01/10/26 第6回「病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会」議事録 第6回「病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会」                     日時 平成13年10月26日(金)                        10:00〜12:00                     場所 厚生労働省専用21会議室 ○座長(岩崎)  大変お待たせいたしました。それでは、ただいまから第6回「病院における薬剤師の 人員配置基準に関する検討会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれまし ては、大変お忙しい中をご出席くださいまして、誠にありがとうございました。それで は、まず本日の資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○保健医療技術調整官  それでは、資料を確認させていただきます。いちばん上に「第6回病院における薬剤 師の人員配置基準に関する検討会議事次第」、そのあとに資料1として前回の議事録が ございます。 ○座長  ありがとうございました。それでは、これより議事に入らせていただきます。まず前 回の検討会の議事録につきましては、事務局で整理させていただいて、ご確認いただけ ればと思います。もし意見があればと思っていますが、よろしゅうございますか。特に ご意見がないようですので、この議事録を承認していただいたことにしたいと思いま す。  それでは前回に引き続いて、病院における薬剤師の人員配置基準について、本日は具 体的な議論を進めてまいりたいと思います。前回の最後のところで述べましたが、これ までの皆様のいろいろなご意見を踏まえて、私と事務局において1つの案をとりまとめ させていただきました。この案をこれから皆様方に配付させていただき、議論を進めて いきたいと考えておりますが、そういうことでよろしゅうございますか。それでは事務 局配ってください。では、これから事務局のほうから案を読み上げていただきたいと思 います。 ○調整官  それでは、読み上げさせていただきます。  検討会報告(案)。(1)病院における薬剤師の人員配置基準については、平成10年に改 正されたところであるが、併せて「3年後を目途に、病院薬剤師の業務の実態及び薬剤 師の需給の状況を踏まえて、見直しを行うこと」とされたことを受けて、本検討会で は、平成13年3月以降6回にわたり検討を行ってきた。  (2)病院における薬剤師の業務については、病棟における服薬指導に加え、医薬品関連 の事故防止など多様化・複雑化してきていることが指摘される一方、個々の病院におけ るこれらの業務の普及や定着の状況は様々であること、薬剤師の養成において病棟にお ける臨床教育が十分でないこと、地域の医療機関における薬剤師採用の困難性などが指 摘されたところである。  (3)このことから、医療法上の人員配置基準の見直しについては、今後の推移を見極め ることが必要であるが、現時点では平成10年に定められた基準を、ただちに変更する必 要性は認められなかった。  また、平成10年12月に設けられた経過措置は、廃止することが適当である。  (4)なお、病院における薬剤師の役割の重要性が高まってきていることについては、認 識の一致が見られたところであり、「病棟単位に薬剤師1人を配置すべき」という意見 にも配慮し、今後、薬剤師の需給、薬剤師の業務内容や配置の実態、薬剤師養成におけ る臨床教育の充実等の進展を踏まえ、5年後を目途に人員配置基準の検討を行うべきと 考える。以上です。 ○座長  ありがとうございました。私のほうから若干補足させていただきたいと思います。前 回の検討会では、特に一般病床の基準と経過措置の取り扱いが議論の中心となりまし た。具体的には、「病棟単位に薬剤師1名の配置」というご意見がある一方で、「基準 は変更せず、経過措置も継続してほしい」という意見もありました。これらの意見に対 して、これまでの議論から病院における薬剤師の業務が多様化・複雑化しているという 指摘をいただきました。一方で、現時点で基準を見直すことについても、種々の問題点 をご指摘いただきましたことから、基準の見直しについては、「今後の推移を見極める 必要があるのではないか」。また一方、経過措置については、3年前に激変緩和措置と して設けられたものであるため、80調剤に薬剤師1人という旧基準の考え方は、もうな くしたほうが良いのではないか。また100床以下の病院においても同じ基準にするべきで はないかということで、「経過措置は廃止すべきではないか」という考えがあり、双方 のご意見の一部を、それぞれ取り入れる形で整理をさせていただきました。そういうこ とですが、これからこの案文に基づいて議論を進めたいと思いますので、ご意見があり ましたらお願いします。  私のほうから再確認ですが、(4)の最後の「5年後を目途に」ということで、5年後と いうことが書いてありますが、これでよろしゅうございますか。 ○医政局総務課長  5年後を原案で書いてある理由は、今回3年ということで検討してみた結果、エビデ ンスに基づく議論が、データが揃わず、期間が短かったということもあって、普通は3 年とか5年というのが、刻みの1つの節目ですが、事実関係に沿って議論するというこ とであれば5年という節目は1つの刻みということで、関係者のご意見もいただきなが ら整理をした数字です。この考え方について、ここで十分ご議論いただければよろしい のではないかと思います。 ○座長  そのことを含めまして、これからご議論をいただきたいと思います。それでは、どな たからでもお願いいたします。 ○全田委員  私は当事者ですから申し上げます。我々、病院薬剤師の人員配置について、大変お忙 しい先生方に6回もご会議いただいたことを大変感謝しております。ただ、申し上げた いのですが、こういうまとめ方をされますと、残念ながらオーケーと言うわけにはいき ません。1つは、例えば(1)の薬剤師の需給の状況を踏まえると言いますが、いろいろな 先生方から標欠があるという話がありましたが、少なくとも基準がみたされておるのが 87.5%で、12.5%が標欠です。前回にも資料を出させていただきましたが、分業が標欠 の病院は9.2%なのです。ですから、分業が進めば病棟に配置できる。佐々先生のほうか らもご報告いただいたように、全体としては1.5倍の薬剤師がいるわけです。決して増や してくれと言っているのではありません。豊田先生がいつか言われたように、どの医療 界でも医師もそうでしょうが、要するにバランスの問題なのです。  (1)の「薬剤師の需給の状況を踏まえて」ということについては、確かに今まではどこ でもそうでしょうが、医師のほうがもっと需給率が悪いのではないかという話になって しまうのです。そういう話をすると、あまり望ましい話ではありません。  (2)の「薬剤師の養成において、病棟における臨床教育が十分ではない」というのは認 めます。確かに薬学教育が十分でなかったということで、前から申し上げているよう に、ようやく薬科大学の80%が1カ月の実習をするということです。これは他の医療従 事者に比べれば、決して十分ではないということも分かります。ですから、これは素直 に認めます。  (3)の「基準を、ただちに変更する必要が認められない」という話を、本当に議論した かどうかは、私たちの立場から言えば、それぞれの先生方の、それぞれの団体のお話は いただいたが、では、何人なら必要なのだ、国民に安心した医療を提供するためには、 私はずっと病棟に1人置いてくれと。例えば、都立広尾病院のヒビテンとヘパリンのミ スがありましたが、もしそこに薬剤師がいれば完全に防げたかどうかは申し上げられま せんが、少なくともミスが少なくなるだろうということを申し上げているわけです。現 在70人に1人で十分であるというか、70人に1人を減らさなければいけないということ については、その必要性は認められなかったということに関しては、日本病院薬剤師会 の立場としては納得がいかない。  最後の文書が出てきましたから申し上げますが、病棟に1人ということも、臨床教育 に向けて努力していることもご了解いただきました。そういう中で、いま座長が言われ たように、この時代が変わるときに、なぜ5年待たなければいけないのか。何回も申し 上げます。平成8年に医療審議会において、病院薬剤師の業務が変わった。だから、従 来のものよりも病棟に1人置くことが望ましいという議論が出て5年が経ってしまって いるのです。これから5年経てば10年です。先生方には大変失礼ですが、10年というと 子供だって、生まれて小学校4年生になってしまうのです。どうぞその辺ををご理解い ただきたいと思います。 ○豊田委員  私のほうからは前回、現状のままでお願いしたいという主張をさせていただきまし た。そういう意味では病院薬剤師の皆様方とは、いちばん遠い所にある主張をしたわけ ですが、今回の6回の議論を通じて、それぞれの立場で、それぞれ数字を挙げ、私ども もデータを出していろいろ説明いたしました。話合いがなかなか噛み合わなかったとこ ろは残念とは思うのですが、今回そういうことで両者を踏まえて座長の調停案が出たわ けです。私どもの意見からすれば、いわゆる経過措置を廃止するということですが、今 回の議論はそれぞれの団体の事情というより、根本には日本の医療の質の向上を図って いこうというところでは、皆さん一致していると思いますので、今回の座長案は全面的 に支持したいと思います。私どもが主張してきた経過措置を残せということは取り下げ て、私はこの案に全面的に賛成したいと思います。 ○座長  分かりました、ほかにいかがですか。 ○伊賀委員  私どもは薬剤師の立場で、いま全田先生が指摘されたように、(3)の「ただちに変更す る必要性は認められなかった」というような検討会の認識には至っていないように思い ますので、この表現に関して、むしろ70というより、この5年間の間に実情に即せば、 むしろ50に1人に近い実際の資料等に基づいても、そういった現実がすでに動いている ということです。それに近い数字というのはあっても然るべきかと思います。ですか ら、直ちに変更する必要性は認められなかったという、この表現に関しては、これを受 け入れることは大変難しいと思います。  (4)の5年後というのは、期間としてはあまりにも長いのではないか。普通の感覚から 見ても、この大きく変わる医療の中で5年後を考えるのは大変難しいと思います。あと の「べきと考える」という表現も、少しご考慮いただきたいと思います。その3点で す。 ○金子委員  私のほうからも一言ですが、病院薬剤師の役割の重要性に関してはご理解が得られた と思います。見直しに関してですが、認められた以上は、あとは時期の問題だけではな いだろうかと考えています。時期の問題に関しては、平成10年から今回3年間を経過し て数字が動かなかったことを前提に考えますと、あと3年あれば、その当時からのデー タを含めて計6年が経過したという捉え方も一方ではできるのではないだろうか。そう いうことを踏まえて私としては、3年後という数字で前向きに検討していただければと 要望します。  もう1つですが、「検討を行うべきである」という伊賀委員の意見に対して、私も賛 成です。少々曖昧な気がしますので、この検討会の報告を受けて確実に実施していただ けるかどうかが多少不安です。その際、是非医療の担い手として常時薬剤師が医療に従 事できる環境づくりに考慮した検討を行うことを考慮していただければと、私のほうか ら意見させていただきます。 ○座長  ほかにご意見ございますか。 ○豊田委員  私のほうで全面的に賛成すると言った、この案の中の5年の問題が取り上げられてい ますが、それについて私の考えを述べさせていただきます。  今までは暫定と経過措置という形できているわけです。ここで経過措置をとると、い わゆる暫定という形もとれて本則になるのだと思います。日本の医療法の中できちんと 決められた形になるわけですから、医療の基本になるものがクルクル変わることは、果 たしてどうなのかという問題があります。これは形の上だけではなく、医療法に基づい た個々の病院、あるいは地域でいろいろ計画をする上で、その基準が3年などという短 い間に変わることは大きな問題です。5年とは書いてありますが、例えば、世の中がど のように動くか分かりませんが、いま決まっていることによって重大な支障が生じてい る、あるいは混乱が生じているということになれば、1年でも半年でも変わることは可 能だと思いますので、そういう意味から5年という数字は、極めて妥当であると考えま す。  もう1つは、過去から遡って、これから何年という発言も先ほどありましたが、例え ば、今回の議論の中で、日本の医療の質を高める上で、病棟業務は非常に期待されるこ とは病院団体も認めるわけですが、然らばそれに応えるだけの薬科大学におけるいろい ろなカリキュラムが組まれているのか、あるいは卒後教育がなされているのかという問 題については、今回の議論の中でも明らかになりました。  そういうことで、これから薬学教育の中で、そういう協力はしてもらえるのだろうと 思いますが、それを考えても3年というのは、果たしてそれで十分なのかということも あります。そういったことで必要な状態になれば、いつでも変える態勢は国にはあると 思いますので、私はこの5年は5年でよろしいと思います。 ○全田委員  いまの薬学教育論になりますと、私の最も得意のジャンルなのです。先生が5年と判 断なさるという考えと、5年で日本の医療がそのまま続くと思われますか。本当は来年 変えてもらいたいのです。今日駄目なら明日変えてもらいたいのです。それが駄目とし ても医療はどんどん変わっていく。いろいろなことが変わっていき、いろいろなデータ が出るのは2、3年かかるでしょう。前回も平成10年のときにも3年の経過を見ようと いうことがありました。5年では私自身がとても責任を負えません。私だって生きてい るかどうか分かりません。  ただ、少なくとも薬学は先生がおっしゃるように、今まではともかく、必死になって 各大学がカリキュラムを変えて、臨床教育の充実に変えようとしています。おそらく来 年は変わります。とにかく来年に変えてほしいというのは私の気持ですが、来年が無理 だとすれば、前回のように3年でギリギリの妥協をしたいと思います。  これもまた議論になってしまうのですが、この間も先生にご評価いただきましたが、 医療人として、そんなに薬剤師のレベルは落ちていないと思っています。ただ、今まで の教育は十分ではなかったというのは確かです。私は、薬学20年の教育をやり、医学教 育21年に携わり、また薬学教育に戻りました。今、しみじみと医療人としての教育をど うするか考えています。いまは教育改革の熱がパーッときておりますので、もう少し 待ってください。そこなのです。これは理屈ではありませんね。 ○豊田委員  全田委員にもご理解いただいていると思いますが、決して薬学界の姿勢を批判した り、レベルを批判しているということではありません。この6回の検討会の発言の中 で、薬剤師の存在、必要性は非常に大きく我々にも認識できたと思いますし、一般にも 広がったと思いますので、私もそれはよく感じているところです。  ただ、私どもは、いま決まったから薬剤師はそれでいいのだとは言っていないわけで す。日本の医療は、医療法に基づく体制と診療報酬という形で、両方が歯車になって行 われているわけです。看護婦問題でもそうでしたが、医療法で決めるというのは、地域 差やいろいろなことを考えて、最低基準を決めるべきだと私も主張してきました。そう いうことであって、決まっても決してそれでいいということではありません。それぞれ の病院が自分の所を良くしようということで、人員配置を厚くしていくことは、現実に 努力してやっていることですし、そういう所に対しては診療報酬をアップするという形 で、いまの医療が行われているという現実があります。  したがって、薬剤師さんの役割について理解が高まれば、病院で薬剤師さんに働いて もらうということが、これからはどんどん起こってくると思います。私どもの主張は薬 剤師さんの立場、あるいは技量などに対する批判では一切ない。我々の立場からは数の 問題、地域差の問題は無視できないのです。そういうことで話をしておりますので、ご 了解いただきたいと思います。 ○座長  5年というのを私が自分で提案しておきながら、課長のほうへ少し投げたのですが、 もう一度この問題をお願いします。 ○医政局総務課長  先ほど5という数字の原案の趣旨をご説明しましたが、データに基づいて、いま3年 というお話も出ていますが、議論できる可能性があるやなしやという事務的な立場で申 し上げますと、今回医療法を改正して、平成15年8月にその他病床を一般病床と療養病 床に区分した届出が出揃います。平成15年8月に出揃ったものについて、その一般病床 の中でどうなっているかということがデータとして分かってくるのは、その次の年の冬 ぐらいが最も急いだケースだと思います。平成16年の冬ごろということになりますと、 今から3年経ったところぐらいで、ある程度検討に至るデータは揃う時期があるのかと いうことです。3年目途、5年目途というのも、検討を開始する時期も含めて弾力的に 考えて、データが揃ったところでやる時期としての、例えば3年後というのがあるかと 言われたら、事務的にはあり得ます。あとの臨床教育を含めた別の実態がどのぐらい揃 うかについては、私どもの申し上げることではありませんが、検討開始時期も含めた意 味での3年であれば、事務的には可能かなという感じを持っています。  最後の「検討を行うべきである」という表現ですが、「べき」というのは、検討会は 医政局長の諮問機関ですが、「政府に対して検討をするべきだ」と言われている「べ き」という意味ですから、そこはご理解いただきたいと思います。 ○奈良委員  この検討会の報告(案)を拝見して、非常によくまとまったなと思っております。と 申しますのは、特に我々の立場としますと、(3)で、「ただちに変更する必要性は認めら れなかった」という表現ですが、実は我々現場を預かっている病院になりますと、ただ ちに変更されては大変困ります。これは今度政省令に力が付いた場合に、標欠病院でこ ういうことをしなければならないということになると、私は前のときに申し上げました が、北海道とか長野などでは大変困るわけです。  10月15日に私は小海の赤十字に医者を何とか足利赤十字から派遣してくれと頼まれ て、現場を見に行ってきました。非常によくやっている病院ですが、何せ山の中で、 八ヶ岳の裾で、眺めはいいし、千曲川は病院の崖の下を流れていて、大変結構な所なの ですが、そういう所に長く勤務しようという先生も薬剤師さんもいないわけです。これ から我々は責任を持って病院の医療の質を上げていかなければいけない。病院の医療と いうのはチーム医療である。薬剤師さんにも一肌も二肌も脱いでいただかなければいけ ない。先日申しましたが、病棟回診のときには薬剤師さんが必ずついてきて、研修医な どが処方したものもチェックして、「ここはちょっと違うのではないか」ということも 指導していただけると大変いいと思っています。  ただ医師も数の上ではかなり満たされてきていますが、どうしても医師は大学とか大 病院とか都会とか有名病院に集まってしまって、地方の病院はほとんどが苦しい立場 で、しかも高齢者が多いわけです。実は4病院団体協議会で「臨床研修の提言書」とい うのをまとめさせていただき、医政局にもお持ちしましたし、日本医師会にもお持し て、大体同意していただいたというのは、やはり臨床研修というのは、現場をきちんと やるために、ある時期はむしろ第一線の地方の小さい病院とか、場合によっては辺地に も出して、そこでよく教育しよう。大学病院におんぶに抱っこするのは、もうやめよう という話になったのです。そこで薬剤師の方も是非、努力していただいて、ある時期に は地方の病院にも是非研修に出していただきたい。  臨床研修がスタートするのは平成16年です。いまは平成13年ですから、私はその辺り で3年というところでひと区切りにして、そこで真剣に検討を始めたらよろしいのでは ないかと思います。全田先生のおっしゃることも非常によく分かります。是非頑張って いただきたいと思いますが、ただ病院薬剤師会、あるいは薬剤師会の方々が、我々医師 のレベルで「臨床研修は地方の第一線病院にも出すべきである。そうでなければ全人的 な医療はできない」ということを提言しているわけですから、薬剤師会のほうも、例え ば、長野とか北海道などにもどんどん出していただいて、勉強していただきたい。  見てみますと、新しい卒業生は、それこそ東海道ベルト地帯と申しますか、やはり賑 やかな所で有名な病院に行きたがる。それから六本木や青山を歩きたがる人が非常に多 いのです。それが現実だと思います。ただ、ある期間「あっちへ行ってこい」と言え ば、わりに出ていくのではないか。私どもの病院も何週間交代で出てこいと院長命令を 出しますと、ドクターが「じゃあ、行ってきます」ということで行くようになります。 そういうことですから、是非、教育の現場で地方の病院などにも人を出していただきた い。  1病棟に1人置くということになりますと、日赤に100ベッド以下の病院が5つありま す。100ベッドということは、単純計算で2病棟か3病棟持っています。山の中の田舎の お医者さんすらいない病院で、常時3人薬剤師を確保できるかと言ったら、いまのとこ ろは難しい。でも全田先生の教育方針を聞いていますと、これから2、3年後にはかな り改善されるかと思いますので、平成16年が医師の研修のスタートですから、3年後に また真剣に討議するということで、私は3年説を支持いたします。 ○仙波委員  私の持論ですが、基準というのは最低基準を意味しますので、病院は非常に標欠とい うことにこだわっています、標欠は出したくないのです。その努力をしようということ ですが、私は国が決める基準というのは、ある程度多くの病院が決められる基準にすべ きだと思います。  この前、全田委員が50名と言われたのは、全く機能を無視した論であるから、私はい ただけない。そうなりますと納得できるのは、1つだけではなく、いろいろな基準が あってもいいのです。多くの基準は決められませんので、最低基準を決めておいて、あ とは病院の自由裁量で、診療報酬が付くということがなければなかなかうまくいきませ んが、そうなれば、おそらく基準を上げてくるだろうと思います。急性期は足りない。 精神科も150人に1人では、急性期だけをやっているのではとても足りないというのは分 かっています。だから、基準の決め方も最低を決めるのなら今回変える必要は毛頭ない と私は思っています。  機能別に多くの病院が努力して薬剤師を多く入れる。それには診療報酬を付けるとい う方策を採るべきではないかと思っています。  3年という期限は、今回のこの討議も多くのインパクトを与えると思います。私が調 べましたら、3年前の日本精神病院協会の基準では、実に半分が標欠でした。その後3 年経ったら、その半分の26%が標欠になっています。3年後にもう一度討論すると、基 準について標欠はもっと少なくなると思います。そのように思っていますので、3年か 5年かという議論はあるとは思いますが、私は3年も1つの区切りかなという感じは 持っています。 ○全田委員  一言だけ言わせてください。先生はご専門ですから、釈迦に説法かと思いますが、私 は一般病院でも精神病棟でも療養型でも同じだと思っています。と言いますのは、先生 は精神科の専門医だと思いますが、我々が薬剤部にいて、とにかく十何種類の薬が出る わけです。ある意味では識別能力が低いです。介護が、療養型がそうです。そこにこ そ、私は薬剤師がいなければ駄目だと思っています。ですから、先生はいつも「1年も 過ぎれば処方は固定されるから薬剤師は要らない」とおっしゃいますが、そこにこそ、 私は薬剤師がいなければ駄目だと思っています。  これからはますます高齢化が進んでいきますから療養型だと思います。やはり識別能 力は落ちます。そういう所でどうやって薬を正しく飲むかということを、薬のプロたる 我々がいろいろな説明をする、いろいろな管理をする、間違って飲まないようにする、 それが私たちの仕事だと思っています。ですから、先生とはおそらく議論が合わないと 思いますが、私は一般病床でも精神病床でも療養型でも、区別は全然考えないで病棟に 1人置かせてほしい、そうすれば少しは薬に対するミスが少なくなるだろう、国民に安 心した医療が与えられるだろうという議論なのです。 ○座長  十分皆さん分かっておられると思います。 ○佐々委員  私はいままでの議論の中で、80調剤に1人というのはやめたほうがいいが、地方の小 病院にとって100床以下は1人というのは残してほしいと申し上げました。それは何度も 言いますが、医師にしても看護婦にしてもそうですが、カウントの端数が出た場合、そ れを切り上げるのが、小さな病院にとっては非常にきつくなってくるということでお願 いしましたが、それもなしにして結構だと思います。  この中にある、全田委員が今まで何度も主張される1病棟に1人ということは、私の 病院の例を取っても、一般病棟は40〜45床ぐらいですが、産科病棟は18床です。特に産 科の患者さんはあまり薬が出ません。そういう所にも1人というのはどうかと思いま す。ただ、ここの表現ではそういう意見もあったということですから、ここを直してい ただくことはないと思いますが、そういう考えでおります。  5年か3年かということですが、先ほど事務局からお話がありましたように、平成15 年8月に今までのその他の病床が一般病床と療養病床に分かれるということで、その データがやっと出てくるころということです。そこでの検討がどこまで突っ込めるのか と考えますと、少しきついところがあるかと思います。そういうことがなければ3年後 で私は構わないと思います。これを見直すということは書いてありませんから、「検討 を行うべき」あるいは「検討を開始すべき」ということであれば、3年後ということで よろしいのかという気がしています。 ○櫻井委員  全般的なことを言いますと、この検討会にいろいろな資料が提出されました。少し遡 れば、長いこと調剤数80ということを1つの基準にしてやってきたのを3年前に変え た。そこではものすごく大きな考えの変更があったということになります。  というのは、それまでは調剤数という、まさに長い間、薬剤師さんは調剤をするのだ という考えが基準であったのが、3年前に外来処方箋枚数と入院の患者数という1つの 基準を持ち込んだことは、ものすごい変革であったのだろうと思います。外来ももしか したら本来は処方箋ではなく、患者数なのかなというところはまだ変革していないのか なというのも1つ感じています。  処方箋という物を対象にしているわけで、そういう言い方をするならば、ほかの医 師、看護婦、ほかのいろいろな配置基準がある職種では、そういう物を対象にした配置 基準はありません。例えば、医師なら、手術の数いくつに1人という配置基準はない し、看護婦の場合も処置を20回やるときに1人といったのはないわけで、そういうのも みんな人が対象になっています。そういう意味では薬剤師さんも全田委員が言われたよ うに、我々の仲間として診療そのものに携わるのだということで進んできたのです。そ のことを評価するということは、座長がまとめてくださったものにも書いてあるわけ で、その辺は逆に全田委員、その他薬剤師の方々も分かってもらえると思います。我々 も十分評価をしていると書いてあるわけですから、その辺を報告書としては評価してほ しいということが1点です。  2点目は、座長がまとめてくださった報告書は、非常にいろいろな所に気を配ってい るのだと思いますが、3年前の(1)の所を見ると、「3年後を目途に病院薬剤師の業務の 実態及び薬剤師の需給を踏まえて見直す」と。つまり、病院薬剤師の業務の実態と薬剤 師の需給の状況を踏まえてということで、今度は病床数別に標欠がどうとか、いろいろ な数字が資料として出てきました。それから薬剤師の需給も出てきました。それらを資 料にして今回の見直しをしているのが現状です。  それを踏まえて、(4)に「5年後を目途に検討する」というところの内容を見ますと、 「薬剤師の需給を見る」というのは3年前と同じです。次に、前は「薬剤師の業務の実 態」というのが書いてあったのです。それが今度は「業務の内容や配置の実態」と言っ ているわけです。そこに非常に微妙な変化があることは、つまり、今度は薬剤師の業務 の実態というのを問題にしています。何床のところに標欠が何パーセントという資料を 見て、不思議だなと思ったのです。いちばんびっくりしたというのは、私は逆だと思っ たのは、病床数の少ないほうに、ちゃんと薬剤師さんがいて、大きい病院、おそらく全 田委員が言われる、いろいろなことをやっているはずの病院のほうが標欠が多いという のはどうしてかなと感じましたが、とにかくそういう資料が出てきました。実際には業 務の内容や配置の実態は、言葉での説明はありましたが、数字では出ていないと思いま す。病棟へ配置されていて、どういう仕事をしているのだということの説明はあった が、きちんとした資料はなかった。それを今度検討するときには出しなさいと言ってい るのが下の文章です。かつ、全く新しいことには「薬剤師養成における臨床教育の充実 の進展を踏まえて」という言い方をしているのは、その状況を踏まえなさいと言ってい るので、これは3年前のものには全くなかったことです。それは私も検討会の中で発言 させていただいたように、全田先生たちが言われる病棟での仕事という、つまり、先ほ どのいちばん大もとの考えで、薬剤師さんが古くは調剤だけ、薬を調えているだけの仕 事から患者さんと接する医療職だという考えになってきたとすれば、そのためには全田 先生のご専門ですが、薬学教育なり卒後の研修は全く不十分と言わざるを得ないと思い ます。これは事実だと思います。やっている所もあると言いますが、やっいる所がある という程度で、これも検討会の中で申し上げましたが、看護婦であっても医学部であっ ても、学生のときから患者さんとの接触が行われていますし、当然その後の研修等で も、患者さんとの接触という部分は、当たり前のようですが、やっています。それを今 後やって、それを踏まえて5年後を目途にということを言っているので、はっきり申し 上げて、ここには「検討を行うべき」と言っているのであって、見直せとは言っていな いわけですから、検討するわけです。  一般病床というのは、将来は療養病床と2つに分かれるのを含んでいるわけですか ら、いまの基準でいくと、一般病床並みにするのですが、本当は昔のその他病床ですか ら、やや中途半端なところがあります。一応それの届出が終わるのが平成15年8月です ので、そこで区分がつきます。それからそういうデータが出てくるのが1年というと、 確かに3年後がようやく最初のデータが揃うときです。しかも、先ほど申し上げたよう にここに書いてある「業務の内容や配置の実態、養成における教育の充実等」というの を3年間に相当変わると言われますが、3年後にそういうことが出せるのかというの は、あまり早くやったら、「やはり変わってないではないか、まだこのままでいい」と 言われるのではないかとさえ心配するのですが、「いや、そんなことはない」と言われ るのでしたら、私は3年後を目途に人員配置基準の検討を開始するということで、開始 して、そのときに代替案が出なかったら見直しは行われないという覚悟でおやりになる ほうがいいかと思います。ですから、ここは「3年後を目途に人員配置検討を開始すべ き」ということで、開始して、そこで言われるとおり、非常に変わっている、そのとお りだ、やはりこうしなければいけないという合意が得られれば、すぐにでも改定が行わ れるべきだし、「いや、まだ駄目ではないか」という話になれば、残念ながらそのまま もう少し様子をみる。相当時間が経っていると言われましたが、調剤80という考えで非 常に長いことやってきたのを、人を対象にすると考えたのはまだ3年前ですから、そう 焦っても無理かと思います。  それから、先ほど申し上げたように、これは将来の問題で今回はとても無理ですが、 外来ももしかしたら物から人に移るべきということが提案されるのかなと私は思いま す。これは私のほうから言うべきことではないかもしれませんが、そのように思ってい ます。 ○座長  ありがとうございました。梅田委員、いかがでしょうか。 ○梅田委員  私も櫻井委員が言われたことは当然だと思います。それから、この検討会の報告書が 非常に気を遣って書かれていると感じます。というのは、歯科の大学の病院が29校あり ますが、歯科の場合は大学の付属病院がほとんどということを申し上げたいと思いま す。大病院に付属しているのは、歯科・口腔外科という1つの科目の中ですので、病院 の組織、あるいは病院長がお決めになることだろうと思いますので、診療上のことはこ こには書いてありません。  いろいろなお話がありましたが、歯科はほとんどが診療所です。出している処方箋に 対して、病院薬剤師、あるいは保険薬局の非常に親切というか丁寧なインフォームドコ ンセントができているということ。鎮痛剤一つを取り上げても、大変詳しく患者さんに 分かるような説明資料を出していただいているということは、3年間で相当変わられた ということを感じるわけです。その証には、患者さんが処方箋の内容を証明書の様に大 切に持ってくるわけです。それを見ると、前とは全然違ったなということで非常に嬉し く思っているわけです。  そういうことで私としては、この検討会の座長案については全面的に賛成させていた だきたいと思います。というのは、歯科単独の病院が非常に少なく、歯科大学の病院と いうのは、ほとんど標欠はありません。そういうことから考えますと、先ほど言われま したが、急に今までの規定を変えられたのでは、歯科大学の病院も大変困るのではない かと思います。経過措置を廃止することは3年間もやっているわけですから当然だと思 います。ここに見直しをするというのは、5年後というよりは3年で病床の変更のデー タが集まるという総務課長のお話もありました。総務課長がそのように言われていると いうことは、3年後にそのデータが出てくるということになりますと、データが出てき た時点からということなので、5年後を目途とお書きになるか、あるいは櫻井先生が言 われたように、目途というのは目安ですので、3年後を目安にして検討を開始すべきだ としていただいたほうがよろしいのではないかと思います。結論から申しますと、この 検討会の報告には、私としては賛成いたします。 ○座長  ありがとうございました。それでは、田中委員いかがでしょうか。 ○田中委員  基本的にはこの報告にもちろん賛成です。そのほかにいくつかの論点を申し上げま す。病院の薬剤師数が増えれば医療の質が上がるというのは当然で、そうではないとい うことはないと思います。しかし、それが70なのか50なのかといった議論にはエビデン スが必要です。  先ほど櫻井先生も言われましたが、薬剤師数が足りている足りないというデータはい ろいろ議論されましたが、果たして何人いると、どういうアウトカムが出るかというタ イプの証拠、数値は伴っていません。例えば、薬剤師数だけが原因なのかというとそう ではないかもしれません。アメリカで薬剤師が急速に臨床業務に進出すると同時に、著 しく臨床薬剤業務、あるいは中央薬剤業務のIT化が同時に起きています。したがっ て、医薬品に関するミスの減り方がどうこうというときに、単に薬剤師の数だけではな く、業務の効率化、よりシスティマティックなほうに、ものすごくIT化が進んでいま す。そういうものも含めて正しい検討を行い、データがなければ増やせという結論は出 てこないと思います。ですから、現時点ではやむを得ず経過措置廃止にどとめると言わ ざるを得ません。  ただ、団体の代表が集まる政策的な検討は3年後を目途に開始すればいいと思います が、それとは別に、団体の代表を集めるのではなく、いま言ったような客観的なデータ を揃える研究、厚生科学研究的なもので、アメリカのことを調べてもいいですし、薬剤 業務と医療のアウトカムとの関係を機能別とかIT化の補助に向かって、こうだという 研究は、場合によっては来年から始めてもいい。したがって、政策的な医療法にかかわ るような検討は3年を目途に開始するが、そのベースとなるような客観的な研究につい ては、別途開始するということを、私はリコメンドしたいと思います。 ○山田委員  3年前にもこの検討にかかわりのましたので、せめて経過措置だけはなくせる時期で はないかという願いを持っておりましたので、今回の文書で経過措置は廃止するという ことに合意が得られたら、大変うれしいと思っております。  それから(3)の「ただちに変更する必要性は認められなかった」ということですが、こ れは薬剤師の業務の実態や薬剤師の需給の状況から見てではないかと思います。私ども としては患者として安全の確保などの面から、薬剤師の役割について高く評価していま す。ただ、それが必ずしもこの基準を改定しなければいけないかどうか、いま田中委員 が言われたように、それを裏付けるための資料は不足していると思いますので、基準の 問題からは申し上げられません。ただ、薬剤師が増えてほしいという気持は誰にもあっ たのではないかと思いますので、ここはあまりにも厳しすぎる表現ではないかという感 じはいたします。  (4)の5年後というのは、5年ではどうかという感じがしますので、少しでも改革の道 が進みますように、また3年という辺りに置いていただいたほうがよいのではないかと いう思いをいたしております。 ○渡辺委員  私もこの案は非常によく練られた案だと思います。そこで基本的に賛成です。いま議 論になっている(4)の5年か3年かというのは、私も3年後のほうがいいと思います。先 ほど櫻井委員はじめ、何人かの方から、3年後データが揃うから開始するのだというご 意見があったのですが、大谷課長が説明したデータが揃うのは3年後ということです。 私などの目から見ていると、もう来年度に医療、医療保険の抜本改革が行われようとし ており、第5次医療法、あるいは第6次医療法改正も、この2、3年以内にあるかもし れないというぐらいの構造的なうねり、あるいは改革の動きがあるわけで、医療法その ものが3年、5年じっとしているわけではありませんので、そういった別の側面から考 えますと、あまり硬直的に3年後をメドに始めるのだというようよりも、こういった表 現のほうがいいのではないかと思います。場合によっては1年後の仮に第5次医療法改 正があって、その検討の必然性、あるいは必要性が出てくるかもしれない。そういった 意味から言いますと、私はこの「3年後を目途に検討を行う」という表現でいいのでは ないかと思います。  もう1点は、先ほど(3)の「ただちに変更する必要性は認められなかった」というの は、山田委員、あるいは薬剤師側が言われるように、きついというのも確かで、「必要 性」という言葉だと思います。我々がマスコミ的に読むと、「ただちに変更する必要性 を認められなかった」ということは、逆に言うと、数年後に変更する必要性があると読 めるから、そこで(4)に繋がるとも言えるのです。言われてみれば、確かに必要性という のは別の言葉に変えてもいいのかという印象を受けました。 ○座長  はい、ありがとうございました。おおかた全委員の方に意見を伺ったわけですが、全 田委員、何かありますか。 ○全田委員  資料を1つ提出したいと思います。あまりこういう説明はしなかったのですが、病院 の薬剤師の基準は、入院患者70人に1人、外来75枚に1人という議論をしてきたわけで す。ところが、前から申し上げているように、院外処方箋が少なくても数パーセントの 割合で伸びていく。国の施策として、かなりのところまで行くだろう。例えば5年後に は70から75に行くだろうということです。  そういう中で前から資料を提出させていただき、決して薬剤師を増やしてくれという のではないという話をしましたが、もう1つ、こういう話があります。実は自分たちの 仕事の話で恐縮ですが、入院患者にいろいろなケアをする、薬剤管理、服薬指導等、い ろいろなことをします。先ほど櫻井先生が言われたように、従来の外来処方箋に対する 調剤というだけではなく、薬品の管理もあれば、我々は中央業務と言いますが、DIも あれば、いろいろなこともあります。そういう人員は配置されてないのです。  どういうことをしてきたかというと、決して70人でも十分ではないし、75枚でも十分 ではないのですが、その中でも苦しくてもとにかく頑張って中央業務をやってきた。今 後は院外処方箋が出てしまい、75人に1人の数がなくなってしまうと、70人で1人でも 十分ではない、75枚でも十分ではないが、そういう中で何とかやってきた中央業務が、 医薬分業が進んでしまうと、当然処方箋のチェックなどがあり、その人数カウントがな くなります。例えば、典型的な話では北陵クリニックのような毒薬・劇薬の管理が本当 に病棟でできるかということです。そういう意味も含めて、とにかく70人では極めて厳 しいという話を申し上げたいと思います。そこに縷々書かせていただきました。  私の立場ではあまり言いたくないのですが、結果的には分業が進めば病院薬剤師は 余ってきます。ですから、決して多く雇ってくださいと申し上げているのではないので す。ただ、とにかく国民に安心した医療を提供するには、薬が動く所に薬剤師を置いて ください。そうすれば、特に医薬品に関する事故は少なくなるだろうということを申し 上げているだけなのです。それは豊田先生にご理解いただいた上での議論になってしま うのですが、そういうのを少し試算させていただきました。  要するに、中央業務のいろいろな仕事があります。DIもあれば、薬品管理もありま すし、麻薬管理もあります。向精神薬などは、十分鍵をかけなければいけないし、いろ いろあります。それは決して病棟に行っている人数のカウントでもなければ、外来の処 方箋の数でもないのです。そういうことをやってきました。分業が進んでしまうと厳し いのです。仮に70%分業が進んだとしたら、外来は院外、病院は入院患者を対象にする という国の施策に合ったお考えをいただきたいということです。 ○座長  これまで全田委員がいろいろご主張になったことの集大成かと、座長の立場ではこれ を受け止めておきたいと思います。本当は最後に申し上げようと思ったのですが、座長 の立場で一言だけ申しますと、多くの業務がそうですが薬剤業務というのはチーム医療 の中で行われているということを考えますと、これから本当に薬剤の専業業務というの は何なのかとか、そのほか、いろいろな人たちのチームによって行われているものは何 なのかとか、田中委員が言われたIT化の中でいろいろ変わってくる可能性はあると私 は思っています。  そういう意味では、しばしば私どもが言っている機能(ファンクション)という観点 で、これからいろいろな業務を考えていく必要があるのかなと思っていますので、その 辺を十分弁えながら、私は検討をしてきたつもりです。おそらく委員の皆様は、これは これとして受け止めているのではないかと思います。何か特にご発言がありましたらお 願いいたします。 ○金子委員  この報告書の小さな部分ですが、(2)の「病棟における服薬指導に加え」という文言の 部分で、薬剤師の病棟における業務が薬剤管理指導という業務のうちの服薬指導が、そ の一部であるということから考えて、でき得れば、ここに「服薬指導など」という言葉 を加えて、少し幅を持たせていただければと思います。 ○全田委員  しつこいようですが、仮に今日で終わったとすると、ほかの先生方が言われるよう に、70人に1人、75枚に1人というのは、3年後に見直していただけるという発言があ りました。しかし、これはあくまでも医療法では最低基準ということですね。 ○医政局総務課長  これはおっしゃるとおり、医療法に基づく最低基準の論議をする場ですので。 ○座長  それでは、ご意見も出尽くしたようですので、私のほうで一部修文をする必要がある のかと思っています。特に最後の(4)の「5年後」を3年にしたほうがいいのかなという ことです。言い訳的に、私が5年後にしたというのは、実は事務局も言いましたように 平成15年、16年というところが、いろいろな変遷の中で整ってくるという発言がありま したが、それから1、2年しないと落ち着きがないのかと思います。コンプリートに やったデータが出てこないのかなということを勘案して5年がいいのかと思ったのです が、開始をするとか、いろいろなご意見もいただきましたので、この辺は3年というこ とに、私のほうから修文をさせていただきたいと思っています。  (3)の「ただちに変更する必要性」という「必要性」というのが少し厳しいのではない かというご意見を、中立の立場の委員の方々から特にいただいたこともありますが、た だ、渡辺委員からはマスコミ的に言えばということもありましたので、私としては残し たいとは思ったのですが、そこは私自身が折れて、少し修文を加えておきたいと思いま す。何かそういう変更する根拠とか論拠という言葉で直させていただき、「必要性」と いう言葉をなくしたいということで提案させていただきたいと思います。  その2つの所と、最後に金子委員が言われた「服用など」という「など」を入れると いうことですが、その点はよろしゅうございますね。3点の修文をさせていただいた上 で、それぞれ各委員にはご意見を、お立場があるとは思いますが、この検討会の総意と して、その3点の修文をした上で、このような報告案としてまとめさせていただきたい と思っていますので、どうかご了承をお願いしたいと思います。 ○医政局総務課長  論拠のところですが、「ただちに変更する論拠は得られなかった」という表現でよろ しいでしょうか。論拠という言葉では、そういうことになろうかと思いますが。 ○座長  認められないというよりも、「得られなかった」ということです。3年後というとこ ろの修文は最後まで、その辺を事務局からもう一度説明してください。 ○医政局総務課長  3年後のところは、5を3に置き換えるということで修文させていただきます。(2)で 「服薬指導など」、(3)で「ただちに変更する」のあとですが、「論拠は得られなかっ た」、(4)は5年後を、「3年後」に改めるという3点でよろしいでしょうか。 ○座長  ということで修文させていただきましたが、よろしいでしょうか。 ○田中委員  論拠はもしかしたらあるのかもしれません。主張なさっていたとおり、論理的根拠で 薬剤師さんが多いとの論点が示されました。むしろそれに対する客観的なデータがな かったのであって、論議の根拠はそれぞれの団体が組み立てられていたという意味では あると思えます。論拠は「客観的データ」とか、そういう言葉ではいかがでしょうか。 データの問題であって、論議としてはそれぞれ筋の通った主張を伺いましたので、論拠 がないと書くと、団体で言った論理が間違っているという感じになると思います。 ○奈良委員  先ほどもチラッと申しましたが、ただちに変更することによる混乱を避けなければな らない」ということでいかがでしょうか。というのは、私ども本当に現場の病院で標欠 病院をたくさん見ているわけです。そういう所を見ると、「ただちに変更されては困る ということを私は言ったのですが、「ただちに変更することによる混乱を避けるべきと いう認識があった」ということにしていただければ、大変有難いと思います。ただ、い ろいろなお立場があるでしょうし、必要性というと、我々はむしろ逆で、たただちに変 更されのでは大変困るのだというのが現実です。 ○渡辺委員  混乱を避けるということは、言葉の意味としては、ただちに変更する必要性があるの だけれども、やってしまうと混乱するからということになってしまいます。ですから、 そういった意味では、確かに実態に近いのは、実態というのは、皆さんが言いたいのは 必要性のほうだと思うのですが、必要性だと少しきついかなと、また別の意味で捉えら れる可能性があって、必要性が全くないような印象に捉えられるからという辺りのワー ディングがいいのかという気がします。 ○奈良委員  私にしてみると、2,780の病院をいろいろ見ていますと、本当に困っている病院があり ます。そういう困っている、若い人がどんどん都会に出てしまって年寄りしか残ってい ない、医者も看護婦も年寄りが必死になって頑張っているわけです。そういう病院で、 ただちに変更されてしまっては困るのだということを言うのですが、こういうのはどの ように表現していただいたらよろしいのでしょうか。 ○田中委員  「客観的根拠が得られなかった」ではいかがでしょうか。 ○佐々委員  実際には、ただちに変更するとの合意は得られなかったのですよね。 ○櫻井委員  合意が得られなかったことが必要性を認めないということだと。この文章は、ただ 「基準をただちに」と言っているので、本当はダブるのですが、下に書いてある、薬剤 師の需給状況や地域差の問題など、いろいろなことがある需給状況や薬剤師の業務内容 や配置の実態、薬剤師養成における臨床教育の現状から、ただちに変更する必要性はな かったということで、だから、それを今後踏まえて検討するということになるのだと思 うので、それが省略されているから厳しく見えるので、それを議論したから、「ただち に」になるので、ダブってもいいから、下にあることを全部書けばいいのです。今後そ の進展を踏まえて検討しようということなのではないでしょうか。 ○伊賀委員  薬剤師の立場からですが、私は必要性の部分を最初にお話したのですが、我々が出し たいろいろな資料については論拠もあって出しているので、我々は必要だと考えていま す。先生方のほうは必要ないという表現のほうで、その辺りが合意が得られてないと思 います。 ○櫻井委員  むしろ渡辺委員が言われた、ただちに必要ないということは、将来は必要がありそう だと言っているので、むしろ残しておいたほうがいいような気がします。 ○渡辺委員  2つとれるのです。将来あるよとも取れるし、いま言われたように、そこだけを見る と、バサッとやられている気がしてしまうのです。 ○全田委員  やはりできることなら、「今後」の2行目で止めていただきたいと思います。「今後 推移を見極めることが必要である」で、あとはカットです。 ○座長  そうしますと、(4)に繋がらないと私は思っているのです。 ○全田委員  ですから、先ほど佐々先生が言われたように、「一致を見られなかった」という表現 なら繋がると思います。 ○櫻井委員  いまの全田委員の意見は、「見極めることが必要である」として、「なお、この基準 については、現時点の平成10年に定めた基準を継続する」ということだけでいいのです ね。それが必要だからか、必要がないのか議論があるから継続するという答を、我々委 員会は出したということですね。 ○座長  それでは後ろ向きになるのではないでしょうか。 ○櫻井委員  でも、そういうことになりますよね。 ○医政局総務課長  事務方も発言させていただきたいのですが、座長と原文を工夫したときの考え方は、 渡辺委員に最初に発言いただいたものに近くて、ただちにする必要はないが、しかし、 認識の一致は見られているし、配慮もあるから先にやるということで、これは全部繋 がって考えたわけで、必要性がないと言ったわけではありません。「ただちに」に重み があったわけで、いろいろいじってみると、元のが何となく流れがいいような気がする のですが、いかがでしょうか。 ○座長  是非ここは原文どおりにしてほしいところです。「ただちに」というのは、本当に 「ただち」と取るのか取らないのかというところ辺りが、5年は長い、3年ということ なのです。 ○全田委員  「必要性が認められなかった」と言うと。 ○座長  先生よろしいですか、それは「ただちに」ということなのです。 ○全田委員  「ただちに」ではない、「必要性が認められなかった」というのは、先ほどからいろ いろな先生方が言われて、確かに我々の努力も足りない、でも3年間少しは頑張ったの です。少しは頑張りました。だけど、それが何だったのだと言うのです。何回も申し上 げます。だから、意見の一致を見られなかったのなら、それはそれでいいですが、必要 性が認められなかったというのは、私は飲めません。どんなことがあっても飲めませ ん。 ○渡辺委員  「ただちに変更する必然性は認められなかった」ではいかがですか。「必要」という のは言葉の意味として、いま全田委員が言われたのは分かりますが、データもまだ足り ない、いろいろな諸事情から考えて必然性でしょう。 ○座長  いまの「必然性」という修文はいかがですか。 ○全田委員  認めるとか認めないという言葉ですが、認めるというのは承認することですが、どう ですか。 ○渡辺委員  認識するほうですよ。言葉の意味としては、そういった必然性は認識されなかった。 ○全田委員  薬系の人間は言葉がプアーだから、認めると言うと、承認してしまったことになるの です。 ○櫻井委員  必然性は認識されなかった。すごく難しくなってきてしまいましたね。 ○座長  その辺はこの検討会はどうしてもマスコミでも流していただかないといけないわけ で、国民に知っていただきたいということからすれば、皆さんに分かる言葉で表現をし たほうがいいのではないかと私は思っておりますので、いまの渡辺委員の言葉をいただ きまして、「必然性は認識されなかった」ということで、「ただちに」というこの言葉 が大変生きていると私は自分で書きながら思っているのですが、そういうことでご了承 いただければと思いますが、よろしゅうございますか。ありがとうございました。 ○櫻井委員  (4)は5年を3年に直すだけで、文章はこのままでいくのですか。私はちょっと意味が 違うと思うのです。私は開始するところをはっきりしておいたほうがいいのではないか と思います。「3年後目途に検討を行う」というのは………。 ○全田委員  検討を開始する。 ○櫻井委員  そうしたほうがはっきりしていいのではありませんか。厳しいことを言えば、開始し ても変わっていなかったら駄目です。それは頑張らなければいけないのです。 ○全田委員  「検討を開始する」としていただけばいいと思います。 ○櫻井委員  もちろん答申ですから、「すべきと考える」です。 ○渡辺委員  検討をするのは行政がする問題です。 ○座長  それでは、事務局から意見があるそうですのでお願いいたします。 ○医政局総務課長  それでは、(3)のいま真剣にご議論していただいた分ですので申し上げにくいのです が、「ただちに変更する必然性は認識されなかった」ということでしたが、「認識」と いう言葉はあまりこういう場では使われず、特に(4)で「認識の一致が見られる」とか、 認識というのはこういう文章を使っていますので、同じ報告書の中で「認識」という言 葉の使い方にばらつきが出るなら、渡辺委員の言われたように、認められるというのは 認識のことだということで、許認可の「認」ではもちろんなく、検討会は許認可をする 場所ではありませんので、「必然性が認められなかった」のほうが1枚の報告書の中で 見る限りは文章的に落ち着きがいいのではないか。事務局としては修辞上の問題を申し 上げたいのですが、いかがでしょうか。 ○座長  いまの「認識」という言葉から元に戻って「認められなかった」と。(4)に「認識の一 致が見られた」と書いてありますので、そことの整合の問題もありますので。 ○伊賀委員  同じように、上は「一致は見られなかった」としていただいたらどうですか。下は 「認識は一致が見られた」で、上は「必然性に関する一致は見られなかった」としたら いかがでしょうか。 ○座長  「必然性の一致」という言葉は、文章的にはおかしいのではないでしょうか。 ○金子委員  そこの部分で「必然性は認められるに至らなかった」という言い回しでは、あまりに も問題がありますでしょうか。結果的に認めなかったわけではないというか、双方の立 場がありますので、そこまで即には至らなかったという言い回しだとあまりにも問題が ありますか。 ○座長  座長としては大変不満ですね。今まで私は何のためにやってきたかと言われそうで、 その辺はこのままのことで行ってほしいなと思います。6カ月かけたわけですから、よ ろしくお願いしたいと思います。  そういうことで最終的に修文させていただいた3点について、もう一度確認の意味で 事務局からお願いしたいと思います。 ○医政局総務課長  それでは、(2)の第1行目の「病棟における服薬指導など」とする。(3)の3行目です が、「ただちに変更する必然性は認められなかった」、(4)の最終行ですが、「5年」は 「3年」に改める。そのあとの「人員配置基準の検討を開始すべきと考える」というこ とでよろしいでしょうか。 ○座長  よろしゅうございますか。それでは、このような修文の上、各委員の総意としてこの ような報告書を作らせていただきました。これは報告書にありますように、病院におけ る薬剤師の役割の重要性が高まっていることについては、委員の皆さんの認識の一致す るところであったと思っています。ここにおられる皆さんを含めて、関係者が連携を図 りながら薬剤師さんが、今後ますます病院でその職能を発揮できるよう、環境整備に取 り組んでいくことが必要ではないかと考えられます。  このことを最後にお願いして、この検討会の役目を終了させていただきますが、さら に私はこの検討会を通していろいろ考えました。おかげさまをもちまして、このような 形で報告書をまとめさせていただきましたが、改めて座長の立場から委員の皆様方、ま た関係者の皆様方に感謝申し上げます。  医療環境が、大変厳しさを増す中で、経営主導に陥ることなく、経営だけを考えな かったということです。病院の中における安全性や医療サービスの質の向上を目指して の方向性でこの検討会が行われたことに、座長としてはいささかの満足を感じている次 第です。  これからの医療は医師をはじめとする薬剤師、看護婦すべてのスタッフのチーム医療 でなければ患者さんの安心・安全・満足は得られないことは、この検討会でも十分認識 されたと思います。どうかこれを契機として、ますます患者本位の医療が行われますこ とを念願しながら、6回に及ぶ検討会を閉じることといたします。本当に皆様のご協力 に感謝申し上げるとともに、薬剤師の先生方の今後のご健闘をお祈りいたします。あり がとうございました。 照会先 医政局総務課 宮嵜、鯨井 内線 2513