01/05/18 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会           日時 平成13年5月18日(金)           14:00〜16:00           場所 メルパルクTOKYO 5階 瑞雲 出席者:寺田分科会長、井上委員、小沢委員、熊谷委員、黒川委員、小林委員、 品川委員、清水委員、首藤委員、田中委員、羽生田委員、村上委員、 山崎委員、吉倉委員、和田委員     企画課長、基準課長、監視安全課長、新開発食品保健対策室長、     検疫所業務管理室長、食品国際企画調整官 ○事務局  ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会」を開催いたします。本日はご 多忙のところご参集いただき、厚くお礼申し上げます。本日は、小川委員、児玉委員、 柳川委員が欠席でございます。高仲委員は遅れておられるようですが、分科会委員総数 19名のうち15名出席で、過半数に達しておりますことを報告しますとともに、本日の分 科会が成立いたしますことをご報告申し上げます。なお、食品衛生部会の一部の委員に 異動がございましたので、企画課長からご紹介をさせていただきます。 ○企画課長  今回、新たに3人の委員の方々が当分科会委員としてご就任されましたので紹介させ ていただきます。  独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所長の清水実嗣委員、国立感染症研究所 長の吉倉廣委員、埼玉県立大学副学長の柳川洋委員(本日は欠席)の3人の方にご就任 いただいております。  また、今回4名の委員の方々が、当分科会委員を退任されましたので、ご報告いたし ます。前農林水産省家畜衛生試験場長の寺門誠致委員、前国立感染症研究所長の竹田美 文委員、前国立健康・栄養研究所長の澤宏紀委員、および日本チェーンストア協会商品 流通委員会特別委員の杉伸一郎委員の4名です。なお、杉委員の後任の委員につきまし ては、現在選任中でございます。  また、本年4月1日付で事務局のほうにも一部人事異動がございましたので、ご報告 をさせていただきます。小宮山前検疫所業務管理室長の後に、松浪室長が就任をいたし ております。ご紹介は以上です。 ○事務局  それでは、開催にあたり一言ご挨拶を申し上げたいと思います。本来であれば、保健 部長が参りまして、ご挨拶を申し上げるところでございますが、本日は国会等の公務の ため、こちらに参ることができません。したがいまして、食品保健部企画課課長のほう からご挨拶を申し上げたいと思います。 ○企画課長  尾嵜食品保健部長に代わりまして、一言ご挨拶を申し上げます。本日はご多忙のとこ ろ、各委員におきましてはご参集を頂戴いたしまして誠にありがとうございます。委員 の先生方におかれましては、それぞれのお立場から食品衛生行政の推進に各般のご協力 をいただいておりますことに対しまして、この場をお借りいたしまして改めて御礼を申 し上げます。  本日の議題は、まず「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び 基準の設定について」でございます。腸炎ビブリオ食中毒は、ご案内のとおり昭和25年 に発見されてから、我が国における主要な食中毒の1つであり、毎年1万人規模の患者 が確認されております。本日は、お手元の資料にもございますとおり、平成10年から検 討してまいりました腸炎ビブリオ食中毒防止のための水産食品の規格基準の設定につき まして、乳肉水産食品部会の報告が取りまとめられておりますので、本分科会におきま してご審議をよろしくお願いしたいと考えています。  次に、議題の2つ目、食品衛生分科会におきます確認事項についてでございます。本 年3月に保健機能食品制度を創設いたしまして、特定保健用食品につきまして、薬事・ 食品衛生審議会において安全性及び効果の審査を行うこととなりました。特定保健用食 品につきましては、現在約250の食品が許可されておりますが、近年、消費者への認知度 も高まりつつあり、審査品目も増大化する傾向にございます。こうした特定保健用食品 の審査にかかる当食品衛生分科会における確認事項につき、追加のご審議を頂戴したい と考えております。  以上のほか、先月27日に開催されました食品衛生分科会食中毒部会の検討概要及び牛 及び乳製品の規格基準の改正にかかる諮問に関しましても、この場でご報告をいたした いと考えております。  食品を取り巻く情勢は、日々急速に変化しておりますので、私ども食品衛生行政に携 わる者といたしましても最新の科学的知見に基づきまして、迅速かつ適切に対応してい かなければならないと考えております。このため、今後ともお集まりの各委員の先生方 のご指導、ご協力を引き続きお願いしたいと考えております。本日の議題も国民の関心 が大変高い、非常に重要なテーマでございますので、ご審議のほうをよろしくお願いい たしまして、簡単ではございますがご挨拶にかえさせていただきます。ありがとうござ いました。 ○事務局  議事に入ります前に、分科会長代理の選出を行いたいと思います。分科会長代理でご ざいますが、前国立感染症研究所所長の竹田委員が食品衛生分科会をご退任されました ので、新たに分科会長代理を選出したいと思いますが、薬事・食品衛生審議会令第6条 によりますと、分科会長が指名するものと定めておりますが、分科会長いかがでしょう か。 ○寺田分科会長  それでは私のほうから指名させていただきます。本日はご欠席ではございますが、小 川委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、分科会長代理は小川委員にお願いしたいと思います。以後の進行につきま しては、寺田分科会長にお願いを申し上げます。 ○寺田分科会長  それでは分科会の議事を進めていきたいと思いますが、その前に事務局から資料の確 認をお願いいたします。 ○事務局  資料としては、「薬事・食品衛生審議会の名簿」。資料1−1「腸炎ビブリオ食中毒 防止対策のための水産食品に係る規格及び基準の設定に関する薬事・食品衛生審議会食 品衛生分科会乳肉水産食品部会報告について」。資料1−2「腸炎ビブリオ食中毒防止 のための水産食品に係る規格基準の設定について」に対して寄せられたご意見等につい て。資料1−3「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格基準の設定 に関するWTO通報に対する意見等について」です。資料2は「新開発食品調査部会に おける特定保健用食品に係る安全性及び効果の審査の確認事項について」。参考資料1 「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び基準の設定につい て」。参考資料2−1「食品衛生分科会における確認事項」。参考資料2−2「薬事分 科会における確認事項」。参考資料3「腸管出血性大腸菌による食中毒の対策につい て」。参考資料4「乳及び乳製品の規格基準の改正」についてです。 ○寺田分科会長  それでは議事に入ります。先ほど課長のほうから説明がありましたように、本日の議 題案件は、審議事項が2つ、その他として報告事項が2つございます。審議事項として は、議題の1「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び基準設定 について」、2つ目が「食品衛生分科会における確認事項について」であります。その 他の報告事項としては、平成13年4月27日に開催されました「薬事・食品衛生審議会、 食品衛生分科会中毒部会の検討概要及び乳及び乳製品の規格基準の改正に係る諮問」の 2件について報告することになっております。  本日の議事につきましては、まず議題1の「腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水 産食品に係る規格及び基準の設定について」進めさせていただきます。それでは事務局 より説明をお願いいたします。 ○基準課長  議題1、腸炎ビブリオ対策についての規格基準の設定について、事務局よりこれまで の経過、部会の報告書の簡単な概要、規格原案に対するパブリックコメントに対する回 答、あるいはWTO通報を行い、それに対する意見及びそれに対する回答ということで 話をさせていただきます。  資料1−1、1頁には部会報告書の別紙があり、初めに経過が書いてあります。もう 少し詳細に経過を説明いたします。ご存じのように、腸炎ビブリオにおける食中毒は、 年間約1万2,000人の患者が出ているということで、細菌性食中毒の大半を占めていると いう状況です。このような観点から、平成10年12月に、当時の食品衛生調査会乳肉水産 食品部会に、水産食品衛生対策分科会を設置して、10年以降検討を行ってまいりまし た。  12年5月に「腸炎ビブリオによる食中毒防止対策に関する報告書」をまとめ、厚生大 臣に意見具申という形で出されたわけです。その意見具申を受けた後、12年の夏の間を 使い、食品の一斉取締り、点検であるとか、汚染実態の調査であるとか、あるいはそう いった水産物の取扱い状況について、いろいろ調べたわけです。それを受けて平成12年 10月に、食品衛生調査会に対し、「腸炎ビブリオ食中毒対策のための規格及び基準の設 定について」ということで諮問がなされたわけです。その諮問書が参考資料1というこ とで、本日お配りしています。その後、12年10月あるいは11月、水産食品部会において 審議を積み、また業界の意見聴取などもして、規格基準の原案を作成しました。その 後、1月にはパブリックコメントの募集、2月にはWTO通報を行い、それぞれの意見 が取りまとめられて、この5月に本報告書を取りまとめていただいたということです。  報告書の詳細は、後ほど熊谷部会長よりご説明いただきますが、簡単に申し上げます と、新たに切り身、むき身の鮮魚介類、いわゆる刺身と煮かに(ゆでかに)について、 腸炎ビブリオの規格基準を新たに設定するということ。また4頁、すでに規格基準があ りますゆでだこ、生食用かき、あるいは冷凍食品類につき、追加として腸炎ビブリオ対 策を設けたということです。そういった内容が盛り込まれた報告書になっています。  資料1−2は、規格基準の原案について、1月にパブリックコメントを求めるという ことを行い、また厚生労働省のホームページ上でも公開をし、そのパブリックコメント に対する意見及びそれに対する私どもの回答を整理したものです。1−2の1頁、パブ リックコメントは、1月26日から2月25日まで、件数にして30件、意見数は延べ105件で す。それを中身に応じて整理をしたものがこの資料です。主だったものについて説明さ せていただきます。  1.「成分規格」については、(1)にありますように、腸炎ビブリオ最確数を切り   身については100以下に抑えるという原案です。流通チャンネルの縮減、生産者側へ   の負担を強いられるところから、実態を一層踏まえた上で実施する必要があり、少   しきついのではないかという意見がありました。それに対しては、腸炎ビブリオの   食中毒は近年非常に大きなものとなっているということ、また死者が出るなど、健   康被害の上でも重大な問題になっているという事実を認識してもらい、規格基準の   検討に際しては、業界の意見聴取もやっているということ、またいろいろな調査結   果を見ても、腸炎ビブリオ最確数が100を超えるというような、いわゆる基準割れの   ものは1%未満という少ないものであるということを申し上げています。  2.「加工基準」については、いくつか問題指摘、意見がありましたが、主なものと   して2頁(5)から(9)にあるようなことです。原案では、いわゆる近海の海水   で洗うことはやめてくれという趣旨です。海水を使うなら滅菌海水を使う、あるい   は人工海水を使うということを要件にしています。それに対して滅菌海水の装置を   用意するのは、経済的にも、また時間的にも大変であるということ。あるいは生け   簀の中で魚を飼っていますが、きちんとやるのなら、そういうものにも殺菌海水を   使うようにとしてはどうか、といった前向きな意見がありました。前者の意見につ   いては、使用水は殺菌海水のみに限定するのではなく、いわゆる飲用適の水でもい   い。あるいは人工塩水等でも問題はない、ということを申し上げています。また、   生け簀のものについては、今回は義務化はしていませんが、できるだけ殺菌海水、   あるいは外海の海水を使用するように努めてほしい、という対応をしようというこ   とで回答をしています。  3.「保存基準」ですが、今回の基準の重要な点として、流通販売時の10℃以下の保   存ということについても、やはり同じように負担が多くなるということで、なかな   か対応が難しいという意見がありました。それに対しては、腸炎ビブリオが増殖す   ることは、他の細菌に比較してとても速い。この菌の増殖を防止するためには、本   当であれば4℃が最適であるとされている。10℃を超えると突然増殖が始まるとい   うことで、そのようないろいろな要素を考えて10℃以下ということは、出来るであ   ろうし問題のないところではないか。氷詰めといったことで不可能ではないだろう   ということで、そういった回答をしております。  3頁、(6)「ゆでかに」ですが、今回の規格原案では、容器包装に入れて販売する ということを言っております。よく市場ではゆでたかにを表に置いて売っているのが実 際であります。それを容器包装に入れるというのは、現実的に不可能ではないかという 意見がありました。これについては、これまでの煮かにを原因食品とした大規模な食中 毒の発生原因は、加熱後の2次汚染が問題なので、それを完全に防止するために容器包 装という提言をしているが、何らかの方法で2次汚染防止策が講じられているというこ とが分かるのであれば、容器包装に入れて販売するということを義務化する必要はな い、そういう方向で検討しますということを申し上げています。  4.「表示基準」、(3)立て札などによる一括表示は認められるかという点につい   ては、個別の容器包装に、開けないでも容易に見ることができるように、見やすい   場所に記載をすることが必要だ、という一般論で答えております。  5.「施行時期」についてですが、十分な猶予期間を設けることという意見です。猶   予期間を設けなければ実行不可能なものについては、十分な猶予期間を設けること   等を検討しますということで、これについては後ほど申し上げたいと思います。  「その他」、4頁でありますが、今回の基準そのものが関係者に与える影響は非常に 大きいので、誤った理解にならないよう、十分に説明してほしい、あるいは国民への普 及啓発、消費者側は買ったら早く食べてほしいということに対する啓発も行うべきであ るというような、いわゆるリスクコミュニケーションの話が出ました。これに対して は、規制改正時には、もちろん通知により詳細に解説するほか、必要に応じて説明会も 実施したい。あるいは厚生省のホームページ等を使って、消費者を含め、普及啓発を行 っていきたい、という回答をしております。  5頁、「検査法」です。最確数を100以下にするための検査法がありますが、それを3 段階法とするほうが、検査の精度が高いという意見がありました。この点については、 対応可能な検査方法を設定したいと考えている、という回答をしております。以上がパ ブリックコメントとして寄せられたものと、それに対する回答です。  1−3は、WTO通報に対する各外国からのご意見とそれに対する回答です。第1点 は、タイの研究所からの意見だったと思いますが、魚介類の腸炎ビブリオの最確数を100 未満と設定するならば、むしろ魚そのものよりも海水中の腸炎ビブリオ量を設定すべき である、という提言でした。これに対しては、今回は魚介類ではなく、魚介類の加工品 を対象に、腸炎ビブリオの対策として1g当たり100未満としたものであり、これは加工 段階の衛生管理を徹底するということ。海の段階というよりも加工段階についての問題 点なので、今回こういう提案をした。海水中の問題については、もちろんその汚染を最 小限にする対策は重要であるが、これは今後の調査研究・検討課題である、というよう に答えました。  2つ目は、腸炎ビブリオは5℃の低温下でも増殖可能、長期の保存は危害を増大させ るため、10℃の保存基準は、保存期間の制限も含むべきである、ということでありま す。これに対して、確実に10℃で保存すれば、一般的に短期間で消費されるということ を特性とする刺身類でありますので、時間的な制限は行わなくても問題はないと思う。 また飲食店等において、冷蔵保存下を出したものはできる限り速やかな消費をするよう に指導することとしているので、問題はないと考えるという回答をしております。  次にカナダ、アメリカからの意見であります。  今回の規格基準(案)については、病原性のある腸炎ビブリオについては考慮されて いなく、成分規格は病原性のある耐熱性毒素TDH産生株について規定すべきである。 科学的にはそうすべきではないかという意見です。私どもの原案は、いわゆる腸炎ビブ リオ全体の、ビブリオそのものの数という形で決めておりました。この点については、 現時点において、TDH産生株を効率よく検出する方法が確立されているとは言えない ということが1点、また低頻度ながらもTRHなど、他の毒素産生株も見い出されてい るということから、毒素非産生菌も含めた腸炎ビブリオを指標菌として用いることのほ うが現実的だし、妥当であると考えられる、という回答をしております。  意見の2つ目ですが、CODEX委員会において、水産食品に係る腸炎ビブリオのリ スクアセスメントが実施されているので、国際基準が設定されるまで待つべきであると いうものです。回答としては、そういうことが行われていることは承知している。一 方、日本では毎年行政に届出があった患者だけでも年間約800件、1万人の腸炎ビブリ オ患者が発生しており、99年には死者も出るなど、社会的に重大な問題になっている。 そういった我が国の状況に鑑み、できるだけ早く規格基準を設定していくべきである、 という回答をし、国際基準が出れば、その段階で整合性を図るべく見直しについて検討 することはやぶさかではない、ということを申し上げております。  最後の意見ですが、ゆでかにのように加熱済み製品は、腸炎ビブリオは死滅している ので、今回の規制は妥当であるが、切り身またはむき身の鮮魚介類、生がき等は、そも そも102/gを確保することが困難だという意見がありました。これについては、2000 年に厚生省と各都道府県が実施した調査結果によると、輸入品を含め、我が国で流通す る加熱加工工程のない、いわゆる刺身類のうち、99.8%が102/g以下で押さえられて いたということ。加工時の取扱い方法、流通、販売時の温度管理が適切であれば、102 /gを確保することは困難なことではない。現実的であるし、問題のないところだと考 えているということを回答しました。  今回は、そのようなことも配慮した上で、部会の報告書となったものです。以下、熊 谷部会長のほうからご説明をよろしくお願いします。 ○熊谷委員  今回の報告書について、簡単にご説明させていただきます。昨年10月の諮問を受け て、乳肉水産部会において腸炎ビブリオ食中毒予防のための水産食品の規格基準の設定 について検討しまして、その報告を取りまとめたのが今回のこの報告書です。取りまと めに当たりましては、昨年5月の報告書、また昨年の夏に実施しました汚染実態調査結 果、水産業界からの意見聴取、パブリックコメントなどを参考といたしました。生産か ら消費までの総合的な対策が重要であるという観点から、汚染防止、増殖防止のための 必要な規格基準を設定するとともに、基準化が困難な部分につきましても衛生指導を行 う、という内容になっております。  まず、過去の食中毒事例を解析し、腸炎ビブリオによる大規模な食中毒の原因となっ たことのあります水産食品、切り身、むき身の魚介類、煮かになど、そのまま食用に供 する魚介類の加工品につき、規格基準を整備することとしました。  報告書の2頁から、その規格基準の内容が書いてあります。まず、切り身・むき身の 生食用鮮魚介類加工品ですが、これは成分規格として製品1gあたり腸炎ビブリオ最確 数100といたしました。その理由については、先ほどのカナダ、アメリカに対する回答に ありましたことがその理由となっております。TDH産生株というのが、いま現在病原 性を現す腸炎ビブリオの大部分なのですが、それを対象にして基準を設定するのがいち ばんベストだと思われますが、それを食材から実用的な方法で確実に検出できる方法 は、残念ながらまだ確立されていないということ、また、昨年の調査結果から、腸炎ビ ブリオがグラムあたり100を超える部分というのは、全体の1%以下であるというこ と、海水中に常在する菌であるということから、魚介類について腸炎ビブリオを完全に ゼロにするという基準は、非現実的であるということ等々から、非産生菌も含めた腸炎 ビブリオ全体を指標菌という捉え方で、グラムあたり最確数100という基準を設けると いうことにいたしました。  また、加工に際して処理していない海水を使用しているということが、魚介類の腸炎 ビブリオの汚染源になっているということが考えられることから、基本的に殺菌海水、 あるいは人工海水の使用を求めることとしました。  保存温度については、10℃以下を確実に守れば、実質上は腸炎ビブリオが増殖すると いうことはない、というふうに考えられることから、この温度を基準としました。  3頁、煮かにについてですが、成分規格としては、適切にボイルされていれば、当然 腸炎ビブリオが死滅しているはずでありますので、成分規格として腸炎ビブリオ陰性と いたしました。加熱の基準としては、中心温度70℃1分間以上、加熱後に無処理の海水 を冷却水として使用したということが食中毒の原因となった事例があったことから、こ れも殺菌 保存基準については、やはり10℃以下で保存するということ。2次汚染防止 の観点から、清潔で衛生的な容器包装で包装するということを基本といたしましたが、 煮かにの販売形態を考えて、先ほど基準課長がおっしゃいましたように、2次汚染措置 が講じられている場合は、必ずしも包装しなくてよろしいということにいたしました。 海水、あるいは人工海水の使用を求めることとしました。  その他の魚介類についてですが、4頁からその記載があります。ゆでだこ、生食用か き、冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類)については、これまでも規格基準が設定されてい ましたが、今回の対策として、煮かにや切り身、むき身等の規格基準と整合性をとるた めに、必要な項目については、そこにお示ししてありますような基準を追加することと しました。  5頁以降ですが、関係者に対して指導を行うことについては、1つは4℃以下であれ ば腸炎ビブリオが減少すると期待されることから、品質上問題がなく、対応が可能であ れば4℃以下で保存してほしいということ。また、飲食店や旅館、あるいは一般家庭に おいても、冷蔵保存の状態を出てから可能な限り速やかに消費するよう指導するという こと。活魚を保管するための海水の腸炎ビブリオの増殖が危惧されますので、殺菌海水 の使用、無処理の海水による食品の汚染防止を求めるという内容になっております。  寿司については、10℃以下の保存基準を適用した場合に、ご飯の部分が乾燥してしま うという品質上の問題がありますので、当面は個々の施設に応じた現場での指導を行っ ていただく。将来的には、衛生規範を作成という方向で進む、という内容になっており ます。  6頁、食中毒の原因等に関する調査研究については、いまだ改善できない部分も多々 ありますので、今後ともこれを推進するべきであるということで、この報告書は終わり といたします。以上です。 ○寺田分科会長  ただいまの事務局からの説明、及び熊谷委員からの説明について、ご質問あるいはご 意見はございますでしょうか。 ○吉倉委員  今の説明でよく分からなかったのですが、菌数は一体いつ数えるのですか。店に出す 朝、夕方、次の日の朝、いつを数えるのですか。 ○基準課長  いつということではございませんで、販売中、流通中は必ず、いつでもこの菌数限度 以下になっていなければならないということです。 ○吉倉委員  そうすると、四六時中モニターをしなければいけないという話になりますが、どうで すか。 ○基準課長  その時々に、その工程が、はっきり超えないという状況にあるという環境設定が出来 れば、多分問題なく一定の期間、定期的な検査でいけるのではないかと考えております が、これは取り扱う場所によってもいろいろと違いますので、現実には取扱い状況が変 われば検査をする。その検査は自分でしてもいいし、指定機関でしてもいいので、そう いった形で動いていただきたいと考えております。 ○寺田分科会長  説明されたのを聞き逃したのだと思うのですが、ゆでかにとか、ゆでだこは陰性であ ると書いてあり、片方は100以下と書いてありますが、これはどういうことなのですか。 ○基準課長  100以下となっていますのは、菌を一度死滅させるという工程を入れておりません。生 でそのまま流通しますので、これはゼロにはできない。ゆでだこ、ゆでかにについて は、一度ゆでるという状況を加工の段階で入れておりますので、一度なくなったものは そこから増やさないという意味で陰性としております。 ○寺田分科会長  ほかに何かございませんか。ないようでしたら、この薬事食品衛生審議会第3条の規 定に基づき、この部会報告における決定事項を当分科会として議決し、審議会長宛、報 告することといたしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (一同異議なし) ○寺田分科会長  それでは、この部会報告書を分科会報告書の様式とし整理し、分科会の報告書といた します。では、答申書(案)をお願いします。 ○事務局  では、答申書(案)を読み上げさせていただきます。  厚生労働大臣 坂口  力 殿 薬事・食品衛生審議会 会長 内山 充  答申書(案) 平成12年10月24日付厚生省発生衛第294号をもって諮問された腸炎ビブ リオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び基準の設定について、下記のとお り答申する。 記  腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び基準については、別添 のとおり設定することが適当である。 (別添) 腸炎ビブリオ食中毒防止対策のための水産食品に係る規格及び基準 I.次の水産食品に対し、新たな規格基準を設定することが適当である。 1 食品一般の調理基準 2 切り身、むき身の生食用鮮魚介類加工品 3 煮かに(ゆでかに)、それぞれにつき、先ほどの報告書の内容に合った成分規格、  加工基準等を記載をしております。  2頁目の下、「II.次の水産食品に対し、規格基準を追加することが適当である。」 として、「1.ゆでだこ、2.生食用かき、3.冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類)とい うことで、先ほどの報告書の内容にありました規格基準等を記載しております。  4頁目以降には、別紙として腸炎ビブリオの検査方法について記載をしております。 以上でございます。 ○寺田分科会長  ただいまの答申書(案)について、何かご意見ご質問はございますか。 (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、この答申書(案)の(案)をとり、答申書として厚生労働大臣に答申させ ていただきます。この件について、今後の予定等、事務局より説明をお願いいたしま す。 ○基準課長  今後の予定でありますが、腸炎ビブリオ食中毒は、7、8月がピークとなりますこと から、できるだけ急いで今年の夏に間に合わせるようにしていきたいと思っておりま す。まずは告示改正を行いますので、法律上の手続として6月の初め、できれば1日を 予定しておりますが、告示の改正をし、官報告示いたします。施行ですが、一部を除 き、7月1日より施行したいと思っております。多少の猶予期間が必要なものとして考 えておりますのは、切り身、むき身、いわゆる刺身類のうち、加工基準がいくつかあり ましたが、その中の1つ、いわゆる殺菌海水を用いるという部分については、それに対 応するために時間がかかるということもあり、刺身の部分の殺菌海水の部分について は、来年の6月1日を施行といたします。また、表示基準については、新たにそれぞれ の容器包装に表示をさせますので、準備期間として、これも来年の6月1日を施行とす る猶予期間を設けますが、他のほとんどの部分については、本年の7月1日から施行を するということで、本年度以降の腸炎ビブリオの食中毒防止対策に万全を期したいと考 えております。以上です。 ○寺田分科会長  それでは引続き審議を行います。議題の2の「食品衛生分科会における確認事項」に ついて、事務局から説明をお願いいたします。 ○新開発食品保健対策室長  議題2について、説明させていただきます。審議会に諮問を行ったものについて、確 認事項として部会、分科会の審議または報告の扱いについては、1月23日付ですでに別 添の参考資料2−1のとおり定められているところです。一方、本日お諮りいたしまし た特定保健用食品につきましては、本年3月27日をもちまして、官報に告示され、4月 1日から施行実施されているところです。  去る3月30日に、第1回の審議会、食品調査部会を開催し、今後の特定保健用食品に 係る安全性及び効果の審査の確認事項について議論をしていただきました。そこでの議 論において得られました事柄について、本日ご承認をいただきたいというものです。資 料2「特定保健用食品に係る安全性及び効果の審査」です。「食品規格の範囲」という ことで、分科会での審議または報告があります。まず1ですが、「食品のうち、部会の 意見に基づき、安全性や効果から見て慎重に審議する必要があると分科会長が認めるも のの安全性及び効果の審査に関すること」。すべて諮問いたしまして、部会で審議をす る形でやっておりますが、一般的には部会の審議の結果をもちまして、本審議会での結 論ということにしております。本件については、分科会まで上げたほうがいいという形 での議論がまとまり、なおかつ分科会長が、本件については分科会で改めて審議をした ほうがよいと認めたものについては、分科会で審議をしていただくということにしてい るものです。  2番目以降は、部会で審議し、分科会には報告という形で出しています。「新たな特 定保健の目的に資する栄養成分を含む食品の安全性及び効果の審査に関すること」で、 特定保健用食品については、保健機能を持つ関与成分を決定したわけですが、栄養成分 に新たな成分が出てきたというものについては、審議をして報告するというものです。  3番目「既存の保健の目的に資する栄養成分を含む食品であって、新たな保健の用途 に適するとされるものの安全性及び効果の審査に関すること」。これは、すでに特定保 健用食品の関与する栄養成分として認められているものであっても、新しい保健用途と して出てくるもの、これまで認められていなかった用途として許可を求めた場合の取扱 いです。  4番目が「既存の特定の保健の目的に資する栄養成分を含む食品であって、既存の特 定の保健用途との新たな組み合わせを行う食品の安全性及び効果の審査に関すること」 です。これは、すでに栄養成分そのものは、特保の関与の成分と認められている。ま た、「既存の特定保健の用途」、お腹の調子を整えるとか、いろいろすでに認めている 用途があるわけですが、特定の成分の用途が結びついて認められているものがない、要 するに組み合わせとして新しいものというものです。  5番目は「特定の保健の目的に資する栄養成分と特定の保健の用途の組み合わせが既 存の特定保健用食品と同一の食品であって、特定の保健の目的に資する栄養成分の1日 あたりの摂取目安量、食品の形態又は原材料の配合割合が大きく異なるものの安全性及 び効果の審査に関すること」というもので、これはすでに認められている特定保健用食 品と同一ではあるが、例えばこれまで清涼飲料水の形態であったものが、錠剤の形態に 変わるとか、関与する栄養成分の配合割合が大きく変わるとか、そういったものは新た に審議をする必要があるというふうに考えております。  2頁、参考として「安全性及び効果の審査を経ているものとする食品について」とい うものです。「申請の内容を確認した結果、次に該当する食品については、薬事・食品 衛生審議会における安全性及び効果の審査をすでに経ているものとして取り扱うことと し、その旨を部会に報告するものとする」というものです。個別に諮問して審議をする というものではなく、事務局のほうでチェックして、その後部会に報告をし、部会のほ うで問題がないということであれば、そのまま手続を続ける。「特定の保健の目的に資 する栄養成分と特定の保健の用途の組み合わせが、既存の特定保健用食品と同一の食品 であって、食品の形態、原材料の配合割合の変更がなされているもののうち、食品衛生 分科会における確認事項の新開発食品規格部分の表の5に該当しないもの」というも の。具体的には、関与する栄養成分の量は変わらないが、例えば形態の量が変わって、 大きかったものが小さくなったり、あるいはその逆であるとか、そういった実際の効果 には変わりがないと考えられるものなどです。  2番目が、「商品名を除き、既存の特定保健用食品と同一の食品」ということで、全 く同じ商品が複数のチャンネルで売られるとか、製造業者は1つであるが販売業者が複 数の場合というのがありますので、そういった食品、つまり全く同一の食品について は、すでに「安全性及び効果の審査」を受けているものという形で取り扱っていきたい ということです。以上です。 ○寺田分科会長  ただいまの説明について、ご質問は何かありますか。ないようですので、この特定保 健用食品に係る安全性及び効果の審査の取扱いについては、ご承認いただけますでしょ うか。 (異議なし) ○寺田分科会長  それでは、承認をいただいたものと認めます。  最後に報告事項が2件残っております。平成13年4月27日に改正されました「薬事・ 食品衛生審議会食品衛生分科会、食中毒部会の検討概要及び乳及び乳製品の規格基準の 改正に係る諮問」につきまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○監視安全課長  4月27日に改正されました、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会でのご 議論と、その結果についてご報告を申し上げます。参考資料3「腸管出血性大腸菌によ る食中毒の対策について」というものです。4月27日の食中毒部会では、1.滋賀県で 発生した腸管出血性大腸菌O157による食中毒事件と、2.千葉県等で発生した腸管出血 性大腸菌O157による食中毒事件について、4月27日に開催された食中毒部会で、意見を 下記のとおり取りまとめています。それぞれの詳しい事例が、1については3頁に、2 については4頁に記載してあります。  1件目は、滋賀県、富山県、奈良県等で発生した牛の角切りステーキによるO157食中 毒事件です。この肉は、テンダライズ処理及びタンブリング処理を行った食肉が原因食 品とされる食中毒事件です。このテンダライズ処理というのは、針状の刃を刺し通し て、原形を保ったまま固い筋や線維を短く切断する処理、簡単に申し上げれば活け花の 剣山で肉を刺すことにより、筋切りをやるということで、柔らかい肉ができるというも のです。タンブリング処理というのは、調味液を浸透させるために、調味液を加えてゆ する、タンブルすることによって、調味液が浸透するということです。こういう処理を すると、表面にO157がいた場合には、肉の深部まで入っていく。そういうことで、表 面加熱だけでは肉の中の菌が死滅しないで生きている状態になる  こういう角切りステーキは、ファミリー・レストランで出されたものですが、これを 食べて、全体で数は3県で6名の患者が発生しています。似たような事件は、昨年も同 じようなファミリー系のレストランで起きており、これについては食中毒事件としては 取り扱われてはいませんが、私どもとしては業界に対して、こういう処理をしたという 表示をするよう指導をしておりましたが、それが徹底されずに今回、そういう表示のな いタンブリング処理、テンダライズ処理をされた肉を原因とする食中毒事件が起きたわ けです。  これについては、1の下から3行目、4行目に書いてありますように「これらの処理 を行ったため、中心部までの加熱が必要である旨を表示することを義務化する必要があ る。また結着肉についても、食肉内部に病原微生物汚染のおそれがあることから、同様 の表示が必要と考えられる」というような意見をいただいております。ここで出ており ます結着肉というのも、やはりファミリー・レストランのチェーン店等で行われており ます肉の切れ端を寄せ集めて、結着をさせてステーキにするというもので、これも菌が いた場合には結着をすることによって内部に封じ込められるということから、これも表 示をさせるべきではないかということです。  2つ目は、4月に起きました牛のタタキを原因食品とする食中毒事件です。これも新 聞紙上等ですでにご存じかと思いますが、原料肉は輸入牛肉です。国産も含め、牛肉に は少なくとも1%程度のO157の汚染があるというのは私どもの常識でありますが、 O157がいるかもしれないという肉の処理については、きちんと加熱すべきであるとい うのは当然のことなのですが、牛のタタキは十分な加熱がされていない製品ということ になります。実際に製造工程を調査した結果は、十分に加熱をしているということです が、製造する過程においてマッサージというのをやるのだそうです。タタキにする肉を マッサージをするということによって、香辛料等を深く浸透させるわけで、筋線維の粗 い部分であれば、菌が表面にいた場合は深部にまで菌が入っていくということが起きる わけで、そういう肉は少しぐらい熱を加えても菌が死なないということです。  タタキは原料肉の汚染が原因の1つと考えられるが、輸入食品のモニタリングの検査 を充実すること。また、国産の牛肉の衛生を確保するためには、畜場法の基準を遵守さ せて、枝肉の微生物検査を推進する。また、加工者による原料肉の管理の徹底など、さ らなるO157汚染の低減化を図ることが必要だということです。  2つ目は、牛タタキの処理工程において、生食用食肉の衛生指導基準の不適合の可能 性がある。さらに調味過程で原料肉の表面汚染が内部に浸透したことが示唆されたこと から、当該基準の遵守、原料肉の調味等による処理を行わないように指導すべきであ る、というご意見をいただいております。  3番目は、牛タタキが十分な加熱が行われていない食品であることを考慮すると、広 範な食中毒の発生を防止するためには、食肉処理施設において、牛タタキを大量に処理 し、広域流通させることはリスクを高める結果となるということで、飲食店等において 処理後、同施設で速やかに喫食させることが望ましいということであります。なぜこう 書いたかと申しますと、牛タタキが原因と思われる食中毒事件は、3月末から起きてい るわけですが、当該施設では、1月、2月の生産量と、3月の生産量を比べますと、1 月、2月に比べて3月は3倍の生産量になっています。大量の生産をして、大量に流通 させた。そこで、よく加熱をされないものについてはそういう問題が起きやすいという ことから、こういうようなご意見が出されております。  4番目のほうは、タタキを販売店で購入後、家庭等で喫食したり、販売店において試 食で提供されたということがあった。牛タタキを食べないと当初言われていた方が、よ く聞いてみると試食をしたということで、試食をしただけで感染をして発症していると いう方がいました。特に小さいお子さんは、親の知らない間に試食に手を出して食べて いる。量販店等で客をどうつかむかというと、まず子供がターゲットということで、ま ずは子供をなつかせておいて、親に買わせるというのが手だそうで、自分で判断できな い子供には試食はさせないようにすべきではないか、量販店等にもそういう周知をさせ るべきではないかということで、4番のようなご意見をいただいております。  5番目として、ローストビーフというのも俎上に上がったわけですが、ローストビー フからは菌が検出されていない。牛のタタキとローストビーフは、同じバックヤードの 中で調理をしていたということを考えると、ローストビーフの汚染というのもあるので はないかと考えたわけですが、かたやきちんと加熱をして作られたローストビーフと、 ほとんど加熱をしない形で作られる牛タタキが同じ施設で作られる、または同じ施設で 調理をされるというのは好ましくないというのは前提でありますが、やるとすれば、き ちんと消毒をすべきであるというご意見を、この部会のほうからいただいております。 以上です。 ○寺田分科会長  ただいまのご説明に、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。 ○和田委員  いまのご説明の1のところで、「表示をすることが義務化」とありますが、「中心部 まで加熱が必要である旨」というのは、具体的には、中心部まで加熱するようにと、そ ういう表示の文章ということでしょうか。 ○監視安全課長  表示の書き方自体は、どんな表示が良いかというのは今後、事務的に検討しなければ いけないと思いますが、こういう処理をしたということを、まず相手側、買う側に周知 をさせるという意味からも、こういう処理をしていますよと、したがってきちんと加熱 調理をしないと駄目ですよというための表示をまずさせようと。そうするためには、ど ういう表示がいちばん効果的かということは、今後、先生方のご意見を伺いながら行政 としてこれから考えるということです。 ○和田委員  結着肉というのは、何年か前に表示の問題を議論したことがあると思うのです。整形 肉という、あれとはちょっと違うのかもしれませんが、これも結着肉であるということ を書いた上で、さらに中心部までの加熱が必要ということを、最終の消費者にも分かる ように表示するということでしょうか。 ○監視安全課長  結着肉についても、テンダライズ処理、あるいはタンブリング処理された肉と同じよ うに、きちんと加熱をしなければ駄目ですよということですが、誰に知らせるための表 示かというと、最終的にそれを調理をする人によくわかるような表示の仕方、というふ うに私どもは理解しております。 ○寺田分科会長  では、次の「乳・乳製品の規格基準の改正に係る諮問について」お願いします。 ○基準課長  参考資料4になります。乳・乳製品の規格基準の改正については、本年4月25日付で 諮問をさせていただきました。中身については2頁をご覧いただきたいと思います。諮 問の背景でありますが、昨年6月の雪印乳業の食中毒事故の発生や、あるいは近年の 乳・乳製品の製造加工技術の進展、あるいは商品の多様化、あるいは病原菌の耐熱性に 関する新たな知見、そういったものも含めて規格基準を改正することについてご意見を いただく、ご審議をいただくというものです。また、容器包装につきましては、いろい ろな合成樹脂につき、個別に使いたいということで承認を与えているものもありますの で、それを一般的なものとして良いかどうかというものもあります。具体的な検討事項 は3頁です。  製造方法の基準について検討いただきたいのは、雪印の問題の時にいろいろ指摘され ました脱脂粉乳等について、製造基準がないが、設定することについてどのようにした らいいか。あるいは乳等の殺菌基準について見直してはどうか。あるいはいろいろな加 工技術の進歩に伴い、乳及び乳製品の種類別分類について、最近の製品分類をもう一度 見直し、分かりやすくしていったらどうか。あるいは合成樹脂の容器の材質制限という ことについて、それを緩和することは適当かどうか、というような点について、これか らご議論をいただきたいということで諮問をさせていただきました。以上です。 ○寺田分科会長  これは諮問事項ですから、これからご議論をしていただくということです。これで今 日の審議事項2つと報告事項2つは済みましたが、その他で何かございますか。 ○和田委員  最初の腸炎ビブリオのところで、資料1−1の5頁に「消費者に対しても」というと ころがありますが、刺身なり寿司なりは、私たち日本人の食生活には非常に関係の深い 商品ですので、消費者に対して是非、分かりやすい解説、難しい文章ではなく、例えば ここにありますような、少なくとも冷蔵庫から出してからは2時間とか、自分たちです ぐに使えるような文章で、徹底するような形をとっていただきたいということを、改め てお願いしておきたいと思います。消費者にとっては、やはり冷蔵庫の温度はなかなか 分かりにくい数字でありますので、本当に分かりやすく、すぐに使えるような、啓蒙の ための簡単な文章にしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 ○寺田分科会長  事務局のほう、いかがですか。 ○基準課長  その点については、私どもも非常に重要なことだと思っております。ただ、それをど のようにするかというのは、厚生労働省本省のできることと、都道府県、政令市それぞ れで行うという、それぞれの役割分担がございます。その点については早速、本日答申 をいただきましたので、5月24日に都道府県、政令市の代表者を集めて第1回の説明会 を開きます。その際に、消費者への啓蒙についても、どのようにそれぞれやっていただ くか、いろいろご説明もし、意見も出されるのではないかと思っております。これから 引続き、できるだけ分かりやすい表示について検討を進めてまいりたいと思います。 ○寺田分科会長  狂牛病のほうは、特別なことはありませんか。あるいはダイオキシンの問題とか、国 際的な話など、ありませんか。 ○監視安全課長  いまのところ、狂牛病は特段の動きはありません。6月中旬ぐらいだと思いますが、 WHOのコンサルテーションが開催されるわけで、行政官は当然出席して情報を収集す る予定でおりますが、日本側の専門家も、そのコンサルテーションに加わることはでき ないか、というのを現在打診中です。それ以外は、狂牛病については進捗はございませ ん。 ○寺田分科会長  それでは、これで本日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を終わらせていただき ます。どうもありがとうございました。 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部企画課 電 話:03−5253−1111(内線2452)