01/08/28 第11回「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」議事録     第11回「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会」議事録             日時 平成13年8月28日(火)                17:00〜             場所 専用第12会議室 ○座長  第11回「脳・心臓疾患の認定基準に関する検討会」を開催する。  検討に入る前に事務局から提出資料の確認・説明をお願いする。 ○事務局  提出資料について確認・説明。 ○座長  検討に入る。まず、第9回の専門検討会の議事録について確認したい。 ○参集者  議事録承認。 ○座長  「脳・心臓疾患の認定基準に関する専門検討会報告書(案)」について検討する。  まず、「はじめに」は、専門検討会開催の経過を書いている。意見があったらお願い する。  次の「目次」は、IVを「脳・心臓疾患の疾患別概要」に、VIを「脳・心臓疾患のリス クファクター」に変更した。  「I 検討の趣旨」については、字句の修正等を行った。  19頁の「III 認定基準における対象疾病」については、いままでは「疾患」と記載し ていたが、現行認定基準では「対象疾病」となっていることから、「疾患」を「疾病」 に直した。対象疾病については、前回の議論のとおり、ICD-10に基づいたものとし ている。  20頁の(1)のイ「脳内出血」がICD-10の日本語版の訳であるが、一般的には「 脳出血」と呼んでいることから、「(脳出血)」と記載した。その他は、現行認定基準 と同じである。  「(2)虚血性心疾患等」に関しては、「心停止」と「心臓性突然死」をどこに入れ るかということが問題であるが、ICD-10では心停止の中に心臓性突然死が含まれて いることから、「心停止(心臓性突然死を含む。)」という表現にしている。  これに関しては、「なお、『心停止』及び『心臓性突然死』は、それぞれICD-10 のI 46及びI 46・1に相当するものである」と記述したが、より明確にする観点から 、心臓性突然死は心停止の中に含めている旨記述することとしたい。以上が「対象疾病 」についてであるが、心臓関係の専門の参集者もこのような意見であったので、このよ うにさせていただく。  21頁の「IV 脳・心臓疾患の疾患別概要」は、冠動脈について、発音では「肝動脈」 と間違いやすいことから、「冠」と「動脈」の間に[状]を入れたらどうかという意見が あったことから、そのように修正した。また、難易度の高い記述については、修正した 。  次に、86頁の「(2)過重負荷と脳・心臓疾患の発症」についてである。図5−1に ついて議論を踏まえ、簡単にする等修正した。これでよいか。 ○参集者  86頁14行目の「このパターンのうち、最も基本的なものは、(2)に示すパターンであ る」という記述は、必要ないのではないか。 ○座長  基本的な発症に至るまでのパターンについては、検討の初期に確認したもので、それ を記載した。 ○参集者  「最も基本的なものは、(2)に示すパターンである」という記載が、これ以降の具体 的な認定基準の考え方に反映していなければ入れる意味はない。 ○座長  この考えに基づいて、長期間の6か月について評価することになるものである。 ○参集者  108頁の「業務の過重性の総合評価」の(1)が(1)に相当し、(2)が(3)に相当し ていると理解できるが、そうではないのか。そうすると、最も基本的なパターンに相当 する基準が書いていないこととなり、平仄が合わない。 ○参集者  脳・心臓疾患という病気の特性から考えると、(1)のようなパターンではなくて、途 中で何か誘因的なものがあって、発症に至る(2)が基本的なパターンだと思う。 ○参集者  その考え方は、この検討会が判断したというものではないのか。 ○座長  臨床的にみてどうか。 ○参集者  脳血管疾患の場合には、通常の危険因子というものの他に、長期的なものが発症の誘 因になっている。脳卒中と言うと、脳血管事故「cerebrovascular accident」という言 葉が従来から使われているが、実際には事故ではなくて、むしろ起こるべくして起きた ものであり、極めて突然のものではない。必ずしもそのような疫学的なデータはないが 、臨床的な印象からすると、(2)のパターンというのはある意味で、脳の場合は重要で はないかと思う。 ○参集者  心臓の方も基本的には脳と同じように考えられる。 ○座長  業務により血管病変を自然経過を超えて増悪させ、発症するというはっきりしたデー タはない。そのため、本検討会でそれを検討することになったわけである。発想の逆転 から医学的には長期間の過重負荷を重視すべきであると考えた方がいいのではないかと いうのが本検討会のメインの問題である。 ○参集者  エビデンスが明確でないということは、今後の研究により変わっていく可能性がある 。そのため、現時点で(2)が基本的だと決めてしまうのは、心配である。 ○参集者  本検討会では、(2)のパターンを重視するではどうか。 ○参集者  それであればいい。 ○座長  「最も重視したのは、(2)に示すパターンである」と修文することにする。  次に、87頁の「(3)過重負荷の評価の基準となる労働者」について意見をお願いす る。 ○参集者  87頁4行目からの段落が1文となり非常に読みにくいので修正した方がいい。 下線が引いてある下3行がつながっていないので、工夫が必要である。 ○座長  修正することとしたい。89頁7行目のなお以下の文書については、医学的にみて根拠 がとぼしいので削るべきと思うが、どうか。意見をいただきたい。 ○参集者  削除することでいいと思う。 ○参集者  仕事が継続している場合は、認定基準に従って判断されることとなるが、退職した場 合には、どうなるのか。 ○参集者  負荷要因が消退した場合には、疲労も回復するということでいいと思う。 ○座長 そうである。それでは削除することとする。  次に、93頁の表5−1は、「労働時間」と「残業時間」の表を一つにまとめている。  96頁の注釈に計算方法を加えた。この点について事務局から説明をお願いする。 ○事務局  ドラフトの記述内容について説明。 ○参集者  それでよいと思う。なお、95頁の第2段落、第3段落のところがそれぞれ1文ででき ているので、工夫した方がいい。 ○座長  修文することとする。注4の休日労働については、「総合評価」のところで休日労働 時間数は時間外労働時間数と取り扱うということから、ここでは入っていないというこ とを明示している。この計算は、週休2日制を想定していることから、かなり余裕をも って、計算していることになる。  106頁の一番下の「3〜6か月とすることで十分と考える」という記述になっていた が、3か月でも5か月でもいいというように取れることから、「6か月程度」と修正し た。また、6か月より前の資料については、付加的に評価するという表現で加えておい た方が全体をみるという立場からいいのではないかと思う。 ○参集者  請求者等の聴取などを慎重に行い、6か月より前の内容については、必要があれば付 加的に考慮するとした方がいい。 ○座長  次は、108頁の「業務の過重性の総合評価」について重点的に議論いただきたいと考 えている。  まず、「5−(1) 長期間にわたる過重負荷」については、資料No.59に具体的な 図を示している。事務局より説明をお願いする。 ○事務局  資料No.59について説明。 ○座長  ご意見をお願いする。 ○参集者  資料No.59の図の例2の場合で、2か月平均で80時間、それに満たない場合は順次延 ばしていき、最長6か月まで評価することは、被災労働者に対して、最も有利なケース をとると理解してよいのか。 ○座長  6か月間ずっとということではなく、例2の上のように、発症前の2か月間に残業が 多くなった場合には、それなりの疲労が発症時に残っていると判断し、このように整理 した。 ○参集者  資料No.59の1と3の中間の場合を、どのようにみるかということが大きな課題にな る。これは発症前6か月前にかなりの残業を行っているが、あとはそれほど残業を行っ ていない場合、6か月前の疲労の蓄積は、だんだん減衰していくものだろう。 ○参集者  例2で2か月平均で80時間とすると、2か月持ちこたえた人は業務上にされる可能性 が高く、1か月しか持たなかった人は業務上にされる可能性が低くなってしまうことと ならないか。1か月前までが残業がなく、その月だけ残業が80時間で倒れたというと、 時間外労働は2か月平均すると40時間となる。100時間に達すれば、業務との関連性が 強いということになるが、100まで行かなかったがために、しかも1か月しか持たなか ったために、業務との関連性が弱いとされてしまう。バランスを失しないか。 ○座長  評価は、総合評価である。 ○参集者  80時間に統一し、残業時間が80時間を超えていれば関連性が強いとした方がいいので はないか。そうすれば、微妙な問題が起きなくていいのではないか。 ○座長  時間外労働80時間の状態が1か月間継続しても「特に」というレベルまで行かないが、 2か月平均してあれば、「特に」になるという考え方である。 ○参集者  資料No.59の表で示そうとしていることは、長期間にわたる業務の過重負荷と脳・心 臓疾患の発症との関係であり、長期間の過重負荷に限っている。 ○参集者  現行認定基準は、発症に近ければ近いほど影響が強いという考え方であるが、今回の 見直しは疲労の蓄積を考慮することから、なるべく発症に近いところから考えるもので はなく、例2の下の方を中心に書く方がいいのではないか。 ○座長  発症に近いほど影響が強いというのは、医学的に間違いではない。1か月で100時間 というのは、週2日休んで、1日5時間の時間外労働を行った場合である。かなり余裕 を持って認めていると思う。 ○参集者  この報告書で最も重視したのは(2)のパターンだと書いており、6か月を最初に持っ てきた方がいい。 ○参集者  109頁の(イ)と(ロ)の表現を少し工夫する必要がある。(イ)はこの書き方だと 、「長時間労働に継続して従事し」という要件をまず設定し、その上で「発症時におい て、特に疲労の蓄積が著しいと認められる場合」と要件を加重しているように読めるの で、「80時間を超える時間外労働が認められる状態が、発症時において疲労の蓄積が特 に著しいと認められる場合である」のように記述した方がよい。  それとの対応で、(ロ)の方が「特に著しい疲労の蓄積をもたらす長時間労働」とい う表現よりは、むしろ「発症前1か月において疲労の蓄積が特に著しいと認められる。 」と表現した方が、(イ)との関係で誤解がない。 ○座長  そのように修正する。次に110頁の通勤時間については、食事等の時間に含めたので 、この部分は削除した。  また、111頁の表6−1には、「肥満」を加えた。糖尿病の脳出血は「+」ぐらいが いいのではないか。121頁の「虚血性心疾患のリスクファクター」についても加えた。 ○参集者  この表には、飲酒がないが、「−」ならそのように記載した方がいい。 ○座長  飲みすぎは「−」にならないので、「−」ないし「±」とする。 ○参集者  リスクファクターの順番が、表6−1と表6−6で多少違っている。 ○座長  修正する。本日の議論を踏まえ、事務局で整理をお願いする。  以上をもって、本日の検討会を終了する。 照会先:労働基準局 労災補償部補償課 職業病認定対策室職業病認定業務第一係     (内線5570)