《第１回分科会の議事要旨について》

　第１回議事要旨については、配付資料のとおり確認。

《事務局から資料について説明》

○ 平成１３年度の移行ポートフォリオの収益率の推計が名目値による推計になっているが、実質利回りの確保こそが重要である。賃金上昇率との比較等が必要ではないか。

○ 平成１３年度の移行ポートフォリオについて、乖離許容幅の上限を撤廃するのはいかがなものか。基本ポートフォリオへのスムーズな移行及び他の資産とのバランスを考えると、上限値を定めた方がよいのではないか。

○ 基本ポートフォリオを定めているので、自ずから上限があると考えられるため、あえて定めなくてもよいのではないか。

○ 市場の価格変動により移行ポートフォリオを超える分については許容するとされていることから、買い増しによる移行ポートフォリオからの乖離は排除されていると考えられるのではないか。

○ 移行ポートフォリオは制度的な理由により策定するものであり、マーケットの議論はそれとは別の議論である。上限値の設定は不要ではないか。

○ 市場の変動により、国内株のウェイトが非常に高まる等の場合には、分科会を召集して必要に応じて対応を検討するということにする。

○ 方針案のＰ８「各資産ごとに各々のベンチマーク収益率により評価する」とあるが、基本ポートフォリオによる運用であれば複合ベンチマークによる評価が普通ではないか。複合ベンチマークによる「評価」ではなく、「比較」となっているのはどうしてか。

○ 複合ベンチマークによる評価は、資産配分効果による超過収益を目的とするアクティブ運用を前提としている。今回の基本ポートフォリオはそのようなことを前提としていない。複合ベンチマークで評価することとなると、意識しない時価ブレによる基本ポートフォリオからの乖離を運用の巧拙として評価することとなってしまう。各資産の運用の評価については、各々のベンチマークで評価するのが適切である。

○ 狭い意味の運用評価ではそうであるが、長期でみて見直していく場合、その判断のベースとして、一部はアロケーションから出てくるのではないか。

○ 基本ポートフォリオの見直しと複合ベンチマークとの比較は直接は結びつかないのではないか。

○ 巨額な資金運用を行うためマーケットインパクトが生じる可能性があるが、これは誰がどのように把握するのか。

○ マーケットインパクトが生じたとすればその分ベンチマークに劣後することとなる。要因分析の結果、マーケットインパクトが原因であることが判明すれば、次回以降そのようなことがないように気をつけるという対処を行うことになるのではないか。

○ 運用については、プロセスこそが重要であるので、結果責任を問うものではないということを書いておくべきではないか。アメリカでも「結果責任」という言葉は使用していない。

○ 結果を問うものではないと書くと、責任逃れに聞こえてしまうのではないか。
　保険料拠出者からすると、プロセスだけでなく結果も大事。結果責任を問われるかどうかは別の問題だとしても、結果は問わないと基本方針に書くことには反対である。

○ 日本のマーケットではまだ受託者責任の概念もプラクティスも確立していない。今後、年金運用においてきちっと受託者責任を果たしていき、理解を得ていくことが必要ではないか。

○ 受託者責任とは、リスク管理方針を決定し、遵守するということが１つのイメージである。運用の責任論については、国民全体を啓発していくことが必要ではないか。

○ 運用機関の受託者責任と年金資金運用基金の受託者責任は、実態に即して結びつけて考えていくことが重要ではないか。

○ 議論が出尽くしたので、基本方針について本分科会は審議の結果おおむね了承できるものとし、その旨審議会長に報告することとする。厚生労働省においては、広く国民の理解を得るため、周知に努力するよう強く要請する。

《年金局長の挨拶》

　報告書を取りまとめていただき、ありがとうございました。この報告を踏まえ、厚生労働大臣が運用の基本方針を策定し、それに基づき年金資金運用基金において管理運営方針を策定し、それに沿って運用をさせていただくことになる。運用のプロセス・方針については、国民に十分な情報開示を行い、国民の皆様に理解していただけるよう、最大限の努力をしていく。また、規模の大きな資金の超長期運用の模範となるよう全力を尽くす。今後とも御指導、御鞭撻の程よろしくお願いしたい。

● 今後の手続としては、ただ今いただいた基本方針案を了とする議決を分科会長から社会保障審議会長に報告していただく。そこで同意がいただければ、社会保障審議会の答申となる。

○ 基本ポートフォリオの見直しについては、その必要があれば分科会が自ら検討を行うこととし、その中で技術的な検討が必要となった時点でワーキンググループといった組織を臨時的につくって対応することとする。

〜以上〜

〈照会先〉年金局運用指導課
　　　　　課長補佐 柳樂 晃洋
　　　　　係長 下向 智子
　ＴＥＬ　5253−1111（内線３３４８，３３５０）
　　夜間　3595−2868