01/02/06 第1回労働政策審議会雇用均等分科会議事録            第1回 労働政策審議会雇用均等分科会                   議 事 録             厚生労働省雇用均等・児童家庭局          第1回労働政策審議会雇用均等分科会議事次第          1 日時  平成13年2月6日(火)10:00〜12:25 2 場所  厚生労働省省議室 3 出席者 〔委員〕        公益代表  渥美委員、若菜委員、樋口委員、今田委員、安枝委員        労働者代表 秋元委員、片岡委員、吉宮委員        使用者代表 大塚委員、勝田委員、吉川委員、須永委員、山崎委員       〔事務局〕        厚生労働省 岩田雇用均等・児童家庭局長、水田審議官、        皆川総務課長、村木雇用均等政策課長、山田短時間・在宅労働課長、        熊谷職業家庭両立課長、清川育児・介護休業推進室長 4 議題  (1) 労働政策審議会雇用均等分科会運営規程の決定  (2) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一    部を改正する法律案要綱」について (諮問)  (3) 「個別労働関係紛争の解決等に関する法律案要綱」について (報告) 5 審議経過 別紙のとおり ○事務局  おはようございます。定刻でございますので、ただいまより第1回労働政策審議会の 雇用均等分科会を開催いたしたいと思います。  本日は、御多用中のところ御参加いただきまして大変ありがとうございます。私はこ の会の事務局を担当いたします雇用均等・児童家庭局の総務課長の皆川と申します。よ ろしくお願いいたします。  まず、事務局を代表いたしまして局長の岩田よりごあいさつを申し上げます。 ○事務局  皆さんおはようございます。この度は、労働政策審議会雇用均等分科会の委員と呼ば れる方と、臨時委員と言われる方がおられるようでございますが、いずれにしろ、委員 の御就任をお引き受けいただきまして大変ありがとうございます。  御案内のように1月6日に中央省庁の再編がございまして、労働省の女性局と厚生省 の児童家庭局が統合して一つの局になりました。それぞれの局が持っていた所掌を持ち 寄ったわけでございますが、統合されたことによって、私は大きな二つの役割を新しい 局は担うことになったというふうに思っております。一つは、男女共同参画の推進とい うことですが、従来は職場のことは労働省が、そして家族や地域のことは厚生省がとい うことで分かれておりましたけれども、それが一つの役所、一つの局になりまして、職 場も家庭も地域も、それをトータルで見た上で雇用均等、男女共同参画を推進できるよ うになったということだと思います。  例えば、保育所対策は、従来は児童の福祉という観点を中心に対策を講じていたとい うふうに思いますが、それと、実質的に職場での男女機会均等を推進するという観点も 併せてこれからは検討することになるというふうに思います。そしてもう一つは少子化 対策でございますが、産みたいだけの子どもを産めるような環境をつくっていく、ある いは少ない子どもを大切に健やかに育てていくというような少子化対策は児童家庭局を 中心にやってきておりましたけれども、それと職場、仕事と育児の両立をしやすくなる ような条件をつくっていくということが合わさることによりまして、また、少子化対策 を大きく前進させたいというふうに思っております。  以上が新しい局の発足に当たって、私、局長として、こういう二つの大きな職務を担 っていきたいということでございますが、次に、省庁の再編と併せて審議会の姿も変わ ることになりました。従来はそれぞれの分野ごとに独立した審議会がございましたけれ ども、この度は、テクニカルな審議をする審議会は幾つか残りましたけれども、政策を 大所高所から御審議いただく審議会は労働政策審議会と、そして社会保障審議会の二つ に集約されるということになったわけでございます。そして従来の女性少年問題審議会 の女性部会で扱っていた事項、そして家内労働審議会で扱っていた事項は、この労働政 策審議会雇用均等分科会で所掌をするということで整理がなされているわけでございま す。従来から働く女性の問題を中心といたしまして、労使のコンセンサスを形成すると いう意味の審議会での審議というのは、私どもにとりましても、政策立案の過程で大変 重要なプロセスでございましたが、その点は今後とも全く変わることなく、大変大事な 場だというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいというふうに思い ます。  さて、今日の議題でございますが、幾つかある議題の中で中心的なものは、育児休業 、介護休業法の一部を改正する法律案要綱についてであるというふうに思いますが、こ れは昨年の夏から年末にかけて旧女性少年問題審議会で大変精力的な御審議をいただき 、何とか年末におまとめいただいた建議がベースになっているわけでございます。その 建議を最大限尊重いたしまして、この度、これを法律案要綱の形で取りまとめましたの で、この点について今日は皆様方に御審議をお願いしたいというふうに思っております 。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○事務局  それでは、議事に入ります前に色々な手続がありますが、そこまで私の方で進行役を 務めさせていただきたいと思います。  第1回目ということで規程の決定をしていただくわけでございますが、その前に委員 の皆様、あるいは臨時委員の皆様を、私の方からお名前を読み上げる形で御紹介をさせ ていただきたいと思います。  お手元の資料1ということで委員名簿でございますが、名簿順に御紹介をさせていた だきたいと思いますが、まず渥美委員でございます。  樋口委員でございます。  若菜委員でございます。  今田委員でございます。  安枝委員でございます。  それから労働代表で、秋元委員でございます。  片岡委員でございます。  吉宮委員でございます。  使用者代表の大塚委員でございます。  勝田委員でございます。  吉川委員でございます。  須永委員でございます。  山崎委員でございます。  本日は以上14名の皆様方に御出席をいただいております。また、奥山委員、佐藤委員 、岡本委員のお三方につきましては御欠席ということでございます。  本会の委員の辞令につきましては、略式でございますが、今日皆様方の手元に配付さ せていただいております。どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。  引き続きまして、私ども厚生労働省側からの出席者を御紹介いたしたいと思います。  水田審議官でございます。  村木雇用均等政策課長でございます。  山田短時間・在宅労働課長でございます。  清川育児・介護休業推進室長でございます。  熊谷職業家庭両立課長でございます。  後ほど岡崎労働参事官が参ると思います。  私は総務課長をしております、皆川と申します。改めましてよろしくお願い申し上げ ます。  本日は、先ほど申しましたように、第1回目ということで恐縮ですが、分科会の運営 に関する規程等についての決定を行っていただきたいわけですが、まず、本分科会長、 それから会長代理の選任でございます。会長のつきましては、お手元の資料に「労働政 策審議会令」というものがついているかと思います。労働政策審議会令の第6条6項に 、「分科会に属する公益を代表する委員のうちから、当該分科会に属する委員が選挙す る」というふうにございます。  それから、分科会長に事故あるときは、分科会長の職務を代理する分科会長代理は、 分科会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうち、分科会長があらかじめ指名を すると、こういうふうにさせていただいております。この会議に先立ちまして、この分 科会の会長と会長代理がこの規程に基づきまして選任をされておりますので御紹介を申 し上げたいと思いますが、分科会長につきましては若菜委員、それから会長代理につき ましては渥美委員にお願いをしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。  それでは、恐縮ですが、若菜委員、分科会長席にお移りいただきまして議事の進行を お願いしたいと思います。              (若菜委員、分科会長席に着席) ○分科会長  選任いただきました若菜でございます。今後この分科会の円滑な運営につきまして皆 様の御協力をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、早速議題に入りたいと思います。議題の1番目は、雇用均等分科会運営規 程というものについてでございます。これにつきましては資料2をごらんいただきたい と思います。この案文につきまして、事務局の方から説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、もうしばらく私の方から事務的なことについて御説明させていただきたい と思いますが、今日お決めいただきたいのは、この資料2の分科会の運営規程でござい ます。参考1、参考2というのが後ろについているかと思います。  まず雇用均等分科会の所掌事務でございますが、参考2の2枚目の表にございますよ うに、厚生労働省の設置法第4条第1項第41号から67号、73号の事務に関する重要事項 の調査審議ということでございまして、具体的には、雇用の分野における男女の均等な 機会及び待遇の確保等に関すること、これは67号関係。育児又は家族介護を行う労働者 、短時間労働者、家内労働者の福祉の増進に関すること、これが68号、69号、70号、設 置法の各号の関係でございます。それから、労働に関する女性の地位の向上、その他女 性問題に関すること、これは73号。こういった重要事項について調査御審議をいただく ということでございます。  それからもう一つ、法律関係がその次に書いてございますが、男女雇用機会均等法、 育児介護休業法、パートタイム労働法、家内労働法、この各規程により審議会の権限に 属する事項、こういうものを処理をしていただくということでございます。  それからもう一つだけ、この規程に先立ちまして参考3にございますが、これは労働 政策審議会運営規程、これは先ほど局長が申しました労働政策審議会の運営規程でござ いますが、その9条に先ほど申し上げました分科会がその所掌事務について議決を行っ た場合は、原則この議決をもって労働政策審議会の議決とするということでございます ので、特段の審議会からの申し出がなければ、当分科会の議決が労働政策審議会の議決 となるということでございます。  お手元の先ほどの資料2にお戻りいただきまして、本会の規程について若干御説明を 申し上げたいと思います。  まず、資料2の第2条でございますが、委員の規程でございます。「分科会に属すべ き委員及び臨時委員のうち、労働者を代表するもの及び使用者を代表するものは、各5 人とし、公益を代表するものは、6人とする」ということでございます。  それから、第3条招集手続の関係でございますが、「分科会の会議は、会長の請求が あったとき、分科会長が必要があると認めるとき又は委員等の3分の1以上から請求が あったときに招集する」と、こういうことでございます。2項以下は、その招集の手続 等についての規程でございます。  それから第4条の代理出席の関係の規程でございますが、ただし書きにつきましては 、定足数につきましては、「審議会令第9条3項において準用する同条第1項及び第第 2項の規定の適用については、欠席したものとして取り扱う」ということになっており ます。  それから第5条でございますが、本分科会に家内労働部会を設置するということで、 その部会の所掌事務につきましては、「法第4条第1項第70号」というふうに書いてご ざいますが、先ほど少し申し上げましたが、家内労働者の福祉の増進に関する事項につ いての重要事項を調査審議していただくということでございます。  それから第6条は、その部会についての委員構成でございますが、「家内労働者を代 表するもの、委託者を代表するもの及び公益を代表するものは、各5人とする」という ことでございます。  その他最後9条「この規程の改廃は、分科会の議決に基づいて行う」、こういうこと でございますが、これと併せまして、本会の会議の議事の公開について、また御相談を 申し上げたいと思うんですが、会議については、女少審の時代と同様に自由な議論を行 っていただきたいということで原則公開をしないということにしてはいかがかと。ただ 、その代わりと言っては何ですが、議事要旨については速やかに、できるだけ早く公開 をする。それからその後ですが、会議の議事録及び本会において提出された資料につい ては、労働政策審議会運営規程に基づきまして公開をするということを原則として進め ていただいたらいかがかというふうに思っております。よろしく御審議のほどをお願い いたします。 ○分科会長  それでは、ただいまの当分科会の運営規程、それから公開に関する事項につきまして の御説明につきまして、御質問あるいは御意見がございましたらお願いいたします。 ○委員  2条のところに委員と臨時委員という表現があるんですが、ここはどういう区分けの 仕方がされているのか、ちょっと初めてのことなので教えていただけたらと思います。 それから、先ほどいただいた通知書は、分科会員と書かれているんですが、これの会員 という意味がまた別にあるのかどうか。委員と臨時委員のほかに分科会委員じゃなくて 、会員となっているものですから。それが1点と、今回、4条に代理の出席ということ で記載されていますけれども、今までの女少審の段階では代理はしないということでや ってきた経過があると思うんですが、ほかの労働政策審議会のいろんな分科会がありま すね。それとは別に、雇用均等分科会だけが特別運営規程の中に盛っていることがもし あるようでしたら、そのことを教えていただけたらと思います。  以上です。 ○事務局  まず、第2条関係でございますが、この委員というのは、先ほど申しました労働政策 審議会の親委員会の委員ということで、その規程を引いて委員ということで、それプラ ス本会のために任命された方々を臨時委員と、こういう区分けでこの用語は使わせてい ただいているということでございます。  2番目は、聞き漏らしたので、3番目から答えますが、ほかの分科会等に比べて何か 特別な規程があるかと。これは役所としては全部基本的に横並びで、今の代理出席の規 程も含めて他の分科会と合わせた規程になっているということでございます。 ○事務局  分科会員というのはどこに出てきますか。 ○委員  今日いただいた通知書の中が会員となっているので、何か意味があるのかどうかお聞 きしたかったんですけど。 ○事務局  失礼しました。私、ちょっと見ておりませんでした。 ○事務局  その辞令は、臨時委員として任命させていただきまして、さらにその分科会に属して いるということを明らかにするために分科会員という書き方をさせていただいておりま す。 ○委員  新しい機構になったものですからわかりにくくて、確認という意味で言わせていただ いたんですけれども、労働政策審議会の臨時委員であり、雇用均等分科会の委員である という言い方でよろしいんでしょうか。 ○事務局  臨時委員というのは、特別な事項の調査審議をさせるために労働政策審議会に置かれ るもので、臨時委員の中から分科会に所属する方を指名するということです。辞令上は 分科会員という言い方で指名をさせていただいているということになります。 ○事務局  それから、わかりにくいかもしれませんが、運営はわかりやすくやらせていただきた いと思いますので。 ○委員  参考資料の2のところです。分科会6条で当雇用均等分科会の所掌事務の説明をいた だきましたが、女性少年問題審議会で育児・介護休業法の審議をする際に、例えば両立 支援の観点からすると、保育所の問題なんかが議論の内容としていただきたいというふ うに申し上げたんですが、当初は厚生省、労働省分かれていまして、保育所問題のヒア リングをいただきましたけれども、議論はできませんでした。今回一緒になりましたね 。したがって、所掌の事務では法律事項に関して均等法なり育児・介護休業法と書いて いますけれども、広い観点から議論する意味で、そこは少しフレシキブルにやっていく ような分科会の審議事項を強く申し上げたいと思います。特に保育所問題とか女性の健 康の問題とか、旧来労働省がやった事項と旧来厚生省がやった事項をトータルに議論で きるような、そういうことをぜひやっていただきたいと思います。 ○事務局  もとよりそういう態度で、私ども事務局は臨みたいと思います。調査審議、決定とい う事項はあくまで法令で決められていますので、そこは当分科会の権限に属する事項で ぜひ御議論をいただきたいし、保育所問題、年金問題、また別途、調査審議、決定をす る、あるいはそういう役割を果たす部会なり分科会があろうかと思いますが、委員御指 摘のように、本会の調査審議、そして決定する事項については、幅広い分野も絡むわけ ですから、そういう意味で、私ども事務局としては、審議の内容に資するような資料の 提供をできるだけ行うというような運営をさせていただきと思います。 ○委員  よろしくお願いいたします。 ○分科会長  ほかにこの運営規程について御質問、あるいは御意見ございますか。 ○委員  所掌事務のところで、雇用の分野というふうに限定されているように思えるんですが 、在宅就労というのもここで扱うということでよろしいんでしょうか。 ○事務局  先ほど申しましたように、家内労働者、福祉の増進とか、そういう事項が直接には調 査審議事項になっているということです。 ○委員  在宅就労は家内労働ではないというふうに承知しておりますが。 ○事務局  設置法で申し上げますと、先ほど御紹介しました労働に関する女性の地位と、その他 労働に関する女性問題に関することというところで読んでいくことになろうと思います 。 ○分科会長  ほかに御質問、御意見はございませんか。  特にございませんようでしたらば、先ほど御説明のありました労働政策審議会雇用均 等部会運営規程については、案文のとおり決定するということでよろしゅうございます か。              (「異議なし」と声あり) ○分科会長  では、そのようにさせていただきます。  また、会議の公開についてもお話がありましたが、これは説明のとおり、会議自体に ついては公開をしないということで行いたいと思います。  次に、ただいまの雇用均等分科会の運営規程が決まりましたことで、それを受けて、 当分科会に置くべき部会として家内労働部会というのが置かれるということになったわ けでございますが、この分科会に属する委員につきましては、労働政策審議会令第七条 2項の規程によりまして、分科会長が指名するということになっております。そこで、 お手元に予めお配りしてありますが、家内労働部会に属すべき委員等につきましては、 資料3のとおりにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、議題の2にまいります。資料はお手元の資料4でございますので、こちらをご らんいただきたいと思います。これは育児介護休業法の一部を改正する法律案要綱につ いての諮問案件ということでございます。これにつきましては、本日厚生労働大臣から 労働政策審議会長あてに諮問が行われました。これを受けまして、当分科会で審議を行 うことにしたいと思います。  まず、法律案要綱について事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは、私の方から御説明させていただきます。お手元の資料4の別紙、2枚目か ら法律案要綱の案がついてございます。基本的に昨年の12月に女性少年問題審議会から ちょうだいいたしました建議、これの内容を法律にするという作業を行いまして作成い たしました法律案要綱でございます。この要綱の後ろに参考といたしまして、12月の建 議もついておりますので、適宜御参考にしていただければというふうに思います。  まず、法律案要綱案の第一でございます。「不利益取扱いの禁止」でございます。こ れは、現在、育児休業、介護休業の申出ないし取得を理由とした解雇が禁止されている わけでございますけれども、その他の不利益な取扱い全般を禁止すべしという建議の御 趣旨に沿ったものでございます。  一にございますように、まず育児休業につきまして、「事業主は、労働者が育児休業 申出をし、又は育児休業したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益 な取扱いをしてはならないものとすること」ということでございます。現行法、解雇を 禁止しております10条の改正になるわけでございます。  併せまして二にございますように、介護休業につきまして、この不利益取扱いの禁止 の規定を準用するという形でございます。このやり方も現在と同様でございます。  次に第二「時間外労働の制限」でございます。まず(一) にございますように、「事業 主は、労働基準法第三十六条第一項本文の規定により労働時間を延長することができる 場合において」ということでございますので、労働基準法32条で法定労働時間が週40時 間、1日8時間と決まっておりますが、これを超える時間外労働をさせる場合に、36条 の規定に基づいて労使協定を締結して行わせるわけでございますが、その三六協定が締 結されて労働時間を延長することができる場合でございますが、「小学校就学の始期に 達するまでの子を養育する労働者であって次のいずれにも該当しないものが当該子を養 育するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、制限時間(一月 について二十四時間、一年について百五十時間をいう。(2) において同じ。) を超えて 当該労働時間を延長してはならないものとすること」ということでございまして、1月2 4時間、1年150 時間を超える時間外労働の免除請求権を設定するものでございます。  なお、この対象者から除かれるものでございますけれども、(一) の本文の2行目で、 日々雇用される者がまず一つ除いております。それから、次のいずれにも該当しないも のということで、イ、ロ、ハと三つございますが、まず勤続期間が1年未満のもの、そ れから配偶者が常態として子を養育できるもの、それからこのほか請求できないことと することについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定める もの、この三つが掲げられておりまして、ハにつきましては、現行の深夜業の制限等と 同様に週所定労働日数が2日以下のものなどを定めることを予定しております。  それから、(二) は請求の方法でございます。この請求は、1月以上1年以内の期間を 初日と末日を明らかにしていただきまして、開始予定日の1月前までにしていただくと いうことでございます。基本的に深夜業の制限の請求方法と並びでございますけれども 、この期間の指定の最長期間が1年ということで、深夜業の制限の6月よりも長くなっ ております。これはこの制限時間が1月24時間のほかに、1年150 時間という年単位の 制限時間を定めることに伴うものでございます。  それから(三) でございます。これは請求がされた後、その制限開始予定日までの間に 子どもの死亡等の事情が生じたときは請求はされなかったものとみなすということで、 これは深夜業の制限と同様の仕組みでございます。  それから、(四) も同様でございますが、請求が始まった後、子どもの死亡あるいは子 どもが小学校就学の始期に達した場合、さらには産前産後休業、育児介護休業が始まっ た場合には、その制限期間は終了する。終了予定日前においても終了するということを 定めるものでございます。  以上が育児を行う労働者につきましての時間外労働の制限の制度でございますけれど も、二にございますように介護につきましても、要介護状態の対象家族を介護する労働 者について準用するという形をとっております。これも深夜業の制限と同じスタイルで ございます。ただし、この準用される規定から、一の(一) のロを除いておりますので、 配偶者が常態として子を養育することができるもの、これが準用されませんので、した がいまして、介護につきまして対象から外れますのは、日々雇用されるもののほかに、 イにございます勤続1年未満のもの、それからハの請求できないこととすることについ て合理的な理由があるもの、これだけになるわけでございます。  それから、第3といたしまして「事業主が講ずべき措置」でございます。まず一つ目 は、勤務時間短縮等の措置の対象となる子の範囲の拡大でございます。現在は勤務時間 短縮等の措置につきましては、1歳に達するまでの子どもを持つ労働者については事業 主に義務が、それから1歳以上小学校就学に達するまでの子を持つ労働者については努 力義務が化されているところでございますけれども、この義務との対象となります子ど もの年齢を1歳から3歳に達するまでということで引き上げるという改正でございます 。  この場合、1歳までですと別途育児休業の請求権がございますので、短時間勤務制度 、フレックスタイム制等の六つの措置の中から一つを選んで事業主が実施することにな っているわけでございますけれども、1歳から3歳に達するまでにつきましては、その 勤務時間短縮等の六つの措置に合わせて、育児休業の制度の準ずる措置、これをあわせ た七つの中から一つを選んでいただく、こういうことになるわけでございます。なお、 育児休業の制度に準ずる措置というのは、いわゆる育児休業でございまして、法律上育 児休業というのは1歳に達するまでの子を養育する休業だけをいうわけでございまして 、1歳以上の子どもについては育児休業という言葉を使わないということによるもので ございますので、若干わかりにくいかと思いますが、よろしくお願いをいたしたいと思 います。  それから、2番目は子の看護のための休暇の措置でございます。「事業主は、その雇 用する労働者のうち、小学校就学の始期に達するための子を養育する労働者に関して、 労働者の申出に基づくその子の看護のための休暇を与えるための措置を講ずるよう努め なければならないものとすること」ということでございます。  なお、子の看護のための休暇につきましては、括弧内にございますように、「負傷し 、又は疾病にかかったその子の世話を行う労働者に対し与えられる休暇」ということで ございます。さらには「労働基準法第三十九条の規定による年次有給休暇として与えら れるものを除く」ということでございますので、法定の年次有給休暇は、子の看護のた めの休暇には当たらないということになるわけでございます。  それから、三つ目でございますけれども、労働者の配置に関する配慮ということでご ざいます。建議では「転勤の配慮」というふうに書いてあるかと思いますけれども、「 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うもの」、ここが いわゆる転勤でございますけれども、これを「しようとする場合において、その就業の 場所の変更により就業をしつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となるこ ととなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮して これをしなければならないものとすること」ということで、いわゆる配慮規定でござい ます。  四つ目は、事業主が講ずべき措置に関する指針の範囲の拡大でございます。現行法に おきましては、厚生労働大臣が定める指針の対象は、法律の規定に基づき事業主が講ず べき措置に限定されておるところでございます。現在ですと17条から21条までの措置が この対象となっておるわけですけれども、これ以外に子の養育又は家族の介護を行う労 働者等の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために、事業主が講ずべき 措置に関しても指針の対象として加えるというようなものでございます。  さらに五つ目は、これは仮称でございますが、「職業家庭両立推進者」でございます 。この両立に関する事業所内の体制整備といたしまして、「事業主は、次に掲げる業務 を担当する者を選任するように努めなければならないものとすること」ということで、 職業家庭両立推進者の選任努力義務の規定を置くものでございます。  その担当の業務は(一) と(二) にございますように、法の規定に基づき事業主が講ず る措置、その他指針に基づき職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために 講ずる措置の適切かつ有効な実施を図るための業務。それから(二) にございますように 、両立が図られるようにするために必要な就業環境の整備を図るための業務ということ でございまして、法律等に基づいて事業主が講ずべき雇用管理上の措置、あるいは職場 優先の組織風土、そういったものの是正、職場の雰囲気の改善、そういったようなもの がこの職業家庭両立推進者の担当する業務となるわけでございます。  それから、第4に「国等による支援措置」でございます。  まず一つ目は、国による職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措 置。いわゆる建議で意識啓発というふうに書かれていたものでございます。まず国のや ることでございますが、国は、子の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場にお ける慣行その他の諸要因の解消を図るため、その両立に関しまして事業主、労働者その 他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずるものとするとい うことでございまして、これに基づきまして国が意識啓発の事業を展開していくという ことを予定しておるところでございます。  それから、二は指定法人による支援ということでございますが、現在、育児介護休業 法におきましては、助成金の支給その他労働者への各種支援等を行わせますために、公 益法人を指定しまして、その業務の一部を行わせているわけでございます。21世紀職業 財団がその指定法人でございますけれども、その指定法人が行う業務の追加でございま す。一つは、今ほど御説明いたしました職業家庭両立推進者の研修でございます。二つ 目は、いわゆる意識啓発事業の実施、この両立に関する理解を深めるための広報活動そ の他の業務ということで意識啓発事業の実施、この二つを指定法人の業務に追加するも のでございます。  それから、その他所要の整備がございますけれども、施行期日でございますが、基本 的には平成14年4月1日、来年の4月1日を予定しているところでございます。請求権 を設定したり、いろんな義務を課したりという面がございますので、事業主もいろいろ 社内の就業規則等の見直し、処遇等の見直しをする必要があるということで、周知期間 を十分とる意味で来年の4月とするものでございます。ただし第3の5、これは「職業 家庭両立推進者」でございます。それから第4、これは「国等による支援措置」でござ いますが、これにつきましては今年の10月1日からの施行ということでございます。そ の他若干経過措置、あるいは関係法律の整理というものが行われるということでござい ます。  以上でございます。 ○分科会長  それでは、今御説明のありました法律案要綱について、御質問あるいは御意見がござ いましたらどうぞ。 ○委員  法律案要綱の中身に入る前にお伺いしたいんですけれども、政府が昨日、内閣府の男 女共同参画会議の下の組織として「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会」と いうのを実施されたというふうにお聞きしているんですが、そこの中でまさに審議をす る内容というのは、ここで議論している内容と重なる部分が多いんじゃないかというふ うに思うんです。それらは6月までに報告書をまとめるということで、もしそうだとす れば、今回の国会というよりも、この先のことなのかなというふうに思うんですが、今 審議している内容と、そちらの方の調査会との関係、厚生労働省の方としてはどういう ふうに取扱いを把握されているのか、もしお考えがあったら教えていただければと思い ます。 ○事務局  今おっしゃったとおり内閣府が事務局をやっておりますが、男女共同参画会議という 新しい組織ができまして、閣僚が半分と民間の有識者が半分で、そこでいろいろ議論す るという場ができております。内閣総理大臣の方から、その場で最初に審議する事項と して仕事と育児の両立支援対策ということで御指示がありまして、そのために専門調査 会が設けられ、今週から審議が始まっているというふうに聞いております。そちらは厚 生労働省が所管をしてやっております業務に大変かかわってくるというふうに思います けれども、事務的に男女共同参画会議の事務局の方と私は意見交換をいたしておりまし て、育児、介護休業法の改正については、労働政策審議会で審議をして結論をいただく ということになっているので、そこの部分について具体的な審議は、あちらでは控えて いただくようにということで、事務局のレベルとしてはそういうふうに整理をさせてい ただいております。もう少し、例えば保育所対策ですとか、文部科学省が所管している ような幼稚園の問題ですとか、広い分野の御審議になるのではないかというふうに思っ ております。 ○委員  控えていただくというのは事務レベルで当然あるんでしょうけれども、今世の中が抱 えている課題からしますと、控えるというのではなくて、お互い刺激し合って議論する というか、審議した方がいいのではないかという感想を持っていますけれども。それは 別にしまして、私ども建議までの間、両立支援対策の充実についてというテーマで議論 して建議をしましたね。出てきたのは育児介護休業法の改正案と。私ども労働側として は、できる限り両立支援法というか、育児と介護などをさらに広く充実させるために支 援法という名称でやることも検討すべきじゃないかということを申し上げて、いろいろ 御意見をいただいたんですが、法案要綱の審議の過程で、その辺の支援を、もっと広く 法律を構えていくというか、そんなことは検討されたんでしょうか。 ○事務局  その問題につきましては、昨年も御説明をいたしましたけれども、両立支援法という お話もございましたので、そういうことが可能かどうかという検討はいたしたところで ございます。  結論といたしましては、難しいということだったわけでございますけれども、その理 由は、仕事と家庭の両立支援というのは、職場における働き方だけの問題ではなくて、 もっと広く、保育とか、教育とか、住宅とか、いろんな問題に広がりを持ったかかわり 合いがあるわけでございまして、そういった広い対策をあたかも実施するような法律の 名前というのは、名は体をあらわしていないというようなことに結果としてなってしま う。育児介護休業法は職場における働き方についての法律でございますので、その職場 における、そういった働き方を律する内容の規定を持った法律の名称として、両立支援 法というのはちょっと大き過ぎて適当ではないというのが検討の結果でございます。 ○委員  先ほど事務局がおっしゃった内閣府が議論しようとしているテーマ、これはこれとし て働き方の問題としてある法律かもしれませんけれども、もう少し膨らませて国として せっかくのチャンスですから、両立支援的な構想で何かを議論することというのは、当 審議会で進んだことも考えて議論した方がいいのかなという、それで秋元委員が先ほど おっしゃった質問かと思うんですが、それは全く向こうとの絡み合いというか、内閣府 の方は、法律改正じゃなくて、具体的な今の法律の枠組みの中での施策の充実というこ となんですか。 ○事務局  内閣府の方は直接所掌しているわけでもございませんので、責任ある御説明をする立 場にはありませんが、具体的に何をどういう方向で議論するということについては全く 白紙のようでございまして、自由に仕事と育児を両立するために、各省庁が持っている 施策が十分その効果をあげているかどうか。もし不十分であるということであれば、ど ういうことが考えられるかということを自由に御議論をされるということだというふう に聞いております。また、当然ですけれども三者構成ではない。さっき申し上げました ような親委員会は閣僚と有識者、そして専門調査会はメンバーを拝見いたしますと三者 構成ではございませんので、職場における両立支援のための条件づくりという、今回こ こで議論しているテーマというのは、ここでしっかり御議論をいただいて結論を出して いただくということが適当ではないかというふうに思っております。そして保育所など の問題は児童福祉法という別の法律の体系でこれまで政策が推進されてきりおりますか ら、それと職場の労働条件としての両立支援対策は、無関係でないというのか、非常に かかわりが深いというのはおっしゃるとおりだと思いますから、どちらの問題を議論す るか。育児介護休業法の体系の中の議論も、そして児童福祉法の体系の議論もやはり相 手方を見ながらの議論というのは大事であるというふうに思いますが、今回の御議論と いうのは、地域における育児支援対策も念頭に置きつつ結論をいただきたいというのは 、労働条件として、職場の条件としての対策ということでお願いしたいというふうに思 います。機会を見て総合的な御議論をしていただく必要があるというふうに思いました ときには、また御相談しながら、御意見を伺いながら、そういう場を設けることも考え てみたいと思います。 ○委員  確認と質問が幾つかあります。3ページのハのところなんですが、先ほどの御説明で 厚生労働省令で定めるもの、これは週所定労働日数2日以内等という説明があったと思 うんですけれども、具体的にその「等」にイメージしているものがあるのであれば、ち ょっと御説明をいただきたいと思います。  それから5ページのところ、これは確認ですが、2行目の括弧の中の年次有給休暇の 問題ですけれども、これは当然のことながら、法定を上回る有給を支給しているところ については、除く対象にならないということでいいか。  それから6ページのところ、職業家庭両立推進者 (仮称) 、これはいつまで仮称なの か。ちょっと御説明願いたいと思います。  それから、施行日の関係で10月1日施行のところがありますね。そのところについて 、具体的に前の説明でも13年度の予算に織り込んでおるようなお話も聞いていますので 、具体的にこういうことをやるんだということが御説明できるのであれば、ちょっと御 説明いただきたい。  以上です。 ○事務局  最初の2ページのところでございますけれども、週所定労働日数が2日以下のもの以 外に現在考えておりますのは、配偶者ではない、その子の親が常態として子を養育でき るような場合というようなものを想定しておるところでございます。 ○事務局  有給休暇のところは、法定を上回る休暇についてはここで除かれておりませんので、 それが子の看護のために使える休暇であれば、おっしゃるように子の看護のための休暇 に含まれるということでございます。  それから、職業家庭両立推進者の仮称でございますけれども、これは「仮称」がとれ る時期というのは法律案の閣議決定のころになろうかと。それより前に事実上とれるこ とはあろうかと思いますけれども、現在、政府部内での調整、あるいは法制的な審査が 進められておるところでございますので、それの目途が立ち次第とれるということでご ざいます。  それから、最後は意識啓発の関係の事業につきましては、こういった仕事と家庭の両 立の重要性等についての、あるいは職場優先の組織風土の是正に向けました広報活動と いったようなもの。それから、それぞれこういった意識の問題についてどうやって取り 組みを行っていくかということについて、労使をはじめといたします関係者にも参画し ていただいて議論をしていく、そういう場の設定等に要するに予算が現在の予算案に盛 り込まれておるところでございます。  以上です。 ○委員  もう一ついいですか。7ページの第五の「その他」ですけれども、「その他所要の整 備を行うものとすること」、これは技術的な問題と考えていいわけですか。 ○事務局  非常に技術的で、途中で改正しますと第何条の2とか3とか増えていきますので、そ ういったものを整理するというようなこと、それに伴いまして、条文で引用している第 何条というのが変わってくるというものを整理するというのが中心でございます。ほと んどそういった内容でございます。 ○委員  3ページの時間外労働の制限に関係してなんですけれども、イに雇用された期間が1 年に満たない労働者が入っています。去年の審議の中でもお話しさせていただいていた んですが、建議の中では、深夜業の制限の制度等の関係を考慮するということにはなっ ていますけれども、必ずしも深夜業と時間外労働は性格が違うので、すべてというふう には私は受け取っておりませんでした。ここのところにイが入ることは、現状よりも非 常に後退をするというふうに思います。先ほどから出ているように、今まさに両立支援 の課題を国を挙げて何とかしようとしているときに、この項目というのは、ここの審議 会が出すにしては後退をしているということになって余りよくないのではないかと思い ます。  一つは、現在の激変緩和措置、時間外労働の対象者の中にこれは盛り込まれておりま せんから、ここのところに制限が入ってくるということ、それから介護休業も対象者と いうふうになっていますが、現在は、12条で労使協定があれば外してもいいよというこ とになっていて、法律で最初から除外対象者になっていないんですね。これをこのまま 入れてしまうと、現在の激変緩和措置よりも制限が増えること、それから介護休業の方 についても、労使協定がある場合だけ外してもいいというものがもとから外されてしま うことになり、まずいのではないかというふうに私は思います。  例えば新卒の方が入って、1年入っていないからという状況が今まではあったかと思 いますが、現在、中途採用が多くて、若い人たちだけが新入社員ということではないわ けですから、入ってすぐ介護の必要があったり、育児の関係で対応が必要だったりとい うことを考えると、この1年ということは、提案するには考え方の説明がつきにくいと いうふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。 ○事務局  この問題につきましては、昨年の女性少年問題審議会の際にも御説明させていただい たかと思いますけれども、基本的に育児・介護を行う労働者の福祉の増進を図るための 措置として、この規定を設けることとしておるわけでございますけれども、その場合、 現行の同様の目的でつくられております深夜業の制限の制度、これにおきまして、事業 主に負担を課すという面もあるわけですから、労働者の利益と事業主の負担との均衡を 図るという意味で、一定の貢献を求めるという観点から、勤続1年未満の者は法律上対 象から除外しているという取扱いになっているわけでございます。この深夜業の制限の 措置と同様に、今回の時間外労働の制限の制度も育児・介護を行う労働者の福祉の福祉 の増進を図るための措置でございますので、同様の整理をすることとしているものでご ざいます。  なお、深夜業と時間外労働というのは全く同じではないというのはおっしゃるとおり だろうと思います。そういう意味で深夜業につきましては、16歳以上の同居の家族がい る場合には対象から外れている。これは10時から午前5時という時間帯は通常みんな寝 ている時間でございますので、何か特段のことがあったときにきちんと対応できる、連 絡できる、そういう人がいればいいということで16歳以上の同居の家族がいる場合は外 れているわけでございますけれども、今回は育児・介護双方について、深夜ではござい ませんので、そういったものは取り入れないというように、深夜業と時間外は十分踏ま えて整理をしておるところでございます。 ○委員  法律を相互にわかりやすくするということについては私は賛成をしますけれども、こ こを1年にすることが必ずしも事業主の負担を増やすからということだけで、両立支援 策を検討している、何とかしようという中に、現状の、例えば介護休業のところもさら に条件をつける、それから時間外労働についても、今ないものをなおかつ条件をつける ということについて、こういう審議をしている一人としては非常に出しづらい。そうい う法律を出したことについて私はとても説明をしにくいという思いをあえてもう一度言 わせていただきます。 ○委員  35ページの子どもの看護休暇について、労働基準法第39条の規定により年休として与 えるものを除くという理解の仕方なんですが、最低付与日数が10日で勤続年数ごとに上 がっていく。年休というのはまさに自分自身のリフレッシュのための休暇ですよね。除 くという意味は、子どもの負傷なり疾病の世話の休暇と自分自身の年休とは違うからそ れは除くという趣旨で理解するんですけれども、例えば仮に10日という付与日数のとこ ろ、ある企業が15日というふうに定めた場合に、5日間を子どもの看護の休暇のために 使っていいよということを意味しているんですか。先ほどの説明はそういうことですか 。 ○事務局  おっしゃるとおりです。 ○委員  そうすると、ここで言っている物の考え方、年休という性格のものと、子どもの看護 という考え方からすると、自分のために法定を上回る休暇を使っているということは、 ある意味では自分のために使いなさいということを言っているわけだから、そこは、最 低付与日数のことを余り意識しなくていいんじゃないですか。それも含んでお互い決め ているわけだから、ただ、消滅したものについての問題は別です。2年で積み立ててい くというわけだけれども、今、各年次年次で付与される年休を法定を上回る部分を子ど もの方で使っていいというのは物の考え方としてどうなんですか、ちょっとおかしいん じゃないですか。 ○事務局  年次有給休暇は自分自身のリフレッシュのためだけに、そういう目的に限定された休 暇ということではございませんで、今の法定の年次有給休暇制度が何ゆえできているか というのは委員がおっしゃるとおりだろうかと思いますけれども、それを超える休暇を 付与するような場合に、特に限定が休暇の使途にかかっていないということであれば、 これは看護のための休暇に使えるということでございますので、これはそういう取扱い になろうかと思いますが、それとは別に、特定の目的を持った休暇が法定外であったと いたしましても、それは子の看護のためとは別の目的に限定されている場合には、これ には含まれない。例えば研修を受けたり教育訓練を受けたりするために特別の休暇が仮 にあるとすれば、そういったものは、仮に法定外であっても、ここで言います子の看護 のための休暇には含まれないというような取扱いになろうかと思います。 ○委員  建議の中に、将来、請求権として付与した方が望ましいということで、望ましいけれ ども、現状の普及状況ということから配慮義務を課しているわけですね。普及状況を高 めようということからすると、法定部分を超えて年休を、子どもの看護にあてがってい いよという物の考え方でやることは問題ということと、もう一つは、厚生労働省として 長期休暇あるいは年休の完全取得に向けた取り組みを進めようと言っている一方の施策 との絡みで、自分のための年休をちゃんと使いましょうと言っているときに、子どもの ために年休をあててもいいよということをすると、それで、結果として完全消化になっ ているようなことはやっていることが違うのではないか。 ○委員  そういう議論をしてくると、私どもの最初の主張に戻ってしまうわけなんですね。い ろんな休暇に企業が取り組んでおって、有給休暇だけではなくて、最近ですと、身の回 りでもいろんな会社でいろんな休暇が出てきております。夏期休暇だけではなくて、夏 期休暇プラスリフレッシュ休暇とか、いろんな働き方に応じた休暇が出てきております 。年齢が高くなると給料が安くなるけれども休暇は増えるとか、いろんな企業がそれぞ れいろんな取り組みをやっているんですね。ですから、そもそも法律で有給休暇以外の 休暇を決めるというのは非常に無理があるという、そもそもの主張をせざるを得なくな ってくることになってしまうので、それを繰り返すつもりはありませんけれども、一応 そういうバックグラウンドで我々は建議に結びつけたつもりでおりますので。 ○委員  その考え方は同意できませんね。 ○事務局  年次有給休暇の取得促進とか、そういったことで十分とっていただくというのは大事 なことだろうと思いますし、厚生労働省でもそういう施策を進めているところでござい ます。そういう意味で、法律上、労働者の権利として保障されております法定の年次有 給休暇については、そのために使っていただく休暇でございますので、これは子の看護 のための休暇から除いてあるわけでございます。それを上回ります分につきまして、基 本的には労使のお話し合いによって決められるようなところではございますけれども、 子育てをしながら働き続けることを容易にするというために、その本来の年次有給休暇 を使わないで子どもが病気のときに休めるような、そういう休暇の導入を促進しようと いうのが建議の趣旨であったかと思います。そういう意味で法定の年次有給休暇を超え て、しかも子どもが病気のときに、その看護に使えるような、そういう休暇を設けてお る例がございますれば、そういったものは子の看護のための休暇ということで、年休の 方にしわ寄せしないで子どもの看護ができる、そういう休暇というふうに理解すべきで はなかろうかというふうに考えております。 ○委員  そうしますと、具体的に言いますと、先ほど10日の最低付与日数で1年に15日ある場 合、5日間について、例えばそのうち3日間は子どもの看護休暇で使っていいという制 度を設けましたという場合には、今後普及状況を図るという厚生労働省としては、年休 以外でそういう制度をつくっていることについて、いわば促進を図るというところで指 導するんじゃないですか、年休の中の3日間について設けていれば、それも一つの普及 だという理解なんですか。どうもそこが違うような気がするんですけれども、年休は年 休でとることが、どういうふうにとるかは別にしまして、もう一方に新たな制度として 子どものための病気休暇制度をつくりましたということを普及するんじゃないですか。 配慮義務ですから、行政としてはつくるように環境整備するといえば応援するわけでし ょう。そこの理解が、この組み立て方だとちょっと理解しにくいですね。 ○事務局  年休は年休というのは委員がおっしゃるとおりだと思います。そういう意味で年休が 法定の年次有給休暇なのか、それを上回るものも含むのかというところで受け止めの違 いがあるんだろうというふうには思いますけれども、考え方としては、先ほど申し上げ たようなことでございますので、そういうものは今後普及状況を把握する際には、きち んと申し上げたような趣旨の休暇制度の普及実態が把握できるように工夫していきたい というふうに考えております。 ○委員  請求権なら、かなり厳格に取り扱いについてやることが必要かもしれませんけれども 、配慮義務であって、別に罰則もついておりませんし、今後の展望を考えたときに、そ れをあらかじめ最低付与日数を超える分はいいことの意味合いというか、非常に後ろ向 きというか、配慮義務とした上に、かつ年休の法定を上回る部分についても含むと、こ こで法律上書くことがどんな意味を持つかということが理解しにくい。 ○委員  当面無給の看護休暇なので、どういうふうに努力義務が決められて、どういうふうに 企業が取り組むかというのはいろんなパターンが出てくると思っているんですけれども 、それも例えば企業内で今いろんな休暇がある。リフレッシュ休暇のときには連続して とりなさいとかいろんなやり方を決めているわけですよね。いろんなパターンの休暇に 対して、例えば看護休暇の要素を織り込んでやるというパターンも出てくるのではなか ろうかなと私自身は思っているんです。ですから、来年4月以降、努力義務規定が発効 して、企業が努力義務をどういう形でやっていくかという推移をみたいという気持ちが あり、今わくわくしながら見ているんです。そういうことも念頭に置きながら考えてい かないといけないと思うんです。 ○委員  前の審議会のときにも議論されたんですけれども、今、多目的休暇というのは、年休 の消滅したものを積み立てて、例えば自分の誕生日に休んでいいとか、あるいはリフレ ッシュ休暇とか、そういう制度はあるんですけれども、その年次の中の年休で法定日数 を上回るものを、例えば誕生日休暇とするということは、そういう制度はほとんどない んです。それは勝手に自分が決めるわけでしょう。この年次に付与された年休をどう使 うかは自分で判断するんですけれども、今言われている多目的休暇というのは、2年間 の失効年休を積み立ててやっている仕組みが多いと思うんですよ。今回の場合はそうじ ゃなくて、この書き方は、今ある当該労働者に付与した年休の中の法定を上回る部分に ついて、そういう多目的に使っていいという意味は暗に奨励する書き方だと認識してい るんです。その年次の中で付与されたものを、そのうち法定を超えた部分を子ども看護 で使っていいよという、それで子ども看護休暇を設けたものとして認めるようなことは 物の考え方として理解しにくい。 ○委員  年休は、おっしゃるとおり法定年休の方でやるべきだろうと思うんです。要件を満た しますと、仮に入社半年目の人は10日もらえますね。しかし企業によりましては20日与 えるところもありますね。その後の10日が法定外なんですが、もしそれもこちらの方に こういう規定をしなければ、20日を超えて努力義務を課すことになりますね。それはそ れで考え方としてはあり得るんでしょうけれども、労働基準法の考え方からいいますと 、10日のところを20日与えていて、さらに努力義務でそれ以上に看護休暇を与えるとい うのは、法律のあり方としてはちょっと無理があるんじゃないかと思うんですね。 ○委員  休暇を与えるときの措置と書いてありますが、措置ということは、例えば15日年休 がある場合、そのうち、子どもが今日病気したから休もうと自分自身で判断するという のが現行の姿です。これは措置ですから、法定外年休の5日分の何日かを子どもの看護 休暇としてもいいということでしょう。今は措置でないけれど、子どもが病気だから年 休をとりますとやっているわけでしょう。ところが、今度は措置ですから意味合いがち ょっと違う。現行の姿を変えたわけでしょう。5日ある法定外年休の2日間を子どもの ために使っていいということを協約に盛り込んでも違反ではないと、年休は15日、その 内訳の2日間は子どもの看護休暇で使っていいと措置するということでしょう。 ○委員  基準法に定める以上の年休は、労使が自由に決められるというのが原則だと思うんで す。それをどういうふうに決めようと、何に使おうと法律上の問題には引っかからない んじゃないでしょうか。 ○委員  年休の使用目的を自分が判断するのは構いませんけれども、子どもに使いなさいとい うことをあらかじめ、いわば与えられた付与日数の中で決めることになりますが。 ○委員  だから、法定年休を看護休暇として明示することは、利用目的を制限しますから問題 ですけれども、法定を超えた法定外の年休については、それをどのようにしようと、ど ういう要件を課するか全く労使の自治に任されていると思いますから、15日あるものに 、さらに上乗せるということは考え方としてある得るでしょうし、望ましいかもしれな いんですけれども、今の労働基準法、今の看護休暇の普及状況から見て、そういう選択 肢をとれないということじゃないでしょうか。 ○委員  それを年休と言えるのでしょうか。 ○委員  それは法定年休と法定外年休、2種類の年休があるんです。 ○委員  それはわかりますけれども、年次有給休暇というのは、自分のための休暇ですよね。 その法定を上回った部分についてあらかじめ他の目的のものとすることが違反ではない ということになるのですか。 ○委員  それは法定年休・法定外の年休を、法定年休もあわせまして、例えば親の看護とお葬 式に使っても自由ですから、全部自分のために使っているわけでもないし、自分のため に使わないといけないというわけでもないんじゃないですか。 ○委員  失効年休ならわかる。 ○委員  もともとの年休でも、何に使ってもいいわけですから。 ○委員  それならわかるんですよ。それは法律でいわれなくたって今やっていますよね。今回 は、「措置」と書いていますから、ちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども。 ○委員  もともと議論してきた経過が、今のままでは不十分なので、何らかの形で子どもの看 護の必要な人が休みやすいようにということで話をしてきたと思うんです。そういうこ とから考えると、今ある中の法定以上の休暇について、それぞれの工夫をしながら今使 っていると思うんです。それになおかつ、さらにいろんな工夫をして看護休暇として設 けてくださいよという趣旨で議論してきたつもりなんですが、その中で工夫すればいい よという、マイナスというか、後退をする意味でこのことを言っているんじゃなくて、 必ずしも今の年次有給休暇は法定以上としても十分ではないという部分があるかと思い ますので、プラスアルファの困った人がきちんととれるような子どものための看護休暇 という意味合いを打ち出さないと、今、法定以上あるんだから、例えば1日でも法定以 上あったら、その1日を子どもの看護休暇としたから、これの趣旨は到達したんだとい うふうにならないようなことにぜひしていかないといけないんじゃないかなと思いま す。 ○委員  おっしゃることは非常によくわかるんですけれども、例えば逆の言い方をしますと、 今15日与えて10日がそうだと、5日分は余分だから、特にこの努力義務ということを要 求しませんと。だから看護のために使ってくださいというときに、例えば、労働者が今 まで5日間あったのに、また介護を使うと、次から17日にせよと、そういうふうに進ん で年休が増えていくというのが本来のあり方で、今の労基法を前提にする限りは、最初 からそれに上乗せするというのはちょっと難しいのではないかという気がします。法律 の仕組みとしてはやむを得ない選択肢ではないかという気がします。それは現象的には 、確かに今までのものはちょっと狭まるんでしょうけれども、逆に狭まるから、本来の 看護休暇の努力義務だから、もっと増やせという方向で労働者や労働組合に要求して増 やしていくと、そういう発想の方がいいんじゃないかというふうに思います。もちろん 、それが困難さを伴うことも事実だと思いますけれども、条件をよくしていくと、それ がキーじゃないかという気がします。 ○委員  労働条件をよくしていくというのはある意味では当然のことですけれども、現実の問 題として、今、社会の情勢も何年前から考えたら大幅に変化してきていることも事実だ と思うんです。ですから、そのときに前年度より何が何でもよくしていくということで はなくて、いいときにはいい方向に双方努力してきたと思うんです。でも、現実的にこ の厳しい時代に、やはり厳しいときには双方お互いに話し合って、それを譲り合ってい くところも私はあってしかるべきだと思うんです。それで、法定まで食い込むというこ とは問題があるかもしれませんが、それを超えていることに対しては、やはり私はやむ を得ないことだと思うんです。現実問題として法定でこれだけだからといっても、例え ば私どもの会社には、小学校に上がった子どもを持っている女子社員もおります。小学 校だから通常どおりの勤務をしてもいいんですけれども、なかなかそれは状況的にでき ないから4時で帰っているということを未だに続けているという現状があるわけです。 ですから、そういうお互いの話し合い、小さい企業だからできるということもあるかと 思いますけれども、話し合いがあってしかるべきで、逆に余りそこを強調すると、法定 の10日に戻しましょうと企業側が言ってもやむを得ない状況に、私は現状の社会情勢を 考えるとあり得るということもお考えに入れていただいた方がよろしいんじゃないかと いうふうに感じております。 ○事務局  皆さん大変たくさんの御議論をありがとうございました。次回、頭の整理をして、も う一度御説明をさせていただきたいというふうに思いますが、一つは、努力義務規定で すから、どこまでここでぎりぎり整理する必要があるかということはありますが、もし 法的にぎりぎり整理するとどういうことになるのか、そして、この新しいルールを入れ ようとしている趣旨から考えると、どういう姿が望ましいのかというのはいろいろあろ うと思います。休暇制度というのはいろいろあって、看護だけに着目をした看護休暇を 導入するということもあり得るというのか、それは望ましいということかもしれません が、もう少し広く、例えば子どもの学校の授業参観なんかにも行けるような家族休暇と いうような形で導入するかもしれませんし、また家族のある従業員と、家族のない従業 員のバランスもあるから、それではもっと多目的の休暇を増やそうということになるか もしれませんし、いろんなことが考えられようかというふうに思いますが、今日の御議 論も踏まえまして、もう一回次回、頭の整理をして御説明させていただきたいと思いま す。 ○委員  別件で建議の内容との関係で、建議の7でまとめられている期間雇用者の問題につい て、法案要綱ではそれを読み取ることができないという点について質問をさせていただ きたいと思います。 ○事務局  今、委員御指摘の期間雇用者の問題につきましては、資料4の参考の方に建議がつい てございますけれども、これの「記」の7でございますけれども、ここについては育児 休業の対象とすることは困難であると考えられるということで、法的措置を講じないと いうような内容となっているわけでございます。したがいまして、今回の育児・介護休 業法の改正案の要綱には法改正を措置しない部分、建議の記の7、8はしない部分でご ざいますので、何も載ってきていないということでございます。  なお、この運用につきまして、「反復更新される等により実質上期間の定めなく雇用 されていると判断される者が育児休業の対象となることは当然であり、その取扱いを具 体化することが適当である」と書いてございますが、これは運用の問題でございますの で、これは先ほど御説明いたしました指針の中で、その取扱いを具体化するというよう なことで考えているところでございます。 ○委員  年休の問題について、例えば今2時間年休とか、本来、通達では認めていませんけれ ども、分割年休、半日年休等がとかいっぱいあって、それは違法とはしないということ で黙認しているだけであって、何に使っているかというと、今、事務局がおっしゃった 保育園の参観日だとか、子どもが病気したからとか、今それは工夫して勝手に自分たち でやっているわけでしょう。そんなことはいちいち言わなくても今やっていますよとい うことで実態は対応しているんじゃないですか。ここで言わんとすることは、別の観点 で議論してきたわけですから、そのことを少し考えていただきたい。  二つ目に、育児・介護休業法を利用しやすいようにしてほしい、すべきだということ で、例としては短時間勤務制度を全事業所に義務づけてほしい、あるいは1人の子ども のために、1人の労働者が複数回とれる分割取得も認めた方が、休業の普及は非常に遅 い中で、もっと利用しやすくなるのではないかと求めてきました。内閣府で議論した場 合に、育児、介護休業法を利用しやすいようにした方がいいんじゃないかという議論が 起こるのではないかと思うんです。そのときに今回の議論は、私の求めたものが入って いませんけれども、それももう少し工夫したらどうかという議論が起きることを、逆に 言うと私は期待している。ですから、あえてまた、短時間勤務制度を義務づけるとか、 1人の子どものために、1歳の間に複数回とれるような仕組みが入っていないことは極 めて残念ということを言っておきます。 ○委員  今の件は、昨年十分議論した中で私どもは法律で決めるのが反対と申し上げているわ けで、やはり現場の労使の中で自分のところに合ったやり方で進めるということは大い にやればいいと思っている。基本的にそういう動きに反対しているわけではありません 。これは論議の中で一貫して申し上げていることです。 ○委員  法律一般について、例えば今議論しているようなお話をなさるときに、どういう労働 者を想定するのかによって、その法律のメリット・デメリットというのが大分違ってく ると思うんです。既に雇われている労働者について、こういう権利を課すというのは当 然私も必要なところだと思うんですが、これからそこで応募して採用されたいというふ うに思って、しかも小さい子がいる、その人にすぐにその法律が適用になるといった場 合に、その人を企業側としては採用したくないというような可能性が出てくることがあ るわけですね。法律でありますから、すべての労働者を想定していかないとまずいだろ うというようなことで、労働者保護というのは私は重要だと思いますし、やるべきだと いうふうに思っているんですが、声なき声というものもまた重要視していかないと、後 々保護しようというふうに思ったものが、結果として逆にその人たちを退けてしまうと いうようなことになってくる可能性もありますので、そこをお考えの上、御議論いただ けたらというふうに思います。 ○分科会長  ほかに御意見ございますでしょうか。  特に今の段階でございませんようでしたら、時間の関係もありますので、一応ここま での議論を承ったということで、今後、本日の議論を踏まえて次回2月9日の分科会に つなげていきたいと思います。次回の分科会では、厚生労働大臣に答申をするというこ とでお願いをしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、議題の2についてはこれをもって終了いたしまして、次に議題3に入りた いと思います。  これは1月29日に開催されました第1回労働政策審議会個別労使紛争処理対策部会に 諮問されました個別労働関係紛争の解決等に関する法律案要綱について、これについて の報告がございます。今日、報告をいただきますが、これについて本分科会で本日これ からいただきます御意見につきましては、第3回の労働政策審議会個別労使紛争対策部 会に報告をさせていただく、こういう段取りを考えております。  それでは、個別労働関係紛争の解決等に関する法律案要綱について御説明をお願いい たします。 ○事務局  よろしくお願いいたします。資料ナンバー5でございますが、「個別労働関係紛争の 関係等に関する法律案要綱」というのをお配りいたしております。具体的な要綱の説明 に入ります前に、若干のこれまでの経緯を御説明したいというふうに思います。  個別的労働関係の紛争と申しますのは、労働条件にかかわるもの、雇用の均等にかか わるもの、あるいは募集・採用にかかわるもの、要するに昨年までの労働省の審議会で は多くの審議会にかかわるような事項でございます。そういった関係で既存のどこかの 審議会で御議論いただくということではなくて、新たに労使の皆さんにも入っていただ く検討会議を昨年9月に設けまして、そこの場でいろいろ御議論いただいてきました。 その中では、この分科会の委員でもあります渥美委員や片岡委員にも入っていただいて おります。その中で昨年の9月からいろいろな御議論をいただきまして、昨年12月25日 にその検討会議としての報告が取りまとめられました。この法律案要綱は、その検討会 議の報告にのっとってつくられたものでございます。その検討会議の中で、日経連ある いは連合からのそれぞれの個別労使紛争に関します解決のための提案があったわけでご ざいますが、当時の労働省からも労働省としての考え方をお示しして、その三つの案を それぞれ平等に議論するという中で議論してきたわけでございます。  その中で個別労使紛争と申しますのは、先ほど言いましたようにいろんな分野にまた がっています。その中で、例えば雇用均等の関係では、既に均等法の5条から8条まで の規定につきましての実効担保措置としまして、今は労働局長でございますが、労働局 長の助言・指導・勧告の規定とか、あるいは機会均等調停委員会の調停の規定がある。 それから労働条件にかかわるものにつきましては、労働基準法の105 条の3に基づきま す労働局長の助言・指導の規定がある。こういうふうに部分部分にはそれぞれ規定があ ったわけでございます。そういったものも念頭に置きながら、どういうシステムがいい かという議論をしてきたわけでございます。  当時の労働省が当初考えた案では、ある程度機会均等調停委員会の調停を念頭に置き ながら、これをほかの分野にもやったらどうかというような御提案をしたわけでござい ます。ただ、労使それぞれの御意見がある中でいろいろ議論をしてきました。雇用機会 均等の部分につきましては、均等法5条から8条までのそれぞれの禁止規定等の実効担 保措置として規定がある。それに対しまして、個別紛争のほかの分野につきましては、 必ずしもそういう関係にないという中で、新たに考えた部分につきまして、行政機関が 均等法と同じような調停ということをやることは必ずしも適当ではないというような御 意見がありました。そういう中で、均等法の実効担保措置自体を弱めると、そういうこ とはそもそも検討の対象ではありませんし、それは労使両方ともそういうお考えでござ います。したがいまして、そういう中で新たな個別労使紛争のシステムと均等法のシス テム、これにつきましては、均等法のシステムは、現行のとおり労働局長の助言・指導 ・勧告制度、それから調停制度、これを維持する。それから新たな紛争解決援助制度、 それ以外の個別の紛争解決につきましては、労働局長の助言・指導の仕組みと、調停で はない、これから御説明します、あっせんを行うというような仕組み、こういったもの が適当だろうと、こういうことになっております。そういう経緯がございます。そうい う議論を踏まえまして、この法律案要綱をつくったということでございます。  この法律案要綱につきましては、労働政策審議会の1月29日に諮問させていただいた わけでございますが、これまでの検討会議の議論を引き継ぐという関係で、労働政策審 議会の中に個別労使紛争処理部会というのを別途設けていただきまして、そこで具体的 な御議論をいただくということになったわけでございます。ただ、均等の関係につきま しては、均等法とのかかわりもあるということで、今日この場で別途御説明させていた だくということでございます。  具体的な要綱の御説明でございますが、第1の目的、これは要するにこの法律が個別 労使紛争につきまして、迅速な解決を図るということを目的にしているということでご ざいます。  それから、こういったものにつきまして、幾つかのステップがあるわけでございます が、まず第一番目のステップとしては、第2にありますが、基本的には、企業の中で自 主的解決が図られるのが望ましい、こういう考え方に基づきまして、労使当事者が早期 かつ誠意をもって自主的解決に努めていただく、そういう努力義務を規定したいという ことでございます。  次のステップとしまして、中小企業あるいは労働者の方、必ずしも労働関係の法律や いろんなシステム、慣行に詳しくないという事情もあるということがありますので、こ れにつきましては、都道府県労働局が情報の提供や、あるいは相談を受け付けると、こ ういうことをする必要があるだろうということで、第3のような情報提供や相談の規定 を設けてある。これに基づきまして、既存の相談コーナーも整理統合いたしますが、労 働関係のすべての分野についてワンストップで対応できるような総合的な相談コーナー 、これを予算措置として考えているということで、全国250 か所を考えているというこ とであります。  それから次のステップとしまして、第4にありますが、個別労働関係につきまして、 労働局長の助言・指導の制度をつくるということであります。これにつきましては労働 基準法では、労働条件にかかわって助言指導のシステムがあるわけですが、労働条件に かかわらず、助言指導の対象にしていくことを考えているということであります。先ほ ど申し上げましたように、均等の部分はここに入らずに、現行の均等法の規定をそのま ま維持しまして、助言・指導・勧告を行うということにするという整理をいたしており ます。  それから次の段階としまして、第5でございますが、あっせんでございます。ここの 部分につきまして、先ほど申しましたように、調停をやるかどうかとかいろいろな議論 があったわけですが、最終的には、ここにありますようなあっせんの制度を設けるとい うことでお願いしたいというふうに思っております。紛争当事者の双方又は、一方から あっせんの申請があった場合に、労働局長の判断であっせんを行うということにいたし ております。  この具体的なあっせんは、労働局長自らがやるのではなくて、紛争調整委員会という 学識経験者からなる委員会で行うということにいたしております。この紛争調整委員会 につきましては、各都道府県労働局に置くということでございますが、その際、機会均 等調停委員会を改組して、これを紛争調整委員会にするということを考えております。  委員会の構成を若干御説明しますと、2にありますが、委員につきましては、学識経 験者3人から12人以内ということで考えています。現在の均等調停委員会はすべて3 人ずつという構成でございますが、男女雇用機会均等に係る紛争以外につきましても扱 うことから、特に大都市圏では相当数の案件が予想されますので、それに対応できるよ うな体制をとる必要があるだろうということでございます。この具体的な人数につきま しては、省令で定めることになりますが、具体的には東京では12人、要するに3人の4 チームを考えておりますし、大阪、愛知につきましては9人、3人の3チームを考えて おります。そのほか4道県につきまして6人の2チームで、それ以外は3人を考えてい るということでございます。  その他の関係規定の法律の整理のところで具体的には措置するんですが、併せて御説 明しますと、均等法との関係におきましては、この紛争調整委員会が機会均等の調停も 行うということにするとともに、具体的に複数の3人のチームができるところにつきま しては、機会均等の調停を扱うチームはあらかじめ決めておくというシステムにすると いうことを考えております。したがいまして、機会均等調停委員会という行政組織につ きましては紛争調整委員会ということで機能を拡充することになるわけでございますが 、機会均等の調停を行うという部分につきましては現行と全く変わらないシステムを考 えていくということであります。  あっせんの手続等につきましては、そこにありますように、あっせんをやるというこ とになった場合には、先ほど言いました3人ずつのチームの複数ある場合には、そのい ずれかのチームがそれを扱うということを会長が決める。その後は、担当のあっせん委 員が両当事者を呼んだり、あるいは必要な書類を見たりという中で事案の解決のために 両当事者の妥協を求めて解決を図るということです。それから3にありますように、必 要な場合には、労使団体の代表の方の意見も聞くというようなこと。  それから通常のあっせんと若干違いますのは、4にありますように、事件の解決に必 要な場合にはあっせん案の提示を行うということを法律上書いたということでございま す。これにつきましては、先ほどの3人のチームのあっせん委員全員の一致で案を提示 するということにしております。そのほかあっせんの打ち切りの規定、あるいは時効の 中断の規定、それから関係行政機関へ資料提供の要求の規定等を設けております。  それから5ページに入りますが、第6の部分で地方公共団体の措置というのが書いて あります。ここにつきましては、検討会議でいろんな議論があった中で、労働局だけが やるのがいいのか。連合の方からは地方労働委員会を使うべきではないか日経連からは 民事調停を使うべき等といういろんな御意見がありました。全体の検討会議の整理は、 複線型のシステムにするということになったわけでございます。民事調停は別に法律が あるわけでございますが、地方公共団体については、やはり複線型ということを明確に するという意味で新しい法律に位置づけることは必要だろうということで、第6にあり ますように、地方公共団体の個別労使紛争の自主的な解決促進のために必要な措置を講 じる、こういうような規定を設けてあるわけであります。  この法律自体は新しい法律ということで一つの体系であるわけでございますが、これ にかかわりまして、6ページの「関係法律の一部改正」というところにありますけれど も、労働基準法の、具体的には105 条の3を削除してこちらに包含させるとともに、雇 用機会均等法につきましては、先ほど言いましたように、機会均等調停委員会を改組す るという関係の一定の条文規定の整理を行うことにしているということでございます。 ○事務局  私の方から補足的な説明をさせていただきたいと思います。法案要綱をざっと読んで いただいたのではわかりにくい点もあろうかと思いますので、特に女性労働者にかかわ りが深い問題を扱う仕組みがどうなるかということでイメージ図のようなものをつくっ てみましたので、お手元の資料6をごらん下さい。  左手に均等法の個別紛争処理の仕組みが書かれておりまして、右側が新しいもので、 これ全体が今度の新しい仕組みになるということでございます。左側の流れを見ていた だきますと、一番下に「男女機会均等取扱いに係る紛争」が出てまいります。こういう 紛争があった場合には、矢印が上へ行っておりますが、今まででございますと、全国に4 7か所にある雇用均等室、ここに来ていただくということでございます。この中で特に行 政サービスとしての紛争処理が必要なものにつきましては、一つは、真ん中の欄でござ いますが、都道府県労働局長による助言・指導・勧告という手段があったわけでござい ます。それからもう一つは、上にきまして、調停委員による調停という仕組みがあった わけでございます。今度の新しい仕組みができましても、この仕組み自体、機能自体は 全く変化がないということでございます。それから新たに今度の仕組みの中で、均等法 の中にはなかった個別紛争の仕組みとして、右側をごらんをいただきたいと思います。 募集・採用ですとか、労働条件ですとか何でも扱うということでございますが、特に女 性労働者にかかわりが深い問題としては、均等法の中にありますけれども、これまで個 別紛争の対象になっておりませんでしたセクハラでございますとか、あるいは育介法に かかわる取扱いに関する紛争、こういったものもこれからは個別紛争の処理の対象とに なってまいります。  それから先ほどご説明ががありましたように、予算措置で総合労働相談コーナーとい うものができましす。これはワンストップサービスということで、どういうタイプの、 どういった分野の紛争でも、とにかくここにまず持ち込んでもらえばいいという形の窓 口でございます。ですから、均等法にかかわる紛争も、当然総合労働相談コーナーにも 持ち込めますので、窓口が47プラス250 に広がったというふうにお考えをいただければ 良いのだろうと思います。どの法律にかかわる、どんな紛争ということを御本人がわか らなくても、とりあえずここに相談に行けばいいという仕組みになるわけでございます 。それから、その中で特に個別紛争処理の具体的な仕組みの中に乗せていくものとして 、今度の新しい仕組みでは、労働局長によります助言・指導という仕組みができるわけ でございます。それからさらに、あっせん委員によるあっせんということで、こういっ た仕組みの中でセクハラですとか、育児・介護にかかわる問題も個別紛争の処理の仕組 みができるということでございます。右欄の新しい仕組みができたことで、これらの問 題についても紛争処理の仕組みができるようにということで、一番上のところの囲みを ごらんいただきたいと思います。これまでは均等の調停だけをやっておりました機会均 等調停委員会を改組しまして、左側のルートと右側のルートと両方の機能を持ったもの として「紛争調整委員会」という形で改組をしたいということでございます。  以上でございます。 ○分科会長  それでは、ただいまの御報告について御意見がございましたらどうぞ。 ○委員  改組の理由を言ってください。なぜ二つで改組するのか。紛争調整委員会をつくった から均等調停委員会を改組しますという理由を聞きたいと思います。なぜ改組するか。 ○事務局  機会均等法に基づく調停もいろんな企業と労働者との関係の事案を扱っている、こう いうことがあります。そういう中で個別紛争につきましても、そういった広い意味での 紛争をどうやって解決していくかということでありますので、これにつきましては、も ちろん別の委員会をつくるとか、いろんなことはあり得るのかしれませんが、現在の財 政事情や行政組織にかかわるいろんな状況を考えた場合に、新たなものをつくるという よりは、既存のものをどうやって活用して、そういったものに対処していくかというこ とが必要だろう。そういう中で機会均等調停委員会のこれまでの機能を全く阻害するこ となく、かつ新しく必要とされている個別労使紛争にもどうやって対応していくかとい うことを考える必要があるのではないか。そういった関係から既存の機会均等調停委員 会につきまして、既存の権限は全く変わることなく新しいものもやっていただくと、こ ういうことが全体を通じて考えれば一番適当であろうという判断であります。 ○委員  財政事情等行政の関係という理由を述べられましたけれども、私どもそもそも均等法 の議論経過の中で、行政から独立した性差別にかかわる第三者機関をつくるべきだとい うのがはずっと言ってきて、見直し議論はこれからまだあるんですけれども、その議論 をしたいわけです。ところが、こういうふうに出てくると、その辺の議論はどうしてい いのかという、今回できるのか、できないのかというのがあるんですが、ちょっとそこ はさておき、そういう流れの中で均等法で労使が議論した結果、一方申請ができて、い わば均等調停委員会というのが行政の中にできた。それで満足しているわけではないん です。せっかくつくられた調停制度を、もう一方ではあっせんですよね。労働局長によ る紛争処理システムも一方は勧告まで、もう一方は指導どまりというところもあるし、 性格が違うものを一つにまとめる、改組するというのは非常に問題があるということか らして、検討会報告を見る限りは、機能は残しますよといって組織再編の話は一切書い ていませんでしたね。そんなことから急に出てきた話にも見えるので、その議論をこの 前の女少審でやってくれるのかと思っていたら、あれは検討会だから、そんな段階じゃ ないというのも聞いたし、しかし、今、岡崎さんは、この法案は検討会議によってつく ったと言っていますよね。どうも今までの秋からこの間にかける均等法にかかわる扱い が非常に不十分だということも非常に不満を持っていますし、とにかく機会均等調停委 員会をなくすことに反対なんですね。せっかく定着したものがもうなくなったんじゃな いかというふうに思われてしまうと困るわけで、もしあえて言うなら、一つにしたいと 、二つはだめだというなら、一つにすればいいじゃないですか、銀行だって第一勧銀何 とか銀行として、この厚生省と労働省の合併だって均等・何とか局にしているわけです からね。あえて言うなら均等調停・紛争調整委員会だっていいじゃないですか。とにか く残っていますよというふうにぜひしてもらいたいんですが。 性格の違うものが入っているわけですから、そこをぜひ御検討いただきたいと思います 。 ○事務局  行政機関の名前をどういうふうにつけていくかということは一方ではわかりやすく、 できるだけ短いといいますか、わかりやすい名前にしていくことが必要ではないか。例 えば労働委員会は、中央労働委員会、地方労働委員会がありますけれども、あれもある 意味では不当労働行為審査及び労働争議調整委員会なわけですけれども、やはりそれは できるだけわかりやすい名前ということで労働委員会になっております。今、「機会均 等調停」というところを言われたわけですけれども、紛争調整という、機会均等を含め てこれは紛争だと思います。機会均等法の中でも、それは紛争を扱うという意味で書か れているわけです。その中の機会均等に関する紛争ということでございます。紛争とい う言葉はより広い意味で紛争でありますし、それから調停というところを言われたわけ ですが、調整という言葉は、調停、あっせんを含めた上位概念としての調整であります 。したがいまして、行政組織の名前としては、できるだけ全体をあらわす、かつ、でき るだけ短いもの、そういうものがあれば、それにしていくということが適当ではないか 。そういった意味で私どもとしては、行政組織の名前としては紛争調整委員会というの が適当であろうと判断をしているということ。  それから、その中で先ほど言いましたように、新しいあっせんと、これまでからあっ て、今後もやっていく機会均等にかかわる調停とがあるわけでございます。それはそれ ぞれの機能を果たす段階では、ここにもありますが、それぞれあっせん委員、調停委員 による調停であり、あっせんであるわけですから、そういった点とか、それから機会均 等調停そのものを、制度としての周知というのは十分図る中で、今、委員がおっしゃっ たような懸念がないようにという対応はしていきたいというふうは思いますが、ただ、 行政組織を名前自体に、今の局の名前もありましたけれども、可能であれば、できるだ け全体をあらわしてわかりやすい名前ということでやっていきたい、こう思っていると いうことであります。御理解いただければと思います。 ○委員  私も向こうの委員会にかかわっているものですから、昨日、紛争調整委員会の名称を どうするかということで、その一点ですごくもめました。委員のお出しになった意見と いうのもかなり労働側から出されました。私もつらつら考えて、事務局ではなるべくわ かりやすいシンプルな紛争調整でいきたいという御意向を強く持っていらっしゃるよう なんですが、ちょっと考えると機会均等調停委員会というのはもう十数年の先行のキャ リアがあるわけですね。名前も相当認識されてきたわけですね。今その看板がなくなる というのは相当抵抗があるんだろうなという気がするんですね。それは大いにPRして 啓発していって、決して中身が後退するわけではありませんというPRはされるわけで しょうけれども、やはり機会均等という看板がなくなるということにかなり危機感を感 じていらっしゃるという気持ちはとてもよくわかります。紛争調整委員会という看板を 一つにまとめてみても、その中には機能として二つあるわけだから、1枚看板・2本の 機能というよりも、むしろ、そこは紛争調整機会均等委員会にしたらどうなんだろうか 。それで長過ぎれば、略称で、例えば「紛機(ふんき)委員会」とか、で、大いに奮起 していただくとかそんな感じで、ここはどうですか、この事務局も「雇用均等・児童家 庭局」、結構十分長いなのではないかという気もしますし、やはり機能が二つあったら 、二つの機能を明確に社会へアピールしていくということの方がいいのではないかなと 。行政サービスとしてその方がベターじゃないかなと一晩考えたわけでございます。そ れでも長過ぎるというのだったら、またまた皆さんで議論をしていただきたいんですが 、そんなことを提言したいと思います。 ○委員  検討会のメンバーとしてかかわってまいりまして、今、吉宮さんの方からおっしゃっ た委員会の名称も含めて、機能は当然のことながら現行どおりということを、検討会の 出した結論についても、その現行どおりという意味は委員会の名称も含めたものという ふうな理解に立って最終段階でこの件が改めて名称問題として浮上したという経緯があ りましたが、先ほど来から御説明があるわかりやすく、あるいは短くするということの 受け止め方としては、再三申し上げていますが、誰にとってわかりやすいのか、個別紛 争の現状が職場状況も含めてどうなっているかということを考えますと、女性労働だけ の問題ではありませんが、そこにもっていくことすら非常に足が重く躊躇する、あるい は持っていっても、性差別的なことで大変鈍感な対応があって、そのことでまた傷つく というような現状の問題などもあって、わかりやすくするということであれば、窓口が 広がったと同時に機会均等調停委員会というのは当然それは現存するし、それ以外にも 広がるということの中で、女性労働者が安心して自分の選択肢としてどこに行くかを決 めるというようなわかりやすさを名称には十分反映してもらいたいという趣旨で名称を 残すことを要望してまいりました。  もう一点は、先ほどの御説明で、紛争調整委員会ができた場合、各都道府県にチーム 制をとるという御説明がありましたが、今申し上げたことと重なりますが、例えば、こ こで今3人という案がありますが、そうなった場合には、機会均等調停委員会に基づく 調停を行う委員というのと、ここに新たにできる紛争調整に当たる、あっせんまでに当 たる委員会とが同一人物ということになるわけですが、そういった同一人物が機会均等 調停ということの法律の趣旨やその目的に沿って対応いただけると思いますが、セクシ ュアルハラスメントも含めて扱うようになった場合、当事者の立場に立った対応や、二 次被害や三次被害がないようきちんと対応できる、具体的に言えば、女性を配置すると いうようなことも含めてやっていただかないと、すべて窓口は広がって250 か所加わっ た上での総合的な体制というふうに先ほど御説明がありましたが、そこの委員の対応者 についても、今後具体的に委員を人選されることについて、女性の問題を的確に扱う、 女性の配置を前提とした対応を求めたいというふうに思っておりまして、その点を今日 この場でも意見として申し上げたいと思います。 ○委員  今の点に関連するんですけれども、どうもこれを読んでもはっきりしない点がござい まして、この図によりますと、「調停委員」というのが出てきますね。調停委員は調整 委員と全くイコールであるのか、調停委員というのはどういうふうに選ばれるのかとい うのは、あっせん委員についてはこちらの規定で出ているんですが、調停委員について はあっせん委員の一部が調停委員になるということなのか、あっせん委員は全員が調停 委員ですということになるのかという、仕組み上どうなっているのかという御説明をい ただいた方が、今の話も含めてですが。 ○事務局  今の委員の件につきましては、紛争調整委員会の委員は、先ほど言いましたように3 ないし12人、県によって違います。複数ある場合につきましては、3人ずつの4グルー プなり3グループができている。そのうちの3人のグループの一つが機会均等調停を扱 うグループになる。ですから、あっせん委員のうちの3人からなるグループの一つが機 会均等の調停を行う。調停委員になって調停も行う。それから3人しかないところにつ きましては、これはその1グループしかありませんので、これは機会均等の調停の案件 がくれば調停委員会として調停しますし、あっせんの個別紛争の別の案件がくれば、あ っせん委員としてあっせんをやると。ですから、これは1チームしかありませんから必 ずそこがやる。複数チームがある場合には、そのうちの一つが、個別紛争も扱わないと いうわけではありませんが、機会均等の調停については必ず一つがやるというシステム を考えております。 ○委員  今ここにいただいた図というのは、多分この分科会に関することでいただいたんだと 思いますが、これ以外にも個別紛争処理はいろんな問題が出てきて、これも全部ここで 、この紛争調整委員会で扱うということですか。 ○事務局  右側の例示は、セクハラ、育児・介護休業とこの分科会にかかわるものが挙げられて いるんですが、当然のことながら、さらに、こちらの右側のルートにつきましては、解 雇の問題とか、労働条件の引き下げの問題とか、そういったような別の分野の個別的な 労使紛争もすべて右側のルートで扱うということになります。 ○委員  均等の専門的な人以外の、例えば解雇の事例でも男女均等とは関係なしに別の問題で もあるわけですから、3人の中にそちらの委員が入る可能性があるということですか。 例えば12人もいればいいですが、そうじゃない県で3人しかいないというような県では 、その中にそういう人が入ってくる可能性があると。 ○事務局  そういう人がというか、私どもとしては、先ほど委員からもありましたように、当然 機会均等の調停もやるという前提で人選を進めるわけですから、当然そういった分野に 詳しい方、その中でも女性の方を含めてでございますが、そういった方も当然委員にお 願いしたいと思っていますし、それからほかの分野もやるわけですから、そういったも のを含めて3人のグループとして、それが適切に対応できるような人選をしていきたい 。もちろん9人なら9人、10人なら10人でそれを前提にして選任していくということを やりますので、一人一人がここしかやらないというようなことでは当然なくて、その部 分にもきちんと対応できるという意味において、全体として対応できるような形で適切 な人選を行っていきたいというふうに考えております。 ○委員  複数県のところは、今、御説明のとおりだと思うんですけれども、3人しかいないと ころというのは、実態的に言うと、人は別にして、今までの調停委員会のメンバーがほ かの個別紛争もやると同じ状況になりますよね。そのときに、3人というのは、今想定 していて47都道府県のうちの何県ぐらいあるんですか。 ○事務局  40県です。 ○委員  40県が3人なんですか。 ○委員  この名前については余りこだわっていないんですけれども、やはり聞くところによる と、調停まで上がっている均等法のケースというのは非常に少ないというようなことも 聞いておりますので、そういうことから考えると、行政の組織として一つの委員会にす るというのがやむを得ないかなと思います。わかりよさというのは、使う人の側から見 たわかりやすさだと思うので、余り長い名前は好ましくないと思います。それよりも、 相談に来る人たちに対して直接最初に対応する人たち、この人たち、250 とかあるわけ ですけれども、訓練をきちんとしていただきたいというところであります。  それから要綱のところで質問があるんですけれども、あっせん案の提示のところで、 私どもが聞いていたのは、両当事者双方からの要請があった場合にあっせんを提示する というふうに聞いていたんですけれども、それはどこで読むのでしょうか。 ○事務局  これは解決に必要な場合という法律上の書き方になっておりますが、それに基づきま して、具体的には運用規程等でそういうことを定めていくということを予定しておりま す。 ○委員  あっせんと調停、単なる項目の違いという、紛争項目の違いで二つに振り分けられる 。その結果、調停とあっせんは調整行為のレベルが違ってくるという枠組みになってい るわけですね。というふうに理解してよろしいわけですね。その点に関してちょっと申 し上げたいんですが、もともと個別労使紛争処理というのが、いろんな個別紛争が起き てきたので、それに対して有効な解決策が必要だという、機関が必要だということで考 えられたことだと思うんですが、こういう動きがいろんなところにあって、地方自治体 、例えば東京都でそういうことがあって、通常のあっせんによって効果がうまくいかな いというようなことから、もう少しそういうものに対する規制をということで、調整委 員会みたいなものをつくって、そこでは、あっせんよりももう少し強力に紛争を解決す るための方法として、あっせんを越える、要するに専門家による調整という仕組みを考 えるというのが、今の個別紛争が多く増えて、それは労使にとってよくないというよう な現状から考えられたと思うんですが、そういう枠組みから言うと今度のこの枠組みは 、片方は均等のところだけは調停ということですが、それ以外はあっせんということで 、二つの違うものを一つの組織の中に入れ込んできて、この目的ですが、たくさん増え る紛争を有効に解決するという枠組みとして適切なのかということが一つの疑問として 、もっといいやり方があるのではないか、行政的な関与の仕方があるのではないか、あ るいは地方自治体とは違った国としての関与の仕方があるのでないかと思います。  もう一つは、今言ったようにあっせんの方が、紛争項目としては多くなって、調停部 分がすごく小さくなって、せっかくつくり上げた均等法における調停というものがかす んでしまうというような、この役割は何なのか、これを維持するのにはどうしたらいい のかというような課題まで残すというようなこと、この二つが懸念としてあるんですけ れども、ちょっと一般的ですみません。 ○事務局  調停とあっせんが相当違うのではないかということを前提にした御意見のように受け 止めました。しかしながら、確かに雇用機会均等法に基づく調停は、均等法の5条から 8条までの実体規定があり、その実効担保措置としてあるという意味において、その位 置づけはあっせんの場合とは違うと思います。ただ、そうは言っては、機能としては、 行政機関あるいは行政機関の長である労働局長が直接個別具体の案件に入って当事者間 のやりとりをするというのは、やはり行政機関の位置づけとして適当ではないのではな いか。むしろ、そういう部分については、何らかの形で独立したような組織でやる方が 適当ではないか。そういった意味において、調停にしろ、あっせんにしろ、労働局ある いは労働局長からは離れた組織で個別具体の部分をやっていくんだと、こういう意味に おいては同じではないかというふうに思っています。  あっせんと調停は違うではないかというふうに言われますが、例えば労働委員会では あっせんも調停も仲裁までやるわけです。これは一つの調整過程、そういった意味での 行政リアルとしての機能として、あっせんと調停が二つあるからできないんだというよ うなことではなくて、あとはそういったような労働局の中で少し離れた形でやるという 機能を設けていく場合にどうするか、どういうのが一番効率的かということと、それか らそれぞれの機能がきちんと出るようなシステムをちゃんとつくっていくということが 基本的な部分ではないかと、こういうふうに思っているということであります。  それから、紛争調整委員会になった場合に、均等の調停と個別紛争のあっせんと数が どうこうと、これはそういう問題ではなくて、均等法は均等法というちゃんとした法律 があって、それの実効担保措置としてやっているわけですから、均等法の制度をきちん と周知して、それに基づく措置として、この紛争調整委員会はきちんとした対応をして いくんだということをちゃんとアピールするということで御懸念の部分は相当対応でき るのではないか。確かに委員から、紛争委員会でもう少し名前をというようなお話もあ りましたが、やはり紛争調整というのは上位概念として広い概念でとっております。ま して行政組織の名前につきましては、私どもとしてはこれでやらせていただきたいとい うことと、その中で機会均等調停をきちんとやるんだということができるような工夫と いうのはやっていきたいというふうに考えておりますし、それから均等法の中で3人の 調停委員による調停を行うということを明記するわけですが、その3人の委員による部 分、これをどういうふうな呼び方をどこでつけていくか、こういったような工夫はでき るのではないか。行政組織そのものの名前としては、ぜひ紛争調整委員会で御理解をい ただきたいというふうに思いますが、今いろいろ出てきた御懸念の部分、要するに機会 均等調停がかすんでしまうとか、やっていないように思われるというような部分につき ましては、行政組織の名前とは少し離れますが、いろんな省令等も含めまして適切な工 夫をしていくということで対応させていただきたいと、こういうふうに思っているとい うことでございます。 ○事務局  どうも御意見ありがとうございました。私も働く女性の紛争の処理をどういうふうに 前進させるかという観点からいきますと、今回の新しい仕組みは大変大きな前進と、そ して若干の懸念があるというのが正直なところでございます。大きな前進というのは、 従来は各都道府県に一つあります雇用均等室だけが窓口だったわけですから、これは使 う働く女性の側から見ると、必ずしも相談窓口の体制として十全のものではなかったと いうふうに思いますが、それが今回は総合労働相談コーナーも含めまして、窓口が大変 広がるということは使い勝手がよくなるということで期待をしているところでございま す。  そしてもう一つは、従来は雇用機会均等法に基づく特定の事項でしか都道府県労働局 長の助言・指導・勧告なり、機会均等調停委員会の調停が受けられなかったわけですが 、今回はそれ以外の働く女性の様々な問題、この図にもありますような、今、相談案件 からいくとセクシュアルハラスメントが圧倒的に多いんですが、そういう問題ですとか 、それ以外の分野の問題についても、あっせんまで道が開かれたということはこれまた 大変大きな前進ではないかということで、この新しい仕組みができ上がって動き出すと いうことを大変期待しているところでございます。  若干の懸念というのは、やはり紛争調整委員会で機会均等法に基づく調停と、それ以 外のものが同じ組織でやられるということからくる問題だというふうに思いますので、 一つは、そこで従来の調停機能というのが引き続きやられるということをどれほど関係 者の皆さんに理解していただけるか。そのための周知の努力をするかということと、や はり何人もの方がおっしゃいましたけれども、調整委員会になったとたんに調停委員会 の調停が適切に行われなくなったということがあってはいけませんから、ポイントとな るのは委員の人選であるというふうに思います。今の委員の顔ぶれを見ていただくと、 すべての調停委員会に必ず女性の委員が入っておりますし、それから広く労働関係の問 題を労働法の観点から見られる委員、あるいは広く労働問題というのか、労使の問題を 労働経済やあるいは企業の雇用管理の観点から見られる委員、そういうようなことで3 人の委員の構成を担っているというふうに思いますけれども、新しい拡大された調整委 員会になったときにも、従来の調停委員会の調停委員の役割が引き続き担えるような人 事面での配慮というのは他局とも相談しながらやっていきたいというふうに思います。 併せて窓口になる総合労働相談コーナーで働く女性の問題も一時的にそこで処理をして いただくわけですから、そこの専門性をどういうふうに高めていくかという課題もある ように思います。そして、今日ここで出されました御意見は整理をして個別労使紛争処 理対策部会の方にもしっかり御報告してまいりたいと思います。 ○分科会長  この問題について、ほかに何か御意見ございますか。  それでは、今、局長がおっしゃったとおり、本日の御意見を個別労使紛争処理対策部 会の方に事務局から報告をしていただくということをお願いしたいと思います。  本日の議事は以上でございますが、何かほかに御質問等はございますか。  それでは、事務局の方から報告事項等があればお願いいたします。 ○事務局  ございません。 ○分科会長  それでは、予定の時間をはるかにオーバーいたしましたが、長時間ありがとうござい ました。これで本日の分科会は終了させていただきます。  次回の分科会は2月9日に開催予定でございますので、お忙しいところ誠に恐縮でご ざいますが、よろしくお願いいたしたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうござ いました。                                     (了) 連絡先 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課 企画係 田中、大友 03(5253)1111 内線7855