小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会 (第4回議事録)    第4回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会                  議 事 録          厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課  第4回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第         日 時:平成13年12月5日(水) 14:00〜16:00         場 所:厚生労働省専用第21会議室            (第5合同庁舎(厚生労働省)17階)         1 開  会         2 議  事           (1)資料説明等           (2)自由討議           (3)その他         3 閉  会 ○森本補佐  事務局より傍聴の皆様にお知らせします。 傍聴に当たりましては、注意事項をお守りくださるようにお願いいたします。 委員の出欠について御連絡申し上げます。本日は、神谷委員が御欠席ということになっ ております。あと、南委員と山本委員は、30分ほどお遅れになるということです。雪下 委員は、もうすぐお見えになるというふうに連絡をいただいております。  では、座長よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  それでは、ちょうど雪下委員もおいでになりましたので、ただいまから第4回の小児 慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会を開かせていただきま す。 お忙しいところをお集まりいただいて、ありがとうございます。 最初に、事務局から1件連絡がございます。お願いします。 ○森本補佐  事務局より御連絡申し上げます。 副座長を務めていただいておりました神谷委員から、今後、出席ができなくなることも ありますので、副座長を代わっていただきたいという御連絡をいだいたところでござい ます。副座長は座長が御指名いただくこととなっておりますので、改めまして副座長を 座長に御指名いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  それでは、柳澤委員にお願いできればと思います。指名させていただきますけれども 、よろしいですか。 (拍手起こる) ○鴨下座長  それでは、お願いいたします。  それでは、早速、事務局の方から本日の配付資料の確認と、簡単な御説明をお願いで きますでしょうか。 ○森本補佐  事務局より御説明申し上げます。  第4回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第 が正面にございまして、1枚めくっていただきますと資料1が検討会の設置の趣旨。  更に、資料2が委員名簿でございます。  資料3から本日の説明資料の本体に入りまして、更に、その中に資料1から資料6ま でが入っているところでございます。これにつきましては、ページの一番下の下部中央 に通し番号のページを振りましたので、今後これに基づきまして御説明、御質疑いただ きたいと考えております。  以上でございます。 ○鴨下座長  お手元に皆さんございますね。  それでは、本題に入りますが、まず、対象疾患、対象者を医学専門的に検討するため のワーキングチームの設置と、検討会の今後のスケジュールにつきまして、事務局の方 と私とで相談いたしましたので、それについて御説明をお願いしたいと思います。 ○谷口母子保健課長  それでは、私の方からただいま座長の方からおっしゃっていただきました件につきま して、御説明を申し上げます。  前回の議論を受けまして、対象疾患、それから、対象患者さんを医学的な視点から専 門的に御検討いただくためのワーキングチームというものを設置することと、それから 、今後の検討会のスケジュールにつきまして、資料をもちまして御説明を申し上げたい と存じます。  前回の検討会では、対象疾患と対象患者さんの在り方につきまして御議論をいただい たわけでございますけれども、今回以降も引き続き御議論いただきたいというふうに思 っているわけでありますが、これは極めて医学的な視点から専門的に検討いただく必要 がございますので、小児慢性疾患が御専門の鴨下委員、柳澤委員、山城委員、加藤委員 、諸先生方をメンバーといたします「小児慢性疾患ワーキングチーム」とでも申しまし ょうか、このチームをおつくりいただきまして、鴨下委員を座長として設置をしていた だき、基準づくりなどの作業をその場でしていただければということを考えております 。  そこで、本日はワーキングチームの作業となりますような基準についての基本的な考 え方を中心に、御議論をいただければというふうに考えておるところでございます。  次に、検討会の今後のスケジュールでございますけれども、これにつきましては、資 料の後ろの方に資料6というものをつけさせていただいております。ページで言うと43 ページでございます。一番最後でございますが、こちらの方のスケジュール案をごらん いただきたいと存じます。対象疾患と、それから、対象患者さんの在り方について、特 に議論をしていただくということで、今後のスケジュールについては、座長と相談させ ていただきました結果を今回お示しすることにいたしておりましたが、それがこの資料 でございます。関係者のヒアリングにつきましては、これまでは小児慢性特定疾患治療 研究事業の見直しの論点というものをある程度整理をしましてから、それをお示しして ヒアリングという段取りが適当かなというふうに考えておりましたけれども、基本的な 対象疾患、対象者の在り方を考える上では、早く御意見を承っておいた方がいいという ふうなこと、患者さんの方からもそういう御要望もあることも併せまして、次回にもヒ アリングを行わせていただければというふうに考えておるところでございます。  なお、対象とする団体と、それから、ヒアリングの内容等につきましては、具体的な 手続等について座長の御指示の下、患者団体の小林委員と御相談をいたしまして判断を してまいりたいというふうに考えております。とりあえず、ヒアリング内容につきまし ても、できれば今日御検討いただきたいというふうに考えておりますので、そのたたき 台と申しますか、議論の骨子のようなものを資料4におつけいたしております。ページ で言うと39ページでございますけれども、この辺も資料を後ほどごらんいただきながら 、今日の中で御議論をいただければというふうに思っているところでございます。  以上が、座長と御相談をさせていただきました結果についての御報告でございます。 よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  何か今の御説明に、御質問、御意見等ございますか。よろしいでしょうか。  それでは、ワーキングチームの先生方には改めてよろしくお願いしたいと思いますが 、特に、御質問等がなければ、本日の資料を事務局の方から御説明いただきたいと思い ます。 ○森本補佐  では、本日の資料について御説明いたします。お手元の資料の資料1、1ページをご らんください。  これは、前回の主要議論点をまとめたものでございます。簡単に御説明いたします。  前回、親の会の共同アピール関係で次のようなアピールがあったというところでござ います。概要を簡単にまとめさせていただきました。  治療研究、病気と闘う児童支援システム、教育、就学関係、在宅福祉・医療制度の支 援体制、医療費補助・手当充実等々、相談機関の整備、地域間格差の是正、職業訓練・ 斡旋機関の設置、難病者雇用・通院支援制度、医療費の公費負担でございます。  次に、保健福祉相談センターの状況を御説明いただいたところでございますが、これ におきましては、相談の多い内容といたしまして医療福祉制度、日常生活、社会生活、 精神面の療養、患者家族会の問い合わせ、保健所や通院施設等からの病気についての相 談が多いと。  相談状況から考えられる課題といたしましては、保健所を中心としたネットワークづ くり、医療費に掛かる交通費等の自己負担、日常生活用品の負担、対象疾患の拡大、相 談等精神的サポートである。  患者・家族の経済的負担関係については、資料を御説明申し上げましたが、これにつ いては、まとめますと医療費以外の経済的負担としては、いわゆる差額ベッド代、患者 の病院までの交通費、付き添い家族の宿泊費・交通費が掛かる、紙おむつ代等の日常管 理の費用が掛かるということでございます。  あと、対象疾病・対象患者の基準関係ですが、次のことをどうするか検討する必要が あるということで、一部の明らかな急性疾患が今小慢に入っていますが、その扱い、慢 性というものの治療期間の共通認識が必要である、あと、治療法の確立による重症度の 再判断、治療手術の後のフォローをどう扱うかということでございます。  ちなみに、個々の医学的な知見についても御意見をいただいたところでございますが 、これについてごくごく簡単に申しますと、医学的には慢性というのは半年以上ではな いかあと、経過観察は対象外とするのが適当だが、同じ経過観察でも薬物療法はまた別 ではないかという意見もありました。  また、一定の疾患については急性疾患としてもいい。  また、逆に、急性疾患である川崎病についても慢性として取り扱うべきではないか。  また、喘息についての扱い。  あと、6か月を慢性とするというのは、必ずしもこだわらなくていいのではないかと いう御意見。  あと、断続的に症状が出た場合の対象の取扱い。  心疾患について対象とすべきかどうかという問題、扱い。  病気だけを単位として対象を決めた場合、あれが入っていない等の不公平が出るとい う御指摘があったところでございます。  また、先天性心疾患については、日常生活に関して全く普通となる場合もあるが、そ うではない場合もある。  重症度を基準化するのが、この検討会最大の基準であるということで、今回その資料 をお出しするわけでございます。  医療費だけなら、補助ならばどういう基準化をしていくかが決まるが、その他の要素 を考えると、どうなるかなかなか決まらないのではないか。  あと、やはりこれまでの小慢にはかなり歴史的な経緯によって入っているものが多い ので、やはりきちんと困った方を対象にすべきということです。  あと、家族の負担、子どもの心身的な負担をできるだけ軽減することが見直しの柱で はないかということ。  あと、個々の専門分野ではバランスのある発言をされる専門医でも、全体を見渡した 議論はなかなか不得手ではないかという御指摘です。  内分泌疾患が医療費の40%を占めているが、個人的な意見ではあるが、こちらを少し 神経・筋疾患に回すべき。  また、最終的にはどれだけ困っているかを数量化するアイデアがあればいいのだがと 。  あと、日常生活障害論になるが、外見で差別を受ける方をどうすべきか。  治療研究という視点からは、患者登録を引き続き進め、別枠予算で研究を二本立てで 行いたい。  最後ですが、小林委員から疾病の追加のため、患者団体が苦労しておられるので受け 入れのきちんとした体制・仕組みをつくれないかというこでございます。  あと、今後の進め方ですが、患者団体等のヒアリングを行うこととしたいということ でございます。  資料2について御説明申し上げます。 ○宮本補佐  私から、資料2の方を説明してまいります。  こちらの資料なんですが、今後の小慢制度でどのような疾患や患者さんを対象にして いくのか、イメージをもう少し具体的にしていくという材料になればということでまと めたものでございます。  内容は3つございまして、1つ目は、疾病をとらえる視点の具体的な項目ということ でありまして、これまで御議論いただいた中では多面的に一つ一つの視点というものを 組み合わせていって、対象患者さんと対象疾病等を決めていくというような内容であっ たかと思いますけれども、そういうものをより一層具体的にまず持っていただいて、そ れ以降のお話を聞いていただければということであります。  2つ目は、小児期の保健医療水準の動向ということで、小児期が生涯におきまして疾 病という視点から見てどういう位置にあるのか。それから、小児医療の進歩がどうであ ったのか、そういった全体的な視点というものを全体像をつかんでいただければと思っ ております。  3つ目でありますけれども、小児期の慢性疾患の主要なものを取り上げて簡単に解説 しております。慢性疾患から、全体のイメージをつくる細かい部分から全体像をイメー ジしていただければというふうに思っているところです。  このように個別と全体、両方の視点で全体像のイメージは何とか持っていただけるよ うになればと、こんなふうに思っております。  それでは、めくっていただきまして、6ページのところから話を進めてまいりますが 、まず「疾病を捉える視点」ということでありますけれども、疾病そのものの属性とい たしまして、経過、その疾患が急性疾患であるのか、慢性疾患であるのか、そういった 経過という視点。  それから、他覚的臨床症状・病態というようなものとしまして、発熱、出血、感染、 浮腫、意識障害等々あるのではないか。  自覚症状としまして、痛み、疲れやすさ、息苦しさ、そのようなものがあるのではな いか。  治療法としましては、注射、内服薬、吸入等の薬物療法、それから、食生活や運動な どの生活療法、手術療法、それから、それぞれの療法の頻度というような視点。  予後といたしましては、生命そのものの予後でありますとか、疾病にかかっておりま す臓器の機能がどれくらい維持されるのかというような臓器の機能の予後、治療期間の 見込み、そういった視点があるのではないかということです。  疾病そのもの以外の視点としましては、疾病の治療体制であるとか、それから、患者 さんの数、患者さんの数は、少なければどうしても医療機関が得意なところにかからな ければならないというようなこともあるかと思いますけれども、そういったものを併せ て視点というものがあるのではないかということであります。これは、あくまでも例示 でありますので、ほかにもいろいろあるかと思いますので、こういった具体的なものを 少しイメージしていきながら、次にお話を進めてまいりたいと思います。  7ページでありますけれども、ここは先ほど申し上げたように「小児期の保健医療水 準の動向」ということで、全体像をお示ししております。上に示しておりますグラフは 、年齢階級別の受療率ということで、入院と外来それぞれについて、ある一時点でどれ くらいの割合の方が医療機関に通っていらっしゃるか、入院していらっしゃるかという ことを示したもので、人口10万対の値を示しておるところです。  それから、下の方は年齢階級別死亡率ということで、これも同じ人口10万に対しまし て、それぞれの年代でどれくらいの方が毎年亡くなっていらっしゃるのかという数であ ります。  動向を見ていただきますとわかりますように、まず、上の受療率からですけれども、 0歳では入院が10万対に対しまして1,391、外来が6,258という値になっておりますが、1 0歳から14歳の区分において入院が最低になりまして138、それから、15歳から19歳の区 分において外来が最低になりまして1,920、このように年代が上がるにしたがいまして低 下いたします。その後、年齢が上昇するにしたがいまして、どちらともだんだん上昇す るということでありまして、10歳代というところを中心に、小児期というのは比較的病 気が少ない時期であるということであります。  死亡の視点におきましても同様でありまして、0歳において10万対で340.5ということ で一番高い値を取った後、1歳から4歳では33.0、5歳から9歳では13.3、10歳から14 歳では12.9と、10歳代におきまして最低の値を取るということであります。  大変大ざっぱな議論で恐縮でありますけれども、小児期というのは生涯という観点か ら見ますと、病気の比較的少ない時期、特に死亡にかかわりますような病気については 、比較的少ないということであります。  続きまして、8ページ「小児医療の進歩」と題しまして、年齢階級別の死亡率の年次 推移、それから、4つの年代区分ごとの主要疾患による死亡率の年次推移を示しており ます。総括いたしますと、小児医療と申しますのは、医療全体の中でも大変目覚しい成 果を上げた分野の一つであるということでありまして、死亡率全体を見ていただきます と、0歳から4歳の群では昭和50年の260.5から平成11年の94.5、この間24年間におきま して73.7%減少しているということであります。平成2年からの9年間を取り上げまし ても23.4%、近年においても大変減少のスピードというのはあるということであります 。  そのほかの年代につきましても、5歳から9歳についても63.1%、10歳から14歳につ きましても48.1%、15歳から19歳につきましても42.9%、それぞれ死亡率で減少してい るということです。  それ以降の年齢階級ごとの主要疾患の動向ということでありますが、特に先天異常、 悪性新生物での死亡率の減少というのは目覚しく、8ページの下にあります1歳から4 歳までの区分でありますと、先天異常の死亡率は人口10万対比11.6から5.2へ55.2%減少 しています。同じく1歳から4歳におけます悪性新生物は71.8%減少しております。そ のほか、喘息につきましてもグラフの中ではちょっとわかりにくいんですが、7割減少 しておりますし、これは慢性疾患とは言えませんが、肺炎も8割減少している。ほかの 年齢階級におきましても、ほぼ同様に大変大きな減少をしているということで、大変大 きな成果が小児期医療において成し遂げられたということであります。  続きまして、11ページをお願いいたします。今、病気が少ない、しかも、よくなって きているといったお話をしたわけでありますが、当然でありますけれども、病気が全く ないということを申し上げたわけではありませんで、一定の病気で苦しむ方がいらっし ゃるということは当然でありますし、また、大人になってかかる病気が子どもにおいて 少ないということだけではなく、小児期に特有の疾病構造というのも当然あるわけであ ります。  その一例としてここに示しておりますのは、白血病の性・年齢階級別受療者率と腎炎 及びネフローゼ症候群の性・年齢階級別受療者率でありまして、それぞれ5歳から9歳 、10歳から14歳といった小児期におきまして一つのピークをつくっておりまして、独特 の疾病構造としてあるということであります。  こういったところが、小児全体の疾病構造といいますか、医療の構造ということにな ります。  12ページをめくっていただきまして、ここから御説明いたしますのは、今までお話し しましたのは、小児科医療全体、小児期の疾病の状況全体ということでありましたけれ ども、小児慢性疾患の個々の疾患のイメージ、そういうものを積上げて全体の姿という のをとらえていただけないかという内容であります。何らかの分類をしつつ全体像を見 ていこうということなわけでありますが、ここで採用いたしましたのは「疾病及び関連 保健問題の国際統計分類第10回修正」、通常、国際疾病分類第10版、更に、英語の略称 を使っておりましてICD−10というような分類を基本といたしまして、主要な小児期の慢 性疾患を概括いたしました。  個々の疾患を取り上げた理由としましては、患者さんが多いであるとか何らかの理由 で代表性があるというようなことで選択したものでありまして、これに載っておるから 今後、小慢に該当するとか載っておらないから該当しないということとは全く別に、そ の全体像を示す材料として載せてあるということを、まず申し上げます。  それで、個々の疾病につきまして可能なものについては総患者数、患者さんの数を推 計した値を載せております。これは、患者調査といいますものを厚生労働省で実施して おりまして、これを私どもで再集計いたしまして、20歳未満の総患者数を記載したもの です。方法といたしましては、患者調査によって得られた入院患者、それから、通院患 者さんの数のデータ、それから、通院患者さんの平均通院間隔データ、こういうものを 集積しまして求めたものであります。また、データのサンプルの代表性の問題で、100人 単位で四捨五入いたしまして1,000人単位に切り上げて表記しております。したがいまし て、記載のない場合であっても、患者さんが全くいないということを意味するものでは ないということをお答えしておきます。  ここに載せております13の疾患群に従いまして、順次紹介してまいります。それでは 、13ページにまいります。  まず、最初ですが「感染症及び寄生虫症」ということで、感染症といいますと比較的 急性に症状が経過する疾患が多いということもありまして、小慢事業では基本的に対象 としておるものはないわけでありますが、この中では例外的といいますか、病気として 経過の長い慢性的な疾患も含まれておりまして、亜急性硬化性全脳炎といった疾患は、 麻しん、はしかにかかった後に、そのウイルスが完全に排除されることなく体内におい て持続的に感染が続くということにより、精神神経症状を来すといった疾患であります けれども、こういった疾患。  それから、HIVの感染というものもございます。HIVは思春期の性行動等におき ます思春期以降の感染というものもございますが、母子感染、お母様が感染者でいらし て、お子様にも感染してしまうというような例も我が国でも報告されておりまして、ま だ、非常に限られておりますけれども、一定の数がいらっしゃるということです。  それから、感染症としてほかにも慢性ウイルス肝炎、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウ イルスによる感染を持っていらっしゃる方というのもいらっしゃいまして、これらの方 々は長期間にわたって感染を持続させていることによって、将来、肝硬変や肝がんに進 展する可能性というものを抱えていらっしゃるというようなことです。  続きまして2つ目、14ページ「新生物」にまいります。新生物は、いわゆるがんなど を含んでおる疾患群でありまして、20歳未満の死因の中で慢性疾患としては最も大きい 割合を占めている疾患群であります。一方、近年の治療率の向上というのは、先ほど御 説明しましたように、非常に目覚しいものがありまして、大きな成果が上げられている という分野であります。小児におきましては、白血病や悪性リンパ腫など、いわゆる血 液系の悪性新生物が多いという特徴がございます。  治療法といたしましては、化学療法や手術療法、放射線療法などが行われまして、こ ういった一通りの治療が済みました後も再発の可能性を持続させている限り、その後の フォローというのも行われるということです。小慢事業としましては、悪性新生物とい うカテゴリーで対象にしておりまして、以下に紹介しますような疾患というのは基本的 に対象となっております。  その中に含まれます疾患としましては、急性リンパ性白血病、患者さんが3,000人ぐら いいらっしゃいます。  それから、脳腫瘍、これは良性新生物も悪性の経過をたどることが多いということで 含めた数でありますが、2,000人ぐらいいらっしゃいます。  それから、骨髄性白血病、この中には急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病の両方ご ざいまして、それぞれ治療法がかなり違っておるところがあるわけですが、こういった 患者さんも1,000人ぐらいいらっしゃいます。  それから、悪性リンパ腫、これは痛みのないリンパ節の腫れが頚部などに現れまして 、その後それが全身に拡大していく中で、全身の状況が悪くなっていくというような病 気でありますけれども、化学療法や放射線療法を適切に実施した場合、それが早期に行 われたような場合では、かなりの治癒が期待できるというようなところもございます。  最後にありますのは、副腎腫瘍ということで、その代表的なものとしましては、神経 芽細胞腫というものがございます。神経芽細胞腫は実は副腎だけではなく、神経節、ほ かの体の部位にも起こってくるわけでありますけれども、マススクリーニング、おしっ この中の物質を検査することによって早期に発見することができまして、手術療法によ って治療されるというような疾患であります。繰り返しますが、総患者数が2万7,000人 と非常に多く、重要な疾患群になっておるということであります。  続きまして、15ページの「血液および造血器の疾患ならびに免疫機構の障害」という 群でありますが、この中には貧血ですとか、血液凝固、血が固まる仕組みの障害、それ から、免疫、体を感染から守るような機能の障害といったものが含まれております。小 慢事業は血友病と血液疾患として、これらの疾患を対象にしているところであります。  まず、最初に、貧血でありますけれども、一番多いのは鉄欠乏性貧血でありまして、 慢性的な出血、出生時の鉄不足、それから、急激な成長などによって血液の材料となる 鉄が不足し、結果的に貧血となるというものでありまして、乳児期と成長の激しい思春 期に多いということですが、鉄材の投与によって治癒するという疾患でありまして、患 者さんの数も1万人と比較的ありふれておるというか、たくさんいらっしゃる疾患です 。  それから、再生不良性貧血は、赤血球だけではなく血液の成分白血球や血小板といっ たものがございますが、こういったものも含めて骨髄、骨の中にあります空間で生産さ れているわけですが、そちらの働きが低下するということで、単なる貧血というよりは 、仕組みそのものの重要性が悪性新生物に類似しているといった疾患であります。  それから、続いては遺伝性球状赤血球症というものがありまして、これは先天的に赤 血球の形が、正常の方ですと少し真ん中がくぼんだ平べったい形をしておるんですが、 ボールのような赤血球が特徴的です。こういった方々は数百名ぐらいいらっしゃるので はないかというふうに見ておるわけですが、急激に赤血球が破壊されるようなそういっ た容態が発生し得るということで、発作性の病状を示すことがあるということでありま す。  続きまして、血液凝固系の障害でありますけれども、血液の固まる仕組みには幾つも の要素といいますかステップがありまして、血小板の働き、それから、血液凝固系と言 いますが、いろいろな体の中の物質が順番に反応していって血液を固めるような仕組み 、そういうものがそれぞれ障害されることで、結果として血液凝固機能の障害が起こる ということであります。  最初に挙げておりますのは、その血液凝固因子の第VIII因子欠乏症、血友病Aと言わ れますような病気、第IX因子欠乏症、血友病Bというような病気などを含みます先天性 遺伝性血液凝固異常症ということで、これらの方々は外傷を避けるというような生活上 の注意のほか、凝固因子の欠乏の程度に合わせて、そういった凝固因子を含む製剤を投 与するというような治療が行われます。患者さんとしては1,000人ぐらいいらっしゃると いうふうに推計されます。  それから、特発性血小板減少性紫斑病という疾患がございまして、これは先行する何 らかの感染というものをきっかけに、急激に血小板の数が減少いたしまして、その結果 として皮膚への皮下出血ですとか、鼻出血などが起こるものであります。安静にするこ とにより多くは比較的短期間に軽快いたしますか、慢性に経過する場合もあるというよ うな疾患であります。  下の方は免疫不全症ですが、免疫の仕組みもいろいろなステップを踏んで働いており まして、免疫グロブリン、抗体というような物質を産生することによって免疫機能を働 かせるような仕組みや、それから、細菌、異物などを貪食するといった細胞性免疫と言 われますが、そういった機能において働く部分もあれば、いろいろあるわけであります 。多くの疾患が含まれておりますけれども、患者さんとしましては1,000人ぐらい含まれ ているというように推計されます。  続きまして、16ページ「内分泌、栄養および代謝疾患」という群がございます。それ ぞれ3つとも違う機序による疾患群でありますけれども、内分泌系というのはホルモン と通常言われるものでありまして、ごく微量な物質で体内の特定の働きを促進させたり 抑制させたりするような仕組みでありまして、この障害によって体格、性発達などを含 めたさまざまな面に症状が現れるというものであります。  栄養というのは、食物を摂取して、これを元にエネルギー、体の組織をつくり出すと いった働きでありまして、結果的に肥満ややせというようなものもこの一部に含まれる ということです。  それから、代謝といいますのは、組織の中で物質をつくり変えていくといった働きで ありまして、代謝疾患は、この働きを担う酵素たんぱく質の異常によって正常な代謝が 阻害される疾患、特に先天代謝異常ということですが、そういった疾患群であります。  内分泌障害から見てまいりますと、下垂体機能低下症が最も患者さんが多く、全体で 1万人ぐらいいらっしゃるというように推計されます。この中で、代表的なものとして は、成長ホルモン分泌不全性低身長症というものがありまして、成長ホルモンの分泌不 全によりまして低身長が症状として表れるということで、治療としては、この発育を促 進するための成長ホルモン製剤の投与が行われるということです。  続きまして、糖尿病ですが、これは総患者数で9,000人ぐらいいらっしゃるというふう に推計されます。この中で、糖尿病のタイプが幾つかございまして、インスリン依存性 糖尿病、I型を含むそういった病態では4,000人ぐらい。それから、インスリン非依存性 糖尿病、II型を中心としますそういった糖尿病では2,000人ぐらいいらっしゃる。それか ら、分類上は詳細不明というふうになっておりますが、II型を中心とすると推測されま すが、そういった方が3,000人ぐらいいらっしゃるというふうに推計されます。糖尿病は 膵臓から分泌されますインスリンの分泌不全や、それから、インスリンの働きを受け止 めて血中のブドウ糖と作用します、そういう力というものが低下することによって、結 果的に血液中のブドウ糖値が異常に上昇するという疾患群でありまして、治療としまし ては、インスリンを外部から補充するというようなことや、それから、もし、インスリ ンの分泌がある程度残っていらっしゃるような患者さんに対しましては、そういうもの を促進するような薬剤を投与する。それから、食事療法と運動療法というものを基礎と して実施していく、そういったことが必要となってまいります。  続きまして、甲状腺機能低下症ですが、これも4,000人ぐらいの患者さんがいらっしゃ います。先天性の甲状腺機能低下症が代表的でありますけれども、こういった病態が気 付かれないまま放置されますと、黄疸、便秘、食欲不振、体重増加不良などの症状を来 しまして、結果的には低身長ですとか、知的発育の遅滞というようなことを生じてまい ります。マススクリーニング事業によりまして早期に発見され、甲状腺ホルモンの投与 というものを行うことができれば正常な発達が期待できるということであります。幼児 期以降に発症した場合というのもございまして、こちらも症状は同様の部分があるわけ ですが、治療はやはり甲状腺ホルモン製剤の服用を継続するということになります。  それから、甲状腺機能亢進症という病気もございます。これは、先ほどの低下症と逆 でありまして、免疫異常などを背景に甲状腺の機能が亢進していくということでありま す。 甲状腺の腫れや食欲亢進を伴った体重減少、それから、落ち着かない、いらいらするな どの症状が典型的でありまして、薬物療法、手術療法、ヨード療法などがございます。  それから、先天性副腎皮質過形成という病気がございまして、これは副腎皮質におき ますコルチゾール合成が先天的に阻害されているために、結果としてこの分泌を促進す る副腎皮質刺激ホルモンが過剰分泌しまして、副腎皮質の肥大のほかに、さまざまな症 状を起こしてくるというものであります。  こちらも症状に合わせて、こういったコルチコイドの投与を継続的に行うというよう な治療になりますが、典型的な90%を占めておりますタイプにつきましては、マススク リーニングの対象になっておるということです。  17ページ、続きまして、栄養障害にまいります。これは、我が国では栄養素の不足の 問題というのは限定的になってきているわけですが、肥満症という病気もございまして 、2,000人ぐらいの方が治療を受けていらっしゃるということです。入院患者数も200名 ぐらいいらっしゃるというふうに推計されます。  それから、脚気というような病態もございまして、ビタミンB1の欠乏症であります けれども、乳児期におけますもののほか、学童期、成長の激しい時期におけるエネルギ ー消費の多い活動の状況で発生し得るということです。  それから、代謝性疾患ですが、この代謝性疾患に含まれる患者さんそのものは4,000人 ぐらいと推計されます。そのうち、高脂血症が1,000人ぐらいを占めておりまして、この 中に含まれます先天性代謝異常症というのは病気の数が非常に多いわけでありますが、 患者さんは一つ一つの疾患群について非常に少なく、全体としてこれぐらいになってい るということです。代表的なものを挙げますと、銅代謝異常でありますウィルソン病、 それから、グリコーゲンをブドウ糖に変換する働きに障害があります糖原病、それから 、必須アミノ酸の一つでありますフェニルアラニンをチロシンに代謝します酵素の障害 でありますフェニルケトン尿症といったものがございますが、それぞれここに挙げてお りますものは、患者さんの方が比較的多いと言いましても、数百名程度というふうにこ の中では推計しております。  それから、「精神及び行動の障害」を続きまして紹介いたしますが、この疾患群の中 で取り上げましたのは、摂食障害、神経性無食欲症や大食症等を含みますそういった疾 患群でありまして、この中で内分泌障害を来した神経性食欲不振症は小慢事業の対象と しておるところであります。治療とましては、生活療法や精神療法を中心としまして必 要に応じて行うということになります。  続きまして、19ページ「神経系の疾患」でありますが、現在の小慢事業では比較的数 を限定した疾患を対象としておりまして、上に挙げてありますような疾患群を対象とし ておるわけですが、このグループ全体を見渡しますと、てんかんが一番多く、6万5,000 人ほどの方がこの疾患の治療を受けていらっしゃるということです  それから、筋疾患の方に移りますが、この中では進行性筋ジストロフィー、先天性ミ オパチー、ミトコンドリアミオパチーといったような疾患がございまして、合わせまし て2,000人ぐらいの患者さんがいるというふうに推計してまいす。  それから、筋肉そのものではなく、筋肉に伝わります神経の方の障害として結果的に 運動障害を来すような疾患というものもありまして、それが下にあります脊髄性筋萎縮 症ということでありまして、この中の1つのタイプでありますウェルドニッヒ・ホフマ ン病というのは、最も重症なタイプとして有名であります。  一番下にありますのは水頭症ということで、頭蓋内に多量の髄液が貯留している状態 でありまして、進行しますと頭蓋の拡大、けいれんといった症状を生じてまいります。 治療としては髄液を腹腔へ流すシャントを造設するなどが行われます。  続きまして「循環器系の疾患」、20ページに移ってまいります。  伝導障害、不整脈の患者さんが4,000名ぐらいいらっしゃいまして、不整脈といいます のは、規則正しい心臓のリズムが何らかの理由でストップしたり、または、異常な信号 がどこかで発生することによって、結果として正しい脈を打たなくなるような病気であ りまして、ここに示すような疾患については、それぞれ患者さんは1,000人ぐらいいらっ しゃるというふうに推計しております。  その他の心臓疾患としまして、心筋症、それから、心不全、弁膜症というようなもの が、それぞれ1,000人ずつぐらいいらっしゃるというふうに推計しております。  21ページ「脳血管疾患」でありますけれども、脳梗塞・脳出血は、高齢期になるにし たがってだんだん増えてくる疾患ではありますが、小児期におきましてもいろいろな理 由、未熟児における脳内出血ですとか、白血病に伴うものですとか、種々の理由で行っ てまいります。1,000人ぐらいいらっしゃるというふうに推計しております。  続きまして、もやもや病というものがございまして、これは我が国で比較的多いとさ れております疾患で、脳に通っています動脈が一部で狭窄しておりまして、結果的にそ れを補完するような新しい血管が起こってまいります。こういうものを造影検査によっ て見ますと、もやもやして見えるというところからこういった病名がついているもので ありまして、精神神経症状を来してまいります。  そのほか、起立性低血圧症ですとか、本態性高血圧症といった血圧異常に関する疾患 もふくまれています。  続きまして、22ページ「呼吸器系の疾患」ですが、一番最初に挙げております気管支 喘息が患者さんの数が非常に多い病気でありまして、46万8,000人ほどの方が20歳までに 患者さんとしていらっしゃるというふうに推計されます。症状としましては、息苦しく なるという発作を繰り返すということでありまして、発作時の治療のほか、発作が起こ る前からの治療というものを組み合わせて、できるだけ安定した生活を目指すというこ とになります。以前は、長期入院療法というのもかなり盛んに行われてきたわけであり ますけれども、現在、治療技術の向上等によりまして減少しつつあるというふうに聞い ております。  そのほかの慢性呼吸器疾患としましては、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎というも のも非常に患者さんが多くございまして、患者さんの数から見ますと比較的少ないんで すが、慢性気管支炎といった病態ですと、かなり病気として苦しい方もいらっしゃると いうふうに聞いております。  続きまして「消化器系の疾患」、23ページに移ってまいります。消化器系には口腔か ら大腸までの腸管という部分と、それから、肝臓や胆嚢の胆道系という部分とそれぞれ あるわけですが、代表的に挙げておりますのはクローン病、潰瘍性大腸炎といった思春 期以後に後発いたします腸管の炎症性疾患がございます。  そのほか、慢性胃炎や過敏性腸炎症候群といった疾患の患者さんというのもいらっし ゃるということです。  続いて、24ページをお願いいたします。「皮膚及び皮下組織の疾患」という群なんで すが、基本的に小慢事業ではこの群の疾患を対象としていないわけですが、アトピー性 皮膚炎というのは患者さんの数が非常に多く21万3,000人ぐらいいらっしゃいます。治療 の方は、外用剤、それから、清潔と保湿を中心としましたスキンケアを行っていくとい うことなんですが、多くは思春期までに軽快するということですが、成人まで続いてか なり悩んでいらっしゃる方もいるということで、200人ぐらいの方は入院治療を受けてい らっしゃるというふうに推計されます。  続きまして、25ページ「筋骨格系及び結合組織の疾患」という群でありまして、小慢 事業では膠原病としまして入院治療をその対象としております。  まず、その代表的なものは川崎病でありまして、これは総患者数7,000人ぐらいいらっ しゃるというふうに推計されます。発熱、それから、唇や舌の腫れ、手足のむくみとい ったものから症状がわかりまして、これそのものは比較的速やかに軽快するんですが、 合併症といいますか、同時に起こる病態としまして、心臓にあります血管が細くなるよ うな結果、心筋梗塞など重大な病気に進展する可能性があるということであります。早 期に適切な治療を行いますと、そういった可能性を減らすことができるわけですが、何 らかの障害がある場合には注意深い観察というものが必要になってくるというふうに言 われております。  そのほかの疾患としましては、全身性エリテマトーデスといったものがございまして 、典型的には顔面にチョウの形をしたような赤い皮膚症状が出るというようなものもご ざいまして、いろいろな臓器が傷害されますので非常に治療の方が重要になってまいり ます。  それから、若年性関節リウマチ、全身の関節炎を主体とします疾患でありますが、2,0 00人ぐらいいらっしゃるというふうに推計されます。  それから、シェーグレン症候群ということで、口腔、それから、眼の粘膜の乾燥など が特徴的なそういった疾患も1,000人ぐらいいらっしゃると推計されます。  続きまして、26ページをお願いいたします。ここは「泌尿生殖器系の疾患」というこ とで、小慢事業としましては慢性腎疾患として入院治療を対象としておるところです。  代表的なものとしましては、ネフローゼ症候群が6,000人ぐらい患者さんがいらっしゃ いまして、これはたんぱく尿というものがずっと続くことによりまして全身の症状が起 こるものでありますけれども、かなり多くの場合はステロイド剤投与、薬物によって比 較的速やかに回復いたしますが、また、それが何回も繰り返すという傾向もありまして 、全体としましては長期のフォローが必要になってくるというような方々であります。  それから、急性腎炎症候群、それから、腎臓の間質を主体としますそういった間質性 腎炎、それから、慢性腎炎、透析などが場合によっては必要となります慢性腎不全など の腎臓疾患、それぞれ患者さんの数はかなりいらっしゃるということです。  それから、腎臓はおしっこをつくる働きがあるわけですが、その後の腎臓から膀胱、 膀胱から排泄に掛けてのところで起こる障害というのもありまして、その結果、おしっ こが十分に流れないことによって腎臓が膨れてしまうような水腎症でありますとか、う まく流れないことによって腎臓の方に膀胱からまたおしっこが逆戻りすることによって 、尿路感染を繰り返すような逆流性疾患でありますとか、そういった病気の方もかなり いらっしゃるということです。  続きまして、27ページ「先天奇形、変形および染色体異常」という疾患群ですが、こ の中で代表的に幾つか取り上げましたが、消化器の先天奇形としましては、唇裂、上唇 が割れているような状況、それから、口蓋裂、上の口蓋が割れているような状況といっ た形で先天的に生まれてくるような方々というのがかなり多うございまして、総患者数6 ,000名ということです。外科的に治療を行うということになります。  胆道閉鎖症といった疾患も1,000人ぐらいいらっしゃいます。  それから、鎖肛といった疾患の方も1,000人ぐらいいらっしゃいます。  それから、循環器の先天奇形は非常に頻度が高くございまして、出生の1%ほどとい うふうに推計されています。患者数としましては2万1,000人ほどと推計されておりまし て、基本的には手術ですとか感染症の予防ですとか、そのほか内科的に必要な治療が行 われるということです。  代表的な疾患を幾つか挙げてございますが、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、ファ ロー四徴症、エプスタイン奇形、心内膜床欠損症、動脈管開存症、肺動脈狭窄症といっ たものがございます。  下に挙げておりますのは、母斑病という疾患群がございまして、これは体内での発生 の過程で、皮膚と神経というのは同一の要素、外胚葉からできてまいりますので、皮膚 に起こる疾患だけではなく、神経に起こる症状というのも同時に抱えているような病気 がございます。そういった疾患群です。  神経繊維腫症、これは前回の会議でレックリングハウゼン病というふうに紹介されま したのが、そういうものを含みます疾患群でありまして、皮膚と末梢神経の良性であり ますが腫瘍でありますとか、皮膚の症状などを来してまいります。  それから、結節性硬化症、こちらも皮膚の症状とともにけいれんや知的障害といった 中枢神経の症状というものも来してまいります。  駆け足でありましたけれども、こういった形で小児の慢性疾患というものはさまざま ございまして、ここに紹介したものは一部でございますけれども、患者さんは単純に足 し上げまして120万人弱ぐらいいらっしゃるということになりました。その中でどういっ た患者さん、疾患を今後の小慢事業の対象としていくかにつきましては、皆様の御議論 をお願いしたいというふうに思っています。  続きまして、29ページに掲げておりますのは、一番最初に申し上げましたいろいろな 視点の中で、急性か慢性かという視点を申し上げたわけですが、そういうものを代表的 に急性疾患として適用したものを掲げてございます。伝染性単核症といったものも感染 症の一種でありまして、比較的速やかに治るものでありますので急性疾患と考えられる のではないか。それから、血管性紫斑病も紫斑病性腎炎ということで長期にわたる療養 が必要な場合もございますが、多くの場合は速やかに軽快するということ、それから、 スティーブンス・ジョンソン症候群は、いろいろなきっかけを元に、かなり激烈な皮膚 症状というものが起こってくるわけですが、回復いたしますと比較的速やかに回復する というような疾患、こういったものというのは急性疾患として考えられるのではないか ということで例示をいたしました。  私からは以上です。 ○鴨下座長  どうも大変詳しい資料をありがとうございました。 ○森本補佐  では、次の資料3を簡単に御報告だけさせていただきたいと思います。  就労についてでございますが、現在、疾病をお持ちの方、障害をお持ちの方の就労に ついての対策に係る法律を、今、作成中であることを御報告申し上げます。資料3でご ざいます。  具体的に申しますと、法務省が中心になっておりまして、この5月25日に「人権救済 制度の在り方について」というものを法務省の人権擁護推進審議会において答申を出し たところでございます。メンバーにつきましては38ページをごらんください。これは法 務省の方のメンバーでございまして、会長は塩野宏先生とおっしゃる方で、その行政法 方面においての権威でおられます。この先生が中心になられまして、5月25日に法務省 がつくられた答申に基づきまして、来年春の国会を目指しまして法務省、厚生労働省、 国土交通省で共同で法案を作成しているというものです。  内容でございますが、小慢に関係があるところは35ページの真ん中の第4というとこ ろから始まりますが、人種、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病、性的指向等 を理由とする社会生活における差別については、例えば、就職等の採用等についても対 象としておるわけでございますが、それについて、これまでは個々人で訴訟を起こす等 々の司法的な解決しかなかったわけでございますが、これについて、法務省または厚生 労働省等が調停、仲裁、勧告・公表、訴訟支援によって積極的に救済を図るということ を内容とする法案を、来年の春の通常国会提出を目指して、現在作成中であるというこ とについて御報告申し上げるということでございます。  簡単でございますが、以上でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  それでは、以上で資料の説明をいただきましたが、これから1時間弱でしょうか、一 応フリーディスカッションの形で、皆さんから御意見をいろいろとちょうだいしたいと 思います。何か御質問か御意見ございましたら、どうぞ自由に御発言ください。 ○加藤委員  厚生労働省の研究班で小慢事業の登録事業をやって、そこでもそれぞれの疾患での頻 度が統計を取られています。今、御提示いただいた主な疾患の中で、小慢事業での登録 対象としている頻度は、大体私たちのデータとそう大きな差はないというふうに考えて おりますので、それ以外の頻度もそう大きな問題はないのではないかというふうに思い ます。  今日の議論のきっかけとする意味で、29ページの内容が、恐らくこれからいろいろ問 題になってくるのではないかと思いますが、例えば、この伝染性単核症そのものは急性 疾患ですが、最後の欄に書いてあるように、持続的な感染に移行する、それが慢性活動 性EBウイルス感染症ですので、こういった慢性的に移行した場合には、今後とも小慢 の対象としてほしい。  それから、その下の血管性紫斑病に関しても、血管性紫斑病そのものは急性疾患、一 部腎臓に障害を残して急性糸球体腎炎までは急性疾患かなと。しかし、一部はやはりず っとその後腎機能障害といいますか、血尿、たんぱく尿が持続する方がいますので、そ の場合は、今後とも小慢対象にしてほしいというふうに考えているところです。  それから、前回の議論で川崎病に関して川崎病そのものは急性疾患、その後心臓に障 害が残った場合は慢性として考えたいということですが、あと、例えば、これは議論を 今後しなければならないと思うんですが、頻度として高いネフローゼ症候群、今お話に もあったように、ステロイドが効いて1か月の入院程度でほとんど寛解になって問題が なくなれば、一応、急性疾患とは言えないけれども、実質的には急性と同じですので対 象外としたい。しかし、何回も再発して入院を繰り返す、治療が必要な例は、やはり小 慢事業の対象かなと。やはりここら辺が、小慢の対象とするかしないかの分かれ目かな というふうに個人的には考えております。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。今の加藤委員の御意見には皆さん余り異論はないのではな いかと思うんですが。ほかに何か。 ○山城委員  まずは総論的なところで、今回の今後の在り方と実施に関する検討会の画期的なこと というか、画期的にしなければいけないというのは、先回のこういうフリーディスカッ ションの最後の方でしたけれども、小林委員からの発言がございました。例えば、過去 にこういう小児慢性特定疾患に指定していただくために家族の方々が非常に苦労した。 その苦労が報われればいいんですが、報われなかった例もあるわけですけれども、今後 こういうことがあってはいけないわけで、本当に小児特定慢性疾患として、これは今後 の基準の問題でもあるわけですが、それに該当する疾患であれば、もう枠がないからだ めだというようなことではなくて、何年かに一回、定期的に指定疾患の見直し、見直し といっても一旦指定したものを除外するのは難しいかもしれませんけれども、学問の進 歩等によって新たに疾患が指定された場合に、これはやはり指定していかなければいけ ないものが当然出てくるわけですね。だから、そういうことに関して柔軟に対応できる ようなシステムをつくっていくということが、非常に大事なことではないかと思うんで す。  もう一つは、今の加藤委員の発言にも関係するんですけれども、それから、先回の発 言で、例えば、これも小林委員からでしたけれども、3ページのレックリングハウセン のところで記載がありますが、日常生活の障害ということがあります。  それから、もう一つ、これと関連するのが、自分の専門的な領域ではバランスのある 発言される方がいらっしゃるけれども、全体を見渡した議論では不得手かもしれないと いう記載がありますが、生活障害論だけではなくて、この前ここの議論で出ました幾つ かの項目を、数値化してある基準に達したらそれを認定していくというようなことが必 要ではないかと思います。例えば、私自身もレックリングハウゼンの患者さんを見てい まして、非常に生活上は大変だというのがよくわかります。いろいろな相談を受けて、 親子心中をしかねないというような状況の方の相談を受けたこともあります。自分の患 者さんだけを見ますと、同情を勿論するべきところはたくさんありますが、しかし全体 を見渡したときにそういう観点だけでいいのか。自分の専門の領域ですと、この疾患の 人はどうしても慢性特定疾患に指定してほしいという心情には当然なるわけですが、日 本の子どもたちの慢性特定疾患として、果たしてそれがバランスが取れているのかとい うようなことを考え、先ほど申し上げました項目別に、例えば、生命の予後、日常生活 の障害度、QOL、それから、経済的負担、経済的負担以外の御家族の負担という幾つ かの項目で点数制を取り入れそれで、認定基準があるレベルに達したらそれを認定する 、そういう客観的視点が非常に大事ではないかと思います。 ○鴨下座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○高松委員  質問をよろしいですか。この小児の慢性疾患を挙げられた子どもさんの総数はおよそ1 20万人とおっしゃいましたでしょうか。この中で、既にいわゆる小慢事業の中に入って いる子どもさんは何人くらいいるのですか。 ○加藤委員  11万人ぐらいですね。 ○高松委員  11万人ぐらいしか入っていないんですか。そうすると、100万人以上が入っていないわ けですね。 ○加藤委員  約10分の1です。 ○高松委員  そうなんですか。 ○柳澤委員  現在、18歳未満の子どもの数というのが2,300万人ぐらいですか。ですから、そのうち の120万人というのは約5%の人が何らかの、例えば、アトピー性皮膚炎とか喘息という ものも含まれる、そこまで入れれば病気を持っていると。その中で小慢が適用されてい るのは11万人です。 ○高松委員  慢性疾患ではなくて、いわゆる急性疾患の子どもの数はどのくらいなんですか。ある いは、子どもの医療費の中で、いわゆる慢性疾患の医療費が占めるパーセントなどとい うのはどうなんでしょうか。ちょっと解決にならないことで申し訳ございませんけれど も、日本医師会も厚労省もそうでございますが、老人を大切にされておるのは間違いな いが、子どもは見捨てられているというところがございますでしょう。医療費につきま しても。老人医療については、さまざまな配慮がされていると思いますけれども、子ど もの疾患の治療に関しては特別な配慮はこれだけでございますよね、実際問題としては 。そこら辺りは、将来どうなる方向で動いていくのでしょうか。 ○鴨下座長  小慢を超えた話かもしれません。 ○谷口母子保健課長  では、最後の話の方から、ちょっとお答えできるかどうかわかりませんが、私どもの 対応をちょっとお話しさせていただきたいと存じます。  具体的に、医療費とかそういったものを視点に当てた制度といたしましては、この小 児慢性疾患を中心にいたしまして各都道府県で県独自にやっている、これは以前の資料 でもお示ししたかと存じますけれども、そういう制度がございますが、いわゆる日本の 医療保険全体として、そういう形で何らかのシステム的な部分としては残念ながら対応 がまだ不十分であるということだと思います。  それから、今後、小児医療体制をどうするかということでございますけれども、どち らかといいますと、小児慢性はこれから先生方にまた御検討いただくことになるんです が、全体的に子どもさんの医療費をどうするかということにつきましては、日本の医療 保険がベースになっておるものでございますから、医療保険そのもので子どもの患者さ んに対する自己負担の問題というものをどう考えていくかということがベースになるわ けであります。それが、今、医療制度改革の中でどうなっていくのかというのは、ちょ っと私ども実は完全にフォローし切れておりませんので、そこの部分は明確に申し上げ ることできませんけれども、今後何らかの形での対応というのは国会でも議論されるの ではないかというふうに期待はしておるところでございます。 ○高松委員  例えば、子どもの保険の自己負担をゼロにすれば、ほとんど問題は解決いたしますね 。 ○谷口母子保健課長  それは、極論すればそういうことかとは存じますけれども。 ○高松委員  私は、この120万人の方々の、この人は入れる、この人は入れんという切ない論議が、 親御さんたちのお話を聞きながら決めていくという作業をするわけでございましょう、 我々は。だから、それは仕方がないのでしょうけれども、大変だなと思うんです。でき るのかなと思って。 ○雪下委員  今、日本医師会の名前が出ましたので申し上げますが、医療費については、子どもも 老人も特別な枠組みを組まれているということはないと思います。それで、今、お話し になった一部負担金についての公的補助は、全国的に数県を除いてほぼ3歳以下は補助 になっております。これが就学時まで補助しようということで今働き掛けておりますが 、残念ながら就学時まで補助されているのはまだそう多くはありません。何らかの方法 で20県ぐらいはそういう方向に向いていると思います。それはそれなんですが、今の小 慢の対象疾患というのは御承知のように、大人については、いわゆる特定疾患治療研究 事業対象疾患ですか、いわゆる難病と言われるものの指定がございますけれども、これ は特別年寄りだけということでは御承知のようにありませんで、子どもにもダブってこ れが適用されているということになっていると思います。 ○高松委員  私も年寄りの一人でございますから、その立場で申し上げられますけれども、病気に なったときには私どもはやはり優遇されると感じています。なぜ年寄りだけ優遇するん ですかという気持ちなのです。 ○雪下委員  それは、全体としてのいろいろなものを含めて補助という点では、確かに、今、介護 保険もできまして年寄りの方に少し補助が傾いているかなということは言えるかとは思 います。 ○高松委員  75歳以上の自己負担率が下がっていますでしょう。今までは、自己負担率はほとんど 無料ではなかったですか。保険のお金がどう回るかではなくて、我々が負担している負 担額、負担率が、多くの場合はカバーされておりますよ。都道府県を含めてしまえばほ とんどが。ですから、子どもを抱えたまだ貧しいというか、発展途上の家庭が医療費を 一生懸命出しているのに比べますと、年寄りだから勘弁していただきますが、年をとっ た人が楽をさせていただくというのは、ちょっと申し訳ないという気がしますね。 ○鴨下座長  大事なところですから、課長から。 ○谷口母子保健課長  少しお年寄りの問題というのは大きくなりますけれども、先生が今おっしゃったのは 、地方自治体ごとにお年寄りについても付加給付と言ってはいけないかもしれませんけ れども、自己負担の免除をされている例が確かにあるんですが、従前ですと、例えば、6 5歳以上の方は全部自己負担なしという自治体もあったかと思いますが。 ○谷口母子保健課長  自治体の方もある程度余力のあるお年寄りには、だんだん自己負担を持ってもらおう という方向になっておりまして、徐々にですけれども、市町村レベルでも従来のような お年寄りに対する優遇策というのは、少し子どもの方にシフトしているのかなという感 じは、私どもとしては受けているんです。 ○高松委員  だから、その分だけ子どもの方に回してくれたらいいではないですか。足らないから 老人を切っていくという気持ちはわかるけれども、しかし、全体の比率で……。 ○谷口母子保健課長  ですから、雪下先生が今おっしゃいましたように、3歳までが大体平均的な市町村に おける子どもの自己負担の補てんだとすると、それがだんだん4歳になり、5歳になり というような形で手当している市町村が増えてきていると。 ○高松委員  そんなみみっちいことは言わないでと思うんだけれどもな。そうしたら、この問題は1 0年掛かっているんですか。 ○谷口母子保健課長  国でやれという意味でございますか。 ○高松委員  そうです。自己負担率を動かしたらどうですかね。 ○谷口母子保健課長  ですから、それは先ほど申しましたように、全体として医療保険で子どもの場合の自 己負担、裏返せば給付率ですけれども、給付率はちゃんと高めていこうかという議論も 、国会の場で議論される可能性はあるかと思うんですけれども、そこはまだちょっと見 えていないということでございます。 ○雪下委員  私が申し上げているのは、医療に関してということを申し上げているので、医療に関 しては年寄りでも今限度がありますけれども、個人負担はしておるんです。子どもたち は今3歳までは、ほとんどのところで個人負担がなくなっているということです。それ を今、課長が言われたように、就学時までは何とか個人負担も全部国でやってあげよう というふうになっているということです。それで、今、委員が言われているのは、高齢 者に対する福祉、今、介護保険も入っていますが、子どもにはそういうものが余りない のではないか、年寄りはそういうものが厚すぎるのではないかと、言っておられるのだ と思います。これは言われるとおりだと思っております。だから、そういう医療以外の 点での福祉といいますか、そういう点で今言われた、例えば、この医療費の一部補助だ けではなくて、いろいろ家庭環境なり、そういう子どもたちにおける心の負担というも のを見てやったらいいのではないかという配慮については私も必要だと思います。ただ 、委員のような大変裕福な方もおられますけれども、年寄りについてもやはり大変困っ ておられ方もおるわけで、それは一概に委員の考えだけでどうこうということはできな いと私は思います。 ○高松委員  勿論私も公務員でしたら裕富とはいえません。でも、一般的に言えば老人層は豊かだ というのが定説です。 ○鴨下座長  いろいろこの問題は意見が対立しているようにも思いますけれども、必ずしもそうで はなくて、もっと子どもを大事にしようということですね。 ○高松委員  そういうことです。 ○大久保委員  話を変えて恐縮ですけれども、お話の中で認定の対象とする、今日は対象者と対象疾 患の基準づくりといいますか、どうするかということだと思うので、疾患名で今後も、 この検討会の後に疾患名で認定するのか、それとも、慢性疾患であるという状況を重視 して認定するのか、その辺が重要なポイントなのかなというふうに思います。というの は、慢性疾患であるから家族の負担あるいは経済的負担、医療の高額化というものが起 こるということの視点からすると、疾患名で認定するという現段階のシステムに変更を 加える必要があるというふうに思います。ここに掲げられた大きな、かなり患者さんの 数も多いようなもの以外に、恐らく慢性の経過を取っている小児の病気というのはある ので、そういったものを含めたものとすれば、まず、認定するということであれば、慢 性の経過を取っている疾患であるという点を重視した認定の仕方というものがあるかな と思います。  また、それを現在も大目標の目的の1つであります治療研究ということであれば、そ の治療研究の目的を、またくどくなりますけれども、明確に定めて、これまでは医療の 確立と普及ということでございまして、慢性疾患を持ったお子さんが確実に医療に結び 付けられるような、医療を受ける機会を得られるということが大目的であったかという ふうに思いますが、今後、その治療研究の目的が、小林委員から第1回目だったかと思 いますが、治療の確立といった非常に難しい分野のことであれば、例えば、重症の方だ けを認定するという、今、議論にちょっと乗っている重症度で判定して軽い人を落とし ていくということは、治療法の確立ということをもし目標にした場合には、全然それが 達成できないであろうと。重い人だけを登録して、軽い人を外していくのであれば、軽 い人がなぜ軽くて済んでいるかという状況が把握できないという問題が起こってくる。 それと、疫学という患者さんの数を把握するという、患者調査ということで、今日資料 として提示されているもので患者さんの数が把握できるのであれば、この小慢の事業は 要らないのではないかと逆に思います。  そういう点で、疾患名で認定するのか、あるいは慢性疾患であるという状況、このQ OLを向上させるという点もその点が問題なので、その点を重視して認定するのかとい う、その辺のスタンスがここで議論になればいいかなというふうに思います。 ○鴨下座長  わかりました。  ほかにいかがでしょうか。今の御意見も一つのポイントをついていると思うんですけ れども。 ○加藤委員  今の御意見に関してですが、やはり疾患によっては、その疾患名がつくだけでかなり 重症で慢性な経過を取るものも多いですので、その場合は、疾患名だけで登録の対象と したい。個人差といいますか、患者さんによる違いがある場合は、やはり個々の重症度 に応じて対象の可否を判定するのが筋かなと。治療研究という意味では、確かに全数調 査が望ましいんですが、ほかの研究班などで調査されているものは、必ずしもこの中に 含めなくてもいいのかなと。でも、悪性新生物とか先天性代謝異常などは、登録の結果 かなり有益な内容ですし、そういうものは極力今後とも疾患名だけで対象にしてほしい というふうに考えていますけれども。 ○小林委員  先ほどの大久保委員のお話なんですけれども、そういう観点から言いますと全くその とおりだと思います。やはり一方で、今の社会情勢だとか、実際にお子さんたちや御家 族が社会で暮らしていく中で、さまざまな困難や問題が起きていることが事実でありま して、単に医療の確立あるいは普及ということだけで終わらせないで、ここにあります ように、もっと医療やサービスを安定的に、ここで言う医療というのは恐らく福祉的な 医療というようなものも含まれたものではないかと思うんですけれども、やはり制度と しては、こういう時代に合った家族の社会生活というものを支えるものになっていくべ きなのかなというふうに私としては考えるわけです。そうした場合に、負担を支えてい くというのが、やはり本来ではないのかなという感じがします。そうしますと、大久保 委員のおっしゃるような、病気に対する治療の確立ということからは一歩後退するよう な感じになるかもしれないんですけれども、これはちょっと勝手な言い方で申し訳ない んですが、新しい考え方で厚生科学研究など何かしらのことができないのかなと、専門 家の先生方にお考えいただければいいかなというふうに思うんです。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員  医療の確立という点から言えば、やはり頻度の低い疾患に関しては、こういった全国 登録をやって患者数を把握する。その中からいい治療法が生まれてくるというふうに考 えていますし、ここの事業で勿論何らかの形で治療研究に役立てられるというふうに思 っております。 ○山城委員  この小慢の過去の実施実績等から考えると、正直言って、ここで疾患の治療を確立す るためのことは、ほとんどゼロに近かったと私は理解しているんですね。どちらかとい うと、患者さんのいろいろな負担に対する、経済的な負担も含めてへの援助の方が多く を占めていたのではないかと。私自身が患者さんを治療して、小慢を指定申請するとき の理解はそうでした。もし、これをここに書いてあるとおり慢性特定疾患のための治療 法の確立も目的の1つであれば、これはまた別のところで討議をしなければいけないも のではないかと思うんですね。  もう一つは、病名でいくのか、あるいは重症度でいくのかということに関してですけ れども、病気というのは同じ病名がついていても軽いものから重いものまであるわけで すし、それから、同じ疾患であっても個人差があるというような場合、これを一律の病 名だけでやっていくという場合に、これは予算が限りなく幾らでもある場合には、それ でいいと思うんですが、今ここで討議しなければいけないのは、限られた予算内でいか にこれを有効に使うかということをここで討議するというふうに私は理解していますの で、そういうことであれば、やはり一番困っている、つまり、疾患としては重症な方々 を認定していくというやり方が、現場の要求あるいは家族の方々の要求にも合うのでは ないかというふうに思います。 ○柳澤委員  今、山城委員が言われたことに対して、ちょっとコメントというか付け加えさせてい ただきますと、小慢の制度を全般的に見た場合に、今言われたとおり、治療の進歩にど れだけこの制度が役立ったかということに疑問を呈されるということもわかりますけれ ども、先ほど説明をいただいた小慢疾患の中で、小児の悪性新生物に関しては、ここ十 数年の治療の進歩というものは非常に目覚しいものがあって、治癒率、生存率なども上 がっている。そういう状況に対して小児科医で血液悪性腫瘍を専門にしているある先生 は、そのような現在までに至る悪性新生物の治療の進歩に、この小慢制度というものが どれだけ有効といいますか、大きな役割を果たしてきたか、非常に高くそれを評価して おられます。小慢の制度というものがそういう改善にとって非常に大きな役割を果たし てきたということを強調しておられます。それを1つコメントとして付け加えさせてい ただきます。 ○鴨下座長  私も、どちらかといえば柳澤委員の意見に賛成で、大人の特定疾患なども、最初は似 たような調査研究と言いながら実際には医療費の補助という格好でやっていたわけです けれども、そういう研究班の中で遺伝子が見つかったり、いろいろ新しい薬とか治療法 が改善されて、非常にQOLにも役立っているということは争えない事実で、小慢につ いてもそれは否定できないのではないかと思います。 ○山城委員  誤解のないように申し上げますけれども……。 ○鴨下座長  ちょっと待ってください。それと、もう一つは、山城委員が指摘されたことは、つま り、もう少し踏み込んだ原因究明とかより、基礎的な研究はこれから外して別にやった 方がいいだろう、それは私も同感ですし、今まではそれをごっちゃにやってきたという 面があるわけですね。だけれども、その効果というのは、やはり評価されるべきだろう と思うんですけれども。 ○山城委員  そのとおりだと思いますし、私は決してこれが治療に役立っていないというわけでは なくて、総合的な意味では、例えば、患者さんのいろいろな支援という点では、勿論、 最終的には治療結果につながるわけですし、それは否定できないことだと思うんです。 ただ、純粋な意味での治療法とか、いわゆる疾患の研究と、それは治療に結び付くわけ ですから、そういう純粋な意味での医学的な、これを分けるのはなかなか難しいんです が、そういう意味での少なくともここの小児慢性特定疾患の研究費としての役割は、む しろ、それよりも患者さんに対するいろいろな意味での支援という意味の方が強かった のではないかというふうに申し上げたんです。 ○鴨下座長  それは、確かに患者さんの側から見れば、そういうニュアンスはそのとおりだと思い ます。 ○小林委員  済みません、その研究のことなんですけれども、私の子どもは亜急性硬化性全脳炎、 この13ページにある病気になったわけですが、先般お話ししたように平成2年に小児慢 性疾患に指定されたんですが、それ以前は何も指定されませんでした。特定疾患調査研 究班という研究班の中に遅発性ウイルス研究班というものがあります。例の狂牛病など もやっている班ですけれども、あの中で研究が行われておりまして、当時、昭和50年代 に1回だけ疫学調査が行われて、216人の患者がそれまで発生が確認されているんですが 、それ以後小慢に指定されてから実は一度も疫学調査はされていなくて、2〜3年前に ある臨床医が、小児慢性疾患に指定されてからですけれども、全国調査をやったんです が、ほとんど反応がなかった。全国の病院にアンケートを出したんですけれども、余り 返ってこなかったというようなことを聞きますと、どうも小慢に指定されたから疫学的 な部分だとか、調査研究が促進されるのかどうかというのは、ちょっと疑問には感じて いるところなんです。ですから、特に、そういう形ではなくても、また別な形の研究と いうのは、やりようによっては随分できるのではないのかなというふうに思います。素 人で申し訳ないんですが。 ○柳澤委員  先ほど御説明の幾つかの疾患群の中に、マススクリーニングの対象疾患というものが 出てきました。これにつきましては、国家的に行われておりますが、新生児期にマスス クリーニングを受けて陽性であれば治療する。それによって、放置された場合の知能障 害がなく普通の生活が送れる、健康な一生を送れるということで指定されているわけで す。そういった病気の場合に、それをきちんと追跡調査をして、その患者さんたちがど ういう生活を送っているか、それを把握することはマススクリーニングの評価あるいは コストベネフィットと言ってもいいかもしれませんけれども、それを把握する上では不 可欠であるわけです。それが、今のような状況で、この小慢に全部疾患としては含まれ ていますので、それで把握していくことが、これから先ずっと行っていく上では唯一の 方法ではないかというような見方もされております。そういう点で、この先天代謝異常 などに含まれている疾患は、先ほどもちょっと話が出ていましたけれども、どうしても 全数を把握する、それに近いデータが得られる方法としてこういう制度が必要で、また 、それが疾患名で登録されるということも必要だと、そういう観点があろうかと思いま す。 ○加藤委員  小林委員が言われたことなんですが、まず、神経系疾患は入院1か月以上を対象とし ている、無痛無汗症もそうなんですけれども、大体全国で100人ぐらいいるのではないか 。しかし、小慢事業として登録されているのは現在10人ぐらいです。今後は極力入院、 通院含めて対象にしたいというふうに考えていますので、入院と通院を含めればかなり 把握できて、治療研究に役立つというふうに考えております。 ○及川委員  研究の事業に関しましての目的というのは、やはり事業と連動しながら行われていく ものだと思うんですね。そうしたときに、これまでのお話の中で、確かに患者さんの全 数を把握しながらどういう状況にあるかということを考え、治療を確立していくという ことは当然必要なことだと思うんですが、それが今回私たちが見直そうとしていること と直接的に連動しながら行えるものなのか、それとは別に、やはりきちんとした疾患そ のものを治療を確立していくという意味合いで、別な枠できちんと設けてやっていただ くことにしていくのかというところは、先ほど大久保委員がおっしゃっていましたよう に、やはり小慢を今回私たちがどういうふうにとらえて対象を規定していくのかという ことによっては、多少その考え方が流動的であっていいのではないかというのが私の意 見です。ですから、そうした意味で、本当に疾患で区切っていこうとしているのか、そ れとも、これまでの何回かの話し合いの中で出てきた、やはり状況を加味しながら考え ていくのかというところで、やはりそういうところをできるだけカバーした形で考えて いけるようなものをつくっていきたいというふうに私自身は思っています。 ○加藤委員  今の及川委員の考え方はそのとおりなんですが、治療研究というには大きく2つの面 から考えていかなければいけない。マクロな面とミクロな面。マクロな疫学的な面での 治療研究という意味では、この小慢事業は非常に有益であろう。しかし、ミクロな点に 関しては全く役に立っていないことですので、それは全く別の視点から当然研究を考え ていかなければいけないというふうに考えています。分子生物学的な手法は、全く別の 研究だというふうに思っております。 ○永井委員  先日、糖尿病のお母さんとお話する機会がございまして、この検討会の設置について のお話が出ました。お願いであろうかと思うんですけれども、その話の中で16ページに あります糖尿病の話が出まして、この患者数の中でも大体I型と、詳細不明の糖尿病を含 みまして半々ぐらいがII型との患者さんになっているということが私はわかったんです が、その中で、そのお母さんが言われますのは、やはりI型とII型というのは、私も医学 的な詳しいことはわかりませんけれども、発症の機序も異なるだろうと。したがって、 治療とか、それに伴ってきます福祉的な器具の問題などが異なってきますので、できれ ば、今回ワーキングが設置されるということを伺いましたので、その中でI型とII型を分 けて御検討いただければいいなというふうに考えましたので、ちょっと意見としてお願 いいたします。 ○鴨下座長  ほかにいかがでしょうか。 ○加藤委員  今の内容ですけれども、当然I型とII型を別に統計を取るつもりですし、それ以外の非 常に頻度の低い遺伝子で分類できるような糖尿病も、今後は細かく登録して、何らかの 形で分析したいというふうに思っております。 ○高松委員  やはり今でもよくわからないのですが、一番最初は、研究という要素は実質的には余 り、要するに、具体的に言えば研究費というのはほとんどゼロだったというお話から始 まって、私は研究事業という名前の中の研究を取れば、患者サービス的な要素が強いニ ュアンスになって、その方が実態的ではないかと思ったんだけれども、今の座長先生の お話、その他の先生のお話を聞けば、やはり研究的な要素は無視できないよなというお 話しになってきて、それが一つわからない。  それと、患者さんがこうやって出てきていますと広げてあげたいという気持ちがある のは当然でございますが、同時に、一人一人の御家庭に対するサービスも深めてあげた いという気持ちも当然おありだと思うんですよね、皆さん方。すなわち、広げて深める ということのどこまでが可能性があるのか、どちらを優先するのかというのも、まだ方 針としてはっきり見えないんですね。ですから、その辺少し御示唆いただけるとうれし いんですけれども。 ○鴨下座長  それは、座長がすべきことかどうかですが、その点も含めて、これから検討していく のがこの会だと思います。 ○高松委員  それにいたしましても。 ○鴨下座長  要するに、もう何度も出ているかと思うんですが、小慢というのはその2つですね。 つまり研究と医療費の補助的なものと両方ごっちゃに今までずっとやってきて、それを 今後ずっと永続的に支援といいますか、やっていくためにどうしたらいいかということ をこれからやると。それが、この検討会だと理解していますが、それでよろしいんです よね。 ○谷口母子保健課長  余り事務局が議論に口差しはできないのかもしれませんけれども、これまではある意 味では融通無碍にやってきたところに、この事業の妙味というものがあったような気が 私自身はしておるんですけれども、その辺を今日の議論の上に余り露骨に分けるという こと自体がこの制度にとって本当にいいのかどうかというのは、ちょっと議論を聞きな がら私も思ってはいるんです。基本的には、これは私個人と申し上げた方がいいかもし れませんけれども、この事業そのものは、やはり患者さんがどこまで困っていらっしゃ るかということを最大限のターゲットに置きまして、この事業の中でどこまで救って差 し上げられるのだろうかという視点を持ちたいと私個人は思っております。それで、あ と、どれだけ研究というものをその中に溶け込ませていけるか。どうしてもだめなら、 これは完全に別立てという議論が当然出てくるかもしれませんし、それはそれでいいん ですけれども、まず、患者さんをどこまでお救いできるかという視点でもって考えてみ て、その中でどこまで溶け込ませるかという議論に集約できればいいのではないかと、 個人的にはそう思っておるのでございます。 ○山城委員  今の課長さんのお話、私自身はもともとそういう考え方に近いんですけれども、その 前に、これが承認されていった場合に、予算ということでちょっとお聞きしたいんです 。例えば、これは認定されていったときに、数が当然今後増えていくわけですけれども 、その場合の予算は天井がないと言ったらおかしいんですが、ある程度の枠ははめられ るんですか、それとも、そのときの予算は、その疾患の数等を換算して予算が獲得でき るのか。それがないと、結局、先ほどからの議論にあるように、疾患でこれを増やして いきますと、予算規模も相当際限のない数になると思うんですね。ですから、私自身と しては、限りがある予算をどういうふうに使うかということで考えていたんですが、そ れでいいのかどうか、その辺もちょっと教えていただければと思います。 ○雪下委員  今の追加でよろしいですか。今、山城委員が言われたとおり、私もそう思っています し、先ほど委員が言われていたのもそういう含みがあって言われているのだろうと私は 思って同感なんです。今、差し当ってこの会で来年の4月までですか、そこで決めるこ とと、長期的というか中・長期的というか、そこで考えていくのを分けて考えないと、 これはちょっと話にならないと思うんです。今、課長から話があると思いますが、今言 われている予算の枠組みは変更できないんです。100億円、それしかないんです。だから 、それしかないということになると、研究も大事だ、枠も広げる等々、皆さん言われた のは私も同感で、将来的にはそうしていかなければと思います。今回は枠は固定したも のしかないんです。そうしたら、短期的には、今度委員会をつくられるそうですが、そ こで妥当な疾患かどうかの検討を中心にその見直し程度しかできないのではないかとい うふうに私は思うんです。  それと、第1回目の当委員会に言われた、この補助金がカットされてじり貧になると いうことで、できればこの枠組みが何らかの形で半永久的なものとしてつないでいけな いのか、そのあたりの討議はぜひと私は思っているんです。それで、長期的には確かに 今説明された、委員からも言われた、子どもは余り恵まれていない。私もそう思ってい ますから、そのあたりを十分討議して、意向をかためてそれを国に対して強く申し入れ 、この会から予算の要求もしていかなければならないと思います。それをやはり分けて 考えないと、同じことを繰り返しているだけで進まない。国から保健課長、予算のこと をはっきり言ってください。 ○谷口母子保健課長  ほとんど雪下先生が代わりにおっしゃっていただいたようなところがありますけれど も、第1回目のときに御説明が足りなかったのかもしませんが、基本的にこの補助金と いうのは奨励補助金でございまして、毎年毎年10%カットされていくと。 そういうところの中で、医療保険本体も数年後にはキャップ制を敷くという状況もござ いまして、この制度自体が保険制度の中の自己負担をどうするかという制度でございま すから、どう考えたって予算上には青天井というのはあり得ないんです。そこは、私ど も説明が足りなかったかもしれませんけれども、基本的にはそのように御認識をしてい ただかざるを得ないだろうというふうに思っております。今後ただでさえ手を掛けられ そうなこの予算について、どのように守っていくかということについて、それぞれ疾患 群がありますけれども、疾患群ごとに不公平のないように、できれば重症という視点か らすれば、この疾患群に入っておれば軽くても認められるのに、うちは重症しか認めら れていないという部類の不公平があってはいけませんので、そういう視点から、限られ た予算ではありますけれども、その枠の中で公平公正なものにしたいというのが私ども の気持ちであるわけでございます。よろしゅうございますでしょうか。 ○鴨下座長  ありがとうございました。まだ、御意見が、どなたか手を挙げられましたか。 ○高松委員  雪下先生の御説明ありがとうございました。私はそれで少し元気になりました。現実 は現実だけれども、やはりそれでいいという結論は私たちは出しにくいと思うんですよ ね。この人たちはやらなくていいんだという結論は出ないと思うんですよ、私たちは。 やれないという結論しか出ないんです。ですから、やるべきだ、やった方がいいという 結論を私たちがつくったら、かなり楽観的になる心配がありますが、それは困りますか 。 ○谷口母子保健課長  非常に楽屋裏を明かすような話になるかもしれませんけれども、この検討会で平成14 年度以降どうするかとか、そういうことがある程度見えてこないと、結局何もまとめら れなかったではないかということで、また振り出しに戻りまして、やはり10%アウト、 ずっとそれが続いてしまうということになりますので、その点だけは避けていきたいと 私ども考えておるところでございます。できるだけ現実的な問題として御理解をいただ いて、附帯意見として将来的にはこういうことにすべきであるということを御意見とし ていただくのは構わないと思いますけれども。 ○高松委員  構わないぐらいですか。 ○谷口母子保健課長  それを我々は止める権利はございませんので。具体的な姿は最低限いただきたい。 ○高松委員  いやいや、そうではなくて、本当はここまでしなくてはいかんのだなということを彼 らが納得してくれたらいい。ここまで本当はやらなければいかんのだということをわか ってもらえるような結論を出せば。 ○谷口母子保健課長  ですから、将来に向けて、それぐらいは当局が努力すべしとか、そういうことをおっ しゃっていただくのは全然問題ないと思いますが、当面どうするんだということが全然 わからないような答申といいますか、それでは困るということでございます。 ○高松委員  当面は、やはり課長が御苦労されるのですね。私らがこれ以上はしなくていいという 結論は出せないでしょう。 ○加藤委員  当面の内容は近々恐らくまとまると思いますし、今、高松委員が言われたような、将 来的なことも是非付け加えさせていただきたいと思います。追加意見として書いてよけ れば、是非書かせていただきたいと思うんですが、恐らくそれはこの中で異論はないと 思いますけれども、ただ書くだけかもしれませんが。ただ、現実的には、やはり何らか の形でまとめていかないとまずいと思います。 ○小林委員  私もそう思いまして、1回目のときにも、今、御説明がありましたように、このまま では10%ずつ毎年予算が削減されていってしまう、制度がなくなってしまう。これまで さんざんずっと助けていただいた制度を何とかして残すためには、やはり法制化しかな いのではないかということで、患者たちが何度となく話し合ってきたわけです。言って みれば、一部の自己負担はあってもやむを得ないのではないかというような、多くの団 体がそういうところで一致してきたわけですね。それは非常に現実的な、当面のこの制 度の破綻を何とかして防いで、長く続けるための妥協点と言うとおかしいんですけれど も、何も好き好んで自己負担してもいいよと言っているわけではないんですが、現実的 なところとしてそういう歩み方をしておりますので、やはり現実は現実としてございま す。患者さんたちも各団体の中では、やはりいろいろな意見が全体としてはあって、一 部にはこの間もこういう話があったんですけれども、「自己負担がいい」などと何事だ というふうに言われた団体の幹部の方もいらっしゃったようです。何かひどい言い方を されているらしいんですが、それでも患者全体のことというようなことを考えながら、 何とかしてみんなで団結して制度を持っていこうとしてきておるところですので、やは り、当初のここの検討会の説明にありました制度をもう一度見直して長く続けるような 、全員が100%納得するようなものになるかどうかは別ですけれども、できるだけいいも のにつくっていただいて、大変、高松先生の温かいお言葉があったんですが、そういう ものもまた中に含めていただければ大変みんなうれしいと思います。 ○鴨下座長  ありがとうございました。まだまだ議論は尽きないし、今、雪下委員からちょっと堂 々巡りをしているのではないかというおしかりを受けましたが、やはり委員が共通認識 を持てないから議論が巡り巡ると私は思うので、そういう意味では、今日もいろいろな 御意見をいただいて、話し合いは決してむだではなかったと思いますし、今日の御意見 を踏まえてワーキングチームというものが動き出す予定ですので、これからも是非、チ ーム以外の先生からもアドバイスをいただきたいと思います。  そろそろ予定の時間に近づきましたので、事務局の方から何かございますか。 ○谷口母子保健課長  今日はいろいろなところに議論が飛んだような気もいたしますけれども、冒頭ちょっ とお願いを申し上げましたように、ワーキングチームを発足させていただきまして、そ の中で議論を深めていただきたいというのが私ども事務局の気持ちでございます。その 点を御了承いただきたいという確認と、それから、その中で議論していただくことにつ きまして、今日のある程度の議論の中で方向性がもう少し具体的に出ればと思っておっ たんですけれども、これはまだ不十分だろうと思います。その点につきまして、今日御 発言いただけなかったものも含めまして、もし、できましたら事務局の方に、こういう 視点で医学の専門家の方たちに議論を進めてほしいという御意見がございましたら、F AXでも何でも結構でございますので、お寄せいただきたいというふうに存じます。  それから、もう一つ、次回以降、患者団体のヒアリングというのを想定しております けれども、資料4でお示しをいたしましたように、例えば、こんなことを聞いてはどう かというたたき台を出しました。これも議論を十分今日はしていただけなかったのであ れなんですけれども、例えば、こういう立場から見ればこういうことをお聞きした方が いいのではないかということを各委員の先生方でお持ちでございましたら、これも併せ まして、事務局の方まで御意見をいただければというふうに考えておりますので、その 辺よろしくどうぞお願い申し上げます。できましたら、ぎりぎりにならないという意味 で、準備もございますので、申し訳ございませんが来週中ぐらいまでには私どもの事務 局の方へ、今申しました2点、御意見がございましたらお寄せいただけますでしょうか 。 ○鴨下座長  よろしゅうございますか。御理解いただけましたでしょうか。 ○谷口母子保健課長  次回の日程でございますけれども、ヒアリング対象団体の都合もお聞きいたさなけれ ばなりませんので、この辺につきましては、座長と代表である小林委員とも御相談させ ていただきまして、後ほど各委員の先生方に日時、場所等につきまして、御連絡を申し 上げたいというふうに考えておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。 ○鴨下座長  それと、資料4ですね、これに対しての御意見を是非、積極的にお出しいただきたい ということでございます。  それでは、ちょうど時間でございますので、本日の会議はこれで閉じさせていただき ます。どうもありがとうございました。                   照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                       03−5253−1111(代)                       森本(内線:7941)                       桑島(内線:7933)                       宮本(内線:7940)