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第3回「ヒト細胞組織等に由来する医薬品等による健康被害の救済問題
に関する研究会」(議事概要)


日時平成13年4月6日(金)10時〜12時30分

場所厚生労働省別館7階第10会議室

出席者 浦川委員、高橋委員、鴇田委員、堀内委員、森島委員、矢崎委員、
野々下専門家
厚生労働省医薬局長、総務課長、医薬品副作用被害対策室長、
血液対策課課長補佐等

議事

1.第2回研究会の議事概要

2.ヒトの細胞組織等に由来する医薬品・医療用具の現状と展望についての専門家ヒアリング

(1) 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長 早川堯夫 氏
(2) 京都大学再生医科学研究所教授 清水慶彦 氏

3.「肝炎対策に関する有識者会議」報告書概要

4.今後の研究会の予定


[主な発言内容]

(1)早川堯夫氏ヒアリング

○ 今後出てくるバイオテクノロジーを用いた医薬品に問題があるかどうかは、これからの審査の中でデータを踏まえて有効性及び安全性について議論していく話ではないか。安全性の問題に関しては、懸念されることはすべてガイドライン等で出されている。そのようなクライテリアに対応して、メーカーがデータを出してこなければ審査の段階で安全性の評価ができない話になり、データを出してくれば評価することになるのではないか。
○ 従来のガイドライン等を守れば、我々が現在で分かっている人知の及ぶ範囲においては、それほど問題は生じないのではないか。それ以外については審査の段階では分からないから、市販後調査というシステムがあるのではないか。不測の事態が起こるかもしれないということで審査をストップすれば、何も世に出せないという話になるのではないか。
○ デザインはきちんとしていたにもかかわらず、製造を間違えるとか途中で何かが混入するといったような、実際にできたものは違っていたという場合に、どういう救済をするかがこの研究会の役割ではないか。
○ ガイドラインの基本的精神は、その時点でベストだと思うあらゆる知見を網羅的に盛り込み、あるいは使える技術を駆使するというのが基本であり、また、ガイドラインは日進月歩の科学技術の進歩を取り込むものである。ガイドラインの全体の精神、基本的原理は変わらないが、技術的な事項や個々のアイテムは、その時代の推移とともに変わってきている部分がある。
○ バイオテクノロジー医薬品については、ガイドラインでカバーしなかったものが起きて、後にカバーしたというような例はない。
○ 当時の科学的知見では未知であったものをすべて救済制度でカバーできればいいが、被害がものすごく広がると制度自身が破綻してしまう可能性があり、人知をもって遠く及ばない未知のものなど、救済制度では見切れないものもあるのではないか。
○ 化学薬品の場合、その作用は同じものの表と裏の顔であり、ずっと同じように入っているから因果関係は非常に分かりやすい部分があるが、細胞の場合は複雑であり、細胞の中にどれだけの数の生理活性物質が入っているか、それがどういう発現の仕方をしているかということは解明できていないため、その副作用に関しては、発現した後から原因を追究していくことは可能かもしれないが、試験段階から目星をつけてというやり方はできないのではないか。ただし、使った人の状態や細胞自体が一定に生産できないことなどにより、使った人の個性で発現しているのか、原因物質としての細胞を医薬品として与えたから起きたのかということが全く不明になってしまう可能性もあるのではないか。
○ 微生物に関しては、従業員から飛び込んできたり、ほかの細胞と交差してそこから飛び込んでくるといったように、いろいろな可能性があるため、トレースが難しい。ただし、採取した細胞を保存しておいて、後に患者さんに何か起きたときに大元の細胞にその原因物質が存在するかどうかが分かる手だてを講じている。そのため、感染症であれば、DNA等が一致することによりほぼ細胞を利用した医薬品に原因があると分かるのではないか。
○ どんな複雑なものでも急性に事が起こった場合には、比較的未知のものでも原因は突き止められるが、比較的長く経過した後に大きなことが起こったときには、振り返ってどうだったのかということは難しいのではないか。
○ 感染症の場合、化学薬品と違って、感染した人間が更に感染させることがあるため、救済しなければならない範囲がどこまで広がるか分からないのではないか。

(2)清水慶彦氏ヒアリング

○ 生体幹細胞やES細胞の培養において、当初はウシ胎児血清を使っていたが、最近はそれなしでできる技術が出てきた。
○ 細胞には水分が必要なので、管理をしっかりしておかないと、そこから感染する危険がある。
○ ES細胞を実際に医療に使うまでには、一般には10年以上、15年はかかるのではないか。
○ 生体幹細胞はかなり臨床に来ているのではないか。
○ 倫理的なこと、がん化のことを除けば、能力的には成体幹細胞よりES細胞の方が強力である。
○ ES細胞については、倫理的な問題のほかに、拒絶反応の問題があるのではないか。
○ ES細胞は大量に増やすことができるので、医薬品として、企業として成り立つのではないか。
○ 倫理的な問題がクリアーできた場合、ES細胞はクローン技術とつながるので、受精卵をいじくってスーパーベビーをつくることなど、絶対にしてはいけないことをもぐりでもできないようにしておかなければならないのではないか。
○ ユニバーサルセルにしてしまうと、みんな同じ細胞をもっている人が山のように出てきて、個体の特異性がどんどん減少してしまう。いろいろな人間が、弱いもの強いもの種々雑多いないと、種が滅ぶのではないか。


照会先:医薬局総務課医薬品副作用被害対策室
    野村
    03-5253-1111(内線2719)


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