01/11/05 社会保障審議会第2回介護給付費分科会議事録        社会保障審議会 第2回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所    平成13年11月5日(月) 15時から17時30分    厚生労働省 省議室 2 出席委員    西尾、井形、青柳、岡、喜多、木下、木村、京極、見坊、笹森、下村、田中(滋    )、田中(雅)、中村、橋本、樋口、堀江、村上、矢野、山口、山崎、山本の各    委員    澄田委員は欠席 3 議題 (1)介護保険制度実施状況等(続き)について (2)介護報酬について   (訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、通所リハビリテーション) (3)その他 ○ 資料1−1、(参考)に沿って、介護保険制度の実施状況等のデータ、平成14年 度老人保健福祉関係予算概算要求の概要等について、小林総務課長より説明。 ○ 資料1−2に沿って、入院患者の状況等について、外口老人保健課長より説明。 (青柳委員)  介護保険施設の中の特に療養病床について、どちらかというと東日本の方で計画目標 数に達しておらず、30%台以下の県が非常に多い。  まず、目標計画数の設定以前に、各都道府県でどの程度介護保険の指定を受けたいか という調査があったが、その調査と実際の計画目標数の差を捉えておきたい。さらに、 目標数設定後、届出を受けて指定をする段階でいろいろ議論があったが、その数値も捉 えてほしい。  また、計画目標数に達せず、現在は12万床弱であることについて、国あるいは都道府 県レベルで具体的にどのような対応をしたのか、今後どういう対応を考えているのか教 えていただきたい。計画目標数に達していないことの要因分析が終わっていれば、教え てほしい。 ○ 「青柳委員提出資料」に沿って、医療保険適用の療養病床の利用者の状況等につい て説明。 (堀江委員)  低所得者に対する保険料単独減免の実施状況について、どういう判断をしていて、今 後どういう方針で保険者に対応するのか、見解を聞きたい。 (貝谷介護保険課長)  資料1−1の4ページの通り、単独減免を実施する保険者の数は増えてきている。今 年の5月に全国課長会議で一部自治体の取り組みを紹介し、仮に各自治体の実情の中で 減免措置を取らざるを得ない場合は、3原則は十分踏まえてほしいという要請をした。 また、3原則をクリアできる具体的なやり方も含めて、初めて文書でお示しした。  国として必ずしも推奨するわけではないが、そうした自治体の動きに対して、やるな らばこういう方向でと示してきている。そういう中で、トータルで増え、また、春にお 示しした方向に沿って各自治体で取り組まれており、自治体の実情と国の考え方の双方 に沿った方向ではないかと見ている。 (堀江委員)  今後実績が明らかになり、保険料見直しの段階になると、保険者間の競争になり、保 険料をできるだけ抑えるため一般会計等の繰入れや減免制度の拡大が行われる可能性は 極めて高いので、厚生労働省として注意深く見守っていただき、状況に応じた考え方や 指導を今の段階から準備していただきたい。 (下村委員)  介護保険をつくったときの考え方として、社会的入院の解消があったが、かなり立ち 遅れている。介護保険適用病床の患者を見ても、福祉施設や在宅でも対応できる人が医 療施設よりは少ないもののかなり入っており、介護療養型、老健施設、特養の入所者を もっと増やすべきであり、在宅の拡充や在宅施設のサービスが十分でないことを示して いる。  さらに、青柳委員の資料によると、要介護度の低い人が医療施設にたくさん入ってい る。青柳委員のご説明は、要介護度が低いからといって医療サービスの必要度が低いと は限らないとの趣旨と思うが、要介護度と医療サービスとの関係は本日の資料でははっ きりしない。  医療保険の方で検討している社会的入院の是正策に合わせて、特定療養費を適用する と自己負担になる可能性もあるから、介護保険の受け皿整備を検討する必要がある。診 療報酬の議論は急いでいるため、できれば次回くらいに介護保険の受入体制をどうする かについて、保険局との政策的な整合性を持たせることが必要である。  その際に、在宅サービスの拡充策も考えてほしいが、併せて医療療養型の介護施設へ の転換、これは介護療養型に限らず老健施設あるいは特養への転換も含め、検討してい ただきたい。 (橋本委員)  資料1−2の2ページで、介護保険適用病床の計画達成率が示されているが、似たよ うな人が介護保険適用と医療保険適用にいるわけだから、介護・医療あわせた療養病床 の全体数について65歳以上人口に占める割合を示した方が、包括的に療養病床利用者の 姿が出てくると思うので、そういう資料を補足してほしい。 (見坊委員)  前回の資料によると、約70万人の方が認定を受けながらサービスを利用していない。 その理由としては、低所得のため自己負担の問題があって利用しないという方がかなり いるのではないか。単独減免の措置を取る市町村が増える1つの理由とも考えられる が、もう少し原因を分析した資料・調査があれば教えていただきたい。制度的には、低 所得の問題は生活保護を受ければよいが、実際には生活保護に対する抵抗が非常に強 く、難しい問題である。  また、実際には所得があっても利用しない方もかなりいて、施設指向が強いために、 介護保険の目玉である在宅重視の方向になかなか進んでいないが、その辺をもう少し知 りたい。 (貝谷介護保険課長)  認定を受けてもサービスを利用していない方の実態について、いくつかの自治体の最 近の調査によると、サービスを使わない理由としては、「何とか家族介護でやっていけ る」がサービスを使わない方のうち45%、「自分で何とかまだいける」が39%である。 一方、利用者1割負担のためにサービスを使わないという点については、5%程度であ り、総じて数は少ない。  療養病床については、制度実施の1年前の段階で約19万床というのが各自治体ベース の積上げであり、実施半年前の段階で保険料を見込む際に、19万床ベースだと市町村に よっては保険料が非常に高くなるおそれがあった。そのため、介護療養病床の指定に当 たっては、医療と介護の療養病床の分担を地域ごとに、特に医療関係団体とも相談しな がらやってほしいと平成11年の夏にお願いした。その結果、最終的に平成11年度末では 17万8,000床という積み上げになり、直近でいうと11万9,000床で、約六十数%にとどま っている。国としては、医療と介護の役割分担あるいは地域によって様々な介護に求め られるものについて、都道府県を通じてお願いしてきているが、今後、医療保険の方の 動きに併せて、医療と介護の役割分担についても十分議論を詰めていきたい。 (外口老人保健課長)  介護療養病床への移行が進まない要因分析については、全日本病院協会の調査と医療 経済研究機構の調査を入手しているが、医療機関から見ると医療保険・介護保険の両制 度の先行きが課題で、しばらく様子を見たいという意見が最も多い。今後、当分科会の 審議の中で、医療と介護の機能分担や医療保険施策との関連、他の施設サービスとの機 能分担や在宅サービスの充実についての議論が進む中で、介護療養病床についても必要 な整備についての理解が進むものと考えている。 (村上委員)  ゴールドプラン21について、かつてケースA〜Cという想定をして、保険料や基盤整 備の問題を議論した。現在のゴールドプラン21は、ケースBと記憶しているがそれでよ いか。前回、資料を要求したが、前倒しでの基盤整備の実績が全然出てきていない。ど こがどのように積み上がっているかを次回までに出してほしい。  さらに、平成11年から12年にかけて介護保険導入によって3,600億円ぐらいの国費が浮 くから、これは懐に入れずに前倒しして基盤整備に使うという約束だった。しかし、平 成11年度〜14年度を追ってみると、相当国の懐に入っているように見えるが、その点に ついてお答えいただきたい。 (小林総務課長)  ケースA〜Cのいずれかについては、改めて報告させていただきたい。3,600億円の国 費については、数字の変遷がいくつかあって最終的には1,500億円程度の国費の減という 整理だったが、いずれにしても、平成12年度より介護保険制度が実際に円滑に動くこと を前提に、基盤整備も含め、国として所要の措置を講じてきており、それを整理したの が資料1−1の8ページである。 (村上委員)  3,600億円が1,000億円台に減ったとしても、それを懐へ入れないという約束の通りで あれば、平成11年度まで基盤整備で2,000億円ぐらい金が出ていることからすると、 3,000億円台の基盤整備が毎年行われるべき。数百億円は乗ったかもしれないが、どう も相当国が懐へ入れているようであり、これは約束違反ではないか。 (小林総務課長)  基本的に懐に入れているという認識はなく、ゴールドプラン21に基づく基盤整備につ いても、各市町村の介護保険事業計画の整備見込み量等を前提に、平成12年度以降、施 設整備を粛々と進めさせていただいていると認識している。それ以外の介護保険制度の 円滑な実施のための経費についても、相当程度の財源を投入してきていると考えている。 (村上委員)  懐へ入れずに基盤整備を前倒ししてやると約束したわけだから、「粛々と予算に基づ いて」では困る。約束違反でないならそういう数字の資料を出していただきたい。基盤 整備が進まないから利用率が下がっている部分もあり、基盤整備を急ぐべき。また、在 宅重視で始めても、施設の要望が強いのであれば、ゴールドプラン21の見直しを行うか どうかにも関わってくる。ウェートのかけ方や資源配分を考え直すのかどうかを含め て、はっきり数字を示していただきたい。 (山口委員)  基盤整備と長期入院の問題について、急性期の一般病床からリハビリの回復病棟を経 て療養病床へという患者の一連の動きが、どこかでストップしている。お年寄りの状態 像によって、療養する場が決まるのが理想であるが、資料1−2の「受入れ条件が整え ば退院可能」が39.4%というのは、受入れがないからとどまっていることを表してい る。  一方で、在宅重視の介護保険が施設にシフトしている傾向が強い。在宅復帰の旗印を 掲げる老健施設も今24万床で、最終的な29万床からすると5万床も足りないが、こうし た中で、特に老健施設のように在宅とつながっている介護保険施設の整備について、今 のままで行くのかどうか教えていただきたい。  さらに、在宅シフトが進まないのは、医療保険も介護保険も在宅復帰のインセンティ ブが働いていないか、働き方が弱いからだと思うが、介護保険施設の中でも特に老健施 設のような在宅復帰機能を持った施設について、在宅復帰のインセンティブが働くよう な仕組みを今後どうするのか。 (石井計画課長)  山口委員の指摘は、老健施設単独での整備よりも、ケアハウスやグループホームとの 相乗効果により、在宅復帰機能がより一層発揮されるような施設整備の在り方を考えら れないかという趣旨と思うが、今後検討させていただきたい。 (山口委員)  数年前に一般ベッドから老健施設への転換が進められていた時期があったが、そうい った転換型について、今後政策誘導を行う考えはないのか併せて教えていただきたい。 (石井計画課長)  それも併せて考えさせていただきたい。 (樋口委員)  在宅から施設へのシフトの問題について、施設指向はある意味で当たり前ではない か。国勢調査の結果などを見ると、この5年間に独り暮らし高齢者あるいは老夫婦世帯 が増えているのが分かるが、さらに、20歳代後半から40歳代にかけての働き盛り、結婚 盛りの人の未婚率が非常に増えている。日本は今や若い人たちの大シングル社会に突入 しており、家族構造の地すべり的な変化の中で、ゴールドプラン21における基盤整備及 び施設の分類では、在宅はとても無理。  誰でも住み慣れた自分の空間に住みたいのは当然であるが、在宅の間口を広げる機能 を持つ施設あるいは高齢者住宅を広げていく対応も考えていく必要がある。主婦のパー ト就労の収入を上回る家族手当を出せば、在宅介護の大きなインセンティブになるの で、そこまでの覚悟があればいいが、いずれにしても、こういった施設指向の要因や今 後の対応策をどう考えるのか。 (小林総務課長)  基本的に住み慣れた地域で生活していく姿を実現するための介護保険制度であり、そ の辺りの分析については改めて整理したものをお示しできるかと思うが、在宅重視の方 にどのようにもっていくかについて、いろいろな議論をベースに検討していきたい。 (笹森委員)  呆け老人をかかえる家族の会の介護保険施行後のアンケート調査で、在宅介護の割合 が67.1%、入所が23.6%、入院が9.3%で、以前調べたときは在宅が多かったが、今回は 一般に言われる在宅74〜75%どころか67%であった。また、在宅介護の平均年数が6〜 7年、長い人は15年以上という方もいる。結局、介護保険は常時見守りが必要な呆けの 人の場合には、認定によって給付の上限があり、基盤整備の問題があり、さらにE型のデ イサービスがなくなったこともあって、家族の負担軽減にはならないという意見もあ る。  それから、家族の会の場合、要介護度5が33.8%、4が23.9%、3が19.4%と非常に 要介護度が高い。また、平成14年1月の改正後を見る必要があるが、ショートステイ が使いにくい。  施設入所の自己負担金が介護保険になって非常に少なくなっており、できるだけ在宅 でという考え方は変わらないが、現実にはこういった問題もある。 (西尾分科会長)  本日の意見の中でも、長期入院の問題はかなり重要な問題でもあるので、次回も引き 続き冒頭で御議論いただきたい。また、本日さまざまな新たな資料要求もあったので、 用意ができれば次回に事務局から説明していただきたい。本日限りで総論的議論は終わ りではないので、少しずつ各論に入りながら議論を深めていきたい。 ○ 資料2に沿って、訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、通所リハビリテーションの 報酬体系を考える視点等について、福本企画官より説明。 (山本委員)  資料1−1の1ページに保険料平均が2,900円とあるが、これは実績か標榜額か。  青柳委員提出資料に療養型病床群に入っている方の要介護度別の割合が出ているが、 事務局からも教えてほしい。  低所得者対策について、実態だけでなくどう考えているのか、また、低所得者がどれ だけいるかの数字を教えてほしい。  主治医の意見書が非常に複雑で、入力しにくく、手間が掛かっている。もう少し入力 のしやすいように簡略化すべき。  訪問介護の3類型については、実態は非常にやりづらく不適当。介護サービスの内容 は、要介護者の意見を聞いてその都度変えるというやり方でもいい。例えば1時間半の 訪問介護で、日によって身体介護を1時間してほしいとか、30分でいいという要求がよ くあるが、ヘルパーは判断に困る。私のところでは、要求を聞いて帰って協議し、それ が介護保険外にあたる場合は、利用者に負担していただいている。訪問介護をややこし く3つに分ける必要はなく、事務の簡素化にもなるので、1つでいい。  介護タクシーはやるべきでない。介護費用が全部タクシー代になっている実例もあ る。それなのに、県が保険者に断りもなく指定してしまう。こうしたものを指定するか どうかは、保険者が決めるべき問題だと考える。  保険料の5段階徴収については弊害である。介護費用を払うのは保険料であり、その 徴収の仕方に欠陥があるならば直すべき。これについてはもう一回考え直すことがある のか。 (中村委員)  在宅分野については、時間を取って議論していただきたい。在宅シフトがこの1年間 進まなかったという反省が多いが、介護保険スタート時、複雑で分かりにくく、弾みが つかなかったことが最大の理由と思う。  訪問介護については、3類型と家事援助という名称の設定が一番の失敗だった。家事 援助については、自立支援や要介護状態の悪化を防止するための援助という部分が大き いにも関わらず、「家事援助」という素人的サービスの名称となった。このネーミング も含め、3類型の問題を考えないといけない。  通所系サービスの時間区分についても、もう一度きめ細かい対応を議論すべきではな いか。「訪問入浴介護」は設定されているが、「通所入浴」というサービスはなく、お そらく2〜3時間の区分で通所入浴を考えていたと思うが、はっきりとニーズにこたえ るために、一つのサービスとして考えていくべきではないか。また、通所介護と通所リ ハの全ての面での整合性を図っていただきたい。 (橋本委員)  在宅サービスの議論が今日のみというのは無理ではないか。在宅サービスがなぜ進ま ないかというと、質が悪いから。いろいろな人が自宅で暮らし続けられるよう、質の確 保について議論が必要。  要支援、要介護1の方の家事援助中心のサービスについては、こういう方にとっては それなりの効果があり、それで十分である。ドイツの介護保険は要支援がなく、家事援 助がないことについて利用者の不満がある。そういう方の報酬をどう考えるのか議論が 必要。  身体介護と家事援助の両方の利用が必要な方に関しては、介護支援専門員の仕事の煩 雑さやヘルパーと家族との軋轢という観点からも、もう少しすっきり整理していいので はないか。  通所介護と通所リハについては、実態としてさほど差異がないサービスが行われてお り、報酬を変えることが妥当かという趣旨で前回資料要求した。  また、時間と要介護度をクロスした報酬設定になっており、複雑で細かすぎる。さら に、要介護3〜5が一本になっているが、ちょっと乱暴ではないか。  看護婦や介護職員が欠員の場合の30%減算についても、特に看護婦については現場で は充足の難しさから大変不満が多い。また、デイサービスは暑いときや寒いときは利用 者が減るなど利用に波があり、せめて3か月か6か月、どう妥協しても1か月間全体と して定員を超えなければいいと思う。  3級ヘルパーの扱いについては、以前は数が足りないから仕方ないという面もあった が、頑張って研修を受けて2級になれるわけだから、今回は3級は介護保険の報酬の対 象外としたい。 (喜多委員)  訪問介護の3類型について、一本化すべきとの意見と差をつけるべきとの意見が書い てあるが、これは誰の意見をどのように収集されたのか。  3類型は利用者から分からないという声があり、全国市長会の実務担当者の勉強会で も同様の意見が出ている。  移動の時間については、実際に過密のところと過疎のところを比べれば、移動時間に 極端に幅があるため、それが同じ額というのはおかしい。一方で、全体の人件費や物価 を考えると、加算はなしでもいいのではないか。  サービス提供責任者について、責任者をきっちり決めるというのは一つの見識だと思 うが、1人増やすと人件費がそれだけ増え、保険料にはね返るから、もう少し勉強した い。  3級ヘルパーについては、3級でも熱心な方がおり、心で利用者に向かっている。私 のところでは、シルバー人材センターが指定事業者となり、普通の事業者がやらない地 域の助け合い活動や、ヘルパーの指名の要望にも応えている。したがって、3級はだめ ということではなく、全体のレベルを上げる観点からもう少し見守ってもいいのではな いか。  介護タクシーについては、保険者の意見も聞かずに、都道府県が決めてしまうという こと自体がおかしい。 (京極委員)  施設から在宅への転換について、介護給付の在り方と基盤整備の在り方の両面から捉 えていく必要がある。介護給付については、もともと措置制度を引きずって軽易な介護 と重介護に分かれてきたが、通所系サービスのように、要介護度で単価を決めるという ことも十分考えられ、その方が国民にとって分かりやすいのではないか。  担い手については、介護福祉士をきちんと評価すべき。ベテランのヘルパーと学校を 卒業したてのの介護福祉士を比較するのではなく、学校を卒業して何も資格を持ってい ない人と介護福祉士を持っている人を比較するか、あるいはベテランの人で介護福祉士 を持っている人と持っていない人を比較するのが当然である。  基盤整備に関しては、宅老所の変形スタイル、アパート業者と在宅介護事業者を組み 合わせて、いかがわしい事業をやっている業者があると聞く。ある程度の基準を満たし ていれば、若干柔軟なやり方を合法的に認めて、ケアハウスをもっと広げるなどのやり 方があるのではないか。完全な自宅と入所施設との間にあるサービスについて、ケアハ ウスの今後も含めて議論すべき。 (田中(滋)委員)  今の保険料の中で配分することを議論の大前提とすると、介護保険の負担や給付はフ ェアにするのは当然だが、自立をした賢い利用者、事業者、保険者がそれぞれ工夫でき る制度にする必要がある。  訪問介護の家事援助について、一本化は分かりやすいが、保険料一定を前提とする と、身体介護の報酬が下がるしかなく、それは身体介護の専門性からいってまずい。一 本化は目標ではなく、分かりにくければ分かりやすいように説明できる。  家事援助は予防の観点が強く、要支援、要介護度1の方々にとって効果が大きいの で、保険給付対象にしていいが、価格は自由化できる。なぜなら、家事援助の多くは利 用者が質・価格について判断できる財であり、選択もしやすい。低所得者への配慮は別 の話であるし、きちんとケアプランに位置づけられた生活リハビリは身体介護相当の評 価は十分に可能である。 (西尾分科会長)  喜多委員から、資料中の意見の整理の仕方について質問があったが、事務局から答え ていただきたい。 (福本企画官)  本日のいろいろな論点は、自治体や事業者の方との意見交換や要望書、関係雑誌に掲 載された意見などから、できるだけ幅広く拾ったものである。 (井形委員)  審議時間は絶対足らないので、次回から各委員に意見を書いてもらい、それを議事録 に載せるという手続きを提案したい。 (樋口委員)  意見を提出した場合の議事録の処理の仕方について、議事録と別に提出意見という形 で処理されるのか。  介護保険の議論は、とてもいい議論をしてきたが、やはり生活という視点が希薄であ った。家事援助は生活自立支援というカテゴリーで考えていただきたい。また、家事援 助は専門性がないということは全くない。 (福本企画官)  実際にこの場で発言されたものは、議事録という形でまとめて公表する。そのほかに 書面で出されたものは、提出資料として厚生労働省のホームページに掲載するなど、議 事録を補う御意見としての公表を検討したい。 (山崎委員)  各サービスの目的を再検証し、統合すべきものは統合するという観点が必要。  サービスの質については、特に訪問介護はクレームが一番多いので、サービス提供責 任者の規制緩和については賛成できない。  在宅サービスは、利用者のニーズに応じてフレキシブルな使い方ができる仕組みがな いために、この1年苦慮したのではないか。その意味で、巡回型は大変重要であるが、 事業者からは巡回型はコストがかさみメリットがないという意見もある。通所系には送 迎加算があるが、訪問系にはないのでその辺りを考慮していただきたい。  諸外国を見ても在宅系サービスで重要なのは、移送と配食であり、当面の間は介護保 険の給付対象にしないということになっているが、何らかの形で議論が必要ではない か。 (木下委員)  通所リハビリについて、今は集団が多いが、もっといいリハビリを提供するという観 点から、個別のリハビリを別途評価するようなシステムを考えられないか。 (山口委員)  個別のリハビリについて、通所介護と通所リハの違いや共通点を整理すべきではない か。それに併せて人員基準・介護報酬を決めるという視点が必要。 (笹森委員)  通所リハについて、呆け老人をかかえる家族の会ではかなり期待していたが、実態は 痴呆専用デイサービスと余り変わらないという声がある。また、痴呆介護そのものがき ちんと確立していないこともあるが、もう一度通所介護と通所リハについて整理しない といけない。  訪問介護の3類型について、身体介護と家事援助を両方利用している会員さんは、実 際のところ身体介護は家事援助の倍という感覚を持っていて、家事援助にとても感謝し ており、報酬がもう少し上がらないかという声がある。  複合型については、身体介護と家事援助を同じ人がしてくれるので、痴呆の人にとっ て同じ人というのは非常に評判がよく、また、金額的にも複合型の金額で満足している 方が多い。そうすると、複合型の金額の辺りで一本化するのがいいのではないか。 (田中(雅)委員)  例えば、寝たきりの方を寝たきりのまま介護をするか、あるいは自立に向けてその人 の身体レベル等をきちんと勘案しながら介護をするか、サービスの水準によって利用者 の方々の快適度は全く異なる。サービスの質がよくない事業者は淘汰されるべきという 考え方もあるが、一番困るのは利用者であり、サービスの水準をいかに高めるかという ことも大変重要である。  3級ヘルパーについて、介護事故等に対する訴訟が起きていることからすると、3級 ヘルパーが身体介護、複合型のサービスに従事できるのは不適切ではないか。もちろ ん、3級ヘルパーの方々が現に一定割合いるので、その方々が職を失うということでは なく、国の質向上事業を早急に進めていただきたい。訪問介護従事者は介護福祉士であ ることが望ましいが、現状では量的確保が困難であり、少なくとも当面は、2級ヘル パーによって質を担保すべきではないか。  また、今後、在宅サービスにおける医療関連の議論も必要ではないか。訪問介護員に 対する単なる規制ではなく、利用者の実態に合わせた形で考えていくことが求められ る。 (木村委員)  家事援助について、具体的サービス内容、要する時間、本当に自立支援に向かってい るのかに関する調査・分析に基づいて議論しないといけない。調査がなければ、今まで の訪問介護事業者からのデータを来年の春までに分析し、それから単価を決めなければ いけない。措置時代の調査では、訪問介護サービスの内容は、話し相手、お茶くみが非 常に多かった記憶があるが、介護保険が始まったことによって、訪問介護サービスがど れだけ身体介護の方に移っているかという比較も必要。  介護タクシーについては、現在、移送事業を市町村単独でやっていると思うが、介護 タクシーとどこが違うのかをはっきりさせるため、比較表などを用意していただきた い。 (田中(滋)委員)  報酬の分析の仕方については、保険理論的な側面も必要。単に要介護者が望むから給 付の対象にすべきというのは、理論にそぐわない場合もある。要介護者だけが求めるサ ービスと要介護者のみならず一般の者も求めるサービスとでは異なる。また、利用者が 判断しにくい財と日常的に判断できる財とでは、価格の枠組み自体を変えるべき。 (外口老人保健課長)  第3回は、12月10日(月)の15時からを予定しており、終わりの時間は本日同様に延 びることについて御了解いただきたい。議題は、長期入院の問題等の総論的な議論に引 き続き、各論としては、介護老人福祉施設、居宅介護支援を予定している。 (西尾分科会長)  本日はこれをもって閉会とする。 照会先 老健局老人保健課企画法令係 TEL 03(5253)1111 内3948