01/07/17 第3回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会 第3回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会 日時 平成13年7月17日(火)    10:00〜12:00 場所 厚生労働省専用第21会議室 ○岩崎座長  これから「第3回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会」を開会いたし ます。委員の皆さま方におかれましては、大変お暑いところ、しかもお忙しいところを ご出席くださいまして、誠にありがとうございます。事務局のほうから、本日の委員の 出席状況を報告していただきましょうか。 ○宮嵜調整官  後ほど報告いたします。 ○岩崎座長  局長と審議官は、少し遅れられるそうです。また、事務局のほうで若干の異動があっ たそうですので、事務局のほうからご紹介をお願いいたします。 ○大谷医政局総務課長  1名この7月6日付で異動がありました。総務課の中にある医療安全推進室長の前任 の青木が三重県の健康福祉部長に異動いたしまして、本日出席しておりますのは新任の 新木です。 ○新木室長  新木です。よろしくお願いいたします。 ○岩崎座長  ありがとうございました。次に資料の確認をよろしくお願いいたします。 ○宮嵜調整官  お手元の資料を確認させていただきます。その前に先ほどありましたが、今日は委員 の方は全員ご出席いただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。お手元に 「第3回病院における薬剤師の人員配置基準に関する検討会議事次第」というのが1枚 ありまして、その次に若干厚めですが「資料1」といたしまして、前回、第2回の議事 録を付けております。事前に委員の皆さま方にご確認いただいているかと思いますが、 改めて目を通していただいた上、何かありましたら事務局のほうまでよろしくお願いい たします。資料2といたしましては、「薬剤師需給の予測に関する研究(要旨)」とい うことで付けております。資料3といたしまして、全国自治体病院協議会からご提出が ありました資料ですが、「1999年度自治体病院における薬剤管理の実態調査報告」とい うのが2枚紙で付けております。資料4ですが、日本医療法人協会からご提出がありま した資料で、「病院薬剤師実態調査結果」という資料が5枚ですが付いております。資 料5といたしまして日本精神病院協会のほうからご提出いただきました資料ですが、「 日本精神病院協会会員病院に対する薬剤師実態調査」というものを付けております。資 料6といたしまして日本病院薬剤師会のほうから「入院患者に対する薬剤師業務」とい うことで資料のご提出をいただいております。以上です。何か落丁等がありましたら、 事務局のほうにお申し出いただければと思います。 ○岩崎座長  ありがとうございました。ただいまから議事に入ります。資料1に前回5月17日の第 2回検討会の議事録が出ておりますが、これはいま事務局から申しましたように、すで に委員の皆さまには目を通していただいたわけですが、改めてここで何か議事録につい てご意見、追加等がありましたら。特にないようですが、また問題があれば事務局のほ うにご確認をお願いしたいと思います。  前回に引き続き、病院における薬剤師の人員配置基準に関する事項全般につきまし て、第2回と同様な手順でご議論をいただきたいと存じます。前回のご議論の中でもあ った、またはご要望もあったことで資料が提出されておりますので、それぞれについ て、それぞれの委員の皆さまからご説明をいただいて、議論を進めたいと思います。私 の勝手ですが、1資料につきご報告と議論も含めて大体20分程度でやっていきたいと。 それでもうおそらく全部時間が費やされるのではないかと思っております。まず、「薬 剤師の需給状況」について資料が提出されておりますので、説明をよろしくお願いしま す。 ○成田課長補佐  医薬局総務課のほうから説明させていただきます。前回の検討会の中で、「薬剤師の 需給状況についてどうか」というご指摘がありました。平成12年度の厚生科学研究の中 で薬剤師需給の予測に関する研究を、薬剤師研修センターの内山先生にお願いして研究 を行っていただいており、今年3月に研究報告を出され公表しておりますので、その要 旨についてご説明したいと思います。資料2をご覧いただきたいと思います。  研究の目的ですが薬剤師届出調査。これは薬剤師の場合につきましては2年おきに薬 剤師の届出というのが義務づけられておりまして、その薬剤師の届出調査の届出データ を用い就職動向等を解析し、薬剤師の需給について予測したものです。  現状の分析。これは平成8年から平成10年における変化という意味ですが、次の頁の 表1〜4にまとめております。次の頁をお開きいただきたいと思います。表1につきま しては「職種別の薬剤師数」ということでして、平成8年から平成10年の間に、主に人 数的に動いた分野につきましては、薬局薬剤師数が2年間で6万9,000人から8万1,000 人に増加しているというところです。ほかの職種については、そんなに大きな変化がな いという状況です。薬事関係業態数ですが、これも薬局が4万から4万4,000に増えてい る、9.4%の増加ということです。  薬局の関係で処方せん受取率という所が大きいわけですが、平成8年が22.5%であっ たのが平成10年には30.5%という状況になっております。院外処方せんの発行枚数です が、平成8年度が約3億枚であったのが、平成10年度には約4億枚に変化をしていま す。  次に前の頁に戻っていただきまして薬剤師の需給予測ですが、予測に当たっての仮定 を説明したいと思います。注として予測に当たっての仮定というのがありますが、供給 の予測に当たりましては新規の参入薬剤師数、これは毎年約8,400人ほど国家試験に合格 するということで、新たに薬剤師が増えてくるということで仮定しております。  有職であると予測される薬剤師供給数の推定は、薬剤師の届出調査の届出データを解 析して求められた平成10年末の有職率と国勢調査における労働力率を勘案して行ってお ります。  需要予測ですが、薬局薬剤師の需要予測につきましては、処方せん受取率が年間5% 上昇する、これは上位推計でして、あるいは年間3%ずつ上昇するということ、これが 下位推計ですが、70%で大体定常状態になるだろうということで予測の仮定としており ます。また、薬局薬剤師1人が1年間に処理する処方せん枚数、薬局薬剤師の薬局にお ける業務を処方せん処理枚数ということで置き換えているわけですが、年間約8,000枚と 仮定しております。その他病院薬剤師の需要等は、平成10年末から基本的に変化はしな いということで、仮定しております。  需給の予測結果ですが、2枚めくっていただきグラフ1をご覧いただきたいと思いま す。薬剤師需要の予測がグラフ1になっております。いちばん上の線が薬剤師供給とい うことで、薬剤師全体の数であり、年間約8,000人ずつ増えてまいりますので、ほぼ単調 に増加していくというような状況です。  次に上から3番目辺りの四角ですが、四角の数が有職薬剤師供給で、これは薬剤師届 出調査から得られている有職薬剤師数を勘案して、どのぐらい変化していくかというこ とを予測したものです。ただ、これは無届出の方を無職と仮定しており、そうすると国 勢調査の労働力率から比べてかなり男性の有職率が低いということになり、そういった ことを勘案して補正有職薬剤師供給というのを出しております。それが△でして、この △の部分が実態の薬剤師の有職者に近いのではないかと考えておりますが、その△のも のが補正有職薬剤師供給ということです。  下の2本の線がありますが、薬剤師需要のほうで×が付いているのが、年間5%ずつ 処方せん受取率が上昇するだろうという予測の場合、下のものが3%ずつ増加する場合 ということでして、3%、5%いずれの場合も70%に達すると定常状態となると仮定し ておりますので、平成23年ぐらいからは一緒になるという予測です。  このグラフの結果ですが、医薬分業の進展に伴う薬剤師需要増大のために、一時的に 有職であると予測される薬剤師供給と、薬剤師需要数がおおむね同数となるものの、常 に有職であると予測される薬剤師供給数が薬剤師需要数を上回っておりまして、薬剤師 が全体としては不足することはないだろうという予測です。また、薬剤師需要数が定常 状態に達した後には、過剰な薬剤師が単調に増加するという結果になっております。  次にもう1枚めくっていただきますとグラフ2ですが、これは「薬局薬剤師の需給の 予測」です。薬局薬剤師供給数につきましては、これも薬剤師届出調査の届出データを 利用した薬剤師の就業動向の解析に応じておりますが、平成8年から平成10年における ペース、年間6,000人ずつ増加すると見込まれておりまして、これについてもグラフでご 覧いただいてわかるように、薬局薬剤師が全体として不足することはないだろうという 予測です。  次にもう1枚めくっていただきますとグラフ3ですが、年間の薬剤師の合格数が約 8,400人というふうに最初に仮定しておりますが、およそ3分の2に減ったとしてどうか というような予測をしておりますが、3分の2にしますと、新規の参入薬剤師数は減少 したとしても、見直しを行う時期等を配慮すれば、薬剤師の不足が生じることはないだ ろうという予測になっております。 ○岩崎座長  ありがとうございました。医薬局からのほうは薬剤師需給の予測に関する研究という ことで、2年ごとに届出が行われている、その届出データを利用してこのような薬剤師 の需給予測をされたということです。予測の前提に当たっての仮定も述べられておりま すが、これについて何かご質問等はありますか。 ○櫻井委員  これはこれでよくわかるのですが、これは平成8年から10年の変化を基にやられてい るのですが、平成11年、12年、13年が実際には薬剤師の変化が大きい可能性がほかのこ とからは考えられる。例えば保険の上の調剤分の増加というのは明らかに出ていますか ら、調剤薬局において当然それに対応している薬剤師がそこで増えている。それから、 いわゆる量販店も含めてのお店での、OTCという形でやるということの徹底というこ とが言われたために、そういう所で薬剤師を配置しているというか、はっきり言えば増 員している、雇っているという所があるはずなので、ここの2年間ぐらいの変化が大き いような気がするのです。これはあまりそういう急な変化はないものという仮定でやっ ている部分があるので、その辺についてのお考えはどうでしょうか。 ○成田課長補佐  これにつきましては平成8年と平成10年の届出の調査の結果を用いて行っておりま す。主な薬剤師の需要の原因といいますのが、医薬分業の進展に伴う薬局薬剤師の増加 というところだと考えておりまして、ここ平成11年、12年につきましては、処方せん受 取率がおよそ5%弱かと思いますが上昇しております。平成12年度で39.5%ということ になっておりますので、いまのところ上位推計のほうに近い伸びになっているのではな いかと考えております。ということで、この範囲内で収まっているのではないかと考え ております。あともう1つは、地域的な分布につきましては、薬科大学の分布等を考え ますと、地域的に薬剤師不足という可能性はあるというふうには考えています。 ○櫻井委員  この傾向がまだ続くと仮定したら、いまのお答えが合っているかどうかはよくわから ないところがあるのだけれども、合っているとしても、いまいちばん上ぐらいに行って いるとすれば、もしこの傾向が続くなら、2、3年でそれをオーバーしてしまうのでは ないかなというような気もするのです。つまり、いまここでいろいろなことを決めてい こうとすると、この委員会では、来年以降のことを考えようとしているからちょっと問 題があると考えます。 ○岩崎座長  なかなか過去の推計からはその延長線上ではないようないろいろの社会情勢の変化 等、薬剤師をめぐる周辺の変化があるのではないかというご意見ではないかと思うので すが。 ○仙波委員  先ほど最後に説明を受けた薬剤師の地域偏在について、何かのデータがあるのです か。我々が調査をすると、地域偏在が非常に大きく問題として出るのですが、全般的に 論じてしまうと、実際のところが正しく出てこないのではないかという気がしたのです が。 ○成田課長補佐  各都道府県ごとの処方せん受取率と1人当たりの処理枚数という調査を行っているの ですが、必ずしも処方せんの受取率の高い所が、1人当たりの薬局薬剤師の処方せんの 処理枚数も多いというわけではありませんで、そこら辺がちょっと、どのぐらい薬局薬 剤師の業務としての余裕があるのかというところはあります。全体的に各県のほうで薬 剤師不足がどの辺かという所には、具体的なデータというのはありません。ただ、そう いうご指摘はありますので、補助事業として各県で薬剤師の掘り起こしということでは お願いをしているところです。 ○全田委員  この議論をしてしまうと話としておかしくなるのですが、地域偏在というのは決して 薬剤師だけではないと私は思っているのです。医療人全般で、ドクターもそうですし、 看護婦もそうですし、やはり地域偏在はあるのです。ですから、大変失礼ですが、例え ば自治医大をつくってへき地の医療を厚くしようというようなことをなさったわけです から、地域偏在云々ということを前提に話をなさるとすると、やはりそこに問題がある のではないかと私は思うのです。ですから、我々としても、それをどう対応するかとい うことはやります。ただ、地域偏在があるから、仮に病床数対人数を多くしたら薬剤師 はいないのではないかという議論になってしまうと、薬剤師だけの問題ではないだろ う、医療人全般の問題ではないかということを私は申し上げたい。ただ、これをやり出 すと先生方とまた議論しなくてはいけないですが、要するに決して病院薬剤師だけでは ないということは申し上げたいと思います。  先ほどの櫻井先生の質問で、現実には分業がものすごく進んでおりますから、現実は 病院薬剤師の就職率は正直に言いまして非常に厳しいです。ですから、卒業生の中で薬 剤師そのものの供給は間に合うけれども、病院薬剤師を希望していても就職できるかと いうと、なかなかできないという現実はあります。そういうことをちょっと申し上げた いと思います。 ○仙波委員  確かに全田委員のおっしゃるように、地域偏在の問題が薬剤師の問題ではないという ことは大いにわかっているわけなのです。だけど、現実はそうなのですから、それに対 する対応をどうするかという議論なしには議論を進められない。  もう1つ櫻井委員がおっしゃったように、いま需要が薬局のほうにかなり引きずられ ている。その非常に変化の大きい、変数の多いときをとらえて、それをベースに推測す るというのも、ちょっと危ないなという感じを私は正直持ちます。 ○奈良委員  日本病院会でもいろいろ話し合うことはあるのですが、いまやはり地域の格差という のが非常に厳しいのではないか。私のいま勤務しているのは、関東地方の北の外れの足 利という所で、結構、栃木県では人口が第2位の都市なのですが、東京に大体1時間半 ぐらいで来られるのです。そうすると、どういうことが起こるかというと、足利に居住 している薬剤師が東京の病院に通勤していると、そういうことまで起こっているので す。確かに私どもの病院は一応きちんとした病院だということで、就職をご希望なさる 方が非常に多いのですが、周りの病院は薬剤師が足りなくて、私どもの病院を定年退職 したのをもらいに来るというのが現実です。ところが、もらいに来るのはいいのです が、最近は調剤薬局がどんどん人を引っ張っていきますから、結局私どもの周りの病院 は非常に厳しい状況で、院長たちは大変ピリピリしているというのが現実だと思いま す。  まして、地域性というふうにおっしゃいますが、意外に盲点は東京の通勤圏の中の中 小病院というのは非常に厳しい。むしろうんと遠くに行ってしまって、例えば山形とか そういう所へ行きますと、それはそれなりに定住する人もいるかもしれませんが、交通 が便利になり通勤できるようになると、どんどん東京のほうへ出てしまう。特に最近若 い方はみんな東京の六本木とかそういう所に魅力を感じているらしくて、足利に勤務す るよりも東京のほうがよろしいと。確かに看護婦もその他もそうだというふうに申しま すが、やはりどうも薬剤師はそういう点で非常に厳しいのではないかと、そういうふう に私は思っております。 ○岩崎座長  地域性については、いろいろご議論がおありになるとは思います。これは別に全田委 員がおっしゃったように、薬剤師の問題だけではなくて看護婦の需給の問題もそうです し、あらゆる医療職種の方々の問題だろうとは思いますが、この問題は地域性に配慮を しながら考えないと、現実的にはなかなか難しかろうという程度でいかがでしょうか。  需給予測というのは医師でも随分やりましたし、看護婦でも随分やりましたが、なか なか予測どおりにはいかない。いろいろの変数があまりにも、最近の社会の変化という ことがあり過ぎて、これほど当たらないのはないのではないかというふうな印象さえ持 っているのですが、田中委員がおられますが、経済予測などというのは本当に当たるの だろうかと思うのですが、経済予測よりもまだ当たるのかなというような印象ですが、 そういうことでこの問題、ほかに何かなければ先に行きたいのですが。 ○梅田委員  先ほど表の説明の中で、毎年8,000人あるいは8,400人増加すると言われたのですが、 これは何年間ぐらいこういった傾向が続いているのでしょうか、教えていただきたいと 思います。 ○成田課長補佐  薬剤師国家試験の合格者という意味ですので、10年ぐらい前は1,000人ほど少なかった のではないかと思いますが、ここ数年は8,000人強の状況です。 ○岩崎座長  資料2に基づく説明と質疑をこれで終わります。もちろん何か関連がありましたら、 またここに戻ることもあると思います。続きまして全国自治体病院協議会から資料のご 提出をいただいておりますので、邉見委員からご説明をいただけますか。 ○邉見委員  自治体病院の現状を少しご報告いたします。資料は2枚ありまして、1枚目は、この 調査のバックグラウンドと実際の薬剤師数、常勤あるいは助手、外来処方せんの枚数、 入院患者の1日平均、それからDとかの分母、75枚の処方せんの人数を引いて入院にど れぐらいの人たちが携わっているか、というふうなちょっとややこしい計算式がありま すが、あとで説明いたします。2枚目のほうは、左の3分の2ぐらいはほとんどいまの と同じなのですが、後ろのほうに薬剤管理指導の現状を少し追加したものです。  まず、1枚目のほうから説明いたします。我々全国自治体病院協議会というのは、 1,008の病院があります。北海道から沖縄まであるわけです。今回は調査期間が平成11 年3月31日現在ということで、実はちょっと古いのです。先ほど櫻井委員もおっしゃら れましたが、ちょうど変革期にあるところで、このあと大分変わっているかもわからな いということを少しご承知おき願いたいと思います。対象は789病院。これは回答があ ったという所です。一般病院が749、精神病院は40と少し少なめです。左に病院規模が ありますが、いちばん小さい20床〜99床という所から500床以上の大病院までたくさん あります。400床台が61病院と少ないのですが、大体100病院ぐらいずつが満遍なく出て いるかと思います。地域差あるいは規模による格差はどうしても出てきて、平均という ことで取っております。いちばん上は平均です。下のほうには大分差が、各々にとりま すと薬剤師総数は当然ですが、その他いろいろばらつきがあります。ここに書いてある Aは薬剤師総数、Bはそのうちの常勤、bは常勤の助手ということです。Cは外来処方 1日平均の枚数ですが、平均すれば363枚ということです。入院患者数、789病院では1 日平均215人の患者が入院されているということです。  次の2つの式ですが、左側のほうは、非常勤を含む総数の薬剤師から外来業務に携わ る薬剤師数を引いたものを分母にして、1日の入院患者をどれぐらい診られるかという ことにしますと、42名指導できるということです。ところが非常勤を引いて常勤の人B だけで入院業務をやるとすると、70名診なくてはいけないということで、結局、非常勤 の人の力をかなり借りている。常勤だけでは1日40人ぐらいしか入院患者を見てないけ れども、非常勤の人を加えていまこれぐらいやれているというデータです。精神病院の ほうは仙波先生のほうが詳しいデータを出されておりますので、正直言いまして自治体 病院の精神病院というのはこういうことだというぐらいで、あまり詳しくは申し上げま せん。  2枚目の左側は同じです。現在、薬剤管理指導、これは一応届出項目ですので、どれ ぐらいの施設が届け出ているかといいますと、500床以上の病院は87、あるいは400床台 も93とかですが、小病院である100床以下の病院は16%しか届けておりません。平均する ことが妥当かどうかはわかりませんが、平均しますと届出率は57%になります。これに 基づき実際に薬剤管理指導を月どれぐらい患者にやっているかということになります と、128名というのが平均です。これも大病院のほうがよくやっている傾向、200床以上 ではほとんど同じなのですが、200床以下は非常に少ない。当然かもわかりません。 パーセントとしましては、小さい所ほどよくやっているということになります。これは どういうことかと言いますと、実施率というのがありますが、これはいま入院患者の所 へ毎週行ってもいいようになっていると思いますが、平均在院日数との関係がありま す。いま平均在院日数を仮に大体15〜20日というふうに置きますと、1日入院患者が 215人から実際には計算すると323〜431人というふうな計算式になります。平均在院日 数によって補正いたしますと、大体350人ぐらいの感じになります。そうしますと、実 際にはこの実施率は下がりまして、対Dの59%というのが35%ぐらいになるということ で、固定した患者がずっといればこういうことになりますが、実際には動いている患者 で新しい患者が来ますので、そういうふうに実施率は少し下がっているということにな ります。実際には病院の薬剤師の特に入院部門を重視するということからすれば、全田 先生のおっしゃるようにここをできるだけ100%にしなければいけないというのが、自 治体病院協議会の薬剤部会の全体の意見です。ちなみに、この報告を出していただきま したのは、薬剤部会というのが全自病にありまして、そこの部会長の岡山市民病院の中 司薬剤部長、副部会長の宝塚市立病院の黒田先生等にご協力をいただきましてこれを出 しました。 ○岩崎座長  ありがとうございました。邉見委員からは、平成11年3月31日現在の調査による薬剤 管理の実態報告です。実際には薬剤部会がなされたということですが、このデータ全般 的には厳しい状況にあることが示されているのではないかと思いますが、これについて どなたかご意見ありますか。 ○邉見委員  新しいのを早急にいまお願いしているのですが、なかなか集まらないのでちょっと古 いデータで申し訳ありません。 ○佐々委員  診療報酬が平成12年4月に変わりましたよね、薬剤師。それまでは1人月2回。それ が平成12年4月から、同一患者でも4回までに決められました。ということになると、 実際の実施率というのはかなり変わってくるだろうと思うのです。ですから、新しい データを是非欲しいなと思います。 ○山田委員  邉見委員にお伺いしたいのですが、2枚目に実施率が81%の所がありますね。200〜 299の所の病院がそうですね。大よその目安というのは、このあたりを考えればよろし いということなのでしょうか。 ○邉見委員  本当は余裕があれば100%が絶対いいわけです。目安というのは、外来業務ができて、 かつ、夜中、午後9時の消灯時間になってから行って、起こして指導するというのもお かしいですから、患者にとっても妥当な時間、あるいは入院して2日、3日以内ぐらい にある程度薬が出だしたら、その薬のことを説明するということになりますと、やはり 100%というのはなかなか難しい。それから、すぐに帰ってしまう方もおりますし、そう いう方は実際にはなかなか取りづらいというところもあります。ただ、全田先生は、100 %やれという指示をされているのですね。 ○全田委員  はい。基本的には100%。ただ必ずしもいま邉見先生がおっしゃったように、具体的に 薬の説明を十分しなくてもご理解いただける方もいるだろうし、退院時服薬指導という のもありますので、入院された方がすべて100%ということはないわけです。例えば小児 科の患者とか、はっきり言いまして意識のない方に十分にできるかということもありま すから。ただ、我々の姿勢としては、やはり薬剤師が薬のことを十分に患者にご理解い ただいて、一緒に病気をお互いに良い方向に持っていこうという姿勢で100%は望むと。 そうしなければ先生方にはご理解をいただけないということです。 ○岩崎座長  薬剤師の病棟業務ということで、いま大変重視されている業務の1つではあります が、本当にこれが実態に載っているか、先ほどの邉見委員の実施率が最後に平均として 載せられておりますが、実態はこれより低いのではないかというのがいまの報告の趣旨 だったというふうに理解できますが。 ○全田委員  もう1つ、これは医療審議会に大変関係することですが、診療報酬に関係するので審 議すべきかどうかですが。要するに、我々の病院薬剤師の業務で診療報酬上唯一もっと も評価されている点数なのです。先ほど佐々先生がおっしゃったように週1回やれば350 点、先ほど入院患者の入院日数は平均2週間と邉見先生はおっしゃいましたが、仮に3 週間入院されたとすると350×3ですから1,000いくらで、退院時服薬指導料を入れれば 一応1万いくらを患者から頂ける。薬について、十分なる説明をしなくてはいけないわ けですし、そうすれば十分に先生方がご審議なさっている、薬剤師というのはいままで 病院経営にはあまりコントリビュートしてないのではないか、ということに対しては、 唯一これがお陰さまで非常に高く評価されている薬剤業務なのです。ですから、単純に 考えて1カ月4回やれば1万4,000円で、それで退院時服薬指導を行うと14,500円という ことになり、仮に1人の薬剤師が20人なり30人をやれば、少なくとも自分の給料ぐらい は稼げるだろう、ということで私は100%の完全実施と。それは決してお金のことばかり でなくてもちろん患者のためなのですが、やはり我々はいままであまり病院経営という ことに対して意識が薄かったから、そういうことに対してとにかく積極的に考えていこ うということで、100%の完全実施ということを申し上げている。しつこいようですが、 一応そういうことです。 ○岩崎座長  薬剤師の先生方の意識の改革にも役に立っているという話ではないかなとは思うので すが。自治体病院協議会の資料ですが、よろしゅうございますか。では次に行きたいと 思います。続きまして日本医療法人協会から資料のご提出をいただいておりますので、 豊田委員からご説明をいただきたいと思います。 ○豊田委員  それでは説明をいたします。資料4をご覧いただきたいのですが、これは医療法人協 会が実施した調査、6月27日までに得られた分の集計です。1,419法人に調査資料を発送 いたしまして、この中で1つの法人が複数の病院を経営している所もあります。最終的 に729病院についての集計となりました。それでは順番に説明申し上げます。  まず1枚目の「病院許可病床数及び薬剤師数」ですが、最初の表です。これは729病に ついてですが、縦には「一般」と書いてあるのは一般病床を持っている病床、「老人・ 療養」「精神」「感染」「結核」「外来」ということが出ております。今回の調査の計 算の根拠は、現在、医療法で決められている一般病床については70床に1人、療養、精 神については150床に1人、外来については処方せん75枚に1人と、これに基づいて計算 しております。いちばん右の端のほうをご覧いただきたいのですが、1人当たり薬剤師 に対する病床数ということが出ております。これは729病院について平均病床数との割合 を見ますと、一般病床では薬剤師1人当たり42.88病床、約43病床、老人・療養について は94.87病床、精神につきましては118.85病床ということが出ております。その前のアベ レージ平均というのは、これは統計学上このほうが実態を示すのではないかということ で参考です。単純平均はいちばん右端です。そういう結果でした。  1枚おめくりいただきまして2番目に「外来処方及び薬剤師の充足状況の概要」とあ りますが、これは(1)、現在、外来患者に対して調剤薬局を利用する病院が多いわけです が、どれぐらいの割合で院外で処方がなされているかという表です。ご覧いただきます と、だいたい外来患者の34.6%、この辺が院外で処方されているというところです。(2) には、現在729病院に対してどういう形で充足されているかということがここに出ており ます。そうしますと一般病床、入院患者70対1、これで充足されているというのが38% あります。パーセンテージは全体で行きますので、回答数でご覧いただきたいのです が、一般病床では729病院に対して389病院、療養あるいは老人については222病院、精 神・結核については、「結核病院」とありますが、これは精神科の中に結核病床がある のですが、これは精神とお考えいただきたいと思いますが、140病院、現在、暫定基準 に対して経過措置というのがありますが、その1つの調剤数80につき1人の薬剤師と、 こういった形で現在クリアしているというのが211病院、「100床以下の場合には1人の 薬剤師でいいというのでクリアしているのです」と答えた人が20、実際このいずれにも 該当しないというのが729病院のうち43病院ありました。  その次ですが、「服薬指導実施状況」について。服薬等薬剤管理指導ですが、これは 729病院のうち実際に実施しているという病院が66%の482病院です。27%の199病院は、 実施していないということです。実施している482病院のうちどのような形で実施されて いるかというのが右側にあるわけですが、入院患者に対して、先ほど100%という話があ りましたが、10%以下が103病院、91〜100%行っているというのは454病院のうち22施設 と、まだ非常に数は少ないです。この辺はパーセンテージによって非常にばらつきがあ る。必ずしも大体どの辺がということではなく、ご覧のとおりです。  次に4の「薬剤師の入・退院状況」についてですが、今回の調査では平成10年度、11 年度、12年度、この3年間についての調査をいたしました。この表に「入職者数」とい うのが左から2番目にありますが、1,353人とあります。その次が「新卒」「他院」とな っておりますが、この他の病院からの移動は医療機関に対する新たなる薬剤師の参入で ありませんので、実際に病院に入職された方はこれを差し引きますと1,076人ということ になります。次の表にも出てまいりますのでご注目いただきたいのですが、新卒の場合 は、先ほど8,000人の卒業生がいると言われましたが、729病院で採用できた新卒は462人 ということです。  次の頁をおめくりいただきまして(2)をご覧いただきたいのですが、それに対して「退 職者の推移」はどうかということです。退職者の合計が1,241人、その隣に他院、ほかの 病院に移ったというのは、この場合はまだ医療機関の中にいるわけですから、これを差 し引きますと975人ということになりますが、医療界、病院の中から975人の人が去られ たということです。そのうち薬局に移られたという方が331人おられます。つまり薬局か らも来られるわけですから、薬局だけを見ますと、差し引き178人という人が薬局へ移ら れているということで、薬剤師の動きの中で非常にはっきりした数字として出ておりま す。  その次5が「薬剤師の採用予定」ですが、こういった採用の理由をお伺いしました。 「基準は達しているが、更に増員を図りたい」という所、「基準を達成するために採用 したい」、これは採用したいということでは同じですが、意味はかなり違います。これ は薬剤師を採用したいという1つの動機になるわけですが、「採用したい」という所は 70%あります。「基準に達しているため増員は考えていない」というのは29.8%という ことでした。それで現在薬剤師が足りないということが言われているわけですが、実際 に採用を考えたとき果たしてどういう反応があろうか、ということで統計を取りました のが6番でして、「必要な場合に、容易に補充できる」というのが729病院のうち76病院 である。大半は一定の期間、1年ぐらいの期間を置けば採用できるのではないかという ことですが、「全く補充の見通しが立たない」というのが182病院、25.96%の病院では 「補充しようと思っても見通しが立たない」というふうに答えております。今回は間に 合いませんでしたが、次回までに資料を提出したいと思いますが、これには特徴があり まして地域差があります。例えば、日本全体を見ますと東北は少ない、1つの県のレベ ルで見ても都市部と郡部では明確な差が出ている、という地域差というのが非常に大き い状態が出ております。そういったことで4分の1の病院は、薬剤師の採用に困難を来 しているということです。施設回答数は129ですが、ここに書いてあるとおり701病院で す。そのうち182病院で見通しが立たないということです。  7が「薬剤師の業務内容と時間配分」。これは参考までですが、(2)をご覧いただきま すと、所定労働時間が7時間30分、実際に働いている時間はそれよりも多く、7時間49 分ぐらいであるというのが平均値です。  またおめくりいただきまして8のほうにまいりますが、「薬剤師の配置基準」。いま 問題になっているわけですが、こういった薬剤師をいまよりも増やしたほうがいいか、 あるいは減らしたほうがいいか、それが必要であるかないかということについて聞いて いるわけですが、707病院が回答しております。そうしますと「必要ではない」というの が50.9%、 「必要である」というのが49.1%、これは大体1対1の状況になっています。「必要で ある」というその内容が、現行より増員すべきだというのが75.2%、それから減員、減 らすべきだというのが21.6%です。  内容を更にもう1つ聞いてみますと、現行の診療報酬体系で薬剤師を雇うことによっ て、経費増には対応できますと回答をしたのが、回答数336のうち34、10%少しです。現 行の診療報酬体系の改定で増額がなければ、経費増には対応できないというのが274。薬 剤師は増やしたいけれども診療報酬もなんとかしていただけないだろうか、そうしない と、なかなかというのがこの辺に出ております。  最後になりますが、(2)、「薬剤師充足状況および旧基準・暫定基準・経過措置」につ いての比較です。これもご覧いただきますとおり、先ほど薬剤師の不足の問題が出てき ましたが、病院において薬剤師が基準数を下回るということは、非常に重要な問題で す。別な言葉では「標欠病院」という表現をされるわけですが、現在の医療法から標欠 病院になるということは病院にとっては非常に大きな痛手があります。したがって、ど この病院も、お金がかかるから薬剤師を雇わないといった非常に怠慢な考え方というの は、まず私どもは聞くことはないのでして、雇いたいけれどもなかなか人を得られない という中で、各病院がどのようにいま努力をして、その結果がどうなっているかという のが、この(2)の表です。  これを見ますと、旧基準はいいとして、暫定基準で問題は不足の部分なのです。不足 の部分を見ていただきたいのですが、現状がいちばん下の経過措置です。それによりま すと、729病院中、現在の経過措置を含めてでも、182の病院がやはり標欠なのです。足 りないのです。このパーセンテージは、まず4分の1ぐらいになるわけでして、医療法 人の成績が悪いと言われればそれまでですが、4分の1の病院は経過措置でもなおかつ 苦戦をしているという状況をご覧いただきたいということです。  これを経過措置を外しまして、暫定措置だけということになりますと、更にこれが標 欠になる病院が256ということになりまして、そのパーセンテージは35.11%に跳ね上が ります。これは私どもは決してよしとはしていませんので、なんとかしたいと思いなが らも、現状はこういうことです。  地域差の問題につきましては、次回までに資料を提出したいと思いますが、医療法人 の729の病院についての現状は以上のとおりでございます。 ○岩崎座長  ありがとうございました。医療法人協会でかなり踏み込んだ形でアンケート調査をい ただいたものの結果報告をいただきました。大変厳しい現状にあると、しかし、これを 是としているわけではないということも言われましたが、このことについて委員の皆様 方から何かご質問・ご意見等はいかがでしょうか。  2枚目、3枚目は自治体病院協議会のデータと比較して見ると、面白いのかなと思い ますし、4頁目の配置基準の見直しの必要性の問題であるとか、現行の診療報酬体系で の対応の問題であるとか、旧基準と暫定基準と経過措置等との比較というのは、大変興 味のあるデータではないかと思うのです。ご意見をお聞きしましたということでよろし いですか。次回追加のデータの報告があるそうですので、その報告を聞いてからまたご 議論をいただければと思います。ありがとうございました。  続きまして日本精神病院協会から資料の提出をいただいています。資料5に基づきま して仙波委員からご説明をよろしくお願いします。 ○仙波委員  説明させていただきます。日精協の会員、現在、1,213病院ありますが、現行の薬剤師 の配置基準は、入院が150対1、外来が75処方箋に対して1名。それに対して実態調査を 5月8日に行いました。973病院、回収率80.2%でした。  1番目の課題ですが、薬剤師総数は常勤が2,876名、非常勤が常勤換算で176人、総計 約3,000人です。その中で日本病院薬剤師会に入会している者は60%です。1病院当たり の平均薬剤師数は3.1でした。日精協の平均の病院数は250床です。それが表1です。  2番目の課題、「薬剤師の充足状況」の実態を報告しますと、現行の状況で充足は 72.5%でした。充足していない病院は26.1%です。4分の1が充足していないという結 果でした。それをいかに充足するかということが我々の望みでもありまして、現実的に はどうかということを問いましたら、充足可能というのはわずか6.7%という状況でし た。その他の病院は、充足が困難が46.9%、非常に困難が45.3%で、92.3%が充足困難 を訴えております。それは図2に表示してあります。  次に薬剤師の充足状況を地域別に分析しますと、東北地区が充足率が45.7%でもっと も低く、その次が九州の69.5%です。大都市、関東、近畿等は薬剤師の養成機関に恵ま れている状況等もあると思いますが、関東地区84.1%、近畿が83.5%、充足率平均が 83.8%です。逆にこれらのものを除いてしまいますと、充足率は68.9%になります。全 国平均は73.5%です。  2頁、薬剤師の補助数について調査しましたところ、常勤が846名、非常勤の方の常勤 換算で84人。総数は930人でした。1病院当たりは0.96ですから、大体1人ぐらいは各病 院に薬剤補助の方が配置されている。これを地域別に分析しますと、薬剤師の充足率の 低い北海道、東北、九州地区では、1病院当たりの平均は1人を越えている。つまり、 薬剤師が少ない所は不足を補っているという現象があります。どうしても薬剤師を雇い たいのだけれども雇えないので、仕事はあるというところを補っている、相関関係が明 らかです。薬剤師の充足率が低い地域では薬剤師で補っていることを示しています。  3頁、図5の「1病院当たり薬剤補助者数」(ブロック別)と書いてありますが、ブ ロック別ではまだ地域の偏在は明らかにできないのですが、中でも都会地、交通の便、 教育機関のあり方等がありますが、1を標準にして見ていただきますと、補助者数がい ちばん多いのは東北、北海道です。それから九州が少し多い。ほかは1以下です。錠剤 分包機は68.3%で入れておられますし、今後入れたいということ、これは可能なことで はなかろうかと思います。  いま問題になっています「服薬指導の実施」ですが、実施している病院は45.3%で す。それらの病院は平均しますと、入院患者全体の25.7%、4分の1に実施しています が、各病院の実施状況は異なり、入院患者全体の1%未満の病院が34.8%、60%を超し て実施している病院は10%に過ぎません。この表が示しているとおりです。  先ほど邉見先生から、平均在院日数をインプットすると、実施率が減るということが 精神科では非常に著明です。実は1年以上入院をしている方が50%から、病院によって は70%を占める状況です。新入院患者の服薬指導はいいのですが、もう10年も20年も入 院をしている人に対しては、薬剤指導を何回かすると満足をしてしまって、それ以上実 施してもウエスト・マネーではないかと思います。そういうこともありますので有効性 も考慮し、その点では平均在院日数に着目する視点も重要ではないかと思っています。 これはえてして機能分化の問題なのですが、精神科病院がまだ機能分化が熟していない ということ等もありますので、まるめてやってしまうと、こういう矛盾が起こってしま います。服薬指導の割合は先ほど申したことです。  院外処方の発行状況ですが、発行しているのは28%しかありません。それが伸び悩ん でいるのは一般の薬局では、精神科関連の薬物をすべて常備することに困難があり、こ の薬はないということがあります。更に精神科医が意図する薬剤の説明が、院外薬局の 薬剤師では説明が不十分な場合があるのではないかという不安が、精神科医のほうにあ ることも一因ではないかと思います。  精神科の場合は服薬が極めて重要です。対人関係のことですので精神科医が十分にそ れを説明したいということが現実にあるのではなかろうか。そのために院外処方に出す ことがいまひとつ決心ができないということがあると思います。たとえ院外処方に出し ましても、外来患者の60%以上発行している病院が42%です。10%未満しか発行してい ない病院がありますということは、患者さんによって院外処方にするか、院内で出すか というふるい分けを精神科医はやっていることを示しています。  しかしながら院外処方に出しますと、外来処方の業務がごそっと病院薬剤師の業務か ら減ることは事実です。私の所は100%出しましたので、その時間、薬剤師が病棟での業 務へという方向に業務移管が出来たことは、極めて大きな意味があるのではないかな、 というふうに私は思っています。  6頁、過去3年間の薬剤師の出入りを調べてみました。先ほど供給量は年間8,000人の 薬剤師がいるというデータで予測が立てられましたが、これは出入り、マイナスのほう も結構あるので、卒業をしてから就職することなしに、そのまま家庭に入る人たちもお られます。一旦就職をしてもまた出入りがあります。常勤薬剤師の3年間の採用は1,521 人でした。1病院当たり2.3人、入れ替えているわけです。退職は947人で、1.9人が入れ 替わっています。ですから離職率は62.3%です。医療法人協会のデータと組み合わせま すと、それが薬局薬剤師のほうに引っ張られている率がこの中に何パーセントかあると いうのは、我々の所でも会員が指摘しています。  病床の種別により入院患者の1日1人当たりの平均処方せん枚数は0.31枚です。療養 病床では0.35枚、80%以上の精神病床を有する病院は0.36枚ですが、これに比べて一般 病床の取り扱いは約倍、0.72枚です。これは精神科病床の2.3倍に相当します。  前回、全田委員の記録の中に、精神科は粉薬が多く、40%あるのだということです が、これは全く事実と相反していまして、95%ぐらいが錠剤の処方ですので、これは同 意できません。外来は精神科外来も一般の外来も同じ枚数です。そのことを比較してあ ります。大体以上を急遽取りまとめて報告いたしました。 ○岩崎座長  ありがとうございました。主として精神病院と称する病院の薬剤師の動向についてお 話をいただきました。邉見先生何かございませんか。自治体病院は非常に少なかったの ですが、少なかったデータと比較していかがでしょうか。 ○邉見委員  当方は40しかありません。仙波先生が途中で少しお触れになりました機能分化、精神 科における急性期医療と慢性期医療が入ってきますと、またデータもいろいろ変わって くるのではないかと思います。 ○岩崎座長  ほかはいかがでしょうか。医療法人協会のデータにはあまり精神科は出ていなかった のですが、豊田委員何かございませんか。 ○豊田委員  先ほど仙波委員からお話がありましたが、精神科の場合は、特に服薬指導というの は、薬剤師だけでは済まないところがあります。その病状、あるいは生活のあり方を含 めて、その中で薬剤指導をしていくということがありますので、やればどうしても時間 もかかります。それはどちらかというと薬剤師よりも医師の仕事になっている部分があ ると思います。その辺は療養型についても同じようなことが言えるのかなと考えていま す。 ○仙波委員  追加で先ほど出ましたが、いま精神科のほうの機能分化がだいぶ進んでいまして、慢 性期に対しては療養病棟1型の選擇が非常に進んでいるのですが、それは包括病棟でし て、包括病棟は薬剤管理料は全く取れないので収入に結び付かないのです。先ほど全田 先生が言われたように、服薬指導を100%やっても、包括病院では収入に結び付かない話 です。私の所は8割が療養病棟1をとっていまして、急性期の50床だけしかできない。 それは急性期ですから薬剤師の方も入ってもらうことは、おおいに賛成ですが、その他 の精神療養病棟では折角やっても診療報酬との結び付きはありませんので、意欲を失う ということがあります。 ○岩崎座長  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。続きまして日本病院薬剤師会 から資料6が提出されていますので、全田委員からご説明をよろしくお願いいたしま す。 ○全田委員  この間かなりの時間をいただきまして、病院薬剤師の仕事の内容を説明させていただ きましたので、今日は重ねて同じようなことを話すことになります。この間、十分な時 間をいただいたので、かえって延々と資料を出し過ぎてご理解いただきにくかったとい うことなので、分かりやすいような図式にさせていただき、簡単に報告を申し上げま す。  先ほどから各団体からご報告をいただいたように、薬物療法の中で病院薬剤師がそれ なりに薬物療法の担い手としての働きをしているということは、ご評価いただいている わけです。そういうことで図式を書かせていただきました。  1頁はチーム医療の一員としての薬剤師として、特に薬に関しては我々のもっとも得 意とする分野であるということを書きました。  4頁、こういうデータがあります。何か客観的なデータがあったほうがいいというこ となので、1つの病院ですが、345床の病院で薬剤師が実際の薬物療法の中で、処方され たものについてドクターといろいろ相談をして、こういうものは、こういうほうがいか がでしょうか、ということを説明したり、いろいろな相談をしたところが、結果として 9割以上ご理解いただいて、そういう変更ができたということが4頁の上です。  この間からお金の話がいくつか出てきました。要するにリスク・マネージメントとい うことで我々はいろいろやっていますし、プレアボイドという話をいたしましたが、病 院薬剤師が関与することによって、本当に経済的にプラスになっているのかどうかとい うことについても、実は1,164の病床の私立の大学病院の薬剤師がこういうことだという ことで、報告しています。そのサマライズさせていただいたのが、薬物治療設計に関す る提案だとか、配合変化とか、保険適応、保険の問題はいろいろなところで関与され て、カットをいかに防ぐかということはやっておるわけですが、こういうことに関与す ることによって1カ月少なくても65万、大した額ではないと言えば大した額ではないの ですが、年間で800万ぐらいの医療費の削減ができたという報告があるということを、 一応パブリッシュされたとの報告です。  次、これだけは是非ご理解いただきたいのです。先ほど邉見先生から自治体病院、黒 田先生というのは宝塚の病院なのですが、前回、出させていただいたタイムスタディか ら図式させていただきますと、上のほうはベースとして、いちばん下に実際の薬剤師が 何人、実数の入院患者が何人か、30名に1人から70名に1人です。もちろん製剤,医薬 品情報の提供、医薬品の管理、あるいは入院患者調剤などは当然行うわけです。  調剤業務で注射薬調剤の供給ですが、ちょっと専門的なことになりますが、例えば病 棟に30床とか40床、50床で入院されている患者さんに使われる薬、注射薬を昔のように 箱でボンと渡すということが、いろいろなことでミスにつながるということから、ほと んどやっていません。とにかく注射薬についても、それぞれの患者さんについての処方 に従って出そうという姿勢でやっています。  その辺でいちばんミスが起こっているということなので、それを極力個々の患者さん に1日単位で渡そうということでやっていきますと、現実には50名に1人いる病院で は、大体全入院患者について10%までカバーできる。60名に1人しかいない所では従来 型の箱で渡したり、病院のケースによっては患者さんに渡せるのですが、大体50〜60辺 りがその分岐点になっている。70名になってしまうと、とても出来ません。これは外来 患者さんの数は抜いています。そういうことで、実質は箱渡ししかできない。注射薬の 1本渡しをしながら、50名に1人いる所では、10%の薬剤管理指導をやっている。  下のほうは注射薬混合と言いますが、Aという患者さんにある注射薬を点滴する場合 に、看護婦さんにお願いしている場合にいろいろな問題が起こる。それを具体的に薬剤 師が調整して出すということをやっている所がかなり増えています。そういう所では実 質35名に1人ぐらい薬剤師がいる所では、ほぼ9割ぐらいやっている。更に薬剤管理、 先ほどからいろいろな団体からご報告をいただいているように、薬剤管理指導もある程 度やっているというのが5頁です。  数字のことはともかくとして、現実的には time study からいけば、注射薬によるい ろいろなミスを防ぎ得る体制というのが、大体50名に1人ぐらいの病院ですと、それぞ れの患者さんに1日単位注射薬を処方せんで出せている。更に薬剤管理指導も1割ぐら いですけれどもやれるということです。それが一般病院で、6頁は仙波先生の所の精神 病院でも同じような状態、これは対入院患者数は増えていますが、100名ぐらいという感 じが分岐点になるのではないかと思っています。そういう結果を time study から出さ せていただきました。  先ほどお話がありました7頁は、実際どのぐらいの薬剤師が配置されている病院で薬 剤管理指導をやっているかということですが、100人当たりというのは、入院患者は出た り入ったりしますから、大体100を超えている所もありますが、そういう数字です。  8頁、図式いたしましたが、ある意味では人数が多ければ当然できるだろうというこ とですが、対入院患者に対する薬剤師が多く配置されている所は、結果として薬剤管理 指導の実施数、あるいは実施件数も右肩上がりでパラレルになっていくということで す。  9頁、精神病院です。実は療養型の数字はややデコボコがありますが、数字としては そういうことです。  10頁、精神病棟においても、病床においても、やはり対病床当たりの薬剤師の配置数 が多ければ、こういうふうに実施率が上がっているということです。  先ほどから仙波先生が言われているように、13頁は補助員の問題です。先ほどから先 生がご説明されたように、薬剤師がいない所は補助員でカバーしているという現実があ るというのも、我々のデータでも出ています。細かい数字は省略しますが、そういう数 字です。  14頁、前回、櫻井先生から、一体どのぐらい標欠の所があるのだ、というご質問があ りましたので、出させていただきました。実際に薬剤師がこのぐらいいる所では、何人 不足しているのかという話でして、問題は1番右のほうで、必要薬剤師数が3人だと か、4人だとか、2人だとか、1人だとかという所が、これ2,152ですが、4人以下で すと、大体1,000ぐらいになります。半分ぐらいの所で、4人が1人少なくなるという ことは30人が1人少なくなるということとは大変に違いますので、この辺に大きな問題 があるだろうということです。  15頁、精神病院の数字です。16頁もそういう現実を出させていただきました。この間 ご質問がありましたので、一応、こちらの調査のデータを出させていただきました。以 上です。 ○岩崎座長  ありがとうございました。前回ご発表のものに追加する形でご報告をいただきました が、どなたかご質問等がございますか。5頁の読み方ですが、これは薬剤師1人当た り、入院患者50人に当たった場合には、10%までは薬剤管理指導や、退院時服薬指導が できますよという。 ○全田委員  そうではなくて、現実に50名に1人いる病院では、こういうことをやっているという ことです。 ○岩崎座長  この程度はやっていますということですね。そうなると、ここの辺りが1つのターゲ ットポイント、というふうにおっしゃりたいのでしょうか。 ○全田委員  先生方にご判断いただきたいことです。 ○佐々委員  5頁目、例えば薬剤師1人に50名というところで、そのいちばん上に調剤、日数単位 とありますが、この表はこの程度の病院では、100%の病院がこれをやっているというこ とになりますか。 ○全田委員  はい。ただ、これはある程度シュミレーションですので、本当に絶対100%かと言われ ると困るのですが、このぐらいの所ではもうほとんどやっています。 ○佐々委員  実際にはここに何パーセントの病院がやっているということが入ったほうが正確かと 思いますが、いかがですか。 ○全田委員  それは数字としては出るのですが、相当数字が細かくなりますので、こういうことに しております。 ○仙波委員  6頁の精神病床のことですが、配置人員を言うと、この配置はあまり信憑過ぎて、150 人に1枚、現実ですよね。箱出ししかできないというあれになっているので、これは 我々承認ができないですね。これはちょっと困るデータです。 ○岩崎座長  あくまでこれはシュミレーションということでやっておられるので、現実には150人で も箱出ししかしていない、ということではないということですよね。 ○渡辺委員  5頁で大変私は興味深く見ていたのですが、これは何ですか、黒田月刊薬事vol 41、これは具体的にどういった方が、どういうあれで作られたのですか。 ○全田委員  前回に出しましたが。 ○渡辺委員  前回私は欠席しました。 ○全田委員  28ぐらいの病院の施設です。平均のベット数が大体300ぐらいです。前回の資料集の14 頁の真ん中ぐらいにありますが、28施設で300床ぐらいですから、病院としては中規模以 上ですか、そういう所での time study です。 ○渡辺委員  私が伺いたいのは、こういう調査ですが、いま日精協からも反論があったようです が、1つのシュミレーションといっても、かなり実態を反映しているものと受け止めて いいのか、もっと言えば我々マスコミの立場でいうと非常に興味深い。例えばこういっ た実態になっているという数字が表に出るということも十分あるわけですね。そういっ た意味で実態を正しく反映していないとむしろ困るわけです、反映しているのなら非常 に興味深いと、そういった意味で伺っているのです。 ○全田委員  それはご判断だと思うのです。ご承知のように30床以上を病院と言うわけでして、実 際9,000施設ぐらいあります。いちばん大きい所は特定機能病院の大学病院の一部のよう に1,000何床の病院があります。豊田先生がいつも言われるように、決して病院はすべて 特定機能病院ばかりではないということですから、確かにこの28施設での話なのです。 それは委員の先生方がどうお考えいただくかという問題です。  もう1つ、先ほど出したいくつかのものは2,000いくつの病院で、日本病院薬剤師会に 所属している病院薬剤師は大体3万5,000人ぐらいいます。病院が大体9,000なのです が、日本病院薬剤師会所属施設が7,000弱なのです。アンケートを取っても帰ってくる のがそんなにないから、先ほどから言っているように、2,000いくつの病院でのデータ だということですから、このデータが300床前後の所での話だとご理解というか、お考 えいただいて、では、30床の所はどうなんだと。大学病院のような特定機能病院はどう なのだということになると、これは委員の先生方にお考えいただくしかないわけです。 一応、いろいろなデータは出させていただくということで申し上げているのです。 ○岩崎座長  ほかにいかがでございましょうか。前回と比べながらまた委員の皆様方にはお読みい ただきたいと思います。今日は資料が提出された分についてはご審議をいただきまし た。  前回の議事録をご覧いただきますと、資料1の20頁に櫻井委員が発言をしておられま すが、アメリカ、イギリス、オーストラリアどこでもいいのですが、諸外国の薬剤師さ んたちの動向と言いますか、そういうことについて何かをということで、これは事務局 に振られた話ではありますが、今日は田中委員がお見えでして、田中委員がアメリカ等 の事情を知っておられるのではないかということで、ご質問を申し上げたいのですが、 何かございますか。諸外国というかアメリカでも結構なのです。 ○田中委員  初回、第2回を欠席いたしまして、何かしないと申し訳ないと思い、議事録を拝見し たところ、アメリカ等のデータはどうかと書いてありました。そこで事務局と打ち合わ せたわけではなく、事務局の手間を減らすためでもないのですが、私が探してみまし た。客観的なデータだけを示します。お手元に資料がなく申し訳ございませんが、口頭 で申し上げます。これを通じてどういう主張があるというわけではありません。  アメリカは薬剤師不足がいま国を挙げて大問題になっています。日本は先ほどの統計 を見ると有職薬剤師数が2000年度で21万人ぐらい。年に8,400人増えて、2010年には25万 人になりそうだというのが資料2にありました。アメリカは人口が日本の倍ありますが 2000年度で有職薬剤師数が19.6万人、ですから日本より少ない。年に2,850人しか増えま せん、2010年になっても22万4,500人と想定されています。日本は25万と資料2にはあり ますので、人口が倍としてみれば薬剤師数が足りないのです。20年前には女性薬剤師は 18%であったものが、昨年ですと46%になっています。そこで稼働率にもある程度影響 があります。  こういう状況の中で、アメリカの議会がアメリカ厚生省、人的資源などを含めた医療 資源サービス庁と訳したらいいのでしょうか、私が勝手に訳せば人材管理課とでも訳す のですが。そこに調査を命じまして、昨年12月に統計がリリースされているものを発見 したわけです。それのデータをお示します。  日本は病院で働いている薬剤師さんが4.5万人と全田委員からご発表がありました。ア メリカは病院とロングターム・ケア・ファシリティーズ、長期療養施設を合わせて5.8万 人が施設で働いています、うち病院が5.3万人です。この統計全体を見ていくと分かるの ですが、トータルでは薬剤師は不足しているにもかかわらず、病院薬剤師の数は日本と 比べものにならないぐらいに多いということがいえます。5.3万人病院で働いている、こ れは日本より実数として多いですが、後に申し上げるように病床数が少ないので非常に 厚い配置です。  多くの方がアメリカの医療をご存じでしょうが、アメリカでの病院とは、日本であて はまる定義はないですが、急性期病床だけが病院でして、平均入院日数はアメリカ病院 協会データベースでいうと、6.0日ですので、それぐらいの所に5万3,000人います。こ の薬剤師の方々は最近、特に若い人はほとんど薬学博士号を持っている人が多くて、実 際の調剤業務はテクニシャンが行っています。テクニシャン(薬剤補助者)が4.2万人病 院で働いている。薬剤師1人につき0.8人の補助者が付いています。特に調剤の所は薬剤 師はほとんど手を出していないという事が、たぶん正しい理解であると思います。  アメリカには病院は5,015しかありません。病床数が84万です。人口が倍として考えま すと大変少ないです。平均しますと1病院当たり160ベットで、病床稼動率ベースで見ま すと、1病院当たり1日100人入っている。160ベットで100人入っているという状態が平 均値です。これを先ほどの薬剤師と合わせて計算してみますと、1病院当たりで薬剤師 数は10.12人です。大雑把に言って1病院当たり、160病床当たりで言うと、薬剤師さん が10人、テクニシャンが8人おられます。100床当たりで換算しますと、薬剤師さんが 6.3人、テクニシャンが5人です。病院の数別の統計を見ますと、400床以上ある病院で は、薬剤師の常勤換算数で45人ですから、日本と比べものにならない大編分厚い配置に なっています。45人でテクニシャンが32.6人という数になっています。  アメリカでも地域差はありまして、人口10万対で見ますと、いちばん少ないアラスカ 州では39人、なぜネブラスカ州でいちばん多いのかはよく理由は分からないのですが、 ネブラスカ州の103人がいちばん多い。人口が少ないからかえって多くなっているのかも しれませんが、田舎の州ですが、ここが多く、3倍ぐらいの分布差があります。等々の データが興味のあるところかと思いまとめてみました。  もう一度申し上げますと、アメリカでは薬剤師を年に2,800人しかつくっていない、と いう意味からしても足りないのですが、その2,850人の特に若いほうの半分ぐらいがドク ター号を持っています。したがって現場業務はテクニシャンが行い、1対0.8でテクニシ ャンがいる。日本の薬剤師業務と合わせるときには、テクニシャン業務を合わせてみた ほうがいいのだと思います。トータルでは足りないけれども、平均入院数が6日という ところの薬剤管理もリスクマネージメントも含めて、非常に重要な急性期の患者さんだ けなので、当然薬剤師もたくさんいて、臨床業務を中心に100床当たり6.3人という配置 になっているというのがアメリカの実情です。これは全く客観的な報告です。 ○岩崎座長  ありがとうございました。単純にアメリカと比較できない数字ではありますが、私も 知っている限りにおいては、アメリカの病院薬剤師さんはクリニカル・ファーマシスト です。臨床薬剤師ということでドクター号を持っておられる。病院見学に行っても、薬 剤師さんたちはインフェクション・コントロールとか、そういう所の専門性の非常に高 いところで働いておられるのです。「薬剤師の仕事をやっておられるのですか」「い や、インフェクション・コントロールをやっています」と言って、そこのデータを持っ てこられて、細菌学者たちと一緒になって仕事をやっているという様を見ることができ るのです。  これは話が違いますが、フランスの病院に行きますと、「薬剤師さん、調剤をやられ るんですか」と、「調剤、そんなことはやりませんよ」というような返事しか返ってこ ないですね。そういうことからして、欧米の先進国はやはりテクニシャンという方がい らして、調剤をどうもやっておられるのではないかという向きがありますが、いまの田 中委員の発表は、事務局にお手伝いをいただき次回にでもペーパーに是非してほしいと 思います。いまのアメリカの例をめぐって何かご意見がございましたらどうぞ。 ○櫻井委員  大変貴重なお話をいただいてありがとうございました。いま書き取りましたが、書き 取りきれなかったのでペーパーでいただければと思います。私がいちばん聞きたかった のは、例えばアメリカの現状というかそういうお話があったのですが、それは何か法律 があってどうなっているということではなく、要するに野放しの状態でやったらそうい うことが起きたというだけのことなのですね。不足というのは何をもって不足というふ うに言われているのかをお聞きしたい。不足というのは誰がどうして不足と言っている のかということなのです。つまり、日本でいうと何人に何人いなければいけないという 規則があるので、不足というのは分かりやすいのですが、アメリカではそうではないの ではないかなと思います。 ○田中委員  そのとおりで、アメリカの病院に関して薬剤師が何人いなければいけないという法律 規制は国レベルではありません。州ごとにある場合もあります。主にJCHOの認可を 取るためのいわば民間の規制と言いますか、民間の標準があって、それを取らないとメ ディケアの適用にならないというために頑張るわけです。  不足の定義は病院側ではほとんどありませんで、調剤薬局での薬剤師を募集しても埋 まらない。昔はなかったのにベイカンシーの数が何千人も増えてる。それをもって深刻 な薬剤師不足であるというふうに議会が認知して、役所に調査を命じたと、そういう文 脈になっていました。不足は病院側ではないようです。 ○櫻井委員  単純に言うと、募集でしても集まらないから不足だという意味ですね。 ○田中委員  はい。 ○全田委員  アメリカのとおりにしてくだされば、私なんて涙が出るわけですが、いま言われた1 つは病院薬剤師自身もそうですが、長い歴史の中でファームデードクターをお取りにな るという制度の徹底に、30年かかったのです。要するに4年で卒業していたというの を、とにかく最低ジェネラルコースを2年やって、それから4年のファーマデーコース をもっていくのに、アメリカは30年かかっています。田中先生が言われたように、アメ リカは資格を国家で与えるのではなくて、みんなステートで与えるのですね。特にカリ フォルニアだとかケンタッキーだとか、先ほどのアリゾナではありませんが、非常にレ ベルが高い。  もう1つは処方権を持つぐらいの薬剤師がいっぱいいるわけです。処方権を持つとい うのは間違いですが、薬物療法に対して薬剤師は非常に高い。ギャラップ調査ではあり ませんが、いまは弁護士さんに負けちゃったのだけれども、アメリカでいちばん望まし い職業というのは薬剤師だったのです。  我々自身も先生方にご理解をいただくために、そういうプロセスが、アメリカでさえ 30年かかったのです。ドクターコース、ファームデイにするための教育。あとまだ多く の問題がしばらくは残っていますが、大変にいいお話で、こういうふうにいってくれれ ばいいのではないかと思います。 ○櫻井委員  渡辺さんなどは分かってくれていると思うけど、もしかすると、全田委員の発言を普 通の人が聞いていると「うん、そうか」と思われてしまうと困る部分があるのです。医 療制度そのものが根本的に違うわけです。逆に言えば、全田先生がこうやったらいいと 言われるのだったら、皆さま方の病院で薬剤師を20人でも、30人でも増やしていいわけ ですよ。医療法というのは最低基準を決めているだけですから、それ以上であったらい けないなんてどこにも書いてないのです。  でもそれ無理でしょう。ある病院でいまの配置基準からいったら20人が定員だと仮に したら、それを100人にしたければ、してはいけないとはどこにも書いてありませんか ら、患者さん5人に1人ぐらい薬剤師を付けて薬剤指導をしたり、注射の管理をしたり してもいいのです。したければどうぞやってくださいということで、いけないというこ とはどこにも書いてない。  でも、そうすると、それに伴ってお金の話が絡んでくるわけです。アメリカの場合は 日本の4倍ぐらいの1人当たりのお金を使って医療をやっているわけですから、それだ ったらできるわけです。日本で保険制度を維持するということが前提であったら、保険 のお金を何倍にもしなければならない、という問題と絡んできちゃうわけです。  では、保険をやめてアメリカみたいな自費中心の医療制度にして、日本より寿命が5 年も短いような国をつくって、貧乏人は死んでもいいよという国をつくりたいというの だと、また、そこの議論もしなければならなくなるから、なかなか難しいのだというこ とを、是非理解しておいてもらわないと、表面だけ聞くとそうかなというふうに思われ ると困るなと思って余計な発言をしましたが、根本にはそこの問題が絡んでいるので す。 ○全田委員  先生のようにご理解のある人が経営者ならいいのですよ。けれども最低基準を決めら れたということになると、理解のない経営者というのは、それを長刀として振ってくる わけです。正直申し上げまして、現実はいま病院薬剤師は入院患者40人から40数人に1 人です。70人に1人ではないのです。それはご理解のある経営者がいらっしゃるのであ って、例えば具体的に申し上げて、いま地方自治体です。地方自治体の県あたりがいち ばん理解が悪くて、病院薬剤師を配置換えしているのです。最低基準を決める会議だか らこそ私は恐れているのであって、言葉を返すので悪いけれども、理解のある経営者な り、本当に国が豊かであれば、私はこんなことを必死になって言いはしません。ただ、 1回決められたら5年か6年変わらないとすれば、私は死ぬに死にきれないということ なのです。 ○岩崎座長  大変クリティカルなご意見が出ましたが、私は少なくとも理解のある経営者が日本の 病院を経営しておられると信じたいと思っていますが、そういう中であっても、アメリ カのデータをそのまま受け入れるというわけにはいかないわけです。田中委員から少し 発言がありましたので、別にこの会議を混乱させるわけではありませんが、JCAHO という病院機能評価の機構と同じですが、そこは基本的に構造的な基準というのはない のです。  構造的な基準というのは、医師数が何名、薬剤師数が何名いないといけないと、そう いうことで評価をしているわけでは決してないのです。そこの病院が必要とする医師、 必要とする薬剤師、必要とする看護婦ということで、うまく機能していればいいという ことで、機能を重点にジョイント・コミッションでは評価しているということです。日 本の医療監視員等々とは違った見方をしているということを我々は理解をしておかない と、アメリカのデータをそのまま鵜呑みにするわけにはいかないだろうということで、 申し上げておきたいと思います。いずれにしましても、議論がこれから進むのに大変い い今日の最終的な議論が行われました。 ○渡辺委員  もしできれば資料要求というか、いままでの議論の中で何人が適正かといういろいろ なのがあったのですが、私なんか素朴に感じるのは、非常に難しいかもしれないけれど も、患者にとって仮に病院薬剤師が少ない場合はどうだとか、充足していればどうであ るかとかいったデータというのは、いままで見たことがないわけです。もしそういった ものが可能であるならば出していただきたいと言いますか、分かりやすく言えば、患者 にとって薬剤師は不足していればどういう状態なるかといったようなことです。 ○岩崎座長  薬剤師の動向みたいなものへの調査ですね。例えば満足度調査なども含めてもいいの でしょうか。 ○渡辺委員  満足度プラス直接的なマイナス面というのは、すぐに出てこないと思うのですが、い ままで聞いていると、その辺が全然分からないのです。もし、できればそういったもの を出していただきたい。 ○岩崎座長  もしもそういうものがあれば何かお願いします。全田委員が先ほど薬剤師のアメリカ における位置付けみたいなことをお話いただきましたが、実はアメリカの医療従事者に 対する信頼度調査では、アメリカはファーマシストがいちばん高いのです。そういうこ とも申し上げておきたいと思います。それほど信頼度の高い薬剤師が日本でも求められ るのではないか、ということを追加しておきたいと思います、本日ご議論をいただいた 事項を踏まえて次回も引き続きこの問題で議論をすることとしたいと思います。次回の 日程につきましては、事務局から連絡をお願いいたします。 ○宮嵜調整官  次回につきましては9月を目途に、委員の皆様方のご都合を改めて調整させていただ いた上で、後日ご連絡をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたし ます。 ○岩崎座長  9月ということで委員の先生方の調整をしたいと思います。本日の審議はこれで終了 させていただきます。大変お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございま した。 照会先 医政局総務課 宮嵜、鯨井 内線 2513