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第1回年金資金運用分科会議事要旨

1.日時: 平成13年2月7日〈水〉10時5分~12時
2.場所: 厚生労働省省議室
3.参加者: ・杉田委員 ・髙梨委員 ・竹内委員 ・寺田委員 ・向山委員・吉冨委員 ・米澤委員 ・若杉委員

4.議事要旨(○は委員、●は事務局の発言)


《厚生労働事務次官の挨拶》

 厚生労働省がお預かりする公的年金の積立金は、平成12年3月で約144兆円にものぼる巨額なものとなっております。この年金積立金は、これまで、財務省資金運用部にその全額が預託され、財政投融資の原資として社会資本整備等に活用されて参りました。
 しかし、昨年の通常国会において成立いたしました年金制度改正法及び財投改革法により、本年4月から、年金積立金はその預託義務が廃止され、厚生労働大臣がその全額について自主運用を行うこととされております。もとより年金積立金は、国民から強制的に徴収した保険料の集積であり、将来の年金給付となる貴重な資金であります。このように国民からお預かりしている貴重な年金積立金について、保険者たる国が専ら被保険者のために最もふさわしい方法で運用する仕組みがいよいよ始動するわけであります。
 他方で、厚生労働省は、資金運用部に全額義務的に預託してきたこれまでとは比較にならないほどの重大な責任を負うことになります。
 厚生労働省といたしましては、年金積立金の運用に当たって、安全、確実かつ効率的な運用を基本とし、十分な情報開示により国民の皆様の信頼を得ていくことが重要であると考えております。
 年金資金運用分科会の委員の皆様におかれましても、厚生労働省がこの重責を全うすることができるよう、運用の基本方針の策定に当たり慎重にご審議いただくとともに、自主運用開始後においても、実施状況について常に監視いただき、厳しく御指導を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶に替えさせていただきます。

《座長の挨拶》

 検討会からの引き続きの仕事になるが、いよいよ始まる自主運用のために協力をお願いしたい。

《分科会長代理の指名》

 分科会長代理として米澤委員が指名された。

《事務局から資料2・3について説明》

 委員、ご了解

《事務局から資料4を読み上げ》

《事務局から委員限り1及び2を説明》

《事務局から委員限り3を説明》

○ 諮問案の4ページにある、「基本ポートフォリオの見直し」を必要に応じて行うためには、専門性が必要。当分科会に部会を設け、その体制を整備することが必要ではないか。監視機能を十分に果たすためにも必要と思われる。
● 下部組織設置の件は、分科会の決定事項であり、事務局としては分科会の判断を尊重する。
○ 分科会の所掌の内容は、基本ポートフォリオの期待収益率の実現に向けて、専門的技術的事項と本質的な事項に分けられる。基本ポートフォリオは、予定利率4.0%に対して長期的に4.5%を確保することを目指しているが、これは、日本の経済が一定の成果を上げ、資本市場で一定水準の運用結果が得られるという前提の上に成り立っている。その前提が実現されるよう、日本経済に関する研究をするとともに、証券の発行者に対して発言をしていくべきではないか。この点で、現在の分科会の体制は十分ではない。
○ 4%というのは、名目値であり、同時に想定されている物価上昇率の1.5%や賃金上昇率の2.5%との差が重要。このことを基本方針案は実質利回りの確保ということで強調している。その意味では、基本ポートフォリオが前提としている期待収益率は高すぎるとはいえない。
○ いくつかの前提が置かれているので、常に専門的な見地からの検証が必要。他方、年金積立金は多額の国債を保有せざるをえない。国民の財産を守る立場から、国債の発行者である国に対して、健全な経済運営がなされるよう国に対して債権者として何らかの要望を出していくことも必要であろう。分科会にできることは限界があろうが最低限の発言はするべきではないか。これは、株主の規律として株主権を行使することと本質的に同じ問題である。
○ このほか、基本ポートフォリオの実現および見直しに向けて我々がどのように行動するのかという点について意見はあるか。
○ 基本ポートフォリオの見直しとはそれを頻繁に変えることを意味しないことに注意を喚起しておきたい。市場の動きをその都度追いかけると、後追い後追いになってしまうことが多い。そのようなことを避けるために、基本ポートフォリオを定めることとしている。あまり頻繁な見直しは行うべきではないのではない。
○ 体制の問題として、基本ポートフォリオの見直しをどこが行うのか決めることが必要。評価の方法も決めることが必要。
○ ここまでの論点を整理すると、(1)基本ポートフォリオ見直しのための体制の整備、(2)基本ポートフォリオの前提となる数値の検証及び(3)株主議決権に倣い、債券(国債)の大量保有者として(国に対して)発言することが必要ではないか、というもの。
○ 来年度の財投協力11.9兆円はどのようなプロセスで決まったのか、毎年度同じように決められるのか。
● 平成11年12月の申し合わせにより、向こう7年間の財投協力を行うこととされている。これに基づき、既往貸付分及び新規貸付分の一部の資金繰りを郵貯・簡保・年金で財投債を引き受けることにより協力することとしたもの。13年度の年金の協力額は郵貯分が集中満期を迎える時期にあたることを勘案し、その一部についても暫定的にみているが、当然のことながら、14年度以降、その分は郵貯に戻すこととなっている。
○ 移行期の考え方について、承継資産の売却を避けるという前提に立っているが、2008年度まで、それがどのような移行ポートフォリオを意味するのか簡単なものでよいのでシミュレーション結果で示してほしい。
● 引き受ける財投債の額は毎年度予算編成作業の中で決まることなので、見通すことは無理だが、大胆な前提を置くことを許して頂ければ、次回までに用意したい。
○ 承継資産を売らないように年金のポートフォリオを調整するという考え方自体は理解できないことはないが、これは、現在の財投を前提とした三省合意に基づく経過措置としての財投債引き受けの議論にすぎない。発想を逆にすることが必要。本来は、財投債の引受を減らすように折衝するべき。そうすることにより財投機関債の発行が拡大され、財投機関が市場の評価にさらされることになり、財投改革の趣旨に適う。財務省に対しては強く交渉してほしい。
● アメリカでは年金基金が大きな力を持っている。日本の年金の額は世界でも類をみない規模。皆様のご協力を得て安全確実な運用を行っていきたい。また、その額ゆえの影響も大きいことから、御指導を踏まえ、配慮していきたい。
● 基本方針(案)にあるとおり、財投債が年金の運用に及ぼす影響についての分析も行うことを考えている。
○ 預託に代わり財投債や財投機関債が発行されることは、マクロ的には、資金の循環経路が変わって流動性を帯びるだけのこと。資金の量的な不均衡が生じるわけではない。むしろ厚みのある国債市場の在り方を検討することが必要ではないか。
○ 財務省と厚生労働省の財投債引受に係る交渉において、年金積立金の立場が尊重されないなど衝突があれば表に出すべき。マスコミも取り上げれば、国民的な議論が起こるのではないか。
○ 移行ポートフォリオの予想リターンを示してほしい。
● 次回までに準備したい。
○ いくつかの質問・意見があるので、次回までに事務局に申し出ることにさせていただきたい。
○ 確認であるが、先ほどから出ている「見直しの体制」というのは基本方針案にある基本ポートフォリオを見直すための体制という理解でよいか。
○ そのとおり。見直しは分科会の責務。どのような体制で見直しを検討するのか、具体的な案を次回提示したい。また、基本方針に関して国民に分かりやすい説明をすることも不可欠と考える。これは厚生労働省がやるべきなのか分科会がやるべきなのか、事務局と相談して次回の分科会で議題として出したい。また、大量の国債保有者として債権者の立場から国に対して規律を求める問題についても引き続き議論をしていきたい。
《事務局から日程の確認》
○ 本日はここまでとさせて頂きます。課題山積ですので、次回以降、時間を延長することがあり得ることをお含み置き下さい。

~以上~


〈照会先〉年金局運用指導課
     小川 えりか
 TEL 5253-1111(内線3348)
 夜 間 3501-3450


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