01/10/29 第1回これからの医業経営の在り方に関する検討会議事録 第1回 これからの医業経営の在り方に関する検討会 日時    平成13年10月29日(月)14:00〜16:00 場所    厚生労働省 専用21会議室 出席委員  石井孝宜、内田裕丈、大石佳能子、神谷高保、川合弘毅、川原邦彦、       小山秀夫、田中 滋、津久江一郎、豊田 堯、西島英利、西澤寛俊、       南  砂       (五十音順、敬称略) 議事内容 ○石塚指導課長  「第1回これからの医業経営の在り方に関する検討会」を開催したいと思います。私 は事務局を務めます、医政局指導課長の石塚でございます。座長が選出されるまでの間 、議事進行役を務めさせていただきたいと思います。  本日は第1回目の会合ですので、冒頭に篠崎医政局長からご挨拶を申し上げます。 ○篠崎局長  委員の先生方、本日は「第1回これからの医業経営の在り方に関する検討会」に大変 お忙しい中をご参集いただき、まことにありがとうございます。  もう既にご承知のことと思いますが、我が国の医療水準と申しますか、健康水準は胸 を張って申せば世界一でございます。昨年6月にWHOが"World Health Report 2000" というものを発表いたしました。その中で健康寿命、保健システムの到達度などは世界 一であります。また、その他10余りの指標もほとんどトップテンに入っていたような状 況です。  ただ、WHO加盟国191カ国に、1番から191番まで順番をつけましたので非難ごうご うとなり、今年からそれをやめたということであります。つい最近、また"World Health Report 2001"というものが出ましたが、そこにはWHOの意地があるのでしょうか、 平均寿命と健康寿命だけはまた順位をつけており、これもまた世界一でございます。そ のような意味合いから言いますと、戦後50年余りで世界一と、いちばんわかりやすい指 標でランクづけをされたということは、いままでの我が国の保険制度、あるいは医療制 度が非常にうまく機能してきたのではないかと思っているわけです。ただし、これから 少子高齢化を迎えますし、医療医学の進歩には目覚ましいものがあります。また、国民 の意識の変容もあるわけで、この21世紀、同じような状況では立ちいかなくなるのでは ないかということも言われているわけでございます。  そこで、今回、この検討会を設けさせていただいた趣旨ですが、医療機関の経営の在 り方についていろいろ意見が言われております。経済財政諮問会議などにおきましても 、株式会社形式の導入も含め、規制の見直しが必要なのではないかという意見もいただ いております。私どもとしましては、利潤を株主に配当するという、株式会社の医業経 営の参入そのものについては、いままでのスタンスだと慎重を期すべきではないかと考 えているところです。ただ、こういうような指摘もあるという背景には、医業経営の近 代化、あるいは透明化というものが国民の目には必要と映っているのではないかと思う わけであります。  この医療法人制度は、昭和25年に発足いたしました。以来、昭和60年に一人医師医 療法人の創設、昭和62年には検討会を立ち上げております。また10数年前、私が指導課 長をしておりましたときも、医療法人の持分のことで議論があったわけです。その後、 特別医療法人という制度も新たに作られ、日々このような問題について検討が加えられ 、それなりに改革・改正がなされてきたと思っているわけでございます。  ただ、株式会社の是非も含めて、この医業経営のことが問われるのは今回が初めてだ ろうと思っております。また、現在、9月25日に私ども厚生労働省として、医療制度の 改革案を国民にお示ししたところですが、それをめぐっていろいろ議論が出ているとこ ろでもあります。そのような中で、検討いただく時間もあまり猶予あるわけではないと 思いますので、なるべく早くある程度のご見解をお示しいただければと思うわけです。  何分にも大変お忙しい先生方であります。この検討会におかれましても、どうかその 辺の点を斟酌していただいて、大所高所からご判断、貴重なご意見を賜りたいと考えて いますので、どうかよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました 。 ○石塚指導課長  本検討会の委員の皆様方をご紹介したいと思います。まず、公認会計士の石井委員で す。日本歯科医師会常務理事、内田委員です。メディヴァ代表取締役の大石委員です。 法政大学法学部教授の神谷委員です。日本病院会常任理事の川合委員です。医業経営コ ンサルタント協会副会長の川原委員です。国立医療・病院管理研究所医療経済研究部長 の小山委員です。慶應義塾大学大学院経営研究科教授の田中委員です。日本精神病院協 会副会長の津久江委員です。日本医療法人協会長の豊田委員です。全日本病院協会副会 長の西澤委員です。日本医師会常任理事の西島委員です。読売新聞社編集局解説部次長 の南委員です。  本日、谷川委員と長谷川委員につきましては、都合によりご欠席という連絡を受けて おります。谷川委員につきましては、言わばオブザーバーという立場で斎藤様が出席さ れていますので、ご了解をお願いしたいと思います。  続いて事務局をご紹介いたします。先ほどご挨拶申し上げた局長の隣、医政担当審議 官の中村です。医政局総務課長の大谷です。経済課、医療関連サービス室長の西山です 。総務課企画官の武田です。看護課、看護職員確保対策官の岩渕です。指導課の課長補 佐、田村です。事務局は以上です、よろしくお願いいたします。  続いて、当検討会の座長の取扱いについてお諮りいたしたいと思います。座長につい ては、事務局としては医療経済がご専門で、旧医療審議会の時代から医業経営の諸問題 についてご助言いただいてきました、慶應義塾大学の田中先生にお願いしたいと思って いますが、皆様、いかがでしょうか。 (異議なし) ○石塚指導課長  皆様のご同意を得ましたので、田中委員、恐れ入りますが座長席にお移りいただき、 議事の進行をお願いしたいと思います。 ○田中座長  このたび、本検討会の座長をさせていただくことになりました田中でございます。委 員の皆様のご協力を得て、いま局長が言われたように本検討会で実りある議論を行って まいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  議事に入る前に、当検討会の進め方について確認したいと思います。それは議事の公 開についてです。当検討会については公開で行い、議事録についても事務局でまとめた ものを各委員に目を通していただいたのちに、厚生労働省のホームページで公表するこ とにしたいと思います。この点についてはご了解いただけますでしょうか。 (異議なし) ○田中座長  それでは、早速議事に入ります。まず、事務局から提出されています資料について説 明をお願いいたします。 ○武田企画官  まず初めに、お手元にお配りしている資料のうち「医療制度改革試案」という小冊子 があると思いますけれども、これについてごく簡単に触れさせていただきたいと思いま す。9月25日に公表しました厚生労働省の医療制度改革試案ですが、 ご案内のように 医療全体にかかわる改革の試案ということで、保健医療システムから医療保険制度まで 、幅広い改革の姿を示したものです。そのうち、医療提供体制の改革については保健医 療システムの改革の一環として、特に将来像とそのための当面の対策という形で、小冊 子で申し上げますと後半部分ですが、かなりの頁数をさいて今回公表したものです。  逐一説明する時間もありませんので、ごく簡単に、当検討会の関係する部分というこ とで見ていただきたいと思います。まず19頁、ここからが「21世紀の医療提供の姿」の 本編です。大きく3つのパートに分かれていまして、1つ目が現状の課題、2つ目が将 来目指すべき方向、3つ目がそのために当面何をしなければならないかという構成にな っています。冒頭、局長から申し上げましたように、我が国の医療水準については高い 評価を得ているものの、さまざまな環境変化で大きく分けて4つほど課題があるだろう ということで整理をしています。  20頁を見ていただきますと、そのうち4として「医療提供に共通する基盤の近代化・ 効率化」、1つ目の課題は昨今話題のIT化、情報化です。2つ目のところで、医業経 営に関する近代化・効率化が課題となる中で、関連制度の再検討が課題となっていると いうことです。こういった観点から、制度的にはいろいろからむ点もありますので、こ れが課題となっているだろうということであります。  21頁がそのため、将来どのような医療提供体制を目指すのか。イメージの概要という ことで図がついていますが、私どもとして今回考えたのは、何よりも患者の選択の尊重 と情報提供を進めることによって医療機関同士が質で競争をしていく。それにより、2 にありますが、質の高い効率的な医療が提供され、機能分化も進んでいく。また、病床 数の収斂も進んでいくのではないかということです。そして、3として「国民の安心の ための基盤づくり」、このような患者の視点、医療提供側の効率化、行政の役割が相ま って将来の医療の姿が実現されていく、という将来図を描いた上で当面何をするかとい うことになります。  ちょっと飛びますが32頁、上から3つ目の○、「医業経営の近代化・効率化」という ところがあります。「医療機関の経営情報開示の在り方、医療法人における組織、運営 など医業経営の近代化・効率化方策を検討するため、検討会を設置する(13年度)」と いうことです。  このような一連の改革試案の考え方に沿って、本日議論を開始していただくことにな ったとご理解いただきたいと思います。このほかの部分については、追ってご参考にな っていただければと思います。 ○田村指導課課長補佐  続いて説明させていただきます。お手元に横長の「第1回これからの医業経営の在り 方に関する検討会説明資料」というものと、縦長の「参考資料」というものを配付して います。横長の説明資料に沿って説明させていただきます。参考資料のほうは説明資料 をもう少し詳しくしたもの、あるいはバックデータですので、適宜参照していただけれ ばと思います。  目次の最初、「医療機関の経営に関する各方面からの指摘等」から順番にご説明いた します。1頁目は医療機関の経営に関する各方面からの指摘等についてまとめたもので す。平成13年6月26日の経済財政諮問会議において、「今後の経済財政運営及び経済社 会の構造に関する基本方針」、いわゆる「骨太方針」というものですが、こういったも のを始めとして医療機関の経営に関する情報の開示、近代化・効率化の促進、株式会社 方式による経営などを含めた、経営に関する規定の見直しなどが医療制度の改革として 「骨太方針」において指摘されているところです。  また、2つ目の◎の「総合規制改革会議」、本年7月24日に出されたものです。重点 6分野の規制改革として、医療分野においては競争の導入と効率化を図るといった観点 から、株式会社方式による経営などを含めた経営に関する規制の見直しの検討、あるい は理事長要件の廃止、医療機関の広告及び情報提供に係る規制の抜本的見直し、医療機 関の経営情報の開示が提言されているところです。  9月20日には産業構造改革・雇用対策本部「総合雇用対策」というものが出され、市 場拡大、質の高いサービスを提供するといった観点から、新市場の創出として、医療分 野においては医療機関の経営の在り方の見直しについて、平成13年度から検討を開始す るというように提言されています。また、9月25日に厚生労働省から出された医療制度 改革試案においては、医療機関経営情報開示の在り方、医療法人における組織、運営な ど医業経営の近代化・効率化方策を検討するため、検討会を設置するというようにして いるところです。  いちばん最後、経済財政諮問会議の「改革工程表」が9月26日に出されました。これ は経済財政諮問会議の「骨太方針」について、どのように具体化されていくかという点 についてタイムスケジュールを示したものです。その中についても、医療機関の経営に 関する規制の見直しについて平成14年3月までに措置する。そして、株式会社方式によ る経営などを含めた経営に関する規制の見直しの検討、理事長要件の廃止、また医療機 関の業務内容等、経営情報の開示の促進について平成14年3月までに措置することとさ れています。  2頁目はこれまで医業経営に関して、どのような検討がなされてきたかの経緯につい て簡単に図にしたものです。図の見方ですが、四角の枠で囲ってあるものがこれまでに 設置して検討されてきた委員会等の名称です。その下に、例えばいちばん上だと「機能 評価の実施」ということが書かれていますが、これは報告書等において指摘されている 事項です。  この矢印をたどっていきますと、その先にどういった形で、いつ実現されたかという ことがわかるようになっています。例えば「医業経営の近代化・安定化に関する懇談会 」、昭和62年9月ですが、医療経営の近代化のための具体的な方策として「機能評価の 実施」が指摘されています。矢印をたどっていただくと、平成7年の「医療機能評価機 構の設立」ということで実現、という形で読んでいただければと思います。同項の中に おいては、「医療関連ビジネスの指導、育成」についても指摘されていて、平成5年度 の「業務委託の法制化」ということで実現を見ています。平成6年には「医療機関経営 健全化対策検討委員会」において、医療施設の近代化整備、健全化対策について指摘さ れ、「施設近代化整備事業創設」が平成5年に実現しているところです。また、「社会 福祉・医療事業団の融資制度の充実」という指摘もあり、平成6年度に実現を見ていま す。「医療法人の業務範囲、資産要件の緩和」についても指摘されていて、平成6年、 平成9年に実現を見ています。  平成6年12月には「医療法人制度検討委員会」があり、「医療法人の資産要件の緩和 」、「医療法人の附帯業務の拡大」、「収益事業の認可」について指摘され、それぞれ 平成6年、9年に実現しているところです。平成8年には「医療審議会医療基本問題検 討会」において「公益性の高い医療法人類型の創設」について指摘され、平成9年の特 別医療法人制度の創設をもって実現を見ているところです。平成10年4月には医療審議 会において、「医業経営と患者サービス向上に関する小委員会」において、理事長要件 の緩和について指摘されています。医療法人の理事長については、原則医師、歯科医師 としているところですが、同小委員会においては現行の考え方はこれまでどおりとする が、運用の弾力化を図ることにより理事長要件の緩和を図ることが指摘され、平成10年 に緩和されているところです。  3頁は病院、診療所の開設許可等について簡単に図にまとめたものです。医師・歯科 医師以外が診療所を開設するとき、または、病院を開設するときは都道府県知事に開設 許可申請を行います。都道府県知事は開設許可をいたしますが、営利を目的とする場合 は許可しないことができることとされています。許可を与えるに当たっては、従事者、 構造設備、必置施設等の基準を満たしているものに対して許可されます。また、病院を 廃止する場合には、廃止の届け出を廃止後10日以内に行うこととされています。医師が 診療所を開設するときには開設の届け出をすることとされており、廃止した場合にも同 様に届け出をすることとされています。  4頁は開設者別の病院数の現状について、開設主体別にまとめた資料です。このうち 、厚生省、文部省など国が設置するものが370、自治体、日赤済生会等、公的医療機関 と言われるものが1,368、社会保険団体が131、公益法人が394、医療法人が5,299、学校 法人が98、株式会社が68、個人が1,281、その他は宗教法人、社会福祉法人等ですが277 、合計が平成11年10月現在の数字で9,286となっています。  次の頁では、ただいまご説明した開設主体別の病院数の推移を1951年からほぼ10年ご とにグラフにしたものです。さらに次の頁、これを病床数ベースで推移をグラフにした ものが6頁です。  7頁、議論のベースにしていただく観点から、医療法人制度について簡単に概要をま とめたものです。参考資料のほうでは、15頁に詳細を掲載しています。医療法人制度の 概要ですが、医療法人制度の趣旨としては、医業の非営利性を損うことなく法人格を取 得することにより、資金の集積を容易にし、医療機関の経営に永続性を付与し、私人の 医療機関経営の困難を緩和するものであり、いくつかの要件があります。主な要件とし て利益分配の禁止、医療の非営利性を担保するために、医療法第54条に剰余金の配当を 禁止している規定があります。また、役員については理事3名以上、監事1名以上を置 くことと書かれています。同法第46条の3に規定されていますが、理事長要件について 、医療法人制度の発足当初は特に理事長要件が規定されていなかったのですが、富士見 産婦人科病院事件を契機に経営者の医学的知識の欠落に起因する事故を防止する観点か ら昭和60年に創設されました。原則医師、または歯科医師とされていますが、都道府県 知事が認めた場合にはこの限りではないこととされています。  理事長要件については、先ほどご説明した指摘もされているところですが、参考資料 の29頁に概要が書かれています。ここで少し詳しく説明をさせていただきます。先ほど ご説明したとおり、制度創設当初は特に理事長要件の規定はありませんでしたが、富士 見産婦人科病院事件を契機に理事長要件が設けられたところです。当初、昭和61年、理 事長要件を制定した当時に規定していたものについては、医師、歯科医師以外の者で認 可する条件として、理事長の死亡等により職務継続が不可能となった場合、その子女が 医科大学等に在学中である場合に、卒業するまでの間、例えば配偶者等が理事長に就任 しようとする場合、こういったもの等については都道府県知事が認可するものとしてい たところです。  それが先ほどご説明したとおり、平成10年に緩和されました。例えば下の段、(3)過 去5年間にわたり医療経営が安定的に行われ、法人運営が適正な既存の法人、あるいは 特定医療法人等、第三者による医療機能評価機関により優良と認められた医療法人等に ついては、医師、歯科医師以外の者からでも理事長に就任することについて都道府県知 事が認可することという、理事長要件の緩和がなされたところです。  説明資料のほうに戻って、8頁をご覧ください。医療法人要件の1つとして資産要件 があります。法人の業務を行うために必要な資産を有することで、具体的には自己資本 比率が20%以上のものとされています。会計については、原則として病院会計準則によ り処理し、毎会計年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成することとされて います。また、経営情報の開示義務については、債権者に対して開示を義務づけている ところでございます。  業務については附帯業務の制限、収益業務の制限があります。付帯業務については、 医業の永続性を担保するために、本来事業に支障のない範囲で介護保険事業など、下の ( )に例示していますが、こういった一定の業務に制限されているところです。また 、収益業務については、特別医療法人については一定の収益業務を行うことが認められ ているところです。詳細については、参考資料の30頁、31頁に記載していますのでご参 照ください。  9頁は医療法人(社団)のケースです。簡単にイメージが湧くように図をご用意しま した。医療法人と都道府県、また2つ以上の県にまたがる場合には国が所管することに なるわけですが、都道府県と医療法人の関係は認可、命令、検査等を都道府県が行い、 医療法人が審査、届け出等を行う。医療法人においては、社団の場合ですが、社員総会 で理事を選任し、理事会において理事長を選任する。業務については、医療施設の設置 運営等を行っているということです。  10頁目は平成13年3月末、医政局指導課で調査した医療法人の数です。総数が34,272 、うち財団が401、社団のうち持分有が33,593、社団のうち持分無が278です。この中で 、いわゆる一人医師医療法人と言われるものについては27,504、特定医療法人は299、 特別医療法人は18となっています。  この特定医療法人と特別医療法人を含め、医療法人の形態についてまとめた資料が11 頁です。詳細は参考資料の18頁に記載しています。医療法人、特定医療法人、特別医療 法人というものがそれぞれ記載されています。医療法人については医療法第39条等に基 づき、都道府県の基準認可によって設立されるものです。要件については先ほどご説明 したとおり3要件、役員数と理事長等の要件が書かれています。法人税については30% 、収益事業が行えないこととされています。  医療法人のうち、租税特別措置法に基づいて財団又は持分の定めのない社団で以下の ような要件を満たすものについて、財務大臣の承認を受けた特定医療法人というものが あります。先ほどの医療法人が法人税率30%のところ、こちらは22%と軽減されていま す。収益事業については同様に行えないこととされています。  また、特別医療法人ですが、医療法第42条に基づき、都道府県知事による定款変更の 認可を受けて特別医療法人とすることができます。こちらについては医療法人のうち、 以下のような要件を満たすものについて、法人税率は通常の医療法人同様30%ですが一 定の収益事業が可能となっています。  続いて12頁、先ほどの図は医療法人の中の累計を比較したものですが、こちらは医療 法人と指摘されている株式会社等、他の法人とを簡単に比較した表です。詳細について は、参考資料の19頁に記載されています。医療法人、株式会社、社会福祉法人、学校法 人、それぞれの法人について代表者、情報開示、外部監査、業務、法人税率について区 分したものです。代表者については、医療法人は理事長、原則医師、歯科医師とされて いるところです。株式会社は代表取締役、社会福祉法人は理事長、学校法人も同様に理 事長です。  情報開示については、医療法人は社員、債権者に開示することとされています。株式 会社については株主、債権者に開示するとともに、貸借対照表等の公告が義務づけられ ています。社会福祉法人については利害関係人等に開示することとされています。学校 法人については自発的に開示するよう、指導されているところです。  外部監査については、医療法人は外部監査を受けるよう通知で指導しています。株式 会社については、資本金5億円以上の会社等については義務づけされています。社会福 祉法人については、外部監査を受け入れるよう通知で指導しているところです。学校法 人については、補助金を受ける学校法人については監査が義務づけされています。業務 については割愛させていただき、法人税については医療法人、株式会社が30%、社会福 祉法人、学校法人はそれぞれ非課税とされています。  13頁は医療法人の決算の仕組みについて簡単に要点をまとめたものです。医療法人の 決算書の提出については、毎年決算書、財産目録等を都道府県知事に提出することとな っています。決算の開示については財産目録等、債権者の求めに応じて開示することと されています。会計については病院会計準則により会計処理をすることとされています 。  その病院会計準則ですが、昭和40年に企業会計原則に基づいて作成されたもので、昭 和58年に全面改正されています。近年は企業会計でキャッシュフロー計算書や時価会計 等の導入が進められており、見直しが必要との指摘もされているところです。  14頁は決算の届出様式を参考に示しています。損益計算書と貸借対照表について、様 式を例示しているものです。  続いて、民間病院における資金調達手段について簡単にまとめたものが15頁です。医 療法人における資金調達については、社員出資によるものですけれども、それに加え次 のような制度の活用が可能となっています。まず、公的資金としては医療施設近代化施 設整備補助金、共同利用施設・設備整備費補助金という補助金があります。また、制度 融資として社会福祉・医療事業団による融資があります。民間資金としては、銀行から の借入があります。  また、税制については療養病床用建物の特別償却・建替病院建物の特別償却制度とい ったものがあります。  16頁は医療法人立の病院の経営状況についてまとめたものです。まず収支差ですが、 平成11年6月の「医療経済実態調査」によると、1病院あたりの平均医業収入は1億1,53 9万円、平均医業費用は1億1,102万円となっています。医業収支差は437万円、医業収入 に占める割合は3.8%となっています。また黒字病院の比率、こちらは病院経営指標に よるものです。平成10年度、一般病院の黒字病院は全体の74.1%、平成9年度の調査で は69.7%でした。  東京商工リサーチ調べ、医療機関の倒産状況について、負債額1,000万円以上のもの について調べたものですが、平成12年の病院・開業医の倒産件数は44件でした。うち病 院が12、診療所等が32という結果になっています。過去10年では、平成6年の46件に次 ぐ件数となっている状況です。  次の頁は業務委託、アウトソーシングの関係です。調査した病院のうち、どういった 業種についてどれぐらいの病院が委託しているものかという数字です。平成12年8月か ら9月にかけて、3,000の病院を対象にして調査し、1,111の有効回答の中からまとめた 表です。例えばいちばん上、寝具類洗濯・賃貸については、回答のあった1,111のうち、 98.4%の病院が外部に委託しているという結果です。以下、医療廃棄物処理、検体検査 、院内清掃等、ご覧のような数字になっています。  18頁は営利企業による病院が占める、米国の営利病院の状況についてまとめたもので す。非営利病院について税制・建設費補助、公的医療保障制度について簡単にまとめた ものです。法人税については、営利病院は課税、非営利病院は非課税、病院債について は、営利病院は社債の発行が可能、非営利病院については免税債の発行が可能とされて います。また、寄付金については、営利病院は課税、非営利病院は非課税、建設費補助 は営利病院はなしですが、非営利病院についてはありとなっています。また、公的医療 保障制度については取扱いの区別はありません。  アメリカにおける開設主体別に見た営利病院、地域の一般病院の推移ですが、1975年 からの推移をグラフにしています。いちばん上、白いところが営利病院、真ん中の斜線 が非営利病院、いちばん下のグレイがかっているものが地方自治体です。1999年で見る と、営利病院が15.1%、非営利病院が60.8%、地方自治体によるものが24.2%となって います。  最後の頁、20頁は先ほどのアメリカの開設主体別に見た地域の一般病院の病床数の推 移です。1999年は12.9%が営利病院、非営利病院が70.7%、地方自治体が16.4%です。 説明資料については以上です。  検討会で検討していただきたいと考えている事項について説明いたします。議事次第 の3枚目に「検討会の検討項目及び進め方(案)」というものを配付していますので、 そちらをご覧ください。本検討会において検討していただきたいと考えている項目は、 大きく3つに分かれます。1つは「今後の医業経営の基本的方向」、2点目として「医 療法人制度の在り方について」ということで、社員、理事長等の組織、運営に関する事 項。附帯業務、収益業務などの業務に関する事項、会計基準、外部監査、情報開示等な ど財務に関する事項。3点目として、「その他の近代化・効率化方策」として、資金調 達、共同利用、アウトソーシングなどといった項目について検討をしていきたいと考え ているところです。  次に、検討会の進め方ですが、当面年度内に5回前後検討会を開催し、3月中に中間 とりまとめを行うことにさせていただきたいと思います。この中間とりまとめですが、 先ほどご説明したとおり医療法人の理事長要件や経営情報の開示促進策など取組みが急 がれる課題については、年度中に意見集約を行うとともに、4月以降、検討を深めるべ き課題の整理等を行っておきたいと考えています。また、検討会の最終的なとりまとめ は、平成14年度中を目途に行うこととさせていただきたいと考えています。 ○田中座長  ありがとうございました。ただいまの事務局のご説明について、ご質問等がありまし たらお願いいたします。 ○川合委員  この会の名前について質問があります。「医業経営」ということになると、設立母体 は限定されているのか、あるいはどこまでのことを言うのか伺いたいと思います。 ○石塚指導課長  ご承知のとおり、いろいろな設置主体があるわけですが、この場では特に民間の病院 、その中でも大宗を占めている医療法人立の民間病院を念頭に置いて、主としてそこを 中心にいろいろな対策についてご議論をいただければと、事務局としては希望していま す。 ○石井委員  追加の確認なのですが、いわゆるベッドを抱えた20床以上の病院とそれ以下の診療所 、特に無床の診療所とは経営上、かなり業態が異なってくると思います。今回は診療所 も病院も両方含めてそれぞれ検討するという理解でよろしいですか。 ○石塚指導課長  診療所の問題を排除するつもりは決してありません。ただ、対象が広がり過ぎると議 論の進め方も難しいと思いますので、主として先ほど申し上げた民間の病院経営を念頭 に置いて議論を進めていただきたいというのが私どもの希望です。 ○田中座長  期間が限られているので、ある程度絞るということのようです。ほかにいかがでしょ うか。 ○川合委員  医療法人を営利法人と見るのか、非営利法人と見るのか、はっきりしていただきたい と思います。 ○石塚指導課長  その辺も次回以降、専門の先生方からレクチャー等も受けてご議論 をしていただき たいと思います。私どもの頭の整理としては、どちらかというと非営利の主体という理 解でずっとやってきておりますが、一部「そうではないのではないか」という議論もあ るようです。神谷先生がご専門ですので、いずれその辺の議論も1度させていただきた いと思っています。 ○田中座長  本委員会で議論をしましょう、ということですね。事務局の現在の見解はいま伺った とおりです。 ○川合委員  補足ですが、確か過ぐる国会で質問があったとき、元の大蔵省が「非営利とは考えな い」というような国会答弁書を見たことがあるのです。その辺はいかがでしょうか。 ○石塚指導課長  当該答弁自体、ちょっと思い当たらないのですが。 ○川合委員  わかりました。 ○田中座長  ほかに説明資料、この検討会の検討項目及び進め方についてご質問はありませんか。 ○神谷委員  医業の世界は不案内なものですから教えてください。株式会社が医療法人を経営する ことについてなのですが、既にいろいろ歴史的な事情から、株式会社で経営をしている 病院があることは承知しています。この問題についての各関連団体の方からの意見表明 など、理論的に議論したものはあるのでしょうか。もし、そういうものがあれば、それ を拝見した上で考えをまとめてみたいと思っています。   もう1点、いまここで議論するつもりはありませんが、個人的には、また、商法と いうよりも団体法をやっておられる方にも多分、持分のある医療法人については営利法 人だという考え方も十分成り立つという議論はあるのだと思います。私は医療法人法そ のものをまだ十分に検討していませんので、そのあたりを検討した上でまた議論させて いただければと思っています。 ○田中座長  今日、日本医師会のものはご説明がありますが、それ以外にもし何かあれば。 ○石塚指導課長  資料等も順次、委員の先生方にもご提供いただきながら用意していきたいと思います 。 ○豊田委員  先ほど川合委員から指摘があった、国会の委員会審議の中での発言というのは記録が あるはずです。確か、2年ぐらい前の4月だと思いますが大蔵委員会での質問で、当時 の主計局長が答弁されてその種の発言をされています。私どもは議事録を持っています ので、もし必要があれば私どもから出してもいいですし、当然事務局のほうにもあると 思います。これから営利、非営利が議論されるときに、当時の大蔵省がどのように見て きたのかということは、これからどうするかということにもつながりますので、是非こ れは資料としてそろえていただきたいと思います。 ○田中座長  可能であればお願いします。 ○大石委員  細かい話で申し訳ありません、不勉強な点を質問します。今日いただいた資料の中で 、病院の経営状況、収支差、平均的な1病院の医業収入というのがあります。これはい わゆる売上げだと思います。思ったよりもはるかに少ないというか、えらく小さいなと いう気がしたのです。多分、今後、アウトソーシングだとか何とかという話をここで議 論するのだと思うのですが、1億ぐらいの団体のアウトソーシングの効率を考えるのと 、もっと大きな規模のところを考えるのとでは結構変わってくると思います。これは例 えばベッド数別に大体どのような感じとか、もう少し詳しいものがあって、具体的な規 模の把握、あと費用項目の大きなものの把握のようなものができる資料があるとありが たいと思います。 ○石塚指導課長  医療経済実態調査の数字は、医療法人の病院の平均ということでお出ししています。 医療経済実態調査によると平均130床程度になってしまうのですが、そういう平均病床 数を前提にした数字ということで、この数字をご理解いただきたいと思います。規模別 等については用意できる範囲でもう少し、次回以降、ほかの調査も含めて整理して用意 させていただきたいと思います。 ○神谷委員  医療法人の理事長要件ですが、これは昭和61年、一種の規制として新たに作られたわ けです。この規制のインパクト、この規制によって良くなったか悪くなったかというあ たりについての調査というか、定量的な調査はあるのでしょうか。それがまず1つの質 問です。  そのあとこの要件の緩和のことですが、どうも拝見していると緩和した結果、経営内 容が良くなるという形で緩和の効果が働いているわけではなくて、主に事業承継のよう な形で働いているような感じがするのですが、そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○石塚指導課長  現在、役所ベースで10年の緩和前と緩和後、特に医師、歯科医師以外の医療法人がど のようなトレンドになっているのかを取っていませんので、状況を正確に把握しており ません。現在、医療法人協会等でもいまの時点でどのような状況になっているのか、医 師以外の理事長については緩和した要件のうちのどれに該当するのかを調査いただいて いますので、少し委員の皆様方にもご協力を得て、次回以降、わかる範囲で実態につい て資料を整理させていただきたいと思っています。効果という点ではなかなか把握する のが難しいので、その点は委員の皆様から少し実態についてご意見を賜れればと思って います。 ○田中座長  各団体のご協力を得て資料を作っていただいたり、あるいは厚生労働省が準備するも のもあるようです。また、識見については先生方のご意見を伺うということです。ほか によろしいですか。それでは、今後の本検討会の運営については、ただいまいただいた ご要望に基づいて、皆様方の意見を踏まえて弾力的に行っていきたいと存じます。  先ほど事務局からありました、年度内に答えを出せという点が2つありましたね。こ れについては皆様のご協力をお願いして、年度内の5回の会合の中である程度の答えを 出していきたいと思います。  今回は第1回ということなので、今後の医業経営の在り方に関してフリートーキング としたいと思います。初めに西島委員から資料をご提出いただいていますので、簡単に 内容の説明をお願いします。 ○西島委員  簡単に内容をご説明いたします。平成13年度、日本医師会が「医療政策会議」という ものを立ち上げて検討していただいた、その報告書です。「医療と市場経済−国民が安 心できる医療−」ということで、9月に報告書をまとめていただきました。この委員会 のメンバーは医師会委員だけではなくて、外部の委員、いろいろな立場の方々にもご参 加いただき、意見をとりまとめていただいたところです。  この中で、先ほど委員のほうから株式会社云々というお話がありました、このレポー トの中にその内容も含まれています。特に私ども、やはり医業の本体については市場経 済はなじまないということで結論づけていますし、その中での株式会社の在り方という こともこの中に記載しております。どうぞ、お読みいただければと思います。 ○田中座長  ありがとうございました。ご意見、ご質問等、第1回ですので各委員それぞれのお立 場からの発言を伺いたいと思います。特に順番にとは申しませんので、ご自由にどうぞ 。必ずしも西島先生へのご質問ということではなくて、この委員会へのそれぞれのお立 場からのご自由な発言をお願いします。 ○津久江委員  医業収益のデータがあまりにも少ない、もっと詳しいデータはないかというお話を大 石委員のお話をいただいたわけです。私は精神病院ですが、精神病院協会の中で病棟別 の機能分化はかなり診療報酬上手当されており、6種類ぐらい既に病棟があります。ほ とんどが包括病棟です。それらを取っている場合と取っていない場合とで、病床規模だ けではなくて中身の分析をしたものがありますから、次回持ってこようと思います。 ○田中座長  お願いします。 ○西島委員  これからの検討会の在り方ということですが、経営の在り方とは何かということで、 今回さまざまな会議から「経営の近代化・効率化について」という提言がなされている わけです。この裏には、医療機関の経営者は経営については素人であるという前提があ るような気がして仕方ないのです。  しかし、本当にそうなのかどうか。例えば、医療経済実態調査の中で、先ほどの資料 にもありましたように再生産費用は3%か4%ぐらいしかないのです。こういう中で医 療経営がよくここまでやられてきている。しかも健康寿命が延びて、医療のシステムに ついては世界でも一、二を争うシステムであることは評価をされているわけです。やは り、これを支えているのは、少ない再生産費用の中で頑張っている医療経営者であろう と考えているわけです。  ですから、経営者が素人であるというお考えはやめていただきたいと思います。1つ には経営の近代化というのは何なのか、経営の効率化というのは何なのかを分けて考え る必要性があるだろうと思います。もう1つは効率化を示す指標というのは何なのかを 提示して、その中で1つのモデル的なものを作っていく必要性があるだろうと考えてい ます。医療機関の効率化の現状、近代化の現状ということも是非資料としてお出しいた だき、そういう中で先ほど申し上げた効率化を示す指標に当てはめていってどうなのか という検討も是非ここでしていただきたいと思います。  もう1度申し上げます。「医療機関の経営者は素人である」という発言をされた方も いらっしゃいました。是非、そのような前提を抜きにしてご議論をしていただければと 思います。 ○大石委員  私もいまのご意見に賛成します。多分、言葉によってできあがる固定の概念というか 、思い込みのようなものがあると思います。例えば医者が経営している病院、イコール いまおっしゃったように素人が経営しているに違いないだとか、医療法人イコール非営 利であるという。要するに、言葉にくっ付いている概念でそれが是か非かという話をす るのではなくて、いままで日本というのは非常に効率、効果の高い医療をやってきたわ けですから、その中で何を残して、何を変えなくてはいけないのかを具体的に指し示す 。それを達成するために何が必要なのか、それがイコールいまの仕掛けの中で、これは やはり医者でないとできない、これは株式会社ではできないという、これは株式会社で もいけるという、それは具体的にどうするのか。イコール、いまいろいろ争点になって いるものに照らし合わせてイエスかノーかという形で、是非議論をさせていただきたい と思っています。 ○田中座長  貴重なご意見、どうもありがとうございます。今日は第1回ですので、事務局の説明 に限らず、医業経営の在り方について、日ごろご専門の立場からの識見をお示しいただ ければと感じますが、いかがでしょうか。   特になければ、1人一言ずつ、何かお立場から言っていただかなければいけないか なと思います。恐れ入りますが石井委員、会計の立場から医業経営についてお考えの点 をご披露願えますか。 ○石井委員  公認会計士という立場から会計領域に関する問題が本検討会で議論されるということ なので、多少アウトライン的な現状のご説明をさせていただきたいと考えています。  説明資料の13頁に、「医療法人の決算の仕組みについて」という箇所があります。こ のいちばん最後のほう、○の4つ目に病院会計準則に関する記載があります。病院会計 準則はこれから、この検討会において経営情報の開示、あるべき病院会計の基準という ことに関してご議論いただくときの前提としてご理解いただきたいと思います。  病院会計準則は、先ほどからいろいろご議論がありますように、病院という『施設』 について準拠すべき会計の基準というイメージで公表されたものですので、基本的には 開設主体にかかわりなく適用されるということになります。従って、いわゆる自治体病 院も国立病院も、民法法人も学校法人も、医療法人も個人も適用されるということが基 本です。そういう意味では、施設における会計の基準であります。  例えば、現実問題として独立行政法人としての国立病院・療養所議論というのが出て おりますが、独立行政法人には「独立行政法人会計基準」というものがあります。ある いは、社会福祉法人には「社会福祉法人会計基準」というものがあります。病院会計準 則という、施設に関する会計の基準はあるのですが、医療法人には「医療法人会計基準 」というものは現在ありません。この辺をどのようにお考えいただくかということも、 開示の議論を始めると必要な論点になります。  また、自治体病院の場合は「地方公営企業法」で基本的には管理されていますが、全 国の1,000の自治体病院は病院会計準則に基本的に概ね準拠した損益計算書等を作成し ています。それ以外の日赤、済生会、厚生連等の公的医療機関も病院会計準則型で数字 を処理しています。医療法人ももちろん原則として病院会計準則により処理をしていま す。そういう意味においては、完全ではないのですが、概ね同じようなイメージの財務 諸表・決算書類が作成される傾向にあります。ですから、売上げのことは売上げと言わ ずに「医業収益」と表現したり、「医業費用」というコストは給与費、材料費、経費と いった分類を行ったりしており、基本的にはある程度の共通性が取れているという認識 をお持ちいただいていいだろうと思います。  ただ、昨今、会計の分野が大変大きな変化を起こしています。ここにも書いてありま すように、企業会計においてはキャッシュフロー計算書や時価会計、あるいは退職給付 会計導入という変化をしているのですが、その辺の変化は残念ながら病院会計準則では 一切行われていないというか、手当がまだなされていない。その辺は変化をしなければ いけない要素とも考えられます。  次に、実は病院会計準則は企業会計原則準拠型であるという点に関する確認です。公 会計、公益法人会計ではなく病院の会計準則は企業会計原則を前提にしているというこ とです。ですから当期利益という概念になります。会計専門家の我々から見てよく議論 されるのは、非営利でありながら当期利益という表現を使っていることに対する違和感 であります。この辺のところを少しご議論いただく必要があるように感じております。  最後にもう1点だけ、医療経営における情報の開示ということに関しては非常に難し い問題がいろいろあるのだろうと推察しているという点であります。例えば、株式会社 の場合は資本金5億、負債総額200億という基準が商法上あり、法律上公認会計士又は 監査法人による外部監査を義務付けております。医療法人でその基準に該当する場合が あるかというと、あまりないように私は考えています。かなり大きなチェーン・ホスピ タル以外にはその規模のものはないのだろうと思われます。そうなりますと、外部監査 というものを義務づけるイメージは、一体どのような基準となるのかが1つの大きな論 点となります。  また、会計監査、外部監査という問題と経営評価(効率性評価も含め)という問題は 全然違うということの理解も必要です。つまり、監査によって効率性を担保するなどと いうことはありません。それはいわゆる評価です。1つの例として出すとすれば、独立 行政法人は公認会計士の監査がもちろん入るけれども、それとは別に評価委員会という ものを常設し、大変大きな権限を持って経営の評価をいたします。いわゆる、「監査、 特に公認会計士等が行う会計監査」と「経営の効率化を評価するという行為」とは全く 違うということもご理解いただいておいたほうが良いと思います。 ○田中座長  ありがとうございました。内田委員、歯科の立場から何かありますか。 ○内田委員  歯科の場合は97%ぐらいが個人診療所です。この委員会は民間病院を中心とした論議 をするということなので、これから私は出席しようかどうしようかと、いま迷っている ところです。  その97%の中の約30%ぐらい、あるいはもう少し下になるかもしれませんが、経営形 態として医療法人が診療行為、あるいは医療施設になっているところがあります。私は 保険関係の役にも就いており、医療協議会等にも出席していますが、どうも歯科の場合 の医療法人は、複数箇所の開業をするために医療法人の資格を取っているという気がし てならない。複数開業ということになると、例えば九州の方が理事長になって開設し、 東京のほうに医療法人として管理者を置くとなれば、営利を目的とするために医療法人 になっているという感覚が非常に強くあります。  これはやはり、医療法人の許認可の時点に問題があるのではないか。そうなれば保健 所、保健所というよりも各自治体の法人の窓口にメスを入れなければいかんのかなとい う気もしています。その点も含め、これからは委員の方々のご発言の聞き役に回ろうか と考えていますので、ご指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○田中座長  問題提起をいただきました。大石委員、いかがですか。なければパスで結構です。 ○大石委員  折角ですから一言申し上げます。いろいろ有名な方々の中で、「私は誰でしょう」と 思われている方がいらっしゃると思うので自己紹介します。私はマッキンゼ−というコ ンサルタント会社にずっといて、そこで消費材、医療関係のコンサルタントをやってい ました。  マッキンゼ−にいたときにものの考え方として非常に大事だったのがファクトベース 、要するに事実に基づいた話をしましょうということが大事だったのです。やはり、今 回ファクトというものをきちんと押えて、それに基づいて議論をするということが非常 に大事なのではないかと思います。  例えば、先ほどの病院あたりの収入費用の点に関しても、本当に1億あたりであった とするとコンビニ1個のほうが規模は大きいのです。そうすると、例えば酒屋1つの経 営効率を考えようといっても限度がある。しかし、例えばコンビニだったらネットワー クとシステムでサポートする仕掛けにして、それによって1つ1つの店というのは非常 に効率化しているのです。要するに規模はどうなっているのか、その中で何が行われて いるのかというファクトを見せることによって、ちょっと違う答が出てくる。いろいろ なところで、事実を見据えて議論をさせていただきたいと思います。 ○神谷委員  この世界は素人なのですが、伺っていてどうも営利、非営利というところについては いままで、神学論争がおありになったようです。  私は大学で、商法や法と経済学を教えています。この分野ですぐ思いつくのは保険業 の世界で、この業界は株式会社と相互会社で経営されているわけです。相互会社は営利 法人ではありません。どちらがいい経営をしているのかという問題については議論があ るわけです。非営利だから契約者に対してサービスが良いのかというと、実態は変わら ない部分も多いわけです。ですから営利、非営利というのは一体どこの議論に効いてく るのかという観点でアプローチしたほうが良いのではないか。不勉強ですが、議論を聞 いていてそういう印象を持ちました。  また、商法の世界にも「計算」と言って、アカウンティングと同じ部分があるのです 。石井委員にお聞きしたいのですが、医療法人についていろいろな会計のスタンダード があるけれども、基本的には比較可能性は保証されているという理解でいいのでしょう か。 ○石井委員  完全には保証されているとは言えません。財務諸表のフォームは非常に似ております が、処理の基準が異なる場合があります。しかしながら、事実関係から異なる要素があ って、非常に極端な話をすると例えば退職給付会計における債務の認識の仕方は、民間 企業や医療法人と役所、行政では全く異なります。その辺を考えていったときに、かな り大きな差が出るかもしれないと思います。 ○神谷委員  いろいろ影響を及ぼすところがあるのですか。 ○石井委員  そういう可能性もあるでしょうね。ただ、その点に関しては財務諸表に対する「注記 」による開示という方向で処理をしながら、比較可能性というものもある程度求めてい けるのではと考えております。 ○神谷委員  もう1点感じたことは、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、企業のほうで は商法の大改正ということで、企業の経営機関、いわゆるガバナンスと言われている部 分を大幅に見直そうという議論があるわけです。ここで議論する医業の部分でも、そう いう点についての議論が期待されていると理解してよいのですか。それとも、あまりそ こは突っ込まないという理解なのでしょうか。つまり、企業では、単に経営者が変なこ とをやらないようにするという観点からでなくて、より効率的な経営をさせようという ところにいま論点が移りつつあるわけです。医業経営についても、そういうことも見据 えて議論してほしいという期待があるのでしょうか。これは質問です。 ○田中座長  私も期待だと思います。今年度内の課題は別として、まさに医業経営の在り方ですか ら経営の近代化・効率化、ともにテーマのひとつだと思っています。 ○神谷委員  経営情報の開示という点も、ある意味で経営のパフォーマンスに響いてくると思いま す。 ○田中座長  近代化する、あるいは効率化する方法は株式会社化だけなのか、それ以外にも独自の 方法があるのかを検討していただくための会だと認識しています。 ○川合委員  この委員会に、石井委員が入ってこられて非常によかったと思います。理由は何かと いうと、医療法人の収益性がコンビニと等しい、どう合理化するのかという、これに近 い発言があったわけです。実は、これは医療法人の話であって、ほかの設立母体の病院 群は一体どうなっているのかという議論があった。当初質問したときには、今回は医療 法人だけに限定するというお話だったわけです。石井委員にはその辺もいろいろ経験さ れ、私どもに知恵を授けていただければありがたいと思います。 ○川原委員  私は3点ほど簡潔にお話をさせていただきたいと思います。今日は初回なので各論論 議は次回に置くとして、総論的な発言に終始させていただきます。   第1点は、我々がここでこれからの医業経営の在り方を検討するについて、各委員 の先生方がどのような視点から、医業経営をとらえていくべきであるのか。医業経営に 対する見方、理解というものがあるという意味においては、同一とまではいかないまで も、ほぼ近い認識でとらえられるように準備をしておかないといけないだろうと思って おります。先ほど来のお話を伺っておりますと、委員の先生方がそれぞれに理解し、そ れぞれの発言をしているというように受け止められました。  先ほど西島先生が、自分たちは経営の素人ではない。プロとは言わないまでも、決し て素人ではないとおっしゃいましたが、至極名言だと思います。率直に言って私もそう 思います。ただ、ここで考えなければならないのは、なぜこのような、経営に関する検 討委員会が設けられたのかということです。従来型の経営スタイルがもはや通用しなく なって、新しい、21世紀型の経営スタイルはどうあるべきか、また具体的にどのよう な形で構築していくのか、そのためにいろいろな問題点を整理し、解決していくのが、 この検討会なのではないかと私は考えています。その意味で経営の在り方について、医 療側も交えた形で論議されていくことは画期的であり、いちばん望ましいのではないか と考えています。  医療に目を転じた場合に、医療の提供の仕組みがここに来て大きく変わり始めてしま った。極端な言い方をすれば大きく変化する前の従来型の医療提供に合わせたマネジメ ントを行っていて、果たしていいのかどうかということを真剣に考えなければならなく なりました。従来の在り方を否定しなければならないことも当然でてくると思います。 これからは医療提供者側の視点からのマネジメントも必要ですが、国民の視点に立った マネジメントを検証し、いま1度見直していくことが必要であろうということがまず挙 げられると思います。是非、この機会にそのような視点で、ご論議いただければと願っ ています。  第2点としては、財政主導型の医療を提供するために、財政効率のみを追求するマネ ジメントの手法、あるいはその方向性というものを考えるのではなく、国民の望む適切 な医療の継続性を担保するに必要な効率化、合理化を実現するフレキシブルな経営の仕 組みをどのように構築していくのか広汎なご論議をしていただきたいと考えています。  第3点としては、石井委員から、また川合委員からもご発言がありましたが、医療法 人の規模によるコストパフォーマンスというものを的確にとらえながら、それぞれの規 模に応じた経営スタイルを各論論議で検討していくべきであろうと考えております。医 療法人を1つのカテゴリーで論ずる場合、対象規模を全然考えずに、一医療法人という 捉え方で論ずるのと、あるいはある程度、対象規模を明確にした中で論じていくのとで は、結論は大きく異なってまいります。より実行的な検討会にするためにも、それぞれ に見合う手法、あるいは全体的に通用する手法ということまで論議を深めていただけれ ばありがたいと思います。これは私の希望ということでお聞きいただいて結構だと思い ます。 ○田中座長  ありがとうございました。小山委員、お願いします。 ○小山委員  私は厚生労働省の職員なので、今日は朝からしゃべり過ぎないようにと思って出てき ました。  まず、いまのご説明でわかったことは、この会議はどうも医政局の総務課と指導課の 持っている所掌の範囲の会議らしいということなのです。ですから、いちばん大きい法 律は医療法なのだろうと思います。医療法の中身の話らしい。そうすると、医療の継続 性と医療の質、量の確保は非常に重要な問題です。医療の継続性というのは、つぶれな いようにしましょうという話です。  もう1つ、医療法上は非営利性というものを前提に組み立てられているということで す。今度、9月25日に示された試案の中で、医療機関の経営情報の在り方、医療法人に おける組織運営など、医療機関の近代化・効率化方策を検討するために検討会を作ると いうことでこれができたのだなと思っています。  ただし、政府の「経済財政諮問会議」からの一連の流れは、いまの時期に医療関係者 が集まって、こういう検討会を持ってこなければいけないというのは、多分「経済財政 諮問会議」から出てくるものの影響があって、この会議が持たれたのだろうということ です。医業経営の在り方に関する検討会をするということですが、いまどきなぜ医業経 営の在り方を検討するのかよくわかりません。多分、「経済財政諮問会議」から言われ ていることは株式会社に参入させろと言われているわけです。そのことについて、これ が1つ大きな問題なのだろうと思っています。  昭和26年に医療法ができるとき、国会答弁で実は非営利性を貫くのだ。当時、公的病 院が主で残った部分を民間にやってもらいますとまで言っていた。そういう点がもとに なってできた法律です。それから、特定医療法人等は租特法との関係でできましたとい うことでした。  そういうように考えると、株式会社に関してはいままで規制緩和委員会、規制改革委 員会、総合規制改革会議と、いっぱい名前を伺ったのですが6年間同じことを言ってい て、私の知っている範囲、当時の厚生省は株式会社化には反対なのです。なぜならば、 医療法上はそのようなことを書いていないから反対していたのですが、今年になったら 何か知らないけれどもドーンと、「聖域なき構造改革」となった。でも、聖域なき構造 改革は新聞に何と書いてあるかというと、「中身がよく見えない」と言うのですが、中 身はもう見え見えで自由化、民営化、規制緩和の3つでしょう。それを徹底的にやると いうわけです。  さて、どうしたらいいのでしょうか。厚生省は何もわからず、真面目に、愚直に配当 禁止で非営利が守られてきたと考えてきたわけですが、病院のほうについては配当禁止 ですから、株主から新規の資金を集積できないわけです。資金集積の腕を縛られたまま 、診療報酬で価格を決められて、その範囲で闘わされているわけです。さらに株式会社 なら、何か大資本が入ってきてグチャグチャにされることは国民も喜びません。しかし 、逆によくわかりませんが、医療法人の中で株式会社になるものもありますねという話 です。さあ、どうしていいか、じっくり半年勉強させていただきたいと思います。 ○大谷総務課長  あまり、事務方がしゃべるのはどうかと思っていたのですが、厚生労働省が今回の規 制改革、聖域なき構造改革の中でどういうスタンスで来て、この会議に至ったのかをも う少し補足いたします。従来の議論の継続ですけれども、確かに今回は根本から、政府 の在り方そのものからいくと、現行法はこうだから駄目というのではなくて、政府の在 り方論として見て、その上で直すべき法律は直せばいいというところに立っているとい うことでは、白地で検討しろと言われているわけです。  私どものこれまでの対応は、やはり株式会社の参入については基本的に望ましくない ということは、構造改革の中でも大臣も明言し、我々も語ってきたところです。ただし 、こういう会議に至った1つの切り口は、ならば何でも規制で縛っていていいのか。効 率化するためには、規制というものは必ずしも効率化するためにあるのではなくて、や はり非効率を生むということが言われているわけですから、例えば病院経営の中で、株 式会社ならできると言われている指摘のポイントがあるならば、それをいわゆる現行の 法制の中でもっとできることはないのか。医療法人という制度の中でも、株式会社的な 効率化を果たせる余地はないのかという意味で、株式会社に負けないというか、準じた 経営の効率化の道を探っていただきたいというポイントが1つです。  規制の問題として、経営者として、医師が経営のプロであるかないかという議論はと もかくとしても、そうでない専門家、理事長という形で入るなら排除されなければいけ ないかどうか。また、入れることが経営の近代化につながるかどうか。私ども、基本的 には株式会社の参入によって、医療の効率化については是としていませんけれども、理 事長要件ということで経営に専念する方が入ってきて、その方が理事長になることにつ いてはノー、ということはまだ外側には言っておりませんので、是非ご検討いただきた いという点があります。  3番目として、最初の企画官の説明にありましたけれども、我々は今度の改革試案の 中で株式会社化についてはどういう立場を取ったかというと、医療機関の競争はもちろ んするべきである。切磋琢磨し、淘汰されることについて否定するわけではありません が、その道筋は資本や経営手腕で競うのではなくて、医療の情報を開示、患者が選ぶ。 その意味で、医療機関側が患者に選ばれる立場として競争して、効率化、質の向上をす るという方向を模索したという意味です。  検討会についても、株式会社化の是非というよりはそういう示唆を得て、もちろんこ の場で株式会社化がいいとなれば別ですが、そういう指摘について医療法人という制度 をベースに、どのように経営の効率化を図れるかを検討いただければ、それはそれで1 つの批判に対する回答にもなるのではないかということを考えて、こういう場を設けま した。趣旨は趣旨で、そういうつもりで進めているということを蛇足ながら補足させて いただきます。 ○田中座長  ありがとうございました、大変よくわかりました。 ○津久江委員  私は広島地方の病院協会の役をしています。ついこの間出た、第4次医療法の改正に より、一般科の先生方の代表が来ておられますが、精神科は幸か不幸か取り残されたわ けです。一般科においては非常にドラスティックな、ヒューマンな問題が出ました。こ の決着は平成15年8月と、時限が切られたわけです。そうすると、アメリカの話ではな くて、広島という地方の都市でも40床から100床の病院がバタバタと変わっています。 病院がつぶれたように見えないのは、ベッドがなくなってクリニックに、「身落ちする 」というのは非常に失礼かもわかりませんが、最近、そういう状態になっている所が非 常に目立っています。「明日は我が身」と常に自戒している現状があります。  説明資料の15頁、「民間病院における資金調達等について」のところが簡単にこの1 枚紙で示されていますが、実に制約されているわけです。我々は努力したい、設備投資 もしたい、マンパワーも投資したい。やりたいけれども、いまの金融情勢で民間資金の 借入はこれ1つしかないわけです。あとは近代化設備という、非常に制約があるという ことが現実です。そういう点で我々の団体では、今後どうしたらいいかということを考 えていかないと、確かに行き詰まった状態であることだけは言えるのではないかと思っ ています。 ○豊田委員  医療法人協会の立場も踏まえてお話申し上げます。現在、日本の医療制度提供体制の 状況はご承知のとおり官公立、医療法人、それから私立と、いろいろな経営主体がある わけです。  ただいま現在の状況の中でも改善しなければならない点、私どもが実際に診療をやっ ていて思うこととして、まず1つは大きな問題です。先ほど、ここでは極めて限られた 問題を議論すると言われましたが、やはり全体を見通すとまず官民格差の問題がありま す。それから、医療法人を取り上げましたが、医療法人制度そのものが非常に大きな改 革をしなければならない問題を持っている。今回、それをここで議論いただけることは 大変ありがたいわけです。  現状でもそのようにいろいろな経営主体があって、うまく交通整理ができていないと 、役割分担、その他がまだきちんといっていないということで、必ずしもうまくいって いない。そういうところへ株式会社などという、全く異質の経営主体を持ち込むという ことは、現状を良くすることには1つもならず混乱させるだけです。幸い、今回は株式 会社を参入させるのが是か非かという委員会ではないようです。私は絶対に参入反対で すが、それは差し控えます。そういった現状での非常に大きな問題があります。  官民格差の問題も今回は議論の外、医療法人に特化されるようなので、それについて お話いたします。例えば、「医療法人制度」と一言で言いますけれども、医療法人の中 には非常に広益性の高いというか、累計としては特別医療法人があり、持分のある社団 があり、持分のない財団がある。それから、これはいま財務省のほうの特別措置法でで きている特定医療法人と、いろいろな種類があるわけです。  医療法人制度というのは配当しない、という点では全部共通ですけれども、その1点 をもって非営利であるといった話をしてきたわけです。実は外部的に評価すると、先ほ ど神谷委員からも言われましたが、持分のある社団は営利だという議論も確かにありま す。それから、最初に川合委員が指摘された、2年か3年ぐらい前、衆議院での委員会 審議の中で、当時の大蔵省の主計局長だと思ったのですが、その方が持分のある社団に ついては公益のグループに入れない話を明確にされています。  実は個人の診療所、あるいは療養所を経営されている人もみんなそうだと思うのです が、医療法人は「医の倫理」の中で非常に大きな、重要な部分として人の健康、人の生 命を商売の道具にしてはならない。金儲けの道具にするなどもってのほかということが 言われています。そういったことは、戦後50数年の間、医学教育の中から皆さん、その ように来ているわけです。ですから、ならば非営利と営利はどのように違うのかと言わ れるわけですが、少なくとも戦後、現在に至る日本の医療制度というのは、そういった 医療法人は倫理的には非営利の立場で仕事をしています。それが実際、制度上の形の上 では配当禁止ということしかないのではないかと言われると、大変つらいところがある わけです。  医療法人の中でも、現状の制度の中でも、例えば特定医療法人は医療法ではありませ ん。医療法ではなくて、租税特別措置法の中で決められた制度なのですが、それは非常 に公益性が高い。公益の法人だということは大蔵省が認めているわけですし、そのよう になっている。ところが持分のある社団については営利だ、という議論が学者の中から も出ている。非常につらい話です。  それでは、営利と非営利の違いは何か。例えば、株式会社と現在の医療法人で議論す るときは非常に簡単というか、我々ははっきりしているわけです。なぜ反対するか、と いうときにそれが出てくるわけです。実は同じ非営利だと、自分たちみんながそう思っ ている医療法人の中で、これは公益、これは営利だという議論がまたあるわけです。今 回、この委員会では、特に医療法人に的を絞っていろいろ議論をされるということなの で、是非営利と非営利の問題については言葉の共通の概念を持つようにして議論してい ただきたいと思うわけです。  矛盾を1つだけ指摘しておくと、例えば今回、特別医療法人というものが新たに制度 として医療法の中に記載されてできました。その中で公益性の高さは2つあるのです。 持分があるかないか、同族制限があるかないかということで分けていくと、新しくでき た特別医療法人というのは持分もない、同族規制もきちんとしている。これは社会福祉 法人の規則と同じなのです。皆さん、社会福祉法人は誰が見ても公益法人だと認めてい るわけですが、それと同じような、持分はなし、同族規制があるという縛りがかかって いるにもかかわらず、同じ日本の国でありながら、同じ厚生省の中でありながら、社会 福祉法人は公益法人、特別医療法人は営利法人という扱いには非常に矛盾を感じるわけ です。  そういった意味で、一体営利、非営利、あるいは公益という意味はどこで分けている のか、1度厚生省の方にお聞きしたいと思っていたのです。これは課長に答えろという 話ではないのですが、実はそういう矛盾がある。同じ厚生省の管轄の中でも、公益に対 するとらえ方に非常に矛盾があるということはやはり指摘しておきたいし、医療法人制 度をこれからきちん公益なものにする。それから、これから議論になると思いますが持 分のある社団をどうするかというときには、公益性とは何をもってどうするのか、どう いうように判断するのかということについて、これから一緒に審議していただく先生方 にも考えていただいて、この辺の整理をきちんとして、それに基づいて医療法人制度を どうするかというように話を進めていただきたいと思います。それが希望です。 ○田中座長  ありがとうございました。大変理論的に、元から正せというご指摘でした。西澤委員 、お願いいたします。 ○西澤委員  いま、経済や経営の専門家の方がいらっしゃいますので、各論についてはいろいろ教 えていただいて議論したいと思います。  基本的な考え方ですが、今回厚生省の報告書を見て、お金の話ともう1つは理想的な 、将来の姿が描いてあって、特に最後の「21世紀における医療提供の姿」の中は私たち もかなり共感できるところがあるなと思いました。  読んでみて、やはりキーワードは国民に質の高い医療を効率的に、そして安心を与え る、この3つなのかなと思っています。そういうことで、今回のこの検討も病院の経営 ということなのですが、何のために経営のことを考えるか、最終的なことはやはり国民 に良質な医療を提供し、さらに質の向上を図ることが根底にあるのかなと思っています 。我々提供側としては、是非そのことを根底に踏まえて議論したいと思います。医療の 質の向上のためにはどういう組織が理想的なのか、どのように運営するべきなのか、こ ういう点で組織論を図るべきだと思っています。  片方で、経営情報の開示ということは、経営情報も開示するけれども、片方ではほか の医療情報も開示する。両方を開示することによって、国民と患者さんがきちんと選択 する材料にしていただくということで、質の良い医療につながるということではないか と思っています。  ただし、無駄があるのもよくありません。効率的にというのは当たり前なのですが、 あまり効率ばかり考えると安上がりに目が行ってしまう。効率というのは、ある1つの 同じ成果を出すためにはなるべくコストがかからないほうがいいということで、コスト がかからなくても質が悪ければ効率ではない。今回、そのあたりも議論の中で気をつけ て発言していきたいと思います。 ○西島委員  先ほど、津久江委員から資金調達の話が出ましたが、株式会社論の中で資金調達の話 は1つのポイントだろうと思います。ただ、よくよくお考えいただくと、資金調達の方 法としては増資、社債というものがあるのですが、増資、社債ができる企業はどのぐら いあるのかということなのですが、実は株式会社もほとんどが銀行借入で資金調達をし ているわけです。その金利に耐えられずに倒産しているというのが現状です。私どもは 株式会社になることによって資金調達ができる、というのはやはり幻想であるとしか考 えられないわけです。  もう1つ、株式会社論が出てくるのは、アメリカは株式会社が病院を経営していると いうところからです。しかし、先ほどのデータを見せていただくとほとんど増えていな いのです。なぜ増えないのかということは、やはりここできちんと検証しなければいけ ない問題だろうと思います。一部の経済学者の方々が、10年前の知識と経験だけで物事 を言っておられる。まさしく、いま、現状はどうなのか。その現状を是非、厚生省とし て調べて、ここで1つのデータを出していただきたいと思います。 ○田中座長  ありがとうございました。最後に南委員、どうぞ。 ○南委員  いま、いろいろ先生方のお話を伺っていて、経営のことも、医療法の細かな中身など もかなり不勉強で、この会議で是非いろいろ勉強させていただきたいと思います。  日頃、医療をテーマとした報道解説に携わっていて非常に痛感するのは、先ほどもど なたかおっしゃいましたが、近年の医療提供体制の在り方が非常に変わってきたという ことです。体制が変わってきたというよりは国民参加の医療、知る権利ということが最 近非常に強く言われるようになり、医療の姿が非常に変わってきているということが根 底にあると思います。そこで、これは私ども報道する者の責任も1つあると思いますが 、これまでやはりどうしても医療提供者と医療を受ける側を対立の構図でとらえてきた 部分があった。それは非常に陳腐というか、もうそのような構図からは脱却しないと駄 目だという時が来ていると思いますし、もう皆さんそういう認識だと思います。病院経 営と言えば、やはり病院は儲けているとか、儲けて悪いことをしているというような短 絡的な認識でとらえてしまう。そのような不信感が根強く国民の認識の中にはあるのだ と思います。  今回、大きな構造改革、聖域なき改革の中で医療、福祉と言えども例外ではないとい うことで、効率的な医療経営のあるべき姿ということが問題になります。国民に提供さ れる良質な医療はどのようにあるべきか。その中でどこまで経営を効率化できて、質と 量を維持しながら国民に安心を与えていけるかというところに論点は尽きるのだと思い ます。国民も納得のいく形でしかも経営側にとっても望ましい姿、それがどのような形 なのか、どこまでが可能なのか。  実際、医療経営の関係者にお話を伺うと、苦労ばかりが多くあるということです。果 たして、株式会社参入などと言っても、営利目的の会社がこういうことに参入するのか と思うほど、医療経営は大変だというお話です。ですから、どういう効率化が可能で、 どこまで国民が納得できるのかというつきつめた議論をしていただきたいと思っていま す。 ○田中座長  ありがとうございました。お互いにひとあたり意見を聞いて、何かさらに付け加えた いことはありますか。 ○神谷委員  意見を伺っていて、「バトル・ロワイヤル」の真ん中にやってきてしまったという感 じがいたします。  医療法人が営利法人か否かという点について非常に熱が入っているので、一言申し上 げます。この問題について私はオープンな立場でして、「どうすべきだ」という考えは 今はありません。ただ、普通、法学者が言うときの営利というのは利益配当をするかど うかという1点だけではなくて、残余財産の分配があるかどうかも含めて考えます。要 するに、投資家にお金を返す、成果を返す仕方としては2つあって、1つは利益配当で あり、1つがディファード、つまりあとに利益配当を送って残余財産として分配すると いう方法です。  もう1つ、この亜流として隠れた利益配当というものもあります。これは要するに役 員を兼ねる社員に対して過大な配当を給与、報酬という形で払う。だから、実質的には 「利益配当」と「隠れた利益配当と言われる過大な報酬の支払い」と「残余財産の分配 」という3つなのです。  そうすると、持分のある社団で残余財産の分配ということがあると、この定義からい けばその社団は営利法人である。極端なことを言うと、財団法人であっても過大な給与 、報酬を払っているところは実質的には営利法人と評価できる場合もあるという議論に もなると思います。  課税をするという側からすれば、営利法人であると言えば、そこに1つ課税の対象が できますから、そういう議論をしたいということになります。問題は経営の中身が非営 利と営利で違ってくるのかということで、それはなかなかそう簡単にはいかないと思い ます。なお、経済学者の方が全てそうかどうかよく知りませんが、私は市場原理一辺倒 という立場は取りません。営利事業でも、例えばソニーにしてもパソコンも「安ければ いい」では駄目だと言われる。つまり、そこにいろいろな付加価値がついて、使う人た ちが良いと思うものを作るのにすさまじく苦労しているわけです。同じような問題は、 病院にもあると思うわけで、そう話は簡単ではないのではないか。  これは素人的な質問ですが、既に株式会社でやっている病院はあるわけです。それに よって相当な問題が生じているのかどうか。生じていないのであれば、なぜ生じていな いのか。そのあたりをいつかご説明いただければと思います。  また、例えば株式会社でやったとしても、当然そこに免許なり認可なりがかかると思 います。それは先ほど申し上げた保険会社が株式会社と非営利法人の相互会社―中間法 人と言われているものですが―という形でそこに保険事業免許という形で規制がかかっ て競争しているわけです。株式会社に自由にやらせるという法制には、仮に株式会社に やらせるという立場を取ったとしても、ならないのではないかと、いま素朴に感じまし た。もう少し、あるべき医業を達成するためにはどういうものを規制の対象として狙っ たら良いのかというあたりから説き起こして、あまり営利、非営利というところから行 かないほうがいいのではないかという感想を持ちましたので、一言申し上げます。 ○田中座長  ありがとうございました。議論の中で根本論の話とデータに基づく話、それから特定 のテーマである理事長要件、経営情報開示と、それぞれぶつかっていくうちにまとまる のだと思います。  経営情報の開示という点についてのご質問はありませんか。これは会計情報プラス何 を言っているのかという。事務局で言う「経営情報」というのは会計だけではないです よね、もう少し広い意味で言っていらっしゃると思います。 ○大谷総務課長  総合規制改革会議の議論の中で、経営情報の開示について強く求められたわけです。 実質のところ、私ども、経営情報の開示に何を求めているかについてはだいぶその場で 問いかけたわけですが、「株式会社を見てみろ」などアナロジーでの比較の議論はある のですが、何のために何をという指摘はいまのところ、最後まで聞けずじまいでいるわ けです。 いちばん最後、改革行程表の中では「業務内容等」と書いているわけですが 、医療法人が示すべき情報の中で、まず患者に必要な情報を示すということは私どもも その流れとして、試案でも申し上げているわけです。しかし、いわゆる経営情報の微細 のところで、債権者でもない、一般患者に開示するメリットはどの辺にあるのかについ ては、もうちょっと慎重に考えるべきではなかろうかということでした。そこはむしろ こういう場で、開示すべき経営情報とは何かも含めてご議論いただければありがたいと 思います。 ○田中座長  それがむしろ、議論いただきたいところのようです。 ○神谷委員  いま、開示が強制されている経営情報というのは何かあるのでしょうか。 ○大谷総務課長  いや、ございません。 ○神谷委員  私の素朴なイメージでは、まずその病院がすぐつぶれないかどうか。あと、いろいろ な製薬会社からの委託研究はどれだけあるのか、そういう点を知りたいなと思います。 ○大谷総務課長  いま、許認可しているところに届けるべき財務などの情報は法律で決まっていますし 、債権者に対して見せるべき情報は決まっていますが、いま法律にあるのはそこまでな のです。その先、どういうところまで、どういう目的に応じてというのはまだありませ ん。確かに医療保険に関する問題は医療保険制度からの経営情報というのは要るのかも しれませんが、個々の目的に応じてどういう情報を得るかというのは細かに検証が要る のだろうと思っています。 ○田中座長  開示すべき経営情報が何であるかも含めて、委員の方々のご議論をいただきたいとい うことであります。 ○石井委員  いまのお話、基本的には結論が出たと理解してよろしいのかどうか。開示の相手先は 患者というようなことなのでしょうか。 ○大谷総務課長  実はそれについても、明快な提示を受けておりません。むしろ、患者に開示すべき情 報は何、一般国民に経営情報として開示すべき点があれば、そういうものもご検討いた だければと思います。いわゆる、治療上の「患者」と限定することはないのではないか と思います。 ○神谷委員  石井委員も多分よくご存じだと思いますが、株式会社の情報というのは何のために開 示するのか。株式会社には従業員もいれば、地域の社会の方もいれば債権者もいれば株 主もいる。多分、みんなに役に立たなければいけないのですが順番に序列をつけて、い ちばんリスクを負っている方をまず念頭に開示をやりましょう。そうすると株主だとい うことになる。一言で言うとそういう理屈づけなのだと思います。  それなら、病院についての利害関係者は誰なのか、患者さんという答えもあります。 この議論の仕方は正しいかどうかわかりません。株式会社での議論を広げて当てはめた だけですから、素人的な議論とお考えいただければと思いますが、そうするとやはり患 者さんなのではないか。そのような議論も成り立つのではないかと思いました。 ○石井委員  各方面からの指摘の中に「医療機関の収益構造や業務内容を明らかにして、医療機関 の経営内容の透明度を高めるとともに経営を効率化すべき」云々という話があります。 この問題と医療サービスの受けてである患者、最も大きなリスクを取るリスクテイカー に対する経営内容の公開の問題は別のことなのです。経営の効率化議論に関しては、20 年ほど病院の経営を見ておりますが、特に最近、この数年では、医療法人が開設してい る全国5,000数百ある病院の中3,000施設程に関して、時期やタイミングは別にして厚生 労働省より「病院経営指標・医療法人の決算分析」が行われており公表されています。 会計数値の分析家としては、この指標が出てくれたおかげで病院の経営状態、医療法人 の経営状態が客観的にわかるようになった。赤字病院、黒字病院、全体という形式の収 益構造、費用構造等が開示されています。医療経営の内容が不透明で閉鎖的であるとい うイメージをある程度はっきりさせていただく必要があると思います。いちばん大切な のは、患者さんというサイドの方たちが何を知りたいかだと思います。  また、会計領域の専門家であるにもかかわらずこのようなことを言って良いのかどう かわかりませんが、患者としては差引きでいくら最終的な利益が出たということよりも 、何人の患者さんを見ているか、何台の救急車を取っているかということのほうが知り たい情報ではないかと思います。そういう意味では、今後作成されることになるかもし れない医療機関の「アニュアル・レポート(年次報告書)」の中身のイメージは企業の 経営情報とは異なるものになるのではないかと考えております。 ○神谷委員  企業だといま、セグメント情報というものがあります。つまり、部門別の情報です。 病院だと、例えば診療科目別の収益というのはわかっているのでしょうか。つまり、こ の病院のこの科は非常に評判が良くて収益が上がっている、そうでない場合もあるかも しれません。そのようなセグメント的な情報というのは、いま開示されているのですか 。 ○石井委員  実務的には、診療科目別の開示というイメージは今のところありません。 ○神谷委員  分析はされているのですか。 ○石井委員  そういうケースもあるし、そうでないケースもあるのでしょう。小山先生、如何でし ょうか。 ○小山委員  先生方に資料提供しろと言って、私がやることにならなければいいなと思っているの ですが、データは何でもあります。まず、ちょっと待ってほしいのは医療機関の経営情 報の開示、医療法人の病院が経営的に何か隠して、ぐちゃぐちゃなことをやっていると いうイメージがあるとすれば、そのような余裕はないのです。経営の透明性ということ について、法律上、公表を義務づけられている株式会社が公開している株式については 、1年に1度、新聞にこんな小さなマスのものを出したら公表している。医療機関がや っているものはけしからんという。そのお金をどうやって出すのかという話になるかも しれませんが、それならやりましょうよ。そのように、何も事情を知らなければ何でも 言える世界なのです。  しかし、先ほどの儲かる、儲からないという話、しっかり儲けないといまの病院はつ ぶれてしまうわけです。収益対策と費用対策なら、民間病院の費用対策は限界に来てい ます。あとは人件費でも減らしていいと、厚生省が指令して2割ぐらい減らしていいの だったらできますが、市場価格で決まっているのだからそういかないわけです。そうす ると、国立病院も含めて必死に収益対策をしているのです。この話はしっかりやってい ただきたい。私は各病院の職員に年間1,000人以上教育する立場にあるのですが、「し っかり稼ぎなさい」と言っています。稼がないと病院がつぶれてしまう。儲かるか儲か らないかと言っても、医療の公益性とか何とかと言っても、病院というのは1つの経営 体でしょう。それを動かしていくというのは非常に大変なことだと思います。  もう1つ申し上げたいのが、最近の12年間を見ても、病院は90病院近くずつなくなっ ているわけです。12年前の病院の名簿と12年後の病院の名簿を比較して、経営者が全く 変わっている、病院の名称が変わっているというケースが3分の1以上あるわけです。 大変な勢いで構造転換しているということですから、どう思われるのかどうか。先ほど 、コンビニと同じだという話がありました。コンビニエンスストアーというのは年間に1 2億も売上げがあるのですか。これは月の売上げですから12倍してもらわないといけな いのです。やはり、中小病院では10億というところなのです。医療法人でも、大きい医 療法人では1つで何千床と持っているところがあって、300億という売上げがあるとこ ろもあるわけです。それを全部、20床で1億円ぐらいですか、いちばん小さいところで2 0床1億円ぐらいですけれども、それと300億を同じ医療法人で話せ、と言われても大変 に難しいのだということを申し上げたいと思っています。  データがどうかということも、エビデンスベースでやればいいですが、例えば社会福 祉・医療事業団でお金を借りている医療法人の病院は全部、毎月報告しているわけです 。お金を借りている人が出しているデータですから、そのデータはいちばん正しいので す。これはちゃんと、社会福祉医療事業団で冊子にして出しているわけですから、何も 公開していないとか何もやっていないということではないのです。この10年間ぐらいの 厚生省関係の規制緩和も進んできたのではないかと思っているのですが、間違いなのか どうか。 ○田中座長  経営のコンサルティングをするわけではないから、多分ここに書いてあるテーマはあ まり規模に影響しないテーマが並んでいるとは思いますが、経営がいろいろあるという のはおっしゃるとおりです。それから、データは世の中に存在しているし、かなり示さ れているというのも正しいご指摘だと思います。最後のほうになると佳境に入ってくる のですが、そろそろ時間がまいりましたのでよろしいでしょうか、この勢いで次回もよ ろしくお願いいたします。  本日はこれで終了したいと存じます。次回の日程について、事務局からご案内をお願 いします。 ○石塚指導課長  次回の日程については内々ご連絡を差し上げていますが、年内は12月14日(金)、10 時半からということでお願いしたいと思っています。次回はアメリカの状況等について 、外部講師から少しヒアリングをして勉強したいと思います。  1月以降、それぞれの立場から少しまとまったプレゼンテーションもいただいて、本 格的な議論ということにさせていただきたいと思います。それまでに、私どもも資料を いろいろ用意させていただきたいと思いますが、先生方からもいろいろな資料をご提供 いただければと思います。  また、お忙しい先生方がおそろいですので、年内の日程調整については大変ご迷惑を おかけいたしました。年明け以降の日程についても、今週末ぐらいから調整を開始して 、できれば1月、2月、3月ぐらいの日程を予め、早い段階でセットしておきたいと思 いますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。 ○田中座長  本日はこれで閉会いたします。お忙しい中をご出席いただいてのご発言、ありがとう ございました。 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 北見 学(内線2560) 医療法人係長 赤熊めいこ(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194