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厚生科学研究費補助金(厚生科学特別研究事業)
総括研究報告書


疫学的手法を用いた研究等における生命倫理問題及び
個人情報保護の在り方に関する調査研究


主任研究者 神戸大学大学院法学研究科 丸山英二

研究要旨

 本研究においては,厚生省厚生科学審議会先端医療技術評価部会疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する専門委員会の検討に供す「疫学の研究等における生命倫理問題及び個人情報保護の在り方に関する指針(案)」を作成した。その過程において,既存の規則,指針等の文献的検討を行うとともに,地域がん登録事業や厚生省コホートの実情調査を行った。

協力研究者

宇都木伸(東海大学法学部教授)

掛江直子(早稲田大学人間総合研究センター助手)

斎藤有紀子(北里大学医学部専任講師)

笹子三津留(国立がんセンター部長)

清水弘之(岐阜大学医学部教授)

玉腰暁子(名古屋大学大学院医学研究科助教授)

永井良三(東京大学大学院医学研究科教授)

松本恒雄(一橋大学大学院法学研究科教授)

水嶋春朔(東京大学医学教育国際協力研究センター講師)

武藤香織(慶応義塾大学医学部講師)

山縣然太朗(山梨医科大学医学部教授)

研究協力者
山下登(長崎県立大学経済学部助教授)

寺沢知子(摂南大学法学部助教授)

長島隆(日本医科大学医学部助教授)

増成直美(放射能影響研究所)

A.研究目的

 本研究の目的は,厚生省厚生科学審議会先端医療技術評価部会疫学的手法を用いた研究等における個人情報の保護等の在り方に関する専門委員会の検討に供す「疫学の研究等における生命倫理問題及び個人情報保護の在り方に関する指針(案)」を作成することであった。

B.研究方法

 本研究においては,上掲の協力研究者と討論・意見交換を行いながら,ヒトを対象とする研究に適用される合衆国政府の規則やイギリスにおける諸指針をベースに置いて,CIOMSの疫学研究の倫理審査のための国際的指針(1991),プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関するOECD理事会勧告(1980),個人データ処理に係る個人の保護及び当該データの自由な移動に関する欧州議会及び理事会の指令(1995),高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会「我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)」(1999),厚生省科学研究費補助金健康科学総合研究事業疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関する研究と倫理ガイドライン策定研究班(主任研究者・玉腰暁子)「疫学研究におけるインフォームド・コンセントに関するガイドラインVersion1.0」(2000),情報通信技術戦略本部個人情報保護法制化専門委員会「個人情報保護基本法制に関する大綱」(2000),「個人情報の保護に関する法律(案)」(2001),家族性腫瘍研究会「家族性腫瘍における遺伝子診断の研究とこれを応用した診療に関するガイドライン」(2000),科学技術会議生命倫理委員会「ヒトゲノム研究に関する基本原則について」(2000),厚生科学審議会先端医療技術評価部会「遺伝子解析研究に付随する倫理問題等に対応するための指針」(2000),経済産業省・文部科学省・厚生労働省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(2001)などを参照しつつ,「疫学の研究等における生命倫理問題及び個人情報保護の在り方に関する指針(案)」を作成した。

 その過程において,以下の調査を行った。

(1) 地域がん登録機関の訪問調査

 地域がん登録の実情把握のために,大阪府立成人病センター,兵庫県立成人病センター,神奈川県がんセンター,放射能影響研究所(広島)を訪れ,関係者から話を伺うとともに,資料を収集した。

(2) 厚生省多目的コホート研究班についての聞取り調査

 厚生省がん研究助成金「多目的コホートによるがん・循環器疾患の疫学的研究」班の活動について,関係者の意見を聴取するとともに,班会議に参加して,その実情把握に努めた。また,秋田県横手市での住民健診における疫学研究を見学することができた。

C.研究結果

 以下に添付のような指針案を作成した。最終的にまとまった指針案の項目は以下のとおりである。

1.基本理念及び適用範囲

2.定義

3.すべての研究者等が遵守すべき基本原則

4.研究等の体制

5.倫理審査委員会の責務及び構成

6.インフォームド・コンセント

7.個人情報保護

G.研究発表

 なし


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