01/09/13 第4回薬剤師の人員配置基準に関する検討会議事録 第4回「病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会」 日 時 : 平成13年9月13日(木)10時〜11時30分 場 所 : 厚生労働省省議室 ○座長(岩崎)  それでは、時間がまいりましたので、ただいまから第4回の「病院における薬剤師の 人員配置基準に関する検討会」を開会させていただきます。委員の皆様方におかれまし ては、大変お忙しい中をご出席いただきまして大変ありがとうございました。まず事務 局のほうで人事異動があったようですので、事務局のほうから紹介をよろしくお願いし ます。 ○医政局総務課長  8月31日付で医政局長が伊藤局長から篠崎局長に代わっておりますが、所用でちょっ と遅れておりますので、到着次第ご挨拶申し上げます。 ○座長  それでは、局長には、ご到着次第ご挨拶をお願いしたいと思います。次に資料の確認 をよろしくお願いします。 ○保健医療技術調整官  それでは、お手元の資料を確認させていただきます。座席表が1枚紙で付いています が、その後にクリップどめで厚い資料が付いているかと思いますが、はずして見ていた だければ、と思います。まず1枚で議事次第が入っています。それから、資料1といた しまして、前回の本検討会の議事録が付いています。資料2といたしまして、医療法人 協会からご提供いただきました3枚紙の資料が付いています。資料3といたしまして、 全国自治体病院協議会からご提供いただきました資料を添付させていただいておりま す。それから、資料4といたしまして、四病院団体協議会で調査されたものがありまし て、それが資料としてご提供いただいております。それから、資料4の後に、ナンバー が振ってない3枚紙の綴りを2つほど追加で添付させていただいております。1つが、 四病院団体協議会の調査結果の追加資料ということと、もう一つが、「報告書」と上に 題が振ってあるものです。資料5といたしまして、日本病院薬剤師会からご提供いただ きました資料を添付させていただいております。資料6といたしまして、諸外国の状況 ということで3枚紙の資料を添付させていただいております。それから、参考資料とし て1枚付けさせていただいております。以上でございます。落丁とかありましたら事務 局のほうにお申しつけいただければ、と思います。 ○座長  先ほど紹介するのを忘れておりましたが、委員の方で梅田委員と奈良委員からご欠席 の通知をいただいております。渡辺委員は少し遅れられるのではないかと思いますが、 以上のことでこれから始めたいと思います。前回の議事録ですが、何かございますか。 何かあれば事務局に後ほどご連絡いただければと思いますが、一応ご承認いただいたと いう形にしたいと思います。  それでは、前回に引き続きまして、病院における薬剤師の人員配置基準に関する事項 全般につきましてご議論をいただきたいと思います。前回の議論に基づいて資料が提出 されておりますが、今回もそれぞれの団体からのご説明を伺い、議論を進めていきたい と思います。ただいま医政局長の篠崎局長がお見えですのでご挨拶をいただきたいと思 います。 ○局長  遅れてまいりまして申しわけございませんでした。8月31日付で、前伊藤局長の後を 受けまして医政局長を拝命いたしました篠崎でございます。この検討会におきまして は、岩崎座長をはじめ委員の先生方におかれましては、大変ご熱心にご討議をいただい ていると聞いております。この機会に改めて御礼を申し上げます。  皆様方もすでにご案内かと思いますが、昨年6月でございますが、WHOがワールド ・ヘルス・レポート2000というのを発表いたしました。21世紀の最初のWHOの正式な レポートですが、その中で画期的だったのは、加盟191カ国のヘルスの分野について1 位から191位まで順番を付けて発表したわけですが、その中で我が国は、健康寿命世界 一でしたし、また保健医療システムの到達度はいろいろな指標を組み合わせて作ってお りますが、WHOのEBHPの担当部長でありますクリスマレーという方がいろいろな 数式等を使って、特に開発途上国では足りない資料はいろいろなもので補いまして作り 上げたものですが、その中でも保健医療システムの到達度は世界一となりましたし、ま たその他の、例えば地域差ですとか10ぐらいの指標がありましたが、ほとんどトップ10 以内の大変良い指標でした。そういう指標を見ましても戦後、特に昭和22年に男女の平 均寿命が初めて50歳を越えて以来平均寿命が世界一、あるいは健康寿命が世界一となっ てきたのは、ひとえに皆様方を含めて、医療提供体制がうまく機能してきたのではない かと思っているわけです。  ただ、今後、多分世界一のスピードで世界一の高齢社会を迎える我が国にとりまし て、またそれと合わせて少子化が進む我が国、そしてまた医学・医術、あるいは科学技 術の急速な進歩の時代を迎える21世紀に、いままでのようなやり方では必ずしも世界の 最高水準を維持できないのではないかということも私どもは感じているわけです。そう いう中におきまして病院薬剤師の方々の果たす役割、あるいは果たしてきた役割は、大 変大きなものがあろうと私どもは認識をいたしております。今後、21世紀に向かいまし て病院の薬剤師さんの働きは、国民からも大変期待をされているところですので、この 検討会におきましても十分国民の皆さんの期待にこたえられるようにご討議をいただい て結論を導いていただければ、と思います。どうかよろしくお願いいたします。 ○座長  ありがとうございました。それでは、最初の議事に戻りましてこれから議論を進めて いきたいと思いますが、まずは資料が提出されております順に従いまして日本医療法人 協会からの資料について豊田委員からご説明をお願いいたします。 ○豊田委員  それでは、医療法人協会の資料について、資料2ですけれども、ご説明申し上げま す。これは、前回提出し、ご説明申し上げた資料を一部補完したことと、それから今日 は、薬剤師の医療機関への配置は地域によって非常に差があるということの資料をご説 明申し上げたいと思います。  まず資料の1頁目ですけれども、中ほどに(2)薬剤師充足状況および旧基準、暫定基 準、経過措置等の比較ということで、この表が付け加えられております。これは、下の 表を分かりやすくまとめたということです。旧基準は参考でして、問題は暫定基準でど うであるか、それから経過措置でどうなっているかということがここに示されておりま す。729の病院につきまして出した結果がこれです。  2頁のほうには、都道府県別薬剤師の採用難易度というのがありますけれども、次の 3頁から先に説明いたしたいと思います。旧基準は参考にしていただいて、現在の暫定 基準および経過措置ということで進行しているわけですけれども、この表は、全国を北 海道、東北、関東、北陸、甲信越、東海、近畿、中国、四国、九州の8つのブロックに 分類いたしまして、そしてこれはアンケートに答えていただいた病院ですけれども、そ こに729の病院があるわけです。横をずっと見ていただきますと、それぞれの都道府県、 総施設数と。総施設というのは、アンケートに答えていただいた病院の数です。さらに 右のほうへ行きますと、標欠施設数というのが書いてありますが、暫定基準だけで運用 されると、例えば北海道ですと18の内7つが標欠になる。それから、経過措置までに広 げていただきますと、18の内3つの施設が標欠になるという意味です。  施設数の右側は、これを割合で示している数字ですが、このとおりにすべて駄目だと いうところから非常に充足率の良いところまで非常にばらついているわけですけれど も、各県によってかなりの差があります。それをブロック別に示したのが下のほうの枠 でして、まず最初に現在の暫定基準といわれるもので評価した場合には、全国で35.1% が標欠になる。それから、経過措置まで拡大していただいた場合には、現在はそれでい いわけですけれども、その場合でも25%が標欠になっている。ですから、現在の暫定基 準、それから経過措置の両方で見ても全国の医療法人のアンケートに答えていただいた 施設の25%が基準を満たしていないということでして、もし経過措置が外れたらさらに 標欠が増えていくということが示されているわけです。ここでは、各県で非常にばらつ きがあるということをご指摘申し上げたいと思います。  これと連動しますが、この中で特に充足率が難しいのは、ここは北海道・東北ブロッ クに一まとめにいたしましたが、北海道はいいのですけれども、東北地方は充足率が良 くないということが言えると思います。この数字の順番に難しいわけですけれども、東 海ブロックは大都市をたくさん抱えるわけですけれども、この地域も充足率がなかなか 思うようでないということがこの数字から出てまいります。  1枚戻っていただきまして2頁に、都道府県別の薬剤師の採用難易度というのがあり ます。これも同じように全国を8つのブロックに分けておりまして、各県ごとの薬剤師 を採用する場合の難易度というのを示しております。表のいちばん上を見ていただきま すと、左から、必要な場合は容易に補充できる、bが半年以内ぐらいには充足できるだ ろう、cが1年かければ充足できるだろうと。問題は、その次のdでして、現時点では 全く見通しがたたないと。こういうことでアンケートをさせていただきました。  その結果、いちばん左側を見ていただきたいのですが、全く補充の見通しがたたない という所が46都道府県の内11あります。これがゼロです。見通しがたたないのではな く、見通しがたたないのがゼロです。だから、a・b・cの中に入って、見通しがたた ないということはないと。要するに、薬剤師の補充にはあまり苦労がないという所が11 です。ですから、46都道府県の内35都道府県は、こういう施設があるわけです。特に各 県別の場合を見ていただきたいのですが、九州の宮崎県、鹿児島県というのは、非常に 難しいということが際立っております。各県それぞれ非常に差があります。  下のほうの枠の中を見ていただきますと、これは各ブロックごとにまとめてございま すけれども、これをご覧いただきますと、薬剤師の補充に比較的苦労していないのは、 大体予想どおりなのですが、関東ブロックということになります。関東ブロックでは、 見通しがたたないというのは9.5%である。それに対して九州ブロックは42.7%が補充の 見通しがたたないという数字になってくるわけですけれども、それでは充足率もそんな に悪いのかといいますと、九州が極端に悪いわけではないのですが、現在勤めておられ る薬剤師の方に辞められたら次はなかなか補充ができないというのもこういう中に入っ ておりますので、大体は比例しておりますけれども、必ずしも数字が一致しているわけ ではありません。こういうことで、全く見通しがたたないというのは、充足率に非常に 似ておりまして、見通しがたたないというのは、26%ぐらいの病院が、現在充足してい るしてないにかかわらず、いない所はそういうことになるわけですけれども、薬剤師の 採用に非常に苦労しているという状況です。各ブロック別にでも、見通しがたたないと いうのに丸を付けられた方は、関東では9.5%であるのに対し、九州ブロックでは42%も あるということで、非常に大きな地域差があります。それから、各県においてもそれぞ れの県によって差がある。  それから、今日は資料を出しておりませんが、今年の5月に社団法人の秋田県病院協 会が県下の病院にアンケートいたしまして、薬剤師の充足状況を調査したわけですけれ ども、この中の一部を紹介いたしますと、秋田市とか都市部では比較的充足させやす い。しかしながら、県北、県南、山間地に行きますとまず絶望的な数字になります。そ こは充足してないというのではなくて、ずっと長いこと勤められている薬剤師さんたち で何とかやっているわけですが、もし辞められたら、ということになるわけです。  そういうことから、薬剤師さんは、数のうえでは、全国の病床で割り算したりすれば 十分いるはずだということですけれども、実際の医療機関側から見たときの充足に対す る難易度、それから充足の状況を見ますと非常に地域差があります。したがって、今回 提出いたしました資料は、国の基準である医療法の数字を決めるときには、こういった 地域差を慎重に見ていただいて、その決定に対しては極力慎重に対処していただきたい ということです。 ○座長  ありがとうございました。私のほうからちょっと質問させていただきますが、2頁目 の難易度の所に書いてある数字は、今回調査の施設数ですね。 ○豊田委員  施設数です。 ○座長  北海道4、7、5、1というのは、それぞれ施設数ですね。 ○豊田委員  はい。 ○座長  3頁目の総施設数の数字に一致するのでしょうか。 ○豊田委員  3頁も施設数で、後半のほうにパーセンテージでまた改めて出してあると。 ○座長  そういうことでかなり地域差があるというご報告になっているようですが、ただいま の説明についてご質問、ご意見等がありましたらどうぞ。 ○全田委員  確かにこういうアンケートをとられると、これは事実だと思います。それから、我々 のほうで、充足率もそうだけれども、全体の現在の薬科大学に就学している学生の3年 生について最近3年間を平均して、どのくらいの分布かということを見ているのです。 そういう学生がもし地元に帰れば、こういう状態がもう少し解消されるのです。どうし ても、先生がいま言われたように都市型だし、例えば秋田の例をとられても都市型だ と。ただ、私の立場から申し上げれば、それはこと薬剤師だけではないのではないか。 医療一般、例えば大変失礼ながら離島に医者が行くかというと、なかなか行きにくいか らそれをまかなうだけの条件でサポートするわけです。私のほうとしても反省はありま す。病院薬剤師に対する魅力といいますか、そういうものに対する教育が欠けていたと いうこともありますので、確かに病院を経営なさるほうからいけば充足率が重要なこと はわかりますが、充足率が非常に難しいからといって、即数字を動かすことは厳しいこ とになるというようなお考えをされますと私としては非常につらいところなのです。 ○豊田委員  数字をどういうふうにするかということはこれからの議論でして、数字を議論する前 に現在の日本の状況がどうであるかということを皆さんに再認識していただいたうえ で、そういう意味で今回説明しておりますし、ここでいま議論されていることは医療法 に記載されることになるわけですから、日本の大事な医療の数字をこ れから検討しよ うというわけですので、国民の安心を、という立場からすれば、後ほども出てくると思 いますけれども、医療の質の向上のために薬剤師がどういう役割をするかと。これは私 も異論はないです。それは認めておりますし、将来そうあるべきだと思いますけれど も、私の立場からは、現在の実状に合わせた数字というものをこれから議論していきた いと。そういうことでそれぞれの要素はありますが、今回は、全国の充足の状況からい けばこういうことであると。したがって、最低基準としての医療法の数字の決定に当た っては、いろいろなことを加味して慎重に決定していただきたいということで提出させ ていただきました。 ○伊賀委員  ただいまのご説明で、全く見通しがたたないといったまとめ方ですけれども、この理 由は、例えば応募者が全くない、あるいは待遇面の問題とか、そういった点についての 内容についてもう少しコメントいただけますでしょうか。 ○豊田委員  非常にはっきりしていることは地域なのです。ブロック、それから県、それから県の 中でもどうというふうな見方をしていきますと、これはこれからの議論の土台にもなる と思いますけれども、医者にしろ看護婦にしろ薬剤師にしろ、足りないという大変具合 の悪い判定をされますと、現在の医療制度の中では、ベッド数の削減であるとか、程度 によっては病院をやめざるをえないというふうに標欠の重みというのは非常に重要なわ けです。ですから、足りないけれども、まあいいや、という経営者は、私の知っている 限りではまずおりません。何とか有資格者を充足したいということでそれぞれの病院の 責任者は頑張っているわけです。  したがって、例えば給料をもう少し上げれば来るのだけれども、それ以上要求するの だったらいらないといった時代ではないです。最大の要因は地域なのです。先ほど秋田 県の例をあえて挙げさせていただきましたのは、郡部で地元から、例えば薬科大学に入 学しても、卒業したら地元に帰ってくるという保証はないわけです。人間の生活はどこ で生活したいかというのは、それぞれありますけれども、郡部、山間部には、特に子弟 の教育とか、そういったいろいろなことが入りまして、どうしても便利な所で生活した いというのは人の常ですので、そういったことからしますと、いるけれども、雇わない とか、そういうことではないのです。いないのです。不足している所では、どんなに努 力しても交渉する相手さえ見つからないという所が全国いろいろな所であるわけです。 そういう所では、長年勤めてくれている1人の薬剤師さんを大事にしているのだけれど も、もしその人に何かあったらどうしようといった不安を、現在充足されていても持っ ている所がたくさんあるわけでして、金をもう少し出せば来るだろうとか、それだった ら話は解決できるけれども、決してそんなことではないです。努力しているけれども、 絶対数がないところが問題です。 ○全田委員  いまのストーリーというのは、医者とか看護婦にはないのですか。はっきり申し上げ まして、薬剤師の意識が低いのか。これは会の責任者として今後の意識として持ってみ たいのでお聞きしたいのですが、医者とか看護婦の場合には、医療人として地域医療に 貢献するという意識を持たれ、それに対して薬剤師は意識が低いと。本当に教えていた だきたいのです。 ○豊田委員  私は、薬剤師の意識が低いなどとは思っておりませんで、この問題は、厚生労働省の 皆さんの前でこういう話は大変怖い話ですけれども、実は、いちばんの問題は、この後 いつかは問題になるでしょうけれども、医師の問題です。全く同じです。これまでの認 識は、例えばある時期に医師が足りないということで大学の医学部の定員を増員しまし た。そして、現在は、何年も前から医学部の定員を減らすということで進行しているわ けです。それでは、全国の病院の医師が完全に充足したかというと、民間病院では大変 厳しい状況です。これも薬剤師と同じことでして、地方の病院では全く同じ現象です。 数のうえでは、厚生労働省は、医師はすでに過剰であるという判断です。しかしなが ら、すべてに充足しているのかというのはまた別問題なのです。ですから、医師が足り なければまさに標欠で、ベッド削減、あるいは廃院にまで追い込まれるわけですけれど も、民間病院になるとそれでも足りないというのも事実なので薬剤師だけではないで す。  こういったことは、特殊な国家体制でない限りそれぞれの自由意思で生活しているわ けですから、自分たちの生活に合わせた所に移動するので、これは自然の成り行きでこ うなっています。しかしながら、これは強制的な方法では矯正はできないわけですけれ ども、一面そういうことによって医療機関の減少、あるいは病院の消滅ということは、 地域でそれなりの役割を果たしているものがなくなるということは、国民に対して健康 に対する不安を与えることにもなるわけでして、その辺のかね合いです。ですから、い ま必死になって頑張っているわけで、医療関係者は、経済的な理由で云々は全くありま せん。絶対数です。これは医師も、それから薬剤師も全く同じです。医師のほうがもっ と厳しいと思います。ですから、決して意識云々ではありません。 ○邉見委員  ちょっと先生にお伺いしたいのですが、旧基準から暫定基準になって、例えば秋田 県、新潟県、山口県、福岡県、あるいは宮崎県はかえって標欠が増えている。旧基準 は、以前は外来中心の定数で、暫定基準のほうは、院外処方の進み方によって入院とい うものを重視しようということで決めたわけですけれども、例えば院外処方率がいちば ん高いといわれている佐賀県はMが少ないのですが、こういうところが厳しくなったの かな、と思ったのですが、そうでもなさそうなのですか。院外処方率との関係は、もし お分かりでしたら、どうなのでしょうか。 ○豊田委員  大変申しわけございません。院外処方率の割合については、今回出しておりません。 ○座長  それでは、次に進ませていただきます。続きまして、全国自治体病院協議会から資料 が出ておりますので、資料3に基づきまして、邉見委員からご説明をよろしくお願いし ます。 ○邉見委員  それでは、説明させていただきます。以前出しましたのが少し古いということで、今 回、自治体病院協議会の中の一部の部分ですが、全国都市立病院薬局長協議会という会 がありまして、これが234施設でありますが、一部横浜市大とか大阪市大とか特定機能病 院がありましたのでそれは除いておりますが、そこで平成13年の3月までの統計があり ましたので、それを出させていただきます。4枚ありまして、平成9年度、10年度、11 年度、12年度とありますが、前回に出させていただいたことと同じようなまとめになっ ております。  ただ、以前の会でも申し上げましたように、全国自治体病院協議会は、1,000余りの会 員がございますが、病床数、あるいは先ほど豊田委員のほうからありました地域とか、 施設の大小とか、いろいろありますので、なかなかまとまりにくくて、今回のはピンか らキリといえばニアピンといいますか、ピンに近いほうの都立病院と、道府県立病院は ないのですが、地域の中核病院に近い大・中都市ぐらいの病院が全国都市立病院の薬局 長協議会には加盟しておられます。94施設の平均というものが意味があるかどうか分か りませんが、病床は450ぐらいということでかなり大きい病院です。総薬剤師は16人ぐら い。常勤薬剤師が14人ぐらい。1日平均入院が400人ぐらい。これは、いちばん初めの平 成9年度のを申し上げておりますが、処方箋の枚数が600枚、入院の処方箋が130枚、そ れから注射箋が127枚。これを全薬剤師数で割りますと、例の入院の薬剤指導は、1日に 50人やることになります。それから、常勤のみでやりますと66人ということになりま す。それから、院外処方率は、この病院では17%出しているということです。  同じようなことを10年度、11年度、12年度とやっておりまして、まとめたものが資料 5の縦になっている分です。これで9、10、11、12となっておりますが、これを見てい ただきますと、1人当たりの薬剤の入院の指導は、50人から41人と。当然ですが、院外 処方が17%から37%まで増えておりますので、こちらのほうに業務がシフトしていると いうことが分かります。それから、外来の薬剤指導も充実しているということです。そ れから、かなり大きな病院ですので、中心静脈栄養とか抗癌剤の点滴等の調剤等、ある いは治験とか、こういうものも増えているということで、一応大きな病院、中病院ぐら いでは、薬剤師の定数が変わっている間にも業務形態は外来から病棟へ、あるいは患者 さんに近いベッドサイドでの薬剤業務ということに変わりつつあるというのが分かると 思います。グラフで描いているのは、そういうことを分かりやすく描いたようなもので す。 ○座長  ありがとうございました。続きまして、四病院団体協議会から資料のご提出をいただ いておりますので、資料4に基づきまして佐々委員からよろしくお願いします。 ○佐々委員  日本医療法人協会、それから日本精神病院協会、それから自治体病院協議会からアン ケートの報告が出ているわけですけれども、設立主体別というような観点からの統計も 必要ではないかと。特に一般病床についての配置はどうなっているかということで、四 病院協会としてアンケートを取ろうということで、これは8月に実施したものですの で、この集計結果も出来立てのほやほやのものですが、そろそろこういった資料を発表 しておかないと間に合わないだろうということで今日出させていただきました。  それでは、内容についてご説明いたします。表紙を1枚めくっていただいて、データ の処理、解析の条件ということが書いてあります。調査票を配付した医療機関数は4,785 病院ということで、回答数が1,353、回答率は28.3%とちょっと低い数字ですけれども、 こういう数字です。それで、解析の対象とした施設というのは、一般病床を有する病院 ということで、これが1,300件あります。このうちから統計への影響が大きいと思われる 疑義データ91件を除外しまして912件について解析しております。それから、法定薬剤師 数は、暫定基準により計算しております。薬剤師数は、実際の薬剤師数を法的な、これ は暫定基準のことですが、それの入院・外来比率で案分して病棟薬剤師数というものを 出しております。  それでは、めくっていただいて、下に1頁と書いてある所ですけれども、基礎統計と しまして912件の病床区分と、それから設立母体等による医療機関数を示しております。 まず1のデータですけれども、912病院の内、一般病床のみを持っている病院が476件、 それから一般病床のほかに療養病床等も合わせ持つ病院数が436件とほぼ半々です。それ から、2の医療機関数、設立母体別というところでは、圧倒的に医療法人病院が多かっ たのですが、そのようにいろいろな施設からの回答が得られたということです。それか ら、2のbの許可病床別では、50床未満というのがやや少ないですけれども、100床未満 というところでまとめますと31%ということで、これも各病床別のグループの統計をと るのに堪える分布であろうと思います。それから、ブロック別では、当然のことながら 関東がいちばん多いということでこのような分布になっております。  時間があまりないということなのでちょっと飛ばしてご説明いたします。2頁目で す。先ほどのは基礎統計でして、これからが個別統計ということです。1番の薬剤師数 は、計算上の平均値ということで、個々の病院の実態を表してないものですけれども、 aの設立母体別では、ほかの表でも同じですが、合計すると充足率は155%近くになり ます。それから、薬剤師1人当たりの入院患者数ということで見ますと、合計で49.4人 ということになっております。それから、設立母体別に見ますと、公益・社会福祉法人 がトップでして、驚いたのですが、充足率が国立がいちばん低いという結果になってい ます。自治体もびりから3番目ということで、これはどういうことかな、とちょっと思 っております。許可病床別では、むしろ中小病院で充足率が高くなっております。それ から、ブロック別ですけれども、東北、中国、九州、北陸、甲信越というところが低く て、近畿と関東で高いという結果が出ております。  次に3頁目をご覧ください。これは法定配置基準の充足率ということで、いままでは 計算上の数字でしたけれども、これからは設問に答えていただいたものの集計です。こ れで設立母体別に見ますと、やはり公益・社会福祉法人というのが97.2%という充足率 でトップでして、医療法人、個人というところも3番、4番ということで、全部で8グ ループになりますが、まあまあ頑張っている。それに対して国立では充足率が57.1%、 自治体では75.7%と低くなっております。全体の合計としては87.5%の充足率です。逆 にいうと、12.5%が法的標準に満たないということです。bの許可病床別では、一定の 傾向がありませんが、平均値と比べると50床未満の病院では、薬剤師の充足している施 設と非常に足りない施設というのが混在しているのではないかな、という結果が出てお ります。それから、ブロック別で見ますと、東北、北陸、甲信越、九州、四国、それか ら中国というところで充足率が低く、そして近畿、関東で高い。これは計算上の集計と ほぼ一致しております。  次に4頁を開いていただきます。これは薬剤指導管理の実施率はどうであるかという ことですが、全体として78%の実施率というふうに出ております。これに関しては、設 立母体別では、国立が21件ですけれども、100%が実行している。それから、その他公 的、その他私的自治体という順番になっておりまして、個人病院は45.5%と非常に低く なっております。許可病床別に見ますと、これは完全に病床ごとのグループに一致して おりまして、病床数が多いほど実施率が高い。300病床以上では96%、それから50床未 満では32.2%と完全な一致をみております。ブロック別に見ますと、これも看護婦の配 置数の少ない所で低いという傾向が出ておりまして、九州、東北、四国、中国などで低 くなっておりまして、近畿が非常に高いということは薬剤師の配置と一致しているので すが、関東であまり高くないというところが配置数とちょっと合わないという結果にな っております。  次に5頁ですけれども、今度は薬剤管理指導を実施している施設で算定率がどのくら いかというものですが、これは全体で43.6%と出ておりまして、主体別では、実施率は 個人がいちばん高いという結果なのです。それから、国立、自治体ではあまり高くな い。ですから、個人とか医療法人では、実施率は低いけれども、実施している機関とし ては算定率が高いという実施率と逆のような関係にあります。bの許可病床別では、こ れも完全に病床数の順になっているという感じで、むしろ中小病院のほうが実施してい る機関では算定率が高い。それから、ブロック別に見ますと、これも実施率の高かった 近畿、東海、北海道という所では算定率も高いのですけれども、ほかは一定の傾向が読 み取れません。  6頁にまいります。これは、いわゆる一本出し業務の実施率で、これは全体で76.1% が施行しております。設立母体別では、むしろ薬剤師の充足率と逆のような傾向が出て います。この辺もちょっと考えてみないと分かりません。許可病床別では、病床数の多 いほうが実施率が高いということがはっきりしております。それから、ブロック別で見 てみますと、近畿、東海で高いですけれども、これも充足率とか指導管理実施率、算定 率というものとの一定の傾向が読み取れません。  次に7頁にまいります。必要とする薬剤師数ですけれども、これは増員が必要です か、現員でよいですか、削減が必要ですか、という問いでありますが、これについて は、増員が必要と答えた機関が285機関で31.6%、それから現員でよい、あるいは削減 が必要、と答えたのは合わせて68.5%に上っております。設立母体別で見ますと、当然 のことだと思いますが、充足率の低いグループほど増員が必要だという答えになってお ります。例えば、国立で85.7%が、増員が必要、と答えております。それから、許可病 床別では、これも完全に病床数のグループになっておりまして、増員が必要と答えるの は、大病院ほど多くなっているということがあります。ブロック別に見ますと、薬剤師 の充足率の低いブロックほど、増員が必要、という答えになっております。  次が8頁ですが、これは薬剤師補充の難易度で、先ほど医療法人協会のほうでも出て おりましたけれども、容易であるか、困難であるか、非常に困難であるか、という問い に対しまして、困難、あるいは非常に困難、と答えた施設が74%に上っております。設 立主体別では、医療法人、個人というのが困難、あるいは非常に困難という回答が多く なっております。医療法人で84.8%、個人で90.5%に上ります。許可病床別では、これ も病床規模の大きい病院ほど容易であるということになっております。次にブロック別 ですが、四国と九州、あるいは北海道というところが困難という答えが多くなっており ます。  次をおめくりください。薬剤師1人に対する入院患者の分布です。いままでは、療養 病床とか、そういうものを持っている病院も入れていたのですが、統計上すっきりさせ るために、これは一般病床のみを有する医療機関ということで集計してみました。そう しますと、現在の患者70人に対して1人という配置を満たしていない病院が9.3%という ことになります。医療法人などとのあれがだいぶ違うのですけれども、これは病床区分 によるせいかもしれません。そこに合計があって、その下に、これは試しに、というこ とですが、1人の薬剤師が担当する入院患者が、例えば50人と仮定してみますと、全体 で34.6%が標欠になる。国立は数が少ないですから省きますが、その他公的、自治体と いうところで非常に大きく標欠が出てまいります。その下のbの許可病床別で見ます と、これはむしろ病床数の多い病院で標欠が出てまいります。病床数の多い所は、おそ らく法に合わせて薬剤師を配置している所が多いということだろうと思いますが、そう いう結果が出ております。最後にブロック別ですけれども、これは北陸、甲信越、中 国、近畿という所が50人までということにすると大きく標欠が出てくる病院ということ になります。  時間がありませんので飛ばしてご説明しましたのでご理解しにくい点があったかと思 いますので、追加資料というのを出していますので、そこにまとめましたので、それを ちょっとご覧いただきたいと思います。表紙をめくりまして、調査結果のまとめとしま して、薬剤師の充足状況と。薬剤師の充足率は、暫定基準による計算結果では、全体と して1.5倍程度となっている。しかし、国公立・公的医療機関で充足率が低かった。しか しながら、法的配置基準に満たない医療機関も12.5%(113施設)あり、薬剤師補充につ いては、74%の医療機関が困難または非常に困難と回答しております。また、設立主体 別では、個人および医療法人病院の90%が困難または非常に困難と回答しております。 病床規模別では、病床規模が小さい医療機関ほど困難または非常に困難と回答しており ます。地域別では、四国と九州地区で85%前後の医療機関が補充困難と回答しておりま す。薬剤指導管理の実施率につきましては、薬剤指導管理料の算定は78%の医療機関に おいて実施されており、国公立・公的医療機関では100%の実施率でありまして、民間病 院との格差が非常に大きくなっております。病床規模とは完全な相関関係にありまし て、小規模医療施設では極端に実施率が少ない。これは一本出しでも同じでした。この ことは、薬剤指導管理の算定要件であります常勤薬剤師が2人以上配置されていること 等を考慮に入れた場合には当然のことであろうと思われます。地域による格差は、途中 でお話ししましたけれども、数字上には現れておりますけれども、薬剤師充足率との相 関が読み取れないという結果でございました。  薬剤師の増員が必要ですか、現員数でよいですか、削減が必要ですか、という設問に 対しては、薬剤師の充足に対して70%近い医療機関が、現員数でよい、または削減が必 要、と回答しております。次に述べますことは資料としては割愛しておりますが、903医 療機関の内に増員が必要であると回答した医療機関は285医療機関で、その内の30%に当 たる83病院が法的配置基準を満たすため、と答えております。すなわち標欠であるとい うことです。それから、減員が必要と回答した43機関の内で88%に当たる38医療機関 が、薬剤師給与を補填できないため、または過剰人員のため、と答えております。  最後に簡単に考察を申し上げますと、(1)は、計算上の薬剤師数は87.5%の医療機関に おいて現在の法的基準を上回っておりまして、総体で1.5倍の充足率になっているという ことです。これからの議論になると思いますけれども、薬剤師数、配置数を増やして医 療の質の向上を図ることにはやぶさかではございませんけれども、病院規模や地域にお ける薬剤師確保の困難性を考慮するとき、法的基準の安易な改正は慎重でなければなら ないと考えております。また、注射薬調剤に対する評価等、薬剤師業務に対する診療報 酬上の適正な評価が求められるというふうに考えます。 ○座長  仙波委員のほうから何か追加がございますか。 ○仙波委員  報告書が出ておりますが、四病協では医療従事者対策委員会というのがありまして、 それは総合的なまとめをしている委員会で、その報告書です。だから、いま両先生がお しゃべりになった内容がほとんどですので、若干それをまとめる意味で出します。これ を2つの視点からまとめております。  1番目は、病院薬剤師の需給と配置状況の視点からまとめてあります。内容について は、薬剤師の充足状況については先ほど縷々述べられましたので時間の都合上省略しま すが、1つ申し上げたいのは、国でこの前出されました需要供給は足りるということで すが、現実はさにあらずということを主張したいと思うのですが、特に都会地におきま しては、調剤薬局薬剤師との関係で、薬剤師はいるのだけれども、そちらのほうに持っ ていかれてしまう。給料が2、3万高いということがありまして、実際に病院を辞められ た人の27%が調剤薬局のほうに移動しているという統計もあります。それらのものを勘 案しますと、病院が給料をそんなに高く出せないということもありますし、日精協調査 では標欠90%が充足は無理だというのは、先ほど豊田先生が言われた地域性の問題、そ れから都会においては、調剤薬局薬剤師との問題というのが非常に反映しているという ことは事実です。調剤薬局薬剤師の実態調査もおやりになったらいかがかな、という感 じを我々は持っております。もう一つは、診療報酬でもう少し薬剤師にメリットがあれ ばいろいろな動きも違うかと思いますが、実は、診療報酬上の人件費填補率は60%そこ そこであるので、民間病院では、多く雇えば雇うほど苦しくなるというのが現実だろう かと思います。  次の頁に移ります。今度は、bの病院薬剤師の業務内容の視点から申し上げます。い まの薬剤師の任務が調剤の業務からいろいろな服薬業務、それから病棟への業務の広が りは、我々も大いに歓迎するのですが、調剤業務については、自動分包機等も入りまし たし、前と違って業務量は少なくてすむように効率化されていると思います。これはま すます進むだろうと。ここに米国のように補助者を入れてそういうような業務をするこ とによって浮いた分の薬剤師を、服薬業務とかいろいろな業務へ配置換えをしていかな いと駄目ではないかと思うのです。そういう工夫が必要ではないかと思うのです。  それから、院外処方がだんだん進んでまいります。精神科では実施率はまだ少ないの ですが、これはだんだん増えていくだろうと思うのです。外来へ移せば、その分が浮く わけですから、その分の時間を薬剤師としてあれだけ教育を受けられたのですから、別 な業務機能に振り分けることができればな、と思う次第です。院外処方は、これから進 む方向にあるのではないか。現在、日精協では実施率がまだ半分ぐらいしかいかないの ですが、これはさらに進むと思います。精神科の場合は、薬剤の説明が精神療法と組み 合わせたり、いろいろなことで難しい技術がいるのです。それが単に薬の機能だけでポ ンと説明されたときに、いろいろな問題が起こることを精神科は非常に心配して、院外 処方に出すことに二の足を踏む先生方も多いという回答があります。  それから、服薬指導の実施状況ですが、医療法人協会は66.1%、日精協はまだ45.3% ですが、服薬指導も、実は、精神科の場合は、1年以上入院している人が入院者の50% から70%を占めておりまして、薬物療法も維持療法に傾いておりますので処方変更は少 ないということがあります。痴呆患者が多い病院では1週間に4回も服薬指導するとい うことは避けなければいけませんし、適切な患者さんに効率よくしなくてはいけない。 実施率が100%ということは、精神科等では無理な話なのです。細かいことをいえば、例 えば包括病棟には服薬指導料の診療報酬請求はできない仕組みになっておりますので、 経済的には全くインセンティブになっていない。しかしながら、服薬指導が必要な患 者、家族に対しては努力しなくてはいけないと思います。  それから、安全確保の問題とか院内感染とか、いろいろなことがありますが、これら のものは、病院全体のチーム医療の中で達成されるものであろうかと思いますので、こ れに薬剤師の業務の組入れをどうするかということは、現在の段階では議論がまだ尽く されていないように思います。今後の重要課題として検討を続けるべきだと思います。  もう一つ申し上げれば、病院では標欠ということを非常に気にします。そのために基 準については非常にナーバスになっています。多くの病院は、標欠になるのがいやなも のですから1名か2名ぐらい基準より採用している。薬剤師についても日精協の病院で も、現在の基準を上回って採用している病院は43%あります。一方、26%の標欠を抱え ているというのが現状であります。なぜ標欠を出したくないかというと、医療法上の基 準と診療報酬の条件と密接に結びついているからです。そういう事情でアンケートをと りますと、現行の基準通りでよいという論が非常に多いことを紹介しておきます。  それから、先ほど医師の数も看護婦の数も地域差があると。もちろんそうです。精神 科では、医師が48対1というのがどうにも動かせない数で、充足が間に合わないという のは薬剤師の比ではありません。そこで、いろいろな基準を決める場合にどうするかと いう本則論をもう少し考えなければならないのではないと思います。つまり、国で決め る基準というのは、最低基準として比較的低く抑えて、あとの部分は診療報酬の誘導が 必要ですし、より一層医療の内容を高めるため必要なものは、これを雇うという方式で 病院の裁量としてやるほうが、規制緩和が一方で叫ばれる中で至当なやり方ではないか と思う次第です。 ○座長  ありがとうございました。ご意見をいただく時間がありませんので、続きまして日本 病院薬剤師会からの資料のご説明を全田委員、よろしくお願いします。 ○全田委員  資料5を見ていただきまして、実は、今日提出させていただいた資料というのは、前 回および前々回にすでに何回かご説明させていただいたのですが、今日は渡辺委員がご 欠席ですけれども、病院薬剤師というのは一体何をやっているのだ、院外処方箋が出 て、病院薬剤師が入院患者を対象とした仕事を中心としていくときに、どういうメリッ トが患者さんのためにあるのか、というようなことのご質問がありましたので、今回 は、先ほどからいろいろな先生からご説明をいただいたように、薬剤管理指導業務とい うものを足場に病棟業務についてですけれども、そういうことをしたときにどうなるか について、自分たちのデータがかなりありますので、手前みそのところもありますけれ ども、そういうことを中心にまとめさせていただきました。  時間がありませんので簡単にいきますと、まずいくつかのポイントを示させていただ きました。まず患者の安全を守るために、というような立場から考えたときの我々の業 務というのは、そこに書きましたように、従来は、処方箋だけを見て調剤していたこと を、実際に患者さんに接することによって、その患者さんの状態とか、あるいはチーム 医療の一員としてドクターおよびナースといろいろなお話をすることによって、より正 確な、例えば注射薬を混合する際のミスを防ぐことができる。  それで、この間ちょっと出させていただきまして先生方からいろいろコメントをいた だきましたが、3頁のいちばん下の対入院患者30名に1人配置されている所では、一応 シミュレーションですけれども、こういうことを平均的にやれている。50名に1人とい う場合には、基本的な薬剤業務と同時に注射薬の1本渡しもできるし、薬剤管理指導業 務も約1割ぐらいは、一般病院ではできているという話をさせていただきました。  また、4頁になりますと、例の川村先生の平成11年度の厚生科学研究の報告ですけれ ども、ヒヤリ・ハットといいますか、医療事故に結びつく前に気がついたことで、薬に 関する、いわゆる医薬品関連業務に関係したものがほぼ50%問題だということがありま した。  その次に行きますと、かねてから我々病院薬剤師会が非常に力を入れています、薬剤 師が関与することによっていかに重篤な副作用を減らすことができるかということで、 これをプレアボイドという言葉でいわせていただいていますが、そういうことの報告が どんどん上がってきております。それは、病棟に具体的に薬剤師が行くことによって約 8割を、ある意味では発見することができたと。単に調剤室やDI室にいたときでは駄 目だということです。  6頁は前にも出しました。これは、アメリカのICUに薬剤師が関与したときにどの ぐらい有害事象に関する事を減らすことができたかということです。  ちょっと飛びまして8頁ですけれども、これはすでに東京医大の例として報告したも のですが、病棟に専任制として薬剤師を置いたときに患者さんにどういうことができる かとか、あるいはお医者さんに対して適切な薬剤の選択とか処方設計にプラスになる。 あるいは、看護婦さんの場合には、薬剤師が服薬指導を具体的に行えば、その時間を看 護婦さん本来の業務により従事できるということの証明です。9、10、11頁は処方箋発 行からエラー予防についての考え方でして、12頁に行きますと、これは国立仙台病院の 1つの例ですが、無菌製剤を開始してエラーを減らすことが若干ですができたというこ とです。  項目を変えまして、13頁に改めてチーム医療を支えるために医療の質を向上させる。 そのためには、我々は医薬品の情報等を積極的に提供する。患者さんに対してもそうで すし、他の医療従事者にもそうですが、例えば14頁は、約60施設でアンケートをとった ものです。すでに前に出させていただきましたけれども、薬剤師が直接患者さんに聞い ておりますので悪いことはあまり言わないのかもしれませんが、とにかくそこに示した ように、正しい飲み方が分かった、あるいは薬が必要だということがよく分かったと。 満足してくれたことが72%あった。  それから、いわゆる医療費の問題、病院の薬剤師の仕事は理解していただいているけ れども、一体その原資はどうするのだということに対しては、そういうことの中で、例 えば16頁ですが、北大の例で循環器病棟に薬剤師が行って具体的な薬剤管理指導業務を 行うことによって在院日数も入院費も減らすことができたという1つの例です。下にア メリカの例があります。  それから、何回も出しておりますが、17頁の資料13に、例の脊椎狭窄だと思っていた らフェニトインの過剰投与だということで、血中濃度を測ることによって手術をしない ですんで、患者さんも元気になったと。もしそれを手術をしたとすればどのぐらいにな るかという試算をして、実際にかかった費用との差額はこのぐらいだということを計算 させていただきました。  あとは、先ほどから出ておりますように、いわゆるチーム医療の一員として病院薬剤 師が今後とも国民に安心してもらえる医療を提供し、患者さんのQOLを上げるために は我々自身の資質の向上を図らなければいけない。これはほかの医療関係の方々もすべ てそうですが、とにかく資質の向上ということで我々としては薬剤師の認定制度、それ から我々の学術団体である日本医療学会でも認定制度を行っているというようなことで す。  最後に、これはまだ実態がはっきりしませんけれども、北陵クリニックの准看護士が 使ったという筋弛緩剤の、そういうことに対して薬剤師不在ということが非常に大きな 問題であるということで社説で書いてくださっているので、それを付けさせていただき ました。それから、『讀賣新聞』が医療ルネッサンスということで、病院薬剤師の仕事 をピックアップしてくださって、それなりに医療に貢献していると書いてくださってい ますので、手前みそですが、付けさせていただきました。 ○座長  大変手短にありがとうございました。伊賀委員と金子委員、何かご追加意見はござい ませんでしょうか。 ○金子委員  いま、各団体の先生たちからいろいろ資料を提出していただきましてご討議している 内容を聞かせていただいておりますけれども、中小病院に勤める立場として一言私のほ うから各先生のほうにお願いがあります。現在、全国にはほぼ9,200余り病院施設がある わけですけれども、そのうち20%を超える病院施設において1人薬剤師という現状があ ることをまず申し上げたいと思います。中小病院の委員会で調査をして、まだ精査して ないので表に数字は出しておりませんけれども、9,200の内ほぼ6,300余りの施設の調査 によって、その内1,463施設が薬剤師が1名配置という現状が報告されております。調剤 薬局等におきましては、1名薬剤師施設の薬剤師不在時における業務については、店舗 を閉めるなどの措置を講じて医療業務の中断を図るよう指導があると聞いております。  しかしながら、病院施設においては、入院患者さんもおられますし、他の医療従事者 が勤務している中で、薬剤師が不在しているというだけで医薬品を用いた医療業務を中 断するということは現実的に不可能だと思います。こうした中で薬剤師不在の中でオン コール体制もとれずに医薬品の供給がなされ、調剤をはじめとする薬剤師が責務を負わ なければならない業務が遂行されている事実が現実には多く見られるようです。今回の 病院における薬剤師配置を検討するに当たり、今回まで多くの資料を含め、国民に責任 ある医療を提供できる医療体制を作るため各委員の先生たちによる意義深い検討がなさ れてきました。薬剤師が医療にとって必要であるという認識は共通であると思います が、この物理的薬剤師不在の状況における医療業務の履行が多く存在するということを 念頭に置いて、国民が納得できる医療を提供するため薬剤師の配置基準について今後さ らなるご検討をいただきたいと私のほうからお願いいたします。 ○座長  伊賀委員どうぞ。 ○伊賀委員  病棟における薬剤師の実際の業務展開というものは、看護側が調査した結果が、対象 病棟におきましては8割以上の満足度で、しかし、しない所では、ゼロとは申しません が、そういった点がはっきりと出ております。  もう一つは、先ほどの資料の中に特定機能病院ですらそういった医療事故が見られる というようなご指摘が入っておりますが、特定機能病院の配置数であっても我々の認識 では、はっきりいえば、現状の特定機能病院の多様化した業務内容の中で十分な数では ないと私どもは認識しておりますので、比較ということにはならないという点を是非ご 理解いただきたいということで、1病棟に少なくとも1名以上の薬剤師を是非配置して いただけるような形でご検討いただきたいという点を補足させていただきます。 ○座長  ありがとうございました。ただいままでで大体各病院団体からのアンケート調査、な らびにご意見をいただき、また全田委員からの薬剤師の問題としての提起、そして金子 委員、伊賀委員のご意見をいただいたところですが、全体を通して何かご意見がありま したら2、3お伺いをしたいと思います。検討会があと2回しか残っておりませんので、 今回でご意見を全体的にいただいたということもあって、次回から少しまとめに入りた いとも考えておりますので、今日のところまでのいろいろのアンケート調査等でご意見 をいただいておきたいと考えております。 ○全田委員  しつこいようですけれども、やはり立場としては一言。先ほどから、例えば四病院の 協議会等で、財源的に非常に厳しいし、実質は1.5倍の配置があると。平均すればそうだ けれども、地域差があり、標欠があると。それから、いま報道されていますように、こ れからますます医療費が抑制されてきますと大変厳しい状態であるということは認識し ております。ただ、私が改めて申すまでもなく、少なくとも薬剤師は取り残されてきて いたわけです。ですから、ここまで来たときに急に我慢してくれといわれることは、私 の立場ではつらいわけです。例えば、医師は一般病院でいけば16対1、看護婦は3対1 と。あえて申し上げますけれども、いろいろな差があるけれども、同じ医療をしている つもりです。だけど、なぜ16対1に対して70対1であり、それから3対1に対して70対 1で我慢してくれというのかと。とにかく我々の人数については検討が遅れてきていた わけです。いろいろなことがどの時代でもあったと思うのです。ですから、先生方がお っしゃるのも経営者の立場からいけば分かりますけれども、我々の立場もご理解いただ きたいということをあえて申し上げたいと思います。 ○座長  ほかにはいかがでしょうか。 ○山田委員  実は、日本看護協会が実施した、診療情報提供に関する調査というものがあります。 その資料の部分的な紹介でおわかりにくいかもしれませんが、その中に「患者を対象に した調査」もあります。現在のところで患者に対して入院や退院のときに、薬に関して も含めてですが、いろいろ説明していらっしゃるのは医師や看護婦がほとんどで、薬剤 師の方が説明をしたというのは、わずか11%程度というところで、現実にはほとんどが 医師や看護婦が行っているのではないかと思います。ただ、いま『讀賣新聞』の記事を 読ませていただいておりまして、薬剤師の数が増えて、きちっと薬剤管理ができる、あ るいは治療に参加し、薬のチェックをしたり、服薬指導も行えるようになって、事故が 防げるという症例が出てきていることも事実ですので、私どもとしては、是非安全とい うことで安心して医療を受けることができる体制というものを検討していかなければい けないのではないかと思っております。 ○座長  大変貴重なご意見ありがとうございました。そこで、いまのご発言と少し関連がある のかな、と思うのですが、これからおそらく病棟業務が増えていく可能性が大変高いで す。むしろやってほしいということが病院からの希望としても出ておりますが、その点 でいま臨床教育はどのような状況なのでしょうか。 ○全田委員  現在どういうことになっているかというと、今日は厚生労働省の方もいらっしゃって いますが、いま薬学教育および薬剤師養成問題を検討する6者懇というのがありまし て、文部科学省、厚生労働省、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、それから国公立の薬 科大が17ありますが、その代表者、それから私立の薬科大が29ありますが、その代表者 で2年以上検討しています。もちろん懇談会なものですから結論は出せないのですが、 この間までの議論のまとめをしていただいた中では、決して結論とか何かではないので すが、はっきり申しまして、いままでは、臨床実習しなくても国家試験を受けられて合 格すれば薬剤師になってしまうのです。ですから、他の医療人の教育の方々から見ると 全くおかしな話だったわけです。ですけれども、いまはお蔭様で国公立を含めまして8 割以上の大学が、4年の間に最低1カ月の実務実習をやる。それから、従来は、薬学の 話になりますけれども、どうしても薬を作るとか、あるいは生命科学だとか、そういう ことだったのですが、薬剤師を養成する唯一の機関でありながら医療を意識した教育が なされてこなかったのです。それに対する大変な反省がありまして、いま各大学は、医 療系のものに非常に力を入れてきております。  したがいまして、いまの時点では、国家試験の受験の資格、要するに4年で1カ月の 実習も義務づけられてはいませんので実習なしで受けられるのですが、議論の中では、 最低6カ月ないしは1年ぐらいの長期実習を含めた、そのうえで受験資格を与えるのが 適当だろうという意見も出ております。ただ、現時点で合意されていることは、いまま での薬学教育では、決して十分なる医療人を教育することはできないということは6者 懇の共通の認識なのです。ただ、いろいろな立場がありますのでなかなか進みませんけ れども、そういう面が先ほどから先生方からご指摘いただいているように、医療人とし て1流の薬を作ろうという人間が薬学にいたとしても、地域医療とか医療人として頑張 ろうという人間がなかなか出てこなかったという背景があります。 ○伊賀委員  実態につきましては、現在、卒前ですと、ほとんどの薬科大学等が必須化しておりま すのが2週間ないし1カ月の実務実習です。それから、卒後につきましては、医師とは はるかに離れておりますが、文部科学省のほうの制度では、53年以来、国立大学病院は 研修生制度を持っております。私どもの所は、年間30名近くを、数は少ないのですが、 これはまさに臨床実習に相当するものでおこなっております。全体としては、今後、そ れらの必須化に向けていくということになるかと思います。現状では、卒前は実習生、 それから卒後に関しては研修生ということで取り扱っています。 ○座長  いま、医師の教育や看護教育もそうなのですけれども、チーム医療の中で医療をやる という意味もあってコミュニケーションの技術であるとか、そういうものの教育が卒前 教育の中で非常に重視されてきている。医療や看護の中では、医療面接という言葉で患 者さんとの対応とか、それからチームメンバーとのコミュニケーションとか、そういう ものを非常に重視したスキルを訓練するということが行われようとしている。実際に は、大学がそのような教育を行っているのですけれども、そのようなことを薬剤師の教 育の中でも大いにやっていかなければ、薬剤業務だけですむという時代ではない。全田 委員からいろいろご説明がありましたが、やはりチーム医療の中でやっていくというこ との重要性が病棟業務ではますます増えてくるのではないか。そういうことで、座長の 立場でちょっとおこがましいですが、ちょっと申し上げておきます。  時間がまいりましたが、資料6が出ておりますけれども、これにつきましては、田中 委員がこの前いろいろ申されたことの裏付けみたいなもので、田中委員が申されたよう なこととほとんど同じですので、実際には次回からの議論の参考にしていきたいと思い ますので、今日はこの説明は省略をしていただきまして、予定の時間が過ぎてまいりま したので本日はここまでとしたいと思います。本日のご議論をいただいた事項を踏まえ て次回も引き続き議論をしたいと思いますが、次回の日程等について事務局からご説明 をお願いします。いまの資料6の取扱いについてもちょっと追加していただければ、と 思います。 ○保健医療技術調整官  次回の日程につきましては、10月5日金曜日3時半から本日と同じ場所の厚生労働省 省議室で開催を予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。  資料6につきましては、田中委員からご指摘がありましたのをまとめるような形と同 時に、櫻井委員からもご注文がありました諸外国の状況の外務省を通じて調査していた ものの一部しか今回間に合わなかったので、もしほかの国も間に合いましたら合わせて 次回にご説明させていただければ、と思います。 ○座長  ということで時間がまいりましたが、途中でも申し上げましたが、あと2回しかあり ませんので、次回には、是非具体的な提案等に結びつけるようなご議論をいただいて、 そして最終回に向けて準備をしたいと私としては考えておりますので、どうかご協力の ほどよろしくお願いをしたいと思います。それでは、本日の審議はこれで終了させてい ただきます。大変お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございました。 照会先 医政局総務課 宮嵜、鯨井 内線 2513