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第2回社会保障審議会人口部会 資料1−4
平成13年10月12日

将来人口推計の評価と新推計の基本的考え方


国立社会保障・人口問題研究所


平成9年中位推計と総務省推計人口の比較:1999(平成11)年


平成4年推計と総務省推計人口:1999(平成11)年、男子人口

平成4年推計と総務省推計人口:1999(平成11)年、女子人口


平成4年推計の出生率仮定


平成9年推計と総務省推計人口:1999(平成11)年、男子人口

平成9年推計と総務省推計人口:1999(平成11)年、男子人口

平成9年推計と総務省推計人口:1999(平成11)年、女子人口


年齢別人口の誤差要因

1.出生数ならびに0〜4歳人口の誤差要因
→1)出生率仮定から生じた誤差
(1)日本人と外国人の出生率を同じと仮定したことによる誤差
(2)出生率仮定水準そのものの設定の問題から生じた誤差
→2)国際人口移動(入国超過率)の仮定から生じた誤差
(1)出生から4歳における入国超過率の仮定から生じた誤差
(2)女子の再生産年齢における入国超過率から生じた誤差
→3)出生から4歳までの生残率の仮定から生じた誤差

2.年齢5歳以上の人口の誤差要因

→1)国際人口移動(入国超過率)の仮定から生じた誤差

→2)生残率仮定から生じた誤差


平成9年中位推計と総務省推計人口の比較:1999年

誤差要因 誤差率
0〜4歳人口の差 1.4%
 出生率による誤差 1.9%
  長期仮定による誤差 ┐
  偶然変動による誤差 ┘
1.2%
 →外国人出生率の見積もり誤差 0.7%
 国際人口移動による誤差 −0.5%
 生残率による誤差 0.0%
5〜64歳人口の差 −0.1%
 国際人口移動による誤差 −0.1%
 生残率による誤差 0.0%
65歳以上人口の差 −0.1%
 国際人口移動による誤差 0.4%
 生残率による誤差 −0.5%

◎外国人出生率の見積もり誤差

出生率による誤差の検討

出生率仮定値と外国人出生率を補正した率の比較:1999年

外国人を含む出生率推定のための補正係数

外国人を含む出生率へ補正後の推計結果

◎長期仮定による誤差 偶然変動による誤差

合計特殊出生率の比較:仮定値および実績値

出生順位別出生率の比較:仮定値および実績値

年齢別出生率:実績値と推計値 1996年

年齢別出生率:実績値と推計値 1997年

年齢別出生率:実績値と推計値 1998年

年齢別出生率:実績値と推計値 1999年

年齢別出生率:実績値と推計値 2000年

出生順位別出生率:実績値と推計値 1996年

出生順位別出生率:実績値と推計値 1997年

出生順位別出生率:実績値と推計値 1998年

出生順位別出生率:実績値と推計値 1999年

出生順位別出生率:実績値と推計値 2000年

年齢別初婚率の比較:仮定値と実績値 1996年

年齢別初婚率の比較:仮定値と実績値 1997年

年齢別初婚率の比較:仮定値と実績値 1998年

年齢別初婚率の比較:仮定値と実績値 1999年

年齢別初婚率の比較:仮定値と実績値 2000年


入国超過率(外国人を含む):男子

入国超過率(外国人を含む):女子

65歳以上の推計誤差:1999年


新推計の基本的考え方

(1)基準人口

 基準人口は、平均12(2000)年10月1日現在の男女年齢各歳別人口とする。

(2)推計期間

 推計の期間は、2001年から2100年の期間である(2051年以降は参考推計)。

(3)推計方法

 推計の方法は、コ−ホ−ト要因法,(cohort component method)を用いる。
 なお、コ−ホ−ト要因法に必要なデ−タは次の通りである。
(1)男女年齢別基準人口、
(2)女子の年齢別出生率の仮定値、
(3)男女年齢別生残率の仮定値、
(4)男女年齢別国際人口移動の仮定値、
(5)出生性比

(4)推計の種類

高・中・低の出生率に関して3つの将来仮定値を置き、三種類の人口推計を行う。

(5)出生率仮定

将来の年齢別出生率は、コーホートの年齢別出生率を推定し、仮定する。仮定設定の方法は、別に示す。

(6)生残率仮定

前回の死因別推定方法から、死亡率のリレーショナルモデル(修正リ−・カーター法)によって将来生命表を作成し、将来の生残率仮定とする。
死因別死亡率を用いない理由は、死因コード分類の変更によるデータの時系列的安定性に欠けるためである。

生命表のリレーショナルモデル:
Lee and Carter法

年齢をx、時間をt とすると、年次別年齢別死亡率の対数値 ln(mx,t)は、

In(mx,t)=ax+bxt+ex,t
ただし、
 ax は、平均的な年齢別死亡率
 bx は、死亡の一般的水準で、 kt (死亡指数)が変化するときの年齢別死亡率を表す。
 ex は、平均0の残差項を示す。

年齢別死亡確率のモデル・パラメータ値

年齢別死亡確率のモデル・パラメータ値:kt

(7)国際人口移動の仮定

近年の国際移動の実態から、日本人の国際移動に関しては国際間の純移動率を用い。外国人の国際移動に関しては、過去の趨勢から外国人の純移動数(入国超過数)の総量を推定し、仮定する。

日本人の入国超過率:男子

日本人の入国超過率:女子

外国人の入国超過数:(入国−出国)

外国人人口の年齢分布−女子

(8)出生性比の仮定

過去の趨勢から今後の出生性比を仮定する。

出生性比の年次推移


出生率仮定の設定方法

1.コーホートの年齢別出生率は、

(1)コーホートの生涯未婚率、

(2)完結出生児数、

(3)平均初婚年齢および各出生順位の平均出生年齢など

(4)初婚年齢の分布(分散と形状)および各出生順位別出生率の分布(分散と形状)など

をパラメータとして、一般化対数ガンマ分布モデルを用いて推定する。

2.適用する推定方法と適用対象コーホート

(1)おおむね1965年以前の出生コーホート(2000年で35歳以上)

目標コーホートならびに最終コーホート

モデルによる実績への適合性が良好なコーホートに関しては、一般化対数ガンマ分布モデルを用いて仮定値を統計学的に推定する。

(2)1985年出生コーホート(2000年で15歳)
   →目標コーホート:1985年出生コーホート

目標コーホートならびに最終コーホート

将来の結婚・出生過程について仮定を設け、モデルパラメータを推定し、コーホート出生率を仮定する。このコーホートが出生率仮定設定のための目標コーホートである。

目標コーホートの仮定設定の考え方

(1)コーホートの出生率は、コーホートの年齢別初婚率分布によって発生した既婚女子の出生行動によって決まる。

(2)目標コーホートの年齢別初婚率(平均初婚年齢とその分散)、ならびに生涯未婚率により目標コーホートの年齢別初婚率を推定する。

コーホート平均初婚年齢と生涯未婚率の推定

(3)推定された年齢別初婚率と過去の出生動向基本調査から得られた初婚年齢と完結出生児数の経験モデルから出生コーホートの既婚女子の平均出生児数を推定する。

初婚年齢別出生児数別夫婦割合:第7〜11回出生動向基本調査

初婚年齢別出生児数別夫婦割合: 第7〜11回出生動向基本調査
〜結婚15〜19年の夫婦について〜

初婚年齢 夫婦数 出生児数 平均出生
児数(人)
0人 1人 2人 3人 4人 5人以上
20歳未満 807 1.7 6.7 50.9 31.7 7.2 1.7 2.41
21〜22歳 1,872 2.8 7.7 54.1 30.0 4.6 0.7 2.28
23〜24歳 2,509 2.4 9.0 57.6 27.0 3.4 0.6 2.22
25〜26歳 1,585 3.3 8.8 59.9 24.2 3.5 0.3 2.17
27〜28歳 673 4.8 15.9 55.1 20.5 3.1 0.6 2.03
29〜30歳 264 7.6 21.6 56.1 11.7 2.7 0.4 1.81
31〜32歳 73 12.3 31.5 47.9 6.8 1.4 0.0 1.53
33歳以上 48 12.5 33.3 39.6 8.3 4.2 2.1 1.65

(4)結婚したのち離婚や死別によって出生率は若干の影響を受けるため、離死別の影響効果を係数として指標化し加味する。

(3)1965年以降から1984年出生コーホート(2000年で16歳から35歳)

目標コーホートならびに最終コーホート

目標コーホートと最終コーホートのモデル値の関係:生涯未婚率の推定例

(4)1986年以降の出生コーホート(2000年で15歳未満)
   →最終コーホート:2000年出生コーホート

目標コーホートならびに最終コーホート

目標コーホートと最終コーホートのモデル値の関係:生涯未婚率の推定例

(5)直近の年齢別出生率

直近の年齢別出生率は、時系列的傾向を加味し、コーホートモデルの仮定値を補正する。

将来出生率の見通しのポイント
(1)結婚行動の見通し

近接要因 平成9年推計
1980年出生コーホート
新推計
1985年出生コーホート
晩婚化 晩婚化は進行し、平均初婚年齢は上昇するとの認識
 24.4歳(1950年生まれ)→27.4歳
   (3.1歳の上昇)
晩婚化は進行し、平均初婚年齢は上昇するとの認識
 24.9歳(1955年生まれ)→_歳
生涯未婚 未婚化は進行するとの認識
 4.6%(1941-45年生まれ)→13.8%
未婚化は、勢いを衰えさせながら進行するとの認識
 5.2%(1946-50年生まれ)→_%
同棲(事実婚)の見通し 安定的であるとの認識 若干上昇傾向にあるが、極めて低い水準
離婚・再婚の見通し 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。

◎晩婚化

平均初婚年齢の年次推移

年齢別初婚率の年次推移

◎生涯未婚

年齢別未婚率の年次推移

未婚率の年次間増加率:女子

生涯未婚率の年次推移

◎同棲(事実婚)の見通し

出生動向基本調査による
同棲経験の有無

同棲の経験 男子 女子
第9回
(1987年)
第10回
(1992年)
第11回
(1997年)
第9回
(1987年)
第10回
(1992年)
第11回
(1997年)
ない 94.7% 93.4  94.7  95.5  95.2  94.7 
以前はあるが現在はしていない 2.3  3.4  3.1  2.2  2.0  3.0 
現在している 0.9  1.1  1.7  0.7  1.1  1.7 
不詳 2.1  2.1  0.4  1.7  1.7  0.6 
総数 100.0%
(3.299)
100.0 
(4.215)
100.0 
(3.982)
100.0%
(2.605)
100.0 
(3.647)
100.0 
(3.612)

離婚件数および離婚率の推移:1947〜2000年

15〜49歳女子離別者に対する再婚数の比率

離婚した夫婦が親権を行う平均子ども数の推移

将来出生率の見通しのポイント
(2)夫婦出生行動の見通し

近接要因 平成9年推計
1980年出生コーホート
新推計
1985年出生コーホート
子どものいない夫婦の見通し 初婚年齢の上昇に伴い増加の傾向
 3.8%(1943〜47年生まれ)→10.7%
初婚年齢の上昇に伴い増加の傾向
 3.2%(1948〜52年生まれ)→_%
夫婦の子ども数
(完結出生児数)
の見通し
初婚年齢の上昇い伴い、以前より減少傾向が進むとの認識
 2.18人(1943-47年生まれ)→1.96人
初婚年齢の上昇に伴い、以前より減少傾向が進むとの認識、1985年以降に結婚した夫婦で小子化傾向が強まる傾向
 2.13人(1948-52年生まれ)→_人
婚外子(非嫡出子)
の見通し
極めて低い水準が続く 若干上昇傾向にあるが、極めて低い水準
若年齢における出生率上昇の解釈 当時現象なし 婚前妊娠の増加の可能性

◎子どものいない夫婦の見通し

出生児数分布の推移
(結婚持続期間15〜19年)

調査年次 0人 1人 2人 3人 4人以上 平均(標本数)
第7回調査(1977) 3.0% 10.8  56.9  24.1  5.1  2.19人(1,426)
第8回調査(1982) 3.2  9.2  55.6  27.3  4.9  2.23 (1,421)
第9回調査(1987) 2.8  9.7  57.8  25.9  3.8  2.19 (1,760)
第10回調査(1992) 3.1  9.3  56.3  26.5  4.8  2.21 (1,850)
第11回調査(1997) 3.7  9.8  53.6  27.9  5.0  2.21 (1,334)

初婚年齢別出生児数別夫婦割合:
第7〜11回出生動向基本調査
〜結婚15〜19年の夫婦について〜

初婚年齢 夫婦数 出生児数 平均出生
児数(人)
0人 1人 2人 3人 4人 5人以上
20歳未満 807 1.7 6.7 50.9 31.7 7.2 1.7 2.41
21〜22歳 1,872 2.8 7.7 54.1 30.0 4.6 0.7 2.28
23〜24歳 2,509 2.4 9.0 57.6 27.0 3.4 0.6 2.22
25〜26歳 1,585 3.3 8.8 59.9 24.2 3.5 0.3 2.17
27〜28歳 673 4.8 15.9 55.1 20.5 3.1 0.6 2.03
29〜30歳 264 7.6 21.6 56.1 11.7 2.7 0.4 1.81
31〜32歳 73 12.3 31.5 47.9 6.8 1.4 0.0 1.53
33歳以上 48 12.5 33.3 39.6 8.3 4.2 2.1 1.65

◎夫婦の子ども数(完結出生児数)の見通し

結婚持続期間別、調査年次別、
平均出生児数・夫婦割合

結婚持続期間 総数(標本数) 0人 1人 2人 3人 4人 5人以上 平均
結婚0〜4年  
1987 100.0(1,443) 33.3 44.2 21.2 1.1 0.1 0.0 0.91
1992 100.0(1.525) 38.8 43.3 17.1 0.5 0.1 0.0 0.80
1997 100.0(1,304) 41.6 43.6 11.8 0.6 0.0 0.0 0.71
結婚5〜9年  
1987 100.0(1,689) 5.2 15.7 60.0 17.9 1.2 0.1 1.94
1992 100.0(1,562) 8.5 18.0 55.4 15.6 1.3 0.4 1.84
1997 100.0(1,301) 10.1 20.6 52.6 13.6 1.2 0.0 1.75
結婚10〜14年  
1987 100.0(1,977) 3.4 10.2 58.6 24.0 3.2 0.5 2.15
1992 100.0(1,655) 4.8 9.4 51.5 29.9 3.2 0.4 2.19
1997 100.0(1,304) 5.4 11.4 53.5 24.8 3.2 0.3 2.10
結婚15〜19年  
1987 100.0(1,804) 3.0 10.0 57.8 25.4 3.2 0.6 2.17
1992 100.0(1,861) 3.1 9.2 56.0 26.3 4.2 0.5 2.21
1997 100.0(1,350) 3.6 9.7 53.0 27.6 4.5 0.4 2.21

結婚年別累積出生児数の推移

◎婚外子(非嫡出子)の見通し

全出生数に対する嫡出でない子の割合

近接要因 平成9年推計
1980出生コーホート
新推計
1985年出生コーホート
結婚行動の見通し
晩婚化 晩婚化は進行し、平均初婚年齢は上昇するとの認識
 24.4歳(1950年生まれ)→27.4歳
(3.1歳の上昇)
晩婚化は進行し、平均初婚年齢は上昇するとの認識
 24.9歳(1955年生まれ)→_歳
生涯未婚 未婚化は進行するとの認識
 4.6%(1941-45年生まれ)→13.8%
未婚化は、勢いを衰えさせながら進行するとの認識
 5.2%(1946-50年生まれ)→_%
同棲(事実婚)の見通し 安定的であるとの認識 若干上昇傾向にあるが、極めて低い水準
離婚・再婚の見通し 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。 離婚率は上昇しつつも、同時に再婚率も上昇。離別者の平均子ども数はほぼ安定。
夫婦出生行動の見通し
子どものいない夫婦
の見通し
初婚年齢の上昇に伴い増加の傾向
 3.8%(1943〜47年生まれ)→10.7%
初婚年齢の上昇に伴い増加の傾向
 3.2%(1948〜52年生まれ)→_%
夫婦の子ども数
(完結出生児数)
の見通し
初婚年齢の上昇に伴い、以前より減少
傾向が進むとの認識
 2.18人(1943〜47年生まれ)→1.96人
初婚年齢の上昇に伴い、以前より減少
傾向が進むとの認識、1985年以降に結婚した夫婦で小子化傾向が強まる傾向
 2.13人(1948〜52年生まれ)→ 人
婚外子(非嫡出子)
の見通し
極めて低い水準が続く 若干上昇傾向にあるが、極めて低い水準
若年齢における出生率
上昇の解釈
当時現象なし 婚前妊娠の増加の可能性


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