01/09/13 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 日 時 平成13年9月13日(木) 16:00〜18:00 場 所 三田共用会議所 3F A〜E会議室 出席者:寺田分科会長、小沢委員、熊谷委員、黒川委員、小林委員、清水委員、首藤委 員、高仲委員、田中委員、村上委員、山崎委員、吉倉委員、和田委員     嶋田参考人、三森参考人     食品保健部長、企画課長、基準課長、監視安全課長、     新開発食品保健対策室長、検疫所業務管理室長、食品国際企画調整官 ○事務局  定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催い たします。本日はご多忙のところご参集いただき、厚くお礼を申し上げます。本日は、 井上委員、小川委員、垣添委員、品川委員、羽生田委員、柳川委員が欠席との連絡を事 前に受けております。また、児玉委員、田中委員が、所用で遅れる旨連絡を受けており ます。分科会委員総数20名のうち12名出席で、あとから2名おいでになりますが、過半 数に達しておりますので、本日の分科会が成立することを報告申し上げます。なお、食 品衛生分科会の一部の委員に異動がありましたので、企画課長からご紹介いたします。 ○企画課長  ご紹介いたします。今回、新たに当分科会委員として1名の方がご指名されていま す。本日はご欠席ではありますが、社団法人日本輸入食品安全推進協会会長の垣添直也 委員がご就任をされています。また、事務局の食品保健部にも一部人事異動がありまし たので、報告をいたします。新開発食品保健対策室長、前任の中垣室長の後任として、 7月23日付で池永室長が就任をしております。 ○事務局  なお、本日は参考人として、残留動物用医薬品調査会委員である東京農工大学の三森 教授、聖マリアンナ医科大学の嶋田教授にご出席いただいております。三森教授は、教 授会の関係で若干遅れております。開催に当たり、食品保健部長から挨拶を申し上げま す。 ○食品保健部長  分科会の委員の方、また大勢の先生方にご出席いただきまして、ありがとうございま す。本日、食品衛生分科会においては、議題が3つあります。1点目が、「組換えDN A技術応用食品の安全性審査」ということです。これについては、若干さかのぼること ですが、4月から輸入食品については、安全性審査を受けたものでなければ販売等を禁 止するという措置をとっています。そういった中で未審査のジャガイモについて、一部 のスナック菓子に含まれていたということで、新聞等報道され回収をした事案がありま す。ご承知だと思いますが。そういったことがありますが、今日、ご審議をお願いする 中に、その問題となった「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」というものについても 安全性審査を部会でやっていただいた、その報告をご審議いただくということのお願い をしております。  2つ目が、「農産物中に残留する農薬の基準設定について」です。これについては、 残留農薬基準設定はこれまでご審議をいただきながら、着々と基準設定を進めてきたわ けです。厚生労働省として、2000年までに200農薬程度の残留基準を設定するという目標 を対外的にもお示しし、取り組んでまいったわけです。現在のところ217の農薬について 8,000以上の基準値を告示しているということです。分科会の委員の方々には大変ご協力 をいただき、重ねてお礼を申し上げるわけです。本日は12農薬について基準設定をする ための審議をお願いしており、また、9農薬について基準値の見直しについてのご審議 をお願いするという案件です。  3つ目が、「畜水産食品中に残留する動物用医薬品等の基準設定」ということです。 平成7年より順次設定を進めているところですが、現在18品目の動物用医薬品について の残留基準値を設定していますが、昨年末に答申をいただいている4品目については、 現在、省令等の改正作業中です。これを含めると22品目を担うわけですが、本日、新た に4品目の残留基準値のご審議をお願いしたいと考えております。  「その他」の所にありますが、報告事項として、今週、新聞で大きく報道されたので ご承知だと思いますが、農林水産省から、千葉県で狂牛病が疑われる牛が1頭いたとい うことです。その点の状況について報告をしたいと思っております。2点目は、特定保 健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果について、併せて報告したいと考えてい ます。3点目が、未審査の遺伝子組換え食品、先ほど申し上げたように、いくつかの事 案が発見されたということです。それについても今回併せて報告したいと考えていま す。  以上、審議、あるいは報告事項はいま申し上げたとおりですが、今回の狂牛病の疑わ れるケースが出たとか、あるいはそれ以前にこの夏にかけて、現在も出ておりますが、 O-157がかなり全国的に多数、食中毒事例、あるいは食中毒かどうかわからない形で報告 が私どもはたくさん受けています。そういった食中毒事案というのは相変わらず出てい るわけです。そういった対策も併せて私どもは、審議会のご意見等も伺いながら適切に 対応してまいりたいと考えております。どうかよろしくご意見、ご指示をお願いできれ ばと考えておりますし、併せて今日の3つの議事に対するご審議をよろしくお願い申し 上げます。本日は、どうもありがとうございます。 ○事務局  以後の進行については、寺田分科会長にお願い申し上げます。 ○分科会長  分科会の議事を進めていきたいと思いますが、その前に事務局から配付資料の確認を お願いいたします。 ○事務局  事務局から配付資料の確認をします。資料1−1「組換えDNA技術応用食品の安全 性審査に関する部会報告書」、資料1−2はその際の「公表について寄せられた意見等 について」、資料2「毒性部会・残留農薬部会合同部会報告について」、資料3−1 「畜水産食品中に残留する残留動物用医薬品の基準設定に関する薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会報告について」、3−2は「乳等省令や添 加物の規格基準の今回の改正に関するご意見等について」です。参考資料1−1「遺伝 子組換え技術応用食品の概要」、参考資料1−2「安全性審査の手続きを経た遺伝子組 換え食品及び添加物の一覧」、参考資料2「毒性部会・残留農薬部会合同部会報告抄 録」、参考資料3はそれぞれ英文と和訳がありますが、3−1「GENTAMICIN」、3−2 「ゲンタマイシン」、3−3「CYROMAZINE」、3−4「シロマジン」、3−5「SPECTIN OMYCIN」、3−6「スペクチノマイシン」、3−7「NEOMYCIN」、3−8「ネオマイシ ン」です。参考資料4−1「特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果につ いて」、4−2「食品衛生分科会における確認事項」、参考資料5「未審査の遺伝子組 換え食品が発見された事例」、参考資料6「牛海綿状脳症(BSE)を疑う牛の確認に ついて」です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。審議に入ります。本日の議題案件は、先ほど部長か らご説明がありましたように、議題1として「組換えDNA技術応用食品の安全性審査 について」、2が「農産物中に残留する農薬の基準設定について」、3が「畜産食品中 に残留する動物用医薬品等の基準設定について」の3件です。また「その他」、これは 報告事項として「特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果」「未審査の遺 伝子組換え食品が発見された事例」「牛海綿状脳症(BSE)の対策について」の3件 について報告することになっております。本日の議事については、議題1「組換えDN A技術応用食品の安全性審査について」をまず始めたいと思います。じゃがいも(ニ ューリーフ・プラス・ジャガイモ)について、事務局より説明をお願いします。 ○監視安全課長  「組換えDNA技術応用食品の安全性審査」について説明します。私の説明が終わっ たあとは、また首藤部会長に具体的なご説明をお願いすることとしております。資料1 −1、1−2等についてはご確認をいただいておりますので、資料についてお話をしま すが、資料1−1は部会報告です。先ほど事務局から報告したこれらの部会報告に対し て、8月10日から9月10日まで意見を求めたのが資料1−2です。これは全文綴じてい ます。  主な意見内容としては、「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」の件と「ラウンドア ップ・レディー・カノーラRT200系統」についての意見がそれぞれ書かれております。主 な意見の内容としては、「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」については、「作付け されない見込みの作物をなぜ承認するのか」というのが1つ、「ラウンドアップ・レデ ィー・カノーラRT200系統」については、「食用油としてのみでなくお浸し等で食べたと きのことも考慮して摂取量を算出するべきではないか」というのが主な意見です。その 他の意見としては、ここに簡略にまとめて、黒ポチでそれぞれ書かせていただいていま すが、全体で意見の数は、この資料を見ていただくと64件出されております。ただ、重 複されて同じような意見も出されておりますが、全体としては64件ということです。  主な意見の所でそれぞれ1つずつ挙げていますが、「ニューリーフ・プラス・ジャガ イモ」の作付け面積は現在、2001年で北米で作付けされている面積はたしか1,000エー カー以下でして、600エーカー前後でなかろうかなと私どもは承知しています。北アメリ カ、米国及びカナダで「ニューリーフ・ジャガイモ」を含めてジャガイモの作付面積は 200万エーカーと私は聞いており、そのうちの600エーカーぐらいですから、ほとんど作 付けされていないという同じような状態ではありますが、ここのご意見にあるように、 作付けがもうされなくなってきたから、安全性の審査をすべきではないということに対 してですが、実際にすでに2000年までに作付けされて収穫された「ニューリーフ・プラ ス・ジャガイモ」については、原料としてすでに使用されており、製品としてアメリカ 国内でも出回っているということと、それが日本にも来るという可能性が十分ある。あ とでまた後ほど、未承認の遺伝子組換えジャガイモが検出された事例について説明しま すが、実際に外国から輸入されている製品からも検出されているという実態を見ると、 問題がないものであれば承認をして、この流通を認めるのが妥当ではないかと考えてお ります。  もう1つ、「ラウンドアップ・レディー・カノーラRT200系統」について、食用油とし てのみでなく、お浸し等で食べたときのことも考慮して摂取量を算出すべきということ ですが、「ラウウンドアップ・レディー・カノーラ」というのはカノーラ種というなた ねの種類ですが、基本的にはお浸しにして食べるなたねとは種類が違っており、食用油 としてのみ食べる種類として開発されて、実際には植え付けられているというもので す。そういうことからカノーラ種についてはお浸しで食べるという前提を考慮しなく て、食用油としてのみ食べるということを前提に摂取量の調査を行っているということ です。  また、安全性審査全般についてのご意見を多数いただいている中で、ここにも書いて いるように、「長期毒性試験についてやるべきではないか」というご質問もあります が、審査上必要と判断されるようなものであれば私どもも行うようにするとなっている し、厚生科学研究でも動物実験を行っており、また自然界の影響については、さらに農 林水産省で審査をしていると理解をしております。これらのコメントについては、従 来、パブリックコメントについては、厚生労働省のホームページにお返事も大体書いて いなかったという点もありますが、今回このようなたくさんのご意見をいただいている ケースもあるので、今後はホームページに回答を載せるような方法を考えていきたいと 思っております。  具体的に「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」について説明をします。参考資料1 −1に従って「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」について概略を説明し、そのあと 部会長から新たな説明をしていただければと思っています。ここに示してあるようにジ ャガイモですが、申請者は日本モンサント(株)、開発者はモンサント(株)、これはアメ リカです。  これはここにお示ししてあるように、RBMT21-129、RBMT21-350、及びRBMT22-82系統の 3系統があります。このジャガイモの種類はラセットバーバンク種という種類のジャガ イモです。ラセットバーバンク種という言葉だけではおわかりになりづらいと思います が、基本的にはアメリカ等でビーフステーキとかを食べたときに、横に大きなジャガイ モが付いていると思うのですが、あのような大きなジャガイモがラセットバーバンク種 です。従って、基本的には粉にして何かスナック菓子の原料にするという使用方法はな くて、そういう食べるということをメインに開発をされている、そういうふうに作られ ている種類のものです。この種類のジャガイモにBT由来のCryIIIAの遺伝子とジャガイモ 葉巻ウイルス、PLRV rep遺伝子を組み込み、害虫抵抗性とウイルス抵抗性の性質を持た せたものです。CryIIIAという遺伝子については、すでに安全性審査が終了しているニ ューリーフ・ジャガイモにも組み込まれているものです。ニューリーフというジャガイ モについては、ジャガイモ葉巻ウイルスを組み込まないBT由来のCryIIIAという遺伝子を 組み込んだものであり、これについては分科会でもご審議をいただいて、すでに安全性 の審査が終了しているものです。  組み込む際のベクタープラスミドとしては、2種類使われています。このため組換え 植物を選択する際の選択マーカーとしても、21-129系統、及び21-350系統については、 カナマイシン耐性遺伝子であるnptII遺伝子が22-82系統には除草剤グリホサート耐性遺 伝子のCP4 EPSPS遺伝子が導入されています。いずれもこれまでのラウンドアップ・レデ ィー・大豆の安全性審査について、問題がないとされているものです。問題がないとさ れているということは、安全性審査がすでに完了しているものです。発現している蛋白 質は表にお示ししているとおりに、PLRV rep蛋白質は検出限界の0.2μg/g以下となって おります。  以上、追加資料も含め、審査基準に基づき審査をした結果、部会においては人の健康 を損なうおそれがあると認められないと判断をされております。系統についてはまた後 ほど説明しますが、このもの自体は違反の未審査のジャガイモが検出されたというとき も、すでに申請は出されていたわけですが、私ども厚生労働省から追加資料を要求して いた分についてまだ資料の提出がなかったということで、審査は終了してなかったとい うことです。ニューリーフ・プラス・ジャガイモについての事務局からの概要は、以上 です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。部会長の首藤委員、何かありますか。 ○首藤委員  事務局の説明に若干補足したいと思います。いま説明があったように、これは平成10 年10月に申請され、その後、大部分の所は審査済みで、若干足りない所があるというと ころで、追加資料を企業に対して準備するようにということになっていたものです。こ れは実は3系統あり、それぞれに遺伝子がどのように挿入されて存在するかという問題 が残っていたのですが、モンサントはそれを特定してデータを持ってくるのに時間を要 したものです。特にここの点の審査において、挿入されたあとの遺伝子の近傍の配列も 主な論点になったものです。3系統のうち21-129、22-82という系統があるのですが、こ れは挿入された遺伝子の両端とも特定されています。もう1つ21-350という系統につい ては、片側、3´末端のほうはきちんと特定されていないのですが、もう一方の5´末 端のほうが明確にわかっており、この植物の同定にその他に問題ないということです。  ノーザンブロットの分析の結果も示されており、安全性に関しても問題はないという 部会での結論になっております。  また、挿入されている遺伝子のうちCryIIIAという遺伝子、nptIIという遺伝子、CP4 E PSPSという遺伝子は、すでにニューリーフ・ジャガイモ、あるいはそれ以外の組換え食 品でも、すでに審査をされているものであり、安全性にここで新たな問題は出てきてお りません。  このニューリーフ・プラスの特徴であるジャガイモ葉巻ウイルス由来の遺伝子が組み 込まれているわけですが、この遺伝子はPLRV rep遺伝子です。この蛋白質は組み換えた ジャガイモからは検出されていませんが、またこの蛋白質はこの遺伝子を大腸菌に組み 込んでできた蛋白質もなかなかきれいなのがとれないという問題があり、試料が得られ ないために、この蛋白の物理科学的な性質に関してのデータは得られていません。しか しながら、このウイルスに関しては実際に多くのジャガイモ、報告によると35%から65 %のジャガイモがすでに、一般のジャガイモですが感染しているということであって、 我々はこのジャガイモを摂取しているわけですから、このウイルスの発現する蛋白質も 摂取していると考えるのが自然です。RNAは十分発現しているので、この蛋白質は検出で きないものの、この植物には存在するであろうと推測されます。  さらに、このPLRV rep蛋白質と既知のアレルゲン、あるいは毒素蛋白との相同性につ いては、データベース検索の結果、関連する配列を持ってないということがわかりまし た。これらを総合し、PLRV repを導入した「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」は、 人の健康を損なうであろうというおそれを持ってないと判断したものです。 ○分科会長  どうもありがとうございました。「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」の件に関 し、どなたかご意見、あるいはご質問はありますか。 ○和田委員  いまご説明いただき、その安全性審査に適合しているかどうかということは、専門家 の先生方による厳格なる審査がおありになったのだと思いますが、パブリックコメント にもあったように、すでに説明はいただいているのですが、作付けされない見込みの作 物ということはわかっているわけです。いままで作っていたものを総量として多いわけ ではないということが前提にあって、なおかつ参考資料5に未審査のものが発見された 事例として載っていますが、まさにご説明にあったようにこういう現実があるのだか ら、ここで安全性を評価しようというところが何となく釈然としない。本当ならば未審 査のものは混入してはいけないわけですから、あくまでもその本筋はそちらで通すべき ではなかったのかという釈然としない思いが残る、ということだけ申し上げておきたい と思います。 ○監視安全課長  特段反論するわけで全然ありませんで、事実関係を申し上げますと、確かに和田委員 がおっしゃるように、これが安全性の審査が終了して告示されるまでは第7条違反で す。このものは遺伝子組換え食品のみならず、添加物であろうと、そういうものはすべ て指定されない限りは違反ということで取り締まらざるを得ない。そのときは第7条違 反という処置の仕方と、これが第4条違反ということで人の健康に害するということで あれば、これはまた未来永劫、駄目だということになりますが、問題がなくて、それが 申請中のものであって、安全性については問題がないと確認されたというときに、それ を未だその審査を途中でそのままずうっと保留しておくかということも、これもまた私 ども行政としてはできないことではないかということでして、おっしゃる気持はよくわ かりますが、事実関係としては、これが審議会できちんと安全性の確認がされるまでの 間は違反だよというのは事実として変わらない、ということだけはご承知だと思いまし たので、念のため再度説明しました。 ○小林委員  私はこれはジャガイモだけの話かと思っていたけれども、両方という話なら、併せて ちょっといま。 ○分科会長  いまジャガイモだけです。またあとから、なたねの話はします。 ○小林委員  なたねが終わってからでもいいのですが。 ○分科会長  いや、どうぞ、せっかく関連性のものですから。 ○小林委員  課長さんの先ほどのご説明で、例の長期的な安全性の視点である長期慢性毒性の試験 については、よくわからなかったけれども、厚生科学研究でやったのですか、それとも やることができるのか。要は、こういうことを専門にやっていらっしゃる人は、これを やらないでもいいと言われるのかもしれませんが、多くの国民の皆さん方は、ほかの添 加物とか何かというのはみんな慢性毒性を見ているではないのかと。ほかに、例えば自 然界にあるいろいろな食品については、古来ずうっと人間が食べてきたから、もうこれ はやらなくていいと言って通ってきて、これはみんなが認めている。そうすると、これ は新しい食品なのだから、一般の国民の皆さんは慢性毒性というものを見てほしいと思 うのが、私は普通だと思います。私の身分は医者ではあるけれども、とてもそんな細か い所までよくわからない。だから、私としても慢性毒性というのはあったほうがいいの かなというぐらいにしか思わないのだけれども、なければならぬなどというところまで は言わないのだけれども、といって安全性が科学者の皆さん方は非常に高いと言うのな らば、例えばランダムサンプリングでやるのか、必要性があるからやると言うと、素人 の方は専門家に対しては、これは必要ありませんと言うと、それ以上手が出ないので す。ものの言いようがなくなってしまうわけです。だから、ある程度、例えば確率が非 常に少ないのなら、ランダムサンプリングでやるという手もあるし、何かそこはもうち ょっと改善のようがないのかなという気がしてならないのです。これはやられた先生、 所長さんか、それとも会長さんからコメントをいただいて、何か検討できないものかな と、こんなふうにちょっと思うのですがね。 ○首藤委員  小林委員のご質問、1つは、慢性毒性をやらねばならないとは言わないけれども、と いうことですね、やったほうがいいのではないかと。たぶんやれるものはやったほうが いいと思うのですが、どういう実験をやったらいいかとかというプロトコールをつくる のは、なかなか難しいということ。ほかの蛋白質でもそうですが、例えばこの場合でし たら、消化液でパッと分解してアミノ酸になってしまうというものは、蛋白として吸収 されるとは考えないのが常識的な考え方だと思うのです。そういうものは特に必要なの ではないかもしれないということです。それから、いくつかの品目で具体的に進みつつ あるか、そういうのがあると思うのですが、課長から。 ○監視安全課長  私の先ほどの答えがちょっとわかりづらかったのかなと思いますが、長期毒性試験の ことも大変ご要望として多いということを踏まえて、研究費を使って本年度はきちんと 実施をすると。どういうものをやるかというのは、適切なものは研究班の先生方とご相 談をしながらということですが、実施をすることとしています。 ○吉倉委員  先年度、研究班長をやったので、私が答えたほうがいいと思うのですが、いまの小林 委員の話は笑い話みたいな話なのですが、私はジャガイモだけをネズミに食わせたこと があるのです。ジャガイモを食わせるとうんこをいっぱいして、結局、ネズミは死にま す、ジャガイモだけを食わせれば。面倒くさいから、ジャガイモだけやったことがある のです。死にます。そういうことで食品の慢性毒性というのは非常に難しい。いったい どのぐらい食わせたらいいのか。そのネズミがコントロールを食ったときに、正常に生 活してくれなくては困るわけです。いまみたいに下痢してしまうと困る。そうすると、 やる量はだんだん減っていくわけです。すると今度は時間が長くなります。時間が長く なれば、これは寺田分科会長もご存じのように、発癌実験ではそれだけエラーが多くな る。それで、わけがわからない。ということで、それはそれで慢性実験は、先ほど課長 さんがおっしゃったように消費者の方が是非ともやってくれと言うのなら、研究班でそ れはやりましょうと。それでは、いったいどういうのがいいか。アセスメント、それに かかる金、いったいどのぐらい金がかかるのか。どのぐらいネズミが要るのか。最初か ら最後までネズミが死んでくれては困るしね。そういうことを計算すると、プレリミナ リですが、莫大な金がかかります。それで結果が出るかどうかわかりません。そういう ことです。 ○小林委員  そういうことが国民の前ではっきりわかってできないと言うなら、それはそれでまた 国民の皆さんも納得されると思いますが、要は、私たちはこういう認識、未解食品が出 てきて、そういうものがなければ、例えば地球上は50億人の人々が住んでいて、その人 たちの食糧確保という問題から見れば、必要なものは必要だと思うのです。そうする と、できるだけ国民の人が安心して食べてもらえる、我が国の国民だけではなくて、地 球の上に住んでいらっしゃる多くの人がそれの影響をするわけで、みんな気にされるわ けだから、いま委員がおっしゃられたようにジャガイモだけ食べさせられて、私はそれ でなくてもほかのものも食べさせて、ジャガイモも食べさせれば、そんなに簡単に死ぬ とは思えないので、もう少し研究のやり方を丁寧にできないのかなという気がしないで もないけれども、大先生がそうおっしゃられるなら、私はそうですかと引き下がるより しょうがないかもしれない。ただ、何か考えたら、できるのではないのかなと。まだそ う望みを捨てているものではない。まだそれだけで駄目だというのも、少し諦めきれな い。だから、もう少し委員の方に、特に厚生労働省で検討していただいて、うまくやれ るような方向でも考えていただければと思います。特にどちらでもできないのなら、で きないということを国民の皆さんにわかるようにしていただく、ということが大変大切 だと思いますので、その研究方、よろしくお願いします。 ○食品保健部長  小林委員からご指摘になっている意味は、消費者の方もご心配になっているというこ とはよくわかるわけですが、こういう審査をするに際して、どういったデータを求める かということで十分ご審議をいただいて、出せないものを出せというのは無理なわけで すから、そういった中でできるだけのデータを、これから求めるものについては基本的 には申請者に出していただく、という原則で整理をしているわけです。ただ、いまご指 摘のようなことについては、お気持でやっているというのは、まさしくそういうものに ついて何か方法論としてあるものなのか、評価できるような形として出すというような ことがこれから可能なのだろうか、ということで吉倉所長からお話があったように、研 究として私どもは研究者の方々にご相談するなりして進めている。ですから、将来、お っしゃるような中で整理できることが出てくれば、そういった対応をするということに なろうかと思いますが、おっしゃるように、先ほど課長から申し上げたように、パブリ ックコメントにこういう動きが出ているので、それに対する現時点での考え方について はきちんとお答えをして、ご理解をいただくようにする必要があるのではないかと、そ こは考えています。 ○小林委員  よろしくお願いします。 ○吉倉委員  ちょっと馬鹿げた話なのですが、先ほどのジャガイモを食わしたのは、別に組換えの ためにやったのではなくて、昔やったネズミの実験です。これとは全然関係ありませ ん。 ○高仲委員  現在のトキシコロジーの中でこれは不可能であるということは、考えられません。と いうのは、いまから20年以上前、我々は照射した食品、ウインナー、ジャガイモ、タマ ネギ、こういうものの安全性ということで、これは当時の科学技術庁が膨大な予算を組 み、試験を行いました。それは主に国立の研究機関が受けて、そのための動物舎まで作 って相当膨大な実験をやっています。したがって、使用したということによって食品が どう変わるのかということについては、少なくともその時点で試験方法は確立されてい ると思います。ただ、いまのようになって考えると、すでに相当な時間が経っていま す。  もう1つは、照射したということではなくて、これはまた別の遺伝子組換えというこ との情報を入れたということになると、見方が変わってまいります。したがって、その ときの動物数とか、組分け、あるいは実験主義というものをすべて同じにすることはで きないと思いますが、1つの方法として長期毒性試験、あるいは安全性というか、行う ことは、現在の学問レベルでは十分可能です。  ただ問題は、こういうものは添加物とか、農薬とか、そういうものをベースにして毒 性試験が組まれて、長期間我々はそれに対する研究、あるいは試験の経験を持っていま すが、もともと食品というものは、非常に長期にわたって食べて、それで問題があると いうことは考えられませんでした。したがって、食品そのものを取り上げての試験とい うことになるとまだ経験がない。手技的にはそうですが、そういう点からすると、こう いうものはやっても、先ほどのお話のように、ネズミが死んでしまうような条件でやっ てもしょうがないわけですから、細かくその差異を検出できるような方法を明らかにし て、それをベースにした試験を組み立てる必要がある。そうすると、いま部長さんがお っしゃったように、これは一企業に司令を出してデータを出せと言っても難しい面があ ると思います。  そういう点からすると、今後こういう問題は、我々日本の国民、あるいは小林委員が おっしゃったように世界の人々ということもカバーするような問題かもしれません。そ の点では十分な予算的な処置をして、単に試験をやるというだけではなくて、その前に 十分どのような方法で、何をどう見るかということの研究を積み重ねていく必要がある のではないかと考えています。トキシコロジーから考えれば、決してこれができないも のではありません。ただ、すべて1つの食品で賄うということは、これは生きものの生 存に関して不可能なことですから、上限はいくらということもすでに決まっています。 そういうものでかかるか、かからないか、引っかけられることができなければ意味がな いので、その辺についてさらに詳細な研究を現在の学問レベルで積み重ねた上で、こう いうものは試験として必要ならばやっていくと考えたらいかがでしょうか。 ○分科会長  吉倉委員が言われたのは、ワイルドタイプの普通のジャガイモでやるということです ね。それもいいかもしれません。実際、これはいま事務局から言われたようにたぶん研 究としてやられるのでしょうが、遺伝子のプロダクトを蛋白として作って、それをネズ ミならネズミの餌にリーズナブルな量を混合(ミクスチャー)してやるという実験なの でしょうが、そこのお金が随分高いと言われたのでしょう。どの辺までの純度(ピュー リティ)を持ってくるかによるのでしょうが、そういうことも全部含めて、厚生科学研 究としてやっていただくというのは大変いいことだと思います。 ○吉倉委員  要するに、正確に言うと、できないという表現はまずいと思います。それではどうす ればよいかということだと思います。先ほど放射線照射(ラディエーション)の話があ りましたが、あれは放射線分解物が出るので、それはあのときは一応毒性物質というも のを推定できたのです。それが使用した食品の中でいくら以下というのを計算できたわ けです。今回の慢性毒性の議論の中でも照射食品の経験というのは、全部入れた上で国 際的な議論が始まっているのです。 ○和田委員  いままで遺伝子組換え食品については、慢性毒性なりその長期の試験をやっていない ということ、やってほしいという意見が随分出ており、それに対していま現在は食品に ついてやるというのはなかなか難しいそうだ、ということが何となく伝わってきている のです。ですから、いまのようなご意見を伺って、いまの段階でどこまでできるとか、 いまの段階でどこまで議論が進んでいるとか、それをオープンにしていく必要があると 思うのです。今日の専門の方のご発言がオープンになるからわかっていくと思います が、最終ができてからということではなくて、いまの段階でということを大事に、情報 を出していくことが必要だということを申し上げておきたいと思います。 ○分科会長  そのとおりだと思います。「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」についてはこれで 話を終え、なたねの「ラウンドアップレディー・カノーラRT200系統」の審査に入りたい と思いますが、事務局より説明をお願いします。 ○監視安全課長  続いて「ラウンドアップレディー・カノーラRT200系統」について、説明をします。こ れについては、すでに安全性審査が終了している「ラウンドアップレディー・カノーラ RT73」系統と同時に開発されたものでして、「RT73」はすでに安全性のご審議をいただ いているものです。このなたね油の原料となる「RT200カノーラ」の問題ですが、これは 除草剤のグリホサートに耐性を持つCP4 EPSPS蛋白質を発現するCP4 EPSPS遺伝子とグリ ホサート分解酵素であるGOX蛋白質を発現するGOX遺伝子を組み込んでいます。CP4 EPSPS 蛋白については、RT73系統で発現しているものと同じですが、GOX蛋白については、RT73 系統では3カ所アミノ酸が改変されて発現しているのに比べ、RT200系統では天然型とな っているということです。なたねの種子における発現量というのは、表に書いてあると おりです。以上について、審査基準に従い部会でご審議をしていただいた結果、人の健 康を損なうおそれがあると認められないと判断をされたものです。簡単に概要を説明し ました。 ○分科会長  どうもありがとうございました。部会長の首藤委員よりお願いします。 ○首藤委員  だいぶ前に承認されているなたねのRT73、それと一方の遺伝子の3カ所のアミノ酸が 違うだけであるということで、その他の部分は実質的にRT73と同じであるという判断に なっています。 ○分科会長  何かご質問ありますか。 ○和田委員  これについても、私はいつでも同じことを言うのですが、このカノーラのことではな いですが、例えばラウンドアップ・レディーの大豆は、新しい遺伝子が見つかったとい うことが新聞情報で出るわけです。そうすると、100%がないというのは承知しています が、まだまだ不確実な技術ではないかなという疑問がどうしても残るし、これは厚生労 働省の分野ではないですが、例えば花粉がどこまで飛ぶかということを改めて農水省が これから始めるということの情報がまた別に入ると、そういうことをやっている所で、 なぜ新しいものを認可していかなければならないのか、という必要性みたいなことを私 はいつも申しますが、それをやる場がないので、だいぶ前に伺ったら、「いや、ここで 発言して結構です」という厚生労働省のご発言をいただいたので、あえて申しますが、 その辺のところで、先ほどの言葉と同じですが、何となく納得できないというか、釈然 としないというか、なぜそこまでいま急いで遺伝子組換えのものを、安全性審査はここ の分野だろうと思いますが、それ以外の所でやる場所がないものですから、毎度同じよ うな発言をして恐縮ですがということです。 ○分科会長  要するに、まだ認可されてないものがどこかで、コンタミか何かで見つかったと。そ れを今度は後追いで安全性を審査するのはどうしてかと、そういうことですね。 ○和田委員  新聞情報でいろいろ出るものですから、専門家の方が「そこでもまだ不確実な技術な のだ。もっと慎重にいかなければいけないのだ」ということをおっしゃっているので す。そうすると消費者としては、なぜその遺伝子組換えの植物なり食品なりというもの が、いまの消費者にとって必要なのか。もっとはっきり言えば、そういうことをしなが ら、農水省が片方で、どこまで花粉が飛ぶかという受粉の交雑とか生体系の影響という ことを研究しているところで、新しく増やしていく必要というのがあるのかどうか。だ から私は、全部ということではなくてもう少し慎重に、出たからどうしても答えを出さ なければいけないということなのかもしれませんが、ゆっくり考えていく必要があるの ではないかということです。 ○監視安全課長  安全性にかかわる話と、作付けさせて生産されている遺伝子組換えの作物がどのぐら いコントロールされて市場流通をするかという話と、もう1つは、環境に対する影響と いうか、花粉はどのように飛び散って、それがどこまで混在するようになるかと、そう いうコントロールができるのかできないのか、その3点ぐらいの話が委員のご指摘のお 話ではないかと感ずるわけです。基本的に安全性の問題については、少なくとも私ども は専門の先生方に慎重に審議をしていただいて、安全性の確認をする。次に、今回、特 に「ニューリーフ・プラス・ジャガイモ」みたいな話は、いかに作付けされた、収穫さ れたものがコントロールされて流通していなかったのかなと、その辺の問題が1つあっ たのだろうと。もう1つ花粉の飛ぶ飛ばないの話は、おそらくスターリンクの問題とし て、花粉がかなり飛んでいっているので、それによる影響でスターリンクをコントロー ルしようとしても、実際に市場からは排除できない状況にあると、こういう問題がある わけですが、それぞれがそれぞれの分野で気をつけてやっていくべき問題だと考えてい ますが、私ども厚生労働省でのこの分科会を含め審議会における安全性の審査について は、組換えされたもの自体はどのような問題があるのか、人に対して健康被害を起こす ような問題なのか、そうでないのか、というのをご審議していただくというふうに私ど もはお願いしているつもりです。和田委員がいろいろなことをおっしゃっているのはよ くわかるのですが、実際、それをこの審議会または厚生労働省ですべてカバーできるか というと、そういう問題でもなかろうかなと。なるべく努力はしていきたいと思ってい ますが。 ○分科会長  安全性についての部会での審査の結果について、この分科会として了承していただく かどうかということに関していかがですか。ほかに意見がないということで、この分科 会で了承したということでいかがでしょうか。 (了 承) ○分科会長  この分科会報告書の決定事項を当分科会の議決にし、審議会長宛に報告するとします が、それでよろしいですね。 (了 承) ○分科会長  この部会報告書を分科会報告書の要旨として整理し、分科会の報告書とします。薬 事・食品衛生審議会規程第3条の規定に基づき、分科会の議決をもって審議会の議決と し、厚生労働大臣宛答申したいと思います。 ○事務局  ただいまから答申案を配付しますので、お手元に届いたら答申案を読み上げますの で、ご確認をお願いします。 (答申書(案)配付) ○事務局  「答申書 平成12年7月4日付厚生省発生衛第199号及び平成13年6月19日付厚生労働 省発食第146号による諮問に係る食品の安全性審査について、下記のとおり答申する。記  1.平成12年7月4日付厚生省発生衛第199号をもって諮問されたじゃがいも(ニュー リーフ・プラス・ジャガイモ)については、審査基準に基づき、人の健康を損なうおそ れがあると認められないと判断された(別紙1参照)。2.平成13年6月19日付厚生労 働省発食第146号をもって諮問されたなたね(ラウンドアップ・レディー・カノーラRT20 0系統)については、審査基準に基づき、人の健康を損なうおそれがあると認められない と判断された(別紙2参照)」。以上です。 ○分科会長  この答申書(案)について、何かご意見ありますか。 (了 承) ○分科会長  ご了解いただいたものとし、この答申書(案)の「案」を取り、厚生労働大臣宛答申 します。引き続き審議を行います。議題2「農産物中に残留する農薬の基準設定につい て」、事務局からご説明をお願いします。 ○基準課長  残留農薬基準について、ご審議をいただきたいと思います。資料2です。それと参考 資料2というものがありますので、併せてそれもご覧いただきたいと思います。資料2 は合同部会からの報告書でして、今回、ご審議いただく農薬について、安全性及び暴露 量等をそれぞれ解説し、報告書の形として個別にまとめており、最後に基準値(案)が 示されるというものです。基準値(案)をすべて一覧表にまとめたものが、参考資料2 です。  それでは資料2に基づきまして、説明させていただきます。まず、私のほうから経過 説明と主な概要をお話をいたしまして、その後、高仲委員のほうに審議の概要をご説明 いただきたいと思います。資料2を2枚めくっていただきまして、参考というところが ございますが、これまでの審議経過が、このように安全性の評価関係と暴露量の評価関 係に分けまして審議経過を記しています。さらに2枚めくっていただきますと、目次と いうところが出てまいります。今回ご審議いただきますのは、そこに記してある新規の 基準を設定いただきます農薬、12農薬であります。それから基準を見直すということ で、見直した農薬ということで9農薬がありまして、計21農薬につきまして、新規の基 準値、あるいは見直した基準値をお諮りするものであります。  まず、新規に基準を設定する農薬につきましては、上の12でありますが、平成9年の 諮問されたもの、平成10年に諮問されたものが幾つかあります。これは審議にあたって 資料が十分そろわなかったということでありまして、その他の多くのものは、平成12年 9月26日に諮問したものであります。  これらの農薬につきまして簡単に概要を申し上げますが、国内での登録状況とコーデ ックスにおける国際基準の設定との関係につきまして若干、ご説明します。12番のプロ シミドンという殺菌剤については、国内登録品、いわゆる国内でも流通しております し、かつ国際基準もあるというものであります。それから5番と7番のトリアゾホス と、ビオレスメトリンにつきましては、日本での国内の登録はない、流通はしておりま せんけども、国際基準が存在する。その他の9農薬につきましては、国内での登録はさ れているが、国際基準は設定されていないということであります。  それでは残留基準の見直しにつきましての基本的な考え方、方針について簡単に説明 させていただきます。残留基準の設定方法につきましては、国際的にもコーデックスの ほか、WHOの場でいろいろ議論されてますが、平成10年に国内でもいろいろ検討の末 に、食品衛生調査会(当時)におきまして残留基準の設定における暴露評価の精密化と いう考えを取り入れ、評価を幾分変えた経緯があります。そういった新しい評価に基づ き新規基準の設定を行い、また、基準見直しもその当時から行っているということで す。  見直しのほうの9品目ですが、この中で主立ったものを申し上げます。まず、グルホ シネートであります。グルホシネートにつきまして138頁から、その安全性等につきまし て書いてあります。137頁にグルホシネートの個別の評価結果が載っております。特に13 8頁の最後でありますとか、139頁というところでNAGという言葉が出てまいります。 グルホシネートにつきましては、グルホシネートの耐性の遺伝子組換え農産物というも のが存在し、一部日本でも承認をされているものがあります。そういったような農産物 の登場に伴いまして、従来、グルホシネートにつきましては、グルホシネートが例えば 大豆に何ppmという決め方をしておりましたが、そういった組換え農産物の登場によりま して、そのものが除草剤に対して耐性を持つ機序を探っていきますと、グルホシネート の植物体内で代謝をしてしまう。いわゆるグルホシネートとして残るのではなくて、グ ルホシネートを別なものに、植物が代謝をすることによって耐性を持つ。いわゆる除草 をされないという、そういう機序の遺伝子組換え作物ができますので、そういったもの を考えますと、残留農薬基準もグルホシネートそれだけで基準をつくるべきではないと いうことで、今回はNAGという、正に組換え体に特有な代謝物ができますので、その 代謝物を含めた安全性の評価を行い、かつ基準も一部のそういった代謝物及びグルホシ ネートが何ppm以上であってはならないということで、そういった形での検討をさせてい ただいたというところが、今回の中での1つの特色であります。  次にシロマジンというのが、これも155頁から書いておりますけれども、このものにつ きましては、あとでまた申し上げますが、動物用医薬品としても使われているというこ とで、今回の安全性評価の基準の見直しにあたっては、動物性医薬品からの摂取量、そ れから農薬からの摂取量も含めて、安全性をADI以下であるということをみていると いうものであります。  事務局からの、これまでの審議、主立ったものにつきましての説明を終わらせていた だきまして、続けて高仲委員よりご説明をお願いしたいと思います。 ○高仲委員  それでは合同部会の審議の経過について説明させていただきます。資料といたしまし ては、いま説明がありました資料の2を使わせていただきます。先ほどの5枚目でしょ うか、ここに目次がありまして、繰り返しますが、今回審議いたしましたのは、新規に 基準を設定した農薬として12番まで。それから基準を見直した農薬として13番から21番 までの9品目について審議した結果であります。まず、どのようなことを行ったかとい うことで、概略の説明をさせていただきます。もう1枚開けて、初めのアセキノシル、 これについてご覧ください。まずこのものは、品名アセキノシル、用途は殺虫剤という ことで、用途をまず調べました。それからどのような化学構造を持っているかというこ とが調べられております。その化学構造と分子量その他が書いてありますが、これはこ の農薬がどのような構造を持っているかということは、これは体内に入って、どのよう に代謝をしていくか。あるいはその代謝物がどうなってどのような作用を持つかという ことの、基本的な情報でありますので、だいたい構造式が出ております。  この資料は、農薬を申請した会社から提出されたものをまとめたものであります。 そして、その評価のためのまとめのあとに、アセキノシルの5頁以降を見ていただきま すと、ここでどういう試験が行われたかという、試験の概略が出ております。ことに7 頁以降は、毒性試験一覧表ということで、このものに対しては、これだけの種類の試験 を、このような動物で、どういうふうに行ったか。そして、その結果、最も重要なも の、無毒性量、あるいはLD50の値はどうであったか。そして、その試験はどこでどの ように行われたかというようなことを、一覧表にまとめておりますので、これをご参考 にしていただければと思います。  それでは前に戻ります。まず、どのようなことをまとめて評価したかという段階に移 ります。いちばん初めに吸収・分布・代謝・排泄についてみました。これは、この農薬 が体内に入った時に、どのような形で動いていくか。これは医薬品と違いまして、人を 使う試験はありません。したがって、ネズミ、あるいはその他の実験動物を使って、そ の得られた結果から人への影響、あるいは安全性を予測するというのが、この農薬の安 全性の試験の方法であります。そういたしますと、いちばん初めに体内でどのように動 いていくかということをみるのが、吸収・分布・代謝・排泄であります。それには2つ ありまして、1つは動物。これは食品を通して摂取するであろう人への予測という点 で、動物実験が行われます。もう1つはこれは植物。これは植物に使用いたしますの で、その植物についてはどのようになるか。そして植物と人とで代謝物が違うような場 合には、これは植物側の代謝物が、人では見られないような代謝があるとすれば、その 出てきた代謝物についても人でも見るというような評価の仕方を行います。いずれにい たしましても、まず吸収・分布・代謝・排泄ということで、その物の体内の動きという ものを見ました。  それから次は安全性についてということで、まず単回投与試験というのが行われてま す。これは単回投与、大量に1回投与いたしますと、この薬はどのような影響を出すか ということです。実際にこれを散布する側の方からみるとこの情報は重要であります が、一般の消費者が口からこれを食べるという点からすると、1回大量ということはま ず考えられませんので、この部分の情報は比較的少なくしております。  2番目が反復投与、あるいは発がん性試験ということです。これは長期間にわたって 繰り返し摂取するという前提で行っております。このものにつきましては、我々、もし これが散布されて、食物を通して摂取するとすれば、好むと好まざるにかかわらず、生 涯をとおして摂取する可能性がありますので、ここではこのマウス、ラットというよう な齧歯類の短命な、人に比べて生命の短い動物につきまして、その生涯をとおして食べ させて、その影響をみるということです。それは人の一生涯ということのシュミレーシ ョンになるということをベースにしております。それからイヌような長期の場合には、 それほど生涯ということになりますと10数年ということになります。それは現在不可能 でありますので、イヌは1〜2年というレベルでみております。いずれにいたしまして も、そういう形で長期間このものをある一定量摂取した場合に、どのような変化が起こ るかということです。この毒性試験の考え方は、まず大量に投与してみて、どのような 変化が起きるかということを調べ、そしてそのような変化は投与量を下げてきた時、ど こまで以上は毒性がみれるか、それ以下はみられなくなるかということを決めます。ど こまでみられなくなるかというところの量を無毒性量という形で捉え、それを使って 我々の人への安全性を考えるということであります。そういう観点で、ここの記述をご 覧いただきますと、各々、それなりの情報はきちんとまとめられているように思いま す。  それから3番目としまして、繁殖試験です。これは我々が、前の試験は一生涯だった のですが、これは次の世代に対してどのような影響を与えるかということであります。 成熟した雄、あるいは雌の動物に、ずっと投与いたしまして、そしてその子供をとり、 そしてその子供が成熟して次の子供を生むというまでの期間について追跡するという方 法であります。その評価の仕方、あるいはその基準の取り方としては、同じように無毒 性量というものを捉えるということであります。  それから次の4番の催奇形性試験であります。これはかつて化学物質で奇形が生まれ たということがありましてから、この試験が入ってまいりました。したがいまして、こ れは妊娠の、一定の器官形成で催奇形を生ずるであろうと思われる期間、器官形成期と 言っていますが、その期間だけを集中的に投与して奇形が起こるかどうかということを 調べる試験であります。これもやはり、この場合は親の動物、あるいは胎児の動物、繁 殖試験は新生児の動物、こういうものについて、それぞれの無毒性量を調べるという試 験であります。  次、5番目が、遺伝毒性です。これは発がん性の問題がありまして、遺伝子に傷を与 えるようなものは事前にチェックしておく必要があるだろうということで、非常に感度 が高い細菌を用いた方法、あるいは哺乳類の動物を用いた染色体異常を見るという方 法。さらに、その2つは試験管内の方法ですが、さらに生きている動物を使って、体内 で小核が出てくるかどうか。これは赤血球の中に核が残るかどうかをメルクマールとす る試験であります。少なくとも、この3種類の試験を行ったうえで、それの毒性をみる というような形であります。  これらの結果で、一番低い無毒性量を取りまして、次の6番目のADIの設定という ところに入ります。ここで言いますと、無毒性量は2.7mg/kg/dayということで、これ は反復投与毒性試験からきていると思いますが、それを設定した。その次に、したがっ てこれは動物のマウスを用いた試験で投与経路は経口で20ppmを餌の中に入れて食べさせ た場合に、その摂取量を体重1kg当たり計算すると2.7mgであった。無毒性量はしたがっ て2.7mg/kg/dayで80週間食べさせた時に、どのような変化が起きたかということであ ります。この80週間というのは、マウスの場合に、ガイドラインでこれだけの期間は見 なければいけないというところを十分にカバーしている試験であります。そこで無毒性 量が設定されますと、次に安全係数というのがあります。100としておりますが、安全係 数というのは、この試験結果を人に当てはめた場合に、どれだけの係数を求めたらいい かということで設定いたします。人のデータの場合ですと10からスタートいたします。 人以外のこういう動物試験ですと100からスタートいたします。これは100が固定したも のではありませので、さらに得られた毒性の種類、程度、あるいはその変化の度合、あ るいはその試験の期間、そういうものを加味しながら安全係数を増やしていくという形 で、大きくしていくという形の操作をしております。ただ、最近は国連でもそうです が、安全係数100というものを維持できるだけ十分な資料を集めてから評価するという 方向に進んでおりますので、ほとんどのものは現在100を使っております。  それで最後にADIというのが出ておりますが、アクセプタブル・ディリー・イン テークの略で、これは0.027mg/kg/day。先ほどの無毒性量を安全係数100で割るとこの 値が出るということです。この値を使いまして、残留基準値案の安全性の評価を行った わけであります。以上この評価の概略をお話いたしました。  これらの非常に多くの品目を行いましたけれども、この中で審査に対していろいろと ご意見が出たもの、あるいは検討する必要があったものについて、これから説明させて いただきます。  それでは74頁をお願いします。ピラフルフェンエチル。このものにつきましては、次 の75頁に、反復投与毒性試験のところで、肝細胞腺腫の増加、肝小肉芽腫、こういうよ うなものが見られております。毒性を評価する時に、その毒性の出ないよう、無毒性量 というものを設定すると先程申しました。ところが一方、放射線のようなもので、生涯 にわたって累積したものが毒性となるというようなものは無毒性量を設定できません。 そこでこの無毒性量の設定をできるかできないかということについて議論をした品目に ついて説明をいたします。まず、このピラフルフェンエチルにつきまして、これはラッ ト特有の変化であろうということで、その原因を調べた結果、これはがん、ことに無毒 性量の取れないようなものではないということの結論に達しました。その1つの根拠と いたしましては76頁の5、遺伝毒性試験、これが全て陰性であるということをベースに いたしました。その他、追加試験のデータも入っておりまして、これはしたがって無毒 性量が取れるということで、ADIを設定し0.17mg/kg/dayになっております。  次が86頁のピリメタニルであります。これはSDラット、87頁の甲状腺濾胞上皮細胞 肥大及び過形成というようなことがありますが、これについてもその原因を調べる試験 を追加されておりまして、それを評価した結果、さらには遺伝毒性が全て陰性というこ とを踏まえまして、無毒性量が取れるということで0.17mg/kg/dayという評価をいたし ました。  次は96頁てすがフィプロニル。これも同様な変化でして、98頁にSDラットを使った 試験で甲状腺の問題が出ております。これはラット特有の変化であるということを調べ てあります。人では、非常にこういうことは起こりにくいというふうに考えます。した がいまして、これも無毒性量が取れるということで、非常に少ないですがADIは 0.0002mgとなっております。  その次が125頁のプロシミドン。これも増殖性への変化が見られましたが、遺伝毒性は 全てマイナスでありまして、無毒性量は取れるという判断で、ADIは0.035mg/kg/da yという形です。  それから、次が137頁。グリホシネート。これは先ほど説明がありましたが、このもの についても先ほどの説明のような形で、代謝物を加えての評価を行っております。  以上がADI設定に対して議論があった農薬でありまして、いずれも無毒性量を設定 したうえで評価を行いました。  そのあと、ADIの設定をベースにして考えるための残留農薬の基準の設定が行われ ております。これにつきましては、先ほど基準課長のほうから説明がありましたが、そ の別冊にまとめられております参考資料の2というのをご覧いただきますと、作物につ きましてそれぞれ基準値を設定しております。この中には、1つは国際基準のあるも の、あるいは我が国で登録保留基準の既に設定されているものにつきましては、その基 準値を参考にいたしまして、あるいは外国においてそのデータがあるものについては、 それを参考にいたしまして、各々、各作物につきまして基準値を設定いたしました。こ れは基準値を国民の栄養調査の結果、どのくらい摂取するかということを踏まえて集積 いたしまして、それとADIから計算して、ADIの80%以下になっている場合はその 状態で。さらにそれを超える場合には、これはもう少し精密な分析といいますかデータ を蓄積して評価するという2段構えの我が国の方法で評価が行われたわけであります。 ○分科会長  どうもありがとうございました。何かご意見ありますでしょうか。 ○山崎委員  大変、懇切なご説明をいただいて、だいたいわかったつもりなのですが、1つだけア セキノシル、これだけだと思うのですが。9頁のところを見ますと、原体中主要不純物 の毒性というのがあるのです。ところが本文中には、原体中の不純物については何も記 載がない。これはどういうふうに考えたらよろしいのですか。 ○高仲委員  何頁でしょうか。 ○山崎委員  アセキノシルの後ろにある表が付いています。9頁、いちばん最後のところなのです が、「原体中主要不純物の毒性」というのがあって、「試験化合物はADsNQ」と。 ○高仲委員  わかりました。これは、先ほど1つ申しましたのは、動物と植物との代謝物が違うと いうような場合に、こういうような形でみるというのが1つ。それからもう1つは、こ の中で安全性が少し疑われるようなものがあった場合には、そのものについて別途、見 るというような方式であります。あるいは分解物についても疑われるものがあればとい うことで。この場合には、原体中に不純物についてそれが疑われたので試験を行ったと いうことであります。したがいまして、これはその手順にしたがって急性毒性と変限性 をまず見るということでありますので、そのレベルの試験が行われたということです。 それについて、取りあげるべき変化がなかったので、サマリーの中には取りあげており ません。 ○山崎委員  そうすると、このアセキノシルについてだけ、この不純物があって、それの危険性が 思索されたということなのですか。 ○高仲委員  そうだと思います。 ○基準課長  ちょっと補足させていただきます。全て不純物まで議論ということになっているわけ ではなくて、その物の構造とか製法とかそういうものから不純物まで追っかけて、その 物の安全性試験を、このものについてやらせたのか、自主的にやったのかはちょっと私 にもわかりませんけれども、そういったものを資料として出してくれということにして おります。したがって、他のものについては、多分、そこまでの必要性がなかった。 で、このものについては、そういうものを議論したので、ここに資料として付けており ますが、安全性の問題として、安全性の評価に関わるほどの問題ではなかったというこ とで、まとめの報告書の中にはふれていないということだろうと思います。 ○分科会長  これは不純物であって代謝物ではない。 ○山崎委員  初めから混ざってた。 ○分科会長  初めから混ざってるものですよね。代謝物ではないですね。何か他に。 ○和田委員  質問なんですけれども。先ほどたいへん詳しくお話をいたたきまして、安全係数が今 回の出されております21品目の中で、私が拝見しましたところでは、2品目だけ安全係 数が200になっておりますのは、やはり先ほどご説明があったように、それなりの理由が あって、100ではまずいから200というご判断だったのでしょうかということが1点。  それから、いちばん初めのところでご説明をいただきましたが、その基準値案のとこ ろで、1日当たりの摂取する農薬の量というのがそれぞれパーセントで出てまいります が、これが非常に低いものは1.何%というものか、高いものは79ぐらいですか、80%近 いものが、70%台のものが数品目あると思うのです。消費者としては、これはもう1で あろうが10であろうが100以下であれば、70、80という数値であろうが同じような受け止 め方でよろしいのでしょうかということが2点目です。  それからもう1点は、例えば4頁ですけれど、基準値案のところの下の注に、「国民 平均並びに乳幼児、高齢者、妊産婦について試算をしたもの」という注がありますが、 この注が付いているものと、付いてないものがあります。注が付いているのが確かに2 品目だけだったと思うのです。それで、いま拝見しました資料の2で見ますと、以下同 じと書いてありますのは、全部の品目についてこの注が付いていると理解してよろしい のかどうか、そこをちょっとお伺いしたい、質問です。 ○高仲委員  いちばん初めの安全係数200というのは、おっしゃるとおりであります。その評価し た、これは元々、評価の委員会で評価しているわけですけれども。その時に安全係数 100とするには少し問題点があるということで200に増やしているのです。  それから次はパーセンテージの問題ですが、これはいろんな作物に広く使われる、言 うなれば非常に有用な農薬ということになりますと、どうしても作物の数が増えます。 そのため暴露量のトータルを計算すると、結果として大きな値となってしまいます。そ の場合でも、これはいままでの数値の決め方からいたしまして、ADIというのは生涯 摂取しても何ら作用のない物の量ということをメルクマールにしておりますから。これ が100になったと言って即、問題が起こるということではありません。ただ、非常に高い 値は出てくるということです。それからもう1つは、例えば稲とか、あるいはお茶と か、そういうものにのみ使う特別な農薬に関しましてはどうしてもADIに対する割合 を計算すると、非常に小さくなります。ですから、それは農薬という側からみれば、そ れほど広くは使われないようなものということになると思います。そういう点で、先生 おっしゃるように、これが100%を超えれば非常に注意をしなければいけない。ただそ の場合でも、元は無毒性量、つまり毒性が出ない量ということをベースにしております ので、そこを加えてもどうなるという問題ではない。そのぐらいの安全性を持った処置 であります。  それから3番目であります。この4頁に、国民平均並びに乳幼児云々ってあります が、これは現在、こういう特別な栄養摂取を行う集団に対しては、その摂取量をもとに 別途計算をするということになっております。それで計算した場合に、国民平均で計算 したよりも農薬の暴露量が多く出てきた場合には、それを加味した上でやっているとい う表示であります。ですから、同じような数値であれば、そういうことに対してケアす る必要はないと言うことであります。それについてのことです。 ○基準課長  最後でありますけれども、注意が1カ所しか書いてないのではないかというご質問で すが、これは不親切で申し訳ありません。全部、これは当然、これでやっております。 それから、いま高仲委員のお答えで十分だと思いますけども、私どもはこの摂取量評価 をする時には、基本的にはこの基準値、全て基準値一杯に入っていた場合を想定してや っておりますから、実際にはそれでADIとの比較をしておりますので、それでも相当 な安全量をみているつもりであります。そういうようなことでやっておりますので、そ の点はご安心いただけるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほどの説明の中で、訂正を忘れまして申し訳ありませんが、参考資料の 2の12頁であります。参考資料の2に基準値案を羅列したものの、左側にフルバリネー トというものがありますが、その4つ目のカラムです。「小豆類(いんげん、ささげを 含む)」という文字がありますが、これは誤りでして、「だいこん類(ラデッシュを含 む)」。下の言葉のとおりでありますが、その「根」、根っこであります。「小豆類 (いんげん、ささげを含む)」を取っていただきまして、「だいこん類(ラディッシュ を含む)の根」と修正していただきたい。次が「葉」であります。数字は0.05で変わっ ておりませんが、申し訳ありませんが、あとのこちらの本文の資料2のほうは間違って おりませんので。参考資料が間違っておりますので、申し訳ありませんがご訂正お願い します。 ○分科会長  他ございませんですか。 ○小沢委員  要望が2点ありまして、いまのご説明の中でも、特にその精密化の問題について、最 初もありまして途中、高仲先生がご説明くださいましたが。この21の農薬の中で、精密 化が適用された物っていうのは、結論を見ていくとやっと拾えていくので、理論最大摂 取量なのか、一律についてなのかというところで、4つあるなということがわかるので すが。実際にこの精密化について、平成10年に論議がありました時に、消費者からいろ いろパブリックコメントが出ていまして、基準緩和になるんじゃないかという意見も確 かにありまして、確か調査会の中でも、消費者に対して、わかりやすい資料の提供が必 要でないかという論議があったというふうに覚えております。で、特に精密化の場合、 基本的にはいまの理論最大摂取量でいくと、実際の暴露量よりは、多くの暴露量になっ てしまうのでというのが趣旨だったと思いますので。特にこの精密化で試算した場合 に、どのような計算式というか、どんなプロセスで計算をしたのかという中身が、もう 少し丁寧に公表と申しますか、ご説明というか、資料として提供されることが必要では ないかと、どんなふうにしたのかという、それが必要ではないかというふうに要望であ ります。  それから、残留基準値の論議のたびに何回も繰り返して申し上げているのですが、特 に動物用医薬品についても、また食品添加物についても安全性評価の指針があって、こ の残留農薬だけにはそれらしき明示されたものがないというのが、形のうえでは、とい うふうに思っておりまして、その辺はガイドラインは必要ではないかというふうに思っ ております。以上、2点要望であります。 ○高仲委員  そこのいまの部分ですが、ちょっと時間をはっしょって、私は説明をカットしてしま いまして申し訳ありません。何の農薬について精密化をしており、対ADI比何%にな ったかと。それ、すいません、ちょっとはっしょってしまいました。おっしゃるとおり であります。  それから、残留農薬についてガイドラインがないということはないと思うのですが、 ただ非常に古いのだろうと思います。昔からのものはずっと伝わっているのではないか と思います。  もう1つは、コーデックスの下にJMPRという農薬評価の専門家の会議を持ってい まして、そこで評価をしてますが、そこの評価と我が国の評価っていうのはほぼ一致し ます。昔のデータは別といたしまして、最近のデータは同じようにします。それは同じ 方式で、同じガイドラインという方式を使っておりますので、その点では外国との共通 性は十分捉えてると思います。 ○基準課長  いま高仲先生のお答えがありましたが、いわゆるそういった動物試験、どういう試験 を必要とするかとか、そういったガイドラインのことにつきましては多分、古い物だけ だったかと思います。その点につきましては、いま農薬につきまして、残留基準を設定 する際の、もっと消費者にわかりやすいものをつくるということでQ&Aを作ろうとし ております。もっと早く出せればよかったのですが、この秋以降には多分できるだろう と思います。その中では、残留基準の基本的な考え方をできるだけわかりやすく、また 精密化の中身もわかるようにした本を作るつもりでおります。また、私どもホームペー ジの中で、いろんな残留農薬の考え方を示してありまして、ホームページを持っており ますが、そういう資料を活用して、わかりやすいような情報提供というものを心掛けた いというふうに思っておりますので、このまま検討課題とさせていただきたいと思いま す。またQ&Aができましたら、またお目にかけられるような工夫をしたいと思いま す。 ○分科会長  どうもありがとうございました。他に何かありますか。それでは他にないようでした ら、この部会報告における決定事項を、当分科会として議決しまして審議会長に宛て報 告をするということにいたしたいと思いますがよろしいでしょうか。 (了承) ○分科会長  それでは、この部会報告書、分科会報告書の様式として整理しまして、分科会の報告 書といたします。  それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条の規程に基づき、分科会の議決を持って 審議会の議決とし、厚生労働大臣宛て答申いたしたいと思います。答申書がございます か。 ○事務局  ただいまから配付させていただきますので、お手元に届きましたら、読み上げさせて いただきますので、ご確認をお願いいたします。 (答申書配付) ○事務局  それでは答申書のほうを読み上げさせていただきます。答申書。平成9年9月4日付 け厚生省生衛第844号、平成10年8月21付け厚生省発生衛第169号、平成11年9月22日付 け厚生省発生衛第223号及び平成12年9月26日付け厚生省発生衛第276号をもって諮問さ れた食品規格、農産物中に残留する農薬の基準の設定について、下記のとおり答申す る。アセキノシル、インダノファン、シメトリン、スピノサド、トリアゾホス、ハロス ルフロンメチル、ビオレスメトリン、ピラフルフェンエチル、ピリメタニル、フィプロ ニル、フェンヘキサミド及びプロシミドンについては、別添1のとおり食品規格、農産 物中に残留する農薬の残留基準を設定することが適当である。イソプロカルブ、グルホ シネート、シロマジン、ヒラゾキシフェン、ピリフェノックス、フルバリネート、プロ パモカルブ、プロピコナゾール及びペンタゾンについては別添2のとおり食品規格、農 産物中に残留する農薬の残留基準を設定することが適当である。別添は、後ろに付いて おります。以上でございます。 ○分科会長  どうもありがとうございました。この答申書案につきまして、何かご意見があります か。 (了承) ○分科会長  それではご了解いただいたものといたしまして、この答申書案の案を取らせていただ きます。厚生労働大臣宛て答申させていただきますのでよろしくお願いいたします。な お、この件につきましての今後のスケジュール、事務局から何かありますか。 ○事務局  今回、答申いただいたものにつきましては、今年中を目途に所要の告示改正を行いた いと考えております。 ○分科会長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして審議を行います。議題の3 の、「畜水産食品中に残留する動物用医薬品等の基準設定」について、事務局からご報 告をよろしくお願いいたします。 ○基準課長  できるだけ簡単に説明させていただきます。資料は3の1。これが合同部会からの報 告であります。それから資料の3の2。これにつきましてはパブリックコメントを求め たところ出てきたものと、それに対する私どものほうからの回答となっております。そ れから参考資料が3の1から幾つかありますが、こちらのほうは参考でありますので、 説明は省かせていただきます。  それでは3の1の資料を1頁めくっていただきます。今回ご審議いただきますのは、 それぞれ諮問を既にしておりましたものにつきまして、平成13年5月10日付けで合同部 会の報告書というふうにまとめられたものであります。今回、抗生物質が3品目、殺虫 剤がシロマジンというのが1品目ありまして、4品目につきまして残留基準値を設定す るというものであります。部会の終わったあとに、パブリックコメントを出しておりま して、この残留基準値案等につきまして意見を求めました。それが資料3の2になって おります。資料3の2は、おもて表紙のところに、「ありがとうございました」とかい ろいろ書いてありますが、これは厚生省のホームページを使って、そこにもう既に質 問、要望に対して、厚生労働省としてのお答えをホームページにしてあります。その ホームページのものを本日、資料にしておりますので、こういった表現になっておりま す。  資料の3の2でありますが、主な意見につきまして若干、質問、意見、及びそれに対 する回答を申上げたいと思います。意見の1から4、あるいは6でありますが、このも のにつきましては基準値を設定したわけでありますが、その妥当性や安全性に関連した 意見が、角度が違った質問になっておりますが出ております。この点につきましては、 それぞれ答えが書いてありますが、かいつまんで言いますと、安全性の評価につきまし ては、いろいろな動物を用いた実験でありますとか、慢性毒性試験、あるいは発がん性 の試験、あるいは変異原性の試験、その他、特に動物の抗生物質等につきましては、肉 を食べたあとの人間の体内での腸内細菌叢に及ぼす影響とか、そういったものも全て見 ながらやっていますということで、ADIと比較しながら、「その基準値そのものは十 分に低い、摂取しても低い値になっております」というようなことを答えております。  主な2点目は意見の7でありますが、ここはいわゆる残留マーカー、いわゆるゲンタ マイシンならゲンタマイシンについて基準値を設けておりますが、その何を測ってこの 基準値にするかということでありまして、それを残留マーカーということであります が、この指摘は、残留マーカーは、その物、親化合物だけではなくて、先ほどちょっと グリホシネートのところで申し上げましたけれども代謝物も考えてその基準値を設定す るということも必要ではないかという点についてのご意見でありました。これにつきま しては、今回、全て親化合物を指標としております。親化合物だけで問題ないのだとい うことを説明しております。  ゲンタマイシン、ネオマイシンについては代謝されないということ。それからシロマ ジンについては排泄物中の75%が親化合物だということで、また代謝物もそれほど問題 にならないということで、親化合物だけの基準で問題はないのではないか。  それから3頁であります。スペクチノマイシンは、特に肝臓を見ますと確かに75%は 加水分解されるということがわかっている。しかし基準値による摂取量とADIとの比 と、それから残留物までも含んだ、いわゆる肝臓の場合75%がスペクチノマイシンの代 謝物になるということも含めて、安全性の評価を仮にしてみたということで、それがA DIに比べて、表で見ますと、表の下にありますが、基準値のみでいきますと24.8%の 比になる。残留物までも、敢えて残留物まで入れて計算すると36.4%ということで、安 全性に問題がないということであるので、親化合物だけの基準値を設定しても問題はな いのではないかというふうな回答をしております。  それから意見の8は、これは耐性菌ができるのではないかというようなことで、私ど もADIを求める時に、微生物から見たADIと、それから一般毒性試験から見たAD Iと、両方を比較して、少ない値、より厳しい値をもってADIとしておりまして、そ のADI以下に押さえるように基準を設定しているということが、基本的な考え方であ ります。このご意見につきましては、その微生物ADIを出す時に、MICという、い わゆる細菌を50%阻止するか、繁殖を阻止するかというようなところも見ながらやって ますということに対して、「それはおかしいではないか」、「いわゆる影響が出るとこ ろをもって、何で無影響量と言えるんだ」というようなご意見だと思います。これに対 しては、これはあくまでも試験管内で、直接に薬物と微生物が接触した場合のものを見 るわけであって、実際の肉の中に入っているものは、口から肉を食べて、それが腸に行 ってどうなるかということが、安全性評価の場合には重要になってくるということで、 インビトロの、試験管内のその直接の試験をもってやっても、十分に人での安全性につ いては問題はないと考えるし、それが国際的な評価の方法であるということです。そう いったことで、「ご安心いただいて結構です」というようなことで回答をしておりま す。それが耐性菌とかADIとの関係のご質問であります。  それから意見の10につきましては、理論最大摂取量の算出方法ということでありまし て、この問題点を簡単に申し上げますと、理論最大摂取量についてスペクチノマイシン のところにもありますが、筋肉、脂肪、肝臓、腎臓という、こういった筋肉とそれから 個々の内臓の摂取量でありますが、日本の調査ではここまで細かい調査結果になってい ません。筋肉、脂肪、肝臓、腎臓のトータルの摂取量しか出てきません。トータルの摂 取量に対していちばん高い基準値を設けたものの基準値を使って、トータルとしての摂 取量として計算しております。それに対して、「もっと細かい方法でやるべきではない かと、どれくらい食べているかというものをもっと細かくやるべきではないか」という ことでありました。JECFAのほうでは細かい方法でやっておりますので、日本の摂 取量の調査結果をJECFAの筋肉、脂肪、肝臓、腎臓の比率計算で、敢えて日本の摂 取量を、トータル摂取量を筋肉、脂肪、肝臓、腎臓に分けて、理論的に分けてみまし て、摂取量を出し、それとそれぞれの基準値を掛け合わせてADI比を見ているという ことであります。そのADI比を見ても、「特段、問題のある数字にはなっていない」 という回答をしております。主立ったものは以上であります。また、ご質問があればお 答えしたいと思います。あと、黒川部会長のほうによろしくお願いします。 ○黒川委員  それではご説明いたしたいと思います。資料、いまの3の1というのをご覧くださ い。この報告書に関しては、今日オブザーバーとしてお見えの聖マリアンナの嶋田教 授、それから東京農工大の三森教授に、極めて専門的な観点から特に審議していただい たということで、あと質問などに対してよろしくお願いいたしたいと思います。  2頁目には、各物質の残留基準値が結論として載っております。3頁から始めたいと 思います。各試験について、基本的な概念、方法などについては、もう高仲先生からご 説明があったので省略させていただきます。よって結果の要点だけ申し上げます。  まず、ゲンタマイシン。これは非常に経口投与ではほとんど吸収されないという性質 でありますが、反復投与試験の結果ではビーグル犬を用いた14週間の経口試験のNOAEL10 mg/kg体重/dayを採用しております。遺伝毒性試験では、一部試験で問題があって、陽 性の結果を示すものもありましたけれども、改めて試験を行った結果、全て陰性の結果 が得られておりまして、遺伝毒性の可能性は低いというふうに判断いたしました。発ガ ン性試験につきましては、既知の関連所見及び構造類性に基づいて、発ガン性は著しく 低いというふうに判断されています。生殖毒性試験では、妊娠率との変化は認められて おりません。催奇形性試験では、薬剤投与に関連した所見は認められておりませんでし た。それから腸内細菌層に関する試験で、人の胃腸管から分離いたしました最も感知性 が高い細菌のMIC値、先ほどご説明がありましたけれども、それは6μg/mlでありま して、この数値からまとめた微生物学的ADIは20μg/kg体重/dayとなりまして、毒 性試験に基づくNOAELの500分の1となりますことから、このゲンタマイシンのADIは 20μg/kg体重/dayといたしました。  それから8頁に移りましてシロマジンです。反復投与試験では、投与に関する所見は 認められておりません。それからラットを用いた104週間の発ガン性試験ですが、発ガン 性がなく、この体重減少という変化に基づき、この試験でのNOAELは1.8mg/kg体重/day ということです。遺伝毒性試験、生殖試験、催奇形性試験等では、投与に基づく所見は ございません。この結果から、いちばん小さいNOEAL1.8mg/kg体重/dayに安全係数100 を用いまして、18μg/kg体重/dayをADIとしております。  それから、11頁、スペクチノマイシンでございます。反復投与試験では、ラットを用 いた28日間の皮下投与試験でNOAELが100mg/kg体重/dayという値が得られておりまし た。遺伝毒性試験につきましては、結果はすべて陰性です。発ガン性試験につきまして は実施されておりませんけれども、先ほどもありましたような既知の発ガン性物質との 構造類似性がないということ、それから、遺伝毒性試験において陰性の結果が得られる ということを踏まえまして、可能性は著しく低いというふうに判断されております。そ れから、生殖毒性試験の結果では、NOAELが100mg/kg体重/dayということになってお ります。催奇形性試験では、異常所見はございません。腸内細菌叢に関する試験では、 最も感受性の高い細菌のMIC値は、16μg/mlです。この値から算出された微生物 学的ADIは40μg/kg体重/dayとなりまして、ラットを用いた生殖毒性試験の100mg/ kg体重/dayに、安全係数100を用いた場合でも、1mg/kgということになりますので、 より低い値である微生物学的ADI、40μg/kg体重/dayをスペクチノマイシンのAD Iといたします。  最後に15頁でございます。ネオマイシン。反復投与試験、生殖毒性試験、催奇形性試 験、遺伝毒性試験においては、特に問題とする所見はございません。特殊な試験といた しまして、聴器毒性に関する試験が行われております。モルモットを用いた90日間の経 口投与試験で、NOAELは6mg/kg体重/dayとなっております。腸内細菌層に関する試験 では、MICから微生物学的ADIを算出いたしますと、160μg/kg体重/dayとなりま す。先ほどの聴器に関する毒性試験でのNOAEL6mg/kg体重/dayに、安全係数100を用い ますと、60μg/kg体重/dayとなりまして、微生物学的ADIよりも低い値となりまし たので、安全性を見込みまして、ネオマイシンのADIは60μg/kg体重/dayといたし ました。これらが4品目の毒性に関する概略です。これらのADIに基づいて残留基準 値を設定いたしました。  それから、20頁の「理論最大摂取量の試算」をご説明いたします。まず、ゲンタマイ シンですが、先ほどの残留基準値を基にいたしまして、理論最大摂取量の試算をいたし まして、我が国での腎臓とか肝臓の個別の摂取量のデータがございませんので、すべて の食肉を、これら残留基準値の中で、最も高い値が設定されております。この場合は、 腎臓になりますけれども、5ppmをすべての食肉に当てはめるという場合を仮定いたしま して計算いたしますと、食肉からの摂取量が約0.4mgというふうになります。その他、乳 等について摂取量を計算いたしますと、総計で1日あたり0.415mgとなります。先ほどの ADI、20μg/kg体重/dayと比較しますと、その41.5%となっております。続いてシ ロマジンでは、理論最大摂取量を試算しますと、総計で1日あたり0.0133mg。これはA DIの1.5%でございます。スペクチノマイシンにつきましても、ゲンタマイシンと同様 に、すべての食肉を、これら残留基準値の中で最も高い腎臓で摂取したと仮定いたしま して計算いたしますと、理論最大摂取量は0.496mg。ADI比は24.8%でございます。ネ オマイシンにつきましても、すべての食肉を、残留基準値の最も高い腎臓で摂取したと 仮定いたしまして計算いたしますと、0.863mg。ADIとして28.8%でございます。  それから、最後に参考といたしまして、22頁で、小児での理論最大摂取量をまとめて おります。すべての食肉を、最も残留基準値の高い腎臓で摂取したと仮定して計算して おりますので、かなり高い値にはなっております。ADIとしましては、ゲンタマイシ ンで91.8%、シロマジンで3.5%、スペクチノマイシンで55.0%、ネオマイシンで64.6% となっております。最もADI比の高いゲンタマイシンを、すべての食肉を筋肉で摂取 したとして算出しますと、注意書きに書いてありますとおり、ADI比は12.8%となり ます。いずれもADIを下回っておりまして、小児に対しても問題ないと考えておりま す。 ○分科会長  どうもありがとうございました。嶋田先生、三森先生、お忙しいのにどうもありがと うございます。どなたかご質問とか何かございますか。 ○小沢委員  ちょっと細かいことですがお教え願いたいのですが、たまたま先ほどの残留農薬と、 それから、今回の動物医薬品で、シロマジンが両方に出てきていて、殺虫剤としては有 用なのかなと思いますが、催奇形性の試験は、これはたぶん同じデータの取扱いなのか よくわかりませんが、ちょっと解釈のところで、これは違うのかなと思ったのですが、 動物用医薬品のところの10頁の、上から8行目で、「NOAELは明らかにできなかったが、 100mg/kgの影響は極めて軽度であった」というふうに書かれております。先ほど出され た残留農薬の資料で、157頁に同じ催奇形性試験の報告がございまして、本試験における 無毒性量は100mg/kgと考えられるというふうに書いてあって、催奇形性は認められない と。だから、軽度だとか認められないというところでは同じような記述ですが、片方で はNOAELを明らかにできなかったと。片方は毒性量は考えられるというふうに書いてい る。この辺は、何か比べてみるとよくわからないなという。その辺をどのように考えた らよろしいのか、お教え願いたいのと、本当に素人で申し訳ないのですが、CDラット とSDラットという表記があって、これは同じラットのことなのでしょうか。それか ら、有効数字の扱いで、動物用医薬品のほうでは1.80mg/kg体重/dayと書いてあっ て、農薬のほうは1.8なのですね。8.0と8の違いは、これはすごく違うことだと思うの ですが、この辺の表記の扱いがもし違うということであったら、揃える必要があるので はないかと思います。 ○黒川委員  最初の質問だけ私がお答えしたほうがいいかと思いますけれども、NOAELというのは非 常に微妙な場合には、それぞれの専門家でもその判断が非常に違ってくることがありま して、別の言い方をすると、その委員会によって、はっきりした場合と、はっきりしな い場合が。これは典型的な例だと思うのですけれども。究極的にはあまり変わらない結 論になっておりますけれども。そんなことがよくあって、非常に機械的に決められると いうものでもないのです、NOAELは。2番、3番は、今日の三森先生、嶋田先生に。 ○三森参考人  CDラットとSDラットの違いを説明させていただきます。繁殖所の違いによるもの で、いずれも同じスプラッグドウレイ(Sprague Dawley)系ラットです。CDは、ト レードマークで、同じものと考えてよいと思います。シロマジンの催奇形性試験につい てお答えします。残留農薬調査会で評価した時期と、残留動物用医薬品調査会で評価し た時期は、時間的なギャップがございます。同じデータから評価しておりますが、残留 動物用医薬品調査会では、この催奇形性試験における100mg/kg群にみられた変化は、軽 微ながら、やはり影響があるのではないかと結論いたしました。しかしながら、最終的 な評価は、発ガン性試験のNOAELが1.8mg/kgであり、非常に低い値でございます。その 値をADI算定の値にしておりますので、催奇形性試験の100mg/kgで影響が出ていると 言いましても、非常に軽微なものであって、それよりも下の用量ではほとんど影響がな いと評価いたしました。 ○基準課長  数字のほうの、コンマ2桁か1桁かという点につきましては、特に意味があってのこ とではなかったかと思います。審議の場が異なったためと思います。できれば統一をす るようにしたいと思います。 ○高仲委員  農薬と動物薬との間の違いですけれども、これは100ミリをベースにしての考え方なの ですが、骨化の程度ですか。100ミリを疑わしいとしたのは骨化の程度ですね。一般的に 言いまして、骨が仮骨化してきて、骨としてできてくる、このスピードが遅れるかとい うことなのですね。一般的に言いますと、骨化の遅延というのは奇形に入れてないので す。それが医薬品とか農薬はそういう形で評価しています。というのは、これは生まれ てきて、ある一定の時間経てば、いずれも骨となってしまう。ただ、それが時期的にそ こで調べた時期に少し遅れているということで、骨化の遅延というのは奇形に入れてな いのです。したがって、そういう判断基準を持っているところと、そういう基準がない ところでは、評価が違います。同じデータでそういう形になっているんだろうと思うの で。これは、いずれにしても判断の各するところの基準でということだと思います。  それから、数値の問題なのですが、すべてそうなっているとは言いませんが、国連の 残留農薬のレベルですと、小数点以下1桁ということに決めています。ですから、そう いう影響を受けて1桁に決めたものもありますし、そうでない部分もあるかも知れませ ん。 ○分科会長  どうもありがとうございました。他にどなたかございますか。それでは、この部会報 告における決定事項を当分科会としての議決にして、報告することにしたいと思います が、よろしいですか。それでは、この部会の報告書を分科会報告書の様式として整理し て、当分科会の報告といたします。薬事・食品衛生審議会規定第3条の規定に基づき、 分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣宛答申いたしたいと思います が、それでは、その答申書案はございますか。 ○事務局  ただいまから配付させていただきますので、お手元に届きましたら、答申書案を読上 げさせていただきますので、ご確認をお願いいたします。 (答申案配付) ○事務局  それでは読み上げさせていただきます。答申書。平成11年3月15日付、厚生労働省発 生衛第47号をもって諮問された畜水産食品中に残留する動物用薬品の基準設定につい て、下記のとおり答申する。記。ゲンタマイシン、シロマジン、スペクチノマイシン、 ネオマイシンについては、別紙のとおり設定することが妥当である。以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。この答申書案につきまして何かご意見ございます か。それではご了解いただいたものといたしまして、この答申書(案)の案をとりまし て、厚生労働大臣宛答申させていただきます。なお、この件につきましては、今後のス ケジュールをどのようにされているのか、事務局のほうから何かございますでしょう か。 ○事務局  今回答申いただきましたものにつきましては、本年度中を目途に、所要の省令及び告 示改正を行いたいと考えております。 ○分科会長  それでは、この審議事項につきましては3つ終わりまして、最後に報告事項が3件残 っております。特定保健用食品に係る新開発食品調査部会の審議結果等でございます が、まず「特定保健用食品に関わる新開発食品調査部会の審議結果」につきまして、事 務局より報告をお願いいたします。 ○新開発室長  それでは「特定保健用食品に関わる新開発食品調査部会の審議結果」をご報告申し上 げます。参考資料の4−1をご覧いただきたいと思います。本年4月に保健機能食品制 度が発足し、特定保健用食品につきましては、薬事・食品衛生審議会で審議いただき、 ご了承いただいた上で許可するということになりました。5月29日、6月18日及び6月2 6日に開催された新開発食品評価調査会におけるご審議を経て、8月9日に新開発食品調 査部会が開催され、そこに書かれております2品目の安全性及び効果についてご審議い ただいた結果、特定保健用食品として認めることとして差し支えないと判断されまし た。この2品目についてですけれども、正式な許可前ですので、商品名及び申請者名は 伏せてございますが、プロピオン酸菌による乳清発酵物に着目し、お腹の調子を整える という目的が期待されるという乳飲料と、歯の健康維持という目的が期待される食品 で、今までなかった口の中でなめるタイプの錠剤型食品の2食品でございます。これら の取扱いですが、参考資料の4−2の6頁をご覧ください。1番目の乳飲料につきまし ては、新たな特定の保健の目的に資する栄養成分を含む食品ということで、この2の取 扱いで、また、2番目の錠剤型食品につきましては、食品の形態が大きく異なるという ことで、この5の取扱いとされたところであり、これにより本日の分科会にご報告させ ていただくという次第でございます。なお、この2品目のほか、既存の特定保健用食品 とほぼ同様なもので、安全性及び効果の審査を経ているものとして取り扱うものとさ れ、特に審議会で改めてご審議いただく必要はないとされた品目も24品目ございまし た。報告は以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局のご説明につきまして何か質問ご ざいますでしょうか。それでは、引き続きまして、次の報告事項で未審査の遺伝子組換 え食品が発見された事例につきまして、事務局より報告をお願いいたします。 ○監視安全課長  簡単にご説明申し上げます。未審査の遺伝子組換え食品が発見された事例ですが、先 ほどご審議いただきましたニューリーフ・プラス・ジャガイモと、ニューリーフY・ジ ャガイモが混入した事例が、本年に入りましてから、事例1から事例5までございま す。事例1、事例2は、ニューリーフ・プラス・ジャガイモのみの原料が使われていた ということが確認されておりますが、事例3〜5につきましては、ニューリーフ・プラ ス及びニューリーフYが検出されているということです。ニューリーフ・プラスにつき ましては、本日ご審議をいただきまして、安全性の確認がされたということですけれど も、ニューリーフYについては、現在まだ申請者から申請が出てきているという現状に ございます。先ほどこのようにまだ作付けがもう終わるようなものについての審議を云 々ということはございましたけれども、事例5にもありますように、P&Gが輸入しま した「プリングルス」、これはアメリカですでに製造されたものですが、このものにも すでにニューリーフ・プラスとニューリーフYが混入をしていたという事実がございま して、実際にはアメリカ国内及び日本のほうでこういうものが流通する可能性は十分あ るということの証明であるというふうに認識をしております。これらについてはそれぞ れ地方自治体におきまして自主回収の指導を行っておりまして、現状ではほとんど市場 からは排除されているという状況にございます。 ○分科会長  どうもありがとうございました。どなたかご意見ございますでしょうか。それでは引 き続きまして「牛海綿状脳症(BSE)の対策」につきまして、事務局より報告をお願 いいたします。 ○監視安全課長  引き続きまして、参考資料6に従ってご説明をさせていただきます。9月10日以降、 新聞、テレビ等を賑わせております牛海綿状脳症を疑う牛の確認の件でございますが、 私ども厚生労働省はついに、この資料の1頁、めくっていただきますと、裏面に書いて ありますが、農林水産省のほうでプレスリリースをした紙でございますけれども、ここ にございますように、千葉県下の酪農家で飼育された乳用牛1頭を殺す際に、雌の5才 でありますが、これが9月10日の夕刻に牛海綿状脳症の疑いが確認をされたということ です。この牛自体は7月の終わりごろから、ときどき起立不能に至るということがあっ て、獣医師による診断により、再起の可能性はないということで、屠畜場において屠殺 解体をされようとしたものでございますが、そのときに脳の材料をとって、それぞれB SEの検査を実施したところ、マイナスであったということでありますが、病理組織切 片を見ると、空胞が見つかったということから、再度確定診断のための検査を行った。 それが独立行政法人の動物衛生研究所、これは昔の家畜衛生試験場でありますが、ここ で確認検査を行ったところ、陽性が出たということで疑われたということであります。 これを受けまして、それぞれ農林水産省におきましては、9月11日に牛海綿状脳症に関 する技術検討会と、それらの貿易委員会を開催しております。実は私ども厚生労働省と しては、9月10日の夕刻4時過ぎに農林水産省からこの報告を受けまして、当時は他の ことが全然わからない状況でありますが、とりあえず取った処置といたしましては、1 頁に戻っていただきまして、「2.厚生労働省の対応」の(1)にございますように、当 該牛を飼育した農場で飼育された牛及び同一の動物性飼料により飼育された牛由来の食 肉等については、結果が判断されるまでの期間はこれらの食肉等の販売の中止をするよ う、千葉県に対して指導したところです。再度もう1つ(2)にございますように、厚 生科学研究の特別研究事業といたしまして、「牛海綿状脳症に関する研究」を本年度設 置をしたいと思いましたものですから、主任研究者である帯広畜産大学の品川教授の研 究班会議を急遽9月11日に開催し、専門家からのご意見をいただいたところです。この ように、当時千葉県下で発生したホルスタイン種、雌の5才につきましては、その後の 農林水産省の調査におきまして、2年前に北海道常呂郡佐呂間町で生産をされた牛であ るということが判明したということが1つと、千葉県のこの農場では、動物性飼料は与 えていないという事実が判明したということです。現在農林水産省におきましては、北 海道佐呂間町のこの同一の農家で生産された牛は、74頭生産されておりまして、その内 の1頭がこの牛であったということです。74頭のうち、72頭は売却をされた。2頭につ きましては、1頭は腎臓破裂で死亡。もう1頭は脱臼による廃由ということになてい る。ここの資料の調査は北海道庁が行ったわけですが、それによりますと、動物性飼料 は給餌をしていないと農場側は言っている。但しこの農場は平成12年の時点で廃業し て、農場としての飼育を行っていないということもありまして、その辺のところが。当 時どのような餌が、与えられていた餌がそれ以外にあったか、なかったか。それから、 72頭の行く末はどこに行ったかというのは、現在農林水産省で行っているところです。 ただ、この牛自体の検査結果でありますが、日本で初めてということもあり、このもの については国際的なリファレンスラボとして知られております英国またはスイスで、再 度確認のための検査を行うということになっておりまして、現在は英国獣医研究所でこ の検体を送付して、この確認を行うという作業を行う。検体自体は、今日または明日に は送付されるであろうということです。この結果はいつわかるかということであります が、英国の獣医衛生研究所自体は、イギリス国内で発生した狂牛病が18万頭ほどいるわ けですから、検査にかなりの検体を持っている。それの順番を単純に待つと、3カ月後 でないと結果は出ないということでありますが、農林水産省のほうのこの技術検討会の 座長であります小野寺先生でありますとか、同意見の方々がリファレンスラボとコンタ クトパーソンがいるということで、1週間から、遅くて1カ月以内には結論を出すだろ うというふうに言われております。一方、私ども厚生労働省としては、11日の日に研究 班会議を行ったわけですが、研究班会議のメンバーは、7頁に書いてございます。ここ にございますように、小野寺先生、北本先生、熊谷先生、今日もお見えになっていただ いておりますが、それから、感染研の倉田副所長、品川先生、山内先生、横山先生。横 山先生は実質的に独立行政法人動物衛生研究所で検査に携わった方でありまして、この 方々によってどのように私ども、今後厚生労働省としてはこれの対応をすべきかという ことをご検討いただいたということです。一方、私ども厚生科学研究で、とりあえず、 どのような日本の状態にあるかという調査研究を本年の5月以降実施しておりまして、 現在24カ月齢以上、2才以上ですね、2才以上の牛で、運動障害等の神経症状を呈する 牛の検体、延髄をとりまして、先ほども申し上げました帯広畜産大学の品川先生のとこ ろで検査を実際にしていただいておりまして、現在149例の検体が品川先生のところに 集まっておりまして、その内、結論が出ているのは70検体。70頭分の検査結果が出てお りまして、いずれもマイナスということであります。今後私どもはこういう検査をどの 程度、今度は研究ということではなくて、緊急に日本国内で屠殺解体される牛の検査を どの程度までやるのか。やれば、きちんと日本国内で流通する食肉の安全性が確保でき るのかということで、先生方のご意見を現在いただいておりまして、11日の時点では、 こういうサーベイランスを拡大する必要があるというご意見をいただいております。た だ、いまどのような状況にあるのか。動物性飼料も含めて、日本国内でどのような状況 にあるのかという、もう少しデータを集めるのと、日本国内で例えば検査をするといっ たときに、どのくらいの施設が検査が可能かということも踏まえて、現在調査中でござ いまして、なるべく早い機会、来週中にでも、再度2回目の研究班会議、専門家会議を 開催したいというふうに思っておりまして、その時点でどのレベルまでサーベイランス の強化を図るべきかということをご審議をいただくというふうにしてございます。24カ 月齢以上の牛の検査ということでありますが、実際、なぜそれでは24カ月齢以下の1才 程度のものの検査はどうかということでありますが、いままでのヨーロッパにおけるそ れぞれの経験によりますと、24カ月齢以前では、プリオンが検出できないという実際問 題がございまして、24カ月齢というのは、そういう根拠に基づきまして、24カ月齢以上 のもので症状があるか、ないか。それから、健康牛のものであれば、どの程度までやる べきかということも含めて、ご議論をいただこうというふうに思っております。ちなみ に日本国内で年間屠殺解体される牛の頭数は130万頭でございまして、実際に日本国内 で現在使用されている牛の頭数でありますが、乳用牛と肉用牛を合わせますと、450万 頭現在いる。これが全部食用に回るというような年齢には達してないにしても、これだ けの数が現在いるということであります。  それから、もう1つ、農林水産省が今後1カ月以内に行おうとしているのは、この450 万頭について、全国の家畜保健衛生所、これは農水省が都道府県に持っている機関であ りますが、ここにいる獣医師、約5,600名ぐらいいると聞いております。まあ、6,000近 くいるわけですが、これらの獣医師を使って、1カ月以内で臨床検査を行う。臨床検査 を行うといっても、見に行ってですね、実際にふらついているのかとか、座っているの を立たせてみて、ちゃんと立てるかとか、そういうような症状を見て、その異常の有無 を確認するというふうにしております。こういう検査については、当然厚生労働省のほ うにも報告をもらうようにと。そういうことをしないと、「ふらついているやつがいる から、屠畜場に持って行け」と言われて、私ども知らないうちに解体されるという、こ ういうことのないように、きちんと都道府県と連絡を取って、厚生労働省には報告をも らうということを。そういうためにも、農林水産省と連携を保ちながら、今回の対応を していきたいというふうに思っております。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ご苦労さまでした。どなたかご質問とか何かござい ますか。 ○小沢委員  基本的には消費者は冷静な対応が必要だというふうに思っておりますが、いずれにし てもいろんな情報が正確に提供されないと、それこそおろおろしているのがかなり実態 でございまして、私どものところにも、いくら報道で「牛乳は大丈夫ですよ」、「お肉 は大丈夫ですよ」と言っても、「じゃ、うちの子が食べているヨーグルトのお乳は一体 どこの牛のものですか」というレベルにまで問い合わせがたくさんくるような、いま実 態となっております。特にゼラチンはどこの牛ですかとか。いままでも、ヨーロッパで 例えば狂牛病等が出ましたときは、これは国産牛ですから大丈夫ですよなんてことを申 してたのですが、今度は国産牛だから大丈夫とは言えない実態になっていて、今回の1 頭が最初で最後の1頭ならいいのですけれど、どうも素人が考えても、それで済むのか という懸念が相当ありまして、まずはきっちり調査をしていただきたいと思うのです が、農水省の対応と厚生労働省の対応がどこで切れるというか、繋がるのか、その辺が よくわからないのですが、育てるまでが農水省で、屠畜場に行ってしまったら厚生労働 省、食べ物になったら厚生労働省って、そういうことなのか、よくわからないのです が、いずれにしてもできるだけお願いしたいなというふうに思っていますのは、屠畜時 で、発症前でも罹患が確実に検出できる方法で、全数を対象として検査をしてほしいと いうのが要望でございます。ただ、先ほどおっしゃったように、施設の問題もあるでし ょうし、方法の問題もあるので、どういう牛から、経産牛からやっていくのか、乳牛が 優先するのかということもあると思うのですが、とにかくきっちり検査をしてほしいと いうのが要望でございます。あとは先ほどおっしゃったような、農水省の対応のところ はまた農水省に是非お願いをしていきたいというふうに思っております。 ○監視安全課長  では、簡単にお話申し上げますと、まずは厚生労働省と農林水産省の役割分担の話で すが、農場にいるうちは農林水産省の管轄であります。これは家畜伝染病予防法に基づ いて監督を行う。私ども厚生労働省が所管するのは、と畜場法という法律がございまし て、これは食用に供するために牛、豚、馬、めん羊及び山羊を処分する場合はと畜場で 処分をしなければいけないということがございまして、これはと畜場法ですべてやる。 そのときの検査はどういう検査を行うのかということもすでに定められておりまして、 海綿状脳症につきましても、これは検査の対象でございまして、一応そういう検査をす るということになっております。ただ、ご質問の中でもおっしゃいましたように、すべ てBSEの検査をやるかというと、時間との勝負というのが1つございまして、枝肉は 少なくとも一昼夜たぶん冷蔵庫に保管されておりますが、次の日、一昼夜を過ぎると、 市場に出回るということがございます。これを阻止しますと、おそらくは冷凍肉でない と保存は不可能になって、流通のことを考えると無理になってくるのではないか。24時 間以内に検査結果を出すという検査方法は何があるかというのは1つあるわけですが、 これと、24時間以内にできる検査というのは、いろいろ何種類かあるわけですが、それ の信頼度はどのくらいかというのがございます。実際には、100%ある程度信頼性がない と。70%ですよと言うと、3割見過ごすということになりますから、そういう意味では いろんな検査法があって、その内100に近い検査法をどれにするかとかいうことがござい ます。それと、もう1つは、もしも仮にBSEに罹患していたものを検査していたとな ると、病原体をどのように扱うかということが1つございまして、その辺の確定診断を 実際に各と畜場でやらせるかというと、ここがまた、そういう病原体を飛散させてしま うという恐れがあります。散らばらせる、広がらせるということがありますから、どう いう施設が必要かとか、そういう問題もありまして、でき得る限りできる検査の中で、 安全性を確保していくにはどういう方法があるのか。どういう検査法をもって、どうい うレベルまで検査を行うのかということについて、再度また情報等収集して、今回また 2回目を開催しようとしている研究班会議の中でご検討いただくというふうに、いま用 意をしているところです。 ○分科会長  いいですか。 ○村上委員  一言お願いです。消費者への情報は、農水省から出るものもありますが、厚生労働省 から是非出していただきたいのは、何を警戒すればいいかということです。肉と乳は安 全ということはもう頻りに言われるのですけれど、なぜ安全なのか、プリオンのことな どを、あまり難しくなく、丁寧に、折に触れてお教えいただきたい。特に乳まで、ヨー グルトまで心配している消費者のために、部位の問題などをしっかりと。それから、と 畜場での接触で安全な部位が汚染されることはないのか。その辺もしっかりとたくさん の情報をお出しいただくように要望したいと思います。 ○監視安全課長  いまのご要望はもっともだと思いまして、私どもは7月10日のプレスリリースのとき も、乳の安全性については、特にBSEに罹患した牛の牛乳を感染実験やっても、これ は感染をしてないという事実がございますので、それで安全ですよと。そういう事例を 挙げながら、新聞記者等の方々にご説明させていただいているのですけれども、なかな かそこの部分だけ記事にならないという、大変残念な部分を持っていまして。それと、 私ども厚生労働省のホームページにも、狂牛病のQ&Aというのを載せておりますの で。ただ、Q&Aをホームページに載せたからすべてアクセスできるかというと、パソ コン持ってないとアクセスできないということもございますので、なるべくそういうこ とは広報していきたいなということと、もう1つは、どういうふうに検査をして、どん な方法で検査をするかということをいま申し上げましたが、それが決まって、検査が始 まった時点で、なるべく短期間のうちに検査結果を公表していくというのも、安心して いただくことになるのではないかなと思っておりまして、なるべくそのような努力をし たいというふうに思っております。 ○和田委員  いままでのご発言に重なりますけれど、やはり情報の出し方というのは、いま言われ ましたように、ここの段階でわかったところの情報というのを出していただきたいと思 うのです。情報が何となく何か全部出し切れられてないなと思うと、それが今度信頼関 係に関係してきますので。是非ヨーグルトまでなんていうのは、もうこれは専門家の先 生から見ると、何でそんなところまでとお思いになるかも知れないけれど、だけどやは りそういう消費者がほとんどなんだというご理解をいただいて、情報を是非出していた だきたいということをお願いしておきたいと思います。  それと、いま申し上げていいのかどうかわかりませんけれど、今日の審議、報告、全 体を見ますと、もともとちょっと2時間というのが無理なのではないかなと。ご説明が あって、いくつか質問なり意見があって、2時間では絶対に終わらない内容だと思いま す。前回も前々回もそういうあれで、その度に運営がとおっしゃるのですけれども、運 営の問題ではなくて、もともとが時間が足りないのは。無理ではないのかなと、3回も 感じておりますので、大変僭越ですけれども、ちょっとお願いしておきたいと思いま す。 ○分科会長  どうもありがとうございます。それを私は最後にちょっと言いたかったので。ちょっ と盛りだくさんです。その前からの案件が随分たくさんあったのだろうと思います。予 算の問題とか、時期的に大変だったと思いますが、もう少し、内容を落とすのではなく て、時間を増やしたほうがいいのではないかなという感じがちょっとしていますのと、 それから、もう1つは、パブリックコメントを説明されるようになったのですね、この 会で。それは非常にいいことなのですけれども、その分だけ討議の時間が少なくなって きているのですね。だから、そこの取扱いも、折角みんながパブリックコメントを出し てくださっているわけですから、それをここで審議することは大変いいことだと思うの ですけれども、それを勘案した時間の取り方、あるいは頻回、数を増やすとかですね、 そういうこともちょっとやったらどうかなということを思っていました。ここにちょっ と忘れないように書いているのですけれども、こういうことを言うと、また遅くなるか らなんて思いながら、ちょっと思っておりました。では、よろしくお願いしますという ところでですね、事務局で何か伝達事項ございますか。 ○事務局  特にございません。 ○分科会長  それでは、これで分科会を閉会します。どうも長いこと時間を大幅にオーバーいたし まして。これは運営の司会のせいではございませんので、盛りだくさんで。どうもあり がとうございました。 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部企画課 電 話:03−5253−1111(内線2452)