01/09/14 第1回小児慢性特定疾患治療研究事業検討会議事録 第1回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会                 議 事 録 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課 第1回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会議事次第  日 時:平成13年9月14日(金) 13:00〜15:43  場 所:厚生労働省専用第21会議室(第5合同庁舎(厚生労働省)17階)   1 開  会   2 議  事    (1)委員紹介    (2)事務局あいさつ    (3)座長の選任及び副座長の指名    (4)検討会の設置に至るまでの経緯・検討課題、資料説明等    (5)自由討議(今後の検討スケジュールを含む)    (6)その他   3 閉  会 ○森本補佐  本日は、お忙しいところ委員の皆様におかれましては御参集いただきまして恐縮でご ざいます。  まず、傍聴の皆様に最初ですが、御連絡申し上げます。傍聴に当たりましては、既に 受付でお配りしております注意事項をお守りくださいますようにお願い申し上げます。  では、定刻になりましたので、ただいまから第1回小児慢性特定疾患治療研究事業の 今後のあり方と実施に関する検討会を開催させていただきます。  皆さん、本日は大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  私は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課の補佐の森本でございます。座長 選任までの間、しばらく議事進行役を務めさせていただきますので、よろしくお願いい たします。  なお、検討会は原則として公開しております。資料、議事録も公開しておりますの で、よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入らせていただきます。まず、初めに、委員の御紹介をさせていた だきます。本日御出席いただいております委員のお名前を五十音順に御紹介させていた だきますので、各委員から一言ずつごあいさつをいただければ幸いでございます。  及川郁子委員、お願いいたします。 ○及川委員  聖路加看護大学の及川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○森本補佐  大久保さつき委員、お願いいたします。 ○大久保委員  東京都衛生局の大久保でございます。よろしくお願いいたします。 ○森本補佐  加藤忠明委員、お願いいたします。 ○加藤委員  日本子ども家庭総合研究所の加藤です。よろしくお願いします。この小児慢性特定疾 患治療研究事業に関しては、厚生労働省の厚生科学研究で事務的な取りまとめをさせて いただいております。よろしくお願いいたします。 ○森本補佐  申し遅れました。御発言の場合、机の上の機械の「トーク」と書いておりますボタン を押していただければ、マイクが入るようになっております。終わりましたら、もう一 回押していただければマイクが切れるようになっておりますので、よろしくお願いいた します。御説明が遅れました。  次は、神谷イツキ委員、お願いいたします。 ○神谷委員  国立療養所三重病院の神谷でございます。私のところは、小児慢性を1つの専門項目 としておりまして、ずっと私もそれをやってまいりましたので、多分それで選んでいた だいたのだと思います。なお、名前は神谷齊といいまして、字が違っております。 その「斎」という字も違っておりますので、また後で直してください。 ○森本補佐  大変失礼いたしました。おわび申し上げます。  では、続きまして、鴨下重彦委員、お願いいたします。 ○鴨下委員  賛育会病院の鴨下と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  小林信秋委員、お願いいたします。 ○小林委員  難病の子ども支援全国ネットワークの小林でございます。よろしくお願いします。 ○森本補佐  高松鶴吉委員、お願いいたします。 ○高松委員  高松でございます。私は、今は地方の小さな大学の教授をしておりますが、本来は、 障害児の療育あるいは福祉の世界で仕事をしてきた者でございます。本日から問題にな る子どもさん方の問題とは、少しずれたところで仕事をしておりまして、何かお役に立 てればと思ってまいりました。よろしくお願いします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  では、続きまして、永井邦子委員、お願いします。 ○永井委員  和歌山県の小児保健福祉相談センターの永井でございます。小児保健福祉相談セン ターは、平成11年6月に県の施設として開設いたしまして、小児難病等の長期療養児を 対象にした相談センターです。私は保健婦でございます。よろしくお願いいたします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  では、南砂委員、お願いいたします。 ○南委員  読売新聞編集局解説部の南でございます。私は、読売新聞社としても現在、少子高齢 化ということで小児医療ということにかなり会社として力を入れているところで、私も 日ごろ医療・教育といった分野を中心に取材しておりまして、子どもの問題は大変関心 を持っておりますので、是非いろいろ教えていただきたいと思います。 ○森本補佐  柳澤正義委員、お願いします。 ○柳澤委員  国立大蔵病院の柳澤と申します。小児科医でございます。よろしくお願いいたしま す。 ○森本補佐  山本昌邦委員、お願いいたします。 ○山本委員  横浜国立大学の山本と申します。私は、専門が障害児教育、特に病気の子どもの教育 を専門にしております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○森本補佐  雪下國雄委員、お願いいたします。 ○雪下委員  日本医師会の雪下でございます。母子保健、母体保護を担当しております。 常任理事でございます。よろしくお願いします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  なお、山城雄一郎委員におかれましては、本日は所用のため御欠席なさっておりま す。御連絡申し上げます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。雇用均等・児童家庭局長の岩田喜 美枝でございます。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  岩田です。どうぞ皆さんよろしくお願いいたします。 ○森本補佐  次に、雇用均等・児童家庭局審議官の水田邦雄でございます。 ○水田審議官  水田でございます。よろしくお願いいたします。 ○森本補佐  次に、母子保健課長の谷口隆でございます。 ○谷口母子保健課長  谷口でございます。どうぞよろしく御指導のほど、お願い申し上げます。 ○森本補佐  事務局の御紹介は以上となりますが、事務局を代表いたしまして岩田雇用均等・児童 家庭局長から一言ごあいさつを申し上げます。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  先生方におかれましては、それぞれ本務で大変お忙しいところ、この研究会の委員を お引き受けいただきましてありがとうございます。また、地方で御勤務の先生方もおい ででございますのに、上京し、お時間を取っていただくことを心から感謝申し上げたい と思います。  さて、この小児慢性特定疾患治療研究事業という事業についてでございますけれど も、昭和49年からこの事業は実施されております。そして、この事業の目的でございま すが、小児慢性疾患の治療研究を行うということと、併せて医療費の保険でカバーされ ない自己負担部分を全額助成するという制度でございました。その結果、慢性疾患を抱 えておられる御家庭あるいはお子さん御自身にとって、例えば児童の健やかな育成です とか、それから、御家庭の経済的、その他の御負担の軽減ということについて、一定の 役割を果たしてきたというふうに思っております。  ところが、制度が発足いたしまして4半世紀過ぎましたので、事業の目的、事業の内 容そのものに幾つか問題も出てきておりますので、この機会に抜本的に全体的な見直し をやりたいというふうに思っているわけでございます。特に、昨今、大変財政制約が厳 しくなってきておりますけれども、その中で、この事業は奨励的補助金という位置付け でございまして、ここ数年来の予算編成の過程で、必ず1割削減をしなければいけない 事業の対象ということになってきております。そういうことで、このままでは財政的に も事業の安定的な継続が難しいという状況が一つは背景にあるところでございます。  そういうことから、厚生労働省としましては、この機会に制度の目的、制度の事業内 容全般について見直しをしたいというふうに思ったわけでございます。そして、見直し に当たりましては、この問題の広い意味の関係者に御参集いただきまして、御意見をし っかり賜りたいというふうに思っております。  また、特に、患者あるいは患者の親御さんたちの団体が多数できておりまして、活発 に活動なさっておるというふうに伺っておりますけれども、委員としては、難病の子ど も支援全国ネットワークの小林さんに入っていただいておりますが、個々の団体の御意 見も、例えば、ヒアリングを直接この研究会としてさせていただくなど、しっかり御意 見を聞きながら検討してまいりたいというふうに思っております。私どもは、事務局と して最大限努めたいというふうに思っておりますので、先生方におかれましては、どう ぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 ○森本補佐  ありがとうございました。  本日は、最初の会合でございますので、今後の進行のために座長を委員のどなたかに お願いしたいと事務局としては考えております。どなたか御推薦いただきますれば幸い でございます。お願いいたします。加藤委員、お願いします。 ○加藤委員  鴨下委員に座長をお願いしたいと考えております。鴨下先生は、東大医学部の小児科 教授のときに医学部の学部長を務められましたし、日本小児科学会の会長も務められま したし、適任だと考えております。よろしくお願いします。 ○森本補佐  ただいま加藤委員から鴨下委員に座長をお願いしたらどうかという御発言がございま したが、いかがでございましょうか。 (拍手起こる) ○森本補佐  それでは、御異議ないようでございますので、鴨下委員に座長をお願いしたいと存じ ます。  それでは、以降の議事運営につきましては、座長にお願いいたします。鴨下委員にお かれましては、座長席にお移り願いたいと思います。 ○鴨下座長  ただいま御指名によりまして座長を仰せつかりましたが、この検討会は大変責任の重 い会のように思います。是非、委員の先生方の御協力を得まして、会の円滑な運営に努 めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、最初に、議事に入ります前に、副座長を座長から指名させていただくこと になっておりますので、勝手でございますが、神谷委員にお願いできればと思います が、よろしゅうございましょうか。 (拍手起こる) ○鴨下座長  では、座長が出席できないような場合には、先生に指揮を取っていただきますので、 よろしくお願いいたします。 ○森本補佐  ありがとうございました。  それでは、続きまして、事務局の方から配付資料の確認と簡単な御説明を申し上げま すので、欠落等ございましたら御指摘くだされば幸いでございます。  では、「第1回小児慢性特定疾患治療研究事業の今後のあり方と実施に関する検討会 議事次第」というのがお手元にあるかと思いますので、ごらんください。  まずは、1枚目が議事次第でございまして、次が1枚紙の右肩上に「資料1」となっ ております。これは検討会の設置についての趣旨紙でございます。  その次が、また1枚紙でして資料2でございます。委員名簿でございます。  次、右肩上に「資料3」となっております。かなり分厚い資料でございますが、この 中に、更に資料1から資料8及び参考1、2というのがございます。これは、事務局か らの本日御説明申し上げる資料でございます。  なお、本日、神谷委員の方から資料を御提出いただいております。これについては資 料4という番号を振らせていただきました。  以上でございます。何か欠落等ございましたら、近くの事務局の方に御指摘くだされ ば幸いです。よろしいですか。  では、座長、お願いいたします。 ○鴨下座長  それでは、事務的な手続事項が終わりましたので、これから審議に入っていただきた いと思います。  まず、本日は最初の会合でございますので、事務局の方から本検討会の設置に至るま での経緯あるいは検討事項、そして、ただいまの資料につきまして御説明いただいた 上、今後の検討スケジュール等を御検討いただければと思いますので、どうぞよろしく お願いします。 ○谷口母子保健課長  それでは、今、座長の方から御発言がございました事項につきまして、私の方から簡 単に御説明させていただきたいと存じます。詳しくは、後ほど担当者の方から御説明申 し上げますが、資料1というものを1枚紙でございますが、ごらんいただけますでしょ うか。  「設置目的」等にも書いてございますけれども、本事業は本来、治療研究を目的とい たしております。どういうことかと申しますと、有効な治療方法につきまして研究を進 めますために、多くの患者さんの御協力というものが必要でございまして、そのために きちんと受診をしていただくことが必要なのではないかということであります。そうな りますと、どうしても医療費の心配というものが付随して出てまいります。そういう余 分な御負担を患者さん、御家族にお掛けしないようにするために、医療費の保険負担部 分以外のところを公費で負担しようというのが趣旨だったわけでございます。基本的 に、そういう発想の下に進められたわけでございますけれども、事業開始以来、4半世 紀が経ちまして、その間に幾つかの変遷があったわけでございますが、今日、医学の進 歩、医療環境の変化、患者さんのニーズの変化といったものを踏まえまして、今後どの ような理念、基本的な考え方に基づいて、この事業を展開させていくのがいいのかとい うふうなことにつきまして、御意見を先生方から賜りたいというのが基本的な私どもの スタンスでございます。  具体的な検討課題、2の方に「検討課題」というふうにございますけれども、4つば かり書いてございます。(1)につきましては、今申し上げたようなことでございますが、 (2)につきまして、先ほど申し上げたような問題意識の下で、当初、対象疾病でございま すとか、それから、対象者が選定をされましたけれども、さまざまな事情の下で現在若 干でこぼこも生じておるという事情もございます。今後、事業の中身を仮に医療面、福 祉面というふうに整理いたしますと、医療サービスとしての在り方というのはどのよう に考えればいいのか、具体的には対象疾病をどうするのか、対象者、すなわち年齢要件 ですとか、診断基準といったことがございますが、そういったものについても考えるの かどうか、そういったことにつきましての御意見をいただければというのが2番でござ います。  (3)でございますけれども、基本的に治療研究とそれに伴う医療の公費負担がこの事業 の柱でございますが、後で患者団体の要望という資料もございまして、そちらの方で詳 しくは御説明させていただきますけれども、医療費の公費負担だけではございません で、就学、就労といったものも含めて、幅広い意味での福祉サービスについてどう考え るかということにつきましても、調査研究とともに委員の皆様方の御意見を賜れればと いうふうに考えておるところでございます。  (4)につきましては、繰り返すようですが、現在公費負担になっておりますけれども、 このような仕組み自体は、国の各種事業の中でも特殊な場合に限られておりまして、ま た、現在の対象疾患の中でも治療に掛かる費用そのものを比べてみますと、疾病ごとに かなり格差があるという事情もございまして、一律にすべて公費負担で今後いいのだろ うかという話もございます。そういった経済的な面につきましても、大所高所からの御 意見を賜ればということでございます。  いずれにいたしましても、局長のごあいさつの中にございましたが、患者さん、親御 さんの御要望に沿いつつも、継続的かつ安定的な仕組みにするためにどのようにすれば いいかという視点から、是非、御検討を事務局としてお願いをいたしたいというのが、 今回の検討会を開かせていただく趣旨でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  それでは、次に、資料の「小児慢性特定疾患治療研究事業の現状とおかれた状況及び 小児医療を巡る関係状況」ということで、まず、資料3について御説明をいただいて、 その後いろいろ御質問の時間を設けたいと思います。   では、これは桑島補佐にお願いします。 ○桑島補佐  それでは、先生方のお手元の資料3、多少厚い資料でございますけれども、この資料 の中で御説明を申し上げます。私の方からは、資料1から4について御説明を申し上げ ます。  それでは、1ページをおめくりいただきまして、資料3の中の資料1となってござい ますけれども、そのところから御説明を申し上げます。  まず、現行の全体の概要ということで、現在の疾病対象群ごとの対象年齢ですとか、 あるいは現在給付されている人数ですとか、そういったことも含めまして、まず資料1 で御説明申し上げます。  今、課長の方からも全体の概要について御説明申し上げました中で、そもそもの事業 を研究事業としてスタートする中、その中でも、やはり医療費の負担を軽減することを 目的としてこの事業は立ち上がってまいったわけでございます。  実施主体といたしましては都道府県・指定都市・中核市ということでございます。そ れで予算的な補助といたしましてスタートしているわけでございますけれども、国が半 分、それから、今、申し上げた実施主体が半分ずつ御負担をいただいているところでご ざいます。  創設の年度は、昭和49年でございます。後ほど、またそれぞれの経緯については御説 明を申し上げます。  それから、対象の疾患でございますけれども、この表にございますとおり現在の10の 疾患群に分かれてございます。上から、悪性新生物、慢性腎疾患等がございます。  それから、その横の欄をごらんいただきますと、入通院の別が書いてございますけれ ども、先ほどでこぼこがあると課長の方からも御説明を申し上げましたが、入院のみの 疾患もあれば、入通院両方の疾患もございます。慢性腎疾患、ぜんそく、慢性心疾患、 それから、神経・筋疾患については入院のみということでございます。それから、併せ まして、でこぼこのもう一つでございますけれども、20歳まで年齢延長しているもの と、そうでないものとがあるわけでございます。  それから、その右の欄でございますが、平成12年度の給付人員をお示ししてございま す。一番多いものは内分泌疾患で3万6,045人。その次が、悪性新生物、血友病等血液疾 患でございます。併せまして、平成12年度の給付人員といたしましては、合計欄でござ いますが10万2,043人の方々に、この給付はなされてございます。  以下、予算額的には平成13年度の予算でございますが98億円、ざっと100億円近くの 予算が投入されてございます。  次のページをごらんいただきます。次は、給付件数と総医療費でございます。後で自 己負担額が出てまいりますので若干混乱をいたしますが、自己負担のみならず全体でど のくらいで医療費が掛かっているのかということをごらんいただくためにおつけしてご ざいます。細かく疾患ごとには省略させていただきますが、まず、一番下の欄から1つ 上がっていただきまして、小計の欄をごらんいただきますと、入通院の別がお示しして ございます。 入院が件数で申し上げますと11万9,891件、通院が72万8,152件、合わせまして84万件の 件数でございます。平成12年度の実績でございます。   それから、総医療費でございますが、もう一度同じ欄でございますけれども、右に 移っていただきますと、入院に対しました費用は635億6,600万円。通院に対しましては7 13億9,300万円ということで、合わせまして1,349億5,900万円の総医療費が掛かってござ います。  ざっとイメージを持っていただくために、次の3ページ目に円グラフでお示ししてご ざいます。いわゆる件数と総医療費の全体に占めます割合を、それぞれの10の疾患群ご とにお示ししてございます。実は、多い順番には並べてございませんで、それぞれの疾 患の順番は両方合わせてございます。やはり一番多いのは、ごらんいただきますとおり 内分泌疾患が件数で申し上げまして約4割、それから、医療費全体の中でもやはり4割 を内分泌疾患が占めてございます。次が、悪性新生物という順番になってございます。  それから、もう一度戻っていただきますが、2ページの方で1件当たり平均の医療費 ということで整理をさせていただいてございますが、これも小計の欄をまずごらんいた だきますが、入院が53万195円、通院に当たりましては9万8,047円、合わせまして15万 9,142円というところでございます。  これを疾患群ごとに、しかも、入通院に分けてお示しを申し上げましたのが4ページ 目でございます。1レセプト当たりの平均医療費でございます。見ていただきますとお り、左側が黒く塗りつぶされてございますが、これは入院の1件当たりでございます。 それから、斜線で引いてございます右側の方が通院の分類でございます。ごらんいただ きますとおり、悪性新生物が最も多うございまして、86万8,394円ということで、勿論入 院でございますので、かなり高額な医療費が掛かっているということでございます。以 下、ごらんいただきますとおり、慢性の心疾患、それから、神経・筋疾患群となってお ります。  通院に関しましては、真ん中より右の斜線部分でございますけれども、内分泌疾患の 通院が最も多うございます。  それから、次のページでございますが、特定疾患治療研究の受給者の方々の年齢の分 布でございます。ざっとイメージを持っていただくためにつくったものでございますの で、数字等は入れてございませんけれども、一番上から順番に並べてございますのは、 例えば、大体5歳未満で発症していく患者さん方の割合が多いところから上から順番に 並んでございます。そういたしますと、神経・筋疾患あるいは慢性の心疾患がやはり低 年齢における発症が多いということで、この割合が全体の中でそれぞれの疾患群の中で 多いというふうに御理解いただければよろしいかと思います。  それから、下の方の合計のもう一つ上になりますが、糖尿病が書いてございます。糖 尿病の場合、発症はそんなに若くはないわけでございますけれども、ある意味で治療が なかなか難しい。そういう意味では、一生涯お付き合いをしていく疾患になろうかと思 います。 そういう意味では、年齢が上がるほど構成割合が高くなっているというふうな解釈を私 どもはしてございます。  以上、資料1について御説明を申し上げました。  引き続きまして、資料2でございます。この制度の仕組みを簡単にフローでお示しを してございます。これを御説明申し上げます。給付制度の経路図ということでお示しを してございますけれども、順番に(1)から御説明申し上げます。  実施主体が医療機関と委託契約を結んで、この治療研究事業の契約を結ばせていただ いてございます。その医療機関に対して、患者さんが(2)で受診をされるわけでございま す。 受診をしていろいろな検査をしていただく中で、ある疾患の確定診断、診断名がつくわ けでございます。その確定した後に、次は(3)でございます、申請というのが保健所に矢 印が向かってございますけれども、この申請の中で確定した診断名を基に、更に申し訳 ございませんが、裏をごらんいただきますと、医療意見書というものを御用意してござ います。 この中に、現在の症状ですとか、あるいは根拠となった検査の結果ですとか、あるいは 今後どういう治療を考えていって、どれくらいの治療期間が見込まれるのか、こういう ような内容を示しました意見書を添付して保健所に申請をいたします。申請をいたしま して、都道府県に設置されてございます協議会の中でこの内容を審査していただきま す。その審査の結果、この方が適切である、適当であると認めた場合、都道府県から認 可をされたということで、受診券を交付することになっております。その受診券を持っ て医療機関を受診された場合、(5)でございますけれども、治療を受けられるという流 れになってございます。  それよりも上の流れは、それぞれの医療費の支払いの流れでございます。医療機関か ら支払い金あるいは国保連合会に申請がなされまして、それぞれについて公費分、保険 分について保険者と各自治体に申請がなされるという流れになってございます。  資料2につきましては、以上でございます。  次は、資料3でございます。これは、全体の制度の流れで、今までの疾病の経緯でご ざいます。これにつきましては、上のところで5つ書いてありますけれども、昭和43 年、昭和44年、昭和46年、昭和47年、それぞれ先天性の代謝異常、それから、血友病、 それぞれ医療給付という形で実施されてございます。その後、昭和46年、昭和47年が小 児のがん、それから、腎炎・ネフローゼ、ぜんそくといったものが治療研究として、そ れぞれ独立して発足してございました。それらの疾患群をそれぞれ昭和49年に慢性心疾 患あるいは内分泌、膠原病、糖尿病といった疾患群と合わせて、昭和49年から現在ある 制度としてスタートをしてございます。  それ以下、昭和49年以降の説明につきましては、その下の表をごらんいただきます が、ざっとごらんいただきますときに、例えば丸の数字が書いてございます。これは、 ○の46であれば昭和46年にこの区分の制度がスタートしたというふうに御理解いただけ ればと思います。□につきましては、平成でございます。平成になって新たに導入され ましたのが、神経・筋疾患、一番下の欄でございますけれども、平成2年に入院がこの 制度に導入されてございます。  以下、通院につきましては○の54とかそういうふうに書いてございます。  内分泌につきましては、多少細かくなってございますが、脚注の4でクレチン症です とか成長ホルモンという区分につきましてお示しをしてございます。  また、先ほどもでこぼこの話で申し上げましたが、対象年齢を18歳から20歳まで年齢 延長したものにつきましても、この中で延長した年度につきまして○の数字で年度をお 示ししてございます。  資料3につきましては、以上でございます。  続きまして、資料4でございます。資料4につきましては、各年度の今までの給付人 員の推移をごらんいただきますためにお示しをしてございますが、一番初めが昭和60年 からざっと見ていただきます。一番上の折れ線でございます。これは、全体の給付人員 をお示ししてございます。昭和60年の7万9,000人からずっと上がり続けてございまし て、ピークを迎えますのが平成8年12万3,000人ということで増え続けてきてございま したけれども、平成9年に成長ホルモンの分泌不全の方々に対して、ある程度の治療の 基準を定めさせていただいたことによりまして、それ以降、若干伸びが減少してござい ます。  それから、全体を見ていただくために、下から2つ目の折れ線になりますが、0歳か ら19歳の人口、これは100万人単位でございますけれども、昭和60年には3,500万人であ ったものが、御案内のとおり少子化でございますのでずっと減り続けて、平成12年まで には2,600万人ということでございます。  こうした少子化の進む中、特定疾患の中では、やはりある程度伸びを示していたとい うことを御理解いただきたいと思います。  それから、裏のページでございますが、今度は給付額でございます。これは、先ほど 医療費のことを申し上げましたが、こちらについては自己負担額で、いわゆるこの事業 で使われた給付額をお示ししておるわけでございます。昭和60年に52億円でこの中で数 字をお示ししてございますが、平成9年までずっと伸び続けてございまして、ピークの ときが119億円ということでございますが、先ほど御説明申し上げました等の理由により まして、以後下がってございます。  以上でございます。資料の説明を終わらせていただきます。 ○鴨下座長 どうもありがとうございました。  これまでの御説明につきまして、何か委員の方から御質問はございませんでしょう か。よろしゅうございますか。  それでは、引き続いて、資料5と6について、こちらは森本さんにお願いします。 ○森本補佐  続きまして、資料5及び6について御説明申し上げます。経費の関係等について御説 明申し上げます。  まず、資料5をごらんください。委員の皆様にはカラーでお配りしております。傍聴 席の方には、白黒ですが別添でカラーを1枚紙でお配りしておりますのでごらんくださ い。 これは、疾患群ごとの公費負担額が幾らになっているかを月額でお示ししたものでござ います。これは、通院、入院をあえて込みでお示ししております。  まず、グラフの見方を説明いたしますが、カラーの青い線がわかりますでしょうか。 青線に×がついている、これは糖尿病疾患の方の公費負担額の月額、入通院込みでござ います。この場合、下の公費負担額のところをごらんください。数字が並んでおります が、横倒しになっていて見にくいのですが、横倒しの10というのがございます。このま っすぐ上を見ていただくと、青い糖尿病のラインがほぼ40%、正確に申し上げると39.5 %となっております。これはどういうことを意味しているかと申しますと、糖尿病の患 者さんの方の公費負担額は一月1万円までの方が合計で40%になると。逆に言うと、月 1万円を超える公費負担額の方が100%から40%を引いた残り、つまり60%を占めるとい うグラフでございます。ちょっと見にくいのですが、そういう意味でございます。  ちなみに付け加えますと、これは公費負担額でございまして、いわゆる国民健康保険 で支払われた後に、一般の皆様が病院にかかるとき病院窓口でお支払いになられます が、その分を小児慢性疾患事業でお支払いしておりますので、その分でございます。 その分を小児慢性疾患は全額公費負担でございますので、その分の金額についてここに お示ししております。  次に、カラーの右の凡例とともにごらんいただくとわかるのですが、疾患群ごとにか なり月額の公費負担額が変わっております。したがって、下の方の線をごらんいただき ますと、下の方に並んでいる線につきましては、一月の公費額がほぼ6万3,000円を超え ている方も多いということでございまして、これは入院の方が多いんですが、このよう に月額の公費負担額、極めて大きな疾患群があるということが一つ申し上げられます。  次に、逆に上の方に線がございます。例えば、赤い線で×がついているものは、血友 病等血液疾患でございますし、また、緑の実線に○がついているのは、先天性代謝異常 でございます。具体的には申しませんが、このような線につきましては、左の方をごら んいただくと月負担が3,000円、5,000円、6,000円、8,000円、1万円程度の方も患者さ んとしておられ、それを本事業の対象としてしまっているということが、このグラフか ら読み取れるかと思います。  続きまして、資料6について御説明申し上げます。公費負担制度の考え方について御 説明申し上げます。公費負担制度につきましては、制度についてどのような考え方で公 費負担をされているかについて御説明申し上げます。  まず、戦傷病者特別援護法、原爆医療費につきましてですが、これは、国の責任にお いて負担するということでございます。つまり、国のために戦争において戦傷病になら れた方について国庫が負担する。または、原爆の結果について国庫が公費で負担すると いうことでございます。  次に、公費負担制度としてございますのが、社会防衛的というふうによく呼んでおり ますが、感染症や結核、精神病などあえて強制的に隔離するという方でございます。こ れにつきましても、公費でほぼ負担しております。具体的に申しますと、結核医療、感 染症、これはいわゆる伝染病でございますが、あと精神医療につきましては、公費で負 担しておるというところでございます。  戦傷病者というのは、戦争による公傷の方でございます。  続きまして、3つ目のカテゴリーでございますが、これは福祉目的でございます。次 のページをごらんいただきたいんですが、身体障害者の方。次に、児童福祉法に基づき ます身体に障害のある児童。次に、骨関節結核にかかっている児童。また、更に、母子 保健法で規定しております未熟児の方につきましては、福祉目的のために公費で医療費 を負担しているということでございます。ただし、この場合は最初の1、2のカテゴ リーとは違いまして、1は所得に応じて費用徴収を行っているというのが現状でござい ます。  4つ目のカテゴリーでございますが、研究目的でございます。まず、小児慢性特定疾 患治療研究事業、まさに現在この検討会で行われておりますものですが、これについて は、現在、患者負担はなしで行っております。  もう一つは、特定疾患治療研究事業、詳しくは後で御説明申し上げますが、原因が不 明であって治療法が確立されていない、いわゆる難病のうち特定疾患については公費で 負担を行うということでございます。ただし、これにつきましては、入院・通院につき まして次のとおり、入院については1万4,000円、通院については1回1,000円という患 者さんの自己負担があるというところでございます。  これを通しまして、申し上げたいのは、戦争及び原爆のような国の責任、あと結核、 感染症、精神病のような社会防衛的なくくりにつきましては全額補助なんですが、ほぼ 国庫負担でしておりますが、福祉目的においては原則として所得に応じて費用徴収があ ると。 研究目的の2つのカテゴリーでございますが、小児慢性疾患については費用負担はござ いませんが、ほかの特定疾患については一定の負担をいただいておるというところでご ざいます。これが現状でございます。  次に、公費負担の個々の小児慢性疾患制度に類似した制度について御説明します。更 正医療でございますが、これはいわゆる身体障害者の方の医療でございまして、対象は 身体障害者でございます。これについては、医療費の保険者負担以外の自己負担の部分 について給付を行っております。この費用負担については、本人または扶養義務者、つ まり親御さんの所得税の課税状況に応じ、費用の一部または全部負担があるというとこ ろでございます。  続きましては、育成医療と申しまして、これは児童福祉法に基づく身体に障害のある 児童の方に対する公費負担でございますが、これにつきましても給付内容はこの資料の とおりなんですが、費用負担につきましては、育成医療の給付に要する費用の全部また は一部を所得に応じて、その扶養義務者から徴収することができるとなっているところ でございます。  続きまして、先ほど後で御説明申し上げると申しました特定疾患治療研究事業でござ います。これにつきましては、小児慢性疾患と違いまして年齢制限がございません。大 人の方も含まれるわけですが、いわゆる難病の特定疾患、具体的には裏のページをごら んいただきたいんですが、このような疾患が指定されておりますが、これについて治療 が極めて困難であり、かつ、医療費も高額であることを考慮いたしまして、特定疾患に 関する医療の確立、普及を図るために患者の医療費の負担軽減を図るためにこのような 制度が設けられています。これも通達に基づく研究事業でございます。  最後に、結核児童について御説明申し上げます。ページにつきましては下に7と振っ ております。結核児童の養育の給付という制度がございまして、これは、先ほど少し御 説明いたしました骨関節結核、その他の結核にかかっている児童に対しまして、適切な 医療を行うとともに学校教育に必要な学習用品と療養生活に必要な物品の支給を行うと いう制度でございます。  対象者は骨関節結核、その他の結核にかかっている児童でございまして、入院治療を 必要とする方でございます。この制度におきましても、費用負担においては本人の扶養 義務者から負担能力、これは所得でございますが、応じて費用の全部または一部を徴収 するということになっております。  以上が、公費負担制度の説明でございます。  以上でございます。座長、お願いいたします。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ただいまの部分につきまして、委員の方々から何か御質問ありますでしょうか。大体 御理解いただけましたか。 ○及川委員  よろしいでしょうか。資料5についてなんですが、これは例えば平成12年度の実績か ら出されたものであるとか、または数年間の分をまとめて出されたものであるのか、そ の辺のところはどのようになっておりますでしょうか。 ○森本補佐  失礼いたしました。平成12年度の実績でございました。記入するのを忘れました。 ○及川委員  そうした場合に、これの状況の経時的変化というのは、何かおわかりになるようなこ とはございますでしょうか。 ○森本補佐  とりあえず手元にないのですが、経時的変化でございますか。それでは、次回以降、 御説明申し上げたいと思います。 ○高松委員  この資料5ですが、御説明がちょっと違うのではないかと思ったのは、公費負担の一 番左側は0.2ですから、単位は1,000円ですから200円ですね。 ○森本補佐  失礼いたしました。 ○高松委員  それから、これは左側を全部類型させていってこのカーブができているわけですね。 ○森本補佐  はい、そうです。 ○高松委員  そうすると、下の方の3つは比較的安い経費で済んでおるが、突然上の方で上がって いくということですか。 ○森本補佐  そうです。 ○高松委員  格差があるということですね。ほとんどお金が給付されない、余り支払われていない 場合と。 ○宮本補佐  グラフの下の方にあります疾患群は、この制度の中で1か月以上の入院の患者さんの みを対象としておる疾患群であります。したがいまして、比較的低額な医療費の方とい うのはいらっしゃらなくて、ある程度費用が掛かった患者さんのみに偏っていると。 上の方に、後半の方に偏っているといった方々になっております。こういった入院と通 院と混合しておりますグラフによります問題というのもございますので、こういったも のも含めまして、今後また詳細な部分を御提示していきたいというふうに思っておりま す。 ○高松委員  ですから、この資料5で何を言いたかったんでしょうかと思ったんですが。 何を私たちに理解させたかったんでしょうか。 ○宮本補佐  今、申し上げたように、詳細な部分は今後また御議論いただきたいというふうに思っ ておるんですが、まず、第1回目としましては、そういった多様な姿があるということ を紹介させていただいたということでございます。 ○高松委員  わかりました。 ○小林委員  よろしいですか。資料1の疾病群ごとの対象年齢、人数、年齢分布のことについてな んですけれども、これは国の事業だと思うんですが、それぞれの県で単独でいろいろ な、これ以外に追加されているものが随分あると思うんですけれども、そういう数字と か実態というのはつかんでおられないのでしょうか。 ○宮本補佐  正確な対象になっております数等を把握しておるわけではございませんが、一部の都 道府県でそういうような事業を実施しておるのは承知しております。また、そういった 実態も次回以降、紹介してまいりたいというふうに思っております。 ○高松委員  済みません、もう一ついいですか。これは、資料6のところで、要するに身体障害者 手帳を持っておる人々の中で重度の方は、多くの都道府県では医療費を免除するとい う、これは都道府県側の処置だと思うんですが、ですから、重度の身体障害を持った方 々は、児童も成人も医療費については自己負担を免除されているという現実がございま すが、それはどういうふうに。そうでない府県もありますので。 ○森本補佐  今回、ここで申し上げたかったのは、実際は確かに、今、小林委員からもございまし たが、自治体において事業が行われているようでございますが、国の公費負担の考え方 というのを一般にお示ししたかったという、患者さんレベルで言うと、それは県でも市 町村でも同じなわけでございますが、国として公費負担としてはどうあるべきかという 考え方についてお示ししたかったというわけで、あえて国に限定して資料を作成させて いただきました。 ○高松委員  ですけれども、問題は現実を課題として我々は論議するわけでしょう。ですから、無 視できないデータだと思うんです。いつか論議になるのではないでしょうか。 ○森本補佐  担当課に確認いたしまして、この資料が整うかどうか。 ○高松委員  今日でなくても勿論いいですけれども。 ○森本補佐  次回以降に御用意させていただきます。 ○鴨下座長  ほかにございますか。  もう少し説明をいただくことがありますので、資料7と8につきましてお願いいたし ます。 ○宮本補佐  私、宮本と申します。私の方からは、これまで医療費に関します説明を中心に行って きたわけでありますけれども、幅広く患者さん、それから、患者さんの御家族からの御 要望、それに並行します実態の状況といったものを資料7と資料8にございますので、 紹介したいと思います。  まず、資料7でございますが、これは親の会の共同アピールということで、本日御出 席の小林委員も、そのおまとめに中心的に参画されたというふうに聞いておりますけれ ども、さまざまな患者さんの団体の方々が意見を集約いたしまして、今後どのようなこ とに取り組んでいくべきかということを提示していただいているものであります。  内容を私の方でかいつまんで紹介させていただきますと、長期療養を必要とします患 者さん、患者さんの子どものライフステージを考慮して対応していく必要があるだろ う、こういった前提を基に、病院を治しながら育つ場所、それから、学校を学びながら 治していく場所、それから、社会全体を共に生きていく場所と位置付けまして、医療に とどまらない多面的な政策提言というのをいただいております。この病院というのを言 わば医療、学校というのを教育、社会というのを就労も含むかなり広目な概念ではあり ますけれども、福祉と位置付けまして、こういった医療・教育・福祉と3つにわたる点 にまとめて提言をいただいています。  まず、医療に関します提言ですけれども、主な内容としましては当然でありますけれ ども、それぞれ皆様方大変な病気で苦しんでいらっしゃるということで、よりよい治療 法の開発、治療、それから、早期発見を進めていくこと、それから、治療を進めていく 中でいろいろな薬剤によります副作用を軽減していくこと、こういったことで治療研究 を進めてほしい、こういうことをまず第一に述べておられます。  それから、病院における治療環境の向上ということで、院内におけます学習環境、院 内学級や養護学級に加えまして、院内における学習室、遊戯室といったものを充実して ほしい。それから、ソーシャルワーカーでありますとか、心理士、保母などといった専 門職の方々によるサポートを充実してほしい。それから、面会に訪れる家族のために面 会室でありますとか、家族のための宿泊施設というものを整備してほしい、このような 御意見を述べておられます。  また、医療制度の充実ということで、新しい治療法ですとか新しい薬剤が開発された 場合に、速やかに保険適用してほしいというようなこと。それから、保険適用になりま す医療費のほかに掛かります差額ベッド料でありますとか、そういった費用に関します 助成といったことを要望しておられます。  続きまして、2つ目のカテゴリーとしまして教育に関しましてですが、在宅療養児の 学校教育、それから、家庭における教育の両方について推進してほしいということで述 べられておりまして、1つは、普通学級におけます教育の推進ということで、受入れを 推進してほしい。介護職員の配置などの環境整備を並行して進めてほしい、このように 述べておられます。  一方で、普通学級で通えないお子様方のために養護教育の充実ということで、一人一 人の障害や個性に合った学習指導を実現してほしい、このように述べておられます。  そのほか、経管栄養・吸引・導尿といった医学的なケアというのを必要とするお子様 方に対しまして、そういったものを対応していくような方向性。それから、病院内にお けます学習ということで、院内学級やこちらから出掛けていくということで訪問教育の 推進などについても、意見、要望をされておられます。  最後に、3つ目のカテゴリーとしまして福祉ということでありまして、その中で1つ 目としまして、在宅療養支援、具体的には訪問看護、訪問リハビリ、ヘルパーの派遣、 それから、ショートステイ、支援ネットワークといったものを整備しまして、在宅療養 環境を整備してほしいということでございます。  続きまして、経済的支援ということで、在宅で利用されます医療器具、医療用品、そ れから、宿泊や交通費などの間接的な費用といったものに対する公費の負担。それか ら、税金面での支援ということで、所得控除の対象にしてほしい、このようにまとめて おられます。  最後に、福祉という言葉の中で広目な概念ではありますけれども、就労支援というこ とで、一定の条件の下では働ける方々も多いということをまず前提としまして、採用に おけます健康診断を基本的に廃止してほしい。それから、療養に必要な休暇について は、通院休暇制度や雇用企業に対します助成金制度を創設して支援をしてほしいという ようなこと。それから、患者さんの親御さんに対しましても、介護休養制度の創設をし てほしいというようなことを希望されております。そのほか、通所作業所の整備、こう いったことを希望されております。  そのほかの課題としてまとめておられますのは、ボランティアの育成、それから、寄 付金の所得からの控除、親の会と民間団体への支援、行政窓口の一本化、それから、広 く関係者の啓発、こういったことを課題として挙げておられまして、最後に患者と家族 だけの問題としてこの問題をとらえてほしくない。社会全体の問題として考えてほしい ということでまとめておられるということです。  資料7については、以上です。  続きまして、そういった患者さんの御家族の方々から大変いろいろな要望をいただい ているわけですけれども、こういったものをデータ的に裏付けるものとしまして資料8 に紹介しております。平成3年度に、私どもの方で小児慢性特定疾患対策調査というの を実施しております。こちらの方ですが、平成3年7月1日に調査をしておりまして、 この小児慢性特定疾患治療研究事業の対象となっております患者さんの御家庭を無作為 に抽出いたしまして、全体の20分の1の方々を対象に調査を行ったものであります。こ のうち、69.5%の回答をいただいて、最終的には3,520人の方から回答をいただいたとい うものであります。  こちらの結果の要旨が1枚目にございますので、こういったものを紹介してまいりま す。 データの方も併せてごらんいただければと思います。  まず、1つ目ですけれども、入院回数に関しますものですが、過去1年間に入院した ことがある方というのは49.7%に上っておりまして、この中で見てまいりますと、1回 入院されている方というのが64.2%ということで最も多いわけでありますが、他方8回 以上というような長期にわたって反復して入院されるようなこともあり、1年間に1か 月以上入院された方は50.6%を占めておるということで、かなりばらつきがございます けれども、長期にわたって入院を余儀なくされておられます方々というのも、かなりい らっしゃるということが示されております。  次に、2番目に、入院医療機関に対します要望といたしましては、家族との相談に当 たる専門家を病棟へ配置してほしいという意見が35.6%と最も多く掲げられておりまし て、病院内学級の設置、教師の訪問学級の実施、それから、子どものための心理職員の 病棟への配置、保母の病棟への配置というのが続いておるところであります。  3番目には、医療機関の満足度というのがまとめられておりまして、全体には74.6% の方が現在治療を受けていらっしゃる医療機関に対して満足をしているというふうにさ れておりますけれども、残る方々のうち満足していないという回答で最も多かったの は、病院が遠い。これは、専門的な医療機関ということですので、必ずしも近くにない ということだと思いますが、全体の13.7%。それに続きまして、設備に不満があるよう な方、それから、医療そのものに不安がある方というのも言っていらっしゃるというこ とでありました。  4番目ですけれども、これは介護が必要であるかどうかといった状況に関しますもの でありまして、慢性疾患のために食事、入浴などの動作に対して全面的に介助が必要な 方は、おおむね全体の5.3%から8.7%。これは全面的に介助が必要な方ということです が、一部介助が必要な方を入れますと8.9%から15.9%ということで、かなりの数の方が そういった支援というのを必要としているということでありました。  5番目、子どもの日常生活の中で気になることでありますけれども、それに対する相 談の状況ということでありますが、相談したことがあるという方については全体の52.0 %でありまして、その相談相手として最も多かったのは、同じ病気の子どもを持つ親と いうことで、23.4%ということでありました。続きまして、教師や保母などというよう なところで続いております。  続きまして、6番目ですけれども、自宅療養を行う上で必要と思われることに関しま しては、病気急変時など医療機関などへの緊急連絡体制というのが最も多く、次いで保 健所を基盤とした難病の親の会、看護婦、保健婦の家庭訪問や指導、助言、介護できな い際の子どもの一時預かりサービスなとど続いております。  7番目、学校におけます状況でありますけれども、義務教育の対象児は全体の53.1% を占めておりまして、その中で85.5%が普通学級で教育を受けているということなんで すが、この中では72.6%の方は問題なしというふうにお答えになっているわけですけれ ども、残る問題ありとお答えされた方の中で最も多かったことは、体育や運動会に参加 できないということが1つ。それから、数が少なくなってまいりますけれども、友達に いじめられる、学校に理解がない、他の父母に理解がないといった答えが続いておりま す。  最後8番目ですけれども、両親の負担につきましては母親に64.2%、父親の53.4%が 何らかの負担を感じていらっしゃるということで、その両方に対しまして精神的な負担 というのが最も大きな答えになっておりました。母親の負担としましては、身体の疲 れ、経済的な負担というのが続いておりまして、父親に対しましては、経済的な負担、 仕事への影響というのを挙げておられました。  このように、全般的な点で課題というのが、資料7では患者さんの直接の提言とし て、資料8では実際のデータとして上がってきたということであります。  私からは以上です。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ただいまの資料7及び資料8につきまして、何か御質問はございますでしょうか。 ○神谷委員  よろしいですか。資料8ですけれども、この後これは母子保健課からの御依頼で、こ れは班研究として平成7年だったか平成8年だったかにやりまして、そのデータがこれ と似たようなところもあるし、少し違うところもありまして、特に、親御さんの方の御 希望を入れて、どういう御希望を持っておられるかというデータをやって冊子にして出 してございますけれども、御存じですか。児童家庭局には何冊かお渡ししてありますけ れども。 ○宮本補佐  そうしますと、次回またそういった内容も紹介させていただくということでよろしい でしょうか。 ○神谷委員  いいですけれども、それを知らないというのはちょっと怠慢ではないですか。 ○事務局  「健やか親子」のときに使ったものですか。 ○神谷委員  「健やか親子」ではなくて。 ○事務局  そのときに資料を使っております。 ○鴨下座長  ほかにはいかがですか。  それでは、本日は神谷委員からも特別な資料をいただいておりますので、これは神谷 委員の方から御説明いただけるわけでしょうか。資料4というのがございますね。 ○神谷委員  それでは、ちょっと簡単に御説明をさせていただきますが、今回この小児特定疾患を 見直すというようなお話でしたけれども、それに伴って最近は、先ほどもちょっと御質 問があったと思いますが、疾病構造が随分変わってきている。私の提出資料の中の8 ページ「小児慢性病棟における疾病構造の変遷」というのを見ていただきますと、これ は、私の病棟で1979年から1999年まで5年間隔ぐらいで、勿論、数値は正しいんですけ れども、ざっと比較をしてみますと、1979年ごろというのは気管支喘息だとか腎疾患が 中心で、ほかの病気がこういう慢性疾患の病棟に入るということはほとんどなかった。  ところが、その後ずっと見ていただきまして1999年にまいりますと、疾病構造が随分 変わっているわけですね。それで、例えば、腎臓だとか気管支喘息というのは今でもあ りますけれども、数としては減ってまいりまして、いわゆる50%を超える肥満の方と か、あるいはアトピー性皮膚炎のひどい方とか、それから、拒食の方がかなりありま す。膠原病もあるというような、そういうことで、以前と比べて疾病構造が変わってき ている。今回このことで申し上げたいことは、今、見直すときにこういうような問題点 に着目して見直していただかないと、現実の日本の今、子どもたちがかかっている病気 を見落とすのではないかと。むしろ、そういうことをしっかり調べた上で、どういうも のにどう補助するかというようなことを考える必要がある。  ざっとしたことですけれども、お金を計算をしてみたんですが、これは1枚目の裏に あります、2ページです。例えば、神経性食思不振症で入院をしますと、保険の種類に よって違いますけれども、大体小児の包括医療をやっても月額13万円ぐらい掛かるとい うことで、それから、国保の場合の自己負担だと19万5,000円というふうなお金が掛かり ます。特に、神経性食思不振症などは、ほかの子と一緒におれない、ひどい時期にはお れませんので、そうしますと、どうしても個室に入らなければならないということがあ って、その個室料も問題になる。  それから、肥満がその下にございますが、肥満につきましても同じぐらいの費用が掛 かる。これは、そんな何もたくさん高いお金を取っているわけではなくて、検査上必要 なことだけでこのぐらい掛かる。  アトピーにつきましても同じようなことで、具体的な動きは下からのグラフに書いて ありますけれども、今日は細かいことは見ていただければわかるので申し上げません が、去年どうしてかわかりませんけれども、三重県が腎臓が多かったわけですが、普通 の年はどんどん減ってきているし、それから、また入院期間の短縮がどんどん起こって いるという状況の中で、この小児慢性疾患というものをどういうふうに見直していく か。入院の必要な子たちをどう見ていくかというようなことを考えるときに一緒に考え ていただかないと、何か親の会があるから、その会の人たちだけが表に出るというので はなくて、こういうふうな少人数で決して言えない方というのはたくさんあるわけで、 そういう方のことも考えないといけないだろうと。そういうふうに思って、この資料を 提出いたしました。  あと、1ページのところに細かいことは書いておきましたので、これはまた後で読ん でくださればおかわりいただけると思います。  以上でございます。 ○鴨下座長  どうもありがとうございました。  今の神谷委員の資料については、何か御質問はありますか。 ○加藤委員  肥満に関しては、何か基礎疾患があるのでしょうか。糖尿病とか。 ○神谷委員  基礎疾患のあるものも混ざっておりますが、大体合併症があって入院しているんです ね。だから、ここに入っているのは糖尿病があるか、あるいは脂肪肝があるとか、ある いは不登校が起こって、それは肥満のために不登校を起こしているとか、そういうこと のある子だけが入院して、あとは外来でやりますので入院でやっているのはそういう子 です。 ○鴨下座長  それでは、たくさんの資料に基づきましていろいろと御説明をいただきましたけれど も、これから少し時間を取りまして御自由に御意見などを伺いたいと思います。 あるいはまた、御質問でも結構でございますが、どなたでも自由にお願いできればと思 います。あるいは、一回りお一人何分かずつ御意見を言っていただいた方がよろしいで しょうか。いかがいたしましょう。まずは、どなたか口火を切っていただけますか。 ○大久保委員  よろしいですか。この在り方検討会を設置されるに当たっては、1つは法制化という のがあったかと思うんですが、どの法律という想定でいらっしゃるんですか。 それを議題にすべきかどうかはわかりませんが。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  法制化ということが先にありきということではございませんで、結果としてその必要 性があるということでしたら議論したいというふうに思いますけれども、現時点で法律 改正をするあるいは特定の法律のこの部分を改正するというような具体的なことを前提 にした検討ではございません。 ○鴨下座長  それでは、ほかにございますか。 ○高松委員  済みません、今の話ですが、現状を変えるということは、結果的には法律を変えると いうことでしょう。法律を変えないで現状を変えていくことはできないではないです か。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長  おっしゃるとおり、このままでは制度が安定的に維持できない、あるいは今日の御発 言の中でも、今の制度でカバーし切れていないような新しい問題もあるということでご ざいますので、勿論、制度を改善したい、安定化させたいという気持ちがあるわけで、 現状維持の前提では勿論ございません。ただ、それを具体的にどういう形で整理し実現 するかというのは、またいろいろなやり方、いろいろな対応の仕方があるので、それは 私どもの方でしっかり検討したいというふうに思いますが、今の制度は法律に全く根拠 がない予算の補助事業なんですね。ですから、事務次官通達の制度です。 ですから、通達を改正する、あるいは予算の仕組みを改正するということでも制度は変 わるわけで、どういう形の制度の安定化というのは、また私どもの方で考えてお話しで きることがございましたら、また、この研究会の後の方でもお話ししたいというふうに 思います。 ○小林委員  患者団体なんですけれども、すべての患者団体ではないです、多くの患者団体は、 今、局長から御説明がありましたように、今の制度が予算事業ということで何年か前か ら予算の削減というようなことが度々話題になっておりまして、制度がこのまま維持で きるかできないかということについて非常に不安に思っております。このままではどう もなくなってしまうのではないかということでは、かえって大変なことになるというこ とで、何とかこの制度を安定したものにしていただいて、将来にわたって患者さんたち が恩恵を受けられるようにしたいということで、先ほど御説明をいただいた共同アピー ル「難病対策基本法の制定を願って」と書いてありますけれども、そういった趣旨でこ のアピールをまとめさせていただいたという流れがあるんですね。そんなことで、患者 団体としては是非、法制化に向けて国には検討を進めていっていただきたいなというふ うに思っているところなんです。 ○柳澤委員  今、小林委員からも発言がありましたように、この制度は治療研究事業という名前で すけれども、患者さんの御家族への経済的な負担の軽減といことで非常に大事な役割を 担ってきたと思います。その一方で、従来よく言われていたのは、研究事業という名前 がついていながら余り研究としてきちんとしたことがされていなかったということが、 ある面では批判的にもあったわけなんですが、数年前からといいますか、私は平成7年 から心身障害研究、それから、平成10年、平成11年、平成12年と子ども家庭総合研究 で、この小児慢性特定疾患についての研究をさせていただいて、そこでここに加えられ ております悪性新生物の医療意見書もその一つなわけですけれども、それぞれの小児慢 性特定疾患の疾患を申請する場合に、疾患ごとに医療意見書の書式を定めて、どういう 根拠でその疾患が診断されたのかということを明らかにできるような形のものを整備 し、それによって、ここ数年ようやく全国的な、この小児慢性特定疾患は500疾患ぐら いあるわけですけれども、全国的な疫学調査もできるようになってきた。小児慢性特定 疾患の登録、集計、解析のシステムの構築というものがようやくできて、それが軌道に 乗ろうとしているというところで、これからもっといろいろな制度の整備というものは 必要ですが、研究の上でもこういうことがきちんと行われることによって、患者さんた ちのQOLの向上にも役立つようなデータがいろいろと出ていく可能性は非常に高いと 思います。そのことは、各疾患群ごとの専門家の人たちからも大変高く評価されている というように感じております。  以上です。 ○鴨下座長  よろしいでしょうか。ほかに。 ○山本委員  質問なんですが、資料1の検討課題に関してです。今回の検討会、今までずっと御説 明を伺っていますと、医療的な面が中心のように感じておりますが、(3)に福祉サービス の問題を取り上げておりまして、ほかの方からもお話があったと思うんですが、病気の 患者さんについては医療だけではなくて、QOLを考えていく上で、福祉、教育いろい ろトータルに考えていく必要があるということで、福祉サービスの問題をこの検討課題 に取り上げているということは、大変意味があることだと思います。しかし、この就学 とか就労等の問題が、どのように医療サービス等と絡めてまとめられる方向なのかとい うことなんですが、先ほど資料7と資料8の御説明の中でも、私は教育の立場から参加 しておりますが、いろいろ学校教育の中で問題がございまして、相談を受けたりいろい ろしているわけなんですが、文部科学省の方で21世紀の特種教育の在り方という報告を 受けて、いろいろ新しい方向で今検討も進めているわけなんですが、この検討会の中 で、就学と書いてありますけれども、広く教育の問題等がどのような位置付けで検討さ れるのかなと。つまり、文部科学省でも勿論、教育の問題21世紀の在り方ということで 取り組んでいるわけなんですが、それとの関連がある部分があると思うんですけれど も、どういう方向でこの福祉サービスの問題を取り上げるのかということをちょっと御 質問をしたいと思います。 ○鴨下座長  これは、やはり事務局への御質問になりますでしょうか。課長、お願いできますか。 ○谷口母子保健課長  具体的には、どのようなリンクを持って他省庁との関係でまとめていくかという方向 性を勿論我々は持っているわけではございません。むしろ今日の先生方の御意見を基 に、どういう形でやっていけばいいのかというある程度の方向性を持って、今日は勿 論、担当の方には来ていただいていますけれども、この検討会の中ではどのような方向 性、先生方からの御意見としてあるのかというを我々は十分そしゃくした上で文科省と 相談した上で、すり合わせられるところはすり合わせていきたいというふうに考えてお りますし、むしろ、その辺の忌憚のない御意見を今のうちにいただいておきたいという のが我々の本心でございます。 ○大久保委員  この検討会に臨むに当たりまして、一部読売のホームページを拝見いたしました。こ この資料を拝見させていただきましても、いろいろな医療費助成制度は一部負担がかな り導入されているというのがありまして、読売のホームページに「所得に応じた一部負 担の検討も」というようなことが、実はちょっと先んじて出ていました。それは、ここ で検討することだというふうに思いますが、仮に、一部負担を導入ということであって 、先ほどいろいろな種類の形の医療費助成の制度があって、福祉的というところに所得 に応じて費用徴収があるという幾つかの助成制度がございますけれども、小児慢性疾患 というのが一部負担がない唯一の医療費助成制度だというふうに思いますが、仮に一部 負担を導入するとしましたときに、所得に応じた費用負担という徴収方法には多少問題 があるというふうに私ども行政としては考えております。どうしてかといいますと、1 つには、この資料6の「公費負担医療制度の対比」というところの2ページでございま すけれども、所得に応じて費用徴収ありという一番上の更正医療のところと、育成、療 養、未熟児養育というのがございますが、実は、これは所得に応じて費用徴収という徴 収の現実的な問題といたしまして、雪下先生もいらっしゃいますけれども、医療機関の 窓口で徴収しているものと、窓口ではないが後から徴収される、という2つのやり方が 実は4つの医療費助成制度の中に混在しているわけです。実は、医療機関の窓口の現場 では、いろいろな医療券を持ってお見えになる、これのほかに更に老人のいろいろな医 療券がございまして、各種散在している中で、この小児慢性疾患についても仮にもし所 得に応じた費用負担ということであると、例えば窓口徴収ということになると大変な混 乱を起こしてしまうというのが1つございます。では、先に窓口徴収をしないで自治体 でそれを徴収すればよかろうということになりますと、私も詳細がよくわかりません が、診療報酬というものが一旦各基金へ行って、その金額が定まる、それが自治体へ回 ってくる、それから、自治体がまたその家族の方あるいは患者さんの方にそれを送付し て徴収するということは、実はすごいタイムラグがあるんです。そういたしますと、現 実問題としてはかなりの混乱を来すのが必定でございまして、そういう意味からします と、現在同じ表の中のいわゆる難病と呼ばれている特定疾患治療研究事業の方で、外来 では所得に関係なく一律1回1,000円、月2回までというようなこと、あるいは入院で は一医療機関月額1万4,000円ということをやっておりますけれども、もし一部負担と いうことが導入されるのであれば、そういう形にしていただくのが混乱がなくて一番よ いというのが行政側の切望でございます。 ○雪下委員  よろしいですか。今、委員からお話のあった一部負担、それが所得によってというの は、既に小児医療費についてそういう制度をまだ残しておるところが大部分で、これは 大変混乱の元になっているわけで、その辺のところは十分考えてほしいと思いますが、 ただ、これは一部負担を取るのか取らないのかはこれからの問題だと思います。医師会 としましては、やはり小児医療費の全体の公費負担を少なくとも就学時、それ以上まで 上げていこうという運動をしているところでありまして、特に、今、問題になっており ます慢性疾患を有している家族の負担は、精神的にも経済的にも大変なもので、これを 当然公的な普遍的な負担の制度をつくっていくということには基本的には大賛成でいる わけですが、むしろ、昭和49年から行われていたものが、まだこのまま研究費のような 形で残っていること自体がちょっとおかしいのかなという感じがするわけです。  ただ、今の小林委員から言われたように、このままでいくと今までも公費負担がだん だんカットされていって存続が無理なのではないかということの発言があったと思いま す。 現在までも公費負担のカットというのはあったんでしょうか。金額的にあったのか、そ れとも一部、例えば内分泌疾患等においての適用の制限みたいなもので、先ほどの山が 下りているというのは知っておりますけれども、その辺はどうなんでしょうか。 ○小林委員  私の聞いている範囲では、それはございませんで、今まで担当課の努力でいろいろな 予算を都合してきていただいて乗り越えてきたというふうに聞いています。ただ、その 一方で、平成13年度辺りはスクリーニングの予算が国から自治体になって、その予算を 小児慢性疾患に持ってきて乗り越えたんだと。私どもが聞いているのは、もう来年度は 持ってくるものもないんだというふうに聞いておったわけなんですけれども。 ○谷口母子保健課長  補足を。行政の立場で発言すべきことを代わりに御発言いただいて、ちょっとじくじ たるところがございますけれども、基本的には今、小林委員の方から御発言いただいた とおりでございまして、局長からも先ほど申しました、奨励的補助金、進めるためにい ろいろな補助金を国が出しているものがございますが、それは幾つも確かにあるわけで ございまして、その枠というのは一本で財務省から予算としてつけてもらっているわけ なんですね。その中で、トータルとして10%削減してそれをどう使うかは、ある意味で 厚生労働省の裁量に任されているところが実はあるにはあるんです。ですから、どの補 助金についても一律10%ということではなくて、ある年にはある補助金は20%削減され ているかもしれないけれども、別の補助金は5%ぐらいで済んでいるということもござ いまして、これまでは小児慢性の分につきましては、さすがにこれは影響が大き過ぎる ということもございまして、我々として最大限努力をいたしまして財務省の理解を得な がら、枠の中でうまくやりくりをしてきたというのが実態でございます。ですから、そ ういう意味では、平成10年の内分泌の問題の適正化の話等もございましたけれども、そ れ以外につきましては、何とかやりくりをして患者さんの方には余り御迷惑を掛けなか ったというふうに考えておるところでございます。 ○高松委員  よろしゅうございますか。素人的な発言で恐れ入りますが、この事業は全くとは言わ ないかもしれませんが、2つの異なる性質の事業、1つは研究に関する補助の問題と、 1つは家庭の医療費に関する補助という2つに分けられると思うのでございますが、 総医療費は1,300億円余でございましたね。そのうちで、国庫の事業で98億円の予算を 持っているというお話でございますから、言ってみれば大変微量というか、1,300円掛か っているのに、ですから、御家庭が負担されておるお金が、実は都道府県レベルでカ バーされてしまっている面があるのか。例えば、1割負担とか2割負担とか3割負担と いうことになったら、もっと大きな金額になるはずであるが、極めて少なくなっている のはどうしてだろうということが1つございます。  それも含めてですけれども、乱暴な意見を申しますと、福祉側の身体障害の問題を持 った障害児の世界では、最初は勿論、福祉の方から優先していったわけでありますが、 医療的な問題もかなりカバーされてきておって、かつてこの子どもさん方も福祉の世界 にお入りになってこられたらいいのではないかという提案をどこかでしたような気がす るんですが、それは親御さん側からすると、医療費が削除されてしまって大変困るとい うふうな感じのお怒りになったような発言もお聞きして、結局それはそのままなってい るわけでありますが、もし、この小さな事業が小さいがゆえに守り切れないというので あれば、福祉の世界に参加されたら一体どうなのだろうかというふうな感じがしており ます。また、それは、今でもなお身体障害とか知的障害という障害児童と私たちの子ど もとは違うというような、ある種の偏見でございますけれども、そういうふうなものを 持ち続けておられるのか。あるいは実際には、身体障害のさまざまな状況をお持ちの 方々もおられるわけですから、両方のサービスを受けておられるのか、まだ何かよくわ からないんですが、大局的に言うと、福祉法の中に御参加された方が大半の問題は整理 できはしないかと、個々さまざまでございますけれども、思うのでございます。  それから、研究費のことについて申しますと、98億円のうちの20億円、30億円という のは研究費に回っておるとはちょっと思いがたいのでありますが、一方では、さまざま な難病、心身障害、さまざまな意味での厚生労働省管轄の疾患研究の世界がございます ので、現在の研究費で十分かどうかは別でございますが、最小限少なくともこの研究費 を確保するという条件であれば、そちらの方にお移りになられてもいいのではないかと いう気もするのでございますけれども、いかがでございましょうか。私の意見は乱暴で ございますかね。 ○小林委員  以前に、障害者基本法が成立する際に、その中に難病という言葉を入れてほしいとい うような働き掛けを総理府初め随分したんですけれども、最終的には外されてしまいま した。結局、その理由は病気ということの枠がつくれないんだということのようだった んですけれども。 ○高松委員  それは、かなり実は変わってきているはずですよ。 ○小林委員  そうですか。そういったような過去にいきさつがございまして、だとすると、その中 に入れてもらえないのであれば、むしろ病気という別の単位を考えてもらわざるを得な い、これが結局、置き忘れられていってしまったというところだと思うんです。 ○谷口母子保健課長  高松先生からの最初の問題につきまして、98億円というお金が少ないではないかとい うことにつきましてですけれども、確かに総医療費としては物すごく莫大なお金が掛か っております。普通の病気の場合でもそうなんですが、御本人であれば2割、家族であ れば3割という仕組みがございますね。この世界でも勿論、まず保険で手当できる部分 は保険で手当していただくことになっておりまして、本来、普通の健康保険の皆様が自 己負担をする部分についてのみ公費で面倒を見ようと。それを国と都道府県なりが分け ておるわけでございますが、その中でももう一つ仕組みがございまして、自己負担が余 りに大きくなり過ぎる場合には、これは普通の保険の場合でもそうなんですけれども、 6万3,600円を超える部分につきましては、それ以上は自己負担をしていただかなくても いいという高額療養費制度というのがございます。だから、自己負担の上限が6万3,600 円でカットされてしまうんです。最大限そこまでの御負担で済んでいるということでご ざいますので、それを考えますと、うちの方の予算の総額というのは98億円で何とか収 まってしまうということになるわけでございます。 ○高松委員  無理やり収めておられる、十分余裕を持って収まっている。 ○谷口母子保健課長  いいえ、余裕というわけではございませんけれども、今までのところは何とかやって これたということなわけです。 ○高松委員  それは、98億円の中の幾らですか。98億円のうちの幾らかは研究事業に回っています ね。入っていないんですか。 ○谷口母子保健課長  基本的には、この98億円というのは、全額患者さん負担のために回しているというこ とになるんです。 ○高松委員  研究費として出されているわけではないのですか。 ○谷口母子保健課長  若干、事務的なものでそういった部分が回っている可能性もあるかもしれませんけれ ども、基本的には、患者さんの自己負担の補てんのための金であるというふうにお考え いただいてよろしいかと思います。  それとは別に、若干触れられましたが、厚生科学研究費の中で、それは別に難病です とか小児のこういった慢性疾患に対する研究費に手当されている部分はございますが、 それは98億円とは別の枠でございます。 ○高松委員  どうも私の誤解でございました、失礼いたしました。 ○鴨下座長  今日は初回ですから、何でも言っていただいて。次からは、変な質問をすると恥ずか しいということになりかねませんから、どうぞ何でもよろしゅうございます。 ○桑島補佐  ちょっとよろしゅうございますか。今、高松委員からの御質問で若干お答えの補足を させていただきますけれども、この治療研究費全体としてはやはり九十何億円、これは まさしく医療費そのものでございます。それに対しまして、疫学的な調査あるいは医学 的な調査につきましては、私どもの局の中で、今、厚生科学研究の中でと申し上げまし た、もう少し申し上げますと、子ども家庭総合研究という研究費がございます。この中 でそれぞれの疾患に対する研究あるいは全体的な、疫学的な調査を実施してございまし て、現在約7億円弱の予算がついてございます。  以上でございます。 ○高松委員  7億円ですか。 ○大久保委員  この小児慢性疾患の治療研究事業の見直しの1つとして、1つは、医療費助成に終始 してしまって、本来の調査研究事業というのが足りないのではないかというのが、多分 俎上に上がった理由の一つであろうというふうには思うんですけれども、その意味で は、この小児慢性特定疾患、先ほど福祉の仲間にというお話もございました。福祉側が 見る目的と、いわゆる公衆衛生と申しますか、疾患というものをどうするか、それをい かに克服していくかというような問題から見る事業とは恐らく性質を異にするというふ うに考えております。福祉の方の目的としては、あくまでも富める者は御自分で余裕が あるのでお支払いただく、払えない方は公費が見るというような趣旨があったというふ うに思いますので、例えば、先ほどの所得に応じた費用徴収という面でございますが、 かなりの大金持ちであれば、これは医療券をたとえ持たなくてもいいという方も出てい らっしゃる。ところが、私が思うには、この小児慢性特定疾患の治療研究事業というこ との目的は、その病気の方の疫学調査であるとか、それをどのようにしていくかという ことであれば、それはその疾患をお持ちの全例について国としては把握すべきなんだろ うと。そうであれば、疾患に目を向けているということもあって、また、御家族の方の 経済負担というものがございますけれども、もう一つの面も目をそむけられないのでは ないかなというふうに思うので、先ほどかなり行政側の勝手なことを申しましたけれど も、そういう意味合いからすれば、先ほど所得に応じた費用徴収という徴収の仕方であ るよりも、全症例を把握するという研究ということも、もし、それを大目的とするので あれば、一律の、先ほど申しましたような外来1回何円というような形のものの方が、 全例が貧富の差なく把握できるというふうに私は思います。  以上です。 ○永井委員  今の大久保委員さんの御意見とは全然別なんですけれども、私は本当に小さな和歌山 県というところで小児難病等の長期療養所の相談業務をやっていますので、少しそこの 現状とか問題点というもののお話を聞いていただければと思います。  まだまだ開設して丸2年ですので、実績としては何もないんですけれども、大体来所 相談と電話相談を行っていまして、保健婦と医療ソーシャルワーカーが同時に御相談を お受けしている状況です。年間大体500件ぐらいの相談がございます。来所がその約3分 の1ぐらいですけれども、私どもは療養相談と、それから、情報提供と家族会の支援と いう3つの業務を柱にして、御相談いただく家族の方々の調整機能を果たしているわけ なんですが、その中で一番今問題になっていますのは、先ほど小林先生の方からの資料 にもございましたけれども、非常に教育というものが保護者の方には大きな問題になっ ています。特別なことをしなくても、普通に学校に行かせてやりたいというのが親の願 いなんですね。 そこで、学校とか保育所、幼稚園の受入れというのもまだまだ十分ではございませんの で、私どもはそういう関係者の方たち、今年度は特に、養護教諭を中心にした保健所の 先生方に対して理解していただくための研修を計画したり、それから、本庁の教育委員 会と提携しまして、そういう会議へ出させていただいたりとかして努力をしています。  それと、もう一つは、子どもさんを分娩してすぐ、こういう難病の方たちというのは 病院へ入ります。ですから、地域の保健婦とか保健所のかかわりなしに入院しますの で、私のところへ相談に来られたケースの中でも、かなりの数の方がそういう福祉制度 とか医療制度を御存じなくて、初めて受けられたというのがあります。ですから、地域 でのネットワークというふうなものも、この中で少し考えていただけたらいいなと思っ て、意見を述べさせていただきました。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○山本委員  第1回ということで、自由に発言できるというようなお話でしたので、せっかく資料 が出ていますので資料7と資料8、資料7では具体的には3ページ、資料8だと11ペー ジなんですが、今、ちょうど永井委員からのお話の中で教育の問題に触れていましたの で、この資料を基に状況だけ簡単に御説明したいと思います。小林委員もいろいろ御存 じなんですが、私の方から教育の立場から申し上げますと、資料7の3ページ「教育」 のところで、学びながら治すという、非常にこれは意味のある言葉だと思うんです。と いうのは、今日お見えの中で神谷委員の病院の隣にも養護学校がありまして、私は伺っ たことがあるんですが、1つは、養護学校とか病院の中に学級があるというのを御存じ ない方が非常に多いという状況があります。資料8の普通学級が85.5%となっておりま すし、それから、休学中というのもありますけれども、私がいろいろお母様方からの相 談、その他を伺っていますと、入院をしながら勉強のできる、そういう教育機関が日本 にあるということを御存じない方が大変多くて、無理して普通学校に通っていたり、そ こでいろいろな問題が生じたりしています。最近、病院の中に学級がだんだん幸いでき てきまして、その状況をちょっと簡単に御紹介します。  この学びながら治すというのはまさにぴったりでして、最初は病院の中に学級がない 場合は、ずっと入院して治療中心の生活なんですが、学級ができたために、子どもが1 日の生活のある一定の限られた時間ですけれども、自分の病室から学級に、勿論、病院 の中にある部屋ですが、そこに行くことによって友達と会えるあるいは先生と会ってい ろいろな悩みがお話しできる、勉強できるということで極めて精神的な安定、情緒的な 安定、それから、治療に対する意欲的な態度、その他非常に効果があるということで、 最初は、医療機関の方も病院の中に学級をつくるということについて余り積極的ではな い場合が多かったんですが、最近はそういう教育効果が非常に治療にもいい影響を与え るということで、だんだん病院内学級ができてきたという状況があります。ということ で、そういう養護学校あるいは病院内学級の存在というのが、非常に病気の子どもたち の単なる教育面だけではなくて、治療的な意味でも非常に効果がある、精神的な意味で 効果があるということがあります。  それから、ちょっと私の予想外だったのが、資料8の11ページで、学校で気になる問 題というので問題なしというのが70%を超えていまして本当かなというふうに思ったん です。というのは、実際はいろいろあると思うんですね。いろいろなケースを聞いてい ますので。体育や運動会に参加できないというのが一番の問題としてありますけれど も、これも数値として低いような気がするんですが、いろいろな問題を私自身も相談を 受けたりしています。先ほど養護教諭の方の研修というお話があったんですが、養護教 諭の方の専門雑誌とか研修会でも、病気の子どもたちに対する適切な理解と対応という ことでお話しする機会があるんですが、こういう調査は比率としては低いですけれども 、低くてもこれは問題としてかなり大きな課題になると思いますので、この検討会の中 でさっきも御質問したように、教育や福祉のサービスの問題がどのくらいこの比率とし て入るかわからないんですが、こういった問題があるということで、一つ検討の中に加 えていただければありがたいと思います。  以上でございます。 ○小林委員  今の教育のことなんですけれども、先ほど山本先生から21世紀の特種教育の在り方と いうお話もございましたが、今の資料8の11ページにあるように、お子さんの85.5%が 普通学級に行っておりますので、確かに特種教育という分野もあるかもしれないんです けれども、ほとんどの方は一般の通常学級に行っておりますので、一般の通常学級の中 で教員あるいは養護教諭、保健の先生たちですね、こういう方たちに病気の子どものこ とを知っていただくという仕組みといったことも、この場で考えていただければありが たいなというふうに思います。 ○及川委員  よろしいでしょうか。この給付なんですけれども、入院と通院の給付の割合がどのく らいなのかというのがよくわからないんですが、やはりこれからの子どもたちを 見ていきますと、入院とは別に外来の子どもたちというのは当然増えていくであろうと いうことを考えますと、この事業の中に指導事業とか相談事業または訪問事業というふ うなものも含まれてはいたようなんですが、それが実際どのくらい活用されてきたのか というか、行われていたのかというふうなことも含めまして、やはり子どもたちが小児 慢性を抱えながら大人になっていくということは当然あるわけですし、子どもたちの自 立を促すという意味では、指導とか相談というのは親御さんだけではなくて子どもさん 自身に対するそういう取り組みというのも大事になってくるのではないかというふうに 思うんですね。 そういう意味で、そういう子どもたちをサポートするシステムといいますか、そういう ふうなところも、やはりつくっていっていただきたいというふうに思います。  それと、もう一つは、やはり御家族の方たちのさまざまな問題が複雑になってきてい て、そういう子どもたちに対して、今、訪問看護ステーションのことを私自身ちょっと 研究させていただいているんですけれども、やはり訪問看護をするということは、御家 族にとってとても意味がありますし、24時間お母様方からの相談を電話なり何なりで受 けることによって、退院後の御家族の不安とか対処の仕方というのが非常に変わってき ているというのが見えてきているんですね。ですから、そういうふうなところも今回の 中で強化していけるような形で少し考えていただけるとよろしいかなというふうに思っ ています。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかにいかがでしょうか。 ○神谷委員  よろしいですか。先ほどから山本先生、小林先生がおっしゃった学校のことなんです けれども、養護学校に行くまでに最初の段階では学級だったんですね。私たちが始めた ころは学級もなくて、1人の子どもをやっと先生を呼んできて見てもらおうというよう なところから始めた。たまたま療養所のあるところは大体結核を持っていましたので、 結核の子どもたちがいて、そこには先生方が、少し入院でおられた方が治って子どもの 面倒を見ておられたと。その辺が養護学校のスタートなんですけれども、それで、養護 学校をスタートして片一方では学級でやったわけですが、問題は学級でやりますと少し よくなってきた子ども、悪い子どもは学級でいいですね。ところが、少しよくなってき た子どもたちは、どうしてももう少し上のことがやりたい。例えば、合奏がやりたい、 理科の実験がやりたい。そうなると、やはり学級ではできないんですよ。それで、養護 学校というものが必要だということで、私たちはいまだにそういう考えでいるわけです が、そうなってきたところへ、また最近になって、今ちょっと及川先生も言われました ような、もうちょっと程度のきつい子どもたちも学校へ行きたいということになってき た。訪問看護をしながら、また学校には通学をするというようなことが出てきたという ことで、ちょっと多様になってきているんですね。だから、どれがいいというよりは、 よくなってきたときには本校を持って、その本校は自分の学校でもいいんですが、自分 の学校ではうまくいかない子の場合は、養護学校に本校を持って、あとは交流をやって いくと。だんだん交流をやっていくことによって子どもたちがなれていって、いい関係 ができ上がっていきますので、今、私たちは地域の学校と交流をしながら、だんだん子 どもたちを社会へ返していくというやり方をやっておりますけれども、そういう中で、 いわゆる慢性疾患の治療というのは、非常に教育が大きなウエートを占めているという のは、山本先生もおっしゃったとおりだと私も思います。 ○鴨下座長  ほかにはございませんでしょうか。 ○神谷委員  もう一つよろしいですか。それから、先ほどちょっと大久保委員がおっしゃいました けれども、これは治療研究事業と言いながら、だれがそう思っておったのか知りません が、全然研究をやらなかった。先ほど柳澤先生がおっしゃったように、治療研究をやる ようになって、一番大きな元は内分泌疾患で、特に成長ホルモンを使う子たちがでて きたら、例えば愛知県にはすごくたくさんいる、三重県にはちょっとしかいない。日本 の中で県によってこんなに違うんだろうかというような基準の問題が出てきて、一体、 慢性疾患の治療の基準というのはどういうところにあるかということが問題になって、 柳澤先生のところでそのリサーチをやられたんですが、その後も先ほどおっしゃったよ うに、データができるように大分なってきましたけれども、加藤先生、そこのところは 今はどうですか。あれから2年ほど経って大分よくなったでしょうか。 ○加藤委員  お陰様で、全国的なデータが各疾患ごとに出るようになってきました。  済みません、先ほどの厚生労働省の資料の説明でちょっと追加させていただきます が、対象人数が減った理由、平成10年度にがくんと減ったのは、医療意見書を全国レベ ルで統一したからだというふうに考えております。それ以前は、各都道府県ごとに医療 意見書があったりなかったり、ただ診断名だけで登録されていたりしたのを、なるべく 診断基準を明確にして登録するということで減ったはずです。それから、平成11年度か ら減っているのが、先ほどから問題になっている成長ホルモン分泌不全性低身長症の基 準をきちんと設けたことによって減っていると思います。  一応、お陰様で、全国的なデータは出ているんですが、細かいところを見ると、今、 神谷先生が言われたように、地域差はまだまだ多いですし、殊に成長ホルモン分泌不全 性低身長症を初めとした内分泌疾患が、本来あり得ない地域差が多いので研究上は問題 となっていますが、データとしては出てきております。 ○鴨下座長  いかがでしょうか、ほかにございますか。  大人と子どもでは全く違うわけですけれども、しかし、小児の慢性特定疾患のモデル といいますか、同じような形でもっとはるかに大規模ですが、大人の特定疾患、難病の 方が資料6の表をごらんいただければわかるんですけれども、こちらが少し前にスター トしておりまして、これも要するに研究と言いながら、実際にはほとんどが患者さんの 公費負担ということだったんですが、小児の場合には、今までお話が出ておりますよう に、福祉、特に教育という視点が非常に強く入りますので、その点で所轄の局も以前の 児童家庭局でこちらはやっていたわけですね。研究の方は、それが厚生科学研究とし て、あれは3年前でしょうか、一本にまとめられたということで、それ以来、これは私 の個人的な印象ですけれども、研究事業は非常にきっちりやられるようになったのでは ないかというふうに思っております。そういう点で、特にターゲットになったのが、グ ロース・ホルモンを中心とする内分泌疾患ですけれども、もう少しほかの面でも見直し の基礎になるような研究が必要ではないかというふうに、私の個人的な感想でございま すけれども思っております。  あと、神谷委員が提起された問題は、肥満とかすごく数が多くなりますよね。この辺 に対する基本的な考え方ですね、ぜんそく、こういうものも今までの小慢と同列にそこ へ入り込むということになりますと、またかなり大変なような気がするんですけれど も、先生のお考えはいかがですか。 ○神谷委員  勿論、肥満でも単純性肥満の普通のものは全然問題ないんですけれども、特に重症の 肥満ですね、これは、やはり治療してやらないと現実に学校にも適用できないというふ うになっておりますので、そういう子たちが3か月ぐらいですから、そういう治療期間 はちゃんと面倒を見てあげるということと、それから、勿論プラント・アベニューみ たいなものもありますけれども、それは内分泌の方で見るとして、それから、神経性食 思不振症などは、今の一つはやりと言えばそれまででしょうけれども、非常に治療の難 しい病気で、やはりこれは補助をしてあげないと、子どもが精神病院だけでは治らない んですね。私は、やはりこういう子も新しい病気としてクローズアップされているもの は幾つかですけれども、こういう中にも入れて考えてあげないといけないのではないか というふうには思います。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  ほかに御意見ございますか。 ○高松委員  大人の方々も同じですが、慢性の難病の子どもさんたちのうちで、身体障害者福祉法 に対応しておる、すなわち手帳をお持ちの方というのは、どのくらいおられるのだろう という気がいたします。  それと、これは名前が研究事業という名前であったので私は誤解したわけですが、実 際には研究のために患者さんたちにお金をあげるからおいでというような感じの趣旨で ございますね。どうやら、これを読みますと。これは、時代遅れもいいところではない でしょうか。名前もよくない、趣旨もよくない。お金は98億円たったそれくらいとい う、これで守るというのは無理ではないでしょうかね。と思いますが、いかがでござい ましょうか。 ○鴨下座長  それは、事務局がお答えになることかもしれませんけれども、そうではなくて、本 来、小児慢性特定疾患は原因がよくわからない、治療法がないということで、それをは っきりさせるというのがスタートでございますので、決してそのお金で患者さんいらっ しゃいというようなことではないはずでございます。もし、私の解釈が間違っていれば あれですけれども。 ○高松委員  わかっておりますけれども、こういうふうに解釈されやすい可能性があるということ です。私も医者ですから、よくわかっておりますので、決して誤解しておるわけではご ざいません。 ○谷口母子保健課長  先ほどの高松先生の手帳を保持されている方々の数でございますけれども、身体障害 者手帳をお持ちの方の比率でございますが、こちらの方の制度の対象になっている方の うちの4.8%が身障手帳をお持ちだそうでございます。療育手帳をお持ちの方が2.7%と いう数字が一応出ております。 ○高松委員  実際は、それは少な過ぎますね。4%ぐらい。なぜかというと、内部疾患、心臓にし ても腎臓にしても、成人の世界では身体障害者手帳は対象になっておりますね。 身体障害者というのは、何も手足だけの問題ではないでございましょう。ですから。 ○谷口母子保健課長  全体の数を今申し上げたので、誤解が生じたかのもしれませんが、例えば今、先生が おっしゃったように、慢性心疾患の方でございますと、さすがにたくさんいらっしゃっ て20.5%の方が手帳をお持ちだということでございまして、逆に、糖尿病の方ですと0.7 %しか手帳をお持ちでないというばらつきがございまして、ならすと4.8%ということで ございます。 ○森本補佐  ただいまの数字ですが、資料3の更に資料8の3ページ目に具体的な数字がございま すので、ごらんください。  事務局から御連絡申し上げます。局長ですが、所用がございますので、先に失礼させ ていただきます。 (岩田雇用均等・児童家庭局長退室) ○鴨下座長  よろしゅうございましょうか。ほかに御意見等ありませんか。 ○及川委員  済みません、ちょっと基本的なことを伺いたいんですけれども、この研究事業が先ほ どから話題になっています研究推進という意味合いと、福祉とかそういうところをカ バーしていくという両方の意味合いを持ちながら進めていくということが基本線なんだ と思うんですが、限りある予算の中で法制化していくということを考えたときに、研究 費というのは本来含めて考えるべきものであるのか、別枠で考えるべきものであるのか という、その辺のところはどういうふうに考えたらよろしいのかということをお聞きし たいんですけれども。 ○谷口母子保健課長  なかなかこれは厳しい話ではございますけれども、制度といいますか基本的な考え方 からいたしますと、理想像がこういった事業の中ですべてやるのが本当は望ましいよう に私どもは考えておるのでございますけれども、それを言いますと研究にどれだけ必要 だという話が、例えば、だんだん増えてくるということになりますと、逆に患者さん負 担の方にしわ寄せが来るという、まさに相反する話がどうしてもついて回りますので、 そういうことを心配しなくて済むようにするとなると、厚生科学研究費という枠が実は ございまして、その中ではっきりとこういう児童の問題もしっかりとこの中でやるんだ という枠をちゃんと取っておきさえすれば、一応、我々は気を付ければいいわけですか ら、そこのところをフォローという形で、今後、先生方にもいろいろ御指導を仰ぐと思 いますが、研究はこれだけちゃんとやっています、しかも、本来の患者負担の問題も含 めた医療福祉の制度というのは、こういう形でちゃんと枠を取ってやっていますという ふうにする方が、変な心配をしなくて済むのではないかという感じが、私は実はしてお りますけれども。もし、御意見があれば、むしろいただきいたいと存じますが。 ○鴨下座長  今の点は、たしか先ほどちょっと申し上げました3年前でしたか、児童家庭局の方の 研究費がすべて厚生科学一本にまとまるときに、大変関係者は心配したんですね。 関係者というのは、研究費をいただいている方の医者側といいますか、班員の方が。大 人と一緒にやられたらたまらないというか、なくなってしまうのではないかと。しか し、それは恐らくそちらの課の方で頑張っていただいて、その枠にはともかく手をつけ ない。つまり、それもすべて小慢の関係の研究に使うということでずっと来ているので はないかと思うんです。ですから、先ほど来議論が幾つかございますように、この委員 会で検討すべきことは、医療費の助成の在り方の方に力点が置かれているのではないか と思うんですが、いかがなのでしょうか。その辺は、委員の間で必ずしも意識の統一が ないのかもしれませんけれども。 ○谷口母子保健課長  もうちょっとあえて補足をさせていただきますと、冒頭この会の持ち方について御説 明申し上げましたように、本当に従来の考え方を踏襲するのか、やはり御指摘いただい たように研究をまず進めて、本来の治し方を行政としてはっきりさせるべきなのか、そ の辺の基本的な姿勢にも掛かってくるんです。我々は、先生方の御意見を無視するわけ ではないんですけれども、基本的には医療サービス、福祉サービスといったものを中心 にしながら、従来の小児慢性特定疾患事業をどのように進めていくかというふうに置い た方がいいのではないかという、これは一つの仮説でございますけれども、そういうこ とを提示させていただきまして、それではまずいとおっしゃれば勿論修正はするつもり でございますが、その基本的な方針に掛かっておりますので、むしろ、その辺の御指導 をいただければというふうに考えるところでございます。 ○鴨下座長  ですから、狭い意味で研究というのはそれを裏付けるというか、あるいは発展させる ための原動力というふうに理解していただけばいいのかなと思うんですが、私の個人的 な考えかもしませんけれども。  いかがでしょうか。まだ少し時間もございますが。 ○小林委員  先ほど共同アピールというのを紹介していただいたんですけれども、私たちは制度の 在り方そのものが今現在は医療費のみを補助していただいて、そのことはそのことで大 変ありがたいんですが、しかし、病気を持ちながら地域で暮らしているお子さんたち が、学校でのさまざまな問題を抱えながら生きているわけで、少しでも暮らしやすい仕 組みにしてほしい。この制度も単に医療費を補助するというのみでなく、地域で暮らし ていく子どもや家族というものを支えられる仕組みにしていただくのが最もいいのでは ないのかということで、こういうことをまとめたわけなんですけれども、先ほど高松先 生がおっしゃったように、障害者基本法の中にこういうようなものも含められていけ ば、そこでほとんどはあの制度そのものはそういう基本理念はそういうところにありま すから、かなりの部分で解決されたのでしょうけれども、残念ながらそうではありませ んので、この制度をそういう見直しをしていただきたいなということを前から働き掛け ていたということです。 ○高松委員  それは、事務局方の戦略あるいは戦術の問題になってくるかもしれませんね。 我々で福祉も含めたすべてのサービスを法律家してここでつくっていく。多分この道は 極めて困難だろうとは思っていますけれども、そうしないと、この子どもたちの完全な 意味でのサービスは実現しないと思って、そういくかですね。  それと、もう一つ、身障側の方にくっついて消えてしまっても情けないですしね。消 えないで独自の生き方を生かしていくことはできるのかどうかですね。私もわかりませ ん。 戦略というか、やり方の問題かもと思うんですが、どう思われますか。事務局方は、や はりある程度私たちに方向を示してくださった方がディスカッションしやすいんだけれ ども。 ○谷口母子保健課長  一昔前でございましたら、パターナリズムということで役所がまず示してという話で よかったんでしょうけれども、最近はそういうわけにもまいりませんで、やはり患者の 代表の方々の御意見も当然尊重しなければいけませんし、有識者の先生方の御意見をま ず伺った上で、それを方向整理するのが役所でございまして、今日も大分いろいろこれ まで御意見が出ましたので、次回以降その意味で論点整理は当然我々の役目でございま すから、そういう意味での整理はさせていただきたいと存じますけれども、考え方の骨 子は少なくとも先生方の方で、ある程度材料を出していただかないといけないという ふうに私どもは考えておりますし、若干、先生方の御意見の中で推測でいろいろこうだ なと思う部分もございますので、そこは確かにまとめてみたいと思いますが、できるだ け遠慮なさらずにおっしゃっていただいた方が、我々としてもありがたいと存じますの で、その辺はよろしくお願いいたします。 ○加藤委員  先ほどの研究面に関して、神谷先生とか大久保先生からいろいろ力強い発言をいただ いてありがとうございます。こういった意見をいただけると研究がやりやすいんです が、研究を進めていく上で一番問題となっているのは、やはり都道府県のプライバシー 保護条例、個人保護条例が引っ掛かって、きちんと国としてデータを集められないとい うのが一番問題です。予算額98億円は、あくまでも患者さんへの医療費補助というふう に考えていますし、患者さんから福祉とか教育面に対して、もうちょっと予算を配分し てほしいというような御意見が出れば、恐らくそっちの方にも多少は回るのではないか と思っています。  それから、研究費に関しては、先ほどからお話があったように、厚生科学研究の方で やらせていただいていますので、それは、鴨下先生が言われるように、また別途考える 問題かと思っております。  以上です。 ○鴨下座長  ほかには御意見ございませんでしょうか。 ○高松委員  済みません、疾患別という考えに入りますと、例えば、先天性心疾患の子どもさんた ちは大半が障害者の列に入っていける、かなり問題なく入っていける。しかし、下垂体 の問題の子どもさんは障害者手帳をおもらいになることができないというふうに、疾患 別においてかなり変わっておりますね。それが、例えば一つ一つ問題が解決していく か、腎臓疾患についても心臓疾患の患者さんについても、身障福祉法の方に参加してい くというふうな形で解決していくことも不可能ではないだろうと思うし、一方では、こ れは私の考えられる範囲を超えますけれども、肥満の子どもさん、拒食の子どもさんた ちも含めて難病と考えていくかどうかという、難病というものの概念の経時的な変化を どこまで承認していくかということでございましょうね。そうしますと、難病と言われ る子どものうちの、簡単に言えば心臓疾患、腎臓疾患の患者さんたちは、いつの間にか 身障福祉法の方に移っていき、今まで難病とは思われていなかった、しかし、厄介な病 気を持ってしまった子どもさんの疾患については参加していくというふうに、そこら辺 りを可変的というか経時的に変化していくものだというふうに理解していけば、少しま た違った映像が見えるような気がしますね。ですから、こっちにするかこっちにする か、全部こうするかというのは、絶対これは身障福祉法に適用できない子どもさんもた くさんおられると思いますので、当然その子どもさんたちを見捨てていいかということ になりますでしょう。ですから、この事業も消してしまって全部身障側に持っていくと いうのは乱暴過ぎる議論のように思われますので、個別的なところをどう対応するかも 含めて、今日的なものにどう変えていくかということになるかと思いますね。 ○鴨下座長  今、御自分で答えを出されたように思いますけれども、心臓のことは柳澤委員がいろ いろ事情に詳しいかと思いますので。 ○柳澤委員  慢性心疾患、特にその大部分は先天性心疾患ですけれども、それは例に出されました が、確かに患者さん、子どもたち、小児慢性特定疾患を申請し、また更に、そこに身障 手帳も申請するという患者さんもいて、疾患別に見た中では心疾患は多いんですけれど も、それでも実際、身体障害者の級がありますけれども、身障の等級で言えば3級とか 4級ということで、小児慢性を申請するのと身体障害者の申請をするのとでは、患者さ ん自身にとって、御家族にとっての経済的な負担に関してどっちを見るかといえば、圧 倒的に小児慢性の方であって、実際上、身障手帳を持っている持っていないというの は、ほとんどと言っては申し訳ないんですけれども、余り実際上関係ないのではないで しょうか。ですから、申請しないと。  あと、10の疾患群に現在便宜的に分けられていて、その中にたくさんの疾患が挙げら れていますが、その挙げられている疾患というのは、いろいろな歴史的な経緯があって 加えられてきたという面が確かにあるには違いないんですが、常識的に考えて、どちら かといえば急性の疾患だというふうな位置付けがされている、一般的に、小児科学的に そういう病気も含まれておりますし、それから、分類の上でどう見てもちょっと不都合 があるというような病気もありますし、その辺のところも含めて、もう一度疾患名につ いても整理をしていくということも、この機会にすべきことの1つかどうか、その辺の ところをこの検討会としてもちょっと考えていただきたいと思います。 ○高松委員  言葉が足らなかったかと思いますが、私の感じで身障福祉法側が両手を広げて、さ あ、いらっしゃいと言っているわけではないのは間違いなくて、そこにはそこなりの隘 路があって、それをクリアできるかどうかという問題が幾つも多分あると思います。で すから、おっしゃるとおり3級、4級ぐらいになりますとほとんど身障側のサービスが なくて、少なくとも2級でなくてはならんというのはおかしいけれども、2級であり、 かつ、その方が住んでいる都道府県が重度障害者の医療費についてカバーするという姿 勢を持っているところにおいては、十分手帳をもらってよかったと言っておられると思 うんですが、特別児童扶養手当ももらえるしといろいろあるわけです。ですから、そこ ら辺りが、身障側の方が難病の子どもたちをどう迎えてくれるか、こちら側の働き掛け でどう迎えさせていくかということにも関係すると思うので、その出口がふさがってい る、あの出口もふさがっているということになると、問題としては、ではどうするのか と。私たちが先に進めていけと言われているわけですから、先に進めていく方向性を見 出し得ない感じがしますね。このままでいいというならいいんだけれども、このままだ と先細りしますよという予言があって、予言ですよね、多分。 ○谷口母子保健課長  実態として財政上そういうような形で……。 ○高松委員  予言あるいは予告があって、我々としては何とかしないといかんと思っていて、で は、出口はどこかということを探していくわけですけれども、そこのところですね。 おっしゃるとおりで、3級、4級ではほとんど意味がない。では、1級、2級に該当す るだけの重度の知的障害あるいは身体障害を持っておられる方なら、その方がいいかも しれないけれどもということになりますね。それを障害法側が自分を変えていくことを 許すかどうかですね。それも難しかったんでしょう、かつては難しかったんですよね、 難病を入れてくれなかったわけですよね。ですから、入れろという方向で進められない ならあきらめますかね、やはりこの問題は難しいですね。 ○雪下委員  よろしいでしょうか。今、小林委員から提出された患者さんからの要望、その他アン ケート調査の結果が出ているんですが、確かに教育の問題、それから福祉の問題、研究 の問題、そういう問題も限りなくあると思うんですけれども、これの日程を先ほどの資 料から見せていただくと、わずか4回ぐらいで決めると。最終的にどうしてもここで決 めなければいけないのは、やはり今の公的負担をどういう形で普遍的なものをつくるか ということなので、少し絞っていかないと、とても結論までいかないのではないでしょ うか。 例えば、私も教育の問題は物すごく大事だと思っています。山本委員からも先ほど言わ れた、例えば、実情普通学級に85%いると。養護学級あるいは特殊学級へ入る人という のが少なくなってきているというのが現状で、本当の意味でどういう、例えば、この小 児慢性特定疾患の家庭の方だけではありませんけれども、本当の気持ちはどうなのか。 私が対応してきた限りにおいては、どんなことがあっても普通学級へ入れたいという要 望の方がむしろ強い。ここだと、やはり以前は確かに特殊学級、養護学校をつくれとい うことでどんどん整備していったわけですが、現在は、そこへ希望していく人が実際に 少なくなってきている、そういう流れはあると思うんです。では、今度は学校で対応で きるかということを、先ほどいろいろな医療行為も含まれているものを何とか、例えば 校医とか連携でできるかといいますと、今、養護教諭の内容というものにもかなり問題 がありまして、養護教諭の中で看護婦の免状を持っているのは17%しかいないんです。 あとは、全然看護婦の免状もなくて短大を出られて、保健を何時間か勉強してはこられ たんでしょうけれども、そういう状態でそんな対応ができるわけがない。でも、してい かなければいけない。そうすると、それはどうやっていかなければいけないかというの は、別問題として物すごく大きな問題だと。私たちもそれをしていかなければいけない という気持ちはあります。  ただ、例えば、今の病気の場合に入院の場合、山本先生が言われた、山本先生のとこ ろは理想的に病院に教育の場があるということで、病気を治しながら学べる、学びなが ら病気を治る、これは本当に理想だと思うんです。でも、実際対応してもらおうと思っ て国なり県なりに言いますと、病院内にそういう施設をつくるとか、そういう学びなが ら病気を治せるようなものをつくるということに対しては物すごい抵抗があって、それ は予算の問題かどういうことかわかりませんが、そういう問題もある。でも、それは私 はやはり病気で入院している子どもらにとっては理想だと思っていますし、やはりそう いう形を将来的には持っていかなくてはいけないと。でも、これもやはり大問題で3 日、10日でできる問題ではないように思うので、こけはやはりある程度絞って、差し当 たって今困ってしまう問題として、そのものを解決しながら、患者さんの要望書の一部 でしかありませんけれども、あと、そのほかのものはどうやってこれから国の方に言っ て、そういう制度をつくっていくかというふうに分けてからでなくては、どうもいけな いのではないかなという気が私はするんですが。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  そろそろ3時半でございますが、今日は初回ということで本当にいろいろな御意見を 皆様から自由にちょうだいしましたが、これは、事務局としても少し論点を整理して幾 つかに絞っていただいて、今後、当然検討をすべきではないかと思いますが、今後のこ とについて、少し事務局の方から御説明いただけますでしょうか。これは私の方から申 し上げるのでしたか。  第2回は、10月10日に予定されておりまして、制度の現在の課題ということが主なテ ーマでございます。もう一度10月の下旬に、第3回目を開かせていただきます。これ は、日程調整をさせていただきますけれども、重ねて現在の課題についてやっていただ きまして、11月に入りましたら2回、いろいろな患者さんを含むような、団体を含むよ うな関係者のヒアリングをさせていただいて、12月あるいは1月に掛けまして、具体的 な議論を出していくというスケジュールでございますので、よろしくお願いしたいと思 います。  何か事務局から補足がございますか。 ○谷口母子保健課長  全体のスケジュールは今、座長の方から御発言いただいたような形で進めていただけ ればというふうに私ども考えております。今日も御議論いただきましたように、ある程 度の方向付けをしろということでございましたら、今日の御意見を踏まえまして論点整 理を事務局としてまずさせていただきまして、その中で、最後に雪下先生が おっしゃったように、急ぐべきもの、それから、多少時間を掛けてもしっかり考えるべ きものをどうするのかというぐらいの視点に立ちまして論点をまとめて、次回に御提出 させていただきまして、それを基に突っ込んだ御検討をいただければと考えておりま す。よろしゅうございますでしょうか。 ○鴨下座長  この検討の在り方につきまして、何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。  それでは、少し早目でございますけれども、本日の全体的なディスカッションはここ で終わらせていただきまして、何か事務局の方から御説明はございますか。 ○森本補佐  次回の検討会でございますが、今、座長の方から御案内がございましたが、10月10日 水曜日の14時から17時、これも事前に委員の方には御連絡が行っているかと思います が、10月10日、14時から17時でございます。場所ですが、ここに決まりました。具体的 に申しますと、厚生労働省17階の専用第21会議室でございます。 ○鴨下座長  ありがとうございました。  あと、何かまだ追加の御発言はございますか。 ○加藤委員  その後の日程がもしわかれば教えていただきたいんですが。 ○森本補佐  済みません、まだ事務局として決めておりませんので、各委員の方には事務連絡でお 問い合わせいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○鴨下座長  10月の末に1回ですかね、それから、11月に2回ですから、これは初めと終わりぐら いか、皆さんの日程調整をさせていただくと思います。  ほかには。小林委員、何か最後に言いたいことはありませんか。ちょっと時間が少し 早く進行しましたので。 ○小林委員  たまたま先ほど雪下先生から教育のお話が最後に出たんですけれども、今日出掛ける ちょっと前に、あるお母さんから電話がありまして、魚鱗癬のお子さんのお母さんで、 北九州にお住まいなんです。その子は、今年小学校の1年生に入りまして、かなり重度 でひどいんですね。随分学校でも友達にいじめられたりしたらしいんですけれども、た またま病弱養護学校を最近見学に行ったそうです。とてもこの先生も理解があったし、 よかったということだったんです。その子どもは知的に何の障害もないんですが、子ど もがお母さんに、もうその学校にはつるつるの肌の子はいないんだねと言ったんだそう です。何か涙が出てきてしまって、その子は学校に行くのを今来年から変わるそうです けれども、楽しみにしているらしくて。 ○高松委員  何年生ですか。 ○小林委員  小学校の1年生です。毎年キャンプに来ていて親しくしていて、今年は九州の温泉で キャンプをやったものですから、その子を私がおふろに入れてあげて、みんないやがっ て入らないんですけれども、入れてあげてとても喜んでいました。そんなことで、今日 たまたま出掛ける前に電話があったんです。つまり、その子は普通の小学校に行って いたんですが、先ほど小学校でいろいろ問題があるというのは、やはりそういう学校側 の無知とか、無知という言葉はあれですけれども、無理解、よく知らないというところ から、そういうことがたくさんあるんだなということを本当に感じています。ちょっと そんなことが、今日たまたま出掛ける前に北九州から電話が掛かってきました。 ○鴨下座長  今のお話は、大人の神経皮膚症候群などには入らないんですかね。特定疾患として。 ○柳澤委員  入らないです。 ○鴨下座長  恐らく、そういうさっきの10の疾患群というのは非常にメジャーなものだけですけれ ども、大人でたしかあせび会という希少疾患の団体がございますけれども、そういう要 するに数がまれな病気であるがゆえに、日の当たらないというか、なかなか患者さんの 声が届かないというところも、これから見直しの中でやっていかなければいけないので はないかと思いますので、是非そういうことがありましたら、積極的にお出しいただ ければと思います。 ○小林委員  はい。 ○鴨下座長  いかがでしょうか。ほかに。  会議というのは早く終わった方がいいというのは、大学の教授会などはみんなそうだ ったものですから、早く終わりますけれども、せっかくですから何か御意見を一言ぐら いずつございましたら。南先生、何かございますか。 ○南委員  そうですね、何か今日はいろいろ伺っていますと、いろいろ知らなかったことや難し いことがあるということがよくわかりまして、不勉強で、本当にアピールにもありまし たように、たまたまそういう難病になった人とか、その家族の問題で終わってしまって いるというのが現状で、社会の大きなテーマとはなかなかなっていないというところを 非常に痛感します。学校など教育のテーマなどでも、今おっしゃったような話があると いうことは、やはり健常な子どもさんたちとの問題とも一体の話なので、こういう問題 があるということを広く知ってもらうしかないですよね。ですから、本当に是非いろい ろそういうお話を、いかにそれを自分の問題というふうにとらえるかという、まだ今の 日本の社会では難しいかとは思いますけれども、そういう努力が、今回の議論の中でそ こまで踏み込むのは難しいと思いますが、やはり文科省の方などにも是非この議論を聞 いていただいて、そういう学校教育、健康教育とか保健教育の学校保健の中で、やはり 余りにそういう取り組みが少な過ぎるというふうに思います。私もこういう立場なの で、これから心掛けていきたいと思います。 ○鴨下座長  南委員には、是非社会へのアピールをよろしくお願いしたいと思います。  課長、もう閉じてよろしゅうございますか。それでは、今日は本当に先生方、お忙し いのにお集まりいただいて、いろいろな角度から貴重な御意見を賜りまして、是非、今 後の機会に生かしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。                   照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 森本(内線:7941) 桑島(内線:7933) 宮本(内線:7940)