01/04/26 第2回保健医療情報システム検討会議事録 第2回 保健医療情報システム検討会議事録 平成13年4月26日(木)16:00〜18:00 国際ビル6階 共用会議室 【武末補佐】 定刻になりましたので、ただいまから「保健医療情報システム検討会」 を開催いたします。  開催に先立ちまして、本日の委員の方の出欠について報告させていただきます。大山 委員が所用のため欠席でございます。また、石川委員が5時過ぎに別の会議へ出席のた め途中退席されます。  ご討議に入る前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。まず、保健医療情報 システム検討会第2回議事次第がございます。それを2枚めくっていただきますと、検 討会メンバーと座席表がございます。次に資料1として「政府全体としてのIT化の取 り組み」、これが18ページまでございます。  資料2は「各委員からの意見」というものでが、1ページから5ページまでが保健医 療福祉情報システム工業会の藤本委員からいただきました資料、6ページから11ページ までが画像医療システム工業会の細羽委員からいただいた資料、12ページが静岡県立大 学の石川委員からいただいた資料、13ページから17ページまでが日本医療情報学会長の 井上委員からいただいた資料、そして18ページが東京工業大学の大山委員からいただい た資料となっております。これとは別に、今日、樋口委員からいただいた資料が1枚ご ざいます。  資料3として「検討事項の整理」という表の資料がございます。最後に、資料4とし て「グランドデザインについて」という資料が表紙を含めて3枚ございます。  それ以外に、委員の先生方には資料3を拡大コピーしました資料と、前回の「第1回 保健医療情報システム検討会議事録」と書いた資料を準備しております。  資料は以上ですが、不足等ございましたら事務局までお申し出いただきたいと存じま す。  それでは、開原座長、議事の進行をよろしくお願いいたします。 【開原座長】 早速ですが、議事に入らせていただきたいと思います。前回の議事録を 配付しておりますが、何か訂正がありましたら、後ほど事務局へお知らせいただきたい と思います。  本日は残念ながら欠席ですが、先日、大山委員から「日本の情報化に関する社会の動 きを一度把握しておいたほうがよいのではないか」というご意見がありました。  そこで本日はじめに、「我が国における政府のITに関する取組状況」につきまし て、社会保障担当参事官室の黒田企画官よりご説明いただきたいと思います。  その後、前回の議論を踏まえて検討事項の整理を行い、最後に、グランドデザインに ついて大まかな検討へと進めていきたいと考えております。  それでは、「我が国における政府のIT化に関する取組状況」について、黒田企画官 より説明をお願いいたします。 【黒田企画官】 資料1に沿ってご説明させていただきます。「IT戦略本部のこれま での動き」ということで何枚か資料を用意しておりますが、まず1ページをごらんいた だきたいと思います。  昨年7月にIT戦略本部、IT戦略会議というものが当時の森総理のもとに設置され まして、11月までに6回開催されました。この会議は内閣総理大臣を本部長として、ソ ニーの会長など20名の民間有識者が入っておられます。大山先生もこの会議の委員に なっておられました。  (2)に書いてありますように、この会議では電子商取引の一括法、IT基本法、電子政 府の実現など個別の論点についていくつか議論してきましたが、その成果物について は、一つは「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」として、もう 一つは「IT基本戦略」としてとりまとめられております。  IT戦略本部、IT戦略会議は、中央省庁再編に伴いまして、13年1月からは「高度 情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」として再編されて現在に至っております。  この新しい「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」の大きな成果は「e−J apan重点計画」ではないかと思います。  大きな流れを見るには、IT基本法によって政府全体のITについての法律の枠組み を見ていただくのがよろしいのではないかと思いまして、3ページ以下に「高度情報通 信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」の骨子を用意しております。  基本法というのは通常そうでありますように、1.目的、2.定義のほかに、3.基 本理念として、高度情報通信ネットワーク社会形成の意義、基本的視点などについて整 理されております。  この中の基本的視点では、経済構造改革の推進、ゆとりと豊かさを実現できる国民生 活の実現など、ITを実施することによって達成したい目標が整理されております。  次に4.施策の基本方針という項目があります。この中に8つのポツがありますが、 高度情報通信ネットワークの拡充やコンテンツの充実、情報活用能力の取得の一体的推 進などのほかに、上から5つめのところに電子政府、電子自治体の推進とあります。こ れは行政の情報化ですが、そのあとに公共分野の情報化というのがあります。この公共 分野の情報化の一つのテーマとして、いま我々がやろうとしております保健医療福祉分 野の情報化というのが一つ立てられているところでございます。ほかに科学技術・学術 研究分野とかいろいろあるのですが、保健医療福祉分野はこの公共分野の一つの位置づ けになっております。  基本法の中で特に大事なのは、基本方針に基づいて政府として重点政策を策定するこ とと、先ほど申しました高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を、内閣総理大臣 を本部長とし、それ以外の各閣僚が参加する戦略本部として法律上位置づけているとい う点ではないかと思います。  次に、e−Japan重点計画について概要を説明いたします。  e−Japan重点計画というのは、昨年11月にIT戦略会議が策定した「IT基本 戦略」がもとになっています。組織を再編して本年1月にできました「IT戦略本部」 でも、これをもとにe−Japan戦略ということで5年以内に世界最先端のIT国家 をつくろうという目標を掲げていますが、これを具体的に実現するために政府としてど ういうことをやっていくかというのを「e−Japan重点計画」という形でまとめた ものでございます。これは法律の関係で申しますと、IT基本法の35条に基づいており ます。  6ページの1.基本的な方針(1)では、e−Japan重点計画における具体的な計画 の目標が書かれていると思っていただければいいと思います。右側の四角ですが、1番 目は、すべての国民がITのメリットを享受できる社会という目標で、5年以内に少な くとも3000万世帯が高速インターネット網に常時接続可能な環境を整備するとか、経済 構造の改革の推進とかいろいろ書かれています。  3番目の四角に、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活と、個性豊かで活力に満ちた 地域社会が実現された社会という目標がありまして、最初のポツには電子商取引の話が 書いてありますが、その次のポツで遠隔教育や遠隔医療等を普及させるというのが目標 の一つとして例示されています。  7ページの1.基本的な方針(2)ですが、基本的な方針の2番目は官民の役割分担とい うことで、IT社会については民間が主導的な役割を果たし、政府の役割としては民間 活力発揮のための環境整備などを進めるということです。  政策課題としては、縦に書いてありますように5つの大きなカテゴリーが立てられて おりまして、その中に先ほど申しました行政・公共分野の情報化というのが一つ位置づ けられております。  この5つの政策課題に共通する横断的な課題として、研究課題の推進、すべての人が ITのメリットを享受できるようにするためのデジタルディバイドの是正、雇用問題等 への対応、国際的な協調・貢献の推進、これらが右横に書かれております。  以下、この5つのテーマについて簡単に説明いたします。  2.世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成というのは、インターネットに ついての公正な競争条件の整備を進めるとか、超高速ネットワークのインフラ形成の推 進とか、このための研究開発を推進しようとするものでございます。  3.教育及び学習の振興並びに人材の育成というのは、ITを担う人材についての学 校教育の推進とか職業訓練を行うということで、IT学習機会の提供については、具体 的に2001年度までに550 万人を対象に基礎講習するとか、職業訓練の関係では140万を対 象に訓練を実施するとか、そういうことが定められております。  4.電子商取引等の促進の関係では、電子商取引が円滑に行われるために、阻害する 規制を見直すなど、各分野にかかわるいろんなことが定められております。電子商取引 が進められると消費者の保護が重要になりますので、これに向けて個人情報保護に関す る法的基盤を整備しようということで、現在、個人情報保護法が国会に提出されており ます。  5.行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進ですが、行政の情 報化の関係では、2003年度までに法令、白書などの行政情報を原則としてインターネッ トで提供しようということで、ホームページなどを活用しながらインターネットで提供 できる仕組みを作るとともに、2003年度までにすべての申請・届出等の手続をオンライ ン化するため、オンラインシステムを整備したり、必要な法令の整備を行うことになっ ています。  公共分野における情報通信技術の活用の関係では、2005年度までにスーパーSINE Tを全国に拡大するとか、文化財、美術品等の情報をデータベース化し、インターネッ トで情報提供する。2001年度の早期に医療のIT化のグランドデザインを策定するとい うことが入っています。ほかには道路交通情報通信システムの関係などがあります。  6.高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保ですが、政府部内の情報セ キュリティの対策、民間部門の情報セキュリティ対策、重要インフラとして位置づけら れている情報通信や金融における具体的な行動計画が定められています。  13ページの横断的な課題については省略いたします。  14ページをごらんいただきたいと思います。以上のようなe−Japan重点計画の 全体の大きな枠組みの中で、厚生労働省としてどういうものが関係しているかというこ とですが、教育及び学習の振興並びに人材の育成では、職業訓練の関係が一つありま す。  電子商取引等の促進では、電子商取引を阻害する規制の改革の関係で、現時点におい て薬局等で販売されている医薬品について、カタログ販売ができるものがあるか否かに ついて検討するということがあります。  行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進では、ICカードのと ころで、内閣官房及び関係府省が一体となって、一つのICカードにいろんな行政情報 が載せられないかということを検討することになっています。  公共分野の関係では、保健、医療、福祉分野の情報化のところで、医療分野のIT化 を推進する。特に多様で質の高い医療サービスの提供や効率化を行うために電子カルテ をはじめ様々な対策を推進するため、戦略的なグランドデザインを作成する。電子カル テのベースとなるオーダリングシステムの具体的な目標が定められています。  そのほか雇用の関係とか障害者の関係でデジタルディバイドの是正を進めるとか、個 別の雇用、能力開発の関係がいくつか対策として示されています。  以上が、現在の政府全体の動きの概要と、そこにおける厚生労働行政の位置づけとな ります。 【開原座長】 非常に盛りだくさんの内容を短時間でご説明いただきましてありがとう ございました。ただいまの説明につきまして、ご質問等ありましたらお願いいたしま す。 【井上委員】 安全性、信頼性の問題は横断的な課題であげられているのかもしれませ んが、情報の信憑性とか精度といったことについてはあまり議論されなかったのでしょ うか。情報を受け取る側が責任を持つという判断でしょうか。それとも、なんらかの保 証をどこかの機関が行うという流れなんでしょうか。 【黒田企画官】 特に電子政府の関係では電子認証基盤を整備するといった形で、行政 機関が関与しながら、電子取引が進む中での情報の認証性を確保するという議論がされ ております。  もう1点は情報のネットワーク全体の安全性という議論がございまして、ネットワー クの中にコンピュータウイルスのような形で侵入してきたりする場合がありますので、 それについての重点分野を官民連携しながら協調して対策を講じていくといった議論が ございます。 【井上委員】 医療関係の情報については第三者的な機関が保証するという話は出てな いのでしょうか。 【黒田企画官】 特に医療分野に限った議論は出ておりません。サイバーテロの関係で は重要インフラのサイバーテロ対策というのが入っているのですが、ここには医療分野 は含まれておりません。 【開原座長】 こういうものを政府がお作りになった時に、地方自治体はどういう感じ になるんですか。こういう大きな傘の下になるというふうに考えるべきなんですか。 【黒田企画官】 地方自治体と国が共同でやっていくような部分がありますので、例え ば行政手続のオンライン化のような話は、国が支援しながら各地方自治体が取り組んで いくという形になります。全体の対策をどのようにやっていくかについては地方自治体 それぞれの判断ですが、国のほうでこういう形でIT重点計画が策定されていますの で、いくつかの県とか市においては類似のITの重点計画のようなものが作られていま す。 【樋口委員】 こういう形で大きなグランドデザインを示して、医療の分野は今のお話 でわかりましたけど、公共分野の情報化という形でくくられてる。医療が公共的なもの だというのは私もよく理解しているつもりですが、公共分野の情報化について、私立の 病院もあるし国立の病院もあるという中で、政府の役割と民間部門の役割というか、ど ういう形で後押しをして、というところを少し補足していただけるとありがたいのです が。 【黒田企画官】 IT重点計画におきましては、医療分野全体を公共分野の情報化とい う形で位置づけてるものですから、いま樋口先生がおっしゃった民間部門と公的部門と の関係をどのように整理していくかというのは、その部分についてのグランドデザイン は厚生労働省に任せられておりますので、まさに厚生労働省が事務局となっております この検討会の場で議論していく話ではないかと考えております。 【開原座長】 少し荷が重くなってきたような感じがいたします。 【中村審議官】 いろんな対策がとられる時に、重点的な対策とか公共性の強いところ といったことで特に指定される場合がございます。もちろん分野、分野に応じてです が、医療なり教育はかなり公共性が高いということで、それぞれの医療サービスなり教 育サービスがどういう担い手によって提供されているかは別として、この分野が公共性 が非常に強いものだという考え方から指定されているところがあります。黒田企画官か ら申し上げましたとおり、この会に一つ期待しておりますのは、官民の役割分担と申し ますか、中央政府、地方政府と医療サービスの供給主体、これもまた官民あるわけです が、そこをどう考えるかということは課題でございますので、ご検討いただきたいと存 じます。 【開原座長】 ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは黒田 企画官、どうもありがとうございました。  それでは、引き続き議事を進めさせていただきたいと思います。前回の検討会の終了 後に各委員から本検討会で検討するべき項目に関して意見をお出しいただいたわけです が、文書でいただいたものが先ほどご説明があった資料2でございます。せっかくです ので、各委員からのご意見を詳しく説明していただいて、補足等がありましたらお願い したいと存じます。  石川委員が5時過ぎに退席されるということですので、最初に石川委員にお願いいた します。 【石川委員】 簡単なコメントなんですが、メールで送らせていただいたものについて 説明させていただきます。医療の電子化に限らず情報を電子化することによって情報の 付加価値が上がっていくことが一般的に期待できるし、特に情報バリアフリー、デジタ ルディバイドという観点からも電子文字情報化することによって様々な人々へのアクセ シビリティが実現するので、私は従来から一貫してそれを支持する立場をとっています し、それは今も変わっておりません。  ネットワーク医療とか電子医療とかインターネット病院のようなものも利用者からす ると有用なものになるのだろうと考えています。ただ1点、検討事項として確認してお く必要があると思いましたのは個人情報保護ということです。ある患者の電子カルテ情 報を病院Aから病院Bへセキュアに転送するといった話であれば今以上に危険になるこ とはないと思うのですが、診療データベースが疫学研究とか遺伝子解析といった医学研 究等での二次利用まで射程として広がっているのかもしれない。そういうデータベース を構築していった時に、個人情報が守りきれるのかという問題はかなり大きい問題だと 考えています。  個人を直接特定するような名前とか住所といった情報はデータベース化する時にマス クするなり完全に消去するなりいろんなことがなされるでしょうけど、なんの変哲もな いような性別とか年齢とか血液型をとって絞り込み検索をするだけでも一人に絞り込ん でいけるのがデータベースではないかと思います。性別が男で年齢が44歳で血液型がA B型で静岡に在住していて、かつ全盲といったら私しかいないのではないか。そうなっ てくると個人の病歴とか治療歴とか生活習慣とかすべてアクセス可能なものとしてデー タベースは存在してしまうというふうに考えなければいけないのではないか。  全国規模のデータベースを構築して疫学研究をやりたいというのが一つの重要な保健 医療情報システムの目標になるとしたら、どうやって個人情報の保護ができるのかとい うことをよくよく考えて、本当に安全なんだということをきちんと証明しないといけな いんじゃないかと考えています。しかしそれは非常に難しいのではないかと思っていま して、その点についてコメントさせていただいた次第です。 【開原座長】 どうもありがとうございました。いろいろなご意見について議論してお りますと、すべての問題をここで議論しなくてはいけないことになりますので、今回は ご意見を伺うことにしたいと思います。特におわかりにくいことがあってご質問があれ ば、ご質問だけはお受けしても結構だと思いますが、石川委員から明快にお述べいただ きましたので、特に疑問点はないということでよろしいでしょうか。  それでは資料の順番に、藤本委員からお願いいたします。 【藤本委員】 私の資料は5ページから成っていますが、この成り立ちを説明させてい ただきます。5ページにツリーのような図を描きました。前回の検討会の資料などを参 照しながら、大目標はこうであろう、2番目の中目標として診療報酬請求の電子化を進 めること、診療録の電子化を進めること、保健医療情報の活用を進めること、保健医療 情報システムを普及させること、この4つの課題を設定して、その下にさらにその課題 をブレークダウンしたものを書きました。箱の中にNo.1から14までありますが、それぞ れの14個は前のページのアクションプラン表の番号が当てはまる。そういう成り立ちに なっています。その補足が最初の3枚の紙ですので、図と表を見ながら説明させていた だきます。  5ページの図の課題のほうですが、No.1では特に大きなテーマなしに、「標準に対す る信頼の確立」と書きました。これから標準化をどんどん進めていくわけですが、それ が永続的なものであって、みんながそれを使うのだよという権威と信頼性をもった恒常 的な母体があると標準が普及すると思いまして、そういうアクションを書かせていただ きました。  将来は国際ハーモナイゼーションも必要でしょうし、標準というのは一回つくったら 終わりじゃないので、ずっと維持していく機構、それの経済的裏付けが必要だろうとい うことで書かせていただきました。  2から4の箱は、1つ目の「診療報酬請求の電子化(レセプト電算処理の推進)」に 対する施策の提案です。先ほども2005年には世界一のIT国家になるという目標があり ましたから、それまでにこの分野もやらなくてはいけないと思うんですが、このうち一 番大きいと思うのはNo.4です。4ページのアクションプラン表を見ていただきますと、 「情報処理向け診療報酬体系の整備」とあります。達成目標としては「診療報酬体系の 目的は損なわずに、情報処理に適したロジックへと変換する」。今までは情報処理を意 識せずにロジックがどんどん積み重なってきてるんですが、目的は損なわずに、もう ちょっとロジックを整理して、同じ目的が達成されるのではないか。これは大きなテー マですので5年後ぐらいにやりたい。  2005年までにはすべてやらなくてはいけないので、ちょうどいい時期かと思います が、それまでにもやることがあるので、2番、3番のアクションを書きました。これは 細かいので説明は省略しますが、1ページで一言だけ触れたいことがあります。  中段に1.情報システムを前提とした諸制度の運営についてとありますが、その4行 目に「基本的な認識として人間の行動は即日変化させることが可能であるが、情報シス テムの振る舞いを変更するにはシステムの開発・変更の時間が必要である。このことを 関係各位の認識にして、いろんなプログラムを組んでいくことが必要である」。これは 前回も申しましたことを言い換えてありますが、こういう認識が必要だと思います。そ の具体的な提案の一部が2番、3番です。  5ページの図に戻ります。上の2つ目の箱ですが、診療録の電子化を進めるにあたっ ては、5、6、7、8と書きました。5番はレセプト電算処理との関係をつけた上でマ スターを作らなくてはいけないという話。6番は用語、コード、様式の標準化。医学界 の問題ですが、皆さんが使える用語、コード、様式を先行してやることが必要です。標 準化をやっていく時には、そこで語られる言葉とか背景とか概念についても共通の認識 を持たないと、一つのことが玉虫色にとらえてしまってうまく動かないことが起こりえ るので、7番は情報システムの情報モデルとドメインモデルを皆さんで作って、言って ることがお互いに一致するようにしようという提案です。8番は保健医療情報開示とプ ライバシーに関する社会的コンセンサスの形成ということです。  3つ目の箱にいきまして、保健医療情報の活用を進める上では、プライバシーの問 題、セキュリティの問題がますます複雑になります。先ほどの政府のIT政策の大綱に もありましたが、認証とかプライバシー保護の技術基盤は保健医療情報システムだけで 開発していくのは無理があると思いますので、世の中の動向、政府の動きを見て、早め に基盤を確立しなくてはいけない。各病院、各メーカーが個々にやりだしたら大変なこ とになりますので、早めに確立する必要があると思います。10番は個人認証、医療従事 者の資格認証という問題があるということです。  最後の箱は普及をどうするかということですが、11番に経済的インセンティブと書き ました。4ページの表を見ていただきますと、無目的にお金を出すわけにもいかないと 思いますので、情報化の価値と標準採用の価値を評価し、それに対応する経済モデルに よりインセンティブをつけると書きました。今まで標準化してなかった病院が、意義は わかった、標準を採用しようという時にコストがかかるわけです。それは社会的に価値 のあるコストなんですが、自分で出しなさいというとうまくいかないかもしれないとい うことです。このへんになると医療は公的分野なのか私的経済なのか、両方まざった議 論になってきまして、経済モデルをうまく作らなくてはいけないと思っています。  14番のリスクマネジメントのコンセンサス形成について触れさせていただきます。昨 年来、マスコミをにぎわしたオーダーシステムの操作ミス等によるいろんな事情があり まして、JAHISとしても我々の情報システムのリスクを洗い出して、それをもっと ミニマムにするガイドラインを作ろうということで本を作りました。我々ベンダーだけ でできることは限りがあることがわかりまして、官・医・学・産、すべてで情報交換と 検討をしなくてはいけないのではないかと思っておりますので、こういう情報交換の体 制が必要かなと思って提案させていただきました。  個々にわたりますと時間が長くなりますので、以上で終わらせていただきます。 【開原座長】 どうもありがとうございました。何かご質問はありますか。よろしいで しょうか。  それでは、細羽委員にお願いいたします。 【細羽委員】 JIRAとして「保健医療情報システムの将来検討」についてまとめま した資料をご紹介させていただきます。まだ中間段階でして、これからさらに検討を深 めていかなければいけないと考えております。最初のほうは現状等が報告されておりま して、8ページの2.情報化の将来方向についてのアクションプランのところでいくつ か出しておりますので、ご紹介させていただきます。  私ども工業会としては医療の質の向上、医療経済への貢献や産業としての国民経済へ の貢献を目指し、医療機器の効率的利用、新市場形成(新たなネットワークシステムや サービスの創出など)に向けて取り組みたいと考えております。  以下に具体的に検討すべきテーマを掲げています。  まずは、2.1.情報化の根幹である標準化の推進です。  標準化を行うプロセスは、要求仕様の整理、詳細仕様の作成、標準技術の開発、実装 実証実験、規格の手直し、公開、国際的なハーモナイゼーションなどがあります。さら に、デモンストレーションにより広く理解を得て普及を促進する、などのステップが要 求され、多大な時間と手間がかかってしまうというのが現状です。  また、世界に発信できるだけの標準技術を基礎から開発しようとしますと、さらに多 くの人材と時間が必要になります。  このプロセスを短時間で効率よく進め、標準化を強力に推進するために、標準化シス テムモデル構築モデル事業等で具体的に物づくりができるようなご支援がいただけたら と考えております。  モデル事業というと個別にベンダーが請負ってやるようなケースが多いのですが、で きるだけマルチベンダーの環境下で標準的なものを作っていくという事業に取り組ませ ていただきたいと考えております。  9ページへいきまして、2.2.保健医療情報システムに求められる要件の明確化がござ います。  ただ伝送できればいいということではなくて、個人情報を送ることがありますので、 安全性については注意が必要になります。画像情報は個人を特定できますので、これも プライバシー保護の対象とすべきだと考えます。そういったことを少し整理して、こう いう要件であれば大丈夫だということを明らかにする必要があるだろうと考えられま す。  次に2.3.セキュリティ要件を満たすインフラの構築です。  安全なネットワークがインフラとして提供されれば、医療情報のやりとりがもっとス ムーズにいきます。そのためには認証機構として、保健医療情報システムのCAなどの 整備が早急に必要ではないかと考えております。  10ページにいきまして、2.4.電子保存システムの推進。  電子的に保存するということは情報化の非常に重要な要素であると考えられますの で、こういうシステムの普及が推進されなくてはならないと考えております。またその ためのインセンティブが必要ではないかと考えています。  2.5.遠隔医療システム・地域ネットワークシステム・施設外データ保存システムなど の推進  情報化によって医療の質が向上する大変わかりやすい例として遠隔医療や病診連携、 在宅医療などを含む地域ネットワークシステムがありますが、十分普及していません。 施設外においてもデータが保存できるように規制が緩和されますと、新たなビジネスモ デルが出てくるだろうと考えられます。  2.6.医療事故の防止を助ける情報システムへの取り組みについては、医療機器の安全 性を高める、あるいはリスクマネジメントのできるシステムを検討する必要があると考 えます。  2.7.国民に理解される情報化  情報化について国民にわかりやすい形で提示する必要があるだろうと考えておりまし て、JIRAとしても、機器や情報システムがいかに医療の質の向上に貢献できている かということを理解されるような形で説明していく必要があると考えています。  最後に、2.8.情報化についてオープンに議論できる場を求めていきたいと思っており ます。以上です。 【開原座長】 どうもありがとうございました。何かご質問はございますでしょうか。  いま医療事故の問題が出てきましたが、この前、CNNのニュースで、コンピュータ 化によってアメリカの処方ミスが3分の2減ったといっておりました。情報化によって 医療事故を減らすことも大事なんですが、すでにだいぶ減ってるという点もあると思う んですね。ご質問はよろしいてしょうか。  それでは次に井上委員、ご説明をお願いいたします。 【井上委員】 私の資料は前回お配りしたものです。その後、メールでちょっと追加し たのですが、内容的には同じようなものなので、前回の資料で説明させていただきま す。  医療のIT化によって光の部分としてメリットはいくつもあると思いますが、一方で 影の部分として問題点があることも確かですので、グランドデザインを作成するにあ たっては光の部分だけではなく影の部分についてもちゃんと説明をしておくことが必要 だと思います。  医療のIT化によってできることはほぼ目に見えてきていると思います。問題は、そ れに要するコストと、その価値をどのように判断して優先順位をつけていくかというこ とだと思います。医療ITの目的は医療をよくすることと同時にコスト削減に役立つのだ という説明をしないと理解が得られないだろうと思います。  電子カルテについてはマスコミ等でも取り上げられたり、経済産業省にも熱心にやっ ていただいておりますが、目的をはっきりすべきだと思います。電子カルテによって達 成されることはいろいろあるかと思いますが、一つの電子カルテですべてをカバーする ことはできません。将来的にはいろいろなものが一緒になって、トータルとして大変優 れた電子カルテができるでしょうけど、最初の段階では、それぞれ特有の目的をもった 電子カルテという形から入っていって、それがつながってインテグレートされて立派な 電子カルテに発展していくんだろうと思います。それをつなげる仕掛けは何かというと 標準化ですので、医療のIT化において真っ先に片付けなければいけない重要なことが 標準化だと思います。  私は国立病院の院長として医療を見ておりますが、日本の医療はばらつきがあること が気になります。この前お配りした資料ですと、26の研究班国立病院全体では2年間で 急性心筋梗塞が997例HOSPnetを通じて集まりました。その平均在院日数は25.8日なんで すが、Aという病院は16日、Bという病院は35日という具合に平均値だけとっても倍以 上の差があります。生命予後を比べると在院日数の短い病院も長い病院も変わりがな い。16日のA病院は医療費は安くなり、B病院は高くついてることは明らかです。心筋 梗塞だけでなく、がんにしろ狭心症にしろ他の疾患についても病院間の違い、医師間の 違いが大きいというのが日本の病院医療の一つの欠陥のように思います。  ピンを引っぱり上げる力はITにはありませんが、キリを底上げする力はあるのでは ないかと思っております。各病院でEBMとか標準医療という言葉が使われて、できる だけばらつきを少なくしようという努力がされていますが、最終的には電子カルテで診 療のプロセスをコントロールすることによってばらつきが小さくなり、それによって医 療の質も平均値が向上して、入院医療費も安くなる。私の病院でもそういうデータは出 ております。  私はこれを管理医療というどぎつい言葉で表現しております。今までは医師に裁量権 が与えられて、医師が良心に基づいて一生懸命やってきたんですが、結果としてこうい うばらつきが出たことが明らかになってくると、医師だけにすべてを任せるわけにはい かなくなって、管理的な医療を医師が受け入れざるをえない時代になっているのではな いか。そういうことについて医師が理解する必要があると思うわけです。  だれが管理するかということが重要ですが、アメリカのようにお金を支払う保険会社 が仕組みを作って医師に強制するというのは日本では受け入れがたいし、よくないこと だと思います。まずは医療を提供する我々の側が電子カルテ等々を開発する理念とし て、管理的な医療、標準的な医療、あるいは教育的な医療といってもいいかもしれませ んが、そういうIT化を進めることによって自らがばらつきを小さくしていく努力をす べきではないかと考えております。  このことだけでも日本の医療のコストや質が変わってくると思うんですが、問題は、 それに要する先行投資をどうするかとか、モデル的な事業をどこが担当してやるかとい うことです。公的機関と民間医療機関という話がありましたが、なんのために国立病院 があるのかといえば、こういうことを先行してモデルを示すためにこそ公的病院の存在 価値があるのであって、公的病院も民間病院も収益を目指した医療をするということで あれば公的病院の存在価値はないのではないか。したがって医療のIT化のモデル事業 については国立病院をもっと活用して、管理的な医療の試みを示すというのもアクショ ンプログラムの一例になるのではないかと思っております。  影の部分については15ページに書きましたが、まず個人情報保護と同時に情報システ ムそのものの危機管理が大事です。情報化は医療を提供する側にも市場原理が働いて医 療機関の淘汰が行われる。医師の意識改革として、パターナリズムの終焉、管理医療の 受け入れと書きました。  また、情報弱者がたくさん存在します。我々の病院にインターネットを見て来られる 方がいらっしゃいます。患者さんの多くはおじいさん、おばあさんですが、だれがイン ターネットを見てるかというと、娘さんであったり孫であったりするわけです。そうい う人が周りにいる人はいいんだけど、ひとり暮らしの老人などは医療の情報化について こられなくてメリットを得ることができないと思うので、そういう情報弱者に対してど のように取り組むかという問題もあると思います。  経費の負担については国の負担、自治体の負担、医療機関の負担、患者さんの負担を どのように仕分けするか。これは私などが口出しする問題ではないかもしれませんが、 きちっと考えておく必要があると思います。  医療情報が公開されるということは病院が評価される、医師が評価されるということ につながってくるわけですが、公開された情報の信憑性とか精度の保証が重要ではない か。専門的な情報ですから一般の国民が情報の信憑性、精度を判断するのは難しいこと ですので、そこをどうやったらいいかという問題もあります。  先ほど石川先生がおっしゃったようにネットワークで情報を集めるとすると、その解 析をし、処理する場所とか人をどのようにするのかという問題もあります。情報公開に 伴って医療評価の問題が出てきますが、それが適正、公平に行われなければならない。 なんでもかんでも公表すればいいということでもないと思うので、マスコミ的な取り上 げ方ではなくて、公平で節度ある評価結果をどういうところから出していくかというこ とも考えておく必要があると思います。  情報開示ということで医療機関が情報を公開していくわけですが、患者さんからのク レーム、医療事故ではないかという問題がますます表に出てきます。その時に、今の裁 判制度のようなことで処理できるのか。これは時間もかかるし、判定も本当に正しいの かなと思うこともありますので、第三者機構とか救済機構を作って判断のスピードアッ プをして、患者さんの救済が迅速にできるようなことも考えておくべきではないかと 思っております。以上です。 【開原座長】 どうもありがとうございました。今日は検討すべき項目を洗い出そうと いうことが一番の目的ですが、ただいまのご説明に対して何かご質問はありますでしょ うか。いま井上委員がいろいろお述べになりましたことは後日ご議論いただく機会もあ ろうかと思います。  それでは、西島委員は何かご意見はございますか。 【西島委員】 IT化を進めていく中で標準化というお話がありましたが、すべての医 療機関が必要とするマスターデータをパブリックドメインという形にしていかないと進 まないと思うんですね。今のように非常に高額な費用を取ってこれを進めるといっても 何もできないわけで、先ほどから公共性という言葉が出るんであれば、よけいパブリッ クドメインというふうにしていくことが情報化の推進につながるんじゃないかと思って います。  もう一つは、診療報酬体系の問題が医療の中で重要な位置を占めますので、この見直 しをしなくてはいけないと思うんですね。診療報酬改定の時にソフトが変わらざるをえ ないわけですが、先ほどからの話のように公共性ということを考えるのであれば、診療 報酬改定時にソフトを無償提供という形にすることも推進につながるのではないかと 思っております。環境整備という意味で申し上げました。 【開原座長】 どうもありがとうございました。大変大事な問題ですが、この点も次回 以降に重要なテーマとしてご議論いただく必要が出てくるかと思います。  それでは、樋口委員から今日いただいた資料がありますが、ご説明をお願いいたしま す。 【樋口委員】 私が申し上げることは諸先生がおっしゃったことの繰り返しにすぎない ような感じがいたしますが、あえて申し上げさせていただきます。しかも、前回申し上 げたことの繰り返しでもあるのですが。  検討課題1、2、3となっていますが、まず1番目は保健医療情報システムの構築・ 改善の目標と書きました。  情報化というのは、あえてラフな言葉を使えば、なんらかの夢を語るものであってほ しい。これは非常にいいものだということがまずあって、そのイメージを示す必要があ る。中間報告にも医療情報化の必要性として4項目あげられておりますので、この中身 はオーバーラップしてるんですが、私の言葉で言うとすれば、たとえば以下のようなこ とが考えられます。  1つはQuality で、情報化の進展は医療の質の維持・向上につながることを明らかに する。特に医療事故の減少にもつながりうるこということがあってもらいたいような気 がするんですね。  2つ目はAccessで、医療へのアクセスの向上につながることを明らかにする。先ほど のIT戦略云々というところにもありましたが、もしかしたら問題は国境を越えてのア クセス、あるいは国際貢献という話にまでつながるのかもしれない。  3つ目はParticipation (Transparency)、参加または透明性と書きましたが、情報 化の進展が、医療についての情報開示と同時に医師と患者との共同医療の実現につなが ることを明らかにする。ということは、医師・患者関係のとらえ方にも大きな影響を与 えるのではないかという気がするわけです。  一つだけ例を申し上げますと、アメリカ医師会の「倫理規定」の一番最初のところに 患者の責任10項目というのがあるんですね。患者の権利というのもあるんですが、その あと患者の責任10項目というのがあって、その最も重要な柱は、患者から医師にいろん な情報を提供してくれということなんですね。今までの病歴から始まって患者の情報が ないと、ちゃんとした医療ができない。情報の共有という責任が患者にもあるんだとい うことが書いてあるんです。だから情報化の進展が医師・患者関係のありように大きな 影響を与えるはずであるし、それはどのようなものになるのかということがイメージと して明らかになったらいいなということです。  4つ目はEfficiencyとかCost containmentと英語でいわれるもので、情報化の進展 が、医療費全体の効率的使用につながりうるということを明らかにする。そのためのア クションプランについては藤本先生から何カ年という具体的なお話がありましたが、だ れが何をできるか、すべきかという話をまとめるという段階である。  2番目は目標達成の道筋とそのための課題と書きました。  夢だけ語っていてはいけないので、上記の目標を達成するための道筋を明らかにし、 そのための課題を、より具体的に明示する。  3番目は、情報化に伴う問題点です。  影の部分というか、情報化に伴うリスクとか関連する課題というのもある。最大の問 題は情報保護の問題だと私も思いますが、個人の情報だけでなく、システム全体がダウ ンしてしまうと、安心な医療が受けられないというのでは困る。  医師・患者関係のありようにもどういう影響を与えるか。いい影響だけなんだろう か。短期的な視野で見ると、私が聞いてる話でも、医者が患者を診察する時に患者さん のほうへ目線が全然いかなくて、キーボードとディスプレーのほうを一生懸命見てると いうことで、患者さんとしては非常に心外であるという話もあるわけです。過渡的な現 象だとは思いますが、そういうことから始まって、医師・患者関係のありようにどうい う影響を与えるんだろうかとう問題がある。  そのほか情報弱者対策とか、当初のコスト負担のありようとか、情報化の進展は医学 教育にも影響を与えるような気がします。  もう1点だけ追加しますと、いま諸先生の話を伺っていて思ったんですが、細羽委員 の資料でいうと8ページの一番下の行に「ベンダーの自由な競争のもとで」とありま す。情報化を図っていく時に初期投資が相当必要で、しかも標準化が必要だ。標準化と いうのはいい面もたくさんあると思いますが、一方で産業の競争面だけ考えると、どう しても一定の優遇策をとらざるをえなくなる。競争を阻害するような面も出てくると思 うので、なんらかの形で競争システムも維持しないといけないという課題もあるんだろ うと感じました。以上です。 【開原座長】 どうもありがとうございました。何かご質問はございますか。 【石川委員】 2点ありまして、1点は、電子カルテのマスターのパブリックドメイン 化の話がさきほど出ましたが、医療情報はだれのものなのかという問題を検討しなけれ ばならないと思います。個人情報を自己コントロールするという方向へと人々の意識が 向かいつつあるとすると、ネットワーク上で個人情報を関係者が利用することになって いった時のデータの所有権の問題というのはあまり明示的には述べられてきてないよう な気がしたので、その点について検討しなくていいのかどうかというのが1点です。  いま樋口先生は標準化と競争とはトレードオフの関係になる場合もあるとおっしゃっ たんですが、必ずしもそういうことはないのではないか。まずプロトコルを決めたり規 約を決めて、その上で競争するというほうが同じ土俵で競争できるというか、フェアな 競争ができる。そういう土俵づくりという意味での標準化ということになると思うので す。なお、標準化について財政的な支援という議論もありましたが、それについては じっくり検討する必要があると思いました。 【開原座長】 今のご議論に対していろいろご意見もあろうかと思いますが、今日のメ インテーマは項目の洗い出しということで、あとで議論する時に大きな項目が落ちてし まってはいけないので、項目を整理したいということですので、今の石川先生のご意見 はあとで議論させていただければと思います。 【石川委員】 前者だけとっていただければ結構です。 【西島委員】 今のご意見をサポートしたいんですが、私は競争は必要だと思うんです ね。固定化する標準化ではなくて、基本的な部分を標準化する。そういう中でそれぞれ のベンダーが内容で競争していけばいいんじゃないかと思います。今日、通産省のME DISの今回の補助事業に関して全国からお集まりいただいて意見交換したんですが、 そのあたりが機器的なものを含めて医療技術を向上させていくために必要なことではな いかと思います。 【開原座長】 それでは、大山委員がご欠席なんですが、資料をいただいておりますの で、事務局からご紹介いただければと思います。 【谷口室長】 資料2の18ページに大山先生からいただいたペーパーがつけてございま す。私も十分説明しきれませんが。  まず1番目は電子認証に伴う資格認証の基盤整備を行うべしということです。情報化 に際して個人情報はすぐに皆さん思い浮かぶんですが、医療の場においては国家資格を 持った方々が医療にあたっておりまして、本当に資格を持った方なのかどうかという認 証という意味で、資格認証が基盤整備として必要であるというご提言だろうと思いま す。  2番目は個人情報保護基本法の運用に関する検討ということです。  医療への適用、疫学研究への適用については基本法で除外的な扱いがなされています が、だからといって野放図にやってもいいというわけではない。当事者間でガイドライ ンを作っておいて、自己管理をちゃんとすべきであるというご提言です。必要であれば 個別法も検討しなさいというご提言だろうと思います。  Pマーク等とありますが、これはプライバシーマークの略でございまして、総務省と 経済産業省の共管で財団法人がありまして、固有名詞を忘れましたが、その財団法人で 認可している情報に関するマル適マークのようなものです。こういったものを医療に適 用しなくていいのだろうかという趣旨のご提言です。  3番目はペーパーレスの病院を目指す方向性の検討です。  実際に電子化、情報化が行われますと医事会計、物流の決済、診療報酬の面でペー パーレスに寄与しますので、そういった方向性を真剣に検討すべきであるということだ と思います。  総務省の関連の法規が整備されるのが2003年と書かれています。電子政府が2003年で すので、それに合わせて総務省の法律整備がなされていまして、それが済みますと一気 に書類の申請の電子化が進みますので、病院での事務のペーパーレス化が進むという趣 旨だろうと思います。そのへんのことをちゃんと議論すべきであるというのが大山先生 からのご提言でごさいます。 【開原座長】 どうもありがとうございました。  以上、各委員からいただきました項目について事務局でまとめていただいた表があり ますので、その表について事務局からご説明いただければと思います。 【谷口室長】 資料3ですが、委員の先生方にはA3の大きなコピーをお配りしてあり ますので、それをごらんいただきながら説明させていただきます。先生方からご意見を たくさんいただいておりまして、すべてを網羅しきれているか自信がございませんが、 とりあえず事務局でまとめた検討課題のイメージというペーパーでございます。  表頭には情報化を検討すべき分野としていくつか例示してあります。Aが全体に関係 する具体的事項、Bが院内情報システムについて、Cが地域医療連携体制、これは遠隔 医療、在宅医療、病診連携も含めた切り口です。Dが診療報酬請求、支払システムにつ いてという切り口です。Eが介護・福祉サービスの連携システム、Fがヘルス分野の問 題として臨床研究、疫学研究などの情報化への対応となっています。  表側のほうは検討すべき視点として、理念・方針・将来像の提示、次に技術的基盤整 備、さらには医療情報提供体制、経済的基盤整備、法制度の整備、人材の育成などの切 り口で整理しております。  Aの全体的課題という分野について申しますと、官・医・産の役割分担について原則 のようなものが考えられるかとか、認証システムの検討、デジタルディバイド問題、情 報化にかかる費用負担の問題、個人情報保護基本法への対応として、診療情報の利用の 際のガイドラインづくり、人材育成の視点から資格問題などがあろうかと考えておりま す。  各分野ごとの検討課題につきましてはいちいちご説明申し上げますと時間が足りませ んので、この表をごらんいただくことで省略させていただきたいと存じますが、各課題 について検討をお願いした上で具体的な推進方策の提言をお願いしたいと思っておりま す。その際に一つお願いがございます。この検討会の議論を踏まえて厚生労働省として グランドデザインを示す必要がありますので、いずれの分野につきましても将来像とし て5年先ぐらいの姿を、定性的なものでも結構ですので、この検討会としてお示しいた だければと考えております。  この表のとおりに整理をしなければならないということではございませんで、これは 事務局の単なる試案ですので、不十分なところ、わかりにくいところにつきましてはご 意見をいただきまして、追加、訂正をさせていただきたいと考えております。とりあえ ずこのマトリックスで検討課題についてのご意見をいただければと思っております。  これをすべて役所がやるということではございませんで、産業界ごとの項目、学界ご との項目、医師会等についてはどういうことを担っていただけるかという視点で役割分 担をはっきりさせて進めていく必要があろうかと存じますので、そのへんも合わせてお 願いしたいと考えております。以上でございます。 【開原座長】 これは一つ一つの升目が大変大事な議論の項目になっておりますので、 これはどうあるべきだという議論を始めてしまうと、いつまでたっても終わらなくなり ますので、今日のところは、先ほどご提言いただいたものがこの中に落ちていないかど うか。この表の中にすべて書き込まれているように私は思いますが、先ほどいただいた ご提言の中で、この切り口の中に入ってないものがありましたらご指摘いただきたいと 思います。 【井上委員】 最初に出てました医療の安全性とか品質管理とか、そういうことはこの 表の中に入れるのは適切ではないんでしょうか。 【開原座長】 そんなことはないと思います。井上先生のおっしゃった影の部分はこう いう表の形にするとあまりイメージ的に出てこないということは確かにあろうかという 気はいたしますので、ただいまのご注意は考えさせていただくといいかもしれません ね。縦のところに「影の部分の検討」というのを1項目加えて議論する必要があるかも しれませんね。そんな感じもいたします。 【井上委員】 影の部分というよりも、医療の安全性の向上とか品質管理といったこと は、どちらかというと光の部分です。 【開原座長】 医療の質の向上ですよね。医療の質の向上というのは結果だと思います が、情報システムがらみで、どういう経緯を経て質の向上につながるのかと考えると、 この表の中のどこかに入ってくるかもしれないという気はいたします。 【谷口室長】 いちいちここで議論できませんので、事務局のほうで先生にご意見をい ただきながらまとめていきたいと思いますが、今の話は情報の質の担保と考えればデー タベースの中にそういうことを盛り込んでもいいのかもしれませんし、安全性の話です と安全な情報交換環境というところもありますので、そのへんに盛り込んでもいいのか もしれませんし、そのへんは先生方のご意見を伺いながら盛り込んでいきたいと思いま す。 【中村審議官】 こういうふうにマトリックスで整理しますと、どうしても抜ける部分 があるような感じがいたします。真正性とか保存とか、データの標準化とか、交換でき ることとか、技術的基盤整備という前にクリアしなければならない大前提があると思う んです。用語、コード、様式等の標準化が必要であるというご意見もありましたし、進 めるにあたってクリアしなければならない課題という形で別の箱を作るとか別紙にする とか、無理して1枚のマトリックスに入れるんじゃなくて、入れても結構ですけど、そ こがはっきりするような整理の仕方がいいのではないかと思います。  左上の「行政的対応のカテゴリー」がいいのか、あるいは「行政的対応項目」という のは適切かどうか。行政的じゃなくて、もっと広いんじゃないか。表頭と表側のクロス したところに行政的対応、行政的対応と書いてありますが、本当に行政的対応なんだろ うか。国民的に対応が必要な事項じゃないかと思います。先生方のご発言を聞いていて そう思いましたので、次回、整理する時にご配慮をお願いしたいと思います。 【開原座長】 ほかに何かご意見はございますか。 【西島委員】 意見ではなくて要望ですが、平成6年7月に中間報告が出てますよね。 この中間報告に基づいていろんな厚生科学研究が行われてきたと思うんですが、そうい うものをいただきたいと思うんですね。それがこういうものを検討する大きな資料にな るんじゃないかと思いますので、前もってお送りいただければと思います。そういうこ とも必要だと思いますので、これは要望でございます。 【開原座長】 谷口さんのところで主管しておられる厚生科学研究があったかと思いま すので、お願いしてもよろしいでしょうか。ただいまの西島先生のご要望を整理した形 で資料をお届けすることをお願いしたいと思います。 【井上委員】 私の要望ですが、JAHISが以前まとめられた電子カルテの分類でし たか、あれはななかよくまとまっていますので、あれも参考までにお配りいただけたら と思います。 【開原座長】 そのほか参考になる資料がありましたらいただくことにしたいと思いま す。課題は必ずしもこれにとらわれるということではなく、中村審議官からご注意があ りました点も踏まえて、次回以降の議論の進め方の参考にさせていただきたいと思いま す。  それでは、資料4「グランドデザインについて」という資料がありますので、残され た時間でご審議いただきたいと思いますが、この資料の趣旨について事務局からご説明 をお願いいたします。 【谷口室長】 検討会自体がまだ2回目でございまして、検討課題の整理もまだ十分に できてない段階ですので、グランドデザインの中身について議論をしていただくのは ちょっと早いのですが、骨子について早く示してほしいと内閣府からも求められており ますし、今後の議論のイメージアップのためにご説明させていただきたいと思います。  グランドデザインにつきましては先ほどもご説明申し上げましたように、個々の検討 課題の議論を踏まえて5年先程度の姿を示すものですが、項目立てにしても内容にして も今後の議論をもとにフレキシブルに対応するつもりでございます。とりあえず現時点 でのたたき台あるいは議論の材料としてごらんいただければと思います。  まず1番は情報化の理念と目的です。  (1)理念としては、平成7年の厚生大臣の懇談会報告書の理念が大変よくまとめられて おりまして、その後の実施指針に引き継がれておりますことから、これをもちまして5 年先の方向性を示す上での理念としてもよいのではないかと考えております。  (2)具体的な目的として、1つ目の医療の質の向上では、「最新医学情報への容易なア クセス」と書いてあります。2つ目に患者サービスの充実ということになりますと、 「医療機関マップなど信頼できる医療関係情報の入手」ということも考えられます。3 つ目に効率化という視点からすると「情報化による医療コストの縮減」といったことも 考えられるかと思います。  そういった観点から、この3つの目的を規定しまして、それら目的のためのツールと して情報化が有効であるというふうに確認をしてはどうかと考えております。そのこと が方向性と具体的な目標を示す上での前提ではなかろうかということでございます。  2番は情報化の手段と技術進歩です。  電子カルテ、ICカードなど具体的なツールについて、平成6年の検討会以降の進歩 を踏まえて利用の可能性に言及してはどうかと考えております。  その際、セキュリティ技術、光ファイバーなどのインフラ技術についても目的別の書 き込みが必要かなと考えているところであります。  3番は情報化の現状とクリアすべき課題です。  様々な情報ツールを利用した保健医療分野の現状と課題を整理して、対応方策を考え る際の論理的道筋を明らかにしてはどうかと考えております。保健サービスを利用する 側、提供する側、それぞれの抱える課題が明らかになれば論点が絞られてくるであろう と考えているところであります。  次は5番と書いてありますが、事務局の間違いでして、4に直していただきたいと思 います。タイトルも違っておりまして、情報化の次に方向性という言葉を入れていただ ければと思います。  4番は情報化の方向性と具体的目標となります。  大きな分野ごとの5年後の方向性と、それをイメージアップするための具体的目標の 例示といったものが書き込めないだろうかということです。資料には単なる例示として いくつか記載いたしましたが、このうちのいくつかでも書き込めればというのが事務局 の感触でございます。  次は6と書いてありますが、これも間違っておりまして、5番は必要な対策です。  この中では、4ポツでご検討いただいたような中身を踏まえまして、実際の推進対策 をいくつかの側面から整理したいと考えております。必ずしもこのような切り分けでな くてもいいのですが、その際、役割分担をはっきりさせた書き方にできないだろうかと 思っているところでございます。  非常に粗っぽい話でございますが、こういうイメージでグランドデザイン的なものを 国民の皆様にわかりやすい明示的な例を中に取り込んだ形で示せればというのが事務局 のイメージでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 【開原座長】 こういう資料が出てきた目的はおわかりいただけたかと思います。一番 最初の時にもお話があったと思いますが、できれば夏休み前ぐらいまでにサマリーのよ うなものが出てくると、先ほどのe−Japan計画との整合性という意味でもいいの ではないかということもあります。じっくりとした議論は後でいただくとしても、大ま かな骨格については少し早めに皆様の意見がまとめられるところはまとめておきたいと いうことです。どういう項目でまとめを組み立てていくかということを考えるためのた たき台のようなものをお示しいただいたということではないかと思います。  今日はこの中身を議論していただこうというのではなくて、先ほどご検討いただいた 課題があるわけですが、その中で重要なものを文章化するような形で並べるとしたら、 このような項目の中に盛り込んでおいて、細かい各論的議論のほうは後でゆっくりやっ ていただいてはどうかということだと私は解釈しております。  そんなものを急いで作るのは無理だというご意見もあろうかと思いますが、委員の皆 様からご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。  4番は2005年に数値的なものが入るような感じにもなってるんですが、これはかなり 根拠をもって示さなくてはいけないんですかね。 【谷口室長】 役割分担をはっきりさせて、だれがどの時点までにどういう形で何をす るかというものが一つでも二つでも、国民の皆様の光のイメージというか、いいイメー ジを持っていただくために何か例示的に必要だろうと考えております。 【開原座長】 これは重要なものについての例示ぐらいに考えてもよろしいんですか ね。全部のグランドデザインを定量的に2005年の描けといわれると、なかなか大変なん ですが。 【谷口室長】 先ほど資料3で大きな表を見ていただきましたが、分野別にそれぞれ5 年後の姿を描くと書いてありました。システム全体の5年後の姿を定量的というのは難 しいかもしれませんので、定性的にお書きいただいて、分野ごとに一つないし二つずつ ぐらい具体的なイメージとして定量的なものが出てくるようなイメージでもいいのかな と私個人としては思っております。 【井上委員】 グランドデザインというのは二つ意味があって、一つは予算を伴うし実 行していかなくてはいけないので、行政的な観点で財務省等々への要求があるというこ とですが、一方では国民に対して、あるいは医療を提供する人たちにとってのメッセー ジみたいなこところもあるわけです。そこを分けるべきかどうかはわかりませんが、5 年後にIT化によって医療の姿がどのように変わるかというイメージをできるだけ与え るようにしたほうがいい。医療を提供する側においてはこうだ、医療を受ける側にとっ てはこうなるんだというイメージがパッと入ってくるようなキーワードが入ってるほう がいいんじゃないか。  医療を提供する側にとって、さっき私は管理医療というきつい言葉を使いましたけ ど、あえてそういうきつい言葉を使ったのは、意識改革を促すためには言葉というもの が重要ではないか。医療の質の向上ということを一つ取り上げても、質のことをいう時 には医療の評価を抜きにしては絶対にできないわけですから、医療評価とか病院評価と いうことが必然的につながってくるべきだと思いますので、そういう意識改革を促すよ うな言葉も必要ではないかと感じます。 【開原座長】 井上委員がおっしゃるように、このグランドデザインは行政側のグラン ドデザインというわけでもないし医療提供者側のグランドデザインというわけでもない し、医療を受ける国民の側から見たグランドデザインという意味も持っているのだと思 いますので、そういう視点を忘れないでこの中に盛り込んでいくことは本当に必要なこ とではないかと思います。  前の時の中間報告の場合は、先ほどの樋口先生の言葉を借りればパーティシペーショ ンの部分があまり表に出なかった時代だと思うのですが、パーティシペーションの部分 が強く出てきているのが21世紀ではないかと思うので、そちら側からの視点をもう少し 入れたほうがいいかもしれないという感じは私もいたしました。 【樋口委員】 私も普通の素人ですから、考えてみると情報弱者の一人なんです。情報 化がどんどん進展していって、ものすごく大きなシステムが構築されようとしている と、ぼんやりと不安になるわけです。情報保護、プライバシー保護についてはここでも ちゃんと書いてはあるんですけど、例えば2ページの「医学研究における個人情報活用 のためのガイドラインの作成」を何年までというだけでは弱いような気がします。プラ イバシーの点にもう少し重点が置かれていて、その上で医療の質の向上とかサービスが 充実しますよ、効率化もというのならいいんですが、もう少しこちら側に配慮したほう がいいように思います。十分お考えだとは思うのですが、そういう気がしましたので、 あえて発言させていただきました。 【西島委員】 資料3の表に「官・医・産の業務分担」と書いてありますが、もう一つ の柱として民と官の役割分担というのが必要だろうと思います。民間の場合は経営基盤 がしっかりしないといけないわけですので、そういうのを抜きにした形での官主導型で いくということは広がらない話になってくるだろうと思います。そのあたりも含めた内 容が必要ではないかと思いました。 【開原座長】 官民の役割という切り口をどこかに入れる必要があるでしょうね。3. 情報化の現状とクリアすべき課題と5.必要な対策がカップルしてくる可能性があるん ですよね。先ほど西島先生が言われた標準コード、マスターのようなものをどういう形 で提供していくかという話は後のほうにはちょっと出てくるんですが、そういうことも 3のほうでも触れておくし、官民の役割も3で触れておいて、5のところでやるか、ま たは1.理念のところでそのへんを議論するかでしょうね。私もそのへんがあったほう がいいかと思います。 【中村審議官】 1.理念と目的、2.情報化の手段と技術進歩というのは与えられた 条件みたいなものだと思いますが、3では、医療の情報化において踏まえなければなら ないものということが先ほどから出ているので、そこをきちんと提示する。普通の分野 での役所と民間との関係のほかに、医療の分野において公的な医療保険や公的な制度と して規制が強い分野という整理の仕方と、実際に医療サービスが行われている中で国公 立と民間もあるという問題もあると思いますので、そういうところは丁寧に書く必要が あるんじゃないかと思います。そういうことを踏まえた上で、どういう方向性をもって 具体的目標を例示するんであれば例示することにさせていただいて、それらを踏まえ て、それぞれの人がどうやっていくかというアクションプログラムみたいなものが作ら れるという構成だと思います。検討項目を整理するのとあわせて、スケルトンをもう一 回整理するということにさせていただいたらどうでしょうか。 【開原座長】 ほかにご意見はございませんか。グランドデザインについては今日すべ て固めてしまうということではなくて、次回以降の議論の前触れみたいなことですの で、ただいま審議官がおっしゃったように、少しこれを整理していただいて、次回に向 けて議論をさせていただくことにしたいと思います。  特にご発言がなければ、グランドデザインの議論はこれで終わらせていただきまし て、そろそろ時間も迫ってまいりましたので、次回のことをご相談させていただきたい と思います。次回について事務局から何か提案はございますか。 【谷口室長】 今日のご議論を踏まえまして事務局で資料の整理等をさせていただきた いと思いますが、次回につきましては1カ月ぐらい後で、先生方のご都合のいい日を選 んでいただければと存じます。 【開原座長】 今日が4月26日ですから、5月21日の週ぐらいですが、曜日をそろえる とすると24日の4時というのはいかがでしょうか。それでは、ちょうど4週間後になり ますが、次回は同じ木曜日の5月24日の4時からに決めさせていただきたいと思いま す。次回は引き続きグランドデザインを中心に骨格づくりをさせていただくことになろ うかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、第2回の検討会はこれで閉会にいたします。本日はお忙しい中、どうもあ りがとうございました。 照会先:医政局研究開発振興課        医療技術情報推進室 担当 :武末、植田 内線 :2589