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第7回「ヒト細胞組織等に由来する医薬品等による健康被害の救済問題
に関する研究会」(議事概要)

日時 平成13年8月23日(木)10時00分〜12時00分
場所 厚生労働省5階専用第12会議室
出席者 浦川委員、高橋委員、鴇田委員、堀内委員、森島委員、矢崎委員、野々下専門家
厚生労働省医薬局長、総務課長、医薬品副作用被害対策室長、血液対策課課長補佐、審査管理課オーファンドラッグ専門官等

議事
1.第6回研究会の議事概要
2.研究会におけるこれまでの議論の中間的なまとめ(案)
3.今後の研究会の予定

[主な発言内容]

(1)ヒト細胞組織等に由来する医薬品等の現状と想定される健康被害

○ 「想定される健康被害を『感染』ということで括ってしまえるかについては、なお議論が必要である」とあるが、救済すべき被害状況については、あらかじめ決めておかなければならないと考えられることから、がん化の問題などを含めて今後議論が必要であるという趣旨であり、「感染」に集約してしまうということではない。
○ 幹細胞を用いた場合には、確率・頻度は低いが、がんの問題は起こり得る。現在の技術では否定できない。感染を経由しないで発がんするということだけのこともある。
○ 未知のものが「感染」でない形でヒト細胞組織等から出てくる場合に、制度としてどこまで組み入れるかという点については、まず、「感染」のほかにどのようなものがあるかという問題があり、次に、どうやって費用負担を考えるかという問題がある。これは非常に大きな問題であり、最終的には決めなければならない問題である。

(2)製品の範囲

○ 治験薬による健康被害は、メーカーと医療機関の問題ではないか。治験の場合には、別に保険を掛けているのではないか。
○ 承認された医薬品等を承認された基準以外で医療機関が使用する場合には、医療機関の自己のリスクでやるべきものではないか。したがって、ここで問題となるのは、承認された医薬品等を承認された範囲で使用した場合だけを対象とするのではないか。
○ 高度先進医療で未承認の医薬品等が使用された場合は、救済の対象とならないのか。高度先進医療については、中央社会保険医療協議会の承認の上で実施されているのであるから、他の未承認医薬品等と異なるのではないか。
(事務局注)高度先進医療においても、未承認の医薬品等は、その安全性が確認されているとは言えないことから、その使用は原則として認めていない。
○ 承認されていない医薬品等の取扱いについては、費用負担者との関係でも考えなければならず、後に検討した方が良いのではないか。
○ 先端医療については、インフォームドコンセントがなされているはずであるから、患者側でリスクを負担するという論理で、対象から除外するという考え方ができるのではないか。
○ 医療機関内で個々人にオーダーメイドで使用したものについては、製品として承認されたものと異なり、対象外となるのではないか。

(3)因果関係の認定

○ 「因果関係の認定」の項目において、「輸血前後の検査についての患者側の同意」や「患者側の認識も必要」などと記載することは、極端に言うと、同意した人のみ救済されるということにもなり、患者側にある程度責任を負わせることになるのではないか。
○ 厳密に因果関係を認定をしようとすれば、輸血の前後の検査が必要となるが、最終的にどこまで求めるか検討が必要ということはないか。
○ 輸血前に患者の血液を採取し、保存しておくというのは現実的ではないのではないか。
○ 患者側の認識については、「因果関係の認定」におけるものではなく、もっと全体のところで、制度を創設する上でのさまざまな問題について理解し、受け止めてもらうという趣旨にすべきではないか。
○ 因果関係の認定の主体は、必ずしも制度の実施主体に一致しない。医薬品副作用被害救済制度では、国が審議会で判定するという形になっている。
○ がんになった原因の特定に関しては、DNAを比較すれば、移植したものからがんになったのか、本人のホストの方からがんになったのかは同定できるのではないか。

(4)救済すべき健康被害の範囲

○ 「救済すべき健康被害の範囲」の項目の中にも、通常の感染症といわれているもの以外に、ヒト細胞組織由来のがん等についてどうするかという趣旨のことを記載すべきではないか。
○ 「感染者・被感染者にも責任を問えない場合には救済される」という趣旨の記載は必要ないのではないか。2次感染・3次感染を救済の対象とした場合に費用負担の問題が絡んでくることもあり、範囲を限定する必要があるが、感染者・被感染者だけを取り上げて記載する必要はない。医療機関が関与することもあり得ることから、「第三者が関与している」という記載にしてはどうか。

(5)救済制度の基本的考え方

○ 2次感染・3次感染について、「家族内感染までは救済するというスキームも考えられる」とすると、他のものは無理であるという捉え方をされてしまう可能性があるのではないか。
○ 因果関係が明確であって、予防措置が採り得なかった場合には、2次感染・3次感染も救済するというスキームも考えられるのではないか。しかし、訴訟上の立証ではそのような認定方法が採られるものであるが、行政的対応の場合には、認定が難しいのではないか。
○ 院内感染により広がることもあり得る。既知のものについては院内感染対策が採られているが、未知のものなど対策が採り得なかったものが広がったときに医療機関の責任とは言い難いことから、そのようなものについても救済するというスキームも考えられるのではないか。
○ ここで研究している救済制度は、ヒト細胞組織等に由来する医薬品等により健康被害を受けた者を救済するものであり、その者を救済するということが基本である。院内感染となった場合には、患者だけでなく、医師や看護婦まで考えなければならない。そうなると広がりすぎるのではないか。
○ 「家族内感染」や「院内感染」などと記載すると具体性を帯びてしまうので、現段階では、抽象的な書き方にしてはどうか。
○ 「支払項目を定め、支払金額は定額ということになる」とあるが、この点については、まだ議論していないのではないか。
○ 現実の問題としては、定額以外はやりにくいのではないか。
○ 感染の原因となった医薬品等の製造業者が倒産しても、一種の保険原理で実施するのであれば、患者への給付には影響ないのではないか。
○ 突発的に大規模に感染被害が発生した場合に、再保険ということが考えられるのではないか。


照会先:医薬局総務課医薬品副作用被害対策室
    野村
    03-5253-1111(内線:2719)

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