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平成13年11月30日

「母子健康手帳改正に関する検討会」の報告について

 「母子健康手帳改正に関する検討会」においては、平成13年9月26日より、平成14年度から使用される母子健康手帳への反映を目指して、母子健康手帳の改正についての検討を行ってきたところである。
 同検討会としての最終的な報告のとりまとめについては、11月21日に開催された第3回会合において、同会合で出された意見の取扱いを含め、会長に一任することとされたところであるが、この度、会長の了承を経て、同検討会としての報告が別添のとおりとりまとめられたので公表する。
 なお、別添報告のうち、母子保健法施行規則様式第3号の改正に係る部分(省令様式部分(49頁まで))については、同様式の改正のための省令改正を別途行う必要があることから、最終的な改正後の省令様式については、改正省令の公布までの間に、若干の変更があり得ることに留意されたい。
 また、今回の母子健康手帳の改正については、上記改正省令の公布後に、各自治体、関係団体等に対し、別途通知し、平成14年度から各市町村において使用される母子健康手帳への反映に向け、周知を図る予定である。


照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局
    母子保健課
桑島(7933)小林(7939)
電話 03−5253−1111(代)
   03−3595−2544(直)

○ 母子健康手帳の改正について

平成13年11月30日

母子健康手帳改正に関する検討会

I 母子健康手帳の改正について

 平成14年度から使用される母子健康手帳への反映を目指し、本検討会としての母子健康手帳の改正案を別添のとおり作成したので報告する。
 改正案のうち、49頁までが省令様式(母子保健法施行規則様式第3号)(※1)に係る改正案であり、50頁以降が母子保健法施行規則第7条に基づき、各市町村が地域の実情等に応じて作成することとされている部分(任意記載事項※2)の作成例に係る改正案である。
 また、厚生省児童家庭局長通知「母子健康手帳の作成及び取扱い要領」(平成3年10月31日児発第922号)の「1 母子健康手帳の作成」において、母子健康手帳の作成に当たっての留意点を市町村等に示しているところであるが、これについても本検討会としての改正案を作成したので併せて報告する。

※1 妊産婦自身や医療・保健の担当者が記入する妊産婦や新生児・乳幼児の記録に関する欄を掲載している部分
※2 妊産婦の健康管理や新生児・乳幼児の養育に必要な情報、予防接種や母子保健の向上に関する情報、母子健康手帳を使用するに当たっての留意事項を掲載している部分

II 主な改正点及び改正の趣旨

 本検討委員会としての具体的な改正案は別添のとおり(下線部が変更部分)であるが、主な改正点及び改正の趣旨は以下のとおりである。
 なお、現行からの変更点については、現行の省令様式及び任意記載事項の作成例(下線部が変更部分)を参考として付したので併せて参照されたい。

1.省令様式及び任意記載事項の作成例に係る改正案

(1)母子健康手帳の大きさについて

 母子健康手帳の大きさについて、市町村が地域の実情やニーズに応じて決定できるよう、現行省令様式の表紙で「日本工業規格A列6番」とされている母子健康手帳の大きさの指定を削除する。

(2)離乳及び断乳について

(1) 厚生省児童家庭局母子保健課長通知「改定「離乳の基本」」(平成7年12月4日児母発第47号)において、離乳の完了時期は通常12〜15か月頃、遅くとも18か月頃としていることに鑑み、省令様式の「1歳健康診査」(25頁)の離乳の欄を離乳の完了ではなく、離乳の進行状況を確認する欄に改正する。
(2) 今日、母子のスキンシップなどの観点から、1歳以降も無理に母乳をやめさせる必要はないとする考え方が主流になってきており、また、上記通知においても、「母乳は自然とやめるようになる」としていることに鑑み、省令様式の「1歳健康診査」(25頁)及び「1歳6か月健康診査」(27頁)の断乳の完了を確認する欄について、「断乳」という表現を改め、母乳を飲んでいるか否かを確認する欄に改正する。

(3)乳幼児の発達に関する質問項目について

 平成12年に「乳幼児身体発育調査」に併せて実施された「平成12年度幼児健康度調査」の結果などを踏まえ、省令様式の各年(月)齢における「保護者の記録」の欄の乳幼児の発達に関する質問項目を修正・追加する。

(4)乳幼児身体発育曲線等について

 平成12年に実施された「乳幼児身体発育調査」の結果に合わせて、「乳児身体発育曲線」、「幼児身体発育曲線」、「乳幼児身体発育曲線」及び「幼児の身長体重曲線」(省令様式38頁〜45頁)を改正する。
 また、「乳児身体発育曲線」及び「幼児身体発育曲線」(省令様式38頁〜41頁)について、保護者に必要以上の不安を与えることを防ぎ、適切な身体評価がなされるようにするため、10及び90パーセンタイル曲線を削除する。

(5)父親の育児参加の促進等について

 父親の育児参加を促進するため、省令様式に父親・母親両方の育児休業の取得を記録する欄を設ける(3頁)とともに、任意記載事項の作成例の「すこやかな妊娠と出産のために」の欄、「育児のしおり」の欄等に、妊娠中の夫の協力や父親の育児参加に関する記述を追加する。

(6)子育て支援について

 近年における児童虐待事例の増加などに鑑み、省令様式の各年(月)齢における「保護者の記録」の欄に、子育ての状況についての質問を追加するとともに、任意記載事項の作成例についても、子育て支援の観点から記載のさらなる充実を図る(現行の任意記載事項の作成例の「子育てに関する相談機関」の欄の全面改正等。)。

(7)歯科保健に関する記載について

 現時点での歯科保健における知見等を踏まえ、省令様式の各年齢における「保護者の記録」の欄及び任意記載事項の作成例の「すこやかな妊娠と出産のために」の欄、「育児のしおり」の欄等における歯科保健に係る記載を修正・充実する。

(8)幼児期における生活リズムの形成について

 幼児期における規則正しい生活リズムの形成に資するため、省令様式の各年齢における「保護者の記録」の欄及び任意記載事項の作成例の「育児のしおり」の欄に、睡眠・食習慣など規則正しい生活リズムの形成に関する記載を追加する。

(9)予防接種の接種勧奨について

 予防接種の接種率の維持向上を図るため、省令様式の1歳6か月、3歳及び6歳健康診査の欄に、予防接種の接種の有無を確認する欄を設けるとともに、任意記載事項の作成例の「予防接種」の欄の記載の改正を行う。

(10)薬の影響について

 妊娠中の薬の使用について、分娩時に使用する薬剤も含め、妊婦が事前にその必要性、効果、副作用などに関し、医師及び薬剤師から十分な説明を受けることを促すため、任意記載事項の作成例の「薬の影響について」の欄の記載を充実する。

(11)妊娠中及び育児期間中の喫煙・飲酒について

 近年における妊産婦の喫煙率の増加等を踏まえ、任意記載事項の作成例の「すこやかな妊娠と出産のために」の欄に、妊娠中及び育児期間中の妊産婦や父親など周囲の人の禁煙並びに妊産婦の飲酒についての記載を充実する。

(12)葉酸の摂取について

 「神経管閉鎖障害の発症リスク低減に関する報告書」(「先天異常の発症リスクの低減に関する検討会」(平成12年12月))を踏まえ、任意記載事項の作成例の「妊娠中と産後の食事」の欄に妊婦等の葉酸の摂取に関する記載を追加する。

(13)揺さぶられっ子症候群について

 揺さぶられっ子症候群に関する周囲の注意を促すため、任意記載事項の作成例の「新生児(生後約4週間までの赤ちゃん)」の欄に、揺さぶられっ子症候群の予防に関する記載を追加する。

(14)チャイルドシートの使用について

 近年における乳幼児の自動車乗車中の死傷者数の増加及び乳幼児を同乗させて自動車を運転するときのチャイルドシートの使用の義務化を踏まえ、任意記載事項の作成例の「事故の予防」の欄に、チャイルドシートの使用に関する記載を追加する。

(15)働く女性、男性のための出産、育児に関する制度について

 任意記載事項の作成例の「働く女性、男性のための出産、育児に関する制度」の欄について、以下のような改正を行う。

(1) 女性労働者が母性健康管理指導事項連絡カードをより簡易に入手できるようにすることにより、母性健康管理指導事項連絡カードのより一層の利用の促進を図り、事業主がその雇用する妊娠中及び出産後の女性労働者に対し、母性健康管理上必要な措置をより適切に講ずることができるよう、母性健康管理指導事項連絡カードの様式を追加する。
(2) 都道府県労働局の設置に伴う都道府県女性少年室の都道府県労働局雇用均等室への改組に合わせて、問い合わせ窓口の記載の改正を行う。
(3) 雇用保険法の改正により、平成13年1月以降の育児休業について、育児休業給付の給付率が、休業前賃金の40%に引き上げられたことに伴う記載の改正を行う。
(4) 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)の改正により、平成14年4月1日から育児を行う労働者のための時間外労働の制限、勤務時間の短縮等の措置の対象となる子の年齢の引き上げ等の規定が施行されることに伴う記載の改正を行う。

(16)その他

 その他文言の適正化、記載内容の充実等のための改正を行う。

2.局長通知に係る改正案

 地方分権の趣旨を踏まえ、各市町村の地域の実情やニーズに応じた母子健康手帳の作成をより一層推進するとともに、近年における児童虐待事例の増加などに鑑み、各市町村が地域の実情に応じ、育児支援情報を盛り込むことを推進するため、「母子健康手帳の作成及び取扱い要領について」(平成3年10月31日児発第922号児童家庭局長通知)を以下のように改正する。

現行 改正案
母子健康手帳の作成及び取扱い要領

1 母子健康手帳の作成
(1)規則第7条各号列記によって定められた記載事項については、各事項について過不足なく盛り込むとともに行政情報等については、各市町村の実情に応じたものとなるよう工夫すること。


(2)利用者の携帯の利便等を考慮し、総ページ数を極力抑制するとともに、受診券、予防接種問診票等はとじこまないこと。
(3)表紙の図案については、母子が親しみやすいものにする等工夫すること。
(4)母子健康手帳は、長時間使用するものであるから、表紙については丈夫なものを使用し、とじ方はミシンとじとする等工夫すること。
 また、記録等の記入が容易となるよう配慮されたいこと。

(以下略)
母子健康手帳の作成及び取扱い要領

1 母子健康手帳の作成
(1)規則第7条各号列記によって定められた記載事項については、各事項について過不足なく盛り込むとともに行政情報等については、各市町村の実情に応じたものとなるよう工夫すること。
 特に、近年における児童虐待事例の増加などに鑑み、各市町村の実情に応じ、育児相談窓口の連絡先等育児支援情報を盛り込むよう留意すること
(2)利用者の携帯の利便等を考慮すること。

(3)表紙の図案については、母子が親しみやすいものにする等工夫すること。
(4)母子健康手帳は、長時間使用するものであるから、表紙については丈夫なものを使用し、とじ方はミシンとじとする等工夫すること。
 また、記録等の記入が容易となるよう配慮されたいこと。

(以下略)

(参考)

○ 「母子健康手帳改正に関する検討会」の開催経緯と今後の予定等について

1 母子健康手帳について

○ 市町村は、母子保健法第16条第1項により、妊娠の届出をした者に対して、母子健康手帳を交付しなければならないこととされている。

○ 母子健康手帳の様式については、厚生労働省令で定めることとされており、具体的には、同法施行規則様式第3号による全国統一様式部分(必要記載事項(※1))と同令第7条に基づき、各市町村が各々の判断で具体的な記載内容を作成する部分(任意記載事項(※2))により構成されている。

○ なお、各市町村が各々の判断で作成することとされている任意記載事項についても、母子保健課長通知で、その作成例を参考として示しているところである。

※1 妊産婦自身や医療・保健の担当者が記入する妊産婦や新生児・乳幼児の記録に関する欄を掲載している部分

※2 妊産婦の健康管理や新生児・乳幼児の養育に必要な情報、予防接種や母子保健の向上に関する情報、母子健康手帳を使用するに当たっての留意事項を掲載している部分

2 母子健康手帳の様式の改正について

○ 母子健康手帳の必要記載事項中の「乳幼児身体発育曲線」等については、10年ごとに実施される「乳幼児身体発育調査」の結果に合わせ、省令様式の改正を行っているところであるが、平成12年に実施した同調査の結果が本年中に公表されることから、これに合わせた母子健康手帳の様式の改正が必要となる。

○ このため、「母子健康手帳改正に関する検討会」(委員名簿:別紙参照)を開催し、平成14年度から使用される母子健康手帳への反映を目指して、上記事項を含めた母子健康手帳の改正について検討を行い、本年中にその成案を得ることとする

3 検討会の開催経緯と今後の予定

平成13年9月〜11月 「母子健康手帳改正に関する検討会」開催(計3回)
平成13年12月
 又は平成14年1月
検討会の報告を踏まえ、母子保健法施行規則の様式を改正(改正省令様式公布)(予定)。
今回の母子健康手帳の改正について、各自治体、関係団体等に通知。(予定)
平成14年4月1日 改正省令様式施行(予定)

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