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資料1
○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施
及び精子・卵子・胚の提供の条件(検討課題1)

−「生殖補助医療技術に関する専門委員会」報告書において
提示された条件及びその具体化のための要検討事項(案)−
(第6次改訂後(平成13年12月21日版))

※1 本資料は、厚生科学審議会生殖補助医療部会における「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚の提供の条件」(検討課題1)の具体的な検討に資するため、事務局において、主要な検討項目と考えられる項目ごとに「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」(生殖補助医療技術に関する専門委員会報告書(平成12年12月28日とりまとめ。以下「専門委員会報告書」という。)の関係部分を抜き出し、それぞれについて想定される要検討事項を暫定的に整理したものである。

※2 p○○とあるのは、「「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方についての報告書」関係資料集」中の該当ページを示す。

※3 ゴシック体の部分については、専門委員会報告書における結論部分(四角囲みの部分)、明朝体の部分については、結論の説明部分(四角囲みの下)に記載されている部分である。

※4 「日本産科婦人科学会会告「「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」」とは、「日本産科婦人科学会「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」(平成9年5月)及び「“非配偶者間人工授精と精子提供に関する見解”に対する考え方(解説)」を示すものである。
 また、「日本産科婦人科学会会告「「多胎妊娠」に関する見解」」とは、「日本産科婦人科学会「多胎妊娠」に関する見解」(平成8年2月)及び「“多胎妊娠に関する見解”の解説」を示すものである。

※5 波線部が前回からの変更部分である。

※6 ●は決定事項である。


1 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施の条件

(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けることができる者の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」1.及び2.(p112、113)

(1)提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療全般に関わる条件

○ 子を欲しながら不妊症(※)のために子を持つことができない法律上の夫婦に限る。(p22)
※ 生殖年齢の男女が挙児を希望しているにもかかわらず、妊娠が成立しない状態であって、医学的措置を必要とする場合をいう。(p19)

(要検討事項)
⇒ウィルス性の性感染症や遺伝性疾患を理由とした提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施は認めないということでよいか?
● 本部会の検討課題とはしない。

○ 加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない。(p22)

(要検討事項)
⇒「加齢により妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?
(医師の裁量とするか?具体的な年齢制限を設けるか?自然閉経を基準とするか?)
↓(以下追加)
● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、自然閉経の平均年齢である50歳ぐらいを目安とし、それを超えて妊娠できない場合には、「加齢により妊娠できない」とみなすこととする。

⇒母体の安全の観点から、45歳までが望ましいという内容を追加するか?

○ 自己の精子・卵子を得ることができる場合には、それぞれ精子・卵子の提供を受けることはできない。(p22)

(要検討事項)
⇒「自己の精子・卵子を得ることができる」ことの具体的な判定基準はどのようにするか?
○ 医師の裁量とするか?具体的な判定基準を設定するか?(以下、具体的な判定基準を設定する場合)

○ 成熟した精子・卵子がそれぞれ精巣内・卵巣内に存在する場合に限定するか?精子・卵子の形成過程における受精能力を持った生殖細胞が存 在する場合にも「自己の精子・卵子を得ることができる」こととするか?(これらについては、精巣や卵巣の生検によって最終判断するのか?また、この場合には、「受精能力を持った生殖細胞」とは、精子・卵子の形成過 程におけるいかなる段階以降の生殖細胞(精母細胞、卵母細胞、精子細胞、卵子細胞等)を指すのかを具体的に定めるのか?)

○ 精子・卵子に受精を困難にする形態的・質的な明らかな異常があり、顕微授精などを数回実施しても、受精しない場合には「自己の精子・卵 子を得ることができない」とみなすのか?(この場合、精子・卵子の提 供を受ける要件として、それまでに受けるべき配偶者間の生殖補助医療 の種類、回数等を具体的に定めるのか?)

○ 精子・卵子に受精の可能性を極めて乏しくする形態的・質的な明らかな異常(高度な奇形精子症、死滅精子症等)がある場合、顕微授精など を実施しなくとも、それだけで「自己の精子・卵子を得ることができない」とみなすのか?

● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、精子・卵子・胚ごとに設ける((1)〜(4)参照)。

⇒精子・卵子の提供を受けることができる者について優先順位を設けるか?(無精子症、ターナー症候群・卵巣機能不全などで物理的に精子又は卵子が存在しない者に優先的に提供することとするのか?提供を受ける者の年齢や既に何人子どもを有しているかなどで優先順位を設けるのか?)

↓(以下追加)(優先順位について、(1)〜(4)において同じ。)
● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、医学的理由や待機期間、その他の理由(年齢、既に有している子どもの人数など)などを総合して優先順位を決定することとする。

(上記の関連検討事項)((1)〜(4)において同じ。)
⇒精子・卵子・胚の需給の情報を全国一元で管理し、それをもとに提供者と提供を受ける者をコーディネートするシステムの構築が必要なのではないか?
 (すべての精子・卵子・胚の配分を情報を一元管理する機関に委ねるか?自己の医療施設に適当な精子・卵子・胚が存在しない場合に、情報を一元管理する機関に問い合わせ、情報を一元管理する機関にマッチングや提供をコーディネートしてもらえる程度にとどめるか?十分な提供を得られる見込みのある精子は、コーディネートの必要性が薄いため、卵子・胚のみをコーディネートの対象とするか?)
←(関連)公的管理運営機関の管理する情報の範囲(検討課題3)

⇒子の福祉の観点から、夫婦が子育てに耐えられるという要件も必要なのではないか?
 (医師の裁量とするか?具体的な基準を設定するか?)
↓(以下追加)
● 夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況などを考慮する。具体的な内容や方法については、生まれた子どもを安定して養育していけるかについてのインフォームド・コンセント、カウンセリング(検討課題2)で検討する。

⇒特別養子制度のように、親となるものの年齢の下限を設けないのでよいのか?

↓(以下追加)
● 親となるものの年齢の下限に対する考慮は、上記の健康状況、精神的な安定度、経済状況などについての検討の中で検討する。

(2) 各々の提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療ごとに適用される条件

(1) AID(提供精子による人工授精)(p25)

○ 精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦のみが、提供精子による人工授精を受けることができる。

(要検討事項)
⇒「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

○ 医師の裁量とするか?具体的な判定基準を設定するか?(以下、具体的な判定基準を設定する場合)

○ 成熟した精子が精巣内に存在しない場合とするか?成熟した精子のみならず精子の形成過程における受精能力を持った生殖細胞も存在し ない場合のみ「精子の提供を受けなければ妊娠できない」こととするか?(これらについては、精巣の生検によって最終判断するのか?また、 この場合には、「受精能力を持った生殖細胞」とは、精子の形成過程に おけるいかなる段階以降の生殖細胞(精母細胞、精子細胞等)を指す のかを具体的に定めるのか?)

○ 精子に受精を困難にする形態的・質的な明らかな異常があり、顕微授精などを数回実施しても、受精しない場合にも「精子の提供を受け なければ妊娠できない」とみなすのか?(この場合、精子の提供を受 ける要件として、それまでに受けるべき配偶者間の生殖補助医療の種類、回数等を具体的に定めるのか?)

○ 精子に受精の可能性を極めて乏しくする形態的・質的な明らかな異常(高度な奇形精子症、死滅精子症等)がある場合、顕微授精などを 実施しなくとも、それだけで「精子の提供を受けなければ妊娠できない」とみなすのか?

● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。
 考慮すべき基準の具体的な内容としては、日本産科婦人科学会の会告(「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1.(※1)及びその解説(※2)(p1))1に準ずる。

具体案作成中

(※1)本法以外の医療行為によっては、妊娠成立の見込みがないと判断され、・・・を対象とする。
(※2)女性側に明らかな不妊原因がないか、あるいは治療可能であり、以下のような場合本法の適応となり得る。1)無精子症および無精液症。 2)精子死滅症、または極端な乏精子症で、種々の精子増強策や顕微受精等を行っても受精せず妊娠不可能と考えられる症例であるが、原則として本法の施行は無精子症に限定されるべきである。

⇒精子提供についての優先順位を設けるか?
 (無精子症などで物理的に精子が存在しない場合に優先的に提供することとするのか?提供を受ける者の年齢や既に何人子どもを有しているかなどで優先順位を設けるのか?

(p4 参照)

(2) 提供精子による体外受精(p25)

○ 女性に体外受精を受ける医学上の理由があり、かつ精子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供精子による体外受精を受けることができる。

(要検討事項)
⇒「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?
 (医師の裁量とするか?具体的な疾患や必須の医学的検査とその結果などの具体的な判定基準を定めるか?)

⇒「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?(AIDの場合と同じ。)

(上記の2つの要検討事項に関して、)
● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。考慮すべき基準の具体的な内容としては、
  • 「精子の提供を受けなければ妊娠できない」ことについては、日本産科婦人科学会の会告(「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」1及びその解説)に準ずる。(AIDの場合と同じ。)
  • 「女性に体外受精を受ける医学上の理由がある」ことについては、
    (以下、要検討)
    日本産科婦人科学会の会告(「体外受精・胚移植」に関する見解」1
    (※1)並びにその解説(※2)(p94))、及び、3.(※3)並びにその解説(※4)に準ずる。


具体案作成中

(※1)本法は、これ以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断されるものを対象とする。
(※2)体外受精・胚移植の対象となる疾患は、卵管性不妊症、乏精子症、免疫性不妊症、原因不明不妊症などである。「これ以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断されるもの」が対象となっているが、このことを疾患別に検討しておく必要がある。「卵管性不妊症」で本法の対象となるものは、薬物療法並びに卵管形成術によっても治癒不可能と思われる症例である。これらの症例の中には、実際に卵管形成術をやっても、妊娠に成功しなかった場合と、臨床検査により卵管形成術では妊娠が成立する可能性がないと診断された場合の二種類を含む。後者の診断では、各種臨床検査の中に必ず腹腔鏡診と子宮卵管造影法とが含まれることが望ましい。乏精子症に対しては、まず乏精子症に対する一般的な治療を行なう。この一般的な治療法とは、夫に対するホルモン療法物療法・精索静脈瘤手術・配偶者間人工授精などを含む。これらの方法によっても妊娠しなかった場合、あるいは臨床検査により妊娠する可能性がないと診断された場合には、優良精子選別濃縮AIH法等を反復して行なう。それでも妊娠しないときにはじめて体外受精の適応となる。免疫性不妊症並びに原因不明不妊症も体外受精の対象となる。以上、本法以外の医療行為によっては妊娠成立の見込みがないと判断される場合を示したが、以上のごとく慎重な配慮なしに、他の治療法で妊娠可能な症例に体外受精を安易に行なうことは、厳に慎まなければならないと考えられる。
(※3)被実施者は・・・心身共に妊娠・分娩・育児に耐えうる状態にあり、成熟卵の採取、着床および妊娠維持が可能なものとする。
(※4)成熟卵の採取・着床及び妊娠維持が可能なものとは、少なくとも一側の卵巣を有すること、子宮を有すること、その子宮は着床及び妊娠維持が不可能となるような疾患を有しないことを意味する。

⇒精子提供についての優先順位を設けるか?(AIDの場合と同じ。)

(p4 参照)

(3) 提供卵子による体外受精(p26)

○ 卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って、提供卵子による体外受精を受けることができる。

(要検討事項)
⇒「卵子の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

○ 医師の裁量とするか?具体的な判定基準を設定するか?(以下、具体的な判定基準を設定する場合)

○ 成熟した卵子が卵巣内に存在しない場合とするか?成熟した卵子のみならず、卵子の形成過程における受精能力を持った生殖細胞も存在 しない場合のみ「卵子の提供を受けなければ妊娠できない」こととす るか?(これらについては、卵巣の生検によって最終判断するのか? また、この場合には、「受精能力を持った生殖細胞」とは、卵子の形成 過程におけるいかなる段階以降の生殖細胞(卵母細胞、卵子細胞等) を指すのかを具体的に定めるのか?)

○ 卵子に受精を困難にする形態的・質的な明らかな異常があり、顕微授精などを数回実施しても、受精しない場合にも「卵子の提供を受け なければ妊娠できない」とみなすのか?(この場合、卵子の提供を受 ける要件として、それまでに受けるべき配偶者間の生殖補助医療の種類、回数等を具体的に定めるのか?)

○ 卵子に受精の可能性を極めて乏しくする形態的・質的な明らかな異常がある場合、顕微授精などを実施しなくとも、それだけで「卵子の 提供を受けなければ妊娠できない」とみなすのか?

↓(以下追加)

● 医師の裁量とする(国として義務的な基準は示さない。)。ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。考慮すべき基準の具体的な内容としては、当分の間、臨床的診断として自己の卵子が存在しない場合に限ることとする。

⇒ 卵子提供についての優先順位を設けるか?
 (ターナー症候群、早発卵巣不全などで物理的に卵子が存在しない場合に優先的に提供することとするのか?提供を受ける者の年齢や既に何人子どもを有しているかなどで優先順位を設けるのか?)

(p4 参照)

(4) 提供胚の移植 (p27)

○ 胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦が、提供された余剰胚(※)の移植を受けることができる。
※ 他の夫婦が自己の胚移植のために得た胚であって、当該夫婦が使用しないことを決定したもの(p27)

(要検討事項)
⇒「胚の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準はどのように設定するか?

○ 医師の裁量とするか?具体的な判定基準を設定するか?(以下、具体的な判定基準を設定する場合)

○ 成熟した精子・卵子の両方がそれぞれ精巣内・卵巣内に存在しない場合とするか?成熟した精子・卵子のみならず、精子・卵子の形成過 程における受精能力を持った生殖細胞も存在しない場合のみ「胚の提 供を受けなければ妊娠できない」こととするか?(これらについては、精巣・卵巣の生検によって最終判断するのか?また、この場合には、 「受精能力を持った生殖細胞」とは、精子・卵子の形成過程における いかなる段階以降の生殖細胞(精母細胞、卵母細胞、精子細胞、卵子細胞等)を指すのかを具体的に定めるのか?)

○ 精子・卵子の両方に受精を困難にする形態的・質的な明らかな異常があり、顕微授精などを数回実施しても、受精しない場合にも「胚の 提供を受けなければ妊娠できない」とみなすのか?(この場合、胚の 提供を受ける要件として、それまでに受けるべき配偶者間・非配偶者間の生殖補助医療の種類、回数等を具体的に定めるのか?)

○ 精子・卵子の両方に受精の可能性を極めて乏しくする形態的・質的な明らかな異常(高度な奇形精子症、死滅精子症等)がある場合、顕 微授精などを実施しなくとも、それだけで「胚の提供を受けなければ 妊娠できない」とみなすのか?

○ 精子・卵子の一方に、受精を困難にする形態的・質的な明らかな異常がないにもかかわらず、「提供精子による体外受精」又は「提供卵子 による体外受精」により、受精しないとき(原因不明の場合)にも 「胚の提供を受けなければ妊娠できない」とみなすのか?

○ 「提供精子による体外受精」又は「提供卵子による体外受精」により、受精卵は得られるが、提供を受ける者の卵子又は精子の状態が悪いため、受精卵の状態が悪く着床の見込みがない場合にも「胚の提供を受けなければ妊娠できない」とみなすのか?

(案1)提供胚の移植を認める。「胚の提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定基準は医師の裁量とする(法律やガイドラインで、国として義務的な基準は示さない。)。
 ただし、国が実施に当たっての準則となる考慮すべき基準を示す。
 具体的な基準は?
 医学的な基準以外の、子を安定して養育していけるか、生まれた子に対する真実告知(←(関連)生まれた子の出自を知る権利(検討課題1・3))などの基準については、
(案1-1)カウンセリングにおけるスクリーニングやインフォームド・コンセントで対応することとする。
←(関連)カウンセリング・インフォームド・コンセントの内容(検討課題2)
(案1-2)個別の事例について、公的な第三者(公的管理運営機関?)の審査を行うこととする。
←(関連)公的管理運営機関の具体的な業務(検討課題3)
(案2)提供胚の移植は、(当分の間、)認めない。

⇒胚の提供についての優先順位を設けるか?
 (提供を受ける者の両方が無精子症、ターナー症候群・卵巣機能不全などで物理的に精子・卵子の両方が存在しない場合に優先的に提供することとするのか?提供を受ける者の年齢や既に何人子どもを有しているかなどで優先順位を設けるのか?)

(p4 参照)

○ ただし、卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された余剰胚の移植を受けることができる。

(要検討事項)
⇒「卵子の提供を受けることが困難な場合」の具体的な判定基準をどのように設定するか?
 (実施医療施設の判断に委ねるか?全国的な卵子の提供状況を勘案して判断するか?)
←(関連)公的管理運営機関の管理する情報の範囲(検討課題3)
(案1)「卵子の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された余剰胚の移植を受けることができることとする。その際の「卵子の提供を受ける」ことが困難であることの具体的な判定基準は?
(案2)「卵子の提供を受ければ妊娠できる夫婦」に対する提供された余剰胚の移植は、(当分の間、)認めない。

⇒「卵子の提供」が困難な場合に、「卵子のシェアリング」(後述)と「兄弟姉妹等からの卵子の提供」(後述)と上記による「余剰胚の提供」をどのような優先順位で適用するか?

→「卵子のシェアリング」及び「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」について検討した後に検討する。

○ また、胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦は、余剰胚の提供を受けることが困難な場合には、精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植を受けることができる。

(要検討事項)
⇒「余剰胚の提供を受けることが困難な場合」の具体的な判定基準をどのように設定するか?(実施医療施設の判断に委ねるか?全国的な卵子の提供状況を勘案して判断するか?)
←(関連)公的管理運営機関の管理する情報の範囲(検討課題3)
(案1)「胚の提供を受けなければ妊娠できない夫婦」は、余剰胚の提供を受けることが困難な場合には、精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植を受けることができることとする。その際の「余剰胚の提供を受ける」ことが困難であることの具体的な判定基準は?
(案2)「胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦」に対する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は、(当分の間、)認めない。

⇒「卵子の提供」が困難な場合に、「卵子のシェアリング」(後述)と「兄弟姉妹等からの卵子の提供」(後述)と上記による「余剰胚の提供」をどのような優先順位で適用するか?

→「卵子のシェアリング」及び「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」について検討した後に検討する。

(2) 子宮に移植する胚の数の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「多胎妊娠」に関する見解」(p110、111)

○ 体外受精・胚移植又は提供胚の移植に当たって、1回に子宮に移植する胚の数は、原則として2個、移植する胚や子宮の状況によっては、3個までとする。(p43)

(要検討事項)
⇒「移植する胚や子宮」がどのような状況にあれば、胚を3個まで移植することを認めるか?
 (医師の裁量とするか?具体的な判定基準を設定するか?具体的な判定基準を設定する場合にはVEECK分類(※)によるか?)
※ 受精卵の形態的分類。受精卵卵割球における形態の均質性の程度と、フラグメンテーション(小さな細胞質の断片)の程度によってGrade1からGrade5の5段階に分類され、Grade1からGrade5の順に高い妊娠率が期待される。
● 医師の裁量とする。
←(関連)1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合における提供を受ける夫婦に対する品胎(双胎)を受け入れることについてのインフォームド・コンセント(検討課題2)
←(関連)未熟児の出生に備えた受入医療施設の確保等に関する実施医療施設の基準(検討課題2)

2 精子・卵子・胚の提供の条件

(1)精子・卵子・胚を提供できる者の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」4.(p112,113)

(1) 提供者の年齢及び自己の子どもの有無

○ 精子を提供できる人は、満55歳未満の成人とする。(p29)

○ 卵子を提供できる人は、既に子のいる成人に限り、満35歳未満とする。ただし、自己の体外受精のために採取した卵子の一部を提供する場合には、卵子を提供する人は既に子がいることを要さない。(p29)

※ 他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を当該卵子の 採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担して受け、当該卵子を 用いて提供卵子による体外受精を受けることも認める。(p29)

(2) 同一の者からの卵子提供の回数制限

○ 同一の人からの卵子の提供は3回までとする。(p29)

(要検討事項)
⇒卵子提供の回数制限は、何の回数を3回までに制限するのか?

● 採卵の回数を3回までに制限する。

(3) 同一の人から提供された精子・卵子・胚の使用数の制限

○ 同一の人から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を受けた人が妊娠した子の数が10人に達した場合には、当該同一の人から提供された精子・卵子・胚を提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療に使用してはならない。(p42)

(4) 提供精子の採取、使用に当たっての感染症等の検査

○ AIDの実施に当たっては、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。(p25)

○ 提供精子による体外受精の実施に当たっても、提供精子からのHIV等の感染症の危険があることから、そうした事態を未然に防ぐため、提供精子の採取・使用に当たっては十分な検査等の予防措置が講じられるべきである。(p26)

(要検討事項)
⇒どのような感染症について提供者の検査を行うか?
(案1)日本産科婦人科学会会告「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解の4.(p112)(※1)及びその解説の当該部分(※2)(p113)に準じた検査を行うこととする。
(※1)精子提供者は健康で、感染症がなく、・・・
(※2)精子提供者は、感染症(肝炎、AIDSを含む性病等)・ ・・を予め行い、感染症のないこと、・・・を確認する。
(案2)現在のAIDにおける一般的な検査に準じた検査を行うこととする(案1)に加えて、血清反応、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体検査等についても検査を行う。)。
(案3)(案2)に加えて、クラミジア、サイトメガロウィルス抗体検査についても行うこととする。

⇒卵子提供者の感染症の検査を行う場合、卵子凍結が技術的に確立していないため、検査により感染が判明しない期間(ウィンドウ・ピリオド)を考慮した感染症の検査が困難であるが、これについては、提供を受ける者のインフォームド・コンセントを得ればよいこととするか?

(案1)ウィンドウ・ピリオドに関するリスクについて提供を受ける者のインフォームド・コンセントを得ることとする。
(案2)受精卵を凍結しておいた上で、ウィンドウ・ピリオドが終了した後、感染症について再検査し、陰性を確認した上で移植する。

⇒感染症のほかに検査すべき項目はないか?

● 遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解」の4.(※1)(p112)及びおよびその解説の当該部分(※2)(p113)に準じたチェック(問診)を行うものとする。
→精液(精子)所見、卵子所見は検査すべき項目ではないか?
(※1)精子提供者は・・・自己の知る限り遺伝性疾患を認めず、・・・を条件とする。
(※2)また、自分の2親等以内の家族、および自分自身に遺伝性疾患のないことを提供者の条件とする。

⇒上記の検査の結果を提供者に知らせるか?

● 知らせることとする。

(2)精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」6.(p112、113)

○ 精子・卵子・胚の提供に係る一切の金銭等の対価を供与すること及び受領することを禁止する。ただし、実費相当分については、この限りでない。(p30)

(要検討事項)
⇒「実費相当分」として認められるものの具体的な範囲をどのように設定するか?
(交通費、通信費のほかにどのようなものを実費相当分に含めるのか?)
(案1)個々の事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額のみを「実費相当分」として認める。
(案2)個々の事例について、提供者が精子・卵子・胚の提供のために通常支払う額を算定して、それに一定額を加算した額を「実費相当分」(の上限)として認める。
 加算を認める具体的な額(の上限)としては、
(案2-1)治験に準じた額とする(具体的には1万円前後?7千円〜1万2千円?)。
(案2-2)寸志程度の一定額とする(具体的な額はどう設定するか?)。
(案3)「実費相当分」という以上の具体的な基準は特に示さない。

⇒「実費相当分」の金銭等のやりとりの方法はどのようにするか?
 (医療施設が提供者に支払い、その医療施設が提供を受ける者から徴収するのか?提供者と提供を受ける者の直接のやりとりを認めるのか?)

※ 他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を当該卵子の 採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担して受け、当該卵子を 用いて提供卵子による体外受精を受けることも認める。(p29)

○ 他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を受けて提供卵子による体外受精を行う場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して、当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下を負担することは、他の方法による卵子の提供に際して当該卵子を提供する人にかかる医療費等の経費を当該卵子の提供を受ける人が負担することと本質的に相違はないものと考えられる。(p30)

(要検討事項)
⇒他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の提供を受けて提供卵子による体外受精を行う(卵子のシェアリング)場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して負担する「当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費」の具体的な内容はどのように設定するか?

○ 卵子のシェアリングの場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提 供した人に対して負担する「医療費等の経費」には何が含まれるのか? 精子・卵子・胚の提供に対する対価の条件において認められる「実費相 当分」と同じとするか?

○ 卵子のシェアリングの場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提 供した人に対して負担する「医療費等の経費」は実費とするか?標準的 な医療費等の経費から経費を一律に設定するか?

○ 排卵誘発・採卵までの経費とするか?提供する夫婦の胚の凍結や胚移 植にかかる経費も含めるか?

● 「当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費」とは、提供者が当該卵子のシェアリングに係る採卵の周期に、排卵誘発と採卵のために実際に支払った金額とする。

⇒卵子のシェアリングの場合に提供する卵子の数(又は割合)はどうするか?採卵された卵子の数の半分以下とするか?提供者が決めることとするか?また、採卵された卵子の数が少なかった場合にはどうするか?さらに、卵子のシェアリングの場合に、卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して負担する「医療費等の経費」の額は、提供を受ける卵子の数(又は割合)に比例させるか?)

⇒卵子のシェアリングの場合に提供する卵子の選別を認めるか?
 (選別は認めないこととするのか(ランダムに選別するのか)?卵子の質などにより提供者が選別できることとするのか?また、卵子の質により卵子の提供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して負担する「医療費等の経費」の額に差異を設けることを認めるのか?)

● 卵子のシェアリングに関する基準については、提供を受けた人が提供した人に対して負担する「医療費等の経費」の額は、当該採卵の周期に要した医療費等の経費の半分以下とする以外は、基本的に、個々の事例における提供する人と提供を受ける人との間での契約に委ねることとする。ただし、契約は提供する人と提供を受ける人との間で、直接行うのではなく、医療機関に仲介させるなど、当事者の匿名性が担保できる方法をとる。
(案1)卵子を提供する人は、採取された卵子の中から、提供する卵子の数、質を選別できることとする。
(案1-1)それ以上の基準を示さない。
(案1-2)提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を受ける卵子の数(割合)に比例させることとする。卵子の質により、提供を受ける人が負担する額に差異を設けることも認める。
(案2)卵子を提供する人が、採取された卵子の中から、提供するする卵子の数、質を選別することを認めない。提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を受ける卵子の数(割合)に比例させることとする。

⇒卵子のシェアリングの場合における公的管理運営機関の関与はどのようにするか?公的管理運営機関が卵子のシェアリングに係るコーディネートや金銭のやりとりについて提供者と提供を受ける者の間を仲介することとするのか?それとも医療機関同士が仲介することとするのか?
←(関連) 公的管理運営機関の具体的な業務(検討課題3)

(3)精子・卵子・胚の提供における匿名性の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」5.(p112、113)

(1) 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持 (p31)

○ 精子・卵子・胚を提供する場合には匿名とする。
(注釈)この場合の匿名とは、精子・卵子・胚の提供における提供する人と提供を受ける人との関係のことを示している。

(2) 兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供 (p31)

○ 精子・卵子・胚の提供における匿名性の保持の特例として、精子・卵子・胚を提供する人が兄弟姉妹等以外に存在しない場合には、当該精子・卵子・胚を提供する人及び当該精子・卵子・胚の提供を受ける人に対して、十分な説明・カウンセリングが行われ、かつ、当該精子・卵子・胚の提供が生まれてくる子の福祉や当該精子・卵子・胚を提供する人に対する心理的な圧力の観点から問題がないこと及び金銭等の対価の供与が行われないことを条件として、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めることとする。

○ 兄弟姉妹等から提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設は、その実施内容、実施理由等を公的管理運営機関に申請し、当該生殖補助医療が上記の要件に則して行われるものであることの事前の審査を受けなければならない。

(要検討事項)
⇒兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供を認めるか?
(案1)「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」を認める。ただし、提供を受ける人が、生まれてくる子に対し、当該生殖補助医療により生まれたことについての将来の告知について約束することを必須の条件とする。また、子の福祉などを担保するためのカウンセリング体制の整備などの環境整備を条件とする。
←(関連)カウンセリング、インフォームド・コンセントの内容(検討課題2)
←(関連)生まれた子の出自を知る権利(検討課題1・3)
(案2)「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」は、(当分の間、)認めない。
 当分の間、認めない場合は、精子・卵子・胚を提供する人の匿名性が保持された生殖補助医療が実施されてから一定期間経過後、兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療の実施の是非について再検討することとする。

⇒兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供における公的管理運営機関の審査基準を具体的にどのように設定するか?

(4)精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性の一致等の条件

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」4.(p112、113)

提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設が当該生殖補助医療を受けることを希望する夫婦に説明すべき具体的な事項としては、当該生殖補助医療に係るリスクの可能性、当該生殖補助医療の成功の可能性、当該生殖補助医療に要する費用、当該生殖補助医療により生まれてくる子の血液型などを当該生殖補助医療を受ける夫婦に合わせることができない場合もあること、当該生殖補助医療により生まれてくる子の法的地位、当該生殖補助医療のために精子・卵子・胚を提供する人の匿名性、当該生殖補助医療により生まれた子は、公的管理運営機関への申請により、自己が当該生殖補助医療により生まれたことを知ることができることを含めた当該生殖補助医療により生まれてくる子の出自を知る権利などが考えられるところである。(p38)

(要検討事項)
⇒精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性を合わせるか?また、
合わせる場合、どこまで合わせるか?
 (血液型(ABO式血液型、Rh式血液型等)等)
● ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)について、提供を受ける人の希望があり、かつ可能であれば、精子・卵子・胚の提供者と属性を合わせることが出来ることとする。それ以外については、希望があっても属性を合わせることは認めない。

⇒属性以外の提供を受ける者の希望に応えるか?また、応える場合、どこまで応えるか?
 (第2子や第3子も同じ提供者から提供してほしい等)

 提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれたのち、提供された精子・卵子・胚の残りを第2子のために使用することについては、
(案1)可能な限り認める。ただし、精子・卵子・胚を提供する際に、当該提供により、第1子だけでなく第2子も生まれる可能性があることについて提供する人に対し、インフォームド・コンセントを取っておく。
(案2)認めない。

⇒精子・卵子・胚の提供を行った結果、子どもが生まれたかどうかを、提供した人に対して医療機関(公的管理運営機関?)は必ず知らせることとするか?

● 提供する人の希望がない限り知らせないこととする。

⇒医療機関(公的管理運営機関?)が提供する人に必ず知らせないまでも、提供する人が希望する場合、自分の精子・卵子・胚の提供によって子どもが生まれたかどうかを知らせることができることとするか?また、知らせることができる場合、どのような情報を知らせることができることとするか?

(5)その他の条件

(1) 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲(p48)

○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子に係る精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないものについて、当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認した範囲内で知ることができる。

○ 当該精子・卵子・胚を提供した人は、当該個人情報が開示される前であれば開示することを承認する自己の個人情報の範囲を変更できる。

○ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子は、上記に関わらず、自己が結婚を希望する人と結婚した場合に近親婚とならないことの確認を求めることができる。

(要検討事項)
⇒ 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利として、生まれた子が知ることができる提供者の個人情報の範囲をどのように設定するか?
● 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知る権利を認める。出自を知る権利の範囲としては、精子・卵子・胚を提供した人に関する個人情報のうち、
(案1)当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができないもので、当該精子・卵子・胚を提供した人が当該精子・卵子・胚により生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報に限る。
(案2)当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができる個人情報も含める。

(2) 提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の取扱い、提供された精子・卵子・胚の保存期間

⇒(参考)日本産科婦人科学会会告「「非配偶者人工授精と精子提供」に関する見解」4.(p112、113)

(要検討事項)
⇒提供者が死亡した場合の精子・卵子・胚の使用について取り扱いを決めなくてよいか?
● 提供者の死亡が確認されたときには、提供された精子・卵子・胚は廃棄することとする。

⇒提供された精子・卵子・胚の保存期間についても具体的に期間を決めなくてもよいか?

● 提供された精子・卵子の保存期間は2年間とする。
(1)提供された余剰胚は、
 保存期間を10年間とする。
 ただし、当該胚は、移植前であれば配偶子の由来する提供者のうち、いずれか1人の申出により提供の撤回ができ、廃棄できるものとする。

(2)精子・卵子両方の提供によって得られた胚は、
 保存期間を10年間とする。
 ただし、当該胚は、移植前であれば配偶子の由来する提供者のうち、いずれか1人の申出により提供の撤回ができ、廃棄できるものとする。

(3)提供を受ける夫婦の精子・卵子と、提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、
 保存期間を10年とする。
 ただし、
(案1)当該胚は、提供者からの申出による提供の撤回、廃棄を認めないものとする。
(案2)当該胚は、移植前であれば提供者からの申出により提供の撤回ができ廃棄できるものとする。



(参考)

「第三者の配偶子提供等による生殖補助医療のあり方に関するたたき台」(抄)
(生殖補助医療技術に関する専門委員会ワーキンググループ作成)
(平成12年6月6日作成。同年10月3日最終改訂)

B 本論

1 第三者の配偶子提供等による各生殖補助医療の是非等について

(4)配偶子の処分
  • 精子並びに卵子は本人の死亡により廃棄される。

(5)胚の処分

  • 配偶子の由来する両者の合意により、余剰胚を提供することができる。
    提供胚の保存期間は5年か10年とする。提供した胚は、使用前であれば配偶子の由来する両者の合意により提供の撤回ができ、いずれか1人の申し出があれば廃棄できる。

「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解
(平成9年5月 日本産科婦人科学会会告)

4.・・・精子提供者は、本法の提供者になることに同意して登録をし、提供の期間を一定期間内とする。

(解説)
・・・同一の精子提供者からの出生児数を考慮し、精子提供の期間を2年以内とする。余剰精液を凍結する場合、その保存期間は2年以内とする。

ヒト胚および卵の凍結保存と移植に関する見解(昭和63年4月 日本産科婦人科学会会告)

3.胚の凍結保存期間は、被実施者夫婦の婚姻の継続期間であって且つ卵を採取した母体の生殖年齢を超えないこととする。卵の凍結保存期間も当該婦人の生殖年齢を超えないものとする。・・・

(解説)
凍結保存された胚は、良好な保存環境下では、理論的にはほぼ半永久的に保存することが可能であると考えられている。いつでも一個の個体として生育出来る能力を有するヒト凍結保存胚を、無期限に保存しておくことは、法的、倫理的に大きな問題を含んでいるが、ヒト胚の凍結保存期間がどの程度まで許容できるかという点に関しては現在まで統一見解は無い。米国では1984年に米国不妊学会誌に掲載された“ETHICAL STATEMENT ON IN VITROFERTILIZATION"の中で、母体の生殖年齢を超えないことと記載されており、また英国のWARNOCK REPORT(1984)では10年を超えないことと提案されている。本学会では、当該夫婦の所有権を尊重する立場から一応米国に準じて母体の生殖年齢を超えないことと定めた。・・・


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