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第5回「ヒト細胞組織等に由来する医薬品等による健康被害の救済問題に関する研究会」(議事概要)
日時 |
平成13年6月18日(月)12時30分〜14時30分 |
場所 |
厚生労働省別館7階第10会議室 |
出席者 |
浦川委員、高橋委員、鴇田委員、堀内委員、森島委員、矢崎委員、
野々下専門家
厚生労働省医薬局長、総務課長、医薬品副作用被害対策室長、
血液対策課課長補佐、審査管理課オーファンドラッグ専門官等
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議事
1.第4回研究会の議事概要
2.我が国の他分野の救済制度の概要
3.ドイツ、スウェーデンの医薬品による健康被害救済制度の概要
4.フリートーキング
5.今後の研究会の予定
[主な発言内容]
(1)我が国の他分野の救済制度の概要
- ○ ヒト細胞組織等に由来する医薬品等による健康被害を受けた場合には、現行においては、司法上の手続により製品の欠陥を立証できれば製造物責任制度が、医薬品の「副作用」に該当すれば医薬品副作用被害救済制度が利用可能である。
- ○ 医薬品による「感染」は「副作用」ではないので、医薬品副作用被害救済制度の対象外という整理がされている。
- ○ 医薬品等に感染因子等の不純物が混入していたことによる健康被害は、少なくとも製造物責任に該当する可能性がある。ただし、血液製剤については、製造物責任法の制定当時、世界的な最高水準の安全措置が講じられていることを含めた製品の特性を踏まえ、そこで生じる問題は「欠陥」には該当しないとの政府統一見解が示されている。
- ○ 医薬品副作用被害救済制度においても、抗がん剤、免疫抑制剤、血液製剤等については、ある程度副作用が予測されても使用せざるを得ず、受認すべきものという考え方から、その副作用は対象外とされている。
(2)ドイツ、スウェーデンの医薬品による健康被害救済制度の概要
- ○ ドイツ、スウェーデンの制度では、「副作用」に限定せず、医薬品による健康被害全体を考えており、そこが大変重要なポイントの1つではないか。
- ○ ドイツ、スウェーデンの制度においては、賠償額の上限により一種の歯止めがかかっていることから、対象とする健康被害を「副作用」に限定していないのではないか。
- ○ 我が国の医薬品副作用被害救済制度創設の際は「感染」を除外するという意図は全くなく、医薬品には「副作用」が不可避であり、その被害の救済の必要性から創設されたものであり、その際「副作用」と定義されたものではないか。
- ○ ドイツでも制度創設の際には、HIV等の「感染」について議論していないのではないか。医薬品による健康被害を賠償の対象としようとしたのみで、「副作用」と規定しなかっただけではないか。
3)フリートーキング
- ○ 制度の性質として、大きく分けると損害賠償か、損害賠償ではなくて行政的な救済にするかがあり、行政的な救済の場合には、損害賠償に準ずるようなものにするか、災害救助的なものにするかという考え方があるのではないか。
- ○ 行政的な救済にした場合、因果関係の認定等において患者側の負担を大幅に減らせるという利点がある。
- ○ 既存の制度においても、細かく考えると、定義によっては、漏れてしまうものや入ってきてしまうものがあるのではないか。
- ○ 感染症を制度の対象とすると、院内感染については医薬品、医療用具に原因がないということで除外できるが、2次感染、3次感染という問題が出てくる。
- ○ ES細胞等を使い、それをいろいろなファクターを加えて一定の組織細胞に分化させ、人に投与してがん化した場合、感染とは違うかもしれないが、考えておかなければならないのではないか。
- ○ 現段階では、化学物質でも同様であるが、がんが発生した場合、その原因が医薬品である等、原因を究明することは難しいのではないか。
- ○ 遺伝子治療に用いられるベクターなど、ウイルスを用いたものは、安全性が確認されなければ、当分は医薬品として承認されないのではないか。
- ○ 現行の医薬品副作用被害救済制度の「副作用」という概念を広げて「感染」までカバーするとすれば、その対象となるのは医薬品、医療用具に限定され、考える対象を限定し得るのではないか。一方、製造物責任法に手を加えるとすると、「承認」という概念がないから、加工の要素が加われば、対象となり得るのではないか。
- ○ 混在した要素によって健康被害が起こり、そのことが今までは分からなかったが、将来明らかになった場合にどうするかに焦点を絞った方が良いのではないか。
- ○ ES細胞等は、本当に発がん性がないということをクリアしないと、なかなか臨床には導入されない。発がん性の問題は、将来生じたときに議論した方が良いのではないか。
- ○ 医薬品副作用被害救済制度の中に、「感染」による健康被害を含めれば、将来考え得る健康被害は一通り救済対象として含まれてくるのではないか。
- ○ 「感染」については、きちんとアイデンティファイすることは難しいが、いざ救済となった場合には、コンセプトとして「感染」を視野に入れたということであれば、そのほとんどが対象に含まれるのではないか。
- ○ プリオン病もGVHDも広い意味での「感染」に当たるのではないか。
- ○ 発がんなど切りがない問題もあるが、後から出てきたものも組み込める一方で、切りがなく広がらないような概念を考える必要があるのではないか。
- ○ 2次感染、3次感染の問題については、その問題が起きたときに、社会としてどこまで認め得るか等の観点から、今後議論しなければならないのではないか。
- ○ 制度をつくったときにどれ位の費用がかかるのか、費用を負担させようとする者にどれ位の負担能力があるか、「感染」のためのファンドを「副作用」のファンドとは別に設けるのか又は1つにするのか等、いろいろな問題があるのではないか。
- ○ ヒト由来の製品として一番考えなければならないのは血液ではないか。その中でも輸血用血液製剤ではないか。
- ○ 新たな制度をつくるとした場合、過去の被害の問題が持ち上がってくるが、それは別の問題として整理しないと、制度が最初から立ち上がらなくなるのではないか
。
- ○ 再生医療を中心とした人工組織や人工器官ができたときに、思わぬことが起こる可能性があるが、これも議論した上で結論を出した方が良いのではないか。
- ○ ドイツにおいては、医薬品による健康被害の救済を考えていたときに、民間保険会社が、そのような公的制度を作られると、自分たちのテリトリーを荒らされるため、従来の民間の損害賠償保険制度の中に医薬品も組み込むよう求めた。医薬品についてのみ先に無過失責任の製造物責任を作ることとなったが、ドイツでは昔から重い責任を課す代わりに、支払能力の観点から、賠償額を計算できる金額にしており、医薬品についても上限額が設定された。
- ○ スウェーデンにおいては、損害賠償の場合でも大部分が社会保険でカバーしてしまう。そのため、損害賠償額は、支払能力の観点とは離れて、低く設定されている。
照会先:医薬局総務課医薬品副作用被害対策室
野村
03-5253-1111(内線:2719)
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