01/09/25 女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会      第11回議事録     女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会                      第11回議事録                 厚生労働省年金局年金 女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会(第11回) 議事次第        日 時:平成13年9月25日(火) 16:00 〜 18:08        場 所:厚生労働省 省議室        議  事            1.開  会            2.委員出席状況報告            3.議  事              専業主婦、専業主婦経験者を交えてのフリートーキング ○袖井座長 まだおいでにならない方もいらっしゃいますが、一応定刻になりましたの で、ただいまから女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討 会を開催いたします。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとう ございます。また、ヒアリングに来ていただいた方々にも御礼申し上げます。  それでは、まず事務局から委員の出席状況を報告していただきます。 ○企画官 本日の委員の出席状況について御報告を申し上げます。本日は翁委員と高島 委員、それに藤野委員が所用のため欠席されておられます。その他の委員は全員御出席 の予定でございます。以上でございます。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。  それでは、早速議事に入りたいと思います。本日は、専業主婦を経験された方ですね 。つまり、第3号の経験の方を交えてフリートーキングを行いたいと思います。私と宮 武委員、それから事務局で相談いたしまして、資料にございますとおり4人の方に御協 力いただくことにいたしました。4人の方におかれましては、お忙しい中御協力いただ きまして誠にありがとう存じます。  フリートーキングに入ります前に、本日の資料につきまして事務局より簡単に説明し ていただきます。 ○年金課長補佐 資料について御説明申し上げます。本日、3種類の資料を準備をして おります。  資料の1番目は、本日フリートーキングに御参加をいただく4名の方の簡単な履歴を まとめております。  資料の2番目でございますが、これはフリートーキングを進めていく際にいろいろこ れまでの議論をしてまいりました資料の中からポイントとなるような資料をピックアッ プして、これをご覧いただきながら議論が進めばということで準備をしたものでござい ます。  資料3は提言書等ということでやや厚い資料を準備をしてございますが、これは各種 の団体の方あるいは個人の方から、女性と年金の問題につきまして調査をされました り、あるいは考えをまとめられたりして事務局あるいは委員の先生方の方に送付のあっ たものをでまとめてございます。皆様お一人お一人からお話をお伺いするということも なかなか時間の関係でかなわないわけですが、できるだけ多くの意見を参考にして議論 を進めていきたいということで、このように資料として添付いたしました。  4つございますけれども、最初に大島委員の方で調査をされました主婦の就労と年金 についてのアンケートを準備しております。これは後ほど大島委員の方からお話もあろ うかと思います。  それから提言書の2番目でございますが、シングルマザーズフォーラムという団体の 方でシングルマザーの年金の状況について調査をされてこの度まとめられたということ でございます。私どもの方でもお話をお伺いしましたが、3号の方が就業調整をするの で自分たちも同じような状況で働かざるを得なくなり、その結果、低所得になってしま うという問題でありますとか、被用者年金の適用にならないような就業条件ということ になりますと1号被保険者となるわけですが、その際の年金給付について3号の仕組み と比べてバランスがどうなのであろうかというような問題ですとか、免除制度を知らな いという方も随分多いといったような話ですとか、あるいは離婚と年金の相談というの も非常に最近多く寄せられるようになってきたというお話でありました。  3番目でございますが、女性と年金に関する提言書ということで、社会保険労務士の 有志の方が集まって検討した結果だということで先日いただいたものでございます。  4番目でございますが、これからの年金制度ということで税理士の方がまとめた提言 書、是非委員の方に見て参考にしていただきたいということで送付のあったものでござ います。以上、提言書等について今日お配りをしたものについて概略を御説明させてい ただきました。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。  それでは、早速フリートーキングに入っていきたいと思います。これは、以前から専 業主婦の方からヒアリングをしたいというふうに皆様方にも申し上げておりましたの で、今回こういうフリートーキングの形で実現したものでございます。こういう形をと らせていただきましたのは、来ていただい方に委員から一方的に質問をするというので はなくて、来ていただいた方からも委員の方あるいは事務局への質問をするというふう に、いわゆる行き来ですね。ちゃんと意見の交換をするという形で全員で討論したいと いうことを願っておりますので、よろしくお願いいたします。  まずフリートーキングの進め方といたしまして、4人の方に自己紹介を兼ねてこれま での経歴と年金との関わりですね。特に女性の場合、幾つかの年金を渡り歩く方がたく さんいらっしゃいますので、御自分の年金歴と申しますか、1号、2号、3号、それを どういうふうに動いてきたかとか、あるいは受給者のどれがどうであったかとか、そう いうことを中心にお1人3分程度で自己紹介していただいて、それで年金そのものの詳 しい質問につきましてはまた後ほどちゃんと区分けをして質問いたしますので、とりあ えず自己紹介という形で簡単に御発言いただきたいと思います。  最初に中村麻美さんを御紹介いたします。中村さんは昨年行われました社会保障構造 の在り方について考える有識者会議の若い人の代表ということで、ヒアリングで御意見 を発表されておられます。それでは中村さん、よろしくお願い申し上げます。 ○中村氏 中村麻美です。去年、社会保障の会議の方に出させてもらいまして、それで またお声がかかって今日出席ということになりました。  年は25歳で昭和50年12月生まれです。結婚する前までは、専門学校を出まして2年間 システムエンジニアという形でコンピュータの技術者をやっておりました。結婚を機に 一度退職しまして、その間、保険が変わりまして新しい手帳が1枚増えました。それで 入籍をしてからだんなの方に入りましたので、現在は第3号という位置付けになってい ます。  現在はコーヒー屋さんでアルバイトをしながら通信教育の大学で勉強しております。 家事とバイトと勉強の両立をやっておりまして、忙しいながらだんなと2人で楽しい毎 日を送っております。  将来のことを考えまして、自分が子どもができて出産してとなりますと、外へパート に働きに出るということが難しくなると考えまして、国家資格等も持っているのでSO HOという形で在宅の方の今、下準備をやっております。今日は専業主婦という立場 と、あとは自分の立場に立っていろいろ意見を述べようと思っております。よろしくお 願いします。 ○袖井座長 どうもありがとうございます。それでは、次に原美紀さんを御紹介いたし ます。原さんは現在横浜にありますNPO法人びーのびーのの副代表で、子育てをサ ポートする活動を展開していらっしゃいます。それでは原さん、よろしくお願いいたし ます。 ○原氏 原美紀と申します。横浜市の港北区の方から参りました。  私の略歴はあらかじめ配ってあるとおりなんですが、普通に企業の方に大学を卒業し た後、新卒で入りまして、結婚を機にそこの会社を5年ほど勤めて辞めました。それ で、結婚した年に子どもを出産しております。現在は7歳と5歳と3歳の子の母でもあ ります。 それで、結婚後一応第3号ということになって現在も第3号ということで続 いておりますけれども、昨年度地元の方でNPO法人ということで今、御紹介があった とおり、ゼロ歳から3歳の子どもとその親を対象にした広場型子育て支援施設というの を立ち上げました。ですから、一応M字型の本当に典型というか、再就職という形にも なるんでしょうが、まだまだNPO法人ということで再就職というところまではいって いないので、一応第3号のままでおります。  この場に参りましたのは、個人的なそういう第3号の立場からということと、日ごろ よりほとんどその広場に訪れる方は専業主婦の方が多いので、育休の方も若干いらっし ゃるんですが、そういう立場の皆さんの声を少しでもこの場で反映できたらと思い参り ました。よろしくお願いいたします。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。次に、杉山千佳さんを御紹介いたします 。杉山さんは平成10年に行われた少子化への対応を考える有識者会議の委員を務められ まして、現在フリーランスライターとして御活躍中です。それでは杉山さん、よろしく お願いします。 ○杉山氏 どうもはじめまして、杉山千佳と申します。  略歴の順番で自己紹介をさせていただきますと、まず株式会社リクルートフロムエー に入社いたしまして、このときに第2号で1年ちょっとで妊娠を機に退社をして3号に なりまして、それで子育てに専念をしておったんですけれども、なかなか専業主婦とい うのが居心地が私にとってはよくございませんで何とか仕事を再開したいというふうに 思いまして、ライターとしての仕事をしたりとか、地元のお母さんたちと一緒にすきっ ぷまむというグループをつくって子連れマップをつくったりですとか、そういった活動 をしておりました。  それで、ライターになってからは、ずっと確定申告はしておりましたのでどこかの段 階で本当に収入を得て第3号被保険者のあの壁を通り越すことができたらどんなにいい だろうという思いと、私はそうしたらちゃんと払おうというふうに思いながらそのタイ ミングを、自分からは言わずに言われるのを待っていたという状況でおりました。そう いったところで少子化への対応を考える有識者会議に参加させていただいて、ますます もって女性も自立して子育てもしていかなければいけないし、考えていかなければいけ ないなみたいなことを考えることができました。  今は1号なんですけれども、補足というか、昨年一緒の会社で出会いました夫がちょ っと腰を痛めまして手術をしたものですから、会社には、30歳選択定年制という制度が ありまして、年功序列ですとか終身雇用みたいな働き方はそろそろ終わりになってくる だろうし、夫にももうちょっと家庭に目を向ける人生を送ってもらいたいし、また、一 方で生きる選択肢を彼にも与えてあげたいというようなさまざまな思いで、「私が稼ぐ から辞めたら?」と申しまして、昨年夫は選択定年制で辞めました。それで、今は資格 取得のために勉強中でして、夫も第1号という状況です。そういったところです。よろ しくお願いいたします。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。それでは、最後になりましたけれども末 包房子さんを御紹介いたします。末包さんは御自身の専業主婦経験の中から年金の問題 を含めて、女性の問題について『専業主婦が消える』という本にまとめておられます。 それでは末包さん、よろしくお願い申し上げます。 ○末包氏 こんにちは、末包房子と申します。今日は、お招きいただきまして本当にあ りがとうございました。  私は小金井市に住んでおりますが、消費生活コンサルタントとして小金井市役所に非 常勤という形で20年、消費者の苦情相談の受付窓口で働きました。しかし、その20年働 く間、ずっと被扶養の立場で働いておりましたので、労働人口には入らないで本当の専 業主婦の中に入る働き方でした。その間、昭和61年3月まで国民年金に任意加入で入っ ておりました。それで、61年の4月から3号制度が発足いたしまして、62年の10月まで の1年半3号でした。夫がサラリーマンですので、1年半だけ3号のところに入ってい たわけです。その1年半の後は夫が亡くなりましたので、今度は1号になりました。そ れで、自分が保険料を納めて過ごしていたわけです。60歳まで1号で納めていました。  それで、65歳になりまして国民年金をいただくようになりました。もちろん夫が亡く なった時点で遺族年金はいただくようになりましたから、現在は夫の遺族年金と私の基 礎年金を足した額をいただいている立場の専業主婦でございます。一生専業主婦でし た。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。  それでは、意見交換に入ってまいりますが、その導入という意味で、まず宮武委員か らこれまでの検討会での議論を踏まえまして、お越しいただいた方々に御質問をお願い したいと思います。何問かずつ質問をして、それにお答えいただくというやり取りとい う形で進めたいと思いますので、宮武委員よろしくお願いします。 ○宮武委員 てんでばらばらに我々が質問をすると混乱をなさるでしょうということで 、だれでもが聞きたい共通の質問だけ私の方からまずさせていただいて、その上でフ リートーキングに入りたいと、こういう趣旨であります。  そこで、今日4人の方に出ていただきましたけれども、女性の場合どうしても結婚と か出産で職場を離れざるを得ないことになりますと、当然ながら厚生年金の加入期間が 短くなるわけですね。また、子育てが一段落して再就職できる場合もあれば、またなか なかできずにパート的に働くというケースもある。それで年金額が低くなるということ が指摘されてまいりました。ちょうど今日お配りしてある参考資料がございますけれど も、専業主婦、専業主婦経験者を交えたフリートーキングの資料の第1ページ目を開け ていただきますと、そこにパターン化された女性の今のライフスタイルが書いてござい ます。ずっと出産、育児時期を通じて働く方もおいでになりますけれども、離職をして 再就職、フルタイムの場合もあれば再就職がパートタイムになる場合もある。あるい は、辞めて専業主婦のままの方もいる。あるいは、今、末包さんがおっしゃったように ずっと専業主婦の方もおいでになる。それぞれによって年金の右側のケースが変わって くるわけですね。  そういう中で、最近では離婚も増えて、第3号の場合には報酬比例部分については全 部夫の方が持っていって自分には基礎年金しか残らないとか、そういうことも問題にな ってまいりました。ライフスタイルの変化に対して今の制度というものが合っているの か、合っていないのか、そういう問題点を実体験としてどんなふうにお持ちであるか、 お聞きしたい。  もう一つそれに関連して、これも末包さんがおっしゃいましたように、昭和60年の法 律改正で女性の年金権を確立するということで、当時は基礎年金もない時代でございま したので、基礎年金をつくることによって専業主婦の年金権も確立されたというのが改 正の一つの意味であったわけです。それが、今はむしろ専業主婦が優遇されているとい う批判があるわけです。こういう点について4人の方がどんなお考えをお持ちか、お聞 きしたいと思います。御発言順で中村さんからでもよろしゅうございますか。 ○中村氏 理想としてはやはり厚生年金、国民年金を納めた人に対して年金を支給する ことが望ましいと私は考えています。  ただ、実際に子育てと老人介護等が出てきたときに今、第3号を受けている方に対し て月々第1号ということでこれから払ってくださいよと変わった場合に、1万3,300円 ずつ払えるかどうかというと、払える家庭と払えない家庭が出てくると思うんです。そ れなので、義務という形で変えられてしまうときっと不満が出ると思うんです。憲法上 にも多分違反してくると思います。自由主義というか、民主主義なので、強制されてし まっては恐らく、なぜという方も出てくると私は考えます。  離婚後の対応としては、結婚していた年数ですか。年数を通して報酬比例分も合わせ て割るのがいいと思います。財産分与という形で、妻にも受け取る権利があると私は考 えます。以上です。 ○宮武委員 ありがとうございました。大変簡潔でよくわかりました。  それでは、原さんの方はいかがですか。 ○原氏 まずこの表が今の実態に合っているかどうかということなんですけれども、本 当にざっくばらんに私の感想を申し上げますと、合っているか合っていないかというよ りも、これを見たときにすごくわかりやすいというか、こういう体系になっているんだ ということが今、初めてわかったという形なんです。私もここに出てくるに当たって今 回資料を全部読んで、できる範囲内で短い期間だったんですけれども、いろいろな方 の、私と同じ立場の第3号の方たちの意見を聞いていて、こういうふうになっているん だよなどと見せると、みんなおおっと感心して、やはりそんなレベルなんです。  ですから、まず合っているか合っていないかということに関してみれば、多分合って いないとは思うんですけれども、体系的にこうなっているということ自体知らないとい うことが本当です。それで、私自身もそうだったんですが、まず厚生年金をかけている のも会社を辞めて年金手帳というのを離職するときに初めて総務の方からもらって、あ なたの年金はこうなっていて辞めたら第3号に入ってくださいとか、国民年金をこれだ け払ってくださいというルートを教えてもらったのが初めて年金と私の出会いだったん です。そんな形で今、歩んできて子どもを持った方たちなので、今は就労体系であると かライフスタイルがいろいろな変化をしてきて、多分これは合っていないとは思うんで すが、では専業主婦とか第3号の私たちに、もし1号になって1万3,300円を納めてもい いかということを突き付けられてもとても現実味がないというか、やはりそんなに取ら れるのはなぜという感じになるということは確かかなと思います。 ○宮武委員 ありがとうございました。杉山さん、いかがですか。 ○杉山氏 まず、いかに私たちが無知かというところからお話をするのですけれども、 先週私もいろいろ厚生省の方からお話を伺って、それで第1号のあなたは1万3,300円 かける12をずっと払っていて基礎年金しかもらえない。だけれども、第3号の専業主婦 の方たちは払っていないけれども基礎年金がもらえるということを先週初めて知ったん です。それで、おかしいですよねとちょっと平静でいられなくなってしまいまして、そ ういう気持ちをやはり持ってしまうわけで、シングルマザーズフォーラムの方のお話も ちょっと聞いたときに、おかしいですよねとやはり出てしまう。  そういうことで女性同士が、あの方たちは第1号で働かないと年金をうけとれないの に専業主婦の方は夫がいるからうけとれる、何となくの対立関係みたいなものを生んで しまうのは非常に不幸なんじゃないだろうかという気がいたします。私自身が専業主婦 をやっていたときにワーキングマザーのお友達などがいまして、それで厚生年金は本当 に高いのよねという話を聞くと、ちょっとちくっと胸が痛かったりとか、説明を伺えば 夫がたくさん払っているんだから結局はいいんだよというふうになりますけれども、そ うは言っても私は払っていないという後ろめたさであったりとか、育児雑誌のライター をやっておりますのでいろいろなお母さんたちとお目にかかるんですが、その中の社会 的な孤立であるとか、育児不安であるとか、そういった部分のちょっとしたところにあ るかもなという気がいたします。というのは、それまで高学歴である程度第2号という ことで年金を払っていらした方が突然第3号になられて、夫の払いの中で自分は払わな くてもいいけれども基礎年金はもらえるという制度に放り込まれるわけですから、それ がしっくりとは恐らくこないんじゃないのかなという気持ちがいたします。また、例え ばパートタイムの方たちは働いているわけですから、その収入に見合った形で少しでも 納めるというか、支払うということがあってもいいんじゃないのかなということも思い ます。  あとは、出産、育児というのは大事にしてあげたいなと思いますので、第3号をまず 何らかの形でなしにした後に、その期間中はというか、介護のときとかというふうな形 の事情に合わせた加味の仕方をお考えいただいた方が、専業主婦で家にいるから第3号 というよりは女性たちの気持ちが落ち着くという気がします。 ○宮武委員 杉山さんは今は1号になられているんですね。だから、2号、3号、1号 と全部一応体験なさっているんですね。ありがとうございました。  末包さん、最後になりまして恐縮です。 ○末包氏 まず最初に申し上げておきたいんですけれども、私は先ほどずっと専業主婦 でしたと申し上げました。ですけれども、これから申し上げる意見は私の反省も含め て、お3方と比べると多分厳しい意見が私の口から出てくると思います。それは、私の 人生の反省を込めて言うつもりなんですけれども、これは全く3号を悪者にするとか、 敵対意識をするとかという気持ちはさらさら私にはございません。むしろ21世紀、今の ままの状態で3号の方が幸せにやれるのというような疑問から、3号に対する先輩から の応援歌というような気持ちで、ちょっと厳しいことを申し上げますけれども、そうい うふうな優しい気持ちも少しはありますので、そんな感じで聞いていただきたいと思い ます。  まず、この表を見ましてとにかく一番先に、やはり夫あっての女性の年金だなと思い ます。制度の中でもかなり不公平な面もあります。これは一々挙げていると時間がなく なりますので、同じ厚生年金の中でも不公平があるということを後でチャンスがあった ら言いたいんですけれども、とにかくこの年金の制度は女性は結婚して、それでずっと 離婚をしないという前提の下につくられている制度のような気がするんです。この チャートは結婚、出産、退職と、老齢になったときの年金ですけれども、この右側に私 は遺族年金を付けるともっとはっきり女の一生というのが出たんじゃないかなと思いま す。私は今、計算してここに付けたのを持っているんですけれども、とにかく損か得か ということの面から見れば絶対に3号は得です。でも、今3号を優遇する制度というふ うに言われていますけれども、私はこれは優遇ではないと思うんです。この制度がある ために女性は性別役割分業を押しつけられますし、女性の自立が妨げられる。それか ら、全体的に見て年金財政が逼迫しているわけですね。そのときに、元気な3号の方が 保険料を納めないで年金を受けるだけでいいのだろうか。今までの時代はそれで済んだ かもしれませんけれども、今のような低成長になって21世紀少子高齢社会ですので、そ ういう負担をしないで給付だけ受けるというのは非常によくないと思います。経済的だ けではなくて、ジェンダーの視点から見てですね。  それで、今も杉山さんからちょっと出たんですけれども、私が納めていなくても夫が かなりたくさん納めているとおっしゃいましたが、これは夫じゃなくて2号全体が納め ているわけですから、かなり今の杉山さんの御発言のようなことが一般的にはまかり通 っているんですね。私の分は私の夫が納めている。だからいいんだ。そうでないという ことをもっともっと一般の3号の方に知っていただく努力をしなければならないのでは ないかと思います。  それで、私は最後にちょっと1号になったんですけれども、ほとんどが専業主婦でし たから、このチャートの下へ1号の女の一生を付けますと、また非常に不公平だという ことがはっきりわかってくると思うんです。だから、右の方は遺族年金、下へ1号を付 けるとすべてが網羅されてよかったかなと思います。一応この辺で止めておきまして、 細かいことはまた後ほど申し上げたいと思います。 ○宮武委員 とても明快な御意見を4人の方からお聞きできました。  しかし、現実には第3号被保険者に今なっておられて、3人の方は保険料負担が自分 名義でないわけですけれども、もし仮に1万3,300万を毎月国民年金の保険料で払わな ければいけないということになる。言い換えると、その保険料を払わなければ年金は給 付されないという形の仕組みに変えた場合にはどういうふうに考えられますか。  あるいは、今の3号被保険者の仕組みというのは今すぐ変えられなくても将来的にや はり変えていかなければいけないという意見も当然ながらあるわけです。末包さんがま さにおっしゃった御意見ですけれども、そういう問題を考えますと、どういう条件なら ば、あるいはどういうふうに世の中が変わってくればこれを変えることができるのか。 その辺の御意見はいかがでしょうか。特に現在3号である原さん、中村さんは、いかが でしょうか。 ○中村氏 今すぐ払えと言われたらですね。私はパートに出て勤めているので、年収は そんなにいかないんですけれども、忙しいときとかは時間が延びたりするのでせいぜい 60万円ですか。プラス学費を自分で払っているもので、その中から1万3,300円を引か れるとしても、自分には余り返ってこないというか、別にしようがないかなと、払える という状態なんですけれども、実際に介護とか子育てとか、元から病気がちで体が弱い 方とか、突然交通事故で体が動かなくなってしまったという主婦とか、今3号を受けて いる方が、これから1万3,300円を払ってくださいと言われて払えるかと言われたら、 払えない人も出てくるんじゃないのかなと思うんです。元気なうちは、払いなさいと言 われても払えるとは思うんですけれども、病気をしたらちょっと不安ですね。 ○宮武委員 原さん、いかがでしょうか。 ○原氏 多分、払えと言われたらもちろん私も含め、それは負担になるのは当たり前な んですが、やはり意識の問題だろうなというふうな気がするんですけれども、自分たち も子どもにたくさんの種類の保険もかけていますね。郵便局の学資保険とかいろいろな 保険を払っていて、そういうのと同じレベルになれば払ってもいいなという気はもちろ んするでしょうね。だから、それは1万3,300円払いなさい、あなたの将来のためにと ぽんと下りてくるかとか、その下ろし方かなという気がするんです。もちろん家計的に は断然皆さん苦しいのは多分苦しいと思います。ただ、それが払わなくちゃいけないと か、払いたいなと思うようになるかどうかという問題が一番大きいと思います。  それで、さっき杉山さんがおっしゃったように、第1号の方と第3号の方の格差とい うのはすごくあって、後ろめたい気持ちとかあるんですけれども、日ごろそんなに会話 に出るわけではないんですが、うちにも育休中の方は結構来ているんですが、私の年金 はねなどという話は子どもを通じて余りはしないんですけれども、またこれを払っても 自分たちに将来必ずこれのリターンがくるんだというふうな世の中にはならないだろう なということもみんな多分よくわかっていると思います。だけど、払った方が絶対いい なという気持ちも私も含めてあるので、それが1万3,300円が適正かどうかということ はあると思うんですが、意識的には断然自分のものは自分で払いたいという気持ちがあ るのは確かかと思います。 ○宮武委員 ありがとうございます。  次に、パートタイマーの問題というのも年金の中で大変難しい問題を抱えています。 ここの参考資料の中でも女性のパートタイマー、労働者の年収についてという資料が4 枚目ぐらいにございますし、それから社会保険の加入状況はパート別に見た場合どんな ふうになっているのかという資料もございますけれども、税制の面で言いますと103万 円というところを超えますと所得税がかかってくる。年金や健康保険の社会保険制度で 言いますと130万円を超えると1人前に保険料を取られるんです。そうすると、その収 入に達する前に仕事をしなくなる。そういう問題が出てまいります。  ですから、仕組みそのものが女性が働くことを抑制しているというか、ブレーキをか けているという意見がございます。今、仕事をなさっています杉山さん、中村さんはこ の103万円の壁とか130万円の壁についてはどんな御意見をお持ちですか。 ○杉山氏 私の回りには、パートで働きに出ている専業主婦の方もたくさんおいでにな ります。それで、そういった人のお話を聞きますと、やはりコントロールしていらっし ゃいます。そのように超えないように、それは御自身がやる場合もありますし、それか ら雇用者の側が休んでちょうだいねというふうに言って休まざるを得ないというような 状態もあるようです。  皆さん本当に能力をお持ちでいろいろやってみたいと思っていらっしゃる方たちなの に、その能力を103万だとか130万だとか、およそ経済的自立にはつながらないようなと ころのラインで止められて先にいけないという状況を国がつくっているというのは何と も理不尽だと思います。私はといいますと早く超えたいという一心で一生懸命働いてき たわけなんですけれども、働いていても3号の時期もありますよね。そのときは、だっ て払いたくても払わせてくれないんだもんみたいなちょっとずるい気持ちで言い訳して いました。そういうずるい気持ちは第1号の方であったり第2号の方は、何ということ !と絶対に思っていらっしゃると思います。そういう気持ちにさせては、やはりいけな いんじゃないかと思うんです。働いたらそれに合わせて払いましょうよということを公 平に伝えるためにも、その壁は早くなくしていただきたいなと思っております。 ○宮武委員 この委員会の中でもパートの問題は収入の問題だけではなくて、4分の3 条項という言い方をしますけれども、正規の労働者の方と時間的に4分の3以下であれ ばパート扱いをするという、それだけ働いているんだったら何でパート扱いにするん だ。もっと2分の1ぐらいのところでパート扱いをするかしないかの基準を下げろとい う意見もあるんですね。それはいかがでしょうか。 ○杉山氏 どこかでラインを引いた方がいいということであるならば、なるべく低いと ころに置いて、だれでもがちょっと働けば軽々と超えられるようなラインがよいのでは ないかと思います。  それで補足なんですが、例えば私の仕事などは在宅ワークに近いのでSOHOと言わ れるものなんですけれども、そういった部分ですと雇用関係が余りはっきりしていない ものですから、きちんと伝票を取るとか、そういう形でお金の出入りが残らない場合が 多いんですね。例えば、確定申告をしないで源泉徴収された金額のままもらって夫の扶 養に居続けるというようなことをやることもできたりするようで、そこら辺は不勉強で よくわからないんですが、それはまたもったいない話というか、そこら辺がもっとクリ アになってくれば在宅ワークという働き方も何となくダークなイメージがなくなって一 つの仕事として確立していくんじゃないのかなと思います。 ○宮武委員 中村さんにも同じ質問なんですが、収入面における103万円の壁、130万円 の壁、それと労働時間面における4分の3以上、以下という区分けですけれども、それ は体験上いかがでしょうか。 ○中村氏 自分はたまたまなんですけれども、今バイトをしている場所が四ッ谷にあり まして、そのお店はコーヒー屋さんなんですけれども、上智大学とかいろいろ回りに大 学があるので大学生もバイトをしているんです。それで、通信大学なのでほかの大学生 が夏休みのときに自分はスクーリングとかに行くので、抑制してきたつもりはないんで すけれども、たまたまうまい具合に収まっちゃっているという感じなんです。それで、 今まで税金というか、外れますよというのが来たこともないですし、ちょうどいいかな と思っているんですけれども、力のある人でパートタイマーでもがんがん働きたいとい う方に対してはこの制度はちょっと意地悪というか、厳しいなと思っています。  それで、高校が私は商業高校だったので、経験を積むために外でバイトをしてもいい ですよという高校だったんです。それで、実際に土日とかバイトに出ますとパートのお ばさんと一緒に働く機会があるんですけれども、やはり年末になるとやばいやばいとい う声がいっぱい聞かれて、どうしても出られないとかという話を聞いて、だれかの架空 口座じゃないですけれども、だれかの名前を借りてそこに振り込んでくれとか、かなり 悪質なことをしていたおばさんも知っていますので、結構引っ掛かるとつらいというの はあると思います。だから、やはり働いた分、納めるというのが一番いいんじゃないで すか。厚生年金というのは基礎年金プラスちょっと多いわけですから、結局自分に返っ てくるものですから、多分そのパートのおばさんとかはそういうことを全然知らないと 思うんです。それなので、心理的に取られるというのは嫌じゃないですか。絶対そう思 うんです。 ○宮武委員 よくわかりました。ありがとうございました。 ○末包氏 私は今の方のような立場ではありませんので、多分当ててくれなかったんじ ゃないかと思うんですけれども、今のことについて私が思っていることがあるんです。  それは、103万円の壁とか130万円の壁とか、被扶養者はほとんど女性ですので女性と 申し上げます。女性にはそういう壁があると言うんですけれども、103万円の税金の壁 は全然損にならないんです。103万円を超しても増え続けるわけです。だけど、103万円 を超すと何か税金を取られるから収入が減っちゃうよというふうなでまが飛んでいるん ですね。それから、130万円では社会保険料を払いますから完全に実収入は減ります。 150万ぐらい働かないと130万のときの手取り収入にはなりませんから、そこでは必ず減 るんですけれども、103万円の壁というのはないと私は思っています。ですから、そう いう壁は壁じゃなくて、私は前からのれんだと、のれんなんか押し分けて進みなさいよ ということを言っているんです。  ただ、一番の壁は税金の壁と年金の壁じゃなくて配偶者手当ての壁だと思うんです。 これは大体100万から103万のところで支給停止になっていると思うんです。ですから、 私は駒村先生のレポートを読ませていただきまして応益負担、要するに自分が利益を生 むためにはその分を負担しなさいよということだと思うんですが、それが原則だと思う んです。苦しいからとか苦しくないからというのは3号だけが苦しいんじゃなくて、シ ングルマザーズフォーラムのレポートも読ませていただきました。非常に切羽詰まった 嘆きみたいな声が文章の中から聞こえてくるようで私は身につまされたんです。ですか ら、3号が納めるようになると今までより取られるから苦しいよねというふうな考え方 じゃなくて、1号がどんなに苦しくても出して3号の出さない人の分まで負担している んです。自分の分だけじゃない。よそのどこかの3号の人の分まで負担している。そう いうことを思えば、私は出すものは出して、それで受けるものは受けるということにし たらいいと思います。ですから、103万円以下の人は配偶者手当てをもらっているんだ から、それを私の保険料に使ってねと夫に言えるような、そういうことに国の方からし ていただけないかしらと思って御提案申し上げます。 ○宮武委員 念のため配偶者手当てはある企業とない企業がございますし、大企業に集 中的にあるという現状で、全員にあるわけじゃありませんね。 ○袖井座長 今、末包さんがいろいろ3号の御批判をなさいましたが、3号制度につい てアンケート調査を実施していただきました大島委員から御報告いただきます。資料が 入っていると思いますので、大島委員よろしくお願いします。 ○大島委員 4人の方には、主婦の立場の意見へのサポートをいただきましてありがと うございました。私もなるべく多くの意見が反映できるようにと思いまして、200名で すけれどもアンケートを取りました。資料がお手元にあるかと思いますので、ちょっと 簡単に問題のあるようなところだけ説明させていただきます。  この対象なんですけれども、女性センターの講座とか子ども会あるいは家庭教育学級 というようなところがまとまって取ったところでして、その他は友人、知人を通じまし て5名ぐらいずつ取りましたので、地方の人もおりますし、大分バラエティには富んで いると思います。ほとんどがサラリーマンの妻です。  まず5の就労状況なんですけれども、もっと何らかの形で働いている女性が多いので はないかと思ったんですが、今回の場合、平均して50%、30歳以下では80%が無職とい う結果が出ました。これは、その上にある子どもの数が3人以上が4分の1というふう に少子化時代にしては多い子どもの数が出ておりますので、子育てとの関連あるいは現 在の不況の状況、そんなようなことが関係しているのかなと思いました。  次に7番のフルタイム希望なんですけれども、過去にフルタイムの経験があって今回 の御出席の方のように結婚、出産などで退職していますので「思う」という人が多いと 予想したんですけれども「思わない」人が70%近くもおりました。理由は表のとおりで す。それで、その他の欄の書き込みが後ろに自由記述をまとめてありますけれども、一 番多かったのがこの「思わない」のところなんです。妻が家事育児を担わざるを得ない とか、再就職先がないとか、若いときも大した仕事をしていなかったからとか、女性の 現在の労働状況が反映されて「思わない」んじゃなくて思えないんじゃないかなという ふうに私は理解してみました。  次のページで10の年金についてですけれども、結構年金への関心度は高かったです。 したがいまして、3号問題についても50%以上の人が知っていたという回答をしていま す。 12にいきまして、その上で支払う方がいいか、支払わなくてもいいかという設問 に対しましては、支払う方がいい48.6、支払わなくていい40.9というふうに、これは前 回申し上げたんですけれども、理由といたしましてはやはりこれからの時代を考えれば 支え手の増加、それから先ほどから出ております自立した社会人として払うべきだとい う意見が多くなっております。それから、払わなくていいという人の方は当然のごと く、自分の所得がないので払えない、それから制度の整合性、あるいは夫が払えばいい というような理由になっています。  これを支払う方が多いと見るか、まだまだ支払わなくていいという人が多いと見るか というところは視点によって異なる結果が出たわけなんですけれども、これをフルタイ ム希望で思うという人の支払うという意識はどうなんだろうということで人数を取って 見てみますと、やはり54.9%、半数を超える人が払ってもいいと答えているわけです。 と言うことは、思う人が実際には働いて、思わない人が思うようになれば3号の問題は 解決していくということで、やはり子育て支援とか労働条件など、女性が働く環境を整 えていくということで、年金を考える場合もそういう方の提言のようなものをしていく といいのではないかというようなことをこのアンケートからは感じました。  いろいろな意見はまたこの後ろのところに書いてありますので、以上です。 ○宮武委員 あと幾つか私の方で共通の質問をやりたいと思っていたんですが、時間が 大変かかっております。私の方は出産育児について年金制度上もうちょっと手当てが必 要ではないか。それについてはお考えと、離婚をした場合に女性が基礎年金だけしか手 にできないことについてお聞きしたいと思っておりましたが、部分的にこれについての お答えもいただきましたので、共通の質問項目は終わってあとは自由にやっていただき たいと思います。 ○袖井座長 それでは、多分委員の皆様の中からいろいろ御質問があろうかと思います ので、どうぞ御自由に。 ○杉山氏 出産育児の部分でどう加味しようかというようなお話のときに、専業主婦で 夫が厚生年金を得ている、基礎年金はある。それで、その上でプラスアルファ何か加味 してあげようかというようなお考えで御議論が進んでいるのか。というのは、私は現在 第1号なわけですから1万3,300円かける12を払っているんだけれども、基礎年金しか もらえないという状況であるわけですね。やはりそこにどうしてもこだわってしまいま すので、そこら辺のお考えをお聞かせいただければと思います。 ○袖井座長 どなたかお答えになる方はいらっしゃいますか。永瀬先生辺りはどうでし ょうか。 ○ 永瀬委員 私が思ってきたのは、男女間の年金格差が生じる最大の原因は多くの女性 が出産、結婚を通じて離職することによるものだと。例え年金改正をしてパートも第2 号に入れるようにして、男女全く同じ待遇で処遇したとしても、離職期間があり、か つ、賃金が下がることから必ず女性の年金の方が低くなる結果になってしまう。今はそ れを第3号という形で「妻である身分」の優遇によって一部是正しています。これは、 子どもを育てているとか介護をしているとか、には無関係であるため、シングルマザー も外れてしまうわけですけれども、「被用者の妻」の身分として女性の年金権の平均を 上げようという試みを1985年改正でしたと思っています。確かに改正で実際に平均の女 性の年金権は上がりました。無年金者も減りましたし、平均は上がっていて、当時はそ れなりの効果はあったんじゃないかと思いますが、今はそれがむしろいろいろな意味で 私は足を引っ張っているんじゃないかと考えています。  ただ、その際に第3号を廃止するとした場合に、では全く離職期間は離職期間とし、 労働市場に戻ったときにも男女全く同じでやりましょうといったら必ず女性の方が非常 に低くなるわけであります。そこをどういうふうに調整しているかが大きい課題と思い ます。例えば育児期間中も少し報酬比例部分で見るような制度を取っている国もござい ます。どういうふうに考えていくか。今は40年がモデル年金になっているんですけれど も、女性は20年働ける人がやっとぐらいですね。現状の老齢厚生年金受給者をみます と、女性の受給者は15年が一番多く、大体20年ぐらいまでが多いのです。男性の方は40 年にも分布がかなりありますね。現実的に厚生年金をもらっている人なので高齢者のこ とですが、女性がかなり低いところに集中しているということは、それだけで、男性に 比べ年金権が格段に下がるということです。このことを考えると、何らかの私は工夫が 必要と思います。ただ単に今の制度にのった上で、さあ第3号から全員1万3,300万円 取りましょうというのではなくて、もう少し制度全体を考え直した上での男女の年金権 の在り方というのを考える必要がある時期にきているのではないかと私自身は考えてお ります。そこのところをほかの委員の方々がどう思っていらっしゃるか、まだそこは合 意がとれていないと思いますけれども、それは私が考えておりますところです。 ○杉山氏 男女観というのもあると思うんですけれども、女性観の立場の違いによる年 金の受取額が違ってしまうというところがすごく気持ちが悪いという気がするんですけ れども、そこはいかがでしょうか。 ○袖井座長 その辺り、住田委員何かありますか。女性観の立場の違いということです が。 ○住田委員 おっしゃるとおり、女性の生き方というのは非常に多様でして、特に今、 変わり目の時期になっているかと思うんです。ですから、その中で比較したらでこぼこ は出てくるのはしようがないと思っています。正直なところ、そこは割り切らないとい けない。それで、お互いにあの人たちが得している、ずるいという言い方は余りしたく ない。これは女性としてどういう生き方がいいか、みんなで考えていこうという検討会 ですのでそれは置いておいても、ただ今までは一つのモデルがあったことは間違いない んです。それは、夫が働き、妻が家庭の育児、介護、その他すべてを担うという性別役 割分担、これが戦後高度成長期の一つのモデルであったことは否定し難いし、これが今 までの日本の経済を後押ししてきた。これも私は認めたいと思うんです。  ただ、これからどうあるかというときに、もうそれは一時の話であった。近代家族と いうのはこの長い歴史の中でもある意味では特異な希有な例である。しかも、日本のこ のM字型というのは先進国から見ても全く特異な経過である。結婚やら出産で退職され ている、それが当たり前の日本の現状というのが、逆に先進国からみると非常に特異な 例である。性別役割分担意識が強いというこの日本の現状はものすごくほかの国から見 て特異である。その結果として、男性は家事をしない。女性は仕事をしたら家事も仕事 もやらなきゃいけないというとても大変な思いで両立がし難いという情けない現実があ ったわけです。  ですから、その現実を基にして考えたらどういう制度があるかということは、今まで の中でもやもやしてきていますが、しかし、これからどうあるかというときは男女共同 参画だと思います。そうすると、家事も仕事もどこもかも男女がそれぞれやりたい。そ の個性に応じてやれるということになってきたとき、女性の生き方が違うから保険の受 け取り方も少し違うというのではなくて、選択したらそれに応じた支払いをし、それに 応じた給付を受ける。そこもきちんとやらなければいけないと思うんです。そうする と、専業主婦はこれからはっきり言ってなくなるとか、もっと減少して裕福な専業主婦 しか残らなくなるというときには、もう優遇策は時代に合わなくなってきているという ことははっきり言えると思うんです。今は変わり目の時代なんです。ですから、20代、 30代の今の若い方がこれからの社会を考えるときこのままでいいかという観点だけは持 っていただきたいと思っています。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。何か委員の方、質問がございましたらど うぞ。 ○下村委員 先ほど末包さんの方からもちょっとお話に出ておりましたけれども、配偶 者手当てですか、あれももう既に労組の方が廃止の方に見直しをするというふうに、夫 も妻も60歳まで共働きという前提で試算を進めているというニュースがありますね。そ の他に、この間の読売の報道にもありましたけれども、やはりパートタイム労働は100 万の範囲内で抑えているという歴然とした結果を報告しておりまして、これを既に政府 の方で内閣府の国民生活局がこれを問題視して提言しているということに着目すると、 やはり時代は流れてきている。先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、働いて応 分の税を納めて、そして発言もしていく。これからの男女共同参画時代には女性の声を 反映する意味でも、納めるものを納めて発言もしていくということが大事じゃないかと 私は思っております。 ○袖井座長 どなたかほかに御質問ございますか。  では、お3人の方に、中村さん、原さん、杉山さんは結婚退職とか妊娠退職とかをな さっていらっしゃるんですが、その辺はどういうお気持ちでそういう選択をなさった か、お聞かせいただけますか。 ○中村氏 私は元から技術職だったので、自分としては結婚してからも働きたいとは思 っていたんですけれども、システムエンジニアというのは男の職場で男性が多いところ で、主人に要らぬ心配をされましてどうしてもそういうのはやめてほしいと言われて、 では一たん結婚するまでの間、少し準備期間があったんですが、その間、何も仕事をし ないで結婚式の準備とかやっていたんですけれども、その間だけ第1種ですか、国民年 金の方に入れてもらって入籍するまでの間は国民年金を払っていました。  やはり人それぞれだと思うので、私は今、大学の方で勉強しているんですけれども、2 0代のうちにやりたいことはやっておこうという考えなので、30までにはとにかく卒業 して、いろいろな選択肢が広がるので、また再就職してちゃんと年金を第2号とか、そ ういう形で払っていきたいとは思っています。 ○末包氏 今、出産退職とか結婚退職という話になっているわけですけれども、私は結 婚そのものがこれからは永久就職でなくなる時代だと思っています。昔は結婚すれば永 久就職ですから何とか食べていけるということだったと思いますけれども、21世紀はそ れはなくなる時代だと思うんです。どういうふうになくなるかというと、やはり新聞な どでも報道されていますように離婚の規制緩和ということですね。離婚の数がどんどん 増えているわけです。それも高齢になって。それで、昔の人生50年の時代は結婚してか ら死ぬまでせいぜい30年ぐらいだったんですけれども、今は40、50年あるわけですね。 ですから、2人分の大人の時代を過ごすということで、非常に年金は女性にとって大切 なものなんです。ですから、やはり自分で納めるものは納めてやっていかないと、21世 紀はとても不安で仕方がない。  それから、夫自体の周辺が変わるわけですね。最近もリストラで仕事を失うという夫 がかなりいて、その挙げ句の果てには自殺をする人がいますし、今まではずっと年齢給 で給料も上がっていったんですけれども、能率給に既になっていますから、寝たきり賃 金か、あるいは下がるかというような夫も出てきますし、そういう時代に入りましたか ら、一家に大黒柱は2本ないととても安心していられないと思います。ですから、夫婦 間で結婚とか出産で退職するのをお決めになるのは自由なんですけれども、もっと将来 のことを考えて自分の足で立って生きていけるめどかついてからやってほしいなと思う んです。  ですから、結婚とか育児で大変申し訳ございませんけれども、辞めてしまうのはちょ うど夫1人に40、50年を託すかけみたいなものです。そのかけは当たるも八卦当たらぬ も八卦で、当たらない場合もあるわけです。例えば離婚だって、どんなに親切に優しく 夫に尽くしていても夫に愛人ができれば離婚の自由化になりますから、もうおまえなん か要らないよと言われたときにどうしますか。そういうことを考えると、とてもかけだ と思いますので、人生の危機管理のために私は絶対に払うべきだと思います。 ○宮武委員 末包さんは今のような形で離婚をした場合には夫の方が報酬比例部分を全 部持っていって基礎年金しか妻には残りませんね。それはどうされるべきだと思います か。 ○末包氏 今の制度はよくないと思います。やはり結婚していた年数によって半分とは 言わないまでも、ある程度の割合を離婚した妻に渡す方が私はいいと思います。 ○宮武委員 そうすると、逆にそれぞれ自立した男女が結び付くのであれば遺族年金と いう制度は要らないじゃないかという意見もありますけれども、それについてはどんな ふうにお考えですが。 ○末包氏 最終的には女性が自立してやっていけるようなシステムづくりができている ならば、遺族年金は要らないと思います。スウェーデンなんかないわけですから。 ○杉山氏 働き続けるというのはそれほど簡単なことではなくて、それは働き方の問題 で、男性が働きやすい職場環境が今もう既にでき上がっているわけで、それを育休後に 復帰して働き続けるという選択をする人が本当に増えているのはとてもとてもいいこと なんですけれども、では男並みに働き続けることを強いる社会があっていいのかという 問題があります。  それで、年金とは余り関係ないんですけれども、そういう働き方の部分をもうちょっ と出産、子育てに優しいものにできないかなということと、出産や結婚で辞めてもいい じゃないですか。問題は戻れればいいわけで、それがなかなか戻れないから皆つらいん ですよね。びーのびーのさんのようにNPOというふうに決められて頑張ってやってお られる方もいらっしゃるわけで、大島先生がお書きになられた中に、だって働き先がな いんだもんとか、50代になってから言わないでという感じなんですけれども、そんなの はないに決まっているわけで、それは今までそういうことをしてこなかったあなたが悪 いということなわけですね。だからそれを社会のせいにするんじゃなくて、自分たちな りで働きたいというふうに思っていろいろ考えていけばいいわけで、それを社会が後押 しするような、もしかしたら年金もそうなってほしいし、NPOに優しくなってほしい なとか、いろいろな部分であるといいなというふうに思います。  それともう一つが、例えば我が夫は36歳で仕事を辞めました。そういう選択肢をする 人は恐らく今後増えていくと思うんです。夫は40年間働き続けるものだというふうに決 めてしまうのも、これまたおかしな話で、女性がかけのように男もかけなわけで、私は 私を選んだ夫が、よかったよと言ってほしいので働くことを選び、今は私が夫のためで はないんですけれども、交替だよという形で働くやり方を家族で選びました。そういう ことがもっと自由に日本の中でもできていけたらいいんじゃないかなと思います。 ○原氏 自分自身が出産、育児をどう考えて年金とかで選んできたのか、本当にみっと もない話ながらそんなに長期的な視野に年金がこうなるからとか、そういうふうに考え てやったわけではなくて、生んだら辞めるのが当たり前というか、辞めざるを得ないな という形で辞めて今に至って、結構シングルマザーのこの結果もすごい白熱していてこ れだけ切実味があるのは、やはりそのときになってみないとわからないというのが本当 だと思うんです。離婚してみたり、夫が亡くなってみたり、リストラされてみて初めて 自分の年金とか置かれている立場とか、これはやばいぞということがわかると思うんで す。  子育てもそうなんですけれども、見通しがつかないことについてどんな言葉がけをし ても余り切実味はないんです。だから、私が一番最初にこの表がすごくわかりやすいと 言ったのは、やはり見通しがあるのとないのとでは違うんですね。その辺は、あなたの 年金は将来こうなりますよみたいなことはいろいろな人口の変動もありますからなかな か示せるものではないと思うんですが、ある程度あなたの今、選んでいるライフスタイ ルは自由だけれども、でも将来的にはこうなりますよとかという何か展望がないと、や はり払う気にはならないなというのが正直なところでありまして、そうするともっと自 分の結婚、出産、育児ということも考えるんじゃないかと思うんです。  私個人で言えば本当に103万、130万の壁というのは壁と言ってはいけないということ でのれんなんですけれども、通り越したいなと思いながらも身近にいる夫からは、そう すると配偶者手当てもないし、住宅手当てもなくなっちゃうしという身近なところの足 の引っ張りというのがあって、これはジェンダーの問題と深く関わっているんですね。 だから、年金の問題を語るときに年金だけでは完結しないというか、社会保障全部の問 題がこれは絡んできているのですごく大変なことだとは思うんですが、配るものを配っ て提示するものを提示した上で取るものも取らないといけないかなという気は、ちょっ と抽象的なんですけれども、そういふうに感じます。 ○袖井座長 原さんにお聞きしたいんですが、NPO法人をやっていらっしゃいますが 、収入はどんな感じですか。 ○原氏 NPO法人と言っても一応法人というだけであって、私が今、第3号のとおり 一応理事となって常勤ではいますが、まだ立ち上げ1年半ですし、やっと助成金などで スタッフの交通費だけを支払えるようになったという形で、全部がボランティアスタッ フということで、ましてや理事である代表、副代表の私たちは無報酬ということでやっ ております。若干、私の方は交通費プラスちょっとだけの本当に時給にすると300円ぐ らいのものしかまだいただいておりません。 ○袖井座長 では、住田委員どうぞ。 ○住田委員 さっき私が質問に答えたので逆に質問をさせてください。  ただ、その前に一言だけ感想を言わせていただきますと、20代、30代、もちろん今日 は多様な年齢ですけれども、50年生まれ、42年生まれの方々が3号の問題で意見をはっ きり言っていただいて、しかも御自分の意見としてやはり自分のものは自分で払いた い。しかし、病気ならばちょっと不安だけれどもというか、金額的に大変かどうか、そ こら辺は個々人の事情があるけれどもということで、これが今日の4方のほぼ集約した 御意見だったと思うのですが、違うんだったら後でまた違いますだけおっしゃっていた だきたいと思います。  ただ、今日この御意見が表に出てしまいますと、今日こられた方はみんなあの年代で は非常に意見をちゃんと言う方々であって元気のいい方なんだけれども、声なき声の女 性はそうじゃないよという意見がまた出そうで、これが非常に心配なんですね。ですか ら、皆さんの回りもこんな感じかどうかということを後押しして言っていただきたいの が1つです。  2つ目ですけれども、そうは言いながらも結婚、妊娠、出産等で専業主婦を選ばれた というのは私から見ると、私のころにはもっと仕事と子育ての両立支援策がなくて、今 はかなり制度が整備されているにもかかわらず今、主人とおっしゃったんですが、だん な様の方の意思を尊重して専業主婦を選ばれるというのは今のこういう年齢の方にも多 くいらっしゃるのか。専業主婦というのはやはりあこがれの部分をお持ちだったんだろ うか。なる前となった後でどのように違うか、その辺りをひとつお願いします。 ○中村氏 うちの場合は主人の方が3世代というんですか、おばあちゃんがいて両親が いて彼がいるんです。それなので、だんなとしては多分家にお母さんはいるものだと思 っている節があるんです。ただ、自分の方の実家を見てみると核家族というんですか、 親しかいない家庭で育っていて、うちは団地だったので回りは共働きの方が多かったの で、やはり結婚しても働くものだと思っていて、結婚するときもめました。私は働きた い、でもだんなさんの方はしばらく家にいて家のことをやった方がいいんじゃないのと いうことで、育った環境で価値観とかかなり変わるとは思うんです。  それで、今バイトしているところで大学生の子が何人かいるんですけれども、結構大 卒の女の子は高学歴じゃないですか。それでも、結婚したら家に入りたいという子はや はり多いんです。あこがれなんですかね。私の回りですけれども。 ○原氏 個人的なことよりも回りのことをよく考えて言いますけれども、自分自身は一 応子育てはするんだと、子育てに専念はしたいという願望はあったもかかわらず、でも いずれはやはり杉山さんと同じように、それが企業という勤め方ではなく地域活動とい うことでできないかなということを模索しながら今に至ってこういうことをしているん ですけれども、そういう中で回りはどうかというと、1つは専業主婦というか、庇護の 下にある今の専業主婦になりたくてなって今もこれからもそういうふうにしたいという 人がいるのは確かなんですが、その一方で受け皿があればいつでも働きたいという人も 多いのは確かです。  私は今、保育園に子どもを預けてこういうことをしているんですけれども、やはり1 号と3号というか、私は将来の年金を支える子どもを育てているんだからいいのよ、こ のままでと開き直る人も結構多い。だから払わなくて当然というふうに思っている方も 多いし、私もある意味では3人子育てしているというか、保育園に預けてこういうこと をする前まではそういうこともありました。  ただ、全然話はそれてしまうんですけれども、出産、育児をどう見るかということで すが、出産、育児で一応子育ての期間やるんですけれども、辞める理由として子どもが 欲しくて辞めてできないという方もいるので、その辺も出産、育児というふうにひとく くりにするにはいろいろ周辺の部分もいるかなというようなことも今、考えています。 だから、専業主婦にあこがれる人と、それに開き直って社会の子を育てているのよとい う人も多い。多分その3通り今いるという形ですかね。  今、来ているお母さんから聞いていると、1号の人だって保育園に預けてその子の分 は保育園の税金を使ってやっているじゃないの、私はずっと家でその代わり見ているん だから平等よというふうに開き直る人も確かにいる。ちょっと別の問題だとは思うんで すけれども、やはりそういうふうに思ってしまう。女性の間でも結構確執があるという のは表面化しないまでもみんなそういう感じが実態だと思います。 ○杉山氏 取材に当たっていて同世代、それから年下のお友達などのお話を聞きますと 、確実にワーキングマザーは増えているのは間違いがなくて、それはやはり制度が随分 整ってきた。保育園も大分そこら辺に力を入れるようになってきたという部分があっ て、それはそれでとてもいいことだなと。それで、何度も言いますが、その人たちが体 を壊さないように見てあげてほしいという部分があります。  あとは、専業主婦の方たちはマスコミなどでも時々出る専業主婦の憂鬱という言葉が あるように、どこかで社会になかなか参加できなかったりする部分で苦しみを持ってい るんじゃないかというところは感じます。それで、先ほど原さんがおっしゃったよう に、それをいいじゃない、子どもを育てているんだからというふうに言わせてしまうと ころもあって、その中にはどこかでちょっとだけ卑屈になっているというか、後ろめた さみたいな部分も見え隠れしたりして、それは私も感じたことであるし、そういう話を 聞くと胸を痛めたくなってしまいます。何とかならないのかなと、それはなぜ女だけが 抱えていて男の人は高見の見物をしているのみたいなところを一緒に考えてほしいなと 思ったりしています。 ○末包氏 今おっしゃっているのを聞いていますと、子育てしているんだからいいじゃ ないとか、苦しいから負担するのは大変だというような御意見が多いわけですけれど も、今のようなことは3号だけが子育てしているのではなくて、1号の人もやっている わけですね。それで、苦しいからというのは今は猶予期間がちょっとできましたけれど も、一応は収入のない学生も強制加入ということになっていますから、収入がないから 大変だというのは私は1号の人も混ぜて容認できないことだと思います。1号はとにか く負担してもらうわけですね。それで、3号は負担しないで年金をもらうんですけれど も、同じ期間基礎年金に入っていたとすると、3号と1号では1号の方が少ないんで す。3号は振替加算が付くんですね。ですから、保険料を納めていない人が何で同じ期 間入っていて多くもらえるのか。将来振替加算はなくなりますけれども、現在は付いて いますから、負担した方の人が少ないんです。  それから、最近高校生が年金の勉強をやって、その報告が新聞に出ていたんですけれ ども、高校生たちもやはり若い人も負担しなきゃいけないんだというようなことでまと めているんですね。だから、年金の仕組みをよく知ることで、高校生たちもよく勉強し てくれたなととてもエールを送りたいんです。  それから、実は今年の2月号の『文芸春秋』なんですけれども、非常にショッキング なタイトルの文章が出ていましたのでちょっと持ってきたんですが、これはパラサイト シングルで有名になった山田先生の文章なんです。それで「警告専業主婦は絶滅する」 ということで、稼ぎのない妻は夫の不良債権だというようなことを言っているわけで す。これは山田先生は若いですから、若い男性というのはやはり妻は働いてちゃんと自 立した方がいいと思っているんだなというふうに私は解釈しました。  もう一つ例を申し上げたいんですけれども、これは朝日新聞の投書でとても憂鬱にな ってしまうんですが、病弱な妻が投書していたんです。ある程度の年齢になった病弱な 妻ですが、夫から期限切れの使い物にならないお荷物だと言われたと言うんです。私は 自立していないからこう言われても夫についていくしかないというようなことで投書し ていたんですけれども、こういうもろもろのことを見ていますと、さっきも言いました けれども、人生の危機管理ということで私は応益負担をすべきだと思います。 ○袖井座長 では、応益負担主張者の駒村さんどうぞ。 ○駒村委員 言及していただいてありがとうございます。さっき杉山さんのところで夫 がたくさん支払っているというふうに、これは錯覚されている方がいるわけです。では 本当に3号の奥さんを持っている方とそうじゃない方とで保険料に少し差を付けてあげ れば何もひがむことなく堂々としていられる。その場合に、私の応益負担というのは少 し工夫をしていて、3号がいる家計はそれだけメリットを感じているので応能で、つま り夫の所得に比例して取る。だから、妻が3号とそうじゃない人とで夫から取る年金の パーセンテージに差を付ける。例えば今17.35%厚生年金を取っています。この中から 一部国民年金、基礎年期のお金が回っていますので、共働きもしくは妻が1号の人は16 %にして、その代わり妻が3号の方は19%にするとかという形で差を付けることによっ て共働きのカップルに何ら迷惑をかけていない。しかも、能力負担家計の負担状況に合 わせて取れる。そのことによって財政的にも何ら中立、要するにどこにも負担をかけな いという仕組みが可能ではあるんですね。これについてどういうふうに皆さん思われる か。今日は我田引水で何も言わずにお話を聞こうと思っていたんですけれども、こうい う保険料に差を付けるという考え方はどのように受け止められるか。  もちろん私も出産育児期間を配慮してあげるというのは非常に重要だと思いますけれ ども、保険料率の差を付けるというようなシステムはどう受け止められるかどうか、そ こだけ教えてください。 ○杉山氏 差を付けた方がいいなと今、伺っていて思いました。それで、夫のパーセン テージを上げるというと一般家庭は給与明細なんてろくすっぽ見ていませんので全然わ かりませんので、例えば3%分だとかは奥さんから取ってほしい。つまり、奥さんが例 えば無収入であっても夫がお金を、君の年金だよと言って渡すみたいな、そういう家庭 内でお金のやりとりをきっちり見せていただきたいなと思います。 ○袖井座長 ほかの方はいかがですか。そういう差を付けるという方法あるいは差を付 ける場合にはどうやって取るかということについていかがでしょうか。 ○原氏 杉山さんと同じ意見で差を付けるのはいいと思うんですが、やはり出どころが 夫からというところがちょっと気になるかなと。それは、お小遣いで携帯の受信料とか そういう夫婦では別にしている家計というのがありますよね。それに年金が加わるぐら いという形なのかなというイメージなんですけれども、でも差を付けたとしても先ほど の給与明細自体もそんなに夫婦の間でじっくり見てというものでもない限り、第三者と 比べるとか、そういうことができないというところもあるし、多分それは妻の方の意識 づけにしかならないとは思うんですが、差はあった方がいいなというふうには思いま す。 ○中村氏 やはり差はあった方が、目に見える形で3号の人は払っていないのにもらう 、ひどいという人たちは納得するんじゃないかなと思うんです。ただ、3号の人は働き に出ない代わりに、私は自分自身が育ってきた環境は母親がずっと家にいてお父さんだ けが働いていたという形なんですけれども、やはり共働きしている家の家庭の子どもと 自分たちみたいに母親がずっといる家の子は何か違う感じはしたんです。一緒に遊んで いても、チャイムが鳴ったので帰ります、ばいばいとしても、その子たちはぽつんと寂 しいと泣いている子とかも実際に見てきているので、専業主婦でやっていける家計であ ればそれもありじゃないかなと思っているんです。主婦が払っていないから後ろめたい と思っている人もいるかもしれないんですけれども、それぞれの家庭なので文句は言わ ない方がいいんじゃないか。それで、やはりその分、主婦がいる家庭はちょっとでも大 目に払うじゃないですけれども、そういう制度を導入していただければお互い気持ちよ くやれるんじゃないかと思います。 ○袖井座長 そうすると、お3方とも差を付けてもいいというふうに理解してよろしい ですか。そういうことですね。 ○末包氏 私も駒村先生がおっしゃるように、差を付けて取るというのはいいことだと 思っています。しかし、それを妻から別に取るということは私は賛成できません。とい うのは、そういうふうにするとなかなか妻の方から納めてもらえないというリスクが伴 うと思うんです。ですから、3号を抱えている人は何%、1号の人は何%というように 差を付けて自動的に取るということの方がいいと思います。  ただ、その場合、今の社会保険料は雇用者負担が半分あるわけですね。ですから、そ の分は雇用者負担をなくす。雇用者の方からクレームが付くと思います。ですから、妻 の分に関する社会保険料の割合は雇用者負担をなくしてやるということにしたらいいと 思います。そもそも昭和61年まで任意加入のときに70%の主婦が年金に入っていたわけ ですね。その70%の主婦が払っていたのをそっちのけにして30%の方を取ってしまった んです。それで、強制加入ということで今の3号制度ができたわけですけれども、そこ からボタンのかけ違いが起こって、今はそのボタンをまた元に戻すのは至難の技だと思 いますけれども、是非やっていただきたいと思います。 ○袖井座長 3号の辺りで活躍なさった山口委員どうぞ。 ○山口委員 年金というのは我が国では皆保険ということになって、国民みんなが老後 一定の水準の所得は国民全体の世代間扶養という考え方で基礎的なものを保障していこ うと。その中にこぼれ落ちてしまう人が現実にいるということになると、それは基本的 な問題ですから、とりわけ女性の年金ということで60年のときに改正をしたわけです ね。  そのときに一番肝心なことは、皆保険の中で世代間扶養でこういうシステムをやって いこうとすれば、加入を強制し保険料を強制をして取らない限りこの制度は成り立って いかないんです。強制で取って、それをいつの時代になっても順送りにやっていくとい うことで生活保障ができるということですから、必ず強制をしなければならない。だか ら、女性の年金を保障するということをやっても、むしろ今お話が出たように3割の人 が問題だったんですね。7割の人たちは自分で保険料を払っても年金権を取りたいとい うことでやってきているわけですけれども、しかしその3割の方を無視した制度になれ ば、女性の年金権というようなことを言っても実際に保障されないということで、まさ に3割のところが基本的に問題なんですね。  だから、この問題を考えるときにもいろいろな女性がいるわけですね。働きたくても 働けないという人もいるし、働きたくないという人もいるし、それから今後のことを考 えればみんな女性は働きに出るべきだという方もいますけれども、現実にはそういう多 様な女性の働き方とか生き方というのがあって、しかし全体として最低限の老後の保障 ということをこの制度でやっていこうということで、そのところが崩れてしまえば先ほ どの1万3,300円と強制的に言われるとどうかなというのは率直なところだと思います が、強制をしない限りこの制度は成り立たない。女性の年金権の確立ということもあり 得ないと、そういう前提で物事を考えないと、基本のところが崩れてしまうと女性の年 金権をより時代に合ったいいものにしていこうというのが結局抜け落ちるところが出て きてしまう。そこのところが現実に考えたときに非常に難しいということで、確かに60 年のときもまさに3割を焦点にして制度改正をしたということも事実なんです。 ○末包氏 今のお話ですけれども、確かにもっともな話ですので、だから私はさっき駒 村先生の御意見に対して強制的に夫の給料の中から取った方がいいということに賛成を したんですけれども、介護保険がスタートして1年半になりますが、介護保険はどんな に収入がない人でも制度上、全員払されているわけなんです。3号のような払わなくて もいいよというのは一応はないわけです。それと同じで今、3号の人は介護保険ですら 払っていないんです。そういうことになっていますので、やはりいろいろ問題はあると 思いますけれども、強制的に差を付けて払うというのに私は大賛成です。 ○袖井座長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。 ○杉山氏 女性のライフスタイルがそういうふうに多様になっているんだからと言って みてくださるんだったら、男性の生き方の多様性というのも一緒に見てあげなくちゃい けないわけですよね。ですから、女性ばかりそういうふうに考えてあげましょうよとい うのはちょっと優し過ぎという気もしますので、そこまで出産、子育てだからと言い過 ぎるのもどうなのかなという気がいたします。そこら辺は夫婦で考えることなのであっ て、わざわざだれかに言っていただかなくてもという気はいたします。  それからもう一点、今の若い女性の意識調査を見たときにずっと専業主婦でいたいと いう割合はそう多くはないと思うんです。いずれは仕事を開催したいと思っていらっし ゃる方が多い。かつ晩婚化で相当の方たちが第2号でいる時期が長い。一方で、できる だけ女性にも年金を払っておいてほしいと思うのであれば、ブランクの時期ができるだ け短くなるように仕向けていくというのがあってもいいんじゃないかと思います。それ で、例えば女性が仕事に戻りたいと思うのはやめてから10年後じゃないと思うんです ね。もうちょっと短いような気がするんです。そういうタイミングで払ってもらうよう な、ブランクを短くしてぱっと次の年金を少しずつでも払ってねみたいに制度を用意し ていただいたら、普通払うんだよねというふうに考えられるんじゃないかという気がい たします。 ○袖井座長 本当に杉山さんにお連れ合いさんのようにお仕事を辞めちゃう方もいらっ しゃるので、多様化するのは女性だけじゃなくて男性も多様化しているのでまさに私は 正論だと思います。 ○原氏 女性の年金権の確立というときに強制的に取るというのは当然なんですが、質 問なんですけれども、その形態として私が第2号から第3号になったときに一番最初に 申したとおり、企業で払っていたということすら意識がなくて、第3号になるときに夫 からそれが払われちゃうのかということになるとやはり企業から払うということになっ てしまって、強制的に取るときにはそれが一番確実であり、雇用者の方の負担があると いうことですから、それは合致させて取るということが一番効率的なんでしょうけれど も、女性の年金権の確立のときに第3号からも徴収するという方向になった場合、その 支払い方というか、徴収の仕方というのはこの場では今はやはり企業を投じてという方 向なんでしょうか。 ○山口委員 60年のときにそういう工夫をしたわけですけれども、そのときの考え方と しては、先ほど年金だけではなくて社会保障はいろいろあるじゃないかというお話もあ りましたけれども、例えば健康保険は奥さんがおられようと子どもさんが何人おられよ うと、みんな所得に応じた保険料を払って、それで必要に応じた給付をするということ を皆さん納得をされているわけですね。それで今の健康保険というのができている。そ れから、現実に無収入でだんなさんに扶養されている人たちというのは必ずいるわけで すから、そういう方の保険料の取り方なり、社会保障としての最低基本的な給付をして いく、その費用の取り方と給付の仕方をどうしたらいいかということで、特に健康保険 などはそういうふうになっているし、年金制度だって諸外国の例も見れば、これはいろ いろですけれども、そういう考え方で保険料を取っているということもあるわけです ね。  だから、さっきの3割の問題も含めて女性の年金権を少しでも確立をしていくという ことからすれば強制適用にして、直接取るんじゃなくて健康保険と同じような形で取っ て、それで必要に応じて給付をしていくということで、年金制度においても大方のコン センサスが得られるんじゃないかということでそういう提案をして、60年の改正のとき は大変議論はありましたけれども、最終的にはそういうことで年金制度をやっていっ て、女性の年金権の確立という観点からも一歩前進じゃないかということでやっていこ うということになったわけですけれども、その後いろいろな議論があり、世の中もどん どん変わってきた。女性の地位も変わってきたということになると、60年のときに年金 制度としてはそれで公平だと考えてスタートしたのが、その公平の考え方も世の中が変 わっていけば変わってくるということで今こういう議論があるんだと思います。だか ら、時代に応じてそのときの判断というのをまたコンセンサスを得ながら変えていくと いうことだと思いますので、新しい行き方として保険料をどういう形で取るのが今の時 代の最も公平な仕組みかというのはこれからいろいろ議論のあるところだと思います。 ○袖井座長 それでは、佐藤委員、永瀬委員どうぞ。 ○佐藤委員 この問題を考えるときに、ゴールというのは先ほど住田先生がおっしゃっ たような辺りにあるんだろうということは恐らく大まかな合意はあるんだと思います。 女性も自立をして、「男女共同参画しかない」とおっしゃいましたでしょうか、それは ゴールとしては恐らく大方の異論のないところだと私も思うんです。  それで私が気にしているのは、それはある日突然訪れるわけではないというところな んです。一番極端な話をしますと、先ほど杉山さんでしたでしょうか、50歳になって仕 事がないと、「それはないわよ」と言われまして、まさに「ないわよ」は「ないわよ」 なんですけれども、しかしその人たちはいわばだんなの面倒を見て、「御飯が先ですか お風呂が先ですか」と聞いていればよいとして育てられてきた。それを急に引っくり返 して、女性も男性もすぐに自分が払って自分がその分だけもらう制度に変えたいんです と言って、途端に無年金で放り出すということは、これは常識的にできませんね。  そう考えていくと、どういう道のりなんだろうかということを私はずっとこの委員会 で考えているんです。議論がやや輻輳してきましたけれども、「自分で出した分は自分 でもらう」というゴールの話と、それから駒村先生もおっしゃっていて、あるいはその 他からも出ている話ですが、「多くの場合、夫が負担をする。そして、離婚する場合に はそれを分ける」というのは考え方が違う。後者はある意味では一歩手前の考え方なん だろう。しかし、過渡期的にはそういう考え方で対処しないといけないだろう。これま で女性はこの一番下のようなモデルで考えられてきて、しかし価値観も変わって離婚も 増えてきて“離婚の規制緩和”が進んだという時代にどうやって対応するか。そういう 一歩一歩の対応ということを考えているわけです。  それで伺いたいのは、今日お話を伺っていて例えば中村さんの世代というのはもうこ れから自分がかけて自分がもらうんですよと言われたらきっと対処してくださるんじゃ ないか。今25とおっしゃいましたか、お年を挙げて失礼ですが、そうではないかなと思 うんですが、逆に50歳の人にあなたはそうですよと言ったら、これは大変なことになる だろうと思います。そこで、回りを見ていて「あなたがかけてあなたがもらうんです よ」という切り替わりはどの辺からなんだろう、ということをお伺いしたいと思いま す。もちろん社会がどんなふうに変わるかということであると思うんですが、質問が悪 くて申し訳ないけれども、感触だけでもお聞かせいただければと思います。 ○杉山氏 私はずばり男女雇用機会均等法だと思っています。あの法律の恩恵を受けた 世代は当然社会は男女平等だと思って生きてきております。だから、専業主婦がつらか ったりするんだと思うんです。職場での対応もあの法律以後がらりと変わって、働き方 の機会も増えて、でも、辞めたことのつらさもあって、でも夫とは対等でいたいという 気持ちがあってといういろいろなものを持った世代であるのではないでしょうか。均等 法前後をポイントにすると割にわかりやすいんじゃないか。 ○末包氏 今の均等法ができてからということは私もそうだろうなと思います。実はご く最近なんですけれども、9月21日の朝日新聞なんですが、要するに今のキャリアの人 は育休を取らないとか、取れないとか、やはりこのチャートで示されているように途中 で辞めてしまうと非常に最後はみじめな姿になるというのがわかっていますから、均等 法でスタートしたような勇気ある女性はなるべくそういう空白をつくらないようにやっ ているのかなと9月21日の記事でつくづく思いました。 ○袖井座長 永瀬さん、何かありますか。 ○永瀬委員 先ほどの駒村先生の御質問で差を付けたらどうかというのに対して、皆さ ん大体付けた方が気持ちが悪くないと、それが公平性の概念に自分たちとしては合致す るというお答えだったんですけれども、ただそれだけですと現在ある男女の年金格差と いうのは何ら前進にはならないんですね。  今、男性の厚生年金が20万円、女性の老齢厚生年金が11万円、これは、例えば5年ぐ らい勤めたことがあるという方は全部除いた上での格差が大体2倍ぐらいあるんです ね。そして、3号の期間もあったり、一部2号の期間もあったり、1号の期間もあった りする方を除いてもその差が倍あります。また、3号の方もまるまる6万7,000円もら えているという人はもちろん少ないわけで、男女では見ていないですけれども、平均で 4.9万ぐらいというふうな最近のものを見ました。  そうすると20万と5万という、この格差というのは非常に大きいわけです。それがど うして縮まらないかということをいろいろ考えてみると、女性の労働力率はぐっと上が ったんですけれども、厚生年金には加入していないからなのです。ですから、1号か3 号で労働力率が上がっただけなので、そういう意味では駒村先生の案というのは気持ち 悪さは取り除くけれども、それだけでは格差縮小にはならないわけです。その辺のこと について皆さんは、自分は働いてこなかったんだから、あるいは男性よりもずっと働い てこなかったんだから、それはそんなものなのか。あるいは、例えば少し働いてより低 い保険料を払ったとしても、どちらかというと低所得者の方に配分は高くなっているん ですけれども、それは厚生年金に入っている人しか及んでいないで、それ以外の人には 3号というので一律3号の権利は得られるけれどもそれ以上は得られないとなっている んです。余りいい質問じゃないんですけれども、男女間の年金格差が現状で極めて大き い国であるということに関して、ちょっと変な質問ですけれども、皆さんはどんなふう にお考えなのか伺ってみたいなと思います。 ○原氏 自分も差があった方がいいとか言いながら、やはり自分の首を締めているなと いう感じはしたんですけれども、でも過渡期である以上どこかで損をするというか、移 行期間苦しみというか、ある世代が生まれるのは、これはいた仕方ないかなという感じ はするので、その辺も含めて受け入れられるのが多分さっき言ったその辺の男女雇用均 等法の、私もそうですが、そういう方たちかなとちょっと思っているんですが、格差は 育児出産という部分を、やはりそれは先ほどから挙がっている期間をどういう部分で保 障していくかというところにかかってくると思うので、そちらも両てんびんで動いてこ ないと、差が生じて過渡期で我慢しなくちゃいけないところは納得しないだろうなとい う気はしますけれども。 ○袖井座長 では、住田委員どうぞ。 ○住田委員 関連するので1問だけ申し上げます。今、永瀬先生がおっしゃったのは、 要するに今の差があるままで男女の年金差もあるだろうということなんですけれども、 私は結婚生活が続いている間はそれでもしようがないかなという気はしているんです。 それで今、割り切ったお答えも出たのでよかったなと思うんですけれども、実際に問題 になるのは夫が死亡した場合ないしは離婚したときに女性が手にする年金額が余りにも 低いときにどうしたらいいかということで、佐藤委員がさっきおっしゃったように足し て2で割ったらいかがかという案も過渡期的にはあるんじゃないかということだったん ですね。それについてまずどう思われるかというのが1つ。  それから、上乗せしてOKですよということなんですけれども、上乗せ分というのは だれの権利だというふうに思われますか。要するに、夫がたくさん払ってくれているの は妻に対する思いやりなのか、それとも妻の権利分を夫がたまたま収入を得ているから 払っていると思うのか、単に不公平さを是正するために払うんじゃなくて何かもっと別 の意味として見出せませんですかということをお尋ねしたいんです。これは私の考え方 を押しつけては悪いので、そういうふうに抽象的にお尋ねします。 ○杉山氏 夫が死亡したときに働いていなかったがためにちょっとしかもらえな い……。 ○住田委員 男女差があるときに、足して2で割ってもらったらどうですかということ です。離婚も死亡もですね。 ○杉山氏 でも、夫が働いたんだから夫がもらえばいいんじゃないか。働かなかったん だからもらわないのはしようがないと、さばさばと私は思いますが。いいんじゃない、 働いてないんだからと。  あともう一つ、上乗せ分に関してですが、それは夫の愛ではなくて妻の権利というふ うに思い、別れたときにはその権利分をもらえばいいんじゃないかと思います。 ○袖井座長 そうすると、今の御意見は別に分割しなくてもいいと。そのわずかながら の上乗せ分だけいただいて離婚してもいいという御意見ですか。 ○杉山氏 そうですね。家庭に入るということを選択した時点で、それを覚悟したとい うふうにとればいいと思います。 ○袖井座長 ほかにどなたかございますか。 ○末包氏 今の年金制度は、夫が亡くなったときにはそれほど困らない制度になってい ると思うんです。離婚したときが非常に困るんですね。何もなくなってしまいます。亡 くなったときには私がもらっているように遺族年金というのが入るわけです。ですか ら、私がもらっていながらこういうことを言える立場ではないと重々承知した上で、た だ、私は20世紀の時代を生きた人間ですのでそれが通ったのかなということでお許しい ただきたいんですけれども、21世紀はそれは通りません。だから、やはり人生の危機管 理として考えておかなければいけない。  今ドメスティックバイオレンスと言って、とにかく夫の暴力で大変な目に遭っている 人でも、自分が自立して生活できなかったらどんなにけ飛ばされたって離婚できないん です。離婚したら生活できないわけですから、それを我慢して死ぬのを待っているなど ということになってしまいますね。ぬのを待っているのはいいんだけれども、死ぬ少し 前に愛人ができたら遺族年金は愛人の方にいってしまう。相続はもちろん法律上の妻で すけれども、遺族年金は法律上の妻が優先ではありませんので、脳天気に構えていると 遺族年金すらもらえなくなるというような状況になりますから、人生の危機管理という のは自分自身の自己責任にかかっていると私は思っています。 ○袖井座長 大変な話になってしまいましたが、そろそろ時間もたっておりますが、ど なたかございますか。 ○原氏 末包さんの言うことは、そうなってみないから笑っていられるというか、現実 味があるんですけれども、上乗せ分は妻への愛情なのか、権利としてみなすかというこ とは、本当にそれは選択制というか、夫婦という共同体になったときに2人で話し合っ て妻も解釈すればいいというふうには思うし、事実そうしている家庭も多いと思います ので、そこまで年金ということに関してとらえられるかなというか、そこら辺はすごく ファジーでいいかなという気はするんですけれども、私としてはいかに妻が選んだから と言ってもやはり足して2で割ってほしいなという気はしますし、選んだと潔く言えな い方もいるのは事実かなというふうな気がします。 ○袖井座長 どうもありがとうございました。今、夫婦は共同体とおっしゃったけれど も、末包さんによるとその共同体も崩壊してしまうかもしれないということがあって、 今いろいろ大変な時代になっているかなと思います。そろそろ時間もきておりますが、 どなたかどうしても発言なさりたいという方はおありでしょうか。よろしいですか。  本日は本当にお忙しい中、4人の方に来ていただきましてありがとうございます。い ろいろな意味で参考になりまして、今後の私どもの検討会を進めていく上で本当にいい 御意見をいただきましてありがとうございます。  それでは、次回の検討会の予定について事務局から説明していただきます。 ○企画官 次回は以前御報告いたしましたとおり、来月の10月3日水曜日の午後2時か ら場所は今回と同じ省議室ということでお願いいたします。別途開催の御案内をお送り 申し上げますのでよろしくお願いしたいと思います。  なお、次回以降の検討会におきましては前回の検討会での大きな方向性の御議論と本 日お越しいただいた4人の方々のお話を踏まえまして、女性と年金をめぐる諸論点につ いての討議といたしまして、女性と年金に関して指摘されております個々の論点につい て御議論をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○袖井座長 それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。本日はお忙しいところ どうもありがとうございました。                        (照会先)                        厚生労働省年金局年金課                         課長補佐     度山                         企画法令第3係長 三浦                         電話03-5253-1111(内3338)                            03-3591-1013(夜間)