも思いませんので。  そういったことに関しては、ネットで流していらっしゃれば、見る人は見ているので すが、見ない人は見ていないので、そういう意味では行政の側で広く、特に危険事例に 関してはすみやかに通達なり出していただくぐらいでもよろしいのかと思うのです。器 具の不具合とかいろいろなことが起こったときに、その施設とメーカー側とはわりと話 はして、改良したりという努力はしているように思うのですが、それがあまりにもほか に伝わっていない感じもありますので、そのあたりはもう少し強力にやっていただいて もよろしいのかと思います。 〇安全使用推進室長  先ほどのベッドの事例もそうですし、インシデントの関係とは別に不具合情報とか副 作用情報もそうですが、そういった特に重大な安全性にかかわる情報の提供は企業が行 うわけですが、原則としてそれらの製品を納品している施設にはすべて、たとえばドク ターレターのようなものであれば、直接担当の医師のところまでいって説明をしていた だくという指導をしているところです。さらに重要なものに関しては、インターネット に載せる、あるいは新聞に載せるといった対策をとられてはおります。  そのようになされるとわれわれは承知しておりますが、さらに具体的に至らないとこ ろなどがあれば、またお教えいただきたいと思います。 〇甲屋委員  ちょっと偏っているかもしれないのですが、1点は、最も使っているのは看護職であ ることを考えるのであれば、看護協会でも医療看護安全対策室というところがございま すし、そういったところでいろいろ情報を流すという方法もあると思います。先ほど、 先生のほうにはいってといっていますから、そちらでとまっている場合もなきにしもあ らずで、ユーザーといいますと末端までいろいろあるかと思うのですが、最も使ってい るのが看護職であることを考えるならば、現場にいる人間まできちんと到達するような 形でぜひ御指導いただければと思います。 〇医療安全推進室長  先ほどのベッドの件で申し上げますと、メーカーからすべての医療機関に納入してい る、さらに歯科医や看護協会にも流しておりまして、そこから先に流していただくよう に、われわれもメーカーを通じて各団体にお願いしているのですが、さらに院内でのコ ミュニケーションの問題もあろうかと思いますので、その辺はケースバイケースのとこ ろはあろうかと思いますが、御意見をいただいて、できるだけ第一線の先生方、使用者 の方に届く形で考えていかなければいけないと思っておりますので、今後とも御留意い ただければと思います。 〇目黒委員  機械を扱う立場から、今、話を聞いていて思ったのですが、病院の中にいろいろな医 療用具に対する問い合わせ先の窓口が一つないのが大きな問題かなと思っています。今 回、リスクマネジメントとか安全対策の部門を病院の中につくってきているので、そこ が今後、吸い上げていくのかと思いますが、それが大事だと思います。  要するに看護婦さんたちが、これはぼくが言うといつもこうなってしまうのですが、 たとえば機械が壊れても問い合わせ先がないものですから、結果的に用度というのです が、事務部門の機器を修理してくれるところにお話がいく。最近では、われわれにもお 話がきます。先ほどのベッドの話もそうですが、ベッドがおかしい。どうみてもこれぐ らいの強度のバネがこんなに弱くていいのかなとか、そういう問題点はぼくらもあるの ですが、それを吸い上げる窓口がないところに大きな問題があるのかなという気がしま す。  併せて、今までの話の中で気がついたので言いますが、前の会議のときにも医療設備 というか設備のことを言ったのですが、この10の提言の中に設備の文言がないので寂 しかったのですが、全体のことが書いてあるのでよろしいのですが、ぼくも研究会とか 学会のシーズンでいろいろな話を皆さんに聞くと、コンセントから外れていたとか、コ ンセントのテーブルタップが壊れていたとか、コンセントの抜き差しするところのプラ グがゆるいとか、そういう問題点もありますので、そこら辺にも目を向けていただきた いという部分がある。  それと、そういうところの機械と人のあいだをつなぐ、あるいは先生たちと看護婦さ んたち、その機械とのあいだをつなぐ部分でインターフェースになり得るのは、臨床工 学のわれわれではないのかなと。そういう人たちが少ないのが非常に淋しいという部分 があります。  今、人工呼吸器のことでもいろいろ出ているものですから、最近、いろいろな人、あ るいは業界団体から保守点検をしてほしいということでいろいろなチェックリストを出 されているのですが、できれば今後、それがきちんと実施に移されているかどうかとい う部分を、業界団体のほう、われわれも技士会でやっている部分もありますが、調査し ていただければ助かるなという部分があります。  われわれとしては、これは技士会では人工呼吸器における安全対策マニュアルという のをつくりまして、できるところの県技士会等でいろいろやっているのですが、受講者 がものすごく多いそうです。これは参考として聞いていただきたいのですが。それは、 技士さんも多いのですが看護婦さんがものすごく多い。それだけ呼吸器の取り扱いにつ いての不安は、皆さん、多くおもちなのではないか。それだけトラブルも多いことも事 実です。  それから、インシデントのレポートの中で管理が不十分だったというのが機械の部分 で多いのです。この管理をだれがやるのかという部分で、皆さん全員でやるのはいいの ですが、不十分な管理というのは、以前は、たとえばこれは国公立なのですが、たぶん 修理予算などもないので工面しているという話をよく聞きますので、これは普通の民間 病院でも当然あるのかとは思います。最近では配慮しているのかどうかという部分もあ りますが、そこら辺も考慮していかなければいけないのかなと。  今の予算のことについていいますと、以前もほかの委員会、あるいはここであったか 忘れましたが、機器のメンテナンスにかかわる予算づけは、たぶん国公立の場合には大 型の予算がついているのかどうかわかりませんが、ほとんどが修理予算の中で動いてい く。そういう予算的な配慮も、安全を踏まえていく部分においては複雑に入り組んでく るのかなと。そういう感じがいたしますが、そこら辺、要点と私の感じた部分を述べた のですが、皆さんで検討していただければ助かるのではないか。最終的には人が少ない ということ、国公立の場合は組織化なされていない部分がありますので、それも人が少 ないという大きな要因ではあるかと思いますが。  以上です。 〇桜井部会長  ありがとうございました。重要な御指摘で、これだけいろいろな医療機械が病院の中 に入り込んで、それに対する担当の技士が必ずしも十分でないということと、それと修 理の予算ですか、そういうものも考えなければいかんということで。 〇星委員  個別の医療機関の中の問題、医者には情報がいくけど看護婦にこないみたいな話は、 ここで話すべきかどうかわかりませんが、先ほどベッドの話が出ましたが、非常に古い ものであったり、あるいは卸がつぶれてしまっているようなもの、これは医薬局さんは いやというほど経験されていると思います。後追い調査をしようと思ったら、どこに入 ったかわからない。これは古くはエイズの調査のときがそうでしたが、ああいうことが あり得るのですね。ですから、メーカーに、納入先に全部連絡しろというオーダーを出 しただけでは不十分でありまして、今生きている卸にはいいました、卸からいったに違 いありません、といって、ほんとうにすべての病院の少なくともだれかにそういう情報 が伝わったことが検証できているのかというと、これまでの例でいうと、もしできてい るならすごいと思いますが、たぶんできていないと思うのです。  今、情報の流し方が問題だといって、われわれの口もとまでもってこいという意見も あったのですが、必ずしもそうではないだろうなと。ですから病院の窓口を明確にする とともに、われわれも定期的に、たとえば厚生労働省なりどこかの窓口に見にくると、 そこにはずらっと並んでいて、そこを見ていないで起こった不具合は言い逃れできない よというような脅しではないですが、ですから、こういうところにアクセスしなさい。 インターネットをぼくは見られないからいやだというではなくて、インターネットがだ めなら、厚生労働省のロビーに置いてあるから見にこいというぐらいのことをしていか ないと、先ほどの調査の話もそうですが、業界団体だ、メーカーだといって、言葉は悪 いですが責任をどこまで感じているかよくわからないのです。というのは、つぶれてな くなってしまったメーカーもいくらでもあるわけですから。  そういうことを考えると、それなりの努力を、厚生労働省でも窓口をつくる、われわ れの中でもそういった責任分担をきちんとしていく。これは厚生労働省にしかできない 仕事と、われわれがしなくてはいけない仕事と分けて検討して明確にしていけばいいこ とだと思います。 〇外委員  いろいろ総論的な意見が出ていますので、私の感想を述べさせていただきたいのです。  この対策部会の役割として、今、進行中のことをいろいろお話しいただきました。そ して、こういうネットワークをつくってインシデントレポートを収集して、その分析を やる。インシデントレポートを収集する部会もあるようですし、それを分析してその結 果を私たちの部会にもってくるのだと思うのです。そうすると、Aという薬とBという 薬が非常にまぎらわしくてリスクが高いから、では名前を変更しようとか、あるいはこ こで盛られているように、たとえば動脈の接続ラインの外れる可能性があるので、これ は生命に危機的問題を起こすから、動脈ラインは必ず接続が外れないような工夫をしな さいということで、この委員会で話し合って器具を改良するとか、そういうことがある のだとは思います。  それで発展的なことが、事故防止という意味では一つのプラスになると理解します。 そしていろいろなデータベースを集めることによって、わが国全体のリスクの評価と対 策が打てるということもよくわかります。  ただ、インシデントレポートはあくまでインシデントレポートでありまして、それ以 外に実際に現在も事故が起こっていて、アクシデントが起こっているわけです。そして、 それはアクシデントレポートとしてむしろマスコミからいろいろな報告がなされている。 あるいは不具合報告として、別のシステムとして医療用具や医薬品に関しては報告制度 があって、そちらで分析ももちろんあるわけです。  そういうのを踏まえてこの部会では、あるいは厚生労働省では、緊急に対策をとって いこうということだと思います。ペーシェント・セーフティ・アクションということま でつくって医療安全を最優先すべき課題として取り上げていることもよくわかるのです が、ただ話が最初のことに触れるのですが、輸液ラインと栄養ラインの誤接続が事故と してありました。そして患者さんが実際に亡くなっている。その後も起こっています。 そして、先ほどの部会では、去年の8月に局長通知で全国に指導しているわけです。し かし、私は驚いたのですが、現在、シェアといいましょうか実施率といっていいでしょ うか、30%ぐらいという評価でした。  これでは、ほんとうに真剣に取り組んでいるとはぼくは思わないです。30%という報 告を受けた段階で、これは別に緊急にそれに対して分析して、どうやってそれを 100% にできるのか、あるいはできないとしたらどういう問題があるのか。いろいろな意見が 出ました、ユーザーの問題など。ただ、局長通知で医療安全のためにはこういう方法だ と決定したわけですから、それは分析的にも間違っていないと思うのです。接続を誤る 可能性があれば、必ず間違いは起こり得る。それに対して、このさきの委員会でも、あ るいは局長が、そういう間違いを防ぐためには、医療安全のためには、輸液ラインと栄 養ラインが間違わないように、栄養ラインの注射器は点滴ラインと合わないようにしよ う、それでこそ医療安全が保たれるとして通知したにもかかわらず30%。それがそのま ま放置されているようでは、たとえばこれからいろいろな分析をやって通知を出しても、 一緒だと思うのです。  ですから先ほどの反省を踏まえてというか、何が必要で、あのときは早急にそれを打 つことが医療安全につながるとみんなの合意だったと思うのです。そのときにもしユー ザー側の、あるいは価格的な問題が検討されなかったらそこは問題ですが、そういうこ とを踏まえてでも医療の安全を最優先するという合意のもとで決定したことですから、 それを徹底して日本の国の中で、少なくとも大学病院なり特定医療病院では守っていた だきたいと思うのです。しかもそれは厚生労働省で指導できることですので。それがも し30%であれば、ぼくは非常に残念なことだと思います。そこのところを抑えていかな いと、いくら口でいっても、あるいは分析しても、最終的な実効はあがらないのではな いかと思っています。 〇桜井部会長  ありがとうございました。いろいろ御意見をいただいたのですが、伺っていて一つ感 じましたのは、もちろん情報をよく集める、情報をよく伝達することは当然なのですが、 そのうえでデータベースをつくる。これはホームページかなにかをおつくりになる予定 ですか。 〇安全使用推進室長  はい、インシデント事例の。 〇桜井部会長  あと、受入れ側の問題としては、病院の中にリスクマネージャーという窓口があった ほうがいいように思いますね。そこを通して情報がいろいろなところへディストリビュ ートされるというような。今は看護婦さん、お医者さん、薬剤師さん、いろいろあって、 それぞれに全部というのもなかなか大変なので、将来的にはリスクマネージャーのよう な担当の窓口が設置されることが必要になってくるのではないですか。そんなことを感 じました。 〇安全使用推進室長  ただ今のインシデント事例の部分に関しまして、本日御欠席でございますが原田委員 からメールで御意見をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。  インシデント事例について、今回、11月21日に公開された事例は、ほとんど報告が生 の形で出ているにもかかわらず、病院でまとめた形になっており、その趣旨がよくわか らなくなっている。本部会で一次資料として使えるデータにするには、フォームのつく り方を含め、どういう集積法、どういう公表利用の仕方をしていくのかを、本部会でき ちんと詰めていく必要があると強く感じている。それは、インシデント事例から個別問 題事例を挙げていくのは別問題として、既に開始されているデータ収集に関係すること だけに、大至急議論すべきではないかと思われる。 〇桜井部会長  それは次のこととも関係するかと思いますので、次へ進めていただいて議題の5番で すが、資料2−5−(1)の説明をお願いいたします。 〇事務局  議題5に関して、事務局より御説明申し上げます。資料2−5−(1)及び(2)を御覧いた だきたいと思います。このうち、資料2−5−(2)に関しては、本日お配りしている議事 録の中から、特に今後の議論の進め方に関連する部分をわれわれのほうで抜粋いたした ものでございますので、御参考にしていただければと思います。今からの説明は、資料 2−5−(1)をもとにさせていただきます。  医薬品・医療用具等対策部会における議論の進め方(案)ということでございますが、 前回、8月8日に開催されました部会の議論を踏まえまして、医薬品・医療用具等に係 る医療事故を防止する観点から、以下に示した手順に従って議論を進めてはどうかとい うことでございます。  この資料は大きく五つの項目に分かれておりまして、まず検討課題の選定という点で 整理いたしております。2ページは具体的な検討方法、そのほか五つに分けてございま すので、順を追って説明いたします。  1ページの「検討課題の選定等」に関しましては、(1) ないし(2) に該当するもので あって、かつ本部会において検討課題とすることについて合意がなされたものを検討課 題としてはどうか、ということでございます。  まず(1) は、医薬品や医療用具等に起因する医療事故を未然に防止するための基本的 な考え方、あるいは各製品に共通な基盤整備の問題あるいは体系の構築といった大きな 観点からの医療事故防止のための方策、こういったことを本部会で検討してはどうかと いうことでございます。本日もかなりこの辺の御意見があったかと存じます。  2番目として、個別の事例に関しても併せて検討するということで考えてはどうかと いうことでございますが、そのアイテムとしては(1)から(3)まで示してございます。まず、 医療安全ネットワーク整備事業によりまして収集されたインシデント事例。(2)として、 各委員が所属する組織あるいは団体等において、いろいろ集められた事例であって、本 部会に対して提起されたもの。(3)として、そのほか、委員または事務局が本部会で検討 すべきと判断しまして本部会に提起された事例。こういったものに関して、個別事例と いうことで検討を重ねてはどうかということでございます。  2ページは、そういった検討課題に関してどのような形で具体的に検討していくかと いうことでございます。各個別事例に関しては、原因の詳細や改善方法を検討するため に、本部会の下にワーキンググループを設置してはどうかということでございます。こ のワーキンググループは、本部会が必要と認めた場合に設置しまして、その構成員に関 しても委員の了承を得て確定するという手続きを踏んではどうかと考えております。  このワーキンググループは、適宜、該当品目等の関係者の意見を聴取するなどしまし て、所要の検討を行うというふうに考えております。このワーキンググループで検討さ れた結果に関しては、ワーキンググループを代表する方によって本部会に報告するとい う形での検討を考えております。  この検討結果の審議、措置はこの部会での取り扱いになると思われますが、2点ほど 整理させていただいております。  まず検討結果につきまして本部会で審議し、その意見をとりまとめることとしてはどう か、ということでございます。そして、そのとりまとめられた意見を踏まえまして、製品 の改良とか基準の整備、あるいは関係者への情報伝達等、所要の措置を講ずることとして はどうかと考えております。  そして、これも議論がなされておりますが、4番として講じた措置の評価ということで ありますが、製品改良あるいは基準の整備、情報伝達という講じた措置に関して、適宜、 本部会において客観的な評価方法等を検討したうえで評価を行っていくということでござ います。  これらの審議結果及び措置、または措置に対する評価をどのように報告していくかとい うことでございますが、本部会の上部組織でございます医療安全対策検討会議に報告する というふうに考えております。もちろん、広く医療関係者、あるいはそのほか国民に対し ても情報伝達、公表ということは考える必要があると思っております。  以上、今後の議論の進め方について、われわれのほうの案ということで御説明いたしま した。 〇桜井部会長  ありがとうございました。ただ今御説明のありました議論の進め方、何か御意見いただ けますでしょうか。 〇星委員  この議論の進め方と直接かどうかわかりませんが、先ほどお話がございましたが、普及 をしない理由をよく考えろと、さも現場が悪いみたいなことをいわれたので、私としては そうではないと思っておりますが。たとえばこれから議論しようとしているものの一つに 輸液ポンプというのがあるのです。輸液のポンプというのは、 200床の病院があったら何 十台かあるのですね。そして、たぶん1台数十万円するのだと思うのです。これを安全規 格品にしましたから、あしたから全部病院で使いなさいとたとえば委員がおっしゃるので あれば、買って届けてくださいよ、ということになるわけですが、買って届けてください よというわけにはいかないとなれば、実は混在している状況のほうが危険だという認識も あるわけです。  そういった混在をしないために、製品の開発を安全にシフトしたものにつくっていく。 その結果が値段が高い安いかは別としてですが、そういった製品の性質に合わせてどうや って現場に普及させるのかという議論がここで必要だろうと思うのです。  たとえば今の話に関していえば、たとえば10年もつんですよ。メーカーは7年といいま すが、われわれのところでは、へたすれば10年、15年使います。現実にそうしなければな らない経済状況にもあるわけです。でも、安全のためなのだから使いなさいという。しか し、経済的なインセンティブが全くないなかで混在をすることのほうが危険だとすれば、 あえて新しいものに手を出すのをためらう可能性がありますね。ですから、たとえば税制 上の優遇措置、あるいは予算上の措置、古いものを買い取ってあげますとか、あるいは補 助金を出しますということがあるのかもしれません。そういったものをセットにしていか ないと、現物はできました、はい、買いなさい。50万円もするのを 100台買いなさい、 200台買いなさい、知りませんよ、というのでは、普及をしない。  医療現場の努力が足りないということにもしされるのであれば、ちょっと待ってくださ いよ。たしかに安全なものに手を出したい。しかし手を出していくためにどれだけの犠牲 を払うのか。われわれとしてもそのことを十分に考えながらやる。しかし、もしその製品 の特性に合わせてそういった措置をとってくれるのであれば、よし、頑張ってやってみよ うかということを考える医療機関はもちろん出てくるわけでしょうし、そういうことが、 一朝一夕に全部が取り替えられるとは思いませんが、安全に対する意識を高めることにも つながると思いますので、決して高いお金が必要でないので、局長、よくお考えいただい て、現実に今も税制のスキームなどがあるわけですから、そういったものが文句をいわれ ない範囲でどのぐらいのことができるのか、先ほどの輸液ラインの話もそうですが、厚生 労働省としての考え方をぜひ次回までに整理していただく。そういう議論があったうえで ブツのことについてワーキンググループで具体的な中身を詰めていくということを、どう でしょう、この部会でお考えいただく一つのテーマということにならないでしょうか。 〇桜井部会長  ありがとうございました。これは非常に重要な問題でして、昨年の5月16日にこの前身 の検討会が始まったときも私は二つのことを申し上げました。一つは、安全のためにはハ イテクを使わなければいかんだろう。それから、安全はただではないのだよ、安全はコス トがかかるのだよということを申し上げたのです。今の星先生の御提案というか御提起は、 安全のコスト負担をどうするのかということに帰すると思うのです。これはいったいだれ が負担するのか、メーカーなのか医者なのか国民なのか、その辺はきちんと考えないと空 念仏に終わる可能性があるということで、大変重要な御指摘だと思います。これは次回ま でにというお話だったのですが、何かお答えなりコメントなりありますか。 〇医薬局長  部会長がおっしゃいましたように、非常に重要な指摘でありますので、一つ事項を立て てわれわれも問題意識をもって対応していきたいと思います。いちばん最初の問題にあり ました定期的に調査しながら、どれほど進んでいるかというのをフォローアップするのと 同時に、おっしゃるように実効性が上がるようなどういうインセンティブをつけていくの かという両面必要かと思いますので、ここで検討する事項を一つ立てて対応する必要があ るかなと思っています。 〇桜井部会長  そういうことでよろしいですか。私としても、今の問題は当然この委員会で十分検討を したほうがいいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そのほか、何かございますか。 〇井堂委員  2の具体的な検討方法のところですが、各個別の事例等について原因の詳細や改善方法 を検討するため、本部会の下にワーキンググループを設置する。2番目に、本部会が必要 と認めた場合は設置して、ワーキンググループの構成が本部会の委員の了承を得て確定す る、ということがあります。こういった一つ一つの品目のことについては、たとえばJI Sで規格委員会をつくって、そこでいろいろ検討しているわけです。そしてそれがJIS のことに組み入れられていることを考えれば、そういった委員会の上にこういったものを つくって決めてしまうことについてはいかがなのでしょうか。 〇安全使用推進室長  井堂先生の御指摘はJISのことだと思います。医療用具に関するJISについては、 事務的には経済産業省が扱っておりますが、医療用具に関するJISの内容の部分は厚生 労働省が主幹大臣としてかかわっておるわけであります。実際には、われわれの同じ局が 扱っております。  このインシデント事例のワーキンググループあるいはこの部会とJISとの関係は、上 下関係ということではなくて、JISは基本的に標準化ということを目的としております ので、並列の関係にあろうかと思います。ここの部会でいろいろなインシデント事例が挙 がってくる、あるいは医療事故の問題が挙がってきて、それの対応として製品の標準化と いう観点でJISに盛り込んだほうがいいような内容があるのであれば、それはむしろこ ちらがJISの検討をされている先生方にそういった内容を持ち込んでいく、そういう形 で交通整理をしたいと考えております。 〇井堂委員  JISというのは大体機械の規格とかそういうことで、今までのJISというのは生体 性についてのことが審議されていないということで、こういったリスク管理の部門をたと えばJISに組み入れることになれば、中の審議方法とか、あるいは経済産業省と厚生労 働省とのもっと綿密な連携がなければなかなか前に進まないと思うのですが、どうでしょ うか。 〇医療機器審査管理官  たぶん同じような質問を前回もいただいたと思いますが、医療用具のJISにつきまし ては、基本的には私ども厚生労働省が中心に進めていくことになっておりまして、その後、 事務的な手続きは経済産業省が行っているわけでございます。そういう意味で、私ども審 査管理課のメンバーもJISの委員会に入っておりますし、ここでいただいた意見をJI Sの原案策定委員会につないでいくことはできると思います。  したがいまして、ここに設けられるワーキンググループの中にどういうメンバーを入れ るかということについて、いろいろ方法はあると思いますが、連携はうまくとっていける ものと考えております。 〇桜井部会長  ただ、問題はスピードなのです。JISでの私の経験ですと、2000年の12月に国際基準 でリスクマネジメントの17941 でしたかが制定されたのです。まだJIS化になっていな いです。非常に時間がかかるのです。もう1年ぐらい空費といっては悪いのですが、翻訳 その他はできているのだけれど、なんとなく時間がかかっている。今の御指摘は、それは JISとの関連があって十分やるというのはよくわかるのですが、それが2年、3年かか ってようやくできましたというのでは困るので、スピードアップというのは非常に大事だ と思います。 〇医療機器審査管理官  たしかに桜井先生がおっしゃるように、JISについては通常、5年に一度の見直しを 行うことになっております。しかしながら、先生が御指摘のとおり、メディケーションエ ラーのものについては迅速に対応する必要があるということで、手段としましては、JI Sの基準以外に、たとえば行政指導レベルになりますが承認基準というものを製品の中に 設けておりまして、そういう中に取り込んでいく方法、あるいはさらに安全性の問題で特 に重要と思われるものについては、薬事法の42条の規定に基づいて厚生労働大臣の基準を 設ける、こういうことで迅速に対応できると考えております。 〇桜井部会長  ありがとうございました。 〇宮城島委員  2ページの中の評価についてお願いがあります。今、星委員からユーザーの立場での発 言がありましたが、メーカーからしますと、製品を改良するには莫大な設備投資が必要で す。設備投資で改良したにもかかわらず利用されなかったり、あるいは利用上に問題があ ると、なんのためにやっているかわかりませんので、ワーキングで改善案を策定後、でき るだけ早い機会に評価をするようなシステムをつくっていただいて、そのうえで製品化を 考えていただければと思います。そうしないとほんとうの安全対策にならないのではない かと思いますので、その点はぜひお願いしたいと思います。 〇桜井部会長  今の星先生の御提案は非常に重要でして、今、日本は不景気ですね、これは安全という ことを軸にして一つの安全産業というか、そういうことまで広がる可能性があるのではな いか。そうすると当然、そのインベストメントが必要になってくるわけで、それを国とし てどう考えるか。それは税制の問題もあるでしょうし、あるいは補助金の問題もあるし、 いろいろなやり方はあると思うのですが、そこまで考えを広げて、やり方によっては経済 活性化にもつながってくるのではないでしょうかね。安全というとむだなカネという感じ がもたれるのは非常に残念でして、そうではなくて非常に大事なことなのですね。当然、 国として投資するとか、あるいは企業としても投資するというものの考え方が大事だと思 って、今の御指摘は重要なことだと思います。 〇北澤委員  個別事例の選定の方法でここには三つ挙げられているのですが、医療用具や薬もそうな のですが、実際に使っているのは患者なので、患者のグループとかそういった団体などか らも、たとえば自分が使っているこれはこの辺が使いにくいとか、この薬とこの薬はよく 似ているねとか、そういった声をうまく集めるような仕組みがあればいいなと思います。 それが、ひいては患者自身が医療の安全に自分も参加することにつながるのではないでし ょうか。 〇桜井部会長  ありがとうございました。この辺はどうでしょうか。 〇事務局  この点に関しては、議論の進め方ペーパーの1ページの(3)で、抽象的ではありますが、 たとえばわれわれが患者の方々からいただいた意見があれば、そのつど委員の方々と相談 し、本部会としての手続きを踏んだうえでいろいろ検討していく道はあると考えておりま すので、今の北澤委員の御意見に関しては、(3)の中でわれわれも反映しているという理解 でおります。 〇安全対策課長  消費者あるいは患者の皆さんからダイレクトに安全対策課あるいは厚生労働省にくると いう性格の部分なのですが、現在のところ、たとえば医療用医薬品などについては直接の 制度としてのシステムはありません。ただ私どもは、先ほどの井堂先生の御指摘にもある のですが、健康機器管理に関する情報がありました場合には、どなたからでもいつでもい ただきまして、厚生労働省一丸となって対応をとりまして運用しているというところがご ざいます。  あと、事務局から申し上げましたが、積極的に、国民の最大の関心事項でもありますし、 私どもが国民の声を聞く仕組みを検討していきたいと考えております。ありがとうござい ます。  あと、付属の情報になりますが、具体的には厚生労働省にメールをいただく御意見箱な るものがございます。どんどん日々回ってきておりますし、そういう格好でこちらからも できるだけお答えするようにしております。  また、少し話が長くなりますが、どう患者さんとか国民の方にフィードバックをしてい くのかということについても、研究班を今年度から立ち上げまして、言葉のような方法論 などについても今、鋭意進めておりますので、ぜひお力添えいただきたいと思います。 〇桜井部会長  よろしいですか。日経メディカルでもそういう案をつくったようなのですが(笑い) 。  ほかに何か御意見はよろしゅうございますか……。では、議論の進め方というのは大筋 で皆さん方の御了承を得たように思います。ただ、医薬品や医療用具などに起因するとい うところに、設備とかそういうものも含めていただいたほうがいいですか。 〇目黒委員  前回はそのようなお話を伺ったような気がしているのですが。 〇桜井部会長  それは一つ……。 〇安全対策課長  含めます。 〇桜井部会長  それから、患者さんからの声を集める。非常に大きな問題としては、安全のコスト負担 をどうするか。 〇鶴田審議官  それは1番でよろしいのではないですか。 〇桜井部会長  そうですね。これはぜひ入れていただきたいと思います。  そのほか、特に御意見がなければ、大体大筋ではこれでいくということで、これに重要 な事項をつけ加えて。 〇安全使用推進室長  もう1件、原田先生が御欠席でございますが、この部分に関してメールで御意見をいた だいております。これも読み上げさせていただきます。  議論の進め方について。ワーキンググループをつくることはけっこうであるが、それ以 上に本部会で何をどう議論していくのか、特に具体的に各委員が感じている本部会で議論 すべき問題をどうやって吸い上げて机上に載せていくのかを明確にしていただきたい。 〇桜井部会長  そのことは、委員または事務局が検討すべきと判断したという項もあるので、ここで取 り上げることは可能ですね。 〇安全使用推進室長  はい、そのとおりです。原田先生がおっしゃっているのは、そういうふうに書いてある のは個別事例の話で、1の(1) の部分は何も書いていない、そういう御指摘のようですの で、ここは字句の修正をさせていただきたいと思います。 〇桜井部会長  では、総論のこの部分は大丈夫ですね。  あとは、先ほど御紹介のあった原田先生の御意見で、一次情報をどのようにうまく生か すかということもここへ入れていただければと思います。  ほかに何か御発言はございますか。 〇藤上委員  ここはもののことを考える部会ということなのですが、たとえば医薬品とか医療用具の 名称とか容器とか仕様、そういったものの識別が困難といった類似性の問題、それと今日 いろいろ議論なさっていたことを解消するということは、不注意なミスを減少させる一つ の方策としてほんとうに意義のあることではないかと思うのですが、発生している医療事 故の本質を明らかにしないまま周辺のことを議論していても、抜本的な対策にはならない のではないかと思うのです。そういうことを明らかにするようなワーキンググループも必 要かなと。 〇桜井部会長  たとえばどういうことでしょうか。 〇藤上委員  医療事故は不注意なことで起きることもあるのですが、一つは医療の安全を確保してい くためには、まずはめんどうくさがらないこと、時間がかかるからいやだということでは ないこと、あとはマンパワーの問題が非常に大きく出てくるのではないかと思うのです。 そういったことも含めて議論していただけるとありがたいと思うのです。 〇桜井部会長  それはおっしゃるとおりだと思います。それはヒューマンエラーの部会もありますし、 医療安全対策検討会議でも議論されている問題ですので、先生、お気づきの点は逐次この 部会で御発言いただければ、それは上へ挙がっていくという形はとれると思うのですが、 そういうことでよろしゅうございますか。主としてものということ。 〇望月委員  資料2−4−(2)ですが、3ページのこの表はただ単にものの側面からの要因の分析だけ になっております。おそらく別の要因も絡んでいるということで、医政局がクロス集計も 試みていらっしゃいますが、もの以外の要因分析は十分ではありません。今の藤上委員の 御意見に関連するエラーの発生した時間帯、ヒトの問題(経験年数や、配置など)が分か るように、ここに表現されることが、ものを検討する場合でも必要ではないかと思います。 〇桜井部会長  これは、ヒューマンエラー部会でもものの部会でも、安全というのは一つなのですから、 お互いの相互乗り入れがあってもいいし、クロストークがあってもいいし、その辺も一つ。 〇安全対策課長  具体的に望月先生に詳細を教えていただいて、先ほどお約束した医政局との話し合いの 中に反映させていきたいと思っております。 〇桜井部会長  ほかはよろしいでしょうか……。 〇安全使用推進室長  ワーキンググループのことで、今までの御議論を含めまして、これまで少し作業をして きているものもありますので、事務局で提案させていただけますならば、当面、ワーキン ググループとして輸液ポンプ、シリンジポンプに関するものと、このインシデント事例の 個々の事例なりインシデント事例の全般に関する事項を御検討いただくワーキンググルー プ、以上二つのワーキンググループを当面、設置させていただきたいと考えますが、いか がでしょうか。 〇星委員  書面をもって示していただくのがいいのでしょうけれども、メンバーその他についてこ こで議論して決めることになっていますが、緊急性のあるものもあるのでしょう。シリン ジポンプはそういう意味では一回、途中まで検討している経緯もあるので、早急に立ち上 げるように努力をしていただきたいというのが1点です。  もう1点は(2) の(2)でありますが、日本医師会でも御存じのとおり医療安全機材開発委 員会で、たまたま今日の午後あるのですが、そこでまさにどういうわけか、今のシリンジ ポンプ、輸液ポンプについての現場の声を反映したうえでの基準の案をつくる予定でおり ます。ですからそういうものもその検討の場に提出させていただいて、早急に改善が進む ことを望みますし、先ほど申し上げたこととセットで、つまり税制その他とセットで議論 が早急に進むことを期待します。 〇桜井部会長  ありがとうございました。この点はよろしくお願いいたします。  ほかはよろしいでしょうか……。では、どうもありがとうございました。 紹介先 医薬局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2744)