01/06/07 第4回独立行政法人評価委員会議事録            第4回 独立行政法人評価委員会議事録                             平成13年6月7日(木)                             10:00〜12:00                             厚生労働省省議室 出席者:黒川委員長、井伊委員、五十嵐委員、開原委員、岸委員、坂本委員、     篠原委員、田村委員、古郡委員、堀田委員、安井委員、渡辺委員 1.開会 ○ 黒川委員長  おはようございます。それでは定刻ですので第4回独立行政法人評価委員会を開催し ます。今日は4回目ですが、初めてご出席される委員で茨城キリスト教大学の五十嵐脩 先生がいらっしゃいますが、一言お願いします。 ○ 五十嵐委員  茨城キリスト教大学の五十嵐でございます。どうも私の方の大学の用務と重なってい まして、月火水が向こうで仕事がありまして出てこれません。本日は初めて参りました 。よろしくお願いいたします。 ○ 黒川委員長  先日も安井委員から発言があったのですけれども、評価委員と言って、評価、評価と 専念しすぎて、本業をおろそかにしてしまうのも問題であるということです。この間の 続きですが、堀田委員から何のための評価かという話は最終的にはタックスペイヤーが どう評価するかという視点が大事なのではないかということで、各法人がそのための業 務をちゃんとやっているかという視点で評価しようという話になりました。その辺も踏 まえて今日さらに議論をしていただければと思っております。  今日は井原委員、大久保委員、中窪委員がご欠席ということであります。よろしくお 願いします。 2.審議 ○ 黒川委員長  議事に入りますが、前回に引き続きということで事業年度の終了後に各独立行政法人 の評価を行う際の評価基準を審議したいということであります。前回の議論を踏まえて 進めたいと思いますが、ところで前回の議事録はまだできてないのかな。 ○ 唐澤政策評価官  前回の議事録はまだです。 ○ 黒川委員長   前回のことが書いてあるのをちょっと見ようかなと思ったのですけれども、この前の 議論を踏まえて修正した資料が出てまいっておりますので、これをたたき台にして議論 していただくので、これについて事務局から説明をお願いします。 ○ 唐澤政策評価官  それではお手元の本日の資料は独立行政法人の業務実績に関する評価の基準(案)と いうものでございます。これは前回のものをいろいろなご意見を踏まえて少し修正をし たものでございます。これについてご説明を申し上げます。  前回の資料は大きなファイルの方に綴じてございますけれども、個別の研究所の中期 計画に沿った評価の視点という横の表が前回の資料の中にございますけれども、これに ついては改めてご説明をいたしませんけれども、評価の際の参考資料にしていただくと いう位置づけでございます。したがって、その評価本体の基本的なところは評価の基準 に従って評価をしていただいてはどうかということでございます。  ただし、説明の前に長くなって恐縮なのですが、全体的にはさらにまた試行錯誤をし ながら進めていくということになると思いますので、当面、こういう形でひとつご議論 をしていただいて、それを3研究所の方に示すという形にしていきたいと思います。実 際の評価までは行ったり来たりしながら試行錯誤がある思います。  それでは本日の資料について手短かにご説明を申し上げます。評価の基準でございま すが、前回と変わりましたところは前回は個別評価をまず構成として最初に出しまして 、後ろの方に総合評価が出ておりましたけれども、これを逆にしました。 ○ 黒川委員長   これはお手元の資料では前回論点のたたき台として出された資料8と今回の資料が少 し変わっているのが見ながらだとよくわかると思うのですが、この間、これについて議 論をしていろいろな意見が出て、こういうふうになってきたという経過もあります。見 比べながらだとよくわかるのではないかなと思います。 ○ 唐澤政策評価官   はい。まず、構成としまして総合的な評価を最初に置きまして、次に個別評価を置く ということで、最終的な機関に対する評価というものは総合評価になりますので、総合 評価の方をまず先の方に持ってきたというのが構成上の違いでございます。  その際に総合的な評価を前回の該当部分と見比べていただくとよろしいと思いますが 、まず、総合評価は視点といたしましては国民(納税者等)の視点に立ってということ を明記をいたしまして、2つの視点をその後に並べてあります。  ひとつは独立行政法人が(必要性、効率性、有効性等の観点から)適正に業務を実施 したかどうかということで、つまり、これは計画に沿って適正に業務を実施したかどう かということです。  2点目といたしましては、それぞれの独立行政法人の設置目的に照らしてまして、業 務により得られた成果が公衆衛生の向上又は労働者の安全の確保若しくは健康の確保に どの程度寄与するものであったかということで、これはそれぞれの研究所の持っており ます本来の果たすべき役割、あるいは貢献すべき分野というものに対してどの程度、寄 与したかということをあげているわけでございます。以上、計画に沿った適正な業務の 実施と本来の役割への貢献ということを、まず、最初に2点並べて述べたということで ございます。これは前回のご議論を踏まえまして整理をさせていただきました。  総合的な評価の基本方針でございますけれども、基本方針といたしましては、まず、 前回は実は各項目が重みづけなく並んでいたわけでございますけれども、もう少し整理 をすべきだというご意見をいただきまして、(1)、(2)、(3)と大きな事項に整理をしてお ります。  ひとつ目は、独立行政法人の業務により得られた成果が、設置目的である公衆衛生の 向上、労働者の安全の確保、健康の確保にどの程度寄与するものであったかということ をあげております。  その中身といたしましては、社会的ニーズ及び行政ニーズに沿った研究及び調査を実 施しているか、各独立行政法人の業務により得られた成果について、適切に国民に情報 発信されたかということをチェック項目として置いております。  2番目は各独立行政法人の運営が、効率的かつ適正なものであったかということでご ざいまして、3番目はその他次のような事項にも留意をするということで留意点として  (ア)から(カ)までの6項目を並べてございます。  まず、(ア)といたしましては、業務実績の量的な側面だけでなく、その質的な側面 も考慮する。(イ)は、中期目標に掲げられている具体的な取組内容に対するものだけ でなく、当該項目の評価材料となる実績がある場合には、これらを考慮するものとする 。  (ウ)は、業務実績という結果だけでなく、その結果を導くに至った背景的要因 (外的要因及び内的要因)についても考慮するものとする。(エ)は、独立行政法人化 の利点の活用状況についても勘案するものとする。(オ)は、業務実績のうち、個別の 研究課題に係る評価は外部専門家が行う研究評価の結果を考慮するものとする。(カ) は、中期目標の達成に向けた取組が進むよう、インセンティブを与える制度が整備され ているか、その制度がモニタリング等により適切に見直しされているかについても考慮 するものとするということでございます。これらは前回のものを整理したものでござい ます。  次に3頁にまいりまして個別的な評価でございますが、個別的な評価につきましては 中期目標の達成に向けた業務の個別的進捗状況について測定をするというものでありま す。  数段階評価の具体的判定基準については5段階評価とするということにしております が、前回はA、B、C、D、Eにしておりましたけれども、いろいろなご意見を踏まえ ましてA+、A、B、C、Dという基準にしております。  これは実はどのくらいをAにつけるかというのはなかなか難しいところがございます のと、前回の基準でA、B、C、D、Eというふうにしておきますと、前回は中期目標 を上回る成果を上げた場合だけAでございますので、そうするとほとんどAがつかない ということが起こってしまうので、それもどうかということがございまして、そういう 場合にはむしろ非常に優れた結果が出た場合はA+がつくような形にしておいてはどう かということで、こうした5段階にしたものでございます。  これは結局、それぞれどのくらいの評価をつけるべきかというひとつの相場感が必要 なのですけれども、そういう相場感というものは実際に出たときにまた少しご議論をい ただきながらつけていただく必要があるのではないかと思っております。  次は、4頁でございますが、個別的な評価の留意事項でございます。これは前回の資 料では2頁目にあったものでございますけれども、今回はこの4頁の方に8つ並べてご ざいます。  順に、5段階評価の理由の付記。業務実績の量的な側面だけでなく、質的な側面につ いての考慮。中期計画に掲げられている事項以外の実績の考慮。背景の考慮。費用対効 果の考慮。独立行政法人化の利点、これは財務面での利点などの活用状況の勘案。研究 評価の外部専門家の研究評価結果の考慮。最後にインセンティブを与える制度が、モニ タリング等により適切に見直しされているかというような点でございます。これらは前 回と同様でございます。  委員会における評価の具体的な実施方法でございますけれども、事業年度の終了後、 各独立行政法人から実績に関する報告を受けた後、ヒアリング等を実施した上で評価に 着手をするということです。委員会として評価を決定した後は、評価結果の総務省委員 会への通知及び公表を行うということでございます。  最後の5頁でございますが、中期目標の業務実績評価につきましては、1の各事業年 度の業務実績評価に準じて行うこととするということでございます。これが当面の評価 の基準(案)でございます。以上でございます。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。この前の議論を踏まえてこういうふうに少し総合評 価とは何かという話があって、腰だめの感じかもしれないけれども、AとかA+という 評価の方がやりやすいというか、より実情というか、感性にあっているかなという気が しないでもないのですが、堀田委員、いかがでしょうか。 ○ 堀田委員   だいぶ整理をされてきて問題点がすっきりしたと思います。ここまで整理してもらえ れば今日1回の議論でだいたいこれで姿がはっきり出るところまで来ているのではなか ろうかと私は思います。  個別的な点につきましてはまだいろいろ意見がありますが、どうしましょうか。 ○ 黒川委員長  どちらでもよろしいですが、まず、ひとまわりしますか、全体で。いや、どうぞやっ てください。 ○ 堀田委員  そうですか。では、続けて私から感じます点を申し上げます。  頁数の順にまず1頁ですけれども、総合的評価の観点を国民の視点というところでし っかり出してもらった点は観点がはっきりして非常にいいと思います。ただ、(納税者 等)というのはいるのかどうか。これは解説ですから、国民とは何ぞやと聞かれたとき にそれはタックスペイヤーであり、受益者でありという、そういう意味ですので、国民 の視点でよいのではないですか、言葉の問題です。  あと、実質的な問題で(1)が必要性、効率性、有効性等の観点から適正に業務を実施し たか、2が寄与度という、この2つを並べておられます。これは2頁の基本方針のとこ ろにも出てくるわけであります。この両者の関係がどうか、そこがはっきりしないとい う問題があると思います。  私はむしろ、(2)、つまり、寄与度というものが国民から見れば一番気になるところで あって、この(2)の方が総合評価では主たる点になるのではなかろうか。この寄与度はあ との個別評価では出てきませんので、特に総合評価ではこの(2)の点を強調する必要があ る。  (1)というのはプロセスの評価だと思いますので、結局、(1)のプロセス評価、つまり 、業務実施の状況の評価は何のためにするかというと、やはりそれが寄与するに当たっ てきちんとやったかという、寄与する過程への評価にすぎないので、(1)の方はそういう 意味でも従たる評価になってくるのではなかろうかと思います。だから、むしろ、(2)を 先に出して(1)という順序がいいのかなと思います。  その次に今度は(1)の中で、適正業務実施とあります。その前に必要性、効率性、有効 性等という、この3つの言葉があがっております。この3つの必要性、効率性、有効性 というものがどういう関連を持つのかということですけれども、効率性は業務評価、プ ロセス評価ですからもちろん非常に重要なことで、これは中期目標にも効率性があがっ ています。有効にきちんとやっているか、これもプロセス評価として大切です。  ところが必要性というのはどちらかというと、プロセス評価というよりも国民にとっ てどの程度、必要なのかという、むしろ(2)の方の基準ではなかろうか。もし、(1)の方 を(2)の寄与度評価のプロセスということで見るならば、効率性、有効性ということだけ でむしろプロセス評価というふうに絞った方が私はすっきりして評価しやすいのではな かろうかと、そういうふうに思います。  現に個別的な評価の中では効率性、有効性というプロセスが非常に重視されておりま すので、そちらとも平仄が合うのではなかろうかと、そういうふうに思います。  2頁に進みまして(1)が寄与度評価で、(2)の方にプロセス評価となっているので、こ の方が順序としてはすっきりしているだろうと思います。しかも、(2)の方ではさきほど の効率的が必要性、効率性、有効性という中からひっぱり出されて適正というところと 結びついておるので、むしろこの方がプロセス評価としてはすっきりしているのではな かろうかというふうに思います。  (3)のその他次のような事項にも留意するというのは、これはその他ではなくて、(1) を中心とし(2)のプロセス評価をするに当たっての留意事項であって、その他ではないの ではなかろうかというふうに思います。  ただし、私はこの(3)の留意事項というものは個別評価の中の留意事項と重複している ので、むしろ総合評価は個別評価の上に立って評価するわけですから、個別評価で注意 する事項をわざわざ総合評価でもう一度、ここでその他として全部書き上げる必要があ るのかどうかという点は疑問に思います。ですから、むしろ総合評価は(1)、(2)という のにすっきり絞ってしまった方がわかりやすいのかなという気がいたします。  3頁は5段階評価をするということで、このことはこれで適切だと思います。  4頁でありますけれども、留意事項があります。これはその他でなくて個別評価する ことの留意事項として書かれているので、こちらの方が適切だろうと。ただし、そのう ちの(1)の5段階評価について理由を付記するというのはむしろ5段階評価をする際の一 種の注意書きみたいなものですから、この(1)は前の頁の5段階評価の注の方に回してし まって、(2)以下が留意事項になるのではなかろかというふうに思います。  (2)以下はちょっとアトランダムな気がしますが、それぞれ業務評価する場合の留意事 項という形にはなっているので、これはこれでいいのか、あるいはもうちょっと順序を 整理してもいいのかと思います。  もう一度、全体を通じて言いますと、個別評価は結局、総合評価、例えば2頁を見て いただきますと2頁の総合評価の基本方針の(1)と(2)、(1)が基本で寄与度の評価、(2) が効率、適正の業務プロセス評価、この(2)の部分が結局、個別評価でずっとあがってく る。個別評価でいろいろ行われているので、個別評価をこの(2)の部分でよく見ながら、 (1)の方でもう少し広い視点、いろいろな、他に競合する民業があるかないかとか、そう いう広い視点を加えて(1)の評価を加えて総合評価というものが出てくるのではなかろう かと、そういったような論理的な構造になるのかなという気がいたします。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。堀田委員の方からかなり理論的で的確なコメントが あったような気もするけれども、どうですか。 ○ 唐澤政策評価官  今日の資料、これだけでご議論いただきたいので、もう、先生方からいろいろなご意 見を出していただいて、最後にできればその意見を踏まえて少しこれを直した形でもう 一度、ご覧いただけたらと思います。 ○ 黒川委員長  はい。どうぞ、開原委員。 ○ 開原委員  ひとつだけですが、2頁の(1)のところの下に2つ、ポツがあって、そこの2番目の方 の各独立行政法人の業務によって得られた成果について、適切に国民に情報発信された かという、そこの問題なのですが、もちろんこれはこれで結構なのですが、実は情報発 信されるだけではだめなのではないかと最近思っておりまして、結論から言えば情報発 信され、それが有効に活用されたかというところまで評価するべきではないかと感じて おります。  例をあげて言うと、最近、いろいろな研究が行われているのですが、とかく私も含め ての反省ですが、研究をやると学会で発表して、それでおしまいということがよくある のですね。もちろんインターネットの上に情報発信しても結構なのですが、それが本当 に世の中に役に立つためにはやはり研究所のレベルでもそれがどういうふうに本当に世 の中に実効的に使われているかというところまで関心を持つべきではないかという気が するのです。私は情報発信されたかの後にもうひとつ、さらにそれが有効に活用された かという文章を入れた方がいいと思います。 ○ 黒川委員長  どうでしょうか。確かに適切かなという気はします。情報発信と言うと全部、インタ ーネットに出ていますよというけれども、誰も見ていないというのはいくらでもあるわ けだし、研究の成果も佐蜑ロ長がおられるからそうだけれども、前も話したような気が するけれども、世界中にわかっていることは、科学技術白書にも出ていますけれども、1 981年から1996年までの過去16年で日本の論文の数というのはISIでは世界で3番目な のですよね。ペーパーの数から言うと世界で3番目なのだけれども、そのうち、45%は 一度も引用されていないということでして、55%の一度でも引用されたペーパーのうち の何と37%は日本人によって引用されただけだという、その点が他の国と全然違ったプ ロポーションになっているというわけですけれども。  そういう意味では発信したのだけれども誰も受けなかったという、3分の2は誰も受 けていないのではないかという気がしないでもないなという話はだんだんわかってきま すから、その辺は開原先生のおっしゃっているのは確かにそうだなという気がしますね 。  しかし、活用されているかというと活用されているというのはどういうふうに、活用 されて何かになってくるのかというのはなかなか難しいのだけれども、確かに目標に合 っているというのはそれが何かインプルメンツされるか、何か出てくるという格好が期 待されているからやっているわけですよね。そういう意味ではどういうふうになってく るのかなというのが、すぐには出るものと出ないものがあって難しいですけれども、そ の辺も含めて如何ですか。 ○ 開原委員  私もそうは言っても有効に活用するというのは研究所にとっては自分の手の及ばない ところなのかもしれないと思いますね。研究所とはやはり研究をやる所であって、その 成果をどういうふうに実施していくかというのは行政の手になるのかもしれないし、ま た、他の人の手になるのかもしれない。  ですから、そこまで責任を研究所に負わせるというのは酷ではないかという見方もあ ろうかという気はするのですが、ただ、私の最近の感想としてはそれが本当にどういう ふうに世の中に使われるのかというところまで研究をした人は関心は持つべきだと思う のですね。使われるものに価値を置くべきなので、そういうふうに予め書いておくこと によって、その研究も単なる情報を発信すればいいというものだけではなくて、本当に 後で使いやすいような形でその成果を出さなければいけないのだというインセンティブ にもなるのではないかと思います。 ○ 井伊委員  使われるということで、例えば健康・栄養研究所の国民栄養調査ですが、これは研究 所のメインの仕事の1つになっていると思うのですが、私たち、研究者がこうした国の 機関が集めたデータを使うとすると統計法などで縛られることが多いです。せっかく集 めたデータを研究者が使いやすくするようなことも重要だと思う。そうすることによっ てデータの調査の質なども上がりますし、適切な情報発信ということにもなると思うの ですが、独立行政法人化になったときにも、統計法の縛りとかはかなり厳しくなるので しょうか。そのあたりが何かもっと使いやすくなるといろいろと有意義に思えるのです が。 ○ 唐澤政策評価官  国民栄養調査は承認統計ですから、やはりそれは公表予定以外の事項については、統 計法の縛りがかかりますので公表できません。 ○ 井伊委員  目的外使用となるのですか。 ○ 唐澤政策評価官  ええ。目的外使用になりますので、目的外使用の許可を全部取らなければいけないと いうことになってくると思います。  統計とまた研究部門の研究とは直接つながっていて自由にやれるというわけではあり ませんので、統計に係る情報発信という点では統計法の縛りがかかっておりますので、 集計したものをそのまま研究所だけで発表するというのはなかなか難しいというのが実 情だと思います。 ○ 開原委員  まさに今のような問題が私はあると思うので、今までは研究者というのは、これは統 計法があるからもうしょうがないのだというふうに諦めていたわけですね。  しかし、私は法律は変えられるのではないかというふうに常に思っているものですか ら、例えば今の井伊委員が、おっしゃったようにならないかと感じます。研究者として は、統計を取ると同時にこういう理由で今の統計法は縛りがきつすぎるのでもう少し有 効に活用した方がいいということを研究者の側からも言うべきではないかという気がす るのですね。  それがさっき私の申し上げた、単なる情報発信するだけではなくて、それがどういう ふうに有効に活用されるかということに関しても研究者自身がもう少し関心を持つべき ではないかということの意味でもあるのです。 ○ 黒川委員長  情報発信と言っても学会で喋るとか、パブリケーションを出すというところではもう パブリック領域になってしまうわけだから、そのデータをどういうふうに分析したので すかとか、どういう方法を使ったのですかというような話はそこで学者同士が聞けばい いわけですよね。  だから、それについては学会とかピュアレビューにしろ、論文が出たところでそれは パブリックになるわけだから、それではまだ不十分なところがあってどうしても何かが 必要だということであれば、十分に問い合わせることにより、そこを補完することがで きるか、できないかという話になって、それはまた別の次元の話になってくるのではな いですか。  だから、そこまで進んだ、そこまで踏み込んだ研究がどうしても必要だというのをジ ャスティファイできるかどうかというのは研究者の次元の問題ですよね。 ○ 井伊委員  今の状態だとあまりにも目的外使用までが厳しすぎるので、独立行政法人化になる利 点というのはそういうところにあるのではないかなというふうに思います。 ○ 黒川委員長  だから、それは堀田委員が言ったように独立行政法人制度というのは正しいかどうか 知らないけれども、独立民間法人だってあり得るわけだから、今後、どこまで民間に委 託できるかという話も出てきて、これからの課題の中で論じていくべき問題ではないか なと思いますけれども。どうぞ。 ○ 篠原委員  論文数や情報発信数だけではなく、有効に活用されたかも評価において重要ではない かという議論がされていますが、このような成果の面から発言させて頂きますと、アメ リカでは3Eということで経済性、効率性、有効性が言われており、イギリスではバリ ュー・フォア・マネーということでかなり有効性を主張していますし、最近、ブレア首 相はベストバリューと称して、かなりこの辺を強調しています。  かなり長い間、私ども公認会計士協会でも研究していますし、また国のある機関にお いても有効性検査というものをやろうとしているのですけれども、ほとんど実はアウト プットで、有効性の検査として200 件から300 件、過去20年以上に渡って、行っている のですけれども、実はアウトカムの検査はこの中の一桁以下だという話です。私どもも 去年、一昨年と地方公共団体の約80何団体かの外部監査しているのですが、その中で3 Eを主体にしようということで、有効性もやろうとしているけれども、実施例は少なか ったですね。  3Eの外部監査についてやはり抵抗が強いのは客観性がないのではないかということ です。ところがオンブズマンの人達とか、国民の視点からするともっとアウトカムの部 分をやってくれということでした。私もここで非常に難しいとは思うのですけれども、 それを前提にして徐々に精度を上げていくということで、アウトカム的なものを、ぜひ 、入れてもらいたいなという気もしているのです。 ○ 黒川委員長  経済性というような面の効率性という意味ですか。 ○ 篠原委員  ではなくて、アウトカムというのは、さきほど言っていましたように、何本の論文を 書くというのではなくて、それが実際にどういう影響を与えたとか、例えばよく言われ ている道路を何km延長したのではなくて、交通の混雑がどれだけ減っただとか、具体的 な効果の方から言うというのは非常に難しいと思うのですけれども、そういう指標で評 価してほしいということです。 ○ 黒川委員長  パラメーターとしてね。 ○ 篠原委員  そうですね。そうではないと非常に主観性の強い評価になってしまうと思うのですよ 。その辺を、ぜひ、入れていただきたいと思います。 ○ 黒川委員長  これはしかし、総合評価の(1)のまさにその中に入っているかなという気がしないでも ないですが、国民から見てどの程度、寄与するものかという話がそうですよね。そのア ウトカム、これをどういうふうにまた具体的な数字とか、パラメーターで示せと言われ ても、まだ、今のところはアイディアが具体的にあるかないかわからないと思います。  もうひとつコスト・エフェクティブがどうかという話は、これまた難しいと思うので すよ。例えば民間で同じことをしたらどのぐらいになるのという話も出るけれども、さ っき言った、私が引用した研究の論文の話、ありますよね。あの論文の場合、数とか引 用の回数というのは皆、コンピューターで出てくるからわかるのだけれども、そうする と日本の論文は過去16年間で外国で引用されたのは3分の1しかない。それはそれでい いのだけれども、引用された回数を国が投資したお金で割るとどのくらいかというのも わかってしまって、そうするとアメリカ、イギリス、カナダのだいたい4分の1ですね 。  民間の場合は自分たちで自由に払っているのだから自由にしてくれというのでいいの だけれども、国が投資した、例えばお金に対してどのくらいかというレーショを出して 、どれだけ引用されたというのを出すとそのくらいでいいのかどうか。皆、世界中にわ かっていますよ。どうしてそうなのかということになると、これは日本にしかわからな いことがあるわけですよ。皆、国立大学に研究費がついているとか、そういうことをし ているわけだから、それも皆、計上されているとなるとどうなのかという話を本当はし なければいけないのですけれどもね。  その辺をどういうふうにするかというのは論文なんていうのは比較的、そういう数値 的に表せるけれども、一般的になかなか難しいところもあるから、ある程度、こういう ふうな方向にはだんだんこういう委員会でフィードバックをしていくといいのではない かなとは思いますけれども。確かに先生がおっしゃるとおりです。その他にどうぞ。 ○ 坂本委員  従来の国立研究所であった場合には多くの業務が行政ニーズで行われていたのではな いかと思うのですね。そういうときに多くの、これを見せていただきますと、いくつか の基本業務の計画が行政ニーズで行われている業務があるのですが、それで得られた成 果は従来、国として発表、情報は発信されているわけです。  今回、この独立行政法人になったときにそれは国のものなのか、法人のものなのか。 それによって(1)の総合評価のポツの2番目の評価はかなり違ってくるのではないかとい う印象ですが、どういう方法論があるのでしょうか。 ○ 黒川委員長  どうぞ、何か。あるいは他の委員でも結構です。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  例えば国立健康・栄養研究所ですとひとつ大きな業務といたしましては、国民栄養調 査があり、栄養所要量と、最終的には国の報告書として出される基礎的なデータを積み 上げる業務というものがございます。それらについていわゆる国民に幅広く出すアウト プットのチャンネルとしては少なからぬ部分、国というところが絡むことが多いのかな というふうに思っております。  ただ、そういうふうにコミュニケーション・チャンネルとした国としてのレポートの 他に、それをより現実的な活用ということも含めて幅広く、例えば栄養士に伝える、国 民に伝えるといったときにはまたその活用の方法の検討、あるいはアウトプットの出し 方をさらにまた考えていかなければいけないと思います。  そういうものもおそらく私どもの研究所でやらなければいけない業務だと思っており ますし、ある一部分については直接、研究所の方から発信するというようなこともある のだろうなというふうには考えております。  また、もちろんレポートを作成する、つまり国としての報告書を策定するプロセスに なる、いわゆる学問的な研究の成果というものは研究者であり、研究所であるところか ら発信するということになります。そういう意味ではどこからどこを切りわけてどっち から出すというよりは、一番、制度上も整理ができて、しかも、有効な出し方ができる ようにするということになるのかなと思っております。 ○ 渡辺委員  今のに関連して言いますと、適切に国民に情報を発信されたかという問題なのですが 、例えば今、お話があった国民栄養調査というもの、これははっきり言って非常に評判 が高かったと、良かったと思います。なぜかと言うとマスコミに発表することによって 新聞、あるいはテレビで放映されて、広く普及したからです。私が前々回言ったように ひとつは時間がかかりすぎるという難点はあったけれども、そういう意味から言います と今のお話に関連しますが、これまではあの調査ひとつを例に取ると、厚生省広報室が 間に入って厚生省の責任で発表して書いたと、そして、それを見た、例えば読者なんか が資料が欲しいというと厚生省広報室に行けば要は貰えたわけですね。  今度、こういう格好になったときに、例えば栄養研というか、栄養調査ひとつを例に 取ると誰が発表するのか。例えばですよ、厚生労働省広報室はもう関与しないと思うの です。独法になったらするのかな、その辺の体制ですよ、問題は。広く情報を発信する というのはいいのだけれども、具体的にどういう体制で誰が責任を持ってどう発信する かという、これは評価というよりも体制の問題だと思うのですね。  これができていないと評価のしようもないし、責任の所在も不明確になってしまうか ら、それは前々回、申し上げたけれども、どういう、言わば広報体制についてだけれど も、そこの問題になってしまうと思いますね。とりあえずこの点についてはそういうこ とです。 ○ 黒川委員長  他にもご意見があるかもしれない。はい、どうぞ。 ○ 五十嵐委員  もうひとつは、今までは省庁で一緒に入っていましたから、科学研究費のようなもの が厚生省とか文部省、皆、持っているわけですね。労働科学研究費とか、厚生科学研究 費がありますから、そういう報告書、毎年、出したり、あるいは3年分、まとめて出し ているわけなのですけれども、そういうものが今度、こういう独立行政法人化になった 場合に、どういうプロセスで出てきて、それが世の中に出ていくかという絡みがちょっ と難しくなるだろうと思います。  今までは省庁の下に全部ついていましたから、そこを通して出て来ました。ただ、割 合と国会図書館には入っているのですけれども、皆さんのところにはなかなか行きにく い情報だったことは確かだと思いますので、そういうものをいかに広報していくかとい うこともかなり大きな問題ではないかなという気がいたします。 ○ 黒川委員長  これは渡辺委員、篠原委員、坂本委員、それから五十嵐委員のお話もそうですけれど も、ではこういうのは何のためにやって、誰がどういうふうに利用するかということで すよ。  独立行政法人がある目標を持って調査をしますよね。それをいかに使ってもらうよう に広報するかというのは全く違った機能ではないかという気がします。今、五十嵐先生 がおっしゃったように今までは厚生省が例えば厚生白書とか、あるいは厚生記者クラブ とか、いろいろなところでメディアを呼んで喋ると、そうすると毎年、出てくるから今 年は塩分がだんだん増えてますねなんていう話をすると、ニュースやプレスで取り上げ られることになる。  だから、そうなると誰がそういうデータをバリューがあると判断してパブリックに伝 えるかというのはかなりマスメディアの側の問題になってきますよね。その辺のバリュ ーについてなのですが、例えば全くの科学研究であれば学会で喋る、論文を出す、そし て、それを見る人というのは競争相手とか、それを利用する人たちですよね。  だから、そういう意味では、バリューの判断がどうなされるのかまで私たち研究者の 仕事だというのはちょっと違うのではないかなと皆、思っていると思うのですよ。そん なことをやって、また、自分たちの仕事を増やされても困るのではないかと思っている のではないですか。情報を出したら、それをどういうふうに使うかというのはもう出す 側の問題ではないのですよ、本当は。そういうデータベースを使って何をするかという のは、例えば井伊委員のような立場であればどうなのかという話であって、こういうこ とを教えて頂戴とか、実はこういうことをしたいのだとか、厚生省としてはこの政策に 、例えば健康日本21に使いたいのだとか、その情報を活用したい場合にどこに行けばい いのかを皆が知っていればいいわけですよね。  だから、知らすためにはどうかというと、今までは役所の中から皆に知らせているけ れども、独立行政法人では、また、ちょっと別の話だなと思いますよね。だけれども、 皆が知らないと言って知らせてくれないからいけないという国民も情けないので、今、 インターネットで何でも出るのだから、欲しければ自分で探してこいと私は言いたいの です。何でもお上から頂戴なんて言って口開けていたってくれるわけないよと言いたい のです。それはどうですかね。  だから、その辺の役割をどうするかというのはちょっとまた別の問題ではないかなと いう気がしまして、渡辺委員のおっしゃるとおりかなと思います。 ○ 唐澤政策評価官  栄養調査の方は、おそらくまだ本体業務は役所に残っていますので役所の方でやると 思うのですね。ただ、お話のあった中で非常に重要なのは、パブリシティみたいなもの ですね。今度、独立行政法人になった場合、これは基本的にはそんなに役所は面倒見き れないと言うと変ですけれども、自分でやってもらうという世界ですから、独立してい るのですからということになります。便利なときだけ独立というのではなく、独立して いるのですから、やはり自分で考えていただく必要があると思うのですよね。  その場合に私も広報室長をやっていたときに思うのですけれども、研究を発表すると きの対象として、社会部の皆さんもいるけれども、科学部の皆さんですね、科学部の皆 さんにどうやってパブリシティするかということをやはりそれぞれの研究所でも十分考 えていただくという必要があるのではないかと思います。科学部の皆さんは基本的には 常駐しておりませんので、常駐していない皆さんにどういうふうに研究成果を伝えるの かということも日頃のコンタクトとか、やはりそういうことも考えていただく必要があ るのではないかと思っております。 ○ 黒川委員長  大学の研究でも同じことで、大学は別に広報室とか、詰めの記者クラブを持っている わけではないのだけれども、科学部にしろ何にしろ、そういう話題が実はメディアの方 もほしいわけですよ。それはだけれども、個々の研究者が自分が自信があってこれは凄 く役に立つと思えば何かしょっちゅうそういう話を外に向けてするわけでしょう。  だから、広報体制が組織の中にあることが必要かどうかという話はちょっと別かな。 学会でやはり相当、インパクトがあるものであればそこで自分の関係者にそれだけ言っ ているのだから、そこから広く外部へ流れますよね。  だから、あとはそれ以上に何かするのであれば、それは普段からのコンタクトとか、 やはりたこつぼ学者にならないというのが大事かもしれませんね。社会に対して、私、 何しているのというのは凄く大事かもしれないと思いますよね。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  国民栄養調査につきましては、今、ご説明ありましたように制度的には我々は厚生労 働大臣から集計業務の一部を負わせることができるということで、ある意味では下請け 仕事をするという意味合いなのです。けれども、現実的にはさきほどデータの活用の話 がございましたが、例えばローデータの取り扱い、目的外使用についてはこれは厚生労 働省の承認になるわけですが、過去のデータも含めてデータベースを構築して、縦横に 検索しながらクロス集計をするというようなデータベースは、今、構築しておるところ なわけです。  そういう意味では、厚生労働省から出しているオフィシャルな報告書を紙のものより は随分、データとしては有効に活用できるような仕組みを作っているというようなこと はございます。  また、前回、坂本委員からも少しご質問がございましたが、今回、新たな組織として 国民栄養調査健康栄養情報研究系というところで、特に健康栄養情報教育研究部なるも のを作ったわけです。その役割でございますが、結局、我々の研究としての業務として 国民栄養調査をただ集計解析するだけではなくて、例えば地域の栄養計画にどう活用で きるのかということそのものを研究するというようなこともひとつ考えております。  また、いわゆる栄養健康教育もフェース・トゥー・フェースでの栄養士さんがなさる 手法だけではなくて、いわゆるヘルス・コミュニケーションと言われている情報をどう 発信するのかという、その手法について研究課題と考えて、こういう組織を作ったもの でございます。そういう意味ではただ単に情報をどう流すかというサービス業務という よりは流す手法を研究課題だというふうに受け止めて考えているところですので、さき ほど私はそういうこともひとつ、我々の仕事と思っているというふうにご説明したつも りでございます。 ○ 黒川委員長  それは研究だから、自分で研究費を取ってきたらやりなさいということだろうね、ア プライして。それはそういうファクター、かなり多くなるかもしれない。  ただ、今の佐蜑ロ長もよくご存じのように、日本の研究室、文部省、皆、そうだけれ ども、これは補助金みたいな格好になっているから、本人の人件費に使えないようにな っているから非常にやりにくいのですよね。  アメリカの場合、グラントだから、研究者の給料がそこから出るようになっているの で、お金を取れなければ研究者は自分のポジションがなくなるというメカニズムになっ ていて、その方が健全ではあるのですよね。その辺が日本では難しいなと思います。だ から、テクニシャンとか、補助の人は雇えるけれども、ちゃんとした雇用の形態では雇 えないというのが非常にやりにくくて、この研究費の使い方、変えないといけないと思 うのですけれどもね。 ○ 堀田委員  今の点は寄与度評価のまさに中核的な問題だと思うのですけれども、成果が国民にど れだけ知られたかということが即寄与度かと言うと必ずしもそれはそうではないので、 国民が直接、また、間接に研究成果によって、例えば自分の食生活を改めるとか、いろ いろな研究機関がそれに基づいて新たな研究を行うとか、あるいは業者がそれを取り入 れた新しい製品を開発するとか、そういうふうにどれだけ使われておるか、その辺が寄 与度の具体的な表れ方だろうと思うのですね。  ですから、その研究が誰にどう使われるのか、全く新しい国民の知らない分野で特に これは注意しなければいけないと思います。直接、国民に知られなければいけない研究 なのか、それともこれは基礎的な研究なのでもう少し違うレベルの政策を立てる厚生労 働省が知っていればいい、あるいはいろいろな関連の健康関連の業者が知っていればい い、あるいは大学の教える先生方がそのことを知っていればいいという、そういう方を 対象とした研究なのかが問題ですね。それは実は成果が上がる前から、研究に着手する 前からターゲットは決まっているはずなのですね。  だから、最初からターゲットを、研究する際に成果を上げる前にはっきりさせて、し かも、それは他の分野で研究されておられない、こういう面で意味のある研究であると いうことも最初からはっきりさせて、そのことをまず広報しておけば、それが本当にマ スコミから見て特に国民の生活の仕方に関係があるとなれば、マスコミは始めから成果 に着目するのではなかろうか。そんなあたりからパブリシティが始まる。  成果が上がったらならば、本当に必要な知識ならば、報道しなければマスコミはおか しいわけで、それはきっとしてくれるであろうと思います。そういう観点からマスコミ が見ても報道してもらえなければ大した研究成果ではなかったと、こういうことになる のだろうと思うのですね。  ですから、寄与度を評価する際に、そういう情報がこの評価委員会に必要なのですね 。研究機関は最初からこれは誰をターゲットとする研究なのか、その成果がそういうタ ーゲットにきちんと届いてターゲットがちゃんと使ってくれているかを把握しておく必 要があります。  例えば厚生労働省の政策の基礎にしてほしいというのなら、厚生労働省がきちんとわ かって政策を立てる参考資料にきちんと使っておるかとか、あるいは大学の教科書が少 しそれで変わったかとか、あるいは国民に直接知らせるのかとか、必要な知識ならばマ スコミでどれだけ報道されたのかとか、そういったデータをフォローしてここに出して いただくことが、この寄与度の評価をするために非常に大切なことになるであろうと思 います。 ○ 黒川委員長   論点が整理されてきたような気がするのだけれども、研究というのは最初から言って いるように2頁の総合評価の(1)の最初のポツの社会的ニーズ及び行政ニーズに沿った研 究及び調査と、皆、言っているけれども、この調査というのとはまたちょっと違うので すよね。  だから、今、例えば、栄養調査というのこれは調査なのであって、調査のやり方の精 度を上げるという部分は常にやっていかなければいけないので、そこはイノベーション であり研究の部分になるけれども、普段は調査という業務が大部分であって、精度が狂 っていては話にならないわけですが、その辺は科学者としてのバックグラウンドで常識 的にしっかりやってもらいたいということですね。  だから、この間も言ったように研究と、皆、ひとまとめに言っているけれども、この 中には調査という業務が非常に多いわけですよ。定点測量とか天気も皆そうだけれども 、そういうのも研究所の役割ですよね。凄く大事な業務だから、その辺をはっきり純粋 な研究と分けておかないと難しいですよね。  その研究自体が非常に強いというのは大学であって、研究所が似たようなことをする には競合的な研究費を取ってくればいいのです。だから、やはり研究所には主として調 査を委託しているわけですよ、国としては、タックスペイヤーとしては、それが大事だ と認識しているから。  大事だというからにはなぜ大事かというと、適切な政治なり、行政的な決定とか、医 療政策等を通してそれを何か反映してくれるわけですからね。それをはっきりしておけ ば堀田先生の言ったようなことがはっきりするのではないかということです。  例えば産業安全研究所の場合だと、いろいろな災害の基礎的なことでそれぞれの会社 ではそういうことを研究するのにインベストするだけの余裕はないので、共通な問題を 研究所の方で解明して、そのおかげで会社の工場とかいろいろな所がより安全になった という話が出てくるわけで、そういう研究についてまでパブリックに知られている必要 があるかというと、そういうことはあまりないのではないのかなと思います。  その研究の目標が何のためであって、ターゲットが誰かという話がわかっていればよ ろしいのではないかなという気がしました。 ○ 開原委員  別な問題なのですが、国際性という問題なのですね。実はタックスペイヤー議論とい うのはなかなかトリッキーなところがあって、タックスペイヤーに還元されなければい けないのだというふうに考えていると、タックスペイヤーというのは日本人だから、こ の研究成果は常に日本に還元されなければいけないので、例えば開発途上国に対して還 元するのはけしからんという、極端に言えばそういう議論さえも一時はあったことがあ るのですね。その辺が日本の研究機関とアメリカの研究機関と非常に違うところで、ア メリカの研究機関は寛容で外国人に対しても研究費をくれたりするわけですね。  そこで、こういう研究機関は、将来、どういうふうに舵取りをしていくのかが私は大 変興味があるのですが、中期目標を見ると確かに国際協力と書いてあるのですね。だけ れども、それは国際協力をするというふうに書いてあるので、何となくちょっと引いた 感じがするのですね。何か頼まれれば国際協力をしないでもないけれども、というよう な感じです。例えば、ここの研究者が人類愛に燃えて開発途上国の栄養問題は日本より はるかに深刻だから、この研究所はむしろ開発途上国の栄養問題にこそ取り組むべきで あると言って、そういうポリシーを掲げて研究を開始するというのは評価すべきなのか どうなのかという、問題があると思うのですね。  ですから、これは私自身もはっきりとした結論があるわけではなく、問題提起として 申し上げているわけですが、強いて私の意見を言えば、もう少し日本の研究機関は国際 性を持ってもいいのではないかなと思っているのです。そういう意味でここの評価基準 のどこかにやはり国際貢献という言葉がひとつキーワードとして出てきてほしいという ことです。 ○ 黒川委員長  いかがでしょうか。当然のような気もするけれども。 ○ 岸委員  私も開原先生と同じように国際というところが総合的な評価のところに入っていない のが、これでよろしいのかどうかと疑問に思います。皆さんのご意見をもうちょっと聞 きたいと思いました。  私、大学におりますので、大学の研究ですとその分野の科学技術の進歩に国際的に貢 献するということは非常に大きな目標になるのですが、独立行政法人化する研究機関で その位置づけが、社会的ニーズ、行政ニーズに沿った研究及び調査を実施するというこ とは非常に大きな必要性があるし、一番大事なところだと思うのですが、国際的な視点 が入っていなくてもいいのかどうかのあたりもちょっとご討議いただければありがたい と思います。 ○ 黒川委員長   国際貢献のようなキーワードですが、ただ、国際貢献というといろいろな見方があっ て、日本のお金を向こうに渡すというのは国際貢献でも何でもなくて、むしろ非常にい い成果を出しているよということを日本が発することが日本の信用になるというのが国 際貢献というか、日本が元気になるひとつのファクターですよね。  何でもお金でなくてやはり優れた人を出すのが一番大事だと思います。例えばイチロ ーなんていうのが出ると相当な国際貢献ですよね。つまり日本の信用がこれでガラッと 変わるのだから。これは別にお金でも何でもないわけだから。そういう人が出てくるの と同じように、調査なら、そういう調査を日本は必ずしていますと、これだけの精度が 上がっていますという話は凄い国際貢献だと思いますけれども。  例えば、アジアに向けて日本はさすがに質のいいことをやっているなという話は凄く 国際貢献だと思いますけれどもね。JICA的なお金をばらまけばいいやというわけで もないのではないかなと思います。 ○ 唐澤政策評価官  開原先生のお話はきっと、例えば耐熱性のワクチンの開発みたいなことはないですか 。冷蔵庫があるから日本ではいらないのですけれども、熱帯では冷蔵庫のない国で耐熱 性のワクチンができれば非常に貢献は大きいと思います。日本の国民にはあまり貢献し ないかもしれないですけれども。 ○ 黒川委員長  そういうのは必要ですよね。だから、そういう必要が業務としてやるのか、研究とし てやるのか、そうしたら大学の先生は何でやっていなかったのかと、研究費取ってやっ ているのかという話も出てきますよね。開原先生もしょっちゅう、そう言われるけれど も。 ○ 開原委員  なかなかこの問題、難しいので、例えばちょっと雑談みたいになって申し訳ないので すけれども、結核を例にとると昔、大学にはたくさん結核の研究所があったのですね。 東大にも伝染病研究所があったし、千葉にもあったし、京都にもあったし、東北大学に もあった。ところが全部、今、なくなってしまったのですね。  ところが、それでは結核というのは世界的なレベルで見たらもうなくなったのかとい うとそんなことはなくて、世界中にはまだいっぱい結核は残っているわけです。最近で はまた日本でも結核が問題になってきている。  大学の場合には国内を向いていたからなくしてしまったわけでは必ずしもないのです けれども、それをなくしたことが本当によかったのかどうなのかということは、これは 非常に大きな問題なのです。だから、どこかで日本だけでない世界的にもまだどこかで 問題が残っているという視点に持っていると、それがまたどこかで日本のためにも役に 立ってくるということがあると思うのですね。  特に栄養の問題は日本の栄養の研究と開発途上国の栄養の研究はもう全く逆ですよね 。日本では栄養過多の方が問題だけれども、開発途上国は栄養失調の方が問題なわけで すから、そもそも研究の視点が全然変わってくる。そうすると日本の栄養研究所はそう いう栄養失調みたいな問題に全く無関心であっていいのかどうなのかという、そういう 話があると思うのですね。  だから、私は日本は栄養失調はあまりないのだけれども、やはり日本の栄養研究であ っても、どこかでやはり栄養失調の問題をやっておくことが日本という国の信用になる のではないかという気がします。栄養失調の研究を一生懸命やっている人は日本に少し も貢献しないということで評価されないのではかわいそうなので、どこかで国際的な視 点を持っているということを評価委員会としては示しておく必要があるのではないかな という意見です。 ○ 安井委員  おっしゃるとおりだと思うのです。私も環境研究なんかやっている連中といろいろ議 論していますと、例えば日本の国のお金を使って中国のある奥地でフッ素中毒があるな んていう研究をやっているのをどうして国の税金を使わなければいけないのだという話 がよくあるのですね。  ただ、やはりそれはそれで開原先生のおっしゃったことと全く同じことなのですけれ ども、そういったことについて中国政府がどう思っているかは置いておいても、その地 方の中国の方々が日本人をやはり信用するというのは、ひいては日本のセキュリティの 問題にも貢献しているのかもしれないというような考え方もあります。要するにもう少 し一般的な話をしてしまえば、どこかでやはり人類全体を対象とした人類益みたいなも のを考えていくというのはおそらく研究者として当たり前のことなのかなと思っていま す。  ですから、それをわざわざ書くかどうかというのはまたちょっとご議論いただいた方 がいいと思うのですけれども、まさに税金の一部としてこういうことをやりなさい、こ ういう調査をしなさいということ以外に、当然のことながら研究者個人としてそれこそ 最悪なところはたこつぼ学者になろうと試みる人もいるかもしれないけれども、それと は全く反対の非常に高い立場からの研究をされる方がおられると思います。ですから、 そういう研究者のアティチュードみたいなものがある種の評価の対象にもなりますよみ たいなニュアンスがどこかに入ればいいのかなとは思うのですけれどもね。 ○ 黒川委員長  これは開原先生もそのことをよく言われているのだけれども、もっと根源的な問題は 、私に言わせると、それは大学の研究者の問題ですよ。日本の研究者というのは圧倒的 に大学に多いのだから、そういう問題を認識してやらないというのは大学が問題なので すよ。  なぜかと言うと、こういう行政の独法化の視点ではむしろミッション・オリエンティ ッドな研究をするということだから、大学人がそういうことをやらないという理由は体 制に従っている方が有利だと思っている学者が多いからですよ。  文部科学省が予算をつければ、環境ホルモンだと言って予算が出ると、皆、そこにア プライするでしょう、何もしていなかった人が。だから、実に学者という人たちが情け ないと思います。講座がなくなったというけれども、講座がなければ研究ができないと 思っているのはちょっと違うと思いますよね。自分自身で予算をつけられるようにしな さいと僕は言っているのだけれども、講座がないからできませんと言われる。陳情型に なるわけでしょう。だったらどうして皆でアピールしないの。自分でどんどん論文を出 せばいいわけで、日本の人が知らなければアメリカに出せばいいじゃないですか。  だから、研究者と言われる人のうち7割が大学にいるわけだから、研究という意味の 発信から言えば、その人たちの社会的責任の方が僕は余程、大きいと思うのですけれど もね。 ○ 堀田委員  私も別に国民の視点からというのとは全く矛盾しないと思います。国際貢献が国民の 視点に反するならODA予算なんていうことはあり得ないわけですから、国民はODA 予算を承認している以上はそういった貢献も望んでいるというふうに思います。その点 は私は問題ないと思うのですが、問題は法律でありまして、例えば健康・栄養研究所法 の3条に目的が明記されていますが、それによると「研究所は、国民の健康の保持及び 増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究 等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする」とあり、法律 でここの権限を絞っていますよね。  この条文をどう解釈されるのか。今、言ったような国際的な研究も可能であるという 解釈ならば、それはそれでいいと思いますけれども、そこをひとつ詰めておく必要があ ると思います。 ○ 黒川委員長  ミッションがやはり国民のためというのは日本の国の質がいいということを世界に対 して凄く強いメッセージで出すということもそうだから、もし、アメリカのNIHとか 、ああいうのでやるのであれば大学がしっかりやらなければならないということだって いくらでもあるわけですよね。文部科学省の国際共同研究とか、いろいろあるから。 ○ 堀田委員  そう解釈できればいいのですが、国民の健康と言い切っているところがどういうふう に解釈されるのか。 ○ 開原委員  今、堀田委員の言われた問題は私も根源的な問題だと思っているのですね。実は私は 、国立大学にいたときに国際交流委員会にいたのですけれども、実は国立大学にも法律 の中に国際貢献をするという言葉はひとつもないのですね。日本の国立大学はあくまで も日本国民の教育、研究をするとしか書いてない。最近は随分、変わったのですけれど も、昔は国立大学の教官でさえも、例えば開発途上国、国連なんかに協力しようと言う と皆に迷惑をかけない範囲で個人的に行ってくださいという話だったわけですよね。  ですから、遡っていくと今、言われたような明治時代にできたのか、大正時代にでき たのか知りませんけれども、国内のことしか考えなかった時代に作られた何かに突き当 たるということが今でもあるような気が私はしております。 ○ 黒川委員長  明治19年の帝国大学令にそれが、遡って森有礼だろうと思いますけれども、そのとき に大学は研究というのが一番先に書いてあるのですよ。医学部のところも研究を以て教 育と診療にあたると書いてあるから、研究志向になったのだと思うのだけれども、その 他にいろいろな理由がありますよ。ドイツのシステムを入れて学位を導入するからしょ うがないのだけれども。  しかし、最近、文部科学省に行ったら関係法令において教育が一番上になっていまし たね。いつの間にか変えたなと思ったのだけれども、例の東大が大学院大学にするとき にはまだ研究が上に書いてあったから、かなり最近、変わってきたなという気がします 。だから、やはり変えようと思えば変わりますよ。それはやはり時代の流れだと思うか ら。  独立行政法人はプライマリーのミッションというのは国際性も大事だけれども、国際 性の内容というのはいろいろあると思うので、そういう視野は持っている必要があるけ れども、別に国内ばかり向いて仕事をしているわけではないですよね。国民栄養調査だ って日本ではこうやって塩をこのぐらい取っていますよと、産業安全だってそうだけれ ども、デバイスになって会社がそれを取り入れたというのはもの凄くやはり国際貢献に もつながりますよ。例えば、日本の製品が良い、より安全であるというような話で返っ てくると思いますよ。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  国立健康・栄養研究所の業務の法律上の解釈はさておいて、現状をお話しさせいただ きますと、私も年1、2か月はアジアの開発発展途上国で仕事をしている者なのですが 、特に厚生労働省のミッションで行く場合はまだいいのですが、あるアジアの国、向こ うの保健省からの招聘で旅費、その他全部持つから来てくれということで国民栄養調査 の技術移転に行くことがあります。昨年も行ったのですが、そうするとなかなか仕事と しては研究所のまわりの人たちは位置づけてくれなくて、あいつは何、ふらふら遊んで いるのだということになってしまうので、私はゴールデンウィークを潰して行ってまい りました。  やはり栄養に携わる研究をしている者はそういう国際的な必要性は感じている、その 社会的な意義は感じているわけですが、なかなかやはり制度として、あるいは業務とし て位置づかないので、そこに踏み込めないということです。  さらに政策的なレベルで、例えば栄養に関してどう国際貢献をするのかというような ことを出していただかないと、特に我々のような小さな組織ではそこまで大きく足を踏 み出せないのかなというのが現状でございます。 ○ 黒川委員長  これはしかし、独法化されれば文部省の国際共同研究とか、そういうものもグラント ・アプライできるわけですよね。だから、そういうので競争的研究資金を取られると非 常にいいのではないかなと思うのですけれども。  やはり、さっき言ったように業務と研究がある、大学の先生も教育と研究があって、 本当は研究は自分が研究している分だけやればいいと思うのだけれども、講座研究費な んていうのがついていて、それだけ研究していますという顔をしているからね、ちょっ と困るのではないかなと思うのだけれども。  開原先生が言ったのはよくわかります。国立大学の先生が半年とか、アジアに行って いろいろな教育活動をするなんていうことはできないのですよ。留学生が来たときにこ っちでやってやると、こういうスタイルが主なのですね。だから、非常にやりにくい。 だけれども、確かに公務員で全部、税金でお金払っているのだから、ちゃんと国民のた めに授業やってよという話を言うのも無理もない話かなということで、独法化されると どうなるのかなと思っていますけれども。 ○ 渡辺委員   さっき堀田委員がおっしゃった1頁目からの文言の問題も含めて、確かに私も国民( 納税者等)という表現は、これは、なぜ、等なのかというのはよくわかりません。 ○ 唐澤政策評価官   すみません。労災保険料の負担者である事業主その他何だかわからないものがあるの ではないかと、つい役人の習性なのです。 ○ 渡辺委員   必要性ということもおかしい感じがします。効率性、有効性の観点からというのはわ かるのですけれども、言葉の使い方として必要性の観点から適正に業務という、こうい う流れになってしまうわけで、言葉の使い方から言ってもこの必要性がここにくるのは おかしいなと思います。  2頁目なのですけれども、どうもひっかかるのは(1)のところで、労働者の安全の確保 若しくは健康の確保となって、安全の確保の方はいいのですけれども、健康の確保とい う、どうしても勘ぐりたくなってしまうのですね。つまり、向上というのが、なぜ、言 えないのかということで、設置目的か何かが明文化されているのですか。何で確保に留 めるのかなというのがどうもひっかかるのですよ。素直に考えればやはり産医研のこと を言っていると思うのだけれども、健康の確保というよりもむしろ私は向上と、もし、 言えるのだったら言った方がいいのかなというふうに思っております。  (3)で最後に1点、これも確かに堀田委員がおっしゃったように全部、4頁と完全重複 ですね。非常に手法としても安易だし、特にア、イ、ウはまだあってもいいかなという 気がしますが、エ、オは特にここにはいらないという気がいたします。以上です。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。少しずつ、問題点が整理されてきているかなという感じで すよね。はい、どうぞ、安井委員。 ○ 安井委員  私、ちょうどお話をいただいた(3)のその他の留意事項なのですけれども、確かに重複 しておりますからいらないと思うのですけれども、さきほど開原先生がおっしゃったよ うな話に関係をつけて、例えば研究者としてのある種の向上心をちゃんと確保できるよ うな組織であるかみたいな、極めて精神的な条項あたりをこの辺にうまく書き込むこと というのはできないものかなという気がします。  ですから、要するにいくら納税者というのか、国民に対していろいろとデータを出し て大変きつい仕事をしてくださってはいても、やはり研究者自身がそれなりにしっかり 意欲を持ってやっていただいている方がより我々としてもハッピーと判断すべきなのか なというような気もします。 ○ 浅田調査官   すみません。若干前後しますが、さきほどの渡辺委員のご質問にお答えします。  なぜ、総合的な評価の視点が労働者の健康の確保になっているかという理由ですが、 実は独立行政法人産業医学総合研究所法、いわゆる個別法の第3条に研究所の目的に、 「独立行政法人の産医研は、調査及び研究を行うことにより、職場における労働者の健 康の確保に資することを目的とする」と規定されていますので、ここではこの表現に合 わせた訳です。私どもの解釈といたしましては、健康の確保の中に健康の保持・増進も 含まれると解しております。 ○ 黒川委員長  第3条にそう書いてあるからね。だから法文の問題ですね、これはね。止むを得ない ですかね。 ○ 唐澤政策評価官  保持・増進と書いて悪いというわけではないので、それはちょっと相談させていただ きます。別にそんなにこだわっているわけではないので。 ○ 黒川委員長  だんだん労働者も高齢化してくるから向上はしないと、維持するのが大事だというこ ともあるのかもしれませんね。 ○ 田村委員  少し違った視点での話になるかと思います。基準(案)につきましては非常によくま とまってきておりますし、今までのご議論を踏まえてまとめていただければ大変立派な 基準(案)ができるのではないかと思っております。  ただ、これから我々、考えなければいけないことは中身でございまして、今後、評価 をする際に我々はどういうスタンスでやるか。そのあたりもきちんとコンセンサスを得 ておかないとかなり違った評価が出て、必ずしも効果的な評価ができないかもしれない という問題があります。手続き方法、実施方法もやはりどういうスタンスでどういうふ うな形でやるのが一番効果的かということも併せて検討しなければいけないのではない かと思うのですけれども。そのあたりは今後の議論ということでございましょうか。あ るいは今、申し上げてよろしいのでしょうか。 ○ 黒川委員長  どうぞ。 ○ 田村委員  まず最初に、評価については、いろいろな方がいろいろな視点で今までやってこられ ているわけなのですけれども、ただ、我々、思いますのは、すべてがわかって評価して いるわけではないというのが基本にあって、やはり我々の専門的な視点からの意見を申 し上げることになっていると思います。  もちろんいろいろな意見を聞かれて、それを取り上げていただいてより良いあるべき 姿に直していただくということは大事なことでありますから、そういった意味で幅広く 意見を申し上げるということは大事だと思うのですけれども、基本的なスタンスとして は専門的な部分について意見を申し上げるということが大事ではないかというふうに思 っております。  特に独立行政法人の研究機関は基盤的な研究、あるいは先導的、先駆的な研究を役割 としておやりになるわけでありますけれども、特に後者についてはなかなか簡単に評価 しにくい問題もあるのではないかと思います。そういった意味であまりフレキシブルで ない形の評価をしますと、本来あるべき姿を失っていく恐れがあるのではないかと思い ます。  そういうこともありますので、そういったやり方も少し工夫が必要ではないかなとい うことです。つまり、私が申し上げたいのは、専門的な視点から少しでも評価すること によって適正な評価ができていくのではないかと思うわけでありまして、その辺の評価 の仕組みについても少し考えていく必要があるのではないかという気がするわけです。  いろいろなところでいろいろな評価がやられていますけれども、例えば、評価をやっ ていく段階で、我々が専門外のことも含めていろいろと意見を申し上げて、それをただ 、まとめてしまうということではなかなか本当に正しい評価ができるのだろうかという 気もするわけでありまして、そういった意味では内容をよく知っていらっしゃる方が中 心になって我々の意見を最大限に考慮しておまとめいただいて、そこでまた我々がそれ に対して意見を申し上げるというような手続きが必要ではないかという気がします。評 価する際も、すべての委員が全部の機関の全部の項目について評価するというのは本当 にいいのかなと、そのあたりも含めて少し考える必要があるのではないかと思います。 以上です。 ○ 黒川委員長  確かにこれは最初に唐澤さんが言ったみたいに、これがファイナル・バージョンでは なくて、やはりこれを進めていくうちに、実際、全く違った視点で考えていたというこ とがあるかもしれないから、その辺はある程度、修正しつつ、より適正な基準にしてい くというプロセスが出てくるだろうと思います。 ○ 唐澤政策評価官   評価の実施方法というか、手順というか、プロセスというものも大変重要だと思って おりまして、研究評価の場合はひとつの研究の事項を評価をしてまいりますけれども、 独立行政法人の問題は機関全体を評価しなければいけないという問題がありますので、 なかなか難しい面があり、初めての試みだという面はあると思うのです。  特に私は評価の仕事をやっております関係でいつも感じますのは、プレゼンテーショ ンの仕方で大変評価の印象が違うということがあるのですね。これは世の中全体に共通 の法則なのかもしれませんけれども。  しかし、私どもの担当の事務局といたしましては、プレゼンテーションだけでなくて 、実際に本当に機関全体を何とかわかりやすい形で委員の先生にご理解をいただけるよ うにしたいというふうに思っておるのですね。  だから、私どもの事務局の方も全体をご覧いただけるような形で資料を用意させてい ただいたり、ヒアリングをしたりというような形で考えていきたいと思っております。 文章だけでということではなくてというふうに思っております。 ○ 渡辺委員  また、ちょっと聞いておきたいことがあるのですが、先の話かもしれませんが、これ は評価したと、評価したことに対する責任というものは最終的に誰が負うのですか。こ れは。例えば評価に対して独法の方が不満がある、例えばCとかDと、例えばですよ、 そういった低い評価に対する不服の申立てという問題も一方であるだろうし、例えば国 会で問題になるということもあるかもしれない。そういうときの最終責任者、これは誰 なのですか。 ○ 唐澤政策評価官  これは独立行政法人評価委員会は独立しておりますので、独立行政法人の評価を代表 する形としては黒川先生が委員長ということでございます。あとは委員の先生がそれぞ れ15分の1ずつ、責任を負っているということだと思っております。  もちろん私ども、事務局も事務局としての責任を負っておりますが、ただ、これは厚 生労働大臣から独立しておりますので、この評価委員会は。 ○ 渡辺委員  でも、これはいわゆる8条機関でしょう。 ○ 唐澤政策評価官  そうです。8条機関ですので、厚生労働大臣がもちろん行政としての責任は負います 。ただ、評価そのものは厚生労働大臣ができない形になっておりますので、その評価の 中身についてはこの委員会が責任を負うと、こういうことになっております。 ○ 渡辺委員  評価結果については取り扱いはどうなるのですか。 ○ 唐澤政策評価官  審議会とは違います。諮問、答申とは違います。今までの審議会の評価というのは事 務局が諮問案を作って、その諮問案を審議会に諮問をして、これはどうだということで 答申を出していただくと、こういう形になるのですけれども、この評価については諮問 案はありませんので、実績を直接、この委員会が評価をする形になります。  総務省への通知というものも従来は厚生労働省であれば役所の事務局を通して通知を 出しましたけれども、今度は評価委員会の委員長名で向こうの委員会に文書が通知され る形になりますので、その点では従来の審議会とちょっと違うと思っております。 ○ 開原委員  もう1点、また、ちょっと話が混乱するかもしれないのですが、意見を申したいこと があるのです。私の経験からしてこういう研究所にはここに書いてある研究と調査以外 の仕事がまだたくさんあるのではないかという気がするのですね。  多分、その最たるものが私は研修ではないかという気がするのですね。別な言葉で言 えば教育であってもいいのですけれども、さきほど吉池さんがおっしゃったことも私は そのひとつだと思うのです。例えば、開発途上国の政府からいろいろ相談したいからあ る期間、コンサルタントになって来てくれというような要請は、大学の場合、結構ある のですね。そうすると、それは研究でもないし、調査でもない。  例えば、JICAの研修生がやってきて、ある期間で研修をさせてくれというような 場合もあります。別に開発途上国でなくてもいいのですけれども、例えばどこかの地方 自治体の栄養研究所の人がやってきてしばらく研修させてくれとか、私はよくわかりま せんけれども、自分の経験からすると結構、そういう話というのはあるのですね。  私はそれも研究所の大きな役割ではないかなという感じがしているのですが、これも 大学にいるときに非常に困ったのですが、大学は留学生は受け入れられるのですが、研 修生を受け入れるという、規定がないのですよね。非常に不思議なことなのですがない のです。そこは慣行上、やっているわけなのですけれども。  ここから先は意見になるのですが、そういう意味で私は中期目標を大変興味を持って 、そこのところはどういうふうに書いてあるのかと思って見たのですが、一応、研究、 調査等というのが入っているわけですね。等が入っているのです。  ですから研修は、その等のところで読むのかと思うのですが、今度は今日、出された ペーパーを見るとここには等が入ってないのですね。研究及び調査を実施しているかと いうことになっているわけですから、この評価だけだと例えばそういう研究でもない、 調査でもないようなものは評価されない。しかし、私は研究所として非常に大事な役割 は特に研修、教育、啓蒙、そういうところにもあるという気がするので、せめて等を入 れておいたらいいのではないかというのが具体的な提案です。さらにできれば研修的な ものも非常に大きな役割なのだということで、そういう研修というキーワードをどこか に、さきほどの国際貢献と同じなのですが、入れておいたらどうかというのが提案です 。 ○ 黒川委員長   何かご意見、いかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○ 五十嵐委員  私も若干、関係していましたので知っていますが、いろいろな研究所が大学と、実は 客員教授だとかいろいろな制度を持っておりまして、この研究所がどれぐらい持ってい るかということは別問題としましても、実際上は制度ができるわけですね。ですから、 大学院担当とかということで研究所の方で学生を受け入れる、あるいは研修生という格 好で大学の方から送るというようなこともしていましたから、従来の制度を生かしてい けば十分、対応できますので、等はやっていると、現在もやっているというふうに私は 思っていますけれども。 ○ 黒川委員長  これ、独法化されると例えば文部科学省とか、よその省庁の科学研究費とか、いろい ろ競合的な研究費が取れるわけだし、もうひとつは連携大学院なんかもできるようにな るのではないかなという気もしますよね。  その辺をもうちょっとダイナミックに多分、運用というか、イノベーションできるか ら、等を入れておくのはよろしいかもしれない。等が書いてないと何をやっているのだ と言われても困るけれども、等の部分を明示してそれがマジョリティになっても困るか ら、一応、等を入れておいたらどうですかね。他のこともあるだろうし、学会というの はそうだけれども、その他に教育的な講演会とか、いろいろなことがあると思うので凄 く大事な役割だとは思います。そうですね。はい、どうぞ、安井委員。 ○ 安井委員  また戻ってしまうのですけれども、さきほど渡辺委員のご指摘の話に関係するのです が、独法側から不服の申立て云々という話だったのですけれども、不服まではいかない にしてもここの評価が次の年度、あるいは次の中期の5年なら5年に反映されるような 仕組みというものがどうなっているのかなということをちょっと知りたいなと思います 。  と言いますのは、この評価をだいたい年度が終わって3か月以内にやるのですけれど も、おそらく次の年度の計画はその前に出てしまっている。だから、時間的にどうも相 前後しているような気がしていて、そのあたりの時差をどうやって解決をされるのかな というのが疑問なのですが。 ○ 唐澤政策評価官  それは実はなかなか難しい問題なのですね。ひとつには私ども、考えておりますのは 、決めているわけではございませんけれども、年度末の3月前後の時点で一度、こちら の方の委員会で状況、まだ、完全に締まりませんけれども、現在の状況というものをこ の委員会に報告をさせていただくような形ですね、中途状況により暫定の評価をすると いうことです。  ただ、これは決算の数字はまだ締まりませんので、数字的なものをどのくらい詳しく お話しできるかということはちょっと難しい面があると思います。研究の進捗状況はお 話しできるかと思います。  もう1点は、お訊ねのもうひとつの方なのですが、これは行政の政策評価にも関係す るのでございますけれども、前年の評価を翌年に反映するというのは実はなかなか難し いことなのでございます。特に厚生労働省のような仕事では市町村でやっております仕 事というものの実績はだいたいその翌年の8月ぐらいにならないと数字としては出てま いりませんし、状況もはっきり把握できないということがあるので、実際上は実は一昨 年の状況を1年飛ばして実績が出てきたものを反映させていくというような形のサイク ルになるのではないかと思うのですね。  オールジャパンを対象にしております行政ですとか、研究ですとかいうような状況は 数か月前の状況を全部、洩れなく把握して次に反映していくことはなかなか難しい面も ございますが、ただ、研究所はそこまで大きくありませんので、かなりの部分は翌年度 には反映できるのではないかと思っております。ただ数字的なものを全部、中途の段階 で締めるのはちょっと難しいかなと思っております。 ○ 黒川委員長  ある意味ではお互いのやっていることの評価の視点というもののすり合わせがだんだ んうまくなってくれば、やはりフィードバックをして次の年でないにしても、どういう 方向にだんだん向いていくかという話が、議論はできますよね。多分、そういうことが できれば、それが見えるようになってくればいいのだと思うのです。 ○ 唐澤政策評価官  先生、もうひとつ、1年おきになってしまうというのは、3月なり5月なりに決算が 締まって、あるいは業務実績が出たものは、8月の概算要求に予算的には反映をしてい くのですけれども、これは翌年の次の年になってしまうので、どうしてもその4月から 反映させるというのはなかなか技術的にも難しいものがありますが、サイクル的にはそ れで十分、早く反映していくことになるのではないかとは思っておるのです。 ○ 黒川委員長  それは極めて緊急の大問題だなんていう話じゃなければ、やはりそんなに急に変える 必要もない。  その他にどうでしょうか。だから、この個別的な評価の3番、4番、今、1番がなく なったとして、4番が今度、新しい3番になるのかどうか知りませんけれども、そうす ると業務実績という結果だけではなくて、その結果を導くに至った背景的要件、例えば 外的要因及び内的要因についても考慮するというのがあります。  これがさっき堀田委員だったか安井委員が言われた中の同じ条件で同じ頭数でやって いるのだけれども、それぞれの職制があってひとつのチームがあってより活気があって やっているのかというような話が、つまり、ヒューマン・リソース・マネジメントみた いなところがこういうところで反映されるのかなという了解でよろしいのですか。つま り内定要件、ハードだけではないから、何か目の色が輝いてあそこはやっていますねと いうのが出てくるのがこういうところなのかなと思います。  あとはどうですか。堀田委員が最初に言った、いずれこういうのを5年というある一 区切りでやったとして、だんだんこのうち一部は民営化できることはあるのではないの かというようなことはいくらでもこれから出てくるだろうと思いますね。だから、そう いう視点は常に必要かもしれない。  最近、これ、どこまで本当かご存じの方がおられるかどうか知らないけれども、国立 大学の独立行政法人化というのはかなり今、どういうふうになってくるか、かなりヒー トアップしていてよく見えないのだけれども、例えば付属病院とか付置研とか、いろい ろなものがあるとするとそれを民営化しろという話がありますが、文部科学省としては そうではありませんと言っているけれども、よくわからないですね。  例えば食堂なんていうのは、ああいうのは民営化してしまってもいいのだと、どんど ん切り崩して切り売りしてもいいよというような話をしているのは、文部科学省は食堂 とはそういうことですよなんて言っていたからだけれども、そうじゃないかもしれない なと、皆、何か思っているみたいでもあります。そういう話もどんどん出てくるわけだ から、当然の内容としてはそういう方向はあり得るという了解でもよろしいですかね。  これは今、入れてなくてもいいのでしょうね。どうですか。 ○ 唐澤政策評価官  すみません。最初、私、ワープロで打ち直すと申し上げましたが、ちょっとワープロ 、打ち直すと難しそうなので、もし、先生方の意見がひとあたり、今、いただいたので あれば、ちょっとこういうふうに先生方のご意見がございましたものを踏まえて直した いということで申し上げたいのですが、よろしいですか。  まず、1頁目の総合的な評価のところで、国民のあとの(納税者等)を取らせていた だきます。これはいらんところに等が入っていまして、必要なところに等が入っており ませんでしたので、これは取らせていただきます。  2番目の(1)、(2)の視点が並んでおりますが、これは順番を入れ替えまして(2)の方を (1)に、(1)の方を(2)にさせていただきます。  元の(1)にございます必要性、効率性、有効性のところの必要性を取らせていただくと いうことでございます。 ○ 黒川委員長  括弧も取っていいのじゃないですか。 ○ 唐澤政策評価官  そうですね。括弧もですね。はい。括弧も取らせていただきます。  国際貢献のお話がありましたので、これは国際貢献というような国際性の言葉を入れ るかどうかちょっと検討させていただきまして、うまく言葉が入れられない場合は国民 の視点の中に含まれているという理解にさせていただいてはどうかと思っております。 ちょっとこれは技術的に検討させていただきたいと思います。  次の2頁でございますけれども、2頁の最初の(1)の健康の確保につきましては、これ は保持・増進にできるかどうかということを検討させていただきます。  次の最初のポツの社会的ニーズ及び行政ニーズの研究及び調査ですが、これは研究、 調査等とし、研修という言葉を入れればその方がいいのかもしれませんが、少なくとも 等は入れさせていただきたいというふうに思っております。  次のポツの情報発信のところでそれが有効に活用されたかという点ですね。これはこ ういうふうに入れさせていただこうかとも思うのですが、ちょっとご議論がありました ので、この点、もう少し整理、検討させていただきます。開原先生からご提案のあった もう一点なのですが、ここは直させていただきます。  3番目の個別事項のところは総合評価のところでは取らせていただいて、個別評価の 方に書かせていただきたいと思います。 ○ 黒川委員長  ちょっとここまででどうでしょうか。総論というか、はい、どうぞ。 ○ 古郡委員  総合的な評価のところで(1)と(2)については、国民的な視点に立って(1)と(2)を入れ るわけですね。そうしますとそれを受けて総合的な評価の基本方針はとくるわけですか ら、その(1)についての具体的な基本方針、(2)についての具体的な基本方針は何かがな いとつながりが悪いと思うのですね。  ですので、2頁目の(2)のところは1頁目の(1)を言い換えただけのことですからちょ っと座りが悪い。もう少し具体的な基本方針について黒丸か何かで入れていただかない とおかしいのではないかと思います。 ○ 黒川委員長  それはこれが同じ頁に現れたらどうなるかということですね。 ○ 唐澤政策評価官  非常に見栄えが悪いですね。おっしゃるとおりに。何か、ただ、反復しているだけで はないかということになるので、むしろ2回出てくるものを1回に整理をしてもいいで すよね。そうさせていただいて、古郡先生からお話がございましたように(2)の中身も少 しポツが入ればその方がいいと思います。 ○ 黒川委員長  それはグッドポイントですよ。同じ頁だったらやはり非常に奇異に見えるかもしれな い。  もうひとつ、開原先生、堀田先生の意見もあって、基本方針の(1)の2番目、国民に情 報発信されたかというのはいったい、それでいいのかという話がかなり出ましたよね。 実際、国民に直接、情報発信したからこれがいいというわけではなくて、産業安全なん かだと関係している企業とか、土木工事とか、環境の問題とかいろいろあるから、それ を必要としている人たちにちゃんと伝わっているかということですよね。だから、そう なるとこれは国民ではなくてターゲット・オーディエンスということを言うのだけれど も、これは何と言うのかな、日本語ではと思っていたのですけれども、さっきから。  さっき堀田委員が言ったけれども、この目的でやってますと、それはどういうものに 資するのかと、そうするとそれを必要としているのはどういう人たちだということがわ かっていれば、その人たちが採用するかどうかは別として、一歩一歩進んでいくなとい う状況はわかります。そのターゲット・オーディエンスに情報発信というか、伝達され たかという話だと思うのだけれども、それによってだんだん改善が図られていくと思い ます。それが国民レベルに見えるようになるのには、もうちょっとものによってかなり 違うと思うから、必ずしも国民に直接伝えるということではないと思いますね。だから 、何に適切に情報発信、伝達されたかと、こういうふうに言ってもいいのかなと思って いたのですけれどもね。適切にというのは、ターゲット・オーディエンスにちゃんとい っているということです。 ○ 渡辺委員  一番安易なのは関係者とか関係団体という用語を使うことですよね。 ○ 黒川委員長  そうすると何か非常にスペシフィックな感じになってしまう。却ってまずいのではな いかなと思います。 ○ 安井委員  例えば活用されることを十分意識した上でみたいなキーワードが入ればいいのではな いですか。 ○ 黒川委員長  それは目標でね。 ○ 堀田委員  修文の問題ですけれども、国民のために適切に伝達、活用されているかという感じで すかね。 ○ 黒川委員長  しかし、全体は国民の視点に立ってと書いてあるから、そのサブだからどうかなと思 ったのですけれども。 ○ 堀田委員   国民のためにというのは国民が直接、それを必要とする場合は国民に、間接的に活用 されるときにはその国民のためしかるべき機関にと、その両方を含んだ意味ですね。そ ういうことがうまく言えるといいのだけれども。 ○ 黒川委員長  修文、ちょっと考えてください。堀田委員の方が修文のプロだから、どうぞ。 ○ 開原委員  やはり私は2つ要素があるのと思うのですね。国民に情報発信するというのは、要す るにある意味では情報公開の話なのだと思うのですね。もうひとつは、ターゲット・オ ーディエンスに対してきちんと伝わって、そこで活用されるかどうかというのは、今度 は有効性の方の評価のような問題だと思うのですね。  だから、それを無理やりにつなごうとするとちょっと苦しくなる可能性があるので、 場合によったらもう2つに分けてしまってもいいという気もしますけれどもね。 ○ 黒川委員長  だから、こういう独立行政法人という機関はこういう業務のためにあるのだよという ことは知ってもらう必要があるというのがひとつですよね。  もうひとつは、出た成果を必要なところに、目標としているところに伝えたら、全然 、使ってくれないというような内容が貧しいものでは困るというような話なのだろうと 思うけれども。2つは別のことかな。  ○ 開原委員  理屈から言えば別だとは思うのですけれどもね。 ○ 黒川委員長   だから、(2)にそれが国民の視点に立って効率性、有効性等の観点から適正に業務を実 施したかというのがありますが、(1)のどの程度、寄与するかということのプロセスとし て(2)で判定していればいいわけですよね。  これはファイナル・バージョンではないから一応こういうふうにしていって、また、 1年後にどういうふうになるかでよろしいのではないかと思いますが。ちょっと整理を していただきたいと思います。 ○ 唐澤政策評価官  だいたい先生方のご意見がそんなに違っているわけでもございませんので、ちょっと 委員長と相談して文章を修正させていただきたいと思います。 ○ 黒川委員長   では、その次、個別的な評価にまいりましょう。これはあまりなかったですね。この 5段階評価はいいのではないかという感じだったですけれども。 ○ 唐澤政策評価官  確かに5段階評価の理由の付記は前の方に移した方がいいと思いますので、前の方に 移させていただきます。 ○ 古郡委員   5段階評価の例のところ、A+というのではなくてSの方がいいかなと思うのですけ れども。 ○ 黒川委員長   EとかS。大学の点みたいになってしまう。SというのはスペシャルのSか何か。A +と言うとなかなかないぞという感じでいいかもしれないですね。 ○ 古郡委員  特にこだわりません。 ○ 黒川委員長  はい、わかりました。その他に、それは例ですので、また、変えたければという話が ありますが、最終的には例えばアナログで0から10までどこに丸がいきますかというよ うな話でも構わないと思いますけれども。 ○ 唐澤政策評価官  最終的にはこれはまた実際の評価の業務が近づいたときにいろいろとご相談をしたい と思うのですけれども、だいたい相場感みたいなものが必要なのですよ。これ、1回目 なのでなかなか合わなくて先生方によって非常に大リーグ、メジャーリーグ並の基準で いくか、3Aぐらいのイメージでいくか、だいぶ違うというところがありまして、その 辺のところをまた追ってご議論していただきながらやっていただきたいと思っておるの です。 ○ 黒川委員長  まず個別の評価があるではないですか。一番最後に総合評価となるとまたA+とか、 A、B、Cだと何かわからなくなるから、総合評価というのは0から10までのスケール でやって、さあ、どこに丸をしますとなると、7.5 ぐらいにするのか、7.3 ぐらいか、 人によって違うと思うのだけれども、そういうのはやはり相場感を形成するかもしれま せんね。 ○ 唐澤政策評価官  先生、すみません。それでは、昔、フランスの審判がきついとか、いろいろな話があ りましたけれども、あまり違わないようにしてだいたいこのぐらいというような感じで やっていだたきたいのですけれども。  個別項目の中で、安井先生から、研究員が意欲的に研究に取り組んでいるかというの がありましたね。ある意味では組織が活性化しているかどうかということをちょっと個 別項目の中に加えさせていただければと思っております。 ○ 黒川委員長   そうですね。 ○ 開原委員  ただ、これは整理の問題だけなのですけれども、個別的な評価に並んでいる(2)から(8 )の中にも、さっきの総合的なところであった2つの視点がやはりあると思うのですね。 中身の話と運用の効率化の話とがあります。それが多少、互い違いに出てきているよう な感じのところもあるので、やはり少し並べ方を整理された方がいいのではないかなと いう感じがするのですけれども。  例えば(4)とか(5)とかという話とか、(7)とかという話はどちらかと言うと研究の内容 の話で、(3)とか最後の(6)とか(8)とかというのはどちらかと言うと運用の話ではないか なという感じがするのですけれどもね。 ○ 黒川委員長  ちょっとそれは整理させていただいて、わかり易い順番にすることとします。 ○ 古郡委員  個別評価項目の(4)のところですが、さきほど委員長がちょっと説明してくださって、 内的要因というのはわかったのですが、文章がとてもわかりにくいと思います。内的要 因はやっとわかったのですが、外的要因とは例えばどういうものを言うのでしょうか。 ○ 黒川委員長  場所が狭いとか、大きな機械を入れたら、場所がないから遠くにレンタルスペースし たとか、そういう話かな。いろいろ考えられるかもしれない。 ○ 堀田委員  人が少ないとか。 ○ 黒川委員長  人が足りないということもあります。だけれども、それは内的要因で、皆が活性化し ていないからだという話があるのかもしれない。頭数揃えてもだめだよというのかもし れない。 ○ 古郡委員  わかりやすく、いい文章にしていただきたいと思います。 ○ 唐澤政策評価官  ちょっとかなり回りくどく書いてあるものですから、わかりやすくさせていただきた いと思います。 ○ 黒川委員長  わからないですよね。外的要因と言ってもいろいろあるから。これも整理してみます 。どうぞ。 ○ 堀田委員  小さいことですが、(2)の量的な側面、質的な側面もちょっとわかりにくいですね。も し、論文の量が長いだけで、数が多いだけでなくて内容を見ろという話ならむしろ内容 の方を重視しなければいけないし、側面というのもちょっとわからないですね。 ○ 黒川委員長  独法化した国研がたくさんありますよね。カテゴリーによって随分ミッションが違う のですよね、仕事の内容が。だから、今まで言っているように業務実績の量的な側面と 言われると何報、論文を出したとか、何回、学会に行ったとか、発表したなんてことに なって、そんなのはちょっと国研によって全然、合わないと思いますよ。50出したなん て、そんなのは中身がないに決まっているなという気がしないでもないですね。  だから、そういう意味からいくと業務をきちんとして、データの正確さがきちんと維 持されているかという信頼性についてはどういうふうに保障しているかと、こういう内 的なレベルが凄く大事なわけじゃないですか。タイムリーなリポートとかね、そういう のが凄く大事なのだけれども、それが皆、論文、論文ということばかり言っていると非 常に無理しているなと思いますね。水増しするに決まっているなと思います。  質的な側面の評価を論文についてやるのであるとすれば、さっき言ったようにどれだ け他に引用されているかという視点があると思います。どういうふうなところに出して いますかというのは必ずしもこれは国際ジャーナルである必要がないわけで、日本の場 合はターゲット・オーディエンスが全然違うのだという話であれば、そういうしかるべ きところにリポートを作成して届けているというのが凄く大事なわけだから、しかも、 それがどれだけ使われたのかというのが質的な側面になってくるわけですよ。  だから、この辺については、これから経過を見ていかなければわからないと思うので 、こうは書いておいても実際はそういう実際的な問題を考えていかなければならないと 思います。経産省のJISとかああいうのをやるところは論文なんかそんなに出るわけ でなくて、リポートをどんどん書いて出すというのが大事だと思いますけれども。 ○ 唐澤政策評価官  ここは日本語としては、「的な側面」というのはもともといらないというだけで、量 だけでなく質を見るということですので、ちょっと文章をすっきりさせてみます。 ○ 堀田委員   質を中心にした方がよいと思います。。 ○ 唐澤政策評価官   はい、ありがとうございます。 ○ 黒川委員長  量が問題だ、量が大事だというのですか。そうではなくて、質が大事だというのです か。 ○ 唐澤政策評価官   質が大事です。 ○ 黒川委員長   質が大事ですね、そうですね。 ○ 安井委員  ちょっと先走った質問かもしれないですけれども、これ、個別的な評価というのは業 務の個別的進捗状況について測定すると書いてありまして、実はさきほど唐澤さんから ご提案いただいた、私が申し上げたようなことで例えば活性化されているかどうかと、 これは業務かという話がひとつあって、ですから、本当に個別的な評価の対象というの は何なのだというのがまたちょっと再び、わからなくなりつつあります。例えばいろい ろな業務についてざっと点数をつけていくようなイメージなのですかね。それが例えば 中期目標のそれぞれの項目についてそれぞれやっていくというようなイメージなのです か。 ○ 唐澤政策評価官   一応、この評価の視点の大きな項目に沿って個別項目はご審議していただこうと思い ます。 ○ 安井委員  何項目ぐらいやらなければいけないですかね。 ○ 唐澤政策評価官  これを、ただ、この小さい項目毎につけるのか、もうちょっと単位を大きくつけるの かということは、これは少しご議論いただきながら考えたいと思います。あまり細かく つけますと先生たちも点数をつけにくくなってしまうと思うのですよね。大変です。 ○ 黒川委員長  安井先生、あまり細かくやると本業ができなくなりますよ。これ、同じことを話して いても多分、一人ひとりの委員によって認識がかなりずれていると思う。多分、立場と か経験によってですね。だから、これはやってみながら考えていくよりしょうがないか なと思います。それで発表していただく、質問する、キャッチボールしながらそういう ことですかという話はこれから出てくるのではないのかなと思いますけれども。  インダストリー関係の方はおられますか。例えば、産業安全なんていうところは非常 に土木、建築的なところに関係者が限られていますが、国民栄養調査というと、すぐに 皆、自分のお腹が少し出ているなんていうことを考えているから関心が高く、分野によ って認識も異なってくるのだと思うのです。 ○ 渡辺委員  今の関連で、さっき唐澤さんがメジャーなのか、3Aなのかという表現を使われてい る。総務省として最後に各役所ごとの評価を全部まとめるわけでしょう。総務省の方か らあまり規制をかけらるのも困るけれども、総務省に集まったうちでどこどこの省の委 員会はやったらめったら厳しくて、どこどこ省のはやったらめったら甘くてというのは 当然、あり得ることですが、これについて総務省は何か基準を持っているのですか。 ○ 唐澤政策評価官  これはもうやりながら試行錯誤しながらやっていくということで、特に総務省の方か らははっきりした方針は示されていないというのが実情ですね。だから、総務省の方も 各省のものを、まず、集めて、帰納的に考えようということではないかと推測しており ます。 ○ 田村委員  教えてほしいのですけれども、評価結果の取り扱いについてはガイドラインというの は決まっているのですか。評価結果、出ますよね。その結果についてですね。 ○ 唐澤政策評価官  評価結果は各法人にもちろん示しますし、公表されますし、総務省の方に通知をされ るということになります。 ○ 田村委員  その後はどうなのですか。 ○ 唐澤政策評価官  その後は、各研究所に評価がいきますので、その評価を受けた点についてはこれは改 善をしなければいけないということになりますし、今まではそういう評価は普通の皆さ んの目には触れませんでしたので、そういう普通の皆さんからもインターネットなどを 通じてたくさんご意見があると思いますし、国会の先生方にも目に触れますので、この 研究所はどういうことをしているのだろうなというありがたいご質問が増えるのではな いかと思っております。 ○ 黒川委員長  最後の委員会における評価の具体的な実施方法というのはどうでしょうね。ここはあ まり今日、議論はなかったと思いますが。今のご質問に関係がありますけれども、それ で公表を行うというと委員会がこんなことをやっているなと、こんな評価項目を作って いるなというのがわかり、他の委員会のものも見ればいろいろ視点が違うのがわかると いう話かなと思います。 ○ 唐澤政策評価官  ここは確実なことだけを書かせていただいておりますので、実際のやり方は今、また 、ご議論をしていただきながら段取りを決めたいと思っております。 ○ 黒川委員長   これは今、田村委員が言ったようにそれでどうなるのだという話があったけれども、 これは僕、凄く日本の国の根本的なあり方の問題だと思うのですよ。  これはイギリスのサッチャーの真似をしているのかもしれないけれども、あれはエー ジェンシー化で、こちらは国のものだけれども業務を委託してやるものは独法化しただ けの話ですよ。だけれども、その辺はわかっていてどさくさに紛れて公務員の定員を下 げたりしようとしたのではないかという気がしないでもないけれども、エージェンシー を独法というふうに直すと全然違ったフィロソフィーで日本的なものになってしまうと いうことではないかなと思います。  だから、国立美術館も独法化しろなんてどさくさに紛れて弱いところから切られてい るのかもしれないけれども、大学も独法化するという話もありますが、そういうふうに どさくさに紛れたトランジションというのが今、あるからそれにどう対応していくのか なということだと思います。  だから、これを評価してどうなるのかと、田村委員が言われるような話があるのだけ れども、それでは今までの日本ではパブリックが評価して、お金を払わないよなんて言 ったことはないでしょう。つまり、全部、役所がまとめてやって、すべてパブリックの お金はタックスで取り上げて自分たちが分配するということです。だから、皆、陳情に 行くという格好ができたわけで、これはもう江戸時代からそうなのです。だけれども、 西洋ではどうかと言うと、そこのヘリテージ財団でも何でもそうだけれども、もうNP Oにパブリックが直接、寄付するわけでしょう。もらう方も、その価値を常に見られて いるから、パブリックに対して我々はどれだけの信頼性があるのかと、アカウンタビリ ティがあるのかということは常に皆、意識していますよ。学者もそうだし、そういうと ころが日本とは違います。  そういうメカニズムは日本にないですから、これは変わっていかなければいけないで すよね。だから、やはりそういう財団や何かにどんどん寄付すれば税金免除になるとい うふうになってくれば、もうちょっと健全な世界になるけれども、こういう歴史的に全 然、違うところに名前だけエージェンシーと入れるところに非常に無理があると思いま す。  だから、これはもうトランジションだなと思っていますが、だから、どうなるのだと 言われても、アメリカなんかだったらあんなことやっているのかと言われればもう寄付 金がどんどん減りますよ。だんだん潰れていってしまうと思いますけれども、日本では 陳情していれば大丈夫だということですからね。全然筋が違うなと思っています。  そんなところで今日、どうなるものでもないというところがあるわけなのかもしれな いけれども、とりあえず、いかにパブリックとの会話を、データをどんどん出して会話 を広めていくのというのが一番大事なことではないかなと思います。  例えば、イチローが人気があるのだって結局、テレビで皆がライブで見るからそんな ものだと言って、今度は読売ジャイアンツの視聴率が下がると、こういうことになるわ けですね。評価されなければ誰もお金を払わないと、こうなってくるわけだから、そう いうシステムをいかに働かせるかだと思います。  これは整理して、先生方に整理したものを後でお送りするということですね。 ○ 唐澤政策評価官  整理をして先生方にお送りさせていただきたいと思います。実際の評価のときにはこ うやって先生方同士でご議論をしていただくことにより、だいたい評価の基準が頭の中 で揃ってくるということになると思いますので、また、ご議論をいただきたいと思って おります。 ○ 黒川委員長  はい。ということでこれを最終的に確定して、これでいこうというようなセレモニー は必要なのですか。 ○ 唐澤政策評価官  セレモニーは必要ではありませんので、とりあえずこうした形でまとめさせていただ きまして、これを3研究所の方に当面の評価の指針ということで示したいと思っており ます。 ○ 黒川委員長   はい。そういうことでよろしいでしょうか。それでは今日、発言されなかった方はお られますか。どうですか。皆さん、発言されましたか。ありがとうございました。  それではそのようにまとめてさせていただきます。これはファースト・バージョンで すから、いくらでも今後リビジョンがあるということであります。  どうもありがとうございました。 3.閉会 ○ 唐澤政策評価官   今後の予定でございますけれども、当面、次の予定は具体的にはしておりません。ま た、視察等も行いたいと思いますが、ご相談しながら進めたいと思っております。以上 でございます。 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03-5253-1111(内線7784・7780) ダ)03-3595-2160