01/03/16 第1回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会        第1回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会                      日時  平成13年3月16日(金)                          10:00〜                      場所  経済産業省別館827号会議室 ○労働衛生課長  ただいまから第1回労働政策審議会安全衛生分科会のじん肺部会を開催いたします。 委員の皆さま方におかれましては、年度末の大変お忙しい中を、当部会にご出席をいた だきまして、まことにありがとうございます。本日は、北田委員より欠席とのご連絡を いただいております。本日は初めての部会開催でありますので、部会長が選出されるま での間、労働衛生課長であります私が議事を進行させていただきます。  まず、部会の開会にあたりまして、安全衛生部長から、ご挨拶を申し上げます。 ○安全衛生部長  おはようございます。皆さまには、大変お忙しいところ、労働政策審議会の安全衛生 分科会じん肺部会の委員にご就任をいただき、また、本日第1回の会合にご参集いただ きましたことを、心からお礼を申し上げます。本来ですと、労働基準局長の日比が伺っ て、ご挨拶をするところなのですが、ちょうど国会が開会中でございまして、こちらの ほうに呼ばれております。まことに申し訳ございませんが、局長からも、皆さまによろ しくお伝えするようにということでございました。  このじん肺部会につきましては、1月に省庁再編で審議会の対応等も変更になりまし たことに伴いまして、これまでじん肺審議会として、じん肺問題について種々ご議論を いただいておりましたところを、安全衛生分科会のじん肺部会という形で編成し直して 、審議等をお願いするということになったものでございます。  ご承知のように、じん肺につきましては、今なお、腰痛を除いて、最大の職業性疾病 という状況に変わりはありません。数としては、年々減少はしてきておりますが、やは りその疾病の態様に鑑みまして、私どもとしては、精一杯の政策を講じなければならな い問題であると思っております。  昨年の12月に、ずい道の建設工事につきまして、粉じん対策を強化するということで 、ガイドラインの策定をいたしまして、現在この周知徹底を図っているところですが、 このような施策等を中心に、ちょうど現在第5次の粉じん障害防止の総合対策の計画の 期間中でございますので、これに則りまして、対策を疎かにせず、邁進してまいりたい と考えております。部会の皆さまには、今後ともご指導のほうを、どうぞよろしくお願 い申し上げます。 ○労働衛生課長  本日は、当部会の第1回目の会合でございますので、議事に入ります前に、部会の委 員の皆さま方をご紹介申し上げます。委員の皆さま方のお名前等につきましては、資料 No.1−1に示したとおりであります。本日ご出席の委員の皆さま方をご紹介させていた だきます。公益側代表としまして、工藤翔二委員、櫻井治彦委員、内藤恵委員、中原俊 隆委員、名古屋俊士委員であります。  続きまして、労働者側代表として、柴垣順一郎委員、田上輝正委員、中桐孝郎委員、 船木孝治委員、町田正作委員であります。  使用者側代表として、川嶋信義委員、北村光一委員、森山雄一委員、山口信人委員で あります。  以上でございます。なお、辞令につきましては、恐縮ではございますが、皆さまのお 手元にあらかじめ配布させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。  続きまして、当部会の事務局側をご紹介させていただきます。まず、坂本安全衛生部 長、小山計画課長、寺岡環境改善室長であります。私は、労働衛生課長の鶴田でござい ます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日の議題に入る前に、当部会の部会長の選出について説明させていただきます。労 働政策審議会令第7条第6項に基づき、部会長は、部会に属する公益を代表する労働政 策審議会の委員から選出されるということになっております。当部会の委員のうち、労 働政策審議会の委員でいらっしゃるのは櫻井委員のみということでありますので、櫻井 委員に部会長に就任していただくことになります。よろしくお願い申し上げます。 ○櫻井部会長  私、ただいまから進行役を務めさせていただきます。職業病の原点でありますじん肺 には、まだ多々問題が残っております。この部会が受け持つ責任は重大であると存じま す。皆さまのご教示・ご協力によりまして、適切に責務を果たしてまいりたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。  まず部会長代理ですが、労働政策審議会令第7条第8項です。「部会に属する公益を 代表する委員又は臨時委員のうちから、部会長があらかじめ指名すること」となってい ます。私といたしましては、かつてじん肺審議会の委員でもあり、じん肺対策について ご造詣も深く、またご業績も多い名古屋委員に部会長代理をお願いしたいと思いますの で、ご了解をよろしくお願いいたします。名古屋先生よろしくお願いいたします。 ○名古屋部会長代理  よろしくお願いいたします。 ○櫻井部会長  続きまして、事務局から今日の資料の確認をお願いいたします。 ○労働衛生課長  資料No.1−1としまして、「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会委員・臨時 委員名簿」です。1−2としましては、同じくその運営規程(案)です。1−3がこの 部会の公開についての案です。資料No.2が「平成11年じん肺健康管理状況」です。資料 No.3が「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドラインの概要」の冊子 を配布してあります。その他、参考としまして、参考1に「労働政策審議会の構成につ いて」、参考2として「厚生労働省設置法(抄)」、参考3として「労働政策審議会令 (抄)」です。参考4として「労働政策審議会運営規程」、参考5として「労働政策審 議会安全衛生分科会運営規程」、参考6として「労働政策審議会委員名簿」、参考7と して「労働政策審議会安全衛生分科会委員・臨時委員名簿」です。 ○櫻井部会長  今日の最初の議題に移ります。第1の議題は「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺 部会運営規程等について」です。ここでは運営規程と会議等の公開の2点についてご議 論をいただきたいと思いますが、まず運営規程の案文について説明をお願いいたします 。 ○労働衛生課長  資料No.1−2「労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会運営規程(案)」につい てです。議論をしていただくものとしては、1−2に示しています第1条から第4条に ついてです。本題に入る前に、当じん肺部会の位置付け等について、お手元の資料を中 心に進めさせていただきたいと思います。  参考資料1に示しましたように、今回の省庁再編によりまして、新たに労働政策審議 会が厚生労働省に設置されたところです。労働政策審議会の下には7つの分科会があり まして、このじん肺部会は安全衛生分科会の部会と位置付けられております。その詳細 については参考資料2に、厚生労働省設置法の第6条に労働政策審議会を、その第9条 にじん肺に関する調査審議について書いてあります。また参考資料3の労働政策審議会 令におきましては、審議会の組織運営の詳細がありますし、第6条においては安全衛生 分科会について記載されています。また、第7条には部会について記載があります。  参考資料4には労働政策審議会の運営規程、参考資料5には安全衛生分科会の運営規 程を示しております。その運営規程の第5条に、「じん肺に関する予防、健康管理その 他の重要事項を調査審議させるため、じん肺部会を置く」と決められております。以上 じん肺部会の位置づけを簡単に説明したところであります。  本題に入りまして、先ほどの資料No.1-2の、当じん肺部会の運営規程について説明 します。まず、運営規程ですが、そこに第1条から第4条までがありますが、これ以外 に設置法であるとか、労働政策審議会令ならびに分科会の運営規程によって定めており ますので、それを除きますと、この4条になります。もっと分かりやすくするために、 2頁を見てください。先ほど説明いたしました設置法、審議会令については、省略させ ていただきます。  3頁では、運営規程について、基本的に必要な項目を列挙したうえで、各項目に該当 する条文を労働政策審議会ならびに安全衛生分科会の運営規程からそれぞれ抜粋して、 併せて記載しております。なお、これらの条文が、どの運営規程から抜粋したかが分か るように、各条文の最後に、ゴシック体で示してあります。括弧内は、その該当条文の 条項であります。「→審議会」と書いてあるのは、労働政策審議会運営規程にすでに規 定されているものでありまして、「→分科会」と書いてあるものが、安全衛生分科会の 運営規程に規定されたものです。「→部会」というのが、今回じん肺部会の運営規程に 示すものであります。  まず第1項の「委員等」についてでありますが、最初のポツは、「分科会又は部会( 以下「分科会等」という。)に属するべき委員及び臨時委員のうち、労働者を代表する もの及び使用者を代表するものは、各同数とする。この場合において、分科会等に属す べき委員のうち、労働者を代表するもの及び使用者を代表するものは、異なる数とする ことができる」ということであります。  次に、「部会に属すべき委員及び臨時委員のうち、労働者を代表するもの、使用者を 代表するもの及び公益を代表するものは、各5人とする」と。「分科会に属する臨時委 員及び専門委員は、審議会令第4条第4項及び第5項に規定する場合のほか、分科会長 の任期が終了したときに解任されるものとする。ただし、再任を妨げない」。こういう 規程等が、部会に属する臨時委員及び専門委員にも準用されるということであります。  2番目の「会議の招集」でありますが、「分科会の会議は、会長の請求があったとき 、分科会長が必要があると認めるとき又は委員等の3分の1以上から請求があったとき に分科会長が招集する」ということになっています。  「会長又は委員等が、分科会長に会議の招集を請求するときは、付議事項及び日時を 明らかにしなければならない」。  「分科会長は、会議を招集しようとするときは、緊急やむを得ない場合のほか、少な くとも七日前までに付議事項、日時及び場所を委員会等及び会長に通知しなければなら ない」ということで、この前3項の規程は、第5条に規定する、じん肺部会に準用する ということであります。  3番目に、「委員等の欠席」についてでありますが、「委員は、病気その他の理由に より会議に出席することができないときは、その旨を会長に通知しなければならない。 前項の規定は、分科会、部会について準用する」ということであります。  次の規定が本部会で議論していただく点であります。「委員等は、部会長の許可を受 けて、代理者を出席させることができる。ただし、代理者は、審議会令第9条第3項に おいて準用する同条第1項及び第2項の規定の適用については、欠席したものとして取 り扱う」ということであります。  4番目には「部会長の役割」で、「会長は、会議の議長となり、議事を整理する」と 。  あとは「会議における発言」「説明などの聴取」と、その第4条1項2項3項につい て、「分科会及び部会について準用する」ということになっております。  7の「議事録等」については、「審議会の議事については、議事録を作成し、議事録 には会長及び会長の指名した委員2人が署名するものとする。議事録及び会議の資料は 、原則として公開」と。これは本部会についても準用するということであります。  8の「専決事項」は「部会が第5条(このじん肺に関するもの)に定める事項につい て議決をしたときは、当該議決をもって分科会の議決とする」と。「ただし、分科会が 、あらかじめ当該議決に係る事項に関して、分科会の議決を特に必要とすることを定め ていたときは、この限りでない」ということになっています。  9番は「部会の庶務は、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課において処理す る」と。これが第3条の本部会の中で議論をしていただく点であります。  10番が、「その他部会の議事運営について」ということで、「この規程に定めるもの のほか、部会の議事運営に関し必要な事項は、部会長が部会に諮って定める」。  11番は、「規定の改廃」ということで、「この規程の改廃は、部会の議決に基づいて 行う」という内容であります。  それをまとめたものが、資料No.1−2の第1条から第4条であります。この運営規 程案については以上でございまして、本日はこの案文でよろしいかどうか、皆様にご審 議いただきたいと思います。 ○櫻井部会長  ただいまご説明がありましたが、これについてご意見、ご質問がありましたら承りた いと思います。 ○田上委員  2点だけ教えてください。これまでじん肺審議会があって、じん肺部会になったと、 要は基本的に役割と機能は、どこが変化するのかということを、簡単にご説明していた だけませんか。  2番目は、じん肺は単独立法のじん肺法があり、じん肺法の中にじん肺審議会が明記 されているのですが、その法の改正はもうなされたのでしょうか。以上2点を教えてく ださい。 ○労働衛生課長  今回の審議会等の整理・合理化で、じん肺審議会が廃止され、労働政策審議会の一部 会という位置づけになったわけでありますが、これは労働分野における基本的な政策の 企画・立案に関する事項を審議するものとして、労働政策審議会の一元化を図った結果 ということであります。実質的には従来の審議内容と変わらないと理解しております。 先ほどの法の中の審議会については、削除という形になっております。 ○田上委員  じん肺審議会に係る部分が、じん肺法の中で削除されているということですね。 ○労働衛生課長  そうです。 ○田上委員  分かりました。ありがとうございました。 ○櫻井部会長  ほかに何かございますか。特にご発言がないようですので、本件については、案文の とおり決定したいと思いますが、よろしいでしょうか。                (異議なし) ○櫻井部会長  ありがとうございます。引き続いて会議等の公開について説明をお願いいたします。 ○労働衛生課長  資料No.1-3をご覧ください。当じん肺部会の公開についてお諮りいたします。この 資料は、当じん肺部会の会議、議事録、会議資料、それぞれの公開の取扱いについて、 当部会委員の皆さま方の申し合わせ事項としてお示ししたものでございます。これらの 取扱いについては、同様の資料を安全衛生分科会にお諮りして分科会委員の皆さま方の 申し合わせ事項として、すでに確認がなされているところであります。  各項目について説明いたします。まず「会議の公開」、2番目が「議事録の公開」、 3番目が「会議の資料の公開」についてであります。基本的にこの3つについては、原 則公開ということであります。  1の会議の公開については、但し書として「公開することにより、委員の自由な発言 が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれのある場合、又は、個人 の秘密、企業の知的財産等が開示され特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそ れがある場合については、非公開とする」というものが第1点であります。  第2点の但し書の部分ですが、「公開することにより、個人の秘密、企業の知的財産 等が開示され特定の者に不当な利益又は不利益をもたらすおそれがある部分については 、非公開とする」と、議事録の公開については、そのおそれのある部分についての非公 開ということであります。  3番の会議の資料の公開については、同じように但し書として「公開することにより 、個人の秘密、企業の知的財産等が開示され特定の者に不当な利益又は不利益をもたら すおそれがあるものについては、非公開とする」ということであります。  当部会の公開については以上でございますが、当部会の皆さま方の申し合わせ事項と してご確認いただければと思います。 ○櫻井部会長  ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。ご意見、ご 発言がないようなので、本件につきましては、案文のとおりの申し合わせをしたという ことにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。                 (異議なし) ○櫻井部会長  ありがとうございます。次の議題に移ります。議題(2)は、各種報告ということで す。まずイ、ロと2つありますが、イで、「平成11年じん肺健康管理状況」について、 事務局から説明をお願いします ○辻村主任(中央じん肺診査医)  平成11年じん肺健康診断管理の状況について事務局から説明申し上げます。資料番 号No.2です。  1頁目は、「平成11年じん肺健康管理状況」について、ご報告申し上げます。平成12 年の数字については、いま集計中で、当部会に間に合いませんので、集計値としていち ばん新しい数字ということで、ご報告いたします。  1の「じん肺健康診断結果」ですが、事業所より、施行規則第37条に基づきまして報 告を受けた集計結果でございます。適用事業場数は4万8,859、粉じん作業従事労働者 数は 35万7,434名、じん肺健康診断実施事業場数は1万6,689、じん肺健康診断実施労 働者数は19万1,432名でございます。このじん肺健康診断については、法第7条の就業 時健康診断、以下法第8条の定期健康診断、法第9条の定期外健康診断、法9条の2の 離職時健康診断を含めております。約19万人の労働者の方が健康診断を受けております 。  その結果、有所見者の合計が1万4,832名でございます。管理2が1万3,143名、管理 3のイが1,135名、ロが542名、管理3合計が1,677名でございます。管理4については1 2名という状況になっております。  そのうち、管理2と管理3の合併症り患者数は58名という状況になっております。  次に「随時申請に係るじん肺管理区分の決定状況」ですが、管理区分決定件数が3,09 5名、有所見者の合計が2,437名でございます。このうち、管理2が1,287名、管理3が 合計で802名でございます。管理4が348名。このうち、管理2、管理3の合併症り患件 数が858名という状況になっております。  次の3番目ですが、1番で申し上げました報告の中の合併症り患患者について、どの ような合併症かという内訳でございます。上のほうで58報告をされておりますが、平成1 0年に決定した者で平成11年に療養を開始したという者が1名おり、合計59名です。肺 結核が2名、結核性胸膜炎22名、続発性気管支炎21名、続発性気管支拡張症は0、続発 性気胸14名という状況になっております。  次の頁は、いま申し上げた平成11年度の健康管理の状況の数字がいちばん下の段にき ていますが、それに基づきます数字の昭和55年からの推移でございます。適用事業場数 については、若干増加傾向ということでございます。粉じん作業従事労働者数について は減少の傾向が見られております。それに基づきます健康診断実施事業場数、健康診断 受診労働者数についても同様で、事業場数については若干の増加、漸減を繰り返してお ります。健康診断受診労働者数については、減少の傾向が見られております。新たに所 見が発見された者については、毎年減少の状況でございます。  次に右ですが、管理区分決定の状況でございます。それぞれ管理2、管理3、管理4 につきましても、減少の傾向が見られております。有所見者数については、管理2から 4までの数字をまとめたものでございます。いちばん右の欄に、有所見率を記載してお ります。有所見率については、有所見者数を分子といたしまして、じん肺健康診断を受 診した労働者の数を分母として出しております。  次に3枚目の数字ですが、これについては随時申請によるじん肺管理区分の決定状況 を同様に、昭和55年からの推移でございます。それぞれの合計数、管理2から管理4の 数字につきましても、減少傾向が見られます。合併症り患数については、漸減を繰り返 しておりますが、近年横這い傾向という状況でございます。  じん肺健康管理状況については以上でございます。 ○櫻井部会長  ただいまの説明に対して、何かご質問等がありましたら承りたいと思いますが、いか がでしょうか。特段ご意見、ご質問がないようでしたら、以上の内容につきまして、当 部会として報告を承ったということにしてよろしゅうございますか。                (異議なし) ○櫻井部会長  ありがとうございます。次に「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイド ライン」についてでございます。事務局から説明をお願いいたします。 ○篠崎副主任(中央労働衛生専門官)  昨年の12月に、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」を策 定したところでございます。その内容につきましては資料としてお配りしてございます 「ずい道等建設工事における粉じん対策におけるガイドラインの概要」のリーフレット に基づきましてご説明させていただきます。  まず、2頁ですが、ずい道等建設工事におきましては、粉じん障害防止規則や5次に わたる粉じん障害防止総合対策に基づく関係者の取組みや、施工技術等の進歩等により まして、長期的に見ますと、下の左側のグラフで分かりますように、じん肺の新規有所 見者数は、大幅に減少してきております。このように、新規有所見者数で見ますと、大 幅に減少しておりますが、その発生率を見ますと、右側のグラフにございますように、 トンネル建設工事業の発生率は、全産業及び建設業全体の発生率に比べ高くなっており まして、粉じん障害防止への、さらなる取組みが求められるところであります。  そのため、3頁にありますように、第5次の粉じん障害防止総合対策においては、ト ンネル建設工事における粉じん障害防止対策の推進を重点事項の1つとして掲げ、ずい 道等建設工事における粉じん対策について推進してきたところでございまして、今般、 その一環として、本ガイドラインの策定を行ったところであります。  本ガイドラインの内容でございますが、5頁をご覧下さい。ずい道等建設工事で、粉 じん対策を適切に実施していただくためには、建設工事の状況に合わせた対策の内容と していただくことが重要でありますことから、各建設工事ごとに、事前に本ガイドライ ンに基づき、粉じん対策に係る計画を策定していただくことといたしました。  次に6頁をお開き下さい。粉じん対策としましては、まず粉じんを発散させないこと が大切でございまして、「粉じん発生源に係る措置」を記述してございます。「掘削作 業」、「ずり積み、ずり運搬等作業」、「ロックボルトの取付け及びコンクリート等の 吹付け作業」につきまして、湿式型の機械装置の使用や、土石又は岩石を湿潤な状態に 保つための設備の設置、また粉じん抑制剤の使用等が主な内容となっております。  続きまして7頁ですが、「換気装置等による換気の実施等」について記述しておりま す。ここでは、換気装置による換気の実施について、ずい道等の規模、施工方法、施工 条件などを考慮した上で、坑内の空気を強制的に換気するのに最も適した換気方法のも のを選定するとともに、必要に応じまして集じん装置による集じんを行うこととしてお ります。  次に8頁ですが、ここでは「換気の実施等の効果を確認するための粉じん濃度等の測 定」について記述しております。ずい道等建設工事における粉じん対策といたしまして は、換気の実施等の措置が大変重要でありますので、その措置が計画どおりの効果をあ げているかを確認するため、粉じん濃度の測定を実施することといたしました。また、 その測定結果の評価を行うために、粉じん濃度目標レベルを3mg/m3以下に設定する こととしています。  次に9頁ですが、ずい道等建設工事では、飛散した粉じんがずい道等の全域にわたっ て存在している場合も見られますことから、坑内においては、常時防じんマスク等の有 効な呼吸用保護具を使用することとし、また、保護具着用管理責任者の選任等を行うこ ととしております。  その下の「労働衛生教育の実施」ですが、「粉じん作業特別教育」の実施に加えまし て、「特別教育対象者以外の者に対する特別教育に準じた教育」の実施、さらに呼吸用 保護具につきましては、適正に着用しない場合には漏れが多くなることから、「防じん マスクの適正な使用に関する教育」を行うことといたしました。  10頁以降にガイドラインの本文を掲載しております。今後は、本ガイドラインの周知 を図りますとともに、関係事業者に対し、ガイドラインに基づく対策の実施の徹底につ きまして、指導していくこととしております。  以上、「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」の概要につい てご説明させていただきました。 ○櫻井部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、何かご質問等はあ りますか。特段ご意見、ご質問等がないようでしたら、以上の内容につきまして、当部 会として報告を承ったこととしたいと思いますがよろしいでしょうか               (異議なし) ○櫻井部会長  それでは、議題の最後でございますが、「その他」というところです。何かご意見、 ご質問がございましたらお願いいたします。 ○中桐委員  先ほど報告がございました、平成11年のじん肺健康管理状況の中の、受診労働者数19 万1,432名というのがございましたが、その大半の人たちが、国際がん研究機関が指摘 しております、「ヒトに対する発がん性あり」とした結晶性シリカを含めたシリカのば く露を受けているというふうに考えられると思います。この問題に関しまして、じん肺 の予防と、その補償に関する重要な報告が、3年間だと思いますが、検討された後に、 昨年の末に2つほど出されました。  11月11日に労働省が発表されました「職業がん対策専門家会議における物質の発がん 性についての検討結果」といったものと、12月6日に発表されました「じん肺症患者に 発生した肺がんの補償に関する専門検討会報告書」というものでございます。どちらも 共通しておりまして、重要な問題だと思いますけれども、じん肺患者に発生をした肺が んについて、国際がん研究機関、また米国の国家毒性プログラム、ドイツの学術振興会 などにおいて、「ヒトに対する発がん性あり」というふうに指摘した物質、この結晶性 シリカを日本としてどう評価をするかということが問題だったと思います。  職業がん対策専門家会議の結論といいますのは、まず小委員会の中で、疫学調査等動 物実験から、シリカばく露による発がんは、珪肺症を予防すれば、発がん発症の増加を 予防できるとして、シリカそのものの発がん物質としての規制をする必要はない、とい うことを報告しました。  これを受けた専門家会議は、この小委員会のこの報告を、「珪肺症になれば肺がんに なる」ということを意味するものではないという、私としては誤った解釈と思いますが 、それを加えた上で、引き続き情報収集が望ましいという判断をして先送りをした。具 体的には珪肺症とがん発症の予防策については、なんらの措置も示していない、という ことだと思います。その後に出されました補償に関する検討会報告では、じん肺の有所 見者の発がんのリスクの高さといったものは認めておりますが、喫煙の影響といったこ とを持ち出して、結晶質シリカの発がん性を否定しております。  さらに、論点を少し変えて、今後はじん肺有所見者の肺がん対策をじん肺によるがん の発見や治療の困難さについて、調査・検討をするということにいたしました。  いずれの報告を見ましても、国際機関と諸外国が示しました珪肺有所見者のがん発症 を予防するための結論について、批判をしただけでなんら代替の予防措置、また補償措 置についても示していないということで、問題の解決を先送りにしただけではないか、 というふうに考えています。  昭和30年に設置されました珪肺特別法から46年という年月を経過していますし、21世 紀という時代を迎えて、この審議会はいまだにじん肺の撲滅だとか、全廃に向かって、 先ほども部長からご指摘がございましたが、活発な議論をしなければいけないと思いま すが、昨年のじん肺審で言いますと、私の記憶では年1回の回数だったと思います。  今回の報告の中でも、じん肺法に基づくこの審議会、先ほど、そこを削除したと言っ ていましたが、この問題についてなんの報告もない。じん肺患者にとっては大変重要な 問題だと思いますが、それについてどう事務当局側は思っておられるのか、是非ここで お聞きしたいことと、またこの部会が年1回程度、先ほどの報告だけで終わるようなら ば、そういった問題について議論をする場はどこにあるのだろうかということで、是非 お答えをお願いしたいと思います。以上です。 ○櫻井部会長  それについて事務局からお答えをお願いできますか。 ○労働衛生課長  まずシリカの発がん性に係る検討会についてですが、委員ご指摘の点が指摘されたと いうところは事実です。ただ、平成6年2月に第60回の「じん肺審議会」において、肺 がんをじん肺法の合併症に加えることについては、新たに決定的な知見が得られるまで 、正式な議題とすることは見送る、というふうにされています。  今回の検討結果は先ほど委員ご指摘のように、引き続き情報収集に務めるということ でして、結晶質シリカによるじん肺と肺がんとの関係については、新たに決定的な知見 を得るほどには至っていないと理解しています。したがって、第60回の「じん肺審議会 」の言われたレベルにあるというふうに理解しているところです。その審議会の開催に ついてですが、必ずしも1回ということではありませんで、それは委員ならびに部会長 の開催要請があれば開けるとなっています。 ○櫻井部会長  いかがでしょうか。ほかに何かご意見、ご質問はございますでしょうか。特段ないよ うですので、それでは本日の会議はこれで終了したいと思います。なお、議事録につい てですが、労働政策審議会運営規程第6条第1項によりまして、議事録には部会長と、 私の指名する委員お二方が署名することとなっています。旧労働省からの慣例に従いま して、署名は労使代表ご1名ずつにお願いしたいと思います。本日の議事録の署名人と いたしまして柴垣委員と川嶋委員にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいた します。  皆さま大変忙しいところをありがとうございました。これで終わります。             ┌─────────────────────────┐             │照会先;労働基準局安全衛生部労働衛生課      │             │    じん肺班  佐々木、細江(内線5493) │             └─────────────────────────┘