01/11/28 第9回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録   第9回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日時  平成13年11月28日(水)10:00〜12:10 2 場所  中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室 3 出席者 [委員]  奥平委員、勝委員、菅野委員、齋藤委員、笹川委員、            桜井委員、佐藤委員、辻村委員、都村委員、中山委員、            長谷川委員、堀越委員、山路委員       [事務局] 奥田勤労者生活部長、南野勤労者生活課長 4 議題  中小企業退職金共済制度の見直しに当たっての論点 5 議事内容 ○部会長  ただいまから、第9回の部会を始めます。いままで長い間議論を続けてきましたが、 今日はいままでの議論の論点を項目ごとに整理しておりますので、まず全体について説 明した後に、各事項ごとに御議論をいただくという段取りにしたいと思います。それで は、資料の説明をお願いいたします。 ○勤労者生活課長  それでは、資料を説明いたします。まず資料1が「中小企業退職金共済制度の見直し に当たっての論点」ということで、本日主として御議論いただきたい内容です。  資料1を御説明する前に、配付資料について簡単に説明いたします。議論の参考にし ていただく資料として、前回までに提出した資料も含めていくつか御用意しております 。まず資料2の「予定運用利回りについて」は、すべて前回までに御提出した資料です 。「基本退職金の利回り設定の考え方について」は、これまでの基本退職金の利回り設 定についての考え方の推移をまとめたものです。平成10年の改正においては、基本退 職金の利回りは、少なくとも前年度の損失金が発生しない水準とすること、予定運用利 回りを上回る運用実績を上げ利益が生じた場合は、全部を付加退職金として支給するの ではなく、一部を累積欠損金の解消に充てることとするべきであるといった考えが示さ れております。  次の頁の一般の中小企業退職金共済制度の収支状況においては、いちばん右の欄の真 ん中の平成12年度の収支を見ますと、単年度で207億円の赤字で、累積欠損金は平 成12年度末で2,029億円という水準に達しております。次の頁が平成元年以降の 予定運用利回りの推移です。説明は省略させていただきます。4頁以降は、ケース1か らケース3、現行金利水準継続の4つのケースにしたがって、それぞれ予定運用利回り を1.5%から0.1%刻みで1.0%までと、0.5%に変更した場合との平成19 年度までの収支状況を推計した資料です。  7頁はそれ以前に提出した資料ですが、3.0%から1.0%まで、0.5%刻みで それぞれのケースごとの将来推計を行ったものです。以上が資料2です。  次に資料3「剰余金の配分について」は、基本的には前回提出した資料ですが、一部 御指摘を踏まえて修正を行っております。剰余金の配分についての案の資料は前回と同 じです。配分ルールについては、案1から案4まで示しております。変更したのは推計 資料のほうで、3頁に案1に予定運用利回りを1.5%に変更した場合の推計を付け加 えております。案1の剰余金のうち、2分の1を累積欠損金の解消に充て、残りの2分 の1を付加退職金として支給するというケースにおいて、1.5%に予定運用利回りを 設定して、2分の1で配分をした場合に収支がどうなるかということを見ているわけで すが、平成15年度はケース1から3ともに100億円近い赤字となります。平成16 年度は、ケース2と3については100億を超える赤字が出るということで、平成19 年度末の累積の欠損金で見ますと、ケース1では2,600億円、ケース2では3,0 93億円、ケース3では3,670億円という水準に達してしまいます。  4頁の案2について、1.5%に変更した場合の推計を追加しております。この場合 、平成15年度、平成16年度については、いずれのケースも付加退職金はゼロという ことになります。平成17年度になりまして、ケース1については付加退職金が付くと いうことになりますが、平成19年度末の状況を見ますと、ケース1では2,420億 円、ケース2で2,966億円、ケース3で3,670億円の累積欠損金が生じること になります。剰余金が200億円までは優先的に累積欠損金の解消に充てるという案で すので、案1よりはよくなりますが、それでもケース2でも3,000億円程度の累積 欠損金となる見込みです。  5頁ですが、前回は予定運用利回り1.0%と1.5%のケースのみをお示しいたし ましたが、他とのバランス上0.5%というケースも付け加えております。案3は、剰 余金は全額累積欠損金の解消に充当するという案ですので、累積欠損金の解消という観 点からすると、ほかの案に比べて非常に早く進むと言えるわけです。平成19年度末で ケース1で530億円の赤字、ケース2で1,370億円の赤字、ケース3で2,08 1億円という状況です。  ちなみに、いちばん下の案4については、結果的に案2と全く同じことになります。 単に利回りを低めの水準に設定するか、高めの水準に設定するかという違いのみで、剰 余金の200億円までは累積欠損金の解消に充てるという案ですので、結果的に案2と 全く同じことになります。以上が資料3です。  次に資料4です。資産運用に関する資料で、これは前回提出した資料をいくつか抜粋 して用意しております。若干修正した部分もあります。1頁が資産運用についての基本 的な考え方、運用管理・チェック体制について、2頁は事後評価、情報公開等について 簡単に整理したものです。これは前回お示したとおりです。3頁以降は、勤労者退職金 共済機構の資産運用に係る規制についてです。5頁が勤労者退職金共済機構から提出し た資料で、資産運用の基本方針の概要についてです。前回は概要の紙だけでしたが、今 回は7頁以降に基本方針の全文についてお出ししております。説明は省略させていただ きますが、7頁から15頁までの部分になります。  16頁が基本ポートフォリオ、17頁が資金運用体制、18頁が資産運用委員会の規 程です。これらは前回提出した資料と同じです。最後の19頁ですが、前回金銭信託の 委託先別の運用状況として資料をお出しいたしましたが、運用形態について明示してお りませんでしたが、本日は運用形態についてそれぞれ記した資料を提出しております。 バランス型運用又は、特化型運用という種類がありますが、バランス型運用というのは 国内株式、国内債券、外国株式、外国債券等のバランスを取って運用を行う形態のもの です。特化型というのは、特定の資産を中心に運用をしていくもので、例えば国内株式 の準特化型であるとか、外国株式の準特化型とか、いくつかの形態があります。以上が 資料4です。  資料5と6については、資料1の説明の際に併せて説明させていただきます。最後に 、追加資料として用意しておりますが、これは前回の審議会の後に労側の委員の方々か ら、加入者個人ベースで見た退職金の給付額の推計を出してほしいという要望がありま して、作業を進めたものです。時間的な余裕があまりありませんでしたが、今朝やっと でき上がった資料で、何とかこの部会に間に合わせることができました。一定の仮定を 置いた上で平均的加入者に近い形でモデル的に給付額を推計しております。  いちばん上にモデルケースと書いてありますが、それぞれの将来推計のケースごとに 、加入者の平均的な姿に近い想定で、掛金月額1万円、平成10年4月に加入して平成 20年3月、すなわち10年間勤務して、平成19年度末に退職した場合の給付額とい うことで試算しております。したがって、掛金納付月数は120カ月ということになり ます。平成12年度末で見た加入者平均の掛金月額が9,173円です。平均加入期間 でいいますと、平成12年度の退職金受給者の平均加入期間が113カ月ですので、ほ ぼこのモデルケースに近い形になるのではないかと思います。  1枚目は、ケース1で推計した場合です。13年度はマイナス成長になりますが、1 4年度以降はプラス成長に回復するというケースです。それぞれ0.5%、1.0%、 1.5%に予定運用利回りを変更した場合で、剰余金の配分案が案1から案4まで、そ れぞれのケースで給付額がどうなるかということですが、案4については、案2と比較 した場合に、基本的に予定運用利回りが高いか低いかの違いだけです。したがって、0 .5%から1.5%までの3つのケースを示すということになりますと、案4は基本的 に案2と全く同じことになりますので、御了解いただきたいと思います。  いちばん下に注があります。付加退職金は、前年度の剰余金を原資として、その翌年 度に基本退職金に加算され、付加退職金の仕組みは、例えば平成15年度には平成14 年度の剰余を基に配分されるという仕組みになっております。平成14年度については 、これは平成15年度から予定運用利回りを見直すという前提での推計ですので、平成 14年度は現行の3.0%の予定運用利回りが適用されることになります。したがって 、平成14年度は剰余金は出ないという前提ですので、この推計上15年度の付加退に ついては、すべてのケースについてゼロとなっております。15年度に剰余金が出た場 合には、配分案によっては16年度に付加退職金が付くということになります。そうい う前提で御覧いただきたいと思います。  まず、ケース1で予定運用利回りを0.5%に変更した場合です。案1として、2分 の1ずつ剰余金を累積欠損金の解消と付加退職金に配分するというケースですが、0. 5%の場合は案1〜案4まで共通しますが、基本退職金額は127万4,000円とな ると見込まれます。案1については、付加退職金は合計で2万8,995円で、退職金 額の合計は130万2,995円となります。案2は、剰余金のうち200億円までは 累積欠損金解消に充てて、それを超える額については付加退職金として支給するという ものですが、付加退職金の合計は3万2,778円となりまして、退職金の合計額は1 30万6,778円になると見込まれております。案3は、剰余金はすべて累積欠損金 の解消に充当するという案ですので、付加退はゼロということになります。したがって 、退職金の合計額は基本退職金額に相当する額のみということですので、127万4, 000円です。予定運用利回りが0.5%の場合は、案2が給付額がいちばん高くなり ます。  予定運用利回りを1.0%に変更した場合は、基本退職金額が予定運用利回りが0. 5%のケースよりも高くなりますが、その分単年度の剰余が少なくなります。したがっ て、付加退職金については、0.5%のケースよりも低くなるということになります。 基本退職金額は、129万8,000円となります。付加退職金額について見ますと、 案1では2万0,039円、案2が1万8,200円です。退職金額の合計が、案1で は131万8,039円、案2では131万6,200円ということで、この場合は案 1のほうが給付額は高くなります。  予定運用利回りを1.5%に変更したケースでいきますと、基本退職金額は133万 1,000円となります。付加退職金は、上のケースに比べてさらに少なくなります。 案1では1万507円、案2では4,431円で、合計が案1では134万1,507 円、案2では133万5,431円、案3では133万1,000円となり、このケー スでも案1のほうが退職金支給額は高くなります。  次の頁は、ケース2の場合です。掛金月額及び加入期間はすべて同じです。ケース2 は2年程度マイナス成長で、その後プラスに転じ、緩やかに回復する場合の前提での推 計ですが、0.5%に予定運用利回りを変更した場合、基本退職金は127万4,00 0円で、これは前の頁の推計と同じです。付加退職金の合計額は、案1で2万141円 、案2で1万5,431円となります。ケース1よりは剰余金が少なくなるという前提 ですので、付加退職金の額は少なくなります。退職金の合計額で見ますと、案1が12 9万4,141円、案2が128万9,431円となります。この場合は案1のほうが 額は大きくなります。  予定運用利回りを1.0%に変更した場合ですが、基本退職金額が129万8,00 0円、付加退職金を見ると、案1が1万1,273円、案2が4,926円となります 。0.5%に比べると基本退職金部分は上回りますが、剰余が少なくなる分だけ付加退 職金額は少なくなります。退職金の合計額は、案1が130万9,273円、案2が1 30万2,926円となります。この場合も案1のほうが上回ります。  予定運用利回りを1.5%に変更した場合ですが、基本退職金額が133万1,00 0円で、この場合はほとんど付加退職金が付かないということになります。案1だけ3 ,389円の付加退職金がつきまして、合計で133万4,389円で、案2と案3は 基本退職金額のままということです。  次は、ケース3です。4年間程度はマイナス成長という前提での推計ですが、この場 合は付加退職金額がかなり少なくなります。0.5%に変更した場合の付加退職金が、 案1が1万1,440円、案2が380円で、合計金額が案1が128万5,440円 、案2が127万4,380円です。  予定運用利回りを1.0%に変更した場合ですが、付加退職金として案1が2,65 2円です。その結果退職金額が、案1が130万652円、案2が129万8,000 円となります。これは基本退職金額どおりということです。  予定運用利回りが1.5%になりますと、付加退は全く付かないということで、すべ てのケースについて基本退職金額と同額となります。  最後の頁ですが、現行金利水準継続のケースです。この場合はそれなりに付加退が付 く状況になっておりまして、予定運用利回りを0.5%に変更した場合は、案1では2 万4,026円、案2では2万3,158円の付加退が付きまして、合計平均額が、案 1が129万8,026円、案2が129万7,158円となります。  予定運用利回りが1.0%の場合は、案1が1万5,231円、案2が5,635円 となりまして、合計金額が、案1が131万3,231円、案2が130万3,635 円です。  予定運用利回りが1.5%の場合では、案1では付加退職金が4,457円付きまし て、退職金の合計金額は133万5,457円、案2基本退職金額と同額ということで す。以上、新しい資料も含めて資料2以下について説明いたしました。 ○部会長  では、いままで説明があった資料について、御質問などがありましたらお願いいたし ます。では、何か質問がありましたらおいおいしていただくことにしたいと思います。 ○勤労者生活課長  それでは、資料1に移ります。論点整理ということで事務局で用意した案です。これ までの御意見等を踏まえまして、私どもで整理をいたしました。大きく分けてIの基本 的な課題として、いわゆる総論部分と、IIの個別の論点に分かれております。まずIの です。  ○ 我が国においては、景気の低迷が長引き、金利や株価が極めて低い水準で推移し   ている。このため、一般の中小企業退職金共済制度における実際の運用利回りが予   定運用利回りを下回ることにより、責任準備金の積立不足が拡大し、平成12年度   末現在で2,000億円を超える累積欠損金が存在する等厳しい財政状況となって   いる。  ○ 一方、中小企業退職金共済制度は、単独では退職金制度を設けることが困難な中   小企業において退職金制度を確保するために重要な制度であり、今後とも、その果   たすべき役割は大きい。  ○ このようなことから、低成長が見込まれる中、今後とも中小企業退職金共済制度   を維持し、その安定的な運営を図るため、早期に基本退職金に係る予定運用利回り   を見直し、制度の財政の安定化を図ることが必要ではないか。」 以上が基本的な課題です。  IIの個別の論点ですが、1の制度の安定的な運営の確保という観点より、(1)から (3)の3つに整理しております。まず(1)の予定運用利回りの引下げです。  ○ 基本退職金の予定運用利回りについては、制度の財政の安定化を図る観点から、   現行の3.0%を引き下げる必要があるのではないか。  ○ その場合、経済・金融情勢、累積欠損金の状況、付加退職金の活用等を考慮した   上で、中退制度の安定的な運営を図る観点から、基本退職金に係る予定運用利回り   はどのような水準とするべきか。   ・ 単年度収支が黒字となることが見込まれる水準で、かつ、累積欠損金の解消に     確実に資する水準とするべきではないか。  (2)の剰余金の配分の考え方については、  ○ 基本退職金に係る予定運用利回りを見直すことにより単年度で剰余金が生じた場   合、当該剰余金を付加退職金の支給と累積欠損金の解消のための原資としてどのよ   うに配分するべきか。   ・ 基本退職金の利回りを低めの水準に設定した上で、剰余金については、付加退     職金制度が十分機能するよう、2分の1を付加退職金の支給に、残りの2分の     1を累積欠損金の解消に充てることを基本としてはどうか。  4案ほど剰余金の配分ルールについて示させていただきましたが、そのうちの案1を 基本として考えてはどうかということです。さらに、   ・ 各年度ごとの剰余金の配分については、原則的ルールを定めた上で、その都度     労働政策審議会(中小企業退職金共済部会)の意見を聴いて決定することとし     てはどうか。  原則的ルールというのは、例えば累積欠損金の解消に2分の1、残りの2分の1を付 加退職金にという配分ルールを原則として決めた上で、剰余金の配分については、各年 度ごとにその時々の状況に応じて当部会の意見を聴いて決定することとしてはどうかと いうことです。年度ごとの状況によって、若干配分割合を動かすといった見直しも考え られるのではないかと思われるわけですが、いずれにしても当部会の御意見を聴いた上 で、各年度ごとに決めていってはどうかということです。  続いて、(3)退職金額に係る規定の政令事項化です。  ○ 最近の激しい経済・金融情勢の変化に機動的に対応することが可能となるよう、   予定運用利回りを前提とした退職金額について、政令事項へ変更するべきではない   か。   ・ 法律に退職金額に係る基本的な考え方を規定した上で、具体的な退職金額は政     令で定めることとしてはどうか。  注のところにありますように、行政改革推進事務局からも経済・金利情勢に的確に対 応した制度設計が可能となるよう、予定運用利回りを弾力的に設定できるような仕組み に改め、法律事項を政令事項に変更し、計画的に積み立て不足を解消するよう指摘され ているところです。  なお、ここで言う基本的な考え方とは、中小企業退職金共済制度が退職金制度である ということもありまして、退職金カーブを設定いたしまして、長期勤続者については給 付を少し厚くして配分するという仕組みを取っております。逆に言いますと、加入期間 が短い方については、例えば加入期間が12カ月未満でやめる方については、掛捨てと いうことになっております。12カ月を超えて24カ月までの間にお辞めになる方につ いては、いわゆる掛損期間といいまして、実際に掛けた掛金よりも少ない額の給付を行 っているということです。24カ月を超えて42カ月までは、掛金と同額の給付を行い 、利子はつかないという制度設計になっております。43カ月を超えて加入し、辞めた 方については、金利が上乗せされ、なおかつ付加退が付くという仕組みになっておりま す。こういった基本的な仕組みの骨格は、法律で規定した上で具体的な金額は政令で規 定してはどうかということです。  なお、退職金額に係る規定を政令化した場合に国会での審議がなくなる分、法令上審 議会の位置付けを明確にすべきではないかという御意見も頂いたところでして、私ども もそういう方向で何らかの見直しができないか、調整を図ってまいりましたが、今年の 1月の省庁再編に伴いまして、審議会についても整理、統合が行われました。基本的に 政府全体の方針といたしまして、審議会の権限を限定する方向でいま進んでおります。 審議会に関する所管である総務省にもいろいろと相談をしましたが、審議会として新た に付議事項を設けることについては、認められないという判断をいただいております。  既に中小企業退職金共済部会においては、中小企業退職金共済制度の重要事項につい ては調査、審議をするという項目がありまして、従来どおり、中小企業退職金共済部会 の重要事項の調査、審議ということで、退職金の利回りの変更についても当然盛り込め るわけで、仮に退職金額を政令化したとしても、従来どおりその見直しに当たっては審 議会にお諮りし、その建議をいただいた上で改正をしていくということになります。  次の2の項目、勤労者退職金共済機構による資産運用の充実というところです。  ○ 勤労者退職金共済機構による資産運用の重要性が高まっていることから、以下の    とおりその充実を図るべきではないか。   ・ 運用目標の明確化、事後評価、運用管理・チェック体制や情報公開について一     層の充実を図る必要があるのではないか。   ・ 資産運用の主体としての勤労者退職金共済機構の責任を明確にする必要がある     のではないか。  これは、他の公的な資金運用機関、例えば年金資金運用基金であるとか、厚生年金基 金連合会などの運用機関においては、運用主体の受託者責任というものを、法律上既に 盛り込んでおります。勤労者退職金共済機構の場合はそういう規定はありませんが、よ り資産運用の主体としての責任を明確化するという意味で、そういう規定も法律上盛り 込んではどうかというふうに考えております。  さらに、経済・金融情勢の変化を背景として、新しい金融商品もいろいろと登場して いる中で、より効果的な資産運用を行うため、前回も御説明いたしましたとおり、国に よって法律政令、政省令、告示、通知で設けている規制についてです。   ・ 規制の見直しや資産運用の対象の拡大を行う必要があるのではないか。  注にありますように、行政改革推進事務局からは、明確な運用目標の設定、適切な事 後評価等について指摘を受けているところです。  3の勤労者退職金共済機構の業務の見直しです。資料5を御覧ください。中小企業退 職金共済法上、勤労者退職金共済機構の業務の範囲が第六十六条第一号から第四号にお いて定められております。  第一号が退職金共済契約及び特定業種退職金共済契約に係る中小企業退職金共済事業 を行うことです。これは本来の退職金共済事業を行うということです。  第二号が保健、保養又は教養のための施設の設置及び運営を行うことです。こういっ た施設を設置し、その運営を行うことも勤労者退職金共済機構の業務として認められて おりますが、制度発足以来、現在に至るまでこういう施設の設置は行っておりません。 したがって、この規定は空振りになっております。  第三号が共済契約者又は共済契約者を主たる構成員とする事業協同組合その他の団体 に対し、従業員の福祉を増進するために必要な労働者住宅その他の施設で政令で定める ものの設置又は整備に要する資金の貸付けを行うことです。いわゆる融資事業であり、 事業主が自ら従業員のための福利厚生施設を設置する場合に、低利で融資をするという 事業が認められており、実際に行っております。第四号が、前三号に掲げる業務に附帯 する業務を行うことです。ちなみに第二項で、第一項の第二号、第三号の業務について は、資産の安全で効率的な運用を害しない範囲内で行わなければならないという制限が かかっております。  資料1に戻ります。3の注のところにありますように、行政事務局より、融資業務に ついては、実績が少ないので廃止するよう指摘を受けているところです。  ○ 最近の実績が減少している融資、これまで実績がない保健施設等の設置といった   勤労者退職金共済機構の業務について、特殊法人改革の動向や社会経済情勢の変化   を踏まえ、この際見直しを行うべきではないか。 としております。  最後に4のその他です。これまで当部会では議論されてこなかった事項でして、この 時期になって事務局から御提案することを大変申し訳なく思うのですが、法改正の機会 に法律で規定されているいくつかの事項についても併せて見直しを検討してはどうかと いうことで、お諮りしたいと考えているものです。  資料6を御覧いただきたいと思います。2点ありますが、1つが過去勤務通算月額の 範囲についてです。中小企業退職金共済法上、過去勤務期間の通算制度というのが認め られております。これは、新たに事業主が中小企業退職金共済制度に加入した場合、そ の事業主が以前から雇っている従業員について、制度加入前の勤務期間に対する掛金を 納付することによって、過去に遡って制度に加入していたと見なすという仕組みです。 遡及できるのは10年を限度としております。それによって、従業員の退職金の給付水 準を少しでも底上げしようという制度になっております。  過去勤務通算月額については、現在は5,000円から2万2,000円までと決ま っております。過去勤務通算月額はどのようにして決まるかということですが、現在一 般の中小企業退職金共済制度の掛金月額は、5,000円から3万円までの範囲内で定 まっておりまして、その3万円も段階的に引き上げられてきました。過去10年分の最 高月額の平均を取ったような形で、過去勤務月額が定まっております。2万2,000 円に改正したのが平成7年で、平成7年から10年間を遡りますと、最高月額がほぼ2 万2,000円になるということで、2万2,000円という金額が設定されておりま す。しかしながら、現時点で新たに事業主が加入するとしますと、過去10年分の平均 の掛金の最高額は、2万9,000円程度になるということで、2万2,000円を引 き上げてはどうかという御提案です。  2の2つ目にありますように、中小企業の範囲の拡大によって、従来中小企業退職金 共済制度に加入できなかった企業も制度に加入することができるようになっております 。平成11年度から中小企業の範囲の拡大による引継という仕組みがありましたが、そ の場合の掛金上限額は3万円と設定しております。また、前通常国会で確定給付企業年 金法が成立しましたが、同法により適年から中小企業退職金共済制度への引継が認めら れております。その際も掛金上限額は3万円と設定しております。こういった引継との バランス、整合性といったようなところにも配慮して、過去勤務通算月額の最高額につ いては3万円程度に引き上げてはどうかという御提案です。  次の頁は、特定業種退職金共済制度における掛金日額の範囲についてですが、1行目 にありますように、現在、特定業種には建設業、清酒製造業、林業がありますが、特定 業種の掛金日額の範囲については、法律によりまして120円以上450円以下という 範囲定められております。下の表にありますが、これは昭和55年に引き上げられて以 来、20年以上引上げが行われてこなかったわけですが、この部会でも御報告いたしま したように、今年の9月から林退の掛金日額が450円まで引き上げられたところです 。法律上の上限に達したこともあり、掛金日額の範囲を引き上げてはどうかという御提 案です。  実際に掛金日額がどのように決まるかということですが、特定業種の退職金制度は関 係事業主、関係業界の自主的な協同責任体制により運営されていることから、それぞれ の特定業種ごとの掛金日額については、運営委員会を通じて関係業界との意見を反映さ せた上で、勤労者退職金共済機構が法定の掛金日額の範囲内で特定業種退職金共済規程 において、自主的に定めることとされており、厚生労働大臣の認可を受けることになっ ています。今後の各特定業種退職金共済制度における掛金日額の引上げに対応し得るよ うに、法律改正の機会に引上げを検討してはどうかという御提案です。  最後に3頁目ですが、一般の中小企業退職金共済制度の掛金月額を引き上げることに ついては、一般の中小企業退職金共済制度の掛金月額が、平成7年に下限が4,000 円から5,000円、上限が2万6,000円から3万円に引き上げられており、退職 金の給付水準を上げることからしますと、今回についても範囲を引き上げることが適当 とも言えます。しかし、平成12年度末において270万人の加入者のうち約4割が掛 金について下限の5,000円にはり付いているという状況です。最低掛金月額を、例 えば5,000円から6,000円に引き上げることになりますと、その分、義務的に 事業主が掛金を引き上げなければならないということになり、非常に厳しい経済情勢の 中で、事業主に掛金の負担を強ることになるため、なかなか難しい点があるのではない かと考えており、場合によっては解約に至るケースを増加させることにもなりかねない のではないかというふうに思われます。そういう意味で、今回最低掛金月額については 5,000円のまま据え置くことにしてはどうかと考えているわけです。また、最高掛 金月額についても、最低掛金月額を引き上げるときにセットで引き上げるということで これまで引上げを行ってきたところで、最低掛金月額の引上げが難しいのであれば、最 高掛金月額についても従来どおり3万円ということで据え置くのが適当ではないかとい う御提案です。以上です。 ○部会長  それでは、整理していただいた論点に沿って、これから少し議論をしていきたいと思 います。整理された論点の中の基本的な課題はあとでもう1回精査することにして、個 別の論点の中の制度の安定的な運営の確保、予定運用利回りの引下げ、剰余金の配分の 考え方というのは裏腹の関係にあるように思いますので、(1)と(2)を併せて最初 に議論をしたいと思います。資料もいろいろなケースに沿って出していただきました。 それらを参考にしながら、この辺の考え方について、それぞれ考えていることがありま したらお聞かせいただきたいと思います。 ○委員  その前に、基本的な課題の所で、責任準備金の積立不足が拡大しと書いてありますが 、平成13年3月の貸借対照表を見ますと、3312という数字が出ていますが、これ はフルに積んであるということなのですか。  前回の資料のバランスシートをいま見ていますが、当期損失金が2,000億円ある という考え方の中で、責任準備金が100パーセント積んであるのかどうかという点で すが、この数字は積んであるのですか、ないのですか。 ○勤労者生活課長  責任準備金を満額積んだ場合には2,029億円の累積欠損金が出てくるということ です。逆に言えば、2,000億円強の積立不足が発生していると。 ○委員  そういうふうに考えればいいわけですね。この数字はフルであるということですね。 積んでいないという意味ですね。 ○勤労者生活課長  はい。 ○部会長  では、何か御意見はありますか。 ○委員  基本的課題と引下げの問題と関連しますが、この間議論しているからそれなりに理解 をしていますが、渡される資料はすべて1.5%よりも低いということで、現在の半分 以下にしてしまう。将来的な経済見通しについて、私は当初の段階で言いましたが、経 済財政諮問会議ではもうちょっと明るいことを言っているわけです。それを修正した。 今年度がマイナスになるということは、経済財政相も認めているけれども、構造改革が 進めば景気回復するんだという、国民にそういう約束をしているわけで、そのおかげも あって、小泉さんは70%をいまでも優に越える支持率を得ています。  そういうことから考えると、誰もがいちばん願っているのは景気回復であるという世 論調査が出ています。いまの内閣にそれだけの支持があって、そしてここで議論した中 で長期の成長率の見込みを口頭で言ってもらいましたが、とてもじゃないけど低い率し か見込んでいない。そんな状況について、もう少し明るい見通しを出すという、同じ政 府部内の一員として事務局が機能しているわけですから、その辺の考えをもう一度言っ てもらいたいと思います。部長からお願いします。 ○勤労者生活部長  いまの小泉内閣が発足して、その後も構造改革の実施ということで、長期の経済見通 しについても示されたわけですが、直近の情勢からしますと、平成13年度については 実質でマイナス0.9%、名目ですとマイナス2.3%ぐらいの見込みで、平成14年 度については現在作業が進んでいると思いますが、これはまだ政府は正式に言っている わけではありませんが、いまの状況から判断をすると、14年度についてもマイナス成 長という発言もだいぶ出てきたりしているということで、早晩これについては正式に発 表されるだろうと思います。  私どもは今回、皆様方に御議論をいただいて、これがまとまりまして国会に提出して 、実際に利回りの変更を行うのは、過去の例からしますと平成15年度からになります 。委員のほうからはもう少しそれを早くできないかという御意見もいただいております ので、それについてはさらに検討する必要があると考えておりますが、現状の経済情勢 から判断いたしますと、私どもだけが非常に楽観的な見通しで行っているわけではなく 、中小企業退職金共済制度が、長期間に渡る安定を考えなければならない制度であるこ とを考えますと、現状で多数を占めている意見を参考にして制度の改正を行っていくこ とは、これはやむを得ないことであり、当然のことであると思います。  しかし、そういう中で私どもはこの中小企業退職金共済制度について、経済が回復を し、それに伴って運用もうまくいったときには、これはなるべく早く加入者に還元でき るような仕組みを考えていきたいと思っておりまして、そのための仕組みとして、1つ は法律事項を政令化するということであり、これまでは引下げばかりやっておりました ので、政令化をするとまたすぐ下げるのかという発想が先に立ちますが、政令化された ときには当然この審議会にお諮りすることになりますが、基本的に経済が健全になって 運用も長期に渡って、私どもが考えているよりも高い水準での運用が見込めることにな ってくれば、これは基本退職金の引上げを政令の変更によって行うことができます。  この他に、今回御提案している剰余金については、2分の1は付加退職金として加入 者に分配することを考えたらどうかという御提案をしましたが、そういう仕組みが合わ さっていくことで、経済情勢の改善に伴う退職金水準の改善が従来以上に早く行えるの ではないかと考えております。  しかし、前提のところで、制度の安定的な運営ということが非常に重要になってきて おります。現状で累積欠損金が2,000億円を越えており、14年度末ということも 考えますと、いまの3%の運用利回りが続く予定ですので、その間に累積欠損金がさら に積み増されることも考えますと、制度を安定的に維持させていくためにはどういった 金利水準にすることが適当なのかということを、今回の改正においては十分に考慮する 必要があるのではないかと思っております。 ○委員  経済成長率の見通しがどうなるかというのは、基本的に関連してきますので大事だと 思いますが、OECDとかIMFが、日本の経済成長率についていろいろ予測を出して いますね。過去10年よりも大体半分ぐらい、約3%から1.5%くらいに下がるだろ うと予測しているわけです。そういう国際機関の予測、政府の見通し、それに各シンク タンクの見通し、それぞれ、かなり幅があるのですが、将来的に、ちょうどこれが掛か ってくる期間について、予測を出していると思います。そういうのを参考資料として、 大体どのくらいの幅で、どのように予測されているかというのを示していただくのもい いのではないかと思います。  いま部長もおっしゃいましたが、年金とか、こういう退職金の共済制度は、やはり安 定的に運営すること、制度が維持可能であることがいちばん基本的に大事だと思います ので、それを考えて、見直すなら見直して、もし経済の情勢、成長率が予想よりも上が るとすれば、非常に望ましいわけですから、そのときには迅速に対応できるようにとい う意味では、法律事項から政令事項に変更して、適切に変えていくというのが勤労者の ためになるのではないかと私は思います。以上です。 ○部会長  ほかにいかがですか。 ○委員  経済見通しがどうなるのかということで、たぶんこれが国会に出るのが来年だと思い ますので、12月の内示の時期はいつになるのでしょうか、いまは17日とか、18日 と言われていますが、そのときにたぶん閣議了解で政府経済見通しが来年度どうなるか というのは公になっているのだと思います。いまの経済財政諮問会議の竹中大臣すら、 来年度はマイナスはやむを得ないといった感じの言い方をしておられます。来年度はプ ラスということをなかなか政府としても、言えない状況になってきているのではないか と思います。我々は非常に残念なので、前回も、厚生労働大臣も、もうちょっとマクロ 経済のほうをしっかりやってほしいというのをいろんな場で言っていただきたい、雇用 のセーフティネットだけではなくて、と申し上げたのですが、マクロ経済についてはこ の部会の場で、なかなか言える範疇ではないので、その程度しか言えないのだの思いま す。しかし、そういうことの中で、健全に運営していくということを考えるべきだと大 臣もおっしゃいましたが、あまり楽観的な数字の前提には立てません。1つポイントに なるのは、1.5%とか1.0%とか、0.5%というのは、きわめて厳しい、忍びな い水準ではあるのですが、先ほど、委員からもありましたように、積立不足が3,00 0億円程度から更にもうちょっと増えるかもしれないということだとしますと、本来あ るべき運用資産である3兆数千億のうち、その分は、逆をいうと、運用できていないわ けです。  運用できていないわけですから、本来3兆4,000億とか、3,000億とかのお 金全体を市中で運用できれば、仮に1.5%とか1.0%の利回りが確保できたのかも しれないのですが、その分、運用できる原資がなくて、1割何分か減額しているという ことになると、実際の利子として、はね返ってくる分も少なくなるので、やはり積立不 足をなるべく早く解消するというのが、積立不足が積立不足を生むという累積をを生ま ないためにも重要だと思います。そこは現実的な水準ということで考えていかざるを得 ないのではないかという気がいたします。  前回、私は然は然りながら、民間のいろいろな生命保険会社等の年金について、実際 の予定運用利回りが1.5%前後になっていて、それとのバランスということを考えな くてはいけないということを申し上げました。手数料を引かれますので、実際に加入者 に環元される分というのは1%強で、1〜1.5%だと思いますが、それを念頭におい て、あまり低い水準で赤字を累積させないということを前提にしながら、それを1つの 参考資料ということで考えなくてはいけないのではないかと申し上げました。  しかし、昨今の新聞報道によりますと、民間の生命保険会社の1.5の予定利回り自 身も維持できないということで、引下げという話にもなっています。前は私は1.0% 以下になるのはもう少し慎重にと申し上げたのですが、そういうことも考えると、いま 案としてお示しいただいている選択肢というのは、現実的にはやむを得ない水準なのか なと、この中でどういう所を考えてるかということではないかという気がしています。 ○委員  本当に日本の経済と大変関連があるのですが、実質で2年続けてマイナス成長という ことは間違いないでしょうし、その点ではケース2が基本的なところでしょう。また名 目成長率は4年連続マイナスということで、大変深刻な状況にあるのですが、これは日 本経済において、いまが最悪の状況だと思います。最悪の状況のみを前提にして判断を するというのは、長期的な労働者の福祉を前提としたこの制度としては、あまり適切で はないのではないかと思います。いま最悪を脱するという前提を含めながら、制度の改 革については、慎重に考えなくてはいけないのではないかと考えます。具体的には1. 5%とか1.0%という資料が出ているのですが、最悪で基準を決めるのではなしに、 将来明るくしていかなければいけないという判断からの審議をしなければいけないので はないかと思います。 ○部会長  ほかに何かございますか。 ○委員  予定運用利回りの引下げに関しましては、これは非常に残念なことであるとは思うの ですが、やはり資料1の1頁個別の論点の所の引下げにしても、あるいは剰余金の配分 の考え方にしても、合理的な説明というか、どうしてそういう基準にするのかという説 明が必要になります。その場合には、議論されているように経済成長率の見通しという のは、1つは大きな意味合いを持つと思いますが、ただ、ここまで累損が拡大してきた 要因として、やはり90年代に引下げが非常に遅れてしまったこと、それは、90年代 にはここまで景気が悪化するというのを、多くのエコノミストが予想してはいなかった ことではあるわけです。  そういったことを考えると、もちろん今、委員がおっしゃったように、いまが底で、 これから明るくなるということはあるかもしれませんが、そういったことを考えたとし ても、やはり累損の拡大、あるいはそれを是正するということは非常に重要だという観 点に立つとすると、厳しい見通しを前提にして考えていくべきではないかと思います。 これは、もちろん労働者の福祉の向上というものも重要ではあるわけですが、制度のサ ステイナビリティが今はむしろ喫緊の課題ではないかと考えます。合理的な説明という ことから考えると、例えば剰余金の配分に関しましても、事務局の案ですと、半々にす るという案が出ているわけですが、たしかにこれは非常に中立的な考え方だと思います が、果たして、これで本当にいいのかという考え方も一方では出てくるわけです。  この審議会で利率と配分の仕方を決めるわけですが、その場合にも、やはり加入者、 あるいは社会に納得していただけるような合理的な説明を重視して、その上で透明性の 中で考えたということを示すことが重要なのではないかと思います。 ○委員  剰余金の話は、いまの委員の、2分の1という根拠を明らかにせよというのは賛成で すよ。それは是非やっていただきたいと思います。それから、例のここで書かれている 基本退職金の利回りを低めの水準に設定した上でというのは、今回こういう形で、ドラ スチックに下げざるを得ないという場合に、多少目標よりも剰余金が出た場合には、あ まりにも低過ぎるわけだから、付加退職金として配分するというのは、やむを得ないこ とだと私は思います。  前回申し上げたように、たしか平成2年の改正に伴って、5.5%の利率に下げたと きに、付加退職金を配分しているわけです。結果的に見ると、甚だ公平性という観点か ら見て、何と馬鹿なことをしたものだというふうに、今から思うと言わざるを得ないわ けです。そのときに配分した金を、今の累積欠損金の解消に回せば、多少公平性が担保 できたのにと思うわけであります。そういうことを二度と繰り返さないためにも、やは り剰余金の付加退職金の配分という場合には、もう少し基準を明確にして、前回の轍を 踏まないために、今回の場合はやむを得ないですが、そのやむを得ない場合の線引きを どこでするのか、ということの根拠をもう少し明確にしていただきたいということを一 点申し上げておきたいと思います。 ○委員  付加退職金の話にまいりましたので、徹夜で資料を作っていただいたそうですがそれ は非常に御苦労なことだと思います。前回示されたときには、2分の1なり、あるいは 200億円の余りなりという案が出ていて、数字では結構な金額が出るから、どの程度 1人当たりに付くのかとそのときも疑問を持っていたので、後から聞いたわけですが、 今日出してもらったのですが、実質的には、本当にたばこ代くらいのお金しか付かない ということです。悪く考えれば、利回りを非常に低めにして、だけど、剰余が出たとき には、半分は付加退に回すんだよというのはちょっと姑息な手段ではないかと思います 。私の感じで言うとね。  何でそういうことまでするのかと、逆に疑問があります。それまで努力しようという 気持もあって、出されているというふうに理解すれば、善意でそれでいいと思うのです が、労働者に説明するときに付加退職金に、剰余が出たら半分来るということを私らが 説明するとしても、一体どれくらい来るのかということで、いまの各案で示された数字 をもし言うとすれば、これは、残念ながら、なかなか、それはいいじゃないかというよ うな話にはならないと思います。  だから、ここのところはまとめの議論になってくるのだろうと思いますが、労働者側 から考えれば、現行の3%の引下げはやむを得ないと基本的に考えるとしても、より高 いところで、常識的に考えて、これから2年連続でマイナス成長になるかもしれません が、うまくいくと、2〜3%の間でそれ以降展開するのではないかと思います。そうい うことも考えれば、これまで示されている例の中の、いちばんいいというところでまと めてもらいたいなという気持を私自身は持っています。だから、付加退職金の問題はあ る意味でいうと、突如出てきた感じで、前回出てきたわけですから突如でもないのかも しれませんが、これは受け取る側の労働者からすると、そんなに言うほどの数字ではな いということになってしまいますね。せっかくなさったので、こういうことを言うと申 し訳ないという気持ちもしているのですが、もう一回言うと、低めに誘導するために、 付加退職金に2分の1もっていくという意図があるのだったら、それはちょっとおかし いのではないかと申し上げておきます。 ○委員  剰余金を2分の1ずつ配分すればいいのではないかという話を前々回だったか私は申 し上げたのですが、同じ考えをくり返させていただいたほうがいいのではないかと思う のですが、たぶん200億円とか、一定の金額まで積立不足のほうに先に充当すること にしますと、平成2年、3年当時は累積積立不足があまりなかった時代なので、それで 若干でも剰余金が残って、本当にごく僅かですが、配分したということだと思います。 いまのように積立不足が3,000億云々という巨額な金額になってきますと、例えば 、金利水準が非常に低いですから、1年で500億円も1,000億円も剰余金が出る なんていうことは望むべくもないわけです。  そうすると、せいぜい数百億円ぐらいの剰余金が出るか出ないかで、うまく運用して そういうときに、先ほどの説明でも、加入者の平均加入期間というのは10年あるかな いかぐらいなわけです。毎年300億円の剰余金が出て、全部それを累積欠損金の解消 に充当しても、その期間に加入していた人が過去の積立不足というか、ツケを背負うこ とになってしまうわけですから、それはあまりにも酷ではないかという意味で、半分半 分ぐらいということにして、特定の期間の人だけが過去のしわ寄せを食うということは 、バランスがちょっとよくないのではないかと思います。そういう意味で、金額が多く ても少なくても、半分半分ぐらいにするのがいいという意味で申し上げたのですが、確 かに1億円とか、2億円しか剰余金が出ていないときに、半分の5,000万円を加入 者全員で分けるなんてことをやるのがいいのかどうかというのは、コストとの問題で考 えなくてはいけないということです。  それは原則的にはルールと毎年の運用という中で、あまりにも金額が小さいときにま で、本当にそれをやるのか、あるいは株式市場などが非常に好転して特金なんかも逆に 利益が出てくるようになると、ウエイトが3割くらいなので結構利いてくるかもしれな いので、大きくなったときには、2分の1、2分の1の配分比率も場合によると、4対 6とか、少し弾力的に考えるといういう議論があってもいいのではないかという意味で 、申し上げました。  私は原則は特定期間の人だけに全部、そこで累積欠損金の解消を図るというのは制度 の健全性という面ではそのとおりだと思いますが、何となく、その期間にいる人だけが 非常に割を食うというようなことがあり得るかもしれないというふうに思います。いず れにせよ、制度のコストをあまり掛けてはいけないということも、真剣になって考えな くてはならない話ですから、あまりにも少額なときまで、杓子定規に全部ルールどおり にやるのか、あるいは大きな金額の剰余金が出たときに2分の1ずつでやるのかどうか は、もう少し考えることだと思います。そういう側面も視野に入れて、考えていく必要 があるのではないかという気がいたします。 ○委員  相当、議論していまして、私どもとして一定の結論をそろそろ出す頃ではないかと思 います。私どもは、できれば利回りは高いほうがいいと労働者の立場からいえばそうな るのですが、そういった観点からいうと、実は私の組合はプロパーが100人近くいま す。実際、退職金の積立というのは、3割ぐらいしかありません。正直に言いまして、 ここにいろいろな試算が出ています。ケース2で見ますと、現行の3%で、どれだけ累 積赤字が出るか。それから2%、1.5%とあるわけですが、いずれも累積赤字が残る わけです。先ほど言いましたように、今の最悪の状況の中で考えるということでなしに 、将来長い展望で見れば、ある程度の累積欠損を抱えながらでも、制度をやっていくと いうことはできるわけですから、私どもは、先ほど言ったように30%しか積立金がな いけれど、それでは退職金が払えないということではないわけです。  毎年、定年退職者が出てくるのですが、それなりに退職金を払っているわけですから 、そういう点では、ある程度私どもの希望も入れていただいたところで、早く結論を出 すべきだと思います。 ○委員  委員は事務局に「大変ごくろうさま」とおっしゃったのですが、私は、やはり1人ひ とりの労働者に説明するとき、これがいちばんいい資料だと思います。私は、やはり数 字のマジックだな、やはりそうだったのだなと今日この資料を見て思ったのですが、抽 象的なものの発想としては、付加金が出たら付加金をお互いの欠損金の補充に回すのと 、労働者のところに回すという、とても理想的で、考え方としては当然だと思います。 しかし、そのことが労働者にとって、どういう形で表われてくるのかと見たとき、やは りこのとおりだったわけです。このルールに従った場合の付加退職金は、たばこ3箱買 えるぐらい、ビールだと缶ビール2つ買えるぐらいの金額なわけです。これが、やはり 数字のマジックなわけで、次の議題にもなっています、どういうふうな形で市場の金利 動向に対して、機敏に、機動的な運用をしていくのかという話とリンクするわけですけ ど、考え方としては、2分の1、2分の1ということを前提としながらも結果的に剰余 金が本当に少ないときににも、こういう方法でやるのかというのは少し考えなければい けないと思います。  だから、私どもは組合員1人ひとりに説明するわけですから、中小企業退職金共済制 度の退職金はこうなりましたと、この資料を使って説明するわけです。例えば、あなた が10年間勤めたときにどのくらい退職金が出るかといいますと、基本退職金は、1. 0%のときだったら、129万8,000円です。付加金で989円ですよというふう に。この説明を聞いたときに、労働者が本当に最後に熱く感じるかどうかなのですね。 私は、ここは少し数字のマジックがあるなと思います。ここはもう少し、考えさせても らわなければならないと思います。いずれにしても、この3.0%でいいと労働側も全 然思っているわけではないのですが、どの程度の水準かということであれば、いままで のところ、1.5%と1.0%と0.5%と、この3案でずっと来ているわけですが、 いま労働側のいろいろな委員が言ったとおり、労働側にすれば、それは1.5%でしょ うというのは当然の話だと思います。  今示されているのは、1.5%と1.0%と0.5%なのですが、もう少し、ここは 検討の余地があるのではないかと私は考えます。ただ、水準を引き下げなければいけな いということについては、そうだろうと思います。どう考えたって、このまま3.0% を維持してくれなどとは言える話でないので、水準を引き下げなくてはいけないという ことについては理解を示しますが、どの程度の水準がいいのかということについては、 少し検討の余地があるのではないかと思っています。  それと、これは今日は基本的な課題は別途ということで、個別のところから入りまし ょうということですが、1の(1)、(2)の議論をしているわけですが、私はやはり 運用の問題があるんだと思うのです。これからセービングするということとも関係する のですが、果たして、こういうような運用の仕方でいいのかどうなのかということにつ いては、一緒に議論する課題ではないのかと考えています。 ○部会長  それでは、いままで利回りと剰余金の話をずっとやってきましたので、退職金の政令 化も絡むような話ですから、その3つについてはとりあえず、このくらいにしておいて 、次はいま委員が言われた運用資産の充実というテーマに移りたいと思います。 ○委員  ちょっとその前に、意見というか、質問申し上げたいのですが、たしかに課長が言わ れたように、そういう総務省の見解があるとすれば、なかなか審議会についての新たな 権限を付与するのは難しいとおっしゃるのは、そのとおりなのでしょうが、ただ、それ はいかにもお役所的な答弁で、今回の場合に、もしそういうふうに政令事項に変更する 、つまり国会の審議のハードルをなくするということは、状況が一変したわけですから 、その状況の変化を抜きにそれだけを言うのは、やはりおかしいのではないかというこ とを改めて申し上げます。そこらはもう少し、再度検討の余地がないのかということで あります。  それから、もし仮に審議会に新たな付議事項をつけるのは難しいということであると すれば、たしかに政令事項化というのは、機動的に運用するという意味ではやむを得な いことなのかと私も思っていますが、やはり何らかの審議会の位置付けを高めるような 、重要性というのは当然高まってくるわけですから、別の方策を考えるべきだと思いま す。これは建議した上で、改正するということを言われましたが、それが本当に義務付 けられる形になるのかどうか、建議がまとまらなかった場合にどうするのか、そういう ことも含めてお答えをお願いできればと思います。 ○勤労者生活課長  今回についても、まさにそうでございますが、あくまでも、この審議会で御検討いた だいて、その建議をいただいた上で制度改正をしたいというスタンスは従来もそうだっ たわけですし、今後仮に法律事項を政令化したとしても、そのとおりでございます。そ のスタンスは何ら変わりません。  しかも、その中小企業退職金共済部会の審議事項の中で、「中小企業退職金共済制度 の重要事項についての調査審議」という項目がございます。予定運用利回りの見直しと いう形での明記はなされていませんが、予定運用利回りというのは、まさに中小企業退 職金共済法でいう重要事項でありまして、それを見直すということについては、当然、 中小企業退職金共済部会にはお諮りをしていくということでございます。そういうこと で、手続的には従来と何ら変わりがないということを御承知おきいただきたいと思いま す。  それから、透明性の確保という観点からいたしますと、例えば、以前もちょっと御意 見があったかと思いますが、現在、政府でパブリック・コメントという制度がございま して、基本的に何らかの新たな規制を設けるような場合には、一般から意見を聞くとい う制度でございますが、中小企業退職金共済法の改正が、こういうふうな予定運用利回 り見直しを行う場合には、そのパブリック・コメントを求めるといったような手法、こ れは厚生労働省のホームページの中で意見を公募するような形になるわけですが、そう いう手法もあり得るのではないかと考えています。  それから、これはまた委員の皆様方の御意見を確認した上でということになろうかと 思いますが、中小企業退職金共済部会そのものは議事は非公開という扱いになっていま す。最初の部会の際に、委員の間の申合せ事項という形で議事は非公開という扱いにな っています。資料とか、議事録はすべて公表するという形になっていますが、現在、省 内の審議会の趨勢といたしまして、基本的に議事も公開していくという方向にございま す。1月の時点で、議事を非公開とした審議会も逐次議事を公開するという動きが出て います。そういう意味で、この中小企業退職金共済部会も、会議を公開し、傍聴したい 方については、人数的な制限はございますが、自由に傍聴していただくといったような 手法を取るといったようなことも、考えられるのではないかと思っています。 ○部会長  それでは、次のテーマの資産運用の問題について、先ほど、ちょっと委員が言われた ということになりますでしょうか。 ○委員  この2頁の2つ目の所で、運用目標の明確化、事後評価、運用管理・チェック体制や 情報公開について一層の充実を図る必要があるのではないかとありますが、むろんその とおりです。それと、資産運用の主体としての勤労者退職金共済機構の責任を明確にす る必要があるのではないかというところもそうだと思うのですが、この責任を明確にす るという中身は何を指しているのですか。 ○勤労者生活課長  具体的に、今私どものほうで検討している事項といたしましては、先ほども申し上げ ましたが、他の公的な運用機関については、運用機関としての責任を法律上明記すると いう方向にございます。それらの例を参考にしながら、勤労者退職金共済機構について も同様の受託者責任という規定を設けるべきではないかということでございまして、具 体的に申し上げますと、例えば、忠実に資産運用の業務を遂行する義務、それから利益 相反行為の禁止、要するに勤労者退職金共済機構の役員あるいは職員が自己の利益、ま たは第三者の利益を図るような目的で資産運用を行ってはならないといったような規定 などを盛り込んだらどうかという方向で事務的には検討を進めているところでございま す。 ○委員  前に委員がおっしゃったのですが、AとかBとか運用機関を特定しないような表現が ありますね。これについては公表できないということでしたが、その理由もわからない ではないけれど、ここに書かれているようなことをやろうとすれば、この審議会委員と いう立場からいっても、それぞれの会社がいま、民間なり、いろいろな所から格付けさ れていることもあるわけで、そういうことは言わないで、ここはAはファンドでこれだ けですというふうに出ていても、それはもう後は論議の仕様がないということですね。 それは責任を持ってやりますということになると、これを公表すると、大変な問題にな るということもあるのかもわかりませんが、ペイオフの問題も含めて、金融機関の情報 開示ということが盛んに言われている中で、こんなの一般に公表したからって、何の弊 害も起こらないのではないですか。  それで信託銀行が潰れるというようなこともないでしょう。この部会に、AからZと 出されたって、はっきり言って、それは困る。だから、つまり公表してやったほうがい いのではないですか。 ○勤労者生活課長  この部会の資料として御提出しますと、すべてが資料としては対外的に公表されると いうことになります。そうなりますと、お互い運用先というか、受託企業間でいろいろ な競争をやっているわけでございまして、そういう所がわかってしまうということもご ざいまして、それは必ずしも好ましくないのではないかという観点から、AとかBとい う名称にさせていただきましたが、そういう御趣旨でございますと、できましたら、一 般には公表するということではなくて、委員限りということで個別名称を入れた資料を お渡しするという取扱いにさせていただければと思いますが、如何でしょうか。 ○委員  是非、そうしてください。 ○斉藤部会長  配りますか。 ○勤労者生活課長  お配りします。暫くお待ちください。 ○委員  私も資金運用を委託している所については、その結果について、やはりお互いに意識 をして、より有利な運用をしないと、逆にいうと、次のときに受託できないかもしれな いという緊張感を持ってもらう、競争のメカニズムというのを民間の方は御利用になっ ているわけですから、そこはチエックできる体制ということについては、考えてもらっ たらいいのだと思います。  したがって、そういうものが一定の範囲であっても、評価に曝されるという仕組はあ っても、何らおかしくないと思いますし、逆にいうと、受託先もあまり満遍なく広げる というのではなくて、むしろ、もう少し絞ってもいいのではないでしょうか。ただ、期 間の取り方などは実際は難しいのかもしれません。10年で評価するのか、5年で評価 するのかという問題もあると思いますが、もう少し一般の人の評価に曝されるという意 識をってもらって、有利な運用を必死になってやらないと、次の受託時にその結果がは ね返ってくるという意識は持ってもらうようにすべきではないかという気がします。 ○部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○委員  いまの運用体制の強化というのは、非常に重要な課題だと思いますが、いま議論され ているように、やはり運用の業者間の緊張関係を保つというのは、非常に重要だという のは一つなのですが、あと2点ほど、非常に重要なことがあるのではないかと思います 。一点は先ほど、課長からも答えられたように、受託者責任を法律的に明記するという ことが重要なのではないかと思います。  もう一点は、この前もちょっと気になったのですが、この資料4の16頁に基本ポー トフォリオというのがありまして、これの割合が、もしかなり硬直的であるという場合 、例えばこの場合、金銭信託で株式が3割近くになっているわけですが、これに応じて 各信託銀行、あるいは各運用会社が運用しているわけで、ここの部分をどういう形で、 弾力的に決めているのかということになると、これはいろいろな考え方があって、例え ば一定の比率にしてしまって、ドル・コスト平均法みたいな形で、ニューマネーが入っ てくるわけですから、安くなったところで買っていくということでコストを落としてい くという考え方も1つあるわけですが、ただ、企業年金等は、かなり弾力的に見直しを しています。  特に、例えば1年前の段階で、これからデフレがたぶん強まるという予測がつけば、 株式の比率を落とすとかいった弾力的な対応が、どの程度まで出来ているのかというこ とも非常に重要なのではないでしょうか。  日本の場合ですと、企業年金ではそういう形でストラテジスト的な部分の方がやって いらっしゃるということも聞いているわけですが、このポートフォリオの配分の見直し の弾力化というものをどの程度に考えたらいいのかということも、議論していく必要が あるのではないかと思います。以上です。 ○委員  いま委員がおっしゃったことと関係するのですが、この基本ポートフォリオの作成者 というのは誰なのかというか、前回お聞きしたときに、資産運用委員会で基本ポートフ ォリオを作成するというふうにおっしゃったように記憶しているのですが、この基本ポ ートフォリオを作るときに、外部の人というか、そういう人も参加する中で作っていっ たら、もう少し弾力性のあるものなども出来るのではないかと思います。どうも、この 基本ポートフォリオの作り方に若干問題があるのではないかと私は前回の勉強会でそう 感じました。 ○勤労者生活課長  その点について、ちょっとお答えします。基本ポートフォリオは12年3月に作った ものですが、勤労者退職金共済機構で外部の専門家の方々を加えまして、ALM研究会 というものを設けました。いろいろな専門家の方々の御意見を伺いながら、この原案を 作りまして、それを勤労者退職金共済機構の資産運用委員会で最終的に基本ポートフォ リオとして決定したしたというふうに承知しています。  これはあくまでも、現行の予定運用利回り3.0%を前提にして、リターン、リスク の関係からどのようなポートフォリオとするか、それぞれの資産をどのぐらいの配分割 合にすればいいかということで作ったものでございますので、予定運用利回りが変われ ば、当然それに応じて基本ポートフォリオを見直していくということになるというふう に理解しています。 ○部会長  ただ、前のほうの議論もあるのですが、これからは予定利回りだけ設けたらいいとい う話でもないのでしょう。仕組みとして、できるだけ高利に回すような仕組みでなけれ ばね。だから、そういう運用の仕方の発想自身も少し変えるようにしなければいけない とすれば、これは委員が言われたように、外部の人からの意見がうまく反映できるよう にしておかないと、なかなかそうはならないと思います。ほかに何かありますか。それ では、3番目の勤労者退職金共済機構の業務の見直しについては何か議論がありますか 。4番目のその他の議題についてはいかがですか。 ○委員  その他のところで議論されたことは、卒直に申し上げて、この部会で初めて出てきた お話であって、既に、こういうことも議論しますよというような範囲には入っていなか った問題だと私は思います。言ってみることについて、そんなに悪いことを言ってみえ るわけではない。しかし、これは委員である私個人もありますが、私たちも組織という こともありますから、これはそれなりに論議も必要な問題になるのですね。業界側でい うと、特定の建設について、委員の所もそれなりに議論しなければいけない問題だろう と思います。これは一括でやってしまおうと思ってその他に入ってしまったのか、まあ 、その他のことで検討しておいてくださいよという程度なのか、そこを聞いておきたい と思います。これは別の所でも議論しないと、結局、特定業種の場合は、単一の金額と 書いてありますが、上があるとなると、ある面では引上げ要求が出てくることもあるわ けですからね。少し、この場だけで結論を得られるのはちょっと難しくて、いろいろな 問題が絡むのではないかと思っています。 ○部会長  どちらのほうの話ですか。 ○委員  特定業種退職金共済の掛金日額の範囲を引き上げようという話です。これは今回の一 連の議論では全く予想されなかった議題なので、それなら林業退職金共済制度について は、これは審議会でも掛かったわけで、みんな賛成をしたわけです。そのときにそれな りに論議をしておけばよかったのではないかと思うので、この一連の中で、まとめてし まうというのは、ちょっと私個人としても、責任上少し時間がほしいです。いいことじ ゃないかと言って、皆さん思われるかもわかりませんがこれはいろいろな問題が付随し ます。  簡単にいうと、300円を450円にしたら、そのまま加入を継続してくれるかどう かということで、もう少し言うと、事業主がそのまま証紙を貼付してくれるかどうかと いうような、そういう問題にまで発展するわけでしょう。だから、これは、今日は建設 業協会の代表としてお見えになっているから、私自身も委員とじっくり話し合わないと いけないと思います。こうした公式な場で話し合ってもいいですけど、ちょっとおかし いでしょうから。 ○勤労者生活部長  これは法律で掛金の範囲だけを決めているわけです。現在は120円から450円の 範囲内と定められており、いくらにするかは、各業界ごとの運営委員会で決定する仕組 みになっているわけです。現行制度は建設業、清酒製造業は300円になっているわけ ですが、ついこの前、林業退職金共済制度についてはこれを上限いっぱいの450円ま で引き上げるという決定がされました。この過程では、林業の退職金の水準が、制度発 足が遅いものですから、低いということがありまして、退職時にまとまった退職金にな るようにということで、掛金をもっと引き上げたいという意見があったわけです。ただ 、そのとき法律で450円と決まっているものですから、450円を超える金額にもし 変えるとすると、そのためだけに、法律改正の手続きをしなければならないということ になりまして、それで今回450円の上限という所に落ち着いたという経緯がございま した。  今回私どもが御提案しているのは、これを機会に退職金の掛金日額を引き上げてくだ さいということを申し上げるつもりは毛頭なくて、将来そういったことが起こってきた ときに、法律改正を経ないで、運営委員会の場で決めて、当然その結論はここの場にも 掛かってくるわけですが、この場の御審議の上で、政令で定めることになっていますの で、その範囲を広げようと御提案しているということです。その意味では、直接、この 場でこの掛金日額の具体的な額についてどうこうというようなことは全く考えていない というわけでございます。先々のことを考えたときに、いわば一種の保険として掛金の 上限を広げておく措置を今取っておいたほうがいいのではないかということについて、 検討をお願い申し上げたいという趣旨でございます。 ○部会長  特定業種の共済制度のほうは関係業界との関連が密接だから、少し各関連業界ともう ちょっと調整をしてからではどうですか。そうすぐ、結論を出さなくてもいい話でしょ うからね。 ○委員  結局、掛金を引上げるときにはそこでということなのでしょうが、枠を決めるところ 自体も無視はできないのですね。そこをやらないと。 ○勤労者生活部長  もう一度、各業界ごとにお話を申し上げて、タイミングとしてはまだ間に合うと思い ますので、皆さんの御了解を頂ければ、これについても、項目に入れていきたいと思い ます。 ○部会長  今日はこれくらいにしたいと思います。だんだん論議を集約していきたいと思います ので、次回は少しいままでの御議論を踏まえて、建議の素案になるような、叩き台の案 をお示しして、それを基に議論をしていきますのでよろしくお願いします。次回は12 月20日、場所は経済産業省別館の会議室になります。  それでは、今日はこの辺で終わりと致します。どうも御苦労様でした。 6 配布資料  (1) 中小企業退職金共済制度の見直しに当たっての論点  (2) 予定運用利回りについて  (3) 剰余金の配分について  (4) 中小企業退職金共済制度の資産運用について  (5) 勤労者退職金共済機構の業務について  (6) その他の事項  (7) 追加資料 剰余金の配分について考慮した場合の退職金額モデルケース (注)配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総務   課行政相談室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧しておりま   す。   ┌───────────────────────────────┐   │照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課     │   │                               │   │    担当:河野・武村                   │   │                               │   │    03(5253)1111(内線5376)       │   └───────────────────────────────┘