01/02/26 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会                    日時 平成13年2月26日(月)                      13:30〜15:30                   場所 東条インペリアルパレス6階 九重の間 出席者:寺田分科会長、井上委員、小川委員、小沢委員、黒川委員、児玉委員、     小林委員、澤委員、首藤委員、高仲委員、竹田委員、田中委員、寺門委員、      羽生田委員、山崎委員、和田委員     食品保健部長、企画課長、基準課長、監視安全課長、     新開発食品保健対策室長、検疫所業務管理室長、食品国際企画調整官 ○企画課長  定刻となりましたので、ただいまから「食品衛生分科会」を開催します。本日は各委 員の先生方ご多忙のところ、ご参集を頂戴いたしまして厚く御礼を申し上げます。本日 は熊谷委員、品川委員、杉委員、村上委員の4委員がご欠席ですが、出席委員は過半数 に達しておりますので、本日の分科会は有効に成立しますことをご報告申し上げます。  開催に当たり、食品保健部の尾嵜部長からご挨拶を申し上げます。 ○食品保健部長  本日は委員の先生方にはお忙しい中をお集まりいただきありがとうございます。本日 審議をお願いしております案件は2つあります。1点目は、「組換えDNA技術応用食 品等の安全性審査について」です。後ほど担当から詳しく説明をしますが、組換え遺伝 子を用いました食品について、すでに従来から販売等されているわけですが、この4月 から安全性についての承認を義務化する、あるいは、その表示について義務化すること を考えております。そういった中で、本日は従来の安全性評価指針で、既に審査済みで あったものを含め新規に申請があったものについて、昨年12月に旧食品衛生調査会バイ オテクノロジー特別部会のほうから報告が出されておりますので、これについてのご審 議をお願いしたいというのが1点目です。  2点目は、「保健機能食品の表示等について」の関係です。いわゆる栄養補助食品の 取扱いに関する検討を踏まえ、昨年11月に旧食品衛生調査会合同部会の報告が取りまと められております。今回、特定保健用食品制度の見直しを含め、保健機能食品という範 疇の食品を新たに設定すること等について、部会報告、パブリックコメント等の結果を 踏まえて、ご審議をいただきたいというのが2点目です。国民の関心が非常に強い分野 ですが、よろしくご審議をお願い申し上げます。  それと、今回2つの案件とは別に狂牛病対策、あるいはスターリンク混入の問題につ いて、事務局から報告をさせていただきたいと考えております。よろしくご審議のほど お願い申し上げます。 ○企画課長  以降の進行は、寺田分科会長、よろしくお願いします。 ○寺田分科会長  分科会の議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いします。 ○事務局  お手元に配付しました資料は、議事次第、配席図、委員名簿とあり、資料1−1及び 資料1−2は組換えDNA技術応用食品の関係資料。資料2−1から資料2−4までは 保健機能食品の関係資料です。  また、参考資料1−1から参考資料1−4までは組換えDNA技術応用食品関係。参 考資料2−1及び2−2が保健機能食品の関係です。参考資料3と4は、報告事項とな ります狂牛病対策関係とスターリンク混入問題です。参考資料5は薬事・食品衛生審議 会規程です。 ○寺田分科会長  それでは審議に入ります。本日の議題案件は、1つは「組換えDNA技術応用食品等 の安全衛生審査について」。2番目は「保健機能食品の表示等について」です。「その 他」として、「狂牛病対策に関する食品衛生法の措置について」、及び「スターリンク 混入問題について」、この2点を報告することになっています。  それでは、議題1の「組換えDNA技術応用食品等の安全性審査について」、事務局 より説明をお願いします。 ○監視安全課長  それでは、事務局から「組換えDNA技術応用食品等の安全性審査について」の説明 をします。  資料1−1は、昨年12月に提出された部会報告書です。資料1−2は、1月22日から 1カ月間、パブリックコメントを求めた結果、そこに寄せられた意見等です。資料1− 2のとおり、安全性審査の手続きを経た旨を公表する件については総数403件の意見が寄 せられています。資料として膨大ですので、ここに主な意見を一部集約しております。 なお、全体の403件は先生方のお手元のほうに回覧します。  主な意見を集約したものを少し紹介します。消費者自身が選択できるように表示を義 務付けろ。人体・環境に対する影響など、長期間食べた場合の安全性審査を行う。企業 に対する安全審査の義務付け。安全性が立証されるまでの認可の凍結。消費者一般への 公表の義務化。安全性審査を見直し、審査自体を見直したらどうだ。後代交配種につい ても安全性審査の対象にしろ。国としての確認試験を行え。追跡可能なことを何とか措 置を取れ。情報の公開。これについては申請資料のコピーの許可、閲覧日、閲覧時間を のばせ。被害が生じた場合に企業と国の責任を明確にしろ。除草剤耐性を有する遺伝子 組換え作物については残留農薬の検査を行いなさい。すべての遺伝子組換え食品は全面 的に禁止する。厳重な罰則規定を設けてください。これらが主な意見です。  意見・要望提出一覧は、資料1−2の2〜6頁にかけて、それぞれ書いてあります。 この意見を求めるときは、公表をするかもしれません、という前提で意見を求めました が、お名前とか、どこまで公表するかについては明記しておりません。ここでは性別、 年齢、住所は市までということで整理をしたものが資料1−2です。内容的には、いま 概略申し上げましたが、直接、個別の食品の安全性審査に関するコメントはありません でした。なおWTO通報を現在諸外国に対して出しているところですが、特段意見の提 出はありません。  次は報告書(資料1)の内容について説明します。この報告書は大きく2つになって おります。1つは、すでに安全性評価指針の確認済みのものの再審査について述べてい ます。2つ目は、新規に申請されたものの審査についてです。新しい審査基準は、従来 の安全性評価指針に加え食品については次の2点が追加されています。1つ目は参考資 料1−3の13頁、7の「コピー数に関する事項」です。この事項は組換え体の系列を特 定するために挿入されたDNAの近傍における配列を明らかにするということです。2 つ目は参考資料1−3の18頁、11にあります「種子の製法及び管理方法に関する事項」 です。これは組換え前の種子とともに、組換え後の種子を保存するということです。こ れは何か起きたときに、その種を取って置いて、それで再度、問題あるかないかという 原因を究明するために、こういう新たな2つのものを要求したものです。こういうこと で、基本的には安全性評価指針で確認済みの食品については、この追加された2点に関 して、申請者から提出した追加資料について審査をしたものです。  次は、既に安全性評価指針で確認済みのものの再審査について説明します。部会報告 書1−1(資料1−1)の2頁の別記をご覧ください。ここに審議経過が書かれていま す。これは昨年の12月25日に旧食品衛生調査会バイオテクノロジー応用食品特別部会よ り報告を受けたものです。これまで安全性評価指針に沿って安全性が確認された食品29 と添加物6品目のうち、申請が取り下げられたものを除くものについて審査をした結 果、食品については27品種、添加物については3品目について、審査基準に基づき人の 健康を損なうおそれがあると認められないと判断されております。  これについてもう少しお分かりいただくために参考資料1−1をご覧ください。ここ の1頁から2頁の途中にかけて、既に評価指針で確認済みの食品添加物で安全性に問題 がないとされたものについてです。(1)が食品で1〜27まで。なたねからはじまって 27のわたまでは問題がない。添加物については、α−アミラーゼ、α−アミラーゼ、リ ボフラビンの3つについて問題がないと判断されたものです。  既に評価指針で安全性確認済みというものについての説明は以上です。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。首藤先生から補足説明はありますか。 ○首藤委員  27品目の安全性について、人の健康を損なうおそれがあるとは認められない、という 結論が出ているわけですが、そのうち参考資料1−1の26番と27番のラウンドアッ プ・レディー大豆40−3−2と、インガード・ワタ531についてコメントします。報告書 の8頁にあるのがラウンドアップ・レディー大豆の40−3−2の系統についてでありま すが、これは種子の保存に関する追加資料という意味では問題なかったのですが、挿入 した遺伝子の近傍配列をよく調べて見ると、挿入された遺伝子の断片が、これまでとは 別に存在していることが分かり、そこの蛋白質が発現しているかどうかというのは、 ノーザンブロットで発現していないということが確認されており、新しい蛋白質はでき ていないということで問題を持たないのではないかということです。  もう1つは、9頁のインガード・ワタ531系統です。これについても挿入遺伝子の断片 があることが分かりましたが、ここも新しい蛋白質が新たにできていないということか ら、問題なかろうという結論に達しております。  それと、申請者から取下げになった品目が参考資料1−1の5頁に書いてあります が、29品目の数合わせを考えるとおかしいではないかということになりますが、それは 申請が取り下げられた品目がこれだけあるということです。また、品目の中に系統とい う品種があり、そのうちの一部が取り下げられたのがあり、大丈夫な形になっておりま す。 ○寺田分科会長  ありがとうございました。参考資料1−1の5頁に書いてある食品5つと添加物1つ が取り下げられた。それと、資料1−1の8頁に「追加報告書」とありますが、この2 つについては、遺伝子の挿入された断片があると言われたのですが、その発現はどうか ということをノーザンブロットのレベルで見たところ、なかったので問題はないだろう という説明です。 ○小沢委員  全体に係わることになりますが、1つは継続審査になっているものがあると思いま す。法律的には4月1日から表示が義務化される、それで継続審査のものは4月1日 に、もしここで審査が終わらなければ流通してはいけないということになると思います が、その辺の取扱いの問題です。  それと、いま説明のありました取り下げられたものは、いっぱい世の中に出回ってい ると思いますが、取り下げられた後は、義務化との関係で言えば、世の中に流通してい るのをどういうふうにフォローされるのか。おそらく企業としての判断があっての取下 げだと思いますが、そのまま出回るということがあるのかないのか、実際どのようにフ ォローできるのかという問題があると思います。  今回新しく評価されるものの中に高オレイン酸の大豆が出ております。今までのは害 虫への抵抗性だとか、除草剤への抵抗ということで、消費者が一般的に考えますと、高 オレイン酸大豆は今までの大豆とは明らかに違う大豆であると。それで今回の部会報告 のいちばん最後に、とりわけ消費者が分かるようにという留意事項が付いていたと思い ます。表示の面では、実際にどうなるのか。JAS法では、油については遺伝子が壊れ てしまうとか、検証できないということで、今のところ表示は不要となっております。 高オレイン酸大豆の場合は、JAS法の場合は加工品であっても表示は分かるようにし ろ、と書いてあったと記憶しております。この辺の表示上の取扱い、特に油にした場合 にどうなるのかを伺います。 ○寺田分科会長  継続審査の件、取下げた場合、高オレイン酸大豆の問題、この3つですが、事務局か らどうぞ。 ○監視安全課長  まず取り下げられたものですが、1つは日本での生産を見合わせようという、フレー バーセーバートマトはそうなっていますが、それ以外のものについては、ほかの新しい 品種というか、遺伝組換え技術によって作られたもののほうが生産性がいいということ で、それは今後もう作らないということで取下げをしました。添加物についても、もっ と効率の良いものができたので、これは使わないということです。基本的には、今後作 る必要性がないのでやめます、という理由で取り下げました。  ただし、現在ここで審議をする既存のもの27プラス3については、4月1日以降も、 多分、告示で周知されればOKということになります。それ以外でもし間に合わないも のがあったとしたら、それは流通は認められないということになります。外国で製造し て、そのまま外国で流通しているのはいいのですが、日本に入って来るのは、まかりな らないとなっています。  私どもとしては、それらの検査ができるように現在、ブライマー等を集めて、その対 応で検査ができるような体制を取りつつあるということです。全部、すべからくできる かどうかということはありますが、原則は、そういう検査をして、承認したもの以外の ものについての流通は止めると、行政上その対応として体制を整えるように現在準備中 です。  高オレイン酸については後でよろしいでしょうか。 ○寺田分科会長  はい。また出てきますので、その時にお願いします。ほかにはありませんか。  それでは、新規申請の食品9品種及び添加物3品目について概要説明をお願いしま す。 ○監視安全課長  新規に申請された食品と添加物について、その概要の説明をします。参考資料1−2 の9頁をご覧ください。1つはデュポン社製造の、通称高オレイン酸形質の大豆260-05 系統です。これは、オレイン酸からリノール酸を生合成するために、それを促進する大 豆由来の遺伝子を組み込むことにより、結果的にはオレイン酸濃度が高まるという仕組 みのものです。そういう生合成を促進する遺伝子を入れると、その遺伝子が多くなって くると逆に働いてブレーキがかかるということで、リノール酸の生合成ができない、し たがって、オレイン酸が高くなるということです。  また、リシンの濃度を高めようということでdapAという遺伝子を挿入しております が、これについては大豆種子中での発現はありませんでした。このオレイン酸について は水素添加をしなくても高い熱安定が保たれるという特徴があります。小沢委員の質問 の中で表示はどうするかということですが、基本的にはオレイン酸を高濃度含有させる ことにより、熱安定性がいいという大豆油ですので、多分、商品化するに当たっては、 彼らとしては、こういう特質があるのだよ、という表示をしないとわざわざ高オレイン 酸にした意味がない。そこは商取引の関係だと思うのですが、多分、そういう表示をし てくるだろうと考えておりますし、彼らについても、そういうようなことを考えている のではないかなということであります。  もう1つの食品は、モンサント社のラウンドアップ・レディー・トウモロコシのNK 603系統です。これは土壌細菌の一種であるAgrobacterium由来のCP4 EPSPSとい う遺伝子を挿入しており、植物中のアミノ酸の合成経路を遮断するという、除草剤の影 響を受けずに生育できる。除草剤はモンサント社が開発しておりますグリホサートとい うものです。CP4 EPSPS遺伝子の発現する蛋白質については、従来の遺伝子組換 え大豆、わたと同じものです。  次は参考資料1−2の10頁をご覧ください。ここにはリパーゼSP388があり、食品添 加物との1つとしてグリセリンのエステル合成やトリグリセライドのエステル交換を触 媒とするために、油の食品工業において使用されているものです。リパーゼ合成遺伝子 を挿入することにより効果的にリパーゼが生産されるものです。  次にα−アミラーゼ(TMG-アミラーゼ)です。食品添加物の酵素の1つであるデキ ストリンやオリゴ糖を生成する反応を触媒するために澱粉糖工業において液化澱粉の製 造に使用されるもので、α−アミラーゼ合成遺伝子を挿入することにより、効果的にα −アミラーゼが生成されるものです。  以上、高オレイン酸性質の大豆とラウンドアップ・レディー・トウモロコシの2つの 食品と、2つの添加物について新しい審査基準に基づいて審査がなされた結果、人の健 康を損なうおそれがあると認められない、と判断されています。この2つの食品と2つ の添加物以外の食品添加物については継続審議ということです。 ○首藤委員  追加して説明します。部会あるいはその下の会において3つの点から、デュポン社大 豆260-05系統、新たに獲得した性質としては高オレイン酸形質であると審査していま す。1つは高オレイン酸というか、オレイン酸という栄養性分が変化したということ で、そういう大豆を大豆として審査していいかどうかということです。報告書の15頁、 16頁に書いてありますように、検討の結果、これは大豆であるということで比較してい くということになりました。  2つ目は、リジンを発現させるために入れた遺伝子は、入ってはいるのですが発現し ないのでどう扱うかということです。これは他の品目の扱いと同じように、あるいは、 先ほどありました断片が入っていても発現しないというときの取扱いと同じように、蛋 白質として発現していないということが明らかであれば問題にしなくてもいいのではな いかということです。  3つ目は表示の件です。大豆の油だけを食べていけば高オレイン酸になったというの は、非常に慎重にやらなければいけないということになります。ところが実際の油とい うのは、水素添加して使われておりますので、本当にどれだけ現実にオレイン酸が入っ ているかどうかというのは、よく調べてもややはっきりしないところがあります。もし いま使われている大豆がナマというか、ナチュラルの大豆であるとすれば、高オレイン 酸になることは確かでありますが、定量的な評価はなかなか分からないものもありま す。ですが、少なくともこの大豆は高オレイン酸の大豆なんで、この高オレイン酸の大 豆を使ったものは、これは高オレイン酸の大豆の油だよ、ということが書かれていたほ うが良いのではなかろうかというサゼッションをしているところです。表示をすべきで あるかどうかについては、正直言って疑問があるところですが、この部会としては、高 オレイン酸の油である、ということを表示したほうが適当ではないかということであり ます。  あと、資料1−1の22頁にCP4 EPSPS遺伝子が入っておりますが、これの蛋白 質の発現性は確認されていますので、その点から考えても、特に問題は持たないであろ うという結論になっております。  それと添加物のほうは問題ないという意見を出しております。 ○寺田分科会長  ただいまの説明に対して、何かご質問ありますでしょうか。 ○小沢委員  表示にこだわっておりますが、たしかJAS法の表示では、高オレイン酸など組成や 栄養素や用途などに関して、従来の食品と同等でない遺伝子組換え農産物及びこれを原 材料とする加工食品の場合は、表示方法の例として高オレイン酸大豆が挙がっておりま す。これは明らかに遺伝子組換えであるということを表示する義務表示にしてあると思 います。食衛法の表示も同じように検討したはずですので、おそらく自動的に義務表示 になると私は判断いたします。ですから、企業がそのことのメリットになるから表示す るであろう、ということではなくて、多分、表示の義務が発生すると思います。  大豆の場合、油になりましたときに、JAS法では油は表示免除というか、したけれ ばしてよろしいという表示になっています。油にした場合、食衛法の表示はどうなるの かをお伺いします。 ○監視安全課長  いまのところ食品衛生法でこの大豆油のオレイン酸については義務表示にはなってい ません。基本的にオレイン酸そのものの含有量はオリーブオイルとほとんど同じです。 そういうことからすると、オレイン酸が高いということが何か問題があるかないか、と いう栄養学的な面で見ると、特に問題はないだろうという判断をしています。  あと、遺伝子組換えの食品であるかないかの表示については、何か表示をしたときに チェック方法があるとか、ないとかという議論から、多分、油はJASも除外している のだろうと思います。高オレイン酸というのはオレイン酸の含有量を測れば分かるわけ ですから。ただ、それが遺伝子組換えなのか、オレイン酸を添加した大豆油なのかとい うと、分からないということになるのではないかということからすると、オレイン酸が 高いというだけの理由で表示の義務化は、いまのところ考えていない、というのが我々 事務局側の考え方です。 ○和田委員  今度、食品衛生法による遺伝子組換え食品の義務表示になるものについては、対象な いし表示方法は、言ってみればJAS法と同じと理解していたのですが、これに関して は別ということで理解することになるのでしょうか。この辺、もう一度お伺いします。 ○監視安全課長  この表示の話については、基本的にはJASと同じ仕組みで行うという整理をしてお ります。今回このオレイン酸の件については、私ども事務局側としては、特段このオレ イン酸が高いかどうか、というだけで表示をさせるかということについては、今のとこ ろ義務化は考えていないということです。 ○小沢委員  高オレイン酸自体に害があるとは全然思いません。世の中としてはオレイン酸に対す る消費者の関心が非常に高く、オリーブオイルもかなりの家庭が日常的に保有している という状況であることを私ども調べております。ベニバナオイルなども、従来からハイ オレックに切り替わってきており、技術的にずいぶん変わってきているのは承知で、そ のこと自体が有害であるとか何とかということは全然考えておりません。  これまでの論議の中では、JAS法と整合させますよ、ということになったときに、 今回オレイン酸が特に問題がないのなら外すということになると、今後こうした意味 で、違う組成を持つようなものが出てきたときに、関連してどのように考えていくの か、表示上どうするのかという問題が出るということで、しつこく伺っております。 ○寺田分科会長  私もちょっとすっきりしないところがあるのです。例えばリノレン酸の濃度が低いわ けです。本来からいうと高オレイン酸ではなく低リノレン酸の食品であると。だって入 れた遺伝子の性質からいうとそうなります。これは余計なことですが。これから出てき た場合、場合によってはJAS法との整合性を、必ずしも一緒にやらないということに なるのですか。これはどういうふうに解釈したらいいですか。 ○監視安全課長  基本的に遺伝子組換え食品については、入っているか入っていないかを分別して、遺 伝子組換え食品ではないのか、あるのかの表示はさせます。基本的に油類については、 これは適用除外しますよ、ということです。したがって、この大豆の高オレイン酸と言 えども、この油については油なので、基本的には適用除外という整理をしています。そ れと高オレイン酸を一緒になって話をするものですから、いや、高オレイン酸だからす るとか、低リノール酸だったらしなければいけないのかという話ですが、油について は、そもそも遺伝子組換え食品であったとしても、カノーラオイルであろうと大豆油で あろうとコーンオイルであろうと、これは表示の適用外であるという整理をしていま す。そういう意味では、JASと同じ整理をして、これは表示の対象から外しますとい う整理をしております。  もう1つ、2番目に出てくるのは、いろいろご議論がなされているように、リノール 酸なりオレイン酸なりの話が低いとか低くないとかで、栄養学的に何か問題があるから 表示をしろということであれば、それは別な観点で表示のことを考えなければいけない と思います。栄養改善法の表示のことを考えなければいけないのではないかということ で、食品衛生法上の遺伝子組換え食品の表示については、基本的にはJASと同じよう に、させる、させない、という区別はします。ただし、表示の適用除外になる食品は、 油については適用除外しますという、そこの整理で適用除外していますという整理であ ります。 ○寺田分科会長  いま言われた栄養上の問題でないということが議論されて、問題でないのだったらい いと思います。それは再度、問題ないということになったのですか。要するに、高オレ イン酸が入っても大丈夫だ、油は栄養学上、大丈夫だと、そういう議論がないと困ると いう感じをしているのです。 ○首藤委員  いま日本人が摂取している油がすべてナチュラルの大豆の油であるとして、現在は手 を入れていないですが、それが今度の新しい大豆に全部ふり替わったとすると、摂取量 はオレイン酸が非常に高くなります。高くなるのがいいことか悪いことかはよく分かり ませんが、最近はオレイン酸が高いのがいいということになっていますが、これはまた 変わるかもしれませんし、私はよく分かりません。  この部会では、リノール酸がいい、オレイン酸がいいという議論自体はしていません が、全部が替わったとするとオレイン酸は高くなる。全部が替わってしまうことは、ま ずあり得ないことだろうということ。それと、もともとのナチュラルな油は細工してい ますから、本当の油肪酸の組成が、実際我々が摂っているのは、少なくともいくつかの 報告はあるのですが本当のところ分からないという状況がありますので、栄養学的にい いか悪いか分からないのですが、人によっては、あるいは高オレイン酸だと、それに意 味があるのかどうかは分からないのですが、それを避けている人がいるかもしれない。 そういう人にとっては、高オレイン酸という表示があったほうがいいかもしれないとい うことですが、仮定の仮定が入っている話ですので、この部会としては高オレイン酸で あるという表示をすべき、という議論には至りませんでした。 ○寺田分科会長  ちょっとこだわるようですが、この場合はオレイン酸だから多分いいと思うのです が、先ほど小沢委員が言われたように、もし違うもので成分が変わった場合は、この食 品分科会は、安全であるということで議論をすべきことであって、油になっているから 大丈夫だとか、という話ではないと思うのです。いまのところオレイン酸に全部なった としても、特別な病気の人が高いものを食べても問題はない、いろいろ検討してもそう いう病気はない、健康時にかなり濃度が高くなったとしても、これぐらいの程度であれ ば絶対大丈夫である、という議論が部会であったかどうかということで質問しているの です。それがクリアになったら問題ないと思います。 ○首藤委員  それは、例えばオリーブ油にも高オレイン酸と書きなさいということに通じるわけで すね。 ○寺田分科会長  そうです。 ○首藤委員  少なくともそういう範疇に入っている、という考え方ですね。 ○寺田分科会長  その範囲内に入っているということを言っていただければ、それで結構だと思うので す。そこの議論は、油だからいいとかと言われると、それではちょっと困りますねとい う話です。だから、これは食べ物として食べても大丈夫な量であると解釈してよろしい ですね。 ○首藤委員  はい。 ○寺田分科会長  ほかには何かありますか。 ○和田委員  いまお話を伺っていますと、やはり特別な病気を持っている人、あるいは体質的にと いうようないろいろな状況を考えたときに、日本人の摂取量が相当多いものが、仮に全 部置き替わったときにも何ら影響がない、ということまで言いきれるのかどうか、その 辺のところにまだ疑問が残っていますので、単純に、油は表示の対象になっていないか ら、この場合も外すのだということには、どうしても疑問が残るのですが。 ○監視安全課長  油だから表示の対象から除くのだと言ったのは、JASとの整合性はどうかという話 のときに、その定義で油は除きますという話を申し上げたのであって、高オレイン酸の 大豆油を摂取することの人体影響が起きるのか、栄養学的な問題で問題があるのかとい うことについては、部会でも先生方いろいろご議論があったでしょうし、以前、栄養学 の面からということで、独立行政法人になる前の栄養研の所長さんにもおいでいただい てご意見を伺ったことがあるのですが、そのときにも、この高オレイン酸大豆はどの程 度が高オレイン酸だというときに、いや、オリーブオイルと同じですよ、大豆油の中で は高オレイン酸は高い、しかしながら、ほかの食品でも、これぐらいのオレイン酸含有 量はたくさんあるというのが1つです。それと、現在、水素添加をしたりして、要する に油の熱抵抗性を高めるためにいろいろな措置をしているのが実情で、オレイン酸を高 めている油が多いと。高オレイン酸大豆ではなくて、オレイン酸を添加している大豆油 とかそういうのがあって、熱への抵抗性を高めているという実態があって、オレイン酸 の含有の高い油をどうしようかというのは、この遺伝子組換えの大豆油の話だけではな くて、トータルとして考えるべき話であって、そういう意味からすると、そういうとこ ろで議論をいろいろしていただいて、もし問題があるのなら高オレイン酸大豆も含め て、いろんな油のことを議論していただいて、表示すべきは表示すべきというご議論を していただくのが、いちばんベターな話ではないか、という議論は当然のことながら前 の分科会でも出ております。油だから除くという話だけで済む話ではないというのは、 部会であるとか、その前の、いまでいう食品衛生調査会のほうでも議論はされていま す。 ○寺田分科会長  これは次の2番目の議題、機能食品で将来的には、遺伝子組換えがいろいろ入ってき ますので、やはり安全性というところをチェックして、それでOKだという立場でやっ ていきたいと思います。事務局のお答えになった意図はよく分かりましたが、油だから という発言で誤解を生んだらいけないと思いますので。 ○企画課長  今日は十分な資料も用意しておりませんので、日を改めて遺伝子組換え食品の表示と いう観点からどう整理したかについてご説明したいと思います。それと遺伝子組換え食 品に関しては、油については表示を義務としては求めないという方針が出ているわけで すが、JASの表示制度の固有の立場、この場合、食品衛生法の表示の観点からはずれ ると思いますが、食品の栄養素が大きく変わる場合には、JAS法として、ほかの食品 の表示の問題との関連上、その旨表示せざるを得ないということです。私どもの考え方 としては、遺伝子組換え食品として表示するかについては、油について表示義務化を免 除しているという、そこから先の部分で食品衛生法とJAS法の間をどう整理するかと いう問題になっているということです。  大まかに言えばそういうことですが、考え方を整理した上で、改めて各委員方にお示 しする機会を得たいと存じておりますので、よろしくお願いいたします。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ほかには何かありますか。  それでは、この薬事・食品衛生審議会規程第3条の規定に基づき、この部会報告にお ける決定事項を当分科会としての議決にし、審議会長あて報告することにしたいと思い ますが、よろしゅうございましょうか。 (「異議なし」の声あり) ○寺田分科会長  ありがとうございました。では、分科会報告書の様式として整理して分科会の報告書 といたします。それでは答申書(案)をお願いします。 (答申書(案)配付) ○寺田分科会長  では、事務局からお願いします。 ○事務局  お手元にお配りいたしました答申書案を読み上げます。  厚生労働大臣坂口力あてに、薬事・食品衛生審議会会長の内山充からの答申書(案) です。  「平成12年7月4日付厚生省発生衛第199号及び平成12年11月29日付厚生省発生衛第 326号による諮問に係る食品及び食品添加物の安全性審査について、下記のとおり答申す る」  「記」ということで1、2と付いています。  1番目は、「平成12年7月4日付厚生省発生衛第199号をもって諮問された、既に『組 換えDNA技術技術応用食品・食品添加物の安全性評価指針』で確認済みの食品29品種 及び添加物6品目のうち、食品27品種及び添加物3品目については、人の健康を損なう おそれがあると認められないと判断する。(別記1参照)」と。2枚目と3枚目が別記 1ということになっており、先ほど審議した食品27と添加物3品目を掲げた表が付いて います。  2番目として、「平成12年7月4日付厚生省発生衛第199号をもって諮問された新規申 請の食品9品種及び添加物1品目並びに平成12年11月29日付厚生省発生衛第326号をもっ て諮問された新規申請の添加物2品目のうち、食品2品種及び添加物2品目について は、人の健康を損なうおそれがあると認められないと判断する。(別記2参照)」とな っておりまして、いちばん最後の頁に、食品2品種と添加物2品目が表として付いてい ます。  答申書は以上です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。この答申書(案)について、ご意見ありますでしょ うか。 (「特になし」の声あり) ○寺田分科会長  ありがとうございました。それでは、この答申書をもって厚生労働大臣に答申いたし ます。  引き続き、議題2の「保健機能食品の表示等について」に入ります。事務局から説明 をお願いします。 ○新開発食品保健対策室長  まず資料2−1をご覧ください。「保健機能食品制度に関わるこれまでの経緯」で す。本件については昨年の1月31日、当時の厚生大臣から食品衛生調査会に、いわゆる 栄養補助食品の表示、食品添加物規制、規格基準等について諮問されたものです。諮問 書は参考資料の2−2として付けてあります。  その後、食品衛生調査会では、本件が調査会のさまざまな部会にまたがるものである ことから、食品規格・乳肉水産・表示特別・添加物・毒性の5部会からなる合同部会で 検討するとしたところです。この間、生活衛生局長の下に設置された、「いわゆる栄養 補助食品の取扱いに関する検討会」においても報告書を取りまとめていたところです。 食品衛生調査会としては、さらに技術的な問題等を詰めるために、本日もご出席の田中 委員を座長とする分科会を設置し、6月から10月にかけて5回開催した報告書を取りま とめたところです。  合同部会は、11月にこの分科会報告について2回の検討を行い、若干の修正を行った 上で合同部会の報告書として取りまとめております。合同部会報告書は参考資料2−1 として提出しております。この間、当時の厚生省ですが、この分科会報告書について在 京各国大使館への説明、一般からの意見募集を行いました。合同部会報告書が取りまと められた後、1カ月間のパブリックコメントの募集、WTO通報等を行いました。パブ リックコメント等では、延べ319件のご意見・ご要望をいただき、これに対する厚生労働 省の考え方を去る2月15日にホームページに掲載しました。パブリックコメントに対す る考え方は資料2−4でまとめてあります。なお、WTO通報に対する各国からのご意 見はありませんでした。  続いて資料2−2の報告書案の概略です。本日合同部会の会長を務められた黒川委 員、あるいは分科会の座長の田中委員もいらっしゃいますが、今回報告書の内容につい て厚生省から厚生労働省に変わったとか、それらの事務的な問題と、あとパブリックコ メント等に寄せられたものをもとに、若干修正したものがありますので私から説明いた します。  資料2−2です。1頁は「はじめに」です。ここでは、これまでの検討の経緯、ある いは国際的な状況等を記述しています。  次の2頁のいちばん下の2の「分類及び名称」です。ここでは今回類型化します食品 について、それを総体として「保健機能食品」と称するとともに、個別許可型は「特定 保健用食品」、規格基準型は「栄養機能食品」とすることを提唱するとしております。  3の「栄養機能食品の規格基準」は報告書の中の別紙2に詳細がありますが、12種類 のビタミン、2種類のミネラルについて規格基準を設定することとしております。  4の「表示基準」では、特定保健用食品の保健機能表示、栄養機能食品の栄養機能表 示について、それぞれ記述しています。  5の「製造基準」については、その必要性を認めつつ、今後とも検討を引き続き行っ ていくべし、という記述です。  6の「特定保健用食品の申請・評価・表示に関する指針」の部分では、特定保健用食 品の審査の透明性の確保等について記述しております。  7の「食品添加物指針」では、通常形態以外の保健機能食品に使用できる食品添加物 に関する指針について記述しております。  8の「おわりに」については、今後の行政の取り組むべき方向を記述しております。  次に、パブリックコメントの主な内容及びそれに対する事務局の考え方について説明 します。パブリックコメントは資料2−4です。全体に関するものは1頁から8頁の上 段まで、IIといたしまして「特定保健用食品」が8頁から10頁にかけて、IIIとして「栄 養機能食品」についてが10頁から13頁の真ん中辺りまで、IVとして「添加物関係」が15 頁の真ん中辺りまで、Vといたしまして「製造基準」という形でそれぞれ分類いたしてお ります。  制度全体に対する意見といたしましては、消費者にとってはわかりにくいものではな いかとか、あるいはもう少し時間をかけて検討すべきではないかという意見が寄せられ ておりました。これにつきましては、わかりやすさという観点からいけば、私ども広報 活動等に十分力を入れなくてはいけないなというふうに思っておりますので、そういっ たことは記載させていただいております。  もう少し時間をかけてということですが、これにつきましては「はじめに」の部分に も書いてありますが、平成13年度から実施するということが政府等としてすでに決定と なっているということもありますので、ご了解願いたいという考えでございます。  続きまして、パブリックコメントで技術的な指摘が何点かなされておりますので、こ れについてご説明したいと思います。12頁の(23)、β−カロテンの取扱いについてで す。このコメントは、β−カロテンはビタミンAの前駆体であり、またより安全なもの でもあるので、これにビタミンA源としての表示を認めるべきではないかというもので す。私どもといたしましては、平成11年に改定されました「日本人の栄養所要量」にお きまして、β−カロテンのビタミンAへの換算を認めているということもありますの で、意見としては妥当な意見ではないかというふうに思っております。  次に12頁の(24)以下です。昨年11月の合同部会報告では、栄養機能食品の栄養機能 表示につきましては、ビタミンBとカルシウムの2成分についてのみ公表いたしており ました。他の12成分につきまして引き続き検討していたわけですが、これの考え方を、 パブリックコメントのいちばん後ろの別紙にあるのですが、他の12成分を含めた栄養機 能表示を注意喚起表示と併せて付けてあります。この栄養機能表示等をまとめるに際し ては、田中先生をはじめ、専門家のご意見をお伺いして取りまとめたところです。  以上の2点を踏まえまして、資料2−2の報告書の中の別紙2−(2)の「栄養機能食品 の栄養素の配合限度量」につきまして、β−カロテンに関する記述を加えるということ と、別紙3−3頁、「ビタミン・ミネラルの栄養機能表示と注意喚起表示」という2つ をまとめております。この2点につきまして、是非ご審議いただければと思っておりま す。  資料2−4で、4頁の(15)というのがあります。「保健機能食品と特定保健用食品 又は栄養機能食品の併記は不要ではないか」というご意見です。具体的には「保健機能 食品(特定保健用食品)」、あるいは「保健機能食品(栄養機能食品)」と書くか、ま たは「保健機能食品」という言葉を使わずに、いきなり「特定保健用食品」、あるいは 「栄養機能食品」と単独で書くかというものです。私どもといたしましては、今回、い わゆる健康食品の中の類型化という形で保健機能食品というものを位置づけたというこ とを考えておりますことと、また、従来からいわゆる健康食品につきましては、すでに いろいろな名称を業者が自主的、自由に使用しているといったことも踏まえますと、併 記することが妥当ではないかというふうに考えておりますが、これについてもご審議、 ご意見等をいただきたいと思っております。  11月20日の合同部会報告書からの変更内容につきましては、資料2−3に全体として まとめておりますが、主な変更点は最初に説明した2点です。その他は、厚生省が厚生 労働省に変わったとか、食品衛生調査会が廃止されて薬事・食品衛生審議会となったこ とに伴う修正等です。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの説明につきましてご質問あるいは意見が あるかと思いますが、まず分科会の報告書についての検討を行いたいと思います。分科 会報告書では、旧食品衛生調査会合同部会報告から、先ほどの説明にもありましたとお り、パブリックコメントの結果に基づき、大きくは2点の修正を行ってあります。1つ は、先ほど言われましたように、ビタミンAの前駆体であるβ−カロテンについて、ビ タミンA源として栄養機能表示を認めること。2番目が、ビタミン・ミネラルの栄養機 能表示と注意喚起表示について設定するすべての栄養成分について示すとともに、注意 を喚起する表示の簡素化を図ると、この2点です。これについては、いかがでしょう か。ご意見ありますか。  2番目の設定するすべての栄養成分について示して注意すべきことをちゃんと書き、 それの簡素化を図るということにつきましてはいかがでしょうか。  次に、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品の表示についてですが、部会報 告では、「保健機能食品」プラス、括弧してそれぞれのカテゴリーを記載することとし ておりますが、パブリックコメントに寄せられた意見では、保健機能食品を併記しなく とも、特定保健用食品、栄養機能食品の旨を表示すればよいのではないかということも 寄せられておりました。これについての扱い、あるいはそれ以外の項目についてご意見 はありますか。 ○小林委員  資料2−2のちょうど8頁目に当たる別紙1−(1)の図を見ながらお話を申し上げたい と思います。私はあまりよく承知してなかったのだけれども、従来、医薬品と言われて いたものが、今回は区分の見直しがあって、医薬品の中の一部のものが食品グループに 入ってくるというふうにお話があったように思いましたが、これについてはどういう理 由でもって医薬品が保健機能食品に回ってくるのか。  と言いますのは、食品行政を担当されるサイドは、確かに形が医薬品のような形をし ていても、医薬品には当たらないような軽微なものについては、食品にしたらどうか、 ということを昔は言っていたように承知をしておりますが、今日、国民の皆さん方が自 分の健康は自分で守るというような概念が強くなり、生活習慣病対策で食生活をきちっ と自分で立てていこうと、こういう時代になってくると、いままでは医薬品の部類に入 っていたものが食品にいきなり入ってくる。そして今度は、医薬品から今回の特定保健 用食品になるのか、栄養機能食品になるのか、場合によっては一般食品の中にも薬の形 状をしたものが入ってくると、こういうことになろうかと思いますが、どういう理由で そういうことになるのか。昔、食品行政の担当部局が、医薬品のような形をしたものは 医薬品と扱っていたものを今度は食品に移すということについて、どういう理由でとい うのをまずお答えをいただきたいと思います。 ○新開発食品保健対策室長  ただいまのご質問ですが、ご承知のとおり食品衛生法上は、第2条に「すべての飲食 物は食品である。ただし、医薬品及び医薬部外品は除く」と書いてありますので、医薬 品として取り扱っていたものが医薬品でなくなれば、それは食品ということになるわけ です。  具体的に何を医薬品として判断をするかというものにつきましては、私ども薬の担当 部局でやっているわけですが、それにつきましては昭和46年に考え方が出されておりま して、その関係でずうっとやっていたわけです。まず、医薬のほうの検討といたしまし て、人が経口的に摂取するものが医薬品に該当するか否かについては、形状、表示、成 分本質を総合的に勘案した上で判断している、ということを前提としていろいろなご議 論が行われました。形状についても食品と明記されていれば、原則として形状のみによ って医薬品に該当するか否かの判断は行わないこととして差し支えない、というような 形のものがまとめられているところです。  用法・用量とかいろいろな記述等もあるわけですが、こういった形で報告書の中の2 頁の7行目にも書いていますが、「一方、我が国におけるいわゆる栄養補助食品の検討 は、食薬区分の見直しと並行して行われてきており」と。要するに、食薬区分が見直さ れることによって、それと並行して行ったと言っているわけですが、そういった形で医 薬品の範囲から一部外されたと、制度的にはそういったものがあります。  現実に、ご承知のとおり、すでに平成8年度末から順次、医薬品のほうでは形状によ る規定等を緩和してきているわけですが、そういったものにも伴いまして、また、いろ いろな輸入、その他の措置によりまして、ご承知のとおり、諸外国ではすでにそういっ たカプセル・錠剤型の食品というものが販売されておりましたし、そういったものが国 内でもすでに相当流通しているということは事実です。現実にそういったものは、特に 女性の雑誌とかフィットネス関係の雑誌とかを見れば、非常に多くそういったものは取 り上げられておりますし、そういった現実を踏まえた対応を採るという意味でいけば、 現実の対応を採って、なおかつそのもの、なるべく諸外国、相手の取扱いともあわせて いくという観点からいけば、今回あくまでも「食品」と明記するとか、いろいろな機能 の表示等、もちろんここに書いてあるような検討をしていくわけですが、そういった食 品を認めるということは妥当ではないかということは、これは検討会、あるいは合同部 会等におきましても特に異論なく認められているところだ、というふうに私どもとして は理解しておりますが。 ○小林委員  食薬区分で、従来は医薬品だと言っていたのを一部食品にしようとされたことは、事 実ですよね。それは、行政の中の食品サイドとしてそのほうがベターだと判断をされた のですか。食品行政というのは、食品というものはただ栄養素だけでもって食品という ものが形成されているわけではないし、食べるという習慣自体がすごく健康を守る上に 大切だということで言えば、できるだけ食品としてものを摂るほうがベターだと私個人 は思っているのです。そういう意味では、食品サイドは食品サイドとして健康を守ると いう観点から、その辺はどう考えられたのですか。  もう1つは、諸外国とおっしゃられたけれども、諸外国では、確かに形状が医薬品の ような形をしているものが食品で扱われていることは承知をしておりますし、それらの 国が日本へ実は輸出をしようと思うと、自分の国では食品であったものが、こちらへ来 ると医薬品になってしまう、それで医薬品として許可を取らないと売れないから困る、 という話があったことは私も承知をいたしております。逆にそれらの医薬品の商品、外 国の商品でも、今回の措置をやっても、栄養機能食品は基準を守ればいいわけですが、 特定保健用食品の場合は許可をいちいちいただかなくてはならないということになるの ですから、諸外国にとっては特に輸入にとってプラスになるということは、保障されて いるわけではないと思います。  だから、今回のことをやらなくても、国民の皆さん方は医薬品のままであってなぜい けないのかと。我々は日本の国民の健康を守ることが主眼点であるわけですから、そう いう意味でいけば、外国はほとんどの国がそうなって、日本だけ孤立ですよと言われる なら、それは考え方があるのでしょうが、実際に諸外国とおっしゃったけれども、同じ ような問題を諸外国は大体どのぐらいの国に分かれるのか、先進国ではどのぐらいに分 かれるのかということは、わかったら教えていただきたいと思いますが、いかがでしょ うか。 ○新開発食品保健対策室長  食品衛生サイドの考え方ということですから、いま小林委員がおっしゃっておりま す、例えば食事については、単に栄養素の補給だけではなくて、よく噛むことから始ま っていろいろな意味があるということはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、現実問題として、いま考えますと、社会の24時間化とか、そういった非常に不 規則な生活をする方、あるいは余儀なくされる方が増えているということと、一方、今 は飽食の時代で、栄養過多が問題になるケースもある中で、人によってはカップラーメ ンばかり食べているような人もひょっとしたらいるのかもしれないですし、そういった ことでいけば、私どもとして、いま国が具体的にこれこれを食べろというような形のも のはどうなのかなというところはあります。  合同部会の際の意見でも、あくまでもこういった食品というのは補完的に摂るもので あって、通常の食生活が大事なのだ、ということをはっきり書くべきではないか、ある いは、そういうことはきちんと厚生労働省としては主張していくべきではないか、とい うご意見もいただきました。それについてはごもっともなご意見だと思いますし、私ど もとしてもそんなお答えは前回もしたことを覚えております。  ただ、そういったいろいろな食生活をされている方、それは何を食べるかというのも 個人の選択に委ねられているところですし、それについてこういったものを食品として 1つの選択肢として示すということについては、当時の分科会あるいは部会の意見の中 でも、こういったものを引き続き医薬品として食品から排除することが適当だというよ うなご意見はありませんでしたし、言ってみれば自由に個人の選択に任せるということ においては、それは1つの考え方なのだろうというふうなご了解が得られているものだ というふうに考えております。  諸外国のお話でいけば、確かにもともと米国からの要望があった、というのは委員の ご指摘のとおりです。特定保健用食品につきましては当然許可が必要ですので、その許 可にかかる事務、それにつきましては内外無差別ですので、国内の業者が取るのと同じ ような必要なデータの要求その他は、当然のことというふうに考えております。  今回のことは不要で、医薬品のままでいいではないかということですが、それにつき ましては医薬品のほうで検討してきた経緯もありますので、私どもでどうこうというこ とはありません。ただ、そういった形で医薬品の規制の緩和が行われてきている中で、 食品としてそれをそのまま放っておけばいいのかということではなくて、ではどういっ たものについてカテゴライズしていくのかという要望の中で取りまとめたというもので すので、そこはご理解いただければと思います。 ○小林委員  最後、もう一度確認したいのですが、従来、医薬品であったものが外れて食品になっ た場合に、特定保健用食品でもなく、栄養機能食品でもなければ、いわゆる一般食品で 入ってくるわけですね。 ○新開発食品保健対策室長  一般食品のものもあります。 ○小林委員  そういうことになるわけですね。 ○新開発食品保健対策室長  はい。 ○小林委員  そういう効能的なことについて表示的なものはできないのですね。 ○新開発食品保健対策室長  それは認められません。 ○小林委員  そういうふうに解釈してよろしいですね。 ○新開発食品保健対策室長  はい。 ○小林委員  ありがとうございました。 ○和田委員  いまのお話ですが、私も検討の段階で参加いたしまして、やはり私たちの食生活がい ちばん基本なのだということ、当然そこでも全部そういう認識はあったと思うのです が、こういうものに市民権を与えることによって、うっかりすると自分の食生活が疎か になりながら、こういうものに手を出すという傾向が強まるのではないか、という疑問 が私は絶えずありました。  ただ、現実にいろいろな人がいるのだから、その人たちにとってのあくまでも選択の 1つとしてということで、何となくまだ疑問点から釈然としない気持と、もっとやるべ きことがあるのではないかなというような気持は残っておりますが、とにかく外国とい うか、具体的にはアメリカからの要求もあってということではいたしましたが、基本の ところで食生活を当然のことですが大事にするというその大前提というのは、ここの報 告書は表示についての報告書だから入らないのかなと思いながら、いまもう一度ご発言 があったものですから、そういう気持は残っております。  表示についてですが、検討の段階で「栄養補助食品」という言葉が出ながら、結局そ ういうものがたくさん市販されているからということで、実際に今回の表示の整理がさ れ、そしていま市販されているものを見ますと、さらにそれに類似のような「栄養調整 食品」というのがたくさん出ているわけです。あと、PRなり正確な理解を得るような 努力をします、いろいろなPRをしますとおっしゃったのですが、本当に今度こういう ことになったということが十分わかりきらないで市販のものを眺めた場合には、なかな かその区別がつきにくい現状なのです。  ですから、非常に数多くのいろいろなものが出ている中で、あらかじめ今回の表示と いうものを十分に理解した人でなければ、正しく適切に選択がしきれないという懸念が 十分にありますので、そうなると、例えば別の機会とか、パンフレットとか、いろいろ な講習会を開いたりということで理解を得るというよりも、この物そのものの表示を十 分に、これから出てくるものについてさらに検討しながら、改めながら、私たちが適正 に選択できるような表示というものに是非していただきたいというふうに感じておりま す。これは、いま出されておりますのが適正に表示されるかどうかということと、その 周辺のところがどういう表示になってくるかということ、その両方を併せて是非十分に お考えいただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。 ○田中委員  私は検討会の座長を務めさせていただきましたし、また分科会のほうも担当させてい ただきました。室長の説明で十分なのですが、若干補充をさせていただきます。この問 題につきましては、委員の間でも意見が様々で、たぶん2人として同じ見解がなかった のではないか、と思うぐらい非常に多様化したものです。ある方は、和田委員が1つの 代表かもしれませんが、錠剤・カプセルを食品というのはとんでもないという意見もあ りましたし、一方、ダイコン、ニンジン、魚等の食品の延長としての栄養補助食品であ るという意見があり、両極端の意見がありました。ですから、その中で皆さん方全委員 のコンセンサスをどう取るかということに、非常に苦労した検討会でした。  このように決めたものに対しては、一方では規制であると、厚生労働省は非常に厳し いことを規制するのだ、という意見もありました。その一方では、むしろ厚生労働省は こういうものを大幅に摂れという奨励をしているのではないかと、先ほど市民権を与え るという言い方でしたが、そういう意見もありました。  ただ、現実には、いわゆる「健康食品」というものが多数、多量出回っております し、あるときには「栄養補助食品」と使ったり、「栄養調整食品」という言葉も出てお りますので、何か既存のものとは異なった名称ということで、一応栄養素としての機能 のわかっているものは「栄養機能食品」としました。これは栄養成分の補充的な意味合 いを持つものというので名前を付けたわけです。特定保健用食品につきましては、栄養 機能プラス特定の保健の用途に役立つようなものです。そして科学的根拠があるものを 1つずつオーソライズしていくものです。たくさんある健康食品の中でこれらはまずま ず科学的根拠が明確なものでありますよ、ということを国民の皆さんにお知らせする、 情報を提供するという考え方が、この検討会での多数派の意見ではないかと考えており ます。  当然この検討会の序文では、食事というものは、通常の食品からバランスよく摂るの が筋であるということを明記しています。  それから、先ほど和田委員のご指摘もありましたように、この報告書では、そういう 啓蒙、正しい情報を流す。そして今回決めました保健機能食品というものの意味するこ とを、啓蒙・教育していくことの必要性も言っておりますし、場合によってはそれを適 切にアドバイスできる資格を持った人の養成をも、報告書の最後の所に付け加えさせて いただきました。 ○高仲委員  いままでいろいろとご議論を伺っていてちょっと感じたことですが、このビタミンあ るいはミネラル、こういうものを我が国の場合は現実には、「医薬品」「医薬部外 品」、そして「食品」という形で使っております。これを医薬品として扱ってないとい う国は非常に希でして、当時、私は医薬品側からこれを眺めたわけですが、そういたし ますと、医薬品と食品の両方にまたがって使っているという国が世界では多うございま す。ヨーロッパではほとんどそういう様式になっております。  一方、錠剤とかカプセル剤という形状によって、これを医薬品とそうでない食品に分 けるというやり方をしている国は、我が国だけです。一部の国では形状についての記述 もありますが、これほどはっきりしたことで分けている所はありません。実際にこれを 作用という点から見ますと、まず生理的な必要量みたいな生理錠、さらに、例えばビタ ミンCのコーリング博士が言っているような大量に使って、別の薬理作用を期待するよ うな場合に薬理作用、さらにそれ以上使ってくると有害反応が出てくると。こういう量 的なものと反応との関係でものを見るというほうが一般的です。そういう点では、いま ご指摘にありましたように、とても外国の圧力によってということは、スタートのとき はそうかもしれませんが、現実には、いまの世界の情勢に我が国は合わせたというか、 合ったという状態にあると認識しております。  さらに、ここで問題なのはハーブです。ハーブにつきましては、ご存じのように非常 に種類が多い。そして、我が国では生薬というものを長い間使っておりますし、さらに 伝承薬というものもあります。そういう中でこのハーブをどういうふうに分類していく かということは、まだ最終的には終わってないだろうと思うのですが、先ほどからお話 に出ている46通知の中の1−aといういちばん厳しい、専ら医薬品として使われる部 分を含めての検討は行われているだろうと思います。  この部分につきましては、今後さらに、いまお話がありましたように、その情報を相 当公開して選択できるようにしていく必要があると思うのです。と申しますのは、米国 でもハーブに関しましては、いくつかのものを併用して飲むということが現実に行われ る。それによりまして思わぬ有害反応が起きている、という話も聞きます。その点では 今後こういうものを食品として使っていく場合には、それなりの十分な情報の提供が必 要だろうというふうに考えます。現在のビタミン・ミネラル、そういうものをとります と、すでにほとんどの国民の皆さまがその作用、その他についてよくご存じだろうと思 います。いまのお話にありましたように、さらなる情報の提供とそれなりの考え方とい いますか姿勢といいますか、そういうものが伴ってくれば安全に使っていけるだろうと いうふうに思うわけです。 ○寺田分科会長  貴重な情報をどうもありがとうございました。ここの報告書の7頁の所に「おわり に」とか、特に「国民への情報」、いろいろな言葉でちょっと似たような言葉がたくさ んありますし、ここに書いてあるのは、先ほど和田委員が言われたようなことも含めま して、今後是非、情報提供、あるいは正しい情報を流すようにお願いしたいと思いま す。  お話を聞いておりまして、実際の報告書の中の修正事項というのがあります。いま貴 重なご意見をいろいろいただいて、大変よかったと思います。 ○羽生田委員  私も不勉強で、まだ来たばかりで細かいものはよくわからないのですが、栄養機能表 示というのはしなければならないのですか。別紙3−3のビタミン・ミネラルの表にな っている「栄養機能表示として認められる表示」というものを読んでいますと、これは 単純に、これを摂ったほうがいいですよ、と表現しているようにしか取れないのです。 例えば、「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です」ということは、これ を摂ると夜間の視力が良くなるんだ、というふうにしか理解できないと思うのです。  ですから、栄養機能表示というのは、いまテレビや何かの宣伝をいろいろ見ていまし ても、例えば高血圧が治ってしまうぐらいに思えるような宣伝をされているわけですか ら、栄養機能表示というのがなくて、この食品はビタミンAをどれだけ含んでいますと いうだけにしたほうが、むしろいいのではないかと思うのです。それを摂るか摂らない かはその他の情報から、ビタミンAというのはどういうものに必要なのだということ は、それを摂取しようとする方が自分で考えるということです。なぜこの栄養機能表示 というのをしなければならないのか、私にはちょっと理解ができない。むしろ、食べな さいよというふうに勧めているようにしか、私には思えないのです。 ○新開発食品保健対策室長  栄養機能食品というものにつきましては、これは厚生労働省の許可とかあるいは届け 出を必要とするものではありません。製造・販売する業者が、ここに書いてある規格に 合致していればそれで表示できるというものです。したがいまして、例えば成分が規格 に合っていても、別に栄養機能食品というのを明記しなくてはいけないというものでは ありません。ただし、栄養機能食品というものを表示した場合には、それでは具体的に 何が当てはまっているのかというものについて、例えばビタミンAがその規格に入って いれば、これを表示していただくというものです。  いま羽生田委員からご指摘もありました、例えばビタミンAがどれだけ入っているか というのは、それはいまの栄養表示の中ではすでに可能なものです。この「栄養機能表 示として認められる表示」をどう書くかというものについては、これはかなりいろいろ な議論がありました。その中で、いま「夜間の視力の維持を助ける栄養素です」という ことについて言及されましたので、それで言いますと、例えば「夜間の視力を維持する 栄養素です」と書いてしまうと、また非常に強い形になってしまいまして、ビタミンと かこういったものにつきましてはあくまでも補酵素としての役割が多いということなの で、「助ける」とか、「寄与する」とか、ミネラルについては「その必要な栄養素」と いうことで書いておりますが、そういった形で、私どもとしては、むしろ「必要な栄養 素」というよりは「助ける」というほうが弱いというふうにとらえて書いております。  栄養機能表示についてどういうふうな取扱いをするかというものにつきましては、資 料2−4の13頁のパブリックコメントの「栄養機能食品の表示内容に関するもの」とい う中で、例えば(30)で行きますと、これは業者の方からのご要望ですが、「栄養機能 表示において、例示させる機能表示を意味を変えない範囲で修飾・変更が可能な制度に して頂きたい」と。要するに、ある程度幅を持たせていろいろ書きたいという意見で す。  一方(31)、これはたしか個人の方のご意見だったと思いますが、「栄養機能表示は 栄養成分ごとに表示できる事項をあらかじめ決めてほしい。利用する側としては理解し やすい」というものです。要するにこれは、1つのものを決めていただいて、その同じ 成分であれば同じことを書いてくださいというものです。私どもといたしましては今回 新しく制度化するということもありますので、特定保健用食品につきましては個別に審 査して許可するわけですので、それぞれ書き方についても個別に考えていくということ が当然になると思いますが、この栄養機能表示につきましては、例えばCODEX、F AO、WHOの国際合同規格で認められている表示等がすでにあります。それと、非常 に一般にも学会にすでに広く認められているものということで、もうご承知のように、 こういったビタミン・ミネラルの働きについてももっといろいろな学説とかがあるもの もありますが、いま広く認められているものというものでいけば、この資料に出てくる ような言い方だったら、大体ご了解が得られるのではないかということでまとめたもの です。  最初、羽生田委員がおっしゃったようなことは、むしろ私どもとしては、この「助け る」というのがいちばん補酵素としての役割という意味からいけば適当なのかというふ うに考えたものですので、もしあれでしたらまたご議論いただければと思います。 ○寺田分科会長  要するに委員がおっしゃったのは、こういう余分なことを書いて、宣伝に使うことな いじゃないかということで、この案としてはそういうことを書く代わりに、同時に注意 もちゃんとしたことを書くと、それで勘弁してくれというようなことだろうと思うので す。 ○羽生田委員  ですから、例えばビタミンAですと、ビタミンAが不足したときにどういうことが起 きるか、1日に最低どれだけは摂取しなくてはいけないか、それだけ書けばいいのでは ないですか。 ○新開発食品保健対策室長  どれだけ摂ればいいかというものにつきましては、別紙3−2に「表示すべき事項」 というのがあります。例えば、栄養機能食品の中でいけば、6として「1日当たりの栄 養所要量に対する充足率」ということで、1日どれだけ必要なのに対して、これだけこ の食事で摂れます、ということを書くというもので考えております。こういった表示を することによって、消費者の選択に役立ててもらうということを考えているわけです。 ○羽生田委員  消費者に役立つというのは、趣旨は非常によくわかるのです。ただ、この書いてある 表現を見る限り、役に立つよりもむしろ勧めているというふうにしか私には理解できな いということです。 ○首藤委員  たぶん医薬品と、こういう食品に近いものとの区別をするときに、医薬品だったらこ れはこういう病気に効きますと書けるのですが、食品のときにも売られる方はみんな何 かを書きたいのです。そのときにここまでですよということだと思っています。委員の おっしゃるように、むしろこれは何でもという、目にも効きますよと言わないように と、ここまでなら言っても常識的にいいだろうというところかな、というふうに理解す べきかなと思っています。  「注意喚起表示」というのは、これはどうなのですか。これは、書いても書かなくて もいいのですか。 ○新開発食品保健対策室長  義務づけです。 ○首藤委員  それなら非常に用があると思います。 ○寺田分科会長  これはご意見があるでしょう。これは注意を喚起する、例えばいちばん下のいまの表 の所を見ますと、「不要とする」とか何か書いてありますが、通常のときには書かなく てはいけないということだというふうに当然解釈します。委員がおっしゃるのは、わざ わざこういう宣伝をすることはないだろう、そうすると人は間違っていくらでもビタミ ンAをばかばかと摂るのではないか、そうすると副作用が出るのではないかというご懸 念だと思いますが、何かこのことに関しましてご意見がありましたら、端的におっしゃ ってください。 ○井上委員  首藤先生がおっしゃいましたので付け加えることはないのですが、羽生田先生の話に もうちょっと申しますと、要するにこれをここまで書いていいというのがありません と、書いてはいけないということに取られますので、この表現はむしろ規制緩和です ね。ですから、この程度までは書いてもいいよ、という規制緩和ですね。ただし、これ 以上書かれると医薬品と同じになってしまうと困るので、というふうに事務局はご理解 いただきたいのだろうと思いますので、どうぞよろしく。 ○羽生田委員  いや、そう言われると、趣旨は私もよくわかっているのですが、ただ、現在のいろい ろな宣伝を見ますと、こういう厚生労働省の意とした表示等をかなり超えて、見ている 限り、例えばこの食品は高血圧が治るとか、高血圧にならない、もう治療の必要もない というふうに取れるものが非常に多い。むしろ何にもないほうがいいわけで、規制とい うよりは何も書かないほうがいいのですから、これはビタミンAをどのぐらい含んでい ますよ、ビタミンAが不足すればどういうことが起きますよ、1日ビタミンAはどのぐ らい摂取することが必要ですよ、というだけでいいのではないかと私には思えてしょう がないのですが。 ○井上委員  もっと規制を広くするという意味ですか。 ○羽生田委員  規制をしなければ消費者が非常に誤解を招くということ。 ○井上委員  もっと規制をして、こういう氾濫状態はよくないという事ですか。 ○山崎委員  私も田中先生の委員会に入っていろいろと議論に加わったのですが、先ほど小林先生 がおっしゃったように、食品というのは本来口から摂るべきものであって、医薬品と紛 らわしいようなもので摂るというのは本筋ではないと。そういう意味で羽生田先生のよ うなご意見が出てくると思うのです。このアクティビティが始まったということは、い わゆる健康食品というのはいかがわしいものがたくさん出てきている。それこそ「がん にならないように」とか「肝臓が強くなる」というような謳い文句でいろいろな食品が 出ているのですが、それを防ぐという意味もあって、それでここにある保健機能食品と いうものを決めましょうと。  これは資料2−2の別紙1−(1)という報告書の中の絵があるので、これを見ていただ くとわかりやすいと思うのですが、「医薬品」と「食品」というのがあるわけです。こ れはいちばん左が「医薬品」であって、これは「医薬部外品」も入っております。この 「一般食品」の中の「いわゆる健康食品」という中に、機能を謳っていていかがわしい ものがある。この真ん中の所に「保健機能食品」というのがあって、この下を見ていた だきますと、「栄養成分含有表示」というのは、これは全部食品にわたってもあるわけ なのです。  責任を持たなければいけないのは、この「特定保健用」と「栄養機能食品」の両方で すが、「機能表示」というのが入っているわけです。これは「栄養成分機能表示」とい うのがあって、同時に「注意喚起表示」というのがあります。機能表示をするからに は、それなりの裏づけをきちっと取ってくださいと、そうすれば厚生労働省としては、 機能食品ということで承認しましょう、ということでこれが始まったと思うのです。  これは前の委員会のときにも私はこういう発言をして、実は議事録にも採録されなか ったので、先ほど田中先生が言ったいろいろな意見の中の1つの意見にしか過ぎなかっ たというふうにご了解いただきたいのですが、「栄養成分含有表示」と「栄養成分機能 表示」と「注意喚起表示」、これは両方の「特定保健用食品」と「栄養食品」にわたっ て付いているので、ここで区別すべきは、「特定保健用食品」の所の「保健用途の表 示」なのです。ですから、これは消費者側から見るとなかなか理解しにくくて、医薬品 と食品と、その他に保健栄養機能について保障された食品がありますと。その中で特に 特定保健というのは、保健用途の表示をしたものが「特定保健用食品」なのだというふ うな整理をしたらどうかという気持を持っていたわけなのです。「保健機能食品」とい うのが欄外に出ておりますが、例えばの話ですが、左側に「医薬品」、「保健機能食 品」というのが真ん中に来て、右側に「一般食品」というのが来ますと、その中で特に 「保健用途」という、その表示が求められているものについては「特定保健用」とし て、これは「個別許可型」になりますと。そういう順番を追っていくと、いまの議論の 中の大半がもう少し理解できるのではないかというふうに考えて、ちょっと余計な発言 をいたしました。これは田中先生の委員会の結論をどうこうということではなくて、理 解をしやすくするためにはそういう順番で考えたほうがいいのではないか、ということ で申し上げました。 ○寺田分科会長  これは、書く場合にはここまでは注意して書いてくれ、これが限度ですよ、これ以上 オーバーにしたらいけない、ということになるわけでしょう。私は、この内容をそうい うふうに解釈したのだけれども。 ○新開発食品保健対策室長  この「栄養機能表示」については、このとおり書いてくれと。 ○寺田分科会長  このとおりですか。 ○新開発食品保健対策室長  このとおり書いてくれと。 ○寺田分科会長  書かなくてはいけないわけですか。 ○新開発食品保健対策室長  いや、「栄養機能食品」と書く場合です。 ○寺田分科会長  表示する場合はね。 ○新開発食品保健対策室長  要するに、「栄養機能食品」というふうに名乗るかどうかは、全く販売の方の任意で す。 ○羽生田委員  ビタミンAの話ばかりですが、これは夜盲症が起きるわけです。現実に診療している ときに、夜よく見えなくなるというときに、こういう薬が出ていてこういうのをいっぱ い飲んでいるけれども、ヤツメウナギとか、それまでいっぱい飲んでいるけれども、い いですかと、そういう質問で来るわけです。そこで済んでいればいいのですが、勝手に ほかの病気で見えなくなっているものが、そういうものを摂ればいいという判断で、か なり悪くなるまでそれに頼っているだけで済んでしまうという方も当然出てくるわけで す。ですから、そういった栄養機能というものを食品として表示する必要があるのかど うか、というのが私には疑問があるということです。 ○寺田分科会長  大事な問題でして、薬から食品への間がどういうふうに変わっていったかということ につながるような問題ですが、いまのご意見に関しましてほかの方はどういうふうに思 われましたか。 ○井上委員  議事を混乱させるかもしれませんが、私は機能に関する記述を義務だと思っていなか ったものですから趣旨は理解します。 ○首藤委員  先生のご意見ですと、ビタミンAが欠乏したときに何になるかと。夜盲症というのは 1つですが、もっと深刻な欠乏症はたくさんあるわけですが、それこそAを摂ると病気 が治る、というふうにみんなに悪い誤解を必ず与えてしまうような気がいたします。 ○寺田分科会長  それではちょっと別な話としまして、やはりオーバーに摂って悪いことがありましょ うし、2番目は、自分は何々を食べて薬に近いものをやっているのだから大丈夫であ る、という変な誤解を与える可能性はあるということで、それはこの「おわりに」の所 にちょっとありましたように、厚生労働省のほうはあるいはどういう団体があるのかわ かりませんが、この新しい規格に関して十分とした情報をいろいろな所で流していただ く、ということで何とかなるのではないか。  皆さんはどういうふうなご意見かわかりませんが、私の感じとして、こういうグロー バルな時代においては、アメリカによってなどと言われると腹は立ちますが、グローバ ルな力によって商品がいろいろな形で入ってきて、多かれ少なかれ日本が前もってある 程度こういうことをやっておかないと、これでも規制を強くするか弱くするかは取り方 によりますが、先取りをしてやっておかないといけないということがあります。  しかし、言われましたように、いろいろ懸念が非常にあるのは私も全く同じような意 見でありますので、それは国民の皆さんにいろいろと教育をしていただく。教育という と上から下へ行くような変な気持ですが、情報を十分流していただく。この名前につき ましても、ちょっと私もこれは何回も覚えようとしているのですが、覚えられない。こ れは意味と、ここに書いてあるからといって、それを摂り過ぎたら本当に悪いというこ とも、ちゃんと全般的な情報の一環として流していただければと思います。そういうと ころでいかがでしょう。よろしいですか。 (一同異議なし) ○寺田分科会長  そうしましたらオーバーして大変申し訳ありませんが、この分科会の報告として、こ の「報告書案」というのは、これはやはり困ると言われる方がありましたら、ちょっと 言ってください。 ○羽生田委員  何度も言って申し訳ないのですが、この表示については、いまお伺いしても全員が同 じ方向だとはとても思えないので、是非もう一度でもご議論いただきたいと私は思いま すが。 ○寺田分科会長  わかりました。それでは、分科会のこの案について、もう少しこのことに関して審議 をしたいという動議がありましたが、皆さんはどういうふうにお考えでしょうか。 ○田中委員  パブリックコメントにもありますように、今日お出ししていただいた意見はすべてし かも何回も検討会の会議に出てまいりました。この表示の表現についても専門家のほう に戻しましたし、何度も何度も検討した結果です。さらにこれら表示は国際的基準、例 えばCODEX等のものとも整合性をもつものでもあります。私は、もうこれ以上やっても新 たなことが出てこないのではないかと思っております。この件を放置あるいは送らせま すと、国民の皆さん方へ正しい情報を提供するということが、さらに遅れるのではない かということを非常に懸念しております。  ご意見は重々わかるのですが、今日出していただいた意見は最初の検討会でも1年数 カ月にわたり検討させていただきました。その後の分科会でも、今年度までずっと論議 してまいりました。特に表示については、病気の診断・治療・予防に関すること、ある いは腎障害を良くするとか肝障害を良くするとか、そういった薬効に直接まつわるよう な表現が、やはり薬との区分上できないと。極端な場合は、国語の問題になるようなデ ィスカッションにもなった結果であります。ですから、先ほど分科会長がおっしゃいま したように、国民の皆さん方に保健機能食品に関する啓蒙、あるいは教育・学習といっ たことを実施し、また、そういったことが十分できる人材を養成していくということ で、是非承認していただきたいと思っております。食品の場合には疾病の診断・治療・ 予防についての表現ができないのです。私個人としては、夜盲症や脚気というのは中学 生でも知っていることだから書きたいぐらいの気持も、本音としてはございます。そう いったことで、専門家が非常に苦労してここへたどり着いたということを、是非理解し ていただけたらと思います。 ○寺田分科会長  いかがでしょうか。 ○小川委員  この問題は、私が部会長をしている食品規格部会でも扱いました。いま田中先生がお っしゃられたように、いろいろな意見が出まして、どのように意見を調整するかという ことで困りました。原則は食べ物で摂ることが正しくても、現実はなかなかそうはなっ ていかない。むしろいかがわしいものが多く弊害が出る恐れがあるのではないかという ことで、正しい情報を与えて啓蒙していくという前提つきで、そうせざるを得ないので はないかというぎりぎりの選択をしてきたという経過がありますので、そろそろ判断せ ざるを得ないという印象を持っております。 ○黒川委員  私は平成12年11月20日に合同部会をやったときの座長を務めたので、一言だけ申し上 げたいと思います。小川先生のご意見と全く同じです。たしかに「何々食品」というの はなかなか覚えにくいということもありますし、ビタミンAにまつわるような話もあり ますが、一応ここでご承認いただいたあとに、マスメディアを通じて国民の皆様にわか りやすいようにして発足させていったほうが、私はいいと思います。 ○澤委員  私も今後の情報提供をどんどんやるということで、この報告書でよいのではないかと 思います。1つ意見としてお聞きいただきたいのですが、国民の健康への関心が高まる 中、このような保健機能食品がこれからどんどん増えるだろう。いま特保で223品目が許 可されている。実際マーケットに出ているのはもっと少ないと思います。それでも市場 規模は3,000億近くなっているのではないか。健康栄養食品協会の調査では、これはどん どん増えていくだろうと。大衆薬のマーケットが9,000億ぐらいの規模で、こういう食品 がもっと増えてくるだろうという気がします。  いろいろご意見がありますが、やはりこういうようなものは食事から摂れば理想で、 食品から摂ってもらいたいと思いますが、いま日本国民で、大体合格だという食生活を している人は60%ぐらいという話があります。田中先生、どれぐらいですか。国民栄養 調査で、日本国民が大体合格だという食生活をしている割合ですが。 ○田中委員  これは栄養素によっても異なりますが、国民栄養調査は国民の平均を見ておりますか ら、国民の平均としてはほぼ各栄養素とも充足しているだろうということです。ただ、 中には高齢者の方、病気と健康との境界域におられるような方、あるいは食生活が非常 に乱れている人はかなり問題点があるのではないかと思っております。栄養機能食品の 場合は、そのような人々に対する栄養素の補給・補完といった位置付けをしておりま す。 ○澤委員  だから、ちゃんと摂れない人もいるので、このようなことになっているということな のでしょうけれども、しかし羽生田先生が心配されますように、この食品を摂る人は結 構病人が多いのです。病名を付けられた人、医療機関にかかっている人、ガンになった 人、ガンで手術を受けた人、結構根強いファンがおられます。また、その人はずっと続 けるのです。そういうこともありますので、食生活で摂れないからこれを摂るというの ではなくて、病人はきちんと注意して食事を摂るというのが重要です。しかし、このよ うな食品に頼るという方がおられますので、厚生労働省サイドがいろいろな情報収集を しながら、情報提供もしていく必要があるのではないかと、そういうような感じがして います。 ○田中委員  いまガンの話等が出ましたが、いわゆるリスクリダクションに関する表示をどうする かというのは、これは世界的な課題になっています。ガンのリスクを下げるとか、脳卒 中のリスクを下げるということの表示でありますが、そういったこともまだ日本には馴 染まないということで、リスクリダクションについては、今後の検討としたことを付け 加えさせていただきます。 ○和田委員  これからの情報の提供に絞られると思いますが、パンフレットをどれだけ配ったから とか、説明会をどれだけ開いたからということだけで、情報がいきわたったということ ではなくて、もしこれでいったときにどういう表示が出てくるかとか、書き方であると か、この表示以外の所の書き方とこの表示とを読んだときにどれだけインパクトが強い かとか、いろいろな調査をしながら、問題があれば改めていくということが、私はどう しても必要だと思うのです。いままでいろいろな所で消費者への情報提供ということが 言われて、いろいろなパンフレットや何かが配布されたりすることがありますが、それ が果たしてどれだけの人に本当に正しく理解されているかどうかというと、配布の枚数 から数えてなかなかみんな理解していないなということが多いものですから、特にこの 問題に関しては理解度調査なども含めて、今後訂正していったり、さらには表示を考え 直したりということもあり得るということをお願いしておきたいと思います。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。それは大変大事なことでありまして、将来的には研 究として、こういう情報をどういうふうに流すかとか、ビヘイビアル・サイエンス、厚 生科学の研究を是非やっていかなければいけないと思います。その中には、個人個人の 生活に対する態度だけではなくて、社会としての情報をどういうふうに与えていくか と。スムーズに誤解なく理解できる方法はどういうものかということを、是非やってい かないといけないと、個人的には思っております。  ご意見がいろいろありましたが、こういうことをわざわざやって、間違った情報を流 すのではないかという懸念が出されましたが、長い間いろいろ議論されてきまして、表 示する場合に認められる表示はここまでありますよと、そのときは必ず注意の表示を出 していかなくてはいけませんよということで、この方式でいくのはいかがかとは思いま すが、アについて羽生田先生はこれは駄目だとおっしゃいますが、残念ながら仕方ない ということでお願いします。 ○高仲委員  たしかにこういう形でまとめていきますと、議論した中で我々の持っているサイエン スが十分にこれをカバーするだけのエビデンスを備えていないという部分があると思い ます。1つ事務局にお伺いしたいのですが、資料2−2の別紙2−(2)を見ますと、ここ に「栄養機能食品の栄養素の配合限度量」というのがあります。配合の限度を決めると か、機能表示をいろいろな形でしていきますと、これは比較的医薬品に近くなってまい ります。そうすると、いままで医薬品で行われているような監視体制というものが問題 になってくると思います。元来、食品というのは規制がないものですから、特別なもの を除いてそういうものはいらない。しかしこういうカテゴリーのものは、形としてはっ きりしてまいりますと、それに対しての監視体制を将来積み上げていくようになるので はないかと思います。その場合、医薬品から外れたものを食品にして、食品の中でより 強い監視という形になりますと、規制強化という形にも見れると思います。そういう点 で、もし監視体制を整えることがある場合でも、できれば規制強化になるような形のも のではなくて、より消費者にとってプラスになるような形でお考えいただきたいと思い ます。 ○新開発食品保健対策室長  いまの高仲委員のご意見ですが、7頁の8の「おわりに」の2つ目の○の所に書いて ありますが、従来からのいわゆる健康食品などの負の側面について記述したあとに、 「保健機能食品及びその表示あるいは広告の監視指導が重要である」ということで、い ま先生もおっしゃったとおり、従来の健康食品でガンに効くとか、そういった表示で薬 のほうの監視でずっと対応していましたが、今回、栄養機能食品については一定の規格 に合っていれば厚生労働省の許可も届出も不要ですので、いってみれば業者の責任で行 うと。ただし、事前チェック型の行政から事後チェック型ということで、市場に出てき たものについて、それについてきちんと適合しているかとか、そういった検査をやって いかなければいけないだろうということで、食品衛生部局における監視指導体制の充実 をやっていかなければいけないということで、いま検討しているところです。  最初の所で羽生田先生のご意見が途中になって恐縮ですが、こういうものは書かなく てもいいのではないかということですが、いま既に現実の市場とかを見ますと、例えば いろいろな女性の雑誌などを見ると、「サプリメントできれいになる」とか、「あなた にはこういうものを」ということでいくつか組み合わせてとればいいと書いてあったり とか、いろいろあるわけです。そういったものが、ある意味で記事と広告が渾然一体と なってなされているのは事実です。そういった中で行政としてある程度、そういった学 会とか国際的な基準の中で認められているものを例示として示すこと自体は、そういっ た無秩序、無限定に広い意味での広告がなされているような状況の中では意味があると 思います。そういった意味で書くならこういうことだと、そのうえでの注意喚起表示と いう形でやらせていただくことをご理解いただければと思います。 ○寺田分科会長  この報告書案を部会の報告とすることに対していかがでしょうか。2−2の7頁に、 国民に対する情報を正しくすることと、委員の中からいろいろとご意見が出てきたこと を議事録の中に書いて、そういうことの懸念も表明されたので、そういうことも正しく 国民に理解するように出していただくこともやっていただくという条件で、資料2−2 を分科会の報告としてよろしいでしょうか。 ○和田委員  いまお話が出ましたが、週刊誌、折り込み広告、チラシなどで、私はこの報告書が出 ようが出まいが、いまいろいろな所に溢れているものの中には、違反ではないかと思わ れるものが、これができるかできないの別なくあると思います。確認したいのですが、 これができることによって、いま世の中に溢れている問題となるであろう、私たちは問 題だと思っているのですが、そういうものに対する行政の対応が変わるのですか、変わ らないのですか。そこをちょっと伺いたいのですが。 ○新開発食品保健対策室長  いま申し上げましたように、従来の健康食品で薬効等を謳っているようなものは大体 薬事の監視、医薬品の担当局のほうで対応していたわけですが、今回食品の中でこうい う仕組みができれば、例えば特保以外のもので特定保健用食品と同じような表示をして いるとか、あるいは栄養機能食品ではないにもかかわらずこういうことを書いている、 あるいは注意喚起表示を書いていないものについては、食品衛生法でも対応できるよう になりますので、その辺りは従前よりも対応できる範囲が広がると考えております。 ○寺田分科会長  それでは、これを薬事・食品衛生審議会規程第3条の規定に合致するものは、当分科 会の議決をもって審議会の議決とするとされています。分科会報告につきましては、部 会報告の修正は、特に言葉として修正することはなかったと判断いたしまして、この規 定を適用して審議会の議決として扱うことにいたします。よろしいですか。 (「異議なし」の声) ○寺田分科会長  答申案を読み上げていただけますか。 ○事務局  それでは私のほうから、答申書を読ませていただきます。薬事・食品衛生審議会の内 山充会長より、厚生労働大臣へということでございます。 答申書  平成12年1月31日付厚生省発生衛第21号をもって食品衛生調査会に諮問のあった「い わゆる栄養補助食品に係る表示について」等については、下記のとおり答申する。 記  「いわゆる栄養補助食品に係る表示について」等については、別添の報告書に沿っ て、施策を講じることが適当である。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。この答申書(案)について、何かご意見はございま すか。それでは、この答申書をもって、厚生労働大臣に答申させていただきます。 ○食品保健部長  報告事項の前に一言だけ、ただいまの2つの議案に対しまして答申をいただきまし て、誠にありがとうございます。2つ目の保健機能食品についてもいろいろな議論が、 私どもも心に止めておきたい部分もありますし、ご意見もございましたように、保健機 能食品についても制度を4月から改めていくわけですが、その際に一般的な啓発は当然 ですが、そういった中で食品の表示の問題、あるいはこれからの食品を考えた場合には 多種多様なと申しましょうか、あるいはこれまでに考えられなかった食品が出てくる可 能性もいろいろあります。そういった中で、できるだけ国民にわかりやすい情報、ある いは適切な情報を提供して、使用者のほうから選択していただくような、役立つ形を考 えなければいけないと思っております。特に新しい制度として整備した場合、動かしな がら考えざるを得ない意見もございます。そういったところはまたご議論いただきまし て、私どもとしては一度決めたものは変えないということではございませんので、必要 な場合は見直しを当然行わなければいけないと考えておりますので、今後ともよろしく ご指導をいただきたいと思います。 ○寺田分科会長  それでは最後に、報告事項をお願いします。 ○事務局  それでは、事務局から2点報告をさせていただきます。参考資料の3と4に基づいて ご説明いたします。1点目は、「狂牛病対策に関する食品衛生法の措置について」で す。ご承知のとおり、狂牛病については、人への伝達性が指摘されています。その内容 は、参考資料3のいちばん下の(注1)にあるとおりで、伝染性海綿状脳症のひとつで す。牛の慢性かつ致死性の中枢神経系の疾病で、1986年に英国で発見されて以来、欧州 諸国を中心に発生が報告されております。1996年(平成8年)の段階で、イギリスにお いて新種のクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の患者分布との類似性が指摘され たことから、平成8年3月に世界中で騒ぎになりまして、日本においても平成8年の3 月以降、英国産の牛肉及びその加工品等について輸入自粛という対応をとってまいりま した。その後は化学的な知見で申しますと、動物実験の結果等から、さらに人への伝達 性、安全性について指摘がなされている状況です。  今般、昨年の後半からヨーロッパ各国において狂牛病の報告の増加が続いておりま す。年が明けても状況はあまり変わりないということです。従来、行政指導で対応して いたものについて、法的な措置を取るという経緯です。  今回の措置の内容としては、食品衛生法の第5条において、これは人に感染するしな いにかかわらず、特定疾病にかかった獣畜の肉等の販売等を禁止するという条文があり まして、特定の疾病は症例で指定をするという内容です。その省令を改正いたしまし て、特定疾病に「伝染性海綿状脳症」を追加したという内容です。  この改正の効果として、これは国内では現在発生報告はありませんが、国産食品につ いては、と畜検査において伝染性海綿状脳症にかかり、又はその疑いがある獣畜の肉、 臓器等の販売等の禁止が可能になります。もう1つは、輸入食肉について、輸出国政府 機関が発行した「伝染性海綿状脳症」に罹患していない又はその疑いがない旨の証明書 が添付されなければ、輸入を禁止できるというような効果があります。  具体的な運用として、EU諸国、スイス及びリヒテンシュタインについては、現時点 においては牛海綿状脳症の対策は十分にとられていないと判断されることから、当分の 間、こういった発生国その類の国に関しては、牛肉等の輸入を禁止という対応をとって おります。5条の適用範囲というのは、食肉、臓器、食肉の製品・加工品等で、牛肉等 を少量含む食品については条文の対象になっておりませんので、従来どおり行政指導で 対応するという内容です。  続いて参考資料4に基づいて、「スターリンク混入問題について」報告いたします。 スターリンクと申しますのは、害虫抵抗性の組換えトウモロコシの1つで、アメリカで は飼料に対しての承認が取れている。ただし、食品としては承認されていないというも のです。日本では、食品、飼料いずれにも承認されていないという組換えトウモロコシ です。  昨年の後半以降、アメリカ、日本の消費者団体から、市販のトウモロコシ加工品から スターリンクが検出されたという問題提起がありました。厚生省で実際に実施した検査 においても、スターリンクの検出が確認されております。こういったことから、昨年の 11月7日に日米プロトコールの合意ということで、日本に輸出される食用のトウモロコ シについて、スターリンクが混入しないようにということで、アメリカ側と日本側で検 査のやり方について合意したという経緯です。もちろんスターリンクで起こったわけで はありませんが、アレルギー症例がトウモロコシ製品を食べてあったということが、F DAで報告がありました。最終的にアメリカのほうでは、スターリンク自体が食用とし ての承認というのは得られておりません。スターリンクが食用として承認されない問題 点としては、アレルギーに関する資料が足りない。起こっているのではなくて足りない ということが大きな理由と承知をしております。  こういう状況もありまして、2001年以降アメリカ側でも、スターリンクについては作 付けをしないことがはっきりと表明されております。そういった意味で言うと、昨年栽 培されたものについて、今後どのように混入を防いでいくかという問題意識になるかと 思います。  そういったことで、日米での検査の手続を11月7日に決めましたが、12月19日にプロ トコールに基づいて厚生省の検査用としてサンプリングして、厚生省に送付させた米国 産のトウモロコシの中から、アメリカ側での検査でマイナス、日本の検査ではプラスと いうような検査結果が出ました。その後も30件検査をしまして、合計3検体です。アメ リカ側で陰性、日本側で陽性という、不一致のデータが確認されました。このような状 況を踏まえて、1月26日に両国の合意したプロトコールについてどういう問題があった のかということについて、アメリカ側と協議をいたしまして、2月21日に日米間で合意 に達したというものです。  その具体的な内容については、参考資料4の3頁目です。確認された事実関係の1点 目として、検査結果の不一致ということについて、日本側とアメリカ側の検査技術なり 検査手順によるものではない。一部相違点がありましたが、結果に影響するようなもの ではないということが、技術的に確認されました。それで、日米間の結果が一致しない ということは、要するにアメリカ側でトウモロコシ400粒で検査をしてマイナスという結 果を出しておりますが、同じ形態について日本でさらに400粒検査をする。そのときにプ ラスが出てくるということで、これは基本的には低濃度の汚染があるのだろうと。1粒 目から400粒目まではなくても、401粒から800粒目まで検査をすると出てくるということ だろうということです。1つの改善点として、いままではアメリカから日本へ輸出され るトウモロコシについては、1バージというのは大体千数百トン程度のトウモロコシの 量ですが、400粒×3検体、1,200粒の検査をして証明を出しているものについて、倍に するということで合意に達しております。  もう1つの問題点として、昨年11月に合意した日米プロトコールでは、日本側の理解 としては、日本に輸出されるものについて検査をする、検体はアメリカ側が日本に送付 するということになっていましたが、日本に送付された実際の検体はアメリカ国内流通 品であったということがありまして、これについては今後確実に日本向けに輸出する貨 物から採取するということで、再確認をするという状況でございます。以上です。 ○分科会長  どうもありがとうございました。ただいまの報告に対してご意見、ご質問はあります か。 ○竹田委員  参考資料3の「狂牛病」という言葉は、極めて通称名ではないかと思います。したが って、「牛海綿状脳症対策に関する」とお願いしたいということと、参考資料3だけを 見ますと狂牛病と牛海綿状脳症が同じであるということは、わからないのです。常識的 にはわかりますが。 ○寺田分科会長  それはよろしくお願いします。1つだけ質問ですが、これは農水省とお役所レベルで の牛海綿状脳症に対する共通の委員会とか、委員会ではなくても連絡会か何かはやって おられますか。 ○事務局  牛海綿状脳症自体は間違いなく牛の病気なのは確かで、「家畜伝染病予防法」という 法律で農水省は対応しております。両省平成8年の段階から担当課長の連絡会、今回の 行政対応についても、先日農水省と厚生労働省、医薬も含めて担当課長の連絡会を実際 に開催して、情報交換等を行っております。 ○和田委員  スターリンクの質問なのですが、いま1,200粒だったものを2倍にするということです が、素人から見ますと千数百トンの中から1,200粒、あるいは2,400粒というのは非常に 少ないというふうに思われますが、私は素人でわかりませんが、統計学的にいってこの 数字というのは妥当だという、客観的な何かがあるのかどうか。2,400粒にしたときに、 400粒×6検体、あるいは800粒×3検体で、これは「又は」となっていますが、これを 全く同じだというふうに考えていいのかどうか。私はわかりませんので、これは質問で す。 ○事務局  和田委員の最初の質問で、検体数が少な過ぎるのではないかということですが、もち ろんこういう検体は多くやればやるほどいいというか、母集団の範囲というのはあるわ けですが、トウモロコシの検査については、例えばはしけとか貨車で人が乗っかって通 ってくるということではなくて、通常は積載する際に、サイロの中をぐるぐる回すわけ です。そのサイロの中から一定間隔で検体を採っていって、かなりボリュームが大きい ものを縮分して、最終的に検体するということで、サンプルのランダム性をなるだけ良 くするといいますか、無作為に採るという手続を十分にやったうえで、検体数を3なり 6なりということで採っているということです。部分的にガサッと採ってやるというこ とではなくて、もちろん完璧にということは難しいですが、実施可能な範囲でのこうい った検査ということで対応しております。  それから、400粒と800粒の、これは検査キットの違いということがありまして、当初 400粒の検査キットを使用しておりました。日本側でも現在まだ400粒の検査キットを使 用しております。800粒に関しては、検査キットとして最近開発されたものがありまし て、バリュエーションといいまして、要は評価です。どの程度のものが検出されて、従 来のものとどういうふうな性能の違いがあるかということについても、データがアメリ カ側から提出されました。ただ、800粒のキットについては、日本側がそういった内容 を確認して、いいよ、というまではアメリカ側で使わないでくださいということで、現 時点では800粒のほうがすぐ検査結果としてついてくることはございませんが、こちら で内容を精査したうえで、できれば日米両方で使いたいと考えております。 ○寺田分科会長  どうもありがとうございました。もうこれでございませんでしょうか。司会の不手際 で時間が大幅にオーバーいたしまして、大変申し訳ございませんでした。長時間のご審 議、本当にありがとうございました。これで本部会を終了いたします。 照会先:厚生労働省医薬局食品保健部企画課 電 話:03−5253−1111(内線2452)