01/10/12 第1回建築物衛生管理検討会 議事録 第1回建築物衛生管理検討会 議事録           日時:平成13年10月12日(金)10:00〜           場所:中央合同庁舎第5号館17階              専用第18〜20会議室           議事 1)建築物環境衛生管理基準について              2)その他 ○事務局  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第1回建築物衛生管理検討会を開催 いたします。本日は皆様、御多用のところを建築物衛生管理検討会に御出席いただき、 誠にありがとうございます。  まず、本検討会の開催に当たり、厚生労働省健康局の下田局長よりごあいさつ申し上 げます。 ○下田健康局長  健康局長の下田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。大変お忙しい中 を、先生方におかれましては建築物衛生管理検討会の委員をお引き受けいただきまして 御礼を申し上げたいと思います。  多数の人が使用、利用いたします建築物の衛生的環境の確保につきましては、昭和45 年に制定をされました建築物における衛生的環境の確保に関する法律、いわゆるビル衛 生管理法というのがございますが、この法律に基づき行われているところでございます 。この法律の規制の対象となっております特定建築物は、現在約3万3,000 件というこ とでございまして、毎年1,000 件程度増加をしている状況にあるわけであります。そう いった意味から、今後ともこのような建築物におきます衛生の確保は非常に重要な課題 になってくるものと認識をいたしております。  ビル衛生管理法が施行されまして今年で31年目を迎えたわけでございますが、近年に おきましては揮発性有機化合物等によります室内空気の汚染でございますとか、あるい はクーリングタワー、あるいは給湯設備におきますレジオネラ属菌の増殖といった問題 がいろいろ指摘をされておりまして、建築物におきます新たな健康の影響に関する問題 が生じてきておりますことは御承知のとおりでございます。こうした今日的課題に対応 すべく、皆様方に本検討会の委員として御参画をいただいたわけでございます。  本検討会におきましては、より一層衛生的で快適な生活環境の確保を図るための建築 物の維持管理の在り方につきまして専門的見地からいろいろと御提言を賜り、それを受 けまして私どもとしてできる限りの手だてを講じてまいりたいと考えているわけでござ います。委員の皆様方にはどうぞ活発な御議論を賜りますようにお願いを申し上げまし てあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、本検討会の委員の方々の御紹介をさせていただきます。  北里大学医学部教授の相澤好治先生でございます。  国立公衆衛生院建築衛生学部長の池田耕一先生でございます。  東京電機大学工学部の射場本忠彦先生でございます。  明海大学不動産学部教授の石塚義高先生でございます。  札幌市保健所生活環境担当部長の小田浩道先生でございます。  神奈川大学工学部の紀谷文樹先生でございます。  明治大学理工学部教授の坂上恭助先生でございます。  武蔵工業大学大学院環境情報学研究科教授の宿谷昌則先生でございます。  財団法人日本環境衛生センター技術顧問の田中生男先生でございます。  福島県立医科大学医学部教授の田中正敏先生でございます。  東京都衛生局生活環境部環境指導課長の中谷肇一先生でございます。  北海道大学大学院工学研究科教授の眞柄泰基先生でございます。  愛知淑徳大学現代社会学部教授の吉澤晋先生でございます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  まず、先ほどごあいさつ申し上げました下田局長でございます。  その隣りが健康局生活衛生課長の清水でございます。  私、小林でございます。  隣りは事務局の林でございます。  それでは、お手元にお配りいたしました資料の確認をさせていただきます。  まず、建築物衛生管理検討会委員名簿がございます。  それから、資料一覧に沿って御説明させていただきます。  資料番号1でございます。『「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(昭 和45年法律第20号)について』。  資料2といたしまして「建築物環境衛生管理基準(法律、施行令、施行規則)」でご ざいます。  資料3でございますが、「建築物環境衛生管理基準についての議論の論点」でござい ます。  それから、参考資料といたしまして参考資料1、「建築物における衛生的環境の確保 に関する法律関係法令」。  参考資料2が「建築物における衛生的環境の確保に関する法律関係通知」。  参考資料3といたしまして「東京都における特定建築物の指導基準等について」。  参考資料4といたしまして、「札幌市における特定建築物の指導基準等について」。  参考資料5といたしまして「シックハウス対策について」でございます。  もし資料の不足等がございましたらお申し付けください。  なお、この後のカメラ撮影は進行の妨げとなりますので御遠慮いただきますようお願 い申し上げます。  それでは、本検討会の開催要綱について御説明申し上げます。以下、着席の上、説明 させていただきます。  それでは、建築物衛生管理検討会開催要綱をご覧ください。  1番の「目的」でございますが、多数の者が使用し、または利用する建築物の衛生管 理の基準等については、建築物における衛生的環境の確保に関する法律、これは通称ビ ル衛生管理法ですとかビル管理法、ビル管法あるいは建築物衛生法といった略称で呼ば れておりますが、この法律及び同法に基づく政令、省令、告示等において定められてい るところでございますが、近年より衛生的で快適な生活環境への社会的なニーズの高ま り、あるいは地球温暖化問題、省エネルギー等の問題に対応した環境配慮型の建築物へ の関心の高まりなど、建築物衛生を取り巻く状況は大きく変化しつつございます。この ため、このような建築物衛生上の新たな課題に対応した建築物環境衛生管理基準の在り 方等について検討することを目的として開催させていただきます。  「検討会の名称」でございますが、建築物衛生管理検討会といたします。  構成メンバーですが、委員の方につきましては建築物衛生に関する有識者とし、うち 1名を座長といたします。検討会の構成メンバーの任期は、検討結果の報告を行うまで の期間といたします。  「その他」でございます。検討会は厚生労働省健康局長が開催いたします。  検討会は原則公開とさせていただきます。  検討会の庶務は、健康局生活衛生課において行います。  この要綱に定めるもののほか、検討会の開催に関し必要な事項は座長が厚生労働省健 康局生活衛生課長と協議の上、これを定めます。  なお、検討会の議事録等資料につきましても原則公開としたいと思います。  この開催要綱について、何か御質問ございませんでしょうか。  それでは、本開催要綱に基づいて検討会を進めてまいりたいと思います。  では、開催要綱に基づき座長の選出を行いたいと思います。どなたか立候補または推 薦はございませんでしょうか。 ○紀谷委員  この法律に関して一番御造詣の深い吉澤先生にお願いするのがよろしいかと思います が。 ○事務局  ただいま紀谷委員から、吉澤先生の御推薦がありましたが、皆様いかがでございます でしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○事務局  それでは吉澤先生、本検討会の座長をお願いしてよろしいでしょうか。 それでは、 座長席の方に御移動いただきます。               (吉澤座長 座長席へ移動) ○吉澤座長  愛知淑徳大学の吉澤でございます。御指名でございますので、座長を務めさせていた だきます。多分一番長く関係した者の一人だということで申しつけられたのではなかろ うかと思いますが、かなり面倒な問題も入っておりますので、ひとつ先生方の御協力を よろしくお願いいたします。  それでは、早速議事に入りたいと思います。まず最初の議題が「建築物環境衛生管理 基準について」でございますので、事務局の方から資料の御説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料の1番に基づいて、まず現行の「建築物における衛生的環境の確保に 関する法律」の概要などについて説明をさせていただきます。  資料1でございますが、この法律の「目的」につきましては法律の第1条に明記され てございますが、多数の者が使用し、または利用する建築物の維持管理に関し、環境衛 生上必要な事項等を定めることにより、その建築物における衛生的な環境の確保を図り 、もって公衆衛生の向上及び増進に資することを目的といたしております。この法律は 昭和45年に制定されたものでございますけれども、当時は劣悪な建築物環境の中で維持 管理を適切に行う必要があるということで設けられたものでございます。  この「法律の概要」でございますが、「(1)法律の適用を受ける建築物」、これは 法律の第2条で規定されてございますが、興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用 に供される相当程度の規模を有する建築物で、多数の者が使用・利用し、その維持管理 に環境衛生上、特に配慮が必要なものを「特定建築物」と定義し、本法律の対象として ございます。特定建築物に該当する建築物につきましては、施行令第1条に規定されて ございます。興行場、百貨店、店舗、事務所等につきましては床面積が3,000 平米以上 のもの、それから学校につきましては8,000平米以上のものが特定建築物とされて、( 2)番以降の基準が適用されることになってございます。  (2)番の「建築物環境衛生管理基準」でございます。これは法律の第4条、そして 施行令の第2条で定められてございますけれども、特定建築物の所有者、占有者、その 他の者で建築物の維持管理について権限を有する者は建築物環境衛生管理基準に従って 建築物の維持管理をしなければならないとされてございます。この概要につきましては 、資料2に基づいて後ほど説明させていただきます。  それから「(3)建築物環境衛生管理技術者」でございます。これは法律の第6条で 定められてございますが、特定建築物の所有者等はその建築物の維持管理を監督させる ために建築物環境衛生管理技術者の免状を有する者のうちから建築物環境衛生管理技術 者を選任しなければならないとされてございます。それから、法律の第7条でこの免状 について規定がございますが、一定の学歴、実務経験を有する者が厚生労働大臣が指定 した講習会の課程を修了した者、または建築物環境衛生管理技術者試験、いわゆるビル 管法の国家試験を合格した者、これらに対して建築物衛生管理技術者の免状が交付され ることになってございます。  それから「(4)行政庁における特定建築物の監督」、これは法律の第11条、12条等 で定められてございますが、都道府県知事(保健所を設置する市・特別区にあってはそ れらの長)は建築物の衛生的環境の確保のために必要がある場合につき、特定建築物へ の立入検査、改善命令等の権限が与えられてございます。  それから(5)番の「登録制度」でございます。これは昭和55年の一部法改正により 追加された項目でございます。法律の第12条の2から12条の5で定められてございます が、建築物衛生関係の6業種について一定の人的、物的基準を充足することを要件とし て都道府県知事に登録することが認められています。これが本法律の概要でございます 。  引き続き、資料2に基づきまして説明させていただきます。資料2におきましては、 建築物環境衛生管理基準について表にしてございます。一番左側のコラムは法律でござ います。法律の第4条でございますが、特定建築物の所有者、占有者、その他の者で当 該特定建築物の維持管理について権限を有する者は政令で定める基準、建築物環境衛生 管理基準に従って当該特定建築物の維持管理をしなければならない。  第2項でございます。建築物環境衛生管理基準は空気環境の調整、給水及び排水の管 理、清掃、ネズミ、昆虫等の防除、その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な 措置について定めるものとする。  第3項、特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し、または利用する者の所有者、 占有者、その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有する者は、建築物環 境衛生管理基準に従って当該特定建築物の維持管理をするよう努めなければならないと されてございます。この法律の第4条第1項に基づき、施行令によりまして詳細な基準 が定められてございます。  施行令、真ん中のコラムの第2条でございますが、法律第4条第1項の政令で定める 基準は次のとおりとされてございます。この施行令におきましては大きく3つのパーツ に分けて基準が定められてございます。まず1つ目が第1号といたしまして空気環境の 調整に関する基準、それから2枚目になってございますが給水及び排水に関する管理の 基準、それから3つ目のパーツでございますが清掃及びネズミ、昆虫等の防除、この3 つについて現時点で現行では基準が定められてございます。  まず1番目の空気環境の調整でございますが、第1号のイでございます。1枚目の上 のところでございますが、中央管理方式の空気調和設備。空気を浄化し、その温度、湿 度及び流量を調節して供給をすることができる施設でございますが、中央管理方式の空 気調和設備を設けている場合は居室における次の表の各号の上欄に掲げる事項がおおむ ね当該各号の下の欄に掲げる基準に適合するように空気を浄化し、その温度、湿度また は流量を調整して供給をすること。この表の1から6番まで6つの基準が設けられてご ざいます。  1つ目が浮遊粉じんの量、空気1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下。  2つ目に一酸化炭素の含有率、100 万分の10以下とされてございます。これは、ただ し外部の大気中の一酸化炭素がおおむね100 万分の10を超える場合においては、そうい う特殊な事情がある場合は100 万分の20まで認められてございます。これは右側のコラ ム、施行規則の第2条に記載されてございます。  3つ目は炭酸ガスの含有率、二酸化炭素につきましては100 万分の1,000 以下とされ てございます。  4つ目の温度でございますが、17度以上28度以下とされてございます。また、居室に おける温度を外気の温度より低くする場合はその差は著しくないこと。  5つ目に相対湿度でございますが、相対湿度につきましては40%以上70%以下。  気流につきましては0.5 メートル毎秒以下となってございます。  それから、測定方法等につきましては右側の施行規則第3条におきまして測定の方法 等について定められてございます。  それから、施行令のロでございます。真ん中のコラムの下側にありますけれども、中 央管理方式の機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調整して供給することのできる 設備をいう)を設けている場合は、居室におけるイの表の第1号から第3号まで、及び 第6号の上欄に掲げる事項、要するに浮遊粉じんの量、一酸化炭素の含有率、炭酸ガス の含有率、そして気流に適合するように空気を浄化し、その流量を調整して供給するこ ととされてございます。  それからハでございます。イの表の各号の下欄に掲げる基準を適用する場合における 当該各号の上欄に掲げる事項についての測定の方法は厚生労働省令で定めるところによ ること。  それから右欄のコラムの施行規則のところでございますが、施行規則の第3条におき まして先ほど申し上げましたように測定方法についての詳細が記載されてございます。  それから2ページ目を見ていただきたいと思います。第3条第3項でございますけれ ども、特定建築物維持管理権原者は中央管理方式の空気調和設備、または中央管理方式 の機械換気設備を設けて空気を供給する場合は施行令第2条第1号イまたはロに定める 基準に適合する空気を供給する能力を維持するため、厚生労働大臣が別に定める技術上 の基準に従い、これらの設備の維持管理に努めなければならないとされてございます。  ここで規定されてございます、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準につきまして は、「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」、参 考資料1番の28ページ以下でございますが、その中に中央管理方式の空気調和等の設備 の維持管理に関する詳細な規定が設けられてございます。  次に、この環境衛生管理基準の3つある項目の2つ目の項目、給水及び排水の管理で ございます。これも2ページ目の資料の真ん中のコラムを見ていただきたいと思います けれども、2番、第2号でございますが、給水及び排水の管理は次に掲げるところによ ること。  イ.水道法第3条第9項に規定する給水装置以外に給水に関する設備を設けて飲料水 を供給する場合は、同法第4条の規定による水質基準に適合する水を供給すること。  ロ.排水に関する設備の正常な機能が阻害されることにより、汚水の漏出等が生じな いように当該設備の補修及び清掃を行うこと。  給水及び排水の管理につきましても、右側のコラムの下にございます施行規則の第4 条におきまして飲料水の供給に関する記載がございます。  それから、3枚目の右側のコラムで第4号といたしまして、地下水その他の水を供給 する場合にも同様の水質の基準の管理を行うことを求めてございます。  それから3ページ目の右側のコラムの下でございますが、第4条の2におきましては 排水に関する設備の掃除等について規定がされてございます。特定建築物維持管理権原 者は排水に関する設備の掃除を6か月以内ごとに1回、定期に行わなければならないと されてございます。  2枚目の真ん中のコラムに戻っていただきたいと思いますけれども、3つ目の項目、 清掃及びネズミ、昆虫等の防除につきましては次に掲げるところにより統一的かつ計画 的に行うこととされてございます。  イ.適切な方法により掃除を行い、衛生的な方法により汚物を処理すること。  ロ.ネズミ、昆虫等については適切な方法により発生及び侵入の防止並びに駆除を行 うこと。  この項目につきましても4ページ目の右のコラム、施行規則第4条の3におきまして 清掃等及びネズミ、昆虫等の防除について規定されてございます。特定建築物維持管理 権原者は日常行う掃除のほか、清掃及びネズミ、昆虫等の防除をそれぞれ6か月以内ご とに1回、定期に統一的に行わなければならない。  第2項、特定建築物維持管理権原者は厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い 、清掃及びネズミ、昆虫等の防除並びに掃除用器具等及び汚水処理設備の維持管理に努 めなければならないとされてございます。  ここにあります厚生労働大臣が別に定める技術上の基準というのも、先ほどと同じ参 考資料1の28ページ以下にございます中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清 掃等に関する技術上の基準でございます。今回の検討会におきましては、この法律で定 められてございます建築物環境衛生管理基準に基づく施行令、施行規則及び告示等の基 準の見直しの必要性について御議論いただければと考えているところでございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。ただいまの御説明に対して、何か御質問がござ いますでしょうか。  もしないようでしたら、私から1つ。これはどのくらいまで目処としてやるのですか。 ○事務局  期間につきましては最初に申し上げるべきところでございましたけれども、一応事務 局といたしましては来年の5月、6月、夏までにまとめていただきまして、先生方のま とめていただいた御意見を踏まえまして政令及び省令等の必要な改正の手続に入りたい と考えているところでございます。 ○吉澤座長  とても大事なことで、やり方が変わってきますので。  もう一つは、これはすぐに例えば建築基準法とか何かにも関係するし、この仕事の内 容というのは法律は別としまして、かなり幅広い内容を持っているんですね。ですから 、最終的にこれが管理基準に限定された内容になるにしても、ここではもうちょっと幅 広く検討していただいた方がいいんじゃないかと思いますが。そのことは構いませんね 。 ○事務局  はい、よろしくお願いいたします。 ○眞柄委員  今の御説明ですと、政省令の改正のことに触れられていらっしゃいますが、法律その ものはほかの法律が改正されたことに伴って改正するという、例えば今度水道法が随分 大きく改正になって、従来は水道法の枠外だったもの、従来の水道法は居住者ベースで やっていたわけですが、人が住んでいなくても不特定多数の人が利用する施設の水道は 、水道法の専用水道として位置づけるということになったわけですね。それで、そうい うことを受けて、例えば水周りの関係で今の特定建築物に関する特例というのがあって 、それは国または施設は外すと書いてある。それはそのまましなければ、そういう施設 は水道法の網だけにかかって給水関係はビル管法の対象にはならないということになる ので、それはそれでいいのかどうか。ほかの法律の関係に連携して法律そのものは変え るか変えないかというところは御議論をしなくても、そういうことは実は役所の中で整 理ができる話だからいいよという御判断なのかどうか、その辺のところだけまず最初に お伺いさせてください。 ○事務局  今、眞柄委員の方から御指摘のございました水道法の関係でございますが、水道法が 本年の6月に法律が一部改正されたわけでございますけれども、これを受けまして建築 物衛生の観点から必要な見直しを行う必要があるのか。その点につきましては今、水道 課の方で検討が進められているところでございますが、例えばこの法律の中では建築物 環境衛生管理基準の第2条の第2号の給水及び排水の管理、それを受けまして施行規則 の中で基準がございますが、水道法の改正に伴って必要な見直しを行うべきところがあ れば御議論いただきたいと考えております。  それから、もっと大きな枠の中で法律にはねるような議論というところにつきまして は、今回の検討会では直接の対象は衛生管理基準の見直しということで先生方にお集ま りいただいたところでございますが、今後必要に応じて先生方の御意見を踏まえて行政 として、事務局として考えてまいりたいと考えているところでございます。 ○吉澤座長 よろしゅうございますか。私は個人的には2段階に考えています。ここで はそういう法律や何かのことはお構いなしに、かくあるべきだということを先生方から 御意見をおっしゃっていただいて、その後で法律を改正するとなる、また別に考えてい ただければ良いんじゃないかと思いますが、ここではこれに限定していくことはなるべ くしないでおいていただきたい。こういうチャンスは多分もう20年ぐらいないと思いま すので、言うだけは言っておかないといけないだろうという感じはありますので、是非 その辺はよろしくお願いします。 ○眞柄委員  もう一ついいですか。実際はどうなっているか私はよくわからないので教えてもらい たいんですが、地下街ですね。随分パブリックスペースとして日本の国内でどんどんつ くられていて、なおかつ現在もつくられているわけですね。あれはビル管法の適用の範 囲に入っているんですか、入っていないんですか。あれが入っているとすれば、先ほど の空気環境の基準の在り方というのも随分変わるだろうと思うんですが、そこら辺りは 最初に整理する上でわからないので、法律の範囲のことに関係しますのでお願いします 。 ○吉澤座長  現状として入っているんでしょうか、いないんでしょうか。 ○事務局  地下街につきましては定義が非常に難しいところではございますけれども、用途とい たしまして例えば地下の商店街とか、そういういわゆる施行令におきます店舗ですとか 事務所とか、そういった概念に当てはまる部分につきましては、3,000 平米以上の広さ でございますと特定建築物として適用の範囲に入ります。  ただし、単なる通路の部分ですね。地下鉄ですとか、そういった通路の部分につきま しては特定建築物という定義には該当しませんので法律の適用にはなりません。 ○眞柄委員  例えば、霞ヶ関の地下鉄のところにコーヒーショップができたでしょう。あれは最初 は何もない通路だったんですよね。そうすると適用外ですね。ああいうのがあちこちに 最近どんどん増えていますが、あれは今のところは透き間なんですか。 ○吉澤座長  それは多分、法律的にうるさいことになると思うんです。だけど、ここではそれはや りましょう。少なくともここでは、やってほしいということを言えばいいんです。そこ だけは言って、ここで自己規制はしない方がいいと思います。  そんなことでよろしいでしょうか。では、時間の都合もありますので先に進みたいと 思います。実は、ビル衛生管理法ができましたときに、実際にこの法律と政令しかなか ったわけですね。私は国立公衆衛生院にいたんですけれども、どうやるのだろうかと思 ったのです。そうしたら、実は東京都とか大阪とか広島とか、それから札幌ですか。み んな自治体の方が非常な努力をされましてシステムを構築されたわけですね。あるいは 版権侵害じゃないかと思われるくらいそっくり取り入れた自治体もいっぱいありますけ ど、とにかく実際に施行したわけです。しかも、その結果がいわゆるシックビルディン グシンドロームなども防いだということになるわけです。そういう意味で、やはり自治 体が最大の功績者じゃないかと私は考えているんですけれども、ここでは東京都さんと 札幌市さんの指導基準がございますので、ひとつ東京都の指導要綱につきまして中谷先 生と、それから札幌からは小田先生に御説明願いたいと思います。では、中谷先生どう ぞよろしくお願いします。 ○中谷委員  今、吉澤座長の方から過分なお話も伺ったわけですけれども、実は参考資料の3とい うことで今日の資料としてお示しをさせていただきました。私ども東京都ではこのビル 管理法の制定、施行に伴いましてビル衛生検査を専従に執行いたします組織をつくりま して、ビル衛生検査ということで30年以上にわたっていろいろと努力をしてきているわ けでございます。そういう中で、時間がございませんので簡単にかいつまんで御説明さ せていただきたいと思いますが、1枚目の資料でございます。  今、御説明のございました法令等の基準というものが空気環境、給排水あるいは清掃 、ネズミ、衛生害虫というところであるわけですが、この右のところに東京都の指導内 容ということで全部は時間の関係で御説明し切れませんけれども、国のお示しいただき ました基準にある意味で東京都の地域特性も踏まえて特段に指導をして上乗せで対応し ているという事項がございます。例えば、空気環境の測定回数も2か月以内ごとに1回 ということで法令等は決まっているわけですが、波線の部分が特段の指導基準というこ とですが、新規ビルは空気環境の実態が把握できるまで毎月測定をするとか、測定の箇 所につきましても各階ごとに測定ということではあるんですが、測定点について用途、 規模等によって弾力的にポイントを決めてやるといったようなことですね。あとは、貯 水槽の清掃につきましても1年以内ごとに1回という回数はそうなんですが、特に自主 点検を実施したということで、その結果を毎年1回御報告いただくというのを細則で定 めております。等々、例えば下の方のネズミ、昆虫等の点検、防除ということにつきま しても、これも生息状況の点検というものを毎月1回実施しまして、その状況によりま して駆除などを行うといったような内容にもしてございます。  また、特に今回議題にもなっておるようですが、基準が定まっておりません水の関係 の、例えば循環式の飲料用の給湯設備であるとか、あるいはストレージタンクの関係も 特に衛生的な管理が必要だろうということから特段に水質検査の実施、あるいはその項 目の設定等を行っているといったような状況でございます。また、雑用水の水質検査あ るいは吹き付けアスベストといったものも一時かなり課題として取り上げられた時期が ございます。これらについても対応を図っているということでございます。  めくっていただきましてちょっと細かくて申し訳ないんですが、2ページ目に今の細 則指導基準、雑用水、アスベストといったものを、今のところに記載されております略 称はこのような内容で細則、要綱、要領、指針というようなもので対応させていただい ているということでございます。参考までに、雑用水の利用施設の構造、維持管理等に 関する指導要領の内容の抜粋と、あとは吹き付けアスベストに関わる指導の指針という ものも付けさせていただいております。  以下、3ページ以降、東京都では法律を受けまして細則ということでちょっと冗長な 資料になっていて恐縮なんですが、届出等の手続、そして先ほど申し上げました飲料水 の関係の定期点検の報告なども位置付けてこの中で対応しているということでございま す。この中には8ページ以降に様式等でいろいろと手続的なものも付けさせていただい ておりますが、8ページの特定建築物の届出に伴いまして細かくて申し訳ないんですが 9ページ、10ページ目というのが施設の概要ということで、いわゆる台帳ということで 基本的な事項を整理するということで各現場で保管している資料ということになるわけ でございます。 それで、ずっと様式関係が続きますが、14ページが先ほど申し上げま した給水設備の自主点検の記録票ということで、設置者の方から届出をいただく資料に なってございます。 また、15ページ以降でございますが、これが実は細則ということ ではございませんが、要綱、要領に基づきまして特定建築物の立入検査あるいは調査の 指導票ということで私ども立入検査をした際に相手方のビルのオーナーあるいは管理技 術者の方にお示しをして、こちらの表書きのところに指導事項とございますが、特段に 改善を要する事項につきまして御指摘申し上げて、後ほど報告をいただくといったよう な仕組みにしてございます。  めくっていただきますと16ページ、17ページ、18ページというのが具体的な中身にな りますが、先ほどお話ししました東京都の特段の上乗せの基準も含めまして帳簿書類等 の審査の結果が16ページ、17ページが実際の設備の点検結果ということで空気関係の設 備、給水関係の設備、排水、清掃、ネズミ、昆虫等の防除、雑用水、吹き付けアスベス トといったような内容で全体で61項目に絞りまして、平成6年までは101項目と言って いたんですが、その後少し整理をいたしまして61項目という形で対応してございます。  それで、18ページには実際に立ち入った内容で空気環境の測定結果等もこういう形で お示しをして対応するといったような内容でやってきております。  大変雑駁で申し訳ございませんが、そのような形で専従組織でこれまで対応してきて いるという状況でございます。以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。続きまして、小田先生お願いします。 ○小田委員  それでは、私の方から札幌市の状況について御説明をさせていただきたいと思います 。  札幌市では、昭和55年からビル衛生係という専門の係を設けましてビル管理法の関係 について施行しております。それで参考資料の4でございますが、1ページ目につきま しては東京都さんの例にならって対比の意味で書かせていただきました。  それで、その次のページに指導要綱がございますが、これについて簡単に御説明をし ていきたいと思います。これは昭和50年に定めたものでございまして、ビル管理法と関 係政省令に定めるほか、若干上乗せも含めまして様式等について定めております。第2 条につきましては特定建築物の所有者等は法の管理基準に加えまして構造設備と管理に ついて指導基準を守ってくださいといったことでございます。これにつきましては5ペ ージ、6ページにありますが、後で構造と管理について御説明をいたします。  次に第3条でございますが、大規模小売店舗等、いわゆるスーパー、デパートなどの 飲料水につきましては、水道水を使用するよう努めることとしております。随分乱暴な 中身でございますが、実はこれは昭和57年10月に札幌市内で大手スーパーのオープンの ときに井戸水の汚染を原因とする食中毒事件がございました。これは患者数7,750名余 りの大きな食中毒でございまして、原因菌はキャンピロバクタージェジュニ菌と病原大 腸菌でありました。札幌市は昭和57年4月に給水要綱を定めましたが、この事件が起き てた次の年の昭和58年の4月にこの項目を加えて努力規定としてお願いをしております 。  次に、第2項では地下水がテトラクロロエチレン等で汚染されている地域につきまし ては、やはりこれも飲料水につきましては水道水を使用するように努めてくださいとい った項目でございます。  次のページに移りまして、第5条につきましては事前協議でございますけれども、こ れは特定建築物の所有者等は確認申請時に保健所長と事前協議をしてくださいといった 中身でございます。それから、第8条で防錆剤の届出等についてうたっていまして、第1 0条、次のページでございますが、特定建築物維持管理報告書でございますが、毎年度 2回維持管理報告書を提出してもらっております。大体95%ぐらい提出していただいて おります。それから、第1条では立入検査時の指導項目のいわゆるマニュアルでござい ますが、これは後ろのページの8ページから14ページまで載せてございます。後でごら んになっていただければと思います。  先ほどの第2条の構造設備の指導基準でございますが、これは次の5ページにござい ます。1番は空気調和設備等について、2番は給水設備、3番は清掃設備関係というこ とでございますが、特徴的といいますか、1番の(3)では空調機回りのダクトに風量 測定口を設けてくださるようにお願いをしております。  2番の給水設備につきましては、「札幌市給水設備の構造及び維持管理等に関する指 導要綱」、これは先ほど申し上げましが昭和57年に定めました給水要綱でございますが 、この基準によることとしております。この給水要綱はビル管理法や水道法による規制 を受けない施設、例えば井水使用の共同住宅ですとか、水道水を使用していても受水槽 の規模が簡易専用水道に該当しない施設を指導の対象としていますが、「札幌市特定建 築物衛生指導要綱」で定める構造設備と維持管理の基準につきましては給水要綱の基準 を準用しているわけでございます。  構造設備の基準の中身についてはここに載せてございませんけれども、特徴といたし ましては例えば井戸につきましては井戸のケーシングは床面から30センチ以上立ち上げ るとか、それから井水用の塩素滅菌機は予備を含めて2台以上設けるとか、それから北 海道にはエキノコックスというものがありますので、湧水ですとか沢水を使う場合には 虫卵の除去装置を付けてくださいといったことをうたっております。  それから、今度は管理指導基準の方で次の6ページでございます。まず空気環境の設 備につきましては延べ面積に対しての測定のポイント数を定めております。それから、 給水の管理に関しましても給水要綱を準用しております。特徴といたしまして、まず受 水槽につきましては井水を使用しているもの、または水道水の使用でも床下型のものに ついては給水栓末端の外観と、残塩の測定は毎日やってください。井戸、水質、給水ポ ンプの点検は7日以内に1回やってください。それから塩素滅菌機の薬液量の確認とか 、注入用ポンプの調子、注入管の点検、そういったことは毎日してください。また、水 質基準に関する検査と貯水槽の清掃につきましては原則として知事の登録を受けた業者 に委託をしてくださいとうたっております。  以上でございますが、札幌市は水に関しましては大きな事件がございましたので独特 な厳しさをもって臨んでいる状況でございます。以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。とにかく自治体の方はものすごい努力をされています。こ れは簡単な資料ですけれども、裏にはものすごい努力があるということです。  それでは、今の委員に対して直接の御質問はございますでしょうか。また後からこれ は幾らでも質問はできるわけですけれども、とりあえず何かあったらお願いいたします 。  ございませんようでしたら先へいきまして、資料3が一番今回のターゲットになりま すので、これを事務局の方から御説明願いたいと思います。 ○事務局  それでは、資料3について御説明申し上げます。本日は第1回目の検討会でございま すので、建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づく建築物環境衛生管理基 準につきまして各委員の皆様方から御意見を賜り、いただいた御意見を基に次回の検討 会以降、詳細に検討していただきたいと存じております。  まず、事務局で考えております検討課題を資料3にまとめてございますので御説明申 し上げます。建築物環境衛生管理基準、この基準が制定されたのが昭和45年、この法律 の制定時でございまして、それ以降大幅な見直しがなされてきてはいなかったわけでご ざいますが、この間のいろいろな技術の進歩といいましょうか、いろいろな設備が開発 、普及していくといった状況の中で、あるいは新たなレジオネラの問題ですとか、いろ いろな問題が出てきている中で見直す必要があるのではないかということで事務局が整 理したペーパーでございます。  資料3でございます。まず1つ目は「空気環境の調整について」でございます。空気 環境の調整につきましてはこの間、特に省エネルギーとか、そういった問題を契機とし ていろいろな方式の機器が開発されてきていると思います。例えばダクト方式でござい ますと可変流量方式、いわゆるVAV制御というような方式が普及してきているとか、 あるいは外気冷房制御の導入ですとか、あるいは冷温水の大温度差システムですとか蓄 熱式の空調システム、こういったものが普及してきている。あるいはコジェネレーショ ン方式の導入が図られている。あるいは、居住環境の快適性ということでは輻射冷暖房 方式が出てきている。そういった多様な空調施設が導入されてきているわけでございま すけれども、そういった事情も踏まえまして現行の基準値の見直しについてということ でございますが、中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物について現行では浮 遊粉じんの量、一酸化炭素、二酸化炭素、温度、相対湿度、気流の6項目の基準がござ います。これらの基準値を見直す必要があるかどうかというところがまず1点でござい ます。  それから(2)でございますが、現行では中央管理方式ということに限定されてこの 基準が適用されているわけでございますけれども、最近は個別制御という観点からいわ ゆるビルマルチ式といった中央管理方式でない個別管理方式の空調機あるいは換気設備 等も出てきているわけでございます。そういった機器につきまして、空気環境を良好に 維持するという観点から基準を設ける必要があるのかどうかというところを御議論いた だきたいと思います。  ちなみに中央管理方式とは何ぞやということでございますが、これも施行時の通知の 中でうたっている説明でございますが、各居室に供給をする空気を中央管理室等で一元 的に制御することができる方式を言う。空気調和設備の場合で言えば中央機械室からダ クトにより各居室に空気を供給する方式(ダクト方式)のほか、中央機械室において浄 化、減湿等の処理をした空気を供給し、更にこれを各階、各居室等に設けた二次空気調 和機械により冷却等の処理をして各居室に供給する方式、各階ユニット方式、ファンコ イルユニット方式等がこれに含まれるとしてございます。  それから(3)番でございますが、いわゆるインドア・エア・クオリティーの問題と いいましょうか、室内空気汚染問題の対応といたしまして昨今ホルムアルデヒドや揮発 性有機化合物、VOCの問題、あるいは細菌や真菌等の汚染の問題といった問題が社会 的な注目を浴びているところでございますが、そういった観点から基準を設ける必要が あるのかどうかということ。  それから(4)番は「空気調和設備の維持管理について」、これも空気環境調和を有 効に維持するという観点から、告示で定められてございます詳細な維持管理の技術上の 基準について内容の見直しを行う必要があるのかということを、空気環境の調整につい ての議論のポイントとして示させていただいてございます。  それから、2番目に「給排水等の管理について」ということでございます。特に水の 問題については今、水道法の見直しということがございますけれども、そういった背景 を踏まえつつ、給水及び排水の管理について政令、省令及び告示で定められてございま す給水及び排水の管理の基準について内容の見直しを行う必要があるのかということで ございます。  2ページ目でございますが(2)番で「給湯水の管理について」でございます。給湯 水につきましては現行では法令上、法律施行令施行規則あるいは告示の段階で特段の項 目はございませんけれども、レジオネラ属菌の微生物の繁殖あるいは金属の溶出等によ る水質劣化を防止するという観点から基準を設ける必要があるのではないかということ でございます。  それから(3)番でございます。雑用水の問題につきましても現行では特段基準はご ざいません。通知で一部指導をお願いしているところはございますけれども、雑用水の 利用範囲や使用量の増大は、水資源の有効利用という観点からは非常に推奨されるとこ ろではございますけれども、維持管理を誤れば病原微生物の感染等の健康影響を生じる おそれがあるということで、これを防止するための基準を設ける必要があるのではない かということでございます。  それから3番でございます。ネズミ、昆虫等の防除につきまして、感染症の予防及び 感染症の患者に対する医療に関する法律、いわゆる感染症法の施行あるいは殺そ殺虫剤 の使用に伴う健康影響への懸念、あるいはネズミ、昆虫等の生息活動状況、モニタリン グを重視した防除体系の確立、こういった状況を踏まえつつ基準の見直しを行う必要が あるのではないかということでございます。  それから4つ目、法律上は空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ネズミ、昆 虫の防除その他の基準ということになってございますが、現行ではこれ以外の基準は特 段政令では定められてございませんけれども、これ以外にも建築物衛生管理上、良好な 状況を維持するという観点から新たな基準を設ける必要があるのか。あるとすればどう いった基準が考えられるのかということを御議論いただきたいと考えてございます。以 上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。これに関して、この場で検討しろということでございます 。ただ、先ほど申しましたように、ここに書いてあること以外であっても、例えば法律 をこう変えてほしいということも含めておっしゃっていただきたいと思います。もし必 要があればですね。それは実際に変えるかどうかというのはまた事務の方でいろいろあ ると思いますけれども、ここではやはり何が正しいかということについての議論として いきたいと思います。では、どうしましょうか。 ○石塚委員  今、座長からそういうお話がありましたので意を強くしてお話を申し上げたいと思っ ているんですが、よろしいですか。  今回検討される具体的技術的な範囲なんですが、その範囲を若干超えるかと思うんで すけれどもお話させていただきたいと思います。建築物衛生的環境の確保に関する法律 でいろいろ別の法律が改正されたり、新たに制定されたりしてきて、ビル管理の外側が 随分変わってきたんですけれども、ビル管理法の方がそれに対応しない部分があって、 そのためにそちらの法律の方もうまく施行が必ずしも十分にいかないというようなケー スが少し見られるようになってきたのではないかと思いますが、その観点につきまして お話させていただきたいと思います。  1つはビル管理法の中では廃棄物を汚物というふうに規定しているんですけれども、 汚物ということになりますと、これは一方的に汚れたもので捨てる以外ないとしか評価 できないものになってしまうんですが、最近は廃棄物として廃棄物の中に有用とか、そ ういうことも表現されるようになってきているわけですので、それについて考えていく 必要があるんじゃないか。  それからもう一つ、昨年リサイクル法が制定されまして建物の外側についてはリサイ クル法の適用を受けておりますが、建物の中については適用の対象外になっております 。結局、その建物の中での処理が十分でないためにリサイクル法関係が必ずしもうまく いっていないという問題も発生してきているんじゃないかと思います。  その点で感じられますのは、1つは分別ということなんです。分別について規定が現 在のビル管理法にはありません。分別をしていないと再利用とか減量化ということがほ かの法律でいろいろ言われているんですが、それに対して十分対応できないという問題 があろうかと思います。そしてまた、これはだんだんこの問題に関係してくるんですが 、分別について規定をするとしますと保管場所を設置するとか、保管場所を設置すれば ある特定時間置いておくわけですから附帯設備が必要になってきます。例えば洗浄設備 であるとか排水設備だとか換気設備というのが出てくるわけですが、そういうものの基 準がこの検討会で検討すべき課題として俎上に上がってくるのではないかと、このよう に思われます。  また、ハードだけではなくてその保管状況の良否という問題が実際に大きな管理上の 問題になってくるわけでして、管理が悪いとビル全体に衛生上大きな問題をもたらすと いうことですから、例えば立入調査とか、そういうことまでこの分別の場合は関係して くるだろうと思うわけですが、そういうことが実際上、今、求められつつあるのではな いか。また今、制度制定から30年という話があったわけで、このチャンスを失うとまた3 0年先になってはいけないと思いまして、ちょっときつ目のお話になったかもしれない んですけれども、あえてお話させていただきました。以上でございます。 ○吉澤座長  ありがとうございました。ただいまのお話は、しかし何か具体的な案が出そうですね 。次回か次々回に事務局とも相談していただいて何かの案を出していただくと、もしか したら入るかもしれませんね。 ○石塚委員  わかりました。若干、作業的なことを少し検討してほしいということですね。 ○吉澤座長  何かまとまったものができないと行政も対応できませんので、ひとつよろしくお願い します。  今も石塚先生の方から話がございましたけれども、多少全体としてカバーしなければ いけないと思いますので前の方から一応やっていきますか。自由討論ですので、今おっ しゃったような形の問題の指摘などでいいと思いますけれども、まず最初に現行基準値 の見直しの問題なんですが、これは一番のターゲットなものですから多分あると思いま すけれども、余り長い時間は使えませんが10分や15分ぐらいならば使えると思いますの で、どなたか御意見ございますか。  私から言ってしまうとまずいんだけれども、要するに変わっている面があるんですね 。当時のターゲットと、世相と今と大分違う点があります。ですから、それについては 何かの検討をしなければいけないだろうという感じはいたします。具体的に言いますと 、温湿度の17度から28度という問題そのものも、あれは法律ができてから半年間に施行 令を出さなければいけないので、いろいろ議論をして、最初は、夏はいくら、冬はいく ら、という提案があったんですね。けれども、だれかが夏とはどう定義しますか、と聞 いたら答えられないんです。結局仕方がなくなって、両方を足してしまったのではない かという感じがします。そのとき一番大きな問題は冬の暖め過ぎ、夏の冷やし過ぎだっ たわけで、余り大きな問題にはならなかったんだと思います。あとは省エネのときと、 それからNOxの問題についても議論になったことがあります。  それから、粉じんもそうでしょう。0.15ミリグラム/m3というターゲットというの は実は行政官の方で一応提案されたんですけれども、多分あれは大気汚染の短期と長期 の平均値だと思うんです。20ミリグラム/m3と10ミリグラム/m3ですか。だけど、 あれは施行した途端にえらい問題が起きちゃって、6割ぐらいのビルが不合格になって しまったのです。それで、当然ですが、そういう場合には基準が悪いから変えろという 議論が出ました。その頃、粉じんの中のたばこの量を測る機械を発明された方がおられ ました。それによりますと、ビルの場合には7割がたばこだということがわかりまして 議論が出たのです。たばこだから、もろに吸っても死なないから基準を緩めろという議 論です。それからもう一つは、当時たばこの方の研究が進みまして質が違うと。つまり 、その頃は大気汚染の20ミリグラム/m3というのは石炭灰だったんですね。だけど、 たばこの場合には質が違いますね。ニコチンだとかタールだとか入っているということ で、その辺の議論が吹っ飛んでしまったのですね。そんなこともありますし、今では不 合格率はほんの数%ですね。そういった意味でうんと変わっていますので、やはりここ でもって実際に変えるかどうかは別として、課題を出して検討したらいいだろうと思い ます。  どうしましょうか。これはそのころになかった医学的な知見だとか何かも出てきてい るだろうし、工学的な対策なども出てきていますから、そういったものを含めてひとつ 議論をしていただきたいと思います。どなたか何かありますでしょうか。 ○池田委員  冷暖房の温度の件ですが、冷房は夏と冬がわからなかった、だれも答えられなかった というのは、例えば冷房運転時とか暖房運転時というような言い方にすればよろしいの ではないかと思ったんですけれども、それではいけなかったんでしょうか。 ○吉澤座長  そのとき夏とは冷房を運転しているときという定義が出たんです。しかし、うちのビ ルは年がら年じゅうやっていて、真ん中の方は冬だって冷房しているという話が出て、 困っちゃうわけです。結局時間切れで一緒にしてしまったのではないかと私は思ってい るんです。むしろ問題は17度から28度というのが範囲として適正かどうかという問題で す。  それからもう一つは、これは設定温度じゃないんです。設定温度と間違えているグル ープがあるんです。そうじゃなくて、この法律の場合には現実にある温度について言っ ているわけですから、その辺も考えなければいけないと思います。そういう意味で下の 方を上げるとか、上の方を下げるとかはわかりませんが、その辺の基本も新しい医学的 な知見か何かが出てくれば面白いなと思っています。それからあとは工学的な対策の問 題もあると思いますけれども、何かありませんか。 ○射場本委員  ビル管法の場合、むしろ、きつい位の条件の方が規制をし易いのだろうと思いますが 、ただ、一方では省工ネルギーの観点や、実際の運転管理状況からすると、実現し難い 状況が幾つかあって、両者の兼ね合いが難しいように思っています。  先ほど温度の話がでましたので、一例を上げてみます。当たり前の話でございますが 、夏は高めの気温設定の方が省エネルギーになるわけですので、従来の空調方式の範囲 を超えて空調する、例えば、少し風を利用する方が省エネルギー面では望ましいという ような、幾つかの新しい方式が考えられますから、今の17度から28度というのはエンジ ニアリングの発展からすると、やや狭いかなといった気持ちを持っております。  それから、湿度でございますが、今は相対湿度で表現しておりますが絶対湿度の方が 良かったのではないかと思っています。話によりますと昭和45年当時は、主に暖房をタ ーゲットにした法律だったというふうに聞いておりますが、今の世の中では冷房を無視 できないわけですし、むしろ冷房の方がエネルギーを使っている建物も多いわけです。 勿論、エネルギーだけで物事を言ってはいけませんが、先ほど事務局の方で御説明され た中にも出てきました蓄熱式と言う空調システムが、世の中で随分使われ始めておりま すし、また、省エネルギーの観点から大温度差空調という方式が導入されるようになっ てきています。そういう新しい技術に対して現状の法律では、例えば湿度でございます が、40%以下にしてはいけないわけで、これは冬で考えるとそうだろうと思うんですが 、夏も40%以下にしてはいけないことになります。夏に湿度を下げてはいけないという のは、世の中の一般的な感覚からすると変かなという気がしますし、先ほど言ったよう な新しい方式を使いますと、夏にも加湿しろといった状況が生じてくるわけでございま す。本当にそれが人間にとって必要であれば加湿する必要があると思うんですが、どう も普通の感覚からすると加湿する必要はないように思いますし、それどころか、アメリ カの方ではむしろ湿度は下げる方が良いという議論もあるわけですので、その辺りは見 直してもいいのではないかなあ、という個人的な考えを持っております。 ○吉澤座長  ありがとうございました。今は特に湿度の下限の見直しを御提案なさったわけで、技 術的な点で上はどうですか。 ○射場本委員  上もやはり無理な気がします。冬の冷房も随分増えているわけですが、なかなか加湿 が乗らないんですね。現実には送風量が少なくなっていますから、一生懸命加湿しよう と努力しても、それは加湿器の性能が悪いと言えばそれだけなんですが、水の無駄遣い をしている実体が見られます。例えば、空調機からのドレーン水がかなり増えているな ど、やや無理な状況が見られますので、少し上の方も見直す必要があるんじゃないかと 思います。 ○吉澤座長 上というのは70%ですか。 ○射場本委員  現実には、冬70%は不可能に近い状態だろうと思います。 ○吉澤座長  わかります。それでは、今の議論はかなりテクニカルな問題と絡んでくるので、先生 からレポートを出していただけませんか。その方がはっきりしますから、そうすればい いと思います。  それからもう一つは、湿度というのは最初に決めたときには余り大きな課題というか 、理由はなかったんですね。けれども、やはり低湿度だと菌が死ににくくなってしまう とか、風邪を引きやすくなったなどということでもって決まったと思いますけれども、 何かその後湿度に関してのそういった限界、下限について医学的な進歩というか変化は 何かございますでしょうか。 ○田中(正)委員  一般的感覚ということをおっしゃいましたけれども、やはり人間、特に高齢者にとり ましては非常に湿度というのは問題になりまして、特に冬場の低湿というのは呼吸器官 を痛めますので、そういった面からしますと冬の低湿というのはよろしくないと思いま す。現実にインフルエンザなどの疾患が多くなり、では加湿せよと言うんですけれども 、ポータブルの加湿器を使用してもそれは一時的なしのぎであり、根本的には設備から のものが必要であると思うんです。それで、現実にはテクニカルでかなり難しいという ことなんですけれども、最近は技術的にいいものが出ていると思いますので、努力目標 として私は守ってほしいなと思います。 ○吉澤座長  それは40%ですか。 ○田中(正)委員  そうです。ですから、現実の問題で今ここに基準としてあるもので、特にまずくなけ れば私はそのままにしてほしいと思うんです。確かに夏17度とか、冬に70%とか、省エ ネの上から問題ですが、人の健康の安全側から見てほしい。快適というものと、その前 には安全があるんじゃないかと思うものです。  それからもう一点よろしいでしょうか。確かに今、温湿度の問題についてやってきま すとかなり時間がかかると思うんです。それで、この参考資料にありますようにシック ハウスとかレジオネラの問題があります。あるいは、最近ですとたばこがあります。そ うしますと分煙化というのがあります。そういったもので現代の世相に応じたような項 目を先に付加していってほしいなと思います。例えばここに学校等とありますけれども 、私どもの大学にしますと、学生の解剖実習のときにホルムアルデヒドなど非常に発生 量が大きいんです。そうしますと、文部科学省の方でそれに注意しなさいということな んですが、どういう注意をしたらいいかというのがわからない。ともかく測定するとも のすごく高い。それで、学生に対してはどうするかというような問題があります。では マスクをしましょう、手袋をしましょう、環境をなるべくよくしましょう、そのぐらい しかないんですけれども、そういった現実の問題がありますので、最近のシックハウス とか分煙化、それからレジオネラというのがありますので、そういった点を最初にやっ て、時間がありましたら今のような従来型の基準にも、よりいい改正に持っていってほ しいと思います。 ○吉澤座長  わかりました。この基準値の見直しについては直接のものはむしろ後回しにして、一 番最後の(3)に近いようなものということですか。どうしましょうか。 ○眞柄委員  先ほども申し上げたんですが、小田さんがいるからよく御存じですけれども、札幌の 地下街というのは冬は道路なんですね。ところが、両わきにショップがあるわけです。 それで、あそこは明らかに不特定多数の人が利用する。どう考えても道路とは言いなが ら建築物なんです。夏と冬とは空気環境は全く違うんです。そういうのをどうするかと いうことと、それから今までの建築物の概念と違ういわば建築物、不特定多数の人が利 用する建築物、人工的な構造物ができているので、今ここである程度幅で示してはいる ものの、一律の環境の質を規定するやり方が今日あるいはこれから10年ぐらいの間に成 立するかどうかということは非常に問題だと思います。それで、ある意味ではランクが AとBというふうになっても、それはやむを得ないと思いますが、ある程度建築物の用 途を仕分けして、その上でそれなりの環境の質の規定をすべきじゃないかと思います。  それは先ほど射場本さんも言われたように、建物によってそれなりの目標とする質が 違うわけですから、そういう意味ですべての建物を一つの質で規定するということ自体 がどうかというようなことを御検討いただきたいと思います。 ○吉澤座長  湿度のとき、最初にすぐトラブルが起きたんですけれども、やはり新しく建った建物 、これから建てる建物と今まである建物では違うんじゃないか。地域的な違いもあるの ではないかということで、多少突っ込みかけたことはあったのですけれども、そこまで いかなかったというのが実情だと思います。ですから、今おっしゃったような形で用途 とか地域とか何かで変えるのも一つの手だろうと思うし、ちょっと大変なことになるか もしれませんが、改善のスケッチをかくのはただですから、それはだれかが改定案を作 ればいいことだと思います。 ○宿谷委員  いわゆる数値の話の前にそのかかるべきを議論するというお話だったので、ちょっと 参考になるかもしれないと思ってお話をしたいことが幾つかあります。先ほど吉澤先生 から温度の話がありましたけれども、我々は大学で学生たちと一緒にいろいろな研究を やっていろいろな建物の熱環境を測ったり、あるいは光の環境を測ったりとかというチ ャンスが結構あるんですけれども、前はエンジニアリングのための教育というような感 じで学生たちといろいろ測定をしたりして、いわゆるつくる側あるいは建物の環境を維 持する側の視点でしか僕らは物を実は見なかったんですけれども、どうもそういうこと ではよくないなということで住まい手側といいますか、そちら側の視点からも物をなが めてみようということを少し始めてみてちょっと気が付いていることは、私たちは暖房 とか冷房をしたときに非常にクリアな概念というふうに思っていますが、一般の方々と いうのは意外とその辺があいまいになってきているというんですか、それは実は恐ろし いことじゃないかなと私自身は実は思っています。  それで、例えばあなたが快適だなというふうに思う温度、いわゆる頭で思う温度です ね。それはどのぐらいですかというようなことを聞くと、ちょっと常識外れなことを言 ったりするんです。非常に極端な例ですけれども、それは18度ぐらいでしょうと。真夏 に聞くんですが、18度ぐらいと言うんです。どうしてそういう答えが出てくるんだろう と私はちょっと考えたんですけれども、どうも1つはいわゆるエアコンのスイッチとい うのは今、壁に付いていて液晶で表示が出ていますよね。それで、例えば炎天下を歩い て入ってきたときに暑いなと思ってスイッチを押しますね。それで、ちょっと部屋の中 が暑いと思うと、がっと皆さん押すんです。ちょっと観察していればわかりますけれど も、皆さんがっと押します。それで、20度ぐらいまでいくか、あるいはものによっては1 8度という表示までいく場合があると思うんです。現実のそこでの室内環境というのは そういう温度にまでなるはずがないし、もしなったとしても吹き出し口のすごく近くと か、そういうところで実際にはムラがあると思うんです。  そういうことを何回も何回も数年の間繰り返していると、温度の本当の自分の体の感 覚と、頭で思い描く温度の尺度がどうもずれてきているんじゃないかなという気がする んです。今お話ししていることは基準そのものになるような話じゃないんですけれども 、ただビル管法に述べられているようなこういう数字というのは実は一人歩きをしてい て、例えば17度から28度というのは本当は夏の話と冬の話が別々にあるんだけれども、 こういうふうに表示がされているがために場合によってはある人が見ると、夏は17度ぐ らいまで本当は下げた方がいいんじゃないかというような、非常に極端ですけれども、 そういうことだって思う可能性が実はあるんだなというふうなことを最近感じています 。参考のためにお話ししました。 ○吉澤座長  どうしたらいいと思いますか。 ○宿谷委員  困りましたね。ですから、私が思うのはこういう数字が出てくる背景は非常にいろい ろな複雑なことがあって、それを絞り出してある数字を並べるわけですけれども、なる べくその背景となるところをわかりやすく表現して、それをいろいろな人に知ってもら うという努力をしなければいけないと思いますし、例えば自治体の方々は非常な努力で いろいろなことをやられてきたということを今日、私は初めて本当にちゃんとわかって きたような感じがするんですけれども、そういう中でそういうこともちゃんといわゆる 住まい的教育のような格好でやっていくとか、そういったことが大切なのかなと思いま す。 ○田中(正)委員  今のはどうしたらいいでしょうかということなんですけれども、現実に数値をいじり ますと、かなりほかに波及することが多いですね。例えば、夏の場合においてはむしろ 高い方の側、冬においては低い側、そういった注釈とか、あるいはここの温度の項目に もう1つ条項を付記した方がいいと思います。 〇吉澤座長  実は、今の問題というのはかなり重大な問題を含んでいまして、このビル衛生管理法 というのはビルという名前は書いてありますけれども、たしか対象は全部住宅まで入っ ているんですよね。それで、今の資料の1か何かも集合住宅が落ちていますが、対象の 中に入っているんです。住宅を対象とする場合に、今おっしゃったことが非常に出てき てしまうと思います。それから、もっと普通のビルでも住まい手というか、中にいる人 と管理者というのはまた立場は違うかもしれません。その辺はまたちょっと別の次元の 議論があるんじゃないかという感じがします。  だから、それを法律に乗せるかどうかというのはなかなか難しいということはあるけ れども、例えば住環境教育とか何かというのをもっとしなきゃいけないだろうし、もし かしたら運転免許じゃないけれども居住免許証か何か与えなきゃいけないとか、今はそ うなんですね。本当に住宅なども非常に精密にできていますので、居眠り運転とか酔っ 払い運転をしますとまずいんです。だから、最低限のライセンスが要るという感じは持 っています。ちょっと法律ではできないですね。だけれども、やはりその辺のことはこ の中で答申をして将来考えてもらってもいいんじゃないかという感じがします。  では、先にいきましょう。今、最初の6項目に関しての話がありましたけれども、こ れはひとつ先生方で関係のある方から御意見があったらこの次ぐらいまでに何か意見を 出してください。  それから、3番目の問題ですね。これは環境基準に対する追加の希望なんですね。こ のことは前からも結構あったんですけれども、とても大きな議論があるんです。という のは、今の6項目というのは大体全部結果的には指標になっているわけですね。ところ が、この3番目の問題というのはホルムアルデヒドにしましても有機化合物にしまして も、それの毒性というものを基にした議論になってしまいます。ですから、性格が違う んですね。これをどう扱うかということで、多分両方かけなければいけないだろうと思 うんですけれども、そういった問題があるということも頭に置いてください。  その上で、3番目に何を加えたらいいかということについてちょっとお伺いしましょ うか。今シックハウスなどになってくるとホルムアルデヒドなども既にできていますし 、揮発性有機化合物に対しても基準はできていますし、それからNOxについても環境 省などの基準がありますよね。あれは、この場合は部屋の中に使っても悪いことはない わけです。ですから、そういったようなものもあるかもしれません。それから、真菌、 細菌になってしまうと病気が絡んできまして、だからそういった問題に対する指標とし て扱う分にはいいけれども、もしも何とか菌の何とかになってしまうと、これはちょっ とここでは扱いにくいわけですね。そういった問題がありますけれども、とにかく何か そういった意味で新しく加えるべき項目とか何かがあったら、余り時間はかけられませ んけれども、挙げていっていただけませんか。  さっきシックハウスの問題がありましたね。結局これは現状ではホルムアルデヒドと VOCなんだけれども、実は本当はもっと幅広いですね。 ○田中(正)委員  具体的に私は換気とか新鮮な空気の取り入れとか、そういったもので規制すればいい んじゃないかと思っています。 ○吉澤座長  ちょっとその話をさせてください。換気はこの基準値を決めるときにあったんです。 ところが、落ちてしまったのです。一番大きな理由はそのときのテクニカルな点なんで す。当時は中央式管理などということではなくてあらゆる建物に関しての議論だったの です。そうしますと、換気量の測定法がない場合があるんです。例えばラジエーターの ある学校の換気をどうして測るんだと。今ならば測れますけれども、当時はちょっと難 しいですね。このようにテクニカルなことで落ちてしまったのです。  けれども、結果的にはよかったと思います。なぜかといいますと、炭酸ガスの基準1,0 00ppmというのは実は裏返して言えば換気量基準なんです。ですから、大体1人当たり3 0立方メートル毎時の換気量を与えなければ1,000ppmは保てません。したがいまして、 日本のビルの場合には換気がかなり十分にあったわけなんですね。これが実はシックビ ルディングを防いだ一番大きな原因だったろうと私は思っているんです。  だから、今の先生のおっしゃった外気というのは非常に重要なことなんですけれども 、そういう意味で炭酸ガスの指標としての基準と外気量の基準というのを何とかしなけ ればいけないわけです。例えばアメリカなどでは炭酸ガスの基準から外気量を計算しま して、それで30立方メートルというのを換気量の基準としているわけです。日本の場合 はそうじゃなくて炭酸ガス1,000ppmを基準としている。換算すれば30立方メートルにな るということみたいですね。ですから、そういう意味で考えた上でしかるべき量の外気 量でなければいけないということはしなければいけないと思います。  だけど、先生のおっしゃったように換気が大事だよというコンセプトが炭酸ガスだけ で言うと消えてしまいますね。むしろあった方がいいかもしれませんが、でもどちらか にしなければいけないということになります。  実は、ビル管法はシックビルディングを防いだんです。ただし、逆にシックハウスの 遠因になっちゃったんですね。なぜかといいますと、日本の一般の方も建設業界も含め まして、シックビルディングのような形の空気汚染の恐ろしさということに対して実感 させなかったわけです。それで、ビル管法というのは住宅に関しては直接にはコントロ ールしていませんので高気密の方向へ行ってしまった。ところが、欧米では建材などの 発生量についていろいろな規制がそのときからできました。ですから、建材の方の規制 が進んでしまったわけです。日本は今やっています。その辺のことが一つちぐはぐにな ってしまったということがあると思います。  ほかにどなたかどうぞ。 ○相澤委員  シックハウス関連についてなんですけれども、いろいろな物質が厚生労働省を始めと して基準設定されておりますが、一番大事なものはやはりホルムアルデヒドではないか と思います。これは濃度と、それからいつまで測定するかということが問題になると思 うんですが、少なくとも新築あるいは新しい家具を入れたときにはかなりホルムアルデ ヒドが発生する可能性があると思いますし、1年あるいは2年ないしある程度濃度が下 がるまでは換気も確かに大事でございますけれども、基準を決めてやるべきではないか と思います。  そのほかの物質については、例えば有機溶剤もかなり発散する可能性がありますし、 トルエン、キシレン等については有害性も立証されているということもございます。そ れから、ほかにもいろいろ殺虫剤でありますとか、その他の有機溶剤もありますが、こ れはある程度実際の測定をしてみて新築のビルディングでどのぐらい高いということの データが欲しいということとか、あるいは健康被害がどのぐらいあるかということも考 えなければいけないかと思っております。  化学物質過敏症という病態もありますけれども、非常に限られた方がなるということ で、完全に防ぐ濃度というのは一応決められてはおりますが、それが100%確実かどう かということもはっきりわからないような状態ですので、少なくともホルムアルデヒド についてはやはり測定すべきだと思います。 ○吉澤座長  一応厚生労働省の方では出しておりますので、しばらくは使えると思います。しかし 、あれができましたために建築の設計とか何かがさっと対応が出たのですね。ですから 、余りそのときは自信がなかったんですが、やはりひとつ決めてよかったなという感じ はいたしますし、必要があればまた変えればいいかなと思います。 ○事務局  シックハウスの関係について補足させていただきますと、参考資料の5番でシックハ ウス対策の現状ということで資料をまとめさせていただいてございます。まだ疾病概念 としては確立していないという状況でございますが、一般的に化学物質の影響で化学物 質による中毒あるいは化学物質過敏症と言われているものの影響で健康上に被害が起こ ってくるかということで今、関係省庁と連携して対策に取り組んでいるところでござい ますが、2ページ目の(2)番の「基準設定」でございます。これは医薬局で開催して ございます「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」におきまして個別物 質の基準値が今、策定されているところでございますが、平成9年6月にホルムアルデ ヒドの基準ができて以降、現在までにトルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン等の 個別物質の指針値が定められているところでございます。この指針値につきましては、 あくまでも法的な拘束力のないガイドラインということで定まっている基準でございま すが、これを法律上の規制として盛り込むに当たりましては、例えば分析方法が確立し ているかどうか、あるいは健康被害の実態がどうかといったところも配慮する必要があ るのではないかということでございます。それで、相澤先生から先ほど御指摘がありま したけれども、これをビル管法の法律の中に盛り込むとなった場合はそういった事情も また含めて御検討いただきたいと考えております。 ○吉澤座長  ありがとうございました。今の点はよろしゅうございますか。ほかに御議論もあると 思いますけれども、給排水等に関して何か御議論はございますでしょうか。 ○坂上委員  給排水関係で、特に給水についてはこれまで目標基準がございまして、それからそれ をちゃんと管理する清掃方法等、大変充実した体系になっていると思います。 ところ が、2条の2のロに排水に関する施行令の記述がございますけれども、これは実は目標 設定が非常に不十分なわけです。したがいまして、それに対する手当て、それから更に 検査、評価というところのその後に続く実現方法についてうまくつながっていかないと ころがあります。だから、最初の議題に戻るようですけれども、やはり基準改正といい ますか、これの改正の中で2のロの項を少し確実なものにしていただきたいという希望 がございます。  さて、今、空気質の議論がございましたけれども、実はその中に臭気という項目がな いんですね。ところが、実際にビルとか、あるいはいろいろな建物の中には居室も含め ますけれども、トラップが破封して排水管、下水管などの臭気がいっぱい室内に立ち込 めているという事例は本当に多いわけです。多分この建物も便所に行ってみれば排水ト ラップが破けてにおいが立ち込めている。せっかく空気環境としてうまくやったものが 排水の一つの装置の不備によってだめになってしまう、ダウンしてしまうということが ございますので、空気環境の方で臭気という項目を付けてくだされば、その手当ての一 環、幾つかありましょうけれども、現状では一番重要なのがトラップということですか ら、これを排水設備の方でちゃんと手当てするということがございます。  それからもう一つ、東京都さんでは排水槽の管理もきちんとやっていますよね。この 問題は建物の中だけでいいのかということと、建物の中の設備が実は建物の外に影響を 及ぼすという一つの典型的な事例なわけですね。排水槽の管理がうまくいっていないた めに公設の道路上に臭気が漂う、あるいは汚水があふれるということですね。そういう 被害があるわけでございまして、それをきちんと手当てするということであれば排水槽 ということは大きな問題になってくる。  それから洪水調整とか、あるいはそういう雨水に絡むこともひょっとしたら考えなく ちゃいけないかなという気がいたします。  ついででございますけれども、ビル管理法でこれをちゃんと手当てしているというこ とは、建物をつくったときにちゃんといろいろなことを想定していい環境をつくろうと 思ってつくっているわけですね。それは実は自己アセスしているようなことなんです。 それも定期的にやっているということですから、そのノウハウは大変なことです。それ を施設の改善あるいは設備の改善に向けてうまく発信し得る、あるいは連携し得るとい うところの仕組みも、真ん中ではないですけれども、廻りの外堀ぐらいにその辺を付け ていただければ、道筋をお願いできたらと思っております。 ○吉澤座長  ありがとうございました。 ○眞柄委員  給水の関係ですが、先ほども申し上げましたように水道法の関係のさまざまな基準が 変わりましたのと、それから水道法の適用の範囲が変わりましたので、その辺について は水道の担当部局とよく御相談をしていただいてきちんと整理をしていただきたいと思 います。  それからもう一つは給湯の関係で、実態は私はよく承知しておりませんが、ヨーロッ パやアメリカの人たちの話を聞くと、導管の接続に使っているハンダからの鉛の問題を 非常に気にしておりまして、水道の方では3年先に鉛の基準を10pbbにするという方向 で今、検討が進んでいますので、その辺のところが気になることが1つです。  それからレジオネラのことでありますが,WHOは今、飲料水のガイドラインの改定 の作業をしておりますけれども、レジオネラやクリプトも含めてそうですが、具体的に ガイドラインの値を示さなくてどういう設備でどう管理すればこの問題は解決するかと いうガイドラインをつくるという方向になっています。そういう意味で、このビル管法 で給水、特に給湯水についてレジオネラの基準、具体的な数値を示すとすればどうする かということは報告書があるのは承知していますが、やはり検討する必要があるだろう と思います。 それから、雑用水については先ほど都の方で用途別に雑用水の基準を設 定していただいておるというお話がありましたけれども、少なくとも現在の雑用水の基 準というのは時代遅れもはなはだしいので、これは是非新しい現状の技術と、それから 現在使われている雑用水の水質の状況を踏まえて改正をしていただきたいと思います。  ただ、東京都内は建物の中で汚水というか、排水処理をして、そしてそれを雑用水と して利用しているわけで、その排水の処理施設そのものについては何の規定もない。そ れについては、もし雑用水のことについて建物の中の循環利用を考えるのであれば廃水 処理施設か雑用水をつくる施設かは知りませんが、それについての規定が要るのではな いかと思います。以上です。 ○紀谷委員  もう皆さんおっしゃっているところでほとんど尽きているわけですが、事務局で最初 にまとめていただいた資料3の中で給湯水の管理とか雑用水の管理という言葉が入って いますから蛇足みたいになるんですけれども、それをどこで使っているかというところ が案外特定されていないところがあって、先ほどの地下街の話もそれに準ずるわけです が、例えば今、我々がやっているので水景施設などというものがあるわけですし、いろ いろと浄水器みたいなものとかが後付けで付いてしまうものも随分増えてきていますの で、その辺のところをもう少しきめ細かく押さえられるようなことを考える必要がある かなという気がいたします。 ○吉澤座長  ありがとうございました。それでは、時間の関係がありますので田中先生お待たせし ました。どうぞ。 ○田中(生)委員  まさにネズミ、昆虫等についての論点は3のところに書いてありますが、1つはかく あるべしという議論がきちんと伝わっていないという問題、2つ目は防除基準の問題が あると思います。  かくあるべしという問題については、一番大きいのは感染症の媒介防止ということで す。しかし、ネズミ、昆虫等によって感染症がビル内で起こるなどということは論外な ので、重要ではあるが、もう少し日常的な問題、例えばアレルゲンとか刺咬とか不快と いう問題も、ウエイトを高めて考える必要があります。ビルの中でこの種の問題をどう とらえるかということが、防除の頻度とか対象場所と非常に関連してくるわけですね。  それで、ちょっと大上段に振りかぶりますけれども、憲法第25条に、日本国民は健康 で文化的な生活をする権利を有する、とあるわけですけれども、例えば虫がたくさんい る状態というのは果たして健康で文化的な生活なのかというところに、本当は戻ってい かなければいけないだろうという気がするんです。これは必ずしもゼロにするのを目標 としているわけではないので、ある程度の基準、いわば許容限度みたいなものが必要で はないかと思います。  例えば、殺虫剤のまき過ぎで問題が起きるというのは、防除を依頼する方がゼロを要 求するからです。従って、要求に応えようとすると、殺虫剤をまくにしても他の方法で やるにしても、どうしても行き過ぎになってしまう。平成元年に厚生省は、居住環境に おけるネズミ、害虫の維持管理基準設定に関する調査事業を行い、その中で屋内害虫に 関する基準を作っています。こうしたものを参考に基準設定を行うと良いと思います。  もう一つ。ネズミ、害虫問題は一つのビルをとっても、エリアで生息数や防除の重要 性が全然違うわけです。例えば、厨房と一般のオフィスでは全く違う。今はどうなって いるかというと、定期に、統一的に行いなさいということになっているわけですね。統 一的にやるとなると、おしなべてやらなければいけない。そうすると必要のないところ までやらざるを得ないというような状況が出てくる。従って、通常はモニタリングをき ちんとやり、その結果に基づき必要なところは密に、そうでないところはもうちょっと 間引きしても、極端にいうと6か月以上に一回の対策でもいいのではないかといった、 状況にあった対応ができるようになると思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。今、田中委員が憲法の話を出されたわけです。例えば、W HOが去年の5月に健康的な室内空気の権利という宣言を出しまして、人は健康的な空 気を呼吸する権利があるということをまず最初に言ったんです。医学の方でたくさんの 種類の汚染物質の複合影響などを出してくれるか、レジオネラの曝露限界を出してくれ るかというと、それは多分出てこないですね。そうすると、やはり最初のターゲットと いうのは今の憲法じゃないけれども、コンセプトじゃないかという感じはしますね。ま ず健康的なもの、呼吸する権利があるんだということを言った上で、ではそれはどうい うものかというふうにした方がいい。ここまではいけない、ここまでは良いではなくて 、そういうふうにするべきじゃないかとこの頃思っているし、WHOなどもそういう考 えをしてきたみたいです。  それからもう一点は、坂上先生がおっしゃったと思いますけれども、ビル衛生管理法 というのはビルができて、それを受け取って対処するわけですね。だけど、受け取る側 はそのビルがちゃんと設計どおりできたという保証をもらっていないわけです。だから 、私などは管理する側は大変気の毒だと思うんです。設計どおりの値が出るかどうか知 らないのにやらなくちゃいけない。これはやはりおかしいわけですね。これは最近、諸 外国でやっておりますコミッショニング、完成検査ですね。建物が設計してつくられる 。今度は第三者によって建設費の数%に相当する試験の費用を払いまして、それで設計 どおりできているかどうかを見る。これはコミッショニングと言いますが、これがあれ ば受け取る側は安心してそこまでやれるし、そこまでやれることがわかっていればそこ までやるのが責任になりますね。そういった意味で、これはちょっと厚生労働省の範囲 を超える面がありますけれども、基本的な大きな議論として当初から出ているんですね 。こんなことも一つのコンセプトというか、将来への課題として是非入れてほしいと私 は思っています。 ○事務局  ただいま各委員の先生方から御意見をいただいた点について若干補足させていただき たいと思います。  まず坂上先生がおっしゃいました排水に関する基準についてということなんですが、 実際に2のロの部分については余り詳細な事項の記載はございませんけれども、実際は これを受ける形で施行規則の中で資料2の3ページに排水に関する設備については第4 条の2で規定されておりますのと、あとはそれを受ける形で告示の形で参考資料1の29 ページの右の上の第3のところで排水に関する維持管理の方法について定められてござ います。そういったところで、詳細な内容等の見直しの必要があれば今後議論をいただ きたいというのと、臭気等についても必要な基準値というのが具体的に定められるので あれば、そういったものもまたお示しいただきたいと考えております。  それから眞柄委員から御指摘のあった点でございますけれども、レジオネラの問題に つきましては現行では法令上はレジオネラについての基準というのはございませんけれ ども、通知等でお示しさせていただいている部分がございます。参考資料の2の中で19 ページあるいは21ページで見ていただきたいんですが、レジオネラが問題になった時点 でレジオネラの管理の在り方について通知でお示しさせていただいております。これも 法的な拘束力はないわけでございますが、適切な維持管理をやってくださいと。具体的 な数値までは一部示しているところもあるんですけれども、それを数値化するのがいい のか、あるいは数値化しないで必要な維持管理の方法論について規定するのがいいのか 。そういったところについてまた今後議論を深めていただきたいと考えております。  それから、田中生男委員のおっしゃいましたネズミ、昆虫の防除の部分と殺虫剤の使 用という問題についてでございますけれども、法令上は現行はネズミ、昆虫等について は適切な方法により発生及び侵入の防止並びに駆除を行うことと政令でうたわれており ますが、これを受ける形での施行規則におきましてはネズミ、昆虫等の防除を6か月以 内ごとに1回定期に統一的に行わなければならないという記載がございます。これは時 として間違って解釈されておりまして、6か月ごとに1回殺虫剤をまかなければならな いといったようなとらえ方をされている場合があると聞いております。その点につきま して、実際に殺虫剤をまいたがために直接的に影響を受けたかどうかはわからないんで すけれども、健康影響が疑われる事例が報告されております。そこで今般でございます が、参考資料の2の31ページをごらんいただきたいと思いますが、ネズミ、昆虫等の防 除に関する通知を出させていただいてございます。建築物におけるネズミ、昆虫等の防 除に関する安全管理について、これは今年の8月22日に健康局長と医薬局長の連名の通 知で出させていただきましたけれども、ここで言っておりますネズミ、昆虫等の発生及 び侵入の防止並びに防除と言いますのは、殺そ殺虫剤の使用を前提としたものではなく 、ネズミ、昆虫等の生息、活動状況、建築物の構造、建築物の使用または利用者への影 響等を総合的に検討した上で適切な方法により実施することとしてございます。それか ら、殺虫剤の使用につきましては従来も原則として薬事法上の承認を受けた医薬品また は医薬部外品ということでお願いしていたところではございますけれども、明確に薬事 法上の承認を受けたものを使ってくださいという形で指導させていただいているところ でございます。 ○田中(生)委員  8月22日の通知で確認をしたいんですけれども、2の(3)のところに「屋内に残留 した薬剤を除去し」とあります。しかし、現実には例えばゴキブリ防除などでは壁面に 残留処理をするようなケースが多いわけです。これはどういうふうに解釈したらよろし いんでしょうか。 ○事務局  この通知における薬剤とは、いわゆる即効性を求めるような殺虫剤を前提としており まして、当然残留処理の場合は残留することを目的としておりますので、ここでいう薬 剤には該当しないとお考えいただければと思います。ただし、残留処理の場合について も高感受性個体といいましょうか、残留処理の薬剤に対する感受性のある人に対しては 考慮は払っていただく必要があるのではないかと考えているところでございます。 ○田中(生)委員  この条文だけを見ますと、現実的には例えばゴキブリ防除作業をする場合、残留処理 ができなくなる可能性があるのではないかと思います。従って、この文については、検 討する場があればいいと思います。 ○吉澤座長  是非検討していただきたいと思います。 ○事務局  わかりました。ただいまの御意見を踏まえて検討させていただきます。 ○吉澤座長  一応予定された時間もきましたので、先生方の御意見はこのくらいにしておきまして 次の議題に入りたいと思います。  2にその他というのがありますが、何か事務局の方からありますか。 ○事務局  特段事務局の方ではございませんけれども、先生方から意見がございましたらお願い いたします。 ○吉澤座長  何か先生方からその他ありませんか。 ○池田委員  どこに入るかわからないので言わなかったんですけれども、先ほど眞柄先生から地下 街はどうするのかという話も出たことにちょっと関連するかもしれないんですが、現行 のビル管理法では3,000平米以上になっているのを、問題は3,000平米以上の建物は大体 よくなってそれより狭い方で2,000平米、1,000平米をどうしていくのか。その辺が全く ここでは今やられていないという点が1つ。それから、いわゆる10%除外ビルという貸 床面積が少ないところはビル管法の対象にならないという面をどうするか。それが抜け ているから、やはりこれも大きな問題ですがやっていかなければいけないだろう。  それから、先ほど吉澤座長の方から集合住宅が抜けているのではないかということを おっしゃられましたけれども、集合住宅だけでなくてこれは事務局の方としてはやりに くいかもしれないですが病院ですね。病院と言ってもICUみたいなところは別として 、それから先ほど田中先生がおっしゃったような解剖室などというのは別になるとしま しても、一般の待合室だとか、それからほかの普通の住宅とかオフィスビルと変わらな いようなスペースが病院の中にはたくさんあるわけで、それは厚生労働省の管轄でいく と医政局や病院部だという話になってくるんですが、ただ、病院の方では一般の待合室 の話というのは全然考えていないんじゃないかと思われますので、その辺は健康局の方 でと医療を所管する部局と連携をとっていただいて、いつまでもそこを放っておきます と先ほど相澤先生もおっしゃったように、化学物質過敏症の方は病院に行くんです。と ころが、病院というところは化学物質が非常に多いところでかえって悪くなって帰って くるというような状況がいつまでも放置されているのはまずいわけですから、その辺の ことも考えて、これは本来こちらのビル管理法で扱っていくべき筋じゃないかと思いま すので、その辺のことを少しいつか時間をとって検討していただければと思います。 ○吉澤座長  ありがとうございました。2つ今日やり残しているんです。今の対象をどうするかと いう問題が抜けてしまいましたので、この次か次にまたやりましょう。それからもう一 つは、ここで空気調和設備の定義に関して、それがちょっと面倒になっているので、そ れについても考えることをしなきゃいけない。これは技術的な問題もありますので、次 回にでもやってみたらいかがかなと思っているんです。ですから、決して忘れたわけで はありません。是非その辺は、要するに今の厚生労働省のお役所の方だけの問題ではな くて、我々としてはこうだということをここでがっちり提言をしたらいいだろうと思い ますけれども、それを使うか使わないかは行政の責任になってしまうわけですが、そう いう意味でいいシステムができるような努力をひとつしたいと思います。どうぞよろし くお願いします。  それから今後のスケジュールですが、どういたしますか。 ○事務局  本日いろいろな御意見をいただいたわけでございますけれども、事務局の方といたし ましては今回御議論いただいた内容を整理して、次回の検討会では各論点について御意 見をいただきたいと考えてございます。  次回の予定ですけれども、第2回目につきましてはできる限り年内に一度開催いたし たいと考えております。これから日程表をお配りさせていただきますので、御都合を記 入して後日事務局に提出いただければと考えております。日程調整の上、事務局の方で 開催日の連絡をまたさせていただきたいと考えております。 ○吉澤座長  議事録としてまとめる前のメモや、この次の会のときの宿題とかありますでしょう。 そういったものを含めて、メモを送ってもらえるとありがたいんですけれども。 ○事務局  吉澤座長と御相談させていただきまして、各委員の先生方から専門的な分野で御意見 をまとめていただくということで、よろしくお願いいたします。 ○吉澤座長  それから、宿題ということではなくて今チャンスですから、やはりいい法律とか体系 になりますように先生方に御努力をお願いしたいと思います。やればやっただけの多分 成果はあるはずですから、それはひとつよろしくお願いしたいと思います。  では、今日は長時間にわたりましてどうもありがとうございました。また今後もどう ぞよろしくお願いいたします。 【照会先】  厚生労働省健康局生活衛生課   林(2434)、小林(2432)