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新たな自主運用にふさわしいディスクロージャーのあり方について


1.基本的考え方

 「年金積立金の運用の基本方針」においては、「運用の具体的な方針、運用結果、年金財政に与える影響等について、十分な情報公開を行い、年金積立金の自主運用に関して国民のより一層の理解と協力を得るよう努める。」こととされており、この趣旨を踏まえ、積極的なディスクローズを行う。


2.ディスクロージャーに関する法律上の規定

(1)年金資金運用基金の業務概況書
(年金資金運用基金法第43条、同法施行規則第2条、年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律第27条)

 各年度の決算完結(翌事業年度の6月30日まで)後遅滞なく、業務概況書を作成し、公表しなければならない。

【記載事項】

○当該年度における年金資金の資産の額

○当該年度における年金資金の資産構成割合並びに運用収入の額(時価)

○年金資金(引受公債のうち、その償還期限まで保有することとしているものを除く。)の運用状況

○その他年金資金の管理運用に関する重要事項


(2)年金積立金の運用に係る報告書
(厚生年金保険法第79条の5、国民年金法78条)

 毎年度積立金の運用についての報告書を作成し、年金資金運用基金の決算完結後遅滞なく、社会保障審議会に提出するとともに、これを公表しなければならない。

【記載事項】

○当該年度の積立金の運用状況

○年金財政に与える影響

○年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価

【添付資料】

○当該年度の年金資金運用基金の業務概況書

(参考)「年金積立金の運用に係る報告書」の初回実施は平成13年度分から。


3.ディスクロージャーのあり方

(1)年金資金運用基金の業務概況書

(1) 内容

 現在の基金のディスクロージャーを踏まえた内容。

(2) 時期

 これまでの開示状況を踏まえて、7月中旬頃とする。


(2)年金資金運用基金の年度途中の運用状況(各四半期)

(1) 内容

 積極的なディスクローズを行う観点から、年度の運用実績のディスクロージャー(「業務概況書」)に加えて、四半期ごとにディスクローズを行うこととする。海外の有力年金基金の情報開示項目を参考に、項目を絞り込んで実施。

(2) 時期

 四半期ごとに、集計終了後公表。

  (例)9月(第IQ)、12月(第IIQ)、3月(第IIIQ)

 なお、第IV四半期は通年の運用状況なので、上記(1)の業務概況書により公表。


(3)年金積立金の運用に係る報告書

(1) 内容

a)積立金の運用状況

 当該年度の資産額、運用収益額、運用収益率などについて、(1)積立金全体及び(2)運用区分(預託分、財投債(満期保有分)、年金資金運用基金市場運用分)ごとに公表。

(注)年金資金運用基金の運用の状況については、「業務概況書」として添付。

b)年金財政に与える影響

 当該年度の積立金の運用の状況の年金財政に与える影響について記載する。

c)年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価

 各資産ごとにベンチマーク収益率と実績値の差の分析を中心とする運用状況の評価を行う。

(2) 時期

 年金特別会計の決算(7月末に完結)のデータに基づき、年金財政に与える影響を分析する必要がある。このため、「年金積立金の運用に係る報告書」の公表は、9月下旬頃となる。


(参考条文)

〈年金資金運用基金法〉

第四十三条 基金は、各事業年度の決算完結後遅滞なく、当該事業年度における時価による年金資金の資産の額及びその構成割合並びに運用収入の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した業務概況書を作成し、これを公表しなければならない。


〈年金資金運用基金法施行規則〉

(業務概況書の記載事項)

第二条 法第四十三条 の厚生労働省令で定める業務概況書に記載すべき事項は、次に掲げる事項とする。

一 各事業年度における時価による年金資金(法第一条 に規定する「年金資金」をいう。以下この条 において同じ。)の資産の額(国民年金法 等の一部を改正する法律(平成十二年法律第十八号)附則第三十七条第一項 の規定により引き受けた財政融資資金特別会計法 (昭和二十六年法律第百一号)第十一条第一項 又は第十二条 の規定による公債(以下この条において「引受公債」という。)のうち、その償還期限まで保有することとしているものを除く。)

二 各事業年度における引受公債のうち、その償還期限まで保有することとしているものの時価及び簿価による資産額

三 年金資金(引受公債のうち、その償還期限まで保有することとしているものを除く。)の運用の状況

四 その他年金資金の管理運用に関する重要事項


〈年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律〉

第二十七条 第五条、第十一条第一項及び第三項、第十二条並びに第十三条の規定により基金の業務が行われる場合には、 〜中略〜 基金法第四十三条 中「年金資金」とあるのは「年金資金及び年金福祉事業団業務承継法第六条に規定する承継資金運用勘定に係る資産」 〜中略〜 とする。


〈厚生年金保険法〉

(報告書の提出及び公表)

第七十九条の五 厚生労働大臣は、毎年度積立金の運用についての報告書を作成し、当該年度における年金資金運用基金の決算完結後遅滞なく、社会保障審議会に提出するとともに、これを公表しなければならない。

2 前項の報告書には、当該年度の積立金の運用の状況及びその年金財政に与える影響並びに年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価を記載するとともに、当該年度における年金資金運用基金の業務概況書を添付しなければならない。


〈国民年金法〉

(報告書の提出及び公表)

第七十八条 厚生労働大臣は、毎年度積立金の運用についての報告書を作成し、当該年度における年金資金運用基金の決算完結後遅滞なく、社会保障審議会に提出するとともに、これを公表しなければならない。

2 前項の報告書には、当該年度の積立金の運用の状況及びその年金財政に与える影響並びに年金資金運用基金における年金資金の管理及び運用の評価を記載するとともに、当該年度における年金資金運用基金の業務概況書を添付しなければならない。



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